(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(54)【発明の名称】特に海洋用途のための、床を製造するためのポリウレタン組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/42 20060101AFI20220824BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20220824BHJP
C08G 18/78 20060101ALI20220824BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20220824BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20220824BHJP
【FI】
C08G18/42 088
C08G18/73
C08G18/78 006
C08G18/40 009
C08G18/79 020
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577142
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2020066635
(87)【国際公開番号】W WO2020260072
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ラス
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト ボルケント
(72)【発明者】
【氏名】オスカル ネッテコベン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF17
4J034DF27
4J034DG03
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB08
4J034HC25
4J034HC26
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB19
4J034RA10
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、以下を含むポリウレタン組成物であって、
(a)以下を含むポリオール成分(A):
- 110~200mgKOH/gのOH価を有する、ヒマシ油とケトン樹脂との少なくとも1つの反応生成物A1、及び
- 少なくとも1つの脂肪族トリオールA2、
並びに、
(b)以下を含むポリイソシアネート成分(B):
- ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をベースとする少なくとも1つのポリイソシアネート樹脂B1であって、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートからなる群の成分とブレンドされた、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートから誘導された1つ又は複数のポリイソシアネートプレポリマーを含むポリイソシアネート樹脂B1;
ここで、前記ポリオールA1の前記ポリオールA2に対する重量比((A1)/(A2))が1.25~2.5の範囲内である、
ポリウレタン組成物に関する。
本発明は、良好な付着性及び適切な機械的性能を示し、硬化後に55~70、好ましくは60~65のShore A硬度が得られ、硬化組成物のサンディング(研磨)後にすばらしい魅力が得られ、かつ硬化材料上に荷重を配置した後に迅速に元の形態に回復する、硬化性床材組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むポリウレタン組成物であって、
(a)以下を含むポリオール成分(A):
- 110~200mgKOH/gのOH価を有する、ヒマシ油とケトン樹脂との少なくとも1つの反応生成物A1、及び
- 少なくとも1つの脂肪族トリオールA2、
並びに、
(b)以下を含むポリイソシアネート成分(B):
- ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をベースとする少なくとも1つのポリイソシアネート樹脂B1であって、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートからなる群の成分とブレンドされた、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートから誘導された1つ又は複数のポリイソシアネートプレポリマーを含むポリイソシアネート樹脂B1;
ここで、前記ポリオールA1の前記ポリオールA2に対する重量比((A1)/(A2))が1.25~2.5の範囲内である、
ポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記脂肪族トリオールA2が、360~4000g/mol、最も好ましくは400~800g/molの平均分子量を有する脂肪族トリオールである、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
