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特表2022-539321位置ずれの測定およびその改善のための関心領域の選択
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(54)【発明の名称】位置ずれの測定およびその改善のための関心領域の選択
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576301
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020033720
(87)【国際公開番号】W WO2020263461
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】62/866,185
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/047795
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボルコヴィッチ ロイエ
(72)【発明者】
【氏名】ザベルチク モラン
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106BA04
4M106CA39
4M106DJ20
(57)【要約】
半導体デバイスの製造において、ウエハ上の少なくとも2つの層間の位置ずれを測定するための位置ずれ測定および関心領域選択システム(MMRSS)であり、MMRSSは、少なくとも2つの位置ずれ計測ツールを含む位置ずれ計測ツールのセットと、ウエハ上の少なくとも1つの測定サイトの関心領域(ROI)のセットに関連付けられ、少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって少なくとも部分的に生成される、複数の位置ずれ測定データセットを分析するステップであって、データセットのそれぞれが品質メトリックのセットに関連付けられる、分析するステップ、推奨ROIを特定するステップ、および推奨ROIを位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールに伝達するステップであって、第2の位置ずれ計測ツールが推奨ROIに関連付けられた位置ずれ計測データを生成するように動作する、伝達するステップ、を行うように動作する位置ずれ分析および関心領域選択エンジンと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造においてウエハ上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれを測定するための位置ずれ測定および関心領域選択システム(MMRSS)であって、
少なくとも2つの位置ずれ計測ツールを含む位置ずれ計測ツールのセットと、
前記ウエハ上の少なくとも1つの測定サイトの関心領域(ROI)のセットに関連付けられ、前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって少なくとも部分的に生成される、複数の位置ずれ測定データセットを分析するステップであり、前記ROIのセットが少なくとも2つのROIを含み、前記ROIのセットに関連付けられた前記位置ずれ測定データセットのそれぞれが品質メトリックのセットに関連付けられる、分析するステップ、
前記ROIのセットから推奨関心領域(ROI)を特定するステップ、および
前記推奨ROIを前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールに伝達するステップであり、前記少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールおよび前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが別個のツールであり、前記少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールが前記推奨ROIに関連付けられた位置ずれ計測データを生成するように動作する、伝達するステップ、
を行うように動作する、位置ずれ分析および関心領域選択エンジン(MARSE)と、
を備えることを特徴とするMMRSS。
【請求項2】
請求項1に記載のMMRSSであって、前記少なくとも2つの位置ずれ計測ツールが結像位置ずれ計測ツールであることを特徴とするMMRSS。
【請求項3】
請求項1に記載のMMRSSであって、前記少なくとも2つの位置ずれ計測ツールが電子ビーム位置ずれ計測ツールであることを特徴とするMMRSS。
【請求項4】
請求項2または3に記載のMMRSSであって、前記品質メトリックのセットが、
精度フラグ、
装置要因誤差(TIS)、
Qmerit、
焦点感度、
スループット、
精度、
ROI配置に対する感度、および
コントラスト精度
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするMMRSS。
【請求項5】
請求項1に記載のMMRSSであって、前記少なくとも2つの位置ずれ計測ツールがスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールであることを特徴とするMMRSS。
【請求項6】
請求項5に記載のMMRSSであって、前記品質メトリックのセットが、
精度フラグ、
装置要因誤差(TIS)、
Qmerit、
焦点感度、
スループット、
精度、
ROI配置に対する感度、および
瞳3σ
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするMMRSS。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記推奨ROIが前記品質メトリックのセットに基づいて特定されることを特徴とするMMRSS。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの単一の位置ずれ計測ツールを含むことを特徴とするMMRSS。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの複数の位置ずれ計測ツールを含むことを特徴とするMMRSS。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記ROIのセットが100個のROIを含むことを特徴とするMMRSS。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記ROIが前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって別々に測定されることを特徴とするMMRSS。
