(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(54)【発明の名称】基板処理システム用の熱電冷却台座
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220916BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220916BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 F
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502484
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020041353
(87)【国際公開番号】W WO2021011288
(87)【国際公開日】2021-01-21
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマール・ムリナル
(72)【発明者】
【氏名】ヘクデ・ハリプラサード
(72)【発明者】
【氏名】ニレバイラー・ヴィシュワジス
(72)【発明者】
【氏名】ニーラム・レディー・ハリシュ
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F004BB25
5F004BB26
5F004BD01
5F004BD04
5F004CA04
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5F131AA02
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5F131EA05
5F131EA06
5F131EB82
5F131KA03
5F131KA23
5F131KA54
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】温度制御台座は、台座と、N個のゾーン内のN個の温度を検知する温度センサと、それぞれN個のゾーン内に配置されたN個の温度制御デバイスとを含む。電圧源が、電力をN個の温度制御デバイスに選択的に供給する。コントローラが、a)N個の温度に基づいてN個のゾーンのうちの最も高温のゾーンを決定し、b)N個のゾーンのうちの最も高温のゾーンがまだ冷却されていない場合、N個の温度制御デバイスの1つを使用してN個のゾーンのうちの最も高温のゾーンに対する冷却を増加させ、c)N個のゾーンの温度が第1の温度設定値よりも低いとき、N個のゾーンに対する冷却を減少させ、d)N個のゾーンのすべてが第1の温度設定値以下の温度を有するまで、a)~c)を繰り返すことによって、電圧源にN個のゾーン内の温度を制御させるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を冷却するための温度制御台座であって、
N個のゾーンであって、Nは、1よりも大きい整数であるN個のゾーンと、
それぞれ前記N個のゾーン内のN個の温度を検知する温度センサと、
それぞれ前記N個のゾーン内に配置されたN個の温度制御デバイスと、
を含む台座と、
電力を前記N個の温度制御デバイスに選択的に供給する電圧源と、
a)前記N個の温度に基づいて前記N個のゾーンのうちの最も高温のゾーンを決定し、
b)前記N個のゾーンのうちの前記最も高温のゾーンがまだ冷却されていない場合、前記N個の温度制御デバイスの1つを使用して前記N個のゾーンのうちの前記最も高温のゾーンに対する冷却を増加させ、
c)前記N個のゾーンの温度が第1の温度設定値よりも低いとき、前記N個のゾーンに対する冷却を減少させ、
d)前記N個のゾーンのすべてが前記第1の温度設定値以下の温度を有するまで、a)~c)を繰り返す
ことによって、前記電圧源に前記N個のゾーン内の温度を制御させるように構成されたコントローラと、を備える、温度制御台座。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御台座であって、
前記N個の温度制御デバイスは、ペルチェデバイスを備える、温度制御台座。
【請求項3】
請求項1に記載の温度制御台座であって、さらに、
前記コントローラに接続されたN個のリレーと、
前記電圧源を前記N個の温度制御デバイスに選択的に接続するN個のスイッチと、を備える、温度制御台座。
【請求項4】
請求項3に記載の温度制御台座であって、
前記コントローラは、前記N個のリレーを使用して前記N個のスイッチのデューティサイクルを制御する、温度制御台座。
【請求項5】
請求項3に記載の温度制御台座であって、
前記電圧源は、固定電圧源を含む、温度制御台座。
【請求項6】
請求項1に記載の温度制御台座であって、