前記脂肪族トリオールA2が、エトキシル化された脂肪族トリオール、プロポキシル化された脂肪族トリオール、及びブトキシル化された脂肪族トリオールからなる群から選択される、請求項1又は2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記ポリオールA1の前記ポリオールA2に対する重量比((A1)/(A2))が、1.5~2.25、好ましくは1.75~2.0の範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記ポリオールA1及び前記ポリオールA2の合計の総量((A1)+(A2))が、前記ポリオール成分(A)の全重量を基準として、30~75重量%、好ましくは35~60重量%、より好ましくは40~50重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
前記ポリオール成分(A)が、前記ポリオール成分(A)の全重量を基準として、25~55重量%、好ましくは40~45重量%の量の無機及び有機フィラーをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
前記ポリオール成分(A)が、水を本質的に含まず、好ましくは、水の量が、前記ポリオール成分(A)の全重量を基準として、0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
前記ポリイソシアネート樹脂B1が、HDIのウレトジオンとブレンドされた、HDIのイソシアヌレート三量体から誘導された少なくとも1つのポリイソシアネートプレポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
前記ポリイソシアネート樹脂B1が、前記ポリイソシアネート樹脂B1の総量を基準として、75~95重量%、好ましくは80~90重量%の量のHDIのイソシアヌレート三量体から誘導された少なくとも1つのポリイソシアネートプレポリマーと、前記ポリイソシアネート樹脂B1の総量を基準として、5~25重量%、好ましくは10~20重量%の量のHDIのウレトジオンとを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
前記ポリイソシアネート樹脂B1が、2.0若しくはそれを超える、又は2.2若しくはそれを超える、より好ましくは2.2~3、又は2.0~2.6の、最も好ましくは2.2~2.4の平均NCO官能基数を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
前記成分(B)が、成分(B)の全重量を基準として、70重量%を超える、80重量%を超える、90重量%を超える、又は95重量%を超えるポリイソシアネート樹脂B1からなる、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項12】
混合前の前記ポリウレタン組成物中の遊離NCO基の、NCO反応性基、好ましくはOH基に対するモル比が、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1である、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項13】
以下の工程を含む、好ましくは床材としての、混合した請求項1~12のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物の適用方法:
(a)前記ポリウレタン組成物を適用する空間を提供すること;
(b)前記ポリウレタン組成物の成分(A)及び(B)を混合して混合したポリウレタン組成物を得ること;
(c)提供された前記空間内の所望の位置に所望の形状で前記混合したポリウレタン組成物を適用すること;
(d)前記適用した混合したポリウレタン組成物を硬化させること。
【請求項14】
工程(d)の硬化したポリウレタン組成物の表面を機械的に処理し、好ましくは研削し、それによって、前記硬化したポリウレタン組成物の厚さの好ましくは5~50%、より好ましくは10~20%を除去する工程(e)をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
床及び/又は船のデッキを形成するための、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
床材としての、特に船のデッキのための床材としての、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に海洋用途のための、床を製造するためのポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特に海洋用途のために、床を処理する場合、基材上の床材組成物の付着性及び適切な機械的性能を保護することが重要である。特に海洋用途の場合、床の上に荷重が配置された後に元の形態に回復する性質(残留圧痕)、及び滑らかな船のデッキの滑り抵抗を増加させ、同様にそれらの上での歩行の快適さが高まる特定のShore A硬度などの特定のさらなる要求を満たす必要がある。
【0003】
従来技術においては、一成分又は二成分ポリウレタン組成物をベースとするこのような製品が利用可能であるが、海洋用途の前述の特定の要求には適合せず、特に要求される機械的性質に関して適合しない。
【0004】
