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特表2022-541050有色エフェクト顔料およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(54)【発明の名称】有色エフェクト顔料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/06 20060101AFI20220913BHJP
   C09C 1/40 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C09C3/06
C09C1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503530
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020068961
(87)【国際公開番号】W WO2021013513
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】102019210687.0
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037AA05
4J037AA06
4J037CA09
4J037CB23
4J037DD05
4J037FF18
(57)【要約】
本発明は、a)基材プレートレットおよびb)被覆を含んでなるエフェクト顔料に関する。該被覆は、(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物並びに(ii)顔料の群からの着色化合物を含んでなる、少なくとも1つの層を含む。本発明は、エフェクト顔料の製造方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基材プレートレットおよびb)被覆を含んでなるエフェクト顔料であって、該被覆は、
(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物、並びに
(ii)顔料の群からの着色化合物
である少なくとも1つの層を含んでなる、エフェクト顔料。
【請求項2】
前記被覆は前記基材プレートレットを完全に覆っていることを特徴とする、請求項1に記載のエフェクト顔料。
【請求項3】
前記被覆は層を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のエフェクト顔料。
【請求項4】
前記被覆は合計で少なくとも2つ、好ましくは2つまたは3つの層を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のエフェクト顔料。
【請求項5】
前記金属酸化物および/または金属酸化物水和物(i)は、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のエフェクト顔料。
【請求項6】
前記金属酸化物および/または金属酸化物水和物(i)は二酸化ケイ素であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のエフェクト顔料。
【請求項7】
前記基材プレートレットは金属、好ましくはアルミニウムまたは合金製であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のエフェクト顔料。
【請求項8】
前記少なくとも1つの層は湿式化学的に、好ましくはゾル-ゲル法を用いて適用されたものであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のエフェクト顔料。
【請求項9】
単官能性または二官能性有機化合物、好ましくはシランが前記被覆に結合していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のエフェクト顔料。
【請求項10】
着色化合物の粒度D90、好ましくは粒度D95、より好ましくは粒度D99、非常に特に好ましくは粒度D100は前記少なくとも1つの層の層厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のエフェクト顔料。
【請求項11】
a)基材プレートレットおよびb)被覆を含んでなり、
該被覆が、
(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物、並びに
(ii)顔料からなる群から選択される着色化合物
である少なくとも1つの層を含んでなる、エフェクト顔料の製造方法であって、
(α)前記基材プレートレットを有機または水性溶媒に懸濁する工程、
(β)工程(α)で懸濁された前記基材ウェハを、ゾル-ゲル法を用いて、
(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物および
(ii)顔料からなる群から選択される着色化合物
である層で被覆する工程
を含む方法。
【請求項12】
金属アルコキシド、および顔料の群からの着色化合物をゾル-ゲル法で使用することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ゾル-ゲル法で使用する金属アルコキシドは、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、およびそれらの混合物からなる群から選択され、テトラエチルオルトシリケートが好ましいことを特徴とする、請求項11または12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ゾル-ゲル法において、少なくとも1個の塩基性基を有するシランを更に使用することを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(α)で使用する前記基材ウェハは、金属酸化物および/または金属酸化物水和物の少なくとも1つの層で既に被覆されていることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、基材プレートレットと被覆を含んでなるエフェクト顔料であって、該被覆は金属酸化物および/または金属酸化物水和物を含んでなる少なくとも1つの層を有する、エフェクト顔料に関する。本出願は更に、エフェクト顔料の製造方法を記載している。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた様々なカラーリング系が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を伴った長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆物質(いわゆる顕色成分)および発色成分を含み、これらは、過酸化水素などの酸化剤の影響を受けて、互いに実際の染料を生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0003】