前記電圧源は、可変電圧源を含み、それぞれ前記電圧源と前記N個の温度制御デバイスとの間に接続されたN個のHブリッジをさらに備える、温度制御台座。
【請求項7】
請求項6に記載の温度制御台座であって、
前記コントローラは、冷却用の前記N個のHブリッジの第1のモード、および加熱用の前記N個のHブリッジの第2のモードを選択するように構成される、温度制御台座。
【請求項8】
請求項7に記載の温度制御台座であって、
前記コントローラは、
基板が取り外されると、
前記N個のHブリッジの前記第2のモードを選択し、
検知層を第2の温度設定値に加熱する
ようにさらに構成され、
前記第2の温度設定値は、前記第1の温度設定値よりも高い、
温度制御台座。
【請求項9】
請求項8に記載の温度制御台座であって、
前記コントローラは、前記基板が取り外されると、
e)前記N個の温度に基づいて前記N個のゾーンのうちの最も低温のゾーンを決定し、
f)前記N個のゾーンのうちの前記最も低温のゾーンがまだ加熱されていない場合、前記N個の温度制御デバイスの1つを使用して前記N個のゾーンのうちの前記最も低温のゾーンに対する加熱を増加させ、
g)前記N個のゾーンの温度が前記第2の温度設定値よりも高いとき、前記N個のゾーンに対する加熱を減少させ、
h)前記N個のゾーンのすべてが前記第2の温度設定値以上の温度を有するまで、e)~g)を繰り返す
ことによって、前記N個のゾーン内の前記温度を制御するようにさらに構成される、温度制御台座。
【請求項10】
請求項9に記載の温度制御台座であって、
別の基板が前記台座上に位置されると、前記コントローラは、前記N個の温度制御デバイスへの電圧出力を増加させることによって、前記N個のゾーン内の前記温度を減少させるようにさらに構成される、温度制御台座。
【請求項11】
請求項10に記載の温度制御台座であって、
前記コントローラは、所定の間隔で所定の量だけ前記電圧出力を増加させる、温度制御台座。
【請求項12】
請求項11に記載の温度制御台座であって、
前記所定の量および前記所定の間隔は、固定されている、温度制御台座。
【請求項13】
請求項10に記載の温度制御台座であって、
前記コントローラは、前記台座の温度がT個の所定の温度を下回ったことに応じて、T個の個別のステップで前記電圧出力を増加させ、Tは、1よりも大きい整数である、温度制御台座。
【請求項14】
請求項1に記載の温度制御台座であって、さらに、
前記台座に隣接して配置されたヒートシンクを備える、温度制御台座。
【請求項15】
請求項14に記載の温度制御台座であって、さらに
前記ヒートシンクに隣接して配置されたファンを備える、温度制御台座。
【請求項16】
請求項14に記載の温度制御台座であって、さらに、
前記ヒートシンクに隣接して配置されたコールドプレートを備える、温度制御台座。
【請求項17】
請求項1に記載の温度制御台座であって、
前記温度センサは、前記台座内に配置されたN個の温度センサを備える、温度制御台座。
【請求項18】
請求項1に記載の温度制御台座であって、
前記温度センサは、前記N個のゾーン内の温度を検知する1つまたは複数の赤外線センサを備える、温度制御台座。
【請求項19】
請求項1に記載の温度制御台座であって、
前記温度センサは、熱画像を生成するサーマルカメラを備え、前記N個のゾーンについての前記N個の温度は、前記熱画像にそれぞれ基づいている、温度制御台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年7月16日に出願された米国仮出願第62/874,649号の利益を主張する。上記で参照された出願の全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システム、より詳細には、基板処理システム用の閉ループゾーン制御を備えた熱電冷却台座に関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板上で処理を実施するために使用される。処理の例には、堆積、エッチング、アッシング、および他の処理が挙げられる。基板処理システムは、処理チャンバまたはロードロックと、台座とを含む。基板は、処理中に台座上に配置される。基板は、1つまたは複数のガス混合物に曝露される。いくつかの例では、プラズマを使用して、化学反応を引き起こすことができる。
【0005】
いくつかのプロセスでは、基板は、処理中に比較的高温に加熱される。例えば、基板は、処理チャンバでの処理中に600℃~700℃の温度に加熱される場合がある。処理チャンバでの処理後、基板を冷却台座に移動させ、基板をより低い温度に冷却することができる。後処理ステーション(ロードロックで水または他の冷却剤を使用する冷却台座など)での基板の冷却には、比較的長い時間がかかる場合があり、プロセスのスループットが低下する。水冷台座は、蒸発のために高温では効率的でないことがある。加えて、高温基板の突然の冷却は、基板に応力を誘発する。