【請求項12】
請求項11に記載のMMRSSであって、前記ROIのセットが前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって複数回測定されることを特徴とするMMRSS。
【請求項13】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記ROIのセット内の前記ROIが1回の測定で前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールのそれぞれによって測定されることを特徴とするMMRSS。
【請求項14】
請求項13に記載のMMRSSであって、前記MARSEが前記1回の測定によって生成されたデータから前記複数の位置ずれ測定データセットを特定するように動作することを特徴とするMMRSS。
【請求項15】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記MARSEが前記推奨ROIを前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールに伝達するようにさらに動作することを特徴とするMMRSS。
【請求項16】
請求項1から3のいずれか1項に記載のMMRSSであって、前記MMRSSが、
自動レシピ最適化(ARO)プロトコルのセット、
スタンドアロン最適化プロトコルのセット、および
自動レシピ訓練プロトコルのセット
のうちの少なくとも1つにおいて有用であるように動作することを特徴とするMMRSS。
【請求項17】
半導体デバイスの製造においてウエハ上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれを測定するための関心領域選択方法(RSM)であって、
位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールを使用して前記ウエハ上の少なくとも1つの測定サイトの関心領域(ROI)のセットに関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットを生成するステップであり、前記ROIのセットが少なくとも2つのROIを含み、前記ROIのセットに関連付けられた前記位置ずれ測定データセットのそれぞれが品質メトリックのセットに関連付けられる、生成するステップと
前記ROIのセットから推奨関心領域(ROI)を特定するステップと、
前記推奨ROIを前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールに伝達するステップであり、前記少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールおよび前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが別個のツールである、伝達するステップと、
前記少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールを使用して、前記推奨ROIに関連付けられた位置ずれ計測データを生成するステップと、
を含むことを特徴とするRSM。
【請求項18】
請求項17に記載のRSMであって、前記少なくとも2つの位置ずれ計測ツールが結像位置ずれ計測ツールであることを特徴とするRSM。
【請求項19】
請求項17に記載のRSMであって、前記少なくとも2つの位置ずれ計測ツールが電子ビーム位置ずれ計測ツールであることを特徴とするRSM。
【請求項20】
請求項18または19に記載のRSMであって、前記品質メトリックのセットが、
精度フラグ、
装置要因誤差(TIS)、
Qmerit、
焦点感度、
スループット、
精度、
ROI配置に対する感度、および
コントラスト精度
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするRSM。
【請求項21】
請求項17に記載のRSMであって、前記少なくとも2つの位置ずれ計測ツールがスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールであることを特徴とするRSM。
【請求項22】
請求項21に記載のRSMであって、前記品質メトリックのセットが、
精度フラグ、
装置要因誤差(TIS)、
Qmerit、
焦点感度、
スループット、
精度、
ROI配置に対する感度、および
瞳3σ
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするRSM。
【請求項23】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記推奨ROIが前記品質メトリックのセットに基づいて特定されることを特徴とするRSM。
【請求項24】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの単一の位置ずれ計測ツールを含むことを特徴とするRSM。
【請求項25】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが前記位置ずれ計測ツールのセットのうちの複数の位置ずれ計測ツールを含むことを特徴とするRSM。
【請求項26】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記ROIのセットが100個のROIを含むことを特徴とするRSM。
【請求項27】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記ROIが前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって別々に測定されることを特徴とするRSM。
【請求項28】
請求項27に記載のRSMであって、前記ROIのセットが前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって複数回測定されることを特徴とするRSM。
【請求項29】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記ROIのセット内の前記ROIが1回の測定で前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールのそれぞれによって測定されることを特徴とするRSM。
【請求項30】
請求項29に記載のRSMであって、前記1回の測定によって生成されたデータから前記複数の位置ずれ測定データセットを特定することも含むことを特徴とするRSM。
