(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(54)【発明の名称】選択的不動態化のために標的蒸着を用いてフィーチャをエッチングするための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577240
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2020040432
(87)【国際公開番号】W WO2021003224
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ・ウェンチ
(72)【発明者】
【氏名】タン・ゾンクイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルディヴィア・ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】リメンター・コリン・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】スー・チン
(72)【発明者】
【氏名】山口 葉子
(72)【発明者】
【氏名】キムラ・ヨシエ
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ホア
(72)【発明者】
【氏名】石川 寧
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BD04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA18
5F004DA26
5F004EA13
5F004EA28
5F004EB01
5F004EB04
(57)【要約】
【解決手段】複数のマスクフィーチャを備えたマスクを有するスタックをパターニングするための方法が提供されている。標的蒸着が提供され、標的蒸着は、複数のサイクルを備え、各サイクルは、前駆体層を蒸着させるために、前駆体を流す工程と、前駆体層を標的硬化する工程と、を含み、前駆体層を標的硬化する工程は、硬化ガスを流す工程と、改質ガスを流す工程と、硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成する工程と、前駆体層をプラズマに暴露させて、標的硬化を提供する工程と、を含み、硬化ガスからのプラズマが、前駆体層の第1部分を硬化させ、改質ガスからのプラズマが、前駆体層の第2部分を改質し、第2部分の改質は、前駆体層の第2部分の前駆体層の硬化を低減する。スタックは、標的蒸着を通してエッチングされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマスクフィーチャを備えたマスクを有するスタックをパターニングするための方法であって、
標的蒸着を提供する工程と、
前記標的蒸着を通して前記スタックをエッチングする工程と、を備え
前記標的蒸着は、複数のサイクルを備え、
各サイクルは、
前駆体層を蒸着させるために、前駆体を流す工程と、
前記前駆体層を標的硬化する工程と、を含み、
前記前駆体層を標的硬化する工程は、
硬化ガスを流す工程と、
改質ガスを流す工程と、
前記硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成する工程と、
前記前駆体層を前記プラズマに暴露させて、標的硬化を提供する工程であって、前記硬化ガスからのプラズマが、前記前駆体層の第1部分を硬化させ、前記改質ガスからのプラズマが、前記前駆体層の第2部分を改質し、前記第2部分の前記改質は、前記前駆体層の前記第2部分の前記前駆体層の硬化を低減する、工程と、を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記前駆体は、シリコン含有層または金属含有層の少なくとも一方を蒸着させる、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記前駆体層の前記第1部分を硬化させることは、前記前駆体層の前記第1部分に酸化または窒化の少なくとも一方を施す、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記改質ガスは、ハロゲン含有ガスを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記改質ガスは、C
4F
8、C
4F
6、Cl
2、HBr、CF
4、CH
3F、または、SF
