(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】航空宇宙用部品上へ犠牲コーティングを堆積させるための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 8/10 20060101AFI20220819BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C23C8/10
C23C16/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572946
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020027247
(87)【国際公開番号】W WO2020251654
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャタルジー, スクティ
(72)【発明者】
【氏名】大野 賢一
(72)【発明者】
【氏名】スカダー, ランス エー.
(72)【発明者】
【氏名】メルニーク, ユリー
(72)【発明者】
【氏名】ブリッツ, デーヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ナーワンカー, プラビン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ニズリー, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サリー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】アンティス, ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA02
4K030BA06
4K030BA12
4K030BA14
4K030BA19
4K030BA20
4K030BA42
4K030BA43
4K030EA03
4K030FA01
(57)【要約】
本開示の実施態様は、概して、航空宇宙用部品上の保護コーティング及びその保護コーティングを堆積するための方法に関する。一又は複数の実施態様では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法は、ニッケルとアルミニウムとを含む(例えば、ニッケルアルミニウム超合金)航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することと、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品を加熱することとを含む。熱的プロセス及び/又は酸化プロセスは、航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層を含有する航空宇宙用部品に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、酸化アルミニウム層を残しながら、金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することとを含む。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法であって、
ニッケルとアルミニウムとを含む前記航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することと;
熱的プロセス中に前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品を加熱することであって、前記熱的プロセスが、
前記航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品の表面に向かって拡散することと、
拡散されたアルミニウムを酸化させて、前記航空宇宙用部品と前記金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、
前記酸化アルミニウム層を残しながら、前記金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することと
を含む、前記航空宇宙用部品を加熱することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属酸化物テンプレート層が酸化クロムを含み、前記熱的プロセス中に前記酸化クロムをクロムオキシドヒドロキシドに変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物テンプレート層が約10nmから約2,000nmの厚さを有し、前記酸化アルミニウム層が約10nmから約1,000nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化アルミニウム層がα-Al
2O
3を含み、前記金属酸化物テンプレート層及び前記酸化アルミニウム層がコランダム結晶構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属酸化物テンプレート層及び前記酸化アルミニウム層が、約0.1%から約10%の格子不整合がある結晶構造を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセス中に昇華又は蒸発又は酸化によって除去され、前記航空宇宙用部品が、前記熱的プロセス中に、約800℃から約1,500℃の温度に約20分間から約100時間加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸素が、アルミニウムと反応する前に、前記金属酸化物テンプレート層を通じて拡散されて、前記酸化アルミニウム層を生成し、前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセス中に酸素を含む空気に曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱的プロセスを実施しながら、前記航空宇宙用部品を含むジェットエンジン又はタービンに動力を供給することであって、前記ジェットエンジン又は前記タービンからの熱エネルギーが、前記熱的プロセス中に前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層を加熱するのに使用される、ジェットエンジン又はタービンに動力を供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセス中に処理チャンバ又は炉内で加熱され、前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセスの1つの熱サイクル中に、第1の期間予熱され、第2の期間所定の温度で維持され、第3の期間冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の期間が約1分間から約30分間であり、前記第2の期間が約15分間から約120分間であり、前記第3の期間が約0.5分間から約15分間であり、前記熱サイクルが2回から約300回繰り返され、前記所定の温度が約900℃から約1,200℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記航空宇宙用部品が、タービンブレード、タービン翼、支持部材、フレーム、リブ、フィン、ピンフィン、燃焼器燃料ノズル、燃焼器シールド、内部冷却チャネル、又はそれらの任意の組み合わせであり、前記航空宇宙用部品がニッケル超合金を含み、前記ニッケル超合金が、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ニッケル超合金が、約40wt%以上のニッケルと、約0.5wt%から約15wt%のアルミニウムとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法であって、
ニッケルとアルミニウムとを含む前記航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することであって、前記金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含み、前記金属酸化物テンプレート層が、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスによって前記航空宇宙用部品上に堆積される、金属酸化物テンプレート層を堆積することと;
熱的プロセス中に、前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品を約900℃から約1,200℃の温度に加熱することであって、前記熱的プロセスが、
前記航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品の表面に向かって拡散することと、
拡散されたアルミニウムを酸化させて、前記航空宇宙用部品と前記金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、
前記酸化アルミニウム層を残しながら、前記金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することと
を含む、前記航空宇宙用部品を加熱することと
を含む、方法。
【請求項15】
航空宇宙用部品であって、
ニッケル超合金を含む本体であって、前記超合金が、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む、本体と;