【請求項31】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、前記推奨ROIを前記少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールに伝達することも含むことを特徴とするRSM。
【請求項32】
請求項17から19のいずれか1項に記載のRSMであって、
自動レシピ最適化(ARO)プロトコルのセット、
スタンドアロン最適化プロトコルのセット、および
自動レシピ訓練プロトコルのセット
のうちの少なくとも1つの一部として使用されることを特徴とするRSM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体デバイスの製造における位置ずれの測定に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年6月25日に出願され、REGION OF INTEREST(ROI)OPTIMIZATION FOR MATCHINGと題された米国仮特許出願第62/866185号、および2019年8月23日に出願され、MULTIPLE-TOOL PARAMETER SET CONFIGURATION AND MISREGISTRATION MEASUREMENT SYSTEM AND METHODと題されたPCT出願PCT/米国特許第2019/047795号が本願において参照され、これらの開示を本願に引用して援用し、これらの優先権を主張する。
【0003】
また、本出願の主題に関連する本出願人の以下の特許および特許出願、すなわち、OVERLAY METROLOGY AND CONTROL METHODと題された米国特許第7804994号、COMPOUND IMAGING METROLOGY TARGETSと題された米国特許第10527951号、APPARATUS AND METHODS FOR DETECTING OVERLAY ERRORS USING SCATTEROMETRYと題された欧州特許第1570232号、2019年4月10日に出願され、MOIRE TARGET AND METHOD FOR USING THE SAME IN MEASURING MISREGISTRATION OF SEMICONDUCTOR DEVICESと題されたPCT特許出願PCT/米国特許第2019/026686号、2019年6月4日に出願され、MISREGISTRATION MEASUREMENTS USING COMBINED OPTICAL AND ELECTRON BEAM TECHNOLOGYと題されたPCT出願PCT/米国特許第2019/035282号、2019年9月16日に出願され、PERIODIC SEMICONDUCTOR DEVICE MISREGISTRATION METROLOGY SYSTEM AND METHODと題されたPCT特許出願PCT/米国特許第2019/051209号、2020年1月21日に出願され、SYSTEM AND METHOD FOR ANALYZING A SAMPLE WITH A DYNAMIC RECIPE BASED ON ITERATIVE EXPERIMENTATION AND FEEDBACKと題された米国特許出願第16/747734号が参照され、これらの開示を本願に引用して援用する。
【0004】
半導体デバイスの製造における位置ずれを測定するための様々な方法およびシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0122357号
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0336198号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、半導体デバイスの製造における位置ずれを測定するための改良された方法およびシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の好ましい実施形態によると、半導体デバイスの製造においてウエハ上に形成される少なくとも2つの層間の位置ずれを測定するための位置ずれ測定および関心領域選択システム(MMRSS:misregistration measurement and region of interest selection system)が提供され、MMRSSは、少なくとも2つの位置ずれ計測ツールを含む位置ずれ計測ツールのセットと、ウエハ上の少なくとも1つの測定サイトの関心領域(ROI)のセットに関連付けられ、位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって少なくとも部分的に生成される、複数の位置ずれ測定データセットを分析するステップであって、ROIのセットが少なくとも2つのROIを含み、ROIのセットに関連付けられた位置ずれ測定データセットのそれぞれが品質メトリックのセットに関連付けられる、分析するステップ、ROIのセットから推奨関心領域(ROI)を特定するステップ、および推奨ROIを位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールに伝達するステップであって、少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールおよび少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが別個のツールであり、第2の位置ずれ計測ツールが推奨ROIに関連付けられた位置ずれ計測データを生成するように動作する、伝達するステップ、を行うように動作する位置ずれ分析および関心領域選択エンジン(MARSE:misregistration analysis and region of interest selection engine)と、を含む。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも2つの位置ずれ計測ツールは、結像位置ずれ計測ツールである。あるいは、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも2つの位置ずれ計測ツールは、電子ビーム位置ずれ計測ツールである。好ましくは、品質メトリックのセットは、精度フラグ、装置要因誤差(TIS)、Qmerit、焦点感度、スループット、精度、ROI配置に対する感度、およびコントラスト精度のうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