6、の内の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記前駆体は、シリコン含有ポリマを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記前駆体は、シリコン官能基を有するポリマを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記前駆体を流す工程は、プラズマレスである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記マスクは、炭素含有材料で形成されている、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記スタックをエッチングする工程は、100:1より大きい高さ対幅のアスペクト比を有するフィーチャをエッチングする、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記標的蒸着を提供する工程および前記スタックをエッチングする工程は、複数のサイクル中に循環的に提供される、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記標的蒸着を提供する工程および前記スタックをエッチングする工程は、同じプラズマチャンバ内でその場で提供される、方法。
【請求項13】
複数のマスクフィーチャを備えたマスクを有するスタックをパターニングするための方法によって形成される半導体デバイスであって、前記方法は、
標的蒸着を提供する工程と、
前記標的蒸着を通して前記スタックをエッチングする工程と、を備え、
前記標的蒸着は、複数のサイクルを備え、各サイクルは、
前駆体層を蒸着させるために、前駆体を流す工程と、
前記前駆体層を標的硬化する工程と、を含み、
前記前駆体層を標的硬化する工程は、
硬化ガスを流す工程と、
改質ガスを流す工程と、
前記硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成する工程と、
前記前駆体層を前記プラズマに暴露させて、標的硬化を提供する工程であって、前記硬化ガスからのプラズマが、前記前駆体層の第1部分を硬化させ、前記改質ガスからのプラズマが、前記前駆体層の第2部分を改質し、前記第2部分の前記改質は、前記前駆体層の前記第2部分の前記前駆体層の硬化を低減する、工程と、を含む、半導体デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記前駆体は、シリコン含有層または金属含有層の少なくとも一方を蒸着させる、半導体デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体デバイスであって、前記前駆体層の前記第1部分を硬化させることは、前記前駆体層の前記第1部分に酸化または窒化の少なくとも一方を施す、半導体デバイス。
【請求項16】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記改質ガスは、ハロゲン含有ガスを含む、半導体デバイス。
【請求項17】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記改質ガスは、C
4F
8、C
4F
6、Cl
2、HBr、CF
4、CH
3F、または、SF
6、の内の少なくとも1つを含む、半導体デバイス。
【請求項18】
請求項13に記載の半導体デバイスであって、前記前駆体は、シリコン含有ポリマを含む、半導体デバイス。
【請求項19】
スタックにフィーチャをエッチングするための装置であって、
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバ内の基板支持体と、
前記プラズマチャンバ内に流体を供給するための供給システムと、
前記供給システムに前記流体を供給するための流体源であって、
エッチング流体源と、
前駆体流体源と、
硬化流体源と、
改質流体源と、を含む、流体源と、
前記プラズマチャンバ内でRF電力を供給するための電極と、
少なくとも1つのRF発生器と、
前記流体源と前記少なくとも1つのRF発生器とに制御可能に接続されたコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
少なくとも1つのプロセッサと、
スタックのエッチングを実行するためのコンピュータ読み取り可能なコードを備えたコンピュータ読み取り可能な媒体と、を備え、
前記スタックのエッチングを実行するためのコンピュータ読み取り可能なコードは、
前記スタックを部分的にエッチングするためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
標的蒸着を提供するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記標的蒸着を通して前記スタックをエッチングするためのコンピュータ読み取り可能なコードと、を含み、
前記標的蒸着は、複数のサイクルを備え、
各サイクルは、
前駆体層を蒸着させるために、前記前駆体流体源から前駆体を流すためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記前駆体層を標的硬化するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、を含み、
前記前駆体層を標的硬化するためのコンピュータ読み取り可能なコードは、
前記硬化流体源から硬化ガスを流すためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記改質流体源から改質ガスを流すためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、
