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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】調整された原子層堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20221007BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221007BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564415
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019040648
(87)【国際公開番号】W WO2020222853
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/841,463
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソー・チャン ミー ミー
(72)【発明者】
【氏名】バルダッセローニ・クロエ
(72)【発明者】
【氏名】バンダリ・シヴァ シャラン
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・プルキット
(72)【発明者】
【氏名】ラボア・エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン シュラヴェンディク・バート ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA16
4K030BA44
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030EA11
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA02
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
4K030JA16
4K030JA18
4K030LA02
4K030LA15
5F045AA08
5F045AA09
5F045AA15
5F045AB32
5F045AC01
5F045AC03
5F045AC05
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5F045AC16
5F045AC17
5F045AD03
5F045AD04
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5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AD12
5F045AD13
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5F045AE23
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5F045EH18
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5F045EK07
5F058BA08
5F058BC02
5F058BF07
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5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF36
5F058BF37
5F058BJ05
5F058BJ06
(57)【要約】
【解決手段】本明細書には、原子層堆積(ALD)の交互周期の間に、長い変換時間および短い変換時間を用いて薄膜を堆積するための方法および装置が提供される。実施形態は、複数周期ALDプロセスの1周期以上において、ALD周期の変換期間を交互に行うことに関する。いくつかの実施形態は、2つ以上のALD周期において、ドーズ、パージ、圧力、プラズマ電力、またはプラズマエネルギを調整することに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を堆積する方法であって、
処理チャンバに基板を提供する工程と、
第1原子層堆積(ALD)周期において、前記基板の上に第1量の材料を堆積する工程であって、1周期は、
前駆体が前記基板の表面に吸着できる条件下で前記基板を前記前駆体に曝し、それにより前記前駆体の第1吸着層を形成する工程と、
第1期間にわたって前記前駆体の前記第1吸着層を反応種に曝して、前記第1量の前記材料を形成する工程と、を含む工程と、
第2ALD周期を用いて、前記第1量の前記材料に第2量の前記材料を堆積する工程であって、1周期は、
前記前駆体が前記基板の表面に吸着できる条件下で前記基板を前記前駆体に曝し、それにより前記前駆体の第2吸着層を形成する工程と、
第2期間にわたって前記前駆体の前記第2吸着層を反応種に曝して、前記第2量の前記材料を形成する工程と、を含む工程と、を含み、
第1期間と前記第2期間とは異なる期間である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2期間は、前記第1期間よりも約1.1倍から約15倍長い、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記反応種を生成するためにプラズマを点火する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記プラズマは、in situで生成される、方法。
【請求項5】
シリコン酸化物を堆積する方法であって、
処理チャンバに基板を提供する工程と、
少なくとも第1プラズマ強化原子層堆積(PEALD)周期および第2PEALD周期を含む2回以上のPEALD周期に前記基板を曝すことにより、前記基板の上に共形シリコン酸化膜を堆積する工程と、を含み、
第1PEALD周期は、
シリコン含有前駆体を導入して、前記基板の表面に前記シリコン含有前駆体の吸着層を形成する工程と、
前記シリコン含有前駆体の前記吸着層を酸素含有反応物およびアルゴンに曝し、第1プラズマエネルギで第1プラズマを点火する工程と、を含み、
第2PEALD周期は、
前記シリコン含有前駆体を導入して、前記基板の表面に前記シリコン含有前駆体の吸着層を形成する工程と、
前記シリコン含有前駆体の前記吸着層を酸素含有反応物およびアルゴンに曝し、第2プラズマエネルギで第2プラズマを点火する工程と、を含み、
前記第2プラズマエネルギは、前記第1プラズマエネルギよりも少なくとも3倍大きい、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、さらに、
第3プラズマエネルギで実施される第3PEALD周期を含み、
前記第1プラズマエネルギは前記第2プラズマエネルギよりも小さく、前記第2プラズマエネルギは前記第3プラズマエネルギよりも小さい、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記第1プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力と、前記第2プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力とは同じである、方法。
【請求項8】
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の処理チャンバと、
前記1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサを制御して、前記流量制御ハードウェアに、前記1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、第1期間中に、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第1セットの交互流を導入させ、第2期間中に、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前記シリコン含有前駆体および前記酸化剤の第2セットの交互流を導入させるように、少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、コントローラと、を備え、
前記第2期間は、前記第1期間よりも少なくとも1.1倍長い、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、さらに、
プラズマ発生器を備える、装置。
【請求項10】
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の処理チャンバと、
前記1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、
