(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(54)【発明の名称】パワーエレクトロニクス用のパッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20220810BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574783
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 US2020036258
(87)【国際公開番号】W WO2020251842
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン,ブライス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スタバック,ジェニファー
(57)【要約】
パワーエレクトロニクス用のパッケージは、パワー基板、いくつかのパワー半導体ダイ、およびケルビン接続接点を含む。パワー半導体ダイのおのおのは、パワー基板上にあり、第1のパワースイッチングパッド、第2のパワースイッチングパッド、制御パッド、半導体構造、およびケルビン接続パッドを含む。半導体構造は、第1のパワースイッチングパッド、第2のパワースイッチングパッド、および制御パッドの間にあり、第1のパワースイッチングパッドと第2のパワースイッチングパッドとの間のパワースイッチング経路の抵抗が、制御パッドにおいて提供される制御信号に基づくように構成される。ケルビン接続パッドは、パワースイッチング経路に結合される。ケルビン接続接点は、パワー基板上のケルビン導電性トレースを介して、パワー半導体ダイのおのおののケルビン接続パッドに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーエレクトロニクス用のパッケージであって、
パワー基板と、
前記パワー基板上の少なくとも2つのパワー半導体ダイであって、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、
第1のパワースイッチングパッドおよび第2のパワースイッチングパッドと、
制御パッドと、
前記第1のパワースイッチングパッド、前記第2のパワースイッチングパッド、および前記制御パッドの間の半導体構造であって、前記第1のパワースイッチングパッドと前記第2のパワースイッチングパッドとの間のパワースイッチング経路の抵抗が、前記制御パッドにおいて提供される制御信号に基づくように構成された、半導体構造と、
前記パワー半導体ダイ上の前記第2のパワースイッチングパッドに結合されるケルビン接続パッドとを備える、少なくとも2つのパワー半導体ダイと、
前記パワー基板上のケルビン導電性トレースを介して、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記ケルビン接続パッドに結合される、ケルビン接続接点とを備える、パッケージ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記ケルビン接続パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン導電性トレースに結合され、
前記ケルビン導電性トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン接続接点に結合される、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)半導体ダイであり、
前記第1のパワースイッチングパッドは、前記半導体構造のドレイン領域に結合され、
前記第2のパワースイッチングパッドおよび前記ケルビン接続パッドは、前記半導体構造のソース領域に結合され、
前記制御パッドは、前記半導体構造のゲート領域に結合される、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、パワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)半導体ダイであり、
前記第1のパワースイッチングパッドは、前記半導体構造のコレクタ領域に結合され、
前記第2のパワースイッチングパッドおよび前記ケルビン接続パッドは、前記半導体構造のエミッタ領域に結合され、
前記制御パッドは、前記半導体構造のゲート領域に結合される、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記パワー基板は、長方形であり、
前記ケルビン導電性トレースは、前記パワー基板のエッジに平行ではない少なくとも1つのエッジを含む、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、前記パワー基板上のパワースイッチング導電性トレース上に提供され、
前記パワースイッチング導電性トレースは、前記パワー基板のエッジに平行ではない少なくとも1つのエッジを含み、
前記パワースイッチング導電性トレースの前記少なくとも1つのエッジは、前記ケルビン導電性トレースの前記少なくとも1つのエッジと平行である、請求項5に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドは、ともに結合される、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して結合される、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドは、リードフレーム接点構造を介して結合される、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第1のパワースイッチングパッドに結合された第1のパワースイッチング接点と、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドに結合された第2のパワースイッチング接点と、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記制御パッドに結合された制御接点とをさらに備える、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記第1のパワースイッチング接点、前記第2のパワースイッチング接点、前記制御接点、および前記ケルビン接続接点は、前記パッケージの同じ側に配置される、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記パッケージは、リードフレームパッケージである、請求項11に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記第1のパワースイッチング接点、前記第2のパワースイッチング接点、前記制御接点、および前記ケルビン接続接点のうちの少なくとも1つは、前記パッケージの異なる側に配置される、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記パワー基板上のパワースイッチング導電性トレースと、
前記パワー基板上の制御トレースとをさらに備え、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第1のパワースイッチングパッドが、前記パワースイッチング導電性トレースに直接結合されるように、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイは、前記パワースイッチング導電性トレース上に提供され、
前記パワースイッチング導電性トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記第1のパワースイッチング接点に結合され、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記制御パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記制御トレースに結合され、
前記制御トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記制御接点に結合され、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記ケルビン接続パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン導電性トレースに結合され、
前記ケルビン導電性トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン接続接点に結合され、
前記第2のパワースイッチング接点は、1つまたは複数のワイヤボンドを介して、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドに結合される、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記パワー基板上のパワースイッチング導電性トレースと、
前記パワー基板上の制御トレースとをさらに備え、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第1のパワースイッチングパッドが、前記パワースイッチング導電性トレースに直接結合されるように、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイは、前記パワースイッチング導電性トレース上に提供され、
前記第1のパワースイッチング接点は、前記パワースイッチング導電性トレースに直接取り付けられ、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記制御パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記制御トレースに結合され、
前記制御トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記制御接点に結合され、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記ケルビン接続パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン導電性トレースに結合され、
前記ケルビン導電性トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン接続接点に結合され、
前記第2のパワースイッチング接点は、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドに直接取り付けられる、請求項10に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記パワー基板上の制御導電性トレースを介して、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記制御パッドに結合された制御接点をさらに備える、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記ケルビン接続パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン導電性トレースに結合され、
前記ケルビン導電性トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記ケルビン接続接点に結合され、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記制御パッドは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記制御導電性トレースに結合され、
前記制御導電性トレースは、1つまたは複数のワイヤボンドを介して前記制御接点に結合される、請求項16に記載のパッケージ。
