(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド及び誘導体、並びにそれらの香料としての使用
(51)【国際特許分類】
C07C 47/225 20060101AFI20220907BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20220907BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220907BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20220907BHJP
C07C 43/303 20060101ALI20220907BHJP
C07C 33/14 20060101ALI20220907BHJP
C07C 43/162 20060101ALI20220907BHJP
C07C 69/145 20060101ALI20220907BHJP
C07C 43/188 20060101ALI20220907BHJP
C07C 35/18 20060101ALI20220907BHJP
C07C 29/143 20060101ALI20220907BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20220907BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220907BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20220907BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20220907BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220907BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20220907BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220907BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220907BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20220907BHJP
C07C 45/51 20060101ALN20220907BHJP
【FI】
C07C47/225 CSP
C11B9/00 M
C11B9/00 T
C11B9/00 G
C11B9/00 D
C11D3/50
C11D3/43
C07C43/303
C07C33/14
C07C43/162
C07C69/145
C07C43/188
C07C35/18
C07C29/143
A61Q13/00 101
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/33
A61K8/37
A61K47/08
A61K47/10
A61K47/14
A23L27/20 E
C07C45/51
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500654
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2020069251
(87)【国際公開番号】W WO2021005109
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインガルテン,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲル,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイラント,ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
【テーマコード(参考)】
4B047
4C076
4C083
4H003
4H006
4H059
【Fターム(参考)】
4B047LB08
4B047LB09
4B047LE02
4B047LF10
4B047LG05
4B047LP16
4C076CC50
4C076DD37E
4C076DD37T
4C076DD38E
4C076DD39E
4C076DD39T
4C076DD40T
4C076DD45E
4C076DD45T
4C076DD47E
4C076FF52
4C083AC081
4C083AC082
4C083AC101
4C083AC121
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC341
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4C083AC351
4C083AC371
4C083AD041
4C083BB01
4C083BB11
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC23
4C083CC41
4C083KK02
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003FA26
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB14
4H006AC41
4H006AC45
4H006BE22
4H006BJ20
4H006FC52
4H006FE11
4H006FE12
4H006GP01
4H006GP02
4H006KA14
4H006KC12
4H059BA14
4H059BA15
4H059BA23
4H059BA35
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
本発明は、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド及びその誘導体、前記化合物を調製する方法、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体、又は前記化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用;2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用;2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体、又は前記化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含有する組成物;並びにフレグランス組成物を調製する、又はフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体、又は前記化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
(式中、Xは、式X
1からX
4
【化2】
の基を表し、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表し、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、メチル及びエチルから選択され、
R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択される)
の化合物、その混合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
【請求項2】
式(I)の化合物が、以下の特徴a)からc)
a)R
1が、水素又はメチルであること、
b)R
2及びR
3が互いに独立して、メチル又はエチルであること、
c)Xが、X
1、X
2又はX
3基、特にX
1基を表すこと
の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、X
1、X
2又はX
3基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
X
2において、R
1が、水素、メチル又はエチルであり、X
3において、R
2が、メチル又はエチル、特にメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
一般式(II)
【化3】
(式中、R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5である)
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
【請求項6】
一般式(II-R)又は(II-S)
【化4】
(式中、R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクが、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5である)
の化合物である、請求項5に記載の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
【請求項7】
R
4が、C
2~C
4-アルキル、好ましくはエチル又はイソブチル、特にエチルである、請求項5又は6に記載の化合物。
【請求項8】
一般式(III)
【化5】
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
【請求項9】
一般式(III-R)又は(III-S)
【化6】
の化合物である、請求項8に記載の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物。
【請求項10】
請求項5から7に記載の一般式(II)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、
請求項8又は9に記載の一般式(III)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び
請求項1から4に記載の一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物から選択される2種又は3種の化合物を含む化合物の混合物。
【請求項11】
化合物又は化合物の混合物の合計重量に対して、多くとも1重量%の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、及び多くとも1重量%の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項10に記載の化合物の混合物。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物、又は一般式(I)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって、
(i)2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)
【化7】
を得る工程、
(ii)工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【化8】
(式中、R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、R
4は、特にC
2~C
4-アルキルである)のビニルエーテルと、1種又は1種超の触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)
の化合物を得る工程、
及び任意選択で以下の工程の1つ又は2つ
(iii)工程(ii)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
2基を表し、R
1は水素である)の化合物を得る工程、
(iv.a)工程(iii)で得られた化合物を、エーテル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
2基を表し、R
1は、メチル又はエチルである)
の化合物を得る工程、
又は
(iv.b)工程(iii)で得られた化合物を、エステル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
3基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iv.c)工程(iii)で得られた化合物を、カーボネート(R
3-O)
2-(C=O)(式中、R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、R
3の少なくとも1つは水素とは異なる)と、触媒の存在下で、若しくは、試薬R
3-O-C=O-Y
1(式中、R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、Y
1は、-O-(tert.-ブトキシカルボニル)及びClから選択される脱離基を表す)と、触媒若しくは塩基の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX
4基を表す)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項13】
工程(iv.a)において、工程(iii)で得られた化合物を、式R
1a-Yの化合物、ジメチルスルフェート及びジエチルスルフェートから選択されるアルキル化試薬と、塩基の存在下で反応させ、R
1aが、メチル又はエチルであり、Yが、ハロゲン、例えばCl、Br又はI、及びスルホネート、例えばトシレート、メシレート、トリフレート若しくはノナフレートから選択される脱離基を表し、工程(iv.b)において、工程(iii)で得られた化合物を、C
1~C
3-カルボン酸、又はC
2~C
3-カルボン酸の無水物、又はC
2~C
3-カルボン酸ハロゲン化物、好ましくはC
2~C
3-カルボン酸塩化物と反応させ、カルボン酸又は無水物が使用される場合では、反応が、好ましくは、エステル化触媒の存在下で実行され、カルボン酸ハロゲン化物が使用される場合、反応が、好ましくは、塩基の存在下で実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)が、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)
【化9】
をカルボニル基のヒドロキシル基への選択的還元反応に供することにより得られる、請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(ii)が、以下の工程
(ii.a)工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【化10】
(式中、
R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、R
4は、特にC
2~C
4-アルキルである)
のビニルエーテルと、触媒の存在下で反応させて、請求項5に記載の一般式(II)の第1の中間体化合物を得る工程、
(ii.b)工程(ii.a)で得られた中間体化合物(II)を、少なくとも150℃の温度にて、及び/又は触媒の存在下でさらに反応させて、請求項8に記載の一般式(III)の第2の中間体化合物を得る工程、
(ii.c)工程(ii.b)で得られた中間体化合物(III)を、少なくとも150℃の温度にて、及び/又は触媒の存在下でさらに反応させて、一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料として、特にフレグランスとしての使用。
【請求項17】
式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、請求項16に記載の使用であって、化合物(I)において、XがX
1、X
2又はX
3であり、X
3において、R
2が、特にメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R
4がC
2~C
4-アルキルである、使用。
【請求項18】
式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、その立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、請求項17に記載の使用であって、化合物(I)において、Xが、X
1、X
2又はX
3であり、X
3において、R
2が、特にメチル又はエチル、具体的にはメチルであり、化合物(II)において、R
4が、C
2~C
4-アルキル、具体的にはエチルである、使用。
【請求項19】
請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用であって、好ましくは、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が使用され、化合物(I)において、Xが、X
1、X
2又はX
3であり、X
3において、R
2が、特にメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R
4が、C
2~C
4-アルキルであり、
特に式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が使用され、化合物(I)において、Xが、X
1、X
2又はX
3であり、X
3において、R
2が、特にメチル又はエチル、具体的にはメチルであり、化合物(II)において、R
4が、C
2~C
4-アルキル、具体的にはエチルである、使用。
【請求項20】
- 請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物。
【請求項21】
- 式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含み、化合物(I)において、Xが、X
1、X
2又はX
3であり、X
3において、R
2が、特にメチル又はエチル、具体的にはメチルであり、化合物(II)において、R
4が、C
2~C
4-アルキル、具体的にはエチルであり、
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
- 式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含み、化合物(I)において、Xが、X
1、X
2又はX
3であり、X
3において、R
2が、特にメチル又はエチル、具体的にはメチルであり、化合物(II)において、R
4が、C
2~C
4-アルキル、具体的にはエチルであり、
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分
を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
非香料キャリアが、界面活性剤、油成分及び溶媒からなる群から選択され、溶媒が、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート(DEP)、イソプロピルミリステート(IPM)、トリエチルシトレート(TEC)及びベンジルベンゾエートから選択される、請求項20から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物からなる群から選択される、請求項20から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
フレグランス組成物を調製する方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド及びその誘導体、前記化合物を調製する方法、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体、又は前記化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料として、特にフレグランスとしての使用;2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体の、フレグランス組成物の香り特性を変更する使用;2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体、又は前記化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含有する組成物;並びにフレグランス組成物を調製する、又はフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、又はその具体的な誘導体、又は前記化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料、特にフレグランスは、特に化粧品並びに洗浄及び洗濯用組成物の分野において、強い関心が持たれている。天然由来のフレグランスは大抵高価であり、多くの場合その利用可能な量が制限されており、環境条件が変動することによって、その含有量、純度等が変動することもある。したがって、これらの望ましくない要素を回避するために、より高価で天然のフレグランスに似ている官能的特性を有するか、又は新規で興味深い官能的プロファイルを有する合成物質を作成することに強い関心が持たれている。
【0003】
多数の既存の合成香料(フレグランス及び香味料)にもかかわらず、極めて多様な領域の用途に望ましい多数の特性を満たすことを可能とするために、新規な成分に対する一定の必要性が存在する。これらは第1に、官能的特性を含み、すなわち、化合物は、都合のよい、芳香を放つ(嗅覚)特性又は味覚特性を有するべきである。さらに、香料はまた、追加の有益な二次特性、例えば、効率的な調製方法、他のフレグランスとの相乗効果の結果としてよりよい感覚プロファイルをもたらす可能性、特定の適用条件下でのより高い安定性、より高い拡張性、よりよい持続性等を有するべきである。
【0004】
しかしながら、化学構造の少しの変化でさえ、感覚特性、例えば匂い及びさらに味の大きな変化をもたらすので、特定の感覚特性、例えば特定の匂いを有する物質を対象とした探索は、極めて困難である。したがって、新規なフレグランス及び香味料の探索は、ほとんどの場合、所望の匂い及び/又は味を有する物質が実際に発見すらされるかどうかが分からず、困難且つ労力を要する。
【0005】
Ohtsukaら、Chem. Pharm Bull.(1991年)、39(10)、2540~2544頁は、2-[(1R,5S)-2,5,6,6-テトラメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド及び2-[(1S,5R)-2,5,6,6-テトラメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒドの調製について記載している。Ohtsukaらはさらに、これらの化合物が、特徴的な芳香を有すると言及している。
【0006】
Maurerら、Helv. Chim. Acta(1989年)、72(6)、1400~1415頁は、2-[(1R,5S)-2,5,6,6-テトラメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒドの単離及び嗅覚特性について記載している。
【0007】
Monnier-Benoitら、Comptes Rendus Chimie(2007年)、10(23)、259~267頁は、2-(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)アセトアルデヒドの調製及び嗅覚特性について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新規な香料を提供することであった。より具体的には、本発明の目的は、不快な匂いのする2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンから、感じのよい官能的特性を有する新規な香料を調製することであった。さらに、芳香組成物として使用できる、匂いの強い物質が求められている。その上、これらの物質は、他の香料と組み合わせることができ、新規な都合のよい感覚プロファイルを作ることを可能とするべきである。加えて、これらの新規な香料を調製する方法は、容易且つ効率的にして、速く経済的で環境に配慮した製造を可能とするべきである。
【0009】
これらの及びさらなる目的は、以下に示されている式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物、又はそれらの混合物、又はそれらの立体異性体により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般式(I)
【0011】
【0012】
【化2】
の基を表し、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表し、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、メチル及びエチルから選択され、
R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択される)
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、又は異なる化合物(I)の混合物に関する。
【0013】
本発明の別の態様は、一般式(II)
【0014】
【化3】
(式中、
R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5である)
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、一般式(III)
【0016】
【化4】
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、一般式(I)の化合物、又は一般式(I)の2種以上の異なる化合物の混合物、又は化合物(I)の立体異性体、又は化合物(I)の2種以上の立体異性体の混合物、又は2種以上の異なる化合物(I)の2種以上の立体異性体の混合物を調製する方法であって、
(i)2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)
【0018】
【化5】
を得る工程、
(ii)工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【0019】
【化6】
(式中、
R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5である)
のビニルエーテルと、1種又は1種超の触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XがX
1基を表す)の化合物を得る工程、
及び任意選択で以下の工程の1つ又は2つ:
(iii)工程(ii)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
2基を表し、R
1は水素である)の化合物を得る工程、
(iv.a)工程(iii)で得られた化合物を、エーテル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
2基を表し、R
1は、メチル又はエチルである)の化合物を得る工程、
又は
(iv.b)工程(iii)で得られた化合物を、エステル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
3基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iv.c)工程(iii)で得られた化合物を、カーボネート(R
3-O)
2-(C=O)(式中、R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、R
3の少なくとも1つは、水素とは異なる)と、触媒の存在下で、若しくは、試薬R
3-O-C=O-Y
1(式中、R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、Y
1は、-O-(tert.-ブトキシカルボニル)及びClから選択される脱離基を表す)と、触媒若しくは塩基の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX
4基を表す)の化合物を得る工程を含む方法に関する。
【0020】
本発明の別の態様は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び/若しくは(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用に関する。
【0021】
本発明の別の態様は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び/若しくは(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用に関する。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び/若しくは(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物に関する。
【0023】
本発明は、フレグランス組成物、特にすぐに使用できるフレグランス組成物を調製する、又はフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び/若しくは(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物、特にすぐに使用できる組成物に組み込む工程を含む、方法にも関する。
【0024】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物、並びに一般式(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、その立体異性体、並びにその立体異性体の混合物は、有利な官能的特性、特に感じのよい匂いを持つ。したがって、これらは、例えば芳香組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物に香料として有利に使用することができる。
【0025】
その物理的特性により、式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物、並びに一般式(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、その立体異性体、並びにその立体異性体の混合物は、香料、及び組成物、例えば特にフレグランス組成物における他の通例の成分に対して、またそれらにおいて特に良好な、事実上万能溶媒の特性を有する。したがって、式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物、並びに一般式(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、その立体異性体、並びにその立体異性体の混合物は、有利に香料と組み合わせることができ、特に、新規な都合のよい感覚プロファイルを有するアロマ組成物、特にフレグランス組成物の生成が可能となる。
【0026】