前記本体上に配置される金属酸化物テンプレート層であって、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、金属酸化物テンプレート層と;
前記航空宇宙用部品の前記本体と前記金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層とを含む、
航空宇宙用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施態様は、概して、堆積プロセス、特に、航空宇宙用部品上へ膜を堆積させるための蒸着プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]タービンエンジンは通常、高温ガス及び/又は反応性化学物質(酸、塩基、塩など)に曝露されるために時間の経過とともに腐食又は劣化する部品を有する。このようなタービン部品は、多くの場合、遮熱及び/又は化学的バリアコーティングによって保護されている。環境保護と遮熱コーティング(TBC)システムのボンドコートとしての両方のガスタービンエンジンの高温燃焼ガスに曝露されるエアフォイルに現在使用されているコーティングには、拡散アルミナイドとさまざまな金属合金コーティングの両方が含まれる。これらのコーティングは、酸化及び腐食による攻撃から保護するために、基板材料、通常はニッケル基超合金に塗布される。これらのコーティングは、さまざまな方法で基板上に形成される。例えば、ニッケルアルミナイド層は、基板を高温でアルミニウムに富む環境に単に曝露することによって、ニッケル基超合金上の外側のコーティングとして成長させることができる。アルミニウムは基板に拡散し、ニッケルと結合してニッケル-アルミニウム合金の外面を形成する。
【0003】
[0003]しかし、エンジン性能に対する要求の高まりによって、エンジンの動作温度及び/又はエンジン寿命の要件が高まるため、環境コーティング又はボンドコーティングとして使用する場合のコーティングの性能を、これらの既存のコーティングの能力に加えて改善する必要がある。これらの要求のために、環境保護のため、又はより高い動作温度に耐えることができるか若しくは修理のために除去を必要とする前に長期間動作することができるボンドコートとして、又はその両方として使用できるコーティングが望まれる。これらの既知のコーティング材料及び堆積技法には、いくつかの欠点がある。低圧プラズマスプレー、プラズマ蒸着(PVD)、電子ビームPVD(EBPVD)、カソードアーク、又は同様のスパッタリング技法によって堆積されたほとんどの金属合金コーティングは、見通し線コーティングである。つまり、部品の内部をコーティングすることはできない。外部のプラチナ電気めっきは通常、適度に均一なコーティングを形成するが、部品の内部の電気めっきは困難であることが証明されている。結果として得られる電気めっきコーティングは、多くの場合、薄すぎて保護できないか、又は、厚すぎて、高い重量増加や疲労寿命の借方など、他の機械的な悪影響がある。同様に、アルミナイドコーティングは、部品の内部通路の不均一性に悩まされている。アルミナイドコーティングは脆く、疲労に曝露されると寿命が短くなる可能性がある。
【0004】
[0004]さらに、これらのコーティングのほとんどは厚さがおよそ10マイクロメートルを超えるため、部品重量が増加し、ディスク及びその他のサポート構造の設計がより困難になる可能性がある。これらのコーティングの多くは、接着を達成するために、合金へのコーティングの十分な相互拡散を堆積又は促進させるために、高温(例えば、500℃以上)の工程も必要とする。多くの人が、(1)金属を酸化及び腐食から保護する、(2)金属への接着力が高い、及び/又は(3)重量を大幅に増加させたり電流以外の疲労寿命を低下させたりしないように十分に薄い、コーティングを有することを望んでいる。
【0005】
[0005]したがって、改善された保護コーティング及び保護コーティングを堆積するための方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の実施態様は、概して、航空宇宙用部品上の保護コーティング及びその保護コーティングを堆積するための方法に関する。一又は複数の実施態様では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法は、ニッケルとアルミニウムとを含む(例えば、ニッケルアルミニウム超合金)航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することと、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品を加熱することとを含む。熱的プロセス及び/又は酸化プロセスは、航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層を含有する航空宇宙用部品に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、酸化アルミニウム層を残しながら、金属酸化物テンプレート層の全部又は一部を除去することとを含む。金属酸化物テンプレート層は、酸化アルミニウム層とテンプレート要素の固溶体を部分的に形成し得る。
【0007】
[0007]いくつかの実施態様では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法は、ニッケルとアルミニウムとを含む航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することであって、金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、金属酸化物テンプレート層を堆積することを含む。この方法は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品を約900℃から約1,200℃の温度に加熱することも含む。熱的プロセス及び/又は酸化プロセスは、航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層を含有する航空宇宙用部品に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、酸化アルミニウム層を残しながら、金属酸化物テンプレート層の全部又は一部を除去することとを含む。金属酸化物テンプレート層は、酸化アルミニウム層とテンプレート要素の固溶体を部分的に形成し得る。
【0008】
[0008]他の実施態様では、航空宇宙用部品は、ニッケル超合金を含む本体と、本体上に配置された金属酸化物テンプレート層と、航空宇宙用部品の本体と金属酸化物テンプレート層との間に配置された酸化アルミニウム層を含む。本体内の超合金は、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む。金属酸化物テンプレート層は、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの例では、酸化アルミニウム層はα-Al2O3を含む。金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層は、コランダム結晶構造などの同じ結晶構造を有する。金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層は、約0.1%から約10%の格子不整合がある結晶構造を有し得る。金属酸化物テンプレート層は、酸化アルミニウム層とテンプレート要素の固溶体を部分的に形成し得る。混合金属酸化物の固溶体ゾーンは、テンプレート酸化物及び酸化アルミニウムのものよりも低い格子不整合を有する。
【0009】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施態様を参照することによって得られ、一部の実施態様は付随する図面に示されている。しかし、添付図面は例示的な実施態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施態様も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A-1D】[0010]本明細書で記載及び検討される一又は複数の実施態様による、異なる時間間隔で航空宇宙用部品上に形成されている保護コーティングの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011]理解しやすくするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照符号が使用されている。一又は複数の実施態様の構成要素及び特徴は、他の実施態様に有益に組み込まれ得ると想定される。
【0012】
[0012]本開示の実施態様は、概して、航空宇宙用部品上に配置された保護コーティング、及びその保護コーティングを堆積するかそうでなければ形成するための方法に関する。本明細書で記載及び検討される航空宇宙用部品は、一又は複数のタービンブレード、タービン翼、リブ、フィン、ピンフィン、燃焼器燃料ノズル、燃焼器シールド、又は上に堆積された保護コーティング有することにより恩恵を受けることができるその他の航空宇宙用部品若しくは部分であり得るか、又はそれらを含み得る。保護コーティングは、航空宇宙用部品の内面及び/又は外面上に堆積され得るかそうでなければ形成され得る。
【0013】
