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特表2022-543546エッジリングポケットを洗浄するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】エッジリングポケットを洗浄するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221005BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221005BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221005BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20221005BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
H01L21/31 C
H01L21/304 645C
H01L21/304 645Z
H05H1/46 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505202
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020043138
(87)【国際公開番号】W WO2021021531
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/881,893
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ブリッグス・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ホランド・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マラクタノフ・アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】コザケヴィッチ・フェリックス・レイブ
(72)【発明者】
【氏名】ルケーシー・ケネス
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
5F157
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084BB29
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD37
2G084FF15
2G084HH09
2G084HH35
2G084HH45
5F004AA15
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA05
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F045AA08
5F045AC02
5F045AC11
5F045AC15
5F045AC16
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB06
5F045EF05
5F045EH14
5F045EH20
5F045EM02
5F045EM05
5F045EM09
5F045EM10
5F157AB02
5F157AB33
5F157BG05
5F157BG06
5F157BG32
5F157BG33
5F157BG34
5F157BG72
5F157BG73
5F157BG77
5F157CC11
5F157CF14
5F157CF46
5F157CF48
5F157CF60
5F157CF99
5F157DC90
(57)【要約】
【解決手段】エッジリングポケットを洗浄するためのシステムおよび方法が本明細書で説明される。方法の1つは、1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することと、低周波(LF)無線周波数(RF)電力をプラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することとを含む。LF RF電力は、1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給されてプラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に供給される。LF RF電力の供給により、エッジリングポケット付近のプラズマイオンのエネルギーが増加し、エッジリングポケット内の残留物を除去する。LF RF電力は、基板がプラズマチャンバ内で処理されていない期間中に供給される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジリングポケットを洗浄するための方法であって、
1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することと、
低周波(LF)無線周波数(RF)電力を前記プラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することであって、前記エッジリングポケットの一部は、前記エッジリングの上面によって画定されることと
を含み、
前記LF RF電力を前記供給することは、前記1つまたは複数のプロセスガスが前記プラズマチャンバに供給されて前記プラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に実施され、前記LF RF電力を前記供給することは、RF電力が前記チャックに供給されていない期間中に実施され、
前記LF RF電力を前記供給することは、前記プラズマ中のプラズマイオンを励起して前記エッジリングポケット内の残留物を除去し、
前記LF RF電力を前記供給することは、基板が前記プラズマチャンバ内で処理されていない前記期間中に実施される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスは、酸素、または窒素、またはアルゴン、または二酸化炭素、または水素、またはフッ素系ガス、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスは、2つ以上のプロセスガスを含み、前記フッ素系ガスの量は、前記2つ以上のプロセスガスの総量の0.5%~前記総量の15%の範囲である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記低周波は、400キロヘルツまたは2メガヘルツ(MHz)または13.56MHzまたは27MHzである、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリングの前記上面は、内側上面部分と、傾斜上面部分と、外側上面部分とを含み、前記エッジリングは、内側側面と、外側側面と、底面とを有し、前記エッジリングの前記内側上面部分は、前記内側側面に隣接し、前記傾斜上面部分は、前記内側上面部分に隣接し、前記外側上面部分は、前記傾斜上面部分に隣接し、前記外側側面は、前記外側上面部分に隣接し、前記底面は、前記外側側面部分に隣接し、前記内側側面は、前記底面に隣接している、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記チャックは、上面と、傾斜面と、側面とを有し、前記エッジリングポケットは、前記チャックの前記上面と前記エッジリングの前記外側上面部分との間に延びる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記チャックの前記側面および前記エッジリングの前記内側側面は、それらの間にギャップを形成し、前記エッジリングポケットは、前記チャックの前記上面から、前記チャックの前記傾斜面の上部の領域、前記ギャップの上部の領域、前記エッジリングの前記内側上面部分の上部の領域、および前記エッジリングの前記傾斜面部分の上部の領域を介して前記エッジリングの前記外側上面部分に延びる、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記チャックに隣接して位置する前記エッジリングのために、前記エッジリングと前記チャックとの間には1つまたは複数のリングが存在しない、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することは、前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することの前に開始され、前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することは、前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することの間継続する、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することは、前記プラズマチャンバ内の圧力の定常状態を達成するために実施される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリングに供給される前記LF RF電力をランプダウンすることと、
前記LF RF電力の前記ランプダウンの後に前記1つまたは複数のガスを前記提供することを停止することと
をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することおよび前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することは、パワードエッジリングウエハレス自動洗浄(PER WAC)プロセスの一部であり、前記方法は、前記PER WACプロセスを実行する前にカバードウエハ自動洗浄動作を実行することをさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することおよび前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することの前にカバードウエハ自動洗浄動作を実行することであって、前記カバードウエハ自動洗浄動作は、前記チャックの上部にダミー基板を載置することによって実施されることと、
前記ダミー基板を持ち上げることであって、前記1つまたは複数のガスを前記提供することおよび前記LF RF電力を前記供給することは、前記ダミー基板を持ち上げた後に実施されることと
をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することおよび前記LF RF電力を前記供給することは、前記プラズマチャンバの上縁電極の底面における残留物を低減するために実施される、方法。
【請求項15】
エッジリングポケットを洗浄するための方法であって、
1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することと、
低周波(LF)無線周波数(RF)電力を前記プラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することであって、前記エッジリングポケットの一部は、前記エッジリングの上面によって画定されることと、
高周波(HF)RF電力を前記チャックに供給することと
を含み、
前記LF RF電力を前記供給することおよび前記HF RF電力を前記供給することは、前記1つまたは複数のプロセスガスが前記プラズマチャンバに供給されて前記プラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に実施され、
前記LF RF電力を前記供給することは、前記プラズマ中のプラズマイオンを励起して前記エッジリングポケット内の残留物を除去し、
前記LF RF電力を前記供給することおよび前記HF RF電力を前記供給することは、基板が前記プラズマチャンバ内で処理されていない時間間隔中に実施される、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供すること、前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給すること、および前記HF RF電力を前記チャックに前記供給することの前にカバードウエハ自動洗浄動作を実行することをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することは、前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することおよび前記HF RF電力を前記チャックに前記供給することの前に開始され、前記1つまたは複数のプロセスガスを前記提供することは、前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することおよび前記HF RF電力を前記チャックに前記供給することの間継続する、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記エッジリングに供給される前記LF RF電力をランプダウンすることと、
前記チャックに供給される前記HF RF電力をランプダウンすることと、
前記LF RF電力の前記ランプダウンおよび前記チャックへの前記HF RF電力の前記ランプダウンの後に前記1つまたは複数のガスを前記提供することを停止することと
をさらに含む、方法。
【請求項19】
エッジリングポケットを洗浄するための方法であって、
1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することと、
低周波(LF)無線周波数(RF)電力を前記プラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することであって、前記エッジリングポケットの一部は、前記エッジリングの上面によって画定されることと、
前記LF RF電力が前記エッジリングに供給される期間の所定の部分の間、高周波(HF)RF電力を前記チャックに供給することと
を含み、
前記LF RF電力を前記供給することは、前記1つまたは複数のプロセスガスが前記プラズマチャンバに供給されて前記プラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に実施され、
前記LF RF電力を前記供給することは、前記プラズマ中のプラズマイオンを励起して前記エッジリングポケット内の残留物を除去し、
前記LF RF電力を前記供給することは、基板が前記プラズマチャンバ内で処理されていない前記期間中に実施される、
方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記期間の前記所定の部分の後に前記HF RF電力を前記チャックに前記供給することを停止することをさらに含み、前記LF RF電力を前記エッジリングに前記供給することは、前記HF RF電力の前記供給が停止された後も継続する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に記載される実施形態は、エッジリングポケットを洗浄するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0003】
プラズマツールでは、1つまたは複数の無線周波数(RF)発生器がインピーダンス整合ネットワークに結合される。インピーダンス整合ネットワークは、プラズマチャンバに結合される。RF信号は、RF発生器からインピーダンス整合ネットワークに供給される。インピーダンス整合ネットワークは、RF信号を受信するとRF信号を出力する。RF信号は、プラズマチャンバ内でウエハを処理するために、インピーダンス整合回路からプラズマチャンバに供給される。
【0004】