前記前駆体層を前記プラズマに暴露させて、標的硬化を提供するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、を含み、
前記硬化ガスからのプラズマが、前記前駆体層の第1部分を硬化させ、
前記改質ガスからのプラズマが、前記前駆体層の第2部分を改質し、
前記第2部分の前記改質は、前記前駆体層の前記第2部分の前記前駆体層の硬化を低減する、装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、前記前駆体は、シリコン含有層または金属含有層の少なくとも一方を蒸着させる、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記前駆体層の前記第1部分を硬化させることは、前記前駆体層の前記第1部分に酸化または窒化の少なくとも一方を施す、装置。
【請求項22】
請求項19に記載の装置であって、前記改質ガスは、ハロゲン含有ガスを含む、装置。
【請求項23】
請求項19に記載の装置であって、前記改質ガスは、C
4F
8、C
4F
6、Cl
2、HBr、CF
4、CH
3F、または、SF
6、の内の少なくとも1つを含む、装置。
【請求項24】
請求項19に記載の装置であって、前記前駆体は、シリコン含有ポリマを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年7月3日出願の米国特許出願第62/870,271号に基づく優先権の利益を主張し、その出願は、参照によってすべての目的に対して本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。この背景技術に記載されているすべてのこと、および、本記載の潜在的な態様は、明示的にも暗示的にも本願に関する先行技術として認められない。
【0003】
本開示は、半導体デバイスの形成に関する。より具体的には、本開示は、フィーチャのエッチングを必要とする半導体デバイスの形成に関する。
【0004】
半導体ウエハ処理中に、マスクの下のスタックがエッチングされることがある。パターンが、マスクからスタックの1または複数の層に転写されうる。パターニングされた有機材料、フォトレジスト、または、スピンオンカーボン(SOC)上への酸化シリコン(SiO2)の低温ALD(原子層蒸着)が、フィーチャのエッチングのために側壁保護を提供するために用いられる。酸素(O2)プラズマは、シリコン(Si)含有前駆体の酸化のために用いられる1つの方法である。ALDは、均一な蒸着を提供する。かかる均一な蒸着が、必ずしも高アスペクト比フィーチャの形成に最適とは限らない。
【発明の概要】
【0005】
上記を達成するために、本開示の目的に従って、複数のマスクフィーチャを備えたマスクを有するスタックをパターニングするための方法が提供されている。標的蒸着が提供され、標的蒸着は、複数のサイクルを備え、各サイクルは、前駆体層を蒸着させるために、前駆体を流す工程と、前駆体層を標的硬化する工程と、を含み、前駆体層を標的硬化する工程は、硬化ガスを流す工程と、改質ガスを流す工程と、硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成する工程と、前駆体層をプラズマに暴露させて、標的硬化を提供する工程と、を含み、硬化ガスからのプラズマが、前駆体層の第1部分を硬化させ、改質ガスからのプラズマが、前駆体層の第2部分を改質し、第2部分の改質は、前駆体層の第2部分の前駆体層の硬化を低減する。スタックは、標的蒸着を通してエッチングされる。
【0006】
別の態様において、半導体デバイスが形成される。標的蒸着が提供され、標的蒸着は、複数のサイクルを備え、各サイクルは、前駆体層を蒸着させるために、前駆体を流す工程と、前駆体層を標的硬化する工程と、を含み、前駆体層を標的硬化する工程は、硬化ガスを流す工程と、改質ガスを流す工程と、硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成する工程と、前駆体層をプラズマに暴露させて、標的硬化を提供する工程と、を含み、硬化ガスからのプラズマが、前駆体層の第1部分を硬化させ、改質ガスからのプラズマが、前駆体層の第2部分を改質し、第2部分の改質は、前駆体層の第2部分の前駆体層の硬化を低減する。スタックは、標的蒸着を通してエッチングされる。
【0007】
別の態様において、スタックにフィーチャをエッチングするための装置が提供されている。プラズマチャンバが提供される。基板支持体がプラズマチャンバ内にある。供給システムが、プラズマチャンバ内に流体を供給する。流体源が、供給システムに流体を供給する。流体源は、エッチング流体源と、前駆体流体源と、硬化流体源と改質流体源と、を含む。電極が、プラズマチャンバ内でRF電力を供給する。少なくとも1つのRF発生器が提供されている。コントローラが、流体源と少なくとも1つのRF発生器とに制御可能に接続されている。コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、スタックのエッチングを実行するためのコンピュータ読み取り可能なコードを備えたコンピュータ読み取り可能な媒体と、を備える。