(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ホウ酸をドーパントとする単結晶シリコンインゴットの製造方法および固相ドーパントを使用するインゴット引上げ装置
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20220907BHJP
C30B 15/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
C30B29/06 502H
C30B15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577570
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2020033364
(87)【国際公開番号】W WO2020263455
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ルーター,ウィリアム エル
(72)【発明者】
【氏名】スリードハラムルティ,ハリプラサド
(72)【発明者】
【氏名】アリンジェル,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,リチャード ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ユー-チャイオ
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF10
4G077EB01
4G077EB04
4G077EG25
4G077HA12
4G077PB05
(57)【要約】
単結晶シリコンインゴットを製造するための方法が開示されている。インゴットは、ホウ素のソースとして固相ホウ酸を使用してホウ素がドープされる。ホウ酸は、インゴット成長中にインゴットをカウンタドープするために使用されてもよい。固相ドーパントを使用するインゴット引上げ装置も開示されている。固相ドーパントは、融液の表面に近づくように移動する容器内に配置してもよいし、固相ドーパントからドーパントガスを形成するために気化ユニットが使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
多結晶シリコンをるつぼに加える工程であって、るつぼはインゴット引上げ内側チャンバ内に配置される工程、
多結晶シリコンを加熱して、るつぼ内にシリコン融液を形成する工程、
シリコン融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる工程、
固相ホウ酸のソースを提供する工程、
固相ホウ酸からホウ素含有ガスを形成する工程、および、
単結晶シリコンインゴットを融液から引き上げながら、ホウ素含有ガスを融液の表面に接触させ、ホウ素をドーパントとして融液に入れる工程、
を含む方法。
【請求項2】
単結晶シリコンインゴットを融液から引き上げる前に、るつぼにn型ドーパントを加える工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n型ドーパントはリンである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ホウ素含有ガスは、
固相ホウ酸を液化して、ホウ酸液を形成する工程、および、
ホウ酸液を蒸発させて、ホウ素含有ガスを形成する工程、
により形成される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
固相ホウ酸は、インゴット引上げ内側チャンバ内に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
固相ホウ酸は、カプセル内に配置される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
固相ホウ酸は、インゴット引上げハウジングの外部に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
固相ホウ酸は、気化ユニットのチャンバ内にある請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ドープされた単結晶シリコンインゴットを製造するためのインゴット引上げ装置であって、
インゴット引上げ外側ハウジング、
インゴット引上げ外側ハウジング内に形成されたインゴット引上げ内側チャンバ、
インゴット引上げ内側チャンバ内に配置されたるつぼ、
インゴット引上げ外側ハウジングの外部に少なくとも部分的に配置された外側供給管であって、外側供給管チャンバを規定し、遠位端、近位端、および遠位端と近位端を通って延びる外側供給管軸を有する外側供給管、
外側供給管軸に沿って外側供給管チャンバ内で移動可能な細長い部材、および、
ドーパント容器がインゴット引上げ外側ハウジングの外部に配置される充填位置と、ドーパント容器がインゴット引上げ内側チャンバの中に配置される供給位置との間で移動可能な細長い部材に結合されたドーパント容器、を含むインゴット引上げ装置。
【請求項10】
ドーパント容器は、細長い部材から分離可能なカプセルである請求項9に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項11】
カプセルが、
外側カプセルハウジング、および、