1つまたは複数のウエハがプラズマチャンバ内で処理される一定時間の後、不要な材料がプラズマチャンバの様々な部品の表面上に堆積する。部品を洗浄しない場合、材料が部品上にさらに蓄積し、その蓄積物がウエハの処理効率に悪影響を及ぼす。また、蓄積物を除去するためのいくつかの洗浄プロセスは、時間がかかりすぎるか、または材料を除去するのに効果的ではない。
【0005】
本開示に記載される実施形態は、このような状況で生じるものである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、エッジリングポケットを洗浄するための装置、方法、およびコンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、多くの方法、例えば、プロセス、装置、システム、ハードウェアの一部、またはコンピュータ可読媒体上の方法で実施することができることを理解されたい。いくつかの実施形態を、以下に説明する。
【0007】
一実施形態では、エッジリングポケットを洗浄するための方法が説明される。方法は、1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することと、低周波(LF)無線周波数(RF)電力をプラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することとを含む。エッジリングポケットの一部は、エッジリングの上面によって画定される。LF RF電力を供給する動作は、1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給されてプラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に実施される。
さらに、LF RF電力を供給する動作は、RF電力がチャックに供給されていない期間中に実施される。また、LF RF電力を供給する動作は、プラズマ中のプラズマイオンを励起してエッジリングポケット内の残留物を除去する。LF RF電力を供給する動作は、基板がプラズマチャンバ内で処理されていない期間中に実施される。
【0008】
一実施形態では、エッジリングポケットを洗浄するための方法が説明される。方法は、1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することを含む。方法は、LF RF電力をプラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することをさらに含む。エッジリングポケットの一部は、エッジリングの上面によって画定される。方法は、高周波(HF)RF電力をチャックに供給することをさらに含む。LF RF電力を供給する動作およびHF RF電力を供給する動作は、1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給されてプラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に実施される。また、LF RF電力を供給する供給する動作は、プラズマ中のプラズマイオンを励起してエッジリングポケット内の残留物を除去する。LF RF電力を供給する動作およびHF RF電力を供給する動作は、基板がプラズマチャンバ内で処理されていない時間間隔中に実施される。
【0009】
一実施形態では、エッジリングポケットを洗浄するための方法が説明される。方法は、1つまたは複数のプロセスガスをプラズマチャンバに提供することと、LF RF電力をプラズマチャンバのチャックに隣接して位置するエッジリングに供給することとを含む。エッジリングポケットの一部は、エッジリングの上面によって画定される。方法は、LF RF電力がエッジリングに供給される期間の所定の部分の間、HF RF電力をチャックに供給することをさらに含む。LF RF電力を供給する動作は、1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給されてプラズマチャンバ内にプラズマを維持している間に実施される。また、LF RF電力を供給する動作は、プラズマ中のプラズマイオンを励起してエッジリングポケット内の残留物を除去する。LF RF電力を供給する動作は、基板がプラズマチャンバ内で処理されていない期間中に実施される。
【0010】
エッジリングポケットを洗浄するための本明細書に記載のシステムおよび方法のいくつかの利点は、エッジリングポケット内に堆積された残留物を低減または除去する効率を増加させることを含む。他の従来の方法と比較して、除去率が増加する。例えば、本明細書に記載の方法を適用すると、除去率は2倍以上増加する。例示すると、エッジリングポケット内の残留物は、毎分1.5マイクロメートルの速度で除去される。別の例示として、エッジリングポケット内の残留物は、毎分1.6マイクロメートルの速度で除去される。さらに別の例示として、エッジリングポケット内の残留物は、毎分1.4マイクロメートル~毎分2マイクロメートルの速度で除去される。
【0011】
また、残留物は、他の従来の方法と比較してより効果的に除去される。本明細書に記載のエッジリングポケットを洗浄するための方法を適用することによって、エッジリングポケット内に堆積された残留物は完全に除去されるか、またはかなりの量の残留物が除去される。一例として、残留物は、約3RF時間にわたってエッジリングポケットを洗浄するために、本明細書に記載の方法を適用することによって完全にまたは実質的に除去される。例示すると、残留物は、2時間45分~3時間15分の範囲の期間にわたって方法を適用することによって完全にまたは実質的に除去される。別の例示として、電力をエッジリングに適用せずに電力をチャックに適用することによってエッジリングポケットから除去される量と比較して、より多くの量の残留物がエッジリングポケットから除去される。残留物の完全なまたは実質的な除去量および効率の向上は、チャックに適用される電力と比較して、大量の電力をエッジリングに適用することによって達成される。場合によっては、残留物の完全なまたは実質的に完全な除去は、エッジリングポケットのユーザによる目視検査によって決定される。
【0012】
加えて、エッジリングポケットを洗浄するために、適用される1つまたは複数のプロセスガスは、従来の方法の間に適用されるものと比較してチャックおよびエッジリングへの害が少なくなる。例えば、エッジリングポケットを洗浄するために適用されるフッ素の量は、ウエハレス自動洗浄動作中に適用される量よりも少なくなる。ウエハレス自動洗浄動作中、電力は、エッジリングに適用されずにチャックに適用され、より多くの量のフッ素がプラズマチャンバ内に供給される。フッ素の量が少なくなることで、プラズマチャンバの構成要素は摩耗されないか、または摩耗が最小限になる。
【0013】
他の態様は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって理解される。
【0015】
図1A図1Aは、無線周波数(RF)電力をチャックに適用することなく、RF電力をエッジリングに適用してエッジリングポケットを洗浄し、かつギャップを洗浄することを例示するためのシステムの一実施形態の図である。
【0016】
図1B図1Bは、RF電力がチャックおよびエッジリングに同時に供給されてエッジリングポケットおよびギャップを洗浄することを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0017】
図1C図1Cは、エッジリングポケットおよびギャップを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0018】
図1D図1Dは、チャックおよびエッジリングの異なる部分を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0019】
図2A図2Aは、プラズマチャンバ内の圧力の定常状態を達成するサブ動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0020】
図2B図2Bは、プラズマチャンバの内側のギャップ内でプラズマを打つサブ動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0021】
図2C図2Cは、チャックへのRF信号の供給を停止し、エッジリングへのRF信号の供給を継続するサブ動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0022】
図2D図2Dは、電力をエッジリングに供給するRF発生器についての電力ランプダウンサブ動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0023】
図2E図2Eは、エッジリングポケットおよびギャップを洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスの供給をオフにするサブ動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0024】
図3A図3Aは、図1A、または図1B、または図2A図2Eを参照して、上述のパワードエッジリングウエハ自動洗浄(PER WAC)動作の前に実施されるカバードウエハ自動洗浄(CWAC)動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0025】
図3B図3Bは、ピンアップ自動洗浄動作が続くCWAC動作の性能を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0026】
図3C図3Cは、図3Bを参照して上述された、CWAC動作に続くピンアップ自動洗浄動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0027】
図4図4は、図1A、または図1B、または図2A図2EのPER WAC動作中、上部電極延長部の底面上に堆積された残留物が除去または低減されることを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0028】
図5A図5Aは、エッジリングが、エッジリングの2つの別々の場所で修正されたRF信号からRF電力を提供されることを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0029】
図5B図5Bは、エッジリングが、エッジリングの3つの別々の場所で修正されたRF信号からRF電力を提供されることを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0030】
図6A図6Aは、RFコネクタを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0031】
図6B図6Bは、RFコネクタの先端がエッジリングの底面内に形成されたスロット内に延びることを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0032】
図7A図7Aは、基板の処理を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0033】
図7B図7Bは、図7Aを参照して上述の方法を使用して基板を処理した後のエッジリングの洗浄を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0034】
図7C図7Cは、図7Bを参照して上述の洗浄動作を実施した後の別の基板の処理を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0035】
図7D図7Dは、他の基板を処理した後のエッジリングの表面上の残留物の洗浄を例示するシステムの一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の実施形態は、エッジリングポケットを洗浄するためのシステムおよび方法を説明する。本実施形態は、これらの具体的な詳細の一部またはすべてがなくても実践することができることは明らかであろう。他の例では、本実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。
【0037】
図1Aは、無線周波数(RF)電力をチャック106に適用することなく、RF電力をエッジリング102に適用してエッジリングポケット130およびギャップ138を洗浄することを例示するためのシステム100の一実施形態の図である。システム150は、電力をチャック106に提供しない場合のパワードエッジリング(PER)ウエハ自動洗浄(WAC)動作を説明するために使用される。システム100は、エッジリング102と、チャック106と、インピーダンス整合回路108と、RF発生器122と、ホストコンピューティングデバイス112とを含む。RF発生器122は、RF電源110を含む。ホストコンピューティングデバイス112は、プロセッサ114と、メモリデバイス116とを含む。
【0038】
ホストコンピューティングデバイス112の例には、コンピュータ、サーバ、タブレット、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、およびラップトップコンピュータが挙げられる。また、メモリデバイス116の例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み取り専用メモリ(ROM)が挙げられる。例示すると、メモリデバイス116は、フラッシュメモリ、不揮発性メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ、またはプログラム可能な読み取り専用メモリである。本明細書で説明されるプロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、1つまたは複数のコントローラ、プロセッサと1つまたは複数のコントローラの組み合わせ、中央処理装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびプログラム可能な論理デバイス(PLD)が挙げられる。
【0039】
本明細書で説明されるRF電源の一例には、正弦波または方形波などの周期的に振動する電子信号を発生する電子発振器が挙げられる。例示すると、RF電源110は、400キロヘルツ(kHz)~27MHz(MHz)の低周波(LF)RF範囲の信号を発生する。別の例示として、RF電源110は、60MHzの周波数を有するRF信号を生成しない。さらに例示すると、RF電源110は、400kHzの周波数を有するRF信号を発生する。RF信号は、RF信号が400kHzから所定の範囲内、例えば395kHz~405kHzの範囲の周波数で振動するとき、400kHzの周波数を有する。同様に、別の例示として、RF電源110は、2MHzまたは13.56MHzまたは27MHzの周波数を有するRF信号を発生する。例えば、RF信号は、RF信号が2MHzから所定の範囲内、例えば1.98MHz~2.2MHzの範囲の周波数で振動するとき、2MHzの周波数を有する。電子発振器の一例には、トランジスタおよびオペアンプが挙げられる。
【0040】
本明細書で説明されるインピーダンス整合回路は、互いに結合された1つまたは複数の回路構成要素、例えば、1つまたは複数のインダクタ、または1つまたは複数のコンデンサ、または1つまたは複数のレジスタ、またはそれらの組み合わせもしくは2つ以上などを含む。例えば、インピーダンス整合回路108は、インダクタの端部に直列に結合された直列コンデンサを含み、インピーダンス整合回路108の入力118と直列コンデンサとの間に結合された端部を有するシャントコンデンサをさらに含む。シャントコンデンサのもう一方の端部は、アース接続に結合される。インダクタのもう一方の端部は、インピーダンス整合回路108の出力120に結合される。
