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  • 特表-酸化鉱石から金属を回収する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】酸化鉱石から金属を回収する方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 3/08 20060101AFI20221005BHJP
   C22B 15/00 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 23/00 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 47/00 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 3/22 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 3/46 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 3/26 20060101ALI20221005BHJP
   C22B 1/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
C22B3/08
C22B15/00 105
C22B23/00 102
C22B47/00
C22B3/22
C22B3/44 101B
C22B3/46
C22B3/26
C22B1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507864
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020071079
(87)【国際公開番号】W WO2021028201
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】19190915.9
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ダニエルス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スコイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・バルテス
(72)【発明者】
【氏名】マルゴ・ネヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・レイセン
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA07
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA16
4K001AA19
4K001BA02
4K001CA11
4K001DB03
4K001DB21
4K001DB22
4K001DB23
4K001DB24
4K001DB26
4K001DB34
(57)【要約】
酸化鉱石、特に多金属団塊から有価金属を回収するための方法が開示されている。方法は、Cu、Co、Ni、Fe、及びMnの回収に適しており、それらはそのような多金属団塊の中で関心が持たれる主要金属である。本発明の方法は、とりわけ、Feの取扱いを特徴とし、それは、初期段階で除去するのではなく、溶解され、結晶化の工程まで溶液のままで保持される。混合したMn-Fe残渣が得られ、それは、熱処理後、鉄鋼又はマンガン産業に適したMn-Fe酸化物をもたらす。優れたCu、Co、及びNi収率が得られ、一方でFeはMnと一緒に浸出及び価値向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化鉱石からCu、Co、Ni、Fe及びMnを回収する方法であって:
- HSO及びSOを用いて、酸性条件で鉱石を溶解し(P1)、それによってCu、Co、Ni、Fe、及びMnを含む第1溶液(S1)と第1残渣(R1)が得られる工程;
- 第1溶液と第1残渣をS/L分離する工程;
- Cuを:
- 硫化物を含む化合物の添加によって硫化物として、又はCuよりも容易に酸化される金属の添加によって金属として沈殿させ、それによってCo、Ni、Fe、及びMnを含む酸性第2溶液(S2)とCuを含む第2残渣(R2)が得られる工程;並びに、
- 第2溶液と第2残渣をS/L分離する工程;
或いは:
- 電解抽出又はSXによって抽出し、それによってCo、Ni、Fe、及びMnを含む酸性第2溶液(S2)とCuを含む流れが得られる工程;
のいずれかによって回収する工程(P2);
- 第1酸消費化合物を添加することにより、第2溶液(S2)をpH2から5に中和(P3)し、それによってCo、Ni、Fe、及びMnを含む中和された第3溶液(S3)が得られる工程;
- 硫化物を含む化合物を第3溶液に添加することにより、Co及びNiを沈殿(P4)させ、それによってFe及びMnを含む第4溶液(S4)とCo及びNiを含む第4残渣(R4)が得られる工程;
- 第4溶液と第4残渣をS/L分離する工程;
- 第4溶液から硫化物としてMn及びFeを結晶化(P5)させ、それによって少量のMnを含有する第5溶液(S5)とMn及びFeの大部分を含有する第5残渣(R5)が得られる工程;並びに、
