(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(54)【発明の名称】オレキシン受容体調節薬としての(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル化合物の改善された合成方法
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20221003BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20221003BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20221003BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
C07D487/04 137
A61K31/506
A61P25/24
A61P25/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507371
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020072192
(87)【国際公開番号】W WO2021023843
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ディプレ,ドミニク ポール エム
(72)【発明者】
【氏名】マッチャ,キラン
(72)【発明者】
【氏名】メディーナ,フローリナ ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェスターデュイン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チャン イー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C086AA04
4C086CB03
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZC51
(57)【要約】
(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【化1】
を調製するプロセスが記載されており、このプロセスは商業的製造に有用である。この化合物は、オレキシン受容体調節薬であり、不眠症や鬱状態などの、オレキシン活性により媒介される疾患状態、障害、及び健康の異常を治療するための医薬組成物及び方法に有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【化1】
を調製するプロセスであって、
式Iのヒドラジンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【化2】
(式中、
R
1は、-H、-CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルであり、
Xは、-OH、-OC
(1~4)アルキル、-OCH
2Ph、-OPh、-OC(O)CH
3、-OSO
2CH
3、-N(CH
3)
2、ピペリジン-1-イル、-NHC(O)CH
3、-NHSO
2PhCH
3、又は-N(CH
3)
3Iである。)
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
R
1は、-H又は-CO
2CH
3であり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記プロセスは、
a)式Iの前記ヒドラジンの環化により、式IIの前記2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【化3】
(式中、
R
1は、-Hであり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)
と、
b)2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールのカルボキシル化により、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を得るステップ:
【化4】
であって、前記カルボキシル化は、イソプロピル-MgCl及びCO
2の使用によって特徴付けられるステップと
を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
a)式Iの前記ヒドラジンの環化により、式IIの前記2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【化5】
(式中、
R
1は、-Hであり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)
と、
b)2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールのカルボキシル化により、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を得るステップ:
【化6】
であって、前記カルボキシル化は、イソプロピル-MgCl及びCO
2の使用によって特徴付けられるステップと、
c)2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の、(3aR,6aS)-2-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロールとの反応により、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンを形成するステップ:
【化7】
であって、前記反応は、SOCl
2の使用によって特徴づけられるステップと
を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
a)式Iの前記ヒドラジンの環化により、式IIの前記2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【化8】
(式中、
R
1は、-Hであり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)
と、
b)2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールのカルボキシル化により、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を得るステップ:
【化9】
であって、前記カルボキシル化は、LiCl、イソプロピル-MgCl、及びCO
2の使用によって特徴付けられるステップと、
c)2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の、(3aR,6aS)-2-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロールとの反応により、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンを形成するステップ:
【化10】
であって、前記反応は、SOCl
2の使用によって特徴づけられるステップとを含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
式I:
【化11】
の化合物を製造する方法であって、
(3-フルオロフェニル)ヒドラジン塩酸塩とグリオキサールとを、水及び/又はメタノールの存在下で反応させて、(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドを90%超の収率で形成すること:
【化12】
を含み、
式I中、
R
1は、H、CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルであり、
かつ、
Xは、-OH、-OC
(1~4)アルキル、-OCH
2Ph、-OPh、-OAc、-N(CH
3)
2、ピペリジニル、-NHC(O)CH
3、-NHSO
2PhCH
3、又は-N(CH
3)
3Iである、
前記方法。
【請求項7】
式I:
【化13】
(式中、
R
1は、H、CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルである。)
の化合物。
【請求項8】
【化14】
からなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
【化15】
【化16】
からなる群から選択される化合物。
【請求項10】
【化17】
からなる群から選択される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年8月7日に出願された米国仮特許出願第62/883,857号、2020年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/971,265号の利益を主張し、これらの文献の開示内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、オレキシン受容体の調節、並びにオレキシン受容体活性によって媒介される疾患状態、障害、及び健康の異常の治療に有用な化合物である、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン(セルトレキサントとしても知られる)を製造する合成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
オレキシン(又はヒポクレチン)信号は、2つの受容体及び2つのペプチドアゴニストにより介在される。本明細書ではこれ以降オレキシンと呼ばれる2つのオレキシンペプチド(オレキシンA及びオレキシンB)は、オレキシン-1受容体及びオレキシン-2受容体という名称の2つの高親和性受容体に結合する。オレキシン-1受容体はオレキシンAに有利に選択的であり、一方、オレキシン-2受容体は同様の親和性を以てどちらのオレキシンにも結合する。これらのオレキシンは、同じ遺伝子プレプロオレキシンの開裂産物である。中枢神経系では、オレキシンが製造される元となる前駆体であるプレプロオレキシンを発現している神経細胞は、脳弓周核、背側視床下部及び視床下部外側野において見られる(C.Peyron et al.、J.Neurosci.,1998,18(23),9996-10015)。これらの核内のオレキシン作動性細胞は脳の多くの領域に投射し、頭側方向には嗅球へと、尾側方向には脊髄へと延びている(van den Pol,A.N.et al.、J.Neuroscience.,1999,19(8),3171-3182)。
【0004】
本明細書での参照文献の引用は、このような参照文献が本発明の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本明細書で言及される全ての公表物は、これらの全体が参照により組み込まれる。
【0005】
活性中枢神経系作用剤(国際公開第2001081347号(2001年11月1日)、米国特許出願公開第2002/0019388号(2002年2月14日))として、α7アセチルクロリン受容体調節薬(米国特許出願公開第2005/101602号(2005年5月12日)、同第2005/0065178号(2005年3月24日)、及びFrost et al.、Journal of Medicinal Chemistry,2006,49(26),7843-7853)として、認知障害の治療のためのプロリン輸送体阻害薬(国際公開第2008067121号(2008年6月5日))として、認知改善のためのプロリン輸送体阻害薬(国際公開第2006124897号(2006年11月23日)及び米国特許出願公開第20060258672号(2006年11月16日))として、ガンなどのアンドロゲン受容体関連症状の治療のためのアンドロゲン受容体リガンド(国際公開第2009081197号(2009年7月2日))として、及び、ガン、神経変性疾患及び自己免疫疾患の治療のためのヒストン脱アセチル化酵素阻害薬(国際公開第20060123121号(2006年11月23日))として、置換ジアザ-二環式化合物が報告されている。
