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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】新規粒子発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220810BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220810BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20220810BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20220810BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20220810BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220810BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G18/10
C08G18/76
C08G18/42 069
C08G18/66 040
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021573873
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020066297
(87)【国際公開番号】W WO2020249727
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】19180321.2
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】521358224
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ポリウレタンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ペゼルト,エルマー
(72)【発明者】
【氏名】ケッペラー,ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】テッパー,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】プリソク,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ケムプフェルト,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,リザ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ミックリッツ,ヴォルフガング ギュンター
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA04
4J034CC03
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF12
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA42
4J034QB01
4J034QB14
4J034QC01
4J034RA03
4J034RA10
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程と、結果として得られるプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程とを少なくとも含む方法に関する。本発明は、さらに、そのような方法によって得られるまたは得ることが可能な熱可塑性ポリウレタン、およびそのような熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレット材料に関する。本発明は、さらに成形品の製造のために、本発明の発泡ペレット材料を使用する方法を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)において得られたプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む、方法。
【請求項2】
ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(ii)における反応に使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリイソシアネート組成物が、ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオール、および50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
鎖延長剤(KV)が、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)において得られたプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む方法によって得ることが可能なまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または請求項8に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む、発泡ペレット材料。
【請求項10】
ビーズの平均直径が0.5~20mmの範囲にある、請求項9に記載の発泡ペレット材料。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の発泡ペレット材料から得ることが可能な成形品。
【請求項12】
成形品の製造のために、請求項9または請求項10に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【請求項13】
成形品がビーズ相互の融合または結合によって製造される、請求項12に記載の使用する方法。
【請求項14】
成形品が、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車シート、玩具、タイヤもしくはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装である、請求項12または13に記載の使用する方法。
【請求項15】
ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、児童遊園地および通路用ための床カバー材および壁パネルとして、請求項9または請求項10に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【請求項16】
ポリマー(PM)で構成されるマトリックスおよび請求項9または請求項10に記載の発泡ペレット材料を含む、ハイブリッド材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程と、結果として得られるプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程とを少なくとも含む、方法に関する。本発明は、さらに、そのような方法によって得られるまたは得ることが可能な熱可塑性ポリウレタン、およびそのような熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレット材料に関する。本発明は、さらに、成形品を製造するために、本発明の発泡ペレット材料を使用する方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタンはそれ自体公知である。性質の所望されるプロフィールによると、使用されるイソシアネート、ポリオールおよび鎖延長剤は様々であってよい。発泡ペレット材料は、またビーズ発泡体(または粒子発泡体)とも称され、またそれらから製造される成形品、または熱可塑性ポリウレタンもしくは他のエラストマーに基づいた成形品はそれ自体公知であり(例えば、国際公開第94/20568号、国際公開第2007/082838号、国際公開第2017030835号、国際公開第2013/153190号、国際公開第2010010010号)、多方面の可能な用途を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第94/20568号
【特許文献2】国際公開第2007/082838号
【特許文献3】国際公開第2017030835号
【特許文献4】国際公開第2013/153190号
【特許文献5】国際公開第2010010010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的として、「発泡ペレット材料」またはさもなければ「ビーズ発泡体」または「粒子発泡体」は、ビーズ形態の発泡体を指し、ビーズの平均直径は、典型的には0.2~20mm、好ましくは0.5~15mm、殊に1~12mmである。非球状の、例えば、細長い、または円筒状のビーズの場合には、直径は最長の寸法を意味する。
【0005】
基本的に、熱可塑性ポリウレタンに対して、殊に、有利な機械的性質を維持しつつ最低温度で対応する成形品を得るために加工性を改善した、発泡ペレット材料またはビーズ発泡体に対して、必要性がある。これは、発泡ペレットを融合させるためのエネルギーの投入が補助媒体、例えば蒸気によって導入される、現在広く普及した使用における融合方法のために、殊に重要であり、それは、改善された結合がここで達成され、したがって材料または発泡体構造に対する損傷が同時に減少し、同時に十分な結合または融合が得られるからである。
【0006】
発泡ペレットの十分な結合または融合は、発泡ペレットから製造された成形体の有利な機械的性質を得るために不可欠である。発泡体ビーズの結合または融合が不十分である場合、それらの性質を十分に利用することができず、得られた成形体の全体的な機械的性質に対して、結果として負の効果がある。成形品に弱点がある場合に、同様の判断が適用される。そのような場合には、機械的性質が弱点として不利となり、結果は上記と同様となる。したがって、使用されるポリマーの性質は効率的に調整可能でなければならない。
【0007】
既知の材料は、しばしば室温で非常に低い弾性率を有し、その結果、適切な剛性または安定性を得るために、多くの用途について高密度を達成しなければならない。同時に、多くの用途について、高い弾力および良好な機械的性質が達成されなければならず、材料は、発泡ペレット材料から成形体を製造するために良好な溶接性を有する必要がある。
【0008】
本発明の文脈内では、「有利な機械的性質」は意図した用途に関して解釈されるべきである。本発明の主題について最も際立った用途は、履物分野における用途であって、発泡ペレットは、減衰および/またはクッションが重要な履物の構成要素、例えば中敷きおよび内底用の成形品に使用することができる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、十分な剛性だが同時に良好な機械的性質を有し、良好な加工性を有する熱可塑性ポリウレタンに基づいた熱可塑性ポリウレタンおよび発泡ペレット材料を提供することである。さらに、本発明の目的は、対応する熱可塑性ポリウレタンおよび発泡ペレット材料を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は本発明に従って、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)、ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)において得られたプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む、方法によって達成される。
【0011】
本発明は、さらに、本発明の方法によって得ることが可能なまたは得られる熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0012】
驚いたことに、本発明に従って使用される成分の使用、殊に使用されるイソシアネート(IZ)の特定のポリオール成分との特定の組み合わせの使用によって、発泡ペレット材料が成形用品を与える良好な加工性を有し、同時に軟質相の低いTgを示すように、高い弾性率と同時に低軟化点を有する、そこから製造された熱可塑性ポリウレタンおよび発泡ペレット材料を得ることができることが見いだされた。さらに、本発明の発泡ペレット材料は、良好な機械的性質、例えば高い弾性率、良好な弾力を特色とする。また、動的な保持された使用性は非常に良好である。驚いたことに、本発明によると、硬質相の同時により良好な溶融能力を有する非常に良好な相分離を達成することが可能であり、その結果、より硬質の、しかも同時に効率的に加工可能な、発泡ペレット材料が得られた。したがって、とりわけ、従来の材料に対して明確に圧縮硬度を改善することが可能となった。さらに、本発明の熱可塑性ポリウレタンおよびそこから製造される発泡ペレット材料は、非常に良好な低温性および良好な熱的安定性を有する。
【0013】
本発明の文脈内では、他に明示しない限り、反発は、DIN 53512(2000年4月)に類似して求められる;規格からの逸脱は、12mmであるべき試験片高さであるが、しかし、この試験は試料の「貫通」および基板の測定を避けるために、他に明示しない限り、20mmを用いて行う。
【0014】
驚いたことに、本発明の熱可塑性ポリウレタンは、殊に高い弾性率および非常に良好な弾力を有する成形品を与えるためにさらに効率的に加工することができる、発泡ペレット材料を与えるための良好な加工性を有することが見いだされた。
【0015】
本発明の方法は、工程(i)および(ii)を含む。工程(i)において、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含むイソシアネート組成物(ZI)、ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)は変換されて、イソシアネート基を有するプレポリマーが得られる。工程(ii)において、工程(i)において得られたプレポリマーは、少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させられる。本発明によると、工程(ii)を工程(i)の後に実施することができる。しかし、また、方法の1段階で両方の工程を行うことも可能である。
【0016】
工程(i)において、イソシアネート組成物(ZI)は、ポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)と反応させられる。本発明によると、ポリオール組成物(ZP)は少なくとも1種のポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含み、さらなる成分、殊に、イソシアネートに対して反応性のさらなる物質、例えばさらなるポリオールを含んでもよい。本発明によると、ポリオール組成物はまた、異なる平均分子量を有する異なるポリテトラヒドロフランの混合物、または1種または複数のその誘導体とのポリテトラヒドロフランの混合物を含んでもよい。