あるいは、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも2つの位置ずれ計測ツールは、スキャトロメトリ位置ずれ計測ツールである。好ましくは、品質メトリックのセットは、精度フラグ、装置要因誤差(TIS)、Qmerit、焦点感度、スループット、精度、ROI配置に対する感度、および瞳3σのうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
好ましくは、推奨ROIは、品質メトリックのセットに基づいて特定される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールは、位置ずれ計測ツールのセットのうちの単一の位置ずれ計測ツールを含む。あるいは、本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールは、位置ずれ計測ツールのセットのうちの複数の位置ずれ計測ツールを含む。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、ROIのセットは、100個のROIを含む。本発明の好ましい実施形態によると、ROIは、少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって別々に測定される。好ましくは、ROIのセットは、少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールによって複数回測定される。あるいは、本発明の好ましい実施形態によると、ROIのセット内のROIは、少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールのそれぞれによって1回の測定で測定される。好ましくは、MARSEは、1回の測定によって生成されたデータから複数の位置ずれ測定データセットを特定するように動作する。
【0013】
好ましくは、MARSEは、推奨ROIを少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールに伝達するようにさらに動作する。好ましくは、MMRSSは、自動レシピ最適化(ARO:automatic recipe optimization)プロトコルのセット、スタンドアロン最適化プロトコルのセット、および自動レシピ訓練プロトコルのセットのうちの少なくとも1つにおいて有用であるように動作する。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態によると、半導体デバイスの製造においてウエハ上に形成される少なくとも2つの層間の位置ずれを測定するための関心領域選択方法(RSM:region of interest selection method)も提供され、RSMは、位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールを使用してウエハ上の少なくとも1つの測定サイトの関心領域(ROI)のセットに関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットを生成するステップであって、ROIのセットが少なくとも2つのROIを含み、ROIのセットに関連付けられた位置ずれ測定データセットのそれぞれが品質メトリックのセットに関連付けられる、生成するステップと、ROIのセットから推奨ROIを特定するステップと、推奨ROIを位置ずれ計測ツールのセットのうちの少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールに伝達するステップであって、少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールおよび少なくとも1つの第1の位置ずれ計測ツールが別個のツールである、伝達するステップと、少なくとも1つの第2の位置ずれ計測ツールを使用して推奨ROIに関連付けられた位置ずれ計測データを生成するステップと、を含む。
【0015】
本発明は、図面と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解され、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明の位置ずれ測定および関心領域選択システム(MMRSS)の簡略化された概略図である。
図1B図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1C図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1D図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1E図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1F図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1G図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1H図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図1I図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、図1AのMMRSSによって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハの実施形態の簡略化された上面図である。
図2A図1A図1IのMMRSSで使用するための関心領域選択方法を示す簡略化された流れ図である。
図2B図1A図1IのMMRSSで使用するための関心領域選択方法を示す簡略化された流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1A図2Bを参照して以下で説明するシステムおよび方法は、半導体デバイスの層間の位置ずれを測定するために使用され、半導体デバイスの製造プロセスの一部を形成することを理解されたい。図1A図2Bを参照して以下で説明するシステムおよび方法によって測定される位置ずれは、半導体デバイスの製造中にリソグラフィなどの製造プロセスを調整して、製造される半導体デバイスの様々な層間の位置ずれを改善するために使用される。
【0018】
ここで、本発明の位置ずれ測定および関心領域選択システム(MMRSS)100の簡略化された概略図である図1Aを参照する。図1B図1Iをさらに参照すると、これらの図のそれぞれは、図1Aの拡大円Bに対応する拡大図であり、MMRSS100によって選択することができる複数の例示的な関心領域を有するウエハのそれぞれの実施形態の簡略化された上面図を示す。理解を容易にするために、図1A~1Iは、縮尺通りには描かれていないことを理解されたい。本発明の好ましい実施形態では、図1B図1Iに示す特徴の少なくともいくつかは、ウエハの別々の層上に形成されてもよく、典型的には形成され、図1B図1Iに示す特徴の少なくともいくつかは、やはりウエハ上に形成された他の構造によって覆われてもよく、典型的には覆われていることをさらに理解されたい。