【0006】
開発された化合物の中で(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンは、オレキシン-2受容体の阻害剤として作用し、睡眠障害及び主要なうつ病性疾患の治療に有用であることが見出された(米国特許第8,653,263(B2)号)。化合物を、以下のスキーム1に示すように、2つの主要な構築ブロックから組み立てた:
【0007】
【0008】
元々の合成法では、フェニルとトリアゾールとの直接的カップリングを用いた。以下のスキーム2に示されるように、トリアゾール上の異なる窒素原子への非選択的カップリングから、生成物の混合物を得た。
【0009】
【0010】
2-アリールトリアゾールの排他的合成は、スキーム3に示すように、Cu(II)媒介ビス-ヒドラゾン環化反応によって実現することができる。しかしながら、本アプローチでは、フェニルヒドラジンのグリオキサールへのビス添加の結果として、アリール構築ブロックの50%がアニリン副生成物に変換されるため、アトムエコノミーが不十分になる(例えば、J.Org.Chem.,1948,13,815を参照されたい。また、ジヒドラゾンアプローチの最近の改善については、Russian Journal of Organic Chemistry,2009,45,1683、及びChemistry of Heterocyclic Compounds,2010,46,79を参照されたい)。
【0011】
【0012】
2置換トリアゾールを作製するための他の試みも報告されている(Tome,A.C.,Science of Synthesis,2004,Section 13.13.2,pp528-540、Topics Heterocycl.Chem.,2015,40,51、Org.Let.,2009,11,5026、OPRD,2019,23,234、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,8944、及び、Heterocycles,1980,14,1279)。しかしながら、すべての場合において、トリアゾール環の4位及び5位が非置換である場合、中間体の2-アリールトリアゾール誘導体への環化を通じたアプローチは、収率が低いものとなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、廃棄物を低減し、望ましくないカップリング生成物を分離する必要性を排除し、製造コストを低減するために、排他的N2-アリールトリアゾール生成物を用いる、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンを調製するプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【0015】
【化4】
を調製するプロセスを含み、そのプロセスは、
式Iのヒドラゾンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【0016】
【化5】
(式中、
R
1は、-H、-CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルであり、
Xは、-OH、-OC
(1~4)アルキル、-OCH
2Ph、-OPh、-OC(O)CH
3、-OSO
2CH
3、-N(CH
3)
2、ピペリジン-1-イル、-NHC(O)CH
3、-NHSO
2PhCH
3、又は-N(CH
3)
3Iである。)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【0018】
【化6】
を調製するプロセスを含み、そのプロセスは、
式Iのヒドラジンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【0019】
【化7】
(式中、
R
1は、-H、-CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルであり、
Xは、-OH、-OC
(1~4)アルキル、-OCH
2Ph、-OPh、-OC(O)CH
3、-OSO
2CH
3、-N(CH
3)
2、ピペリジン-1-イル、-NHC(O)CH
3、-NHSO
2PhCH
3、又は-N(CH
3)
3Iである。)を含む。
【0020】
本発明の別の実施形態では、
本発明は、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【0021】
【化8】
を調製するプロセスを含み、そのプロセスは、
式Iのヒドラジンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【0022】
【化9】
(式中、
R
1は、H又は-CO
2CH
3であり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)を含む。
【0023】
本発明の別の実施形態では、
本発明は、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【0024】
【化10】
を調製するプロセスを含み、そのプロセスは、
a)式Iのヒドラジンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【0025】
【化11】
(式中、
R
1は、-Hであり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)と、
b)2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールのカルボキシル化により、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を得るステップ:
【0026】
【化12】
であって、上記のカルボキシル化は、イソプロピル-MgCl及びCO
2の使用によって特徴付けられるステップとを含む。
【0027】
本発明の別の実施形態では、
本発明は、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【0028】
【化13】
を調製するプロセスを含み、そのプロセスは、
a)式Iのヒドラジンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【0029】
【化14】
(式中、
R
1は、-Hであり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)と、
b)2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールのカルボキシル化により、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を得るステップ:
【0030】
【化15】
であって、上記のカルボキシル化は、イソプロピル-MgCl及びCO
2の使用によって特徴付けられるステップと、
c)2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の、(3aR,6aS)-2-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロールとの反応により、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンを形成するステップ:
【0031】
【化16】
であって、上記の反応は、SOCl
2の使用によって特徴づけられるステップとを含む。
【0032】
本発明の別の実施形態では、
本発明は、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン:
【0033】
【化17】
を調製するプロセスを含み、そのプロセスは、
a)式Iのヒドラジンの環化により、式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールを、単一のステップで得るステップ:
【0034】
【化18】
(式中、
R
1は、-Hであり、
Xは、-OC
(1~2)アルキル、-OC(CH
3)
3、-OCH
2Ph、-N(CH
3)
2、又は-N(CH
3)
3Iである。)と、
b)2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールのカルボキシル化により、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を得るステップ:
【0035】
【化19】
であって、上記のカルボキシル化は、LiCl、イソプロピル-MgCl、及びCO
2の使用によって特徴付けられるステップと、
c)2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の、(3aR,6aS)-2-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロールとの反応により、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンを形成するステップ:
【0036】
【化20】
であって、上記の反応が、SOCl
2の使用によって特徴づけられるステップとを含む。
【0037】
本発明はまた、式I:
【0038】
【化21】
の化合物を製造する方法を含み、その方法は、
(3-フルオロフェニル)ヒドラジン塩酸塩とグリオキサールとを、水及び/又はメタノールの存在下で反応させて、(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドを90%超の収率で形成すること:
【0039】
【化22】
(式中、
R
1は、H、CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルであり、
かつ、
Xは、-OH、-OC
(1~4)アルキル、-OCH
2Ph、-OPh、-OAc、-N(CH
3)
2、ピペリジニル、-NHC(O)CH
3、-NHSO
2PhCH
3、又は-N(CH
3)
3Iである。)を含む。
【0040】
本発明の別の実施形態は、次式I:
【0041】
【化23】
(式中、
R
1は、H、CO
2H、又は-CO
2C
(1~4)アルキルである。)の化合物である。
【0042】
本発明の別の実施形態は、
【0043】
【化24】
からなる群から選択される化合物である。
【0044】
本発明の別の実施形態は、
【0045】
【0046】
【化26】
からなる群から選択される化合物である。
【0047】
本発明の別の実施形態は、
【0048】
【化27】
からなる群から選択される化合物である。
【0049】
本発明は、以下の用語集及び結論付ける実施例を含む、以下の説明を参照することによって、より完全に理解され得る。簡潔にする目的で、本明細書において引用された特許を含む出版物の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、及び「含む(comprising)」という用語を本明細書では幅広い非限定的意味で使用される。
【0051】
定義
「(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン」は、
【0052】
【0053】
本明細書に記載の化学反応の生成物は、追加の試薬と直接反応させることができ、又は後続の反応の前に分離させることができる。「単離された」という用語は、反応容器内の他の材料から、反応生成物が部分的に又は完全に分離されていることを意味する。これらの他の材料としては、溶媒、未反応出発物質、反応に使用される試薬、副産物、不純物、及び反応に使用される試薬の生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