さらに、式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物、並びに一般式(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、その立体異性体、並びにその立体異性体の混合物は、容易に利用可能な、不快な匂いのする2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンから開始する単純且つ経済的な合成によって、よい収率及び純度で生成できる。したがって、式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物、並びに一般式(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)の2種以上の異なる化合物の混合物、その立体異性体、並びにその立体異性体の混合物は、大規模、単純且つコスト効率のよい様式で生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本発明の文脈において、本明細書で使用する場合の「C2~C4-アルキル」という用語は、2~4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状飽和脂肪族炭化水素基を指す。C2~C4-アルキルは、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソブチル)又は1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)である。
【0028】
本発明の文脈において,本明細書で使用する場合の「C2~C4-アルキレン」という用語は、2~4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状二価アルカンジイル基を指す。C2~C2-アルキレンは、例えば1,2-エチレン、1,1-エチレン、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、1,4-ブチレン、1,3-ブチレン、1,2-ブチレン又は2,3-ブチレンである。
【0029】
出発材料の異性体純度及び製造する方法、例えば適用される反応条件及び適用される後処理/精製手順に応じて、式(I)の化合物は、純粋な立体異性体の形態で、又は立体異性体混合物の形態で存在し得る。
【0030】
したがって、本発明は、一般式(I)の化合物の単一の純粋な立体異性体、並びに2種以上のその立体異性体の混合物に関する。
【0031】
「立体異性体」という用語は、光学異性体、例えば鏡像異性体又はジアステレオマーを包含し、後者は、分子における1個超の立体中心により存在する。式(I)の化合物は、3つの立体中心、すなわちシクロヘキセン環の1-、4-及び5-位における炭素原子(1-位は、CH2-X基が結合しているものである)を有する。本発明は、化合物(I)の純粋鏡像異性体又はジアステレオマー、及びその混合物、並びに化合物(I)の純粋鏡像異性体、若しくは純粋ジアステレオマー、又はその混合物の本発明による使用の両方を提供する。
【0032】
本発明の観点から、「純粋鏡像異性体」という用語は、望ましい鏡像異性体が、鏡像異性体過剰率>90%eeで存在する、具体的な化合物の非ラセミ混合物として理解されなければならない。
【0033】
本発明の観点から、「純粋ジアステレオマー」という用語は、具体的な化合物のジアステレオマーの混合物であって、望ましいジアステレオマーが、前記化合物のジアステレオマーの合計量に対して>90%の量で存在する混合物として理解されなければならない。
【0034】
この文脈では、「化合物(I)」又は「式(I)の化合物」という用語は、具体的な立体異性体又は具体的な立体異性体の混合物と定義されない場合、その生成物に使用される非立体選択的方法で得られたままの化合物の形態を指す。この用語は、しかしながら、化合物(I)の立体化学をより詳細に特定することが必須ではない、又はそれが不可能である場合にも使用される。同じことが、具体的な立体異性体又は具体的な立体異性体の混合物と定義されない場合、化合物(II)、(III)及び(IV)に当てはまる。
【0035】
以下で、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物が具体的な定義された化合物(また、異なる化合物の混合物ではない)と定義される場合、これは、化合物が、具体的な定義された化合物、及び任意選択で存在する他の化合物(複数可)(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)の全重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、特に好ましくは1重量%未満の他の化合物(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)を含有することを意味する。
【0036】
異なる化合物(I)を含有する混合物において、これらは、X基の定義が異なり得る。Xが、X2、X3又はX4である場合、異なる化合物(I)ではさらに、又はその代わりに、R1、R2及び/又はR3の意味が異なり得る。好ましくは、混合物における化合物は、Xの定義のみが異なり、又は、XがX2である場合では、その代わりに若しくはさらに、R1の定義のみが異なる。XがX2、R1がHではない、X3又はX4である化合物(I)が、XがX2であり、R1がHである化合物(I)から調製されることによる調製方法のため、そのような化合物は、反応が完全ではない場合、及び/又は単離/精製工程が実行されない、若しくは十分な規模まで実行されない場合、XがX2であり、R1がHである化合物(I)を含有し得る。そのような混合物では、XがX2であり、R1がHである化合物(I)は、一般的に、混合物に存在するすべての化合物(I)の合計重量に対して、少ない量、例えば多くとも10重量%、好ましくは多くとも5重量%、特に多くとも2重量%でのみ含有される。
【0037】
異なる化合物(II)を含有する混合物において、これらは、R4基の定義が異なる。
【0038】
2種以上の化合物(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)を含有する混合物において、これらは、様々な化合物(I)、様々な化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群から選択される2種以上の異なる化合物を含有する。
【0039】
実施形態
可変要素の好ましい定義に関わる、以下で述べられている言及は、さらにそれ自体正当であり、好ましくは、本明細書で定義されている式(I)、(II)、(III)及び(IV)の化合物に関連して、また、適用可能な場合は、本明細書で定義されている組成物に関連して、互いに組み合わせられる。
【0040】
好ましくは、Xは、X1、X2又はX3基、より好ましくはX1又はX2基を表す。
【0041】
特に、XはX1基を表す。
【0042】
R1は、水素、メチル又はエチルである。具体的には、R1は、水素又はメチルである。
【0043】
好ましくは、R2は、メチル又はエチル、具体的にはメチルである。
【0044】
好ましくは、R3は、メチル、エチル又はフェニル、特にメチル又はエチルである。
【0045】
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I)
【0046】
【0047】
【化8】
の基を表し、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表し、
R
1は、水素、メチル又はエチル、特に水素又はメチルであり、
R
2は、メチル又はエチルであり、
R
3は、メチル、エチル又はフェニル、特にメチル又はエチルである)
の化合物、その立体異性体、その立体異性体の混合物、又は異なる化合物(I)の混合物に関する。
【0048】
そのような好ましい化合物Iの例は、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタノール、
6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセン、
6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセン、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテート、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルプロパノエート、
メチル2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルカーボネート、
エチル2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルカーボネート、
それらの混合物、それらの立体異性体、又はそれらの立体異性体の混合物である。
【0049】
本発明のより好ましい実施形態は、一般式(I)
【0050】
【0051】
【化10】
の基を表し、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表し、
R
1は、水素、メチル又はエチル、特に水素又はメチルであり、
R
2は、メチル又はエチル、特にメチルである)
の化合物、その混合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0052】
そのようなより好ましい化合物Iの例は、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタノール、
6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセン、
6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセン、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテート、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルプロパノエートである。
【0053】
本発明の特定の実施形態は、一般式(I)
【0054】
【0055】
【化12】
の基を表し、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表し、
R
1は、水素、メチル又はエチル、特に水素又はメチルである)
の化合物、その混合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0056】
そのような特定の化合物Iの例は、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド、
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタノール、
6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセン、
6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセン
である。
【0057】
出発材料の選択及び異性体純度、並びに製造する方法に応じて、本明細書に記載されている化合物(I)又は化合物(I)の混合物は、主に一般式(I-R)
【0058】
【化13】
(式中、X基、並びにR
1、R
2及びR
3基は、存在する場合、上記において示されている意味の1つを有する)
の立体異性体、又は2種以上の立体異性体の混合物の形態で存在し得る。
【0059】
あるいは、本明細書に記載されている化合物(I)、又は化合物(I)の混合物は、主に、一般式(I-S)
【0060】
【化14】
(式中、X基、並びにR
1、R
2及びR
3基は、存在する場合、上記において示されている意味の1つを有する)
の立体異性体、又は2種以上の立体異性体の混合物の形態で存在し得る。
【0061】
一般式(I-R)又は(I-S)の立体異性体に関連して使用する場合の「主に」という用語は、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より一層好ましくは少なくとも95重量%、特に少なくとも98重量%の化合物(I)が、その立体異性体(I-R)又は(I-S)の形態で存在することを意味する。
【0062】
本発明の特定の実施形態は、式(I.a)
【0063】
【化15】
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物に関する。
【0064】
本発明の具体的な実施形態では、本明細書に記載されている化合物I.aは、主に一般式(I.a-R)
【0065】
【化16】
の立体異性体、又は2種以上の立体異性体の混合物の形態で存在する。
【0066】
式(I.a-R)の特定の化合物は、
2-[(1R,4R,5R)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
2-[(1R,4R,5S)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
2-[(1R,4S,5R)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
2-[(1R,4S,5S)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
又はそれらの混合物である。
【0067】
本発明の具体的な代替実施形態では、本明細書に記載されている化合物I.aは、主に一般式(I.a-S)
【0068】
【化17】
の立体異性体、又は2種以上の立体異性体の混合物の形態で存在する。
【0069】
式(I.a-S)の特定の化合物は、
2-[(1S,4R,5R)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
2-[(1S,4R,5S)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
2-[(1S,4S,5R)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
2-[(1S,4S,5S)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル]アセトアルデヒド、
又はそれらの混合物である。
【0070】
一般式(I.a-R)又は(I.a-S)の立体異性体に関連して使用する場合の「主に」という用語は、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より一層好ましくは少なくとも95重量%、特に少なくとも98重量%の化合物(I.a)が、その立体異性体(I.a-R)又は(I.s-S)の形態で存在することを意味する。
【0071】
一般式(I)の化合物と同様に、一般式(II)の化合物も、出発材料の異性体純度及び製造する方法、例えば適用される反応条件及び適用される後処理/精製手順に応じて、純粋な立体異性体の形態で、又は立体異性体混合物の形態で存在し得る。
【0072】
したがって、本発明は、一般式(II)の化合物の単一の純粋な立体異性体、及び2種以上のその立体異性体の混合物に関する。
【0073】
式(II)の化合物は、少なくとも3つの立体中心、すなわちメチル基を有するシクロヘキセン環の4-及び5-位における炭素原子、並びにアセタール基を有するシクロヘキセン環の6-位における炭素原子を有する。さらに、化合物(II)におけるR4基は、例えばR4が1-メチルプロピルである場合、又はR4が-[Z-O]n-CH=CH2(式中、Zは、分岐状C3~C4-アルキレンから選択される)基を表す場合、1種以上の立体中心も有し得る。本発明は、化合物(II)の純粋鏡像異性体又はジアステレオマー、及びその混合物、並びに化合物(II)の純粋鏡像異性体若しくは純粋ジアステレオマー、又はその混合物の本発明による使用の両方を提供する。
【0074】
出発材料の選択及び異性体純度、並びに製造する方法に応じて、本明細書に記載されている化合物(II)又は化合物(II)の混合物は、主に一般式(II-R)の立体異性体、若しくは2種以上の立体異性体の混合物の形態で、又は一般式(II-S)
【0075】
【化18】
(式中、R
4は、上記又は下記において示されている意味の1つを有する)
の立体異性体若しくは2種以上の立体異性体の混合物の形態で存在し得る。
【0076】
一般式(II-R)又は(II-S)の立体異性体に関連して使用する場合の「主に」という用語は、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、特に少なくとも99重量%の化合物(II)が、その立体異性体(II-R)の形態で、又はその立体異性体(II-S)の形態のいずれかで存在することを意味する。
【0077】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、式(II)の化合物は、一般式(II-R)又は(II-S)
【0078】
【化19】
(式中、R
4は、C
2~C
4-アルキル又は*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5である)
の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物である。
【0079】
好ましくは、化合物(II)、(II-R)及び(II-S)において、R4は、C2~C4-アルキル又は*-[Z-O]n-CH=CH2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C2~C3-アルキレンであり、nは、1、2又は3である。
【0080】
より好ましくは、化合物(II)、(II-R)及び(II-S)において、R4は、C2~C4-アルキル又は*-[Z-O]n-CH=CH2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zはエチレンであり、nは、1、2又は3である。
【0081】
より一層好ましくは、化合物(II)、(II-R)及び(II-S)において、R4は、C2~C4-アルキル又は2-ビニルオキシエチルである。
【0082】
特に好ましくは、化合物(II)、(II-R)及び(II-S)において、R4は、C2~C4-アルキル、より一層好ましくはエチル、プロピル又はイソブチル、特にエチル又はイソブチル、特にエチルである。
【0083】
一般式(II)の好ましい化合物は、例えば
6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
(6R)-6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
(6S)-6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
6-(1-プロポキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
(6R)-6-(1-プロポキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
(6S)-6-(1-プロポキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
6-(1-イソブトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
(6R)-6-(1-イソブトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
(6S)-6-(1-イソブトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセン、
1,4,5-トリメチル-6-[1-(1-メチル-2-ビニルオキシ-エトキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
(6R)-1,4,5-トリメチル-6-[1-(1-メチル-2-ビニルオキシ-エトキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
(6S)-1,4,5-トリメチル-6-[1-(1-メチル-2-ビニルオキシ-エトキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
1,4,5-トリメチル-6-[1-(2-ビニルオキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
(6R)-1,4,5-トリメチル-6-[1-(2-ビニルオキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
(6S)-1,4,5-トリメチル-6-[1-(2-ビニルオキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
1,4,5-トリメチル-6-[1-(2-ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
(6R)-1,4,5-トリメチル-6-[1-(2-ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
(6S)-1,4,5-トリメチル-6-[1-(2-ビニルオキシプロポキシ)エトキシ]シクロヘキセン、
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物である。
【0084】
一般式(I)及び(II)の化合物に類似する、一般式(III)の化合物も、出発材料の異性体純度及び製造方法、例えば、適用する反応条件及び適用する後処理/精製手順に応じて、純粋な立体異性体又は立体異性体混合物の形態で存在し得る。
【0085】
したがって、本発明は、一般式(III)の化合物の単一の純粋な立体異性体、及び2種以上のその立体異性体の混合物に関する。
【0086】
式(III)の化合物は、少なくとも3つの立体中心、すなわち、メチル基を有するシクロヘキセン環の4位及び5位における炭素原子、並びにビニルオキシ基を有するシクロヘキセン環の6位における炭素原子を有する。本発明は、化合物(III)の純粋な鏡像異性体又はジアステレオマー及びこれらの混合物と、化合物(III)の純粋な鏡像異性体若しくは純粋なジアステレオマー又はこれらの混合物の本発明による使用との両方を提供する。
【0087】
出発材料の選択及び異性体純度、並びに製造方法に応じて、本明細書に記載されている化合物(III)は、一般式(III-R)の1種の立体異性体若しくは2種以上の立体異性体の混合物の形態、又は一般式(III-S)の1種の立体異性体若しくは2種以上の立体異性体の混合物の形態で主に存在し得る。
【0088】
【0089】
一般式(III-R)又は(III-S)の立体異性体に関して使用する場合の「主に」という用語は、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、特に少なくとも99重量%の化合物(III)が、その立体異性体(III-R)の形態で、又はその立体異性体(III-S)の形態のいずれかで存在することを意味する。
【0090】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、式(III)の化合物は、一般式(III-R)若しくは(III-S)の化合物、
【0091】
【化21】
その立体異性体、又はその立体異性体の混合物である。
【0092】
好ましい一般式(III-R)の化合物は、
(4R,5R,6R)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
(4S,5R,6R)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
(4R,5S,6R)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
(4S,5S,6R)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
及びこれらの混合物である。
【0093】
好ましい一般式(III-S)の化合物は、
(4R,5R,6S)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
(4S,5R,6S)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
(4R,5S,6S)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、及び
(4S,5S,6S)-1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセン、
並びにこれらの混合物である。
【0094】
一般式(II)及び(III)の化合物は、下に記載されている化合物(I)の生成方法の中間体である。典型的には、この方法では、中間体(III)は、アルコールR4-OHの脱離によって、アセタール前駆体(II)から生成する。このアセタール(II)の脱離反応では同時に、アセタール(II)の形成も起こり得るため、中間体(II)は、かなりの量の化合物(III)を含み得る。さらに、化合物(III)はまた、自発的にin situクライゼン転位を起こして、対応するアルデヒド化合物、すなわち、一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物になり得る。
【0095】
したがって、本発明は、
- 本明細書で定義されたような一般式(II)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、
- 本明細書で定義されたような一般式(III)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び
- 本明細書で定義されたような一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物から選択される2種又は3種の化合物を含む化合物の混合物に関する。
【0096】
本発明の好ましい実施形態は、
- 本明細書で定義されたような一般式(II)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、
- 本明細書で定義されたような一般式(III)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び
- 本明細書で定義されたような一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を含む、化合物の混合物に関する。
【0097】
本発明のより一層好ましい実施形態は、
- 本明細書で定義されたような一般式(III)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び
- 本明細書で定義されたような一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を含む、化合物の混合物に関する。
【0098】
前述の化合物の混合物中、存在する場合、化合物(II)、並びに化合物(III)及び(I)(式中、XはX1基を表す)の総量は、混合物の合計重量に対して、典型的には70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%である。
【0099】
化合物(III)がin situクライゼン転位反応を起こさず、対応するアルデヒド化合物にならない場合、前述の混合物は、かなりの量の一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物を含まない、又は検出可能な量の同化合物さえ含まない。
【0100】
したがって、本発明のさらに好ましい実施形態は、
- 本明細書で定義されたような一般式(II)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び
- 本明細書で定義されたような一般式(III)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を含む、化合物の混合物に関する。
【0101】
前述の化合物の混合物中、化合物(II)及び(III)の総量は、混合物の合計重量に対して、典型的には70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%である。
【0102】
化合物(III)が即座にクライゼン転位反応を起こして、対応するアルデヒド化合物、すなわち、一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物になる場合、前述の混合物は、かなりの量の一般式(III)の化合物を含まない、又は検出可能な量の同化合物さえ含まない。
【0103】
したがって、本発明のさらに好ましい実施形態は、
- 本明細書で定義されたような一般式(II)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物、及び
- 本明細書で定義されたような一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の化合物、その立体異性体、又はその立体異性体の混合物を含む、化合物の混合物に関する。
【0104】
前述の化合物の混合物中、化合物(II)及び化合物(I)(式中、XはX1基を表す)の総量は、混合物の合計重量に対して、典型的には70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%である。
【0105】
さらに、下に定義されるような化合物(I)の生成方法によれば、化合物(I)は、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)からそれぞれ生成する。2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンは悪臭化合物であり、香料として使用することはできない。したがって、本明細書で定義されたような化合物(I)並びに化合物(II)、(III)及び(IV)は、出発材料の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを可能な限り少なく含有するべきであり、残留量がないことが好ましい。ここで、本発明者らは、本明細書で定義されたような化合物(I)並びに化合物(II)及び(III)が、下に記載されている方法によって、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンから、検出可能な量の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含むことなく、効率的に得られることを見出した。化合物(IV)もまた、下に記載されている方法によって、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンから、検出可能な量の、又は少なくとも注目に値する量の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含むことなく、効率的に得られる。
【0106】
一方で、合成中間体の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、1000ppm超の濃度ではいくぶん動物性の刺激的な匂いであるが、多くとも100ppmの濃度では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、下に概説するように感じのよい匂いプロファイルを提供する。
【0107】
したがって、本発明の具体的な実施形態は、化合物又は化合物の混合物の合計重量に対して、多くとも1重量%、好ましくは多くとも0.5重量%、特に多くとも0.1重量%の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含む、本明細書で定義されたような一般式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は化合物の混合物に関する。実のところ、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含む一般式(I)、(II)又は(III)の化合物とは、実際には、一般式(I)、(II)又は(III)の化合物及び2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含む組成物である。この組成物中に、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンは、化合物(I)、(II)又は(III)の合計重量に対して、0~1重量%、好ましくは0~0.5重量%、特に0~0.1重量%の量で含有される。