【請求項18】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイは、少なくとも4つのパワー半導体ダイを含む、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項19】
パワーエレクトロニクス用のパッケージであって、
パワー基板と、
前記パワー基板上の少なくとも2つのパワー半導体ダイであって、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、
第1のパワースイッチングパッドおよび第2のパワースイッチングパッドと、
制御パッドと、
前記第1のパワースイッチングパッド、前記第2のパワースイッチングパッド、および前記制御パッドの間の半導体構造であって、前記第1のパワースイッチングパッドと前記第2のパワースイッチングパッドとの間のパワースイッチング経路の抵抗が、前記制御パッドにおいて提供される制御信号に基づくように構成された、半導体構造とを備える、少なくとも2つのパワー半導体ダイと、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッド間に結合された1つまたは複数のパワースイッチング平準化ワイヤボンドとを備える、パッケージ。
【請求項20】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)半導体ダイであり、
前記第1のパワースイッチングパッドは、前記半導体構造のドレイン領域に結合され、
前記第2のパワースイッチングパッドは、前記半導体構造のソース領域に結合され、
前記制御パッドは、前記半導体構造のゲート領域に結合される、請求項19に記載のパッケージ。
【請求項21】
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、パワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)半導体ダイであり、
前記第1のパワースイッチングパッドは、前記半導体構造のコレクタ領域に結合され、
前記第2のパワースイッチングパッドは、前記半導体構造のエミッタ領域に結合され、
前記制御パッドは、前記半導体構造のゲート領域に結合される、請求項19に記載のパッケージ。
【請求項22】
パワーエレクトロニクス用のパッケージであって、
パワー基板と、
前記パワー基板上の少なくとも2つのパワー半導体ダイであって、前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのは、
第1のパワースイッチングパッドおよび第2のパワースイッチングパッドと、
制御パッドと、
前記第1のパワースイッチングパッド、前記第2のパワースイッチングパッド、および前記制御パッドの間の半導体構造であって、前記第1のパワースイッチングパッドと前記第2のパワースイッチングパッドとの間のパワースイッチング経路の抵抗が、前記制御パッドにおいて提供される制御信号に基づくように構成された、半導体構造とを備える、少なくとも2つのパワー半導体ダイと、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第1のパワースイッチングパッドに結合された第1のパワースイッチング接点と、
前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドに結合された第2のパワースイッチング接点と、
前記第2のパワースイッチングパッドとは別に前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドに結合されたケルビン接続接点とを備える、パッケージ。
【請求項23】
前記第2のパワースイッチング接点は、第1の相互接続によって前記少なくとも2つのパワー半導体ダイのおのおのの前記第2のパワースイッチングパッドに結合され、前記ケルビン接続接点は、前記第1の相互接続から離れた第2の相互接続によって前記第2のパワースイッチングパッドに結合される、請求項22に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、パワーエレクトロニクス用のパッケージ、特に、中に2つ以上の並列化されたパワー半導体ダイを含むパワーエレクトロニクス用のパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
図1は、パワーエレクトロニクス用の従来のディスクリートパッケージ(discrete package)10の上面図を示す。従来のディスクリートパッケージ10は、パワー基板12、第1のパワースイッチング接点14、第2のパワースイッチング接点16、制御接点18、およびケルビン接続接点20を含むリードフレームパッケージである。第1のパワースイッチング接点14、第2のパワースイッチング接点16、制御接点18、およびケルビン接続接点20は、従来のディスクリートパッケージ10のリードフレームアレイの一部を形成する。パワー基板12は、パワースイッチング導電性トレース22および制御トレース24を含み、これらのおのおのは、パワースイッチング導電性トレース22が制御トレース24から電気的に絶縁されるように、絶縁材料の一部によって互いに離される。パワー半導体ダイ26のおのおのの裏面にある第1のパワースイッチングパッド28が、パワースイッチング導電性トレース22に電気的に結合されるように、いくつかのパワー半導体ダイ26は、パワースイッチング導電性トレース22上に提供される。裏面の反対側にあるパワー半導体ダイ26のおのおのの上部において、パワー半導体ダイ26は、第2のパワースイッチングパッド30(2つの部分に分割されている)、および制御パッド32を含む。
【0003】