「調製する」という用語は、化学プロセスによる合成を意味する。
【0055】
更に、本明細書で与えられるいかなる式も、たとえこれらの形態が明示されていなくても、かかる化合物の水和物、溶媒和物、及び多形体、並びにこれらの混合物を指すことを意図する。
【0056】
また、本明細書で与えられるいかなる式も、化合物の非標識形態に加えて同位体標識形態も表すことを意図する。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子に置換されていることを除いて本明細書で与えられる式で描写される構造を有する。本発明の化合物に組み入れることができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17Oなどが挙げられる。かかる同位体標識化合物は、代謝研究(好ましくは14Cを用いる)、反応速度論研究(例えば、2H又は3Hを用いる)、検出若しくは撮像技術[陽電子放出断層撮影法(positron emission tomography、PET)又は単光子放射型コンピュータ断層撮影法(single-photon emission computed tomography、SPECT)など](薬物又は基質組織分布アッセイを含む)、又は患者の放射線治療において有用である。更に、より重い同位体、例えば重水素(すなわち、2H)などによる置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えばインビボ半減期が長くなるかあるいは必要な投薬量が少なくなるなど、結果として特定の治療的利点が得られ得る。本発明の同位体標識化合物及びそのプロドラッグは、一般的に、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって、以下に説明するスキーム又は実施例及び調製法に開示する手順を実施することにより、調製することができる。
【0057】
当業者は、少なくとも1つの二重結合が存在する本発明の化合物が、立体異性体として存在し得ることを認識するであろう。本発明は、(E)及び(Z)立体異性体及びそれらの全ての混合物を企図するものである。
【0058】
当業者は、本発明の反応に使用される化合物及び試薬が、塩として存在し得ることを認識するであろう。本発明は、本明細書に例示される反応で使用される任意の化合物のすべての塩の使用を企図するものである。
【0059】
塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン-スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、及びマンデル酸塩が挙げられるが、それらに限られない。
【0060】
本発明の反応において使用される化合物又は試薬が塩基性窒素を含む場合には、塩を、当該技術分野で利用可能な任意の適当な方法によって、例えば、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、リン酸など)、又は有機酸(例えば酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サルチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ピラノシジル酸(例えば、グルクロン酸若しくはガラクツロン酸)、α-ヒドロキシ酸(例えば、マンデル酸、クエン酸、若しくは酒石酸)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタル酸、若しくはグルタミン酸)、芳香族酸(例えば、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸、若しくは桂皮酸)、スルホン酸(例えば、ラウリルスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、若しくはエタンスルホン酸)、本明細書に例示するものなどの酸の任意の適合性混合物、並びに、当該技術分野における通常の知識に照らして等価物又は許容される代替物としてみなされる他の任意の酸及びその混合物で、遊離塩基を処理することによって調製することができる。
【0061】
当業者であれば、エステル
【0062】
【化29】
の鹸化に多くの試薬が使用され得ることを認識するであろう。また、それらの試薬は、多様であり、かつ当業者には既知のものである。本発明は、T.W.GreenとP.G.M.Wutsによる、Protective Groups in Organic Synthesis(Wiley-Interscience,New York,1999)の、579~580ページ及び744~747ページに記載されているものを含む、エステルをカルボン酸に変換する全ての通常の手段を用いることを企図する。
【0063】
次に、本発明の方法において有用な例示的な反応を、以下のそれらの一般的調製についての例示的な合成スキーム及びそれに続く具体例を参照することによって説明する。当業者は、反応が任意の好適な溶媒中で実施され得るということを認識するであろう。当業者はまた、具体的に限定されている場合を除いて、反応は広範囲の温度で実施され得るということも認識するであろう。特にことわらない場合、反応は、溶媒の融点と還流温度との間、好ましくは0℃と溶媒の還流温度との間で実施され得る。反応は、従来式加熱又はマイクロ波加熱を用いて加熱下で実施されてもよい。反応はまた、密閉圧力容器内で、溶媒の通常の還流温度より高い温度で実施されてもよい。
【0064】
略語:
本明細書及び本願を通して、以下の略語が使用され得る。
【0065】
【実施例】
【0066】
以下の実施例に記述する化合物及び対応する分析データを得る際、特に指示しない限り、以下の実験及び分析プロトコルに従った。
【0067】
特にことわらない限り、反応混合物は窒素雰囲気下、室温(room temperature、rt)で撹拌した。混合物、溶液、及び抽出物を「濃縮する」場合、典型的には減圧下において濃縮した。マイクロ波照射条件下での反応は、Biotage Initiator又はCEM Discover機器で行った。
【0068】
順相フラッシュカラムクロマトグラフィ(flash column chromatography、FCC)は、予めパッケージ化されていたカートリッジを使用し、指示された溶媒で溶出させて、シリカゲル(SiO2)で実施した。
【0069】
質量スペクトル(mass spectra、MS)は、Bruker QTOF、Waters QTOF Ultima機器で、特に指示がない限り正モードでエレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization、ESI)法を使用して、又はWaters GC-TOFで、電子衝撃(electronic impact、EI)法を使用してのいずれかの方法で得られた。質量の計算値(calculated、calcd.)は、正確な質量に相当する。
【0070】
核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)スペクトルは、Bruker分光計で得た。以下に示す1H NMRデータのフォーマットは、テトラメチルシランを基準物質とした低磁場のケミカルシフト(ppm)(多重度、結合定数J(Hz)、積分値)である。
【0071】
化学名は、ChemDraw Ultra 6.0.2(CambridgeSoft Corp.,Cambridge,MA)又はACD/Name Version 9(Advanced Chemistry Development,Toronto,Ontario,カナダ)を用いて生成した。
【0072】
一般的スキーム
【0073】
【0074】
酢酸ナトリウムの存在下で、フェニルヒドラジンIII又は対応する塩をグリオキサール及び水又は水-メタノールと反応させて、ヒドラゾノアセトアルデヒドIVを形成し得る。本発明は、フェニルヒドラジンがやや溶けにくい水-グリオキサール混合物を使用して、所望のモノ縮合を比較的少量の余分のグリオキサールで達成する。所望のモノ縮合生成物は、水などの適切な溶媒、又はメタノールと水との混合物によって高収率で得ることができ、溶液中のヒドラジン出発材料の濃度を最小限に抑え、モノ縮合生成物の生成物が形成されると、それが溶液から沈殿することも可能になる。
【0075】
H2N-Xとの縮合により、ヒドラゾンIがもたらされる。この生成物は、加熱時に相互変換するE/Z立体異性体の混合物として形成され、立体異性体どうしを互いに分離する必要はない。ヒドラゾン混合物の環化により、2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールIIが、Iから単一のステップで得られる。
【0076】
2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールIIの生成は、R1が-CO2C(1~4)アルキルの場合には鹸化によって、あるいは、R1がHである場合には、カルボキシル化によって実現され、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸が得られる。LiClを反応混合物に添加すると、-CO2の望ましからざるビス添加が、減少した。
【0077】
この生成物である2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸は、塩化チオニル又は任意の好適な活性化剤を使用して活性化され、(3aR,6aS)-2-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロールと反応させることにより、((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンを形成する。
【0078】
実施例1:式IVのヒドラゾノアセトアルデヒドの合成
実施例1a:(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドの合成。
【0079】
【化31】
グリオキサールの40重量%の水溶液(613g、4.22mol)を、1.24Lの水中の177g(1.06mol)の(3-フルオロフェニル)ヒドラジン(HCl塩)の懸濁液に添加した。続いて708mLの水中の129.9g(1.58mol)の酢酸ナトリウムの溶液を2時間かけて添加した。室温で数時間撹拌した後、懸濁液を濾過し、ケークを0.89Lの水で洗浄し、真空下で乾燥させて、172.8g(95%収率)の表題化合物を黄色固体として得た。
【0080】
融点(mp):118~119℃。
【0081】
1H NMR(DMSO-d6)δ:11.80(br s、1H)、9.49(d、J=7.7Hz、1H)、7.36(d、J=7.9Hz、1H)、7.32~7.39(m、1H)、6.96~7.03(m、2H)、6.75~6.83(m、1H)。13C NMR(DMSO-d6)δ:190.4、163.0(br d、J=242.7Hz)、144.7(br d、J=10.8Hz)、136.3、131.2(d、J=10.0Hz)、110.0(d、J=2.3Hz)、108.5(d、J=21.6Hz)、100.6(d、J=27.0Hz)。19F NMR(DMSO-d6)δ:-111.72。
【0082】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C8H8FN2Oの計算値:167.0621、実測値:167.0611。
【0083】
実施例1b:(E)-2-フルオロ-6-(2-(2-オキソエチリデン)ヒドラジニル)安息香酸メチルの合成
【0084】
【化32】