【0108】
本発明のより一層具体的な実施形態は、化合物又は化合物の混合物の合計重量に対して、多くとも1重量%、好ましくは多くとも0.5重量%、特に多くとも0.1重量%の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、及び多くとも5重量%、好ましくは多くとも3重量%、より好ましくは多くとも2重量%、特に多くとも1重量%の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールを含む、本明細書で定義されたような一般式(I)、(II)又は(III)の化合物又は化合物の混合物に関する。実のところ、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び/又は2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールを含む一般式(I)、(II)又は(III)の化合物とは、実際には、一般式(I)、(II)又は(III)の化合物、並びに2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの一方又は両方を含む組成物である。この組成物中に、化合物(I)、(II)又は(III)の合計重量に対して、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンは、0~1重量%、好ましくは0~0.5重量%、特に0~0.1重量%の量で含有され、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、0~5重量%、好ましくは0~3重量%、より好ましくは多くとも0~2重量%、特に0~1重量%の量で含有される。
【0109】
本発明のさらに具体的な実施形態は、化合物(IV)の合計重量に対して、多くとも1重量%、好ましくは多くとも0.5重量%、特に多くとも0.1重量%の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含む、本明細書で定義されたような一般式(IV)の化合物に関する。実のところ、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含む一般式(IV)の化合物とは、実際には、式(IV)の化合物及び2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含む組成物である。この組成物中に、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンは、化合物(IV)の合計重量に対して、0~1重量%、好ましくは0~0.5重量%、特に0~0.1重量%の量で含有される。
【0110】
本発明のより一層具体的な実施形態は、検出可能な量の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンを含まない、本明細書で定義されたような一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物又は化合物の混合物に関する。
【0111】
本発明の特別な実施形態は、検出可能な量の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールをそれぞれ含まない、本明細書で定義されたような一般式(I)、(II)又は(III)の化合物又は化合物の混合物に関する。
【0112】
本発明はさらに、請求項1から4のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物、又は一般式(I)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法に関し、この方法は、
(i)2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)
【0113】
【化22】
を得る工程、
(ii)工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【0114】
【化23】
(式中、R
4は、C
2~C
4-アルキル又は
*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、R
4は、特にC
2~C
4-アルキルである)
のビニルエーテルと、1種又は1種超の触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
及び任意選択で以下の工程の1つ又は2つ
(iii)工程(ii)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)の化合物(式中、XはX
2基を表し、R
1は水素である)を得る工程、
(iv.a)工程(iii)で得られた化合物を、エーテル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
2基を表し、R
1は、メチル又はエチルである)の化合物を得る工程、
又は
(iv.b)工程(iii)で得られた化合物を、エステル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX
3基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iv.c)工程(iii)で得られた化合物を、カーボネート(R
3-O)
2-(C=O)(式中、R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、R
3の少なくとも1つは水素とは異なる)と、触媒の存在下で、若しくは、試薬R
3-O-C=O-Y
1(式中、R
3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、Y
1は、-O-(tert.-ブトキシカルボニル)及びClから選択される脱離基を表す)と、触媒若しくは塩基の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX
4基を表す)の化合物を得る工程を含む。
【0115】
工程(i)
本発明の方法の工程(i)では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を得る。典型的には、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、当業者に公知である、有機化学の標準方法を使用することによって調製できる。
【0116】
好ましくは、本発明の方法では、工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)は、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)
【0117】
【化24】
をカルボニル基のヒドロキシル基への選択的還元反応に供することにより得られる。
【0118】
一般に、α,β-不飽和ケトンのカルボニル基を選択的に還元して、対応するα,β-不飽和アルコールを得るための、当業者に公知である任意の方法を、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)への選択的還元のために適用することができる。
【0119】
例えば、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、例えば、S. Nishimuraによる「Handbook of heterogeneous catalytic hydrogenation for organic synthesis」、5.3.5章「unsaturated ketones」、198~200頁に記載されているように、不均一系金属触媒、例えば、強無機塩基の存在下で、メタノール中のクロム促進ラネーニッケル(chromium-promoted Raney nickel)、酸化コバルト若しくはラネーコバルトを使用して、又は2-プロパノールの存在下、MgO若しくはマグネシウム-アルミニウム混合酸化物(MgO/Al2O3)を使用することによって(メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ型還元)、選択的に還元することができる。有機金属試薬、例えば、特にジイソブチルアルミニウム及びジイソピノカンフェイルボロン誘導体を使用することによる、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の化学選択的還元に適した、さらなるメーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ型還元は、例えば、Chaら、Bull. Korean Chem. Soc. (2007)、28(12)、2162~2190頁、及びこれに引用されている参考文献に記載されている。
【0120】
或いは、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)のへの化学選択的還元はまた、例えば、Chaら、Bull. Korean Chem. Soc. (2007)、28(12)、2162~2190頁、Chaら、Bull. Korean Chem. Soc. (2011)、32(6)、1808、及びChaら、Organic Process Research & Development (2006)、10、1032~1053頁、並びにこれらに引用されている参考文献により記載されているように、金属水素化物、例えば、Zn(BH4)2、NaBH4/CeCl3、LiAlH4、Li n-BuBH3又は9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBN)の存在下でも行われ得る。ランタノイド塩の添加と共にNaBH4及びLiAlH4を使用することによる適切な還元方法はそれぞれ、例えば、Gemalら、J. Am. Chem. Soc. (1981)、103、5454~5459頁、又はLiら、J. Org. Chem. (2007)、72、2344~2350頁、又はK.H. DotzによるOrg. Synthesis Highlights II、「Organolanthanides in Reduction and Nucleophilic Addition Methodology」に記載されている。さらに、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、例えば、「Topics In Organometallic Chemistry」、2016、58、207~220頁、及びこれに引用されている参考文献により記載されているように、触媒量のホスフィン安定化Cu-H錯体及び化学量論量の(アルキル/アリール/アルコキシ)-シランの存在下で、選択的に還元して、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)にすることができる。
【0121】
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)への化学選択的還元はまた、鏡像選択的にも行われ得る。
【0122】
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の(1R)-又は(1S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)のいずれかへの鏡像選択的還元は、例としては、キラル水素化物試薬を使用することによって、例えば、Chanら、J. Org. Chem. (1988)、53、5584~5586頁に記載されているように、例えば、キラルアルコキシド配位子、例えばBINOLによって修飾された水素化リチウムアルミニウムを使用することによって、又は例えば、Ramachandranら、Tetrahedron: Asymmetry (1990)、1、433に記載されているように、キラルアルキルボロヒドリドを使用することによって行われ得る。
【0123】
さらに、化学量論量の水素化物ドナーが、キラル遷移金属触媒と共に適用される触媒的還元プロセス(鏡像選択的メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ型還元)も、使用することができる。適切なキラル遷移金属触媒は、例えば、キラルジアミン配位子、キラルアミノアルコール配位子、キラルビスホスフィン配位子又はキラルビス(オキサゾリン)配位子を有する、Ru、Rh、Ir又はSmの錯体である。例えば、Moserら、J. Am. Chem. Soc.、2010、132 (23)、7852~7853頁に記載されているように、キラルホスフィン配位子/Cu-H錯体も、キラル触媒として使用され得る。
【0124】
その上、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の(1R)-又は(1S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)のいずれかへの鏡像選択的還元はまた、適切なアルコールデヒドロゲナーゼを使用することによって、又は微生物、例えば、特に改変されたパン酵母を使用することによって、酵素的にも行われ得る。
【0125】
本発明の好ましい実施形態では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)への選択的還元反応は、上に定義されたような金属水素化物の存在下で行われる。好ましくは、金属水素化物は、NaBH4、NaBH4/CeCl3、Zn(BH4)2、LiAlH4、Li n-BuBH3及び9-BBNから選択される。
【0126】
この好ましい実施形態では、選択的還元反応は典型的には、不活性溶媒中で、すなわち、出発材料、中間体及び還元反応に適用される試薬と、又は得られる生成物と反応しない溶媒中で実行される。適切な溶媒は、例えば、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール;芳香族及び置換芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン;並びに脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、リグロイン及び石油エーテル、ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン及びテトラクロロメタン、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン;並びにこれらの混合物である。
【0127】
金属水素化物試薬は、典型的には、化学量論量で適用される。しかしながら、水素化物試薬によって送達される水素化物イオンの反応性及び数(水素化物当量)、並びに還元反応に適用される溶媒のタイプに応じて、添加される水素化物試薬の最終的な量は、典型的には、広い範囲で変動する。例えば、カルボニル化合物1当量当たり1~1.4水素化物当量に対応する、カルボニル化合物1当量当たり0.25~0.35当量のLiAlH4は、通常、ケトン化合物の対応するアルコールへの完全な還元を得るのに十分であるが、同じ結果を得るためには、カルボニル化合物1当量当たり3.2~5.6水素化物当量に対応する、カルボニル化合物1当量当たり0.8~1.4当量のNaBH4が必要であり得る。
【0128】
典型的には、金属水素化物試薬は、複数回、例えば、2、3、4、5、10、15若しくは20回に分けて、又は連続的に、5分~5時間の期間にわたって、好ましくは20分~3時間の期間にわたって、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)を含む反応混合物に添加される。
【0129】
或いは、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)を、複数回、例えば、2、3、4、5、10、15若しくは20回に分けて、又は連続的に、5分~5時間の期間にわたって、好ましくは20分~3時間の期間にわたって、総量の金属水素化物試薬を含む反応混合物に添加してもよい。
【0130】
高い選択性を促すために、この好ましい実施形態の選択的還元反応は、典型的には低い反応温度、すなわち、-20~20℃の範囲、好ましくは-10~15℃の範囲、特に-5~10℃の範囲の反応温度で行われる。
【0131】
本発明のさらに好ましい実施形態では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)への選択的還元反応は、メーヤワイン・ポンドルフ・ヴァーレイ型条件下で、有機金属試薬、好ましくは有機ホウ素及び有機アルミニウム試薬、特にジイソピノカンフェイルボロン及びジイソブチルアルミニウム誘導体を使用して行われる。
【0132】
この好ましい実施形態では、選択的還元反応は典型的には、不活性溶媒中で、すなわち、出発材料、中間体及び還元反応に適用される試薬と、又は得られる生成物と反応しない溶媒中で実行される。適切な溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、リグロイン及び石油エーテル;ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン及びテトラクロロメタン;エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン;並びにこれらの混合物である。
【0133】
有機金属試薬は、典型的には、化学量論量で適用される。しかしながら、有機金属試薬の反応性及び性質に応じて、選択的還元反応に適用される有機金属試薬の量は、典型的には、広い範囲で変動する。典型的には、有機金属試薬は、カルボニル化合物1当量当たり、0.5~5当量の量、好ましくは0.8~3当量の量で添加される。
【0134】
この好ましい実施形態の選択的還元反応についての反応温度は、適用される有機金属試薬の反応性に応じて、大きく変動する。例えば、有機金属試薬としてトリエチルボランを使用する場合、カルボニル基の還元は、かなり高い反応温度において、例えば、80~150℃の範囲の反応温度においてのみ起こり得るが、ジイソピノカンフェイルハロボラン(Ipc2BX)を有機金属試薬として使用する場合、カルボニル基の還元は、-25~0℃という低い反応温度で行うことができる。好ましいことに、ジイソピノカンフェイルボロン及びジイソブチルアルミニウム誘導体を使用する場合、反応温度は、典型的には、-15~45℃の範囲、好ましくは-5~35℃の範囲である。
【0135】
好ましい出発材料として使用される2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、典型的には、立体異性体の混合物として、すなわち、cis-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(5R,6R-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び5S,6S-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、以下、cis-VIと称する)と、trans-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(5R,6S-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び5S,6R-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、以下、trans-VIと称する)との混合物として購入することができる。
【0136】
或いは、ケトンである2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、当業者に公知である、有機化学の標準方法を使用することによって調製できる。
【0137】
典型的には、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、1種の純粋な立体異性体の形態、又は立体異性体混合物の形態のいずれかで、工程(i)の反応において適用される。
【0138】
好ましくは、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、立体異性体混合物の形態で適用される。
【0139】
より好ましくは、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、4種の立体異性体すべての混合物の形態で、工程(i)の反応に適用され、trans-VI立体異性体とcis-VI立体異性体との比は、55:45~90:10の範囲、より一層好ましくは60:40~80:20の範囲、特に65:35~75:25の範囲である。
【0140】
さらに、商用供給源/出所又は製造方法に応じて、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)は、少量の、例えば、多くとも5重量%、好ましくは多くとも2重量%、特に多くとも1.5重量%の対応する飽和2,3,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オン異性体を含み得る。
【0141】
工程(ii)
本発明の方法の工程(ii)では、工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【0142】
【化25】
(式中、R
4は、C
2~C
4-アルキル又は
*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5である)
のビニルエーテルと、1種又は1種超の触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)の化合物を得る。
【0143】
好ましくは、工程(ii)において適用される触媒は、ブレンステッド酸及びルイス酸、並びにこれらの混合物から選択される。より好ましくは、工程(ii)において適用される触媒は、弱ブレンステッド酸~中程度の強ブレンステッド酸、及びソフトルイス酸~中程度のハードルイス酸から選択される。
【0144】
好ましい弱ブレンステッド酸~中程度の強ブレンステッド酸は、水中で、6~0.5の範囲、好ましくは5.2~1の範囲、特に4.9~1.5の範囲のpKa値を有するブレンステッド酸である。好ましいブレンステッド酸は、例えば、リン酸、ホスホン酸、例えば、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸又はフェニルホスホン酸、並びにカルボン酸、例えば、シュウ酸、クロロ酢酸、クエン酸、酒石酸、ギ酸、酢酸及びプロピオン酸である。
【0145】
工程(ii)において適用され得る適切なルイス酸は、例えば、Fe(III)アセチルアセトネート、Fe(III)Cl3、Yb(III)トリフレート、Bi(III)トリフレート、MgCl2、Fe(II)アセチルアセトネート、Fe(II)アセテート、Fe(II)トリフレート、Fe(II)Cl2、Ni(II)アセチルアセトネート、Ni(II)アセテート、Ni(II)トリフレート、Ni(II)Cl2、Co(II)アセチルアセトネート、Co(II)アセテート、Co(II)トリフレート、Co(II)Cl2、Cu(II)アセチルアセトネート、Cu(II)アセテート、Cu(II)トリフレート、Cu(II)Cl2、Hg(II)アセチルアセトネート、Hg(II)アセテート、Hg(II)トリフレート、Hg(II)Cl2、Pd(II)アセチルアセトネート、Pd(II)アセテート、Pd(II)トリフレート、Pd(II)Cl2、例えばPd(II)Cl2(MeCN)2、Pt(II)アセチルアセトネート、Pt(II)アセテート、Pt(II)トリフレート、Pt(II)Cl2、Cd(II)アセチルアセトネート、Cd(II)アセテート、Cd(II)トリフレート、Cd(II)Cl2、Cu(I)アセテート、Cu(I)トリフレート、Cu(I)Cl、Ag(I)アセテート、Ag(I)トリフレート、Au(I)アセテート、Au(I)トリフレート及びAg(I)Clである。
【0146】
特に、工程(ii)において適用される触媒は、リン酸;ホスホン酸、例えば、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸及びフェニルホスホン酸;カルボン酸、例えば、ギ酸、シュウ酸、クロロ酢酸、クエン酸、酒石酸、酢酸及びプロピオン酸;並びにソフトルイス酸~中程度のハードルイス酸、例えば、Fe(III)アセチルアセトネート、Yb(III)トリフレート、Bi(III)トリフレート、MgCl2、Fe(II)アセチルアセトネート、Fe(II)アセテート、Fe(II)トリフレート、Ni(II)アセチルアセトネート、Ni(II)アセテート、Ni(II)トリフレート、Co(II)アセチルアセトネート、Co(II)アセテート、Co(II)トリフレート、Cu(II)アセチルアセトネート、Cu(II)アセテート、Cu(II)トリフレート、Hg(II)アセチルアセトネート、Hg(II)アセテート、Hg(II)トリフレート、Hg(II)Cl2、Pd(II)アセチルアセトネート、Pd(II)アセテート、Pd(II)トリフレート、Pd(II)Cl2、例えばPd(II)Cl2(MeCN)2、Pt(II)アセチルアセトネート、Pt(II)アセテート、Pt(II)トリフレート、Cd(II)アセチルアセトネート、Cd(II)アセテート、Cd(II)トリフレート、Cu(I)アセテート、Cu(I)トリフレート、Ag(I)アセテート、Ag(I)トリフレート、Au(I)アセテート及びAu(I)トリフレートから選択される。
【0147】
特に、工程(ii)において適用される触媒は、リン酸、フェニルホスホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、Fe(III)アセチルアセトネート、Cu(II)アセテート、Cu(I)アセテート、Hg(II)アセテート、Pd(II)アセテート、Pd(II)トリフレート及びPd(II)Cl2、例えばPd(II)Cl2(MeCN)2から選択される。
【0148】
典型的には、工程(ii)における反応は、2種の中間体化合物、すなわち、スキーム1に図示する一般式(II)及び(III)の化合物の形成を経由して進行する。
【0149】
【0150】
本明細書に記載されている反応条件下では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールのアルコール基が、まず化合物(V)のビニル基に付加して、アセタール中間体(II)を形成する。これらのアセタール中間体(II)はさらに反応して、アルコールR4-OHを脱離することによって、ビニルエーテル中間体(III)になる。ビニルエーテル中間体(III)は、さらにはクライゼン転位を起こして、対応するアルデヒド化合物、すなわち、一般式(I)(式中、X基はアルデヒド基X1を表す)の化合物を形成する。
【0151】
触媒、適用されたビニルエーテル化合物(V)及び選択された反応条件に応じて、本発明の工程(ii)における反応は、アセタール中間体(II)及び/若しくはビニルエーテル中間体(III)で停止する場合もあり(2工程若しくは3工程反応)、又は式(I)(式中、XはX1基を表す)の所望のアルデヒド化合物を直接提供する(1工程反応)。
【0152】
以下、工程(ii)の2工程又は3工程バリアントとも称する、2工程又は3工程反応の場合、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、まず一般式(V)のビニルエーテルと反応して、第1の中間体化合物、すなわち、一般式(II)のアセタールになる。アセタール中間体(II)は、さらに変換されて第2の中間体化合物、すなわち、ビニルエーテル中間体(III)に、又は引き続いて起こるクライゼン転位を通じて式(I)(式中、XはX1基を表す)の最終的なアルデヒド化合物になる前に、単離する、すなわち、後処理及び/又は精製手順に供することができる。或いは、得られたアセタール中間体(II)を直接、さらなる変換反応に適用することができる。アセタール中間体(II)が最終的なアルデヒド化合物(I)に直接ではなく、まずビニルエーテル中間体(III)に変換される場合、これらのビニルエーテル(III)も、最後のクライゼン転位反応に供する前に単離され得る。或いは、ビニルエーテル(III)を、事前の後処理及び/又は精製手順をせずに、最後のクライゼン転位反応に直接適用することもできる。
【0153】
工程(ii)の2工程又は3工程バリアントの異なるサブ工程は、同じ触媒の存在下で、又は異なる触媒の存在下で行われ得る。サブ工程で同じ触媒が適用される場合、反応の過程は、典型的には、反応温度、揮発性反応生成物、例えばアルコールR4-OHの除去、及び/又は反応中の触媒の量を介して制御される。サブ工程で異なる触媒が適用される場合、第1のサブ工程、すなわち、アセタール中間体(II)の形成は、典型的には第1の触媒、例えばブレンステッド酸によって行われ、後続のサブ工程は、第1の触媒とは異なる第2の触媒、例えばルイス酸によって行われる。第1の触媒とは異なる第2の触媒が、後続のサブ工程において適用される場合、抽出による後処理によって第1の触媒を除去することができ、及び/又は第1の触媒を含む反応混合物に、第2の触媒が加えられる。
【0154】
工程(ii)の2工程又は3工程バリアントに適用できる適切な触媒は、上に定義されたような触媒である。
【0155】
工程(ii)の2工程又は3工程バリアントの第1のサブ工程に適用される触媒は、好ましくは、上に定義されたような弱ブレンステッド酸~中程度の強ブレンステッド酸から選択される。
【0156】
第1のサブ工程において得られるアセタール中間体(II)の、ビニルエーテル化合物(III)への、又は式(I)(式中、XはX1基を表す)の所望のアルデヒド化合物へのさらなる変換については、上に定義されたようなルイス酸も適用され得る。
【0157】
工程(ii)の2工程又は3工程バリアントに適切に適用できるビニルエーテル化合物は、好ましくは化合物(V)(式中、R4は、C2~C4-アルキル又は*-[Z-O]n-CH=CH2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、エチレンであり、nは、1、2又は3である)から選択される。より好ましくは、ビニルエーテル化合物は、化合物(V)(式中、R4は、C2~C4-アルキル又は2-ビニルオキシエチル、より一層好ましくは、エチル、プロピル、イソブチル又は2-ビニルオキシエチル、より一層好ましくは、エチル、プロピル又はイソブチル、特定するとエチル又はイソブチル、特にエチルである)から選択される。特に、ビニルエーテル化合物は、化合物(V)(式中、R4は、C2~C4-アルキル、より特定すると、エチル、プロピル又はイソブチル、より一層特定するとエチル又はイソブチル、特にエチルである)から選択される。
【0158】
以下、工程(ii)の1工程バリアントとも称する1工程反応の場合、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、式(I)(式中、XはX1基を表す)の所望のアルデヒド化合物に直接変換される。工程(ii)の1工程バリアントに適切に適用できる、適切で好ましいビニルエーテル化合物は、工程(ii)の2工程又は3工程バリアントについて上に列挙されたものに対応する。
【0159】
工程(ii)の1工程バリアントに適用できる適切な触媒は、上に定義されたような触媒である。
【0160】