プラズマ発生器と、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサを制御して、前記流量制御ハードウェアに、前記1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第1セットの交互流を導入させ、共形シリコン酸化材料を形成するために、前記第1セットの間に前記酸化剤を導入させるときに、第1プラズマエネルギを有するプラズマを発生させ、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前記シリコン含有前駆体および前記酸化剤の第2セットの交互流を導入させ、共形シリコン酸化材料を形成するために、前記第2セットの間に前記酸化剤を導入するときに、前記第1プラズマエネルギよりも少なくとも1.1倍大きい第2プラズマエネルギを有するプラズマを発生させるように、少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、コントローラと、を備える、装置。
【請求項11】
請求項8および10のいずれかに記載の装置であって、
前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つは、給電されたシャワーヘッドと、前記基板を保持するための接地された台座とを備える、装置。
【請求項12】
請求項8および10のいずれかに記載の装置であって、
前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つは、前記基板を保持するための給電された台座と、接地されたシャワーヘッドと、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[参照による援用]
本願の一部として、本明細書と同時にPCT出願書が提出される。同時に出願されたPCT出願書に認められる利益または優先権を本願が主張する各出願は、その全てが全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
半導体処理では、シリコン酸化膜を含む様々な材料の膜が様々な用途で用いられる。シリコン酸化膜は、プラズマ強化原子層堆積などの異なる技術を用いて堆積されてよい。科学技術が進歩するにつれて、高品質の膜の堆積は難しくなる。
【0003】
本明細書に記載の背景技術の説明は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、膜を堆積するための方法および装置が記載される。一実施形態は、膜の堆積方法に関し、この方法は、処理チャンバに基板を提供する工程と、第1原子層堆積(ALD)周期において基板の上に第1量の材料を堆積する工程であって、1周期は、基板の表面に前駆体が吸着できる条件下で前駆体に基板を曝すことにより、前駆体の第1吸着層を形成することと、第1期間にわたって前駆体の第1吸着層を反応種に曝して第1量の材料を形成することと、を含む工程と、第2ALD周期を用いて第1量の材料の上に第2量の材料を堆積する工程であって、1周期は、基板の表面に前駆体が吸着できる条件下で前駆体に基板を曝すことにより、前駆体の第2吸着層を形成することと、第2期間にわたって前駆体の第2吸着層を反応種に曝して第2量の材料を形成することと、を含む工程と、を含み、第1期間と第2期間とは異なる期間である。
【0005】
様々な実施形態では、第2期間は、第1期間よりも約1.1倍から約15倍長い。
【0006】
様々な実施形態では、第2期間は、第1期間よりも約1.1倍から約10倍長い。
【0007】
様々な実施形態では、第2期間は、第1期間よりも約1.1倍から約5倍長い。
【0008】
この方法は、反応種を生成するためにプラズマを点火する工程を含んでもよい。プラズマは、in situで生成されてよい。いくつかの実施形態では、プラズマは遠隔に生成される。
【0009】
様々な実施形態では、反応種は、アルゴンと共に導入される。
【0010】
この方法は、第2量の材料を堆積する前に、第1ALD周期を2回以上繰り返す工程を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、第2ALD周期を2回以上繰り返す工程も含む。
【0012】
この方法は、第1ALD周期と第2ALD周期とを交互に行う工程を含んでもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、この方法は、第1ALD周期および第2ALD周期の少なくともいずれかにおいて前駆体に基板を曝した後にパージする工程も含む。
【0014】
様々な実施形態では、前駆体はアミノシランである。例えばいくつかの実施形態では、アミノシランはジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)である。
【0015】
様々な実施形態では、材料はシリコン酸化物を含む。
【0016】
別の態様は、シリコン酸化物の堆積方法に関し、この方法は、処理チャンバに基板を提供する工程と、2つ以上のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)周期(少なくとも第1PEALD周期および第2PEALD周期を含む)に基板を曝すことにより、基板の上に共形シリコン酸化膜を堆積する工程とを含む。第1PEALD周期は、シリコン含有前駆体を導入して基板の表面にシリコン含有前駆体の吸着層を形成することと、シリコン含有前駆体の吸着層を酸素含有反応物およびアルゴンに曝すことと、第1プラズマエネルギで第1プラズマを点火することとを含み、第2PEALD周期は、シリコン含有前駆体を導入して基板の表面にシリコン含有前駆体の吸着層を形成することと、シリコン含有前駆体の吸着層を酸素含有反応物およびアルゴンに曝すことと、第2プラズマエネルギで第2プラズマを点火することとを含む。第2プラズマエネルギは、第1プラズマエネルギよりも少なくとも3倍大きい。
【0017】
様々な実施形態では、第1プラズマエネルギは、基板あたり約200Jから約500Jである。
【0018】
様々な実施形態では、第1PEALD周期および第2PEALD周期は、連続する交互の曝露で実施される。
【0019】
様々な実施形態では、第2PEALD周期は、第1PEALD周期がn回繰り返されるごとに実施される(nは、2以上の整数)。
【0020】
この方法は、第3プラズマエネルギで実施される第3PEALD周期を含んでもよい。第1プラズマエネルギは第2プラズマエネルギよりも小さく、第2プラズマエネルギは第3プラズマエネルギよりも小さい。
【0021】
様々な実施形態では、第1プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力と、第2プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力とは、同じである。
【0022】
いくつかの実施形態では、シリコン含有前駆体はアミノシランである。例えば、アミノシランはジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)であってよい。
【0023】
様々な実施形態では、第2プラズマは、基板あたり約125Wから約1625Wのプラズマ電力を用いて生成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、共形シリコン酸化膜は、200:1の希フッ酸において1A/秒未満のウェットエッチング速度を有する。
【0025】
別の態様は、基板を処理するための装置に関し、この装置は、1つ以上の処理チャンバと、1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラとを備える。少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、互いに通信可能に接続され、少なくとも1つのプロセッサは、流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続される。メモリは、少なくとも1つのプロセッサを制御して、流量制御ハードウェアに、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つへに基板を挿入させ、第1の期間中に、1つ以上のガス入口を通じて、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第1セットの交互流を導入させ、第2の期間中に、1つ以上のガス入口を通じて、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第2セットの交互流を導入させるように、少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する。第2期間は、第1期間よりも少なくとも1.1倍長い。
【0026】
この装置は、プラズマ発生器を備えてもよい。
【0027】
様々な実施形態では、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つは、給電されたシャワーヘッドと、基板を保持するための接地された台座とを備える。
【0028】
様々な実施形態では、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つは、基板を保持するための給電された台座と、接地されたシャワーヘッドとを備える。
【0029】
別の態様は、基板を処理するための装置に関し、この装置は、1つ以上の処理チャンバと、1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、プラズマ発生器と、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラとを備える。少なくとも1つのプロセッサおよびメモリは、互いに通信可能に接続され、少なくとも1つのプロセッサは、流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続される。メモリは、少なくとも1つのプロセッサを制御して、流量制御ハードウェアに、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、1つ以上のガス入口を通じて、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第1セットの交互流を導入させ、共形のシリコン酸化材料を形成するために、第1セットの間に酸化剤を導させるときに、第1プラズマエネルギを有するプラズマを発生させ、1つ以上のガス入口を通じて、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第2セットの交互流を導入させ、共形のシリコン酸化材料を形成するために、第2セットの間に酸化剤を導入するときに、第1プラズマエネルギよりも少なくとも1.1倍大きい第2プラズマエネルギを有するプラズマを発生させるように、少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する。
【0030】
様々な実施形態では、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つは、給電されたシャワーヘッドと、基板を保持するための接地された台座とを備える。
【0031】
様々な実施形態では、1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つは、基板を保持するための給電された台座と、接地されたシャワーヘッドとを備える。
【0032】
これらおよび他の態様は、図面を参照して以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】所定の開示の実施形態により実施される方法の動作を表すプロセスフロー図。
図1B】所定の開示の実施形態により実施される方法の動作を表すプロセスフロー図。
【0034】
図2】所定の開示の実施形態による方法における例示的な周期を示すタイミングシーケンス図。
【0035】
図3A】所定の開示の実施形態による方法の動作を表すプロセスフロー図。
図3B】所定の開示の実施形態による方法の動作を表すプロセスフロー図。
【0036】
図4】開示の実施形態を実施するための例示的な処理チャンバの概略図。
【0037】
図5】開示の実施形態を実施するための例示的な処理ツールの概略図。
【0038】
図6】様々なプラズマエネルギを用いて堆積されたシリコン酸化膜のウェットエッチング速度およびステップカバレッジを表すグラフ。
【0039】
図7】所定のプラズマ電力において様々な定数および交互変換時間の異なるプラズマ強化原子層堆積プロセスを用いて堆積されたシリコン酸化膜のウェットエッチング速度を比較するグラフ。
【0040】
図8】所定の開示の実施形態を用いて堆積されたフィーチャの底部、側面、および上部における膜のウェットエッチング速度を比較するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明では、提示の実施形態の十分な理解を提供するためにいくつかの特定の詳細が記載される。本開示の実施形態は、これら特定の詳細の一部または全てなしに実施されてよい。他の例では、本開示の実施形態を必要以上に分かりにくくしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。本開示の実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、それが本開示の実施形態を限定する意図はないことが理解されるだろう。
【0042】
半導体処理は、高アスペクト比形状を有するパターン化基板を含む、様々な基板で実施される。いくつかの処理動作は成膜に関し、これは様々な課題を提起する可能性がある。例えば、科学技術が進歩するにつれて、複雑な形状の上に高品質膜を堆積する技術は難しくなる。かかる形状に高品質膜を堆積する1つの特定技術は、原子層堆積(ALD)などの共形堆積を用いることである。ALDは、誘電体、金属、および他の膜を含む異なる種類の材料を堆積するのに用いることができる。ALDによって堆積できる特定の膜の一例は、シリコン酸化物である。
【0043】
シリコン酸化物は、本明細書ではALDによって堆積できる特定の種類の膜として説明されるが、他の種類の材料もALDを用いて堆積でき、シリコン酸化物は単なる例として提供されていることが理解されるだろう。
【0044】
ALDは、連続する自己抑制反応を用いて材料の薄膜を堆積する技術である。ALDプロセスは、表面媒介堆積反応を用いて、膜を周期的に一層ずつ堆積する。例として、ALD周期は、(i)前駆体の供給/吸着(「ドーズ」とも呼ばれる)動作、(ii)チャンバからの前駆体のパージ動作、(iii)第2反応物の供給および任意のプラズマ生成(「変換」とも呼ばれる)動作、ならびに(iv)チャンバからの副生成物のパージ動作を含んでよい。パージは、いくつかの場合では任意であってよい。また、ドーズは、必ずしも変換前に実施されなくてもよく、いくつかの場合では、第2反応物の供給は、前駆体の供給前に実施されてよい。本明細書における説明のために、ALD周期は、ドーズ、パージ、変換、およびパージを意味するが、他の変形が用いられてもよいことが理解されるだろう。
【0045】
第2反応物の供給時にプラズマが用いられる場合、このプロセスは、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)と呼ばれてよい。基板の表面に膜を形成するための第2反応物と吸着前駆体との間の反応は、膜の組成物および特性(応力、ウェットエッチング速度、ドライエッチング速度、電子特性(例えば、誘電率、耐圧、および漏れ電流)、不純物の取り込みなど)に影響する。また、堆積膜の不均一性が決定されてもよく、いくつかの場合では、不均一性の低下が望まれるだろう。
【0046】
ALDプロセスの特定の一例において、界面活性部位群を含む基板表面は、基板を収容するチャンバに提供されるドーズ量で、シリコン含有前駆体などの第1前駆体の気相分配に曝される。この第1前駆体の化学吸着種および/または物理吸着分子を含む第1前駆体の分子は、基板表面に吸着する。本明細書で説明されるように化合物が基板表面に吸着するときは、吸着層は、化合物だけでなくその誘導体も含んでよいことが理解されるだろう。例えば、シリコン含有前駆体の吸着層は、シリコン含有前駆体だけでなくその誘導体も含んでよい。第1前駆体のドーズ後、チャンバは、主に吸着種が残るように、または吸着種のみが残るように、気相で残った第1前駆体のほとんどまたは全てを除去するために排気されてよい。例えばチャンバは、気相の第1前駆体の分圧が反応を軽減するのに十分なほど低くなるように排気されてよい。いくつかの実施形態では、チャンバは完全には排気されなくてよい。酸素含有ガスなどの第2反応物は、これら第2反応物分子のいくらかが基板の表面に吸着した第1前駆体と反応するようにチャンバに導入される。いくつかのプロセスでは、第2反応物は、吸着した第1前駆体とすぐに反応する。いくつかの実施形態では、第2反応物は、プラズマなどの活性化源が印加された後にのみ反応する。かかるプラズマの曝露は、一時的に施されてよい。次にチャンバは、非結合の第2反応物分子を除去するために再排気されてよい。上記のように、いくつかの実施形態では、チャンバは完全には排気されなくてよい。上記の曝露は、時間的に区切られた曝露における各曝露に基板が曝される、一時的ALDプロセスの一部であってよい。膜に厚みをもたせるために、追加のALD周期が用いられてよい。
【0047】