[0013]一又は複数の実施態様では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法は、ニッケルとアルミニウムとを含む(例えば、ニッケルアルミニウム超合金)航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することと、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品を加熱することとを含む。熱的プロセス及び/又は酸化プロセスは、航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層を含有する航空宇宙用部品に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、酸化アルミニウム層を残しながら、金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することとを含む。
【0014】
[0014]
図1A-1Dは、本明細書で記載及び検討される一又は複数の実施態様による、異なる時間間隔で航空宇宙用部品102上に配置された保護コーティングの概略断面図である。
図1Aは、表面104を有する航空宇宙用部品102を示す。表面104は、航空宇宙用部品102の一又は複数の内面及び/又は一又は複数の外面であり得る。航空宇宙用部品102は、タービンブレード、タービン翼、支持部材、フレーム、リブ、フィン、ピンフィン、燃焼器燃料ノズル、燃焼器シールド、内部冷却チャネル、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。航空宇宙用部品102は、一又は複数のニッケル超合金を含む。ニッケル超合金は、ニッケル-アルミニウム超合金であり得るかそれを含み得、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、他の元素、それらのドーパント、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含み得る。
【0015】
[0015]ニッケル超合金は、約20重量パーセント(wt%)、約30wt%、約40wt%、約45wt%、約48wt%、約50wt%、約55wt%、約58wt%、又は約60wt%から約62wt%、約65wt%、約68wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、又は約90wt%のニッケルを含む。例えば、ニッケル超合金は、約20wt%から約90wt%、約30wt%から約80wt%、約40wt%から約90wt%、約40wt%から約80wt%、約40wt%から約75wt%、約20wt%から約70wt%、約40wt%から約65wt%、約40wt%から約62wt%、約40wt%から約60wt%、約40wt%から約58wt%、約40wt%から約55wt%、約40wt%から約50wt%、約50wt%から約90wt%、約50wt%から約80wt%、約50wt%から約75wt%、約20wt%から約70wt%、約50wt%から約65wt%、約50wt%から約62wt%、約50wt%から約60wt%、約50wt%から約58wt%、約50wt%から約55wt%、約58wt%から約90wt%、約58wt%から約80wt%、約58wt%から約75wt%、約20wt%から約70wt%、約58wt%から約65wt%、約58wt%から約62wt%、又は約58wt%から約60wt%のニッケルを含む。
【0016】
[0016]ニッケル超合金は、約0.2wt%、約0.5wt%、約0.8wt%、約1wt%、約1.5wt%、約2wt%、約2.5wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%、又は約4.5wt%から約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約12wt%、約15wt%、約18wt%、又は約20wt%のアルミニウムを含む。例えば、ニッケル超合金は、約0.2wt%から約20wt%、約0.5wt%から約20wt%、約0.5wt%から約18wt%、約0.5wt%から約15wt%、約0.5wt%から約12wt%、約0.5wt%から約10wt%、約0.5wt%から約8wt%、約0.5wt%から約6wt%、約0.5wt%から約5wt%、約0.5wt%から約4wt%、約0.5wt%から約3wt%、約0.5wt%から約2wt%、約0.5wt%から約1wt%、約1wt%から約20wt%、約1wt%から約18wt%、約1wt%から約15wt%、約1wt%から約12wt%、約1wt%から約10wt%、約1wt%から約8wt%、約1wt%から約6wt%、約1wt%から約5wt%、約1wt%から約4wt%、約1wt%から約3wt%、約1wt%から約2wt%、約1wt%から約1wt%、約3wt%から約20wt%、約3wt%から約18wt%、約3wt%から約15wt%、約3wt%から約12wt%、約3wt%から約10wt%、約3wt%から約8wt%、約3wt%から約6wt%、約3wt%から約5wt%、又は約3wt%から約4wt%のアルミニウムを含む。
【0017】
[0017]一又は複数の例では、ニッケル超合金は、約40wt%以上のニッケルと、約0.5wt%から約15wt%のアルミニウムとを含む。いくつかの例では、ニッケル超合金は、約50wt%以上のニッケルと、約1wt%から約10wt%のアルミニウムとを含む。他の例では、ニッケル超合金は、約58wt%以上のニッケルと、約2wt%から約8wt%のアルミニウムとを含む。
【0018】
[0018]いくつかの例では、ニッケル超合金は、CMSX-4超合金、CMSX-4 Plus超合金、PWA合金、Rene合金、一又は複数のInconel合金、一又は複数のHaynes合金、例えば、Haynes 214、Haynes 233、アルミナ形成オーステナイト鋼合金、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。表1は、本明細書で記載及び検討される実施態様において有用ないくつかの例示的な超合金の元素組成を示す。表1では、合金(1)はCMSX-4超合金であり、合金(2)はCMSX-4 Plus超合金であり、別途記載のない限り、すべての重量は重量パーセント(wt%)の単位である。
【0019】
[0019]
図1Bは、本明細書の一又は複数の実施態様で記載及び検討される航空宇宙用部品102の表面104上に配置される金属酸化物テンプレート層110を示す。金属酸化物テンプレート層110は、一又は複数の金属酸化物、例えば、酸化クロム(例えば、CrO、CrO
2、又はCr
2O
3)、酸化タングステン(例えばWO
3)、酸化モリブデン(例えば、MoO
2又はMoO
3)、酸化バナジウム(例えば、VO、VO
2、又はV
2O
5)、それらのドーパント、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの例では、金属酸化物テンプレート層110は、テンプレート層として酸化アルミニウムを含まない。金属酸化物テンプレート層110に含まれる金属酸化物は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中の酸化アルミニウムの成長又はそうでなければ形成を促進する結晶格子を有する。金属酸化物テンプレート層110に含有される金属酸化物は、後に、昇華され得るか、蒸発され得るか、酸化し得るか、又は航空宇宙用部品102から除去され得る。このように、酸化アルミニウムの形成中及び/又はその後の熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、金属酸化物テンプレート層は、昇華又は蒸発又は酸化によって除去される。一又は複数の例では、金属酸化物テンプレート層110は酸化クロムを含み、該方法は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に酸化クロムをクロムオキシドヒドロキシド(CrO
2(OH)
2)に変換することをさらに含む。
【0020】
[0020]金属酸化物テンプレート層110は、約10nm、約20nm、約30nm、約50nm、約80nm、約100nm、約150nm、又は約200nmから約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nm、約1,000nm、約1,200nm、約1,500nm、約1,800nm、約2,000nm、約3,500nm、約5,000nm、約7,500nm、約10,000nm、又はそれ以上の厚さを有する。例えば、金属酸化物テンプレート層110は、約1,000nmから約2,000nm、約1,000nmから約5,000nm、約2,000nmから約10,000nm、約10nmから約10,000nm、約10nmから約5,000nm、約10nmから約3,500nm、約10nmから約2,000nm、約10nmから約1,500nm、約10nmから約1,000nm、約10nmから約800nm、約10nmから約600nm、約10nmから約500nm、約10nmから約400nm、約10nmから約300nm、約10nmから約200nm、約10nmから約100nm、約10nmから約80nm、約10nmから約50nm、約10nmから約30nm、約100nmから約2,000nm、約100nmから約1,500nm、約100nmから約1,000nm、約100nmから約800nm、約100nmから約600nm、約100nmから約500nm、約100nmから約400nm、約100nmから約300nm、又は約100nmから約200nmの厚さを有する。
【0021】
[0021]金属酸化物テンプレート層110は、原子層堆積(ALD)プロセス、プラズマALD(PE-ALD)プロセス、熱的化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマCVD(PE-CVD)プロセスなどの一又は複数の蒸着プロセス、及び他の堆積プロセスによって、航空宇宙用部品102上に堆積され得る。