そのコンピュータ読み取り可能なコードは、スタックを部分的にエッチングするためのコンピュータ読み取り可能なコードと、標的蒸着を提供するためのコンピュータ読み取り可能なコードであって、標的蒸着は、複数のサイクルを備え、各サイクルは、前駆体層を蒸着させるために、前駆体流体源から前駆体を流すためのコンピュータ読み取り可能なコードと、前駆体層を標的硬化するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、を含み、前駆体層を標的硬化するためのコンピュータ読み取り可能なコードは、硬化流体源から硬化ガスを流すためのコンピュータ読み取り可能なコードと、改質流体源から改質ガスを流すためのコンピュータ読み取り可能なコードと、硬化ガスおよび改質ガスからプラズマを形成するためのコンピュータ読み取り可能なコードと、前駆体層をプラズマに暴露させて、標的硬化を提供するためのコンピュータ読み取り可能なコードであって、硬化ガスからのプラズマが、前駆体層の第1部分を硬化させ、改質ガスからのプラズマが、前駆体層の第2部分を改質し、第2部分の改質は、前駆体層の第2部分の前駆体層の硬化を低減する、コンピュータ読み取り可能なコードと、を含む、コンピュータ読み取り可能なコードと、標的蒸着を通してスタックをエッチングするためのコンピュータ読み取り可能なコードと、を含む。
【0008】
添付の図面を参照しつつ行う本開示の詳細な説明において、本開示の上述の特徴およびその他の特徴を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面では、限定ではなく例示を目的として本開示を図示する。なお、これらの添付図面においては、同様の構成要素には同様の符号が付されている。
【0010】
【
図1】一実施形態で利用可能な処理を示すハイレベルフローチャート。
【0011】
【
図2A】一実施形態に従って処理されたスタックを示す概略断面図。
【
図2B】一実施形態に従って処理されたスタックを示す概略断面図。
【
図2C】一実施形態に従って処理されたスタックを示す概略断面図。
【
図2D】一実施形態に従って処理されたスタックを示す概略断面図。
【
図2E】一実施形態に従って処理されたスタックを示す概略断面図。
【0012】
【
図3】一実施形態の実施に利用できるプラズマ処理チャンバを示す概略図。
【0013】
【
図4】実施形態で用いられるコントローラの実装に適したコンピュータシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付図面に例示されたいくつかの好ましい実施形態を参照しつつ、本開示の詳細な説明を行う。以下の説明では、本開示の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本開示は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施することが可能である。また、本開示が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造については、詳細な説明を省略した。
【0015】
パターニングされた有機材料、フォトレジスト、または、スピンオンカーボン(SOC)上への酸化シリコン(SiO2)の低温ALD(原子層蒸着)が、フィーチャのエッチングのために側壁保護を提供するために用いられる。酸素(O2)プラズマは、シリコン(Si)含有前駆体の酸化のために用いられる1つの方法である。ALDは、均一な蒸着を提供する。かかる均一な蒸着が、必ずしも高アスペクト比フィーチャの形成に最適とは限らない。
【0016】
理解を促すために、
図1は、一実施形態のハイレベルフローチャートを示す。マスクフィーチャを有するマスクを備えたスタックが、プラズマチャンバ内の基板支持体上に配置される(工程104)。
図2Aは、基板205を備えたスタック200を示す断面図である。基板205は、中間層208の下に配置されている。中間層208は、マスク212の下に配置されている。この例において、マスク212は、マスクフィーチャを有するパターニングされた有機マスク(フォトレジストマスクなど)である。1または複数の層が、中間層208とマスク212との間に配置されてもよい。中間層208は、部分的にエッチングされている。1または複数の層が、中間層208と基板205との間に配置されてもよい。以下に記載する循環的な処理または別の処理が、フィーチャ216を部分的にエッチングするために用いられてよい。以下に記載する循環的な処理は、標的蒸着処理をより明確に説明するために、部分的にエッチングされたフィーチャと共に示されている。図面は、様々なフィーチャをより良く図解するために、縮尺通りに描かれていない。例えば、いくつかの実施形態において、フィーチャ216の高さ対幅のアスペクト比が、少なくとも100対1であってよい。しかしながら、フィーチャ216は、後に蒸着される層をより良く図解するために、はるかに幅広に描かれている。
【0017】