【0019】
MMRSS100は、好ましくは、1つ以上の測定サイトで半導体デバイスウエハの少なくとも2つの層間の位置ずれを測定する。MMRSS100が好ましくは各測定サイトにおいて推奨関心領域(ROI)を選択することは、MMRSS100の特定の特徴である。推奨ROIは、測定サイト全体またはその特定の一部分を含むことができる。
【0020】
特に図1Aに見られるように、MMRSS100は、2つ以上の位置ずれ計測ツール104を含む、位置ずれ計測ツールのセット102を含む。図1B図1Iを参照して以下で説明するように、少なくとも1つの位置ずれ計測ツール104がROIのセット106に関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットを生成する。
【0021】
位置ずれ測定データは、ウエハ112上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれを、好ましくは複数の測定サイト108で測定することによって、MMRSS100によって生成される。ウエハ112は、好ましくは、複数の半導体デバイスを含み、ウエハのバッチ120から選択される。
【0022】
本発明の一実施形態では、ウエハのバッチ120内のウエハ112のそれぞれは、同じ製造ステップを受け、ウエハのバッチ120内の他の全てのウエハ112上の対応する半導体デバイスと同一であるように意図された半導体デバイスを含む。
【0023】
本発明の別の実施形態では、ウエハのバッチ120内の少なくとも1つのウエハ112は、典型的には、ウエハのバッチ120内の他のウエハ112とは意図的に異なるパラメータを使用して製造される実験計画法(DOE)ウエハとして、ウエハのバッチ120内の他のウエハ112とは意図的に異なって製造される。
【0024】
本発明の一実施形態では、位置ずれ計測ツールのセット102の様々な位置ずれ計測ツール104のそれぞれが、同じウエハ112上に形成された少なくとも2つの異なる層間の位置ずれを測定する。本発明の別の実施形態では、位置ずれ計測ツールのセット102の様々な位置ずれ計測ツール104のそれぞれが、ウエハのバッチ120から選択された2つの異なるウエハ112上に形成された少なくとも2つの異なる層間の位置ずれを測定する。
【0025】
位置ずれ計測ツールのセット102の位置ずれ計測ツール104は、任意の適切な位置ずれ計測ツールであってもよい。好ましくは、位置ずれ計測ツールのセット102内の全ての位置ずれ計測ツール104は、位置ずれ計測ツールの単一のカテゴリに属する。位置ずれ計測ツールのカテゴリの例には、とりわけ、スキャトロメトリ位置ずれ計測ツール、結像位置ずれ計測ツール、および電子ビーム位置ずれ計測ツールが含まれる。
【0026】
位置ずれ計測ツール104として有用な典型的なスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールは、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corporationから市販されているATL(商標)100である。位置ずれ計測ツール104として有用な典型的な結像位置ずれ計測ツールは、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corporationから市販されているArcher(商標)750である。位置ずれ計測ツール104として有用な典型的な電子ビーム位置ずれ計測ツールは、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corporationから市販されているeDR7380(商標)である。
【0027】
位置ずれ計測ツールのセット102の全ての位置ずれ計測ツール104は、好ましくは、位置ずれ計測ツールの単一のカテゴリに属するが、位置ずれ計測ツールのセット102の位置ずれ計測ツール104のそれぞれは、同じモデルの位置ずれ計測ツールである必要はないことに留意されたい。
【0028】
例えば、位置ずれ計測ツール104が結像位置ずれ計測ツールカテゴリに属する実施形態では、1つの位置ずれ計測ツール104は、Archer(商標)750であってもよく、別の位置ずれ計測ツール104は、Archer(商標)600または任意の他の適切な結像位置ずれ計測ツールであってもよい。
【0029】
同様に、位置ずれ計測ツール104がスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールカテゴリに属する実施形態では、1つの位置ずれ計測ツール104は、ATL(商標)100であってもよく、別の位置ずれ計測ツール104は、ATL(商標)150または任意の他の適切なスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールであってもよい。
【0030】
同様に、位置ずれ計測ツール104が電子ビーム位置ずれ計測ツールカテゴリに属する実施形態では、1つの位置ずれ計測ツール104は、eDR7380(商標)であってもよく、別の位置ずれ計測ツール104は、eDR7280(商標)または任意の他の適切な電子ビーム位置ずれ計測ツールであってもよい。
【0031】
位置ずれ計測ツールのセット102は、3つ以上の位置ずれ計測ツール104を含んでもよいことを理解されたい。好ましくは、位置ずれ計測ツールのセット102内の全ての位置ずれ計測ツール104は、同じカテゴリに属し、例えば、全てスキャトロメトリ位置ずれ計測ツール、全て結像位置ずれ計測ツール、または全て電子ビーム位置ずれ計測ツールである。
【0032】
特に図1B~1Iに見られるように、ウエハ112は、好ましくは、複数の測定サイト108を含む。複数の測定サイト108のそれぞれは、任意の適切なサイズまたは形状であってもよい。しかしながら、本発明において有用な測定サイト108は、典型的には0.1μm~1000μm、より典型的には1μm~100μmである。同様に、測定サイト108は、スクライブ線またはダイ内などの、ウエハ112上の任意の適切な位置に位置することができる。本発明の好ましい実施形態では、各測定サイト108は、位置ずれ計測ツール104によるウエハ112上の関心層間の位置ずれ測定用に特に設計されている。
【0033】