【発明の概要】
【0006】
基板を冷却するための温度制御台座(temperature-controlled pedestal)は、N個のゾーンであって、Nは、1よりも大きい整数であるN個のゾーン、それぞれN個のゾーン内のN個の温度を検知する温度センサ、およびそれぞれN個のゾーン内に配置されたN個の温度制御デバイスを含む台座を含む。電圧源が、電力をN個の温度制御デバイスに選択的に供給する。コントローラが、a)N個の温度に基づいてN個のゾーンのうちの最も高温のゾーンを決定し、b)N個のゾーンのうちの最も高温のゾーンがまだ冷却されていない場合、N個の温度制御デバイスの1つを使用してN個のゾーンのうちの最も高温のゾーンに対する冷却を増加させ、c)N個のゾーンの温度が第1の温度設定値よりも低いとき、N個のゾーンに対する冷却を減少させ、d)N個のゾーンのすべてが第1の温度設定値以下の温度を有するまで、a)~c)を繰り返すことによって、電圧源にN個のゾーン内の温度を制御させるように構成される。
【0007】
他の特徴において、N個の温度制御デバイスは、ペルチェデバイスを備える。N個のリレーが、コントローラに接続される。N個のスイッチが、電圧源をN個の温度制御デバイスに選択的に接続する。
【0008】
他の特徴において、コントローラは、N個のリレーを使用してN個のスイッチのデューティサイクルを制御する。電圧源は、固定電圧源を含む。電圧源は、可変電圧源を含み、それぞれ電圧源とN個の温度制御デバイスとの間に接続されたN個のHブリッジをさらに備える。
【0009】
他の特徴において、コントローラは、冷却用のN個のHブリッジの第1のモード、および加熱用のN個のHブリッジの第2のモードを選択するように構成される。コントローラは、基板が取り外されると、N個のHブリッジの第2のモードを選択し、検知層を第2の温度設定値に加熱するようにさらに構成され、第2の温度設定値は、第1の温度設定値よりも高い。
【0010】
他の特徴において、コントローラは、基板が取り外されると、e)N個の温度に基づいてN個のゾーンのうちの最も低温のゾーンを決定し、f)N個のゾーンのうちの最も低温のゾーンがまだ加熱されていない場合、N個の温度制御デバイスの1つを使用してN個のゾーンのうちの最も低温のゾーンに対する加熱を増加させ、g)N個のゾーンの温度が第2の温度設定値よりも高いとき、N個のゾーンに対する加熱を減少させ、h)N個のゾーンのすべてが第2の温度設定値以上の温度を有するまで、e)~g)を繰り返すことによって、N個のゾーン内の温度を制御するようにさらに構成される。
【0011】
他の特徴において、別の基板が台座上に位置されると、コントローラは、N個の温度制御デバイスへの電圧出力を増加させることによって、N個のゾーン内の温度を減少させるようにさらに構成される。コントローラは、所定の間隔で所定の量だけ電圧出力を増加させる。所定の量および所定の間隔は、固定されている。
【0012】
他の特徴において、コントローラは、台座の温度がT個の所定の温度を下回ったことに応じて、T個の個別のステップで電圧出力を増加させ、Tは、1よりも大きい整数である。
【0013】
他の特徴において、ヒートシンクが、台座に隣接して配置される。ファンが、ヒートシンクに隣接して配置される。コールドプレートが、ヒートシンクに隣接して配置される。温度センサは、台座内に配置されたN個の温度センサを備える。温度センサは、N個のゾーン内の温度を検知する1つまたは複数の赤外線センサを備える。温度センサは、熱画像を生成するサーマルカメラを備え、N個のゾーンについてのN個の温度は、熱画像にそれぞれ基づいている。
【0014】
本開示を適用可能な他の分野は、詳細な説明、特許請求の範囲および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0016】
【
図1】
図1は、本開示による冷却台座の一例の側面断面図である。
【0017】
【
図2】
図2は、本開示による冷却台座の一例の平面図である。
【
図3】
図3は、本開示による冷却台座の一例の平面図である。
【
図4】
図4は、本開示による冷却台座の一例の平面図である。
【
図5】
図5は、本開示による冷却台座の一例の平面図である。
【0018】
【
図6】
図6は、本開示による冷却台座用の制御システムの一例の機能ブロック図である。
【0019】
【
図7】
図7は、本開示による
図6の冷却台座を制御するための方法の一例のフローチャートである。
【0020】
【
図8】
図8は、本開示による冷却台座用の制御システムの別の例の機能ブロック図である。
【0021】
【
図9A】
図9Aは、本開示による