標的蒸着物を蒸着するために、少なくとも1サイクルの前駆体の供給(工程112)および前駆体の標的硬化(工程116)を含む標的蒸着が提供される(工程108)。前駆体が、フィーチャ216に供給される(工程112)。この実施形態では、液体シリコン含有前駆体が気化され、飽和するまでフィーチャ216にドーズして、フィーチャ216上に前駆体の層を形成するように、蒸気の形態でプラズマチャンバに供給される。フィーチャ216が前駆体をドーズされると、前駆体蒸気の供給が停止される。次いで、前駆体は、標的硬化を受ける(工程116)。一実施形態において、標的硬化(工程116)は、スタック200に標的フラッシュ処理を施すことによって達成される。標的フラッシュ処理は、1000標準立方センチメートル毎分(sccm)~2000sccmの酸素(O2)の硬化ガスを供給し、10sccm~25sccmのオクタフルオロシクロブタン(C4F8)の改質ガスを供給する。この例において、硬化ガスおよび改質ガスは、2500ワットで13.56メガヘルツ(MHz)の高周波(RF)電力を供給することによって、プラズマ化される。20ミリトール(mTorr)~100mTorrの圧力が提供される。標的フラッシュは、約0.5秒間~約4秒間にわたって提供される。標的フラッシュは、フィーチャ216の第1部分上に酸化シリコン単分子層を形成する。フィーチャの第2部分上では、標的蒸着物の形成が低減または排除される。標的フラッシュ動作が完了すると、プラズマチャンバがパージされる。次いで、サイクルは繰り返されてよい。この実施形態において、前駆体の供給(工程112)および標的硬化(工程116)は、順次実行され、重なっていない。この例において、パージが、前駆体の供給(工程112)および標的硬化(工程116)の重なりを防ぐために用いられてよい。
【0018】
前駆体の供給の一実施形態において、共形原子層を形成できる任意の適切な液体前駆体を利用できる。非限定的な例において、液体前駆体は、一般型C(x)H(y)N(z)O(a)Si(b)の組成を有しうる。いくつかの実施形態において、液体前駆体は、以下の組成の内の1つを有しうるシリコン官能基を備えたシリコン含有ポリマである:1-トリアミノシリルヘキサン(C6H19N3Si)、ビス(t-ブチルアミノ)シラン(C8H22N2Si)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(C9H23NO3Si)、および、トリ-t-ブトキシシラノール(C12H28O4Si)。この例において、前駆体の供給は、プラズマレスである。前駆体は、シリコン官能基を有する。シリコン官能基は、前駆体が別の前駆体に結合しないので、フィーチャ216上に単分子層を形成する。
【0019】
図2Bは、複数サイクルの標的蒸着(工程108)後のスタック200を示す断面図である。標的蒸着物が、フィーチャ216の側壁上に形成される。この例において、標的蒸着物は、薄い上側領域220、厚い中間領域224、および、薄い底部領域228を有する。一例において、標的蒸着物は、約1~2nmの厚さの上側領域220、約2~4ナノメートル(nm)の厚さの中間領域224、および、約1nmの厚さの底部領域228を有する。この例において、第1部分は、中間領域224であり、第2部分は、上側領域220および底部領域228である。標的蒸着物の厚さは、標的蒸着物をより良く図解するために、縮尺通りに描かれていない。
【0020】
次いで、中間層208は、マスク212に関してエッチングされる(工程120)。この例において、中間層208は、ポリシリコンである。
図2Cは、中間層208がマスク212に関して選択的にエッチングされた後のスタック200を示す断面図である。この例において、フィーチャ216は、より深くエッチングされ、標的蒸着物は、エッチング除去されている。
【0021】
この例において、標的蒸着(工程108)および中間層エッチング(工程120)は、少なくとももう1サイクル繰り返される(工程124)。標的蒸着(工程108)は、別の標的蒸着物を蒸着する。
図2Dは、複数サイクルの標的蒸着(工程108)が、別の薄い上側領域232と、別の厚い中間領域236と、別の薄い底部領域240とを備えた別の標的蒸着物を蒸着した後のスタック200を示す断面図である。
【0022】
処理は継続され、サイクルは、フィーチャ216が完成するまで繰り返される。
図2Eは、フィーチャ216のエッチングが完了した後のスタック200を示す断面図である。さらなる処理が提供されてもよい。例えば、マスク212は、除去されてもよい。次いで、スタック200は、プラズマチャンバから取り出される(工程128)。
【0023】
標的蒸着は、非共形の蒸着物を提供し、ここで、エッチングフィーチャの様々な位置での厚さは、選択的に調整されてよい。様々な実施形態が、標的蒸着物の厚い領域および薄い領域が配置される場所を決定するために、異なる制御を提供する。ガス流量、圧力、サイド調整ガス、処理時間、温度、および、電気的バイアスなど、処理パラメータが、制御手段として用いられてよい。様々な実施形態が、高アスペクト比フィーチャのエッチングを可能にする。本明細書および特許請求の範囲において、高アスペクト比フィーチャは、少なくとも100対1の高さ対幅のアスペクト比を有することとして定義される。より具体的には、高アスペクト比フィーチャは、少なくとも200対1のアスペクト比を有する。様々な実施形態が、チャネルまたはホールである高アスペクト比フィーチャを提供しうる。いくつかの実施形態において、標的蒸着物の最も厚い部分は、フィーチャの最も弱い領域(穿孔処理のための接合領域など)の上に蒸着される。様々な実施形態が、穿孔処理、シャロートレンチアイソレーション、および、カーボンマスク開口のために用いられてよい。他の実施形態において、標的蒸着は、より低いアスペクト比のフィーチャの形成に用いられてもよい。
