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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】フォトレジストリムーバ組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20220907BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220907BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20220907BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20220907BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G03F7/42
H01L21/304 647A
C11D1/22
C11D3/43
C11D3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500553
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2020069326
(87)【国際公開番号】W WO2021005140
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/872,950
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】アレント・ローベルト
【テーマコード(参考)】
2H196
4H003
5F157
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196JA04
2H196LA03
4H003AB18
4H003AB19
4H003DA05
4H003DA09
4H003DB03
4H003DC02
4H003EB06
4H003FA04
4H003FA15
5F157AA35
5F157AA36
5F157AA64
5F157AA93
5F157BC04
5F157BC12
5F157BC54
5F157BD02
5F157BE12
5F157BF22
5F157BF32
5F157BF48
5F157BF52
5F157BF54
5F157BF58
5F157BF59
5F157BF63
5F157CB02
5F157CE04
5F157CE36
5F157DB03
5F157DB57
(57)【要約】
本発明は、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物(nは6~16の整数である)、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4](III)を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、
構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、
及びこれらの混合物、
からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び
溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)、
から本質的になる組成物。
【化1】
【請求項2】
構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、
構造(III)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、
及びこれらの混合物、
からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、
溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)、及び
界面活性剤、
から本質的になる組成物。
【化2】
【請求項3】
構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(III)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)、及び界面活性剤からなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記スルホン酸が、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物である、請求項1~4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
前記スルホン酸が、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物である、請求項1~4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
前記スルホン酸が、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物と、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物との混合物である、請求項1~4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
前記スルホサリチル酸に関して、これが、構造(IIa)を有するものまたはそれの水和物である、請求項1、2、6及び7のいずれか一つに記載の組成物。
【化3】
【請求項9】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、nが8~16の整数である、請求項1~5、7及び8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、nが8~14の整数である、請求項1~5、7~9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、nが8~10の整数である、請求項1~5、7、及び8~10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、これが構造(Ia)を有する、請求項1~5及び8~11のいずれか一つに記載の組成物。
【化4】
【請求項13】
前記アルキルベンゼンスルホン酸に関して、nが6~10の整数である、請求項1~5及び8~12のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
前記アルキルベンゼンスルホン酸が構造(Ib)を有し、ここでnbが6~16の整数である、請求項1~5及び8のいずれか一つに記載の組成物。
【化5】
【請求項15】
nbが10~14の整数である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
nbが8~10の整数である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルキルベンゼンスルホン酸が構造(Ic)を有する、請求項14~16のいずれか一つに記載の組成物。
【化6】
【請求項18】
次のステップ:
i)約20℃から約100℃までである温度で、請求項1~17のいずれか一つに記載の組成物を加熱するステップ;
ii)フォトレジストフィルムでコーティングされた基材を、前記の加熱された組成物で約1分間~約60分間の時間、基材からフォトレジストフィルムが除去されるまで、処理するステップ;
iii)ステップii)の後、フォトレジストフィルムが除去された前記の基材を、イソプロピルアルコール、水、またはイソプロピルアルコールと水との混合物のいずれかで洗浄し、ステップii)からの残留組成物を除去して、クリーンな基材を生成するステップ;
iv)前記クリーンな基材を乾燥するステップ;
を含む方法。
【請求項19】
ステップi)において、前記組成物が約30℃から約65℃までに加熱される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップii)において、基材が金属である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
ステップii)において、基材が銅である、請求項18~20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
ステップii)において、基材が錫である、請求項18~20のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
ステップii)において、基材を約1分間から約20分間まで処理する、請求項18~22のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
ステップiii)において、洗浄を水で行う、請求項18~23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