直接染料を使う場合、既に調製された染料が着色剤から毛髪繊維に拡散する。酸化染毛と比べて、直接染料を用いて得られた染色物は、色の保持時間が短く、より迅速な洗浄性を有する。直接染料による染色は通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0004】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるため、有色顔料の使用が知られている。有色顔料は、不溶性の着色物質と理解されている。有色顔料は、小粒子として染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚の表面にもっぱら付着する。従って、有色顔料は通常、界面活性剤を含む洗剤で数回洗えば、残留することなく通常除去され得る。このタイプの製品は、「ヘアマスカラ」の名称で様々なものが市販されている。
【0005】
特に長持ちする染色物を使用者が望む場合は、これまで酸化染料を使うしかなかった。しかし、多くの最適化を試みても、酸化染毛ではアンモニアまたはアミンの不快な臭いを完全に回避することはできない。また、酸化染料の使用に伴う毛髪の損傷は、使用者の毛髪にも悪影響を及ぼす。
【0006】
欧州特許第2168633号明細書では、顔料を用いた長持ちするヘアカラーの製造という課題が扱われている。同文献では、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム形成ポリマーおよび溶剤の組合せを毛髪に対して使用した場合、シャンプーに対する耐性が特に高い着色が可能であることが教示されている。
【0007】
金属光沢顔料または金属エフェクト顔料は、多くの技術分野で広く使用されている。それらは、例えば、カラー被覆、印刷インク、インク、プラスチック、ガラス、セラミック製品、およびマニキュア液などの装飾化粧品の調製に使用されている。それらは、魅力的な角度依存性の色の印象(ゴニオクロミズム)と金属のように見える光沢を特徴とする。
【0008】
メタリック仕上げやメタリックハイライトを備えた毛髪が流行している。メタリックな色調によって毛髪がより豊かでより艶やかに見える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第2168633号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特に染毛用の、一方では高い洗浄および摩擦堅牢度を有し、他方では扱いやすさおよび感触などの毛髪特性に悪影響を及ぼさない、エフェクト顔料の提供に対する要求が存在する。この目的のために、使用されるエフェクト顔料が高いカバー力を有し、薄い層で毛髪に適用できることが望ましいであろう。エフェクト顔料を使用して、着色される材料(毛髪)を広範囲の金属色で染色できることも望ましいであろう。
【0011】
エフェクト顔料は、酸化剤および/または酸化染料前駆体の使用を必要としない染色系に特に適していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
意外なことに、上記課題は、a)基材プレートレットおよびb)被覆を含んでなるエフェクト顔料であって、該被覆は、
(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物、並びに
(ii)顔料の群からの着色化合物
である少なくとも1つの層を含んでなる、エフェクト顔料によって見事に解決できることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
エフェクト顔料は基材プレートレットを有する。
【0014】
基材ウェハは、好ましくは、最大で50nm、好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大で25nm、例えば最大で20nmの平均厚さを有する。基材プレートレットの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。基材ウェハの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm;2.5~30nm、5~30nm、10~30nm;2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nm、および10~20nmである。好ましくは、各基材プレートは、可能な限り均一な厚さを有する。
【0015】
基材プレートは、好ましくはモノリシックである。本明細書における「モノリシック」とは、基材プレートレット内部でミクロ構造変化が生じることはあっても、割れ目、成層または内包物を伴わない単一の自己完結型ユニットからなることを意味する。基材プレートレットは、好ましくは構造が均質である。即ち、プレートレット内に濃度勾配は存在しない。特に、基材プレートレットは、層状ではなく、その中に粒子または分散粒子を有さない。
【0016】
基材プレートレットの寸法は、特定の用途、例えばケラチン物質に対する所望の効果に合わせて調整できる。典型的には、基材プレートレットは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大直径を有する。
【0017】
好ましい実施態様では、平均厚さに対する平均寸法の比で示される形状係数(アスペクト比)は少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、特に好ましくは750超である。被覆なしの基材プレートレットの平均寸法は該被覆なしの基材プレートレットのd50値である。特に記載のない限り、d50値は、Sympatec Helos装置を用いてquixel湿式分散により測定したものである。試料を調製するため、分析対象の試料をイソプロパノール中に3分間、予備分散させる。
【0018】