[0003]パワー半導体ダイ26のおのおのは、単一のスイッチング位置を形成するために並列に結合されたトランジスタである。したがって、パワー半導体ダイ26のおのおのは、第1のパワースイッチングパッド28、第2のパワースイッチングパッド30、および制御パッド32の間に配置された半導体構造を含み、この半導体構造は、第1のパワースイッチングパッド28と第2のパワースイッチングパッド30との間のパワースイッチング経路の抵抗が、制御パッド32において提供される制御信号に基づくように構成される。第1のパワースイッチング接点14は、第1のパワースイッチング接点14が、パワー半導体ダイ26のおのおのの第1のパワースイッチングパッド28に結合されるように、第1のパワースイッチング導電性トレース22に結合される。第2のパワースイッチング接点16は、パワー半導体ダイ26のおのおのの第2のパワースイッチングパッド30に結合される。制御接点18は、第2のパワースイッチング接点16に結合される。次に、制御接点18がパワー半導体ダイ26のおのおのの制御パッド32に結合されるように、制御トレース24が1つまたは複数のワイヤボンド34によってパワー半導体ダイ26のおのおのの制御パッド32に結合される。パワースイッチングループは、第1のパワースイッチング接点14と第2のパワースイッチング接点16との間に形成される。制御接点18とケルビン接続接点20との間に信号ループが形成される。制御信号は、第1のパワースイッチング接点14と第2のパワースイッチング接点16との間の(すなわち、パワースイッチングループを横切る)抵抗を制御するために、制御接点18とケルビン接続接点20との間に(すなわち、信号ループを横切って)提供される。
【0004】
[0004]特に、第2のパワースイッチング接点16およびケルビン接続接点20は、パワー半導体ダイ26に別個に結合されていない。すなわち、第2のパワースイッチング接点16およびケルビン接続接点20は、最初に互いに結合され、次に、パワー半導体ダイ26のおのおのの第2のパワースイッチングパッド30に結合される。結果として、第2のパワースイッチング接点16がケルビン接続接点20に結合される点と、組み合わされた第2のパワースイッチング接点16およびケルビン接続接点20が、パワー半導体ダイ26のおのおのに結合される点との間に、いくらかの量の金属が存在する。この金属には、関連付けられたインピーダンスがあり、このインピーダンスにより、パワースイッチングループと信号ループとの間に結合が発生する。
【0005】
[0005]パワースイッチングループと信号ループとの間の結合は、ループ間のフィードバックを引き起こし、これは、スイッチング品質が低下し、スイッチング速度が遅くなり、損失が増加し、パワー半導体ダイ26の破壊の可能性がもたらされるなどの重大な問題を引き起こす。上記に照らして、パワーエレクトロニクス用の改善されたディスクリートパワーパッケージが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
[0006]1つの実施形態では、パワーエレクトロニクス用のパッケージは、パワー基板、いくつかのパワー半導体ダイ、およびケルビン接続接点を含む。パワー半導体ダイのおのおのは、パワー基板上にあり、第1のパワースイッチングパッド、第2のパワースイッチングパッド、制御パッド、半導体構造、およびケルビン接続パッドを含む。半導体構造は、第1のパワースイッチングパッド、第2のパワースイッチングパッド、および制御パッドの間にあり、第1のパワースイッチングパッドと第2のパワースイッチングパッドとの間のパワースイッチング経路の抵抗が、制御パッドにおいて提供される制御信号に基づくように構成される。ケルビン接続パッドは、パワー半導体ダイ上の第2のパワースイッチングパッドに結合される。ケルビン接続接点は、パワー基板上のケルビン導電性トレースを介して、パワー半導体ダイのおのおののケルビン接続パッドに結合される。パワー半導体ダイのおのおののケルビン接続パッドを、パワー基板上の導電性トレースを介してケルビン接続接点に接続すると、ディスクリートパッケージのレイアウトが大幅に簡素化され、ケルビン接続接点とパワー半導体ダイとの間の接続の長さが短縮され、それによって、ディスクリートパッケージの性能が改善される。
【0007】
[0007]当業者は、添付の図面とともに好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、本開示の範囲を理解し、またその追加の態様を認識するであろう。
[0008]本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示しており、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0009]パワーエレクトロニクス用の従来のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図2】[0010]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図3】[0011]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図4】[0012]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図5】[0013]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図6】[0014]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図7】[0015]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【
図8】[0016]本開示の1つの実施形態によるパワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0017]以下に記載される実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にし、実施形態を実施する最良のモードを示すために必要な情報を表す。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に扱われていないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念および用途は、本開示および付随する特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。
