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特表2022-538040ハロゲン化化学物質によるフォトレジスト現像
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ハロゲン化化学物質によるフォトレジスト現像
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/36 20060101AFI20220824BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220824BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20220824BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
G03F7/36
H01L21/302 105A
H01L21/30 569H
G03F7/004 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575910
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 US2020039615
(87)【国際公開番号】W WO2020264158
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,942
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン・サマンサ・シャンファ
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジェンイ
(72)【発明者】
【氏名】リー・ダ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・イウェン
(72)【発明者】
【氏名】パン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マークス・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴットショー・リチャード・エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ワイドマン・ティモシー・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロスキー・ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ウェンビン
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
5F004
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA13
2H196CA14
2H196CA17
2H196EA07
2H196GA36
2H196GA37
2H196GA38
2H196GA39
2H196GA40
2H225AB03
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2H225CA12
2H225CB14
2H225CC05
2H225CD14
5F004AA09
5F004BA04
5F004BA19
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5F004BB18
5F004BB25
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5F004CA06
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5F004EA27
5F004EA34
5F004EA38
5F004FA08
5F146LB01
5F146LB02
5F146LB07
(57)【要約】
【解決手段】レジストの現像は、例えば、高解像度のパターニングとの関連でパターニングマスクを形成するのに有用である。現像は、ハロゲン化水素などのハロゲン化物含有化学物質を使用して実現できる。ドライ又はウェット堆積技術を使用して、金属含有レジスト膜を半導体基板上に堆積させてよい。レジスト膜は、EUV感光性の有機金属酸化物薄膜レジスト又は有機金属含有薄膜レジストとしてよい。露光後、フォトパターニングされた金属含有レジストは、ウェット又はドライ現像を使用して現像される。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理する方法であって、
プロセスチャンバ内において、フォトパターニングされた金属含有レジストを、半導体基板の基板層上に設けることと、
ハロゲン化物を含む現像化学物質への曝露により前記レジストの一部分を選択的に除去することにより、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを現像して、レジストマスクを形成することと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストはフォトパターニングされた金属含有EUVレジストである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを現像することは、前記現像化学物質により、前記EUVレジストのEUV非露光部分をEUV露光部分に対して選択的に除去して、前記レジストマスクを形成することを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記基板層を除去せずに、前記フォトパターニングされた金属含有レジストの前記EUV非露光部分及び前記EUV露光部分を非選択的に除去することを更に含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記現像化学物質は、ハロゲン化水素、水素ガス及びハロゲンガス、有機ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、ハロゲン化カルボニル、ハロゲン化チオニル、又はそれらの混合物を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記現像化学物質は、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、又はヨウ化水素(HI)を含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、前記現像化学物質は、水素ガス(H2)と、フッ素ガス(F2)、塩素ガス(Cl2)、臭素ガス(Br2)、又はヨウ素ガス(I2)とを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記ハロゲン化物は、キャリアガスと共に前記プロセスチャンバ内へと流され、前記キャリアガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、又は窒素(N2)を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記現像化学物質への曝露による前記フォトパターニングされた金属含有レジストの現像は、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを、ドライ現像化学物質への曝露によりドライ現像することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストをドライ現像することは、前記ハロゲン化物のラジカルを含むリモートプラズマを前記レジストに適用することを含む、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストをドライ現像することは、プラズマを用いない熱プロセスにて、少なくとも前記ハロゲン化物に曝露させることを含む、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストをドライ現像することは、約-60℃~約120℃の温度で、0.1mTorr~約760Torrのチャンバ圧力で、100sccm~2000sccmの前記ハロゲン化物のガス流量で行われ、前記レジストマスクのエッチング選択性は、前記温度、前記チャンバ圧力、前記ガス流量、又はそれらの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて調整可能である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記温度は、約-20℃~約20℃である、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記レジストマスクのプロファイルが、前記温度、前記チャンバ圧力、前記ガス流量、又はそれらの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて制御可能である、方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストは、有機金属酸化物薄膜又は有機金属含有薄膜である、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストは有機スズ酸化物を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストは、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、及びゲルマニウムからなる群から選択される元素を含む、方法。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを提供することは、前記基板層上に金属含有レジスト膜を気相堆積することを含む、方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを提供することは、前記基板層上に金属含有レジスト膜をスピンコーティングすることを含む、方法。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストの厚さが約10nm~約50nmである、方法。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記フォトパターニングされた金属含有レジストを現像した後、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを不活性ガスプラズマに曝露させることを更に含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記フォトパターニングされた金属含有レジストを現像する作業と、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを前記不活性ガスプラズマに曝露させる作業とを反復すること更に含む、方法。
【請求項23】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記フォトパターニングされた金属含有レジストを現像する前に、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを高温でベークすることを更に含む、方法。
【請求項24】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを提供することは、
前記半導体基板上に金属含有EUVレジスト膜を堆積させることと、
前記半導体基板の裏面及びベベルエッジにある、前記金属含有EUVレジスト膜の一部を、非選択的に除去することと、
前記金属含有EUVレジスト膜をEUV光に露光させて、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを形成することと、を含む方法。
【請求項25】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記半導体基板上に金属含有EUVレジスト膜を堆積させることと、
前記フォトパターニングされた金属含有レジストを提供する前に、前記基板層を除去することなく、前記半導体基板から前記金属含有EUVレジスト膜を非選択的に除去することと、を更に含む方法。
【請求項26】
レジストの現像を行う装置であって、前記装置は、
基板支持体を有するプロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合された真空ラインと、
前記プロセスチャンバに結合された現像化学物質ラインと、
半導体基板を処理するための命令を有するように構成されたコントローラと、を備え、前記命令は、
前記プロセスチャンバ内において、前記半導体基板の基板層上にフォトパターニングされた金属含有レジストを提供するための、
及びハロゲン化物を含む現像化学物質への曝露により前記レジストの一部分を選択的に除去することにより、前記フォトパターニングされた金属含有レジストを現像してレジストマスクを形成するための、コードを含む、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、前記フォトパターニングされた金属含有レジストはフォトパターニングされた金属含有EUVレジストであり、前記コントローラは、前記フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを現像するためのコードを含み、前記現像化学物質により前記EUVレジストのEUV非露光部分をEUV露光部分に対して選択的に除去して前記レジストマスクを形成するためのコードを含む、命令を有するように構成されている、装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置であって、
前記基板支持体に結合された1つ以上のヒーターを更に備え、前記1つ以上のヒーターは複数の独立して制御可能な温度制御ゾーンを含む、装置。
【請求項29】
請求項26に記載の装置であって、前記プロセスチャンバの内部が腐食防止剤でコーティングされている、装置。
【請求項30】
請求項26に記載の装置であって、
前記プロセスチャンバに結合されたコールドトラップを更に備え、前記コールドトラップは前記プロセスチャンバから水を除去するように構成されている、装置。
【請求項31】
請求項26~30のいずれか一項に記載の装置であって、前記プロセスチャンバはプラスチック材料を含む、装置。
【請求項32】
請求項26~30のいずれか一項に記載の装置であって、前記プロセスチャンバに結合されたUVランプ又はIRランプを更に備え、前記UVランプ又は前記IRランプは前記フォトパターニングされた金属含有レジストをキュアするか、又は過剰のハロゲン化物を前記プロセスチャンバから除去するように構成されている、装置。
【請求項33】
半導体基板を処理する方法であって、前記方法は、
プロセスチャンバ内において、ドライ堆積されたフォトパターニングされた金属酸化物EUVレジストを半導体基板の基板層上に設けることと、
HCl及び/又はHBrを含むドライ現像化学物質への曝露により、前記EUVレジストのEUV非露光部分を選択的に除去することにより、前記フォトパターニングされた金属酸化物EUVレジストをドライ現像して、前記EUV露光部分からレジストハードマスクを形成することと、を含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、ドライ現像がプラズマを用いない熱プロセスで行われ、前記ドライ現像化学物質への曝露は約-20℃~約20℃の温度で行われる、方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法であって、前記フォトパターニングされた金属酸化物EUVレジストは有機スズ酸化物を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[参照による組み込み]
本出願の一部として、PCT願書が本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCT願書において確認したように、本出願が優先権の利益を主張する対象である出願の各々が、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
集積回路などの半導体デバイスの製造は、フォトリソグラフィを伴う多段階プロセスである。一般に、このプロセスは、ウェハー上に材料を堆積し、リソグラフィ技術により材料をパターニングして半導体デバイスの構造的フィーチャ(例えば、トランジスタ及び回路)を形成することを含む。当該技術分野において既知の典型的なフォトリソグラフィプロセスの工程は、基板を準備する工程と;スピンコーティングなどによりフォトレジストを塗布する工程と;フォトレジストを所望のパターンで露光して、フォトレジストの露光された領域を、ある程度、現像液に可溶性にする工程と;現像液を適用することにより現像して、フォトレジストの露光領域又は非露光領域のどちらかを除去する工程と;その後の、フォトレジストが除去された基板の領域にフィーチャを形成するために、例えばエッチング又は材料堆積によって処理する工程と、を含む。
【0003】
半導体設計の進化が、半導体基板材料上に、これまでにない微細なフィーチャを作製する必要性を生み出してきており、それを作製する能力によって推進されてきた。技術のこのような進歩は、高密度集積回路におけるトランジスタ密度が2年ごとに2倍になるという「ムーアの法則」において特徴付けられている。実際、チップの設計と製造は進歩しており、その結果、最新のマイクロプロセッサは、単一のチップ上に数十億個のトランジスタ及び他の回路機能を含む場合がある。そのようなチップ上の個々のフィーチャは、22ナノメートル(nm)以下、場合によっては10nm未満のオーダーである場合がある。
【0004】
そのように小さなフィーチャを有するデバイスの製造における課題の1つは、十分な解像度を有するフォトリソグラフィマスクを確実かつ再現可能に作製する能力である。現在のフォトリソグラフィプロセスは、典型的には193nmの紫外線(UV)光を使用してフォトレジストを露光する。半導体基板上に作製されるフィーチャの所望のサイズよりも大幅に大きい波長を、光が有するという事実は、固有の問題を生む。光の波長よりも小さいフィーチャサイズを実現するには、マルチパターニングなどの複雑な解像度向上技術の使用を必要とする。したがって、10nm~15nm、例えば、13.5nmの波長を有する極紫外線(EUV)などのより短い波長の光を使用するフォトリソグラフィ技術を開発することに大きな関心と研究努力がなされている。
【0005】
しかしながら、EUVフォトリソグラフィプロセスは、光の低出力及びパターニング中の光の損失を含む課題を提示し得る。193nm UVリソグラフィで使用されるものに類似した従来の有機化学増幅レジスト(CAR)は、EUVリソグラフィで使用される場合、潜在的な欠点を有する。特に、それらはEUV領域での吸収係数が低く、光活性化化学種の拡散が、ぼやけ又はラインエッジラフネスを引き起こす可能性がある。更には、下にあるデバイス層にパターニングするために必要なエッチング耐性を提供するために、従来のCAR材料にパターニングされた微細なフィーチャが、パターン崩壊のリスクを伴う高いアスペクト比をもたらす可能性がある。したがって、厚さの低減、より大きな吸光度、及びより大きなエッチング耐性などの特性を有する、改良されたEUVフォトレジスト材料の必要性が残っている。