【0041】
エッジリング102は、1つまたは複数の材料から製作され、その例には、結晶ケイ素、多結晶ケイ素、炭化ケイ素、石英、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、および窒化ケイ素が挙げられる。エッジリング102は、チャック106上への処理のための基板の位置決め、およびプラズマチャンバ内に形成されたプラズマのイオンによる損傷から基板によって保護されていないプラズマチャンバの基礎となる構成要素の遮蔽を含む、多くの機能を実施する。以下でさらに説明するプラズマチャンバは、チャック106と、エッジリング102とを含む。
【0042】
チャック102の一例には、静電チャック(ESC)が挙げられる。チャック102は、下部電極を含む。チャック102は、台座ベースおよびファシリティプレートを含むベースプレート上で支持され得る。ファシリティプレートは、台座ベースの上部に装着され、チャック102は、ファシリティプレートの上部に装着される。チャック102は、陽極酸化アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から製作される。
【0043】
プロセッサ114は、メモリデバイス116に結合され、接続ケーブル124を介してRF発生器122に結合される。一例として、プロセッサ114は、RF発生器122のデジタル信号プロセッサ(DSP)に結合され、RF発生器122のデジタル信号プロセッサは、RF電源110に結合される。本明細書で説明される接続ケーブルの一例には、RF発生器122とプロセッサ114との間でデータのパラレル転送を達成するためのパラレル転送ケーブル、またはRF発生器122とプロセッサ114との間でデータのシリアル転送を達成するためのシリアル転送ケーブル、またはユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルが挙げられる。
【0044】
さらに、RF電源110の出力は、RFケーブル126を介してインピーダンス整合回路108の入力118に結合される。インピーダンス整合回路108の出力120は、ピンまたはRFケーブルなどのRFコネクタ128を介してエッジリング102に結合される。RFコネクタ128の一例には、スリーブによって囲まれる同軸ケーブルが挙げられる。スリーブは、同軸ケーブルの周囲の電界から同軸ケーブルを絶縁する。RFコネクタ128の別の例は、スリーブによって囲まれるピンである。
【0045】
以下に説明する1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給されると、プロセッサ114は、周波数および電力などのパラメータの値を有する電力供給開始命令を生成し、接続ケーブル124を介して電力供給開始命令をRF発生器122に提供する。電力供給開始命令を受信すると、RF発生器122は、周波数および電力を有するRF信号132を生成し、RF信号132をインピーダンス整合回路108の入力118に供給する。RF信号132の一例は、連続波信号である。インピーダンス整合回路108は、インピーダンス整合回路108の出力120に結合された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路108の入力118に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、修正されたRF信号134を出力する。出力120に結合された負荷の一例には、エッジリング102およびRFコネクタ128が挙げられる。ソースの一例には、RFケーブル126およびRF発生器122が挙げられる。
【0046】
エッジリング102は、RF接続128を介して修正されたRF信号134を受信し、修正されたRF信号134によって電力を供給されてエッジリングポケット130およびギャップ138を洗浄する。エッジリングポケット130およびギャップ138は、プラズマチャンバ内の基板の処理中に生成される、プラズマおよび他の材料の残留物などの残留物を含む。他の材料の例には、基板上に1つまたは複数の層を堆積するために使用される液体もしくはガス材料の残骸、またはエッチングされる基板の部分の残骸、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
エッジリング102が修正されたRF信号134によって電力を供給されると、プラズマがプラズマチャンバ内で打たれるか、かつ/またはプラズマチャンバ内で維持される。プラズマチャンバ内のプラズマは、プラズマシース境界136を有する。プラズマシース境界136は、プラズマチャンバの構成要素の表面とバルクプラズマとの間の領域であるプラズマシースのものである。また、エッジリング102が修正されたRF信号134によって電力を供給されると、プラズマのイオンのエネルギーが増加するか、またはイオンが励起され、エッジリングポケット130に向かう矢印によって示されるように、より多くのイオンがエッジリングポケット130に向けて導かれる。イオンのエネルギーは、カバードウエハ自動洗浄(CWAC)動作と比較して増加し、CWAC動作と比較してイオン数が増加する。一例として、プラズマイオンの束とイオンの平均エネルギーの積である電力束の量は、CWAC動作中に生成される電力束の量と比較して約2倍である。さらに例示すると、電力束の量は、CWAC動作中に生成される電力束の量と比較して2倍である。CWAC動作中の電力束と比較して電力束が増加すると、エッジリングポケット130内の残留物を洗浄する効率が、CWAC動作と比較して約2倍増加する。例えば、電力束の増加は、CWAC動作中に達成される除去率と比較して2倍の除去率を達成する。プラズマは、エッジリングポケット130上に堆積された残留物を除去または低減し、エッジリングポケット130を洗浄するために使用される。プラズマはまた、ギャップ138内の残留物を除去または低減し、ギャップ138を洗浄するために使用される。
【0048】
プラズマシース境界136は、エッジリング102が修正されたRF信号134からRF電力を供給されない場合、およびチャック106がRF電力を供給される場合と比較して、エッジリング102から離れて移動することに留意されたい。また、プラズマシース境界136はまた、チャック106と比較してエッジリング102からさらに離れている。例えば、プラズマシース境界136とエッジリング102との間の垂直距離は、プラズマシース境界136とチャック106との間の垂直距離よりも大きい。プラズマシース境界136は、チャック106の電圧バイアスと比較して、エッジリング102でのより大きな電圧バイアスの結果としてエッジリング102から離れて移動する。エッジリング102へのRF電力の供給は、チャック106での電圧バイアスと比較してエッジリング102での電圧バイアスを増加させる。エッジリング102での電圧バイアスの一例には、20ボルト(V)~1キロボルト(kV)のバイアスが挙げられる。また、エッジリング102での電圧バイアスは、RF発生器122によって供給されるRF信号132の周波数の減少と共に増加する。
【0049】
修正されたRF信号134がエッジリング102に供給されている期間中、RF電力はチャック106に供給されていないことに留意されたい。例えば、プロセッサ114は、RF信号を生成するために、以下に説明する電力供給開始命令をRF発生器に送信しない。RF発生器は、以下に説明するインピーダンス整合回路を介してチャック106に結合される。
【0050】
修正されたRF信号134がエッジリング102に供給されているとき、基板はプラズマチャンバ内で処理されていないことにさらに留意されたい。例えば、修正されたRF信号134がエッジリング102に供給される期間中、プラズマチャンバ内での基板の処理は行われない。基板の処理の例には、基板のエッチング、基板の洗浄、基板上への材料の堆積、および基板のスパッタリングなどが挙げられる。
【0051】
一実施形態では、インピーダンス整合回路、インピーダンスマッチ、マッチ、インピーダンス整合ネットワーク、およびマッチ回路という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0052】
一実施形態では、連続波RF信号132の代わりに、パルスRF信号がRF電源110によって生成される。パルスRF信号は、2つ以上の状態など、複数の状態を有する。各状態についての論理レベルなどの状態情報は、プロセッサ114によってRF発生器122に提供される。加えて、各状態についての周波数レベルおよび電力レベルは、プロセッサ114によってRF発生器122に提供される。RF発生器122のDSPは、複数の状態についての状態情報、電力レベル、および周波数レベルを受信する。DSPは、状態情報に基づいて複数の状態から第1の状態を決定し、第1の状態についての電力レベルおよび第1の状態についての周波数レベルをRF発生器122のRF電源110に提供する。同様に、DSPは、状態情報に基づいて複数の状態から第2の状態を決定し、第2の状態についての電力レベルおよび第2の状態についての周波数レベルをRF発生器122のRF電源110に提供する。RF電源110は、複数の状態を有するパルスRF信号を生成し、RF信号の各状態は、対応する電力レベルおよび対応する周波数レベルを有する。例えば、RF電源110によって生成されたパルスRF信号は、第1の遷移時間中に第1の状態についての電力レベルから第2の状態についての電力レベルに遷移し、第2の遷移時間中に第2の状態についての電力レベルから第1の状態についての電力レベルに遷移する。一例として、遷移時間は、周波数レベルまたは電力レベルなどのパラメータレベルが、別のパラメータレベルに変化または遷移またはランプする時間の持続時間である。例示すると、時間の持続時間は、周波数および電力の設定値の定義されたランプに関連付けられている。設定値は、時間の持続時間中に達成される。
【0053】
図1Bは、RF電力がチャック106およびエッジリング102に同時に供給されてエッジリングポケット130およびギャップ138を洗浄することを例示するシステム150の一実施形態の図である。システム150は、電力をチャック106に提供することに加えて、PER WAC動作を説明するために使用される。システム150は、システム100と同じである。さらに、システム150は、RF発生器152と、インピーダンス整合回路154とを含む。
【0054】
プロセッサ114は、接続ケーブル158を介してRF発生器152に結合される。一例として、プロセッサ114は、RF発生器152のDSPに結合され、RF発生器152のDSPは、RF発生器152のRF電源156に結合される。RF発生器152のRF電源156は、RFケーブル160を介してインピーダンス整合回路154の入力162に結合される。インピーダンス整合回路154の出力164は、RF伝送ライン168を介してチャック106の下部電極に結合される。RF伝送ライン168の一例には、シースによって囲まれるケーブルが挙げられる。シースとケーブルとの間には、絶縁体が存在する。
【0055】
以下に説明する1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給されると、プロセッサ114は、周波数および電力などのパラメータの値を有する電力供給開始命令を生成し、電力供給開始命令を接続ケーブル158を介してRF発生器152に提供する。電力供給開始命令を受信すると、RF発生器152は、周波数および電力を有するRF信号170を生成し、RF信号170をインピーダンス整合回路154の入力162に供給する。RF信号170の一例は、連続波信号である。
【0056】
RF電源156は、RF電源110(図1A)の低周波数よりも高い周波数を有するRF信号170を発生する。例えば、RF電源156は、60MHzの周波数を有するRF信号170を生成する。さらに例示すると、RF信号170は、RF信号170が60MHzから所定の範囲内、例えば58MHz~62MHzの範囲の周波数で振動するとき、60MHzの周波数を有する。また、別の例として、RF電源156は、400kHzである周波数を有するRF信号を生成しない。さらに別の例として、RF電源156は、27MHzの周波数を有するRF信号170を生成し、RF電源110は、400kHzの周波数を有するRF信号134を生成する。さらなる別の例として、RF電源156は、27MHzの周波数を有するRF信号170を生成し、RF電源110は、2MHzの周波数を有するRF信号134を生成する。
【0057】
RF信号170を受信すると、インピーダンス整合回路154は、インピーダンス整合回路154の出力164に結合された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路154の入力162に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、修正されたRF信号172を出力する。出力164に結合された負荷の一例には、チャック106およびRF伝送ライン168が挙げられる。ソースの一例には、RFケーブル126およびRF発生器122が挙げられる。
【0058】
チャック106の下部電極は、RF伝送ライン168を介して修正されたRF信号172を受信し、修正されたRF信号172によって電力を供給されてエッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物を洗浄する。チャック106の下部電極が修正されたRF信号172によって電力を供給されると、プラズマがプラズマチャンバ内で打たれる。
【0059】
さらに、エッジリング102は、修正されたRF信号134によって電力を供給され、エッジリングポケット130に向かう矢印によって示されるように、プラズマのイオンをエッジリングポケット130に向けて導く。例えば、エッジリングポケット130を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバに供給される間、RF信号132が生成されて修正されたRF信号134がエッジリング102に供給され、プラズマチャンバ内にプラズマを維持する。修正されたRF信号132および170の両方は、互いに連動して動作してRF電力をエッジリング102およびチャック106に提供し、エッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物を除去または低減する。
【0060】
修正されたRF信号134がエッジリング102に供給され、修正されたRF信号172がチャック106の下部電極に供給されているとき、基板はプラズマチャンバ内で処理されていないことにさらに留意されたい。例えば、修正されたRF信号134がエッジリング102に供給され、修正されたRF信号172がチャック106の下部電極に供給されている期間中、プラズマチャンバ内での基板の処理は行われない。
【0061】
一実施形態では、RF電源156は、2MHzまたは13.56MHzまたは27MHzである周波数を有するRF信号を生成しない。
【0062】
一実施形態では、RF信号170は、RF信号132がRF電源110によって供給される期間の一部の間にRF電源156によって供給される。例えば、プロセッサ114は、電力供給開始命令をRF発生器152に提供してRF信号170を生成する前に、電力供給開始命令をRF発生器122に提供してRF信号132を生成する。また、プロセッサ114は、電力供給終了命令をRF発生器152に提供してRF信号170の生成を停止した後、電力供給終了命令をRF発生器122に提供してRF信号132の生成を停止する。
【0063】
一実施形態では、RF信号132は、RF信号170がRF電源156によって供給される期間の一部の間にRF電源110によって供給される。一例として、プロセッサ114は、電力供給開始命令をRF発生器152に提供してRF信号170を生成した後、電力供給開始命令をRF発生器122に提供してRF信号132を生成する。また、プロセッサ114は、電力供給終了命令をRF発生器152に提供してRF信号170の生成を停止する前に、電力供給終了命令をRF発生器122に提供してRF信号132の生成を停止する。