基材プレートレットは、プレートレット形状に形成可能な任意の材料で構成できる。
【0019】
基材プレートレットは天然起源のものであり得るが、合成により生成されたものであってもよい。基材プレートレットを構成可能な材料として、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物、並びに鉱物、例えば雲母および(半)貴石、並びにプラスチックが挙げられる。好ましくは、基材プレートレットは金属または合金で構成されている。
【0020】
エフェクト顔料に適した任意の金属が使用できる。そのような金属として、鉄および鋼、並びに空気および水に耐久性のあるあらゆる(半)金属、例えば白金、スズ、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素並びにそれらの合金、例えばアルミニウム青銅および真鍮が挙げられる。好ましい金属はアルミニウム、銅、銀および金である。好ましい基材プレートレットとしては、アルミニウムプレートレットおよび真鍮プレートレットが挙げられ、アルミニウム基材プレートレットが特に好ましい。
【0021】
アルミニウム製の基材プレートは、とりわけ、アルミ箔から打ち抜くことによって、または一般的な粉砕および噴霧技術に従って製造できる。例えば、アルミニウムフレークは、湿式粉砕法であるHall法から入手できる。
【0022】
他の金属フレーク、例えば青銅のフレークは、Hametag法などの乾式粉砕法で得ることができる。
【0023】
基材プレートは様々な形状を有し得る。例えば、ラメラ状およびレンズ状の基材プレートレット、またはいわゆる真空蒸着顔料(VMP)を基材プレートレットとして用いることができる。ラメラ状基材プレートレットは、不規則に構成されたエッジを特徴としており、その外観から「コーンフレーク」とも称されている。レンズ状基材フレークは、規則的な丸いエッジを有しており、その外観から「1ドル硬貨」とも称されている。
【0024】
金属または金属合金基材プレートは、例えば陽極酸化処理(酸化層)またはクロメート処理により不動態化できる。
【0025】
被覆は、エフェクト顔料の表面特性および/または光学特性を変化させ、エフェクト顔料の機械および化学的荷重負担能力を高めることができる。例えば、基材ウェハの上面および/または下面のみを被覆でき、側面は凹んでいる。好ましくは、側面を含む、任意に不動態化されていてよい基材プレートレットの表面全体が、層によって覆われている。基材プレートレットは、好ましくは、被覆によって完全に包み込まれている。
【0026】
被覆は、1つ以上の層から構成され得る。好ましい実施態様では、被覆は、層Aのみを有する。同様に好ましい実施態様では、被覆は、合計で少なくとも2つ、好ましくは2つまたは3つの層を有する。被覆が2つの層AおよびBを有し、層Bが層Aとは異なることが好ましい場合がある。好ましくは、層Aは、層Bと基材プレート表面との間に位置する。更に別の好ましい実施態様では、被覆は、3つの層A、BおよびCを有する。この実施態様では、層Aは、層Bと基材ウェハ表面との間に配置され、層Cは、層Bの上に配置され、これは下の層Bとは異なる。
【0027】
層A並びに必要に応じて層BおよびCに適した材料は、基材プレートレットに長期に適用できる物質の全てである。材料は、好ましくはフィルムの形態で適用可能でなければならない。好ましくは、側面を含む、任意に不動態化されていてよい基材プレートレットの表面全体が、層Aによって、または層AおよびBによって、または層A、BおよびCによって包まれている。
【0028】
金属酸化物および/または金属酸化物水和物(i)は、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0029】
層Aは、好ましくは、少なくとも1つの低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物を有する。好ましくは、層Aは、少なくとも95重量%の低屈折率の金属酸化物(水和物)を含んでなる。低屈折率の材料は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率を有する。
【0030】
層Aに適した低屈折率の金属酸化物としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、およびそれらの混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。層Aは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0031】
存在する場合、層Bは、層Aとは異なり、少なくとも1つの高屈折率の金属酸化物を含み得る。高屈折率の材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。好ましくは、層Bは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の高屈折率の金属酸化物を含んでなる。
【0032】
層Bが(高屈折率の)金属酸化物を含む場合、それは好ましくは少なくとも50nmの厚さを有する。好ましくは、層Bの厚さは、400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
【0033】
層Bに適した高屈折率の金属酸化物は、例えば、選択的に光を吸収する(即ち有色の)金属酸化物、例えば、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe2O3、赤)、酸化コバルト(II)(青)、酸化クロム(III)(緑)、酸化チタン(III)(青、通常は酸化窒化チタンおよび窒化チタンとの混合物として存在する)、酸化バナジウム(V)(橙)、およびそれらの混合物である。二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムなどの無色の高屈折率の酸化物も適している。
【0034】
層Bは、高屈折率の金属酸化物に加えて、層Bの総量に基づいてそれぞれの場合に、好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%の、選択的に吸収する染料を含有してもよい。適切な染料は、金属酸化物被覆に安定して組み込まれ得る有機染料および無機染料である。本発明の意味での染料は、25℃で0.5g/Lを超える水(760mmHg)への溶解度を有するので、顔料と見なされない。