【0006】
本明細書で提供される「背景技術」の記載は、本技術の文脈を概略的に提示することを目的としている。本明細書の「背景技術」に記載されている範囲における、本明細書にて名前を挙げた発明者の業績、並びに、出願時点で先行技術と見なされないかも知れない本明細書の態様は、明示的にも暗黙的にも本技術に対する先行技術として認められていない。
【発明の概要】
【0007】
フォトレジストの現像は、例えば、高解像度のパターニングとの関連でパターニングマスクを形成するのに有用であり得る。現像は、特定の現像化学物質を使用して、レジストの露光部分又は非露光部分のいずれかを選択的に除去することができる。現像化学物質は、ハロゲン化水素、又は水素とハロゲン化物ガスとの混合物などのハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、現像はドライ現像である。いくつかの実施形態では、レジストはフォトパターニングされた金属含有EUVレジストである。いくつかの実施形態では、ドライ現像プロセスは、プラズマを用いない熱プロセスである。
【0008】
本明細書に開示されるのは、半導体基板を処理する方法及びシステムである。半導体基板を処理する方法は、プロセスチャンバ内において、フォトパターニングされた金属含有レジストを、半導体基板の基板層上に設けることと、ハロゲン化物を含む現像化学物質への曝露によりレジストの一部分を選択的に除去することにより、フォトパターニングされた金属含有レジストを現像して、レジストマスクを形成することと、を含む。
【0009】
いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属含有レジストは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストである。いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを現像することは、現像化学物質により、EUVレジストのEUV非露光部分をEUV露光部分に対して選択的に除去して、レジストマスクを形成することを含む。いくつかの実現形態では、現像化学物質は、ハロゲン化水素、水素ガス及びハロゲン化物ガス、有機ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、ハロゲン化カルボニル、ハロゲン化チオニル、又はそれらの混合物を含む。いくつかの実現形態では、現像化学物質は、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、又はヨウ化水素を含む。いくつかの実現形態では、現像化学物質への曝露により、フォトパターニングされた金属含有レジストを現像することは、ドライ現像化学物質への曝露によるフォトパターニングされた金属含有レジストをドライ現像することを含む。いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属含有レジストをドライ現像することは、ハロゲン化物のラジカルを含むリモートプラズマをレジストに適用することを含む。いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属含有レジストをドライ現像することは、-60℃~120℃の温度で、0.1mTorr~500mTorr又は約0.5Torr~約760Torrのチャンバ圧力で、100sccm~2000sccmのハロゲン化物のガス流量で行われ、レジストマスクのエッチング選択性は、温度、チャンバ圧力、ガス流量、又はそれらの組み合わせに少なくとも部分的に基づいて調整可能である。いくつかの実現形態では、温度は-20℃~20℃である。いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属含有レジストは、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、及びゲルマニウムからなる群から選択される元素を含む。いくつかの実現形態では、この方法は、フォトパターニングされた金属含有レジストを現像した後、フォトパターニングされた金属含有レジストを不活性ガスプラズマに曝露させることを更に含む。いくつかの実現形態では、本方法は、半導体基板上に金属含有EUVレジスト膜を堆積させ、フォトパターニングされた金属含有レジストを提供する前に基板層を除去することなく、半導体基板から金属含有EUVレジスト膜を非選択的に除去することを更に含む。
【0010】
本明細書に開示されるのは、レジスト現像のための装置である。この装置は、基板支持体を有するプロセスチャンバと、プロセスチャンバに結合された真空ラインと、プロセスチャンバに結合された現像化学物質ラインとを含む。装置は、半導体基板を処理するための命令を有するように構成されたコントローラを更に含み、命令は、プロセスチャンバ内において、半導体基板の基板層上にフォトパターニングされた金属含有レジストを提供するためのコードと、ハロゲン化物を含む現像化学物質への曝露によりレジストの一部分を選択的に除去することにより、フォトパターニングされた金属含有レジストを現像して、レジストマスクを形成するためのコードと、を含む。
【0011】
いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属含有レジストは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストであり、コントローラは命令で構成され、命令は、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを現像するためのコードを含み、現像化学物質により、EUVレジストのEUV非露光部分をEUV露光部分に対して選択的に除去して、レジストマスクを形成するためのコードを含む。いくつかの実現形態では、装置は、基板支持体に結合された1つ以上のヒーターを更に含み、1つ以上のヒーターは、複数の独立制御可能な温度制御ゾーンを含む。いくつかの実現形態では、プロセスチャンバの内部は腐食防止剤でコーティングされている。いくつかの実現形態では、装置は、プロセスチャンバに結合されたコールドトラップを更に含み、コールドトラップは、プロセスチャンバから水を除去するように構成されている。いくつかの実現形態では、装置は、プロセスチャンバに結合されたUV又はIRランプを更に含み、UV又はIRランプは、フォトパターニングされた金属含有レジストをキュアするか、又は過剰のハロゲン化物をプロセスチャンバから除去するように構成されている。
【0012】
本明細書に開示されるのは、半導体基板を処理する方法である。本方法は、プロセスチャンバ内において、ドライで堆積されたフォトパターニングされた金属酸化物EUVレジストを、半導体基板の基板層上に設けることと、ハロゲン化水素を含むドライ現像化学物質への曝露によりEUVレジストのEUV非露光部分を選択的に除去することにより、フォトパターニングされた金属酸化物EUVレジストをドライ現像して、EUV露光部分からレジストハードマスクを形成することと、を含む。
【0013】
いくつかの実現形態では、ドライ現像は、プラズマを用いない熱プロセスで行われ、ドライ現像化学物質への曝露は、約-20℃~約20℃の温度で行われる。いくつかの実現形態では、フォトパターニングされた金属酸化物EUVレジストは、有機スズ酸化物を含む。
【0014】
開示される実施形態のこれら特徴及び他の特徴が、関連する図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、いくつかの実施形態による、フォトレジストを堆積及び現像する例示的な方法のフロー図を示す。
【0016】
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、ドライ現像の様々な処理段階の概略断面図を示す。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、ドライ現像の様々な処理段階の概略断面図を示す。
図2C図2Cは、いくつかの実施形態による、ドライ現像の様々な処理段階の概略断面図を示す。
【0017】
図3図3は、いくつかの実施形態による、臭化水素(HBr)と、EUVフォトレジストの露光部分及び非露光部分との化学反応の例示的なドライ現像メカニズムを示す。
【0018】
図4A図4Aは、いくつかの実施形態による、不活性ガスプラズマを適用しないドライ現像の概略断面図を示す。
【0019】
図4B図4Bは、いくつかの実施形態による、デスカム処理のためのドライ現像反復不活性ガスプラズマの概略断面図を示す。
【0020】
図5図5は、ドライ現像中の、ヘリウムプラズマを使用したEUVフォトレジストのエッチング速度を、露光部分と非露光部分とで比較したグラフを示す。
【0021】
図6A図6Aは、ライン崩壊に関してウェット現像とドライ現像とを比較した走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図6B図6Bは、ライン崩壊に関してウェット現像とドライ現像とを比較した走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【0022】
図7A図7Aは、ラフネス及び限界寸法(CD)制御に関して、ウェット現像とドライ現像とを比較したSEM画像を示す。
図7B図7Bは、ラフネス及び限界寸法(CD)制御に関して、ウェット現像とドライ現像とを比較したSEM画像を示す。
【0023】
図8図8は、ハードマスクを開口した後のスカムに関して、ウェット現像とドライ現像とを比較したSEM画像を示す。
【0024】
図9A図9Aは、第2の露光後ベーク作業がドライ現像の選択性に及ぼす影響を様々な圧力及び温度について表したグラフを示す。
図9B図9Bは、第2の露光後ベーク作業がドライ現像の選択性に及ぼす影響を様々な圧力及び温度について表したグラフを示す。
【0025】
図10図10は、EUVレジストプロファイルへの圧力の影響を表すSEM画像を示す。
【0026】
図11A図11Aは、ライン/スペースの異なるピッチ及び異なる厚さにおけるEUVレジストのSEM画像を示す。
図11B図11Bは、ライン/スペースの異なるピッチ及び異なる厚さにおけるEUVレジストのSEM画像を示す。
【0027】
図12図12は、いくつかの実施形態による、現像、クリーニング、リワーク、デスカム、及び平滑化の作業を実施するのに好適な低圧環境を維持するための例示的なプロセスステーションの概略図を示す。
【0028】
図13図13は、本明細書で説明する様々な現像、クリーニング、リワーク、デスカム、及び平滑化の作業の実現に好適な例示的なマルチステーション処理ツールの概略図を示す。
【0029】
図14図14は、本明細書で説明する特定の実施形態及び作業を実施するための誘導結合プラズマ装置の例の断面概略図を示す。
【0030】
図15図15は、本明細書で説明するプロセスの実現に好適な、真空移送モジュールとインターフェースする真空統合堆積及びパターニングモジュールを有する、半導体プロセスクラスタツールアーキテクチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、全般的には半導体処理の分野に関する。特定の態様では、本開示は、例えばEUVパターニングとの関連でパターニングマスクを形成するための、ハロゲン化化学物質を使用してフォトレジスト(例えば、EUV感光性の金属含有フォトレジスト及び/又は金属酸化物含有フォトレジスト)を現像するためのプロセス及び装置を対象とする。
【0032】
本明細書では、本開示の具体的な実施形態を詳細に参照する。具体的な実施形態の例が、添付の図面に示されている。本開示はこれらの具体的な実施形態に関連して説明されるが、本開示をそのような具体的な実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。むしろ、本開示は、本開示の趣旨及び範囲に含まれてよい代替形態、修正形態、及び等価物を網羅することを意図している。以下の記載には、本開示の完全な理解を提供するために数多くの具体的な詳細が記述されている。本開示は、これらの具体的な詳細の一部又は全てを伴うことなく実施されてよい。その他の場合には、本開示を不必要に不明瞭にしないように、良く知られたプロセス作業は詳細には説明していない。
【0033】
導入
半導体処理における薄膜のパターニングは多くの場合、半導体製造における重要な工程である。パターニングはリソグラフィを伴う。193nmフォトリソグラフィなどの従来のフォトリソグラフィでは、光子源からの光子をマスク上に放出し、パターンを感光性フォトレジスト上に印刷することにより、フォトレジスト内で化学反応を生じさせ、現像後に、フォトレジストの特定部分を除去してパターンを形成することにより、パターンが形成される。
【0034】
(国際半導体技術ロードマップにより定義される)先端技術ノードには、22nm、16nm、及びそれ以降のノードが含まれる。例えば、16nmノードでは、ダマシン構造の典型的なビア又はラインの幅は、典型的には約30nm以下である。先進的な半導体集積回路(IC)及び他のデバイス上のフィーチャのスケーリングが、リソグラフィの解像度の向上を促進している。
【0035】
極紫外線(EUV)リソグラフィは、従来のフォトリソグラフィ法で実現可能なよりも、より短いイメージング光源波長に移行することにより、リソグラフィ技術を拡張することができる。約10~20nm、又は11~14nmの波長、例えば13.5nmの波長のEUV光源は、スキャナとも呼ばれる最先端のリソグラフィツールに使用され得る。EUV放射は、石英及び水蒸気を含む幅広い固体及び流体材料に強く吸収されるので、真空中で作用する。
【0036】
EUVリソグラフィは、下にある層のエッチングに使用するマスクを形成するようにパターニングされたEUVレジストを利用する。EUVレジストは、液体ベースのスピンオン技術により製造されたポリマーベースの化学増幅レジスト(CAR)であり得る。CARの代替は、直接フォトパターニング可能な金属酸化物含有膜であり、これは、例えばInpria(Corvallis、OR)から入手可能であり、例えば、米国特許公開第2017/0102612号、同第2016/021660号、及び同第2016/0116839号に記載されており、これらは、少なくともフォトパターニング可能な金属酸化物含有膜の開示に関して、参照により本明細書に組み込まれる。このような膜は、スピンオン技術又はドライ気相堆積により製造され得る。金属酸化物含有膜は、例えば、2018年6月12日に発行された米国特許第9,996,004号、題名「PHOTOPATTERNING OF VAPOR-DEPOSITED METAL OXIDE-CONTAINING HARDMASKS」、及び/又は、2019年5月9日に出願された国際出願第PCT/US19/31618、題名「METHODS FOR MAKING EUV PATTERNABLE HARD MASKS」、に記載されているように、真空環境でのEUV露光により、直接(すなわち、別個のフォトレジストを使用せずに)パターニングでき、30nm未満のパターニング解像度を提供し、これら開示における、少なくとも直接フォトパターニング可能な金属酸化物膜の組成、堆積、及びパターニングに関連する部分が、参照により本明細書に組み込まれる。一般に、パターニングは、EUVレジストをEUV放射で露光してレジスト内にフォトパターンを形成し、続いて現像して、フォトパターンに応じたレジストの一部分を除去してマスクを形成することを伴う。
【0037】
また、本開示は、EUVリソグラフィによって例示されるリソグラフィパターニング技術及び材料に関するが、他の次世代リソグラフィ技術にも適用可能であることを理解すべきである。現在使用され開発されている標準の13.5nmのEUV波長を含むEUVに加えて、そのようなリソグラフィに最も関連する放射線源は、一般に248nm又は193nmのエキシマレーザー光源の使用を指すDUV(deep-UV)、形式上はX線範囲の低エネルギー範囲内にEUVを含むX線、並びに広いエネルギー範囲をカバーできる電子ビーム、である。具体的な方法は、半導体基板及び最終的な半導体デバイスで使用される具体的な材料及び用途に依存してよい。したがって、本出願に記載される方法は、本技術で使用されてよい方法及び材料の単なる例示である。
【0038】
直接フォトパターニング可能なEUVレジストは、有機成分中に混合された金属及び/又は金属酸化物から構成されるか、又はそれらを含んでよい。金属/金属酸化物は、EUV光子吸着を強化し、二次電子を生成し、及び/又は下層の層スタックとデバイス層に対するエッチング選択性が増加するという点で非常に有望である。これまで、これらのレジストはウェット(溶剤)手法を使用して開発されてきたが、この手法では、ウェハーをトラックに移動することが必要であり、そこでウェハーは現像溶剤に曝露され、乾燥及びベークされる。ウェット現像は、生産性を制限するだけでなく、表面張力及び/又は層間剥離に起因してライン崩壊をもたらす可能性もある。
【0039】
基板の層間剥離及び界面不良を排除することによりこれら問題を克服するために、ドライ現像技術が提案されてきた。ドライ現像は、性能を改善し(例えば、ウェット現像における表面張力及び層間剥離に起因するライン崩壊を防止し)、スループットを向上させることができる(例えば、ウェット現像トラックを回避することにより)。他の利点が、有機溶媒現像剤の使用を排除すること、付着の問題に対する感度を下げること、線量効率を改善するためのEUV吸収を増加させること、及び溶解度に基づく制限がないこと、を含んでよい。ドライ現像はまた、調整可能性をより高め、更なる限界寸法(CD)制御及びスカム除去を提供できる。
【0040】
ドライ現像には、ウェット現像と比較した場合、効果的なレジスト露光のための線量対サイズ(dose to size)要件が大きくなり得る、露光されていないレジスト材料とEUV露光されたレジスト材料との間のエッチング選択性を含む独自の課題がある。選択性が最適でない場合、エッチングガス下での曝露が長くなることに起因して、PRコーナーのコーナーラウンディングが発生する可能性があり、これにより、以降の転写エッチングステップにおいてラインCDの変動が増加する場合がある。
【0041】
EUVレジストの現像
本開示の様々な態様によれば、フォトパターニングされた金属含有フォトレジストは、ハロゲン化物含有化学物質への曝露により現像される。EUV感光性の金属又は金属酸化物を含有する膜、例えば有機スズ酸化物が、半導体基板上に配置される。EUV感光性の金属又は金属酸化物を含有する膜は、真空環境でのEUV露光により直接パターニングされる。次いで、現像化学物質を使用してパターンが現像されてレジストマスクが形成される。いくつかの実施形態では、現像化学物質はドライ現像化学物質である。いくつかの実施形態では、ドライ現像化学物質は、水素及びハロゲン化物を含む。このようなドライ現像技術は、水素及びハロゲン化物のドライ現像化学物質を流しながら、穏やかなプラズマ(高圧、低電力)又は熱プロセスのいずれかを用いながら行われてもよい。本開示は、レジストマスク形成プロセスの一部としての、金属含有レジストを現像するように構成されたプロセス及び装置を提供する。様々な実施形態は、気相堆積、EUVリソグラフィパターニング、及びドライ現像による、全てのドライ作業の組み合わせを含む。様々な他の実施形態は、ウェット及びドライ処理作業の組み合わせを含み、例えば、スピンオンEUVフォトレジスト(ウェットプロセス)を、本明細書に記載されるようなドライ現像又は他のウェット若しくはドライプロセスと組み合わせてよい。また、ベベル及び裏面のクリーニング、チャンバのクリーニング、デスカム、平滑化、膜特性を変更及び強化するための硬化、並びにフォトレジストリワーク処理など、様々な堆積後(又は塗布後)プロセスについても説明される。