外側カプセルハウジング内に配置された堰であって、堰はドーパントガスが通過するためのチャネルを形成し、堰は上端および下端を有し、堰の上端および下端は開放されており、堰とインゴット引上げ外側ハウジングとの間には固相のドーパントを保持する環状チャンバが配置された堰、
を含む請求項10に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項12】
ドーパント容器の下方に配置され、ドーパントガスを融液の表面に導く管を含む請求項9~11のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項13】
細長い部材は管である請求項9~12のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項14】
細長い部材がインゴット引上げ内側チャンバから引き上げられたときに、インゴット引上げ内側チャンバを密閉するためのバルブをさらに含む請求項9~13のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項15】
充填位置と供給位置との間でドーパント容器を移動させるための移動装置を含む請求項9~14のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項16】
移動装置は、磁気的に結合された貫通壁移動ユニットである請求項15に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項17】
移動装置は、ベローズシステムである請求項15に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項18】
ドープされた単結晶シリコンインゴットを製造するためのインゴット引上げ装置であって、
インゴット引上げ外側ハウジング、
インゴット引上げ外側ハウジング内に形成されたインゴット引上げ内側チャンバ、
インゴット引上げ内側チャンバ内に配置されたるつぼ、
インゴット引上げ内側チャンバの外部に配置されたガス入口およびインゴット引上げ内側チャンバ中に配置されたガス出口を有するドーパント導管、および、
インゴット引上げチャンバの外部に配置されたドーパント気化ユニットであって、
固相ドーパントを保持するためのドーパントチャンバ、
固相ドーパントを加熱し、ドーパントガスを形成するための加熱装置、および、
ドーパントガスが通過する出口であって、ドーパント導管と流体連通する出口、
を含むドーパント気化ユニット、
を含むインゴット引上げ装置。
【請求項19】
プロセスガスを導入するための入口をさらに含み、入口はドーパントチャンバと流体連通し、プロセスガスはドーパントチャンバを通って出口を通過する請求項18に記載のインゴット引上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/868,573号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の分野は、ホウ素のソースとして固相ホウ酸を使用してインゴットがホウ素でドープされた、単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。また、本開示の分野は、固相ドーパントを使用するインゴット引上げ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
高抵抗率シリコンウエハの用途では、ウエハがスライスされる単結晶シリコンインゴットの抵抗率は、融液に様々なドーパントを添加することによって制御される。ドーパントは、シリコンインゴットが引上げられる融液の形成に使用される多結晶シリコンのソース中の、様々な不純物(例えば、ホウ素またはリン)を補償するために使用してもよい。
【0004】
インゴットにおいて目標抵抗率を達成するために1つ以上のドーパントを添加する場合、化合物の偏析係数の違いにより、特定のドーパントおよび/または不純物が融液に蓄積されることがある。たとえば、ホウ素の偏析係数は約0.8であり、成長中のインゴットに容易に取り込まれる。一方、リンの偏析係数は約0.35であり、ホウ素が取り込まれやすいのに対して、リンは融液中に蓄積されやすい。このため、インゴットが成長して融液が枯渇すると、リンが融液中に蓄積し、成長中のインゴットの抵抗率が変化する。この結果、抵抗率が低下し、顧客の仕様から外れたり、インゴットの型が変わったりする。
【0005】
顧客の仕様内に維持されたインゴットの長さを大きくするために、インゴット成長中にシリコン融液をカウンタドープする方法に対してニーズが存在する。容易に入手できるおよび/または比較的安価なドーパントソース材料を使用することを可能にし、融液を比較的容易にドープすることを可能にするドーピング方法に対するニーズが存在する。固相ドーパントをドーパント源として使用することを可能にするインゴット引上げ装置に対するニーズが存在する。
【0006】
本セクションは、以下に説明および/または請求される、本開示の様々な態様に関連する技術の様々な態様を読者に紹介することを意図する。この議論は、本開示の様々な態様のより良い理解を促進するために、読者に背景情報を提供するのに役立つと信じる。したがって、これらの記述は、従来技術の容認としてではなく、この観点から読まれるべきであることが理解されるべきである。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。多結晶シリコンはるつぼに加えられる。るつぼは、インゴット引上げ装置の内側チャンバの中に配置される。多結晶シリコンを加熱し、るつぼ内にシリコン融液を形成する。シリコン融液から単結晶シリコンのインゴットを引き上げる。固相ホウ酸のソースが提供される。固相ホウ酸からホウ素含有ガスが形成される。ホウ素含有ガスを融液の表面に接触させて、ホウ素をドーパントとして融液に入れながら、融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる。