【0017】
特に好ましい実施形態において、ポリテトラヒドロフランは、500g/mol~5000g/molの範囲、さらに好ましくは550~2500g/molの範囲、殊に好ましくは650~2000g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する。さらなる実施形態において、ポリテトラヒドロフランの数平均分子量Mnは500~1400g/molの範囲にある。
【0018】
様々なポリテトラヒドロフランの混合物、すなわち、異なる分子量を有するポリテトラヒドロフランの混合物もまた本発明に従って使用することができる。本発明によると、ポリオール組成物がポリオールをさらに含むこともまた可能である。適切なポリオールは、それ自体当業者に公知である。適切な例はポリエーテル、ポリエステルまたはポリカルボネートである。
【0019】
本発明の文脈において、ポリテトラヒドロフランはまたα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールとも称される。
【0020】
本発明によると、ポリオール組成物はポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含む。本発明の文脈において、誘導体はまた、例えばポリテトラヒドロフランの反応生成物を意味すると理解される。適切な誘導体は、例えば、またポリテトラヒドロフランの遊離ヒドロキシル基の反応によって得られるものである。適切な誘導体は、例えば、ポリ-ε-カプロラクトンポリオール、すなわちスターター分子としてε-カプロラクトンおよびポリテトラヒドロフランの反応によって得られるポリオールである。
【0021】
さらなる実施形態において、本発明はまた、使用されるポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトン、およびα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子の反応によって得ることが可能であるまたは得られる、上に記載の方法に関する。
【0022】
本発明によると、ポリオール組成物はまたさらなるポリ-ε-カプロラクトンポリオール、殊に、500~5000g/molの範囲、好ましくは1000~5000g/molの範囲、さらに好ましくは1500~2500g/molの範囲の数平均分子量を有するものを含んでもよい。ポリ-ε-カプロラクトンジオール、すなわち二官能性スターターを使用して得られるまたは得ることが可能なポリ-ε-カプロラクトンポリオールの使用が優先される。本発明の文脈において適切なスターターは、例えば、80~1500g/molの範囲の数平均分子量を有するジオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールである。ポリエーテルポリオールが殊に適切である。
【0023】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、使用されるポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、50~1500g/mol、好ましくは80~2500g/molの範囲、さらに好ましくは80~1500g/molの範囲の数平均分子量を有するジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、上に記載の方法に関する。
【0024】
適切なスターター分子は、殊にネオペンチルグリコール(NPG)、ブタン-1,4-ジオール(BDO)、ヘキサン-1,6-ジオール(HDO)および500~1500g/molの範囲、好ましくは800~1200g/mol、さらに好ましくは900~1100g/molの範囲の数平均分子量を有する長鎖ポリエーテルジオールからなる群から選択される。
【0025】
本発明の文脈において、数平均分子量は、他に明示しない限り、OH価を求めることにより得られる。適切な測定条件は当業者に公知である。
【0026】
さらなる実施形態において、本発明はまた使用されるポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群、好ましくは150~1500g/molの範囲の数平均分子量を有するα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、150~1500g/molの範囲の数平均分子量を有するポリエチレングリコールおよび150~1500g/molの範囲の数平均分子量を有するポリプロピレングリコールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、上に記載の方法に関する。
【0027】
ポリオール組成物(ZP)は、さらなるイソシアネート反応性化合物として、さらなるα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを含んでもよい。適切なα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールはそれ自体公知である。本発明の文脈において、好ましくは、1000~5000g/molの範囲、好ましくは1500~2500g/molの範囲の数平均分子量を有するヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールが適切である。本発明の文脈において、また、異なる分子量を有する2種以上のヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールの混合物を使用することも可能である。
【0028】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである上に記載の方法に関する。
【0029】
ポリオール組成物(ZP)の組成は広い範囲内で変動してもよい。好ましくは、本発明の文脈において、ポリオール組成物(ZP)中のα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールの割合は、0.1%~50質量%の範囲、好ましくは10%~35質量%の範囲、より好ましくは15%~25質量%の範囲にある。好ましい実施形態において、ポリオール組成物(ZP)はポリ-ε-カプロラクトンポリオールおよびα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールからなる。
【0030】
さらなる実施形態において、本発明はまた、ポリオール組成物は、ポリオール組成物に対して0.1%~50質量%の量のα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを含む上に記載の方法に関する。
【0031】
さらなる実施形態において、本発明はまた、ポリ-ε-カプロラクトンポリオール、および/または、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールが1500~2500g/molの範囲の数平均分子量を有する、上に記載の方法に関する。
【0032】
例えば、ポリ-ε-カプロラクトンポリオールとα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールの混合物中の2種のポリオールの数平均分子量は、約2000g/molである。
【0033】
他に明示しない限り、本発明の文脈において、数平均分子量Mnは、GPCによって求められる。
【0034】
本発明の方法はまた、工程(i)における反応において、ポリオール成分(ZP)が、さらなるポリオール、ならびにポリテトラヒドロフランおよびその誘導体を含むようにして行うことができる。適切なポリオールは、基本的に当業者に公知であり、例えば”Kunststoffhandbuch [Plastics Handbook], volume 7, Polyurethane [Polyurethanes]”, Carl Hanser Verlag, 3版 1993年、3.1章に記載されている。ポリオール(P1)としてポリエステロール、またはポリオールとしてポリエーテロールの使用が特に優先される。ポリカルボネートを使用することは同様に可能である。本発明の文脈においてコポリマーも使用されてもよい。
【0035】
ポリエーテロール、だがポリエステロールも、ブロックコポリマーおよびハイブリッドポリオール、例えば、ポリ(エステル/アミド)などは、本発明によると適切である。本発明によると、好ましいポリエーテロールは、ポリエチレングリコールが、ポリプロピレングリコール、ポリアジペート、ポリカルボネート、ポリカーボネートジオールおよびポリカプロラクトンである。
【0036】
使用されるポリオール組成物は、好ましくは1.8から2.3の間、好ましくは1.9から2.2の間、特に2の平均官能基を有する。本発明に従って使用されるポリオールは、好ましくは第一級ヒドロキシル基のみを有する。
【0037】
本発明によると、工程(i)における反応、または工程(ii)における反応、または工程(i)における反応と工程(ii)における反応において水が使用されない場合、有利であり得る。したがって、本発明の一実施形態において、水を100ppm以上含まないポリオール成分を使用することは可能である。
【0038】
本発明によると、工程(i)における反応は、例えば110~180℃の範囲、好ましくは130~170℃の範囲、より好ましくは140~155℃の温度で達成されて、イソシアネート基を有するプレポリマーを与えることができる。
【0039】
本発明に従ってこのようにして得られるイソシアネート末端プレポリマーは、好ましくは、2%~20質量%、より好ましくは2%~10質量%、殊に2%~5質量%のNCO含有率を有する。得られるプレポリマーは、NCO含有率に依存し、一般に回転式粘度計を用いて測定して80℃で800~5000mPa.sの間の粘度を有する。
【0040】
少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、殊に100質量%のポリオール成分の使用によるイソシアネート末端プレポリマーの製造が優先される。また、本発明の文脈において、さらなるポリオールが工程(ii)における反応において使用されることは可能である。
【0041】
本発明の文脈において、ポリオール組成物(PZ)の組成は広い範囲内に変動することができる。本発明によると、ポリオール組成物はまた溶媒を含んでもよい。適切な溶媒は、それ自体当業者に公知である。
【0042】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、工程(ii)における反応において使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される上に記載の方法に関する。
【0043】
工程(i)において、イソシアネート組成物(ZI)はさらに使用される。本発明によると、イソシアネート組成物(ZI)は、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む。本発明によると、イソシアネート組成物(ZI)はまたさらなるイソシアネートを含んでもよい。好ましくは、イソシアネート組成物(ZI)は、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む。さらに好ましくは、イソシアネート組成物(ZI)は、イソシアネート(I1)としてナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む。
【0044】
殊にナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)またはナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)およびさらなるイソシアネートを含むイソシアネート混合物を使用する場合には、有利な性質を有する熱可塑性ポリウレタンが得られることが見いだされた。本発明によると、また例えばナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)およびジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)を含む混合物を使用することも可能である。適切な混合物は、ナフチレンジイソシアネート(NDI)およびジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)を、例えば50:50~30:70の範囲の比で含んでもよい。
【0045】
さらに適切なイソシアネートは、本発明の文脈において、殊にジイソシアネート、殊に脂肪族または芳香族ジイソシアネート、より好ましくは芳香族ジイソシアネートである。
【0046】
さらに、本発明の文脈内で、先の反応工程においてイソシアネートとOH成分の一部を反応させた事前反応生成物をイソシアネート成分として使用することができる。得られた生成物は、後続の工程、実際のポリマー反応において残存するOH成分と反応させ、そうして熱可塑性ポリウレタンを形成する。
【0047】
さらなるイソシアネートが使用される場合、これらは、好ましくは0.1%~20質量%の範囲、さらに好ましくは0.1%~10質量%の範囲、殊に好ましくは0.5%~5質量%の範囲の量でイソシアネート組成物(ZI)中に存在する。
【0048】
ポリイソシアネート組成物はまた1種または複数の溶媒を含んでもよい。適切な溶媒は当業者に公知である。適切な例は、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよび炭化水素などの非反応性の溶媒である。
【0049】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、ポリイソシアネート組成物が、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択される、ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のイソシアネートを含む上に記載の方法に関する。
【0050】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、ポリイソシアネート組成物が、ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲内の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む上に記載の方法に関する。
【0051】
工程(ii)において、工程(i)で得られたプレポリマーは、少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させられる。第1の工程においてそれらがまだ添加されていないか、部分的にのみ添加された場合、さらなるポリオールまたはさらなる鎖延長剤、および任意に触媒、任意に発泡剤および/または架橋剤および任意に助剤および/または添加剤の任意の添加をすることによって、得られたプレポリマーは、好ましくは鎖延長剤(KV)と工程(ii)において反応させられる。本発明の一実施形態において、使用される鎖延長剤は100ppm未満の水を含む。
【0052】