メタノール-水(それぞれ90mL、180mL)中の2-フルオロ-6-ヒドラジニル安息香酸メチル(17.65g、0.08mol)の溶液を10℃で10分間かけて、40重量%のグリオキサールの水溶液(58.04g、0.8mol)と、水(100mL)と、酢酸ナトリウム(9.85g、0.12mol)との混合物に添加した。この混合物を、約1.5時間撹拌した後、濾過した。濾過ケークを水ですすぎ(50mL×2回)、真空下で乾燥させた。乾燥した固体(16.12g)を、酢酸エチル(50mL)中に50℃にて再び溶解させた後、ヘプタン(200mL)をゆっくりと添加し、5℃に冷却して結晶化させた。得られた固体を濾過し、ヘプタン(15mL×2回)ですすぎ、真空下で乾燥させた。所望の生成物を黄色固体として得た(13.33g、74%収率)。なお融点は110.8℃であった。
【0085】
1H NMR(DMSO-d6)δ:11.74(s、1H)、9.41(d、1H)、7.49(m、2H)、7.19(d、1H)、6.92(m、1H)、3.84(s、3H)。
【0086】
MS(ESI-TOF)m/z:225.1([M+H]+)。
【0087】
実施例1c:(E)-2-フルオロ-6-(2-(2-オキソエチリデン)ヒドラジニル)安息香酸の合成
【0088】
【化33】
2-フルオロ-6-ヒドラジニル安息香酸を、水中において過剰な量のグリオキサールと反応させて、所望の化合物である2-フルオロ-6-(2-(2-オキソエチリデン)ヒドラジニル)安息香酸を、64%収率で黄色固体として得た。その化合物をそのまま次のステップで使用した。
【0089】
実施例2:式Iのヒドラゾンの合成
実施例2a:(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムの合成。
【0090】
【化34】
210mLの水中の、59.7g(715mmol)の塩酸メトキシルアミンと58.6g(715mmol)の酢酸ナトリウムとの溶液を、350mLのメタノール中の、70g(408mmol)の(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドの溶液に、1.5時間かけて添加し、続いて210mLの水を添加した。室温で2時間撹拌した後、懸濁液を0℃に冷却し、この温度で一晩撹拌した後、濾過した。濾過ケークを70mLの水で洗浄し、真空下で乾燥させて、77.4g(92%収率)の表題化合物を黄色の固体として得た。NMR分析により、2つの異性体の存在が明らかになった(約1/1比)。
【0091】
異性体の分離。
【0092】
【化35】
実施例2aの反応生成物10gの異性体を、超臨界流体クロマトグラフィ(supercritical fluid chromatography、SFC、溶離液:超臨界CO
2中のアイソクラティック7%アセトニトリル)によって分離して、6g(63%収率)の異性体1(E,E)と、2.7g(28%収率)の異性体2(E,Z)を得た。
【0093】
異性体1(E,E):
融点:90℃。
【0094】
1H NMR(DMSO-d6)δ:10.89(s、1H)、7.83(d、J=8.8Hz、1H)、7.54(dd、J=8.8、0.7Hz、1H)、7.20-7.28(m、1H)、6.74-6.83(m、2H)、6.54-6.62(m、1H)、3.84(s、3H)。13C NMR(DMSO-d6)δ:163.2(br d、J=241.2Hz)、148.3、146.1((br d、J=10.8Hz)、132.8、130.8(d、J=10.0Hz)、108.4(d、J=2.3Hz)、105.9(d、J=21.6Hz)、98.9(d、J=27.0Hz)、61.7。19F NMR(DMSO-d6)δ:-112.30。
【0095】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C9H11FN3Oの計算値:196.0881、実測値:196.0876。
【0096】
異性体2(E,Z):
融点:114℃。
【0097】
1H NMR(DMSO-d6)δ:11.04(s、1H)、7.96(dd、J=8.6、0.9Hz、1H)、7.25(d、J=8.4Hz、1H)、7.21~7.29(m、1H)、6.78~6.86(m、2H)、6.59~6.66(m、1H)、3.85(s、3H)。13C NMR(DMSO-d6)δ=163.2(br d、J=242.0Hz)、145.8(br d、J=10.8Hz)、145.4、130.8(d、J=10.0Hz)、127.9、108.8(d、J=2.3Hz)、106.6(d、J=21.6Hz)、99.3(d、J26.2Hz)、61.7。19F NMR(DMSO-d6)δ:-112.18。
【0098】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C9H11FN3Oの計算値:196.0881、実測値:196.0876。
【0099】
実施例2b:(3-フルオロフェニル)ヒドラジン(HCl塩)と、グリオキサールと、メトキシルアミンHClとの化合物からの、(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドを乾燥させない、1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムの代替的合成。
【0100】
第1の反応器に、4.5kgの(3-フルオロフェニル)ヒドラジン(HCl塩)と36Lの水とを充填した。懸濁液を65℃で、1時間にわたって撹拌した。第2の反応器に、6.15kgのグリオキサールと4.6Lの水とを充填し、10℃に冷却した。(3-フルオロフェニル)ヒドラジン(HCl塩)の水溶液を、第1の反応器から第2の反応器に、2時間かけて移した。反応混合物をさらに3時間撹拌してから、濾過をして、(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドの固体を、水で洗浄した。ウェットケークを、18kgのメタノールと共に反応器内に再び充填した。次いで、3.77kgのヒドロキシルアミンHClと、3.7kgの酢酸ナトリウムと、9kgの水とを、効率的に撹拌しながら添加した。懸濁液を30~60分間にわたって撹拌し、18kgの水を添加し、最終混合物を5℃に冷却し、1~2時間にわたって撹拌した。生成物である(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムと、(1E,2Z)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムとの混合物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、5.01kgの黄色の固体(収率:93%)を、99%超の純度で得た。
【0101】
実施例2c:(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドとX-NH2とからの式Iの化合物の合成。
【0102】
【化36】
記載されない限り、式I(式中、R
1がHである。)の化合物を、(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドとX-NH
2とから、実施例2aの手順又は非常に類似した手順に従って調製し、粗製物の状態で用いたか、あるいは結晶化又はクロマトグラフィによって精製した。結果を表1に報告する。
【0103】
【0104】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドオキシム
【0105】
【0106】
異性体1(主要):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.33(s、1H)、10.70(s、1H)、7.77(d、J=8.6Hz、1H)、7.59(dd、J=0.4、8.8Hz、1H)、7.27~7.17(m、1H)、6.80~6.76(m、1H)、6.75(d、J=1.5Hz、1H)、6.59~6.51(m、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.24(br d、J=241.2Hz)、147.88、146.46(br d、J=10.8Hz)、134.44、130.74(d、J=10.0Hz)、108.29(d、J=2.3Hz)、105.56(d、J=21.6Hz)、98.71(d、J=26.2Hz)。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.36。
【0107】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C8H9FN3Oの計算値:182.0730、実測値:182.0726。
【0108】
異性体2(少数):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.28(s、1H)、10.90(s、1H)、8.06(dd、J=0.7、8.4Hz、1H)、7.27~7.17(m、2H)、6.83~6.80(m、1H)、6.80~6.76(m、1H)、6.63~6.59(m、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.21(br d、J=241.2Hz)、146.16(br d、J=10.8Hz)、144.96、130.82(d、J=10.0Hz)、128.71、108.65(d、J=2.3Hz)、106.14(d、J=21.6Hz)、99.09(d、J=26.2Hz)。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.26。
【0109】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C8H9FN3Oの計算値:182.0730、実測値:182.0727。
【0110】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-エチルオキシム
【0111】
【化38】
黄色の固体。融点:82.7℃及び101.7℃(異性体の混合物)。
【0112】
異性体1(主要):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=10.88(s、1H)、7.82(d、J=8.6Hz、1H)、7.56(d、J=8.8Hz、1H)、7.29~7.18(m、1H)、6.85~6.73(m、2H)、6.61~6.52(m、1H)、4.10(q、J=7.0Hz、2H)、1.22(t、J=7.0Hz、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.21(br d、J=241.2Hz)、148.02、146.20(br d、J=10.8Hz)、133.08、130.73(d、J=10.0Hz)、108.40(d、J=2.3Hz)、105.84(d、J=20.8Hz)、98.86(d、J=26.2Hz)、69.24、14.31。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.34。
【0113】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C10H13FN3Oの計算値:210.1043、実測値:210.1035。
【0114】
異性体2(少数):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.05(s、1H)、8.00(d、J=8.6Hz、1H)、7.29~7.18(m、2H)、6.85~6.73(m、2H)、6.66~6.58(m、1H)、4.11(q、J=7.0Hz、2H)、1.22(br t、J=7.0Hz、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.16(br d、J=241.2Hz)、145.86(br d、J=11.6Hz)、145.17、130.80(br d、J=10.0Hz)、128.15、108.78(d、J=2.3Hz)、106.46(d、J=21.6Hz)、99.25(d、J=27.0Hz)、69.20、14.38。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.22。