【0064】
一実施形態では、RF信号132および170の両方が、同じ時間または実質的に同じ時間にわたって同時に供給される。一例として、プロセッサ114は、電力供給開始命令をRF発生器152に提供してRF信号170を生成するのと同時にまたは実質的に同時に、電力供給開始命令をRF発生器122に提供してRF信号132を生成する。例示すると、プロセッサ114は、電力供給開始命令をRF発生器152に提供してからの所定の期間の前または後に電力供給開始命令をRF発生器122に提供することで、実質的に同時に電力供給開始命令をRF発生器122および152に提供する。また、プロセッサ114は、電力供給終了命令をRF発生器152に提供してRF信号170の生成を停止するのと同時にまたは実質的に同時に、電力供給終了命令をRF発生器122に提供してRF信号132の生成を停止する。例示すると、プロセッサ114は、電力供給終了命令をRF発生器152に提供してからの所定の期間の前または後に電力供給終了命令をRF発生器122に提供することで、実質的に同時に電力供給終了命令をRF発電機122および152に提供する。
【0065】
一実施形態では、連続波RF信号170の代わりに、パルスRF信号がRF電源156によって生成される。RF電源156によって生成されたパルスRF信号は、2つ以上の状態など、複数の状態を有する。各状態についての論理レベルなどの状態情報は、プロセッサ114によってRF発生器152に提供される。加えて、各状態についての周波数レベルおよび電力レベルは、プロセッサ114によってRF発生器152に提供される。RF発生器152のDSPは、複数の状態についての状態情報、電力レベル、および周波数レベルを受信する。RF発生器152のDSPは、状態情報に基づいて複数の状態から第1の状態を決定し、第1の状態についての電力レベルおよび第1の状態についての周波数レベルをRF発生器152のRF電源156に提供する。同様に、DSPは、状態情報に基づいて複数の状態から第2の状態を決定し、第2の状態についての電力レベルおよび第2の状態についての周波数レベルをRF発生器152のRF電源156に提供する。RF電源156は、複数の状態を有するパルスRF信号を生成し、RF信号の各状態は、対応する電力レベルおよび周波数レベルを有する。例えば、RF電源156によって生成されたパルスRF信号は、第1の遷移時間中に第1の状態についての電力レベルから第2の状態についての電力レベルに遷移し、第2の遷移時間中に第2の状態についての電力レベルから第1の状態についての電力レベルに遷移する。
【0066】
図1Cは、エッジリングポケット130およびギャップ138を例示するシステム180の一実施形態の図である。さらに、図1Dは、チャック106およびエッジリング102の異なる部分を例示するシステム190の一実施形態の図である。図1Dを参照すると、チャック106は、上面121と、傾斜面123と、側面125と、底面127とを有する。傾斜面123は、上面121に隣接している。一例として、傾斜面123は、上面121の隣にあり、上面121に対して鋭角を形成する。側面125は、上面121に隣接し、その下の高さにある。例えば、側面125は、上面120の隣にあり、上面120に対して直角または約90°の角度を形成する。約90°の角度の例示は、85°~95°の角度である。底面127は、側面125に隣接している。例示すると、底面127は、側面125の隣にあり、側面125に対して直角または約90°の角度を形成する。
【0067】
また、エッジリング102は、チャック106に隣接しており、チャック106の少なくとも一部を囲む。例えば、エッジリング102は、チャック106の傾斜面123および側面125の一部を囲む。別の例として、エッジリング102の内側側面115とチャック106の側面125との間には、絶縁リングまたは誘電体リングなどのリングが存在しない。エッジリング106は、内側上面部分109と、傾斜上面部分111と、外側上面部分113とを有する。内側上面部分109、傾斜上面部分111、および外側上面部分113は、エッジリング102の上面107を共に形成する。エッジリング102はまた、内側側面115と、外側側面117と、底面119とを有する。
【0068】
傾斜上面部分111は、外側上面部分113に隣接している。例えば、傾斜上面部分111は、外側上面部分113の隣にあり、外側上面部分113に対して鋭角を形成する。また、内側上面部分109は、傾斜上面部分111に隣接し、外側上面部分113の高さよりも下の高さにある。一例として、傾斜上面部分111は、内側上面部分109の隣にあり、内側上面部分109に対して鈍角を形成する。
【0069】
内側側面115は、内側上面部分109に隣接している。例えば、内側側面115は、内側上面部分109の隣にあり、内側上面部分109に対して直角または約90°の角度を形成する。
【0070】
さらに、底面119は、内側側面115に隣接している。例えば、底面119は、内側側面115の隣にあり、内側側面115に対して直角または約90°の角度を形成する。外側側面117は、外側上面部分113と底面119の両方に隣接している。一例として、外側側面117は、外側上面部分113の隣にあり、外側上面部分113に対して直角または約90°の角度を形成する。また、この例では、外側側面117は、底面119の隣にあり、底面119に対して直角または約90°の角度を形成する。
【0071】
ここで図1Cおよび図1Dを同時に参照すると、領域131またはエッジリングポケット130の一部が、チャック106の傾斜面123の上部に形成され、傾斜面123に隣接している。さらに、領域133またはエッジリングポケット130の一部が、同じく領域であるギャップ138の上部に形成され、ギャップ138に隣接している。領域133はまた、チャックの側面125に平行で側面125を包含する垂直平面と、エッジリング102の内側側面115に平行で内側側面115を包含する垂直平面との間に位置する。ギャップ138は、側面125と115との間に形成される。例えば、ギャップ138は、チャック106の側面125からエッジリング102の内側側面115に延びる。エッジリングポケット130の領域133は、ギャップ138の上部にある。
【0072】
エッジリングポケット130の領域105および135などの部分は、エッジリング102の内側上面109および傾斜上面部分111によって画定される。例えば、エッジリングポケット130の領域105または一部は、エッジリング102の内側上面部分109の上部に形成され、内側上面部分109に隣接している。また、エッジリングポケット130の領域135または一部は、エッジリング102の傾斜上面部分111の上部に形成され、傾斜上面部分111に隣接している。領域133は、領域131に隣接しており、領域105は、領域133に隣接している。また、領域135は、領域105に隣接している。領域133は、領域131と105との間にあり、領域105は、領域133と135との間にある。
【0073】
エッジリングポケット130は、チャック106の上面121からエッジリング102の外側上面部分113に延びる。例えば、エッジリングポケット130は、チャック106の上面121の縁部から、チャック106の傾斜面123、エッジリング102の内側上面部分109、およびエッジリング102の傾斜上面部分111を越えて、エッジリング112の外側上面部分113まで延びる。エッジリングポケット130の部分133は、ギャップ138を越えて延びる。
【0074】
一実施形態では、エッジリング102またはチャック106などの構成要素の第1の表面は、第1および第2の表面の間に構成要素の第3の表面が存在しない場合、構成要素の第2の表面に隣接している。
【0075】
一実施形態では、第1の領域、例えば、 領域131は、第1および第2の領域の間に第3の領域が存在しない場合、第2の領域、例えば、領域133に隣接している。
【0076】
一実施形態では、ギャップ138は、エッジリング102の内側上面部分109の水平高さと、エッジリング102の底面119の水平高さとの間に延びる。
【0077】
図2Aは、プラズマチャンバ202内の所望の圧力設定値で圧力の定常状態を達成するサブ動作を例示するシステム200の一実施形態の図である。所望の圧力設定値は、プロセッサ114によるアクセスのためにメモリデバイス116に記憶される。定常状態を達成するサブ動作は、PER WAC動作の第1の部分である。システム200は、ガス供給部204、弁システム206、プラズマチャンバ202、ホストコンピューティングデバイス112、圧力センサ208、ドライバシステム222、およびモータ224を含む。
【0078】
ガス供給部204の一例は、1つまたは複数のプロセスガスを貯蔵するガスマニホールドまたはガス源またはガス貯蔵デバイスまたは1つまたは複数のガス容器である。1つまたは複数のプロセスガスの例を、以下に示す。ガス供給部204の各容器は、プロセスガスまたは2つ以上のプロセスガスの混合物を貯蔵する。弁システム206は、ガス供給部204からプラズマチャンバ202への1つまたは複数のプロセスガスの通過を可能にするかまたは制限する1つまたは複数の弁を含む。
【0079】
プラズマチャンバ202は、シャワーヘッド210、上縁電極212、Cシュラウド214、圧力リング216、チャック106、およびエッジリング102などの様々な構成要素を含む。シャワーヘッド210は、上部電極を含み、1つまたは複数のプロセスガスをギャップ219に供給するための1つまたは複数のゾーンをさらに含む。一例として、各ゾーンは、シャワーヘッド210の構成要素(上部電極など)からギャップ210に延びる開口部または開口部のセットである。また、各ゾーンは、シャワーヘッド210の構成要素の一部によって隣接するゾーンから分離されている。別の例として、各ゾーンは、シャワーヘッド210の上部電極とシャワーヘッドプレートとの間の空間に延びる開口部または開口部のセットである。さらに別の例として、いくつかのゾーンは、1つまたは複数のプロセスガスをギャップ219の中央または内側領域に向けて導くためにシャワーヘッド210内に位置し、残りのゾーンは、1つまたは複数のプロセスをギャップ219の周辺または外側領域に向けて導くためにシャワーヘッド210内に位置する。シャワーヘッドプレートは、シャワーヘッド210の例示的な別の構成要素であり、ギャップ219の上に隣接して位置する。シャワーヘッド210の上部電極は、シャワーヘッドプレートの上の空間の上に位置する。
【0080】
ギャップ219の外側領域は、ギャップ219の内側領域を囲むか、またはその周りに配置される。ギャップ219は、Cシュラウド214、上縁電極212、シャワーヘッド210、エッジリング102、およびチャック106によって囲まれる。
【0081】
上縁電極212は、シャワーヘッド210を囲み、Cシュラウド214の上側部分は、上縁電極212を囲む。上縁電極212は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から作製される。上縁電極212は、シャワーヘッド210の周辺にあり、Cシュラウド214は、上縁電極212の周辺にある。同様に、エッジリング102は、チャック106の一部を囲み、Cシュラウド214の下側部分は、エッジリング102を囲む。
【0082】
エッジリング102は、チャック106に隣接している。例えば、エッジリング102とチャック106との間には、他のリングが存在しない。別の例として、エッジリング102とチャック106との間には、ギャップ138(図1C)または空間が存在する。
【0083】
Cシュラウド214は、プラズマチャンバ202内の圧力を制御し、ギャップ219からギャップ219の下のプラズマチャンバ202の領域への、さらには1つまたは複数の真空ポンプへのプラズマおよび/または残留物の排出を容易にするための複数の開口部O1、O2、およびO2を含む。1つまたは複数の真空ポンプは、プラズマチャンバ202の底壁BWに隣接してその下に位置する。
【0084】
圧力リング216は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から作製される。圧力リング216は、Cシュラウド214の開口部O1~O3に隣接してその下に位置する。圧力センサ208の例には、圧力トランスデューサおよび圧力マノメータが挙げられる。圧力センサ208は、プラズマチャンバ220の上壁TW上に載置されるか、またはそれに固定される。プラズマチャンバ220の側壁SWは、上壁TWと底壁BWとの間に位置する。側壁SWは、正方形などの多角形、または円形であってもよい。
【0085】
本明細書で説明されるドライバシステムの例には、1つまたは複数のトランジスタが挙げられる。例示すると、ドライバシステム222は、1つまたは複数のトランジスタを含む。ドライバシステムの各トランジスタまたはトランジスタのセットは、本明細書ではドライバと呼ばれることがある。
【0086】
プロセッサ114は、弁システム206に結合される。ガス供給部204は、ガスラインシステムの部分218Aを介して弁システム206に結合され、弁システム206は、ガスラインシステムの残りの部分218Bを介してシャワーヘッド210に結合される。ガスラインシステムの一部の一例には、1つまたは複数のガスパイプなどの1つまたは複数のガスラインが挙げられる。弁システム206は、ガスラインシステムの部分218Aおよび218Bに結合され、ガス供給部204からプラズマチャンバ202のシャワーヘッド210への1つまたは複数のプロセスガスの供給を制御する。プロセッサ114は、圧力センサ208に結合され、ドライバシステム222にも結合される。ドライバシステム222は、モータ224に結合され、モータ224は、圧力リング216に結合される。
【0087】
PER WAC動作では、プロセスは、プラズマチャンバ202内の設定値で圧力の定常状態を達成するサブ動作から始まる。1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202に供給される前に、プロセッサ114は、圧力リング216が事前設定された位置に位置するように、圧力リング216の移動を制御する。例えば、プロセッサ114は、ドライバシステム222を介してモータ224を制御する。モータ224が制御されると、モータ224は、圧力リング216を垂直方向に上下に移動させ、開口部O1~O3と圧力リング216との間の空間または距離の量を変化させるように動作する。このようにして、プロセッサ114は、圧力リング216が開口部O1~O3に対して事前設定された位置になるまで、圧力リング216と開口部O1~O3との間の空間の量を増減させるように圧力リング216の移動を制御する。例示すると、圧力リング216が事前設定された位置になると、圧力リング216の上面とCシュラウド214の開口部O1~O3との間にギャップは残っていないか、または最小量のギャップしか残っていない。圧力リング216の事前設定された位置は、プロセッサ114によるアクセスのためにメモリデバイス116に記憶される。
【0088】
さらに、PER WAC動作において、圧力リング216が事前設定された位置に載置されると、ガス供給部204は、ガスラインシステムの部分218A、弁システム206、およびガスラインシステムの部分218Bを介して、1つまたは複数のプロセスガスをシャワーヘッド210の1つまたは複数のゾーンに供給する。例えば、プロセッサ114は、プロセスガス供給信号を弁システム206に送信する。プロセスガス供給信号を受信すると、弁システム206の1つまたは複数の弁が開くか、または部分的に開く。
【0089】