海洋用途の分野では、当産業は、特定の機能特性とともに視覚に訴える装飾効果を有する床材面(フローリング面)の提供の問題に直面している。産業における最近の傾向は、天然の床材料の代替品としてのポリマー材料の使用である。この材料は、機能性と装飾的デザインとを併せ持つ船のデッキの製造が可能となるように製造される。このためには、研削及び研磨が容易であって、上記処理後に魅力的な外観が得られる材料を有すると有利である。
【0005】
良好な付着性及び適切な機械的性能を示し、硬化後に55~70、好ましくは60~65のShore A硬度が得られ、硬化組成物のサンディング後にすばらしい魅力が得られ、硬化材料上に荷重を配置した後に迅速に元の形態に回復する組成物の分野に強い関心が持たれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、良好な付着性及び適切な機械的性能を示し、硬化後に55~70、好ましくは60~65のShore A硬度が得られ、硬化組成物のサンディング後にすばらしい魅力が得られ、硬化材料上に荷重を配置した後に迅速に元の形態に回復する硬化性床材組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、この目的は、以下を含むポリウレタン組成物によって実現することができる:
(a)以下を含むポリオール成分(A):
- 110~200mgKOH/gのOH価を有する、ヒマシ油とケトン樹脂との少なくとも1つの反応生成物A1、及び
- 少なくとも1つの脂肪族トリオールA2、
並びに、
(b)以下を含むポリイソシアネート成分(B):
- ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をベースとする少なくとも1つのポリイソシアネート樹脂B1であって、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートからなる群の成分とブレンドされた、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートから誘導された1つ又は複数のポリイソシアネートプレポリマーを含むポリイソシアネート樹脂B1。
【0008】
ポリオールA1のポリオールA2に対する重量比((A1)/(A2))は1.25~2.5の範囲内である。
【0009】
本発明の組成物は、特に床材として、特に海洋用途のための床に特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例えばポリオール又はポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、それらの名称に使用される2つ又はそれを超える官能基を1分子当たりに公式に含む物質を示している。
【0011】
平均分子量は、従来方法を用いて測定され、好ましくはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレンを標準物質(Mn)として、100オングストローム、1000オングストローム、及び10000オングストロームの多孔度のスチレン-ジビニルベンゼンゲルをカラムとして、及びテトラヒドロフランを溶媒として使用して35℃において測定される数平均分子量を意味するとして理解される。
【0012】
本文献において平均官能基数という用語は、所与の分子上の官能基の平均数を示している。例えば、ポリイソシアネートの場合、官能基数2は、1分子当たり平均で2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート分子を示している。
【0013】
本発明の組成物は、少なくとも2つの個別の成分からなり、これらは、自発反応を回避するために別々に保管され、ポリウレタンの床材(フローリング)又はコーティングが製造されるときに混合される。これらの成分は、1つのパッケージとして一緒にまとめることができる。少なくとも2つの成分は、ポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)であり、これらはそれぞれ単に成分(A)及び成分(B)とも呼ばれ、これらについては以下に説明される。
【0014】
ポリオール成分(A)
ポリオール成分(A)は、110~200mgKOH/gのOH価を有する、ヒマシ油とケトン樹脂との少なくとも1つの反応生成物A1を含む。
【0015】
155~190mg、特に140~170mg、特に好ましくは150~160mgKOH/gのOH価が好ましい。好ましくは300~400g/eqのOH当量を有する。
【0016】
ヒマシ油とシクロヘキサノンをベースとするケトン樹脂との反応生成物、特に、例えばNuplex Resins GmbH,GermanyよりSetathane(登録商標)1150の名称、及びBASF,GermanyよりSovermol(登録商標)805の名称で販売されるものが特に好ましい。
【0017】
本文献において、「ヒマシ油」という用語は、好ましくは、Online Roempp Chemie Lexikon[Roempp’s Chemical Lexicon online],Thieme Verlag,retrieved 23.12.2016に記載のヒマシ油を意味するものと理解される。
【0018】