【0035】
或いは、金属酸化物に対して、層Bは金属粒子担持層を含んでよく、この金属粒子担持層の表面には金属粒子が堆積している。好ましい実施態様では、金属粒子は、金属粒子担持層の一部を直接覆っている。この実施態様では、エフェクト顔料は、金属粒子が存在しない領域、即ち金属粒子で覆われていない領域を有する。
【0036】
金属粒子担持層は、金属層および/または金属酸化物層を含んでなる。
【0037】
金属粒子担持層が金属層および金属酸化物層を含んでなる場合、これらの層の配置は特に限定されない。
【0038】
金属粒子支持層が金属層を少なくとも含んでなることが好ましい。金属層が、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)および金(Au)から選択される元素を含んでなることが更に好ましい。
【0039】
金属層は、例えば、金属を含有する金属塩溶液にアルカリを添加することにより形成できる。
【0040】
金属粒子担持層が金属酸化物層を含む場合、これは好ましくは二酸化ケイ素を含まない。金属酸化物層は、好ましくは、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)およびCe(セリウム)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含有する。特に好ましくは、金属酸化物層の形態の金属粒子支持層iii)は、Sn、Zn、TiおよびCeの金属酸化物を含有する。
【0041】
金属酸化物層の形態の金属粒子支持層は、例えば、金属酸化物の金属を形成する金属のアルコキシドをゾル-ゲル法で加水分解することによって製造できる。
【0042】
金属粒子支持層の厚さは、好ましくは30nm以下である。
【0043】
金属粒子は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、金(Au)、およびそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含んでよい。金属粒子が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)および銀(Ag)から選択される少なくとも1つの元素を含んでなることが特に好ましい。
【0044】
金属粒子の平均直径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。金属粒子間の距離は、好ましくは10nm以下である。
【0045】
金属粒子を形成する適当な方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD)、無電解めっき法などが挙げられる。これらの方法の中でも、無電解めっき法が特に好ましい。
【0046】
好ましい実施態様では、エフェクト顔料は、下の層Bとは異なる、金属酸化物(水和物)を含んでなる更なる層Cを有する。適切な金属酸化物としては、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)が挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0047】
層Cは好ましくは、10~500nm、より好ましくは50~300nmの厚さを有する。
【0048】
エフェクト顔料の被覆は、金属酸化物および/または金属酸化物水和物に加えて、顔料の群からの色付与化合物を更に含む少なくとも1つの層を有する。
【0049】
金属酸化物および/または金属酸化物水和物(i)、並びに顔料からなる群から選択される着色化合物(ii)を含んでなる少なくとも1つの層は、層A、Bおよび/またはCであり得る。被覆が層Aのみを有する場合、層Aは顔料の群からの着色化合物も含有する。
【0050】
エフェクト顔料の被覆が2つの層AおよびBを有し、それぞれが金属酸化物を含む場合、層AおよびBの両方、または2つの層のうちの一方のみが、顔料の群からの色付与化合物を含み得る。好ましくは、層Aが顔料の群からの着色化合物を含有する。
【0051】
被覆が層A、BおよびCを有し、それぞれが金属酸化物(水和物)を含む場合、層A、BおよびCのそれぞれは、顔料からなる群から選択される色付与化合物を含み得る。或いは、この実施態様では、3つの層のうちの2つが、顔料の群からの着色化合物を含み得る。その結果、着色化合物は、層AおよびB、層AおよびC、または層BおよびCにおける顔料の群に由来し得る。同様に、3つの層のうちの1つのみが、顔料の群からの着色化合物を含み得る。その結果、着色化合物は、層A、BまたはCにおける顔料の群に由来し得る。層A、BおよびCを有する被覆を含んでなるエフェクト顔料の特に好ましい実施態様では、色付与化合物は、層Aおよび/またはCにおける顔料に由来する。
【0052】
被覆が層A、BおよびCを有し、層AおよびCが金属酸化物(水和物)を含み、層Bがその上に金属粒子が堆積された金属層を含む場合、層AおよびCのそれぞれは、顔料からなる群から選択される色付与化合物を含み得る。或いは、この実施態様では、層AおよびCのうちの1つだけが、顔料からなる群から選択される着色化合物を含み得る。
【0053】
層A、BおよびCを有する被覆を含んでなるエフェクト顔料の特に好ましい実施態様において、色付与化合物は、層Aおよび/またはCにおける顔料の群に由来する。
【0054】
エフェクト顔料が、アルミニウムの基材プレートレットと、シリカを含んでなる層Aとを含むことが特に好ましい。基材プレートレットベースのエフェクト顔料が層Aおよび層Cを有する場合、エフェクト顔料が、アルミニウムの基材プレートレットと、シリカを含んでなる層AおよびCとを有することが好ましい。
【0055】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、更に好ましくは0.05g/L未満の着色化合物である。水への溶解度は、例えば、下記方法により測定できる:0.5gの顔料をビーカーに秤取する。磁気撹拌子を加える。次いで、1Lの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間が経過しても顔料の未溶解成分が混合物中に見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微分散した顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解顔料が濾紙上に残留する場合は、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0056】