図8の冷却台座の冷却を制御するための方法の一例のフローチャートである。
【0022】
【
図9B】
図9Bは、台座温度の関数としての電圧源の電圧出力を示すグラフである。
【0023】
【
図9C】
図9Cは、本開示による時間の関数としての電圧源の電圧出力を示すグラフである。
【0024】
【
図10】
図10は、本開示による
図8の冷却台座の加熱を制御するための方法の一例のフローチャートである。
【0025】
【
図11】
図11は、本開示によるサーマルカメラを備えた冷却台座の一例の側面断面図である。
【0026】
これらの図面において、参照番号は、類似の要素および/または同一の要素を指すために再度利用されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いくつかのプロセスでは、基板は、処理中に比較的高温に加熱される。例えば、基板は、処理チャンバでの処理中に600℃~700℃の温度に加熱される場合がある。処理チャンバでの処理後、基板を冷却台座に移動させ、基板をより低い温度に冷却することができる。後処理ステーション(ロードロックで水または他の冷却剤を使用する冷却台座など)での基板の冷却には、比較的長い時間がかかる場合があり、プロセスのスループットが低下する。水冷台座は、蒸発のために高温では効率的でないことがある。加えて、高温基板の突然の冷却は、基板に応力を誘発する。
【0028】
基板を冷却している間、基板に損傷を与えないように注意する必要がある。例えば、基板の様々な部分における温度差により、亀裂などの損傷が生じる場合がある(例えば、中心から端までの温度勾配が原因である)。加えて、処理直後の基板温度と冷却台座の温度との間の差が大きいと、亀裂などの損傷が生じる場合がある。言い換えれば、非常に低温の台座上に載置された非常に高温の基板は、基板の亀裂を引き起こす可能性がある。
【0029】
基板が台座上に配置されると、温度センサがすべてのゾーンで冷却を開始する(設定値温度まで)。ゾーンの1つまたは複数の温度が他のゾーンと比較して低下した場合、1つまたは複数のゾーンは、ゾーンのすべての温度がほぼ等しくなるまで(所定の範囲内で)、スイッチがオフにされる。ゾーンのすべての温度が等しくなると、以前にオフにされていた1つまたは複数のゾーンが再びオンにされ、設定値温度に達する。このループは、ゾーンのすべてが設定値温度に均一に達するまで続く。このアプローチは、あるゾーンから別のゾーンへの温度差を限定し、亀裂を回避する。
【0030】
ここで
図1を参照すると、本開示による基板128用の冷却台座アセンブリ120が示されている。冷却台座アセンブリ120は主に基板を冷却するが、いくつかの例では、冷却台座アセンブリ120は、基板128が冷却台座アセンブリ120上に位置されていないある期間中に加熱を提供する。
【0031】
冷却台座アセンブリ120は、検知層130と、ベース136とを含む。検知層130は、1つまたは複数の温度センサ132を含む。検知層130は、ベース136に隣接して配置される。いくつかの例では、ベース136は、1つまたは複数の温度制御デバイス138を含む。温度制御デバイス138はまた、基板128が冷却台座アセンブリ120上に配置されているときに冷却を提供する。いくつかの例では、温度制御デバイス138はまた、基板128が冷却台座アセンブリ120上に配置されていないときに加熱を提供する。
【0032】
いくつかの例では、温度制御デバイス138は、ペルチェデバイスを含む。サーマルグリース層134が、温度制御デバイス138とベース136との間に位置され得る。温度制御デバイス138は、ヒートシンク142とサーマルグリース層134との間に挟まれ、それにより温度制御デバイス138がヒートシンク142とベース136との間にクランプされ、接触伝導が起こる。サーマルグリース層134またはクランプが接着剤の代わりに使用されるため、温度制御デバイス138が温度変動により収縮および膨張することが可能になり、これは応力により誘発する故障を低減する。ファンまたはコールドプレート150をヒートシンク142に隣接して配置し、温度制御デバイス138に対する空気流および冷却をそれぞれ増加させることができる。
【0033】
ここで
図2~
図5を参照すると、冷却台座アセンブリ120の例が示されている。
図2では、温度制御デバイス138は、正方形パターンに配置されている。
図3では、
図2の温度制御デバイス138は、正方形ゾーンにさらに配置されている。
図4では、温度制御デバイス138は、円形パターンに配置されている。
図5では、
図4の温度制御デバイス138は、円形ゾーンにさらに配置されている。
【0034】
ここで