例えば、位置ずれ計測ツール104が結像位置ずれ計測ツールである場合、測定サイト108のそれぞれは、好ましくは、結像位置ずれ計測ツールによる測定時にウエハ112上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれの指標を提供する結像ターゲットを共に形成する特徴の組合せを含む。このようなターゲットは、とりわけ、2019年4月10日に出願され、MOIRE TARGET AND METHOD FOR USING THE SAME IN MEASURING MISREGISTRATION OF SEMICONDUCTOR DEVICESと題されたPCT特許出願PCT/米国特許第2019/026686号に記載されているターゲットと同様の図1Bに示すターゲットなどのモアレターゲット、COMPOUND IMAGING METROLOGY TARGETSと題された米国特許第10527951号に記載されているターゲットと同様の、図1Cに示すターゲットなどの改良型結像計測(AIM)ターゲット、OVERLAY METROLOGY AND CONTROL METHODと題された米国特許第7804994号に記載されているターゲットと同様の、図1Dに示すターゲットなどのボックスインボックスターゲット、COMPOUND IMAGING METROLOGY TARGETSと題された米国特許第10527951号に記載されているターゲットと同様の、図1Eに示すターゲットなどのAIMデバイス内(AIMid)ターゲット、または、オーシュニット(C.P.Ausschnitt),モーニングスター(J.Morningstar),ムース(W.Muth),シュナイダー(J.Schneider),ヤードン(R.J.Yerdon),ビンズ(L.A.Binns),スミス(N.P.Smith),「Multilayer overlay metrology」,Proc.SPIE 6152,Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XX,615210(2006年3月24日)に記載されているターゲットと同様の、図1Fに示すターゲットなどのマイクロブロッサムターゲットとして具現化することができる。
【0034】
同様に、位置ずれ計測ツール104がスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールである場合、測定サイト108のそれぞれは、好ましくは、スキャトロメトリ位置ずれ計測ツールによる測定時にウエハ112上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれの指標を提供するスキャトロメトリターゲットを共に形成する特徴の組合せを含む。このようなターゲットは、とりわけ、APPARATUS AND METHODS FOR DETECTING OVERLAY ERRORS USING SCATTEROMETRYと題された欧州特許第1570232号に記載されているターゲットと同様の、図1Gに示されているようなターゲットとして具現化することができる。
【0035】
同様に、位置ずれ計測ツール104が電子ビーム位置ずれ計測ツールである場合、測定サイト108のそれぞれは、好ましくは、電子ビーム位置ずれ計測ツールによる結像時にウエハ112上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれの指標を提供する電子ビームターゲットを共に形成する特徴の組合せを含む。このようなターゲットは、とりわけ、2019年6月4日に出願され、MISREGISTRATION MEASUREMENTS USING COMBINED OPTICAL AND ELECTRON BEAM TECHNOLOGYと題されたPCT出願PCT/米国特許第2019/035282号に記載されているターゲットと同様の、図1Hに示されているようなターゲットとして具現化することができる。
【0036】
本発明の別の実施形態では、各測定サイト108は、好ましくは、完全なまたは部分的な半導体デバイスを含み、その位置ずれが位置ずれ計測ツール104によって直接測定される。ほんの一例として、位置ずれ計測ツール104は、2019年9月16日に出願された、PERIODIC SEMICONDUCTOR DEVICE MISREGISTRATION METROLOGY SYSTEM AND METHODと題されたPCT特許出願PCT/米国特許第2019/051209号に記載されているものと同様の、図1Iに示されているような半導体デバイスを直接測定することができる。
【0037】
本発明の全ての実施形態において、位置ずれは、特徴の適切な組合せが選択される限り、ウエハ112上に形成された任意の数の層間で測定することができることを理解されたい。測定サイト108に含まれる特徴は、測定サイト108の全てまたはその任意の部分に存在してもよいことをさらに理解されたい。
【0038】
本発明の全ての実施形態において、図1B図1Iに見られるように、測定サイト108は、ROIのセット106を含む。ROIのセット106は、少なくとも1つのROI122を含み、より好ましくは、複数のROI122、124、126、および128を含む。簡単にするために、本発明は、図1B図1Iに示される4つのROI122、124、126、および128に関して説明されるが、ROIのセット106は、好ましくは、2~100個のROIを含み、ROI122、124、126、および128が以下で参照される場合はいつでも、その意図は、ROIのセット106に含まれる各ROIを参照することであることを理解されたい。
【0039】
各ROI122、124、126、および128は、MMRSS100を用いて測定サイト108を測定または分析するときに考慮される測定サイト108の領域である。理解を容易にするために、図1B図1Iでは、ROI122、124、126、および128のそれぞれの境界を示すために実線が使用されているが、ROI122、124、126、および128は、典型的には、そのような物理的表示を含まないことを理解されたい。
【0040】
任意のROI122、124、126、または128の面積は、測定サイト108に含まれる特徴の面積より小さくても、大きくても、同じサイズであってもよいことを理解されたい。同様に、各ROI122、124、126、および128は、測定サイト108の中心または測定サイト108の縁部の近くなどの、測定サイト108内の任意の適切な位置に位置することができる。
【0041】
さらに、各ROI122、124、126、および128は、特に図1B、1Hおよび1Iに見られるように隣接していてもよく、または特に図1C、1D、1E、1Fおよび1Gに見られるように隣接していなくてもよい。各ROI122、124、126、および128が隣接しているかまたは隣接していないかにかかわらず、各ROI122、124、126、および128は、それ自体に関して、測定サイト108に関して、または測定サイト108内の特徴に関して対称または非対称であってもよい。