弁システム206の1つまたは複数の弁が開くかまたは部分的に開くと、1つまたは複数のプロセスガスは、ガス供給部204からガスラインシステムの部分218Bを介してシャワーヘッド210の1つまたは複数のゾーンに流れる。1つまたは複数のプロセスガスは、シャワーヘッド210の1つまたは複数のゾーンを介してギャップ219に流れ、ギャップ219内の圧力を増加させる。1つまたは複数のプロセスガスがギャップ219に供給された後、プラズマチャンバ202内の圧力は、所望の圧力設定値で定常状態を達成する。
【0090】
1つまたは複数のプロセスガスがギャップ219に供給されると、圧力センサ208は、プラズマチャンバ202内の圧力を測定し、圧力の測定値をプロセッサ114に提供する。また、1つまたは複数のプロセスガスをギャップ219に供給すると、またはその後のある時点で、圧力制御システムが作動する。例えば、プロセッサ114は、圧力リング216の位置を制御し、ギャップ219内の圧力を変化させる。プロセッサ114は、プラズマチャンバ202内の圧力がある許容範囲内の所望の圧力設定値に達するまで、圧力リング216の位置を制御し続ける。例示すると、プラズマチャンバ202内の圧力が所望の圧力設定値と一致しないと決定することに応じて、プロセッサ114は、ドライバシステム222を介してモータ224を制御する。モータ224が制御されると、モータ224は、圧力リング216を垂直方向に上下に移動させ、開口部O1~O3と圧力リング216との間の空間または距離の量を変化させるように動作する。このようにして、プロセッサ114は、プラズマチャンバ202内の圧力が所望の圧力設定値に達するまで、圧力リング216と開口部O1~O3との間の空間の量を増減させるように圧力リング216の移動を制御する。
【0091】
プロセッサ114は、プラズマチャンバ202内の圧力が定常状態に達したかどうかを、プラズマチャンバ202に関連する圧力対時間の測定値から決定する。例えば、プロセッサ114は、圧力の第1の測定値が圧力の第2の測定値から所定の範囲内にあるかどうかを決定する。第1の測定値はプロセッサ114によって圧力センサ108から受信され、次に第2の測定値がプロセッサ114によって圧力センサ108から受信される。第1および第2の測定値は、所定の期間内に圧力センサ208からプロセッサ114によって取得され、メモリデバイス116に記憶される。第1の測定値が第2の測定値から所定の範囲内にあると決定すると、プロセッサ114は、プラズマチャンバ202内の圧力が定常状態に達したと決定する。一方、第1の測定値が第2の測定値から所定の範囲内にないと決定すると、プロセッサ114は、プラズマチャンバ202内の圧力が定常状態に達していないとを決定する。ある時点において、圧力測定値に基づいて、プロセッサ114は、圧力が所望の圧力設定値に達し、定常状態にあると決定する。これに基づいて、プロセッサ114は、プラズマチャンバ202内の所望の圧力設定値で圧力の定常状態を達成するサブ動作が完了し、システム200が、図2Bを参照して以下に説明される、プラズマを打つサブ動作を開始する準備ができていると決定する。
【0092】
一実施形態では、Cシュラウド214は、Cシュラウド214の下側部分にある3つとは異なる数の開口部を有する。例えば、Cシュラウド214は、4つまたは5つの開口部を有する。
【0093】
一実施形態では、ガス供給部204は、複数のプロセスガスが共に混合されるガス容器を含み、弁システム206は、複数の弁を含む。複数のプロセスガスの混合物は、ガスラインシステムの部分218A、弁システム206の弁、およびガスラインシステムの部分218Bを介してシャワーヘッド210に供給される。
【0094】
一実施形態では、圧力リング216を制御することに加えて、真空ポンプとプラズマチャンバ202との間の1つまたは複数の弁が制御され、メモリデバイス116に記憶された対応する1つまたは複数の事前設定された位置を達成する。例えば、プロセッサ114は、モータシステムに結合されたドライバシステムに結合される。モータシステムは、真空ポンプとプラズマチャンバ202との間の1つまたは複数の弁に結合される。プロセッサ114は、クローズ命令をドライバシステムに送信する。クローズ命令を受信すると、ドライバシステムは1つまたは複数の電流信号をモータシステムに出力する。モータシステムの1つまたは複数のモータが回転して真空ポンプとプラズマチャンバ202との間の対応する1つまたは複数の弁を閉じ、1つまたは複数の事前設定された位置を達成する。
【0095】
一実施形態では、シャワーヘッド210は、3つ、4つ、または5つなどの任意の数のゾーンを含む。
【0096】
一実施形態では、3つの開口部O1~O3の代わりに、1つ、2つ、または4つなどの他の数の開口部が、Cシュラウド214の底部内に位置する。
【0097】
一実施形態では、1つまたは複数の誘電体リングが、シャワーヘッド210と上縁電極212との間に載置される。同様に、一実施形態では、1つまたは複数の誘電体リングが、上縁電極212とCシュラウド214との間に載置される。
【0098】
図2Bは、プラズマチャンバ202(図2A)のギャップ219(図2A)内でプラズマを打つサブ動作を例示するシステム230の一実施形態の図である。プラズマを打つサブ動作は、図2Aを参照して上記で開始されたPER WAC動作の第2の部分である。例えば、プラズマを打つサブ動作は、プラズマチャンバ202(図2A)内の所望の圧力設定値で圧力の定常状態を達成するサブ動作を実施した後に実施される。システム230は、RF発生器122および152と、インピーダンス整合回路108および154と、エッジリング102と、チャック106とを含む。
【0099】
プラズマチャンバ202内のプラズマを打つサブ動作中、RF電源110および156の両方が、それぞれのRF信号132および170を供給する。例示すると、プロセッサ114は、接続ケーブル124を介して電力供給開始命令をRF発生器122に提供し、同時に、接続ケーブル158を介して電力供給開始命令をRF発生器152に送信する。接続ケーブル124を介して電力供給開始命令を受信すると、RF発生器122のRF電源110は、RF信号132を生成する。同様に、接続ケーブル158を介して電力供給開始命令を受信すると、RF発生器152のRF電源156は、RF信号170を生成する。別の例示として、プロセッサ114は、電力供給開始命令をRF発生器152に送信してから所定の期間の後、電力供給開始命令をRF発生器122に送信する。所定の期間は、メモリデバイス116に記憶される。この例では、RF信号132は、RF信号170が生成された後に生成される。さらに別の例示として、プロセッサ114は、電力供給開始命令をRF発生器122に送信してから事前設定された期間の後、電力供給開始命令をRF発生器152に送信する。この例では、RF信号170は、RF信号132が生成された後に生成される。事前設定された期間は、メモリデバイス116に記憶される。RF信号170が生成されると、修正されたRF信号172がチャック106の下部電極に供給され、プラズマがプラズマチャンバ202(図2A)内で打たれる。
【0100】
修正されたRF信号172がプラズマチャンバ202に供給され、一方、定常状態において、エッジリングポケット130を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202内のギャップ219に供給されている。エッジリングポケット130を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスの供給は、修正されたRF信号172の供給の間継続する。例えば、修正されたRF信号172は、定常状態において、プラズマチャンバ202内でプラズマを打ってエッジリングポケット130を洗浄するためのギャップ219への1つまたは複数のプロセスガスの供給と同時にプラズマチャンバ202に供給される。
【0101】
同様に、修正されたRF信号134がプラズマチャンバ202に供給され、一方、定常状態において、エッジリングポケット130を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202内のギャップ219に供給されている。エッジリングポケット130を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスの供給は、修正されたRF信号134の供給の間継続する。例えば、修正されたRF信号134は、定常状態において、プラズマチャンバ202内でプラズマを維持または持続してエッジリングポケット130を洗浄するためのギャップ219への1つまたは複数のプロセスガスの供給と同時にプラズマチャンバ202に供給される。
【0102】
図2Cは、RF信号170(図2B)の供給を停止し、RF信号132の供給を継続するサブ動作を例示するシステム230の一実施形態の図である。RF信号170の供給を停止し、RF信号132の供給を継続するサブ動作は、図2Aを参照して上記で開始されたPER WAC動作の第3の部分である。例えば、RF信号170の供給を停止し、RF信号132の供給を継続するサブ動作は、プラズマチャンバ202(図2A)内でプラズマを打つサブ動作を実施した後に実施される。プラズマチャンバ202内でプラズマを打つサブ動作は、図2Bを参照して示されている。
【0103】
RF信号170を供給してから所定の時間が経過すると、RF発生器152は、RF信号170の供給を停止する。例えば、プロセッサ114が電力供給開始命令を提供する時間から所定の時間が経過した後、プロセッサ114は、電力供給停止命令をRF発生器152に送信する。所定の時間は、メモリデバイス116に記憶される。RF信号170を供給してからの所定の時間の一例は、5秒以下の期間である。例示すると、事前に決定された時間は、1~5秒の範囲である。プロセッサ114から電力供給停止命令を受信すると、RF発生器152のRF電源156は、RF信号170の供給を停止する。例えば、RF電源156は、RF信号170をランプダウンする。例示すると、RF信号170のRF電力レベルは減少し、ゼロに低減されてRF信号170をランプダウンする。RF信号170がRF電源156によって生成されないと、インピーダンス整合回路154は、修正されたRF信号172(図2B)をチャック106に出力せず、チャック106は、RF電力を受け取らない。
【0104】
RF発生器122は、RF発生器152がRF信号170の供給を停止した後もRF信号132を供給し続ける。例えば、プロセッサ114は、RF信号170がRF発生器152によって供給されるので、所定の時間の後に電力供給停止命令をRF発生器122に提供しない。RF発生器122は、修正されたRF信号172をチャック106の下部電極に供給することによって打たれるプラズマを維持するために、RF信号132を供給し続ける。
【0105】
図2Dは、RF発生器122についての電力ランプダウンサブ動作を例示するシステム230の一実施形態の図である。RF発生器122についての電力ランプダウンサブ動作は、図2Aを参照して上記で開始されたPER WAC動作の第4の部分である。例えば、RF発生器122の電力ランプダウンサブ動作は、RF信号170(図2B)の供給を停止し、RF信号132(図2C)の供給を継続する第3のサブ動作を実施した後に実施される。第3のサブ動作は、図2Cを参照して上述されている。
【0106】
RF発生器122の電力ランプダウンサブ動作中、プロセッサ114は、電力ランプダウン命令を生成し、RF発生器122に供給する。電力ランプダウン命令を受信すると、RF発生器122は、RF信号132の供給を減少するなどしてランプダウンし、最終的に供給を停止する。さらに、RF発生器122の電力ランプダウンサブ動作中、RF発生器152は、RF信号170(図2B)を供給しない。RF信号132がRF電源110によって生成されないと、インピーダンス整合回路108は、修正されたRF信号134をエッジリング102に出力せず、エッジリング102は、RF電力を受け取らない。
【0107】
図2Eは、エッジリングポケット130およびギャップ138を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスの供給をオフにするサブ動作を例示するシステム240の一実施形態の図である。エッジリングポケット130およびギャップ138を洗浄するための1つまたは複数のプロセスガスは、図2B図2Dを参照して上述のサブ動作中にプラズマチャンバ202内の定常状態を維持するために供給され続ける。1つまたは複数のプロセスガスの供給をオフにするサブ動作は、図2Aを参照して上記で開始されたPER WAC動作の第5の部分である。例えば、プラズマチャンバ202への1つまたは複数のプロセスガスの供給をオフにするサブ動作は、図2Dを参照して上述された、RF信号132の電力ランプダウンサブ動作を実施した後に実施される。
【0108】
プラズマチャンバ202への1つまたは複数のプロセスガスの供給をオフにするサブ動作中、弁システム206は、ガス供給部204からガスラインシステムの部分218Bを介したシャワーヘッド210への1つまたは複数のプロセスガスの供給を停止する。例えば、プロセッサ114は、ガス遮断信号を弁システム206に送信する。ガス遮断信号を受信すると、弁システム206の弁が閉じる。弁システム206の弁が閉じると、1つまたは複数のプロセスガスは、弁システム206を介してシャワーヘッド210に通過しない。図2Aを参照して開始されたと説明されているPER WAC動作は、1つまたは複数のプロセスガスの供給を停止するサブ動作の後に終了する。
【0109】
一実施形態では、図2Eを参照して上述のサブ動作中にシャワーヘッド210への1つまたは複数のプロセスガスの供給がオフにされた後、1つまたは複数の不活性ガスがガス供給部204から供給される。不活性ガスの例には、アルゴンおよび窒素が挙げられる。不活性ガスは、同じ方式でシャワーヘッド210に供給され、ここで1つまたは複数のプロセスガスがシャワーヘッド210に供給される。例えば、プロセッサ114は、不活性ガス供給信号を弁システム206に送信する。不活性ガス供給信号を受信すると、弁システム206の1つまたは複数の弁が開くか、または部分的に開く。
【0110】
弁システム206の1つまたは複数の弁が開くかまたは部分的に開くと、1つまたは複数の不活性ガスは、ガス供給部204からガスラインシステムの部分218A、弁システム206、ガスラインシステムの部分218B、およびシャワーヘッド210の1つまたは複数のゾーンを介してギャップ219に流れる。図2Aを参照して開始されたと説明されているPER WAC動作は、1つまたは複数の不活性ガスを供給するサブ動作の後に終了する。
【0111】
図3Aは、図1A、または図1B、または図2A図2Eを参照して、上述のPER WAC動作の前に実施されるカバードウエハ自動洗浄(CWAC)動作を例示するシステム300の一実施形態の図である。システム300は、エッジリング102と、チャック106と、RF発生器152と、マッチ154とを含む。
【0112】
CWAC動作中、基板S1が、チャック106の上面121上に載置される。基板S1の一例は、ダミー基板であり、これはエッチング、堆積、スパッタリング、または洗浄などの処理がされない。ダミー基板は、ケイ素などの1つまたは複数の半導体から製作することができる。基板S1は、チャック106の上部に載置され、チャック106の一部、ギャップ138、およびエッジリング102の一部の上に垂れ下がるかまたは延びるオーバーハング部分304を有する。例えば、オーバーハング部分304は、チャック106の傾斜面123、ギャップ138、およびエッジリング102の内側上面部分109にわたって延びる。オーバーハング部分304は、チャック106の上面121から、エッジリング102の傾斜上面部分111まで延びる。
【0113】