【0042】
図1は、いくつかの実施形態による、フォトレジストを堆積及び現像する例示的な方法のフロー図を示す。プロセス100の作業は、異なる順序で、及び/又は異なる作業、より少ない作業、又は追加の作業を用いて実施されてよい。プロセス100の態様は、図2A図2C図3、及び図4A図4Bを参照して説明され得る。プロセス100の1つ以上の作業が、図12図15のいずれか1つに記載されている装置を使用して実施されてよい。いくつかの実施形態では、プロセス100の作業は、少なくとも部分的に、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアに従って実現されてよい。
【0043】
プロセス100のブロック102において、フォトレジストの層が堆積される。これは、気相堆積プロセスなどのドライ堆積プロセス、又はスピンオン堆積プロセスなどのウェットプロセスのいずれかであってよい。
【0044】
フォトレジストは、金属含有EUVレジストであってよい。EUV感光性の金属又は金属酸化物を含有する膜は、ウェット(例えば、スピンオン)又はドライ(例えば、CVD)堆積技術を含む任意の好適な技術により半導体基板上に堆積されてよい。例えば、記載されたプロセスは、有機スズ酸化物に基づくEUVフォトレジスト組成物について実証されており、商業的にスピンコーティング可能な配合物(例えば、Inpria Corp(Corvallis,OR))から入手可能なものなど)と、以下で更に説明するドライ真空堆積技術を使用して適用される配合物との両方に適用可能である。
【0045】
半導体基板は、フォトリソグラフィ処理に好適な、特に集積回路及び他の半導体デバイスの製造に好適な任意の材料構造を含んでよい。いくつかの実施形態では、半導体基板はシリコンウェハーである。半導体基板は、シリコンウェハーであってもよく、その上に不規則な表面トポグラフィを有するフィーチャが作製されている(「下地フィーチャ」)。本明細書にて参照される場合、「表面」は、その上に本開示の膜が堆積されることになる表面、又は処理中にEUVに露光されることになる表面である。下にあるフィーチャは、本開示の方法を実施する前の処理中に、(例えば、エッチングにより)材料が除去された領域、又は(例えば、堆積により)材料が追加された領域を含んでよい。そのような事前処理は、本開示の方法、又は2層以上のフィーチャが基板上に形成される反復プロセスでの他の処理方法を含んでよい。
【0046】
EUV感光性薄膜を半導体基板上に堆積させてよく、そのような膜は、それ以降のEUVリソグラフィ及び処理のためのレジストとして使用可能である。このようなEUV感光性薄膜は、EUVに露光されると、低密度のM-OHに富む物質中の金属原子に結合した嵩高いペンダント置換基の損失などの変化を被り、より高密度のM-O-M結合金属酸化物材料への架橋が可能になる材料を含む。EUVパターニングにより、非露光領域と比較して、物理的又は化学的特性が変化した膜の領域が形成される。これらの特性を、後続の処理で活用して、例えば、非露光領域若しくは露光領域のいずれかを溶解させるか、又は露光領域若しくは非露光領域のいずれかに材料を選択的に堆積させてよい。いくつかの実施形態では、そのような後続の処理が実施される条件下で、非露光膜は、露光膜よりも疎水性が高い表面を有する。例えば、材料の除去は、化学組成、密度、及び膜の架橋、における違いを活用することにより実施してよい。除去は、以下で更に説明するように、ウェット処理又はドライ処理により行ってよい。
【0047】
様々な実施形態では、薄膜は、有機金属材料、例えば酸化スズ又は他の金属酸化物材料/部分を含む有機スズ材料である。有機金属化合物は、有機金属前駆体と反反応剤との気相反応で形成され得る。様々な実施形態では、有機金属化合物は、嵩高いアルキル基又はフルオロアルキル基を有する有機金属前駆体と反反応剤との特定の組み合わせを混合させ、混合物を気相で重合させて、半導体基板上に堆積する低密度のEUV感光性材料を生成することにより形成される。
【0048】
様々な実施形態では、有機金属前駆体は、気相反応に耐え得る各金属原子に少なくとも1つのアルキル基を含む一方で、金属原子に配位した配位子又はイオンは、反反応剤で置換され得る。有機金属前駆体は、以下の化学式のものを含む。
abc(式1)
式中、Mは、高いパターニング放射線吸収断面積を有する元素であり;Rはアルキルであり、例えばCn2n+1であり、好ましくは、n≧2であり;Lは、反反応剤と反応する配位子、イオン、又は他の部分であり、a≧1、b≧1、及びc≧1である。
【0049】
様々な実施形態では、Mは、1x107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する。Mは、例えば、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。いくつかの実施形態では、Mはスズである。Rは、フッ素化されてよく、例えば、化学式Cnx(2n+1)、を有する。様々な実施形態では、Rは、少なくとも1つのベータ水素又はベータフッ素を有する。例えば、Rは、エチル、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、及びそれらの混合物、からなる群から選択されてよい。Lは、アミン(ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノなど)、アルコキシ、カルボン酸、ハロゲン、及びこれらの混合物からなる群より選択された部分などのM-OH部分を生成するために、反反応剤によって容易に置換される任意の部分であってよい。
【0050】
有機金属前駆体は、金属有機前駆体の多種多様な候補のいずれかであってよい。例えば、Mがスズの場合、そのような前駆体は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピルトリス(ジメチルアミノ)スズ、エチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、及びt-ブチルトリス(t-ブトキシ)スズなど類似のアルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物、を含む。いくつかの実施形態では、有機金属前駆体は部分的にフッ素化されている。
【0051】
反反応剤は、化学結合によって少なくとも2つの金属原子を結合させるために、反応性部分、配位子、又はイオン(例えば、上記式1のL)を置換する能力を有する。反反応剤は、水、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ジヒドロキシアルコール又はポリヒドロキシアルコール、フッ化ジヒドロキシアルコール又はフッ化ポリヒドロキシアルコール、フッ化グリコール、及びヒドロキシル部分の他の源を含み得る。様々な実施形態では、反反応剤は、隣接する金属原子間に酸素架橋を形成することにより有機金属前駆体と反応する。他の潜在的な反反応剤は、硫黄架橋により金属原子を架橋し得る硫化水素及び二硫化水素を含む。
【0052】
薄膜は、膜の化学的特性又は物理的特性を変更するために、例えば、EUVに対する膜の感光性を変更する、又はエッチング耐性を増加させるために、有機金属前駆体及び反反応剤に加えて任意選択の材料を含んでよい。そのような任意選択の材料は、例えば、半導体基板上への堆積の前に、薄膜の堆積の後に、又はその両方において、気相形成中にドーピングにより導入されてよい。いくつかの実施形態では、いくつかのSn-L結合をSn-Hに置換するように穏やかなリモートH2プラズマが導入されてよく、それによりEUV下でのレジストの反応性が増加し得る。
【0053】
様々な実施形態では、EUVパターニング可能膜は、当該技術分野において既知の気相堆積設備及びプロセスを使用して半導体基板上に作製及び堆積される。そのようなプロセスでは、重合有機金属材料は、半導体基板の表面上に気相で又はin situで形成される。好適なプロセスは、例えば、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、及びCVD要素を含むALD、例えば、金属前駆体及び反反応剤が時間又は空間のいずれかで分離される不連続なALD的プロセス、を含む。
【0054】
一般に、方法は、重合有機金属材料を形成するように有機金属前駆体の蒸気流を反反応剤の蒸気流と混合させることと、半導体基板の表面上に有機金属材料を堆積させることと、を含む。いくつかの実施形態では、蒸気流中に2つ以上の有機金属前駆体が含まれる。いくつかの実施形態では、蒸気流中に2つ以上の反反応剤が含まれる。当業者により理解されるように、プロセスの混合及び堆積に関する態様は、実質的に連続的なプロセスにおいて同時であってよい。
【0055】
例示的な連続CVDプロセスでは、有機金属前駆体と反反応剤源の2つ以上のガスストリームが、別々の入口経路でCVD装置の堆積チャンバに導入され、それらは気相で混合及び反応して、アグロメレート化したポリマー材料が形成される(例えば、金属-酸素-金属結合生成)。これらの流れは、例えば、別個の注入口又はデュアルプレナムシャワーヘッドを用いて導入されてよい。装置は、有機金属前駆体流と反反応剤流とがチャンバ内で混合されて、有機金属前駆体と反反応剤とが反応して重合有機金属材料が生成されるように構成されている。本技術の機構、機能、又は効用を制限することなく、そのような気相反応からの生成物は、金属原子が反反応剤によって架橋されるので分子量がより重くなり、そのとき、半導体基板上に凝結するか又は堆積されると考えられている。様々な実施形態では、嵩高いアルキル基の立体障害は、密に詰まったネットワークの形成を防ぎ、滑らかで多孔質の低密度膜を形成する。
【0056】
CVDプロセスは一般に、10ミリトール~10トールなどの減圧下で実施される。いくつかの実施形態では、プロセスは、0.5~2トールにて実施される。いくつかの実施形態では、半導体基板の温度は、反応物ストリームの温度以下である。例えば、基板温度は、0℃~250℃、又は周囲温度(例えば、23℃)~150℃であってよい。様々なプロセスでは、基板上への重合有機金属材料の堆積は、表面温度に反比例する速度で生じる。
【0057】
いくつかの実施形態では、EUVパターニング可能膜は、当技術分野で既知のウェット堆積設備及びプロセスを使用して半導体基板上に作製及び堆積される。例えば、有機金属材料は、半導体基板の表面上にスピンコーティングすることにより形成される。
【0058】
半導体基板の表面上に形成されるEUVパターニング可能膜の厚さは、表面特性、使用する材料、及び処理条件により異なってもよい。様々な実施形態では、膜の厚さは、0.5nm~100nmの範囲であってよく、EUVパターニングの条件下でEUV光の大部分を吸収するのに十分な厚さであってよい。EUVパターニング可能膜は、30%以上の吸収に適応することが可能であってよく、それにより、利用可能なEUV光子がEUVパターニング可能膜の底部に向かって著しく少なくなる。EUV吸収がより高いと、EUV露光膜の下部と比較して、EUV露光膜の上部付近において、より多くの架橋と高密度化につながる。架橋が不十分な場合、ウェット現像ではレジストが浮き上がる又は崩壊しやすい場合があるが、ドライ現像では、そのようなリスクは存在しない。全ドライのリソグラフィ手法は、不透明がより高いレジスト膜による、EUV光子のより効率的な利用を促進し得る。EUV光子の効率的な利用は全体的な吸収がより高いEUVパターニング可能膜で生じ得るが、場合によっては、EUVパターニング可能膜が約30%未満であり得ることが理解されるであろう。比較のために、他の大部分のレジスト膜の最大の全体的吸収は30%未満(例えば、10%以下、又は5%以下)であるので、レジスト膜の底部におけるレジスト材料は十分に露光される。いくつかの実施形態では、膜の厚さは、10nm~40nm、又は10nm~20nmである。本開示の機構、機能、又は効用を制限することなく、当技術分野のウェットスピンコーティングプロセスとは異なり、本開示のプロセスは、基板の表面接着特性に対する制限がより少なく、したがって多種多様な基板に適用され得ると考えられる。加えて、上述したように、堆積膜は、表面フィーチャに密接に適合する場合があり、下地フィーチャを有する基板などの基板上に、そのようなフィーチャを「充填する」又は平坦化することなくマスクが形成されるという利点をもたらす。
【0059】
ブロック104において、任意選択のクリーニングプロセスが実施されて、半導体基板の裏面及び/又はベベルエッジがクリーニングされる。裏面及び/又はベベルエッジのクリーニングは、EUVレジスト膜を非選択的にエッチングして、基板の裏面とベベルエッジにおける様々なレベルの酸化又は架橋を有する膜を均等に除去し得る。ウェット堆積処理又はドライ堆積処理のいずれかによるEUVパターニング可能膜の塗布中に、基板のベベルエッジ及び/又は裏面においてレジスト材料の意図しない堆積が生じる場合がある。意図しない堆積により、望ましくない粒子が後で半導体基板の上面に移動し、粒子の欠陥になる場合がある。その上、このベベルエッジと裏面の堆積は、パターニング(スキャナ)及び現像ツールの汚染を含む、下流における処理の問題を引き起こし得る。従来、このベベルエッジ及び裏面の堆積物の除去は、ウェットクリーニング技術により行われていた。スピンコーティングされたフォトレジスト材料の場合、このプロセスはエッジビード除去(EBR)と呼ばれ、基板が回転している間にベベルエッジの上下から溶媒の流れを導くことにより実施される。同じプロセスを、気相堆積技術によって堆積された可溶性有機スズ酸化物ベースのレジストに適用することができる。
【0060】
基板のベベルエッジ及び/又は裏面のクリーニングもまた、ドライクリーニングプロセスであってよい。いくつかの実施形態では、ドライクリーニングプロセスは、以下の気体、すなわちHBr、HCl、BCl3、SOCl2、Cl2、BBr3、H2、O2、PCl3、CH4、メタノール、アンモニア、ギ酸、NF3、HFのうちの1種以上を有する蒸気及び/又はプラズマを伴う。いくつかの実施形態では、ドライクリーニングプロセスは、本明細書に記載されるドライ現像プロセスと同じ化学物質を使用してよい。例えば、ベベルエッジ及び裏面のクリーニングは、ハロゲン化水素現像化学物質を使用してよい。裏面及びベベルエッジのクリーニングプロセスでは、基板の表面における膜の何らかの劣化なしに、裏面及びベベルのみが除去されることを確実にするために、蒸気及び/又はプラズマは、基板の特定の領域に限定されなければならない。
【0061】
プロセス条件は、ベベルエッジ及び裏面のクリーニングのために最適化されてよい。いくつかの実施形態では、より高い温度、より高い圧力、及び/又は反応物のより大きい流量が、エッチング速度の増加につながり得る。ドライベベルエッジ及び裏面クリーニング用の好適なプロセス条件は、フォトレジスト膜及び組成及び特性に依存して、反応物の流量が100~10000sccm(例えば、500sccmのHCl、HBr、HI、又はH2とCl2若しくはBr2、BCl3若しくはH2)、温度が20~140℃(例えば、80℃)、圧力が20~1000mTorr(例えば、100mTorr)、プラズマ電力が高周波(例えば、13.56MHz)において0~500W、及び時間が約10~20秒、であってよい。これらの条件は、いくつかの処理リアクタ、例えば、Lam Research Corporation(Fremont,CA)から入手可能なKiyoエッチングツールにとって好適であるが、処理リアクタの能力に応じて、より広い範囲のプロセス条件を使用してよいことを理解されたい。
【0062】
代わりに、ドライクリーニング作業は、適用されたEUVフォトレジストが除去される完全フォトレジスト除去又はフォトレジスト「リワーク」に、及び元のフォトレジストが損傷しているか又は欠陥がある場合などのフォトレジスト再適用のために準備された半導体基板に、拡張されてよい。フォトレジストのリワークは、下にある半導体基板に損傷を与えることなく実施する必要があるので、酸素ベースのエッチングは避けるべきである。代わりに、本明細書に記載されるハロゲン化物含有化学物質の変形形態を使用してよい。フォトレジストリワーク作業は、プロセス100中の任意の段階で適用されてよいことが理解されるであろう。したがって、フォトレジストのリワーク作業は、フォトレジストの堆積後、ベベルエッジ及び裏面のクリーニング後、PAB処理後、EUV露光後、PEB処理後、又は現像後に適用されてよい。いくつかの実施形態では、フォトレジストリワークは、フォトレジストの露光領域及び非露光領域に対しては非選択的であるが、下層に対しては選択的である除去のために実施され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、フォトレジストリワークプロセスは、以下の気体、すなわちHBr、HCl、HI、BCl3、Cl2、BBr3、H2、PCl3、CH4、メタノール、アンモニア、ギ酸、NF3、HFのうちの1種以上を有する蒸気及び/又はプラズマを伴う。いくつかの実施形態では、フォトレジストリワークプロセスは、本明細書に記載されるドライ現像プロセスと同じ化学物質を使用してよい。例えば、フォトレジストのリワークは、ハロゲン化水素現像化学物質を使用してよい。
【0064】
プロセス条件は、フォトレジストリワーク用に最適化されてよい。いくつかの実施形態では、より高い温度、より高い圧力、及び/又は反応物のより大きい流量が、エッチング速度の増加につながり得る。フォトレジストリワークに好適なプロセス条件は、フォトレジスト膜及び組成及び特性に依存して、EUVフォトレジストを完全に除去するのに十分な、反応物の流量が100~500sccm(例えば、500sccmのHCl、HBr、HI、BCl3、又はH2とCl2若しくはBr2)、温度が20~140℃(例えば、80℃)、圧力が20~1000mTorr(例えば、300mTorr)、高周波(例えば、13.56MHz)でのプラズマ電力が300~800W(例えば、500W)、ウェハーバイアスが0~200Vb(下地の基板材料が硬いほど高いバイアスが使用され得る)、及び時間が約20秒~3分、であってよい。これらの条件は、いくつかの処理リアクタ、例えば、Lam Research Corporation(Fremont,CA)から入手可能なKiyoエッチングツールにとって好適であるが、処理リアクタの能力に応じて、より広い範囲のプロセス条件を使用してよいことを理解されたい。
【0065】
プロセス100のブロック106において、EUVパターニング可能膜の堆積後、かつEUV露光の前に、任意選択の塗布後ベーク(PAB:post-application bake)が実施される。PAB処理は、EUVパターニング可能膜のEUV感光性を高めるための熱処理、化学曝露、及び水分の組み合わせを伴って、EUVパターニング可能膜にパターンを現像するためのEUV線量を低減させてよい。PAB処理温度は、EUVパターニング可能膜の感度を高めるために調整及び最適化されてよい。例えば、処理温度は、約90℃~約200℃、又は約150℃~約190℃であってよい。いくつかの実施形態では、PAB処理は、大気圧と真空との間の圧力、及び約1~15分、例えば約2分の処理持続時間で実施されてよい。いくつかの実施形態では、PAB処理は、約100℃~200℃の温度で、約1分~2分間にわたって実施される。
【0066】
プロセス100のブロック108において、金属含有EUVレジスト膜はEUV放射に露光されてパターンが現像される。一般的に言えば、EUV露光は、金属含有EUVレジスト膜において化学組成及び架橋の変化を引き起こし、エッチング選択性におけるコントラストを生成し、これを、その後の現像に活用できる。