【0010】
[0018]本明細書では、第1、第2などの用語を使用して様々な要素を説明することがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素は、第2の要素と呼ばれ得、同様に、第2の要素は、第1の要素と呼ばれ得る。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の、任意およびすべての組合せを含む。
【0011】
[0019]層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上」にある、または「上」に延びていると称される場合、それは、他の要素の上に直接ある、または上に直接延びているか、あるいは介在する要素が存在する可能性もあることが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接」ある、または「上に直接」延びていると称される場合、介在する要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上方」にある、または「上方」に延びていると称される場合、それは、他の要素の真上にある、または真上に延びているか、あるいは介在する要素が存在する可能性もあることが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「真上」にある、または「真上」に延びていると称される場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と称される場合、それは他の要素に直接接続または結合されているか、あるいは介在する要素が存在する可能性があることも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と称される場合、介在する要素は存在しない。
【0012】
[0020]「~より下」または「~より上」または「上側」または「下側」または「水平」または「垂直」などの相対的な用語は、本明細書では、図に例示されるように、1つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用され得る。これらの用語および上記で論じられた用語は、図示されている方位に加えて、デバイスの異なる方位を包含することを意図していることが理解されよう。
【0013】
[0021]本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、記載された機能、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0014】
[0022]別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0015】
[0023]パワーパッケージは、一般に、パワーモジュールまたはディスクリートパッケージのいずれかに分類することができる。パワーモジュールは、多くの場合、ディスクリートパッケージよりも多数(たとえば、>2)のパワー半導体ダイを含み、一部の構成では、パワー基板、パワー接点、信号接点、およびベースプレートを含む。パワーモジュールのパワー基板は、電気的相互接続ならびに電気的絶縁に使用される。ベースプレートは、構造的サポートおよび熱拡散を提供する。内部的には、パワーモジュールは、電気回路(たとえば、ハーフブリッジ、フルブリッジ、三相など)を形成するためにパワー半導体ダイのトポロジ(または配置)を備えることがよくある。パワーモジュールは、一般に、ハウジングおよびカプセル化材料によって、成形または保護される。
【0016】
[0024]ディスクリートパッケージは、より少数(たとえば、1~2)のパワー半導体ダイを備えた金属リードフレームアレイ上に形成されるという点で、モジュールとは異なる。ディスクリートパッケージは、電気的絶縁を提供するパワー基板を備えている場合、または備えていない場合がある。リードフレームアレイは、パワーと信号との接続を作成するためにトリミングおよび形成される。アセンブリは、電気的絶縁、機械的サポート、および周囲環境(湿気など)からの保護のために成形される。ディスクリートパッケージは、通常、単一のスイッチ位置を収容し、その位置には多くの場合、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)や絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの単一のパワー半導体ダイがあり、逆並列ダイオードがあったりなかったりする。
【0017】
[0025]パワーパッケージ内には、重要な2つの電気ループ、すなわち、(1)パワーループ(たとえば、ドレイン-ソースまたはコレクタ-エミッタ)、および(2)信号ループ(たとえば、ゲート-ソースまたはゲート-エミッタ)がある。パワーループは、負荷にパワーを供給するスイッチを通る高電圧、高電流の経路である。信号ループは、パワーループを制御する(すなわち、ターンオンおよびターンオフを作動させる)ための低電圧、低電流の経路である。最適なスイッチング性能を得るには、パワーループと信号ループとを、互いに完全に独立させる必要がある。パワーループおよび信号ループの独立性を確保することで、高速で、適切に制御されたダイナミクスを備えた低スイッチング損失が可能になる。
【0018】