【0022】
[0022]
図1Cは、本明細書の一又は複数の実施態様で記載および検討される、航空宇宙用部品102と金属酸化物テンプレート層110との間に配置される酸化アルミニウム層120を示す。金属酸化物テンプレート層110を含む航空宇宙用部品102は、一又は複数の熱的プロセス及び/又は一又は複数の酸化プロセスに曝露されて、酸化アルミニウム層120を形成する。熱的プロセス及び/又は酸化プロセスが進むにつれて、酸化アルミニウム層120は継続して形成され、金属酸化物テンプレート層110は徐々に除去される。最終的に、金属酸化物テンプレート層110は、完全に消費されるか又は除去され、酸化アルミニウム層120は、
図1Dに示すように、航空宇宙用部品102の残りの部分の保護コーティングである。
【0023】
[0023]一又は複数の実施態様では、熱的プロセス及び/又は酸化プロセスは、航空宇宙用部品102内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層110を含有する表面104に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品102と金属酸化物テンプレート層110との間に配置される酸化アルミニウム層120を生成することと、酸化アルミニウム層120を残しながら、金属酸化物テンプレート層110の少なくとも一部を除去することとを含む。いくつかの例では、金属酸化物テンプレート層110は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に実質的に除去されるか又は完全に除去される。
【0024】
[0024]いくつかの実施態様では、金属酸化物テンプレート層110と酸化アルミニウム層120とは、同じ結晶構造又は実質的に同じ結晶構造を有する。一又は複数の例では、金属酸化物テンプレート層110及び酸化アルミニウム層120は、コランダム結晶構造を有する。金属酸化物テンプレート層110は、テンプレートとして機能し、核形成し、拡散したアルミニウムから酸化アルミニウム層120を成長させるのを助け、したがって、それらは両方とも共通の格子結晶又は構造を共有する。いくつかの例では、酸化アルミニウム層120は、α-Al2O3を含む。金属酸化物テンプレート層110及び酸化アルミニウム層120は、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、又は約4%から約5%、約6%、約8%、又は約10%の格子不整合がある結晶構造を有する。例えば、金属酸化物テンプレート層110及び酸化アルミニウム層120は、約0.1%から約10%、約0.5%から約8%、又は約1%から約5%の格子不整合がある結晶構造を有する。
【0025】
[0025]酸化アルミニウム層120は、約10nm、約20nm、約30nm、約50nm、約80nm、約100nm、約150nm、又は約200nmから約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nm、約1,000nm、約1,200nm、約1,500nm、約2,000nm、約2,500nm、約3,000nm、約5,000nm、約6,000nm、約10,000nm、又はそれ以上の厚さを有する。例えば、酸化アルミニウム層120は、約1,000nmから約2,000nm、約1,000nmから約5,000nm、又は約2,000nmから約10,000nm、約10nmから約10,000nm、約10nmから約8,000nm、約10nmから約5,000nm、約10nmから約3,500nm、約10nmから約2,000nm、約10nmから約1,500nm、約10nmから約1,200nm、約10nmから約1,000nm、約10nmから約800nm、約10nmから約600nm、約10nmから約500nm、約10nmから約400nm、約10nmから約300nm、約10nmから約200nm、約10nmから約100nm、約10nmから約80nm、約10nmから約50nm、約10nmから約30nm、約20nmから約1,000nm、約20nmから約800nm、約20nmから約600nm、約20nmから約500nm、約20nmから約400nm、約20nmから約300nm、約20nmから約200nm、約20nmから約100nm、約20nmから約80nm、約20nmから約50nm、約100nmから約1,200nm、約100nmから約1,000nm、約100nmから約800nm、約100nmから約600nm、約100nmから約500nm、約100nmから約400nm、約100nmから約300nm、又は約100nmから約200nmの厚さを有する。
【0026】
[0026]一又は複数の実施態様では、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、航空宇宙用部品は、約800℃、約850℃、約900℃、約950℃、約980℃、又は約1,000℃から約1,050℃、約1,100℃、約1,150℃、約1,200℃、約1,300℃、約1,400℃、又は約1,500℃の温度に加熱される。例えば、航空宇宙用部品は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、約800℃から約1,500℃、約800℃から約1,300℃、約800℃から約1,150℃、約800℃から約1,100℃、約800℃から約1,050℃、約800℃から約1,000℃、約800℃から約950℃、約800℃から約900℃、約850℃から約1,500℃、約850℃から約1,300℃、約850℃から約1,150℃、約850℃から約1,100℃、約850℃から約1,050℃、約850℃から約1,000℃、約850℃から約950℃、約850℃から約900℃、約950℃から約1,500℃、約950℃から約1,300℃、約950℃から約1,150℃、約950℃から約1,100℃、約950℃から約1,050℃、又は約950℃から約1,000℃の温度に加熱される。
【0027】
[0027]いくつかの実施態様では、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、航空宇宙用部品は、約20分間、約30分間、約40分間、約50分間、約1時間、約1.5時間、又は約2時間から約3時間、約5時間、約8時間、約10時間、約20時間、約24時間、約30時間、約50時間、約80時間、約100時間、約1,000時間、約10,000時間、約25,000時間、約35,000時間、約50,000時間、約100,000時間、約200,000時間又はそれ以上加熱される。例えば、航空宇宙用部品は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、約20分間から約100時間、約20分間から約50時間、約20分間から約24時間、約20分間から約10時間、約20分間から約5時間、約20分間から約2時間、約20分間から約1時間、約20分間から約45分間、約20分間から約40分間、又は約20分間から約30分間加熱される。
【0028】
[0028]いくつかの実施態様では、航空宇宙用部品は、タービン、エンジン、ポンプ、又はその他の機械で航空宇宙用部品の動作中又は使用中に熱サイクルされる。例えば、航空宇宙用部品は、航空宇宙用部品を含むジェット又はポンプの動作時に加熱され、使用が停止されると冷却される。この加熱及び冷却は、単一の熱サイクルであり、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス時に何度も繰り返され得る。このように、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、航空宇宙用部品は、約-50℃から約35℃の周囲温度から熱サイクルされ、その後約35℃から約100℃のより温かい温度に加熱され、その後約100℃から約1,200℃のプロセス温度に加熱され得る。その後、航空宇宙用部品は、一つの熱サイクルを完了するために、温かい温度及び/又は周囲温度に冷却され得る。これらの加熱及び冷却サブサイクルは、単一の熱サイクルを形成し、これは、2回、3回、約50回、約100回、約500回、又は約1,000回から約2,000回、約4,000回、約10,000回、約15,000回、約25,000回、又はそれ以上繰り返され得る。
【0029】
[0029]一又は複数の例では、航空宇宙用部品は、熱的プロセス中に、約800℃から約1,500℃の温度に約20分間から約100時間加熱される。他の例では、航空宇宙用部品は、熱的プロセス中に、約900℃から約1,200℃の温度に加熱される。いくつかの例では、航空宇宙用部品は、熱的プロセス中に、約1,000℃から約1,100℃の温度に加熱される。
【0030】
[0030]一又は複数の実施態様では、酸素は、アルミニウムと反応する前に金属酸化物テンプレート層を通って拡散され、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に酸化アルミニウム層を生成する。酸素は、一又は複数の酸素源に由来し得る。例示的な酸素源又は酸化剤は、酸素ガス(O2)、周囲空気(O2含有)、水又は蒸気、オゾン、原子酸素、亜酸化窒素、過酸化水素、一又は複数の有機過酸化物、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか又はそれらを含み得る。一又は複数の例では、航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、酸素を含有する空気に曝露される。この周囲酸素(O2)は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中、酸化剤である。