- 第5溶液と第5残渣をS/L分離する工程
を含む、方法。
【請求項2】
中和工程において、第1酸消費化合物がカルシウム、特にCaCOを含有し、それによって第3残渣(R3)が得られ、追加の:
- 第3溶液と第3残渣をS/L分離する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 第5溶液(S5)を第1画分(S5a)と第2画分(S5b)に分割する工程;
- 溶解する工程(P1)に第5溶液の第1画分を再循環させる工程;
- 第5溶液の第2画分に第2酸消費化合物を添加することにより、炭酸塩又は水酸化物としてMn及びFeを沈殿(P7)させ、それによってMn及びFeが激減した第6溶液(S6)とMn及びFeに富んだ第6残渣(R6)が得られる工程;
- 第6溶液と第6残渣をS/L分離する工程;並びに、
- 少なくとも第1酸消費化合物の一部として、中和の工程(P3)に第6残渣を再循環させる工程
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
- 第5残渣を熱分解(P6)させ、それによって酸化Mnを含む第7残渣(R7)及びSOが得られる工程;
- SOを分離する工程;及び;
- 鉱石を溶解する工程(P1)にSOを再循環させる工程
を含む、請求項1又は3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
- 第6溶液を逆浸透(P8)させ、それによって水(S7)及び濃縮塩溶液(S8)が得られる工程;並びに、
- 鉱石を溶解する工程(P1)に水を再循環させる工程
を含む、請求項1又は4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
鉱石が深海団塊である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸化鉱石、特に多金属団塊から有価金属を回収する方法に関する。多金属団塊は、深海団塊又は深海マンガン団塊とも呼ばれ、海底の酸化鉄及び酸化マンガンの同心層で形成された岩石の塊である。
【0002】
開示された方法は、Cu、Co、Ni、Fe、及びMnの回収に適しており、それらはそのような多金属団塊の中で関心が持たれる主要金属である。
【背景技術】
【0003】
現在まで、最も経済的に関心が持たれる団塊は、クラリオンクリッパートン断裂帯(CCFZ)で発見されている。この領域の団塊は、通常27%Mn、1.3%Ni、1.1%Cu、0.2%Co、6%Fe、6.5%Si、及び3%Alを含有する。経済的に関心が持たれる他の元素は、Zn、Mo及び希土類である。他の相当な大きさの堆積物は、クック諸島近くのペンリン海盆、南東太平洋のペルー海盆及びインド洋ノジュールフィールド(IONF)と呼ばれる海域で発見されている。
【0004】
70年代から、多金属団塊を処理するために多くの方法が調べられてきた。利用可能な方法の最近の包括的な概説は、T. Abramovskiらによる論文、Journal of Chemical Technology and Metallurgy、52、2、2017、258~269頁に見出すことができる。Kennecott社及びINCO社は、工業プロセスの開発を試みた。Kennecott社は、銅アンモニアプロセスを開発し、一方いくつかの会社は、硫酸塩、塩化物及び硝酸塩媒体における湿式冶金プロセスを開発した。INCO社は、マットの生成を伴う乾式冶金プロセスを研究した。つい最近、合金の生成が提案されている。これらのプロセスはどれもパイロット規模以上に進んでいない。
【0005】
銅プロセス(Cuprion process)は、Co回収が少なく、COガスによる団塊の還元が遅く、且つマンガン残渣の品質が低いという問題に直面している。オートクレーブ浸出を利用して浸出残渣中のMn及びFeを排除するラテライトプロセスに由来する硫酸塩プロセスは、浸出の技術的問題及びMnの不十分な価値向上に直面している。他の硫酸塩系プロセスは、莫大な試薬の消費及び/又は致命的な硫酸アンモニウムの生成をもたらす。塩化物及び硝酸塩経路は、熱加水分解及び熱分解による試薬の再生のためのエネルギー消費が高い。乾式冶金処理前の団塊の乾燥も、高いエネルギー消費をもたらす。
【0006】
これに関して、米国特許第3,906,075号は、SO及び硫酸を用いた一段階浸出プロセスを開示していることに留意すべきである。Mn、Ni、Co、及びCuは、同時に浸出される。この文献はまた、MnSOとしてのマンガンの結晶化、それに続くその酸化物への分解、それによる浸出工程で再利用するためのSOの生成も例示している。MnSOは、Feを溶解させないままにするように強いると言われているので、浸出工程に加えられる。Cuは、単一の浸出液流から抽出される。処理すべき量を考慮すると、このプロセスの費用及び複雑さは無視できないが、液-液抽出が通常使用される。
【0007】