本文献において、「ケトン樹脂」という用語は、好ましくは、Online Roempp Chemie Lexikon[Roempp’s Chemical Lexicon online],Thieme Verlag,retrieved 23.12.2016に記載のケトン樹脂を意味するものと理解される。
【0019】
ポリオール成分(A)は、少なくとも1つの脂肪族トリオールA2をさらに含む。
【0020】
好ましくは、脂肪族トリオールA2は、360~4000g/mol、好ましくは400~3000g/mol、より好ましくは400~2000g/mol、400~1000g/mol、最も好ましくは400~800g/molの平均分子量を有する脂肪族トリオールである。
【0021】
さまざまな種類のこのような脂肪族トリオールが存在する。したがって、例えば、これらはウレタン基及び/又は尿素基及び/又はエーテル基を含むことができる。トリオールの形態は非常に異なっていてよい。したがって、例えば、星形又はくし形トリオールが可能である。さらには、トリオールは、第1級だけでなく第2級のヒドロキシル基も含むことも可能である。好ましくは3つすべてのヒドロキシル基が第1級ヒドロキシル基である。
【0022】
脂肪族トリオールA2は、例えば、過剰の脂肪族ジオール中、さらに特にポリエーテルジオール中、脂肪族トリイソシアネートから、さらに特に3つのイソシアネート分子から形成されるイソシアヌレートから得ることができ、適切であれば、脂肪族ジイソシアネート及び脂肪族ジオールによってさらに続いて延長させて得ることができる。
【0023】
さらなる代表的な脂肪族トリオールA2は、例えばトリメチロールプロパン又はグリセロールなどの低分子量脂肪族トリオールと、脂肪族のジイソシアネートとから、後に脂肪族ジオールと反応させることによって得ることができる。
【0024】
好ましい脂肪族トリオールA2は、低分子量脂肪族トリオール、好ましくはトリメチロールプロパン及びグリセロールのアルコキシル化反応の生成物である。特に、これらは、エトキシル化、プロポキシル化、及びブトキシル化された脂肪族トリオールからなるリストから選択されるトリオールである。
【0025】
ポリオールA1のポリオールA2に対する重量比((A1)/(A2))は、1.25~2.5、好ましくは1.5~2.25、最も好ましくは1.75~2.0の範囲内である。
【0026】
1.25未満の比では、Shore A硬度の値が高くなりすぎ、伸びの値が低すぎる値になるという欠点が生じる。2.5を超える比では、機械的性質及び靱性が不十分となる欠点が生じる。
【0027】
好ましくは、ポリオールA1及びポリオールA2の合計の総量((A1)+(A2))は、成分(A)の全重量を基準として30~75重量%、好ましくは35~60重量%、より好ましくは40~50重量%である。
【0028】
前述のポリオールとは別に、成分(A)は、さらなる添加剤を含むことができる。このような添加剤は、希望するなら一般に使用され、典型的にはそれらはポリウレタンの当業者には周知である。任意選択の添加剤の例は、可塑剤、顔料、接着促進剤、例えばシラン、例えばエポキシシラン、(メタ)アクリラトシラン、及びアルキルシラン、熱、光、及びUV放射線に対する安定剤、チキソトロープ剤、流動改善添加剤、難燃剤、界面活性剤、例えば脱泡剤、湿潤剤、流動調整剤、脱気剤、殺生物剤、及び乳化剤である。
【0029】
成分(A)にさらに使用される任意選択の添加剤は、ベンゾエート(安息香酸エステル)、フタル酸ベンジル、例えばSanticizer(登録商標)160(フタル酸ベンジルブチル)、クエン酸エステル、例えばCitrofol(登録商標)B II(クエン酸アセチルトリブチル)、エトキシル化ヒマシ油、ステアレート(好ましくはエチレンオキシド変性される)、プロピレングリコールラウレート、及びジイソプロピルベンゼン、例えばBenzoflex(登録商標)9-88などの1つ又はそれを超える可塑剤である。
【0030】
好ましい一実施形態では、成分(A)は、成分(A)の全重量を基準として0~10%、好ましくは0~5重量%、0~1重量%の可塑剤、0重量%を含む。
【0031】
好ましい適切な添加剤としては、無機及び有機の顔料などの顔料、例えばBayferrox(登録商標)及びHeucosin(登録商標)、脱泡剤、例えば溶剤シリコンフリー及びポリオルガノシロキサン、例えばTego(登録商標)Airex及びEfka(登録商標)、並びに乳化剤、例えば水酸化カルシウム及び酸化カルシウムが挙げられる。
【0032】
好ましくは、ポリオール成分(A)は、好ましくは、脂肪酸で、特にステアレートで任意選択的に被覆される重質炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウム、バライト(重晶石)、タルク、石英粉末、珪砂、ドロマイト、ウォラストナイト、カオリン、焼成カオリン、モレキュラーシーブ、及び熱分解法による高分散ケイ酸などのケイ酸からなる群のリストから選択される無機及び有機のフィラーをさらに含む。
【0033】
好ましくは、無機及び有機のフィラーの粒度は、0.1~50μm、より好ましくは1~30μmである。
【0034】
好ましくは、無機及び有機のフィラーの量は、ポリオール成分(A)の全重量を基準として25~55重量%の間、好ましくは30~50重量%の間、より好ましくは40~45重量%の間である。
【0035】