【0042】
本発明の一実施形態では、ROIのセット106内のROI122、124、126、および128のそれぞれは、単一の位置ずれ計測ツール104によって別々に測定される。本発明の別の実施形態では、ROIのセット106内のROI122、124、126、および128のそれぞれは、位置ずれ計測ツールのセット102のうちの異なる位置ずれ計測ツール104によって別々に測定される。本発明のさらに別の実施形態では、1つ以上の位置ずれ計測ツール104が、各測定において測定サイト108の全体を測定し、測定サイト108の測定に続いて、個々のROI122、124、126、および128が分析のために選択される。
【0043】
少なくとも1つの位置ずれ計測ツール104によってROIのセット106を測定すると、ROIのセット106内の各ROI122、124、126、および128について位置ずれ測定データセットが生成される。したがって、ROIのセット106が、1つ以上の位置ずれ計測ツール104によって生成された複数の位置ずれ測定データセットに関連付けられる。
【0044】
図1Aに見られるように、MMRSS100は、位置ずれ分析およびROI選択エンジン(MARSE)132をさらに含む。好ましくは、1つ以上の位置ずれ計測ツール104が測定サイト108の全体を測定する本発明の実施形態では、測定サイト108の測定に続いて、MARSE132による分析のために個々のROI122、124、126、および128が選択される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、MARSE132は、複数の位置ずれ計測ツール104によって生成された位置ずれ測定データセットに関連付けられた品質メトリックのセットを評価する。品質メトリックのセットは、とりわけ、精度フラグ、装置要因誤差(TIS)、Qmerit、焦点感度、スループット、精度、およびROI配置に対する感度を含むことができる。ROI配置品質メトリックに対する感度は、ROIのセット106のROI122、124、126、および128のうちの異なるROIに対して、位置ずれ測定データおよび位置ずれの品質メトリックがどのように変化するかの指標を提供する。
【0046】
位置ずれ計測ツール104が結像位置ずれ計測ツールまたは電子ビーム位置ずれ計測ツールとして具現化される場合、品質メトリックのセットは、例えば、コントラスト精度も含むことができる。位置ずれ計測ツール104がスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールとして具現化される場合、品質メトリックのセットは、例えば、瞳3σおよび任意の追加の適切な瞳データ品質メトリックも含むことができる。各位置ずれ測定データセットの品質メトリックは、互いに比較され、特に望ましい品質メトリックのセットに関連付けられた位置ずれ測定データセットに関連付けられたROI122、124、126、または128のいずれかが、MARSE132によって推奨ROIとして特定される。
【0047】
好ましくは、MARSE132は、推奨ROIを選択するためにMARSE132によって使用された位置ずれ測定データを生成した位置ずれ計測ツール104に推奨ROIを伝達する。好ましくは、MARSE132はさらに、推奨ROIを選択するためにMARSE132によって使用された位置ずれ測定データを生成した位置ずれ計測ツールのセット102のうちの少なくとも1つの追加の位置ずれ計測ツール104に推奨ROIを伝達する。
【0048】
ここで、図2A図2Bを参照し、これらの図は共に、MMRSS100で使用するためのROI選択方法(RSM)200を示す簡略化された流れ図である。第1のステップ210に見られるように、ウエハ112上の測定サイト108における少なくとも1つのROI122、124、126、または128が位置ずれ計測ツール104によって測定され、それによって、少なくとも1つのROI122、124、126、または128に関連付けられた位置ずれ測定データが生成される。本発明の一部の実施形態では、ステップ210は、測定サイト108のそれぞれに対して複数回、少なくとも1回実行され、それによって、複数の測定サイト108における少なくとも1つのROI122、124、126、または128に関連付けられた位置ずれ測定データを生成する。
【0049】
ステップ210の一実施形態では、ステップ212に見られるように、位置ずれ計測ツール104は、測定サイト108の全体を測定し、これに関連付けられた位置ずれ計測データを生成する。好ましくは、そのような実施形態では、ROIのセット106内のROI122、124、126、および128は、位置ずれ計測ツール104によって1回の測定で測定される。その後、MARSE132は、ステップ212で測定された測定サイト108内に含まれるROIのセット106に含まれる各ROI122、124、126、および128に関連付けられた位置ずれ計測データを生成する。したがって、ROIのセット106に関連付けられた測定サイト108について複数の位置ずれ測定データセットが生成される。ステップ212は、好ましくは、測定サイト108の全体を1回測定することを含むが、ステップ212は、測定サイト108の全体を複数回測定することを含んでもよい。有利には、ステップ212は、1回の測定でROIのセット106に関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットを生成する。
【0050】
ステップ210の代替の実施形態では、ステップ214に見られるように、位置ずれ計測ツール104は、測定サイト108の様々なセクションの位置ずれを測定する。好ましくは、ステップ214で測定されたセクションのそれぞれは、ROI122、124、126、および128のうちの1つ以上を含む。その後、MARSE132は、ステップ214で測定されたセクションに含まれる各ROI122、124、126、および128に関連付けられた位置ずれ計測データを生成する。したがって、ROIのセット106に関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットが生成される。有利には、ステップ214は、ROIのセット106内のROIの数よりも少ない測定値で、ROIのセット106に関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットを生成する。
【0051】