CWAC動作中、プロセッサ114(図1A)は、弁システム206(図2A)を制御し、図1Aまたは図1Bまたは図2A図2Eを参照して上述のPER WAC動作中に供給される1つまたは複数のプロセスガスとは異なる1つまたは複数のプロセスガスを供給する。例えば、CWAC動作中、1つまたは複数のプロセスガス内の洗浄剤は、PER WAC動作中に供給される1つまたは複数のプロセスガス内の洗浄剤の量よりも多い。例示すると、CWAC動作中、供給される1つまたは複数のプロセスガスは、フッ素系ガスを含み、これはPER WAC動作中に供給される1つまたは複数のプロセスガス内のフッ素の量と比較して、より多い量のフッ素を有する。フッ素は、洗浄剤の一例である。1つまたは複数のプロセスガスは、1つまたは複数のプロセスガスがPER WAC動作中に供給されるのと同じ方式で、CWAC動作中に供給される。
【0114】
さらに、CWAC動作中、RF電源156は、RF信号306を生成し、修正されたRF信号308は、インピーダンス整合回路154からチャック106の下部電極に出力され、プラズマチャンバ202(図2A)内にプラズマを生成する。例えば、プロセッサ114(図1A)は、周波数および電力などのパラメータの値を有する電力供給開始命令を生成し、接続ケーブル158(図1B)を介して電力供給開始命令をRF発生器152に提供する。電力供給開始命令を受信すると、RF発生器152は、周波数および電力を有するRF信号306を生成し、RF信号306をインピーダンス整合回路154の入力162に供給する。RF信号306の一例は、連続波信号である。インピーダンス整合回路154は、インピーダンス整合回路154の出力164に結合された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路154の入力162に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、修正されたRF信号308を出力する。チャック106の下部電極は、RF伝送ライン168を介して修正されたRF信号308を受信し、修正されたRF信号308によって電力を供給されてプラズマチャンバ202(図2A)内にプラズマを打つ。CWAC動作中に生成されたプラズマは、領域135内の残留物を洗浄する(例えば、残留物を低減するかまたは最小限に低減する)。また、CWAC動作中に生成されたプラズマは、プラズマチャンバ202の側壁SW(図2A)、上壁TW(図2A)、および底壁BW(図2A)の内面、ならびにプラズマチャンバ202のシャワーヘッド210(図2A)、上縁電極212(図2A)、およびCシュラウド214(図2A)などの構成要素を洗浄する。
【0115】
さらに、CWAC動作中、エッジリング102へのRF電力の供給は行われない。例えば、CWAC動作中、プロセッサ114(図1A)は、電力供給開始命令を生成せず、インピーダンス整合回路108(図1A)を介してエッジリング102に結合されたRF発生器122(図1A)に送信しない。したがって、CWAC動作中、修正されたRF信号134(図1A)は、インピーダンス整合回路108からエッジリング102に出力されない。
【0116】
CWAC動作中、エッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物の少なくとも一部は除去されないことに留意されたい。例えば、CWAC動作中、エッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物のほとんどは、通常、CWAC動作によって除去されない。別の例として、CWAC動作後、かなりの量の残留物がエッジリングポケット130およびギャップ138内に残る。オーバーハング部分304は、CWAC動作中に生成されるプラズマによって残留物が除去されるのを防止する。CWAC動作中に生成されたプラズマは、基板S1のオーバーハング部分304の下にない領域135内の残留物を洗浄し、したがって低減する。
【0117】
CWAC動作の終了部分の間、プロセッサ114は、弁システム206(図2A)を制御してCWAC動作中に供給される1つまたは複数のプロセスガスをオフにし、RF発生器152を制御してRF信号306の生成を停止する。例えば、プロセッサ114は、上述の方式で弁システム206を制御し、プラズマチャンバ202へのCWAC動作の1つまたは複数のプロセスガスの供給をオフにする。プロセッサ114は、弁システム206の弁を閉じ、ガスラインシステムの部分218Bを介したシャワーヘッド210へのガス供給部204からのCWAC動作の1つまたは複数のプロセスガスの供給を停止する。また、プロセッサ114は、電力停止命令を生成し、RF発生器152に供給する。電力停止命令を受信すると、RF発生器152は、RF信号306の供給を減少するなどしてランプダウンし、最終的に供給を停止する。RF信号306がRF電源156によって生成されないと、インピーダンス整合回路154は、修正されたRF信号308をチャック106の下部電極に出力せず、チャック106は、RF電力を受け取らない。
【0118】
CWAC動作が終了すると、プロセッサ114は、弁システム206、ならびにRF発生器122および152の一方または両方を制御してPER WAC動作を実施する。例えば、プロセッサ114は、CWAC動作を実施した後、図1Aまたは図1Bまたは図2A図2Eを参照して上述のPER WAC動作を実施するように弁システム206およびRF発生器122を制御する。図1Aまたは図1Bまたは図2A図2Eを参照して上述のPER WAC動作中、PER WAC動作のための1つまたは複数のプロセスガスは、ガス供給部204から、ガスラインシステムの部分218A、弁システム206(図2A)、およびガスラインシステムの部分218Bを介してプラズマチャンバ202(図2A)に供給される。PER WAC動作のための1つまたは複数のプロセスガスの例には、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、水素、およびフッ素系ガス、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。例示すると、フッ素系ガスは、エッジリングポケット130を洗浄するために使用される2つ以上のプロセスガスの0.5%~15%の範囲の量である。さらに例示すると、フッ素系ガスは、フッ素系ガスと水素の混合物の総量の0.5%である。別の例示として、フッ素系ガスは、フッ素系ガス、酸素、および二酸化炭素の混合物の総量の12%である。PER WAC動作中に使用されるフッ素系ガスの一例には、CWAC動作を実施するために使用される1つまたは複数のプロセスガス内のフッ素の量と比較して少量のフッ素を含むガスが挙げられる。PER WAC動作中の少量のフッ素は、CWAC動作中に供給される1つまたは複数のプロセスガスのフッ素の量と比較して、チャック106を損傷しないか、または最小限にしかチャック106を損傷しない。1つまたは複数のプロセスガスは、図2Aを参照して上述したのと同じ方式で、PER WAC動作中に供給される。また、場合によっては、エッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物は、ケイ素である。PER WAC動作中にフッ素系ガスを使用する場合と比較して、PER WAC動作中にプロセスガスとして酸素を使用してケイ素を低減または除去することは、困難である。フッ素系ガスの他の例には、三フッ化窒素(NF3)およびテトラフルオロメタン(CF4)が挙げられる。
【0119】
一実施形態では、
オーバーハング部分304は、上面121から、チャック106の上面121とエッジリング102の外側上面部分113との間の任意の点まで延びる。例えば、オーバーハング部分304は、チャック106の傾斜面123、ギャップ138、およびエッジリング102の内側上面部分109の一部にわたって延びる。
【0120】
図3Bは、ピンアップ自動洗浄動作が続くCWAC動作の性能を例示するシステム320の一実施形態の図である。例えば、ピンアップ自動洗浄動作は、CWAC動作の次に実行される。システム320は、チャック106、エッジリング102、RF発生器152、インピーダンス整合回路154、プロセッサ114、ドライバシステム322、およびモータシステム324を含む。
【0121】
モータシステム324の一例には、1つまたは複数の電気モータが挙げられる。ドライバシステム322の一例には、1つまたは複数のドライバが挙げられ、その例は上に提供されている。
【0122】
プロセッサ114は、ドライバシステム322に結合され、ドライバシステム322は、モータシステム324に結合される。モータシステム324の各モータは、1つまたは複数の接続機構を介して、リフトピン326Aおよび326Bのそれぞれの1つに結合される。接続機構の例には、1つまたは複数のシャフト、および1つまたは複数のシャフトと1つまたは複数のギアの組み合わせが挙げられる。シャフトは、1つまたは複数のギアを介して互いに結合される。各リフトピン326Aおよび326Bは、チャック106の本体を貫通して、または本体を介して延びる。例えば、各リフトピン326Aおよび326Bは、チャック106の底面127からチャック106の上面121に延びる。各リフトピン326Aおよび326Bは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から製作される。
【0123】
CWAC動作は、図3Aを参照して上述のCWAC動作と同じ方式で実施され、RF伝送ライン168を介して修正されたRF信号308をチャック106の下部電極に提供する。さらに、図3Bを参照して説明されたCWAC動作中、プロセッサ114は、リフト命令をドライバシステム322に送信しない。ドライバシステム322は、リフト命令が受信されないとき、1つまたは複数の電流信号を生成しない。モータシステム324のモータは、1つまたは複数の電流信号がドライバシステム322から受信されないときは回転しない。また、モータシステム324のモータが回転しないとき、リフトピン326Aおよび326Bは垂直方向に持ち上げられず、チャック106の上面121よりも上に延びてダミー基板S1を上面121よりも上に持ち上げない。ダミー基板S1は、持ち上げられていないとき、チャック106の上面121上に載っている。
【0124】
CWAC動作が終了すると、ピンアップ自動洗浄動作が実施される。ピンアップ自動洗浄動作は、図1Aに関して上述のPER WAC動作を含む。ピンアップ自動洗浄動作中、PER WAC動作を実施するための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202(図2A)に供給される前に、基板S1が持ち上げられてチャック106の上面121よりも上になる。例えば、ピンアップ自動洗浄動作中、プロセッサ114は、リフト命令を生成してドライバシステム322に送信する。ドライバシステム322は、リフト命令が受信されると、1つまたは複数の電流信号を生成する。モータシステム324のモータは、1つまたは複数の電流信号がドライバシステム322から受信されると回転する。また、モータシステム324のモータが回転すると、リフトピン326Aおよび326Bが垂直方向に持ち上げられてチャック106の上面121よりも上の高さに延び、ダミー基板S1を上面121よりも上に持ち上げる。ダミー基板S1は、持ち上げられると、チャック106の上面121上に載っていないが上面121の上にある。例えば、ダミー基板S1が上面121よりも上に持ち上げられると、ダミー基板S1と上面121との間にギャップ326または空間が存在する。
【0125】
CWAC動作とピンアップ自動洗浄動作との間には、プラズマチャンバ202(図2A)から基板S1を取り外す必要はない。むしろ、基板S1は、CWAC動作の後、かつピンアップ自動洗浄動作の前に、チャック106の上面121よりも上に持ち上げられる。基板S1は、PER WAC動作中は持ち上げられたままで、ピンアップ自動洗浄動作を実施する。CWAC動作とピンアップ動作の両方は、プラズマチャンバ202内の基板S1を用いて実施することができる。例えば、CWAC動作が、プラズマチャンバ202をプレコートしてプラズマチャンバ202を準備し、プラズマチャンバ202内の基板を処理するように使用された後、エッジリングポケット130およびギャップ138からの残留物は、ダミー基板S1を除去することなくPER WAC動作を使用して洗浄される。プレコート動作中、プラズマチャンバ202の壁SW、BW、およびTWは、CWAC動作中に生成されるプラズマの残留物でコーティングされる。
【0126】
さらに、チャック106は、基板S1がチャック106の上面121上に載置されていない状態でのPER WAC動作中に発生するチャック106の摩耗量と比較して、ピンアップ自動洗浄動作中の摩耗が少ない。基板S1は、ピンアップ自動洗浄動作中にチャック106の上部に生成されるプラズマからチャック106を保護する。
【0127】
図3Cは、図3Bを参照して上述された、CWAC動作に続くピンアップ自動洗浄動作を例示するシステム320の一実施形態の図である。例えば、ピンアップ自動洗浄動作は、CWAC動作の次に実施される。ピンアップ自動洗浄動作は、図1Bまたは図2A図2Eを参照して上述のPER WAC動作を含む。例えば、図1Bまたは図2A図2Eを参照して上述のPER WAC動作中、RF信号132に加えてRF信号170が生成される。RF信号170に基づいて出力された修正されたRF信号172は、RF伝送ライン168を介してチャック106に供給され、RF信号132に基づいて生成された修正されたRF信号134は、RFコネクタ128を介してエッジリング102に供給される。さらに、ピンアップ自動洗浄動作中、PER WAC動作を実施するための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202(図2A)に供給される前に、基板S1は、チャック106の上面121よりも上になるように持ち上げられ、基板S1の底面とチャック106の上面121との間にギャップ326を形成する。基板S1は、PER WAC動作中は持ち上げられたままで、ピンアップ自動洗浄動作を実施する。
【0128】
図4は、PER WAC動作中、上部電極延長部212の底面404の下に堆積された残留物402が除去されることを例示するシステム400の一実施形態の図である。システム400のプラズマチャンバ202は、シャワーヘッド210(図2A)の上部電極408を含む。プラズマチャンバ202は、シャワーヘッド210の上部電極408などの部分の周りに配置されるかまたはそれを囲む上部電極延長部212をさらに含む。上部電極408は、ケイ素または炭化ケイ素から作製される。システム400は、上部電極延長部212の周りに配置されるかまたはそれを囲むCシュラウド214を含む。
【0129】
プラズマチャンバ202は、チャック106を含む。チャック106の上面121は、シャワーヘッド210からギャップ219を横切って、シャワーヘッド210の底面に面するように位置する。エッジリング102は、チャック106の上部416の周りに配置されるかまたはそれを囲む。
【0130】
また、プラズマチャンバ202は、エッジリング102の下に位置し、チャック106の底部418の周りに配置されるかまたはそれを囲む結合リング410を含む。例えば、結合リング410は、エッジリング102に隣接して位置する。底部418は、上部416の隣および下の部分である。結合リング410は、電気絶縁材料、例えば、誘電体材料、セラミック、ガラス、複合ポリマー、酸化アルミニウムなどから作製される。
【0131】
プラズマチャンバ202は、1つまたは複数の絶縁体リング412を含み、これらは、エッジリング102および結合リング410の周りに配置されるかまたはそれらを囲む。1つまたは複数の絶縁体リング412の各々は、石英または別の誘電体などの電気絶縁材料から作製される。また、プラズマチャンバ202は、1つまたは複数の絶縁体リング412の底部を囲む複数の接地リング414を含む。複数の接地リング414の各々は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から作製される。