しかしながら、反応速度は、中程度の強ブレンステッド酸及び/又はルイス酸を使用することによって上昇し得る。好ましくは、工程(ii)のこの1工程バリアントでは、触媒は、中程度の強ブレンステッド酸、例えば、リン酸、ホスホン酸、例えば、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸又はフェニルホスホン酸、シュウ酸、クロロ酢酸、及びルイス酸、例えば、Fe(III)アセチルアセトネート、Fe(II)アセチルアセトネート、Fe(II)アセテート、Fe(II)トリフレート、Cu(II)アセチルアセトネート、Cu(II)アセテート又はCu(II)トリフレートから選択される。
【0161】
工程(ii)における反応に使用される触媒の量は、典型的には、1当量の化合物(IV)に対して、0.0001~0.5当量の範囲、好ましくは0.0005~0.3当量の範囲、特に0.001~0.1当量の範囲である。
【0162】
一般式(V)のビニルエーテルを内溶媒(internal solvent)として使用するか、外溶媒(external solvent)を使用するかに応じて、工程(ii)における反応に適用される化合物(IV)と一般式(V)のビニルエーテルとの比は、もたらされた範囲内で変動する。工程(ii)における反応に適用される化合物(IV)と一般式(V)のビニルエーテルとの比は、典型的には1:1~1:20の範囲、好ましくは1:1.1~1:15の範囲、より好ましくは1:1.2~1:10の範囲、特に1:1.5~1:5の範囲である。
【0163】
工程(ii)における反応は、上に定義されたような不活性溶媒の存在下で、又はいかなる外溶媒も非存在下で実行され得る。好ましくは、工程(ii)における反応は、いかなる外溶媒も非存在下で実行される。これらの場合、適用されるビニルエーテル化合物(V)は、内溶媒として作用する。
【0164】
工程(ii)の2工程又は3工程バリアントの場合、第1のサブ工程、すなわち、アセタール中間体(II)の形成は、好ましくは、10~100℃の範囲、特に20~70℃の範囲の反応温度で行われる。後続のサブ工程、すなわち、アセタール中間体(II)のビニルエーテル中間体(III)及び/又は化合物(I)(式中、XはX1基を表す)へのさらなる変換は、好ましくは90~250℃の範囲、より好ましくは100~220℃の範囲、特に110~200℃の範囲の反応温度で行われる。
【0165】
工程(ii)の1工程バリアントの場合、工程(ii)における反応は、好ましくは90~250℃の範囲、より好ましくは110~240℃の範囲、特に120~230℃の範囲の反応温度で行われる。
【0166】
工程(ii)における反応は、不活性ガスの非存在下で、又は存在下で実施することができる。本明細書で使用される場合、「不活性ガス」という表現は、一般に、優勢な反応条件下で、反応に関与する出発材料、試薬若しくは溶媒との、又は生じた生成物とのいかなる反応も開始しないガスを意味する。工程(ii)における反応が不活性ガスの存在下で実施される場合、不活性ガスは、好ましくは、アルゴン及び窒素、並びにこれらの混合物から選択され、特に、不活性ガスは窒素である。
【0167】
工程(ii)における反応は、大気圧で実行しても、高圧で実行してもよい。工程(ii)における反応が高い反応温度で、例えば、100~250℃の範囲の反応温度で行われる場合、工程(ii)の反応は、好ましくは高圧で、より好ましくは1.1~20barの範囲の圧力で、特に1.5~15barの範囲の圧力で実行される。工程(ii)における反応が低い反応温度で、例えば10~100℃の範囲の反応温度で行われる場合、工程(ii)における反応は、好ましくは大気圧で実行される。
【0168】
好ましい実施形態では、本発明の方法の工程(ii)は、以下の工程
(ii.a)工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【0169】
【化27】
(式中、
R
4は、C
2~C
4-アルキル又は
*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、R
4は、特にC
2~C
4-アルキルである)
のビニルエーテルと、触媒の存在下で反応させて、上に定義されたような一般式(II)の第1の中間体化合物を得る工程、
(ii.b)工程(ii.a)で得られた中間体化合物(II)を、少なくとも150℃の温度にて、及び/又は触媒の存在下でさらに反応させて、上に定義されたような一般式(III)の第2の中間体化合物を得る工程、
(ii.c)工程(ii.b)で得られた中間体化合物(III)を、少なくとも150℃の温度にて、及び/又は触媒の存在下でさらに反応させて、一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程を含む。
【0170】
工程(ii.a)に適用される触媒、反応物(IV)及び(V)の好ましい比及び量、触媒の好ましい量、並びに工程(ii.a)に適用される好ましい反応条件は、工程(ii)の2工程又は3工程バリアントの第1のサブ工程について上に定義された通りである。
【0171】
同じく、工程(ii.b)及び(ii.c)に適用される触媒、触媒の好ましい量、並びに工程(ii.b)及び(ii.c)に適用される好ましい反応条件は、工程(ii)の2工程又は3工程バリアントのさらなるサブ工程について上に定義された通りである。
【0172】
工程(ii.b)の反応は、触媒の適用の代わりに、又は触媒の適用に加えて、少なくとも150℃の温度、好ましくは150~300℃の範囲、特に150~260℃の範囲の温度で行うことができる。
【0173】
同じく、工程(ii.c)の反応は、触媒の適用の代わりに、又は触媒の適用に加えて、少なくとも150℃の温度、好ましくは150~280℃の範囲、特に155~250℃の範囲の温度で行うことができる。
【0174】
上に既に指し示したように、一般式(II)の第1の中間体化合物はまた、直接反応して、一般式(I)(式中、XはX1基を表す)の最終的なアルデヒド化合物になり得る。
【0175】
したがって、代わりの好ましい実施形態では、本発明の方法の工程(ii)は、以下の工程
(ii.a’)工程(i)で得られた2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)を、一般式(V)
【0176】
【化28】
(式中、
R
4は、C
2~C
4-アルキル又は
*-[Z-O]
n-CH=CH
2基であり、アスタリスクは、酸素原子への結合点を表し、Zは、C
2~C
4-アルキレンであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、R
4は、特にC
2~C
4-アルキルである)
のビニルエーテルと、触媒の存在下で反応させて、上に定義されたような一般式(II)の第1の中間体化合物を得る工程、
(ii.b’)工程(ii.a)で得られた中間体化合物(II)を、触媒の存在下でさらに反応させて、一般式(I)(式中、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程を含む。
【0177】
工程(ii)のこの好ましいバリアントでも、工程(ii.a’)に適用される触媒、反応物(IV)及び(V)の好ましい比及び量、触媒の好ましい量、並びに工程(ii.a’)に適用される好ましい反応条件は、工程(ii)の2工程又は3工程バリアントの第1のサブ工程について上に定義された通りである。
【0178】
同じく、工程(ii.b’)に適用される触媒、触媒の好ましい量、及び工程(ii.b’)に適用される好ましい反応条件は、工程(ii)の2工程又は3工程バリアントのさらなるサブ工程について上に定義された通りである。
【0179】
したがって、この好ましいバリアントでも、工程(ii.b’)の反応は、触媒の適用の代わりに、又は触媒の適用に加えて、少なくとも160℃の温度、好ましくは160~300℃の範囲、特に165~260℃の範囲の温度で行うことができる。
【0180】
本発明の方法の別の実施形態では、工程(ii)における反応が、マイクロ波加熱装置において行われる。この実施形態では、触媒は、好ましくは、ソフトルイス酸から、特にCu(II)アセテート、Cu(I)アセテート及びFe(III)アセチルアセトネートから選択される。マイクロ波加熱装置における反応は、好ましくは150~260℃の範囲、特に170~240℃の範囲の反応温度で実施される。
【0181】
工程(iii)
本発明の方法の工程(iii)では、工程(ii)で得られたアルデヒド化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への選択的還元反応に供して、一般式(I)の化合物(式中、XはX2基を表し、R1は水素である)を得る。
【0182】
工程(iii)における還元反応は、典型的には、非共役C=C二重結合に影響を及ぼすことなく、アルデヒドを対応するアルコールに還元するのに適した還元剤の存在下で行われる。適切な還元剤及び反応条件は、例えば、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(VI)の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール(IV)への化学選択的還元に関して上に記載されている。或いは、アルデヒド基の選択的還元は、例えば、EP 71787に記載されている方法と同様に、工程(ii)で得られた化合物を、遷移金属触媒の存在下で、水素と反応させることによっても達成され得る。
【0183】
工程(iv.a)
本発明の方法の工程(iv.a)では、工程(iii)で得られた化合物を、エーテル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX2基を表し、R1は、メチル又はエチルである)の化合物を得る。エーテル化反応は、この反応タイプのための公知の手順によって、酸性又は塩基性条件下、メチル化剤又はエチル化剤を使用して実行され得る。
【0184】
好ましくは、工程(iii)で得られた化合物を、式R1a-Yの化合物、ジメチルスルフェート及びジエチルスルフェートから選択されるアルキル化剤(より正確には、メチル化剤又はエチル化剤)(式中、R1aは、メチル又はエチルであり、Yは、ハロゲン、例えばCl、Br又はI、及びスルホネート、例えばトシレート、メシレート、トリフレート又はノナフレートから選択される脱離基を表す)と、塩基の存在下で反応させる。
【0185】
適切な塩基は、典型的には、無機塩基及び有機塩基から選択される。
【0186】
このアルキル化反応に使用することができる適切な無機塩基は、例えば、アルカリ金属炭酸塩、例えば、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3又はCs2CO3、アルカリ金属水酸化物、例えば、LiOH、NaOH又はKOH、及び水素化物ドナー、例えば、NaH、LiAlH4、NaBH4、金属Na又は金属Kである。金属Na及び金属Kは一般に、アルコール、例えばC1~C4-アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール若しくはtert-ブタノール、又はジオールのモノエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールモノエチルエーテルの存在下で使用され、これによって、アルカリ金属の少なくとも一部がアルカリ金属アルコキシドに変換される。
【0187】
このアルキル化反応に使用することができる適切な有機塩基は、例えば、第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン等、又は塩基性N-ヘテロ環、例えばモルホリン、ピリジン、ルチジン、DMAP、DABCO、DBU、若しくはDBNである。
【0188】
アルキル化反応は、当業者に周知の、従来のアルキル化反応条件下で行われる。
【0189】
工程(iv.b)
本発明の方法の工程(iv.b)では、工程(iii)で得られた化合物を、エステル化反応に供して、一般式(I)(式中、XはX3基を表す)の化合物を得る。エステル化反応は、公知の手順によって実行することができる。
【0190】
好ましくは、工程(iii)で得られた化合物は、C1~C3-カルボン酸、又はC2~C3-カルボン酸の無水物、又はC2~C3-カルボン酸ハロゲン化物、好ましくはC2~C3-カルボン酸塩化物と反応しており、カルボン酸又は無水物が使用される場合では、反応が、好ましくは、エステル化触媒の存在下で実行され、カルボン酸ハロゲン化物が使用される場合、反応が、好ましくは、塩基の存在下で実行される。
【0191】
本発明の方法の工程(iv.b)において使用されるC1~C3-カルボン酸は、ギ酸、酢酸又はプロピオン酸である。本発明の方法の工程(iv.b)において使用されるC2~C3-カルボン酸無水物は、無水酢酸又はプロピオン酸無水物である。本発明の方法の工程(iv.b)において使用されるC2~C3-カルボン酸ハロゲン化物は、酢酸ハロゲン化物又はプロピオン酸ハロゲン化物であり、好ましくは酢酸塩化物又はプロピオン酸塩化物である。
【0192】
C1~C3-カルボン酸又はC2~C3-カルボン酸無水物が適用される場合、反応は、典型的には、エステル化触媒の存在下で行われる。C2~C3-カルボン酸塩化物が適用される場合、反応は、典型的には、塩基の存在下で行われる。
【0193】
適切な塩基は、好ましくは有機塩基から選択される。使用され得る適切な有機塩基は、例えば、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン等、又は塩基性N-複素環、例えばモルホリン、ピリジン、ルチジン、DMAP、DABCO、DBU、若しくはDBNである。
【0194】
この反応に適用することができる適切なエステル化触媒は、当業者に周知である。適切なエステル化触媒は、例えば、金属系触媒、例えば、金属、金属酸化物若しくは金属塩、例えば金属アルコキシレートの形態の鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン及びスズ触媒;鉱酸、例えば、硫酸、塩酸若しくはリン酸;又は有機スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸若しくはパラ-トルエンスルホン酸である。
【0195】
一般式(I)(式中、XはX3基を表す)のエステル化合物を調製するための個別の反応条件は、当業者に周知である。
【0196】
工程(iv.c)
本発明の方法の工程(iv.c)では、工程(iii)で得られた化合物を、カーボネート(R3-O)2-(C=O)(式中、R3は、水素メチル、エチル及びフェニルから選択され、R3の少なくとも1つは水素とは異なる)と、触媒の存在下で、又は試薬R3-O-C=O-Y1(式中、R3は、水素、メチル、エチル及びフェニルから選択され、Y1は、-O-(tert.-ブトキシカルボニル)及びClから選択される脱離基を表す)と、触媒若しくは塩基の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、XはX4基を表す)の化合物を得る。
【0197】
好ましくは、カーボネート(R3-O)2-(C=O)は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はジフェニルカーボネート、特にジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートから選択される。
【0198】
好ましくは、試薬R3-O-C=O-Y1は、メトキシカルボニル2,2-ジメチルプロパノエート、エトキシカルボニル2,2-ジメチルプロパノエート、フェノキシカルボニル2,2-ジメチルプロパノエート、メチルカルボノクロリデート、エチルカルボノクロリデート及びフェニルカルボノクロリデートから、特にメトキシカルボニル2,2-ジメチルプロパノエート、エトキシカルボニル2,2-ジメチルプロパノエート、メチルカルボノクロリデート及びエチルカルボノクロリデートから選択される。
【0199】
カーボネート(R3-O)2-(C=O)を適用する場合、工程(iv.c)における反応は、典型的には、触媒、すなわち、エステル交換触媒の存在下で行われる。適切なカルボニル交換触媒は、例えば、工程(iv.b)におけるエステル交換反応に関して上に挙げた触媒である。
【0200】
試薬R3-O-C=O-Y1(式中、Y1基は-O-(tert.ブトキシカルボニル)である)を適用する場合、工程(iv.c)における反応は、典型的には、触媒、すなわち、アルコキシカルボニル化触媒の存在下で行われる。適切なアルコキシカルボニル化触媒は、例えば、ルイス酸、例えば、BiCl3又はZn(OAc)2、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン又はテトラブロモメタンである。
【0201】
試薬R3-O-C=O-Y1(式中、Y1基はClである)を適用する場合、工程(iv.c)における反応は、典型的には、塩基の存在下で行われる。適切な塩基は、好ましくは、上に定義されたような有機塩基から選択される。
【0202】
一般式(I)(式中、XはX4基を表す)のカーボネート化合物を調製するための個別の反応条件は、当業者に周知である。適切な反応条件及びプロトコルは、例えば、Rita Skoda-Foldesによる「Homogeneous Carbonylation Reactions in the Synthesis of Compounds of Pharmaceutical Importance」、12章「Alkoxycarbonylation of Alcohols and Phenols」、及びこれに引用されている参考文献により記載されている。
【0203】
一般に、工程(i)、(ii)、(ii.a)、(ii.b)、(ii.c)、(ii.a')、(ii.b')、(iii)、(iv.a)、(iv.b)及び/又は(iv.c)で得られた反応混合物は、従来の方法において、例えば、酸、例えばルイス酸、塩基及び/又は金属有機試薬を反応に適用した場合、水と混合し、反応混合物を中和すること、相同士を分離させること、生成物を有機相から単離すること、並びに適切な場合、通常の方法により、例えば、蒸留、抽出又はクロマトグラフィーによる方法により、粗生成物を精製することによって後処理される。不均一系触媒、例えば担持ルイス酸触媒、又は不均一系水和触媒の存在下で反応を行う場合、触媒は、典型的には、後処理の前に濾別される。
【0204】
上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、香料として有用である。
【0205】
したがって、本発明のさらなる態様は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用である。
【0206】
好ましくは、本発明は、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、又は式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用に関する。
【0207】
代わりの好ましい実施形態では、本発明は、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の]2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用に関する。より好ましくは、本発明は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の使用に関する。より一層好ましくは、本発明は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の使用に関する。特に、本発明は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の使用に関する。
【0208】
具体的には、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が使用される。
【0209】
本発明の文脈では、「アロマ」という用語はある感覚特性を指し、匂い及び/又は香味を含む。
【0210】
「香料」という用語は、ある感覚印象、より正確には嗅覚又は香味の印象、特にフレグランス又は香味の印象を得るために使用される物質を表す。「嗅覚」という用語は、あらゆる肯定的又は否定的な判断のない匂いの印象を表すが、「フレグランス」という用語(「芳香」又は「香り」とも呼ばれる)は、感じのよいものとして一般に感じられる匂いの印象に関係する。香味は味の印象を引き起こす。
【0211】
「アロマプロファイル」という用語は、香料の全体的なアロマ印象を表し、香料の個別のアロマ印象から構成される。
【0212】
本明細書で使用される場合、「アロマ組成物」という用語は、アロマを引き起こす組成物を指す。アロマ組成物という用語は、「匂い組成物」及び/又は「香味組成物」を含む。匂い組成物は、匂いの印象を主に引き起こす組成物であり、香味組成物は、味の印象を主に引き起こす組成物である。
【0213】
匂い組成物という用語は、「フレグランス組成物」又は「香り組成物」を含み(本明細書では互換的に使用される)、感じのよいものとして一般に感じられる匂いの印象を主に引き起こす。
【0214】
「化合物」及び「物質」という用語は、本発明全体を通じて同義に使用される。
【0215】
「持続性」という用語は、香料と表面、例えば、皮膚又は繊維素材のような表面との相互作用、特に、続いて表面を処理した後、例えば洗った後の相互作用を説明する。持続性は、例えば、香料を含む繊維用洗剤組成物で繊維素材を洗い、続いて洗った直後の繊維素材(湿潤繊維素材)の嗅覚評価、及び長期保管後の乾燥繊維素材の評価によって判定することができる。
【0216】
「安定性」という用語は、酸素、光及び/又は他の物質と接触した際の香料の挙動を説明する。高い安定性を有する香料は、長時間にわたって、好ましくは、多種多様な組成物中及び様々な保管条件下で、そのアロマプロファイルを維持する。
【0217】
「感じのよい匂い」、「感じのよい匂いの印象」、「感じのよい芳香を放つ特性」は、香料により伝えられる匂いの印象の心地よさ(niceness)及び簡明さ(conciseness)を説明する快楽表現である。「都合のよい感覚特性」又は「都合のよい官能的特性」という、より一般的な快楽表現は、香料により伝えられる官能的印象の心地よさ及び簡明さを説明する。「心地よさ」及び「簡明さ」は、当業者、香料製造者になじみ深い用語である。心地よさは、一般に、自然にもたらされ、肯定的に知覚される、感じのよい感覚印象を指す。しかしながら、「心地よい」は、「甘い(sweet)」と同義である必要はない。「心地よい」はまた、ジャコウ(musk)又はビャクダン(sandalwood)の匂いであってもよい。「簡明さ」は、一般に、同じ試験パネルに対して、特定の何かを再現性よく同一に思い出させる、自然にもたらされる感覚印象を指す。例えば、物質は、「リンゴ」の匂いを自然に連想させる匂いを有することができ、それゆえ、その匂いは、簡明に「リンゴ」の匂いになるであろう。このリンゴの匂いが、例えば、甘く、完熟したリンゴを連想させるので非常に感じのよかった場合は、その匂いは「心地よい」と呼ばれるであろう。しかしながら、典型的には、酸味のあるリンゴの匂いも、簡明になり得る。両方の反応が、物質の匂い、この例ではしたがって心地よく簡明なリンゴの匂いをかぐ際に発生する場合、この物質は、特に都合のよい感覚特性を有する。
【0218】
「匂いの強い物質」という用語は、強い匂いの印象を示す物質又は香料を指す。強い匂いの印象は、気体空間濃度が非常に低い場合であっても際立った知覚を可能とする、香料のそれらの特性を意味していると理解される。強さは、しきい値測定により測定できる。しきい値は、もはやそれを定義する必要はないが、匂いの印象が代表的な試験パネルにより依然としてちょうど知覚できる関連する気体空間中の物質の濃度である。最も匂いの強い公知の物質クラスにおおかた属する、すなわち、非常に低い匂いのしきい値を有する物質クラスは、チオールであり、そのしきい値は、多くの場合、ppb/m3の範囲である。
【0219】
好ましくは、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、フレグランスとして使用される。
【0220】
より好ましくは、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、又は式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が、フレグランスとして使用される。
【0221】
代わりのより好ましい実施形態では、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の]2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が、フレグランスとして使用される。より一層好ましくは、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が、フレグランスとして使用される。特に好ましくは、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が、フレグランスとして使用される。特に、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が、フレグランスとして使用される。
【0222】
具体的には、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物が使用される。
【0223】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドは、グリーン、ウォータリー、キクの花のような(クリサンラマ)(chrysanthema)、草のような、アルデヒド系、スズラン、革のような、テルペン系及び/又はナチュラルなノートを付与するために使用される。2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドは、顕著なスズランの匂いノートを有するため、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドは、特に、スズランノートを付与するために使用することができる。したがって、本発明の特定の実施形態は、スズランノートを付与するための2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの使用に関する。
【0224】
特に、6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、スイカ、ウォータリー、グリーン、アーモンド、食べ物のような及び機械系ノートを付与するために使用される。
【0225】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールは、キクの花のような、グリーン、ハーバル、埃っぽい、ディーゼルノートを付与するために使用される。
【0226】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートは、フローラル、ミュゲノートを付与するために使用される。
【0227】
特に、6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、かび臭い、甘い、革のような、アグルミック(agrumic)、フレッシュ、ナツメグノートを付与するために使用される。
【0228】
特に、6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、フルーティーノートを付与するために使用される。
【0229】
1000ppm以上の濃度で、中間体(IV)、すなわち、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、動物系、インドール、機械系、溶媒系、刺激性及び/又はフェノール系ノートを付与するために使用される。しかしながら、エタノール中100ppmの濃度では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、フェノール系、未熟なバナナ、ナッティー、ミルキー及び/又は温かみのあるノートを付与する。
【0230】
したがって、0.1~400ppmの範囲、好ましくは0.2~300ppmの範囲、特に0.5~200ppmの範囲の濃度では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、フェノール系、未熟なバナナ、ナッティー、ミルキー及び/又は温かみのあるノートを付与するために使用される。
【0231】
好ましくは、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、芳香組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物を含む)、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物からなる群から選択される組成物に使用される。式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、上の組成物中の香料として、好ましくはフレグランスとして使用される。
【0232】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドは、グリーン、ウォータリー、キクの花のような、草のような、アルデヒド系、スズラン、革のような、テルペン系及び/又はナチュラルなノート、特にスズランノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0233】
特に、6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、スイカ、ウォータリー、グリーン、アーモンド、食べ物のような及び機械系ノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0234】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールは、キクの花のような、グリーン、ハーバル、埃っぽい、ディーゼルノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0235】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートは、フローラル、ミュゲノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0236】
特に、6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、かび臭い、甘い、革のような、アグルミック、フレッシュ、ナツメグノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0237】
特に、6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、フルーティーノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0238】
特に、1000ppm以上の濃度で、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、動物系、インドール、機械系、溶媒系、刺激性及び/又はフェノール系ノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0239】
特に、0.1~400ppmの範囲、好ましくは0.2~300ppmの範囲、特に0.5~200ppmの範囲の濃度では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、フェノール系、未熟なバナナ、ナッティー、ミルキー及び/又は温かみのあるノートを、上に列挙された組成物に付与する。
【0240】
上に列挙された組成物の詳細は、以下に示す。
【0241】
本発明の別の態様は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用に関する。この目的のために使用される好ましい化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)、これらの混合物、並びにその立体異性体は、上に記載されているものに対応する。