適当な有色顔料は、無機起源および/または有機起源であってよい。
【0057】
好ましい実施態様では、エフェクト顔料は、無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1つの色付与化合物を含んでなる。
【0058】
好ましい有色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機有色顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから調製できる。また、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの有色顔料、および蛍光顔料または燐光顔料を、無機有色顔料として使用できる。
【0059】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。好ましい有色顔料は、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、pigment blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0060】
有色真珠光沢顔料もまた、特に好ましい。これらは通常、雲母および/または雲母ベースであり、1つ以上の金属酸化物で被覆されている場合がある。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、鱗雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するためには、白雲母または金雲母などの雲母を金属酸化物で被覆する。
【0061】
天然の雲母の代替品として、1つ以上の金属酸化物で被覆された合成雲母を真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成の雲母(マイカ)をベースとし、上記した金属酸化物の1つ以上で被覆されている。金属酸化物の層の厚さを変えることで、それぞれの顔料の色を変えることができる。
【0062】
同様に好ましい雲母ベース顔料は、合成フルオロフロゴパイト(INCI:Synthetic Fluorphlogopite)をベースとし、金属酸化物で被覆された合成雲母プレートレットである。合成フルオロフロゴパイトプレートレットは、例えば、酸化スズ、酸化鉄および/または二酸化チタンで被覆されている。金属酸化物層は、ヘキサシアノ鉄(II/III)酸鉄またはカーマインレッドなどの顔料を更に含んでもよい。このような雲母顔料は、例えば、Eckart社からSYNCRYSTALという名称で入手可能である。
【0063】
従って、好ましいエフェクト顔料は、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、青銅顔料からなる群から選択される顔料の群から、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料からの少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0064】
更に好ましい実施態様において、エフェクト顔料は、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)からなる群から選択される1つ以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される顔料の群からの少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0065】
他の適切な顔料は、金属酸化物で被覆されたプレートレット形状のホウケイ酸塩をベースとしている。これらは、例えば、酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンで被覆されている。このようなホウケイ酸塩ベース顔料は、例えば、Eckart社のMIRAGEまたはBASF SE社のReflecksの名前で入手可能である。
【0066】
特に適当な顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)の商品名で、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)の商品名で、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)の商品名で、BASF SE社からFlamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、Chioneの商品名で、Sunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0067】
商品名がColorona(登録商標)の非常に特に好ましい顔料は、例えば以下である。
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, Mica, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン(CI 77891), D&C RED NO. 30(CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン(CI 77891), フェロシアン化鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン(CI 77891), 酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491(EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), Mica, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona SynCopper, Merck, Synthetic Fluorphlogopite(および)酸化鉄
Colorona SynBronze, Merck, Synthetic Fluorphlogopite(および)酸化鉄
【0068】
商品名がXirona(登録商標)の更に特に好ましい顔料は、例えば以下である。