【0132】
さらに、プラズマチャンバ202は、ギャップ219内で生成されたプラズマのRF電力から接地リング414を保護するために、接地リング414の上部に重ねられるカバーリング420、例えば、石英カバーリング、誘電体カバーリングなどを含む。カバーリング420は、1つまたは複数の絶縁体リング412の上部を囲む。1つまたは複数の絶縁体リング412の上部は、1つまたは複数の絶縁体リング412の底部の上にある。Cシュラウド214は、カバーリング420、上部電極延長部212、およびギャップ219の周りに配置されるかまたはそれらを囲む。
【0133】
図1Aまたは図1Bまたは図2A図2Eを参照して上述のPER WAC動作中、上部電極延長部212の底面404の下におよび隣接して堆積された残留物402は、ギャップ219内のプラズマによって洗浄される(例えば、除去または低減される)。プラズマは、修正されたRF信号134のRF電力がエッジリング102に供給され、PER WAC動作のための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202に供給されると、ギャップ219内で生成される。
【0134】
一実施形態では、上部電極延長部212は、シャワーヘッド210の一部であり、シャワーヘッド210内に位置する。
【0135】
一実施形態では、Cシュラウドの代わりに、閉じ込めリングがプラズマチャンバ202内で使用される。例えば、閉じ込めリングは、上部電極延長部212、ギャップ219、およびカバーリング420の周りに配置されるかまたはそれらを囲み、ギャップ219を取り囲む。
【0136】
一実施形態では、1つまたは複数の絶縁体リングが、上部電極408と上部電極延長部212との間に位置する。同様に、一実施形態では、1つまたは複数の絶縁体リングが、上部電極延長部212とCシュラウド214との間に配置される。
【0137】
図5Aは、エッジリング102が、2つの別々の場所502および504または領域もしくは点で修正されたRF信号134からRF電力を提供されることを例示するシステム500の一実施形態の図である。場所502は、場所504の向かい側にあり、エッジリング102の底面119全体に対称的に分布している。例えば、場所502および504は、エッジリング102の重心510から測定して、180度または約180度、例えば175度~185度互いに離れている。
【0138】
RFコネクタ128は、点508または領域または場所で2つのRFコネクタ506Aおよび506Bに結合される。RFコネクタの一例には、スリーブによって囲まれた同軸ケーブルまたはスリーブによって囲まれたピンが挙げられる。RFコネクタ506Aは、エッジリング102の底面119で場所502に結合され、RFコネクタ506Bは、底面119で場所504に結合される。
【0139】
修正されたRF信号134は、点508で2つの修正されたRF信号508Aおよび508Bに分割される。修正されたRF信号508AからのRF電力は、RFコネクタ506Aを介して場所502に転送され、修正されたRF信号508BからのRF電力は、RFコネクタ506Bを介して場所504に転送される。このようにして、修正されたRF信号134のRF電力は、エッジリング102全体に対称的または均等に分配される。
【0140】
図5Bは、エッジリング102が、3つの別々の場所502、532、および534または領域もしくは点で修正されたRF信号134からRF電力を提供されることを例示するシステム530の一実施形態の図である。場所502、532、および534は、エッジリング102の底面119全体に対称的に分布している。例えば、場所502、532、および534のうちの任意の2つの隣接する場所は、エッジリング102の重心510から測定して、60度または約60度、例えば55度~65度互いに離れている。例示すると、場所532は、場所502から60度または約60度離れており、場所534は、場所532から60度または約60度離れている。
【0141】
RFコネクタ128は、点508または領域または場所で3つのRFコネクタ540A、540B、および540Cに結合される。RFコネクタ540Aは、底面119で場所504に結合され、RFコネクタ540Bは、底面119で場所534に結合され、RFコネクタ540Cは、底面119で場所534に結合される。
【0142】
修正されたRF信号134は、点508で3つの修正されたRF信号536A、536B、および536Cに分割される。修正されたRF信号536AからのRF電力は、RFコネクタ540Aを介して場所502に転送され、修正されたRF信号536BからのRF電力は、RFコネクタ540Bを介して場所534に転送され、修正されたRF信号536CからのRF電力は、RFコネクタ540Cを介して場所532に転送される。このようにして、修正されたRF信号134のRF電力は、エッジリング102全体に対称的または均等に分配される。
【0143】
一実施形態では、エッジリング102は、2つまたは3つではなく、4つまたは5つまたは6つなど、任意の他の数の場所でRF電力を受け取る。
【0144】
図6Aは、RFコネクタ128(図1A)、またはRFコネクタ506A(図5A)、またはRFコネクタ506B(図5A)、またはRFコネクタ540A(図5B)、またはRFコネクタ540B(図5B)、またはRFコネクタ540C(図5B)の例であるRFコネクタ60を例示するシステム600の一実施形態の図である。RFコネクタ602は、スリーブ606によって囲まれた電源ピン604を含む。電源ピン604は、金属から作製される。絶縁体608が、電源ピン604とスリーブ606との間にある。電源ピン604は、スリーブ606によって囲まれた絶縁体608によって囲まれる。スリーブ606は、電源ピン604を覆い、電源ピン604の周囲の電界から電源ピン604を絶縁する。スリーブ606は、電気絶縁材料、例えば、プラスチック、ガラス、プラスチックとガラスの組み合わせなどから作製される。
【0145】
電源ピン604の先端610は、スリーブ606から延び、エッジリング119の底面119に接触する。先端610は、スリーブ606から延びる。修正されたRF信号(例えば、修正されたRF信号134(図1A)または修正されたRF信号508A(図5A)または修正されたRF信号508B(図5A)または修正されたRF信号536A(図5B)または修正されたRF信号536B(図5B)または修正されたRF信号536C(図5B))は、電力ピン604を介してエッジリング119の底面119に供給され、RF電力をエッジリング119に提供する。
【0146】
一実施形態では、電源ピン604の代わりに、同軸ケーブルが使用される。
【0147】
図6Bは、先端610がエッジリング102の底面119(図6A)内に形成されたスロット622または溝またはノッチ内に延びることを例示するシステム610の一実施形態の図である。スロット622は、底面119内に形成され、エッジリング102の内側底面624、エッジリング102の垂直面626、エッジリング102の水平面628、エッジリング102の垂直面630、およびエッジリング102の外側底面632を形成する。
【0148】
垂直面626は、内側底面624に対して垂直または実質的に垂直である。さらに、水平面628は、垂直面626に対して垂直または実質的に垂直である。また、垂直面630は、水平面628に対して垂直または実質的に垂直である。外側底面632は、垂直面630に対して垂直または実質的に垂直である。一例として、別の表面に対して85~95度の角度を形成する表面は、他の表面に対して実質的に垂直である。水平面628は、内側底面624および外側底面632の高さよりも上であるが、内側上面部分109の高さよりも下の高さにある。
【0149】
垂直面626は、内側底面624に隣接し、水平面628は、垂直面626に隣接している。また、垂直面630は、水平面628に隣接し、外側底面632は、垂直面630に隣接している。スロット622は、垂直面626、水平面628、および垂直面630によって3つの側面が囲まれる。
【0150】
先端610は、スロット610内に延びて水平面628に接触する。例えば、先端610の高さは、水平面628に接続してRF電力をエッジリング102に提供するために、内側底面624および外側底面632の高さよりも上にある。
【0151】
一実施形態では、スロット622は、半円形であるか、多角形であるか、三角形であるか、またはドーム形である。例えば、垂直面626および630ならびに水平面628の代わりに、ドーム形の溝がエッジリング102の底壁119内に形成される。
【0152】
図7Aは、基板S2の処理を例示するシステム700の一実施形態の図である。基板S1(図3A)とは異なり、基板S2は、エッチングなどの処理がされるか、または材料が堆積されるか、またはスパッタリングもしくは洗浄されるケイ素ウエハである。例えば、1つまたは複数の集積回路が基板S2上に製作され、基板S1上での集積回路の製作は行われない。
【0153】
システム700は、RF発生器システム702、インピーダンス整合回路708、ホストコンピューティングデバイス112、ガス供給部204、弁システム206、およびプラズマチャンバ202を含む。RF発生器システム702は、RF発生器152(図2D)などの1つまたは複数のRF発生器を含む。例えば、RF発生器システム702は、2MHzの動作周波数を有するRF発生器と、27MHzの動作周波数を有する別のRF発生器と、RF発生器152とを含む。別の例として、RF発生器システム702は、2MHzの動作周波数を有するRF発生器と、27MHzの動作周波数を有する別のRF発生器とを含む。さらに別の例として、RF発生器システム702は、400kHzの動作周波数を有するRF発生器と、2MHzの動作周波数を有する別のRF発生器と、RF発生器152とを含む。
【0154】
RF発生器システム702の各RF発生器は、RF電源を含む。したがって、RF発生器システム702は、1つまたは複数のRF電源704を含む。RF発生器システム702の1つまたは複数の電源704は、RFケーブルシステム706を介してインピーダンス整合回路708に結合される。例えば、1つまたは複数のRF電源704の各電源は、それぞれのRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708のそれぞれの入力に結合される。例示すると、1つまたは複数のRF電源704の第1のRF電源は、第1のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708の第1の入力に結合され、1つまたは複数のRF電源704の第2のRF電源は、第2のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708の第2の入力に結合され、1つまたは複数のRF電源704の第3のRF電源は、第3のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708の第3の入力に結合される。
【0155】
インピーダンス整合回路708の出力は、RF伝送ライン168を介してチャック106の下部電極に結合される。また、プロセッサ114は、1つまたは複数の接続ケーブルを介してRF発生器システム702の1つまたは複数のRF発生器に結合される。例えば、プロセッサ114は、第1の接続ケーブルを介してRF発生器システム702の第1のRF発生器に結合され、第2の接続ケーブルを介してRF発生器システム702の第2のRF発生器に結合され、第3の接続ケーブルを介してRF発生器システム702の第3のRF発生器に結合される。
【0156】
基板S2を処理するために、プロセッサ114は、基板S2を処理するための1つまたは複数のプロセスガスがガスラインシステムの部分218A、弁システム206、および部分218Bを介してシャワーヘッド210に供給されるように、弁システム206を制御する。以下に説明される、基板S2または別の基板(例えばS3)を処理するための1つまたは複数のプロセスガスの例には、O2などの酸素含有ガスが挙げられる。基板S2およびS3を処理するための1つまたは複数のプロセスガスの他の例には、テトラフルオロメタン(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、およびヘキサフルオロエタン(C26)などのフッ素含有ガスが挙げられる。
【0157】
また、基板S2を処理するために、プロセッサ114は、1つまたは複数の接続ケーブルを介して、RF発生器システム704の1つまたは複数のRF発生器の各々についての周波数および電力などのパラメータの値を提供する。パラメータを受信すると、RF発生器システム702の1つまたは複数のRF発生器は、1つまたは複数のRF信号710を生成する。例えば、1つまたは複数のRF電源704は、1つまたは複数のRF信号710を生成して供給する。例示すると、第1のRF電源は、第1のRF信号を生成して供給し、第2のRF電源は、第2のRF信号を生成して供給し、第3のRF電源は、第3のRF信号を生成して供給する。
【0158】
1つまたは複数のRF信号710は、1つまたは複数のRFケーブル706を介してインピーダンス整合回路708の1つまたは複数の入力に転送される。例えば、第1のRF信号は、第1のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708の第1の入力に転送され、第2のRF信号は、第2のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708の第2の入力に転送され、第3のRF信号は、第3のRFケーブルを介してインピーダンス整合回路708の第3の入力に転送される。
【0159】
インピーダンス整合回路708は、1つまたは複数のRF信号710を受信し、インピーダンス整合回路708の出力に結合された負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路708の1つまたは複数の入力に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、修正されたRF信号712を出力する。例えば、インピーダンス整合回路708は、第1のRFケーブルおよびインピーダンス整合回路708を介して第1のRF信号を受信し、第2のRFケーブルおよびインピーダンス整合回路708を介して第2のRF信号を受信し、第3のRFケーブルおよびインピーダンス整合回路708を介して第3のRF信号を受信し、第1、第2、および第3のRF信号を組み合わせ、第1のRF信号のインピーダンス、第2のRF信号のインピーダンス、および第3のRF信号のインピーダンスを修正し、インピーダンス整合回路708の出力で第1、第2、および第3のRF信号を組み合わせる。第1のRF信号は、インピーダンス整合回路708の第1の分岐回路を通過し、第2のRF信号は、インピーダンス整合回路708の第2の分岐回路を通過し、第3のRF信号は、インピーダンス整合回路708の第3の分岐回路を通過する。インピーダンス整合回路708の出力に結合された負荷の一例には、プラズマチャンバ202およびRF伝送ライン168が挙げられ、インピーダンス整合回路708の入力に結合されたソースの一例には、RF発生器システム702および1つまたは複数のRFケーブル706が挙げられる。
【0160】
修正されたRF信号712は、RF伝送ライン168を介してチャック106の下部電極に転送される。修正されたRF信号712および基板S2を処理するための1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ202に供給されると、プラズマはギャップ219内で打たれて基板S2を処理する。基板S2の処理中、上部電極408は、接地電位に結合されることに留意されたい。基板S2の処理の終了中、プロセッサ114は、弁システム206を制御して基板S2を処理するための1つまたは複数のプロセスガスの供給または流れをオフにし、RFGシステム702を制御して1つまたは複数のRF信号710の供給を停止する。また、基板S2が処理されると、基板S2は、プラズマチャンバ202の側壁SWを通って延びるスロットなどの開口部を介してプラズマチャンバ202から除去される。