レジストフィルムまたはレジストパターンを基材から除去するための、請求項1~17のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアルキルベンゼンスルホン酸、スルホサリチル酸、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4]からなる低pKaリムーバ液の組成物、並びにこれらの成分と界面活性剤とを含む組成物に関する。これらのリムーバ液は、粒状物の形成または堆積物の無い除去されたレジストパターンの完全な溶解を示す、基材からのフォトレジストフィルムのクリーンな除去を示す。更に、基材が銅または錫などの金属である場合には、パターン化レジストの除去は、金属製基材の少しの(すなわち、顕著ではない)腐食しか生じさせないかまたは腐食を生じさせない。
【0002】
本発明は、金属製基材の腐食を促進しないが、図らずしも、顕著な腐食を防止するために金属保護性のキレート化化合物または荷電錯化特性を持つ化合物もしくはポリマーの存在も必要としない発明的リムーバ組成物を用いて架橋ポリマーコーティングを除去する化学的ストリッパ組成物に関する。
【0003】
これらの発明的調合物によって除去される材料には、ポジトーン及びネガトーンの化学増幅(例えばエポキシ)及び酸触媒型の光画像形成可能なコーティングなどが挙げられる。微細電子コーティング用の多くの商品化されたストリッパは、最小の製造上の要件を満たすようには十分に機能しない。本発明は、銅または錫などの金属を含むデバイス上に通常観察される有害なエッチング及びダメージ効果は生じさせずに酸性媒体中で応答するが、同時に、除去/ストリッピングプロセス中に粒状物を有害に形成する虞がある金属キレート化化合物は含まない、架橋系のためのリムーバ製品を作り出すための商業的枠組みを提供する。
【0004】
他の場合には完全硬化(full-cure)と称されるハードベークまでの及びそれを含む様々な加工条件のために、該組成物は、化学増幅された反応した化合物を、銅または錫などの敏感な金属に対するダメージ効果無く、数分間内で、高められた温度下に慣用の浸漬条件を用いて除去及び溶解する。このような完全硬化コーティングは、US6,551,973(特許文献1)(2003年、Mooreら)に例示されるようなアルカリ性成分を通常含む慣用の有機ストリッパに対して耐性があることが確認されている。これらの慣用のストリッパを用いた場合、溶解は起こらない。その代わりに、これらの慣用のアルカリ性ストリッパは、リフティングまたは小片への解体という機序によってコーティングを除去することが観察される。このリフトオフ機序は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイスで通常見られるような複雑な三次元トポグラフィからの不完全な除去を招く。未溶解の材料は粒状物を生成し、これらは浴中を循環し、デバイスの他の領域上への未溶解小片の再堆積を引き起こす。これらの小さく、コンピュータ制御されたギア、センサ、スプリング、ポンプ及び関連するマイクロもしくはナノスケール装備品に起こるこのような汚染の結果、汚染とデバイスの故障が生じる。本発明の課題の一つは、所与のストリッピング及び除去期間の間に望ましくないポリマー材料の完全な溶解を達成することである。
【0005】
架橋されたコーティングを除去する幾つかの低pKシステムは、リフトオフではなく完全な溶解によってこれを為すが、これらの材料は金属腐食防止剤を含み、これは、除去プロセスの間のこれらの防止剤成分の析出の故に、粒状物の問題を図らずしも引き起こす。これらの腐食防止剤は、低pKリムーバにより、除去プロセスの間に金属製基材と錯化することによって金属製基材の腐食を防止するために加えられる金属錯化添加剤である。このような腐食防止剤の例は、エノール種の部分、例えばアルコール官能基に隣接する不飽和炭素鎖を含む小分子、オリゴマーまたはポリマーである。代表的なエノール型防止剤には、フマル酸、マレイン酸及びフタル酸などが挙げられる。防止剤のより具体的な例には、ロジン種のものなどが挙げられ;これらは例えばフマル酸化ロジンである。低pKリムーバ中の金属防止剤によって形成された粒状物は、デバイスの他の領域上に堆積し得、最終のデバイスの性能に悪影響を及ぼす。このような金属防止剤を含むこのような低pKリムーバシステムの非限定的な例は、WO2016/142507(特許文献2)に記載されている。
【0006】
これらの超小型回路または超小型デバイスの製造の間、様々な無機系基材、例えば単及び多結晶性ケイ素、ハイブリッド半導体、例えばヒ化ガリウム、及び金属を有機コーティング(「フォトレジスト」または「レジスト」)でコーティングし、この有機コーティングは、永続的なまたは一次的な設計の耐性フレームワークを形成し、そしてフォトリソグラフィプロセスを経た後にパターンを示す。このフォトレジストは、導体を絶縁するか、または基材表面、例えばケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウムの選択された領域を、湿式(化学的)及び乾式(プラズマ)形態両方での化学品の作用から保護するために利用し得る。材料がフォトレジストとして使用される場合は、基材の暴露された領域には、望ましいエッチング(除去)または堆積(付加)プロセスを行ってよい。この作業の完了後及びその後の洗浄またはコンディショニングの後は、レジスト及び任意のアプリケーションポストエッチング残渣を除去して、本質的な仕上げ作業を可能にする必要がある。フォトレジストを除去すると、特定の微細なエッチングまたは堆積パターンが後に残る。マスク化及びパターン化プロセスは、最終のデバイスの技術を含む層状配列を製造するために何度か繰り返される。最終形態のデバイスが比較的高い収率で製造されそして満足に機能することを保証するためには、各々のステップは完全なレジストストリッピング及び溶解を必要とする。活性領域中へのこのプロセスの間の粒状物の堆積は、デバイスの収率及び性能の両方に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US6,551,973
【特許文献2】WO2016/142507
【特許文献3】US6,576,394
【特許文献4】US7,601,482
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Diazonaphthoquinone-based Resists,Chapter 2,Basic Chemistry of DNQ/Novolak resists,SPIE Optional Engineering Press volume TT11,p.9,1993
【非特許文献2】H.Ito,Adv Polym Sci 2005 I72 p37
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題の一つは、異なるタイプのネガ型及びポジ型レジストシステムの両方から生じるものを始めとした広い範囲の異なるパターン化フォトレジストフィルムを除去する改善されたストリッピング用組成物を提供することである。これらの異なるタイプのうち、例としては、可視光線、ブロードバンドi線、g線、h線、UV、248nm、193nm、193nm液浸、ディープUV、EUV、電子またはe-ビームによって画像形成可能なレジストが挙げられる。どのタイプが使用されるかに依存して、これらの材料は、光活性化合物(例えばDNQ)、光酸発生剤(PAG)及び光ラジカル発生剤などの、粒状物を形成し易い添加剤を含み得る。その結果、本発明が、これらのタイプのレジストから形成されたパターンを除去して、粒状物を形成することなく、全ての成分、樹脂及び添加剤を数時間ではなく数分間で完全に除去できるようにすることも課題の一つである。金属腐食防止剤添加剤を使用せずに、下にある暴露された銅及び/または錫並びに他の金属への浸食なしに、基材からのこのようなフォトレジストの除去を行うことも課題の一つである。というのも、このような添加剤は、レジストパターンの除去の間に粒状物の形成も促進する傾向があり得るからである。また、作業者または環境に対して害を及ぼさない安全で規制対象外の化学品を使用することによってこのフォトレジストパターンの除去及び金属の保護を行い、かつ低い引火点の溶剤、特に沸点が約150℃未満の溶剤の使用を避けることが更なる課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明的リムーバ組成物は、リストオフしたレジストフィルムや、樹脂または添加剤のいずれかから生じる粒子を形成するとなく、多種多様なレジストから形成されたパターンからフォトレジストパターンを完全に溶解することによってこれらの利点を与えるものである。また同時に、予期できないことには、低pK成分、例えばDBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸)及び/または5-スルホサリチル酸を含む、溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4]中のこれらの発明的リムーバ組成物は、銅、錫などの金属製基材の腐食の抑制をするための(顕著な腐食が生じないようにするための)または腐食を起こさないようにするための防止剤添加剤の存在を必要としない。その結果、これらの発明的組成物を用いた場合は、除去プロセスの間に金属腐食防止剤の析出に伴う問題は存在しない。これらの発明的リムーバ組成物及びそれの使用方法が、半導体ウェハ、MEMSデバイス及びディスプレーの製造に特に有用であることが見出された。更に、これらの発明的リムーバ組成物は以下の利点を有する: (1)腐食防止剤が不要である;(2)フォトレジストフィルムを剥離するのではなく溶解する;(3)全ての成分が水溶性であり(従来技術で使用される殆どの腐食防止剤は水不溶性である)、それ故、水洗しか必要としない;(4)腐食防止剤を使用する時に形成される基材上の保護層がない;及び(5)環境に害のない溶剤が使用される。