好ましくは、ポリオール成分(A)は、本質的に水を含まない。好ましくは水の量は、ポリオール成分(A)の全重量を基準として、0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満である。
【0036】
ポリイソシアネート成分(B)
ポリイソシアネート成分(B)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)をベースとする少なくとも1つのポリイソシアネート樹脂B1を含み、この少なくとも1つのポリイソシアネート樹脂B1は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートからなる群の成分とブレンドされた、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のウレトジオン、ビウレット、又はイソシアヌレートから誘導された1つ又は複数のポリイソシアネートプレポリマーを含む。これらの少なくとも1つのポリイソシアネートプレポリマーは、好ましくはそれぞれが、プレポリマーの質量を基準として5~15重量%のNCO含有量を有する。
【0037】
ポリイソシアネート樹脂B1は、好ましくは、HDIのウレトジオンとブレンドされた、HDIのイソシアヌレート三量体から誘導された少なくとも1つのポリイソシアネートプレポリマーを含む。
【0038】
より好ましくは、ポリイソシアネート樹脂B1は、ポリイソシアネート樹脂B1の総量を基準として75~95重量%、好ましくは80~90重量%の量のHDIのイソシアヌレート三量体から誘導された少なくとも1つのポリイソシアネートプレポリマーと、ポリイソシアネート樹脂B1の総量を基準として5~25重量%、好ましくは10~20重量%の量のHDIのウレトジオンとを含む。
【0039】
ポリイソシアネートプレポリマーのポリオール成分は、好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、又はそれらの組み合わせから選択される。プレポリマーの調製に使用することができる適切な比較的高分子量のポリオール化合物の例としては、低分子量単量体アルコールと、多塩基カルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、これらの酸の無水物、並びにこれらの酸及び/又は酸無水物の混合物とをベースとするポリエステルポリオールが挙げられる。ヒドロキシル基含有ポリラクトン、特にポリ-ε-カプロラクトンも、プレポリマーの調製に適切である。
【0040】
適切な出発分子のアルコキシル化によって周知の方法で得られるポリエーテルポリオールも、イソシアネート基含有プレポリマーの調製に適切である。ポリエーテルポリオールの適切な出発分子の例としては、単量体ポリオール、水、少なくとも2つのNH結合を有する有機ポリアミン、及びこれらの出発分子のあらゆる混合物が挙げられる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドは、アルコキシル化反応のための特に適切なアルキレンオキシドである。これらのアルキレンオキシドは、あらゆる順序で、又は混合物としてアルコキシル化反応に導入することができる。
【0041】
単量体ジオールと、ホスゲン及びジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートとの反応によって調製可能なヒドロキシル基含有ポリカーボネートもプレポリマーの調製に適切である。
【0042】
好ましくは、ポリイソシアネート樹脂B1は、2.0若しくはそれを超える、又は2.2又はそれを超える、より好ましくは2.2~3、又は2.0~2.6、最も好ましくは2.2~2.4の平均NCO官能基数を有する。
【0043】
好ましくは、ポリイソシアネート樹脂B1は、プレポリマーの質量を基準として5~15重量%、好ましくは8~12重量%のNCO含有量を有する。
【0044】
好ましくは、ポリイソシアネート樹脂B1は、300~1000g、好ましくは300~600g、より好ましくは300~400gのNCO当量を有する。
【0045】
好ましくは、ポリイソシアネート樹脂B1は、イソシアネート(HDI)モノマーを実質的に含まず、すなわち、DIN EN ISO 10 283に準拠して測定して5%未満、1%未満、0.5%未満、より好ましくは0.3%以下である。
【0046】
好ましくは、ポリイソシアネート樹脂B1は、23℃において1000~5000mPas、好ましくは1000~2500mPas、最も好ましくは1200~2000mPasの粘度を有する。
【0047】
好ましいポリイソシアネート樹脂B1は、Covestroより商品名「Desmodur E 2863 XP」で入手可能である。
【0048】
成分(B)は、ポリイソシアネート樹脂B1に加えて、比較的少量、例えば成分(B)の合計を基準として20重量%未満、好ましくは10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の1つ又は複数の他のポリイソシアネート、特に脂肪族ポリイソシアネートを任意選択的に含むことができる。
【0049】
成分(B)は、好ましくは、成分(B)の全重量を基準として、70重量%を超える、80重量%を超える、90重量%を超える、又は95重量%を超えるポリイソシアネート樹脂B1からなる。