本明細書の実施形態は、空間ALDプロセスにも関してよい。空間ALDでは、各曝露に用いられるガスは、処理チャンバの空間的に異なる位置、すなわち「ゾーン」に継続して流される。各ゾーンは、ガスの注入点を含む。例えば、1つのゾーンは第1前駆体を含んでよく、1つのゾーンは第1パージガスを含んでよく、1つのゾーンは第2反応物を含んでよく、第4ゾーンは第2パージガスを含んでよい。基板は、一時的ALDに関して上記された表面反応を実施するために、異なる曝露に基板表面を曝すようにゾーン間で循環される。つまり曝露は、時間的に区切られるのではなく、場所で区切られる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ALD法はプラズマ活性化を含む。本明細書で説明されるように、本明細書に記載のALD法およびその装置は、共形膜堆積(CFD)法であってよく、2011年4月11日出願の「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION」と題した米国特許出願第13/084,399号(現米国特許第8,728,956号)に概して記載されており、その全てが参照により本明細書に援用される。プラズマ活性化は、プラズマをin situで、またはチャンバ内で生成して、基板が収容されるチャンバ内で反応種を生成することにより、また、吸着前駆体の基板表面を反応種と接触させることにより、実施されてよい。いくつかの場合では、プラズマ活性化は、プラズマを遠隔領域または発生器で生成することにより実施されてよく、プラズマからの反応種は次に、吸着前駆体の表面を反応種と接触させるために基板を収容するチャンバに供給されてよい。様々な実施形態では、PEALDに適してよいプラズマ発生器は、容量結合プラズマ発生器である。様々な実施形態では、PEALDに適してよいプラズマ発生器は、誘導結合プラズマ発生器である。本明細書にはいくつかのALDおよびPEALDの実施形態が説明されるが、様々な開示の実施形態がALDプロセスまたはPEALDプロセスのいずれかに適用可能であってよいことが理解されるだろう。
【0049】
ALDは、高アスペクト比フィーチャに薄膜を共形に堆積するのに用いられてよいが、いくつかのALDプロセスは、各ALD周期の持続期間に起因するスループットの低下をもたらす可能性がある。よって、いくつかのプロセスは、大量生産で実施するにはコストがかかりすぎるかもしれない。
【0050】
変換動作では、膜の高密度化が生じる。ALDは1層ずつの成長プロセスであるため、各半反応(吸着および変換)は、所望の膜品質およびスループットを実現するように調整できる。しかし、所定のALDプロセスについては、スループットと所望の膜特性との間にトレードオフがある。長い変換時間は高品質の膜をもたらすが、全ALDサイクルタイムを引き延ばし、それによりスループットを低下させる可能性がある。同様に、スループットは、ALD周期の変換時間を短縮することにより向上されうるが、短い変換時間は低品質の膜をもたらす。
【0051】
大量の半導体膜を処理する間のスループットを増加させるために所定の技術が用いられてよいが、いくつかの技術は欠点がある。例えば、1つの技術は、スループットを増加させるために、サイクルタイムまたはALD周期ごとに用いられる時間を短縮することである。スループットを増加させるための既存の技術は、ALD周期ごとのドーズ動作、パージ動作、または変換動作を変更するが、周期ごとのこれらの動作の短縮は、堆積反応物の飽和に制限される可能性があり、ギャップ充填の適用における膜品質の低下、不具合問題および/または充填不足、ならびに高アスペクト比構造内にボイドの存在をもたらす可能性がある。その結果、いくつかの既存の技術は、高スループットで高品質膜の形成を実現できない。
【0052】
本明細書には、いくつかのALD周期では長い変換時間を用いながら、他のALD周期では短い変換時間を用いて全サイクルタイムを短縮することにより、高スループットで高品質の膜を堆積する技術が提供される。短い変換時間は、成膜に用いる平均サイクルタイムを短縮し、長い変換時間は、所定の所望特性を有する堆積膜をもたらす。つまり、短い変換時間を有するN周期のALD周期は、膜品質を犠牲にすることなく、または欠陥性能なしに、長い変換時間によること以外はM周期の同じALD周期で実施される。一般に、様々な実施形態では、MはNよりも小さい。
【0053】
本明細書で用いられる「変換時間」という用語は、吸着前駆体をシリコン酸化物などの膜材料に変換するために、吸着前駆体を第2反応物に曝露する期間を意味することが理解されるだろう。長い変換時間および短い変換時間は、本明細書で用いられる変換期間を意味する関連用語である。PEALDの実施形態について、長い変換時間および短い変換時間は、同じプラズマ電力で実施される変換である。つまり、N周期の短いALD変換時間周期と、M周期の長いALD変換時間周期とによるプロセスは、変換時に同じプラズマ電力を用いて実施される。ただ、プラズマ曝露の期間は、N周期とM周期との間で調整される。これらは、2つの別々の堆積反応物の曝露を含む2次周期の例であるが、所定の開示の実施形態は、3次周期および4次周期を含む他の種類の周期で実施できることが理解されるだろう。
【0054】
様々な実施形態では、長い変換時間は、短い変換時間よりも約1.5倍から約15倍長い。様々な実施形態では、長い変換時間は、短い変換時間よりも約1.5倍から約10倍長い。様々な実施形態では、長い変換時間は、短い変換時間よりも約1.5倍から約5倍長い。様々な実施形態では、長い変換時間は、短い変換時間よりも約1.5倍長い。
【0055】
いくつかの実施形態では、単一の長い変換時間ALD周期は、1から20以上の短い変換時間ALD周期ごとに用いられうる。いくつかの実施形態では、1回の長い変換時間ALD周期ごとに用いられてよい短い変換時間ALD周期の回数は、短い変換時間ALD周期によって堆積された膜厚と、短い変換時間および長い変換時間に用いられた持続期間とに依存する。つまり、1回の長い変換時間ALD周期ごとに実施される短い変換時間ALD周期の回数は、1回の長い変換時間ALD周期によって高密度化されうる、短い変換時間ALD周期によって堆積した膜の最大厚さによって規定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、特定の長い変換時間またはそれよりも長い変換時間では、このプロセスは、利点が減少する可能性がある。つまり、膜品質は、短い変換時間ALD周期のみの実施と比較して向上するかもしれないが、極端に長い変換時間ALD周期を用いることは、短い変換時間ALD周期の膜品質よりも高品質の膜を実現する一方で、プロセスタイムのより少ない短縮を示す可能性がある。
【0057】
いくつかの実施形態では、ブランケット膜について、特定の変換期間またはそれよりも長い変換期間では、ウェットエッチング速度の調整が見られない飽和点がありうる。いくつかの場合では、この飽和点は、特定のプロセス条件に基づいて、13.56MHzのRF発生器を備える4ステーションチャンバシステムについて0.75秒である。
【0058】
所定の開示の実施形態は、熱ALDプロセス、空間ALDプロセス、またはプラズマ強化ALDプロセスにおいて実施されてよい。いくつかの実施形態では、変換時間は、全てのALD周期の変換の間に同じプラズマ電力を維持しながら調整される。いくつかの実施形態では、変換時間は、所望の膜特性を実現するために、プラズマ電力および他のプロセス条件と共に調整される。
【0059】
所定の開示の実施形態は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、他の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、オキシカーバイドなどを含むがこれらに限定されない、様々な膜を堆積するのに用いることができる。
【0060】
変換時間の調整は、様々な種類の所望の膜特性を実現するために用いられうる。膜品質は、異なる基準を用いて決定されうる。シリコン酸化膜について、膜品質の基準の一例は、基板を例えば200:1の希フッ酸槽に180秒間浸漬することにより求めることができるウェットエッチング速度である。変換時間の増加は、表面反応が起こるのに十分な時間を与え、所望の反応生成物を生成し、堆積膜を高密度化する。その結果、堆積膜のウェットエッチング速度は減少する。数回の短い変換ALD周期ごとに1回だけでも長い変換ALD周期を有する効果は、スループットを大幅に向上させ、驚くほど優れた膜品質を実現する。実際に、短い変換時間よりも1.1倍長いだけの長い変換時間を用いることで、サイクルタイムを大幅に短縮しながら、驚くべき向上した膜品質の結果がもたらされる。
【0061】
高アスペクト比構造の側壁の膜品質(シリコンブランケットウエハまたは電界領域の膜品質とは異なってよい)の他の基準は、側壁の厚さ(ステップカバレッジ)または側壁のウェットエッチング速度である。ステップカバレッジは、トレンチの底部または側壁の異なる位置の堆積膜の平均厚さを、フィーチャまたはトレンチの上部の堆積膜の平均厚さと比較することにより算出されてよい。
【0062】