【0011】
本発明は、その観点の一つでは、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4](III)から本質的になる組成物に関する。本発明は、その更なる観点の一つでは、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4](III)からなる組成物に関する。
【0012】
【化1】
他の観点の一つでは、本発明は、(I)、(II)、(III)、及び界面活性剤から本質的になる組成物に関する。更に別の観点の一つでは、本発明は、(I)、(II)、(III)、及び界面活性剤からなる組成物に関する。
【0013】
最後に、この発明は、前記の組成物を、基材からフォトレジストフィルムを除去するために使用することにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明に関してそれを限定するものではないと理解するべきである。本願において、他に具体的に記載がなければ、単数形の使用は複数を包含し、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分の両方を包含する。他に指示が無ければ、ここで使用する「及び」という接続詞は包括的であることを意図しており、「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0015】
(メタ)アクリレートという用語は、アクリレート及びメタクリレートの両方を一つの用語に統合する用語である。
【0016】
「ストリッパ」及び「リムーバ」という用語は同義語である。
【0017】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献引用及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0018】
重量%の表現で組成を言うときは、いずれの場合も、不純物などの非本質的な成分も含んだ全ての成分の重量%は合計して100重量%を超えることはないと理解される。全ての本質的成分の組成は、この組成が、幾らか少量の非本質的汚染物または不純物を含む場合には、合計して100重量%未満である場合もある。他の場合は、相当量の非本質的不純物成分が存在しない場合には、全ての本質的成分の組成は本質的に合計して100重量%となると理解される。
【0019】
該発明的組成物の幾つかの態様は、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びそれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)[CAS登録番号111109-77-4]から様々な濃度で本質的なり、ここで構造(I)及び(II)は、それぞれ、ここに記載の副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)及び(IId)を様々な濃度で含み;このような態様では、上記の成分の合計量は100重量%に等しくある必要はなく(例えば、これらの成分は、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量%を占めることができる)、及び該リムーバの性能に実質的な影響を及ぼさない他の成分を含むことができる。
【0020】
該発明的組成物の幾つかの態様は、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びそれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)[CAS登録番号111109-77-4]から様々な濃度で本質的なり、ここで構造(I)及び(II)は、それぞれ、副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)及び(IId)、及びここに記載の界面活性剤を様々な濃度で含み;この態様では、上記の成分の合計量は100重量%に等しくある必要はなく(例えば、これらの成分は、該組成物の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量%を占めることができる)、及び該リムーバの性能に実質的な影響を及ぼさない他の成分を含むことができる。これらの態様の一部では、界面活性剤が構造(VI)または(VIa)に相当する界面活性剤として定義される場合には、好ましくは、これらの構造とは異なる他の界面活性剤は該組成物中に存在しない。
【0021】
該リムーバの性能に作用しない材料、例えば非酸性不純物、フリーの水[構造(I)及び/または(II)及びそれらの対応する副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)及び(IId)の水和物を用いた場合に導入される水以外の水]は、「から本質的になる」という定義の元にこれらのレベルで存在でき、すなわち一つの態様では、約10重量%まで、好ましくは約5重量%まで、より好ましくは約1重量%まで、より好ましくは0.5重量%まで、最も好ましくは0.1重量%までのレベルで存在してよい。
【0022】
様々な材料が、リムーバとしての該組成物の効果を実質的に変化させる虞があり、ここに記載の該発明的組成物からは排除される。これらの排除される材料の例は、粒状物、顔料、染料、酸化防止剤、及びロジン種の防止剤;例えばフマル酸化ロジン、及びストリッピングの間に粒状物を形成し、基材上に堆積し得る他の材料である。また、レジストストリッピングに悪影響を及ぼし及び/または該発明的ストリッピング組成物の金属に対して腐食性に作用し得る任意の他のタイプの酸性材料も同様に排除される。例えば、構造(I)及び/または(II)[及び副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び/または(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)]を有する、ここに記載の該発明的組成物中に存在するもの以外のものであって、レジストストリッピングに影響を及ぼし得及び/または該発明的ストリッピング組成物の金属に対して腐食性に作用する他のタイプのスルホン酸;このような他のタイプのスルホン酸の非限定的な例は、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸)、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸(例えば、パーフルオロブタンスルホン酸)、部分フッ素化アルキルスルホン酸(例えば、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸)、他のアリールスルホン酸(置換されたもしくは置換されていない、例えばベンゼンスルホン酸、フルオロベンゼンスルホン酸、ジ-フルオロベンゼンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、アルキル基が8未満の炭素原子を有するアルキルベンゼンスルホン酸(例えば、トシル酸、4-エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸)、ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸類、及び類似物。また、スルファミン酸類、例えば非限定的な例としてのスルファミン酸、シクラミン酸、及びメチルスルファミン酸も排除される。また、強無機酸(pKが0未満)、例えば非限定的な例としてのフルオロスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸なども排除される。0超のpKを有する無機酸、フッ化水素酸、酸化状態が+1のPを含むリンオキソ酸(例えば、HPO(またはHPO(OH))、次亜リン酸またはホスフィン酸、一塩基酸];酸化状態が+3のPを含むリンオキソ酸[例えば、(HPO(またはHPO(OH))、亜リン酸またはホスホン酸、二塩基酸]、酸化状態が+5のPを含むリンオキソ酸(例えば、リン酸:HPO(またはPO(OH))、リン酸、三塩基酸リン酸)。また、カルボン酸類、例えば非限定的な例としては、ギ酸、アルキルカルボン酸(例えば、酢酸、プロパン酸及び類似物)、パーフルオロアルキルカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸及び類似物)、アリールカルボン酸(例えば、安息香酸及び類似物)、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、トルイル酸及び類似物)、アリールアルキレンカルボン酸(例えば、フェニル酢酸、フェニルプロパン酸及び類似物)、ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸及び類似物)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸及び類似物)も排除される。金属(例えば、銅及び/または錫、及び/または錫を含む基材に関して特に重視されるここに記載の他の金属製基材及びバイメタル基材)の腐食を促進する(本発明による溶剤成分(III)であるジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4]以外の)他の全ての溶剤も排除される。このような排除される溶剤の具体的で非限定的な例は、極性非プロトン性溶剤、ジアルキルスルホキシド、及び構造(Is)、(IIs)、(IIIs)、(IVs)、(Vs)、(VIs)、(VIIs)、(VIIIs)、(IXs)、(Xs)、(XIs)、及び(XIIs)を有する溶剤[式中、Rは、-(-O-CH-CH-)ns-OH、-OH、-O-C(=O)-CHからなる群から選択され、nsは1または2に等しく、Rs1はHまたはC1~C4アルキル部分であり、そしてRs2はC1~C18アルキルである]である。