【0031】
[0031]一又は複数の実施態様では、この方法は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセスを実施しながら、航空宇宙用部品を含むジェットエンジン又はタービンに動力を供給することを含む。例えば、ジェットエンジン又はタービンの燃料の燃焼に由来する熱エネルギーは、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層を加熱するのに使用される。いくつかの例では、航空宇宙用部品を含むジェットエンジンは、目的地間を飛行する航空機に接着される。他の例では、タービンは、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に動作される航空宇宙用部品を含む陸上タービン(例えばポンプ)である。
【0032】
[0032]他の実施態様では、航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層は、熱的プロセス及び/又は酸化プロセス中に、一又は複数の酸素源又は酸化剤を含む処理チャンバ又は炉内で加熱される。例示的な酸素源又は酸化剤は、酸素ガス(O2)、周囲空気(O2含有)、水又は蒸気、オゾン、原子酸素、亜酸化窒素、過酸化水素、一又は複数の有機過酸化物、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか又はそれらを含み得る。
【0033】
[0033]一又は複数の実施態様では、航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層は、熱的プロセスの1つの熱サイクル中に、第1の期間予熱され、第2の期間所定の温度で維持され、第3の期間冷却される。所定の温度は、約900℃から約1,200℃、又は約1,000℃から約1,100℃である。熱サイクルは、2、3、5、8、10、12、15、又は20回から約30、約40、約50、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約1,000、約2,000、約3,500、約5,000、約10,000、約20,000、約30,000、又はそれ以上繰り返され得る。いくつかの例では、熱サイクルは、2回から約300回、10回から約150回、20回から約100回、又は2,000回から約10,000回繰り返され得る。
【0034】
[0034]一又は複数の例では、第1の期間は約1分間から約30分間であり、第2の期間は約15分間から約120分間であり、第3の期間は約0.5分間から約15分間である。いくつかの例では、第1の期間は約5分間から約25分間であり、第2の期間は約20分間から約90分間であり、第3の期間は約1分間から約10分間である。他の例では、第1の期間は約10分間から約20分間であり、第2の期間は約30分間から約60分間であり、第3の期間は約3分間から約8分間である。
【0035】
[0035]一又は複数の実施態様では、航空宇宙用部品は、ニッケル超合金を含む本体と、本体上に配置された金属酸化物テンプレート層と、航空宇宙用部品の本体と金属酸化物テンプレート層との間に配置された酸化アルミニウム層を含む。本体内の超合金は、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む。金属酸化物テンプレート層は、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの例では、酸化アルミニウム層はα-Al2O3を含む。金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層は、コランダム結晶構造などの同じ結晶構造を有する。金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層は、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、又は約4%から約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%の格子不整合がある結晶構造を有し得る。例えば、金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層は、約0.1%から約10%、約2%から約6%、約3%から約5%、又は約3.5%から約4.5%の格子不整合がある結晶構造を有し得る。
【0036】
航空宇宙用部品の任意選択的な予洗浄
[0036]航空宇宙用部品上への金属酸化物テンプレート層の堆積又は形成の前に、航空宇宙用部品は、場合によっては、一又は複数の予洗浄プロセスに曝露され得る。航空宇宙用部品の表面は、酸化物、有機物、油、土壌、微粒子、破片を含むことがあり、かつ/又は他の汚染物質は、航空宇宙用部品上への金属酸化物テンプレート層(例えば保護コーティング)の生成前に除去される。予洗浄プロセスは、一又は複数のベースティング又はテクスチャリングプロセス、真空パージ、溶媒洗浄、酸洗浄、ウェット洗浄、プラズマ洗浄、超音波処理、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。続いて堆積される金属酸化物テンプレート層は、一旦洗浄及び/又はテクスチャリングされると、予洗浄プロセスに曝露されていない場合よりも、航空宇宙用部品の表面への接着が強くなる。
【0037】
[0037]一又は複数の例では、航空宇宙用部品の表面は、ビーズ、砂、炭酸塩、又は他の微粒子でブラスト処理され得るか又はそうでなければそれらに曝露されて、酸化物又は他の汚染物質を除去し、かつ/又は、航空宇宙用部品の表面にテクスチャリングを提供し得る。いくつかの例では、航空宇宙用部品は、パルスプッシュプルシステム内のチャンバ内に置くことができ、パージガス(例えば、N2、Ar、He、又はそれらの任意の組み合わせ)と真空パージのサイクルに曝露されて、航空宇宙用部品上の小さな孔から破片を除去し得る。他の例では、航空宇宙用部品の表面は、プラズマチャンバ内で又は遠隔プラズマシステムによって生成され得る、水素プラズマ、酸素若しくはオゾンプラズマ、及び/又は窒素プラズマに曝露され得る。
【0038】
[0038]有機物の除去又は酸化物の除去などの一又は複数の例では、航空宇宙用部品の表面は、水素プラズマに曝露され、その後脱気され、その後オゾン処理に曝露され得る。有機物の除去などの他の例では、航空宇宙用部品の表面は、ウェット洗浄に曝露され得る。ウェット洗浄には、アルカリ性脱脂溶液に浸漬し、すすぎ、表面を酸洗浄剤(硫酸、リン酸、塩酸など)に曝露し、すすぎ、表面を脱イオン水超音波浴に曝露することが含まれる。酸化物の除去などのいくつかの例では、航空宇宙用部品の表面は、ウェット洗浄に曝露され得る。ウェット洗浄には、表面を希酸溶液(例えば、酢酸又は塩酸)に曝露し、すすぎ、表面を脱イオン水超音波浴に曝露することが含まれる。微粒子の除去などの一又は複数の例では、航空宇宙用部品の表面は、超音波処理(例えばメガソニック)及び/又は超臨界二酸化炭素洗浄に曝露され得、続いて、パージガス(例えば、N2、Ar、He、それらの任意の組み合わせ)と真空パージのサイクルに曝露されて、粒子を表面から除去し、表面を乾燥させ得る。いくつかの例では、航空宇宙用部品は、航空宇宙用部品を約50℃、約65℃、又は約80℃から約100℃、約120℃、又は約150℃の温度に加熱すること及び表面をパージガスに曝露することなどの、加熱又は乾燥プロセスに曝露され得る。航空宇宙用部品は、オーブン内で加熱され得るか、又は加熱若しくは乾燥プロセス用のランプに曝露され得る。
【0039】
金属酸化物テンプレート層の蒸着
[0039]航空宇宙用部品は、第1の前駆体及び第1の反応物質に曝露されて、蒸着プロセスによって、堆積酸化物層を航空宇宙用部品上に形成し得る。蒸着プロセスは、ALDプロセス、プラズマALD(PE-ALD)プロセス、熱的化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマCVD(PE-CVD)プロセス、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0040】
[0040]一又は複数の実施態様では、蒸着プロセスはALDプロセスであり、該方法は、航空宇宙用部品の表面を第1の前駆体及び第1の反応物質に逐次的に曝露して、堆積酸化物層を形成することを含む。ALDプロセスの各サイクルは、航空宇宙用部品の表面を第1の前駆体に曝露することと、ポンプパージを実施することと、航空宇宙用部品を第1の反応物質に曝露することと、ポンプパージを実施して堆積酸化物層を形成することとを含む。ALDサイクルが、航空宇宙用部品の表面を第1の反応物質に曝露することと、ポンプパージを実施することと、航空宇宙用部品を第1の前駆体に曝露することと、ポンプパージを実施して堆積酸化物層を形成することとを含むように、第1の前駆体と第1の反応物質の順序を逆にすることができる。
【0041】
[0041]いくつかの例では、各ALDサイクル中、航空宇宙用部品は、約0.1秒間から約10秒間、第1の前駆体に曝露され、約0.1秒間から約10秒間、第1の反応物質に曝露され、約0.5秒間から約30秒間ポンプパージに曝露される。他の例では、ALDサイクル中、航空宇宙用部品は、約0.5秒間から約3秒間、第1の前駆体に曝露され、約0.5秒間から約3秒間、第1の反応物質に曝露され、約1秒間から約10秒間、ポンプパージに曝露される。
【0042】