ステップカバレッジの一例は、側壁の堆積膜の平均厚さをフィーチャ上部の堆積膜の平均厚さで割り、その商に100を掛けてパーセンテージを得ることにより算出されてよい。パーセンテージが100%に近いほど、フィーチャ内部の膜はより高密度になる。側壁に沿う膜特性のステップカバレッジおよび均一性は、特に、堆積前駆体、反応物のイオンおよび/またはラジカル(プラズマと共に反応ガスを点火することにより生成されたイオンおよび/またはラジカルなど)、ならびに副生成物の移送に依存する。ALDプロセスの変換時間が増加するにつれて、ステップカバレッジは向上し、100%に近づく。いくつかの場合では、側壁のステップカバレッジは、膜品質の有効な基準であってよいが、いくつかの場合では、膜の品質または密度の変化を検出するために異なる方法が用いられてよい。かかる方法の1つは、パターン化ウエハまたはその小サンプルを希釈した酸性浴に浸漬し、エッチング量を測定することにより決定できる、側壁のウェットエッチング速度を求める工程に関する。所定の浸漬時間についてエッチング量が少ないほど、側壁膜の品質は良い。
【0063】
本明細書に記載の所定の開示の実施形態は、バッチプロセスにおいて数枚の基板にシリコン酸化膜を堆積するために全プロセス時間を短縮し、スループットを増加させる。本明細書におけるバッチプロセスは、1つ以上のステーションを備えてよい処理チャンバにおいて順次に複数の基板を処理することを意味してよく、各ステーションは、いくつかの実施形態では、1枚のウエハが各チャンバに対して搬入出され、ステーション間で循環されるように、様々な目的でウエハを処理するために用いられる。いくつかの開示の実施形態は、膜品質を犠牲にすることなく、プラズマ変換中に酸素とアルゴンとの混合物を用いるPEALDによって厚いシリコン酸化膜を堆積するのに適している。いくつかの開示の実施形態は、膜品質を犠牲にすることなく、プラズマ変換中に亜酸化窒素と、酸素と、アルゴンとの混合物を用いるPEALDによって厚いシリコン酸化膜を堆積するのに適している。
【0064】
所定の開示の実施形態を用いて堆積したシリコン酸化膜について、特定の論理に束縛されるものではないが、短い変換時間を用いて堆積したシリコン酸化膜は、吸着シリコン前駆体をシリコン酸化物に変換するための変換動作中に形成された堆積シリコン酸化物の各層において、結合を再結合させるための十分な時間がないため、低品質の膜をもたらすとされる。これに対して、長い変換時間は、所望のALD反応生成物を生成するために、表面反応が起こるのに十分な長い時間を与えるため、長い変換時間を用いて堆積されたときの膜はより高品質である。例えば、1つの特定の改善点は、高品質膜がエッチングされることなくより厳しいウェットエッチング速度条件に耐えうるように、200:1のフッ化水素酸におけるウェットエッチング速度の低減であってよい。
【0065】
PEALDの実施形態について、プラズマ変換時間は、周期ごとに調整されてよい。プラズマは、その特性が時間の関数になりうる反応種を生成するため、プラズマ変換時間の増加は、堆積した材料層に浸透し、結合を再結合して、または堆積材料の特性を変更して、堆積膜の特性を調整するのに十分な反応種を生成できる。いくつかの実施形態では、反応種の特性は、ブランケット膜におけるイオン浸透深さに関連してよい。いくつかの実施形態では、反応種の特性は、プラズマエネルギと関連してよい。つまり、例えば高プラズマエネルギは、高プラズマ密度を有する反応種をもたらしてよい。いくつかの実施形態では、長い期間と短い期間に同じプラズマ電力が用いられるが、期間の差により反応種は異なる反応を示してよい。
【0066】
熱ALDプロセスおよびプラズマ強化ALDプロセスの両方において、高アスペクト比フィーチャへの堆積については、長い持続期間は高アスペクト比フィーチャへの拡散増加をもたらし、それによりフィーチャのより深くまで高品質膜を堆積できる。
【0067】
本明細書では、「スーパーサイクル」は、1つ以上の長い変換時間ALD周期と1つ以上の短い変換ALD周期とを含むと説明される。スーパーサイクルは、所望の膜を堆積するために複数回繰り返されてよい。
【0068】
変換期間の調整は、所望品質の膜を改質するために用いられうる。変換期間調整の一例は、ALD周期ごとに短い変換期間と長い変換期間とを切り替えることである。長い変換期間ALDの周期は、各短い期間ALD周期の間に実施されてよい、または、短い期間ALD周期のn周期ごとに実施されてよい。変換期間調整の別の例は、スーパーサイクルで複数変換期間のALD周期を用いること、およびスーパーサイクルを繰り返すことである。例えばいくつかの実施形態では、「勾配」プロセスが用いられる。勾配は、周期ごとに用いられる変換期間の変化度を意味する。かかる例では、スーパーサイクルは3つ以上のALD周期を含み、各周期は、各々その前の周期よりも長くなる第1期間、第2期間、および第3期間を含む。例えばスーパーサイクルは、第1変換時間のALD周期を含み、次により長い第2変換時間のALD周期(第1変換時間の1.5倍の変換時間を有するALD周期など)が続き、さらに長い第3変換時間のALD周期(第2変換時間の1.5倍の変換時間を有するALD周期など)が続いてよい。所望の膜品質およびプロセスサイクルタイム許容差に応じて、様々な変換時間が様々な実施形態で用いられてよい。
【0069】
図1Aは、所定の開示の実施形態により実施される動作を表すプロセスフロー図である。図1Aの動作は、1つ以上のステーションを有する処理チャンバにおいて実施されてよい。様々な実施形態では、処理チャンバは、4つのステーションを有する。適したツールについては、以下の装置の段落でさらに説明される。
【0070】
図1Aの動作は、1mTorrから約10Torr、または1mTorrから500mTorr、または約1Torrから約10Torrのチャンバ圧で実施されてよい。図1Aの動作は、約-50℃から約900℃、または約100℃から約400℃、または約200℃から約300℃、または約400℃から550℃、または約400℃から約600℃、または約400℃から約700℃、または約400℃から約800℃の基板温度で実施されてよい。基板温度は、基板を保持する台座が設定される温度であり、それにより基板を所望の温度に加熱する温度として定義されることが理解されるだろう。
【0071】
動作132では、処理チャンバに基板が提供される。基板は、その上に堆積した誘電材料、導電材料、または半導電材料などの、1つ以上の材料層を有するウエハを含むシリコンウエハ(例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ)であってよい。下層の非限定的な例は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属層などの誘電層および導電層を含む。
【0072】
基板は、様々な実施形態においてパターン化されてよい。パターンは、ビア、ホール、トレンチを含みうる形状を含んでよい。かかるフィーチャは、高アスペクト比を有してよい。例えば、フィーチャのアスペクト比は、少なくとも約5:1、または少なくとも約10:1、または少なくとも約15:1、または少なくとも約170:1、または約10:1から約300:1(例えば、約180:1)であってよい。フィーチャのフィーチャ開口は、様々な実施形態において約10nmから約10μm、または約100nmから約10μm、または約10nm未満であってよい。
【0073】
動作133において、基板は、基板の表面に前駆体を吸着させて前駆体の吸着層を形成するのに十分な期間にわたって、前駆体に曝される。
【0074】
前駆体を吸着させるのに十分な期間は、用いられる前駆体および前駆体の分圧に依存する。前駆体を吸着させるのに十分な期間に関係しうる他のプロセス条件は、基板温度、チャンバ圧、チャンバ内の他のガスの有無、前駆体流量、選択する前駆体、基板の界面化学物質、および基板の表面形状を含むが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、所定の開示の実施形態は、ドーズ、パージ、圧力、RF電力および/またはRFエネルギの非限定的な動作のALD周期において、短い期間と長い期間とを交互に行うことを含んでよい。所定の開示の実施形態では、短い変換期間と長い変換期間とを交互に行うことは、他のALD周期動作と組み合わせて、または他のALD周期動作を調整することなしに実施されて、長い変換時間のみを用いて堆積した膜と一致する特性などの所望の膜特性を得ながら、全サイクルタイムを短縮し、スループットを向上させてよい。
【0076】
様々な実施形態では、前駆体は、アルゴンなどの不活性ガスであってよいキャリアガスを用いて、基板を収容する処理チャンバに供給されてよい。いくつかの実施形態では、キャリアガスは、チャンバに流れる前に分流される。
【0077】
動作134では、処理チャンバは、必要に応じてパージされる。基板を収容する処理チャンバは、基板表面に吸着していない前駆体を除去するためにパージされてよい。チャンバのパージは、パージガスまたはスイープガスを流すことを含んでよく、それらのガスは、他の動作で用いられるキャリアガスであってよい、または異なるガスであってよい。パージガスの例は、アルゴン、窒素、水素、およびヘリウムを含む。様々な実施形態では、パージガスは不活性ガスである。不活性ガスの例は、アルゴン、窒素、およびヘリウムを含む。いくつかの実施形態では、パージはチャンバを排気することを含んでよい。いくつかの実施形態では、パージガスは、チャンバに前駆体を供給するのに用いられるキャリアガスと同じである。いくつかの実施形態では、動作104は、処理チャンバを排気するための1つ以上の排気下位段階を含んでよい。あるいは動作104は、いくつかの実施形態では省略されてよいことが分かるだろう。動作104は、約0.1秒から約2秒などの任意の適した期間であってよい。