【0242】
嗅覚特性に加えて、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、都合のよい二次特性を示す。
【0243】
例えば、これらは、他のフレグランスとの相乗効果の結果として、よりよい感覚プロファイルをもたらすことができ、このことは、他のフレグランスに対するブースター効果を提供できることを意味する。したがって、これらを、他のフレグランスのためのブースターとして使用することができる。
【0244】
したがって、本発明の別の態様は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又はその立体異性体の混合物の、他のフレグランスのためのブースターとしての使用に関する。
【0245】
ブースター効果は、物質が、芳香性配合物中で、混合物の全体的な印象を増強する及び強めることを意味する。ミントの範囲では、例えば、メンチルメチルエーテルが、ハッカ油の芳香又は味の混合を強め、特に、トップノートにおいては、格段により強くより複雑な知覚を著しくもたらすが、当該エーテルそれ自体は純粋な物質であり、特定の強い匂いを全く発生させないことは公知である。フレグランス用途において、純粋物質として軽いフローラルジャスミンノートしか示さないHedione(登録商標)(メチルジヒドロジャスモネート)は、匂いブースターとして、芳香組成物の拡散、新鮮さ、及び量(volume)を増強する。ブースター効果は、トップノートが特徴的な用途が要求される場合に特に望まれ、ここで、匂いの印象は、例えばデオドラント、エアフレッシュナーにおいて、又はチューインガムの味の部門において、特に迅速且つ強く伝えられ得る。
【0246】
そのようなブースター効果を達成するために、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、一般に、フレグランス混合物の合計重量に対して、0.1~20重量%の総量、好ましくは0.5~5重量%の量、特に0.6~3重量%の量で使用される。
【0247】
さらには、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、これらが使用される組成物に対してさらに肯定的な効果を有し得る。例えば、これらが組み込まれる組成物の全体的な性能、例えば安定性、例えば組成物の配合安定性、拡張性、又は持続力を増強できる。
【0248】
別の態様では、本発明は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む組成物に関する。
【0249】
好ましくは、組成物は、
- 上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む。
【0250】
好ましくは、本明細書に記載されている組成物は、式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、又は式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0251】
したがって、発明の好ましい実施形態は、
- 上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、又は式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物に関する。
【0252】
代わりの好ましい実施形態では、組成物は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の]2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0253】
したがって、発明の代わりの好ましい実施形態は、
- 上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の]2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物に関する。
【0254】
より好ましくは、組成物は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0255】
したがって、発明のより好ましい実施形態は、
- 上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物に関する。
【0256】
より一層好ましくは、組成物は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0257】
したがって、発明のより一層好ましい実施形態は、
- 上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチル又はエチルであり、化合物(II)において、R4はC2~C4-アルキルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物に関する。
【0258】
特に、組成物は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0259】
したがって、発明の特に好ましい実施形態は、
- 上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物(式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の[好ましくは式(I)、(II)及び(IV)の](式中、化合物(I)において、XはX1、X2又はX3であり、X3において、R2はメチルであり、化合物(II)において、R4はエチルである)2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 香料、非香料キャリア、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物に関する。
【0260】
具体的には、組成物は、式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、その立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0261】
さらなる香料は、存在する場合、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又はその立体異性体とはもちろん異なる。
【0262】
その物理的特性により、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、組成物、例えば、特にフレグランス組成物中の香料及び他の通例の成分について、並びにこれらの中で、特に良好な、事実上万能の溶媒特性を有する。そのため、これらは、十分に香料と組み合わせることができ、これにより、特に、新規な都合のよい感覚プロファイルを有するアロマ組成物、特にフレグランス組成物の生成が可能となる。さらに、既に上で説明したように、これらは、他のフレグランスのためのブースター効果を提供できる。
【0263】
したがって、好ましい一実施形態では、組成物は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに少なくとも1種のさらなる香料を含む。
【0264】
さらなる香料は例えば、
ゲラニルアセテート(3,7-ジメチル-2,6オクタジエン-1イルアセテート)、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチレート(Phenirat1)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、メチルジヒドロジャスモネート(好ましくは、シス型異性体の含量が60重量%超である)(Hedione9、Hedione HC9)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolid3)、テトラヒドロリナロオール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロオール、ベンジルサリチレート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral2)、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセテート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセテート(Herbaflorat1)、シトロネロール、シトロネリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセテート、スチロリルアセテート(1-フェニルエチルアセテート)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super3)、ヘキシルサリチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Oryclone1)、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Agrumex HC1)、アルファ-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-アルファ-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセテート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Lyral3)、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシレート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン(Muscenon9)、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド(Globalide1)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide1)、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalid10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florol9)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolen1)、cis-3-ヘキセニルアセテート、trans-3-ヘキセニルアセテート、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Vertocitral1)、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン(Claritone1)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal2)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral2)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional3)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon1)、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート(好ましくは、シス型異性体の含量が、70重量%以上である)及び2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(Ambrinol S1)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール(Bourgeonal4)、エチル2-メチルペンタノエート(Manzanate4)、エトキシメトキシシクロドデカン(Amberwood1)、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン(Magnolan1)、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート(Verdox3)、並びに3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル]シクロヘキサン-1-オール(Sandela4)からなる群から選択される1種、好ましくは2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種又はそれ以上の香料であってよい。したがって、本発明の文脈において、上記香料(複数可)は、好ましくは上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又はその立体異性体の混合物と組み合わせられる。
【0265】
上記において商標が示されている場合、これらは、以下の供給元を指す。
1ドイツ、Symrise GmbHの商標、
2BASF SEの商標、
3アメリカ、International Flavors & Fragrances Inc.の商標、
9スイス、Firmenich S.A.の商標、
10オランダ、PFW Aroma Chemicals B.V.の商標。
【0266】
本発明の好ましい実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びにメチルベンゾエート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、リナロオール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール及びメチルベンゾエートからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる香料を含む組成物に関する。
【0267】
本発明の好ましい実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びにエチルバニリン、バニリン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン(フラネオール)又は3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン(マルトール)からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる香料を含む組成物に関する。
【0268】
上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物と、例えば本発明による組成物を得るために組み合わされ得るさらなる香料は、例えば、自費出版されたS. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、第I巻及び第II巻、Montclair, N. J.、1969又はK. Bauer、D. Garbe及びH. Surburg、Common Fragrance and Flavor Materials、第4版、Wiley-VCH、Weinheim 2001において見出すことができる。具体的には、
【0269】
天然原料から得た抽出物、例えば精油、凝固物、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
【0270】
アンバーグリスチンキ、アミリス油、アンゼリカ種油、アンゼリカ根油、アニス油、吉草根油、メボウキ油、ウッドモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋アブソリュート、バーチタール油、ビターアーモンド油、セイバリー油、ブークリーフ油、カブリューバ油、カデ油、ショウブ油、ショウノウ油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシャ油、カッシャアブソリュート、カストリュームアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、ゴジアオイ油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタスルート油、クミン油、シプレス油、ダバナ油、イノンドハーブ油、イノンド種子油、オードブルアブソリュート(Eau de brouts absolute)、オークモスアブソリュート、エレミ油、エストラゴン油、ユーカリプトスシトリオドラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ムギワラギクアブソリュート、ムギワラギク油、ショウガ油、イリス根アブソリュート、イリス根油、ジャスミンアブソリュート、ショウブ油、ブルーカモミル油、ローマカモミール油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、キャラウェー油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、リトセアキュベバ油、ローレル(laurel)リーフ油、メース油、マジョラム油、マンダリン油、マッソイバーク油、ミモザアブソリュート、ジャコウ種子油、ジャコウチンキ、クラリセージ油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、ネロリ油、乳香アブソリュート、乳香油、オポパナックス(opopanax)油、オレンジフラワーアブソリュート、オレンジ油、オリガナム油、パルマローザ油、パッチュリ油、エゴマ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレン油、ペパーミント油、胡椒油、ピメント油、パイン油、ペニーローヤル油、ローズアブソリュート、ボアドローズ油、ローズ油、ローズマリー油、ダルマチアセージ油、スペインセージ油、白檀油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、エゴ油、タゲテス油、ファーニードル油、ティーツリー油、テレピン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナ油、ベチバ油、ジュニパーベリー油、ワイン澱油、アブサン油、ウィンターグリーン(winter green)油、ヒソップ油、シベットアブソリュート、シナモンリーフ油、シナモンバーク油及びこれらの画分又はこれらから単離される成分、
【0271】
炭化水素の群からの個別のフレグランス、例えば3-カレン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、アルファ-テルピネン、ガンマ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギフォレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタン、
【0272】
脂肪族アルコール、例えばヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、
【0273】
脂肪族アルデヒド及び脂肪族アルデヒドのアセタール、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エン、脂肪族ケトン及び脂肪族ケトンのオキシム、例えば2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、
【0274】
脂肪族硫黄含有化合物、例えば3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオール、
【0275】
脂肪族ニトリル、例えば2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、
【0276】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネート、
【0277】
非環式テルペンアルコール、例えばゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート、
【0278】
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えばゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル-及びジエチルアセタール、環状テルペンアルコール、例えばメントール、イソプレゴール、アルファ-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール(guajol)、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート、
【0279】
環状テルペンアルデヒド及びケトン、例えばメントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、ショウノウ、フェンコン、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、アルファ-n-メチルイオノン、ベータ-n-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、ベータ-イソメチルイオノン、アルファ-イロン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ベータ-ダマセノン、デルタ-ダマスコン、ガンマ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、アルファ-シネンサール、ベータ-シネンサール、アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)、
【0280】
環状アルコール、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
【0281】
脂環式アルコール、例えばアルファ-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、
【0282】
環状及び脂環式エーテル、例えばシネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、アルファ-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、
【0283】
環状及び大環状ケトン、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、
【0284】
脂環式アルデヒド、例えば2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、
【0285】
脂環式ケトン、例えば1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン、
【0286】
環状アルコールのエステル、例えば2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、
【0287】
脂環式アルコールのエステル、例えば1-シクロヘキシルエチルクロトネート、
【0288】
脂環式カルボン酸のエステル、例えばアリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモネート、cis-及びtrans-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、
【0289】
芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール、
【0290】
芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル、例えばベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、アルファ-トリクロロメチルベンジルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテート、
【0291】
芳香脂肪族エーテル、例えば2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、
【0292】
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、アルファ-ブチルシンナムアルデヒド、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、
【0293】
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えばアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン、
【0294】
芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸並びに芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸のエステル、例えば安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、cis-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート、
【0295】
窒素含有芳香族化合物、例えば2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン、
【0296】
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えばエストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、ベータ-ナフチルメチルエーテル、ベータ-ナフチルエチルエーテル、ベータ-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテート、
【0297】
複素環式化合物、例えば2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン、
【0298】
ラクトン、例えば1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン
を挙げることができる。
【0299】
少なくとも1種の非香料キャリアは、感覚特性又は注目に値する感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物又は他の添加剤であり得る。典型的には、少なくとも1種の非香料キャリアは、本発明による組成物に存在する場合、感覚特性又は注目に値する感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物又は他の添加剤である。非香料キャリアは、組成物に含まれる、香料(複数可)、すなわち、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、並びに化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)とは異なる、任意選択で1種以上のさらなる香料の希釈及び/又は定着に役立つ。
【0300】
適切なキャリア材料は、液体又は油状キャリア材料、及びワックス状又は固体キャリア材料であり得る。
【0301】
好ましくは、非香料キャリアは、本発明による組成物に存在する場合、界面活性剤、油成分及び溶媒からなる群から選択される。
【0302】
したがって、本発明のさらなる態様は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに上に定義されたような香料、界面活性剤、皮膚軟化剤(油成分)、溶媒、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物を対象とする。
【0303】
本発明の別の実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに界面活性剤、皮膚軟化剤(油成分)、溶媒、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物を対象とする。
【0304】
本発明の別の実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに皮膚軟化剤(油成分)、溶媒、抗酸化剤及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む組成物を対象とする。
【0305】
好ましくは、上及び下に記載されている組成物は、式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、又は式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を含む。
【0306】
本発明の一実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに少なくとも1種の溶媒を含む組成物を対象とする。
【0307】
本発明の文脈では、「溶媒」は、本発明によって使用される、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに/或いは組成物の任意のさらなる成分の希釈に役立ち、それ自体のアロマを有さない。
【0308】
1種以上の溶媒(複数可)は、本組成物に対して0.01~99重量%で本組成物中に存在し得る。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、本組成物に対して0.1~90重量%、好ましくは0.5~80重量%の溶媒(複数可)を含む。溶媒(複数可)の量は、組成物に応じて選択することができる。本発明の一実施形態において、組成物は、本組成物に対して0.05~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.2~3重量%を含む。本発明の一実施形態において、組成物は、本組成物に対して20~70重量%、好ましくは25~50重量%の溶媒(複数可)を含む。
【0309】
好ましい溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート(DEP)、イソプロピルミリステート(IPM)、トリエチルシトレート(TEC)及びベンジルベンゾエート(BB)である。
【0310】
本発明のより好ましい実施形態において、溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0311】
特に好ましい溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0312】
本発明の一実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又はその立体異性体の混合物、並びに少なくとも1種の抗酸化剤を含む組成物を対象とする。
【0313】
抗酸化剤は、酸素の効果及び他の酸化過程によって引き起こされる、保護される組成物における望ましくない変化を阻害又は予防することを可能にする。抗酸化剤の効果は、ほとんどの場合、抗酸化剤が自動酸化中に生じる遊離基に対する遊離基スカベンジャーとして作用することにある。
【0314】
抗酸化剤は、例えば
- アミノ酸(例えばグリシン、アラニン、アルギニン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、
- イミダゾール(例えばウロカニン酸)及びその誘導体、
- ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン(=β-アラニル-L-ヒスチジン)及びその誘導体、
- カロテノイド、カロテン(例えばアルファ-カロテン、ベータ-カロテン、リコペン、ルテイン)又はその誘導体、