Xirona Golden Sky, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, 酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Le Rouge, Merck, 酸化鉄(および)シリカ
【0069】
また、商品名がUnipure(登録商標)の特に好ましい顔料は、例えば以下である。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient CI 77491(酸化鉄), シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄), シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄), シリカ
【0070】
更なる実施態様において、エフェクト顔料はまた、有機顔料の群からの1つ以上の色付与化合物を含んでもよい。
【0071】
有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロアゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物からなる群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料または着色剤である。
【0072】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0073】
別の特に好ましい実施態様において、エフェクト顔料は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される有機顔料の群からの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0074】
有機顔料はカラーペイントであってもよい。本発明において、用語「カラーラッカー」は、吸収された染料の層を含んでなる粒子を意味すると理解され、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0075】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0076】
また、顔料の群からの適当な着色化合物は、ポリマーで変性された無機および/または有機顔料である。ポリマー変性によって、例えば、少なくとも1つの層の各材料に対する顔料の親和性を高めることができる。
【0077】
使用する着色化合物の粒度は、着色層が存在する層に依存する。色付与化合物は、好ましくは、少なくとも1つの層の層厚さよりも小さい粒度D90を有する。より好ましくは、着色化合物の粒度D95は、少なくとも1つの層の層厚さよりも小さい。更により好ましくは、着色化合物の粒度D99は、少なくとも1つの層の層厚さよりも小さい。非常に好ましくは、着色化合物の粒度D100は、少なくとも1つの層の層厚さよりも小さい。着色化合物の粒度は、例えば、動的光散乱(DLS)または静的光散乱(SLS)を使用して測定できる。D90は、着色化合物の粒子の90%が、少なくとも1つの層の層厚さよりも小さいことを意味する。従って、D95は、着色化合物の粒子の95%が、少なくとも1つの層の層厚さよりも小さいことを意味し、それ以外も同様である。
【0078】
(b1)金属酸化物および/または金属酸化物水和物、並びに
(b2)顔料の群からの着色化合物
を含んでなる層における、顔料の群からの着色化合物の量は、該層の総重量に基づいて、好ましくは最大5重量%である。
【0079】
層AおよびCは、腐食防止、並びに化学的および物理的安定化の役割を果たす。特に好ましくは、層AおよびCは、ゾル-ゲル法により適用された二酸化ケイ素または酸化アルミニウムを含有する。
【0080】
従って、本出願の更なる対象は、
a)基材プレートレットおよびb)被覆を含んでなり、
該被覆が、
(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物、並びに
(ii)顔料からなる群から選択される着色化合物
である少なくとも1つの層を含んでなる、エフェクト顔料の製造方法であって、
(α)基材ウェハを有機または水性溶媒に懸濁させる工程、および
(β)工程(α)で懸濁させた前記基材ウェハを、ゾル-ゲル法を用いて、
(i)金属酸化物および/または金属酸化物水和物、並びに
(ii)顔料からなる群から選択される着色化合物
を含んでなる層で被覆する工程
を含む方法である。
【0081】
ゾル-ゲル法では、金属アルコキシド、および顔料の群からの着色化合物を使用することが好ましい。
【0082】
ゾル-ゲル法で使用される金属アルコキシドが、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが更に好ましく、テトラエチルオルトシリケートが好ましい。
【0083】
製造方法の好ましい実施態様では、工程(α)で使用される基材ウェハが、金属酸化物および/または金属酸化物水和物の少なくとも1つの層で既に被覆されている。
【0084】
例示的な製造方法は、テトラエチルオルトシリケートまたはアルミニウムトリイソプロパノレートなどの金属アルコキシドの溶液(通常、有機溶媒の溶液、またはC-Cアルコールなどの有機溶媒を少なくとも50重量%含む有機溶媒と水との混合物の溶液)中に、未被覆の基材プレートレット、または層A若しくは層AおよびBで既に被覆された基材プレートレットと、顔料からなる群から選択される着色化合物とを分散させ、弱塩基または酸を加えて金属アルコキシドを加水分解することにより、(被覆された)基材プレートレットの表面に、金属酸化物と、顔料の群から選択される着色化合物とを含んでなるフィルムを形成することを含む。
【0085】
層Bは、例えば、1つ以上の有機金属化合物の加水分解により、および/または1つ以上の溶解金属塩の析出、並びに後続の後処理(例えば、形成された水酸化物含有層のアニールによる酸化物層への移行)により製造できる。
【0086】
被覆A、Bおよび/またはCのそれぞれは、2つ以上の金属酸化物(水和物)の混合物を含んでよいが、層はそれぞれ同時にもっぱら1つの金属酸化物(水和物)を含むことが好ましい。
【0087】