[0042]各ALDサイクルは、2、3、4、5、6、8、約10、約12、又は約15回から約18、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約800、約1,000回、又はそれ以上繰り返されて、第1の堆積層を形成する。例えば、各ALDサイクルは、2回から約1,000回、2回から約800回、2回から約500回、2回から約300回、2回から約250回、2回から約200回、2回から約150回、2回から約120回、2回から約100回、2回から約80回、2回から約50回、2回から約30回、2回から約20回、2回から約15回、2回から約10回、2回から5回、約8回から約1,000回、約8回から約800回、約8回から約500回、約8回から約300回、約8回から約250回、約8回から約200回、約8回から約150回、約8回から約120回、約8回から約100回、約8回から約80回、約8回から約50回、約8回から約30回、約8回から約20回、約8回から約15回、約8回から約10回、約20回から約1,000回、約20回から約800回、約20回から約500回、約20回から約300回、約20回から約250回、約20回から約200回、約20回から約150回、約20回から約120回、約20回から約100回、約20回から約80回、約20回から約50回、約20回から約30回、約50回から約1,000回、約50回から約500回、約50回から約350回、約50回から約300回、約50回から約250回、約50回から約150回、又は約50回から約100回繰り返されて、堆積酸化物層を形成する。
【0043】
[0043]他の実施態様では、蒸着プロセスはCVDプロセスであり、該方法は、航空宇宙用部品を第1の前駆体及び第1の反応物質に同時に曝露して、堆積酸化物層を形成することを含む。ALDプロセス又はCVDプロセス中、第1の前駆体及び第1の反応物質のそれぞれは、独立して、一又は複数のキャリアガスを含み得る。一又は複数のパージガスは、第1の前駆体と第1の反応物質の曝露の間に、航空宇宙用部品を横切って、及び/又は処理チャンバ全体に流れることができる。いくつかの例では、キャリアガス及びパージガスとして同じ気体が使用され得る。例示的なキャリアガス及びパージガスは、独立して、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素(H2)、又はそれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数であり得るか、又はそれらを含み得る。
【0044】
[0044]堆積酸化物層は、約0.1nm、約0.2nm、約0.3nm、約0.4nm、約0.5nm、約0.8nm、約1nm、約2nm、約3nm、約5nm、約8nm、約10nm、約12nm、又は約15nmから約18nm、約20nm、約25nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約80nm、約100nm、約120nm、又は約150nmの厚さを有し得る。例えば、堆積酸化物層は、約0.1nmから約150nm、約0.2nmから約150nm、約0.2nmから約120nm、約0.2nmから約100nm、約0.2nmから約80nm、約0.2nmから約50nm、約0.2nmから約40nm、約0.2nmから約30nm、約0.2nmから約20nm、約0.2nmから約10nm、約0.2nmから約5nm、約0.2nmから約1nm、約0.2nmから約0.5nm、約0.5nmから約150nm、約0.5nmから約120nm、約0.5nmから約100nm、約0.5nmから約80nm、約0.5nmから約50nm、約0.5nmから約40nm、約0.5nmから約30nm、約0.5nmから約20nm、約0.5nmから約10nm、約0.5nmから約5nm、約0.5nmから約1nm、約2nmから約150nm、約2nmから約120nm、約2nmから約100nm、約2nmから約80nm、約2nmから約50nm、約2nmから約40nm、約2nmから約30nm、約2nmから約20nm、約2nmから約10nm、約2nmから約5nm、約2nmから約3nm、約10nmから約150nm、約10nmから約120nm、約10nmから約100nm、約10nmから約80nm、約10nmから約50nm、約10nmから約40nm、約10nmから約30nm、約10nmから約20nm、又は約10nmから約15nmの厚さを有し得る。
【0045】
[0045]一又は複数の実施態様では、第1の前駆体は、一又は複数のクロム前駆体、一又は複数のタングステン前駆体、又は一又は複数のモリブデン前駆体、一又は複数のバナジウム前駆体を含む。第1の反応物質は、一又は複数の酸化剤を含む。いくつかの例では、堆積酸化物層は、酸化クロム(例えば、CrO、CrO2、又はCr2O3)、酸化タングステン(例えば、WO3)、酸化モリブデン(例えば、MoO2又はMoO3)、酸化バナジウム(例えば、VO、VO2、又はV2O5)、それらのドーパント、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0046】
[0046]クロム前駆体は、クロムシクロペンタジエン化合物、クロムカルボニル化合物、クロムアセチルアセトネート化合物、クロムジアザジエニル化合物、それらの代用物、それらの複合体、それらのアブダクト(abduct)、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせのうちの一又は複数であり得るか、又はそれらを含み得る。例示的なクロム前駆体は、ビス(シクロペンタジエン)クロム(Cp
2Cr)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエン)クロム((Me
5Cp)
2Cr)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエン(isoproplycyclopentadiene))クロム((iPrCp)
2Cr)、ビス(エチルベンゼン)クロム((EtBz)
2Cr)、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)
6)、クロムアセチルアセトネート(Cr(acac)
3、トリス(2,4-ペンタンジオノ)クロム)としても知られる)、クロムヘキサフルオロアセチルアセトネート(Cr(hfac)
3)、クロム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート){Cr(tmhd)
3}、クロム(II)ビス(1,4-ジtertブチルジアザジエニル)、それらの異性体、それらの複合体、それらのアブダクト(abduct)、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。例示的なクロムジアザジエニル化合物は、下記の化学式を有し得る:
【0047】
[0047]ここで、各R及びR’は、H、C1-C6アルキル、アリール、アシル、アルキルアミド、ヒドラジド、シリル、アルデヒド、ケト、C2-C4アルケニル、アルキニル、又はそれらの代用物から独立して選択される。いくつかの例では、各Rは、独立してC1-C6アルキルであり、C1-C6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はそれらの異性体から選択され、R’はHである。例えば、Rはメチルであり、R’はHであるか、又はRはエチルであり、R’はHであるか、又はRはイソ-プロピルであり、R’はHであるか、又はRはtert-ブチルであり、R’はHである。
【0048】
[0048]例示的な酸化剤は、水(例えば、蒸気)、酸素(O2)、原子酸素、オゾン、亜酸化窒素、一又は複数の過酸化物、一又は複数のアルコール、それらのプラズマ、又はそれらの任意の組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0049】
[0049]本開示の実施態様はさらに、以下の条項1から35のうちのいずれか一つ又は複数に関する。
【0050】
[0050]1.航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法であって、ニッケルとアルミニウムとを含む航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することと;熱的プロセス中に金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品を加熱することであって、熱的プロセスが、航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品の表面に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、酸化アルミニウム層を残しながら、金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することとを含む、航空宇宙用部品を加熱することと;を含む、方法。
【0051】
[0051]2.航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法であって、ニッケルとアルミニウムとを含む航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することであって、金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、金属酸化物テンプレート層を堆積することと;熱的プロセス中に金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品を約900℃から約1,200℃の温度に加熱することであって、熱的プロセスが、航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、金属酸化物テンプレート層を含む航空宇宙用部品の表面に向かって拡散することと、拡散されたアルミニウムを酸化させて、航空宇宙用部品と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、酸化アルミニウム層を残しながら、金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することとを含む、航空宇宙用部品を加熱することと;を含む、方法。