【0067】
金属含有EUVレジスト膜は次いで、典型的には比較的高い真空下で、膜の領域をEUV光に露光することによりパターニングされてもよい。本明細書で有用なEUVデバイス及び画像化方法には、当該技術分野において既知の方法が含まれる。具体的には、上述したように、EUVパターニングにより、非露光領域と比較して変化した物理的又は化学的特性を有する、膜の露光領域が形成される。例えば、露光領域では、ベータ水素化物の脱離などを介して金属-炭素結合開裂が生じる場合があり、その結果、反応性でアクセス可能な金属水素化物の官能基が残り、これが、後続の露光後ベーク(PEB)ステップ中に、金属-酸素ブリッジを介して水酸化物及び架橋金属酸化物部分に変換され得る。このプロセスは、ネガ型レジストとして現像するための化学的コントラストを作り出すために使用できる。一般に、アルキル基におけるベータHの数が多いほど、膜の感度が高くなる。これはまた、より多くの分岐を有するより弱いSn-C結合として説明することもできる。露光に続いて、金属酸化物膜に追加の架橋を生じさせるように、金属含有EUVレジスト膜をベークしてよい。後続の処理において、非露光領域を溶解させる、又は露光領域に材料を堆積させるなど、露光領域と非露光領域と間の特性の違いを活用してよい。例えば、ドライ方法を使用してパターンを現像して、金属酸化物含有マスクを形成することができる。
【0068】
具体的には、様々な実施形態では、表面上に存在するヒドロカルビル終端酸化スズは、特に露光がEUVを使用して真空中で行われる場合、イメージング層の露光領域において水素終端酸化スズに変換される。しかしながら、露光されたイメージング層を真空から取り出して空気中に入れること、又は酸素、オゾン、H22、又は水を制御して導入することにより、表面Sn-Hが酸化されてSn-OHになる可能性がある。例えば、照射領域、非照射領域、又はその両方を1つ以上の試薬と反応させて、選択的に、イメージング層に材料を追加するか、又はイメージング層から材料を除去することにより、以降の処理において露光領域と非露光領域との間の特性の違いを活用してよい。
【0069】
本技術の機構、機能、又は効用を制限することなく、例えば、10mJ/cm2~100mJ/cm2の線量でのEUV露光は、Sn-C結合の切断をもたらし、その結果、アルキル置換基は消失し、立体障害が緩和され、低密度膜の崩壊が可能になる。加えて、ベータ水素化物脱離反応において生成された反応性金属-H結合が、膜中のヒドロキシルなどの隣接する活性基と反応して、更なる架橋及び緻密化がもたらされ、露光領域と非露光領域との間に化学的コントラストが生じ得る。
【0070】
金属含有EUVレジスト膜にEUV光を露光させると、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストがもたらされる。フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、EUV露光領域及び非露光領域を含む。
【0071】
プロセス100のブロック110において、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストのエッチング選択性のコントラストを更に増加させるために、任意選択の露光後ベーク(PEB)が実施される。フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、様々な化学種の存在下で熱処理されてEUV露光領域の架橋が促進されるか、又は、単に周囲空気中でホットプレート上で、例えば150℃~250℃にて1~5分間(例えば、190℃で2分間)ベークされ得る。
【0072】
様々な実施形態では、ベーク戦略は、ベーク環境の注意深い制御、反応性ガスの導入、及び/又はベーク温度のランプ速度の注意深い制御を含む。有用な反応性ガスの例には、例えば、空気、H2O、H22蒸気、CO2、CO、O2、O3、CH4、CH3OH、N2、H2、NH3、N2O、NO、アルコール、アセチルアセトン、ギ酸、Ar、He、又はそれらの混合物が含まれる。PEB処理は、(1)EUV露光中に生成される有機フラグメントの完全な蒸発を促進し、(2)EUV露光により、金属水酸化物中に生成されたいずれかのSn-H、Sn-Sn、又はSnラジカル種を酸化し、(3)隣接するSn-OH基間の架橋を促進して、より高密度に架橋したSnO2のようなネットワークを形成する、ように設計されている。ベーク温度は、最適なEUVリソグラフィ性能を実現するように慎重に選択される。PEB温度が低すぎると架橋が不十分になり、その結果、所与の線量において、現像に対する化学的コントラストが低下する。PEB温度が高すぎると、非露光領域(この例では、パターニングされた膜の現像により除去されてマスクを形成する領域)における深刻な酸化及び膜収縮、並びに、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストと下層との間の界面における望ましくない相互拡散、を含む悪影響を被ることになり、これらは両方とも、化学的コントラストの損失、及び不溶性のスカムに起因する欠陥密度の増加の原因となり得る。PEB処理温度は、約100℃~約300℃、約170℃~約290℃、又は約200℃~約240℃であってよい。いくつかの実施形態では、PEB処理は、大気圧と真空との間の圧力、及び約1~15分、例えば約2分の処理持続時間で実施されてよい。いくつかの実施形態では、エッチング選択性を更に増加させるために、PEB熱処理が反復されてよい。
【0073】
プロセス100のブロック112において、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストが現像されて、レジストマスクが形成される。様々な実施形態では、露光領域が除去される(ポジ型)か、又は非露光領域が除去される(ネガ型)。いくつかの実施形態では、現像は、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストの露光領域上又は非露光領域上のいずれかへの選択的堆積と、それに続くエッチング作業を含んでもよい。様々な実施形態では、これらのプロセスは、ドライプロセス又はウェットプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、現像はプラズマを発生させることなく実施されてよい。又は、現像は、リモートプラズマ源において活性化された又はリモートUV放射への曝露により活性化された、水素及びハロゲン化物の流れ(例えば、H2、及びCl2、及び/又はBr2)により実施されてよい。現像用のフォトレジストは、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、及びゲルマニウムからなる群から選択される元素を含んでもよい。この元素は、大きいパターニング放射線吸収断面積を有し得る。いくつかの実施形態では、この元素は、大きいEUV吸収断面積を有し得る。いくつかの実施形態では、金属含有EUVレジストは、30%を超える全体的な吸収率を有し得る。全ドライリソグラフィプロセスでは、これは、EUV光子のより効率的な利用をもたらし、より厚くより不透明なレジストの現像を可能にする。
【0074】
現像用のプロセスの例は、有機スズ酸化物含有EUV感光性フォトレジスト薄膜(例えば10~30nmの厚さ、例えば20nmの厚さ)に、EUV露光線量及び露光後ベークを実施し、次いで現像することを伴う。フォトレジスト膜は、例えば、イソプロピル(トリス)(ジメチルアミノ)スズなどの有機スズ前駆体と水蒸気との気相反応に基づいて堆積されてよく、又は有機マトリックス中にスズクラスタを含むスピンオン膜であってよい。
【0075】
フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、現像化学物質に曝露されることにより現像され、現像化学物質はハロゲン化物含有化学物質である。いくつかの実施形態では、現像化学物質は、水素とハロゲン化物、例えばハロゲン化水素(例えば、HBr又はHCl)、又は水素とハロゲンガス(例えば、H2とCl2)、を含む。いくつかの実施形態では、現像化学物質は、ハロゲン化水素、水素とハロゲンガス、三塩化ホウ素、又はそれらの組み合わせを含む。EUVレジストの現像は、ハロゲン化物含有化学物質を使用するウェット現像、又はハロゲン化水素含有化学物質を使用するドライ現像により実施できる。EUVレジストがウェット現像を使用して現像される実施形態では、ウェット現像は、金属含有EUVレジスト膜のウェット堆積(例えば、スピンオン堆積)などの他のウェット処理作業と組み合わせてよい。代替として、ウェット現像は、金属含有EUVレジスト膜の気相堆積(例えば、CVD)などの他のドライ処理作業と組み合わせてよい。EUVレジストがドライ現像を使用して現像される実施形態では、ドライ現像は、金属含有EUVレジスト膜のドライ堆積(例えば、CVD)などの他のドライ処理作業と組み合わせてよい。EUVレジストがドライ現像を使用して現像される代替実施形態では、ドライ現像は、金属含有EUVレジスト膜のウェット堆積(例えば、スピンオン堆積)などの他のウェット処理作業と組み合わせてよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、半導体基板の処理は、気相堆積による膜形成、EUVリソグラフィパターニング、及びドライ現像を含む全てのドライ工程を組み合わせてよい。実際、プロセス100の作業102~112のそれぞれが、ドライ処理作業であってよい。そのような処理作業は、ウェット現像などのウェット処理作業に関連する材料及び生産性のコストを回避し得る。ドライ処理は、より高い調整可能性をもたらし、更なる限界寸法(CD)制御及びスカム除去を追加し得る。ウェット処理は一般に水分及び/又は酸素を伴い、これはより容易にスカムの形成につながる。ウェット現像は溶解度及びクラスタサイズにより制限されるが、ドライ現像は溶解度及びクラスタサイズにより制限されることはない。ウェット現像は、パターン崩壊及び層間剥離の問題を起こしやすい傾向があるが、ドライ現像がこれらの問題を回避する。更に、全ドライ処理作業を用いることにより、周囲空気又はそこに含まれる微量汚染物質に曝露されずに、そしてこれらにより汚染されずに、相互接続された真空処理チャンバ内での統合が容易になり得る。例えば、露光領域が更なる架橋を受けるPEB熱処理は、現像と同じチャンバ内で行われてよいが、PEB熱処理は、別のチャンバ内で実施されてよいことが理解されるであろう。
【0077】
現像プロセスは、液相又は気相で現像化学物質を供給することにより行うことができる。いくつかの実施形態では、ドライ現像プロセスは、HF、HCl、HBr、又はHIなどのハロゲン化水素含有ドライ現像化学物質を流しながら、穏やかなプラズマ(高圧、低電力)又は熱プロセスのいずれかを使用することにより行うことができる。例えば、ドライ現像は、HCl又はHBrなどのドライ現像化学物質を使用した熱プロセスで実施され得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン化水素含有化学物質は、非露光材料を迅速に除去することができ、その結果、露光された膜のパターンが残り、それが、プラズマベースのエッチングプロセス、例えば従来のエッチングプロセスにより、下層に転写され得る。
【0078】
熱現像プロセスでは、基板はプロセスチャンバ(例えば、オーブン)内で現像化学物質(例えば、ルイス酸)に曝露される。いくつかの実施形態では、圧力制御のためにプロセスチャンバに真空ラインが結合され、現像化学物質をプロセスチャンバに送達するための現像化学物質ラインがプロセスチャンバに結合されてよい。プロセスチャンバは、基板温度制御のためにプロセスチャンバ内の基板支持体に結合されたヒーターなどの、温度制御のための1つ以上のヒーターを含んでよい。いくつかの実施形態では、チャンバ内部は、有機ポリマー又は無機コーティングなどの耐食性膜でコーティングされ得る。そのようなコーティングの1つは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、テフロン1Mである。そのような材料は、プラズマ曝露による除去のリスクなしに、本開示の熱プロセスにおいて用いられ得る。
【0079】
熱現像プロセスでは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、露光領域と非露光領域との間のエッチング選択性に対して最適化された温度にて現像化学物質に曝露される。温度が低いとエッチング選択性のコントラストが増加する場合があり、温度が高いとエッチング選択性のコントラストが減少する場合がある。いくつかの実施形態では、温度は、約-60℃~約120℃、約-20℃~約60℃、又は約-20℃~約20℃、例えば、約-10℃であってよい。チャンバ圧力は調整されてよく、チャンバ圧力が、現像中の露光領域と非露光領域との間のエッチング選択性に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は比較的低く、希釈を伴わない場合があり、チャンバ圧力は、約0.1mTorr~約300mTorr、約0.2mTorr~約100mTorr、又は約0.5mTorr~約50mTorrであってよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は、約20mTorr~約800mTorr、又は約20mTorr~約500mTorr、例えば、約300mTorrであってよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は比較的高く、流量が大きく、希釈を伴わない場合があり、チャンバ圧力は、約100Torr~約760Torr、又は約200Torr~約760Torrであってよい。反応物の流量が調整されてよく、反応物の流れが、現像中の露光領域と非露光領域との間のエッチング選択性に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、反応物の流れが、約50sccm~約2000sccm、約100sccm~約2000sccm、又は約100sccm約1000sccm、例えば、約500sccmであってよい。流量が多い場合、反応物の流量は約1L~約10Lであってよい。曝露の持続時間が、熱現像プロセスにおいて調整されてよい。曝露の持続時間は、他の要因の中でもとりわけ、どれくらいの量のレジストを除去することを望むか、現像化学物質、レジスト内の架橋の量、及びレジストの組成と特性に依存する場合がある。いくつかの実施形態では、曝露の持続時間が、約5秒~約5分、約10秒~約3分、又は約10秒~約1分であってよい。
【0080】
熱現像プロセスは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを、気相又は液相状態の特定のハロゲン化物含有化学物質に曝露させる場合がある。いくつかの実施形態では、現像化学物質は、ハロゲン化水素、水素とハロゲンガス、三塩化ホウ素、有機ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、ハロゲン化カルボニル、ハロゲン化チオニル、又はそれらの混合物を含む。ハロゲン化水素は、HF、HCl、HBr、及びHIを含み得るが、これらに限定されない。例えば、ハロゲン化水素は、HCl又はHBrであり得る。水素及びハロゲンガスは、F2、Cl2、Br2、又はI2を水素ガス(H2)と混合させたものを含み得るが、これらに限定されない。三塩化ホウ素(BCl3)は、前述したハロゲン化水素、又は水素とハロゲンガスのいずれかと組み合わせて使用されてよい。有機ハロゲン化物は、Cxyz、CxyClz、CxyBrz、及びCxyzを含むことができ、x、y、及びzは、0以上の値である。ハロゲン化アシルは、CH3COF、CH3COCl、CH3COBr、CH3COIを含むことができるが、これらに限定されない。ハロゲン化カルボニルは、COF2、COCl2、COBr2、COI2を含むことができるが、これらに限定されない。ハロゲン化チオニルは、SOF2、SOCl2、SoBr2、及びSOI2を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物含有化学物質は、He、Ne、Ar、Xe、及びN2などの不活性ガス/担体ガス有り又は無しで流されてよい。
【0081】
熱現像プロセスは、プラズマなしで実施されてよい。非プラズマ熱アプローチを適用することにより、低コストの熱真空チャンバ/オーブンにおいて複数のウェハーを同時にバッチ現像できるので、生産性を大幅に向上させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、熱現像プロセスの後にプラズマへの曝露が続いてよい。その後のプラズマへの曝露は、脱離、デスカム処理、平滑化、又はその他の処理作業のために生じる場合がある。
【0082】
プラズマ現像プロセスでは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、1つ以上のガスのラジカル/イオンを含む現像化学物質に曝露される。半導体基板を処理するプロセスチャンバは、プラズマ生成チャンバであってよく、又はプロセスチャンバから遠隔にあるプラズマ生成チャンバに結合されてよい。いくつかの実施形態では、ドライ現像はリモートプラズマにより実施されてよい。プラズマ生成チャンバは、当技術分野における既知の設備及び技術を用いた、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタ、トランス結合プラズマ(TCP)リアクタ、又は容量結合プラズマ(CCP)リアクタであってよい。電磁場が1つ以上のガスに作用して、プラズマ生成チャンバ内でプラズマを生成する。リモートプラズマからのイオン及び/又はラジカルが、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストと相互作用し得る。いくつかの実施形態では、圧力制御のためにプロセスチャンバに真空ラインが結合され、1つ以上のガスをプラズマ生成チャンバに送達するために、現像化学物質ラインがプラズマ生成チャンバに結合されてよい。プロセスチャンバは、基板温度制御のためにプロセスチャンバ内の基板支持体に結合されたヒーターなどの、温度制御のための1つ以上のヒーターを含んでよい。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ内部は、有機ポリマー又は無機コーティングなどの耐食性膜でコーティングされ得る。そのようなコーティングの1つは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば、テフロン1Mである。そのような材料は、プラズマ曝露による除去のリスクなしに、本開示の熱プロセスにおいて用いられ得る。
【0083】