【0078】
動作135では、吸着前駆体を膜に変換するため、基板は短い変換時間を用いて第2反応物に曝される。いくつかの実施形態では、動作135の間に必要に応じてプラズマが生成される。様々な実施形態では、短い変換時間は、約0.05秒から約0.3秒である。
【0079】
PEALDの場合、反応種は、酸素含有ガスまたは酸化剤などの第2反応物を活性化して、第1前駆体の吸着層と反応するイオン、ラジカル、および他の活性種に変換するために提供される。例えばプラズマは、酸素含有気相分子を直接的にまたは間接的に活性化して、酸素ラジカルまたは酸素イオンを形成してよい。
【0080】
反応種は、高周波プラズマがオンされる期間(RF時間)および高周波プラズマ電力(RF電力)によって決定されうる特定のプラズマエネルギを有してよい。プラズマ電力は、4ステーションツールについて約500Wから約6500Wであってよい。つまり、基板あたりのプラズマ電力は、約125Wから約1625Wであってよい。
【0081】
動作135では、基板は、特定のプラズマ電力に短期間曝される。プラズマ電力は、ツールの制限およびスパッタリングのリスクに依存しうる。一例では、13.56MHzの発生器によって2000Wを0.15秒間印加することにより、300Jもの低い安定したプラズマエネルギが生成される。低エネルギプラズマのRF時間は、RF発生器に依存し、用いられるRF電力にも依存するため、これらのパラメータに基づいて範囲は変化する。
【0082】
堆積中にチャンバ内に存在する反応種の量は、プラズマ電力またはプラズマ時間を変更することにより調整されてもよい。しかし、PEALD周期が周期ごとに変調される、本明細書に記載の様々な実施形態では、反応種の量は、スループットを最大にするため、RF発生器によって可能になる同じ最大RF電力を維持しながら、RF時間のみを変更することにより調整されてよい。
【0083】
様々な実施形態では、プラズマは、チャンバ内の基板表面の直上で形成されるようにin-situプラズマである。ALDプロセス用のプラズマは、2つの容量結合板を用いてガスに高周波(RF)電界を印加することにより生成されてよい。プラズマは、反応種を生成する。反応種は、電子、イオン、ラジカル、および中性種を含んでよい。RF電界による板間のガスのイオン化は、プラズマを点火し、プラズマ放電領域に自由電子を形成する。これらの電子はRF電界によって加速され、気相反応分子と衝突してよい。これらの電子の反応分子との衝突は、堆積プロセスに関与するラジカル種を形成してよい。RF電界は、任意の適した電子によって結合されてよいことが分かるだろう。様々な実施形態では、少なくとも約13.56MHz、または少なくとも約27MHz、または少なくとも約40MHz、または少なくとも約60MHzの周波数を有する高周波プラズマが用いられる。いくつかの実施形態では、マイクロ波系プラズマが用いられてよい。電極の非限定的な例は、処理ガス分配シャワーヘッドおよび基板支持台座を含む。様々な実施形態では、台座は給電された台座であり、チャンバは接地されたシャワーヘッドを備える。いくつかの実施形態では、台座が接地され、シャワーヘッドが給電される。ALDプロセス用のプラズマは、RF電界のガスへの容量結合以外の1つ以上の適した方法で形成されてよいことが分かるだろう。いくつかの実施形態では、プラズマは、第2反応物がチャンバ上流のリモートプラズマ発生器で点火され、次に基板が収容されているチャンバに供給されるように、リモートプラズマである。
【0084】
いくつかの実施形態では、プラズマは用いられず、代わりに、変換中に第2反応物への曝露期間が周期ごとに調整されるように熱ALDが実施される。
【0085】
いくつかの実施形態では、動作135は、変換時間の代わりに、または変換時間に加えて処理チャンバを調整することにより実施されてよい。つまりいくつかの実施形態では、動作135の間は低圧が用いられるが、以下にさらに説明される動作145の間は高圧が用いられる。動作135の間に用いられる低圧は、約1Torrから約5Torrの処理チャンバ圧であってよい。いくつかの実施形態では、圧力は、用いられるツールに応じて、ミリトールの範囲であってよい。例えばいくつかの実施形態では、ICPプラズマ処理チャンバは、約1mTorrのチャンバ圧に設定されてよい。
【0086】
動作136では、前駆体と第2反応物との間の反応による余剰副生成物を除去するために、処理チャンバは必要に応じて再パージされる。動作106のプロセス条件は、動作104に関して上記されたプロセス条件のいずれかであってよい。いくつかの実施形態では、チャンバは、約5slmから約70slmの流量で流れる不活性ガスを用いてパージされる。
【0087】
動作133および136は、必要に応じて複数回繰り返されてよく、各回は、短い変換ALDの1周期を構成する。ウェットエッチング速度の低下などの所望の膜特性は、以下にさらに説明されるように動作113から116に従って実現される。
【0088】
動作133~136を繰り返す1回以上の周期の後に、動作143~146が実施されてよい。図1では、動作133~136が動作143~146よりも前に起こるように示されているが、当業者は、動作143~146が動作103~106より前に実施されてもよく、動作133~136および動作143~146の任意の組み合わせが任意の順序で実施されてよいことを理解するだろう。
【0089】
動作143では、基板表面に前駆体を吸着させるために基板が前駆体に曝される。この動作は、上記の動作133と同じであってよい。動作144では、処理チャンバが必要に応じてパージされる。この動作は、上記の動作134と同じであってよい。動作145では、基板は、動作135の期間よりも長い期間にわたり第2反応物に曝される。
【0090】
特定の理論に束縛されるものではないが、PEALDの実施形態について、長い変換動作は、既に堆積した膜の実質深さにおいて結合を安定させるのに役立つ、または、架橋を増加させるのに役立つエネルギを提供することにより、表面の膜品質を向上させる反応種(例えば、イオンまたはラジカル)をもたらすとされる。イオンが反応種である場合、イオンの浸透深さはイオンの大きさに依存する。つまり、より重いイオンは、より深く浸透できてよい。
【0091】
長い変換時間周期が実施される頻度は、短い変換時間のALD周期によって堆積した低品質膜の堆積した膜品質、および短い変換時間の相対的な持続期間によって決定される。
【0092】
PEALDの実施形態について、RF時間の増加は、動作135で用いられたのと同じRF電力を用いて実施されてよい。いくつかの実施形態では、これにより、4枚の基板について約600Jから約6000Jの範囲、または約1500Jでありうる高プラズマエネルギがもたらされてよい。いくつかの場合では、基板は、2000WのRF電力を用いて、0.3秒から3秒の長い変換期間に反応種に曝される。様々な実施形態では、基板あたりの高プラズマエネルギは、約150Jから約1500Jである。高プラズマエネルギは、RF時間およびRF電力についてのツールの制限だけでなく、工業的に適用可能なスループットを確保するためのRF時間によっても制限されてよい。
【0093】
上記動作135のように、いくつかの実施形態では、動作145は、変換時間に代えて、または変換時間に加えて、処理チャンバを調整することにより実施されてよい。つまりいくつかの実施形態では、以下にさらに説明されるように、動作145の間に高圧力が用いられるが、動作135の間は低圧力が用いられる。動作145の間に用いられる高圧力は、約10Torrから約15Torrの処理チャンバ圧であってよい。特定の論理に束縛されるものではないが、高圧力は、ラジカルの密度を高めるが、イオンエネルギを低減するとされる。よって、低圧ALD周期と高圧ALD周期、または低圧PEALD周期と高圧PEALD周期とを交互に行うことで、ウェットエッチング速度の低下などの特定の所望特性を有する膜がもたらされうる。一連の低圧ALD周期において高圧ALD周期を実施する周波数は、高圧条件または低圧条件で用いられる層の数に依存する。特定の一例では、高圧ALD周期は、1~20回の低圧ALD周期ごとに実施されてよい。
【0094】
動作146では、処理チャンバは、動作134に関して上記されたのと同じプロセス条件および/または化学物質を用いて、必要に応じて再パージされてよい。
【0095】
動作143~146は、複数周期の長い変換時間ALDにおいて繰り返されてよい。短い変換時間ALDのN周期ごとに用いられる長い変換時間周期の回数(M回の周期)は、短い変換時間ALDが用いられる周期数に依存する(Nは1以上の整数)。また、繰り返される長い変換時間ALDの各周期で用いられる変換期間は、周期ごとに異なってよい。例えば、スーパーサイクルは、N回の短い変換ALD周期を含み、次に短い変換期間の1.1倍である長い変換ALD周期が1回続き、次にN回の短い変換ALD周期が続き、さらに、短い変換期間の5倍である長い変換ALD周期が1回続いてよい。