【0008】
本開示の他の態様は、ドープされた単結晶シリコンインゴットを製造するためのインゴット引上げ装置に関する。インゴット引上げ装置は、インゴット引上げ外側ハウジングと、インゴット引上げ外側ハウジング内に形成されたインゴット引上げ内側チャンバとを含む。るつぼは、インゴット引上げ内側チャンバ内に配置される。外側供給管は、少なくとも一部がインゴット引上げ外側ハウジングの外部に配置される。外側供給管は外側供給管チャンバを規定する。外側供給管は、遠位端と、近位端と、遠位端および近位端を通って延びる外側供給管軸を有する。細長い部材は、外側供給管軸に沿って外側供給管チャンバー内で移動可能である。ドーパント容器は、細長い部材に結合される。ドーパント容器がインゴット引上げ外側ハウジングの外部に配置される充填位置と、ドーパント容易がインゴット引上げ内側チャンバ内に配置される供給位置との間で、ドーパント容器は移動可能である。
【0009】
本開示のさらに他の態様は、ドープされた単結晶シリコンインゴットを製造するためのインゴット引上げ装置に関する。インゴット引上げ装置は、インゴット引上げ外側ハウジングと、インゴット引上げ外側ハウジング内に形成されたインゴット引上げ内側チャンバとを含む。インゴット引上げ内側チャンバ内には、るつぼが配置される。ガス入口を有するドーパント導管がインゴット引上げ内側チャンバの外部に配置され、ガス出口がインゴット引上げ内側チャンバ内に配置される。ドーパント気化ユニットは、インゴット引上げチャンバの外部に配置される。ドーパント気化ユニットは、固相のドーパントを保持するためのドーパントチャンバを含む。ドーパント気化ユニットは、固相ドーパントを加熱するための、そしてドーパントガスを形成するための加熱装置を含む。ドーパント気化ユニットは、ドーパントガスが通過する出口を含む。出口は、ドーパント導管と流体連通している。
【0010】
本開示の上述の態様に関連して指摘された特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、同様に本開示の上述の態様に組み込まれうる。これらの洗練された特徴および追加の特徴は、個別にまたは任意の組み合わせで存在しうる。例えば、本開示の図示された実施形態のいずれかに関連して後述する様々な特徴は、本開示の上述の形態のいずれかに、単独でまたは任意の組み合わせで組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ドーパントのソースとしてホウ酸を用いたシリコンインゴットを成長させる方法の一例の概略図である。
【
図2】ドーパント充填位置にあるドーパント容器を有するインゴット引上げ装置の実施形態の部分断面側面図である。
【
図3】ドーパント容器がドーパント供給位置にあるインゴット引上げ装置の部分断面側面図である。
【
図4】ドーパント容器がドーパント供給位置にあるインゴット引上げ装置の詳細断面側面図である。
【
図5】固相ドーパントを保持するためのドーパント容器および細長い部材を移動させるための移動ユニットを含む細長い部材の側面図である。
【
図7】細長い部材と移動ユニットとの間の接合部の断面側面図である。
【
図8】容器がドーパント充填位置にある外管内の細長い部材の透視断面図である。
【
図10】インゴット引上げ装置の他の実施形態の断面側面図である。
【
図11】インゴット引上げ装置の気化ユニットの断面側面図である。
【0012】
対応する参照文字は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の提供は、ホウ酸を含むシリコン融液のドーピング(例えば、カウンタドーピング)のための方法に関する。追加の提供は、シリコン融液をドーピングするように構成されたインゴット引上げ装置、特にホウ酸などの固相ドーパントを用いてドーピングするように構成されたインゴット引上げ装置に関する。
【0014】
ホウ酸を用いたドーピングの方法
本開示の方法の一例を、
図1に示す。本方法は、固相ホウ酸からホウ素含有ガスを形成するように構成されたインゴット引上げ装置の使用によって実施されてもよい。ホウ酸を用いたドーピング方法に従って使用される例示的なインゴット引上げ装置が、
図2~13に示されている。方法を例示するために、
図2~9に示すインゴット引上げ装置100または
図10~13に示すインゴット引上げ装置400を参照して説明することができるが、特に断らない限り、方法はインゴット引上げ装置100、400に限定されるべきではない。
【0015】
図2を参照すると、シリコンインゴットを準備するための方法の実施形態に従って、インゴット引上げ装置100の内側チャンバ102内に配置されたるつぼ104内で、シリコン融液が準備される。るつぼ104は、サセプタ(図示せず)により支持されてもよい。インゴット引上げ装置100は、インゴット引上げ装置100内で、るつぼ104を回転させ、および/またはるつぼ104を垂直に移動させるように構成されてもよい。
【0016】