プラズマ現像プロセスでは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、露光領域と非露光領域との間のエッチング選択性に対して最適化された条件下でリモートプラズマに曝露される。条件は、穏やかなプラズマを生成するように最適化されてよく、穏やかなプラズマは、高圧及び低電力によって特徴付けられ得る。チャンバ圧力は調整されてよく、チャンバ圧力が、現像中の露光領域と非露光領域との間のエッチング選択性に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は、約5mTorr以上、又は約15mTorr以上であってよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は比較的高く、流量が大きく、希釈を伴わない場合があり、チャンバ圧力は、約100Torr~約760Torr、又は約200Torr~約760Torrであってよい。RF電力レベルが調整されてよく、RF電力は、エッチング選択性、ラフネス、デスカム処理、及びその他の現像特性に影響を及ぼす場合がある。いくつかの実施形態では、RF電力は、約1000W以下、約800W以下、又は約500W以下であってよい。温度が調整されてよく、温度は、エッチング選択性など、現像の様々な態様に影響を及ぼす場合がある。いくつかの実施形態では、温度が、約-60℃~約300℃、約0℃~約300℃、又は約30℃~約120℃であってよい。ガス流量が調整されてよく、ガス流が、現像中の露光領域と非露光領域との間のエッチング選択性に影響を与え得る。いくつかの実施形態ではガス流量が、約50sccm~約2000sccm、約100sccm~約2000sccm、又は約200sccm~約1000sccm、例えば、約500sccmであってよい。曝露の持続時間が、プラズマ現像プロセスにおいて調整されてよい。曝露の持続時間は、他の要因の中でもとりわけ、どれくらいの量のレジストを除去することを望むか、現像化学物質、レジスト内の架橋の量、及びレジストの組成と特性に依存する場合がある。いくつかの実施形態では、曝露の持続時間は、約1秒~約50分、約3秒~約20分、又は約10秒~約6分であり得る。
【0084】
プラズマ現像プロセスが、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを特定のハロゲン化物含有ガスのラジカルに曝露させる場合がある。いくつかの実施形態では、ラジカルはリモートプラズマ源から生成される。例えば、プラズマ現像は、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを、リモートプラズマ源から生成された水素及びハロゲン化物ガスのラジカルに曝露させる場合がある。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物含有ガスは、ハロゲン化水素、水素とハロゲンガス、三塩化ホウ素、有機ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、ハロゲン化カルボニル、ハロゲン化チオニル、又はそれらの混合物を含む。ハロゲン化水素は、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、及びヨウ化水素(HI)を含み得るが、これらに限定されない。例えば、ハロゲン化水素は、HCl又はHBrであってよい。水素及びハロゲンガスは、フッ素ガス(F2)、塩素ガス(Cl2)、臭素ガス(Br2)、又はヨウ素ガス(I2)を水素ガス(H2)と混合させたものを含み得るが、これらに限定されない。有機ハロゲン化物は、Cxyz、CxyClz、CxyBrz、及びCxyzを含むことができ、x、y、及びzは、0以上の値である。ハロゲン化アシルは、CH3COF、CH3COCl、CH3COBr、及びCH3COIを含むことができるが、これらに限定されない。ハロゲン化カルボニルは、COF2、COCl2、COBr2、及びCOI2を含むことができるが、これらに限定されない。ハロゲン化チオニルは、SOF2、SOCl2、SoBr2、及びSOI2を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物含有ガスは、He、Ne、Ar、Xe、及びN2などの不活性ガス/担体ガス有り又は無しで流されてよい。
【0085】
プラズマ活性化に加えて、又はその代わりに、ドライ現像プロセスにおける1つ以上のガスの活性化は、光活性化によって起こり得る。いくつかの実施形態では、光活性化は、紫外線(UV)放射への曝露により実現され得る。例えば、プロセスチャンバは、UV放射を生成するように構成された、UVランプなどのランプを含んでよい。1つ以上のガスをUV放射に曝露させると、1つ以上のガスのラジカルが生成される場合があり、これを、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストのドライ現像において使用することができる。フォトパターニングされたレジストをUV放射に曝露させない形態で、1つ以上のガスをUV放射に曝露させてよい。換言すれば、フォトパターニングされたレジストは、UVランプからは見えない。したがって、UVランプは、プロセスチャンバから遠隔にあるか、又はフォトパターニングされたレジストがUV放射に曝露されることを回避するように位置付けられてもよい。
【0086】
前述した熱現像、プラズマ現像、及び光活性化現像の方法を一緒に組み合わせてよいことが理解されるであろう。このような現像方法は、同時に又は連続的に適用されてよい。現像方法は、ドライ現像化学物質を液相又は気相で流しながら適用してもよく、ドライ現像化学物質は、式Rxyの化合物を含むことができ、R=B、Al、Si、C、S、SO、そしてx>0であり、Z=Cl、H、Br、F、CH4、そしてy>0である。現像は、ポジ型又はネガ型をもたらす可能性があり、Rxy化学種は、露光されていない材料又は露光された材料のいずれかを選択的に除去し、対応する露光された部分又は露光されていない部分をマスクとして残す。
【0087】
上述したように、ドライ現像中のエッチング選択性が、他の調整可能なプロセス条件の中でも、温度、圧力、ガスフロー、ガス組成、及びプラズマ電力などのプロセス条件を制御することにより調整可能である。単一のステップ又は複数のステップでエッチング選択性を調整することにより、所望のパターニングされた特性が実現され得る。いくつかの実施形態では、ドライ現像中のエッチング選択性が、EUVレジストプロファイルに影響を及ぼす1つ以上のステップにわたって調整される。より具体的には、異なるエッチング選択性を有する現像化学物質を、1つ以上のステップにわたって適用することにより、EUVレジストプロファイルのテーパーの量又は再入角を制御できる。デスカム処理、フォトレジストのリワーク、硬化、平滑化、及びクリーニングの作業もまた、調整可能なエッチング選択性に従って調整し得る。
【0088】
図2A図2Cは、いくつかの実施形態による、ドライ現像の様々な処理段階の概略断面図を示す。図2A図2Cに示す例は、ネガ型のドライ現像を示す。図2Aに示すように、ウェハー200は、基板202と、エッチングされる基板層204とを含む。いくつかの実施形態では、基板層204は、スピンオンカーボン(SoC)などのアッシング可能なハードマスク、又は他の材料、例えば、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、基板層204は、基板202上に配置された層スタックであってよい。ウェハー200は、フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜206を更に含む。例えば、フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜206は、エッチングされる基板層204上に配置された有機金属含有層であってよい。フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜206は、約5nm~約50nm、又は約10nm~約30nmの厚さを有してよい。フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜206は、上述したように、EUVスキャナでのフォトパターニング後に、及び/又はPEB処理後に、プロセスチャンバ内に提供されてよい。フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜206は、非EUV露光領域206a及びEUV露光領域206bを含む。図2Bに示すように、フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜206の非EUV露光領域206aは、プラズマを発生させることなく、ドライ現像化学物質の流れに曝露させることによりドライ現像プロセスで除去され得る。ドライ現像化学物質は、ハロゲン化水素、又は水素とハロゲンガスなどの、ハロゲン化物含有化学物質を含んでよい。非EUV露光領域206aの除去により、現像後にレジストマスク208が形成される。その後、エッチングされる基板層204がレジストマスク208を使用してエッチングされて、図2Cに示す構造がもたらされ得る。
【0089】
図3は、いくつかの実施形態による、HBrと、EUVフォトレジストの露光部分及び非露光部分との化学反応の例示的なドライ現像機構を示す。図3は、予想されるドライ現像機構を示すが、本開示は何らかの特定の機構、機能、理論、又は効用によって制限されないことが理解されるであろう。有機金属酸化物膜は、四面体配位構造を有してよい。露光領域はSn-O-Sn架橋のレベルがより高く、その結果、密度がより高くなり、HBr又はHClとの反応性がより低く/より遅くなる。非露光領域は、Sn-OH部分の接近と凝縮を妨げる嵩高いアルキル置換基が存在することに起因して密度がより低い。非露光領域では、ハロゲン化水素は、より四面体配位した有機スズ酸化物水酸化物に特徴的な、より「基本的」でアクセス可能な酸素孤立電子対をより容易にプロトン化する。RSnX3(X=Cl又はBr)の揮発性副生成物が急速に生成され、非露光領域から除去される。図3では、HBrが酸素孤立電子対を選択的にプロトン化して、R-Sn-Brの揮発性副生成物を形成する。水も副生成物である。水の除去により反応速度を増加させ得る。アルキル基がイソプロピルの場合、典型的なEUVパターニング線量では、イソプロピル置換基の3つごとに少なくとも2つが除去され、その結果、PEBステップ後に露光領域が凝縮して、酸素原子へのアクセスがより困難な六方配位により近いスズ構造をとることに起因して、ハロゲン化水素との反応性がより低い、より高密度のSnO2のような材料が形成され、その結果、ハロゲン化水素との反応性が遥かに遅くなる。図3では、露光領域は、イソプロピル置換基の喪失に関連してドライエッチング速度が大幅に低下し、より多くの/大部分の酸素原子が3つ(2つではなく)のスズ原子に結合した材料への凝縮が可能になり、HBr又はHClとの反応速度は著しく減少する。
【0090】
場合によっては、現像後に残留物又はスカムが残っている場合がある。残留物は、スピンコーティング技術によって適用されるものを含む、均質性が劣るEUVレジスト配合物におけるより遅いエッチング成分に起因する場合がある。このようなスカムは、高濃度の金属を含む場合があり、これがその後のパターン転写中に問題となる場合がある。
【0091】
加えて又は代わりに、現像後に、現像されたパターンにおいて、エッチングされたフィーチャの側壁にラフネスが形成される場合がある。この一部は、光の確率論的又は非最適ガウス分布に起因する場合があり、その結果、レジストが非露光のままでなければならない領域において、材料が部分的に又は完全に露光される場合がある。
【0092】
いくつかの実施形態では、ドライ現像は、デスカム/平滑化作業を伴う場合がある。いくつかの実施形態では、デスカム処理及び平滑化作業は、不活性ガスプラズマ脱離作業であってよい。例えば、不活性ガスプラズマ脱離作業は、ヘリウムプラズマ脱離作業であってよい。不活性ガスプラズマ脱離作業は、ドライ現像後に実施してよく、又はドライ現像と併せて反復させてよい。
【0093】
図4Aは、いくつかの実施形態による、不活性ガスプラズマを適用しないドライ現像の概略断面図を示す。フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜は、露光領域及び非露光領域を含む。図4Aに示すように、金属酸化物(例えば、SnOx)の粒子又はクラスタが非露光領域を占める場合がある。ドライ現像が進むにつれて、金属酸化物のクラスタはより濃縮される。金属酸化物のクラスタは一般に除去が困難である。現像は有機材料の除去に対して選択的であってよい。非露光領域を除去した後、金属酸化物のクラスタがスカムとして基板表面上に残っている場合がある。露光領域の側壁に残っている金属酸化物のクラスタは、ラフネスにつながる場合がある。
【0094】
図4Bは、いくつかの実施形態による、デスカム処理のためのドライ現像反復不活性ガスプラズマの概略断面図を示す。第1段階は、フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト膜の非露光領域の相当な部分を除去するドライ現像を伴う。ドライ現像化学物質は、例えばHBrを含み得る。相当な部分は、非露光領域の少なくとも70体積%超、非露光領域の80体積%超、又は非露光領域の90体積%超を表し得る。金属酸化物のクラスタは、EUVレジスト膜の残りの非露光領域の表面に集中する。第2段階は、ヘリウムプラズマのような不活性ガスプラズマを低電力及び高イオンエネルギーで短時間にわたり適用することを伴う。ヘリウムプラズマは、金属酸化物のクラスタを除去する。加えて、ヘリウムプラズマは側壁からクラスタを除去し、側壁を平滑化する。ヘリウムプラズマ処理はまた、パターニングされたEUVレジスト膜を硬化させ又はキュアして、ハードマスクのような密度がより高い金属酸化物を形成する役割りを担い得る。ヘリウムプラズマ処理後、選択性がより低いドライエッチングステップを使用して、EUVレジスト膜の非露光領域に残っているいかなる残留物も除去され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、EUVレジスト膜の非露光領域が除去されるまで、ドライ現像を、1つ以上のサイクルにわたってヘリウムプラズマ処理と併せて反復してよい。結果を向上させるために、ヘリウムプラズマのデスカム/平滑化を、上述したように、ドライ現像と併せて反復してよい。このようにして、例えばパターンの非露光領域の有機成分の大部分がドライ現像により除去され、次いで、短時間のヘリウムプラズマ作業により、表面に集中した金属の一部が除去されて、残りの下地の有機材料へのアクセスが可能になり、次いでそれが、その後のドライ現像作業/サイクルにて除去され得る。ヘリウムプラズマの別のサイクルを使用して、残っているいかなる金属も全て除去し、清浄で平滑なフィーチャ表面を残してよい。サイクルは、全て又は実質的に全てのスカム及びラフネスの残留物が除去されて、清浄で平滑なフィーチャ表面が残るまで続けることができる。
【0096】
デスカム処理及び平滑化作業のプロセス条件が、現像中又は現像後に制御されてよい。いくつかの実施形態では、反応物の流れが、約50sccm~約1000sccm、約100sccm~約500sccm、例えば、約500sccmのHeであってよい。いくつかの実施形態では、温度は、約-60℃~約120℃、約-20℃~約60℃、又は約20℃~約40℃、例えば、約20℃であってよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力が、約1mTorr~約300mTorr、約5mTorr~約100mTorr、約5mTorr~約20mTorr、例えば、約10mTorrであってよい。プラズマ電力は、イオンエネルギーが高いと比較的低くなる場合がある。いくつかの実施形態では、プラズマ電力は、約50W~約1000W、約100W~約500W、又は約100W~約300W、例えば、約300Wであってよい。いくつかの実施形態では、ウェハーバイアスは、約10V~約500V、約50V~約300V、例えば、約200Vである。プラズマは、高RF周波数を使用して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、RF周波数は13.56MHzである。プラズマ曝露中のUV放射への過剰な曝露を回避するために、不活性ガスプラズマへの曝露の持続時間は比較的短くてよい。いくつかの実施形態では、曝露の持続時間は、約0.5秒~約5秒、約1秒~約3秒、例えば、約2秒である。
【0097】
露光されていないレジスト残留物のデスカム処理及びクリーニングのための不活性ガスプラズマ処理は、露光されたレジストをキュアして硬化させ、それにより、下地の基板をエッチングする後続の作業においてそのハードマスク機能を強化するという副次的な利点を有し得る。このレジスト硬化は、不活性ガスプラズマにより生成されたUV放射にEUV露光レジストを曝露させることにより実現され、これは、デスカム/平滑化が完了した後に、バイアスをオフにして継続され得る。デスカム/平滑化が必要でないか又は実施されない場合は、代わりに不活性ガスプラズマ硬化が実施されてよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、不活性ガスプラズマ脱離デスカム及び平滑化が、ウェット現像プロセスと共に使用されてよい。ウェット現像は非常に高い選択性を有し、明確なオン/オフ挙動を示すことが示されており、その結果、ウェット現像プロセスでは「ストレイ」EUV光子により露光された領域を除去することができない。ウェット現像プロセス後に、残りの残留物が残り、スカムと、ラインエッジと幅のラフネスの増加とがもたらされる。興味深いことに、複数のノブ(例えば、時間、温度、圧力、ガス/フロー)に基づいてエッチング速度及び選択性が調整され得るドライ現像プロセスの調整可能性に起因して、不活性ガスプラズマ及び/又はドライ現像を更に適用して、これらの部分的に露光された残留物を除去することにより、金属含有レジストラインをデスカム処理及び平滑化できる。
【0099】
図5は、ドライ現像中にヘリウムプラズマを使用したEUVフォトレジストの露光部分と非露光部分のエッチング速度を比較したグラフを示している。EUVフォトレジストは、有機スズ酸化物EUVフォトレジストであってよい。非露光部分は、露光部分よりも速い速度でエッチングされる。しかしながら、HBrを使用するドライ現像が進行するにつれて、エッチング速度は低下する。何らかの理論により制限されるわけではないが、酸化スズ粒子/クラスタの存在はエッチング速度を遅くすると考えられている。ヘリウム脱離を適用することにより、EUVフォトレジストの非露光部分のより多くがエッチングされ得る。
【0100】
図6A及び図6Bは、ライン崩壊に関してウェット現像とドライ現像とを比較したSEM画像を示す。図6Aでは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストが、有機溶剤などのウェット現像化学物質に曝露されている。液体乾燥ステップの後、パターンライン崩壊がいくつか観察される。これは、部分的には毛管力による表面張力の作用に起因し得る。図6Bでは、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストが、ハロゲン化水素ガスなどのドライ現像化学物質に曝露されている。液体乾燥ステップなしの気相反応によるドライ現像が、パターンライン崩壊又は層間剥離を防止する。
【0101】
図7A及び図7Bは、ラフネス及び限界寸法(CD)制御に関して、ウェット現像とドライ現像とを比較したSEM画像を示す。図7A及び図7Bでは、アッシング可能なハードマスク上に有機スズ酸化物膜が堆積されている。有機スズ酸化物膜は、様々な線量及び様々な焦点深度にてEUV露光された。有機スズ酸化物膜は、図7Aではウェット現像され、図7Bではドライ現像された。有機スズ酸化物レジストマスクは、ウェット現像後に正方形のプロファイルを有し、一方、有機スズ酸化物レジストマスクは、ドライ現像後に先細りのプロファイルを有していた。ウェット現像ではパターン転写後にラインブリッジが観察されたが、ドライ現像ではパターン転写後にラインブリッジが観察されなかった。ウェット現像後の溶媒乾燥中の表面張力に起因して、より小さな線幅又はより低い線量において、ライン崩壊及びウィグリングの発生が観察された。ドライ現像後は、より狭い線幅又はより低い線量では、ライン崩壊又はウィグリングは発生しなかった。ドライ現像では、より広い線量及び焦点範囲にわたる、より大きなプロセスウィンドウが利用可能である。