本発明によると、工程(i)において得られたプレポリマーは、好ましくは工程(ii)において、この工程で、反応性水素原子の合計に対するNCO基の当量比が、0.8:1~1.5:1、好ましくは0.85:1~1.3:1、殊に1.02:1~1.15:1となるような量で反応させられる。1:1の比はイソシアネート指数100に対応する。本発明、の文脈において、イソシアネート指数は、100を掛けたイソシアネート基とイソシアネート反応性基の化学量論比を意味すると理解される。
【0053】
適切な鎖延長剤は、それ自体当業者に公知である。鎖延長剤は、例えばイソシアネート基に対して反応性の2個の基を有する化合物、殊に500g/mol未満の分子量を有するものである。適切な鎖延長剤は、例えば、ジアミン、またはジオールである。本発明によると、ジオールがさらに優先される。本発明の文脈においては、2種以上の鎖延長剤の混合物を使用することも可能である。
【0054】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオール、および50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される上に記載の方法に関する。
【0055】
ここで、本発明によると、例えば、50g/mol~220g/molの分子量を有する、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族および/または脂環式ジオールを鎖延長剤として使用することが可能である。アルキレンラジカル中の2~10炭素原子を有するアルカンジオール、殊にジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-および/またはデカアルキレングリコールが優先される。本発明については、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオールおよびヘキサン-1,6-ジオールが特に優先される。
【0056】
適切な鎖延長剤(KV)は、本発明の文脈において、また分岐化合物、例えば、シクロヘキシル-1,4-ジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ピナコール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたはシクロヘキサン-1,4-ジオールである。
【0057】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、鎖延長剤(KV)がMEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたは2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される上に記載の方法に関する。また、本発明によると、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたは2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される2種以上の鎖延長剤の混合物を使用することも可能である。
【0058】
使用される成分の量比は、好ましくは10%~40%の範囲のハードセグメント含有率が得られるように、工程(ii)において選ばれる。
【0059】
本発明によると、工程(i)および工程(ii)における反応を別個の2工程において行うことは可能である。本発明によると、代替として、プロセスを1段階において行うことは可能である。本発明によると、プロセスは、多段式、またはそうでなければ連続的作業、例えば、プレポリマーが第1の帯域で連続的に製造される反応押出機において実施することができる。同様に、例えば、まず連続的に管形反応器または貯槽において工程(i)に従ってプレポリマーを製造すること、および次いで、例えば、ベルト押出機または反応押出機プロセスにおける反応の形態で工程(ii)を実施することは可能である。
【0060】
殊にNDIおよびTODIを含むイソシアネート組成物を使用する場合には、2段階作業のプロセスを実施することが有利であることが見いだされた。本発明によると、ここで、まず第1の反応において、ポリオール成分、イソシアネート成分および任意に助剤または添加剤、および任意に触媒を反応させること、次いで結果として得られたプレポリマーを、鎖延長剤、任意に助剤または添加剤、気泡核形成剤および触媒と反応させることが有利である。本発明によると、NCO/OHの比は好ましくは0.85から1.30の間にある。
【0061】
1段階プロセス方式は、例えばMDIの使用の場合、有利であることが見いだされた。
【0062】
さらなる態様において、本発明はまた、工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)、ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)において得られたプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む方法によって得ることが可能なまたは得られる、熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0063】
好ましい実施形態に関しては、好ましい出発原料および反応条件に対して関係のある上記所見が言及される。
【0064】
驚いたことに、本発明の熱可塑性ポリウレタンが、発泡ペレット材料の製造に殊に適していることが見いだされた。結果として得られる発泡ペレットは良好な機械的性質、殊に、非常に良好な弾力を有する。
【0065】
したがって、本発明はさらにまた、さらなる態様において、本発明の方法によってあることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または本発明の熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレット材料に関する。
【0066】
本発明の発泡ペレット材料は成形品への良好な加工性を有する。とりわけ、発泡ペレット材料が良好な溶接性を有することが見いだされた。さらなる態様において、本発明は、また上に記載の発泡ペレット材料から作られた成形品に関する。
【0067】
本発明は、さらに、本発明の方法によって得ることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または本発明の熱可塑性ポリウレタンを、成形品または発泡ペレット材料の製造のために使用する方法に関する。
【0068】
熱可塑性ポリウレタンの性質と同様に、発泡ペレット材料を製造するプロセスはまたしばしば、結果として得られたビーズの性質のプロフィールに決定的な影響がある。
【0069】
さらなる態様において、本発明はまた、発泡ペレット材料を製造する方法に関する。この場合、本発明は、発泡ペレット材料を製造する方法であって、以下の工程:
(i)少なくとも工程(a)および(b):
(a)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)、ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(b)工程(a)において得られたプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を含む方法によって得ることが可能なまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む組成物(Z1)を用意する工程と、
(ii)組成物(Z1)に圧力下で発泡剤を含浸する工程と、
(iii)圧力低下によって組成物(Z1)を膨張させる工程と
を含む、方法に関する。
【0070】
本発明の文脈内では、組成物(Z1)は、ここで溶融の形態またはペレット材料の形態で使用することができる。
【0071】
方法の好ましい実施形態、適切な出発原料または混合比については、対応して適用される上記表明が言及される。
【0072】
本発明の方法は、さらなる工程、例えば温度調節を含んでもよい。
【0073】
発泡ペレット材料の製造に必要になる組成物(Z1)の膨張していないポリマー混合物は、個々の成分、また任意に、例として、加工助剤、安定剤、相溶化剤または顔料などのさらなる成分から公知の方式で製造される。適切な方法の例は、連続式またはバッチ式のニーダーの助けによる、または押出機、例えば同方向回転二軸スクリュー押出機の助けによる従来の混合プロセスである。
【0074】
例えば安定剤などの、相溶化剤または助剤の場合には、これらはまた、成分の製造の間に既に後者に組み込むことができる。個々の成分は、通常、混合プロセスの前に合わせられ、または混合を実施する設備へ計量される。押出機の場合には、成分がすべて投入口へ計量され、押出機へ一緒に運ばれ、または、個々の成分は、側面の供給を介して中へ添加される。
【0075】
加工は、成分が可塑化状態で存在する温度で起こる。温度は、成分の軟化または溶融範囲に依存するが、各成分の分解温度より低くなければならない。顔料もしくは充填剤などの添加剤、または上述の通例の助剤の他のもの、例えば難燃剤または帯電防止助剤もまた、溶融しないが、むしろ固体状態で組み込まれる。
【0076】
ここで、十分に確立した方法を使用するさらなる実施形態が可能であり、出発原料の製造において使用されるプロセスを直接に製造と統合することが可能である。例として、レンズ形のペレットを得るために材料が押出機に供給されるベルトプロセスの場合には、ポリマー、衝撃改質剤、およびまた充填剤または染料をベルトの最後に直接に導入することが可能である。
【0077】
上述の通例の助剤のいくつかはこの工程において混合物に添加されてもよい。
【0078】
本発明の発泡ペレット材料は、一般に50g/l~200g/l、好ましくは60g/l~180g/l、より好ましくは80g/l~150g/lの嵩密度を有する。
【0079】
上に明示したように、発泡ペレットの個々のビーズの直径は、0.5~30mm、好ましくは1~15mm、殊に3~12mmである。非球状、例えば、細長い、または円筒状の発泡ペレットの場合には、直径は、最長の寸法を意味する。
【0080】
発泡ペレット材料は、
(i)本発明の組成物(Z1)を用意する工程と、
(ii)組成物に圧力下の発泡剤を含浸する工程と、
(iii)圧力低下によって組成物を膨張させる工程と
による、先行技術において公知の、十分に確立した方法によって製造することができる。
【0081】
発泡剤の量は、組成物(Z1)の使用される100質量部の量に対して好ましくは0.1~50質量部、殊に0.5~35質量部、より好ましくは1~30質量部である。
【0082】
上述の方法の一実施形態は、
(i)ペレット材料の形態の本発明の組成物(Z1)を用意する工程、と
(ii)ペレット材料に圧力下の発泡剤を含浸する工程と、
(iii)圧力低下によってペレット材料を膨張させる工程と
を含む。
【0083】
上述の方法のさらなる実施形態は、さらなる工程:
(i)ペレット材料の形態の本発明の組成物(Z1)を用意する工程と、
(ii)ペレット材料に圧力下の発泡剤を含浸する工程と、
(iii-a)ペレット材料を発泡させないで、任意に温度を先に低下させることによって、標準圧力に圧力を下げる工程と、
(iii-b)温度の上昇によってペレット材料を発泡させる工程と
を含む。
【0084】
ここでの膨張していないペレット材料は、好ましくは0.2~10mmの平均最小径を有する(ペレット材料の3D評価によって、例えばMicrotracからのPartAn 3D光学的測定器を使用する動的画像解析によって求められる)。
【0085】
さらなる実施形態において、本発明は、また、ポリウレタンに押出機中で発泡剤を含浸し、含浸ポリウレタンは、ペレット材料に切断され、切断直後に、ペレット材料は膨張させられて膨張熱可塑性ポリウレタンビーズを与える、上に記載の発泡ペレット材料を製造する方法に関する。
【0086】
個々のペレットは、一般に0.1~100mgの範囲、例えば、1~50mgの範囲、好ましくは4~40mgの範囲、より好ましくは7~32mgの範囲の平均質量を有する。ペレットのこの平均質量(ビーズ質量)は10のペレット粒子それぞれの3つのバッチを秤量することにより算術平均として求められる。
【0087】
上述の方法の一実施形態は、工程(I)および(II):
(I)適切な閉じた反応容器(例えばオートクレーブ)中発泡剤の存在下、高温圧力下でペレット材料に含浸する工程
(II)冷却を伴わない急激な膨張の工程
において、圧力下でペレット材料に発泡剤を含浸し、続いてペレット材料を膨張させることを含む。
【0088】
工程(I)の含浸は、ここで水、および任意に懸濁剤もしくは懸濁助剤の存在下で、または水はなく発泡剤のみの存在下で達成することができる。
【0089】
適切な懸濁助剤は、例えば、リン酸三カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、金属炭酸塩などの水に溶けない無機固体;またポリビニルアルコールおよびイオン性界面活性剤、例えばドデシルアリールスルホン酸ナトリウムまたは非イオン性界面活性剤である。それらは、典型的には本発明の組成物に対して0.05%~10質量%の量で個々にまたは組み合わせて使用される。
【0090】
選ばれた圧力に応じて、含浸温度は、90℃~200℃、好ましくは100℃~200℃、さらに好ましくは100℃~180℃の範囲であり、ここで、反応容器の圧力は、2~250バールの間、好ましくは5から100バールの間、より好ましくは20から60バールの間であり、含浸時間は一般に0.5~10時間である。
【0091】
さらなる実施形態において、本発明は、また、工程(i)においてペレット材料に0.1%~50質量%の発泡剤を90~180℃の範囲の温度、および0.5~10MPaの範囲の圧力で含浸する上に記載の発泡ペレット材料を製造する方法に関する。
【0092】
懸濁液中でのプロセスの実行は当業者に公知であり、例えば国際公開第2007/082838号に広範囲に記載されている。
【0093】
発泡剤のない状態でのプロセスの実行の場合には、ポリマーペレット材料の凝集を避けるように注意しなければならない。
【0094】
適切な閉じた反応容器中でプロセスを実行するのに適している発泡剤は、例として、加工条件の下で気体状態にある有機液体およびガス、例えば、炭化水素もしくは無機ガス、または有機液体もしくはガスの無機ガスとの混合物であり、これらはまた組み合わせられてもよい。
【0095】
適切な炭化水素の例は、ハロゲン化または非ハロゲン化、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素、好ましくは非ハロゲン化、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素である。
【0096】
好ましい有機発泡剤は、飽和脂肪族炭化水素、特に3~8個の炭素原子を有するもの、例えばブタンまたはペンタンである。
【0097】
適切な無機ガスは、窒素、空気、アンモニアもしくは二酸化炭素、好ましくは窒素もしくは二酸化炭素、または上述のガスの混合物である。
【0098】
さらなる実施形態において、圧力下の発泡剤へのペレット材料の含浸は、工程(α)および(β)においてペレット材料のプロセスおよび後続の膨張を含む:
(α)押出機中、発泡剤の存在下で、圧力下高温でペレット材料に含浸する工程、
(β)制御された発泡を保証する条件下で押出機から出て来る組成物をペレット化する工程。
【0099】
このプロセスの変形における適切な発泡剤は、標準圧力、1013ミリバールで、-25℃~150℃、殊に-10℃~125℃の沸点を有する揮発性有機化合物である。良好な適合性のものは、炭化水素(好ましくはハロゲンを含まない)、殊にC4-10-アルカン、例えばブタンの、ペンタンの、ヘキサンの、ヘプタンの、およびオクタンの、より好ましくはイソブタンの異性体である。さらに可能な発泡剤はまた、立体的に立て込んだ化合物、例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテルおよび有機カルボネートである。
【0100】
組成物は、ここで工程(α)において押出機中圧力下で溶融下、押出機に供給される発泡剤と混合される。発泡剤含有混合物は、圧力下で押し出され、好ましくは適度なレベルに制御された背圧を用いてペレット化される(例えば水面下のペレット化)。プロセスおよびペレット化における溶融繊維発泡体は発泡ペレットを与える。
【0101】
押出を介するプロセスの実行は当業者に公知であり、例として、国際公開第2007/082838号、およびまた国際公開第2013/153190号に広範囲に記載されている。
【0102】
一実施形態において、ここで、例えば、ポリウレタンに押出機中で発泡剤を含浸し、含浸ポリウレタンをペレット材料に切断し、切断後に、ペレット材料は膨張させて膨張熱可塑性ポリウレタンビーズを与えることは可能である。ポリウレタンに発泡剤を含浸するために、熱可塑性ポリウレタンは押出機中、溶融下で押出機に供給される発泡剤と混合される。次いで、発泡剤含有混合物は押し出され、膨張発泡体ビーズが得られるような圧力および温度条件下でペレット化される。ここでの圧力および温度は使用されるポリウレタンおよび発泡剤の量に依存する。圧力は、典型的には、1~20バールの範囲、好ましくは2~15バールの範囲、温度は20℃から60℃の間、好ましくは20℃から40℃の間である。
【0103】
熱可塑性ポリウレタンの製造、および膨張熱可塑性ポリウレタンの製造のための発泡剤の添加は、2台の異なる押出機中で達成することができる。代替として、しかし、また1台の押出機のみを使用することも可能である。この場合、イソシアネート、イソシアネート反応性化合物、鎖延長剤および任意のさらなる添加剤が添加される押出機の前部は、反応性押出機として働き、発泡剤は、ポリウレタンへの変換が完了する押出機の下流地点で添加される。
【0104】
代替実施形態において、本発明の熱可塑性ポリウレタンからの発泡ペレット材料の製造は、工程(a)~(c):
(a)適切な幾何学的ペレット形態のビーズの形態の熱可塑性ポリウレタンを用意する工程と、
(b)貯槽またはオートクレーブ中で圧力および温度下の発泡剤をペレット材料に含浸する工程と、
(c)圧力低下で貯槽を自然に減圧し、ペレット材料中に溶けた発泡剤を膨張させ、発泡体ビーズを生じる工程と
を含む。
【0105】
一般に、熱可塑性PUは、直接にその製造の間に、または別個の工程(a)のどちらかにおいて、ペレットの所望の形状に変換される。0.2~10mm、殊に0.5~5mmの平均直径を有する、円筒状、楕円体または球状のペレットの使用が優先される。円筒状または楕円体のペレット材料の場合には、最長の寸法を有する直径を意味する。
【0106】
個々のペレットは、一般に1~100mgの範囲、好ましくは2~60mgの範囲、さらに好ましくは3~50mgの範囲、より好ましくは4~35mgの範囲の平均質量を有する。ペレットのこの平均質量(ビーズ質量)は、10個のペレット粒子の3つのバッチをそれぞれ秤量することにより算術平均として求められる。この好ましくは円筒状または丸いペレット材料は、当業者に公知の任意の配合方法によって製造し、後続の冷間または熱間の細切れ形態でペレット化することができる。
【0107】
このペレット材料は、典型的には工程(b)において0.1%~50質量%の発泡剤を含む水性懸濁液中で90~180℃の範囲の温度、および0.5~10MPaの範囲の圧力で含浸する。続いて、ペレット材料を含む高温の水性懸濁液は、冷却せずに、軟化した、発泡剤含有ビーズの直接の発泡を用いて急激に(爆発的膨張法)膨張させて、膨張ビーズを与える。膨張した熱可塑性ポリウレタンは、基本的に国際公開第2007/082838号に記載されているように製造することができる。
【0108】
膨張した熱可塑性ポリウレタンビーズの製造に使用される発泡剤は、製造プロセスに依存して様々であってもよい。
【0109】
押出機または含浸貯槽への発泡剤の添加の場合には、使用される発泡剤は、好ましくは1013ミリバールの標準圧力で-25~160℃、殊に-10~125℃の範囲の沸点を有する揮発性有機化合物である。良好な適合性のものは、任意にハロゲン置換された炭化水素であるが、ハロゲンを含まない炭化水素が優先される。C-C10-アルカン、例えば、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンの異性体、より好ましくはs-ペンタンが特に優先される。適切な発泡剤はまた、立体的により立て込んだ化合物、例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテルおよび有機カルボネートである。本発明によると、挙げた発泡剤の混合物を使用することもまた可能である。適切な無機ガスは、例えば、窒素、空気、アンモニアもしくは二酸化炭素、またはこれらの組み合わせもしくは上述のさらなる発泡剤との組み合わせである。
【0110】
挙げたこれらの無機ガスは、オートクレーブ中での含浸の場合には同様に使用されてもよい。ハロ炭化水素を使用することも可能であるが、しかし、発泡剤は好ましくはハロゲンを含まない。しかし、発泡剤混合物中のわずかなハロゲン化発泡剤は除外されない。発泡剤は、純物質として、または任意の混合物として使用されてもよい。
【0111】
挙げた発泡剤も同様に、押出によって、かつ水性懸濁液中で膨張した熱可塑性ペレット材料の製造の場合には、窒素および/または二酸化炭素、殊に超臨界の二酸化炭素を使用することが可能である。
【0112】
発泡剤の量は、好ましくは100質量部の使用される熱可塑性ポリウレタンに対して、0.1~50質量部、殊に0.5~40、より好ましくは1~30質量部の範囲にある。
【0113】
窒素はまた、熱可塑性エラストマーのDSCで第1の溶融ピークより下の、例えば30~75℃の範囲の開始温度で含浸反応器中の200~3000kPaによる内圧の注入および高さによって共発泡剤として供給されてもよい。
【0114】
工程(b)における含浸は、好ましくは90~190℃の範囲の含浸温度IMTで達成される。この目的のために、懸濁液は、一般に、好ましくは2℃/分以上の加熱速度で含浸温度(IMT)まで加熱され、任意にこの温度で、またはIMTの2℃上からIMTの5℃下までの範囲内に2~100分間(保持時間HZ)維持される。
【0115】
工程(b)において得られた発泡剤含有ペレットは、後続の工程(c)において発泡させて発泡体ビーズに膨脹させる。懸濁液は、一般に開放式遮断弁を介して圧力容器を膨張容器の中に全部移すことにより、工程(c)において膨張する。
【0116】
本発明の方法によって得ることが可能である、本発明の熱可塑性ポリウレタンで構成される発泡ペレットは、好ましくは、20~250kg/mの範囲、より好ましくは35~150kg/mの範囲の嵩密度を有する。
【0117】
発泡ペレットは一般に、ほぼ球状である。正確な幾何学的図形または直径は、選ばれる幾何形状および元のペレット化材料の粒子質量、ならびに生じた嵩密度に依存する。
【0118】
したがって、本発明は、また、粒子の平均直径が好ましくは0.5~20mmの範囲にある、上に記載の方法によって得られる発泡ペレット材料に関する。
【0119】
典型的には粒子は、1~25mm、好ましくは2~15mmの範囲の最大線膨張、より好ましくは3~10mmの最大線膨張を有する。
【0120】
本発明に従って製造される膨張した発泡体ビーズは、DIN EN ISO 4590(2003年8月1日)に従って独立気泡の量によって割合を求めて、典型的には主に独立気泡を有し、一般に1~750気泡/mm、好ましくは2~500気泡/mm、殊に5~200気泡/mm、より好ましくは10~100気泡/mmの気泡密度(気泡の数/面積)を有する。
【0121】
発泡ビーズを製造する本発明の方法を実行するのに適している設備は、それ自体当業者に公知である。
【0122】
使用することができる押出機は、従来のスクリューに基づいた機械、特に、一軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機(例えばWerner&PfleidererからのZSK型)、共混練機、Kombiplast機、MPC混練ミキサー、FCMミキサー、KEX混錬スクリュー押出機および剪断ロール押出機のいずれかであり、例としては、Saechtling (ed.), Kunststoff-Taschenbuch, 27th edition, Hanser-Verlag, Munich 1998, chapters 3.2.1 and 3.2.4に記載されている。発泡剤の溶融物との均質化を保証するために、押出機は、発泡剤の添加の後に組成物(Z1)が溶融物として存在する温度、例えば120℃~250℃、特に150~210℃で、および40~200バール、好ましくは60~150バール、より好ましくは80~120バールの圧力で、通常作業される。
【0123】
ここでのプロセスは、押出機、または1台または複数の押出機で構成される配列で行うことができる。したがって、例として、第1の押出機中で、成分を溶融しブレンドし、発泡剤を注入することができる。第2の押出機中で、含浸溶融物は均質化され、温度および/または圧力が調節される。例として、3台の押出機が互いに組み合わせられる場合、成分の混合および発泡剤の注入は、また2つの異なるプロセス部分間で分割することができる。好ましいことであるが、1台の押出機のみが使用される場合、プロセス工程-溶融、混合、発泡剤の注入、均質化、ならびに温度および/または圧力の調節のすべてが、単一の押出機において実行される。
【0124】
代替法として、および国際公開第2014/150122号または国際公開第2014/150124号に記載の方法に従って、既に着されていてもよい、対応する発泡ペレットは、ペレットから直接に製造することができ、対応するペレットは、超臨界液体で飽和し、超臨界液体から取り出し、続いて
(i’)加熱流体に用品を浸し、または
(ii’)高エネルギー放射線(例えば赤外線またはマイクロ波照射)で用品を照射する。
【0125】
適切な超臨界液体の例は、国際公開第2014150122号において記載されているもの、すなわち、例えば、二酸化炭素、二酸化窒素、エタン、エチレン、酸素または窒素、好ましくは二酸化炭素または窒素である。
【0126】
ここでの超臨界液体は、また9MPa-1/2と等しいかそれ以上のHildebrand溶解度パラメーターを有する極性液体を含むことができる。
【0127】
超臨界流体またはここでの加熱流体はまた、染料を含んでもよく、その結果、着色し発泡した用品が得られる。
【0128】
膨張熱可塑性ポリウレタンビーズ、すなわち、発泡ペレット材料は、殊にビーズ発泡体からの成形品の製造のために利用される。さらなる態様において、本発明は、また上に記載の発泡ペレット材料から作られた成形品に関する。そのような成形品を製造するプロセスはそれ自体公知である。
【0129】
さらなる態様において、本発明は、また本発明の発泡ペレット材料、または本発明の方法によって得られるもしくは得ることが可能な発泡ペレット材料を、成形品の製造のために使用する方法に関する。したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、本発明の発泡ペレット材料、または本発明の方法によって得られるもしくは得ることが可能な発泡ペレット材料を、成形品の製造のために使用する方法であって、成形品がビーズ相互の融合または結合によって製造される、使用する方法に関する。
【0130】
さらなる態様において、本発明は、また成形品の製造のための本発明の発泡ペレット材料を使用する方法に関する。本発明は、本発明の発泡ペレットから製造される成形品をさらに提供する。
【0131】
発泡ペレット材料からの成形品の製造のための本発明による適切な方法は、例えば
(A)好適な型へ本発明の発泡ペレットを導入する工程と、
(B)工程(i)からの本発明の発泡ペレットを融合する工程と
を含む。
【0132】
工程(B)における融合は、好ましくは密閉型中で達成され、融合は蒸気、熱風(例えば欧州特許第1979401号に記載のように)または高エネルギー放射線(マイクロ波または電磁波)によって達成することができる。
【0133】
発泡ペレット材料の融合の温度は、好ましくはビーズ発泡体が製造されたポリマーの溶融温度より低いかまたはそれに近い。標準的ポリマーについては、発泡ペレット材料の融合のための温度は、したがって100℃から180℃の間、好ましくは120から150℃の間にある。
【0134】
温度プロフィール/滞留時間は、例えば米国特許出願公開第20150337102号または欧州特許第2872309号において記載の方法との類似において、ここで個々に確認することができる。
【0135】
高エネルギー放射線による融合は、一般に、マイクロ波または電磁波の周波数範囲で任意に水または他の極性液体、例えば極性基を有するマイクロ波吸収炭化水素(例えばカルボン酸と、ジオールもしくはトリオール、またはグリコールおよび液体ポリエチレングリコールとのエステル)の存在下で達成され、欧州特許出願公開第3053732号または国際公開第16146537号に記載の方法との類似において達成することができる。
【0136】
そのような発泡体ビーズからの個々の成形品の製造のための好ましい方法は、
(a)膨張した熱可塑性ポリウレタンビーズを型へ導入する工程と、
(b)型へ導入された膨張した熱可塑性ポリウレタンビーズを蒸気、熱風または高エネルギー放射線と接触させ、その結果、膨張した熱可塑性ポリウレタンビーズが表面で溶融し、溶接されて成形体を形成する工程と
を含む。
【0137】
表面で溶融するために溶接に必要とされる、発泡ペレット材料のビーズの表面の加熱は、蒸気、熱風または高エネルギー放射線と、それぞれ個々にまたは任意の組み合わせで接触させることにより達成される。適切な高エネルギー放射線は、例えば、マイクロ波放射、高周波放射線、または赤外線である。しかしながら、蒸気または熱風、殊に蒸気の使用が優先される。
【0138】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、成形品がビーズ相互の溶接または結合によって製造される、上に記載の使用する方法に関する。
【0139】
ポリウレタンビーズが蒸気を使用して溶接される場合、型へ導入される蒸気の温度は、圧力を介して調節することができる。本発明によると、飽和水蒸気と同様に、また、過熱蒸気または不飽和蒸気を使用することも可能である。蒸気が型へ導入される適切な圧力は、例えば、0.1バール~6バール、好ましくは0.3~3バールである。
【0140】
上に明示したように、発泡ペレット材料はまた染料を含んでもよい。ここで、染料は、様々な方法で添加することができる。