費用のかかる除鉄工程が溶液を浄化するのに必要とされるので、浸出液中のFeは望ましくないことが先行技術で認識されている。したがって、浸出液への高濃度のMnSOの添加を含む、比較的穏やかな浸出条件が提案されている。高いSO濃度は、Fe溶解度を制限する可能性があると仮定されており;しかしながら、その場合Co及びNiで最適に満たない回収率が観察されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,906,075号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T. Abramovskiら、Journal of Chemical Technology and Metallurgy、52、2、2017、258~269頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方法は、とりわけ、Fe関連の問題の非常に異なる取扱いを特徴とする。鉱石を溶解する工程においてFeの浸出を制限する試みは全くない。これに反して、Feは、溶解され、MnSO結晶化の工程まで溶液のままで保持される。次いで混合したMn-Fe残渣が得られ、それは、熱処理後、鉄鋼又はマンガン産業に適したMn-Fe酸化物をもたらしやすい。優れたCu、Co、及びNi収率が得られ、一方でFeはMnと一緒に浸出及び価値向上される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】任意選択のプロセス工程及び流れも含む、工程図の概要を提供する図である。プロセス工程はTable 1(表1)に、流れはTable 2(表2)に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
酸化鉱石からCu、Co、Ni、Fe、及びMnの回収に適している開示された方法は、HSO及びSOを用いて、酸性条件で鉱石を溶解し、それによってCu、Co、Ni、Fe、及びMnを含む第1溶液と第1残渣を得る工程と、それに続く第1溶液と第1残渣のS/L分離の工程を含む。
【0015】
この工程に適した終点pHは、好ましくは2以下になる。次いで、Feを含む、回収することを目的とした金属に対して良好な浸出収率が観察される。還元される金属に関して好ましくは化学量論的な量でSOが浸出溶液に直接注入される。
【0016】
第1の代替によれば、溶液中のCuは、硫化物を含む化合物の添加によって硫化物として、又はCuよりも容易に酸化される金属の添加によって金属として、沈殿によって回収することができ、それによってCo、Ni、Fe及びMnを含む酸性第2溶液とCuを含む第2残渣が得られ、第2溶液と第2残渣がS/L分離される。
【0017】
第2の代替によれば、Cuは、電解抽出又はSXを用いて、抽出によって回収することができ、それによってCo、Ni、Fe及びMnを含む酸性第2溶液とCuを含む流れが得られる。
【0018】
このCu回収工程の間、特に硫化物を含む化合物としてHS又はNaHSを用いてCuを沈殿させる場合、pHは、陽子が解放されるためにいくらか低下する可能性がある。このpHの低下は、次のプロセス工程で中和剤として作用する酸消費化合物をより多く必要とする以外に有害な影響はなく、それは第1酸消費化合物の添加による第2溶液のpH2から5への中和であり、それによってCo、Ni、Fe、及びMnを含む中和された第3溶液が得られる。
【0019】
次の工程では、Co及びNiを、第3溶液への硫化物を含む化合物の添加によって沈殿させ、それによってFe及びMnを含む第4溶液とCo及びNiを含む第4残渣が得られ、それらは分離される。
【0020】
このCo及びNi回収工程の間、pHは再度、陽子が更に解放されるためにいくらか低下する可能性がある。pHが2から7に達するために、より多くの中和剤を加えることができる。装置の腐食を防ぐために、中和溶液で次の工程であるMn及びFeの結晶化を操作することが確かに好ましい。
【0021】
中和工程では、CaCOを酸消費化合物として使用してもよい。これは、好ましくは追加のS/L分離工程で分離すべき固体であるセッコウを生成する。ろ過を必要とする固体の生成は、中和剤としてMnCO又はMn(OH)を用いることによって回避又は最小限にすることができる。これらの2つの生成物は、後述のように、抽気流の処理において有利に生成することができる。
【0022】
Mn及びFeは、結晶化によって第4溶液から一緒に回収され、それによって少量のMnを含有する第5溶液(母液)と、Mn及びFeの大部分を含有する第5残渣が得られる。結晶は、母液から分離される。
【0023】
Mn及びFeの結晶化は、蒸発によって行なうことができる。或いは、Mn及びFeの溶解限度が温度と共に大幅に減少するので、結晶化は、加熱によって誘導することができる。その場合、120℃超、又は更には170℃超の温度が好ましい。
【0024】
結晶化は、母液中のこれらの元素を完全に排出しないので、母液は、依然としていくらかの残留溶解Mn及びFeを含有することになる。これらの金属は、以下の実施形態に従って回収することができる。
【0025】
本明細書において、母液を第1及び第2画分に分割し、第1画分は、溶解の工程に再循環させる。第2画分(抽気流)中のMn及びFeは、NaCO又はNaOH等の第2酸消費化合物の添加によって炭酸塩又は水酸化物として沈殿させ、それによってMn及びFeが激減した第6溶液とMn及びFeに富んだ第6残渣が得られ、それらは分離される。上記の説明を参照すると、これらの炭酸塩又は水酸化物を酸消費化合物として中和の工程に再循環させると有利である。
【0026】
抽気流はまた、Na及びK等の微量元素への排出をもたらし、他の場合には、プロセスが継続的に実行されるときに望ましくないレベルに蓄積する可能性がある。Ca系化合物は、セッコウ中のMnの希釈をもたらすことになるので、第2酸消費化合物は、有利にはNa又はK系である。
【0027】