【0115】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C10H13FN3Oの計算値:210.1043、実測値:210.1035。
【0116】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-(tert-ブチル)オキシム
【0117】
【化39】
黄色の固体。融点:93.8℃(異性体の混合物)。
【0118】
異性体1:1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=10.80(s、1H)、7.80(d、J=8.6Hz、1H)、7.60(d、J=9.0Hz、1H)、7.29~7.18(m、1H)、6.84~6.75(m、2H)、6.60~6.53(m、1H)、1.28(s、9H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.23(br d、J=241.2Hz)、147.19、146.33(br d、J=10.8Hz)、133.76、130.63(d、J=10.0Hz)、108.35(d、J=2.3Hz)、105.66(d、J=21.6Hz)、98.84(d、J=26.2Hz)、78.78、27.18。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.36。
【0119】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C12H17FN3Oの計算値:238.1356、実測値:238.1351。
【0120】
異性体2:1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.02(s、1H)、8.03(d、J=9.0Hz、1H)、7.29~7.18(m、2H)、6.84~6.75(m、2H)、6.60~6.53(m、1H)、1.29(s、9H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.18(br d、J=242.0Hz)、146.01(br d、J=10.8Hz)、144.37、130.69(br d、J=10.0Hz)、128.56、108.70(d、J=2.3Hz)、99.17(d、J=26.2Hz)、78.40、27.18。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.29。
【0121】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C12H17FN3Oの計算値:238.1356、実測値:238.1351。
【0122】
異性体3:1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=10.93(s、1H)7.80(m、1H)、6.89(m、1H)、7.29~7.18(m、1H)、6.84~6.75(m、2H)、6.60~6.53(m、1H)、1.34(s、9H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.30(br d、J=241.2Hz)、146.66(d、J=11.6Hz)、141.90、137.58、130.69(br d、J=10.0Hz、1C)、130.63(d、J=10.0Hz、1C)、130.56(d、J=10.0Hz、1C)、128.56、127.44、108.13(d、J=2.3Hz)、105.04(d、J=21.6Hz)、98.49(d、J=26.2Hz)、79.63、27.11。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.16。
【0123】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C12H17FN3Oの計算値:238.1356、実測値:238.1351。
【0124】
異性体4:1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.35(s、1H)、8.28(d、J=6.8Hz、1H)、7.29~7.18(m、1H)、6.84~6.75(m、3H)、6.60~6.53(m、1H)、1.27(s、9H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6-被検出信号)δ=163.30(br d、J=241.2Hz、1C)、163.23(br d、J=241.2Hz、1C)、163.18(br d、J=242.0Hz、1C)、144.28、127.44、108.86(d、J=2.3Hz)、106.56(d、J=21.6Hz)、99.38(br d、J=26.2Hz)、27.06。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.22。
【0125】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-ベンジルオキシム
【0126】
【化40】
黄色の固体。融点:105.6℃(異性体の混合物)。
【0127】
異性体1(主要):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=10.91(s、1H)、7.94(d、J=8.8Hz、1H)、7.56(d、J=9.0Hz、1H)、7.42~7.27(m、5H)、7.27~7.19(m、1H)、6.87~6.76(m、2H)、6.62~6.54(m、1H)、5.13(s、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.20(d、J=241.2Hz)、148.86、146.13(br d、J=10.8Hz、1C)、137.43、132.71、130.74(d、J=9.2Hz)、128.25、128.00、127.74、108.46(d、J=2.3Hz)、105.96(d、J=21.6Hz)、98.95(d、J=26.2Hz)、75.51。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.23。
【0128】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C15H15FN3Oの計算値:272.1199、実測値:272.1198。
【0129】
異性体2(少数):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.08(s、1H)、8.06(d、J=9.0Hz、1H)、7.56(d、J=9.0Hz、1H)、7.42~7.27(m、5H)、7.27~7.19(m、1H)、6.87~6.76(m、2H)、6.66~6.62(m、1H)、5.14(br s、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.16(br d、J=241.2Hz)、145.94、137.50、108.83(d、J=2.3Hz)、106.58(d、J=21.6Hz)、99.31(d、J=26.2Hz)75.56。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.12。
【0130】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C15H15FN3Oの計算値:272.1199、実測値:272.1199。
【0131】
異性体3:HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C15H15FN3Oの計算値:272.1199、実測値:272.1200。
【0132】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-フェニルオキシム
【0133】
【化41】
黄色の固体。融点:93.4℃(異性体の混合物)。
【0134】
異性体1(主要):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.17(s、1H)、8.28(d、J=8.6Hz、1H)、7.70(d、J=8.8Hz、1H)、7.45~7.32(m、2H)、7.32~7.23(m、1H)、7.18(d、J=7.9Hz、2H)、7.09~7.01(m、1H)、6.93~6.81(m、2H)、6.64(dt、J=2.2、8.6Hz、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.17(br d、J=241.2Hz)、158.61、151.99、145.82(br d、J=11.6Hz)、131.57、130.87(d、J=9.2Hz)、129.44、122.43、114.18、108.72(d、J=2.3Hz)、106.48(d、J=21.6Hz)、99.62(d、J=26.2Hz)。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.13。
【0135】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C14H13FN3Oの計算値:258.1043、実測値:258.1038。
【0136】
異性体2(少数):1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.38(s、1H)、8.19(d、J=8.6Hz、1H)、7.69(br d、J=8.4Hz、1H)、7.45~7.32(m、2H)、7.32~7.23(m、1H)、7.18(d、J=7.9Hz、2H)、7.09~7.01(m、1H)、6.93~6.81(m、2H)、6.69(dt、J=2.2、8.6Hz、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.13(br d、J=242.0Hz)、158.66、148.82、145.47(br d、J=10.8Hz)、130.95(d、J=10.0Hz)、129.44、127.23、122.33、114.21、109.14(d、J=2.3Hz)、107.14(d、J=21.6Hz)、99.62(d、J=26.2Hz)。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.02。
【0137】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C14H13FN3Oの計算値:258.1043、実測値:258.1038。
【0138】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-アセチルオキシム
【0139】
【化42】
1.16mLの50重量%のヒドロキシルアミン水溶液(19mmol)を、15mLのメタノール中の3g(18mmol)の化合物(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドの溶液に添加した。室温で一晩撹拌した後、3.6mL(19mmol)の無水酢酸を、2回に分けて添加した。一晩撹拌した後、15mLの水を添加して、沈殿を完了させた。所望の化合物を濾過し、数mLの水で洗浄し、真空下で乾燥させて、2.6g(65%収率)の黄色の固体を得た。
【0140】
黄色の固体。融点:100.8℃(異性体の混合物)。
【0141】