【0141】
一実施形態において、製造される発泡ペレットは製造の後に着色することができる。この場合、対応する発泡ペレットは、発泡ペレット材料へのキャリア液(CL)の収着に適している極性を有する、染料を含むキャリア液と接触する。これは出願番号17198591.4を有する欧州特許出願に記載の方法に類似して実行することができる。
【0142】
適切な色素の例は無機または有機顔料である。適切な天然または合成無機顔料の例は、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト化合物、酸化クロム化合物、酸化銅化合物である。適切な有機顔料の例はアゾ顔料および多環式顔料である。
【0143】
さらなる実施形態において、色材を発泡ペレット材料の製造の際に添加することができる。例として、色素は、押出を介して発泡ペレット材料の製造の際に押出機に添加することができる。
【0144】
代替として、既に着色しておいた材料を、発泡ペレット材料の製造のための出発原料として使用し、これを、上に挙げたプロセスによって閉じた容器中で押し出すか膨張させることができる。
【0145】
さらに、国際公開第2014150122号に記載の方法において、超臨界液体または加熱液体が染料を含んでもよい。
【0146】
上に明示したように、本発明の成形品は、履物およびスポーツシューズ分野の要件において上述の用途のための有利な性質を有する。
【0147】
発泡ペレットから製造された成形品の引張性および圧縮性の特徴的な特色は、引張強度が600kPa(ASTM D 5035)を超え、破断点伸びが100%(ASTM D 503)を超え、10%圧縮時の圧縮応力が15kPaを超えるということである(DIN EN ISO 844(2014年11月)に類似し;規格からの逸脱は、試料の高さ50mmの代わりに20mmであり、したがって試験速度を2mm/分に調節している)。
【0148】
発泡ペレットから製造された成形品の弾力は、好ましくは55%を超える(DIN 53512(2000年4月)に類似し;規格からの逸脱は、12mmであるべき試験片高さであるが、しかし、この試験は試料の「貫通」および基板の測定を避けるために20mmを用いて行う)。
【0149】
上に明示したように、製造された成形品の密度と圧縮性との間に関係がある。製造された成形体の密度は、有利には75~375kg/m、好ましくは100~300kg/m、より好ましくは150~200kg/mである(DIN EN ISO 845(2009年10月))。
【0150】
成形体の密度と、本発明の発泡ペレットの嵩密度との比(高密度化レベルVG)は、一般に1.5から3.5、好ましくは1.8から2.5の間にある。
【0151】
本発明の発泡ペレットは特定の効率で加工して、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車サドル、玩具に、タイヤまたはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装を与えることができる。
【0152】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、成形品が、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車シート、玩具、タイヤもしくはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装である、上に記載の使用する方法に関する。
【0153】
さらなる態様において、本発明はまた、ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド面、スポーツホール、児童遊園地および通路のための床カバー材および壁パネルとして、上に記載の発泡ペレット材料を使用する方法に関する。
【0154】
本発明に従って得られる成形品は、例えば、履物靴底、履物靴底の部品、自転車サドル、クッション、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネントの製造において、ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド面、スポーツホール、児童遊園地および通路のための床カバー材および壁パネルとして、適切である。
【0155】
したがって、さらなる実施形態において、本発明はまた、本発明の発泡ペレット材料、または本発明の方法によって得られるもしくは得ることが可能な発泡ペレット材料を、成形品の製造のために使用する方法であって、成形品が靴底、靴底の部品、自転車サドル、クッション、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネントである、使用する方法に関する。
【0156】
さらなる態様において、本発明はまた、ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、児童遊園地および通路のための床カバー材および壁パネルとして、本発明の発泡ペレットまたは発泡ビーズを使用する方法に関する。
【0157】
さらなる態様において、本発明はまた、ポリマーで構成されるマトリックス(PM)および本発明による発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。発泡ペレット材料およびマトリックス材料を含む材料は、本発明の文脈においてハイブリッド材料と称される。ここでのマトリックス材料は、密度の高い材料または同様の発泡体で構成されてもよい。
【0158】
マトリックス材料として適切なポリマー(PM)は、それ自体当業者に公知である。例として、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エポキシ系結合剤、またはさもなければポリウレタンが本発明の文脈において適切である。ポリウレタン発泡体またはそうでなければ密度の高いポリウレタン、例えば、熱可塑性ポリウレタンは、ここで本発明によると適切である。
【0159】
本発明によると、ここで、ポリマー(PM)は、十分な接着が発泡ペレット材料とマトリックスの間にあり、機械的に安定なハイブリッド材料が得られるように選ばれる。
【0160】
ここでのマトリックスは、完全にまたは部分的に発泡ペレット材料を包囲することができる。本発明によると、ハイブリッド材料は、さらなる成分、例として、さらなる充填剤またはそうでなければペレットを含んでもよい。本発明によると、ハイブリッド材料は、また異なるポリマー(PM)の混合物を含むことができる。ハイブリッド材料は、また発泡ペレットの混合物を含んでもよい。
【0161】
本発明による発泡ペレット材料に加えて、使用することができる発泡ペレットは、それ自体当業者に公知である。熱可塑性ポリウレタンで構成される発泡ペレットは、本発明の文脈において特に適切である。
【0162】
したがって、一実施形態において、本発明はまた、ポリマー(PM)で構成されるマトリックス、本発明による発泡ペレット材料および熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0163】
本発明の文脈において、マトリックスはポリマー(PM)からなる。本発明の文脈において適切なマトリクス材料の例は、エラストマーまたは発泡体、殊にポリウレタン、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマーまたはそうでなければ熱可塑性ポリウレタンなどのエラストマーに基づいた発泡体である。
【0164】
したがって、本発明はまた、ポリマー(PM)がエラストマーである上に記載のハイブリッド材料に関する。本発明はさらに、ポリマー(PM)が、エチレン酢酸ビニルコポリマーおよび熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される上に記載のハイブリッド材料に関する。
【0165】
一実施形態において、本発明はまた、エチレン酢酸ビニルコポリマーで構成されるマトリックス、および本発明による発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0166】
さらなる実施形態において、本発明は、エチレン酢酸ビニルコポリマーで構成されるマトリックス、本発明による発泡ペレット材料および例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0167】
一実施形態において、本発明は、熱可塑性ポリウレタンで構成されるマトリックス、および本発明による発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0168】
さらなる実施形態において、本発明は、熱可塑性ポリウレタンで構成されるマトリックス、本発明による発泡ペレット材料および例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0169】
適切な熱可塑性ポリウレタンは、それ自体当業者に公知である。適切な熱可塑性ポリウレタンは、例えば”Kunststoffhandbuch,7巻, Polyurethane”, Carl Hanser Verlag, 3版 1993年、3章に記載されている。
【0170】
本発明の文脈内では、ポリマー(PM)は好ましくはポリウレタンである。本発明の意味内の「ポリウレタン」は公知の弾力のあるポリウレタン重付加生成物をすべて包含する。これらは、特に、密度の高いポリウレタン、粘弾性ゲルまたは熱可塑性ポリウレタンなどの重付加生成物、および軟質発泡体、半硬質発泡体または一体化発泡体などのポリイソシアネート重付加生成物に基づいた弾力のある発泡体を含む。本発明の意味内では、「ポリウレタン」はまた、ポリウレタンおよびさらなるポリマー、ならびにまたこれらのポリマーブレンドの発泡体を含む弾力のあるポリマーブレンドを意味すると理解される。マトリックスは、好ましくは、硬化した密度の高いポリウレタンバインダー、弾力のあるポリウレタン発泡体または粘弾性ゲルである。
【0171】
本発明の文脈内では、「ポリウレタンバインダー」は、ここで少なくとも50質量%の程度、好ましくは少なくとも80質量%の程度、殊に少なくとも95質量%の程度の、イソシアネート基を有するプレポリマーからなる混合物を意味すると理解され、以後、イソシアネートプレポリマーと称される。本発明のポリウレタンバインダーの粘度は、DIN 53 018に対して25℃で測定して好ましくは500~4000mPa.s、より好ましくは1000~3000mPa.sの範囲内である。
【0172】
本発明の文脈において、「ポリウレタン発泡体」はDIN 7726による発泡体を意味するものと理解されるはずである。
【0173】
マトリックス材料の密度は、好ましくは1.2~0.01g/cmの範囲にある。マトリックス材料は、より好ましくは弾力のある発泡体、または0.8~0.1g/cm、殊に0.6~0.3g/cmの範囲の密度を有する一体化発泡体、または密度の高い材料、例えば硬化したポリウレタンバインダーである。
【0174】
発泡体は特に適切なマトリックス材料である。ポリウレタン発泡体で構成されるマトリックス材料を含むハイブリッド材料は、好ましくはマトリックス材料と発泡ペレット材料との間に良好な接着を有する。
【0175】
一実施形態において、本発明はまた、ポリウレタン発泡体で構成されるマトリックスおよび本発明による発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0176】
さらなる実施形態において、本発明は、ポリウレタン発泡体で構成されるマトリックス、本発明による発泡ペレット材料および例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0177】
一実施形態において、本発明は、ポリウレタンの一体化発泡体で構成されるマトリックスおよび本発明による発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0178】
さらなる実施形態において、本発明は、ポリウレタンの一体化発泡体で構成されるマトリックス、本発明による発泡ペレット材料および例えば熱可塑性ポリウレタンで構成されるさらなる発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料に関する。
【0179】
マトリックスとしてのポリマー(PM)、および本発明の発泡ペレット材料を含む本発明のハイブリッド材料は、例として、ポリマー(PM)を製造するために使用される成分と、発泡ペレット材料、任意にさらなる成分とを混合し、それらを反応させてハイブリッド材料を与えることによって製造することができ、反応は、好ましくは発泡ペレット材料が基本的に安定な条件下で達成される。
【0180】
ポリマー(PM)、殊にエチレン酢酸ビニルコポリマーまたはポリウレタンを製造するために適しているプロセスおよび反応条件は、それ自体当業者に公知である。
【0181】
好ましい実施形態において、本発明のハイブリッド材料は、一体化発泡体、殊にポリウレタンに基づいた一体化発泡体である。一体化発泡体の製造に適しているプロセスは、それ自体当業者に公知である。一体化発泡体は、好ましくは閉じた、有利には温度制御された型中で低圧または高圧技法を使用して、ワンショットプロセスによって製造される。型は、通常、金属、例えばアルミニウム、または鋼鉄でできている。これらの手順は、例えばPiechota and Roehrによって”lntegralschaumstoff” [Integral Foam], Carl-Hanser-Verlag, Munich, Vienna, 1975、によって、または”Kunststoff-Handbuch”、7巻、”Polyurethane”、3版、1993年、7章に記載されている。
【0182】
本発明のハイブリッド材料が一体化発泡体を含む場合、型へ導入される反応混合物の量は、得られる一体化発泡体で構成される成形品が、0.08~0.70g/cm、殊に0.12~0.60g/cmの密度を有するようなものである。密度の高い縁部帯域および気泡のコアを有する成形品を製造するための高密度化レベルは、1.1~8.5、好ましくは2.1~7.0の範囲である。
【0183】
したがって、ポリマー(PM)で構成されるマトリックスを有し、発泡ビーズが均質に分布する、本発明の発泡ペレット材料を組み込んだハイブリッド材料を製造することは可能である。本発明の発泡ペレット材料は、個々のビーズ寸法が小さいために自由流動し、加工に特別な要求を求めないので、容易にハイブリッド材料を製造するプロセスで使用することができる。ここで、発泡ペレット材料を均質に分布させるための、型をゆっくり回転するなどの技法を使用することは可能である。
【0184】
さらなる助剤および/または添加剤もまた、任意に、本発明のハイブリッド材料を製造するための反応混合物に添加されてもよい。例として界面活性物質、発泡安定剤、気泡調節剤、離型剤、充填剤、染料、顔料、加水分解安定剤、臭気吸収物質および静真菌性物質および静菌性物質に言及することができる。
【0185】