シリコン融液を準備するために、多結晶シリコンがるつぼ104に添加される。多結晶シリコンをシリコンの溶融温度(約1414℃)以上に加熱して、多結晶シリコンを液化してシリコン融液108にする。多結晶シリコンを溶かすために、加熱システムを動作させる。例えば、るつぼ104の下方または側方にある1つまたは複数のヒータが、シリコンを溶かすために動作する。
【0017】
融液108が製造される前または後に、融液中のp型不純物(例えば、ホウ素)を補償するために、ドーパント、典型的にはn型ドーパントを用いて、融液をドープしてもよい。n型ドーパントは、インゴット112の成長が開始される前に添加されてもよい。融液を補償することにより、得られるインゴット112の抵抗率を増加させてもよい。例えば、インゴットのシード端部(即ち、インゴットクラウンに最も近いインゴットの部分)は、少なくとも約1,500Ω・cmの抵抗率を有してよく、または他の実施形態のように、少なくとも約2,000Ω・cm、少なくとも約4,000Ω・cm、少なくとも約6,000Ω・cm、少なくとも約8,000Ω・cm、少なくとも約10,000Ω・cm、または約1,500Ω・cmから約50,000Ω・cm、または約8,000Ω・cmから約50,000Ω・cmの範囲である。好適なn型ドーパントには、リンおよびヒ素が含まれる。
【0018】
一旦融液108が準備されると、単結晶シリコンインゴット112が融液108から引上げられる。種結晶118は、種チャック114に固定される。種結晶118がシリコン融液108の表面に接触するまで、種チャック114と結晶118を下降させる。種結晶118が溶融し始めれば、引き上げ機構が種結晶118をゆっくりと引き上げ、単結晶インゴット112を成長させる。
【0019】
インゴット引上げ装置100の内側チャンバ102内を通って、プロセスガス(例えば、アルゴン)が循環する。プロセスガスは、チャンバ102内に雰囲気を作る。
【0020】
図1に示すように、本開示の方法の実施形態は、固相ホウ酸(H
3BO
3)のソースを提供することを含む。ホウ酸は、約99%以上の純度、99.9%以上の純度、または99.99%以上の純度のような、比較的純粋でもよい。いくつかの実施形態では、ホウ酸は、比較的同位体的に純粋(すなわち、ホウ素-11)であってもよい。例えば、ホウ酸は、
図2~9のインゴット引上げ装置100の容器156(
図4)のようなインゴット引上げ装置100の内側チャンバ102内(すなわち、ハウジング116内)に提供されてもよい。代わりに、固相ホウ酸は、
図10~13のインゴット引上げ装置400の気化ユニット414のドーパントチャンバ424内のような、インゴット引上げ外側ハウジング416の外部に配置してもよい。
【0021】
固相のホウ酸からホウ素含有ガスが形成される。形成されるガスは、一般に、ホウ酸(H3BO3)またはその誘導体(BxOyHz
+錯体)の形態であり、他の化合物(例えば、ジボラン(B2H6)または二水素ホウ素(BH2))ではない。しかしながら、他のホウ素化合物をホウ素含有ガスに添加してもよいことは理解されるべきである。
【0022】
固相ホウ酸をその融点(約171℃)以上に加熱して、固相ホウ酸を液化し、ホウ酸液体を形成してもよい。その後、ホウ酸液体をその気化温度(約300℃)以上に加熱してホウ素含有ガスを形成する。例えば、
図2~9のインゴット引上げ装置のシリコン融液108から放射される熱や、
図10~13のインゴット引上げ装置の気化ユニット414の加熱装置428(
図12)により固相ホウ酸を加熱してもよい。
【0023】
ホウ素含有ガスが形成されると、ホウ素含有ガスは融液108の表面に接触して、ホウ素を融液中に拡散させることができる。例えば、出口管168(
図4)におけるホウ素含有ガスの流路を、
図2~9のインゴット引上げ装置100のようにホウ素含有ガスが管出口170のみを移動できるように制限してもよいし、
図10~13のインゴット引上げ装置400のようにホウ素含有ガスがプロセスガスにより運ばれてもよい。
【0024】
ホウ素が融液に入ると、リンの比較的低い偏析係数のためにホウ素は融液中に濃縮したリンを補償し、それによってインゴット引上げ装置内で形成されるインゴット112の残りの部分の比抵抗を増加させる。
【0025】
固体ドーパントの使用によるドーピングのためのインゴット引上げ装置
例示的なインゴット引上げ装置100を
図2~9に全体を示し、別の例示的なインゴット引上げ装置400を
図10~13に示す。
図2~9の装置100および
図10~13の装置400は、上述の方法のように固相ホウ酸を用いてインゴットにホウ素をドープするために使用されてもよいし、自然形態、または水和形態、または結晶成長プロセスに非汚染である化合物のシリコンの融点(約1414℃)以下で気化されてもよい他の固相ドーパント(例えば、SiO
2と混在したB
2O
3が比較的高濃度のドープガラス、または高濃度ドープSi-B合金)を使用してもよい。
【0026】
ここで
図2を参照すると、インゴット引上げ装置100は、ハウジング116内に、インゴット引上げ内側チャンバ102を規定するインゴット引上げ外側ハウジング116を含む。インゴット引上げ内側チャンバ102内には、るつぼ104が配置されている。るつぼ104は、シリコンインゴット112がそこから引き上げられるシリコン融液108を含む。インゴット112は、熱シールド120によって覆われる。
【0027】