【0024】
ドライエッチング化学反応およびALD化学反応を単一工程に組み合わせることにより、標的蒸着が提供される。様々な実施形態において、改質ガスは、ハロゲン含有ガスを含む。より具体的には、改質ガスは、フルオロカーボンを含む。様々な実施形態において、改質ガスは、C4F8、ヘキサフルオロブタジエン(C4F6)、塩素(Cl2)、臭化水素(HBr)、四フッ化炭素(CF4)、フルオロメタン(CH3F)、または、六フッ化硫黄(SF6)、の内の1または複数を含む。他の実施形態において、金属酸化物が、標的蒸着に用いられてもよい。かかる実施形態において、金属含有前駆体が、金属含有層(金属含有前駆体単分子層など)を形成する。標的金属酸化物蒸着を提供するために、硬化ガスおよび改質ガスが供給され、プラズマ化される。他の実施形態において、窒化シリコンまたは金属窒化物が、標的蒸着に用いられてもよい。他の実施形態において、酸窒化シリコンまたは金属酸窒化物が、標的蒸着に用いられてもよい。窒化物または酸窒化物を形成するために、前駆体層は窒化される。したがって、様々な実施形態において、前駆体層の硬化は、前駆体層の一部に酸化または窒化の少なくとも一方を施す。
【0025】
理論に縛られることなく、標的硬化中にエッチャントを追加すると共に調整パラメータを用いることにより、改質ガスが、前駆体の層の標的領域を選択的にエッチングして標的領域での蒸着物を低減するために利用されうると考えられる。
【0026】
様々な実施形態において、単分子層の標的硬化は、プラズマプラッシュ処理(または、酸素(O2)プラズマ硬化)を実行するために、硬化ガスおよび改質ガスと共にプラズマチャンバにRF電力を印加することによってなされてよく、プラズマフラッシュ処理は、約0.2秒間~約4秒間の期間にわたって実行され、RF電力は、約200ワット~約3,000ワットの電力レベルで印加される。O2プラズマ硬化は、Si含有前駆体をSiO2に変換する。
【0027】
他の実施形態において、標的蒸着は、フィーチャ216の底部で側壁上に、より厚い蒸着物を蒸着してもよい。他の実施形態において、標的蒸着は、水平の表面上への蒸着が最小限である。様々な実施形態が、フィーチャ216の底部に蒸着しない標的蒸着を提供しうる。様々な実施形態が、フィーチャ216の上部に蒸着しない標的蒸着を提供しうる。
【0028】
上記の実施形態は、チャックを移動することもチャックからスタックを除去することもなしに、同じチャンバ内でその場で実行される。かかる実施形態は、処理の高速化および低コスト化を提供する。さらに、その場処理は、より多い回数のサイクルを可能にするので、より薄い層が、各サイクル中に形成される層を薄くしてもよい。より多い回数のサイクルは、フィーチャ形状の改善を可能にする。
【0029】
図3は、プラズマ処理システム300の一例を示す概略図である。プラズマ処理システム300は、一実施形態の処理を実行するために用いられてよい。システムは、チャンバ本体314と、チャック316と、誘電体窓306とを備えたプラズマチャンバ332を備える。プラズマチャンバ332は処理領域を含み、処理領域の上には誘電体窓306が配置されている。チャック316は、基板205を支持するための静電チャックであってよく、チャンバ内で処理領域の下に配置されている。トランス結合プラズマ(TCP)コイル334が、誘電体窓306の上に配置され、整合回路302に接続されている。TCPコイル334は、誘電体窓306を通して電力を供給するための電極である。整合回路302は、プラズマRF発生器321に接続されている。
【0030】
システムは、バイアスRF発生器320を備える。RF発生器320は、1または複数の発生器として規定されてよい。複数の発生器が提供される場合、異なる周波数を用いて、様々な同調特性を達成することができる。バイアス整合回路318が、バイアスRF発生器320と、チャック316を規定するアセンブリの導電板との間に接続されている。チャック316は、ウエハのチャックおよびデチャックを可能にするために、静電電極も備える。概して、フィルタおよび直流(DC)クランプ電源が提供されうる。ウエハをチャック316から持ち上げるための他の制御システムが提供されてもよい。
【0031】
第1ガスインジェクタ304が、処理ガスまたは液体前駆体(蒸気の形態)の2つの別個の流れをプラズマチャンバ332の上部からプラズマチャンバ332内へ注入するための2つの異なる流路を提供する。様々なタイプの動作(ウエハに対する処理動作、ウエハレス自動洗浄(WAC)動作、および、その他の動作など)のために、プラズマチャンバ332に異なるガスを供給するための複数のガス供給部が提供されてよいことを理解されたい。第2ガスインジェクタ310が、上部からではなく、側面を通してプラズマチャンバ332に入る別のガス流を提供する。
【0032】