異性体1:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.31(br s、1H)、8.20(d、J=8.8Hz、1H)、7.63(d、J=8.8Hz、1H)、7.36~7.22(m、1H)、6.93~6.79(m、2H)、6.78~6.60(m、1H)、2.15(s、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=167.88、163.15(br d、J=242.0Hz)、155.53、145.54(br d、J=10.8Hz)、131.12(d、J=10.0Hz)、130.58、108.93(d、J=2.3Hz)、106.94(d、J=21.6Hz)、99.44(d、J=26.2Hz)、19.25。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.07。
【0142】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C10H11FN3O2の計算値:224.0835、実測値:224.0835。
【0143】
異性体2:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6、可視信号)δ=11.46(br s、1H)、7.36~7.22(m、1H)、6.99(s、1H)、6.93~6.79(m、2H)、6.78~6.60(m、1H)、1.91(s、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=171.93、163.02(br d、J=242.7Hz)、151.84、144.63(br d、J=10.8Hz)、130.95(d、J=10.0Hz)、130.97、109.45(d、J=2.3Hz)、108.23(d、J=21.6Hz)、100.16(d、J=26.2Hz)、21.00。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-111.71。
【0144】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C10H11FN3O2の計算値:224.0835、実測値:224.0836。
【0145】
異性体3:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.85(br s、1H)、7.97(d、J=8.4Hz、1H)、7.74(d、J=8.4Hz、1H)、7.36~7.22(m、1H)、6.93~6.79(m、2H)、6.78~6.60(m、1H)、2.17(s、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=167.91、163.11(br d、J=242.0Hz)、155.53、145.20(br d、J=10.0Hz)、131.66(d、J=9.3Hz)、126.80、109.35(d、J=2.3Hz)、107.57(d、J=21.6Hz)、99.85(d、J=27.0Hz)、19.37。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-111.95。
【0146】
(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1-ジメチルヒドラジン
【0147】
【化43】
黄色の固体。融点:134.4℃(異性体は1つのみ)。
【0148】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=10.27(s、1H)、7.58(d、J=7.9Hz、1H)、7.23~7.13(m、1H)、7.02(d、J=8.1Hz、1H)、6.77~6.67(m、2H)、6.52~6.42(m、1H)、2.89(s、6H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.33(br d、J=240.4Hz)、147.21(d、J=10.8Hz)、139.63、130.69、130.55(d、J=10.0Hz)、107.80(d、J=1.5Hz)、104.33(d、J=21.6Hz)、98.06(d、J=26.2Hz)、42.24。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.61。
【0149】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C10H14FN4の計算値:209.1202、実測値:209.1200。
【0150】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)-N-(ピペリジン-1-イル)エタン-1-イミン
【0151】
【化44】
黄色の固体。融点:155.4℃(異性体は1つのみ)。
【0152】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=10.36(s、1H)、7.58(d、J=8.1Hz、1H)、7.31(d、J=7.9Hz、1H)、7.25~7.08(m、1H)、6.83~6.62(m、2H)、6.48(dt、J=2.3、8.5Hz、1H)、3.06(br t、J=5.4Hz、4H)、1.81~1.52(m、4H)、1.52~1.23(m、2H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.31(d、J=240.4Hz、1C)、147.05(d、J=10.8Hz、1C)、139.45、132.82、130.55(br d、J=10.0Hz、1C)、107.88(br d、J=2.3Hz、1C)、104.54(d、J=21.6Hz、1C)、98.17(br d、J=26.2Hz、1C)、51.14、24.43、23.48。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.59。
【0153】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C13H18FN4の計算値:249.1515、実測値:249.1518。
【0154】
N’-((1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)アセトヒドラジド
【0155】
【化45】
黄色の固体。融点:265.1℃(異性体の混合物)。
【0156】
異性体1(回転異性体1、主要):
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.22(s、1H)、10.85(s、1H)、7.75(d、J=8.4Hz、1H)、7.57(d、J=8.6Hz、1H)、7.25(q、J=7.8Hz、1H)、6.93~6.73(m、2H)、6.59(br t、J=7.8Hz、1H)、2.13(s、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=190.43、171.62、163.26(d、J=241.2Hz、1C)、146.20(br d、J=10.8Hz、1C)、142.49、136.15、130.79(d、J=10.0Hz、1C)、108.44(d、J=2.3Hz、1C)、105.84(br d、J=21.6Hz、1C)、98.86(br d、J=26.2Hz、1C)、20.07。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.21。
【0157】
異性体1(回転異性体2、少数):
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.37(s、1H)、10.92(s、1H)、7.87(d、J=8.4Hz、1H)、7.62(d、J=8.4Hz、1H)、7.25(q、J=7.8Hz、1H)、6.93~6.73(m、2H)、6.59(br t、J=7.8Hz、1H)、1.96(s、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=190.43、165.52、163.26(d、J=241.2Hz、1C)、146.17(br d、J=10.8Hz、1C)、145.05、136.32、130.79(d、J=10.0Hz、1C)、108.48(br d、J=2.3Hz、1C)、105.91(br d、J=21.6Hz、1C)、98.89(br d、J=26.2Hz、1C)、21.56。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.21。
【0158】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C10H12FN4Oの計算値:223.0995、実測値:223.0994。
【0159】
N’-((1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-4-メチルベンゼンスルホノヒドラジド
【0160】
【化46】
黄色の固体。融点:146.7℃(異性体は1つのみ)。
【0161】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=11.48(s、1H)、10.84(s、1H)、7.71(d、J=8.4Hz、2H)、7.61(d、J=8.4Hz、1H)、7.42(br d、J=8.6Hz、1H)、7.41(br d、J=8.1Hz、2H)、7.27~7.17(m、1H)、6.79~6.70(m、2H)、6.63~6.52(m、1H)、2.37(s、3H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=163.18(br d、J=241.2Hz)、146.37、145.99(br d、J=10.8Hz)、143.46、136.07、135.31、130.83(d、J=10.0Hz)、129.68、127.05、108.52(d、J=2.3Hz)、106.07(d、J=21.6Hz)、98.92(d、J=26.2Hz)、20.96。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-112.20。
【0162】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+C15H16FN4O2Sの計算値:335.0978、実測値:335.0982。
【0163】
(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1,1-トリメチルヒドラジン-1-イウムヨージド
【0164】
【化47】
MeOH(3mL)中の(E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒド(1mmol、1.0当量)とNaOAc(1.5mmol、1.5当量)との溶液に、1,1-ジメチルヒドラジン塩酸塩(1.2mmol、1.2当量)を、25℃で、一度に添加した。出発物質の消費後(約30分後)、水(3mL)を反応混合物に添加した。次いで、懸濁液を濾過し、ケークを水で洗浄した。中間ジヒドラゾン(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1-ジメチルヒドラジンを、真空下、50℃で3時間乾燥させた。そのようにして得られた(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1-ジメチルヒドラジン(1.0mmol、1.0当量)(単離された又は単離されていない、いずれかの中間体)のACN(2mL)中の溶液に、MeI(5.0mmol、5.0当量)を、25℃で一度に添加した。一晩又は出発物質が消費されるまで撹拌した後、EtOAc(3mL)を懸濁液に添加した。懸濁液を濾過し、ケークをEtOAcで洗浄した。ヒドラジニウム塩(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1,1-トリメチルヒドラジン-1-イウムヨージドを、30℃で、真空下で乾燥させて、315mgの黄色の固体を得た(収率:90%)。