【0023】
【化2】
「ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(VIs)(DPGME)」という用語の先に記載した該発明的組成物から排除される溶剤は、CAS#34590-94-8を有する異性体化合物の混合物である。この混合物は、(CHO)COC(OH)の一般式を有する。この混合物は、ジプロピレングリコールメチルエーテルという同義語も有する。ジプロピレングリコールモノメチルエーテルは、以下の異性体化合物を含む:以下の構造を有する1-(2-メトキシプロポキシ)-2-プロパノール(CAS13429-07-7)(VIsa);1-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-プロパノール(CAS20324-32-7)(VIsb)、2-(2-メトキシプロポキシ)-1-プロパノール(CAS13588-28-8)(VIsc);2-(2-(2-メトキシプロポキシ)-1-プロパノール(CAS55956-21-3)(VIsd)、及びこれらの光学的異性体;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのこれらの個々の溶剤成分(VIsa~VIsd)、及びそれらの光学的異性体も、該発明的組成物中の個々の成分としては排除される。
【0024】
【化3】
本発明の態様の一つによれば、「・・・から本質的になる」という記載は、「・・・からなる」に置き換えて、組成中の他の成分の存在を排除することができる。例えば、界面活性剤成分を含まないここに記載の該発明的組成物においては、様々な濃度の構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)[CAS登録番号111109-77-4](構造(I)及び(III)は、副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)をそれぞれ含む)の合計量;前記の成分の合計量は、おおよそ約100重量%に等しく、不純物の存在は許容する。同様に、界面活性剤成分を含むここに記載の該発明的組成物においては、様々な濃度の構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物(nは6~16の整数である)、溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)[CAS登録番号111109-77-4](構造(I)及び(II)は、副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)をそれぞれ含む)、及び界面活性剤の合計量;前記の成分の合計量は、おおよそ約100重量%に等しい必要があり、不純物の存在は許容する。
【0025】
本発明は、その観点の一つでは、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4](III)から本質的になる組成物に関する。本発明は、更なる観点の一つでは、構造(I)を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物、構造(II)を有するスルホサリチル酸またはそれの水和物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるスルホン酸(nは6~16の整数である)、及び溶剤としてのジプロピレングリコールジメチルエーテル[CAS登録番号111109-77-4](III)からなる組成物に関する。
【0026】
【化4】
本発明の観点の一つでは、本発明は、(I)、(II)、(III)、及び界面活性剤から本質的になる組成物に関する。更に別の観点の一つでは、本発明は、(I)、(II)、(III)、及び界面活性剤からなる組成物に関する。
【0027】
ここに記載の該発明的組成物の全ての態様において、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、番号(III)及び略称DPGDMEによって指定される溶剤は、CAS#111109-77-4を有する異性体化合物の複雑な混合物である。この混合物は、CHOCOCOCHの一般式を有する。この混合物は、同義の用語としてオキシビス[メトキシプロパン]、DMFG、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ProglydeTM、DMM、ProglymeTMを有する。この混合物は、以下の異性体化合物を含む:以下の一般構造式(IIIa、IIIb、IIIc)を有する2-メトキシ-1-(2-メトキシプロポキシ)プロパン(CAS#63019-84-1)(IIIa);2-メトキシ-1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)プロパン(CAS89399-28-0)(IIIb)、2-メトキシ-1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)プロパン(CAS#189354-80-1)(IIIc);これらは、これらの構造が光学的活性炭素を含むため、これらの炭素の光学的活性をもたらすエナンチオマーとジアステレオマーとの混合物でもある:
【0028】
【化5】
界面活性剤を含むここに記載の該発明的組成物の態様では、界面活性剤に関しては特に制限はなく、そしてそれの例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、デカエチレングリコールモノ-ドデシルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303及びEF352(ジェムコ社製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90及びR94(DIC社製)、Florad(登録商標)FC-430、FC-431、FC-4430及びFC-4432(住友スリーエム社製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol(登録商標)E1004、KH-10、KH-20、KH-30及びKH-40(AGC社製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092及びX-70-093(信越化学工業社製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflow(登録商標)No.75及びNo.95(共栄社化学社製)などが挙げられる。
【0029】
【化6】
前記の発明的組成物の他の態様の一つでは、前記界面活性剤は、該組成物の全重量の1重量%未満の量で存在する。他の態様の一つでは、界面活性剤は約0.1重量%未満の量で存在する。
【0030】
前記組成物のいずれにおいても他の態様の一つでは、界面活性剤は構造(VI)を有するポリマー型界面活性剤であり、ここでn’’’は、ポリマー中の繰り返し単位の数であり、そしてnaは、CHスペーサ部分の数であり、8~14の整数である。該組成物のこの観点の他の態様の一つでは、上記ポリマー型界面活性剤は構造(VIa)を有する。
【0031】
構造(VI)または(VIa)を有する界面活性剤を含む本発明の態様では、これらは、それぞれ、独立して約0.005重量%~約0.100重量%で該組成物中に存在し得る。他の態様の一つでは、約0.010重量%~約0.050重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.015重量%~約0.040重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.020重量%~約0.035重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.022重量%~約0.030重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.023重量%~約0.028重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.024重量%~約0.026重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.025重量%で存在し得る。
【0032】
前記組成物のいずれにおいても他の態様の一つでは、構造(I)のアルキルベンゼンスルホン酸において、nは8~16の整数である。この態様の他の観点の一つでは、nは8~14の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、nは8~10の整数である。更に別の態様の一つでは、nは6~10の整数である。