別の実施形態は、第5残渣の熱分解の工程を含み、それによって酸化Mnを含む第7残渣及びSOが得られる工程と、溶解の工程にSOを分離する及び再循環させる方法に関する。この方法における熱分解は、生成物を850~1000℃に加熱することによって達成される。
【0028】
別の実施形態は、第6溶液の逆浸透の工程を含み、それによって実質的に純水及び濃縮塩溶液が得られる方法に関する。水は、例えば残渣を洗浄するために、前の工程で再利用でき、次いで鉱石を溶解する工程に再循環させる。濃縮塩溶液は、排出してもよい。
【0029】
別の実施形態は、鉱石が深海団塊である上記の方法のいずれかに関する。
【0030】
以下の実施例は、本発明を更に例示している。
[実施例1]
【0031】
CaCOを用いた中和
D50が100μmに粉砕した多金属団塊1kg(乾燥状態)を水3.1Lにブレンドする。スラリーを500rpmで連続撹拌し、95℃に加熱する。合計510gのSOガスをスラリーに1.5時間吹き込む。その後、HSO280gを、2時間でゆっくり加える。この添加中に、いくらかのSOが溶液から放出され、その結果400gが効果的に消費される。pHは1.6に達している。スラリーをろ過によって分離する。溶液は、9g/L HSOを含有する。固体は洗浄する。
【0032】
溶液中のCuは、第1硫化物沈殿で沈殿する。それにより溶液は、80℃にして、300rpmで連続撹拌する。アルゴンを液面に吹き付ける。HS 6.2g(すなわち100%化学量論に基づいて)を溶液に2時間通気する。スラリーをろ過し、固体を水で洗浄し、真空乾燥機中40℃で乾燥する。この溶液は、この時点で14g/L HSOを含有する。
【0033】
Ni及びCo沈殿を成功させるには、溶液を中和する必要がある。このために、溶液を75℃にして、300rpmで撹拌し、アルゴンを液面に吹き付ける。CaCO51.2gを水0.15Lに溶かして懸濁液にする。このスラリーを溶液にゆっくり加える。セッコウを形成し、それを分離する。次に、溶液のpHが目標値3に達する。
【0034】
NaHSを用いて溶液からNi及びCoを回収する。溶液を70℃にして、300rpmで連続撹拌する。アルゴンを液面に吹き付ける。S/L 38gを含有するNaHS溶液264mL(すなわち120%化学量論に基づいて)を、3mL/分の速度で溶液に加える。スラリーをろ過し、固体を水で洗浄し、真空乾燥機中40℃で乾燥する。
【0035】
溶液をオートクレーブに入れ、176℃にする。これらの条件下で、MnSOとFeSOの両方の溶解度が減少し、それらの結晶化をもたらす。熱ろ過を用いて結晶を液相から分離して、結晶の再溶解を防ぐ。
【0036】
異なるろ液並びに残渣の量及び組成をTable 3(表3)に示す。溶解(P1)及び沈殿工程(P2、P4、P5)の収率をTable 4(表4)に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
プロセス工程毎の金属収率は、最も満足なものと見なされる。
[実施例2]
【0040】
MnCOを用いた中和
この実施例は、実施例1に類似している。しかしながら、CaCOの代わりに再循環させた炭酸Mn及びFeを中和剤として使用する。その結果、セッコウが形成されず、対応するろ過工程が排除される。
【0041】
Cu沈殿後、溶液を中和する必要がある。このために、以下に示すように調製したポンプ注送可能なスラリーの画分を、酸消費化合物として溶液にゆっくり加える。炭酸Mn及びFeの混合物58.8gを含有する量を加える場合、溶液のpHが、目標値3に達する。
【0042】
次に、実施例1に従って、結晶化によってMn及びFeを回収する。
【0043】
結晶化工程後に依然として母液中に存在するMn及びFeは、NaCO 66.8gの添加によって炭酸塩として沈殿させる。スラリーをろ過し、残渣を洗浄し、乾燥させる。それは、炭酸Mn及びFeの混合物92.4gを含有する。次いで、この残渣を、水0.28Lで希釈して、ポンプ注送可能なスラリーを作成する。このスラリーの一部を、上記の工程で酸消費化合物として使用する。
【0044】
連続プロセスでは、母液の画分だけに対して沈殿工程を行なうことが有利となり、この画分は、中和工程における酸消費化合物の必要性によって決定されることに留意すべきである。次いで母液の残りは溶解工程へ再循環させることができる。
【0045】
異なるろ液並びに残渣の量及び組成をTable 5(表5)に示す。溶解(P1)及び沈殿工程(P2、P4、P5)の収率をTable 6(表6)に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
プロセス工程毎の収率が、実施例1と同様に満足なものであっても、実施例2に基づく中和方法を適用すると、Mnの全収率はより高くなる。実際は、結晶化後の母液中のMnの大部分は、この場合、結晶化工程で回収され、取り出される。
【符号の説明】
【0049】
P1 鉱石の溶解
P2 Cuの回収
P3 中和
P4 CoとNiの沈殿
P5 MnとFeの結晶化
P6 熱分解
P7 Mnの沈殿(抽気中)
P8 逆浸透
R0 鉱石
R1 第1残渣
R2 第2残渣
R3 第3残渣
R4 第4残渣
R5 第5残渣
R6 第6残渣
R7 第7残渣
S1 第1溶液
S2 第2溶液
S3 第3溶液
S4 第4溶液
S5 第5溶液
S5a 第5溶液の第1画分
S5b 第5溶液の第2画分
S6 第6溶液
S7 第7溶液
S8 第8溶液
図1
【国際調査報告】