被覆された基材プレートレットをベースにしたエフェクト顔料は、好ましくは70~500nm、特に好ましくは100~400nm、特に好ましくは150~320nm、例えば180~290nmの厚さを有する。被覆基材プレートレットの小さい厚さは、未被覆基材プレートレットの厚さを小さく保つことにより達成されるが、被覆Aおよび存在する場合は被覆Cの厚さを可能な限り小さい値に調整することによっても達成される。
【0088】
最外層(構造に応じて層A、層Bまたは層C)をシラン、リン酸エステル、チタン酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩などの有機化合物で付加的に変性することにより、物質(好ましくはケラチン物質)に対する/物質(好ましくはケラチン物質)における基材プレートレットベースエフェクト顔料の付着性および耐摩耗性を大幅に向上させることができる。この場合、有機化合物は、最外層の、好ましくは金属酸化物含有の、層A、層Bまたは層Cの表面に結合している。最外層とは、基材プレートレットから空間的に最も離れた層を示す。有機化合物は、好ましくは、金属酸化物含有層A、BまたはCに結合できる官能性シラン化合物である。これらは単官能性または二官能性化合物のいずれであってもよい。二官能性有機化合物の例としては、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(プロポキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、またはフェニルアリルジクロロシランが挙げられる。また、単官能性シラン、アルキルシランまたはアリールシランによる変性も実施できる。これは、もっぱら1個の官能基を有し、この官能基は、エフェクト顔料の表面に(即ち、最外層の金属酸化物含有層に)、または完全には被覆されていない場合は金属表面に共有結合していてよい。シランの炭化水素基はエフェクト顔料から離れた方向を向く。シランの炭化水素基の種類および性質に応じて、エフェクト顔料の程度の異なる疎水性を達成できる。そのようなシランの例としては、ヘキサデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。特に好ましいのは、単官能シランで表面変性されたシリカ被覆アルミニウム基材プレートレットベースエフェクト顔料である。
【0089】
オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘカデシルトリメトキシシランおよびヘカデシルトリエトキシシランが特に好ましい。変更された表面特性/疎水化に起因して、適用における付着性、耐摩耗性および配向性の向上を達成できる。
【0090】
ゾル-ゲル法において、少なくとも1つの塩基性基を有するシランを更に使用することが好ましい場合がある。
【0091】
上述した後続の変性に加えてまたは代えて、最外層(構造に応じて層A、BまたはC)の生成において、少なくとも1つの塩基性基を有するシランを付加的に使用することにより、物質(好ましくはケラチン物質)に対する/物質(好ましくはケラチン物質)における基材プレートレットベースエフェクト顔料の付着性および/または耐摩耗性を著しく増加させることができる。シランは、外層の生成にも使用できる。このことは、層Aまたは層Cが最外層であり、金属酸化物(水和物)としてシリカを含む場合に特に有利である。
【0092】
本発明のこの実施態様において、層AまたはCを生成するためのゾル-ゲル法は、未被覆の基材プレートレットまたは層AおよびBで既に被覆された基材プレートレットと、顔料からなる群から選択された着色化合物と、少なくとも1つの塩基性基を有するシランとを、金属アルコキシドの溶液中で分散させることを含む。シランは、好ましくは、1個、2個または3個のケイ素原子を有し、一分子あたり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を有し、少なくとも1個の塩基性基を有する。
【0093】
塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり得、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合している。
【0094】
少なくとも1個の塩基性基を有するシランは、好ましくは、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-アミノエチル)シラントリオール
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
-1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
およびそれらの混合物
からなる群から選択される。
【0095】
好ましくは、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび/または(3-アミノプロピル)トリメトキシシランを使用する。
【0096】
ゾル-ゲル法で使用される金属アルコキシドは、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。好ましくは、テトラエチルオルトシリケートが使用される。層Aおよび/またはCを生成するために、テトラアルコキシシランに代えてまたは加えて、アルキルトリアルコキシシランをゾル-ゲル法で使用できる。金属酸化物および/または金属酸化物水和物としてのシリカ(i)、および顔料からなる群から選択される着色化合物(ii)を含んでなる層を生成するために、特に好ましくは、アルキルトリアルコキシシランを、ゾル-ゲル法でテトラアルコキシシランに加えてまたは代えて使用してよい。
【0097】
適当なアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクチルデシルトリメトキシシランおよび/またはオクチルデシルトリエトキシシランが挙げられる。
【実施例
【0098】
まず、200gのVMP状のアルミニウムプレートレット(厚さ20nm~30nm、d50=12μm)をイソプロパノールに懸濁させた。この混合物に、46gのテトラエトキシシランと1gのBlue 15顔料(CI74160、D99=20nm)を加え、得られた混合物を60℃に加熱した。次いで、100gの水、続いて6gのアンモニアを加え、得られた混合物を更に4時間撹拌した。その後、混合物をガラスフリットで濾過し、得られたフィルターケーキを120℃で12時間乾燥させる。その後、フィルターケーキを取り出す。着色シリカ層は、エフェクト顔料の総重量に基づいて、約40重量%を占めている。
【国際調査報告】