使用することができる界面活性物質の例は、出発原料の均質化を支え、任意にまた気泡構造を調節するのに適している化合物である。乳化剤の例として挙げることができるのは、例えば硫酸化ヒマシ油または脂肪酸のナトリウム塩、およびまたアミンとの脂肪酸の塩、例えば、オレイン酸ジエチルアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミン、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼン-またはジナフチルメタン二スルホン酸およびリシノール酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;発泡安定剤、例えば、シロキサン-オキシアルキレンコポリマーおよび他のオルガノポリシロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪族アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステルまたはリシノレイン酸エステル、ロート油および落花生油、および気泡調節剤、例えばパラフィン、脂肪族アルコール、ジメチルポリシロキサンである。ペンダント基としてポリオキシアルキレンおよびフルオロアルカンラジカルを有するオリゴマーアクリレートもまた、乳化作用、気泡構造および/または発泡体の安定化を改善するのに適している。
【0186】
適切な離型剤は、例えば以下のものを含む:ポリイソシアネートとの脂肪酸エステルの反応生成物、アミノ基を含むポリシロキサンと脂肪酸の塩、少なくとも8個の炭素原子を有する、飽和または不飽和(環式)脂肪族カルボン酸と第三級アミンとの塩、およびまた特に内部離型剤、例えば、モンタン酸および少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪族カルボン酸と、60~400の分子量を有する少なくとも二官能性アルカノールアミン、ポリオールおよび/またはポリアミンとの混合物、有機アミン、ステアリン酸の金属塩と、有機モノ-および/またはジカルボン酸またはその無水物との混合物、またはイミノ化合物、カルボン酸および任意にカルボン酸の金属塩の混合物のエステル化またはアミド化によって製造されるカルボン酸エステルおよび/またはカルボン酸アミド。
【0187】
充填剤、特に補強充填剤は、通例の有機、無機充填剤補強剤、増量剤、塗料の摩耗挙動を改善するための試剤、コーティング組成物など、それ自体公知のものを意味するものと理解される。挙げることができる特定の例は次のとおりである:珪質鉱物などの無機充填剤、例えば、層状ケイ酸塩、例えば、アンチゴライト、ベントナイト、蛇紋石、ホルンブレンド、角閃石、温石綿、タルク;金属酸化物、例えば、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化鉄、チョーク、バライトなどの金属塩、および硫化カドミウム、硫化亜鉛などの無機顔料、およびまたガラス等。カオリン(チャイナクレー)、ケイ酸アルミニウムおよび硫酸バリウムとケイ酸アルミニウムの共沈物、およびまたウォラストナイトなどの天然、合成繊維質鉱物、金属繊維および特に任意の寸法であってもよい様々な長さのガラス繊維の使用が優先される。有用な有機充填剤の例は次のものを含む:カーボンブラック、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂およびグラフトポリマー、およびまたセルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリウレタン繊維、芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸エステルに基づいたポリエステル繊維、および特に炭素繊維。
【0188】
無機および有機充填剤は、個々にまたは混合物として使用することができる。
【0189】
本発明のハイブリッド材料において、発泡ペレット材料の体積割合は、各事例において本発明のハイブリッド系の体積に基づいて好ましくは20体積パーセント以上、より好ましくは50体積パーセント以上、より好ましくは80体積パーセント以上、殊に90体積パーセント以上である。
【0190】
本発明のハイブリッド材料、殊に気泡ポリウレタンで構成されるマトリックスを有するハイブリッド材料は、本発明の発泡ペレット材料に対する、マトリックス材料の非常に良好な接着を特色とする。その結果、好ましくは、本発明のハイブリッド材料は、マトリックス材料と発泡ペレット材料との間の界面で裂けない。このことによって、従来のポリマー材料、殊に従来のポリウレタン材料と、密度を同一にして比較して引裂伝播抵抗および弾性率などの機械的性質が改善したハイブリッド材料を製造することを可能にする。
【0191】
一体化発泡体の形態の本発明のハイブリッド材料の弾性率は、DIN 53512に従って好ましくは40%を超え、より好ましくは50%を超える。
【0192】
さらに、本発明のハイブリッド材料、殊に一体化発泡体に基づくものは、低密度で高い弾力を有する。本発明のハイブリッド材料に基づいた一体化発泡体は、したがって特に靴底用の材料として極めて適切である。良好な耐久性を有する軽量および快適な靴底が、その結果として得られる。そのような材料は、殊にスポーツシューズ用の中敷きとして適切である。
【0193】
気泡マトリックスを有する本発明のハイブリッド材料は、例えば家具およびマットレスの、例えばクッションに適切である。
【0194】
粘弾性ゲルで構成されるマトリックスを有するハイブリッド材料は、殊に、粘弾性の向上、弾力性の改善を特色とする。これらの材料は、このように、例として、座具、殊に自転車サドルまたはオートバイサドルなどのサドル用のクッション材料として同様に適切である。
【0195】
密度の高いマトリックスを有するハイブリッド材料は、例として、床カバー材として、殊に遊園地、トラックおよびフィールド表面、運動場およびスポーツホール用のためのカバー材として適切である。
【0196】
本発明のハイブリッド材料の性質は、使用されるポリマー(PM)に応じて広い範囲内で変動してもよく、特に、さらなる添加剤、例えばまた、プラスチックペレット、例えばゴムペレットなどのさらなる非発泡ペレットの添加によって、膨張したペレット材料の大きさ、形状および性質その他の変動によって広い限界内で変動することができる。
【0197】
本発明のハイブリッド材料は、高い耐久性および強靭性を有し、これは、特に高い引張強度および破断点伸びによって明らかになる。さらに、本発明のハイブリッド材料は低密度を有する。
【0198】
本発明のさらなる実施形態は、請求項および実施例において見いだすことができる。上に挙げられ以下に明らかにされる本発明による主題/方法/用途の特色が、本発明の範囲から外れずに、各事例に明示される組み合わせだけでなく、また他の組み合わせにおいても使用可能であることは認識されよう。例えば、好ましい特色と特に好ましい特色との組み合わせ、またはさらに特性評価されない特色と特に好ましい特色との組み合わせなどもまた、したがって、この組み合わせが明示的に挙げられなくても、暗黙に包含される。
【発明を実施するための形態】
【0199】
本発明の例証となる実施形態が以下に列挙されるが、しかし、これらは本発明を限定しない。特に、本発明は、従属参照、およびしたがって下記に特定される組み合わせから生じる実施態様をも包含する。
【0200】
1.熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)において得られた前記プレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む、方法。
【0201】
2. ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである、実施形態1に記載の方法。
【0202】
3.工程(ii)における反応に使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される、実施形態1または2に記載の方法。
【0203】
4.前記ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと500~2500g/molの範囲の数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0204】
5.前記ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、実施形態1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0205】
6.前記ポリオール組成物が、前記ポリオール組成物に対して0.1%~50質量%の範囲の量のα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを含む、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
7.前記ポリイソシアネート組成物が、前記ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
8.前記鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオール、および50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
9.前記鎖延長剤(KV)が、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたは2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
10.工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)、ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)で得られた前記プレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む方法によって得ることが可能であるまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン。
【0210】
11.ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである、実施形態10に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0211】
12.工程(ii)における反応で使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される、実施形態10または11に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0212】
13.前記ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、500~2500g/molの範囲の数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、実施形態10から12のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0213】
14.前記ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、実施形態10から13のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0214】
15.前記ポリオール組成物が、前記ポリオール組成物に対して0.1%~50質量%の範囲の量のα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ポリオールを含む、実施形態10から14のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0215】
16.前記ポリイソシアネート組成物が、前記ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む、実施形態10から15のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0216】
17.前記鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオール、および50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される、実施形態10から16のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0217】
18.前記鎖延長剤(KV)が、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたは2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される、実施形態10から17のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0218】
19.実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または実施形態10から18のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む、発泡ペレット材料。
【0219】
20.実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または実施形態10から18のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンを、成形品またはビーズ発泡体の製造のために使用する方法。
【0220】
21.前記ポリウレタンに押出機中で発泡剤を含浸し、前記含浸ポリウレタンはペレット材料に切断され、前記ペレット材料は、切断直後に膨張させられて膨張熱可塑性ポリウレタンビーズを与える、実施形態10から18に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレット材料を製造する方法。
【0221】
22.実施形態10から18のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレット材料を製造する方法であって、工程(a)~(c):
(a)適切な幾何学的ペレット形態のビーズの形態の熱可塑性ポリウレタンを用意する工程と、
(b)貯槽またはオートクレーブ中で圧力および温度下の発泡剤を前記ペレット材料に含浸する工程と、
(c)圧力低下で貯槽を自然に減圧し、前記ペレット材料中に溶けた発泡剤を膨張させ、発泡体ビーズを生じる工程と
を含む、方法。
【0222】
23.工程(b)における前記ペレット材料に、90~180℃の範囲の温度および0.5~10MPaの範囲の圧力で0.1%~50質量%の発泡剤を含浸する、実施形態22に記載の方法。
【0223】
24.実施形態21から23のいずれか一項に記載の方法によって得られる発泡ペレット材料。
【0224】
25.前記ビーズの平均直径が0.5~20mmの範囲にある、実施形態24に記載の発泡ペレット材料。
【0225】
26.実施形態24または25に記載の発泡ペレット材料から得ることが可能な成形品。
【0226】
27.実施形態24または25に記載の発泡ペレット材料から成形品を製造する方法であって、工程(a)および(b):