ステップ216に見られるように、ステップ210のさらに別の代替の実施形態では、位置ずれ計測ツール104は、ROIのセット106内の各ROI122、124、126、および128の位置ずれを別々に測定する。本発明の一実施形態では、各ROI122、124、126、および128について、ステップ216が複数回繰り返され、それによって、ROI配置に対する位置ずれ測定データの感度を示す品質メトリックを含む位置ずれ測定データセットが生成される。ROI配置に対する位置ずれ測定データの感度を示す品質メトリックは、ROI122、124、126、および128のそれぞれに関連付けられた位置ずれ測定データの精度に関する情報を提供する。したがって、ROIのセット106に関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットが生成される。有利には、ステップ216は、ROIのセット106に関連付けられた概して再現性の高い複数の位置ずれ測定データセットを生成する。
【0052】
ステップ218に見られるように、ROIのセット106の少なくとも1つのROIに関連付けられた位置ずれ測定データを生成するために、位置ずれ計測ツールのセット102の追加の位置ずれ計測ツール104を使用するか否かの判定が行われる。追加の位置ずれ計測ツール104が使用される場合、RSM200はステップ210に戻り、位置ずれ計測ツールのセット102の追加の位置ずれ計測ツール104は、ROIのセット106の少なくとも1つのROIに関連付けられた位置ずれ測定データを生成する。典型的には、複数の位置ずれ計測ツール104がステップ210で使用される場合、MMRSS100によって特によく適したROIを特定することができる。追加の位置ずれ計測ツール104が使用されない場合、RSM200は、次のステップ220に進む。RSM200の実行時間は、ステップ210が実行される位置ずれ計測ツール104の数の関数であるため、追加の位置ずれ計測ツール104を用いてステップ210を繰り返す回数は、典型的にはオペレータによって決定されることを理解されたい。
【0053】
ステップ220において、MARSE132は、ステップ210において少なくとも1つの位置ずれ計測ツール104によって生成されたROIのセット106に関連付けられた複数の位置ずれ測定データセットを分析する。ステップ220の一部として、MARSE132は、ステップ210で生成された位置ずれ測定データセットに関連付けられた品質メトリックのセットを評価する。品質メトリックのセットは、とりわけ、精度フラグ、TIS、Qmerit、焦点感度、スループット、精度、およびROI配置に対する感度を含むことができる。ROI配置品質メトリックに対する感度は、ROIのセット106のROI122、124、126、および128のうちの異なるROIに対して、位置ずれ測定データおよび位置ずれの品質メトリックがどのように変化するかの指標を提供する。
【0054】
位置ずれ計測ツール104が結像または電子ビーム位置ずれ計測ツールとして具現化される場合、品質メトリックのセットは、例えば、コントラスト精度を含むこともできる。位置ずれ計測ツール104がスキャトロメトリ位置ずれ計測ツールとして具現化される場合、品質メトリックのセットは、例えば、瞳3σおよび任意の追加の適切な瞳データ品質メトリックも含むことができる。
【0055】
次のステップ230において、MARSE132は、少なくとも1つのROI122、124、126、または128が、所定の許容範囲内の品質メトリックを有する位置ずれデータセットに関連付けられているかどうかを判定する。ROI122、124、126、または128のいずれも、所定の許容範囲内の品質メトリックを有する位置ずれデータセットに関連付けられていない場合、RSM200は、次のステップ232で終了し、推奨ROIが見つからなかったことを示す出力を提供する。
【0056】
少なくとも1つのROI122、124、126、または128が所定の許容範囲内の品質メトリックを有する位置ずれデータセットに関連付けられている場合、RSM200は、ステップ240に進み、MARSE132は、1つ以上の推奨ROIを特定する。ステップ240の一部として、各位置ずれ測定データセットの、ステップ220からの品質メトリックが互いに比較され、品質メトリックの最も望ましいセットに関連付けられた位置ずれデータセットに関連付けられた少なくとも1つのROI122、124、126、または128が、少なくとも1つの推奨ROIとして特定される。好ましくは、ステップ216を含む本発明の実施形態では、ステップ240において、MARSE132は、特にROI配置品質メトリックに対する感度を考慮する。
【0057】
好ましくは、次のステップ250において、MARSE132は、ステップ240で特定された少なくとも1つの推奨ROIを、ステップ210において位置ずれ測定データを生成した位置ずれ計測ツール104に伝達する。また、ステップ250において、MARSE132は、好ましくは、少なくとも1つの推奨ROIを、ステップ210においてROIのセット106に関連付けられた位置ずれ測定データセットを生成した位置ずれ計測ツール104以外の、位置ずれ計測ツールのセット102の少なくとも1つの追加の位置ずれ計測ツール104に伝達する。
【0058】
次のステップ260では、ステップ210で使用された位置ずれ計測ツール104以外の、位置ずれ計測ツールのセット102の位置ずれ計測ツール104が、ステップ240で特定された1つ以上の推奨ROIから選択された少なくとも1つの推奨ROIを使用して、ウエハ112の少なくとも2つの層間の位置ずれを測定する。ステップ260で測定されたウエハ112は、ステップ210で測定されたウエハ112と同じウエハ112であってもよく、またはウエハのバッチ120から選択された異なるウエハ112であってもよいことを理解されたい。
【0059】
本発明の一部の実施形態では、MMRSS100およびRSM200は、2020年1月21日に出願され、SYSTEM AND METHOD FOR ANALYZING A SAMPLE WITH A DYNAMIC RECIPE BASED ON ITERATIVE EXPERIMENTATION AND FEEDBACKと題された米国特許出願第16/747734号に記載されているプロトコルと同様に、自動レシピ最適化(ARO)プロトコルのセット、スタンドアロン最適化プロトコルのセット、または自動レシピトレーニングプロトコルのセットに含まれてもよい。
【0060】
当業者であれば、本発明は、本明細書に特に示され説明されたものに限定されないことを理解されるであろう。本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組合せおよび部分的組合せの両方、ならびそれらの変形を含み、これらは全て先行技術にはない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2A
図2B
【国際調査報告】