【0050】
組成物の適切な比率
好ましくは、成分(A):成分(B)の重量比は、5:1~2:1、より好ましくは4:1~3:1である。
【0051】
好ましくは、混合前の本発明の組成物中の遊離NCO基の、NCO反応性基、好ましくはOH基に対するモル比は、0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1である。
【0052】
適用温度は、例えば約8~40℃、好ましくは約10~30℃である。
【0053】
硬化組成物は、好ましくは、5℃~35℃、好ましくは10℃~30℃の硬化温度、及び20%~80%の相対湿度において組成物を硬化させることによって得られる。
【0054】
適用方法
したがって、本発明のさらなる一態様は、好ましくは床材(フローリング材料)としての、以上に詳細に説明した混合ポリウレタン組成物の適用(塗布)方法に関し、この方法は以下の工程を含む:
(a)ポリウレタン組成物を適用する空間を提供すること;
(b)ポリウレタン組成物の成分(A)及び(B)を混合して、混合したポリウレタン組成物を得ること;
(c)提供された空間内の所望の位置に所望の形状で混合したポリウレタン組成物を適用すること;
(d)適用した混合したポリウレタン組成物を硬化させること。
【0055】
使用する場合、ポリオール成分(A)及び硬化剤成分(B)を互いに混合することで混合ポリウレタン組成物が調製される。その後、混合ポリウレタン組成物を所望の場所の上に所望の形状で適用(塗布)することで、床材面(フローリング面)、特に船のデッキ(甲板)が形成される。
【0056】
本発明の混合ポリウレタン組成物を適用するために提供される空間は、コンクリート、ガラス、石膏ボード、金属、プラスチック、ゴム、木材、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれかの好都合な材料でできていてよい。好ましくは、本発明の混合ポリウレタン組成物を適用するために提供される空間は金属でできている。
【0057】
好ましくは、工程(d)における硬化ポリウレタン組成物の厚さは5~15mm、より好ましくは5~10mmである。これは、船のデッキの形成が意図される場合に特に好ましい。
【0058】
一実施形態では、混合ポリウレタン組成物の適用方法は、好ましくは、工程(d)の硬化ポリウレタン組成物の表面を機械的に処理する、好ましくは研削する工程(e)を含み、硬化ポリウレタン組成物の厚さの好ましくは5~50%、より好ましくは10~20%がそれによって除去される。
【0059】
特に、この方法は、床及び/又は船のデッキ、特に船のデッキの形成に使用される。
【0060】
本発明のポリウレタン組成物は、好ましくは床材(フローリング材料)として使用される。より好ましくは、船のデッキ(甲板)の床材(フローリング材料)として使用される。
【0061】
サンディング/研削
本発明の一実施形態では、適用(塗布)/キャスティングされた混合ポリウレタン組成物の硬化したものの表面に対してサンディング(sanding)が行われる。
【0062】
好ましくは、サンディングは、サンドペーパーのような材料、又はより好ましくは、ISO 6344に準拠したグリットサイズが12~40、好ましくは16~40、より好ましくは16~24、最も好ましくは16であるサンドペーパーを用いることによって行われる。
【0063】
当業者は、サンディングを行うために、当技術分野において利用可能なあらゆる別の適切な手段を使用できることを理解するであろう。例えばサンディングマシンを使用することができる。
【0064】
好ましくは、サンディングは、平滑な表面を形成し、表面の魅力的な外観を得るために行われる。
【0065】
好ましくは、サンディングは、船のデッキの形成において行われる。
【実施例】
【0066】
組成物
組成物は、二成分ポリウレタン床材組成物である。成分(A)及び成分(B)の組成を以下に示す。以下に示される構成要素を混合して成分(A)及び成分(B)を形成した。
【0067】
【0068】
【0069】
1kgの全材料((A)及び(B)成分の合計)を300rpmにおいて3分間混合し、さらに以下の試験を行った。
【0070】
【0071】
硬化表面の外観に対するサンディングの影響
混合ポリウレタン組成物の硬化表面の外観に対するサンディングの影響を調べるための試験を行った。ポリオール成分(A)を二成分ポリウレタン樹脂の硬化剤成分(B)に加え、混合して混合ポリウレタン組成物を得た。この混合ポリウレタン組成物を1×1メートルの4つの隣接する領域に分割した表面上に注いだ。硬化領域の高さは、それぞれ2mmだけ異なった。
【0072】
サンディング/研削の影響を調べるために、16マイクロメートルの粒子サイズを有するサンドペーパーを使用した。平坦で滑らかな表面が得られるまで4つの隣接する領域間の高さの差をなくすことの容易さ、及び得られた表面の外観の試験を行った。
【0073】
押込み試験
混合ポリウレタン組成物の試料を室温で1週間及び50℃で2週間硬化させた。Zwick押込み試験機上で、試料に33kg/cm2の重量のスタンプで荷重を1時間かけた。次に、変形/押込みを測定し、スタンプからの荷重を除去し、荷重除去から30秒後、1分後、10分後、及び15分後に材料の緩和/回復を測定した。この測定によって、本発明の強く迅速な回復能力が示される。
【0074】
【国際調査報告】