- クロロゲン酸及びその誘導体、
- リポ酸及びその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、
- アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びにそのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、ガンマ-リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)並びにその塩、
- ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、
- スルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、
- (金属)キレート剤(例えばアルファ-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、
- アルファ-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、
- フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、ボルジン(=植物ペウムス・ボルドゥス(Peumus boldus)からのアルカロイド、ボルドー抽出物、
- EDTA、EGTA及びその誘導体、
- 不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えばガンマ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、
- 葉酸及びその誘導体、
- ユビキノン及びユビキノール並びにその誘導体、
- ビタミンC及び誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、
- トコフェロール及び誘導体(例えばビタミンEアセテート)、
- ビタミンA及び誘導体(例えばビタミンAパルミテート)、
- ガムベンゾインのコニフェリルベンゾエート、ルチン酸(rutic acid)及びその誘導体、アルファ-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、
- ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、
- ノルジヒドログアイアシン酸(nordihydroguaiacic acid)、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、
- スーパーオキシドディスムターゼ、
- 亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、
- セレン及びその誘導体(例えばセレノメチオニン)並びに
- スチルベン及びその誘導体(例えばスチルベンオキシド、trans-スチルベンオキシド)
からなる群から選択され得る。
【0315】
好ましい実施形態では、抗酸化剤は、ペンタエリスリチル、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート、ノルジヒドログアイアレチン酸、フェルラ酸、レスベラトロール、プロピルガレート、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビルパルミテート及びトコフェロールからなる群から選択される。
【0316】
本発明による組成物は、本組成物の合計重量に対して0.001~25wt%の量、好ましくは0.005~10wt%の量、好ましくは0.01~8wt%の量、好ましくは0.025~7wt%の量、好ましくは0.05~5wt%の量で抗酸化剤を含み得る。
【0317】
上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、消臭組成物とも共に使用できる。
【0318】
消臭組成物(デオドラント及び制汗剤)は、体の匂いを打ち消す、マスキングする、又は解消する。体の匂いは、アポクリン発汗時の皮膚細菌の作用を介して形成され、これにより、不快な匂いのする分解生成物が形成される。
【0319】
本発明の一実施形態は、したがって、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに少なくとも1種のデオドラント活性剤を含む組成物を対象とする。
【0320】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのデオドラント活性剤は、制汗剤、エステラーゼ阻害剤及び抗菌剤からなる群から選択される。
【0321】
適切な制汗剤は、アルミニウム、ジルコニウム又は亜鉛の塩からなる群から選択され得る。例は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート及び例えば1,2-プロピレングリコールとのその錯体化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルタレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート及び例えばグリシンなどのアミノ酸とのその錯体化合物である。アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート及びその錯体化合物が、好ましくは使用される。
【0322】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルタレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート及びアルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレートからなる群から選択される少なくとも1種の制汗剤を含む。
【0323】
本発明による組成物は、組成物の固形分に対して、制汗剤を1~50wt%の量、好ましくは5~30wt%の量、より詳細には10~25wt%の量で含み得る。
【0324】
汗がわきの下の領域に存在する場合、細胞外酵素であるエステラーゼ、主にプロテアーゼ及び/又はリパーゼが細菌により形成され、汗に存在するエステルを分裂させ、この工程の際に匂いが放出される。適切なエステラーゼ阻害剤は、例えばトリアルキルシトレート、例としてトリメチルシトレート、クエン酸トリプロピル、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、特にトリエチルシトレートである。エステラーゼ阻害剤は、酵素活性を阻害するので、匂いの形成を低減する。遊離酸は、おおかたクエン酸エステルの切断により放出され、皮膚のpH値を、酵素がアシル化により不活化される程度まで低下させる。他のエステラーゼ阻害剤は、ステロールスルフェート又はホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール及びシトステロールスルフェート又はホスフェート、ジカルボン酸及びそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチルエステル並びに亜鉛グリシネートである。
【0325】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、トリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレートトリエチルシトレート、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロールスルフェート、シトステロールホスフェート、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸、マロン酸ジエチルエステル、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ジエチルエステル及び亜鉛グリシネートからなる群から選択される少なくとも1つのエステラーゼ阻害剤を含む。
【0326】
本発明による組成物は、組成物の固形分に対して、0.01~20wt%の量、好ましくは0.1~10wt%の量、より詳細には0.5~5wt%の量でエステラーゼ阻害剤を含み得る。
【0327】
本明細書で使用する場合の「抗菌剤」という用語は、殺菌及び/又は静菌特性を有する物質を包含する。典型的には、これらの物質は、グラム陽性菌に対して作用し、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えばサリチル酸-n-オクチルアミド又はサリチル酸-n-デシルアミドである。
【0328】
好ましい実施形態では、抗菌剤は、キトサン、フェノキシエタノール、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミドからなる群から選択される。
【0329】
本発明による組成物は、組成物の固形分に対して、0.01~5wt.%の量、好ましくは0.1~2wt%の量で抗菌剤を含み得る。
【0330】
さらなる態様によれば、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、界面活性剤含有組成物中での使用に適している。その特徴的な香りプロファイルに従って、これらは、特に例えば洗浄剤(特に、ランドリーケア用品及び多目的洗浄剤)等の界面活性剤含有組成物の香り付けのために使用することができる。
【0331】
したがって、本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤を含み得る。界面活性剤(複数可)は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性若しくは双性イオン界面活性剤から選択されてもよい。例えばシャワージェル、泡入浴剤(foam bath)、シャンプー等の界面活性剤含有組成物は、好ましくは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0332】
本発明による組成物は通常、界面活性剤(複数可)を全体として(in the aggregate)、本組成物の合計重量に対して0~40重量%の量、好ましくは0~20重量%の量、より好ましくは0.1~15重量%の量、特に0.1~10重量%の量で含有する。非イオン性界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシ化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択により部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギを主体とした植物性生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート並びにアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、非イオン性界面活性剤は、従来のホモログ分布を有してもよいが、好ましくは、範囲が狭いホモログ分布を有する。
【0333】
双性イオン界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基及び少なくとも1個の-COO(-)又は-SO3
(-)基を含有する、表面活性化合物である。特に適切な双性イオン界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキル基又はアシル基中に8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。ココアミドプロピルベタインのCTFA名で知られた脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0334】
両性界面活性剤は、特に共界面活性剤としても適している。両性界面活性剤は、C8~C18アルキル又はアシル基に加えて、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基及び少なくとも1個の-COOH-基又は-SO3H-基を含有し、内塩を形成することができる、表面活性化合物である。適切な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート及びアシルサルコシンである。
【0335】
アニオン性界面活性剤は、水溶性化作用のあるアニオン性基、例えばカルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基又はリン酸基及び親油性基を特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、開業医には、関連する教本から多数知られており、市販されている。アニオン性界面活性剤は特に、直鎖状C12~C18アルキル基又はアシル基を含有する、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、アシルタウリン、並びに、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態のスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0336】
特に適切なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムのハロゲン化物、より特定すると塩化物及び臭化物、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。さらに、容易に生分解され得る第四級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名称で販売されているジアルキルアンモニウムメトスルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキル(dialkoyloxyalkyl)アンモニウムメトスルフェート並びに対応するDehyquart(登録商標)シリーズという製品が、カチオン性界面活性剤として使用されてもよい。「エステルクォート(esterquat)」は一般に、第四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解される。エステルクォートは、本組成物に格別の柔らかさを付与することができる。エステルクォートは、関連する有機化学的な方法によって調製された、公知の物質である。本発明による使用に適した他のカチオン性界面活性剤は、第四級化タンパク質加水分解物である。
【0337】
本発明の一実施形態は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又はその立体異性体の混合物、並びに少なくとも1種の油成分を含む組成物を対象とする。
【0338】
油成分は、一般的に、組成物に対して、0.1~80重量%、好ましくは0.5~70重量%、より好ましくは1~60重量%、さらにより好ましくは1~50重量%、特に1~40重量%、より特定すると5~25重量%、具体的には5~15重量%の総量で存在する。
【0339】
油成分は例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主体としたゲルベアルコール並びに他のさらなるエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート及びエルシルエルケートから選択されてもよい。同様に適しているものは、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖状又は分岐状C6~C22脂肪アルコールとのエステル、特により特定するとジオクチルマレート、直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール(dimer dial)若しくはトリマートリオール)とのエステル、C6~C10脂肪酸を主体としたトリグリセリド、C6~C18脂肪酸を主体とした液体状モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、より特定すると安息香酸とのエステル、ジカルボン酸と2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状及び分岐状C6~C22脂肪アルコールカルボネート、例えばジカプリリルカルボネート(Cetiol(登録商標)CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主体としたゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖状及び/又は分岐状C6~C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、アルキル基1個当たり6~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の対称又は非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物及び炭化水素或いはこれらの混合物である。
【0340】
上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物は、多種多様なアロマ組成物に使用できる。式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の嗅覚特性、物質特性(通常の溶媒への可溶度及びこのような組成物に属するさらなる通常の構成要素との適合性等)並びに毒物学的許容性は、記載してきた使用目的及び組成物に対する特段の適性を際立たせている。
【0341】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、組成物は、アロマ組成物、より好ましくは匂い組成物、より好ましくはフレグランス組成物である。
【0342】
本発明による組成物は、限定するものではないが、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物からなる群から選択することができる。
【0343】
ボディケア組成物の非限定例は、化粧品組成物である。洗浄組成物の非限定例は、食器洗い用組成物である。
【0344】
芳香組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状の形態又は固体キャリアに塗布された形態のエアフレッシュナー、エアロゾルスプレー、香り付き洗浄剤、香りキャンドル、及びオイル、例えばランプオイル又はマッサージ用オイルから選択することができる。
【0345】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物(perfume extracts)、オードパルファン、オードトワレ、オーデコロン、オードソリッド及びエクストレパルファン(Extrait Parfum)である。
【0346】
ボディケア用組成物は、化粧品組成物を含み、アフターシェーブ、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固体石けん及び液体石けん、シャワージェル、シャンプー、ひげ剃り用石けん、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品用エマルション、例えばスキンクリーム及びスキンローション、フェイスクリーム及びフェイスローション、日焼け止めクリーム及び日焼け止めローション、日焼けケア用クリーム及び日焼けケア用ローション、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びフットローション、脱毛クリーム及び脱毛ローション、アフターシェーブクリーム及びアフターシェーブローション、日焼けクリーム及び日焼けローション、ヘアケア製品、例えばヘアスプレー、ヘア用ジェル、整髪ローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、パーマネント型及びセミパーマネント型の毛染め剤、ヘアシェイピング用組成物、例えばコールドウェーブ用薬剤(cold wave)及びヘアスムージング用組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローション、消臭剤及び制汗剤、例えばわきの下用のスプレー剤、ロールオン、消臭スティック及び消臭クリーム、装飾化粧品、例えばアイライナー、アイシャドウ、マニキュア液、メーキャップ、口紅及びマスカラから選択することができる。
【0347】
口腔及び歯科衛生用品は、練り歯磨き、デンタルフロス、マウスウォッシュ、ブレスフレッシュナー、デンタルフォーム、デンタルジェル、及びデンタルストリップを含む。
【0348】
衛生用品は、線香、殺虫剤、防虫剤、噴射剤、さび取り剤、香り付きふき取りシート(perfumed freshening wipe)、わきパッド、赤ちゃん用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧品ふき取りシート(cosmetic wipe)、ポケットティッシュ、食洗機及び脱臭剤から選択することができる。
【0349】
洗浄組成物、例えば固体表面のための洗浄剤は、香り付きの酸性、アルカリ性及び中性洗浄剤、例えば床用洗浄剤、窓用洗浄剤、手洗い用及び機械洗浄用の食器洗い用洗剤、浴室用洗浄剤及びサニタリー用洗浄剤、スカーリングミルク(scouring milk)、固体型及び液体型トイレ用洗浄剤、粉末型及び泡型カーペット用洗浄剤、ワックス及び磨き剤、例えば家具用磨き剤、床用ワックス、靴クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー用洗浄剤、ブレーキ用洗浄剤、パイプ用洗浄剤、水垢除去剤、グリル用及びオーブン用洗浄剤、藻類除去剤及びコケ除去剤、カビ除去剤、ファサード洗浄剤(facade cleaner)から選択することができる。
【0350】
繊維用洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯用前処理剤、例えば漂白剤、漬け置き剤及び染み除去剤、繊維柔軟剤、洗濯用石けん、洗濯用錠剤から選択することができる。
【0351】
食品は、食べることができる生の、調理済みの若しくは加工済みの物質、氷、飲料、又は、人間の消費のために全体若しくは一部が使用される若しくは使用されることが意図された成分、或いは、チューインガム、グミ、ゼリー及び菓子類を意味する。
【0352】
栄養補助食品は、さらなる栄養価を飲食物に加えるように意図された食用成分を含有する、摂取が意図された製品である。食用成分は、次の物質、すなわち、ビタミン、ミネラル、ハーブ若しくは他の植物性薬品、アミノ酸、合計飲食物摂取量の増大によって飲食物を補助することを目的とした人々が使用するための飲食物用物質、濃縮物、代謝物質、構成要素又は抽出物のうちの1つ又は任意の組合せであってもよい。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、軟質ゲル、ジェルキャップ、液体又は粉末等の数多くの形態で見出され得る。
【0353】
医薬組成物は、疾患の診断、治療、軽減、処置又は予防における使用のために意図された組成物、及び、人間又は他の動物の身体の構造又は何らかの機能に影響するように意図された(食品以外の)物品を含む。
【0354】
作物保護組成物は、農業作物及び森林を損なう植物病害、雑草及び他の有害生物(脊椎動物と無脊椎動物との両方)の管理のために意図された、組成物を含む。
【0355】
本発明による組成物は、1種以上の物質、例えば、保存料、研磨剤、抗にきび剤、皮膚の老化を抑えるための作用物質、抗細菌剤、脂肪沈着防止剤、フケ防止剤、抗炎症剤、刺激予防剤、刺激緩和剤、抗菌剤、抗酸化剤、収れん剤、発汗抑制剤、消毒剤、静電気防止剤、結合剤、緩衝材、キャリア材料、キレート化剤、細胞刺激物質、洗浄剤、手入れ用物質(care agent)、脱毛剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、保留剤(fixative)、泡形成剤、泡安定剤、発泡を予防するための物質、発泡増進剤、殺菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアシェイピング剤、ヘアスムージング、水分付与剤、加湿物質、湿潤剤物質、漂白剤、補強剤、染み除去剤、蛍光増白剤、含浸剤、汚れ忌避剤(soil repellent)、摩擦低減剤、滑沢剤、加湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、磨き剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、加脂剤(refatting agent)、スクラブ剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤(warming agent)、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線フィルター、繊維柔軟剤、懸濁剤、日焼け剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ不飽和又はポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、着色防止剤(color-protection agent)、顔料、防食剤、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体をさらに含むことができる。
【0356】
上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びにこれらを含む本発明による組成物は、マイクロカプセル封入された形態、噴霧乾燥形態、包接錯体の形態、又は押出製品の形態であってもよい。より目標を絞った香気の放出に関する特性は、適切な材料を用いたいわゆる「コーティング」によって、さらに最適化することが可能であり、この目的のために、好ましくは、例えばポリビニルアルコール等のワックス状合成物質が使用される。
【0357】
マイクロカプセル封入は例えば、いわゆるコアセルベーション法によって、例えばポリウレタン状物質又は軟ゼラチンから製造されたカプセル材料を用いて実施することができる。噴霧乾燥された香油は、例えば、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、並びに上記本発明の方法によって得られる組成物を含むエマルション又は分散物を噴霧乾燥させることによって製造することができ、使用され得るキャリア物質は、変性デンプン、タンパク質、デキストリン、及び植物性ガムである。包接錯体は、例えば、フレグランス組成物及びシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散物を適切な溶媒、例えば水に導入することによって、調製することができる。押出製品は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物、或いは上記本発明の方法によって得られる組成物を、任意選択により適切な溶媒、例えばイソプロパノールに取り込ませた状態で、適切なワックス状物質と一緒にして溶融させ、押出した後に固化させることによって、製造することができる。
【0358】
一般に、本発明による組成物中の式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の合計量は、典型的には、特定の使用目的又は意図する用途に適合され、よって、広範囲にわたって変化し得る。原則として、従来の標準的な市販品の香りの量が用いられる。
【0359】
本発明による組成物は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、本組成物の合計重量に対して、0.001~99.9重量%、好ましくは0.01~90重量%、より好ましくは0.05~80%、特に0.1~60重量%、より特定すると0.1~40重量%、例えば0.1~10重量%又は0.1~15重量%の総量で含むことができる。
【0360】
本発明の一実施形態では、組成物は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、本組成物の合計重量に対して、0.001~5重量%、好ましくは0.01~2重量%の総量で含む。
【0361】
本発明のさらなる態様は、組成物、特にアロマ組成物、特定するとフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を調製する方法、又は組成物、特にアロマ組成物、特にフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、該組成物に、より正確には目標組成物に組み込んで、アロマ組成物、特にフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を得る工程を含む、方法を対象とする。
【0362】
或いは、本発明は、香料組成物、特にフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を調製する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、これらの化合物とは異なる少なくとも1種の香料と、及び/又は少なくとも1種の非香料キャリアと、及び/又は少なくとも1種の抗酸化物質と、及び/又は少なくとも1種のデオドラント活性剤と混合することを含む、方法を対象とする。適切で好ましい、これらの化合物とは異なる香料、非香料キャリア、抗酸化物質、及びデオドラント活性剤は、上に記載されている。例えば、この方法は、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物と、これらの化合物とは異なる香料、非香料キャリア、抗酸化物質、及びデオドラント活性剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分とを混合することによって実行することができる。
【0363】
好ましくは、本発明は、組成物、特にアロマ組成物、特定するとフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を調製する方法、又は組成物、特にアロマ組成物、特定するとフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)、又は一般式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、該組成物に、より正確には目標組成物に組み込んで、アロマ組成物、特にフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を得る工程を含む、方法を対象とする。
【0364】
代わりの好ましい実施形態では、本発明は、組成物、特にアロマ組成物、特定するとフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を調製する方法、又は組成物、特にアロマ組成物、特にフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)、又は一般式(I)、(II)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、該組成物に、より正確には目標組成物に組み込んで、アロマ組成物、特にフレグランス組成物、具体的にはすぐに使用できるフレグランス組成物を得る工程を含む、方法を対象とする。
【0365】
特に、本発明は、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物を調製する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の化合物、又は一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、該芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に組み込む工程を含む、方法を対象とする。