【0102】
図8は、ハードマスクを開口した後のスカムに関して、ウェット現像とドライ現像とを比較したSEM画像を示す。図8に示すように、ドライ現像後と比較して、ウェット現像後の方がより多くのスカムが観察される。何らかの理論により制限されるわけではないが、ドライ現像では、非露光EUVレジストの金属酸化物架橋を防ぐ酸素又は水分酸化源(moisture oxidation source)を含有しないガス化学物質を使用することにより、スカムの形成を防止する。スカムは、金属酸化物架橋を有する露光EUVレジストに類似している。図8では、ウェット現像又はドライ現像の後にデスカム処理及び平滑化作業が実施できる。
【0103】
図9A及び図9Bは、第2の露光後ベーク作業がドライ現像の選択性に及ぼす影響を様々な圧力及び温度について表したグラフを示す。図9Aに示すように、2回目の露光後ベークは改善されたエッチング選択性を示す。図9Bに示すように、ドライ現像中、エッチング選択性は、温度が低いと向上する。加えて、ドライ現像中、エッチング選択性は、圧力が低いと向上する。
【0104】
図10は、EUVレジストプロファイルへの圧力の影響を表すSEM画像を示す。ドライ現像の場合、圧力変化がEUVレジストプロファイルに影響を及ぼす。一般に、より高い圧力が、エッチング速度をより大きくすることを可能にする。しかしながら、より低い圧力では、EUVレジストプロファイルの改善が実証された。図10において圧力を低くすると、EUVレジストプロファイルがより真っ直ぐになった。
【0105】
図11A及び図11Bは、ライン/スペースの異なるピッチ及び異なる厚さにおけるEUVレジストのSEM画像を示す。32nmピッチ及び26nmピッチを有するEUVレジストマスクが現像された。現像前の膜厚は15nm~40nmであった。32nmピッチの場合、EUVレジストマスクの厚さは、現像後に7.8nm~22.5nmの範囲であった。ウィグリングは観察されなかった。26nmピッチの場合、現像後のEUVレジストマスクの厚さは、7.9nm~22.2nmの範囲であった。レジスト底部のアンダーカットに起因して、膜厚が30nm以上の場合に、若干のウィグリングが観察された。
【0106】
装置
本開示の装置は、EUVレジストを現像するように構成されている。装置は、堆積、ベベル及び裏面のクリーニング、塗布後ベーク、EUVスキャン、露光後ベーク、フォトレジストのリワーク、デスカム、平滑化、硬化、及び他の作業などの、他の処理作業を実施するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、装置は、全ドライ作業を実施するように構成されている。いくつかの実施形態では、装置は、全ウェット作業を実施するように構成されている。いくつかの実施形態では、装置は、ウェット作業とドライ作業との組み合わせを実施するように構成されている。この装置は、単一のウェハーチャンバを含んでよく、又は同じプロセスチャンバ内に複数のステーションを含んでよい。同じプロセスチャンバ内に複数のステーションがある場合、本開示に記載されているような様々な処理作業が、同じプロセスチャンバ内の異なるステーションで実施されてよい。例えば、PEB熱処理が、あるステーションで実施され、現像が、別のステーションで実施されてよい。
【0107】
EUVレジストの現像用に構成された装置は、基板支持体を有するプロセスチャンバを含む。装置は、圧力制御のためにプロセスチャンバに結合された真空ラインと、現像化学物質を送達するためにプロセスチャンバに結合された現像化学物質ラインとを含んでよい。いくつかの実施形態では、現像化学物質は、ハロゲン化物含有ガス、又はハロゲン化物含有ガスのラジカルを含む。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバは、プラズマ生成チャンバであるか、又はリモートプラズマ源として機能するプラズマ生成チャンバに結合されている。プラズマ生成チャンバは、ICP、TCP、又はCCPリアクタであってよい。装置は、温度制御用の1つ以上のヒーターを含んでよい。そのようなヒーターは、プロセスチャンバ内に及び/又は基板支持体内に設けられてよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ内部は、ポリマー又は無機コーティングなどの耐食性膜でコーティングされている。一例では、プロセスチャンバの内部は陽極酸化アルミナでコーティングされている。別の例では、プロセスチャンバの内部は酸化イットリウム(Y23)でコーティングされている。
【0109】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバは、プラスチックなどの安価な材料でできている。プロセスチャンバは、金属又はセラミックで作製されることが必ずしも必要ではない。プラスチック材料は、現像中にハロゲン化物含有化学物質に耐えるには十分であり得る。真空ライン及び/又は現像化学物質ラインは、プラスチックチャンバに結合されてよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、基板支持体を使用して、半径方向成分及び方位角成分を有する温度分布を使用して基板が処理されてよい。基板支持体は、温度制御ゾーンの上方の基板位置の近くに接近させて構成された複数の独立制御可能な温度制御ゾーンを含んでよい。これにより、基板支持体内の1つ以上のヒーターがより正確かつ局所的に温度を制御できるようになる。温度制御ゾーンは、長方形グリッド、六角形グリッド、又は所望に応じた温度プロファイルを生成するための他の好適なパターンなどの、所定のパターンで構成されてよい。いくつかの実施形態では、温度制御ゾーンは、方位角の不均一性又は局所的なCDの不均一性を是正するために、静電チャックにおいて空間的に構成されてよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、装置は、1つ以上のガスをプロセスチャンバ内へと送達するためのシャワーヘッドを更に含んでよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドは、シャワーヘッド内でガスを概ね分離させたまま、反応領域に複数の別々のガスを供給してよい。シャワーヘッドは、複数のプレナム容積を含んでよい。これにより、他の化学物質の中でも、前駆体ガス、キャリアガス、現像ガス、及びクリーニングガスの分離が可能になる。
【0112】
プロセスチャンバから水及び水分を除去することにより、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストと現像化学物質との反応が速くなり得る。いくつかの実施形態では、副生成物の水蒸気を除去するために、コールドトラップがプロセスチャンバに結合されてよい。コールドトラップは、副生成物の水蒸気を液体又は固体の形に凝縮させ得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、装置は、レジスト硬化及び脱ハロゲン化のために、UVランプなどのUV源及び/又はIRランプなどのIR源を更に含んでよい。UV源及び/又はIR源は、EUVレジストをキュアするための放射線への曝露を提供してよい。加えて又は代わりに、UV源は、現像化学物質の光活性化を手助けしてよい。加えて又は代わりに、UV源はハロゲン除去を手助けしてよい。ハロゲン残留物が、半導体基板上又はチャンバ表面に形成される場合があり、それはUV露光により除去できる。
【0114】
図12は、記載されたドライ現像、クリーニング、リワーク、デスカム、及び平滑化の実施形態に好適な低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体1202を有するプロセスステーション1200の実施形態の概略図を示す。複数のプロセスステーション1200が、共通低圧プロセスツール環境に含まれてよい。例えば、図13は、Lam Research Corporation(Fremont、CA)から入手可能なVECTOR(登録商標)処理ツールなどのマルチステーション処理ツール1300の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、以下で詳細に論じられるパラメータを含む、プロセスステーション1200の1つ以上のハードウェアパラメータが、1つ以上のコンピュータコントローラ1250によりプログラム的に調節されてよい。
【0115】
プロセスステーションは、クラスタツール内のモジュールとして構成されてよい。図15は、本明細書に記載の実施形態の実現に好適な真空統合堆積及びパターニングモジュールを有する半導体プロセスクラスタツールアーキテクチャを示す。そのようなクラスタプロセスツールアーキテクチャが、上述したように、及び更に図14及び図15を参照して後述するように、レジスト堆積モジュール、レジスト露光(EUVスキャナ)モジュール、レジスト現像モジュール、及びエッチングモジュールを含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、特定の処理機能、例えば、ドライ現像及びエッチングが、同じモジュール内で連続して実施され得る。そして、本開示の実施形態は、EUVスキャナにおけるフォトパターニングに続いて、エッチングされる層又は層スタック上に配置されたフォトパターニングされたEUVレジスト薄膜層を含むウェハーをドライ現像/エッチングチャンバに収容し、フォトパターニングされたEUVレジスト薄膜層をドライ現像し、次いで、本明細書に記載されるように、パターニングされたEUVレジストをマスクとして使用して下層膜をエッチングする、ための方法及び装置を対象とする。
【0117】
図12に戻ると、プロセスステーション1200は、プロセスガスを分配シャワーヘッド1206に送達するための反応物送達システム1201aと流体連通している。反応物送達システム1201aは、任意選択で、シャワーヘッド1206への送達のためのプロセスガスを混合及び/又は調整するための混合容器1204を含む。1つ以上の混合容器入口弁1220が、混合容器1204へのプロセスガスの導入を制御してよい。プラズマ曝露が使用される場合、プラズマが更にシャワーヘッド1206へと供給されてよく、又はプロセスステーション1200において生成されてよい。上述したように、少なくともいくつかの実施形態では、非プラズマ熱曝露が好まれる。
【0118】
図12は、混合容器1204に供給される液体反応物を気化させるための任意選択の気化ポイント1203を含む。いくつかの実施形態では、気化及びプロセスステーション1200への送達のために、液体の質量流量を制御するために、気化ポイント1203の上流に液体流量コントローラ(LFC)を設けてよい。例えば、LFCは、LFCの下流に位置する熱質量流量計(MFM)を含んでよい。次いで、LFCのプランジャーバルブが、MFMと電気通信する比例積分微分(PID:proportional-integral-derivative)コントローラにより供給されるフィードバック制御信号に応答して調節されてよい。
【0119】
シャワーヘッド1206は、プロセスガスを基板1212に向けて分配する。図12に示す実施形態では、基板1212は、シャワーヘッド1206の下方に位置し、ペデスタル1208上に載っていることが示される。シャワーヘッド1206は、任意の好適な形状を有してよく、プロセスガスを基板1212に分配するための任意の好適な数及び構成のポートを有してよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、ペデスタル1208を上昇又は下降させて、基板1212とシャワーヘッド1206との間の容積に基板1212を曝露させてよい。いくつかの実施形態では、ペデスタルの高さが、好適なコンピュータコントローラ1250によりプログラム的に調節されてよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド1206は、複数の温度制御を伴う複数のプレナム容積を有してよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、ペデスタル1208は、ヒーター1210を介して温度制御されてよい。いくつかの実施形態では、ペデスタル1208は、開示された実施形態に記載されているように、HBr又はHClなどのハロゲン化水素ドライ現像化学物質へのフォトパターニングされたレジストの非プラズマ熱曝露の間に、0℃を超え、最大で300℃又はそれを超える、例えば50℃~120℃、例えば約65℃~80℃の温度に加熱されてよい。いくつかの実施形態では、ペデスタル1208のヒーター1210は、複数の独立して制御可能な温度制御ゾーンを含んでよい。
【0122】
更に、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1200用の圧力制御は、バタフライバルブ1218により提供されてよい。図12の実施形態に示すように、バタフライバルブ1218は、下流の真空ポンプ(図示せず)により供給される真空を絞る。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1200の圧力制御はまた、プロセスステーション1200に導入される1つ以上のガスの流量を変化させることにより調節されてよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、基板1212とシャワーヘッド1206との間の容積を変化させるために、ペデスタル1208に対するシャワーヘッド1206の位置が調節されてよい。更に、ペデスタル1208及び/又はシャワーヘッド1206の垂直位置が、本開示の範囲内にある任意の好適な機構により変更されてよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ペデスタル1208は、基板1212の向きを回転させる回転軸を含んでよい。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調節のうちの1つ以上が、1つ以上の好適なコンピュータコントローラ1250によりプログラム的に実施されてよいことが理解されるであろう。
【0124】
プラズマが使用される場合、例えば、穏やかなプラズマベースのドライ現像の実施形態及び/又は同じチャンバ内で行われるエッチング作業において、シャワーヘッド1206及びペデスタル1208は、プラズマに給電するために無線周波数(RF)電源1214及び整合ネットワーク1216と電気通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーションの圧力、ガス濃度、RF源の電力、RF源の周波数、及びプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つ以上を制御することにより制御されてよい。例えば、RF電力供給源1214及び整合ネットワーク1216を任意の好適な電力で動作させて、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを形成してよい。好適な電力の例は、最大約500Wである。
【0125】
いくつかの実施形態では、コントローラ1250用の命令は、入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を介して提供されてよい。一例では、プロセスフェーズ用の条件を設定する命令は、プロセスレシピの対応するレシピフェーズに含まれてよい。場合によっては、プロセス段階の全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、レシピ段階が順番に構成されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のリアクタパラメータを設定するための命令がレシピ段階に含まれてよい。例えば、レシピ段階は、HBr又はHClなどのドライ現像化学物質反応ガスの流量を設定する命令と、レシピ段階用の時間遅延命令とを含んでよい。いくつかの実施形態では、コントローラ1250は、図13のシステムコントローラ1350に関して以下に説明する特徴のいずれかを含んでよい。
【0126】
上述したように、1つ以上のプロセスステーションが、マルチステーション処理ツールに含まれてよい。図13は、インバウンドロードロック1302及びアウトバウンドロードロック1304を備えるマルチステーション処理ツール1300の実施形態の概略図を示し、これらのいずれか又は両方がリモートプラズマ源を含んでよい。大気圧にあるロボット1306は、ポッド1308を通してロードされたカセットから、大気圧ポート1310を介してインバウンドロードロック1302内へとウェハーを移動するように構成されている。ウェハーは、ロボット1306により、インバウンドロードロック1302内のペデスタル1312上に置かれ、大気圧ポート1310が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック1302がリモートプラズマ源を含む場合、ウェハーは、処理チャンバ1314内へと導入される前に、ロードロック内で窒化ケイ素表面を処理するためにリモートプラズマ処理に曝露されてよい。更に、ウェハーはまた、例えば、水分及び吸着ガスを除去するために、インバウンドロードロック1302内においても加熱されてよい。次に、処理チャンバ1314へのチャンバ搬送ポート1316が開かれ、処理のために、別のロボット(図示せず)がウェハーを、リアクタ内に入れて、リアクタ内に示す第1のステーションのペデスタル上に配置する。図13に示す実施形態はロードロックを含むが、いくつかの実施形態では、プロセスステーション内へのウェハーの直接の進入が提供されてよいことが理解されるであろう。
【0127】
図示した処理チャンバ1314は、図13に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを含む。各ステーションは、加熱されたペデスタル(ステーション1については1318で表示)、及びガスライン入口を有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる又は複数の目的を有してよいことが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスステーションは、ドライ現像モードとエッチングプロセスモードとの間で切替可能であってよい。加えて又は代わりに、いくつかの実施形態では、処理チャンバ1314は、ドライ現像ステーション及びエッチングプロセスステーションの1つ以上の整合された対を含んでよい。図示した処理チャンバ1314は4つのステーションを含むが、本開示による処理チャンバが、任意の好適な数のステーションを有してよいことが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバが5つ以上のステーションを有してよいが、他の実施形態では、処理チャンバが3つ以下のステーションを有してよい。
【0128】