【0165】
融点:166.8℃。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ 11.82(s、1H)、8.73(d、J=8.0Hz、1H)、7.63(d、J=8.1Hz、1H)、7.35(dd、J=15.1、8.2Hz、1H)、6.99~6.90(m、2H)、6.82~6.71(m、1H)、3.47(s、9H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6):δ 164.73、163.18、162.32、145.32、145.22、131.81、131.72、131.12、110.01、108.77、108.56、100.55、100.29、55.52、55.46。
【0166】
C11H16FN4
+[M+]に対するHRMS(ESI)計算値:223.1359、実測値:223.1348。融点:166.8℃。
【0167】
実施例2d:2-フルオロ-6-(2-(2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジニル)安息香酸メチルの合成
【0168】
【化48】
水(80mL)中の塩酸メトキシルアミン(3.61g、43.2mmol)と酢酸ナトリウム(3.55g、43.2mmol)との溶液を、メタノール(40mL)中の(E)-2-フルオロ-6-(2-(2-オキソエチリデン)ヒドラジニル)安息香酸メチル(8.07g、36.0mmol)の溶液に添加した。室温で一晩撹拌した後、表題化合物を濾過し、水ですすぎ(15mL×2回)、真空下で乾燥させた。所望の化合物(7.85g、79%収率)を、黄色の固形物として得た。NMRは、いくつかの異性体の存在を示す。融点は90.0℃。
【0169】
1H NMR(DMSO-d6、主要な異性体)δ:10.87(s、1H)、7.76(m、2H)、7.40(m、1H)、7.11(m、1H)、6.72(m、1H)、3.86(s、3H)、3.83(s、3H)。
【0170】
MS(ESI-TOF)m/z:254.2([M+H]+)。
【0171】
実施例2e:(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロ-2-(メトキシカルボニル)フェニル)ヒドラジニイリデン)エチリデン)-1,1,1-トリメチルヒドラジン-1-イウムヨージドの合成
【0172】
【化49】
メタノール(10mL)中の、1,1-ジメチルヒドラジン塩酸塩(0.76g、7.9mmol)と酢酸ナトリウム(0.74g、9.0mmol)との懸濁液を、トルエン-メタノール(それぞれ25mL、6mL)中の(E)-2-フルオロ-6-(2-(2-オキソエチリデン)ヒドラジニル)安息香酸メチル(1.68g、7.5mmol)の溶液にゆっくりと添加した。1時間にわたって攪拌した後、混合物を真空下で濃縮し、残留物を水と酢酸エチル(それぞれ10mL、20mL)とに分配した。相分離後、水層を酢酸エチル(20mL)で抽出し、合わせた有機層を、真空下で濃縮した。得られた油をクロマトグラフィ(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル-ヘプタン、1/8)で精製し、中間体ジヒドラゾン(1.8g)を黄色の固体として得た。次いで中間体(1.6g)を、アセトニトリル(12mL)に再溶解させて、ヨードメタン(5.11g、36.0mmol)を添加し、反応混合物を36℃で8時間にわたって撹拌した。室温まで冷却してから固体を濾過し、アセトニトリルですすぎ(20mL×2回)、真空下で乾燥させて、所望の化合物(2.0g、65%全体収率)を黄色の固体として得た。融点:177.5℃。
【0173】
1H NMR(DMSO-d6)δ:11.51(s、1H)、8.57(d、1H)、7.84(m、2H)、7.50(m、1H)、7.25(m、1H)、6.88(m、1H)、3.86(s、3H)、3.45(s、9H)。19F NMR(DMSO-d6)δ:-111.49。
【0174】
MS(ESI-TOF)m/z:281.1([ヒドラゾニウムイオン]+)。
【0175】
実施例2f:2-フルオロ-6-(2-((1E,2E)-2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジニル)安息香酸の合成
【0176】
【化50】
2-フルオロ-6-(2-(2-オキソエチリデン)ヒドラジニル)安息香酸を、水-メタノール中の、メトキシルアミン塩酸塩と酢酸ナトリウムと反応させて、2-フルオロ-6-(2-((1-(E,2E)-2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジニル)安息香酸を、黄色の固体として52%の収率で得た。その所望の化合物は、次のステップでそのまま使用した。
【0177】
実施例3:式IIの2-フェニル-2H-1,2,3-トリアゾールの合成
【0178】
【化51】
実施例3a:Xが-N
+Me
3I
-である場合の2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールの合成。
【0179】
DMF(3mL)中の、(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1,1-トリメチルヒドラジン-1-イウムヨージドヒドラジニウム塩(X=-N+Me3I--1.0mmol、1.0当量)の溶液に、K2CO3又はKHCO3(2.0mmol、2.0当量)を、25℃で一度に添加した。この懸濁液を50℃に加熱した。2時間にわたって又は出発物質が消費されるまで撹拌した後、反応物を25℃に冷却し、H2O及びEtOAcで処理した。有機層を分配し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。溶離液としてヘプタン/酢酸エチルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールを、87%の収率で得た。
【0180】
K2CO3をKHCO3に置き換えると、収率が96%に改善された。
【0181】
実施例3b:他の-X基を使用した、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1、2、3-トリアゾールの合成。
【0182】
R1がHである式Iの化合物からの、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1、2、3-トリアゾールの合成は、以下の手順に従って、様々な-X脱離基に対して実現され得る。
【0183】
5mmolのR1がHである式Iの化合物と、0.25mmolの硫酸銅五水和物又はメシル酸銅水和物との、5~7mLのn-ブタノール又はエチレングリコール(ethylene glycol、EG)中の溶液/懸濁液を、110℃で数時間にわたって攪拌した後、室温まで冷却し、7.5mLの1M HCl水溶液で洗浄し、LCで2-(3-フルオロフェニル)-2H-1、2、3-トリアゾールについてアッセイした。
【0184】
以下の表2は、列挙された条件下で、各-X脱離基に対して得られた収率を示す。反応条件は最適化されておらず、本発明は、各-X基に対する反応条件とその自明の変化形を考慮する。任意の-X脱離基の反応最適化に使用され得る様々なスクリーニング条件の例が、例えば、-Xが-OCH3である、実施例3cについて示されている。
【0185】
【0186】
実施例3c:(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムからの、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールの合成(条件のスクリーニング)。
【0187】
【0188】
(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシム(1当量)と溶媒中の触媒との溶液を、110℃~120℃で20分間から一晩かけて加熱した後、室温に冷却し、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールについてLCアッセイした。反応条件及び収率を表3にまとめる。
【0189】
【0190】
実施例3d:(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムからの、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールの形成及び単離。
【0191】
反応器に0.31kgの硫酸銅五水和物と26.8kgのEGとを充填して不活性化し、撹拌しながら120~130℃に加熱した。4.8kgの(1E,2E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)アセトアルデヒドO-メチルオキシムを5回に分けて添加した。120~130℃で1時間撹拌した後、反応混合物の一部を真空下で蒸留した。留出物(13Lの、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾール+EG)を、3.3kgのヘプタンと4.8kgの2重量%のHCl水溶液とに分配した。2つの層を分離し、極性1側を、3.3kgのヘプタンで抽出した。2つのヘプタン層を合わせ、4.8kgの水で洗浄し、真空下で濃縮して、3.09kgの2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールを、無色からわずかに黄色の油として得た(収率:77%)。
【0192】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=8.14(s、2H)、7.87(dd、J=1.3、8.1Hz、1H)、7.79(td、J=2.2、10.1Hz、1H)、7.60(dt、J=6.4、8.3Hz、1H)、7.26(ddt、J=0.9、2.5、8.5Hz、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=162.38(br d、J=244.3Hz)、140.32(d、J=1.5Hz)、136.88、131.63(d、J=9.2Hz)、114.34(d、J=3.1Hz)、114.37(d、J=20.8Hz)、105.79(d、J=27.7Hz)。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-110.88。
【0193】
HRMS(EI-TOF)m/z:[M]+C8H6FN3の計算値:163.0546、実測値:163.0521。
【0194】
実施例3eパート1:2-フルオロ-6-(2-(2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジンイル)安息香酸メチル(methyl 2-fluoro-6-(2-(2-(methoxyimino)ethylidene)hydrazineyl)benzoate)からの、2-フルオロ-6-(2H-1、2、3-トリアゾール-2-イル)安息香酸メチルの合成
【0195】
【化53】
2-フルオロ-6-(2-(2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジンイル)安息香酸メチル(4.05g、16mmol)を、125℃に保ったエチレングリコール(25mL)中の、硫酸銅五水和物(250mg、1.0mmol)の溶液に、4回に分けて添加した。得られた混合物を125℃で3時間以上にわたって攪拌した後、60℃に冷却した。水(60mL)、ヘプタン(30mL)、及び酢酸エチル(20mL)を添加し、層を分離した。有機層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘプタン-酢酸エチル:8/1)により精製した後、1.3g(37%収率)の所望の生成物を得た。融点:56.9℃。