[0026]パワーループおよび信号ループは両方とも、パワーパッケージ内のパワー半導体ダイのソース(またはエミッタ)に接続される。パワーループが信号ループに結合する場合、正または負のフィードバックのいずれかによって追加のダイナミクスが導入される。通常、負のフィードバックは、パワー経路結合が制御信号に抵抗する(すなわち、制御信号がデバイスをオンにしようとしているときに、パワー経路結合がパワー半導体ダイをオフにしようとする)ため、余分な損失をもたらす。正のフィードバックは、通常、パワー半導体ダイが破壊されるまで、パワー経路結合が、制御信号を増幅するため、不安定性を引き起こす。最終的に、パワーループと信号ループとの結合により、スイッチング品質が低下し、スイッチング速度が遅くなり、損失が増加し、パワー半導体ダイの破壊の可能性がもたらされる。
【0019】
[0027]上記に照らして、パワーパッケージ内のパワーループおよび制御ループの独立性を確保することが望ましい。これを実現する1つの手法は、ソースケルビン接続(またはエミッタケルビン接続)を使用することである。ケルビン接続は、作動の目的でソースまたはエミッタに個別に結合される。一般に、パワーループおよび信号ループからの個別の接続を、パワー半導体ダイに近づけるほど、達成できるスイッチング性能が向上する。理想的には、ケルビン接続は、パワーループから独立した別個のワイヤボンド、相互接続などの別個の経路を介してソースまたはエミッタに対してなされるだろう。
【0020】
[0028]ケルビン接続は、パワーモジュールおよびディスクリートパッケージの両方でしばらくの間使用されてきたが、ケルビン接続は、中のパワー半導体ダイのレイアウトを著しく複雑にする。真のケルビン接続には、半導体ダイのソースまたはエミッタへの個別の経路が必要であり、これには、追加のワイヤボンドまたは相互接続を必要とする。これらの追加のワイヤボンドまたは相互接続は、複雑なレイアウトの問題を引き起こす。
【0021】
[0029]上記で論じた複雑なレイアウトの問題を回避するために、ディスクリートパッケージは、しばしば、単一のパワー半導体ダイのみを含み、複数のディスクリートパッケージは(ディスクリートパッケージ内の複数の半導体ダイを並列化するのとは対照的に)外部接続を使用して並列化される。これにより、電流容量が効果的に増加するが、パッケージ間の外部接続によって、かなりの量のインダクタンスが発生するため、並列ディスクリートパッケージのスイッチングを、ゲートドライバレベルにおいて遅くして、パッケージ間のバランスの取れたスイッチングを保証する必要がある。それに加えて、並列パッケージにおける半導体ダイの相互コンダクタンスおよび浮遊インダクタンス(stray inductance)によって導入される正のフィードバックメカニズムによって発生する高周波発振を回避するために、個々のゲート抵抗を追加する必要がある。最終的に、パッケージを並列化すると、所与のソリューションのために、大きなエリアが必要となる。
【0022】
[0030]上記で論じたレイアウトの課題に加えて、ディスクリートパッケージ内のパワー半導体ダイを並列化することは、パワー半導体ダイ間の相互コンダクタンスのミスマッチの形態で、追加の問題を提示する。パワー半導体ダイのスイッチング中に、入力電圧が上昇し、それに伴って出力電流が上昇する。2つの並列パワー半導体ダイは、相互コンダクタンスに差がある場合、おのおのわずかに異なるターンオン特性を有する。したがって、スイッチング中、各パワー半導体ダイに異なる量の電流が流れ、したがって、各パワー半導体ダイに異なる電圧が存在するであろう。パワー半導体ダイの電圧のミスマッチにより、スイッチング中にパワー半導体ダイ間に流れる平準化電流(balancing current)が発生する。
【0023】
[0031]平準化電流は、パワーループの代わりに信号ループを通過する可能性がある、最小の抵抗の経路を優先する。パワーループと信号ループとの間の結合から生じる干渉の問題と同様に、平準化電流も、スイッチング品質に影響を与える可能性がある。さらに、平準化電流は、信号ループを流れる場合、信頼性の問題を引き起こす可能性もある。
【0024】
[0032]上記に照らして、改善されたパワーパッケージ、特に、中にいくつかの並列化されたパワー半導体ダイを含む、改善されたパワーディスクリートパッケージが現在必要とされる。
【0025】
[0033]
図2は、本開示の1つの実施形態による、パワーエレクトロニクス用のディスクリートパッケージ36の上面図を示す。ディスクリートパッケージ36は、パワー基板38、第1のパワースイッチング接点40、第2のパワースイッチング接点42、制御接点44、およびケルビン接続接点46を含むリードフレームパッケージである。第1のパワースイッチング接点40、第2のパワースイッチング接点42、制御接点44、およびケルビン接続接点46は、ディスクリートパッケージ36のリードフレームアレイの全部または一部を形成する。パワー基板38は、パワースイッチング導電性トレース48、制御導電性トレース50、およびケルビン導電性トレース52を含み、これらのおのおのは、パワースイッチング導電性トレース48、制御導電性トレース50、およびケルビン導電性トレース52が互いに電気的に絶縁されるように、絶縁材料の一部によって互いに離される。パワー半導体ダイ54のおのおのの裏面にある第1のパワースイッチングパッド56が、パワースイッチング導電性トレース48に電気的に結合されるように、いくつかのパワー半導体ダイ54は、パワースイッチング導電性トレース48上に提供される。裏面の反対側にあるパワー半導体ダイ54のおのおのの上部において、パワー半導体ダイ54は、第2のパワースイッチングパッド58(2つの部分に分割されている)、制御パッド60、およびケルビン接続パッド62を含む。
【0026】