図13は、処理チャンバ1314内でウェハーを移送するためのウェハーハンドリングシステム1390の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ウェハー処理システム1390は、様々なプロセスステーション間で、及び/又はプロセスステーションとロードロックとの間で、ウェハーを移送してよい。任意の好適なウェハーハンドリングシステムが採用されてよいことが理解されるであろう。非限定的な例は、ウェハーカルーセル及びウェハーハンドリングロボットを含む。図13はまた、プロセスツール1300のプロセス条件及びハードウェア状態を制御するために使用されるシステムコントローラ1350の実施形態を示す。システムコントローラ1350は、1つ以上のメモリデバイス1356、1つ以上の大容量記憶デバイス1354、及び1つ以上のプロセッサ1352を含んでよい。プロセッサ1352は、CPU又はコンピュータ、アナログ、及び/又はデジタル入力/出力接続部、ステッパモータコントローラボードなどを含んでよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1350は、プロセスツール1300の動作の全てを制御する。システムコントローラ1350は、大容量記憶デバイス1354に格納され、メモリデバイス1356中に読み込まれ、プロセッサ1352で実行される、システム制御ソフトウェア1358を実行する。代替として、制御ロジックは、コントローラ1350内にハードコードされていてよい。これら目的には、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はFPGA)などを使用してよい。以下の説明では、「ソフトウェア」又は「コード」が使用される場合はいつでも、機能的に同等のハードコードされたロジックが代わりに使用されてよい。システム制御ソフトウェア1358は、タイミング、ガスの混合、ガス流量、チャンバ及び/又はステーションの圧力、チャンバ及び/又はステーションの温度、ウェハー温度、目標電力レベル、RF電力レベル、基板ペデスタル、チャック及び/又はサセプタの位置、並びにプロセスツール1300によって実施される特定のプロセスの他のパラメータ、を制御するための命令を含んでよい。システム制御ソフトウェア1358は、任意の好適な方法で構成されてよい。例えば、様々なプロセスツールプロセスを実施するために使用されるプロセスツール構成要素の作業を制御するために、様々なプロセスツール構成要素のサブルーチン又は制御オブジェクトが記述されてよい。システム制御ソフトウェア1358は、任意の好適なコンピュータ可読プログラミング言語でコーディングされてよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア1358は、上述の様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含んでよい。いくつかの実施形態では、システムコントローラ1350に関連付けられた大容量記憶デバイス1354及び/又はメモリデバイス1356に格納された他のコンピュータソフトウェア及び/又はプログラムを使用してよい。この目的のためのプログラム又はプログラムの一部の例には、基板の位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒーター制御プログラム、及びプラズマ制御プログラムが含まれる。
【0131】
基板位置合わせプログラムが、基板をペデスタル1318上にロードし、基板とプロセスツール1300の他の部品との間の間隔を制御するために使用される、プロセスツール構成要素用のプログラムコードを含んでよい。
【0132】
プロセスガス制御プログラムは、ハロゲン化物含有ガスの組成(例えば、本明細書に記載されるHBr又はHClガス)及び流量を制御するためのコード、並びに任意選択で、プロセスステーション内の圧力を安定化させるために、堆積前にガスを1つ以上のプロセスステーション内へと流し込むためのコード、を含んでよい。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システムのスロットルバルブ、プロセスステーション内へのガス流、を調節することによりプロセスステーション内の圧力を制御するためのコードを含んでよい。
【0133】
ヒーター制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでよい。代わりに、ヒーター制御プログラムは、基板への熱伝達ガス(例えばヘリウム)の供給を制御してよい。
【0134】
プラズマ制御プログラムは、本明細書の実施形態に従う1つ以上のプロセスステーション内のプロセス電極に印加されるRF電力レベルを設定するためのコードを含んでよい。
【0135】
圧力制御プログラムは、本明細書の実施形態に従って反応チャンバ内の圧力を維持するためのコードを含んでよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1350に関連付けられたユーザインターフェースがあってよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置及び/又はプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、並びにユーザ入力デバイス、例えば、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイク、を含んでよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1350によって調節されるパラメータは、プロセス条件に関係してよい。非限定的な例には、プロセスガスの組成と流量、温度、圧力、プラズマ条件(例えばRFバイアス電力レベル)などが含まれる。これらのパラメータは、ユーザインターフェースを利用して入力してよいレシピの形式でユーザに提供されてよい。
【0138】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ1350のアナログ及び/又はデジタル入力接続部によって、様々なプロセスツールセンサから提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール1300のアナログ及びデジタル出力接続部に出力されてよい。監視され得るプロセスツールセンサの非限定的な例には、マスフローコントローラ、圧力センサ(例えばマノメータ)、熱電対などが含まれる。プロセス条件を維持するために、適切にプログラムされたフィードバック及び制御アルゴリズムを、これらセンサからのデータと共に使用してよい。
【0139】
システムコントローラ1350は、上述した堆積プロセスを実施するためのプログラム命令を提供してよい。プログラム命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを制御してよい。命令は、本明細書に記載される様々な実施形態に従う現像及び/又はエッチングプロセスを操作するパラメータを制御してよい。
【0140】
システムコントローラ1350は、典型的には、開示された実施形態による方法を装置が実施するように命令を実行するように構成された1つ以上のメモリデバイス及び1つ以上のプロセッサを含むことになる。開示された実施形態によるプロセス作業を制御する命令を含む機械可読媒体が、システムコントローラ1350に結合されてよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1350はシステムの一部であり、これは上記の例の一部であってよい。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハー台、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理機器を含み得る。これらシステムは、半導体ウェハー又は基板の処理前、処理中、及び処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。電子機器は、システム(単数又は複数)の様々な構成要素又は副部品を制御し得る「コントローラ」と呼ばれる場合がある。システムコントローラ1350は、処理条件及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び作業設定、特定のシステムと接続しているか又はインターフェースしているツール及び他の移送ツール並びに/又はロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれをも制御するようにプログラムされてよい。
【0142】
大まかに言って、システムコントローラ1350は、様々な集積回路、ロジック、メモリ、及び/又はソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするなどの電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサ、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(又はプログラムファイル)の形態でシステムコントローラ1350に通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウェハー上で若しくは半導体ウェハー用に、又はシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハーダイの作製時に、1つ以上の処理ステップを実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0143】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1350は、システムに組み込まれた、若しくは結合された、又はシステムにネットワーク接続された、又はこれらの組み合わせであるコンピュータの一部であるか、又はそのコンピュータに結合されていてよい。例えば、システムコントローラ1350は「クラウド」内にあるか、又はファブホストコンピュータシステムの全て若しくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造作業の現在の進行状況を監視し、過去の製造作業の履歴を調査し、複数の製造作業から傾向又は性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、又は新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワーク又はインターネットを含んでよいネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力若しくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータ及び/又は設定は次いで、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、システムコントローラ1350は、1つ以上の作業中に実施される各処理ステップのためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、及びシステムコントローラ1350がインターフェースするか又は制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよいことを理解すべきである。従って、上述のように、システムコントローラ1350は、例えば、互いにネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的を目指している1つ以上の個別のコントローラを含むことによって、分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に置かれた(例えば、プラットフォームレベルで、又はリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0144】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属メッキチャンバ又はモジュール、クリーニングチャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、ALDチャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、EUVリソグラフィチャンバ(スキャナ)又はモジュール、現像チャンバ又はモジュール、及び半導体ウェハーの作製及び/又は製造に関連するか若しくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0145】
上述したように、ツールによって実施されるプロセスステップに応じて、システムコントローラ1350は、他のツール回路又はモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に置かれたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール場所及び/又はロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送に使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
【0146】
特定の実施形態では、いくつかの実施形態の実現に好適なエッチング作業に好適であり得る誘導結合プラズマ(ICP)リアクタについて、ここで説明する。本明細書ではICPリアクタについて記載するが、いくつかの実施形態では、容量結合プラズマリアクタも使用できることを理解すべきである。
【0147】
図14は、ドライ現像及び/又はエッチングなどの、特定の実施形態又は実施形態の態様、を実現するのに適切な誘導結合プラズマ装置1400の断面図を概略的に示し、この装置の例が、Lam Research Corp.(Fremont,CA)により製造されるKiyo(登録商標)リアクタである。他の実施形態では、本明細書に記載されるドライ現像及び/又はエッチングプロセスを行う機能を有する他のツール又はツールタイプを実現のために使用してよい。
【0148】
誘導結合プラズマ装置1400は、チャンバ壁1401及び窓1411によって構造的に画定された全体的なプロセスチャンバ1424を含む。チャンバ壁1401は、ステンレス鋼、アルミニウム、又はプラスチックから製造されてよい。窓1411は、石英又は他の誘電体材料から製造されてよい。オプションの内部プラズマグリッド1450は、全体的なプロセスチャンバを上部サブチャンバ1402と下部サブチャンバ1403とに分割する。大部分の実施形態では、プラズマグリッド1450を除去することにより、サブチャンバ1402及び1403で作られたチャンバ空間を利用してよい。チャック1417が、下部サブチャンバ1403の内部で底部内側表面の近くの位置している。チャック1417は半導体ウェハー1419を収容し保持するように構成され、半導体ウェハーに対してエッチング及び堆積プロセスが実施される。チャック1417は、ウェハー1419が存在する場合にウェハー1419を支持するための静電チャックであり得る。いくつかの実施形態では、エッジリング(図示せず)がチャック1417を取り囲んでおり、ウェハー1419がチャック1417上に存在する場合に、ウェハー1419の上面とほぼ同一平面となる上面を有する。チャック1417はまた、ウェハー1419をチャッキング、及びチャッキング解除のための静電電極も含む。この目的のために、フィルタ及びDCクランプ電源(図示せず)を設けてよい。ウェハー1419をチャック1417から持ち上げるための他の制御システムも設けることができる。チャック1417は、RF電源1423を使用して帯電させることができる。RF電源1423は、接続部1427を介して整合回路1421に接続されている。整合回路1421は、接続部1425を介してチャック1417に接続されている。このようにして、RF電源1423はチャック1417に接続されている。様々な実施形態では、静電チャックのバイアス電力は約50Vに設定されてよく、又は、開示される実施形態に従って実施されるプロセスに応じて異なるバイアス電力に設定されてよい。例えば、バイアス電力は、約20Vb~約100V、又は約30V~約150Vであってよい。
【0149】
プラズマ生成用の要素は、窓1411の上に位置するコイル1433を含む。いくつかの実施形態では、開示された実施形態ではコイルは使用されない。コイル1433は、導電性材料から製造され、少なくとも1つの完全なターンを含む。図14に示すコイル1433の例では、3つのターンを含む。コイル1433の断面は記号で示され、「X」を有するコイルは回転してページの中に入るように延び、「・」を有するコイルは回転してページの外に出るように延びている。プラズマ生成のための要素はまた、コイル1433にRF電力を供給するように構成されたRF電源541を含む。一般に、RF電源1441は、接続部1445を介して整合回路1439に接続されている。整合回路1439は、接続部1443を介してコイル1433に接続されている。このようにして、RF電源1441はコイル1433に接続されている。任意選択のファラデーシールド1449aが、コイル1433と窓1411の間に位置している。ファラデーシールド1449aは、コイル1433に対して間隔を空けた関係で維持されていてよい。いくつかの実施形態では、ファラデーシールド1449aは窓1411の真上に配置される。いくつかの実施形態では、ファラデーシールド1449bは、窓1411とチャック1417との間にある。いくつかの実施形態では、ファラデーシールド1449bは、コイル1433に対して間隔を空けた関係では維持されていない。例えば、ファラデーシールド1449bは、間隙なく窓1411の真下にあってよい。コイル1433、ファラデーシールド1449a、及び窓1411はそれぞれ、互いに実質的に平行に構成されている。ファラデーシールド1449aは、金属又は他の化学種がプロセスチャンバ1424の窓1411に堆積することを防ぎ得る。
【0150】
プロセスガスが、上部サブチャンバ1402に位置する1つ以上のメインガス流入口1460を通って及び/又は1つ以上のサイドガス流入口1470を通って、プロセスチャンバの中に流入してよい。同様に、明示的には示していないが、類似のガス流入口を使用して、プロセスガスを容量結合プラズマ処理チャンバに供給してよい。真空ポンプ、例えば、1段又は2段の機械式ドライポンプ及び/又はターボ分子ポンプ1440を使用して、プロセスチャンバ1424からプロセスガスを引き出して、プロセスチャンバ1424の内部の圧力を維持してよい。例えば、真空ポンプを使用して、ALDのパージ作業中に下部サブチャンバ1403を排気してよい。真空ポンプによって提供される真空環境の適用を選択的に制御するために、バルブ制御導管を使用して、真空ポンプをプロセスチャンバ1424に流体的に接続してよい。これは、プラズマ処理の作業中に、スロットルバルブ(図示せず)又は振り子バルブ(図示せず)などの閉ループ制御流量制限デバイスを使用して行ってよい。同様に、真空ポンプ、及び容量結合プラズマ処理チャンバへのバルブ制御流体接続も使用してよい。
【0151】
装置1400の作業中、1つ以上のプロセスガスを、ガス流入口1460及び/又は1470を通して供給してよい。特定の実施形態では、プロセスガスを、メインガス流入口1460のみを通して、又はサイドガス流入口1470のみを通して供給してよい。場合によっては、図に示すガス流入口を、より複雑なガス流入口に、例えば1つ以上のシャワーヘッドに置き換えてよい。ファラデーシールド1449a及び/又は任意選択のグリッド1450は、プロセスガスをプロセスチャンバ1424に供給することを可能にする内部チャネル及び穴を含んでよい。ファラデーシールド1449a及び任意選択のグリッド1450のいずれか又は両方が、プロセスガスを供給するためのシャワーヘッドとして機能してよい。いくつかの実施形態では、液体気化及び供給システムをプロセスチャンバ1424の上流に配置してよく、それにより、液体反応物又は前駆体がいったん気化した場合、気化した反応物又は前駆体は、ガス流入口1460及び/又は1470を介してプロセスチャンバ1424の中に導入される。