図6を参照すると、冷却台座アセンブリ120用の温度制御システム600が示されている。温度制御システム600は、プリセット温度制御を実施する。温度制御システム600は、コントローラ610と、電圧源620とを含む。電圧源620は、すべてのゾーンに対して単一の電圧出力を提供する。いくつかの例では、電圧出力は、測定された台座温度および/または基板が冷却のために台座上に載置されてからの時間量に応じて調整され得る。
【0035】
以下の例では、3つのゾーンについて説明する。しかし、N個のゾーンを使用することができ、Nは、1よりも大きい整数である。コントローラ610は、第1、第2、および第3のリレーR1、R2、およびR3を使用して、それぞれ第1、第2、および第3のスイッチSw1、Sw2、およびSw3のデューティサイクルを制御する。スイッチSw1、Sw2、およびSw3は、電圧源620を第1、第2、および第3のゾーンZ1、Z2、およびZ3内の温度制御デバイス138に接続する。
【0036】
図6の温度制御システム600は、低温基板に対して使用することができる。電圧源620は、ゾーンZ1、Z2、およびZ3内の温度制御デバイスに電力を供給し、台座温度を温度設定値(例えば20℃)に維持する。高温の基板が冷却台座アセンブリ120上に載置されると、基板128は、冷却台座アセンブリ120の温度を増加させる。温度制御デバイス138は、冷却台座アセンブリ120の温度を第1の温度設定値まで低下させるための冷却を提供する。
【0037】
基板温度が低い場合、熱応力による基板の亀裂が発生する可能性は低くなる。したがって、高温の基板を冷却台座上に直接載置することができる。
【0038】
温度制御システム600は、各ゾーンのためのリレーを含む。例えば、リレーR1、R2、およびR3ならびにスイッチSw1、Sw2、およびSw3は、それぞれゾーンZ1、Z2、およびZ3の各々における冷却を制御する。コントローラ610は、それぞれゾーンZ1、Z2、およびZ3内に位置する温度センサ132からの入力に基づいて、信号をリレーR1、R2、および/またはR3に送信する。リレーR1、R2、およびR3は、ゾーンZ1、Z2、およびZ3についてのデューティサイクルを制御する。デューティサイクルを変化させると、温度を減少させながら台座のゾーンのすべてにわたって均一な温度を維持するのに役立つ。
【0039】
ここで
図7を参照すると、
図6の冷却台座アセンブリを制御するための方法700が示されている。714において、すべてのゾーン温度が読み取られる。718において、ゾーン温度が設定値温度と比較される。722において、方法は、ゾーン温度の少なくとも1つが設定値温度よりも高いかどうかを決定する。722が偽である場合、方法は、723に継続する。ゾーンのすべてが設定値温度に達すると、基板が台座から移動され、方法は終了する。
【0040】
722が真である場合、方法は、724でゾーンのうちの最も高温のゾーンを識別する。726において、方法は、最も高温のゾーンがすでに冷却されているかどうかを決定する。726が偽である場合、方法は、728で最も高温のゾーンに対するデューティサイクルを増加させ、方法は、730に継続する。730において、方法は、すべてのゾーン温度が等しく(互いに所定の温度差(0.5℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃など)内)、設定値温度よりも高いかどうかを決定する。730が真である場合、次に方法は、731で中心ゾーンのデューティサイクルを増加させ、方法は、732に継続する。732において、方法は、ゾーン温度のいずれかが設定値温度よりも低いかどうかを決定する。732が真である場合、方法は、736で温度が設定値温度よりも低いゾーンについてのデューティサイクルを低減する。732が偽である場合、方法は、722に継続する。
【0041】
ここで
図8を参照すると、冷却台座アセンブリ120用の可変電圧ベースの温度制御システム800が示されている。温度制御システム800は、ゾーン温度を比較し、個々の電圧を各ゾーンに供給する電圧源820に対する出力信号を生成するコントローラ810を含む。コントローラ810は、各ゾーンについてのデューティサイクルを変化させ、ゾーン温度に基づいて各ゾーンに対して可変電圧を提供する。
【0042】
可変電圧源820の第1、第2、および第3の出力は、それぞれ第1、第2、および第3のHブリッジ822-1、822-2、および822-3に出力される。第1、第2、および第3のHブリッジ822-1、822-2、および822-3は、反転(加熱)状態および非反転(冷却)状態を有する。反転状態にあるとき、第1、第2、および第3のHブリッジ822-1、822-2、および822-3は、可変電圧源820の出力をすべてのゾーン内の温度制御デバイスに選択的に反転させる。第1、第2、および第3のHブリッジ822-1、822-2、および822-3の出力は、それぞれゾーンZ1、Z2、およびZ3内の温度制御デバイスに接続される。