【0161】
一実施形態では、接地電位に結合される代わりに、上部電極408は、インピーダンス整合回路の出力から修正されたRF信号を受信する。インピーダンス整合回路は、1つまたは複数のRFケーブルを介して結合され、1つまたは複数のRF発生器から1つまたは複数のRF信号を受信する。
【0162】
一実施形態では、上部電極延長部212とエッジリング102の両方は、基板S2の処理中に接地電位に結合される。
【0163】
一実施形態では、基板の処理中にプロセッサ114からRF発生器システム702に提供されるパラメータの値は、エッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物を除去または低減するための洗浄動作中にプロセッサ114からRF発生器122(図2A)に提供されるパラメータの値、およびプロセッサ114からRF発生器152(図2B)に提供されるパラメータの値とは異なる。例えば、より大きな電力レベルを有するRF信号を生成するために、より大きな電力レベルがプロセッサ114からRF発生器システム702に提供される。電力レベルは、プロセッサ114からRF発生器152(図2A)に提供される電力レベルおよび/またはプロセッサ114からRF発生器122に提供される電力レベルよりも大きい。別の例として、より低い電力レベルを有するRF信号を生成するために、より低い電力レベルがプロセッサ114からRF発生器システム702に提供される。電力レベルは、プロセッサ114からRF発生器152(図2A)に提供される電力レベルおよび/またはプロセッサ114からRF発生器122に提供される電力レベルよりも小さい。
【0164】
図7Bは、図7Aを参照して上述の方法を使用して基板S2を処理した後のエッジリング102の洗浄を例示するシステム720の一実施形態の図である。エッジリング102は、エッジリングポケット130内の残留物および/またはギャップ138(図1C)内の残留物が除去または低減されたときに洗浄される。システム720は、ホストコンピューティングデバイス112、RF発生器122、インピーダンス整合回路108、プラズマチャンバ122、ガス供給部204、および弁システム206を含む。
【0165】
図7Aを参照して上に示した方法を使用して基板S2が処理された後、エッジリングポケット130およびギャップ138(図1C)内の残留物が除去または低減される。例えば、図1Aまたは図1Bまたは図2A図2Eを参照して上に示したPER WAC動作が実施される。例示すると、プロセッサ114は、エッジリングポケット130およびギャップ138(図1C)内の残留物を除去または低減するための1つまたは複数のプロセスガスが、ガスラインシステムの部分218A、弁システム206、およびガスラインシステムの部分218Bを介してシャワーヘッド210に供給されるように弁システム206を制御する。さらに例示すると、プロセッサ114は、弁システム206の1つまたは複数の弁を制御して開き、エッジリングポケット130およびギャップ138内の残留物を除去または低減するための1つまたは複数のプロセスガスを、ガスラインシステムの部分218A、弁システム206、およびガスラインシステムの部分218Bを介してシャワーヘッド210(図2A)の1つまたは複数のゾーンに供給する。別の例として、図3Aを参照して上述のCWACおよびPER WAC動作が実施される。さらに別の例として、図3Bまたは図3Cを参照して上述のCWAC動作およびピンアップ自動洗浄動作が実施される。エッジリングポケット130およびギャップ138(図1C)内の残留物を除去または低減するプロセス中、上部電極延長部212は接地電位に結合され、上部電極408も接地電位に結合される。
【0166】
一実施形態では、エッジリングポケット130およびギャップ138(図1C)内の残留物を除去または低減するプロセス中、接地電位に結合される代わりに、上部電極延長部212は、インピーダンス整合回路の出力から修正されたRF信号を受信する。インピーダンス整合回路は、1つまたは複数のRFケーブルを介して結合され、1つまたは複数のRF発生器から1つまたは複数のRF信号を受信する。
【0167】
一実施形態では、エッジリングポケット130およびギャップ138(図1C)内の残留物を除去または低減するプロセス中、接地電位に結合される代わりに、上部電極408は、インピーダンス整合回路の出力から修正されたRF信号を受信する。インピーダンス整合回路は、1つまたは複数のRFケーブルを介して結合され、1つまたは複数のRF発生器から1つまたは複数のRF信号を受信する。
【0168】
図7Cは、図7Bを参照して上述の洗浄動作を実施した後の基板S3の処理を例示するシステム700の一実施形態の図である。基板S3は、基板S3がダミー基板ではなく、1つまたは複数の集積回路がその上に製作される基板であるという点で、基板S2と同様である。基板S3は、プラズマチャンバ202の側壁SWの開口部を介してプラズマチャンバ202に挿入される。プロセッサ114は、プロセッサ114が弁システム206およびRF発生器システム702を制御して基板S2(図7A)を処理するのと同じ方式で、弁システム206およびRF発生器システム702を制御して基板S3を処理する。例えば、1つまたは複数のプロセスガスがシャワーヘッド210に供給され、修正されたRF信号712がチャック106の下部電極に供給されて基板S3を処理する。
【0169】
図7Dは、エッジリングポケット130およびギャップ138からの残留物の洗浄を例示するシステム720の一実施形態の図である。エッジリングポケット130およびギャップ138(図3A)の残留物を洗浄する動作は、図7Cを参照して上述の方法を使用して基板S3を処理した後に実施される。洗浄の動作は、図7Bを参照して上述したのと同じ方式で実施される。
【0170】
エッジリングポケット130およびギャップ138(図3A)から残留物を洗浄することによって、洗浄間の平均時間(MTBC)が増加する。例えば、プラズマチャンバ202の構成要素を洗浄するために、プラズマチャンバ202の上壁TWまたは上部カバーを開く必要はない。例示すると、図7Aおよび図7Cを参照して上述の約400RF時間の処理動作は、プラズマチャンバ202を開いて構成要素を洗浄する前に実施することができる。
【0171】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む様々なコンピュータシステム構成で実践することができる。本明細書に記載の実施形態は、コンピュータネットワークを介してリンクされたリモート処理ハードウェアユニットによってタスクが実施される分散コンピューティング環境でも実践することができる。
【0172】
いくつかの実施態様では、コントローラは、上述の例の一部であり得るシステムの一部である。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含む。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と一体化される。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、システムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされる。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入と搬出、ならびに、システムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0173】
広義には、様々な実施形態において、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASICとして定義されたチップ、PLD、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、プロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に実施するための動作パラメータを定義する。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0174】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であり、またはそのようなコンピュータに結合され、またはそれらの組み合わせである。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあり、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部である。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コントローラは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始する。
【0175】
いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、コンピュータネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供する。そのようなコンピュータネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含む。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含み、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、ウエハを処理するための設定の形式で命令を受信する。設定は、ウエハ上で実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラがインターフェースまたは制御するツールのタイプに固有であることを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明される実行プロセスなど)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことによって分散される。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられる。
【0176】
様々な実施形態において、システムは、プラズマエッチングチャンバ、堆積チャンバ、スピンリンスチャンバ、金属めっきチャンバ、洗浄チャンバ、ベベルエッジエッチングチャンバ、物理気相堆積(PVD)チャンバ、化学気相堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、原子層エッチング(ALE)チャンバ、イオン注入チャンバ、追跡チャンバ、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用される任意の他の半導体処理チャンバを含むが、これらに限定されない。
【0177】
上述の動作は、平行プレートプラズマチャンバ、例えば、容量結合プラズマチャンバなどを参照して説明されているが、いくつかの実施形態では、上述の動作は、他のタイプのプラズマチャンバ、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタを含むプラズマチャンバ、トランス結合プラズマ(TCP)リアクタ、導体ツール、誘電体ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを含むプラズマチャンバなどに適用されることにさらに留意されたい。例えば、X MHz RF発生器、Y MHz RF発生器、およびZ MHz RF発生器は、ICPプラズマチャンバ内のインダクタに結合される。
【0178】
上述のように、ツールによって実施されるプロセス動作に応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信する。
【0179】
上記の実施形態を念頭に置いて、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムに記憶されたデータを伴う様々なコンピュータ実装動作を用いることを理解されたい。これらのコンピュータ実装動作は、物理量を操作する動作である。
【0180】
実施形態のいくつかはまた、これらの動作を実施するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ用に特別に構築されている。専用コンピュータとして定義されるとき、コンピュータは、その専用の目的のために動作可能でありつつ、専用の目的の一部ではない他の処理、プログラム実行、またはルーチンを実施する。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の動作は、コンピュータメモリに記憶されるかコンピュータネットワークを介して取得される1つもしくは複数のコンピュータプログラムによって、選択的にアクティブ化または構成されるコンピュータによって実施される。コンピュータネットワークを介してデータが取得される場合、そのデータは、コンピュータネットワーク上の他のコンピュータ(例えば、計算資源のクラウド)によって処理されてもよい。
【0182】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、非一時的コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして製作することもできる。非一時的コンピュータ可読媒体は、データを記憶する任意のデータストレージハードウェアユニット(例えば、メモリデバイスなど)であり、データはその後コンピュータシステムによって読み取られる。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、CDレコーダブル(CD-R)、CDリライタブル(CD-RW)、磁気テープ、ならびに他の光学および非光学データストレージハードウェアユニットを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散方式で記憶および実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散されたコンピュータ可読有形媒体を含む。
【0183】
上述のいくつかの方法動作は特定の順序で説明されたが、様々な実施形態において、各方法動作の間に他のハウスキーピング動作が実施されるか、または各方法動作がわずかに異なる時間に発生するように調整されるか、または各方法動作を様々な間隔で発生可能にするシステムに分散されるか、または上述の順序とは異なる順序で実施されることを理解されたい。
【0184】
一実施形態では、本開示で説明される様々な実施形態で説明される範囲から逸脱することなく、上述の任意の実施形態の1つまたは複数の特徴が任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わされることにさらに留意されたい。
【0185】
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されているが、一定の変更および修正を添付の特許請求の範囲の範囲内で実践できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で修正されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】