インゴット引上げ装置100は、ドーパント供給システム126を含む。ドーパント供給システム126は、インゴット引上げハウジング116の外部に少なくとも部分的に配置される外側供給管130を含む。外側供給管130は、その中に外側供給管チャンバ136を規定している。外側供給管130は、外側ハウジング116から最も遠い遠位端140と、ハウジング116に最も近い近位端144とを有する。外側供給管軸A130は、外側供給管130の遠位端140および近位端144を通って延びる。外側供給管130は、ステンレス鋼または他の適切な材料で作られてもよい。
【0028】
細長い部材150は、外側供給管軸線A
130に沿って、外側供給管130内で移動可能である。細長い部材150は、
図4に示すように、インゴット引上げ内側チャンバ102の中に下げられてよい。図示した実施形態では、細長い部材150は管である。他の実施形態では、ロッドまたはシャフトが使用されてもよい。細長い部材150は、石英などのインゴット引上げチャンバ102内の環境に耐える任意の材料で作られてもよい。
【0029】
ドーパント容器156は、細長い部材150(
図4)に結合されている(例えば、その中に入れ子になっている)。
図8に示すように、容器156は、細長い部材150のレッジ160に接してもよい。容器156は、レッジ160に着座する肩部162(
図9)を含んでもよい。細長い部材150を動かすことによって、ドーパント容器156は、ドーパント容器156がインゴット引上げ外側ハウジング116の外部に配置される上昇位置(
図2、これは「ドーパント充填位置」とも呼ばれる)と、容器156が融液108の表面近くのインゴット引上げ内側チャンバ102内に配置される下方位置(
図3および4、これは「ドーパント供給位置」とも呼ばれる)の間で移動する。熱シールド120は、細長い部材150およびそれに結合されたドーパント容器156が融液108に接近するための経路を提供するためにその中に形成されたチャネル124(
図2)を含んでもよい。
【0030】
容器156は、細長い部材150から分離可能であってもよい。細長い部材150は、容器156へのアクセスを可能にするノッチ164(
図5)を含む。充填位置(
図2)において、容器156は、ドーパントを充填するために細長い部材150から取り外されてもよい。ノッチ164は、容器156が充填位置にあるとき、容器156へのアクセスを可能にするアクセスポート166と整列する。容器156は、容器156の接続ループ172によって把持されて、ノッチ164およびアクセスポート166を通して容器156を引っ張ることができる。他の構成では、容器156が細長い部材150中に配置されたときに、ドーパントを容器156に添加してもよい。
【0031】
容器の供給位置(
図3、4)において、固相ドーパントからドーパントガスが形成される。ドーパントガスは、出口管168を通り、出口170を通って、融液108の表面に向けられる。
【0032】
図示された実施形態では、容器156は、固相ドーパントを保持するカプセル158(
図9)である。カプセル158は、外側カプセルハウジング180を含む。堰182が外側カプセルハウジング180内に配置されている。堰182は、その中にチャネル184を形成する。堰182は、ガスがチャネル184を通過することができるように、それぞれ開放されている上端188および下端190を有する。環状チャンバ194は、堰182と外側カプセルハウジング180との間に配置される。固体ドーパント174(例えば、ホウ酸)は、環状チャンバ194内に配置され、カプセルフロア上に静止する。容器156がその下降位置にあるとき(
図3および4)、固相ドーパント174は加熱され、これによりドーパントは昇華するかまたは溶融して蒸発する。ドーパントガスは、環状チャンバ194内を上昇し、堰182の上端188を通って堰チャネル184に入る。ガスは、チャネル184を通過し続け、堰182の開放された下端190を通って出る。ドーパントガスは、出口管168(
図4)を通り、管出口170を通って、融液の表面に向かって進む。
【0033】
細長い部材150は、ガスが細長い部材150の上に逆流するのを防ぐガスバリア壁240(
図8)を含む。あるいは、細長い部材は、ガスが逆流するための経路を含まないロッドまたはシャフトであってもよい。
【0034】
ここで
図4を参照すると、インゴット引上げ装置100は、外側供給管130内に隔離バルブ200を含む。隔離バルブ200は、細長い部材150がインゴット引上げ内側チャンバ102から引き出されたときに、インゴット引上げ内側チャンバ102を密閉する。これにより、ポート156が内側チャンバ102から隔離されている間、ドーパント容器156はアクセスポート166を通してアクセスできる。細長い部材150が下げられると、アクセスポート166は閉じられるか、またはプロセスガス(例えば、アルゴン)のソースに接続されてもよい。隔離バルブ200は、バルブ200を作動させるバルブ制御装置202に接続されている。
【0035】
インゴット引上げ装置100は、ドーパント充填位置(
図2)とドーパント供給位置(
図3および
図4)との間でドーパント容器156を移動させるための移動装置208(
図2)を含む。移動装置208は、細長い部材150およびドーパント容器156を、インゴット引上げ装置100の内側チャンバ102内および外側供給管チャンバ136内において(すなわち、外側供給管軸A
130に沿って)出し入れする。一般に、容器156のドーパント充填位置とドーパント供給位置との間で容器156を移動させることができる任意の移動装置208でも、特に断らない限り使用することができる。
【0036】