【0096】
図1Bは、所定の開示の実施形態により交互変換時間のPEALDによってシリコン酸化物を堆積するために実施される例示的な動作を表すプロセスフロー図である。図1Bの動作は、1つ以上のステーションを有する処理チャンバで実施されてよい。様々な実施形態では、処理チャンバは4つのステーションを有する。適したツールについては、以下の装置の段落でさらに説明される。
【0097】
図1Bの動作は、約1Torrから約10Torrのチャンバ圧で実施されてよい。図1Bの動作は、約-50℃から約900℃、または約100℃から約400℃、または約200℃から約300℃の基板温度で実施されてよい。
【0098】
動作102では、処理チャンバに基板が提供される。基板は、図1Aに関して上記された基板のいずれかであってよい。
【0099】
動作103では、基板は、その表面にシリコン含有前駆体を吸着させるのに十分な期間にわたり前駆体に曝されて、シリコン含有前駆体の吸着層が形成される。
【0100】
開示の実施形態による使用に適したシリコン含有前駆体は、ポリシラン(H3Si-(SiH2n-SiH3)を含む(n≧0)。シラン類の例は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、および有機シラン(メチルシラン、エチルシラン、イソプロピルシラン、t-ブチルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジ-t-ブチルジシラン、アリルシラン、sec-ブチルシラン、テキシルシラン、イソアミルシラン、t-ブチルジシラン、ジ-t-ブチルジシランなど)である。
【0101】
ハロシランは、少なくとも1つのハロゲン基を含み、水素基および/もしくは炭素基を含んでよい、または含まなくてよい。ハロシラン類の例は、ヨードシラン、ブロモシラン、クロロシラン、およびフルオロシランである。ハロシラン(特に、フルオロシラン)は、プラズマが発生したときにシリコン材料をエッチングできる反応性ハロゲン化物種を形成できるが、いくつかの実施形態では、プラズマが発生したときにチャンバに導入されなくてよいため、ハロシランからの反応性ハロゲン化物種の形成は緩和されてよい。特定のクロロシラン類は、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、クロロアリルシラン、クロロメチルシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、クロロエチルシラン、t-ブチルクロロシラン、ジ-t-ブチルクロロシラン、クロロイソプロピルシラン、クロロ-sec-ブチルシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、テキシルジメチルクロロシランなどである。
【0102】
アミノシランは、ケイ素原子に結合した少なくとも1つの窒素原子を含むが、水素、酸素、ハロゲン、および炭素を含んでもよい。アミノシラン類の例は、モノアミノシラン、ジアミノシラン、トリアミノシラン、およびテトラアミノシラン(それぞれ、H3Si(NH2)、H2Si(NH22、HSi(NH23、およびSi(NH24)、ならびに、置換モノアミノシラン、置換ジアミノシラン、置換トリアミノシラン、および置換テトラアミノシラン(例えば、t-ブチルアミノシラン、メチルアミノシラン、tert-ブチルシランアミン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン(SiH2(NHC(CH332(BTBAS)、tert-ブチルシリルカルバメート、SiH(CH3)-(N(CH322、SiHCl-(N(CH322、(Si(CH32NH)3、など)である。アミノシランのさらなる例は、トリシリルアミン(N(SiH3))である。
【0103】
様々な実施形態では、シリコン前駆体はジ-イソプロピルアミノシラン(DIPAS)である。
【0104】
動作104では、処理チャンバは必要に応じてパージされる。パージは、図1Aの動作134に関して上記された化学物質およびプロセス条件のいずれかを用いて実施されてよい。
【0105】
動作105では、基板は、吸着したシリコン前駆体をシリコン酸化物に変換するために、短い変換時間で不活性ガスと共に酸素含有プラズマに曝される。短い変換に用いられる特定の変換時間は、堆積される膜の種類、用いられる化学物質、ならびに温度および圧力などのプロセス条件に依存する。短い変換時間は、いくつかの実施形態では約0.05秒から0.3秒であってよい。
【0106】
酸素含有プラズマは、酸化剤を導入してプラズマを点火することにより生成されてよい。プラズマは、in situで、またはリモート発生器で生成されてよい。酸素含有プラズマ中の反応種は、基板表面に供給されて、基板表面に吸着したシリコン含有前駆体と反応することにより、シリコン酸化物が形成される。酸化剤の例は、酸素ガス、水、二酸化炭素、亜酸化窒素、過酸化水素、およびこれらの組み合わせを含む。様々な実施形態では、基板は、プラズマが発生している間に、酸化剤と不活性ガスとに同時に曝される。例えば一実施形態では、プラズマが発生している間に、酸素とアルゴンとの混合物が基板に導入される。
【0107】
所定のPEALDの実施形態について、動作105で用いられる低プラズマエネルギは、いくつかの実施形態では、約200Jから約500J、または約300Jであってよい。
【0108】
動作106では、シリコン前駆体と酸素含有プラズマとの間の反応からの余剰副生成物を除去するために、処理チャンバは必要に応じて再パージされる。パージ中に用いられるプロセス条件および化学物質は、図1Aの動作134に関して上記されたいずれかのプロセス条件および化学物質であってよい。
【0109】
動作103および106は、必要に応じて複数回繰り返されてよく、各回は、短い変換PEALDの1周期を構成する。かかる層は、低密度でありうる層を含む低品質のシリコン酸化膜をもたらす可能性があり、よってこの層単体は、高いウェットエッチング速度を有しうる。しかし、これらの短い変換PEALD周期は、短いサイクルタイムを有し、スループットを増加させる。
【0110】
動作103~106を繰り返す周期を1回以上行った後、動作113~116が実施されてよい。図1では、動作103~106が動作113~116の前に起こるように示されているが、当業者は、動作113~116が動作103~106より前に実施されてもよく、動作103~106および動作113~116の実施の組み合わせは、任意の順序で行われてよいことを理解するだろうことが理解されるだろう。
【0111】
動作113では、基板は、基板表面に前駆体を吸着するために前駆体に曝される。この動作は、上記の動作103と同じであってよい。動作114では、処理チャンバは必要に応じてパージされる。この動作は、上記の動作104と同じであってよい。動作115では、基板は、長い変換期間にわたり不活性ガスと共に酸素含有プラズマに曝されて、シリコン酸化膜の全体的な品質を向上させながら、吸着シリコン前駆体がシリコン酸化物に変換される。いくつかの実施形態では、1500JのPEALDの1周期が300JのPEALDの10周期ごとに実施されて、1500JのPEALD周期のみを用いて堆積された膜のウェットエッチング速度品質と同様のウェットエッチング速度品質を有する膜をもたらすように、300Jで約10周期の低プラズマエネルギPEALDを用いて堆積されたシリコン酸化物の10の層に浸透するために、1500Jのプラズマエネルギが用いられる。
【0112】
高プラズマエネルギは、4枚の基板に対して約600Jから約6000J、または約1500Jであってよい。これは、2000WのRF電力について0.3秒から3秒のRF時間範囲になる。様々な実施形態では、基板あたりの高プラズマエネルギは、約150Jから約1500Jである。
【0113】
いくつかの場合では、長い変換期間は、短い変換期間よりも変換期間が約1.1倍から約15倍長くなるように用いられる。
【0114】
動作116では、処理チャンバは、動作104に関して上記されたのと同じプロセス条件および/または化学物質を用いて、必要に応じて再パージされてよい。
【0115】
動作113~116は、複数周期の長い変換工程ALDにおいて繰り返されてよい。用いられるM回の長い変換時間周期、および長い変換時間周期を実施するための周波数は、短い変換ALDが用いられる周期数に依存してよい(Mは1以上の整数)。また、長い変換ALDの各繰り返し周期で用いられる変換期間は、周期ごとに異なってよい。
【0116】
図2は、所定の開示の実施形態による方法において、2つのスーパーサイクル290Aおよび290Bを有するプロセス200の例を示すタイミングシーケンス図を示す。スーパーサイクル290Aは、1回の短い変換周期230Aおよび1回の長い変換周期240Aを含み、スーパーサイクル290Bは、1回の短い変換周期230Bおよび1回の長い変換周期240Bを含む。この例では、1つの短い変換周期および1回の長い変換周期を有するスーパーサイクルが繰り返される。しかし当業者は、1回のスーパーサイクルにおいて1回以上の短い変換周期または長い変換周期が用いられてよく、さらに、1種類以上の変換期間周期(例えば、特定の非限定的な一例として、1回以上の短い変換周期、および1回以上の中間変換周期、および1回以上の長い変換周期)が用いられうることを理解するだろう。