【0366】
特定すると、本発明は、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物を調製する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(III)の化合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)、又は一般式(I)、(II)及び(III)の2種以上の化合物の混合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、該芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に組み込む工程を含む、方法を対象とする。
【0367】
代わりの具体的な実施形態では、本発明は、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物を調製する方法であって、上に定義されたような式(I)、(II)若しくは(IV)の化合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)、又は一般式(I)、(II)及び(IV)の2種以上の化合物の混合物、好ましくは化合物(I)若しくは(II)の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物を、該芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に組み込む工程を含む、方法を対象とする。
【0368】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドは、グリーン、ウォータリー、キクの花のような、草のような、アルデヒド系、スズラン、革のような、テルペン系及び/又はナチュラルなノート、特にスズランノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0369】
特に、6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、スイカ、ウォータリー、グリーン、アーモンド、食べ物のような及び機械系ノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0370】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールは、キクの花のような、グリーン、ハーバル、埃っぽい、ディーゼルノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0371】
特に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートは、フローラル、ミュゲノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0372】
特に、6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、かび臭い、甘い、革のような、アグルミック、フレッシュ、ナツメグノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0373】
特に、6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンは、フルーティーノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0374】
特に、1000ppm以上の濃度で、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、動物系、インドール、機械系、溶媒系、刺激性及び/又はフェノール系ノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0375】
特に、0.1~400ppmの範囲、好ましくは0.2~300ppmの範囲、特に0.5~200ppmの範囲の濃度では、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールは、フェノール系、未熟なバナナ、ナッティー、ミルキー及び/又は温かみのあるノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0376】
したがって、本発明の一実施形態は、グリーン、ウォータリー、キクの花のような、草のような、アルデヒド系、スズランノート、革のような、テルペン系及び/又はナチュラルなノート、特にスズランノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドを含めることを含む、方法を対象とする。
【0377】
本発明の別の実施形態は、スイカ、ウォータリー、グリーン、アーモンド、食べ物のような及び機械系ノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1エンを含めることを含む、方法を対象とする。
【0378】
本発明の別の実施形態は、キクの花のような、グリーン、ハーバル、埃っぽい、ディーゼルノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを含めることを含む、方法を対象とする。
【0379】
本発明の別の実施形態は、フローラル、ミュゲノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートを含めることを含む、方法を対象とする。
【0380】
本発明の別の実施形態は、かび臭い、甘い、革のような、アグルミック、フレッシュ、ナツメグノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを含めることを含む、方法を対象とする。
【0381】
本発明の別の実施形態は、フルーティーノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを含めることを含む、方法を対象とする。
【0382】
本発明の別の実施形態は、動物系、インドール、機械系、溶媒系、刺激性及び/又はフェノール系ノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、該芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、1000ppm以上の濃度で2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールを含めることを含む、方法を対象とする。
【0383】
本発明の別の実施形態は、フェノール系、未熟なバナナ、ナッティー、ミルキー及び/又は温かみのあるノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物に付与する方法であって、当芳香組成物、ボディケア組成物、口腔及び歯科衛生用品、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、又は作物保護組成物中に、0.1~400ppmの範囲、好ましくは0.2~300ppmの範囲、特に0.5~200ppmの範囲の濃度で2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールを含めることを含む、方法を対象とする。
【0384】
本発明は、下の実施例によって例示される。
【0385】
[実施例]
省略形
GC:ガスクロマトグラフィー
GC-a%:GC面積%
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
MTBE:メチルtert.-ブチルエーテル
【0386】
cis-VIは、(5R,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び(5S,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンの異性体混合物を表す。
【0387】
trans-VIは、(5R,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び(5S,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンの異性体混合物を表す。
【0388】
2,5-trans-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オンは、(5R,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び(5S,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンの異性体混合物(trans-IV)を表す。
【0389】
2,5-cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オンは、(5R,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン及び(5S,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オンの異性体混合物(cis-IV)を表す。
【0390】
2,cis-5,cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オールは、(1R,5R,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール及び(1S,5S,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体混合物を表す。
【0391】
2,trans-5,cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オールは、(1R,5S,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール及び(1S,5R,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体混合物を表す。
【0392】
2,cis-5,trans-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オールは、(1R,5R,6S)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール及び(1S,5S,6R)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体混合物を表す。
【0393】
2-(2,trans-4,cis-5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)アセトアルデヒドは、2-((1R,4S,5R)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド及び2-((1S,4R,5S)-2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの異性体混合物を表す。
【0394】
分析
生成物の純度及び同一性を、GC(面積%)、1H-NMR (CDCl3, 500 MHz又は700 MHz)及び/又は13C-NMR (CDCl3,125 MHz又は176 MHz).により判定した。
【0395】
NMR法
すべてのNMR測定について、DPX500US (Bruker) 500 MHz NMR分光計を使用した。約20mgの検査する材料を、約700μLのCDCl3に溶解した。1HNMRスペクトル(500MHz、700MHz)及び13CNMRスペクトル(125MHz、176MHz)を、C/H-D-05 Z又は5mm CPTI 1H/19F-13C/15N/D Z-GRD検出プローブにおいて測定した。スペクトルの評価については、Mnova 9.1を使用した。必要な場合、2D-NMR実験を行った。
【0396】
GC法1
GCシステム:Agilent 6890 N
GCカラム:Agilent DB-17 (長さ:30m、ID:0.25mm、フィルム:0.25マイクロメートル)、フロー:0.7mL/分
温度プログラム:15℃/分で50℃から150℃、2℃/分で150Cから180℃、10℃/分で180℃から300℃。
【0397】
特徴的なGC保持時間(±0.2分)
1,2-ジエトキシエタン:3.8分
1-(1-イソブトキシエトキシ)-2-メチルプロパン:5.6分
1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセンの異性体を含む2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体:7.4~7.9分
2,3,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オールの異性体:6.8~7.3分
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(cis-VI):8.1分
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(trans-VI)7.9分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの異性体:9.2~10.4分
6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセンの異性体:9.8~10.2分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールの異性体:10.3~11.1分
6-(1-イソブトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセンの異性体:11.6~12.1分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートの異性体:12.1~13.5分
6-(2,2-ジイソブトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エン:18.2分
【0398】
GC法2
GCシステム:Shimadzu Nexis GC-2030
GCカラム:Agilent DB-17 (長さ:30m、ID:0.25mm、フィルム:0.25マイクロメートル)、フロー:1.2mL/分
温度プログラム:15℃/分で45℃から150℃、2℃/分で150℃から180℃、10℃/分で180℃から300℃、300℃を6分保持。
【0399】
特徴的なGC保持時間(±0.2分)
6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンの異性体:5.6~6.0分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールの異性体:6.5~6.8分
メチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートの異性体:8.9~9.4分
エチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネート:9.9~10.8分
【0400】
HPLC法
HPLCシステム:Agilent Series 1290
HPLCカラム:Ascentis Express RP-アミド、2.7μm、150×4.6mm von Supelco(登録商標)
溶離液:
A:水
B:アセトニトリル/2-プロパノール(1:1)
【0401】
【0402】
検出器:UV検出器 λ=205nm、BW=4nm、流速:1.0mL/分、注入:5μL、温度:40℃、実行時間:14分、圧力:約360bar
【0403】
特徴的なHPLC保持時間(±0.2分)
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(cis-VI):4.7分
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン(trans-VI):5.0分
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体:5.1~5.3分
2,3,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オールの異性体:5.7分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートの異性体:5.7分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールの異性体:6.1分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールの異性体:6.1~6.2分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの異性体:6.2~6.4分
メチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートの異性体:6.9分
2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートの異性体:7.0分
エチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートの異性体:7.2分
6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンの異性体:7.2~7.4分
1,4,5-トリメチル-6-ビニルオキシ-シクロヘキセンの異性体:7.1~7.4分
6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセンの異性体:7.0~7.3分
6-(1-イソブトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセンの異性体:8.0~8.1分
6-(2,2-ジイソブトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エン:8.9分
【0404】
1.調製実施例
1.1 LiAlH4を使用した2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの調製(LiAlH4を一部ずつ添加)
50gの2,5,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(純度: 98GC-a%;異性体分布:67GC-a% 2,5-trans-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(trans-IV)、31GC-a% 2,5-cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(cis-IV); 1.2GC-a% 2,3,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オンを含む;0.35mol、1eq)を、445gのジエチルエーテル(0.5L)に溶解し、0℃にした。120分の間に、3.78gのLiAlH4(95%、0.1mol、0.27eq)を10回に分けて添加した。反応混合物を、さらに20時間、0℃にて撹拌した。残存出発材料に基づいて、さらに0.34gのLiAlH4(95%、0.009mol、0.03eq)を、30分の間に6回に分けて添加した。反応混合物を、さらに20時間、0℃にて撹拌した。続いて、6.4mLの蒸留水を0~5℃の温度にて30分で添加した。6.4mLの15% NaOH(aq)を、15分の間に添加した。さらに19.2mLの蒸留水を添加し、反応混合物を30分撹拌した。50gのNa2SO4を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。500mL G3吸引フィルターを使用して、反応混合物を濾過した。濾過ケーキを、100mLのジエチルエーテルによって2回洗浄した。濾液の有機溶媒を、50℃、750~4mbarにて減圧下で除去した。白色固体(99%収率)として、96.8GC-a%の標題化合物である2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール、及び1.7GC-a%の2,3,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オールを含む、49.5gの粗生成物を得た。生成物の同一性を、GC及び1H-NMR/13C-NMRによって確認した。
【0405】
GC保持時間
2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体:7.4~7.9分
2,3,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オールの異性体:6.8~7.3分
【0406】
NMR実験によって、3種の主な立体異性体の存在が示された。
【0407】
2,cis-5,trans-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オール:
13C-NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 136.11, 123.88, 76.54, 44.30, 34.70, 34.22, 19.56, 19.39, 15.98.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.44 (dd, J = 4.3, 2.4 Hz, 1H), 3.59 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 2.03 - 1.59 (m, 5H), 1.39 (s, 1H), 1.27 - 1.15 (m, 1H), 1.07 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.93 (m, 3H).
【0408】
2,cis-5,cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オール:
13C-NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 134.54, 122.93, 73.46, 38.65, 31.60, 30.48, 19.56, 18.63, 6.73.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.41 - 5.33 (m, 1H), 4.19 (s, 1H), 1.97 - 1.65 (m, 7H), 0.99 - 0.87 (m, 3H), 0.83 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
【0409】
2,trans-5,cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オール:
13C-NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 135.40, 125.14, 72.93, 40.46, 35.19, 27.85, 21.18, 18.93, 14.80.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.52 - 5.47 (m, 1H), 3.69 (dd, J = 7.1, 3.3 Hz, 1H), 2.12 - 1.46 (m, 6H), 1.39- 1.31 (m, 1H), 1.04 -1.01 (d, J = 6.9 Hz,3H), 0.96 - 0.88 (m, 3H).
【0410】
実施例1.1において得た生成物の純度及び異性体分布:
【0411】
【0412】
1.2 LiAlH4を使用した2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの調製(逆添加)
-3℃にて1778gのジエチルエーテル(2L)中の17gのLiAlH4(95%、0.43mol、0.3eq)に、200gの2,5,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(純度:98GC-a%;異性体分布:67GC-a% 2,5-trans-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(trans-IV)、31GC-a% 2,5-cis-6-トリメチル-2-シクロヘキサン-1-オン(cis-IV);1.2GC-a% 2,5,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オンを含む;1.42mol、1eq)を、0~4℃にて、180分の間に滴加した。反応混合物を、さらに20時間、0℃にて撹拌した。続いて、16.4mLの蒸留水を5~8℃の温度にて30分で添加した。16.4mLの15% NaOH(aq)を、15分の間に添加した。さらに47.2mLの蒸留水を添加し、反応混合物を30分撹拌した。200gのNa2SO4を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。G3吸引フィルターを使用して、反応混合物を濾過した。濾過ケーキを、500mLのMTBEによって2回洗浄した。濾液の有機溶媒を、60℃、750~5mbarにて減圧下で除去した。白色固体(95.2GC-a%純度、1.8GC-a%のMTBE、99%収率)として、97.7GC-a%の標題化合物である2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール、及び1.3GC-a%の2,3,6-トリメチルシクロヘキサノールを含む(MTBEを含めずに計算)、206.2gの粗生成物を得た。生成物の同一性を、GC及び1H-NMR/13C-NMRによって確認した。
【0413】
実施例1.2において得た生成物の純度及び異性体分布:
【0414】
【0415】
GCによって2種の2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの異性体同士は分離されなかったが、1H-NMR/13C-NMRによって、合計3種の主な異性体が確認された(実施例1.1を参照されたい)。
【0416】
1.3 NaBH4を使用した2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの調製
120gの2,5,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン(純度:98GC-a%;異性体分布:67GC-a% 2,5-trans-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、31GC-a% 2,5-cis-6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン;1.2GC-a% 2,5,6-トリメチルシクロヘキサン-1-オンを含む;0.85mol、1eq)を、948gのメタノール(1.2L)に溶解し、0~5℃にした。120分の間に、35.66gのNaBH4(99%、0.93mol、1.1eq)を12回に分けて添加した。反応混合物を、さらに120分、2~8℃にて撹拌した。続いて、750mLの蒸留水を0~15℃の温度にて5分で添加した。反応混合物をさらに30分撹拌し、1.5LのMTBEを添加した後、相同士を分離した。450mLのMTBEを使用して、水性相をさらに抽出した。有機相同士を組み合わせ、200mLの飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、40℃、250~5mbarにて減圧下で溶媒を除去した。白色固体(89%収率)として、89.6GC-a%の標題化合物である2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オール、及び9.4GC-a%の2,3,6-トリメチルシクロヘキサノールを含む、107gの粗生成物を得た。生成物の同一性を、GC及び1H-NMR/13C-NMRによって確認した。
【0417】
実施例1.3において得た生成物の純度及び異性体分布:
【0418】
【0419】
1.4 リン酸の存在下で、イソブチルビニルエーテルを使用した2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの調製
80gの2,5,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オール(97GC-a%、0.55mol、1eq)を、121.9gのイソブチルビニルエーテル(158mL、1.22mol、2.2eq)に溶解した。0.32gのリン酸(85%、0.17mL、2.8mmol、0.005eq)を、20℃にて添加した。反応混合物に3barの窒素圧力をもたらし、150℃とし、5.3~5.0barで5時間撹拌した。反応混合物を室温にし、800mLのシクロヘキサンを添加した。有機相を75mLの5% NaHCO3(aq)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、シリカゲルで濾過した。濾過ケーキを、それぞれ300mLのシクロヘキサンによって2回洗浄した。溶媒を、60℃、110~5mbarにて減圧下で除去した。黄色液体として、104.6gの粗2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドを得た(47GC-a%純度、GC-a%に基づいて53%収率)。主な副生成物は、18GC-a%を有する、アセタール化合物の1-(1-イソブトキシエトキシ)-2-メチルプロパンである。さらに、中間体として形成される、15~20GC-a%のアセタール異性体、6-(1-イソブトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンが粗生成物中に見出されるが、さらに変換して生成物にすることができる。
【0420】
反応を5時間を超えて実施する場合に粗生成物中に見出され得る副生成物は、6-(2,2-ジイソブトキシエチル)-1,3,4-トリメチル-シクロヘキセンである。
【0421】
【0422】
この副生成物も、さらに変換して所望の標題化合物にすることができる。
【0423】
生成物の同一性を、GC及び1H-NMR/13C-NMRによって確認した。
【0424】
主な立体異性体である2-(2,trans-4,cis-5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル-)アセトアルデヒドのNMRデータ:
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ = 9.77 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 5.25 (s, 1H), 2.74 - 2.58 (m, 2H), 2.36 - 2.22 (m, 1H), 1.79 (m,1H), 1.75 - 1.58 (m, 4H), 1.21 (m, 1H), 1.18 - 1.01 (m, 1H), 1.05 - 0.88 (m, 6H).
13C-NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 203.16, 133.32, 131.45, 47.70, 39.56, 38.07, 36.16, 35.10, 21.28, 19.96, 19.91.