【0033】
前記の組成物の一つの態様では、前記スルホン酸成分は、構造(I)のアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物のみである。
【0034】
前記の組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(II)のスルホサリチル酸またはそれの水和物のみである。
【0035】
前記の組成物の他の態様の一つでは、前記スルホン酸成分は、構造(I)のアルキルベンゼンスルホン酸またはそれの水和物と、構造(II)のスルホサリチル酸またはそれの水和物との混合物である。
【0036】
成分の一つとして構造(I)のアルキルベンゼンスルホン酸(またはそれの水和物)を有するここに記載の該組成物の態様では、一つのより具体的な態様において、このスルホン酸は、より具体的な構造(Ia)を有するものである。
【0037】
【化7】
成分の一つとして構造(I)のアルキルベンゼンスルホン酸(またはそれの水和物)を有するここに記載の組成物の態様では、これらのより具体的な態様において、nは6~16の整数であり、そしてこの酸は、より具体的な構造(Ib)を有し、ここでnbは6~16の整数である。この態様のより具体的な観点の一つでは、nbは10~14の整数である。この態様の更に別の観点の一つでは、nbは8~10の整数である。この観点の更に別の態様の一つでは、これは、より具体的な構造(Ic)を有する。
【0038】
【化8】
成分の一つとして構造(I)のアルキルベンゼンスルホン酸(またはそれの水和物)を有するここに記載の該組成物の態様では、これらのより具体的な態様において、nは8~16の整数である。他の観点の一つでは、nは8~14の整数である。更に別の観点の一つでは、nは8~10の整数である。上記の範囲ではいずれの場合も、アルキルベンゼンスルホン酸は構造(Ia)を有するものであってよい。
【0039】
成分の一つとして構造(II)のスルホサリチル酸(またはそれの水和物)を有するここに記載の組成物の態様では、これらのより具体的な態様は、構造(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)を有するもの(またはそれの水和物)、及びこれらの混合物から選択される。
【0040】
【化9】
一部の態様では、構造(II)のスルホサリチル酸(またはそれの水和物)は、構造(IIa)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0041】
一部の態様では、構造(II)のスルホサリチル酸(またはそれの水和物)は、構造(IIb)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0042】
一部の態様では、構造(II)のスルホサリチル酸(またはそれの水和物)は、構造(IIc)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0043】
一部の態様では、構造(II)のスルホサリチル酸(またはそれの水和物)は、構造(IId)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0044】
この組成物の上記の観点ではいずれの場合も他の態様の一つでは、スルホン酸成分は、構造(I)を有するもの(またはそれの水和物)であり、及びこれは、溶液の全重量中で、約0.5重量%~約10重量%の範囲の重量%含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.75重量%~約7.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1.00重量%~約6.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約5.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約4.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.75重量%~約3.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.80重量%~約2.75重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.50重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.30重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.20重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%である。
【0045】
この組成物の上記の観点ではいずれの場合も他の態様の一つでは、スルホン酸成分は、構造(Ib)を有するもの(またはそれの水和物)であり、及びこれは、溶液の全重量中で、約0.5重量%~約10重量%の範囲の重量%含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.75重量%~約7.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1.00重量%~約6.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約5.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約4.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.75重量%~約3.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.80重量%~約2.75重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.50重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.30重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.20重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%である。この態様の他の観点の一つでは、アルキルベンゼンスルホン酸は、構造(Ic)を有するものであってよい。
【0046】
この組成物の上記の観点ではいずれの場合も他の態様の一つでは、該スルホン酸成分は、構造(II)を有するもの(またはそれの水和物)であり、及びこれは、溶液の全重量中で、約0.5重量%~約10重量%の範囲の重量%含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.75重量%~約7.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1.00重量%~約6.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約5.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約4.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.75重量%~約3.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.80重量%~約2.75重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.50重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.30重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.20重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%である。この態様の他の観点の一つでは、スルホン酸成分は、構造(IIa)を有するものである。
【0047】