(a)前記膨張熱可塑性ポリウレタンビーズを型へ導入する工程、
(b)前記型へ導入された前記膨張熱可塑性ポリウレタンビーズを蒸気、熱風または高エネルギー放射線と接触させ、その結果、前記膨張熱可塑性ポリウレタンビーズが表面で溶け、溶接されて成形体を形成する工程
を含む、方法。
【0227】
28.前記ビーズの平均直径が0.5~20mmの範囲にある、実施形態19に記載の発泡ペレット材料。
【0228】
29.実施形態19または28に記載の発泡ペレット材料から得ることが可能な成形品。
【0229】
30.成形品の製造のために、実施形態19または28に記載の発泡ビーズ材料を使用する方法。
【0230】
31.前記成形品がビーズ相互の融合または結合によって製造される、実施形態30に記載の使用する方法。
【0231】
32.前記成形品が、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車シート、玩具、タイヤもしくはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装である、実施形態30または31に記載の使用する方法。
【0232】
33.ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、児童遊園地および通路用のための床カバー材および壁パネルとして、実施形態19または28に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【0233】
34.ポリマー(PM)で構成されるマトリックス、および実施形態19または28に記載の発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料。
【0234】
35.熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)と、ポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)で得られた前記プレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む、方法。
【0235】
36.ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである、請求項35に記載の方法。
【0236】
37.工程(ii)における反応で使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される、請求項35または36に記載の方法。
【0237】
38.前記ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンとα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
39.前記ポリイソシアネート組成物が、前記ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
40.前記鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオールおよび50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
41.前記鎖延長剤(KV)が、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたは2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される、請求項35から40のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
42.工程(i)および(ii):
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo‐トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)で得られた前記プレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む方法によって得ることが可能なまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン。
【0242】
43.請求項35から41のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または請求項42に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む発泡ペレット材料。
【0243】
44.前記ビーズの平均直径が0.5~20mmの範囲にある、請求項43に記載の発泡ペレット材料。
【0244】
45.請求項43または請求項44に記載の発泡ビーズ材料から得ることが可能な成形品。
【0245】
46.成形品の製造のために、請求項43または44に記載の発泡ビーズ材料を使用する方法。
【0246】
47.前記成形品がビーズ相互の融合または結合によって製造される、請求項46に記載の使用する方法。
【0247】
48.前記成形品が、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車シート、玩具、タイヤもしくはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装である、請求項46または47に記載の使用する方法。
【0248】
49.ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、児童遊園地および通路のための床カバー材および壁パネルとして、請求項43または44に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【0249】
50.ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、請求項43または44に記載の発泡ペレット材料とを含むハイブリッド材料。
【0250】
51.熱可塑性ポリウレタンを製造する方法であって、工程(i)および(ii):
(i)イソシアネート(I1)としてナフチレンジイソシアネート(NDI)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)、およびポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)で得られた前記プレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む、方法。
【0251】
52.ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである、請求項51に記載の方法。
【0252】
53.工程(ii)における反応で使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される、請求項51または52に記載の方法。
【0253】
54.前記ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、請求項51から53のいずれか一項に記載の方法。
【0254】
55.前記ポリイソシアネート組成物が、前記ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む、請求項51から54のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
56.前記鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオール、および50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される、請求項51から55のいずれか一項に記載の方法。
【0256】
57.前記鎖延長剤(KV)が、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたは2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される、請求項51から56のいずれか一項に記載の方法。
【0257】
58.工程(i)および(ii):
(i)イソシアネート(I1)としてナフチレンジイソシアネート(NDI)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)、およびポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)で得られた前記プレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む方法によって得ることが可能なまたは得られる、熱可塑性ポリウレタン。
【0258】
59.請求項51から57のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能なもしくは得られる熱可塑性ポリウレタン、または請求項58に記載の熱可塑性ポリウレタンを含む、発泡ペレット材料。
【0259】
60.前記ビーズの平均直径が0.5~20mmの範囲にある、請求項59に記載の発泡ペレット材料。
【0260】
61.請求項59または60に記載の発泡ペレット材料から得ることが可能な成形品。
【0261】
62.成形品の製造のために、請求項59または60に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【0262】
63.前記成形品がビーズ相互の融合または結合によって製造される、請求項62に記載の使用する方法。
【0263】
64.前記成形品が、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車シート、玩具、タイヤもしくはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装である、請求項62または63に記載の使用する方法。
【0264】
65.ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、児童遊園地および通路のための床カバー材および壁パネルとして、請求項59または60に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【0265】
66.ポリマー(PM)で構成されるマトリックスと、請求項59または60に記載の発泡ペレット材料を含むハイブリッド材料。
【0266】
続く実施例は、本発明を例証する役目をするが、しかし、決して本発明の主題に関して限定するものではない。
【実施例
【0267】
1. 熱可塑性ポリウレタンの製造実施例
1.1 実験1(TPU 1)
1000質量部のポリオール(PCLでキャップされたPTHF(PCL500-PTHF1000-PCL500)、PTHF2000 4:1)を130~160℃の間の温度に加熱し、固体形態で200質量部のNDIを添加し、反応させた。150~90℃の温度範囲内での30~50分の反応時間の後に、3.2%のNCO含有率および2500mPa.sの粘度を有するプレポリマーが90℃で得られる。
【0268】
製造後の2時間以内に、このようにして得られた100質量部のプレポリマーを90℃の温度で3.4質量部のブタン-1,4-ジオールと均質に混合し、80~100℃の間の型温度を有する型へ導入した。
【0269】
20~30分の硬化時間の後に、14時間110℃の温度で材料を熱処理にかけた。得られた材料は射出成形によってさらに加工することができる。
【0270】
結果として得られたTPU 1をミルによってペレット化し、220℃の最大帯域温度を有するZSK40二軸スクリュー押出機および230℃の多孔板温度を用いる押出によって水面下のペレット化を介してレンズ形の顆粒に転換した。次いで、TPUを15時間80℃で乾燥した。
【0271】
1.2 実験2(TPU 2)
1000質量部のポリオール(PCLでキャップされたPTHF、PTHF2000 4:1)を130~160℃の間の温度に加熱し、固体形態で200質量部のNDIを添加し、反応させた。150~90℃の温度範囲内での30~50分の反応時間の後に、2.87%のNCO含有率および2960mPa.sの粘度を有するプレポリマーが90℃で得られる。
【0272】
製造後の4時間以内に、このようにして得られた100質量部のプレポリマーを、100部のプロパン-1,3-ジオールと5部のアミン触媒混合物(65%のN-メチル-N-ジメチルアミノエチルピペラジンおよび35%のペンタメチルジエチレントリアミン)からなる2.73質量部の混合物と、90℃の温度で均質に混合し、80~100℃の間の型温度を有する型へ導入した。
【0273】
20~30分の硬化時間の後に、14時間110℃の温度で材料を熱処理にかけ、得られた材料を射出成形によって、さらに加工することができる。
【0274】
レンズ形の顆粒を与える後続の再処理において、0.05%の濃度でタルクを添加した。
【0275】
1.3 NCO含有率の決定方法:
溶液:
ジ-n-ヘキシルアミン溶液:166.8gのジ-n-ヘキシルアミンに、キシレンを1.0Lまで加えて(1Lの規格フラスコ中で)均質化する。
【0276】
1%のブロモフェノールブルー溶液:49.5gのエタノール中に0.5gのブロモフェノールブルーを溶かし、ピペット瓶へ移す。
【0277】
手順:
エルレンマイヤーフラスコへアミン溶液10mLを分注する。続いて、クロロベンゼン20mLを添加する。4%の予想されるイソシアネート含有率として、0.1mgの精度で2g~2.5gのプレポリマーを秤量する(他のイソシアネート濃度についての質量は、対応して調節しなければならない)。完全溶解(目視チェック)の後、メタノール50mLを添加する。ブロモフェノールブルー溶液を3滴添加した後、次に、HCl(c=1.0mol/L)を用いて消費されないアミンを青から黄色に変色するまで逆滴定する。
【0278】
ブランク試料、すなわち、プレポリマーを含有しない試料を、試料の秤量をしないこと以外は同一方法で処理した。
【0279】
計算:遊離NCO=(((VBLK - V試料)* M * c * t )/m)* 100%
[式中、
BLK=1L中のブランクに消費されるHCl(1.0mol/L)
試料=1L中の試料に消費されるHCl(1.0mol/L)
M=NCOのモル質量42.02g/mol
C=HCl 1.9mol/Lのモル濃度
t=HCl力価(1.0mol/L)
m=1g中のプレポリマーの試料質量]
【0280】
1.4 実施例3(TPU 3)-反応性押出機
a.連続的合成の実施例
Coperionからの加工長さ56Dを有するZSK32 MC二軸スクリュー押出機の第1のバレルへNDIおよび任意の固体添加剤を供給する。160℃に加熱したポリオール、ならびにまた触媒および任意の液体添加剤を第2のバレル中の溶融NDIに供給する。成分を混合し(一部を)反応した後に、鎖延長剤を下流の第5の帯域に添加する。190~220℃のバレル温度で、反応成分を95%超の変換レベルまで変換する。合成後に、結果として得られたポリマー溶融物を、水面下のペレット化にかけ、得られたペレットを乾燥する。
【0281】