図示された実施形態では、移動装置208は、磁気的に結合された貫通壁移動装置である。移動装置208は、外側管212と、外側管212内を移動する内側部材214とを含む。内側部材214は、移動装置ハンドル216に磁気により結合されている。外管212は、ステンレス鋼(非磁性)または他の適切な材料で作られてもよい。移動装置ハンドル216および内側部材214は、ハンドル216と内側部材214との間の磁気結合を可能にするために、そこに埋め込まれた磁石を有してもよい。
【0037】
内側部材214はまた、ジョイント220(
図7)において細長い部材150に接続される。例示的なジョイント220は、内側部材214の下部を取り囲み、それにピン止めされたスリーブ218上のスレッドと係合するスレッド付き部材224を含む。ジョイント220は、第1および第2のOリング228、232と、Oリング228、232の間に配置されたブッシング236とを含む。ねじ付き部材224は、Oリング228、232を圧縮して半径方向外側に移動させ、移動装置内側部材214と細長い部材150の間の摩擦接続を促進する。
【0038】
移動装置208のハンドル216は、軸A
130(
図2)に沿って上下に移動してもよい。ハンドル216が移動すると、内側部材214は外側管212内で移動する。内側部材214は細長い部材150に結合されているので、細長い部材150および容器256は、インゴット引上げ装置100の内側チャンバ102の内外に移動する。いくつかの実施形態では、容器156がドーパントを供給するための下降位置にあるとき、容器156と融液108との間の距離を(例えば、オペレータによって)変えて、容器156およびその中の固相ドーパントに加えられる熱を変化させてドーパントガスが形成される速度を制御してもよい。他の実施形態では、容器156は、手動ではなくアクチュエータによってその充填位置(
図2)とドーパント供給位置(
図3および
図4)との間で移動させることができる。
【0039】
上述したように、移動装置208は他の構成を有してもよい。他の例示的な移動装置は、ベローズシステムまたは外部で操作する線形移動装置(例えば、外部で隔離された直線レールまたは空気圧シリンダのいずれかに取り付けられたロッド)を含んでもよい。任意の外部アクチュエータは、内側チャンバ102内の熱および真空から隔離されるべきである。
【0040】
別の例のインゴット引上げ装置400を
図10~11に示す。インゴット引上げ装置400は、上述のインゴット引上げ装置100と同様に動作してもよく、装置100の動作は、装置400にも(固相ドーパントの使用に関連しない側面において)適用可能であると考えられる。例えば、インゴット引上げ装置400は、ハウジング416内に内側チャンバ402を形成する外側ハウジング416を含む。シリコン融液408をその中に保持するためのるつぼ404が、チャンバ402内に配置される。装置400は、融液から引き上げられるインゴットを覆い隠す熱シールド(図示せず)を含む。
【0041】
インゴット引上げ装置400は、ドープされたガスをドーパント導管430に供給するドーパント蒸発ユニット414を含む。ドープされたガスは、ドーパント導管430を通過して、融液408に接触し、融液408をドープする。ドーパント導管430は、インゴット引上げチャンバ402の外部に配置されたガス入口422(
図11)と、インゴット引上げ内側チャンバ402に配置され、融液408の表面の比較的近くに位置するガス出口426とを含む。
【0042】
ドーパント気化ユニット414は、インゴット引上げ内側チャンバ402の外部に配置されている。ドーパント気化ユニット414は、固相ドーパント(例えば、上述の方法で論じたようなホウ酸)を保持するためのドーパントチャンバ424(
図13)を含む。プロセスガス(例えば、アルゴン)は、第1および第2のプロセスガス入口436、440を通って、気化ユニット414を通して循環されてもよい。気化ユニット414のドープガス出口452は、ドープガスを融液408の表面に移動させるために、ドーパント導管430(
図11)と流体連通状態にある。
【0043】
ドーパントチャンバ424を取り囲むのは、加熱チャンバ472(
図13)である。加熱装置428(例えば、抵抗加熱素子)は、気化ユニット414内を循環するガスを加熱する。加熱されたガスは、ドーパントチャンバ242内の固相ドーパントに接触し、ドーパントガスが形成する(例えば、昇華により、または固相ドーパントの液化および気化により)。ドーパントガスは、プロセスガスに乗って、ドープガス出口452を通ってドーパント導管430(
図11)に排出されるドーププロセスガスを形成する。気化ユニット414は、加熱チャンバ472の壁を通して失われる熱を低減するために熱シールド476を含む。加熱チャンバ472は、汚染を低減するために石英で作られてもよい。
【0044】
隔離バルブ460は、加熱チャンバ472およびドーパントチャンバ424の下流の、プロセスガス経路内にある。隔離バルブ460は、ドーパントが融液408に添加されていないときに、気化ユニット414をインゴット引上げ装置400の内側チャンバ402から隔離してチャンバ402を密閉する。バルブコントローラ464は、バルブ460を作動させるために使用してもよい。
【0045】
気化ユニット414は、加熱チャンバ472(
図13)の温度を測定するために、温度センサ448(