【0052】
[0052]3.航空宇宙用部品であって、ニッケル超合金を含む本体であって、超合金が、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む、本体と;本体上に配置される金属酸化物テンプレート層であって、金属酸化物テンプレート層が、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、金属酸化物テンプレート層と;航空宇宙用部品の本体と金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層とを含む、航空宇宙用部品。
【0053】
[0053]4.金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0054】
[0054]5.金属酸化物テンプレート層が酸化クロムを含み、方法が、熱的プロセス中に酸化クロムをクロムオキシドヒドロキシドに変換することを含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0055】
[0055]6.金属酸化物テンプレート層が約10nmから約2,000nmの厚さを有する、条項1から5のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0056】
[0056]7.金属酸化物テンプレート層が約100nmから約1,000nmの厚さを有する、条項1から6のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0057】
[0057]8.酸化アルミニウム層が約10nmから約1,000nmの厚さを有する、条項1から7のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0058】
[0058]9.酸化アルミニウム層が約20nmから約500nmの厚さを有する、条項1から8のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0059】
[0059]10.酸化アルミニウム層がα-Al2O3を含む、条項1から9のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0060】
[0060]11.金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層が、コランダム結晶構造を有する、条項10に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0061】
[0061]12.金属酸化物テンプレート層及び酸化アルミニウム層が、約0.1%から約10%の格子不整合がある結晶構造を有する、条項10に記載の方法及び航空宇宙用部品。
【0062】
[0062]13.金属酸化物テンプレート層が、熱的プロセス中に、昇華、蒸発、又は酸化によって除去される、条項1から12のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0063】
[0063]14.航空宇宙用部品が、熱的プロセス中に、約800℃から約1,500℃の温度に約20分間から約100時間加熱される、条項1から13のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0064】
[0064]15.航空宇宙用部品が、熱的プロセス中に、約900℃から約1,200℃の温度に加熱される、条項14に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0065】
[0065]16.航空宇宙用部品が、熱的プロセス中に、約1,000℃から約1,100℃の温度に加熱される、条項15に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0066】
[0066]17.酸素が、アルミニウムと反応する前に、金属酸化物テンプレート層を通じて拡散されて、酸化アルミニウム層を生成する、条項1から16のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0067】
[0067]18.航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層が、熱的プロセス中に、酸素を含有する空気に曝露される、条項17に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0068】
[0068]19.熱的プロセスを実施しながら、航空宇宙用部品を含むジェットエンジン又はタービンに動力を供給することをさらに含む、条項1から18のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0069】
[0069]20.ジェットエンジン又はタービンからの熱エネルギーが、熱的プロセス中に航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層を加熱するのに使用される、条項19に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0070】
[0070]21.航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層が、熱的プロセス中に処理チャンバ又は炉内で加熱される、条項1から20のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0071】
[0071]22.航空宇宙用部品及び金属酸化物テンプレート層が、熱的プロセスの1つの熱サイクル中に、第1の期間予熱され、第2の期間所定の温度で維持され、第3の期間冷却される、条項21に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0072】
[0072]23.第1の期間が約1分間から約30分間であり、第2の期間が約15分間から約120分間であり、第3の期間が約0.5分間から約15分間である、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0073】
[0073]24.第1の期間が約5分間から約25分間であり、第2の期間が約20分間から約90分間であり、第3の期間が約1分間から約10分間である、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0074】
[0074]25.第1の期間が約10分間から約20分間であり、第2の期間が約30分間から約60分間であり、第3の期間が約3分間から約8分間である、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0075】
[0075]26.熱サイクルが、2回から約300回繰り返される、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0076】
[0076]27.熱サイクルが、10回から約150回繰り返される、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0077】
[0077]28.所定の温度が約900℃から約1,200℃である、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0078】
[0078]29.所定の温度が約1,000℃から約1,100℃である、条項22に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0079】
[0079]30.金属酸化物テンプレート層が、ALDプロセス又はCVDプロセスによって航空宇宙用部品上に堆積される、条項1から29のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0080】
[0080]31.航空宇宙用部品が、タービンブレード、タービン翼、支持部材、フレーム、リブ、フィン、ピンフィン、燃焼器燃料ノズル、燃焼器シールド、内部冷却チャネル、又はそれらの任意の組み合わせである、条項1から30のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0081】
[0081]32.航空宇宙用部品がニッケル超合金を含み、ニッケル超合金が、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む、条項1から31のいずれか一項に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0082】
[0082]33.ニッケル超合金が、約40wt%以上のニッケルと、約0.5wt%から約15wt%のアルミニウムとを含む、条項32に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0083】
[0083]34.ニッケル超合金が、約50wt%以上のニッケルと、約1wt%から約10wt%のアルミニウムとを含む、条項32に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0084】