上に指定した方法の変形として、液体成分をすべて帯域2へ添加することもできる。
【0282】
【表1】
【0283】
【表2】
【0284】
2. 試験方法:
使用したペレット材料、ならびに結果として得られた発泡体ビーズおよび成形体の特性評価のために使用する試験方法/指数は、下記を含む:
【0285】
a.DSCによる融点の測定
TA InstrumentsからのDSC Q100を用いるISO 11357-3(04.01.2013の独国版)の手順。使用する熱可塑性エラストマー、または本発明の他の熱可塑性エラストマーの融点を求めるために、ペレット形態の3~5mgを20℃から200℃の間で第1の実行を20℃/分の加熱速度で昇温し、次いで、10℃/分で20℃に冷却し、続いて、10℃/分の加熱速度でさらなる加熱サイクル(第2の実行)を行う。報告する融点は、第2の実行でのピーク最高温度であった。
【0286】
b. 嵩密度
測定はDIN EN ISO 60:2000-1に従った。ここで、発泡体ビーズを固定形状の漏斗の助けで既知容量のメスシリンダーへ導入し(バルク材料で完全に満たす)、メスシリンダーからはみ出たバルク材料は真っすぐな刃の付いた棒で平らにならし、秤量によりメスシリンダーの内容を確認する。
【0287】
使用した漏斗は高さ40cmであり、35°の開口角および直径50mmの出口を有する。使用したメスシリンダーは、188mmの内径および10Lの容量を有していた。
【0288】
材料[kg]/0.01[m]の層の質量から嵩密度(SD)を計算した。
【0289】
報告した嵩密度は、kg/mでの3つの測定からの平均であった。
【0290】
c. 平均気泡密度
発泡体構造を、Goldluecke IngenieurleistungenからのPORE!SCAN Advanced Plusを用いて視覚による画像解析によって評価した。この目的のため、各事例において、10個の発泡体ビーズを二等分し、断面積をそれぞれ測定する。非球状の、例えば細長い、円筒状または楕円体の発泡体ビーズの場合には、分割は最長寸法の方向とする。
【0291】
平均気泡密度は、断面積中の気泡の数と、断面積との比であり、1/mmで報告する。
【0292】
値を下記分類に割り当てる:
分類 平均気泡密度[1/mm
F 細かい気泡 >100
N 通常の気泡 10~100
G 粗い気泡 <10
【0293】
d. 高密度化レベルVG
高密度化レベルVGは、成形体密度(FT密度)と嵩密度(SD)の比である。VG=FT密度[kg/m]/SD[kg/m]。
【0294】
e. さらなる試験方法:
さらに、材料特性評価のために用いた試験方法は下記を含んでもよい:DMA、TMA、NMR、FT-IR、GPC
見掛け密度 DIN EN ISO 845:2009-10
引裂伝播抵抗 DIN EN ISO 8067:2009-06
寸法安定性 ISO 2796:1986-08
引張試験 ASTM D5035:2011
弾力 DIN 53512:2000-4
【0295】
3. オートクレーブ中での含浸による発泡体ビードの製造
3.1 出発原料
E-TPUの実施例1から7(および比較例)について、以下のTPU材料を使用した:
密度(20kg/m
レンズ形のペレットの形態のTPU 1 1150kg/m
レンズ形のペレットの形態のTPU 2 1150kg/m
【0296】
80%の貯槽充足レベルおよび0.38の相比を用いて実験を行った。ここで相比を、ペレットの量と、懸濁媒体、実施例では水との比として定義する。
【0297】
3.2 一般的な製造方法(例えばE-TPU実施例1からE-TPU実施例7)
100質量部のペレット(発泡剤を含まない懸濁液全体に対して27.1質量%に相当する)、262質量部の水(発泡剤を含まない懸濁液全体に基づいて、71.0質量%に相当する)、6.7質量部の炭酸カルシウム(懸濁液助剤)(発泡剤を含まない懸濁液全体に対して1.8質量%に相当する)、0.13質量部の界面活性物質(Lutensol AT 25;懸濁助剤)(発泡剤を含まない懸濁液全体に対して0.04質量%に相当する)、および発泡剤として適正量のブタン(使用するペレットの量に対して)を、撹拌しながら加熱した。
【0298】
次いで、さらに50℃で液相に窒素を注入した。あらかじめ定めた圧力(800kPa)に内圧を調節した。これに続いて、含浸温度(IMT)に達したとき、任意に保持時間(HZ)を遵守した後、最後に確立した含浸圧力(IMP)で膨張装置を介して膨張させた。ここで、ガス空間は固定放出圧(AP)に調節し、膨張の間一定に保つ。膨張装置の下流への膨張噴出は、任意に、水の特別の体積流速で特定の温度(水クエンチ)で冷却されてもよい。
【0299】
保持時間は、液相の温度が含浸温度より5℃低く含浸温度より2℃高い温度範囲にある時間として定義される。
【0300】
懸濁媒体/懸濁助剤系(分散剤/界面活性剤)の除去および乾燥後に、結果として得られた発泡体ビーズの嵩密度(SD)を測定する。
【0301】
表1aおよび1bに結果として得られたバッチ(発泡体ビーズ)の正確な製造パラメーターおよび嵩密度を列挙する。
【0302】
【表3】
【0303】
【表4】
【0304】
4. 成形体の製造
続いて発泡体ビーズ(膨張したペレット)をKurtz Ersa GmbH (Energy Foamer K68)からの成形機で溶接して、蒸気と接触させることによって200mmの側の長さおよび10mmおよび20mmの厚さを有する正方形の小板、またはErlenbach (EHV-C870/670)からの成形機で、300×200mmの側の長さおよび10mmの厚さを有する長方形の小板を得た。
【0305】
圧送注入法または亀裂注入法によって成形体を製造することができる。発明の実施例については、亀裂注入法を使用した(参照:表2)。
【0306】
製造の後、4~16時間60℃~70℃で成形体を保管し、次いで成形体密度を試験した(表2)。
【0307】
【表5】
【0308】
表3に型試験の結果を列挙する。
【0309】
【表6】
【0310】
5. ハイブリッド材料の製造の実施例
5.1 ハイブリッド材料の一般的な製造手順
上に製造したビーズを、PU系またはバインダーによって成形体を製造するために使用した。この目的のために、第一に、液体配合物を準備し、次いで、ポリエチレンで構成されるプラスチック容器中でビーズとこれらを激しく混合して、その後、型へそれらを放出した。使用した型は、4.5×4.5×4.5cmの内寸を有するテフロン(登録商標)加工した木型であった。4.5×4.5×2.5cmの象眼によって配合物から厚さ2cmの立方体またはスラブのいずれかを製造することが可能であった。
【0311】
5.2 出発原料
使用したビーズ:E-TPU1
5.3 発泡系およびバインダー
成分A
94部
【0312】
【表7】
【0313】
成分B
100部のIso137/28(NCO[%] 18.00)
【0314】
【表8】
【0315】
5.4 ゲル系
成分A
100部
【0316】
【表9】
【0317】
成分B
11部
【0318】
【表10】
【0319】
5.5 結果
【0320】
【表11】
【0321】
6. eTPU/PUの発泡体ハイブリッドシートの製造
投入機(Elastogran GmbHからの4K TPY NDF 20-4の低圧機)の助けを借りて、40℃に予備加熱した成分Aおよび25℃に予備加熱した成分Bを、表4に列挙した組成物と共に、表4からの詳細に従って時間管理しながら16バールの圧力で2.7Lのプラスチックビーカー中にある適正量のE-TPUに添加した。
【0322】
【表12】
【0323】
投入パラメーターは、発泡系の合計質量の約10%の消失がE-TPUおよび発泡体の混合および移送中に残存するという事実に由来する。これは、300kg/m(PU発泡体1)または260kg/m(PU発泡体2)の密度に調節した、完成した試験シートの秤量によって点検される。
【0324】
【表13】
【0325】
その直後、成分およびE-TPUを直ちに実験室撹拌機(Vollrath GmbHからのEWTHV-05型)の助けを借りて最大10秒間混合し、次いで、45℃に予備加熱しておき、シリコーン(marbo super release s)で塗装した20×20×1cmまたは20×20×2cmの寸法を有する木製のスパチュラを用いて開放式アルミニウム型へ導入し、約40秒のゲル化時間に達するまで均質に分配した。Thermo ScientificからのSC 100加熱デバイスを使用して、アルミニウム型を加熱した。
【0326】
型を閉じた後、系は30分間で反応して完結する。ここで、型の換気を、45℃で型温度を一定に維持しながら、換気流路によって制御する。
【0327】
試験シートを試験する前に、PU発泡体が完結するまで反応したことを保証するために少なくとも2日間室温でそれらを保管した。DIN 53512: 2000-04による弾力(また反発とも称される)、および、結果として得られる20mmのシートのDIN EN ISO 845: 2009-10による密度を表に列挙する。
【0328】
【表14】
【0329】
低レベルの触媒によって、発泡体1および2と同一の手順でPU発泡体3を加工し、70%の割合のビーズ質量を導入した。PU発泡体4は、より速い反応時間に起因して、E-TPU充填した型へ直接導入し、続いてそのまわりに発泡体を形成する。完全に充足した型は、約50%の割合のビーズ質量を可能にする。より速い反応系は、約5分の離型時間を達成する。他のすべての加工パラメーターを維持する。
【0330】
以下の機械的試験データは、厚さ20mmの試験シートについて確認した。
【0331】
【表15】
【0332】
引用文献:
WO 94/20568 A1
WO 2007/082838 A1
WO 2017/030835 A1
WO 2013/153190 A1
WO 2010/010010 A1
“Kunststoffhandbuch”, volume 7, “Polyurethane”, Carl Hanser Verlag, 3rd edition, 1993, chapter 3.1
Saechtling (ed.), Kunststoff-Taschenbuch, 27th edition, Hanser-Verlag Munich 1998, chapters 3.2.1 and 3.2.4
WO 2014/150122 A1
WO 2014/150124 A1
EP 1979401B1
US 20150337102 A1
EP 2872309B1
EP 3053732 A
WO 2016/146537 A1
“Kunststoffhandbuch”, volume 7, “Polyurethane”, Carl Hanser Verlag, 3rd edition, 1993, chapter 3
"Integralschaumstoff', Carl-Hanser-Verlag, Munich, Vienna, 1975, or in Kunststoff-Handbuch, volume 7, Polyurethane, 3rd edition, 1993, chapter 7
【手続補正書】
【提出日】2021-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程(i)および(ii)
(i)ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(MDI)、p-フェニルジイソシアネート(PPDI)およびo-トリジンジイソシアネート(TODI)、エチレンジフェニルジイソシアネート(EDI)またはその混合物からなる群から選択されるイソシアネート(I1)を含む少なくとも1種のイソシアネート組成物(ZI)、ならびにポリテトラヒドロフランまたはその誘導体を含むポリオール組成物(ZP)を変換して、イソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程、
(ii)工程(i)で得られたプレポリマーを少なくとも1種の鎖延長剤(KV)と反応させる工程
を少なくとも含む方法によって得ることが可能なまたは得られる熱可塑性ポリウレタンを含む、発泡ペレット材料
【請求項2】
ポリテトラヒドロフランの誘導体がポリ-ε-カプロラクトンポリオールである、請求項1に記載の発泡ペレット材料
【請求項3】
工程(ii)における反応に使用されるさらなる成分が、ポリオール、鎖延長剤、触媒、気泡核形成剤、他の助剤および添加剤からなる群から選択される、請求項1または2に記載の発泡ペレット材料
【請求項4】
ポリ-ε-カプロラクトンポリオールが、ε-カプロラクトンと、α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシテトラメチレン)ジオールからなる群から選択されるスターター分子との反応によって得ることが可能であるまたは得られる、請求項1から3のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料
【請求項5】
ポリイソシアネート組成物が、ポリイソシアネート組成物全体に対して90%~100質量%の範囲の量のナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料
【請求項6】
鎖延長剤(KV)が、50~500g/molの範囲の分子量を有するジオール、および50~500g/molの範囲の分子量を有するジアミンからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料
【請求項7】
鎖延長剤(KV)が、MEG、ブタン-1,4-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオールからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料
【請求項8】
ビーズの平均直径が0.5~20mmの範囲にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料から得ることが可能な成形品。
【請求項10】
成形品の製造のために、請求項1から8のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【請求項11】
成形品がビーズ相互の融合または結合によって製造される、請求項10に記載の使用する方法。
【請求項12】
成形品が、履物靴底、履物靴底の部品、マットレス、下敷き、掴み具、保護膜、自動車内装および外面のコンポーネント、体操マット、身体保護具、自動車構造の整備エレメント、遮音材、振動ダンパー、クッション、自転車シート、玩具、タイヤもしくはタイヤ部品、または、トラックおよびフィールド面、スポーツホールもしくは通路のカバー、サンドイッチエレメントの減衰層もしくは減衰コア、または包装である、請求項10または11に記載の使用する方法。
【請求項13】
ボールおよびスポーツ用品において、または床カバー材および壁パネルとして、殊にスポーツ用表面、トラックおよびフィールド表面、スポーツホール、児童遊園地および通路用ための床カバー材および壁パネルとして、請求項1から8のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料を使用する方法。
【請求項14】
ポリマー(PM)で構成されるマトリックスおよび請求項1から8のいずれか一項に記載の発泡ペレット材料を含む、ハイブリッド材料。
【国際調査報告】