【0152】
高周波電力がRF電源1441からコイル1433に供給されて、コイル1433にRF電流が流れる。コイル533を通って流れるRF電流は、コイル1433の周りに電磁場を生成する。電磁場は、上部サブチャンバ1402の内部に誘導電流を生成する。生成された様々なイオン及びラジカルとウェハー1419との物理的及び化学的相互作用が、ウェハー1419のフィーチャをエッチングし、ウェハー1419上に層を選択的に堆積させる。
【0153】
上部サブチャンバ1402と下部サブチャンバ1403の両方が存在するようにプラズマグリッド1450が使用される場合、上部サブチャンバ1402内に存在するガスに誘導電流が作用して、上部サブチャンバ1402内で電子-イオンプラズマを生成する。任意選択の内部プラズマグリッド1450は、下部サブチャンバ1403内のホットエレクトロンの量を制限する。いくつかの実施形態では、装置1400は、下部サブチャンバ1403内に存在するプラズマがイオン-イオンプラズマであるように設計及び操作される。
【0154】
上部の電子-イオンプラズマ及び下部のイオン-イオンプラズマの両方が、正イオン及び負イオンを含有し得るが、イオン-イオンプラズマは、正イオンに対する負イオンの比率がより大きくなるであろう。揮発性エッチング及び/又は堆積による副生成物が、ポート1422を介して下部サブチャンバ1403から除去されてよい。本明細書で開示されるチャック1417は、約10℃~約250℃の範囲の高い温度で動作し得る。温度はプロセス作業と具体的なレシピに依存することになる。
【0155】
装置1400がクリーンルーム又は製造施設に設置される場合、装置1400は施設(図示せず)に結合されてよい。施設には、処理ガス、真空、温度制御、及び環境パーティクル制御を提供する配管が含まれる。装置1400がターゲット製造施設に設置された場合、これらの施設は装置1400に結合される。加えて、装置1400は移送チャンバに結合されて、ロボット工学が、典型的な自動化装置を使用して、半導体ウェハーを装置1400に搬出入することを可能にしてよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1430(1つ以上の物理的又は論理的コントローラを含み得る)が、プロセスチャンバ1424の作業の一部又は全てを制御する。システムコントローラ1430は、1つ以上のメモリデバイス及び1つ以上のプロセッサを含んでよい。いくつかの実施形態では、装置1400は、開示された実施形態が実施されるときに流量及び持続時間を制御するための切替システムを含む。いくつかの実施形態では、装置1400は、最大約500ミリ秒、又は最大約750ミリ秒の切替時間を有し得る。切替時間は、フロー化学物質、選択されたレシピ、リアクタアーキテクチャ、及び他の要因に依存し得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1430はシステムの一部であり、これは上記の例の一部であってよい。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハー台、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理機器を含み得る。これらシステムは、半導体ウェハー又は基板の処理前、処理中、及び処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。電子機器は、システムコントローラ1430に組み込まれてよく、システムコントローラ1430は、システムの様々な構成要素又はサブパーツを制御してよい。システムコントローラは、処理パラメータ及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び作業設定、特定のシステムと接続しているか又はインターフェースしているツール及び他の移送ツール並びに/又はロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれをも制御するようにプログラムされてよい。
【0158】
大まかに言って、システムコントローラ1430は、様々な集積回路、ロジック、メモリ、及び/又はソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするなどの電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサ、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウェハー上で若しくは半導体ウェハー用に、又はシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、及び/又はウェハーダイの製作時又は除去時に、1つ以上の処理ステップを実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1430は、システムに組み込まれた、若しくは結合された、又はシステムにネットワーク接続された、又はこれらの組み合わせであるコンピュータの一部であるか、又はそのコンピュータに結合されていてよい。例えば、コントローラは「クラウド」内にあるか、又はファブホストコンピュータシステムの全て若しくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になり得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造作業の現在の進行状況を監視し、過去の製造作業の履歴を調査し、複数の製造作業から傾向又は性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、又は新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワーク又はインターネットを含んでよいネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力若しくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータ及び/又は設定は次いで、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、システムコントローラ1430は、1つ以上の作業中に実施される各処理ステップのためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、及びコントローラがインターフェースするか、又は制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよいことを理解されたい。従って、上述のように、システムコントローラ1430は、例えば、互いにネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的を目指している1つ以上の個別のコントローラを含むことによって、分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に置かれた(例えば、プラットフォームレベルで、又はリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0160】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属メッキチャンバ又はモジュール、クリーニングチャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、ALDチャンバ又はモジュール、ALEチャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、EUVリソグラフィチャンバ(スキャナ)又はモジュール、ドライ現像チャンバ又はモジュール、及び半導体ウェハーの作製及び/又は製造に関連するか若しくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0161】
上述したように、ツールによって実施されるプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に置かれたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール場所及び/又はロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送に使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
【0162】
EUVLパターニングは、多くの場合にスキャナと呼ばれる任意の好適なツール、例えばASML(Veldhoven,NL)により提供されるTWINSCAN NXE:3300B(商標)プラットフォーム、を使用して実施されてよい。EUVLパターニングツールはスタンドアロンデバイスであってよく、本明細書に記載されるように、堆積及びエッチングのために、このツールから基板が中に入る及び外に出る。又は、後述するように、EUVLパターニングツールは、より大きなマルチコンポーネントツールのモジュールであってよい。図15は、本明細書で説明するプロセスの実現に好適な、真空移送モジュールとインターフェースする真空で統合された堆積、EUVパターニング、及びドライ現像/エッチングモジュールを有する、半導体プロセスクラスタツールアーキテクチャを示す。プロセスはそのような真空統合装置なしで実施されてよいが、そのような装置はいくつかの実施形態において有利であり得る。
【0163】
図15は、本明細書で説明するプロセスの実現に好適な、真空移送モジュールとインターフェースする真空で統合された堆積及びパターニングモジュールを有する、半導体プロセスクラスタツールアーキテクチャを示す。複数の格納設備と処理モジュールとの間でウェハーを「移送」するための移送モジュールの構成は、「クラスタツールアーキテクチャ」システムと呼ばれる場合がある。堆積及びパターニングモジュールは、特定のプロセスの要件に従って真空で統合されている。エッチング用などの他のモジュールもクラスタに含まれる場合がある。
【0164】
真空搬送モジュール(VTM)1538が、4つの処理モジュール1520a~1520dとインターフェースし、これらは個々に最適化されて様々な製造プロセスを実施してよい。例として、処理モジュール1520a~1520dは、堆積、蒸発、ELD、ドライ現像、エッチング、ストリップ、及び/又は他の半導体プロセスを実施するために実現されてよい。例えば、モジュール1520aはALDリアクタであってよく、これは、本明細書に記載される熱原子層堆積を非プラズマで実施するように操作されてよく、例えば、Lam Research Corporation(Fremont,CA)から入手可能なVectorツールである。また、モジュール1520bは、Lam Vector(登録商標)などのPECVDツールであってよい。図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解すべきである。
【0165】
ロードロック又は移送モジュールとも呼ばれるエアロック1542及び1546が、VTM1538及びパターニングモジュール1540とインターフェースする。例えば、上述したように、好適なパターニングモジュールは、ASML(Veldhoven,NL)によって供給されるTWINSCAN NXE:3300B(商標)プラットフォームであってよい。このツールアーキテクチャにより、半導体基板又はウェハーなどのワークピースが露光前に反応しないように真空下で移送することが可能になる。H2O、O2などの周囲ガスによる入射光子の強力な光吸収を想定すると、EUVLもまた大幅に低い圧力を必要とするという事実により、堆積モジュールとリソグラフィツールとの統合が促進される。
【0166】
上述したように、この統合アーキテクチャは、説明したプロセスを実現するためのツールの1つの予想される実施形態に過ぎない。このプロセスはまた、従来のスタンドアロンEUVLスキャナと、Lam Vectorツールなどの堆積リアクタを使用して、スタンドアロンで、又はクラスタアーキテクチャにおけるエッチング、ストリップなど(例えば、Lam Kiyo又はGammaツール)の他のツールにモジュールとして統合して、例えば図15を参照して説明したように、しかし統合されたパターニングモジュールなしで、実現されてよい。
【0167】
エアロック1542は、「外向き」ロードロックであってよく、堆積モジュール1520aにサービスを提供するVTM1538から基板を出してパターニングモジュール1540に移送することを指し、エアロック1546は、「内向き」ロードロックであってよく、パターニングモジュール1540からVTM1538に基板を戻す移送を指す。内向きロードロック1546はまた、基板の出し入れのためのツール外部へのインターフェースを提供してよい。各プロセスモジュールは、モジュールをVTM1538にインターフェースするファセットを有する。例えば、堆積プロセスモジュール1520aはファセット1536を有する。各ファセットの内側では、ウェハー1526がそれぞれのステーション間を移動した場合にウェハー1526の通過を検出するために、センサ、例えば図示するようなセンサ1~18、が使用される。パターニングモジュール1540、並びにエアロック1542及び1546が同様に、追加のファセット及びセンサ(図示せず)を備えてよい。
【0168】
メインVTMロボット1522が、エアロック1542及び1546を含むモジュール間でウェハー1526を移送する。一実施形態ではロボット1522は1つのアームを有し、別の実施形態ではロボット1522は2つのアームを有し、各アームは、ウェハー1526などのウェハーを搬送のために持ち上げるためのエンドエフェクタ1524を有する。ウェハー1526を、外向きエアロック1542からパターニングモジュール1540に、及びパターニングモジュール1540から内向きエアロック1546に移送するために、フロントエンドロボット1544が使用される。フロントエンドロボット1544はまた、基板の出し入れのために、内向きロードロックとツール外部との間でウェハー1526を搬送してよい。内向きエアロックモジュール1546は、大気と真空との間の環境を整合させる能力を有するので、ウェハー1526は損傷を受けることなく2つの圧力環境間を移動できる。
【0169】
EUVLツールは典型的には、堆積ツールよりも高い真空で動作することに留意すべきである。この場合には、堆積ツールとEUVLツールとの間の移送中の基板の環境の真空度を高めて、パターニングツールに入る前に基板を脱気できるようにすることが望ましい。外向きエアロック1542は、移送されたウェハーを、より低い圧力で、すなわちパターニングモジュール1540内の圧力以下で、一定期間保持し、いかなる排出気体をも排気し、その結果、パターニングツール1540の光学系が、基板からの排出気体により汚染されることがないようにすることにより、この機能を提供してよい。排出気体用の外向きエアロックの好適な圧力は、1E-8トール以下である。
【0170】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1550(1つ以上の物理的又は論理的コントローラを含み得る)が、クラスタツール及び/又はその別個のモジュールの作業の一部又は全てを制御する。コントローラは、クラスタアーキテクチャにローカルとすることができ、又は製造フロアのクラスタアーキテクチャの外部に配置することができ、又は遠隔地に配置してネットワーク経由でクラスタアーキテクチャに接続することができる、という点に留意すべきである。システムコントローラ1550は、1つ以上のメモリデバイス及び1つ以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、中央処理装置(CPU)又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入出力接続、ステッパモータコントローラボード、及び他の同様の構成要素を含んでよい。適正な制御作業を実現する命令は、プロセッサで実行される。これら命令は、コントローラに関連付けられたメモリデバイスに格納されてよく、又はこれら命令はネットワーク経由で提供されてよい。特定の実施形態では、システムコントローラは、システム制御ソフトウェアを実行する。
【0171】
システム制御ソフトウェアは、ツール又はモジュール作業の任意の態様の適用タイミング及び/又は大きさを制御する命令を含んでよい。システム制御ソフトウェアは、任意の好適な方法で構成されてよい。例えば、様々なプロセスツールプロセスを実施するために必要なプロセスツール構成要素の作業を制御するために、様々なプロセスツール構成要素のサブルーチン又は制御オブジェクトが記述されてよい。システム制御ソフトウェアは、任意の好適なコンピュータ可読プログラミング言語でコーディングされてよい。いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェアは、上述した様々なパラメータを制御する入出力制御(IOC)シーケンス命令を含む。例えば、半導体製造プロセスの各段階は、システムコントローラにより実行される1つ以上の命令を含んでよい。凝縮、堆積、蒸発、パターニング、及び/又はエッチング段階についてプロセス条件を設定する命令は、例えば、対応するレシピ段階に含まれてよい。
【0172】
様々な実施形態では、ネガ型マスクを形成するための装置が提供される。装置は、パターニング、堆積、及びエッチングのための処理チャンバと、ネガ型マスクを形成するための命令を含むコントローラとを含んでよい。命令は、処理チャンバ内で、半導体基板上の化学増幅(CAR)レジスト内のフィーチャをEUV露光によりパターニングして基板の表面を曝露させ、フォトパターニングされたレジストを現像し、パターニングされたレジストをマスクとして使用して下にある層又は層のスタックをエッチングするためのコードを含んでよい。現像は、ハロゲン化物含有化学物質を使用して実施されてよい。
【0173】
ウェハーの移動を制御するコンピュータは、クラスタアーキテクチャにローカルとすることができ、又は製造フロアのクラスタアーキテクチャの外部に配置することができ、又は遠隔地に配置してネットワーク経由でクラスタアーキテクチャに接続することができる、という点に留意すべきである。図12図13、又は図14のいずれかに関して上述したようなコントローラが、図15のツールを使用して実現されてよい。
【0174】
結論
例えば、EUVパターニングとの関連でパターニングマスクを形成するための、金属及び/又は金属酸化物のフォトレジストのドライ現像のためのプロセス及び装置が開示される。
【0175】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は例示のみを目的としており、それに照らして、様々な修正又は変更が当業者に提案されるであろうことが理解されている。明確化のために様々な詳細が省略されているが、様々な設計の代替形態が実現されてもよい。したがって、本実施例は、例示的であって限定的ではないと見なされるべきであり、本開示は、本明細書に記載される詳細に限定されず、本開示の範囲内において修正されてよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】