[0084]35.ニッケル超合金が、約58wt%以上のニッケルと、約2wt%から約8wt%のアルミニウムとを含む、条項32に記載の方法又は航空宇宙用部品。
【0085】
[0085]以上の記述は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施態様及び更なる実施態様が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本書に記載の全ての文書は、この本文と矛盾しない限りにおいて、あらゆる優先文書及び/又は試験手順を含め、参照により本書に援用される。上述した概要及び具体的な実施態様から自明であるように、本開示の形態が図示され、説明されているが、本開示の本質及び範囲から逸脱することなく、様々な改変が行われ得る。したがって、図示され、説明されている本開示の形態によって本開示を限定することは意図されていない。同様に、「備える/含む(comprising)」という語は、米国法の解釈での「含む(including)」という語の同義語であると見なされる。同様に、組成物、要素、又は要素の群に「備える/含む(comprising)」という移行表現(transitional phrase)が先行する場合は常に、かかる組成物又は一又は複数の要素の列挙に先だって「実質的に~からなる(consisting essentially of)」、「~からなる(consisting of)」、「~からなる群より選択される(selected from the group of consisting of)」、又は「~である(is)」という移行表現を有する同じ組成物又は要素の群も想定され、その逆もまた同様であると、理解される。
【0086】
[0086]ある種の実施態様及び特徴は、数値の上限のセット及び数値の下限のセットを使用して説明されている。別途指示されない限り、任意の2つの値の組み合わせ(例えば、任意の下方値と任意の上方値との組み合わせ、任意の2つの下方値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上方値の組み合わせ)を含む範囲が想定されると、認識すべきである。以下の一又は複数の請求項には、ある種の下限、上限、及び範囲が記載されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法であって、
ニッケルとアルミニウムとを含む前記航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することと;
熱的プロセス中に前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品を加熱することであって、前記熱的プロセスが、
前記航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品の表面に向かって拡散することと、
拡散されたアルミニウムを酸化させて、前記航空宇宙用部品と前記金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、
前記酸化アルミニウム層を残しながら、前記金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することと
を含む、前記航空宇宙用部品を加熱することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属酸化物テンプレート層が酸化クロムを含み、前記熱的プロセス中に前記酸化クロムをクロムオキシドヒドロキシドに変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物テンプレート層が約10nmから約2,000nmの厚さを有し、前記酸化アルミニウム層が約10nmから約1,000nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化アルミニウム層がα-Al
2O
3を含み、前記金属酸化物テンプレート層及び前記酸化アルミニウム層がコランダム結晶構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属酸化物テンプレート層及び前記酸化アルミニウム層が、約0.1%から約10%の格子不整合がある結晶構造を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセス中に昇華又は蒸発又は酸化によって除去さ
れる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記航空宇宙用部品が、前記熱的プロセス中に、約800℃から約1,500℃の温度に約20分間から約100時間加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酸素が、アルミニウムと反応する前に、前記金属酸化物テンプレート層を通じて拡散されて、前記酸化アルミニウム層を生成し、前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセス中に酸素を含む空気に曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱的プロセスを実施しながら、前記航空宇宙用部品を含むジェットエンジン又はタービンに動力を供給することであって、前記ジェットエンジン又は前記タービンからの熱エネルギーが、前記熱的プロセス中に前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層を加熱するのに使用される、ジェットエンジン又はタービンに動力を供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセス中に処理チャンバ又は炉内で加熱さ
れる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記航空宇宙用部品及び前記金属酸化物テンプレート層が、前記熱的プロセスの1つの熱サイクル中に、第1の期間予熱され、第2の期間所定の温度で維持され、かつ第3の期間冷却される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の期間が約1分間から約30分間であり、前記第2の期間が約15分間から約120分間であり、前記第3の期間が約0.5分間から約15分間で
ある、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱サイクルが2回から約300回繰り返され、前記所定の温度が約900℃から約1,200℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記金属酸化物テンプレート層が、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスによって前記航空宇宙用部品上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記航空宇宙用部品が、タービンブレード、タービン翼、支持部材、フレーム、リブ、フィン、ピンフィン、燃焼器燃料ノズル、燃焼器シールド、内部冷却チャネル、又はそれらの任意の組み合わせであ
る、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記航空宇宙用部品がニッケル超合金を含み、前記ニッケル超合金が、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ニッケル超合金が、約40wt%以上のニッケルと、約0.5wt%から約15wt%のアルミニウムとを含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを生成するための方法であって、
ニッケルとアルミニウムとを含む前記航空宇宙用部品上に金属酸化物テンプレート層を堆積することであって、前記金属酸化物テンプレート層が、酸化クロム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含
む、金属酸化物テンプレート層を堆積することと;
熱的プロセス中に、前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品を約900℃から約1,200℃の温度に加熱することであって、前記熱的プロセスが、
前記航空宇宙用部品内に含まれるアルミニウムを、前記金属酸化物テンプレート層を含む前記航空宇宙用部品の表面に向かって拡散することと、
拡散されたアルミニウムを酸化させて、前記航空宇宙用部品と前記金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層を生成することと、
前記酸化アルミニウム層を残しながら、前記金属酸化物テンプレート層の少なくとも一部を除去することと
を含む、前記航空宇宙用部品を加熱することと
を含む、方法。
【請求項20】
航空宇宙用部品であって、
ニッケル超合金を含む本体であって、前記
ニッケル超合金が、ニッケルと、アルミニウムと、クロム、コバルト、チタン、モリブデン、タングステン、又はそれらの合金から選択される一又は複数の金属とを含む、本体と;
前記本体上に配置される金属酸化物テンプレート層であって、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、金属酸化物テンプレート層と;
前記航空宇宙用部品の前記本体と前記金属酸化物テンプレート層との間に配置される酸化アルミニウム層とを含む、
航空宇宙用部品。
【国際調査報告】