[0034]パワー半導体ダイ54のおのおのは、単一のスイッチング位置を形成するために並列に結合されたトランジスタである。パワー半導体ダイ54のおのおのは、第1のパワースイッチングパッド56、第2のパワースイッチングパッド58、および制御パッド60の間に配置された半導体構造(図示せず)を含み、この半導体構造は、第1のパワースイッチングパッド56と第2のパワースイッチングパッド58との間のパワースイッチング経路の抵抗が、制御パッド60において提供される制御信号に基づくように構成される。ケルビン接続パッド62は、パワー半導体ダイ54上の第2のパワースイッチングパッド58に結合される。1つの実施形態では、パワー半導体ダイ54のおのおのは、MOSFETであり、第1のパワースイッチングパッド56は、半導体構造のドレイン領域に結合され、第2のパワースイッチングパッド58およびケルビン接続パッド62は、半導体構造のソース領域に結合され、制御パッド60は、半導体構造のゲート領域に結合される。別の実施形態では、パワー半導体ダイ54のおのおのは、IGBTであり、第1のパワースイッチングパッド56は、半導体構造のコレクタ領域に結合され、第2のパワースイッチングパッド58およびケルビン接続パッド62は、半導体構造のエミッタ領域に結合され、制御パッド60は、半導体構造のゲート領域に結合される。
【0027】
[0035]
図2には示されていないが、第1のパワースイッチング接点40は、パワー半導体ダイ54のおのおのの第1のパワースイッチングパッド56に結合され、第2のパワースイッチング接点42は、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に結合され、制御接点44は、パワー半導体ダイ54のおのおのの制御パッド60に結合され、ケルビン接続接点46は、パワー半導体ダイ54のおのおののケルビン接続パッド62に結合される。接点とパッドとの間の接続は、直接取付、ワイヤボンド、または他の適切な手段などの任意の適切な相互接続によって行うことができる。以下に説明するように、制御導電性トレース50およびケルビン導電性トレース52は、大幅な重なり合い、または複雑なレイアウトスキームなしに、ディスクリートパッケージ36およびパワー半導体ダイ54の接点間の接続を可能にする。
【0028】
[0036]
図3は、本開示の1つの実施形態によるディスクリートパッケージ36を示す。
図3に例示されるように、第1のパワースイッチング接点40は、直接接点取付によってパワースイッチング導電性トレース48に結合される。直接接点取付は、はんだ、導電性エポキシ、焼結金属などを使用して達成することができる。上記で論じたように、パワー半導体ダイ54は、その第1のパワースイッチングパッド56が、パワースイッチング導電性トレース48と電気的に接触するように、パワースイッチング導電性トレース48上に提供される。したがって、第1のパワースイッチング接点40は、パワー半導体ダイ54のおのおのの第1のパワースイッチングパッド56に結合される。第2のパワースイッチング接点42は、直接接点取付によって、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に結合される。この場合も、直接接点取付は、はんだ、導電性エポキシ、焼結金属などを使用して達成することができる。例示されるように、金属構造64が、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58の上に提供されて、直接取付を可能にする。特に、金属構造66の一部は、第2のパワースイッチング接点42および第2のパワースイッチングパッド58の接続とは別に、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58と結合する。金属構造66のこの部分は、相互コンダクタンスのミスマッチによるターンオンおよびターンオフ中のパワー半導体ダイ54の電圧差を低減するための平準化接続として機能する。これは、上記で論じた平準化電流を低減または排除し、それにより、ディスクリートパッケージ36の性能を改善し得る。
【0029】
[0037]パワー半導体ダイ54のおのおのの制御パッド60は、1つまたは複数のワイヤボンド68を介して制御導電性トレース50に結合され、制御導電性トレース50は次に、1つまたは複数のワイヤボンド68を介して制御接点44に結合される。特に、制御導電性トレース50の一部は、パワースイッチング導電性トレース48と平行に走り、したがって、パワー半導体ダイ54の両方について、その制御パッド60と制御導電性トレース50との間に短い長さが存在する。したがって、制御パッド60と制御導電性トレース50との間のワイヤボンド68の長さを短く保つことができ、それにより、浮遊インダクタンスが最小限に抑えられ、パワー半導体ダイ54およびワイヤボンド68のレイアウトに柔軟性が提供される。ワイヤボンド68の必要な長さをさらに短縮するために、制御導電性トレース50は、図示されるように、パワー基板38のエッジに対して角度を付けられる。特に、パワースイッチング導電性トレース48は、パワー基板38のエッジに平行ではない少なくとも1つのエッジを有するように提供される。制御導電性トレース50は、同様に、パワー基板38のエッジに平行ではないが、パワースイッチング導電性トレース48の少なくとも1つのエッジと平行な少なくとも1つのエッジを有するように提供される。図示されるように、これらのエッジは、微細な「V」または「U」形状を形成する。これは、パワー半導体ダイ54のおのおのの制御パッド60と制御導電性トレース50との間のワイヤボンド68の必要な長さをさらに短縮する。
【0030】
[0038]パワー半導体ダイ54のおのおののケルビン接続パッド62は、1つまたは複数のワイヤボンド68を介してケルビン導電性トレース52に結合され、ケルビン導電性トレース52は次に、1つまたは複数のワイヤボンド68を介してケルビン接続接点46に結合される。パワースイッチングループは、第1のパワースイッチング接点40と第2のパワースイッチング接点42との間に形成される。制御接点44とケルビン接続接点46との間に信号ループが形成される。制御信号は、第1のパワースイッチング接点40と第2のパワースイッチング接点42との間の(すなわち、パワーループを横切る)抵抗を制御するために、制御接点44とケルビン接続接点46との間に(すなわち、信号ループを横切って)提供される。ケルビン接続パッド62が、パワー半導体ダイ54のおのおのに示されているが、パワー半導体ダイ54はまた、ケルビン接続接点46が、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド60に結合されるように、別個のケルビン接続パッドなしで提供され得る。そのような実施形態は、パワーループおよび信号ループの信号経路が別個のままである(すなわち、ケルビン接続接点46が、別個のワイヤボンド、または第2のパワースイッチング接点42以外の相互接続を介して第2のパワースイッチングパッド60に結合されている)限り、本明細書で論じたものと同じ利点を提供する。