この組成物の上記の観点ではいずれの場合も他の態様の一つでは、スルホン酸成分は、構造(I)及び(II)を有するもの(またはそれらの水和物)の混合物であり、及びこれは、溶液の全重量中で、約0.5重量%~約10重量%の範囲の重量%含有率を有する。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.75重量%~約7.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1.00重量%~約6.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約5.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.50重量%~約4.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.75重量%~約3.00重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.80重量%~約2.75重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.50重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.30重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約1.90重量%~約2.20重量%である。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%である。この態様の他の観点の一つでは、スルホン酸成分は、構造(Ib)及び(IIa)を有するもの(またはそれらの水和物)の混合物であり、nbは8~16の整数である。この態様の他の観点の一つでは、スルホン酸成分は、構造(Ib)及び(IIa)を有するもの(またはそれらの水和物)の混合物であり、nbは8~14の整数である。更に別の態様の一つでは、スルホン酸の前記混合物中の構造(Ib)を有するスルホン酸は、nbが8~10の整数であるものである。この態様の他の観点の一つでは、スルホン酸成分は、構造(Ic)及び(IIa)を有するもの(またはそれらの水和物)の混合物である。
【0048】
スルホン酸成分が構造(I)及び(II)を有するもの(またはそれらの水和物)の混合物であるか、またはより具体的な構造(Ib)及び(IIa)を有するこれらのスルホン酸の混合物であるこの組成物の前記態様のいずれにおいても、構造(I)(またはIc)を有するものと、構造II(またはIIa)を有するものとの重量比は約100:1~約1:1の範囲である。より具体的な例の一つでは、この比率は約10:1~約1:1の範囲である。更により具体的な例の一つでは、この比率は約5:1~約1:1の範囲である。
【0049】
この発明の他の態様の一つは、次のステップ:
i)前記の発明的組成物のいずれか一つを、約20℃~約100℃である温度で加熱して、加熱された組成物を形成するステップ;
ii)フォトレジストフィルムでコーティングされた基材を、前記の加熱された組成物で約1分間~約60分間の時間、基材からフォトレジストフィルムが除去されるまで、処理するステップ;
iii)ステップii)の後、フォトレジストフィルムが除去された前記の基材を、イソプロピルアルコール、水、またはイソプロピルアルコールと水との混合物のいずれかで洗浄し、ステップii)からの残留組成物を除去して、クリーンな基材を生成するステップ;
iv)前記クリーンな基材を乾燥するステップ;
を含む方法である。
【0050】
上記の発明的方法の一つの態様では、前記ステップii)において除去される前記フォトレジストフィルムの処理は、パターン化されたフォトレジストフィルム、パターンを含まない前面暴露されたフォトレジストフィルム、及び未暴露のフォトレジストフィルムからなる群から選択されるものである。一つの態様では、これはパターン化されたフォトレジストフィルムである。他の態様の一つでは、これは、未暴露のフォトレジストフィルムである。他の態様の一つでは、これは、全面暴露されたフォトレジストフィルムである。
【0051】
前記の発明的方法の一つの態様では、ステップii)において、前記処理は、それを前記加熱された発明的組成物中に浸漬するか、前記加熱された発明的組成物を噴霧するか、または前記加熱された組成物を、前記フォトレジストフィルム上にパドルすることによって行われる。この態様の一つの観点では、浸漬式が使用される。この態様の他の観点の一つでは、噴霧式が使用される。この態様の他の観点の一つでは、パドル式が使用される。
【0052】
前記の発明的方法の他の態様の一つでは、ステップi)において、組成物を約30℃~約65℃に加熱する。
【0053】
前記の発明的方法の他の態様の一つでは、ステップiv)において、前記のクリーンな基材は、それを空気中でスピン乾燥するか、窒素、空気または何か他の不活性ガスなどのガスの流れを使用するか、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥するか、またはマランゴニ乾燥することによって乾燥する。一つの観点では、前記の乾燥は、スピン乾燥によって行われる。他の観点の一つでは、前記乾燥は、ガス流を用いて行われる。他の観点の一つでは、前記の乾燥は、IPA乾燥によって行われる。更に別の観点の一つでは、前記の乾燥は、マランゴニ乾燥によって行われる。
【0054】
前記の発明的方法の一つの観点では、前記フォトレジストフィルムは、ネガ型フォトレジストフィルムである。
【0055】
前記の発明的方法の一つの観点では、前記フォトレジストフィルムは、ポジ型フォトレジストフィルムである。
【0056】
前記の発明的方法の一つの観点では、前記フォトレジストフィルムは、化学増幅型フォトレジストフィルムである。
【0057】
前記態様のいずれにおいても他の観点の一つでは、前記フォトレジストフィルムは、パターン化ネガ型フォトレジストフィルム、または全面暴露されたネガ型フォトレジストフィルムである。一つの観点では、これはパターン化されたネガ型フォトレジストフィルムである。他の観点の一つでは、これは、全面暴露されたネガ型フォトレジストフィルムである。これらの態様の一つの観点では、前記のネガ型フォトレジストは、化学増幅型フォトレジストである。
【0058】
ここに記載のパターン化フォトレジストフィルムは、暴露されそして水性塩基現像剤または溶剤系現像剤のいずれかを用いて現像されて前記パターンが形成されているフォトレジストフィルムのことであり、ここで、前記現像は、フィルムを形成するために使用したフォトレジストのタイプに依存して、暴露後ベークの後に行ってよい。
【0059】
全面暴露フォトレジストフィルムとは、放射線(i線、g線、UV、ディープUV、ブロードバンド、EUV、eビーム及び類似物)に暴露されているが、現像するとパターン化フォトレジストフィルムを生成するであろう暴露パターンを生成する暴露の際にマスクが使用されなかったフォトレジストフィルムを指す。
【0060】
前記の発明的方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、基材は金属である。この態様の一つの観点では、金属は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、銅、錫、チタン、タングステン及びニッケルから選択される。該方法のこの態様の他の観点の一つでは、金属は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、及び銅から選択される。前記の発明的方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、基材は銅である。前記の発明的方法の更に別の態様の一つでは、ステップii)において、基材は錫である。
【0061】
前記の発明的方法の更に別の態様の一つでは、ステップii)において、基材は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、錫及び銅から選択される二種の異なる金属から構成されるバイメタルパターンを含む基材である。一つの観点では、前記バイメタルパターンは、銅及び錫のものである。
【0062】
前記の発明的方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、基材は、約1分間から約20分間、処理される。この態様の他の観点の一つでは、ステップii)において、基材は、約5分間から約20分間、処理される。
【0063】
前記の発明的方法の他の態様の一つでは、ステップiii)において、洗浄は水を用いて行われる。
【0064】
該発明的リムーバ組成物は、次の通り、前記の発明的方法において、多くの異なるタイプのフォトレジストパターンからパターンを除去するために使用し得る。
【0065】
該発明的リムーバは、適用法、ICデバイス、ICデバイスインターコネクト、回路基板、はんだ基板適用、MEM、ディスプレーなどに依存して様々な厚さを有するパターン化レジストフィルムを除去するために使用し得る。典型的には、厚さは、従来技術のICでの約数10ナノメータから始まって、より大きなICデバイスでは数マイクロメータ範囲、MEMなどの非常に大きなデバイスでは10~500マイクロメータまでの製造されるデバイスのサイズに応じて決まる。
【0066】
本開示のリムーバは、様々なタイプの放射線を用いてパターンを形成し得るものから選択し得る、パターンを形成することができるネガ型及びポジ型フォトレジスト材料から生じたレジストパターンに使用することができる。例えば、非限定的な例としては、除去されるレジストパターンは、i線フォトレジスト、g線フォトレジスト、248nmフォトレジスト、193nmフォトレジスト、極端紫外線フォトレジスト、電子ビームフォトレジスト及びパーティクルビームフォトレジストから形成し得る。本開示のリムーバは、パターンを得るために使用されるケミストリーのタイプによって以下のように更に分類し得るフォトレジストから生じ得るフォトレジストパターンに使用することができる。
【0067】