【0043】
温度制御システムは、可変電圧源820を含む。電圧は、ゾーンZ1、Z2、およびZ3の対応するゾーンで測定された温度に基づいて変化する。温度がいずれかのゾーンで変更されると、デューティサイクルおよび電圧出力がそれに応じて変化する。
【0044】
高温の基板が台座上に載置されると、センサが基板の存在を検出し、基板存在(SP)信号をコントローラ810に送信する。温度センサは、温度を測定し、信号をコントローラ810に送信する。コントローラ810は、最も高温のゾーンを決定し、最も高温のゾーンの冷却を開始する。温度制御デバイスのデューティサイクルは、コントローラ810によって直接制御される。例えば、電圧の変更は、事前定義された値に対応する。例えば、325℃から315℃に変更するには、電圧を12Vに設定する。このプロセスは、コントローラ810の所定の期間またはサイクルごとに継続し、温度の均一性は、必要に応じて温度を増減しながらゾーン全体で維持される。また、各ゾーンに対する出力電圧は、他の出力電圧から独立している。
【0045】
基板が第1の設定値温度ST1(例えば20℃)まで冷却されると、基板はさらなる処理のために輸送される。センサは、基板が除去されたことを検知し、SP信号を遷移させる。コントローラは、台座の目標温度を第2の設定値温度ST2(例えば35℃)に調整する。Hブリッジは反転モードに変更され、台座を第1の温度設定値(ST1)から第2の温度設定値(ST2)に加熱する。
【0046】
ここで
図9A~
図10を参照すると、
図8の冷却台座の冷却および/または加熱を制御するための方法が示されている。
図9Aでは、方法900は、910で基板が台座上に位置しているかどうかを決定する。910が真である場合、方法は914で継続し、Hブリッジを非反転(冷却)モードに設定する。918において、ゾーン温度が読み取られる。922において、ゾーン温度が第1の設定値温度ST1と比較される。926において、方法は、ゾーン温度の少なくとも1つが第1の設定値温度ST1よりも高いかどうかを決定する。926が偽である場合、方法は927に継続し、基板が台座から移動され(すべてのゾーンが設定値温度ST1に達している)、方法は終了する。それ以外の場合、方法は、928でゾーンのうちの最も高温のゾーンを識別する。930において、方法は、最も高温のゾーンがすでに冷却されているかどうかを決定する。930が偽である場合、方法は、932で最も高温のゾーンを冷却し、933で継続する。933において、方法は、すべてのゾーン温度が設定値温度ST1以上であるかどうかを決定する。933が真である場合、方法は、934で中心ゾーンのデューティサイクルを増加させ、方法は、936で継続する。936において、方法は、ゾーン温度のいずれかが第1の設定値温度ST1よりも低いかどうかを決定する。936が真である場合、方法は、温度が第1の設定値温度ST1よりも低いゾーンに対するデューティサイクルを低減する。方法は、926に戻る。
【0047】
図9Bでは、グラフは、台座温度の関数としての、電圧源によって温度制御デバイスに出力される電圧を示している。供給される電圧は、基板の冷却中に段階的に徐々に変更することができる。台座温度に達すると、電圧源によって出力された電圧は、次の電圧出力まで増加させることができる。このプロセスは、設定値温度ST1に達するまで繰り返すことができる。
【0048】
図9Cでは、グラフは、基板が冷却台座上に載置されてからの時間の関数としての、電圧源によって温度制御デバイスに出力される電圧を示している。供給される電圧は、基板の冷却中に段階的に徐々に変更することができる。次の期間に達すると、電圧源によって出力された電圧は、次の電圧出力まで増加させることができる。このプロセスは、設定値温度ST1に達するまで繰り返すことができる。
【0049】
図10では、方法1000は、1010で基板が台座上に位置しているかどうかを決定する。1010が偽である場合、方法は1014で継続し、Hブリッジを反転(加熱)モードに設定する。1018において、ゾーン温度が読み取られる。1022において、ゾーン温度が第2の設定値温度ST2と比較される。1026において、方法は、ゾーン温度の少なくとも1つが第2の設定値温度ST2よりも低いかどうかを決定する。いくつかの例では、第2の設定値温度ST2は、第1の設定値温度ST1よりも高い。
【0050】