【0031】
[0039]上記で論じた制御導電性トレース50と同様に、ケルビン導電性トレース52はまた、パワー基板38のエッジに平行ではないが、パワースイッチング導電性トレース48の少なくとも1つのエッジと平行な少なくとも1つのエッジを含む。このようにケルビン導電性トレース52を提供することにより、パワー半導体ダイ54のおのおののケルビン接続パッド62を、ケルビン導電性トレース52に結合するワイヤボンド68の長さが短縮される。パワー基板38上に導電性トレースを提供することにより、ケルビン接続接点46を、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に個別に結合することができ、特に、ケルビン接続接点46を、パワー半導体ダイ54のおのおののケルビン接続パッド62に結合することができる。したがって、ディスクリートパッケージ36は、パワーループと信号ループとが結合されないような、真のケルビン接続を提供する。上記で論じたように、ディスクリートパッケージの信号ループでケルビン接続を使用すると、スイッチング速度とその安定性に顕著な利点がもたらされる。したがって、ディスクリートパッケージ36のレイアウトは、その性能の改善を可能にする。
【0032】
[0040]上記で論じたディスクリートパッケージ36のレイアウトによって提供される性能上の利点に加えて、ディスクリートパッケージの柔軟性においても顕著な利点が提供される。たとえば、第1のパワースイッチング接点40を、パワースイッチング導電性トレース48に直接取り付けたり、第2のパワースイッチング接点42を、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に直接取り付けたりするのではなく、
図4に示されるように、第1のパワースイッチング接点40は、いくつかのワイヤボンド68を介してパワースイッチング導電性トレース48に結合され得、第2のパワースイッチング接点42は、いくつかのワイヤボンド68を介して、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に結合され得る。特に、ワイヤボンド68を使用して、第2のパワースイッチング接点42を、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に結合する場合、1つまたは複数の平準化ワイヤボンド70が、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58の間に結合される。上記で論じたように、これは、相互コンダクタンスのミスマッチによるターンオンおよびターンオフ中のパワー半導体ダイ54の電圧差を低減し、それによって、平準化電流を低減または排除して、ディスクリートパッケージ36の性能および信頼性を改善し得る。
【0033】
[0041]ディスクリートパッケージ36のレイアウトの柔軟性をさらに示す
図5は、第1のパワースイッチング接点40、第2のパワースイッチング接点42、制御接点44、およびケルビン接続接点46のすべてが、ディスクリートパッケージ36の片側に配置されるディスクリートパッケージ36を示す。
図6は、ディスクリートパッケージ36を示し、第1のパワースイッチング接点40、第2のパワースイッチング接点42、制御接点44、およびケルビン接続接点46が、ディスクリートパッケージ36の同じ側に配置されているが、第1のパワースイッチング接点40は、直接取り付けられるのではなく、ワイヤボンド68を介してパワースイッチング導電性トレース48に結合され、第2のパワースイッチング接点42は、
図5におけるように直接取り付けられるのではなく、ワイヤボンド68を介して、パワー半導体ダイ54のおのおのの第2のパワースイッチングパッド58に結合される。特に、
図5および
図6に示されるディスクリートパッケージ36の構成は、ディスクリートパッケージ36の最小限の変更で(たとえば、パワー半導体ダイ54が、互いにわずかに接近して移動されて)達成可能である。
図7は、
図2のようなディスクリートパッケージ36を示し、第2のパワースイッチング接点42、制御接点44、およびケルビン接続接点46の位置がミラーリングされる。
図5~
図7は、ディスクリートパッケージ36の柔軟性を示しており、この柔軟性により、ディスクリートパッケージ36を様々なシステムに適合させることができる。
【0034】
[0042]2つのパワー半導体ダイ54のみを含むディスクリートパッケージ36が上記に示されているが、本開示の原理は、任意の数のパワー半導体ダイ54を含むディスクリートパッケージ36に等しく適用される。したがって、
図8は、4つのパワー半導体ダイ54を含むディスクリートパッケージ36を示す。図示されるように、ディスクリートパッケージ36は、上記のものと実質的に同様である。制御導電性トレース50およびケルビン導電性トレース52は、追加のパワー半導体ダイ54が、複雑なルーティングまたはレイアウトなしに、ディスクリートパッケージ36の接点に容易に結合されることを可能にする。図示されていないが、ディスクリートパッケージ36の多くの追加の構成およびレイアウトが可能であり、それらのすべてが本明細書で企図される。
【0035】
[0043]当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改善および修正を認識するであろう。そのようなすべての改善および修正は、本明細書に開示される概念および以下の特許請求の範囲内で考慮される。
【国際調査報告】