【0425】
1.5 2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの精製
実施例1.3において得た粗2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドを、Tbath124~135℃、Tin103~117℃、Thead78℃にて、7~8mbarで、V4Aで充填した40cmカラム(Normag)を使用して、分別蒸留に供した。無色~わずかに黄色の液体として、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドを、96GC-a%超の純度で得ることができた。
【0426】
Pilodist HRS 500 C(同心円管塔を有するセミマイクロ蒸留システム)を使用して、Tbath 108~119℃、Tin 93~98℃、Tmantle=65~67、Thead 69~71℃にて、3mbarで、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドを、98GC-a%超の純度で、無色液体として得ることができた。
【0427】
1.6 リン酸の存在下で、エチルビニルエーテルを使用した2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドの調製
イソブチルビニルエーテルの代わりにエチルビニルエーテルを使用したことを除いて、実施例1.4に記載されているように反応を行った。後処理の後、85gの粗2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドを得た(57.7HPLC-a%純度、HPLC-a%に基づいて54%収率)。粗生成物中に、15HPLC-a%の6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチル-シクロヘキセンの異性体が見出される。
【0428】
1.7 6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンの調製
50gの2,5,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オール(96GC-a%、0.34mol、1eq)を、54.87gのエチルビニルエーテル(73.16mL、0.76mol、2.2eq)に溶解した。0.4gのリン酸(85%、0.21mL、3.5mmol、0.01eq)を、20℃にて添加した。反応混合物を45℃に加熱し、18時間撹拌した。750mLのシクロヘキサンを、反応混合物に添加した。有機相を、それぞれ50mLの5% NaHCO3(aq)で2回洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させた。溶媒を、50℃、150~4mbarにて減圧下で除去した。86GC-a%純度及び89%収率で、無色液体として74.8gの粗生成物、6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを得た。
【0429】
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n-ヘキサン:酢酸エチル 20:1)の後、生成物である6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを、95HPLC-a%の純度で得た。
【0430】
生成物の同一性を、GC並びに1H-/13C-NMR及び2D-NMRによって確認した。
【0431】
主な立体異性体のNMRデータ
異性体1
1H-NMR (700 MHz, CDCl3): δ = 5.49 - 5.43 (m, 1H), 4.79 - 4.75 (m, 1H), 3.74 - 3.50 (m, 3H), 2.09 - 1.58 (m, 6H), 1.52 - 1.39 (m, 1H), 1.37 - 1.29 (m, 3H), 1.25 - 1.15 (m, 3H), 0.99 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 0.98 - 0.97 (m, 3H).
13C-NMR (176 MHz, CDCl3): δ = 133.92, 124.71, 99.61, 81.56, 60.04, 40.83, 33.24, 32.89, 21.0 - 19.5, 21.0 - 19.5, 21.0 - 19.5, 16.70, 15.43.
【0432】
異性体2
1H-NMR (700 MHz, CDCl3): δ = 5.49 - 5.43 (m, 1H), 4.77 (m, 1H), 3.74 - 3.47 (m, 3H), 2.09 - 1.54 (m, 5H), 1.48 (m, 2H), 1.39 - 1.29 (m, 3H), 1.25 - 1.17 (m, 3H), 1.07 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 0.98 - 0.95 (m, 3H).
13C-NMR (176 MHz, CDCl3): δ = 134.58, 124.72, 101.41, 82.16, 60.93, 41.48, 33.88, 33.48, 21.0 - 19.5, 21.0 - 19.5, 21.0 - 19.5, 16.43, 15.38.
【0433】
異性体3
1H-NMR (700 MHz, CDCl3): δ = 5.39 (m, 1H), 4.84 (q, J = 5.5 Hz, 1H), 4.27 (m, 1H), 3.74 - 3.45 (m, 2H), 2.08 - 1.63 (m, 7H), 1.38 - 1.30 (m, 3H), 1.24 - 1.14 (m, 3H), 0.93 (m, 3H), 0.75 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
13C-NMR (176 MHz, CDCl3): δ = 133.84, 123.23, 96.79, 76.72, 58.89, 35.35, 31.39, 29.79, 21.0 - 19.5, 21.0 - 19.5, 19.22, 15.47, 5.93.
【0434】
異性体4
1H-NMR (700 MHz, CDCl3): δ = 5.36 (m, 1H), 4.78 - 4.74 (m, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.67 - 3.51 (m, 2H), 2.08 - 1.65 (m, 7H), 1.38 - 1.30 (m, 3H), 1.25 - 1.14 (m, 3H), 0.93 (dd, J = 6.7, 4.3 Hz, 3H), 0.83 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
13C-NMR (176 MHz, CDCl3): δ = 134.15, 123.23, 101.41, 80.07, 59.62, 37.83, 31.77, 29.83, 21.0 - 19.5, 21.0 -19.5, 19.16, 15.47, 6.16.
【0435】
1.8 2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールの調製
6.5gの2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒド(97.0GC-a%、38mmol、1eq)を、51.4gのメタノール(65mL、1.6mol、43eq)に溶解し、0~5℃に冷却した。温度を0~8℃に保ちながら、2.7gの水素化ホウ素ナトリウム(71mmol、1.9eq)を少量ずつ添加した。反応混合物を、さらに2時間、2~8℃にて撹拌した。40mLの水を反応混合物に、0~15℃の温度にて、5分の間に添加した。反応混合物をさらに30分撹拌し、その後、80mLのメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)を使用して抽出した。相同士を分離し、水性相をさらに25mLのMTBEによって抽出した。有機相同士を組み合わせ、10mLの飽和NaCl溶液によって2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。溶媒を、40℃、250~5mbarにて減圧下で除去した。90.4HPLC-a%純度及び89%収率で、無色液体として6.3gの粗生成物、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを得た。
【0436】
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン:酢酸エチル 20:1)の後、生成物である2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを、99.4HPLC-a%の純度で得た。
【0437】
主な立体異性体の同一性を、HPLC及び1H-/13C-NMRによって確認した。
【0438】
主な立体異性体である2-(2,trans-4,cis-5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールのNMRデータ:
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.19 (s, 1H), 3.81 - 3.56 (m, 2H), 2.21 (s, 1H), 1.97 (m, 1H),1.76 (m, 1H), 1.67 (s, 4H), 1.45 - 1.33 (m, 1H), 1.14 (m, 1H),
1.05 - 0.88 (m, 7H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 135.41, 130.25, 60.74, 38.59, 37.99, 36.56, 36.21, 36.10, 21.22, 20.08, 20.07.
【0439】
1.9 2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートの調製
5gの2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オール(97.8GC-a%、29mmol、1eq)を、43.5gのトルエン(50mL、443mmol、15.3eq)に溶解し、1.61gのピリジン(1.64mL、20mmol、0.7eq)を添加した。続いて、3.19gの塩化アセチル(2.9mL、41mmol、1.4eq)を、室温にて、60分の間に添加した。室温にて18時間撹拌した後、50mLの水を添加し、相同士を分離した。50mLの水で、有機相を1回抽出した。相同士を分離した。有機相を、Na2SO4を使用して乾燥させた。溶媒を、50~60℃、200~5mbarにて減圧下で除去した。98.3GC-a%純度及び80%収率で、無色液体として5gの粗生成物、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートを得た。
【0440】
主な立体異性体の同一性を、GC及び1H-/13C-NMRによって確認した。
【0441】
主な立体異性体である2-(2,trans-4,cis-5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートのNMRデータ:
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.20 (s,1H), 4.22 - 4.00 (m, 2H), 2.30 - 2.13 (m, 1H), 2.10 - 1.95 (m, 4H), 1.75 (ddd, J = 12.7, 5.5, 2.5 Hz, 1H), 1.65 (s, 4H), 1.53 - 1.38 (m, 1H), 1.20 -1.08 (m, 1H), 1.07 - 0.96 (m, 1H), 0.95 (m, 6H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 171.13, 134.69, 130.64, 62.64, 38.43, 37.97, 36.72, 36.18, 31.89, 21.12, 21.03, 20.05, 20.04.
【0442】
1.10 メチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートの調製
2.8gの2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オール(97GC-a%、16mmol、1eq)を、36.4gのジメチルカーボネート(37mL、400mmol、25eq)に溶解した。続いて、2.9gの炭酸カリウム(21mmol、1.3eq)を添加した。懸濁液を加熱して還流させ、8時間撹拌した。反応の間、留出物を除去する。一晩、完全な還流にて反応を行った。さらに1時間撹拌し、留出物を除去した後、反応混合物を50℃にし、濾過した。濾過ケーキを、それぞれ25mLのジメチルカーボネートによって2回洗浄する。濾液の溶媒を、60℃、75~3mbarにて減圧下で除去した。93.3GC-a%純度及び84%収率で、3.3gの粗生成物、メチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートを得た。
【0443】
「Kugelrohr」装置を使用して、115~120℃、0.2mbarにて粗生成物を蒸留した。無色液体として、96.7GC-a%純度及び残留する1.1GC-a%の2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを有する、2.6gのメチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートを得た。
【0444】
主な立体異性体の同一性を、GC及び1H-/13C-NMRによって確認した。
【0445】
主な立体異性体であるメチル(2-(2,trans-4,cis-5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートのNMRデータ:
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.20 (s, 1H), 4.18 (m,2H), 3.77 (s, 3H), 2.35 - 2.13 (m, 1H), 2.08 (m, 1H), 1.77 (ddd, J = 12.7, 5.5, 2.5 Hz, 1H),1.65 (s, 4H).
1.48 (m, 1H), 1.14 (m,1H), 1.02 (q, J = 12.2 Hz, 1H), 0.95 (m, 6H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 155.86, 134.54, 130.74, 66.22, 54.63, 38.40, 37.97, 36.46, 36.16, 31.98, 21.08, 20.05, 20.03.
【0446】
1.11 エチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートの調製
4.5gの2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オール(98.6GC-a%、26mmol、1eq)を、77.2gのジエチルカーボネート(78.8mL、654mmol、25eq)に溶解した。続いて、4.7gの炭酸カリウム(34mmol、1.3eq)を添加した。懸濁液を加熱して還流させ、8時間撹拌した。反応の間、留出物を除去する。一晩、完全な還流にて反応を行った。さらに1時間撹拌し、留出物を除去した後、反応混合物を50℃にし、濾過した。濾過ケーキを、それぞれ25mLのジエチルカーボネートによって2回洗浄する。濾液の溶媒を、60℃、75~3mbarにて減圧下で除去した。93.2HPLC-a%純度及び81%収率で、5.5gの粗生成物、エチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートを得た。
【0447】
「Kugelrohr」装置を使用して、80~85℃、0.3~0.15mbarにて粗生成物を蒸留した。97HPLC-a%純度を有する、無色液体として4.3gのエチル(2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートを得た。
【0448】
主な立体異性体の同一性を、HPLC及び1H-/13C-NMRによって確認した。
【0449】
主な立体異性体であるエチル(2-(2,trans-4,cis-5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチル)カーボネートのNMRデータ:
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.20 (s, 1H), 4.30 - 4.07 (m, 4H), 2.31 - 2.19 (m, 1H), 2.09 - 2.04( m,1H), 1.77 (ddd, J = 12.7, 5.5, 2.6 Hz, 1H), 1.65 (s, 4H), 1.54 - 1.40 (m, 1H), 1.31 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.21 (m, 1H),1.09 - 0.97 (m, 1H), 0.95 (m, 6H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 155.25, 134.59, 130.70, 65.99, 63.84, 38.39, 37.96, 36.44, 36.14, 31.99, 21.08, 20.04, 20.02, 14.30.
【0450】
1.12 6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンの調製
80gのキシレン及び0.1gのジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.1mL、0.8mmol、0.03eq)中の1.11gのナトリウム(46.2mmol、1.65eq)を、110℃にした。3時間の間に、20gのキシレン中の5gの2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オール(94.6GC-a%、28mmol、1eq)を、113~118℃にて滴加し、113℃にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を131℃にし、800rpmで撹拌した。2.39gのジメチルスルフェート(1.8mL、18.9mmol、0.68eq)を、131~134℃にて2時間の間に添加した。反応混合物を250rpmで130℃にて4時間、及び週末の間は室温にて撹拌した。
【0451】
続いて、反応混合物を30gの蒸留水に添加し、80℃にし、4時間撹拌した。次いで、反応混合物を50℃にし、相同士を分離した。50mLのキシレンを使用して、水性相を1回抽出した。硫酸ナトリウムを使用して有機相を乾燥させ、濾過した。溶媒を50℃、40~15mbarにて除去した。76GC-a%純度及び84%収率で、5.6gの粗生成物、6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを得た。さらに、18GC-a%の未反応出発材料、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを回収した。
【0452】
「Kugelrohr」装置を使用して、55~65℃、0.05mbarにて粗生成物を蒸留した。2GC-a%の出発材料、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを含有するが、95.2GC-a%純度で、無色液体として2.7gの6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを得た。
【0453】
主な立体異性体の同一性を、GC及び1H-/13C-NMRによって確認した。
【0454】
主な立体異性体である6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンのNMRデータ:
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.17 (s, 1H), 3.44 - 3.38 (m, 2H), 3.33 (s, 3H), 2.27 - 2.11 (m, 1H), 2.07 - 1.95 (m, 1H), 1.75 (ddd, J = 12.7, 5.5, 2.6 Hz, 1H), 1.65 (s, 4H), 1.41 - 1.27 (m, 1H), 1.13 (m, J = 1H), 1.04 - 0.97 (m, 1H), 0.94 (dd, J = 6.9, 4.0 Hz, 6H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 135.43, 130.16, 70.70, 58.59, 38.69, 38.06, 36.77, 36.26, 33.02, 21.17, 20.11, 20.10.
【0455】
1.13 6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンの調製
100gのキシレン及び0.1gのジエチレングリコールモノメチルエーテル(0.1mL、0.8mmol、0.03eq)中の1.05gのナトリウム(43.8mmol、1.65eq)を、110℃にした。3時間の間に、20gのキシレン中の4.5gの2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オール(99.5GC-a%、26.6mmol、1eq)を、113~118℃にて滴加し、113℃にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を131℃にし、800rpmで撹拌した。2.54gのジエチルスルフェート(1.91mL、18.1mmol、0.68eq)を、131~134℃にて2時間の間に添加した。反応混合物を250rpmで130℃にて4時間、及び週末の間は室温にて撹拌した。
【0456】
続いて、反応混合物を30gの蒸留水に添加し、80℃にし、4時間撹拌した。次いで、反応混合物を50℃にし、相同士を分離した。50mLのキシレンを使用して、水性相を1回抽出した。硫酸ナトリウムを使用して有機相を乾燥させ、濾過した。溶媒を50℃、40~15mbarにて除去した。68GC-a%純度及び64%収率で、4.9gの粗生成物、6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを得た。さらに、28GC-a%の未反応出発材料、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを回収した。
【0457】
「Kugelrohr」装置を使用して、55~65℃、0.05mbarにて粗生成物を蒸留した。1.3GC-a%の出発材料、2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールを含有するが、97.7GC-a%純度で、無色液体として1gの6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンを得た。
【0458】
主な立体異性体の同一性を、GC及び1H-/13C-NMRによって確認した。
【0459】
主な立体異性体である6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンのNMRデータ:
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 5.17 (s, 1H), 3.57 - 3.38 (m, 4H), 2.25 - 2.13 (s, 1H), 2.07 - 1.96 (m, 1H), 1.78 - 1.70 (m, 1H), 1.66 (s, 4H), 1.44 - 1.32 (m, 1H), 1.21 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.17 - 1.08 (m, 1H), 1.05 - 0.90 (m, 7H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ = 135.54, 130.09, 68.64, 66.18, 38.71, 38.03, 36.89, 36.26, 33.14, 21.20, 20.11, 20.10, 15.28.
【0460】
2.嗅覚評価
本発明の化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)の匂いの質及び強さを試験するために、香りストリップ試験を行った。
【0461】
この目的のために、吸収紙のストリップを、化合物(I)、(II)、(III)若しくは(IV)、又はこれらの混合物の0.01~10重量%溶液を含有する溶液へと浸漬させた。溶液は、250ppmのトコフェロールを含むクエン酸トリエチルを溶媒として使用することによって調製した。別段述べられていない限り、典型的には、250ppmのトコフェロールを含むクエン酸トリエチル中、化合物(I)、(II)、(III)若しくは(IV)、又はこれらの混合物の10重量%ストック溶液を調製した。より高希釈の溶液の調製のためには、典型的には、エタノールをさらなる溶媒として使用した。新たに浸漬させた吸取紙を使用して、香りの印象を、4人の熟練パフューマーのパネルにより嗅覚で評価した。
【0462】
香り試験の結果を表1にまとめる。
【0463】
【0464】
販売製品及び都合のよいフレグランス組成物
溶液Aは、クエン酸トリエチル中、実施例1.1から得た2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オールの10重量%溶液であり、さらに0.025重量%(250ppm)のトコフェロールを含む。
【0465】
溶液Bは、実施例1.5から得た2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)アセトアルデヒドである。
【0466】
溶液Cは、実施例1.7から得た6-(1-エトキシエトキシ)-1,4,5-トリメチルシクロヘキサ-1-エンである。
【0467】
溶液Dは、実施例1.8から得た2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エタン-1-オールである。
【0468】
溶液Eは、実施例1.9から得た2-(2,4,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)エチルアセテートである。
【0469】
溶液Fは、実施例1.12から得た6-(2-メトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンである。
【0470】
溶液Gは、実施例1.13から得た6-(2-エトキシエチル)-1,3,4-トリメチルシクロヘキサ-1-エンである。
【0471】
都合のよいフレグランス組成物
上に記載されている溶液Aは、表2による組成物に配合した。表2に与えられる量は、グラムにおける重量単位である。
【0472】
【0473】
上に記載されている溶液Bは、表3による組成物に配合した。表3に与えられる量は、グラムにおける重量単位である。
【0474】
【0475】
フレグランス組成物3は、溶液Aが同量の溶液Cに置き換えられたフレグランス組成物1Aに対応する。フレグランス組成物4は、溶液Aが同量の溶液Dに置き換えられたフレグランス組成物1Bに対応する。フレグランス組成物5は、溶液Bが同量の溶液Eに置き換えられたフレグランス組成物2Aに対応する。フレグランス組成物6は、溶液Bが同量の溶液Fに置き換えられたフレグランス組成物2Bに対応する。フレグランス組成物7は、溶液Bが同量の溶液Gに置き換えられたフレグランス組成物2Bに対応する。
【国際調査報告】