【0196】
2-フルオロ-6-(2-(2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジンイル)安息香酸メチル(633mg、2.50mmol)と硫酸銅五水和物(31mg、0.125mmol)とを室温で、エチレングリコール(5mL)中で最初に混合した後、120℃まで約4時間にわたって加熱し(加熱して化学物質を完全に溶解させた)後、室温に冷却した。水で希釈し、酢酸イソプロピルで抽出し、カラムクロマトグラフィによって精製したところ、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸メチルの収率が54%に改善した。上記手順を、10mLのエチレングリコール中の、1.00mmolの出発材料、0.05mmolの硫酸銅五水和物を用いて、かつ約8時間の加熱時間で繰り返したところ、57%の収率が得られた。
【0197】
1H NMR(DMSO-d6)δ:8.18(s、2H)、7.87(d、1H)、7.75(m、1H)、7.48(t、1H)、3.78(s、3H)。13C NMR(DMSO-d6)δ:163.68、159.40(d)、137.63、137.6(d)、133.27(d)、118.00(d)、115.86(d)、115.8(d)、53.28。19F NMR(DMSO-d6)δ:-114.28。
【0198】
実施例3eパート2:2-フルオロ-6-(2H-1、2、3-トリアゾール-2-イル)安息香酸メチルからの、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の合成
【0199】
【化54】
THF-水(それぞれ2mL)中の、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸メチル(360mg)と水酸化リチウム水和物(66mg、10.2mmol)との溶液を撹拌し、完全に変換させた。中和及び単離をして、所望の生成物が86%の収率で得られた。
【0200】
実施例3f:(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1,1-トリメチルヒドラジン-1-イウムヨージドからの、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸メチルの合成
【0201】
【化55】
(E)-2-((E)-2-(2-(3-フルオロフェニル)ヒドラゾノ)エチリデン)-1,1,1-トリメチルヒドラジン-1-イウムヨージド(0.61g、1.5mmol)からの2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸メチルと重炭酸カリウム(0.75g、7.5mmol)とのDMF(10mL)中の溶液を、56℃で1時間にわたって撹拌した後、真空下で濃縮した。残渣をヘプタンと水(それぞれ15mLと6mL)とに分配した。相分離後、水層をヘプタン(15mL)で抽出し、合わせた有機層を真空下で濃縮して、所望の生成物(0.27g、収率81%)を黄色の粉末として得た。
【0202】
実施例3g:2-フルオロ-6-(2-((1E,2E)-2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジニル)安息香酸からの、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の合成
【0203】
【化56】
2-フルオロ-6-(2-((1E,2E)-2-(メトキシイミノ)エチリデン)ヒドラジニル)安息香酸を、温かいエチレングリコール中、硫酸銅五水和物の存在下で反応させて、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を、約25%の収率で得た。
【0204】
実施例4:2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールからの、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の合成
【0205】
【化57】
実施例4a:塩基及び添加剤のスクリーニング
塩基を化合物2-(3-フルオロフェニル)-2H-1,2,3-トリアゾールの溶液に添加し、混合物を、CO
2ガスを通気する前に、アニオンを完全にクエンチし、酸がワークアップするまで撹拌した。得られた混合物を、LCで分析し、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸を、ワークアップの完了後に単離した。結果を下の表4に報告する。
【0206】
【0207】
実施例4b:2-フルオロ-6-(2H-1、2、3-トリアゾール-2-イル)安息香酸の合成及び単離
THF(735mL、1.47mol)中の、2Mの塩化イソプロピルマグネシウムの溶液を、1リットルのTHF中の、2-(3-フルオロフェニル)-2H-1、2、3-トリアゾール200g(1.23mol)と塩化リチウム25.98g(0.61mol)との、加熱(35~40℃)溶液に添加した。反応混合物を6時間にわたって35~40℃で撹拌した後、-5℃まで冷却した。CO2ガス(67.44g、1.53mol)を、反応物の温度が10℃を超えないような速度で、混合物に通気させた。反応混合物を、800mLのトルエン、800mLの水、及び144mLの濃HCl溶液の添加によってクエンチした。不溶性粒子を溶解させた後、2つの層を分離し、水層を廃棄した。有機層を木炭で濾過し、真空下で濃縮した後、残渣を、1.80Lのトルエン及び800mLの水に再び溶解させた。二相混合物を数分間加熱し還流させ、75~80℃に冷却し、結晶核を播種し、さらに10℃に冷却した。結晶化後、生成物を濾過により単離し、数mLの水及びトルエンで洗浄し、真空下で乾燥させて、2-フルオロ-6-(2H-1、2、3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(212~217g、83~85%収率)を白色~淡黄色の固体として得た。
【0208】
融点:153~155℃。
【0209】
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ=13.70(br s、1H)、8.14(s、2H)、7.79(d、J=8.1Hz、1H)、7.66(dt、J=6.1、8.3Hz、1H)、7.42(ddd、J=1.0、8.4、9.3Hz、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d6)δ=164.09、158.90(br d、J=247.4Hz)、136.97、136.77(br d、J=6.2Hz)、131.82(d、J=9.2Hz)、118.03(d、J=3.1Hz)、117.25(br d、J=23.1Hz)、115.48(d、J=22.3Hz)。19F NMR(377MHz、DMSO-d6)δ=-114.93。
【0210】
HRMS(ESI-TOF)m/z:[M+H]+ C9H7FN3O2の計算値:208.0517、実測値:208.0517。
【0211】
実施例5:(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノンの合成
【0212】
【化58】
塩化チオニル(60mmol、4.3mL)を、トルエン(110mL)中の2-フルオロ-6-(2H-1、2、3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(9.5g、46mmol)の懸濁液に添加し、55℃に2.5時間かけて加熱した。反応物を真空下で、約100mLの残留体積まで濃縮(溶媒蒸留量が約20mL)し、トルエン(44mL)及び炭酸ナトリウム水溶液(44mL、68.5mmol)中の、(3aR,6aS)-2-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール(10.2g、45.7mmol)のよく撹拌した二相混合物に添加した。得られた二相混合物を30℃で3.5時間にわたって撹拌した後、70℃まで加熱した。有機層を57mLの水で2回洗浄し、真空下で、約64mLの残留体積まで濃縮した。濃縮した混合物を90℃に加熱して溶液を得た後、室温に冷却し、シクロヘキサン(64mL)を添加した。得られた懸濁液を一晩撹拌し、濾過し、シクロヘキサン(12mL)で洗浄し、水(11mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、(((3aR,6aS)-5-(4,6-ジメチルピリミジン-2-イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-イル)(2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)メタノン(18.1g、収率97%)を固体として得た。
1H NMR(400MHz、ピリジン-d
5)δ ppm 2.33(s、12H)2.81~2.97(m、4H)3.27(dd、J=10.6、5.0Hz、1H)3.33(dd、J=10.5、4.7Hz、1H)3.57(br t、J=7.1Hz、1H)3.59(br t、J=7.0Hz、1H)3.67(dd、J=11.7、4.5Hz、1H)3.70~3.75(m、1H)3.75~3.82(m、2H)3.82~3.98(m、7H)4.11(dd、J=12.4、7.6Hz、1H)6.29(s、1H)6.29(s、1H)7.19(td、J=8.7、1.0Hz、1H)7.26(td、J=8.6、0.9Hz、1H)7.46(td、J=8.3、6.2Hz、1H)7.46(td、J=8.3、6.0Hz、1H)7.90(dt、J=8.2、0.8Hz、1H)7.90(s、2H)7.98(dt、J=8.2、0.8Hz、1H)8.04(s、2H)。
13C NMR(101MHz、ピリジン-d
5)δ ppm 24.47、24.48、41.74、41.82、42.71、42.93、50.76、50.82、50.90、51.03、51.43、51.62、51.87、52.06、109.27、109.44、115.88(br d、J=22.4Hz)、115.89(br d、J=22.4Hz)、118.82(br d、J=3.3Hz)、118.97(br d、J=3.3Hz)、120.48(d、J=24.9Hz)、120.55(d、J=24.6Hz)、131.53(br d、J=9.2Hz)、131.54(d、J=9.2Hz)、137.33、137.47、138.04(d、J=7.0Hz)、138.07(br d、J=7.0Hz)、159.71(d、J=245.8Hz)、159.81(d、J=245.4Hz)、161.53、161.61、162.99(d、J=7.3Hz)、162.99(d、J=7.3Hz)、167.61、167.63。高分解能MS(ES、m/z):C
21H
23FN
7O(M+H)
+に対する計算値:408.1943、実測値:408.1946。
【0213】
上記の明細書は、説明を目的として与えられる実施例とともに本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施には、以下の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれるすべての通常の変形例、適合例及び/又は改変例が包含される点が理解されるであろう。
【0214】
引用した全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】