図12)を含む。温度センサ448は、検出された温度に基づいて加熱装置428の出力を変化させるために、制御ユニットに信号を送信してもよい。気化ユニット414は、ポンプダウン、リークテストのために、およびドーピングのために隔離バルブ460を開く前に、インゴット引上げ装置内側チャンバ402と圧力を等しくするために、真空ポート456を含む。
【0046】
シリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造するための従来の方法と比較して、本開示の実施形態の方法は、いくつかの利点を有する。融液がホウ酸を使用することによってカウンタドープされる実施形態では、インゴットのより大きな部分が顧客仕様(例えば、高い抵抗率)内であり、および/またはインゴットのタイプチェンジが防止される。固相のホウ酸は融点と気化温度が比較的低いため、ドーパントガスを比較的容易に製造できる。
【0047】
従来のインゴット引上げ装置と比較して、本開示の実施形態のインゴット引上げ装置は、いくつかの利点を有する。固体ドーパントを保持するためにドーパント容器が使用される実施形態では、容器は融液の熱によってドーパントを溶融および気化させることができる、融液の近くに容器を配置することができる。結晶構造または完全性の損失をもたらす元素状ホウ素またはホウ素化合物の沈殿または凝縮の形成も低減または防止できる。堰を含むドーパント容器を使用すると、ドーパント粒子が容器から融液へと推進されることなく、容器内で移動できる。ドーパント粒子が直接融液に入ると、インゴット内のゼロ転位を損なう可能性がある。隔離バルブを使用すると、インゴット引上げ内側チャンバを固相ドーパントシステムから隔離することができ、融液の汚染を防止し、固相ドーパントの再充填を可能にする。磁気で結合された貫通壁移動ユニットの使用は、密封を単純化し、気密環境を維持するためにシステムをより強固(例えば、別個のシールなし)にできる。
【0048】
インゴット引上げハウジングの外部にある気化ユニットにより固相ドーパントがガスに変換される実施形態では、加熱装置を使用してドーパントを加熱してもよく、これにより、ドーパントを融液に加える速度の制御を改良することができる。プロセスガスが気化ユニットを通して循環される速度も、融液がドープされる速度を制御するために使用されてもよい。供給管または導管がインゴット引上げ装置内で移動可能である実施形態では、融液からの距離が制御されて、融液へのドーパント添加速度を制御できる。
【0049】
本明細書で使用されるように、寸法、濃度、温度または他の物理的若しくは化学的特性若しくは特性の範囲と関連して使用される場合の用語「約」、「実質的に」、「本質的に」および「おおよそ」は、例えば丸め、測定方法、または他の統計変動から生じる変動を含む特性または特性の範囲の上限および/または下限に存在し得る変動をカバーすることを意図する。
【0050】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、および「当該(said)」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。特定の向きを示す用語(例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「横(side)」など)の使用は、説明の便宜のためであり、説明される項目の特定の向きを必要とするものではない。
【0051】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構造および方法において様々な変更がなされ得るため、上述の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、制限的な意味ではないことを意図する。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
多結晶シリコンをるつぼに加える工程であって、るつぼはインゴット引上げ内側チャンバ内に配置される工程、
多結晶シリコンを加熱して、るつぼ内にシリコン融液を形成する工程、
シリコン融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる工程、
固相ホウ酸のソースを提供する工程、
固相ホウ酸からホウ素含有ガスを形成する工程、および、
単結晶シリコンインゴットを融液から引き上げながら、ホウ素含有ガスを融液の表面に接触させ、ホウ素をドーパントとして融液に入れる工程、
を含む方法。
【請求項2】
単結晶シリコンインゴットを融液から引き上げる前に、るつぼにn型ドーパントを加える工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n型ドーパントはリンである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ホウ素含有ガスは、
固相ホウ酸を液化して、ホウ酸液を形成する工程、および、
ホウ酸液を蒸発させて、ホウ素含有ガスを形成する工程、
により形成される請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
固相ホウ酸は、インゴット引上げ内側チャンバ内に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
固相ホウ酸は、カプセル内に配置される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
固相ホウ酸は、