例えば、本発明的組成物のリムーバは、ノボラック樹脂及びジアゾナフトキノン型(DNQ)感光剤材料をベースとするフォトレジストの可視光、i線、h線及びg線による露光及び水性塩基使用による現像の結果生じるポジ型パターンを除去するために使用でき、ここで、これらのタイプの樹脂系は、トーンリバースプロセスを介してネガ型画像も生成することもできる。ジアゾナフトキノンノボラックベースのレジストは、(Diazonaphthoquinone-based Resists,Chapter 2,Basic Chemistry of DNQ/Novolak resists,SPIE Optional Engineering Press volume TT11,p.9,1993(非特許文献1))に記載されている。この文献の内容は、全て本明細書中に掲載されたものとする。
【0068】
また、本発明的組成物のリムーバは、水性塩基または溶剤のいずれかで現像可能なネガ型またはポジ型フォトレジストの両方から生じるレジストフィルム及びパターンを除去するために使用することができる。
【0069】
また、本発明的組成物のリムーバは、化学増幅されかつ水性塩基現像可能なレジストを除去するために使用できる。典型的には、レジストパターンは、より高い解像度パターンを可能するために248nm、193nm、EUVで形成されるが、レジストパターンは、より長い波長、例えば可視光、ブロードバンドUV、i線、g線及びh線を用いて生成することもできる。
【0070】
本開示のリムーバは、ポジトーン化学増幅化型レジスト、すなわち、潜在的に水性塩基可溶性であり、水性塩基可溶化部分をマスクする酸開裂性基を脱保護することによって水性塩基可溶性にされる樹脂、例えば(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン系コポリマー、ノボラック、フェノール系樹脂から生じるレジストパターンを除去するために使用できる。塩基可溶化部分は、カルボン酸類、フェノール類、または典型的には11未満のpKaを有して、水性塩基が殆どそれらをイオン化する他の部分であり得る。酸は、光酸発生化合物によりフォトレジストフィルムの露光領域中に生成する。この酸は、アシドリシスまたはヒドロリシスのプロセスを介して酸開裂性基を脱保護して、フリー塩基可溶化部分を放出し、露光された領域においてフォトレジストフィルムが水性塩基可溶性となることを可能にする。
【0071】
本開示のリムーバは、本質的な水性塩基可溶性が保護基によってマスクされていないネガトーン化学増幅レジストから生じるレジストパターンを除去するために使用し得る。この方策ではむしろ、本質的に塩基可溶性の樹脂(バインダー樹脂)、例えば水性塩基可溶性の(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン系コポリマー、ノボラック及び類似物をベースとするものは、酸架橋性部分を介して光酸による触媒作用により架橋される。これらの部分は、バインダー樹脂自体に懸垂すること、架橋性添加剤(架橋剤)上に存在すること、または樹脂及び添加剤の両方上に存在することができる。露光された領域における酸触媒架橋は、PAGによって生成した光酸を介して影響されて、その結果、水性塩基現像の後にネガトーン画像となる。典型的には、架橋性添加剤が使用される場合は、これは、光酸と相互作用した時にカルボニウムイオンを形成することができる部分、例えばアミノプラストであるか、または酸架橋可能基を含む添加剤、例えばエポキシ化合物である。同様に、架橋性部分が樹脂上に存在する場合は、これは、酸とカルボニウムイオンを形成できる部分、または酸と架橋できる部分、例えばエポキシ部分のいずれかであることができる。以下の文献は、化学増幅型レジストの論評である:H.Ito,Adv Polym Sci 2005 I72 p37(非特許文献2)。
【0072】
本開示のリムーバは、ネガ型化学増幅レジストから生じ得るレジストパターンを除去するために使用でき、ここで、バインダー樹脂は、ノボラック、例えば、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類と縮合された、置換されたフェノール類、例えばオルト-クレゾール;メタ-クレゾール;パラ-クレゾール;2,4-キシレノール;2,5-キシレノール;3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、チモール及びこれらの混合物から誘導されるノボラックを含むことができる。他の方策では、バインダー樹脂は、ポリ(ビニルフェノール)、例えばポリ(パラ-ヒドロキシスチレン);ポリ(パラ-ヒドロキシ-アルファ-メチルスチレン);パラ-ヒドロキシスチレンまたはパラ-ヒドロキシ-アルファ-メチルスチレンとスチレン、アセトキシスチレンまたはアクリル酸及び/もしくはメタクリル酸とのコポリマー;ヒドロキシフェニルアルキルカルビノールホモポリマー;またはノボラック/ポリ(ビニルフェノール)コポリマーも含んでよい。このようなネガ型化学増幅レジストのための架橋性添加剤は、小化合物、有機オリゴマーまたはポリマー内に架橋性官能基を含むエーテル化されたアミノプラストであることができる。このようなアミノプラスとは、酸開裂時にカルボニウムイオンを供し、そして放射線、好ましくは画像形成性放射線によって生成された酸の存在下にバインダー樹脂を架橋するのに役立つ。この架橋は、バインダー樹脂を、露光された領域においてアルカリ性媒体中に不溶性のものとする。このような架橋剤は、複数のヒドロキシル、カルボキシル、アミドまたはイミド基を含む化合物または低分子量ポリマーと組み合わせて様々なアミノプラスから製造し得る。アミノオリゴマーまたはポリマーの一部の例は、アミン類、例えば尿素、メラミンまたはグリコールユリアとアルデヒド、例えばホルムアルデヒドと反応させることによって得られるアミノプラストである。適当なアミノプラストには、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド、及びグリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、及びこれらの任意のものの組み合わせなどが含まれ得る。一部の用途では、アミノプラストはヘキサ(メトキシメチル)メラミンオリゴマーである。このような材料の非限定的な例は、US6,576,394(特許文献3)に記載されている。
【0073】
本開示のリムーバは、光酸発生剤の代わりに光ラジカル発生剤によって開始された架橋をベースとするネガ型架橋性レジストから生じ得る、前記の該発明的低pKリムーバ組成物及び方法で使用するためのネガ型レジストパターンに使用することができる。この例では、化学増幅型ネガ型フォトレジストについて上述したものと同じタイプのバインダー樹脂を使用し得る。しかし、この例では、ラジカル架橋に簡単に影響を受ける少なくとも二つのオレフィン性部分を含む架橋性添加剤が存在する。このような部分の例は、ビニルアリール部分、例えばスチレン類、及びアクリレートまたはメタクリレート部分である。これらのラジカル架橋性添加剤の非限定的なより具体的な例は、目的に応じて、アクリル酸誘導体、例えばアクリル酸エステル、及びメタクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸エステルから適切に選択することができる。これらは、低分子量(モノマーの性質)または高分子量(オリゴマーもしくはポリマーの性質)を有することができる。この例では、添加剤は、複数のラジカル架橋可能な部分を含む小分子、オリゴマーまたはポリマーであることができる。これらのラジカル架橋性添加剤の一部は、酸開裂可能な構造をそれらの内に有し得る。このような構造は、パターン化されたフィルムの更なる加工の時に、例えば基材にパターン転写した後にレジストのストリッピングを容易にするのに使用し得る。このような酸開裂性基の例は、有利な水は使用せずにアシドリシス開裂しやすい第三級エーテル、第三級カルボキシレート及び類似物、または代替的に、レジストフィルム中で光酸有利水で完全なヒドロリシス開裂を容易に受け得る酸開裂性部分、例えばアセタール、ケタール及びアルキルシリルエーテルである。このような材料の非限定的な例は、US7,601,482(特許文献4)に記載されている。
【実施例
【0074】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様をサポートする実験結果について説明する。しかし、以下の開示は、例示のみを目的としたものであり、それ故、請求項に記載の発明の範囲を如何様にも限定することを意図したものではない点を指摘しておく。
【0075】
化学品
DBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸;CAS:68584-22-5)は、Stepan社(22 West Frontage Rd.,Northfield,IL 60093)から得た。他の全ての化学品は、Sigma Aldrich社(3050 Spruce St.,St.Louis,MO 63103)から購入した。
【0076】
加工
150nmの銅スパッタコーティングを有するケイ素200mm(8’’)ウェハを、銅腐食試験に使用した。銅コートケイ素ウェハクーポンを、予熱したフォトレジストリムーバ溶液中に、フォトレジストをストリッピングするのに十分以上の期間、浸漬した。腐食の兆候としての表面曇りの存在の目視及び顕微鏡検査によって金属表面の状態を調査するために標準的な検査を行った。表面曇りは、重量分析よりもより高いレベルの感度で確認、確定できる(<10Å/分)。
【0077】
錫腐食試験のためには、銅腐食試験と類似の手順を使用したが、但し、上面に錫の5000Å層を有する500Åのチタンで覆われた1000Å熱酸化物層を有するケイ素ウェハを使用した。
【0078】