1026が偽である場合、方法は1028に継続し、基板が台座から移動され(すべてのゾーンが設定値温度ST2に達している)、方法は終了する。それ以外の場合、方法は、1029でゾーンのうちの最も低温のゾーンを識別する。1030において、方法は、最も低温のゾーンがすでに加熱されているかどうかを決定する。1030が偽である場合、方法は、1032で最も低温のゾーンを加熱し、1034に継続する。1034において、方法は、すべてのゾーン温度が設定値温度ST2以下であるかどうかを決定する。1034が真である場合、方法は、1036で中心ゾーンのデューティサイクルを増加させ、方法は、1040に継続する。1040において、方法は、ゾーン温度のいずれかが第2の設定値温度ST2よりも高いかどうかを決定する。1040が真である場合、方法は、温度が第2の設定値温度ST2よりも高いゾーンの加熱を停止する。方法は、1026に戻る。
【0051】
ここで
図11を参照すると、温度センサは、基板の上に配置された1つまたは複数の赤外線(IR)センサまたはサーマルカメラなどの1つまたは複数のサーマルセンサ1110によって置き換えることができる。IRセンサは、コントローラに出力されるIRデータを生成する。サーマルカメラは、基板の熱画像を生成し、熱画像データをコントローラに出力する。ゾーン内の温度は、IRデータおよび/または熱画像から決定される。コントローラは、ゾーン内の加熱または冷却を調整し、基板全体で均一な温度を維持する。言い換えれば、電力を変化させてゾーン温度を変化させ、それにより基板全体の温度(熱画像またはIRデータに見られる)が同じ(均一)になるようにする。
【0052】
前述の説明は、本質的に単に例示的であり、本開示、その適用、または使用を決して限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は具体的な例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更態様が明白となるので、本開示の真の範囲はそのような例に限定されるべきでない。方法における1つまたは複数の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行してもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するものとして上に説明されているが、本開示のいずれかの実施形態に関して説明したこれらの特徴のいずれか1つまたは複数を、他の実施形態において実施すること、および/または、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることが(たとえそのような組み合わせが明示的に説明されていないとしても)可能である。言い換えれば、説明された実施形態は相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態を互いに入れ替えることは本開示の範囲に含まれる。
【0053】
要素同士(例えば、モジュール同士、回路要素同士、半導体層同士など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接した」、「隣に」、「上に」、「上方に」、「下方に」、および「配置された」などの様々な用語を使用して説明される。また、上記開示において第1の要素と第2の要素との間の関係が説明されるとき、「直接」であると明示的に説明されない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係の可能性があるが、第1の要素と第2の要素との間に1つまたは複数の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係の可能性もある。本明細書で使用する場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを使用した論理(AまたはBまたはC)の意味で解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」の意味で解釈されるべきではない。
【0054】
いくつかの実施態様では、コントローラはシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入と搬出、ならびに、特定のシステムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0055】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実施するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0056】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0057】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0058】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【国際調査報告】