その中にるつぼが配置されたインゴット引上げハウジングの外部に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
固相ホウ酸は、気化ユニットのチャンバ内にある請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ドープされた単結晶シリコンインゴットを製造するためのインゴット引上げ装置であって、
インゴット引上げ外側ハウジング、
インゴット引上げ外側ハウジング内に形成されたインゴット引上げ内側チャンバ、
インゴット引上げ内側チャンバ内に配置されたるつぼ、
インゴット引上げ外側ハウジングの外部に少なくとも部分的に配置された外側供給管であって、外側供給管チャンバを規定し、遠位端、近位端、および遠位端と近位端を通って延びる外側供給管軸を有する外側供給管、
外側供給管軸に沿って外側供給管チャンバ内で移動可能な細長い部材、および、
ドーパント容器がインゴット引上げ外側ハウジングの外部に配置される充填位置と、ドーパント容器がインゴット引上げ内側チャンバの中に配置される供給位置との間で移動可能な細長い部材に結合されたドーパント容器、を含むインゴット引上げ装置。
【請求項10】
ドーパント容器は、細長い部材から分離可能なカプセルである請求項9に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項11】
カプセルが、
外側カプセルハウジング、および、
外側カプセルハウジング内に配置された堰であって、堰はドーパントガスが通過するためのチャネルを形成し、堰は上端および下端を有し、堰の上端および下端は開放されており、堰とインゴット引上げ外側ハウジングとの間には固相のドーパントを保持する環状チャンバが配置された堰、
を含む請求項10に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項12】
ドーパント容器の下方に配置され、ドーパントガスを融液の表面に導く管を含む請求項9~11のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項13】
細長い部材は管である請求項9~12のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項14】
細長い部材がインゴット引上げ内側チャンバから引き上げられたときに、インゴット引上げ内側チャンバを密閉するためのバルブをさらに含む請求項9~13のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項15】
充填位置と供給位置との間でドーパント容器を移動させるための移動装置を含む請求項9~14のいずれか1項に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項16】
移動装置は、磁気的に結合された貫通壁移動ユニットである請求項15に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項17】
移動装置は、ベローズシステムである請求項15に記載のインゴット引上げ装置。
【請求項18】
ドープされた単結晶シリコンインゴットを製造するためのインゴット引上げ装置であって、
インゴット引上げ外側ハウジング、
インゴット引上げ外側ハウジング内に形成されたインゴット引上げ内側チャンバ、
インゴット引上げ内側チャンバ内に配置されたるつぼ、
インゴット引上げ内側チャンバの外部に配置されたガス入口およびインゴット引上げ内側チャンバ中に配置されたガス出口を有するドーパント導管、および、
インゴット引上げ
内側チャンバの外部に配置されたドーパント気化ユニットであって、
固相ドーパントを保持するためのドーパントチャンバ、
固相ドーパントを加熱し、ドーパントガスを形成するための加熱装置、および、
ドーパントガスが通過する出口であって、ドーパント導管と流体連通する出口、
を含むドーパント気化ユニット、
を含むインゴット引上げ装置。
【請求項19】
プロセスガスを導入するための入口をさらに含み、入口はドーパントチャンバと流体連通し、プロセスガスはドーパントチャンバを通って出口を通過する請求項18に記載のインゴット引上げ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図示された実施形態では、容器156は、固相ドーパントを保持するカプセル158(
図9)である。カプセル158は、外側カプセルハウジング180を含む。堰182が外側カプセルハウジング180内に配置されている。堰182は、その中にチャネル184を形成する。堰182は、ガスがチャネル184を通過することができるように、それぞれ開放されている上端188および下端190を有する。環状チャンバ194は、堰182と外側カプセルハウジング180との間に配置される。固体ドーパント174(例えば、ホウ酸)は、環状チャンバ194内に配置され、カプセルフロア
198上に静止する。容器156がその下降位置にあるとき(
図3および4)、固相ドーパント174は加熱され、これによりドーパントは昇華するかまたは溶融して蒸発する。ドーパントガスは、環状チャンバ194内を上昇し、堰182の上端188を通って堰チャネル184に入る。ガスは、チャネル184を通過し続け、堰182の開放された下端190を通って出る。ドーパントガスは、出口管168(
図4)を通り、管出口170を通って、融液の表面に向かって進む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】