フォトレジストストリッピング試験では、他に記載がなければ、150nmの銅をスパッタリングにより施したケイ素ウェハを基材として使用し、このウェハ上に、化学増幅ネガ型フォトレジストAZ(登録商標)-15nXT(EMD Performance Materials,Branchburg,NJ08876の製品)を塗布及び加工した。加工は、12μm厚へのレジストのスピンコート、及び110℃下、180秒間のホットプレート上でのソフトベークの適用からなるものであった。次いで、このレジストは、コンタクトホールパターン化マスクを通して900mJ/cmの光に露光した。レジストを現像する前に、120℃、60秒間でホットプレート上でポスト露光ベークを完了した。現像は、それぞれ後で脱イオン水(DI水)ですすいで60秒間の二回のパドル現像でAZ(登録商標)300MIF現像剤を使用した。
【0079】
銅腐食及びフォトレジストストリッピング試験1
2重量%のDBSAをジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS#111109-77-4)中に溶解することによってフォトレジストリムーバ溶液を調製した。この溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた150mLビーカー中で、ホットプレートで60℃に加熱した。銅ウェハクーポンをこの加熱された溶液中に30分間浸漬した。この銅表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままだった。
【0080】
光画像形成したAZ(登録商標)-15nXTフォトレジストパターンを除去するために同じ組成物、温度及びセットアップを使用した。架橋されたフォトレジストパターンは5分間内で溶解した。更に、DI水で1分間すすぎそして窒素ガンを用いて風乾した後に基材には粒状物はなかった。
【0081】
銅腐食及びフォトレジストストリッピング試験2
1重量%のDBSA及び1重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS:111109-77-4)中に溶解することによって、フォトレジストリムーバ溶液を調製した。この溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた150mLビーカー中で、ホットプレートで65℃に加熱した。銅ウェハクーポンをこの加熱された溶液中に30分間浸漬した。この銅表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままだった。
【0082】
光画像形成したAZ(登録商標)-15nXTフォトレジストパターンを除去するために同じ組成物、温度及びセットアップを使用した。架橋されたフォトレジストパターンは5分間内で溶解した。更に、DI水で1分間すすぎそして窒素ガンを用いて風乾した後に基材には粒状物はなかった。
【0083】
銅腐食及びフォトレジストストリッピング試験3
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS:111109-77-4)中に溶解することによって、フォトレジストリムーバ溶液を調製した。この溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた150mLビーカー中で、ホットプレートで60℃に加熱した。銅ウェハクーポンをこの加熱された溶液中に30分間浸漬した。この銅表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままだった。
【0084】
光画像形成したAZ(登録商標)-15nXTフォトレジストパターンを除去するために同じ組成物、温度及びセットアップを使用した。架橋されたフォトレジストパターンは5分間内で溶解した。更に、DI水で1分間すすぎそして窒素ガンを用いて風乾した後に基材には粒状物はなかった。
【0085】
錫腐食及びフォトレジストストリッピング試験1
2重量%のDBSAをジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS#111109-77-4)中に溶解することによってフォトレジストリムーバ溶液を調製した。この溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた150mLビーカー中で、ホットプレートで60℃に加熱した。錫ウェハクーポンをこの加熱された溶液中に30分間浸漬した。錫表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままだった。
【0086】
光画像形成したAZ(登録商標)-15nXTフォトレジストパターンを除去するために同じ組成物、温度及びセットアップを使用した。架橋されたフォトレジストパターンは5分間内で溶解した。更に、DI水で1分間すすぎそして窒素ガンを用いて風乾した後に基材には粒状物はなかった。
【0087】
上記の試験は、強ベンゼンスルホン酸が、選択された溶剤中で調合された場合には、腐食防止剤無しでも銅または錫を腐食しないこと、及び該組成物が、化学増幅型ネガ型フォトレジストのストリッピングに効果的であることを実証している。以下の比較例は、このような酸が、異なる溶剤中に調合された場合には、銅または錫を腐食することを示す。
【0088】
比較銅腐食試験1
2重量%のDBSAをジプロピレングリコールモノメチルエーテル(CAS:34590-94-8)中に溶解することによってフォトレジストリムーバ溶液を調製した。この溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた150mLビーカー中で、ホットプレートで60℃に加熱した。この銅ウェハクーポンをこの加熱された溶液中に浸漬した。5分後に、ケイ素ウェハ上のこの銅層は曇り、これは腐食を示す。
【0089】
比較錫腐食試験1
2重量%のDBSAをテトラグリコール(CAS#31692-85-0)中に溶解することによってフォトレジストリムーバ組成物を調製した。この溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた150mLビーカー中で、ホットプレートで60℃に加熱した。上面に錫の5000Å層を有する500Åのチタンで覆われた1000Å熱酸化物層を有するケイ素ウェハからクーポンを作製した。このクーポンを前記の加熱された溶液中に30分間浸漬した。錫表面は、ケミストリーの高いエッチング速度の故に、目視検査ではもはや元の完全な状態ではなかった。
【0090】
追加金属エッチング速度試験1
2重量%のDBSAをジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS:111109-77-4)中に溶解することによってフォトレジストリムーバ溶液を調製した。ホットプレートを用いて、100mLの上記溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた250mLビーカー中で60℃に加熱した。様々な金属のブランケット層を備えたウェハクーポンを、上記溶液中に30分間及び60分間浸漬した。金属層の膜厚は、Jandel4点プローブを用いて測定した。膜厚を、0(浸漬前)、30分及び60分の時間で測定した。膜厚対時間でプロットを作成した。データに線形回帰を作成した。線形回帰の傾きは、以下の表に示す通り、測定されたエッチング速度値である。結果は、このフォトレジストリムーバ組成物が、銅及び錫上で低いエッチングを有することを示した。
【0091】
【表1】
【0092】
追加金属エッチング速度試験2
1重量%のDBSA及び1重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をジプロピレングリコールジメチルエーテル(CAS:111109-77-4)中に溶解することによって、フォトレジストリムーバ溶液を調製した。ホットプレートを用いて、100mLの上記溶液を、磁気スターラーバー(300rpm)を備えた250mLビーカー中で60℃に加熱した。様々な金属のブランケット層を備えたウェハクーポンを、上記溶液中に30分間及び60分間浸漬した。金属層の膜厚は、Jandel4点プローブを用いて測定した。膜厚を、0(浸漬前)、30分及び60分の時間で測定した。膜厚対時間でプロットを作成した。データに線形回帰を作成した。線形回帰の傾きは、以下の表に示す通り、測定されたエッチング速度値である。結果は、このフォトレジストリムーバ組成物が、銅及び錫上で低いエッチングを有することを示した。
【0093】
【表2】
【0094】
上記の試験は、強ベンゼンスルホン酸が、選択された溶剤中で調合された場合には、腐食防止剤無しでも銅または錫を腐食しないこと、及び該組成物が、化学増幅型ネガ型フォトレジストのストリッピングに効果的であることを実証している。上記の比較例は、ドデシルベンゼンスルホン酸、5-スルホサリチル酸またはこれらの混合物を、ジプロピレングリコールジメチルエーテル以外の溶剤中に含むリムーバ調合物は、銅または錫またはこれらの両者を腐食することを示した。予期できないことに、ドデシルベンゼンスルホン酸、5-スルホサリチル酸またはこれらの混合物をジプロピレングリコールジメチルエーテル中に含むリムーバ調合物は、銅または錫を含む基材上のフォトレジストコーティングを、レジストリフトオフの形成や、この基材中の銅または錫の腐食を起こすことなく、効果的に綺麗に除去する。
【国際調査報告】