供給システム328が、一実施形態において、エッチングガス供給システム327および液体供給システム329を備える。マニホルド322が、それぞれの供給システムからの出力を選択、切り替え、および/または、混合するために利用される。後に詳述するように、エッチングガス供給システムは、基板の1または複数の材料層のエッチングに最適化されたエッチャントガスを出力するよう構成される。マニホルド322は、標的蒸着を実行するために、コントローラ308からの制御に応答して、さらに最適化される。動作プラズマ処理中、真空圧制御、および、プラズマチャンバ332からのガス副生成物の除去を可能にするために、真空ポンプ330がプラズマチャンバ332に接続されている。バルブ326が、プラズマチャンバ332に印加される真空吸引の量を制御するために、排気口324と真空ポンプ330との間に配置されている。
【0033】
流体源350が、様々な流体を供給システム328へ供給するために用いられてよい。流体は、気体または液体であってよい。この実施形態において、流体源350は、前駆体流体源354と、硬化流体源358と、改質流体源362と、エッチング流体源366とを含む。様々な実施形態において、流体源350は、単一ユニットまたは2以上の個別ユニットであってよい。例えば、前駆体流体源354は、液体蒸気を供給し、したがって、ガスを供給する硬化流体源358、改質流体源362、および、エッチング流体源366から分離していてよい。
【0034】
図4は、一実施形態で用いられるコントローラ308を実装するのに適切なコンピュータシステム400を示すハイレベルブロック図である。コンピュータシステムは、集積回路、プリント基板、および、小型携帯デバイスから大型スーパコンピュータまで、多くの物理的形態を有してよい。コンピュータシステム400は、1または複数のプロセッサ402を備えており、さらに、電子ディスプレイデバイス404(画像、テキスト、および、その他のデータを表示するためのもの)と、メインメモリ406(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))と、ストレージデバイス408(例えば、ハードディスクドライブ)と、リムーバブルストレージデバイス410(例えば、光学ディスクドライブ)と、ユーザインターフェースデバイス412(例えば、キーボード、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、または、その他のポインティングデバイスなど)と、通信インターフェース414(例えば、無線ネットワークインターフェース)と、を備えてもよい。通信インターフェース414は、リンクを介してコンピュータシステム400および外部デバイスの間でソフトウェアおよびデータを転送することを可能にする。システムは、さらに、上述のデバイス/モジュールが接続される通信インフラ416(例えば、通信バス、クロスオーバーバー、または、ネットワーク)を備えてもよい。
【0035】
通信インターフェース414を介して転送される情報は、電子信号、電磁信号、光信号、または、信号を搬送する通信リンクを介して通信インターフェース414によって受信できるその他の信号など、信号の形態であってよく、電線すなわちケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、無線周波リンク、および/または、通信チャネルを用いて実施されてよい。かかる通信インターフェースを用いて、1または複数のプロセッサ402は、上述の方法の工程を実行する際に、ネットワークから情報を受信、または、ネットワークに情報を出力しうることが想定される。さらに、方法の実施形態は、プロセッサだけで実行されてもよいし、インターネットなどのネットワークを介して、処理の一部を分担する遠隔プロセッサと協働で実行されてもよい。
【0036】
「非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、一般に、メインメモリ、二次メモリ、リムーバブルストレージ、および、ストレージデバイスなどのメディア(ハードディスク、フラッシュメモリ、ディスクドライブメモリ、CD-ROM、および、その他の形態の持続性メモリなど)を指すために用いられ、搬送波または信号など、一時的な対象を網羅すると解釈されるべきではない。コンピュータ読み取り可能なコードの例としては、コンパイラによって生成されたコードなどのマシンコードや、インタープリタを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含むファイルが挙げられる。コンピュータ読み取り可能媒体は、搬送波で具現化されたコンピュータデータ信号によって転送されると共にプロセッサが実行可能な一連の命令を表すコンピュータ読み取り可能なコードであってもよい。
【0037】
以上、いくつかの好ましい実施形態を参照しつつ本開示について説明したが、本開示の範囲内で、代替物、置換物、および、様々な代替等価物が存在する。また、本開示の方法および装置を実施する別の態様が数多く存在することにも注意されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨および範囲内に含まれる全てのかかる代替物、置換物、および、様々な代替等価物を含むものとして解釈される。
【国際調査報告】