【0117】
この特定のPEALDの例では、短い変換周期230Aは、シリコン前駆体曝露段階203A、パージ段階204A、短い変換段階205A、およびパージ段階206A、の4段階を含む。シリコン前駆体曝露段階203Aの間、シリコン前駆体流はオンされ、アルゴン流はキャリアガスとしてオンされ、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。シリコン前駆体曝露段階203Aは、図1Bの動作103に相当してよい。
【0118】
パージ段階204Aの間、シリコン前駆体流はオフされ、アルコン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフのままで、プラズマ電力は0Wのままである。パージ段階204Aは、図1Bの動作104に相当してよい。
【0119】
短い変換段階205Aの間、シリコン前駆体流はオフのままで、酸素流はオンされ、アルゴン流はオンのままで、プラズマ電力は特定のプラズマ電力にオンされる。短い変換段階205Aは、図1Bの動作105に相当してよい。
【0120】
パージ段階206Aの間、シリコン前駆体流はオフのままで、アルゴン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。パージ段階206Aは、図1Bの動作106に相当してよい。
【0121】
長い変換周期240Aは、シリコン前駆体曝露段階213A、パージ段階214A、長い変換プラズマ段階215A、およびパージ段階216A、の4段階を含む。シリコン前駆体曝露段階213Aの間、シリコン前駆体流はオンされ、アルゴン流はキャリアガスとしてオンされ、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。シリコン前駆体曝露段階213Aは、図1Bの動作113に相当してよい。
【0122】
パージ段階214Aの間、シリコン前駆体流はオフされ、アルコン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフのままで、プラズマ電力は0Wのままである。パージ段階214Aは、図1Bの動作114に相当してよい。
【0123】
長い変換プラズマ段階215Aの間、シリコン前駆体流はオフのままで、酸素流はオンされ、アルゴン流はオンのままで、プラズマ電力は、この例では短い変換段階205Aのプラズマ電力と同じである特定のプラズマ電力にオンされるが、プラズマがオンされている時間は、長い変換プラズマに相当するようにより長い。長い変換プラズマ段階215Aは、図1Bの動作115に相当してよい。
【0124】
パージ段階216Aの間、シリコン前駆体流はオフのままで、アルゴン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。パージ段階216Aは、図1Bの動作116に相当してよい。
【0125】
短い変換周期230Aおよび長い変換周期240Aは、短い変換周期230Bおよび長い変換周期240Bを含む第2スーパーサイクル290Bにおいて繰り返される。
【0126】
短い変換周期230Bは、シリコン前駆体曝露段階203B、パージ段階204B、短い変換プラズマ段階205B、およびパージ段階206B、の4段階を含む。シリコン前駆体曝露段階203Bの間、シリコン前駆体流はオンされ、アルゴン流はキャリアガスとしてオンされ、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。シリコン前駆体曝露段階203Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作103に相当してよい。
【0127】
パージ段階204Bの間、シリコン前駆体流はオフされ、アルコン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフのままで、プラズマ電力は0Wのままである。パージ段階204Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作104に相当してよい。
【0128】
短い変換プラズマ段階205Bの間、シリコン前駆体流はオフのままで、酸素流はオンされ、アルゴン流はオンのままで、プラズマ電力は特定のプラズマ電力にオンされる。短い変換プラズマ段階205Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作105に相当してよい。
【0129】
パージ段階206Bの間、シリコン前駆体流はオフのままで、アルゴン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。パージ段階206Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作106に相当してよい。
【0130】
長い変換周期240Bは、シリコン前駆体曝露段階213B、パージ段階214B、長い変換プラズマ段階215B、およびパージ段階216B、の4段階を含む。シリコン前駆体曝露段階213Bの間、シリコン前駆体流はオンされ、アルゴン流はキャリアガスとしてオンされ、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。シリコン前駆体曝露段階213Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作113に相当してよい。
【0131】
パージ段階214Bの間、シリコン前駆体流はオフされ、アルコン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフのままで、プラズマ電力は0Wのままである。パージ段階214Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作114に相当してよい。
【0132】
長い変換プラズマ段階215Bの間、シリコン前駆体流はオフのままで、酸素流はオンされ、アルゴン流はオンのままで、プラズマ電力は、この例では短い変換プラズマ段階205Bのプラズマ電力と同じである特定のプラズマ電力にオンされるが、プラズマがオンされている時間は、長い変換プラズマに相当するようにより長い。長い変換プラズマ段階215Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作115に相当してよい。
【0133】
パージ段階216Bの間、シリコン前駆体流はオフのままで、アルゴン流はチャンバをパージするために流れ続け、酸素流はオフされ、プラズマ電力は0Wである。パージ段階216Bは、図1Bの動作103~116の繰り返しにおいて実施される動作116に相当してよい。
【0134】
図3Aおよび3Bは、所定の開示の実施形態による方法の動作を表すプロセスフロー図である。図3Aは、変換中に異なる変換期間を用いて複数のシリコン酸化層が堆積されて、所定の所望特性を有する全シリコン酸化層が形成される、所定の開示の実施形態の変形例を示す。この特定の例では、「勾配」プラズマ電力構成が用いられる。動作302では、処理チャンバに基板が提供される。この動作は、図1Bに関して上記された動作102と同じであってよい。
【0135】
動作330では、図1Bの動作103~116に相当し、変換時に約0.15秒などの短い変換を用いてよい短い変換PEALDによって、1つ以上のシリコン酸化層が堆積される。
【0136】
動作340では、シリコン前駆体の導入、任意のパージ、酸素およびアルゴンの導入、例えば約0.45秒間のプラズマの点火、ならびに、任意のパージを含んでよい中間変換時間PEALDによって、1つ以上のシリコン酸化層が必要に応じて堆積される。
【0137】
動作350では、図1Bの動作113~116に相当し、変換時に約0.75秒などの長い変換を用いてよい長い変換PEALDによって、1つ以上のシリコン酸化層が堆積される。
【0138】
これは、本明細書では、スーパーサイクルにおいて増加する変換時間を示す特定の例のように、0.15秒、0.45秒、および0.75秒と増加する変換時間から、「勾配」構成と呼ばれる。その後に、動作330~350が所望通り複数周期で繰り返されてよい。
【0139】
図3Bは、短い変換PEALD周期のn周期ごとに長い変換PEALD周期が実施される、さらに別の実施形態を示す(nは1以上の整数)。
【0140】
動作302は、図3Aの動作302と一致する。動作330は、図3Aの動作330と一致する。動作360では、短い変換PEALDのn周期ごとの長い変換PEALDによって、1つ以上のシリコン酸化層が堆積される。1つのスーパーサイクルは、複数回繰り返されるように、N周期の短い変換PEALDおよびM周期の長い変換PEALDの両方を含んでよい(NおよびMは各々、1以上の整数)。さらに、NおよびMは、異なる整数または同じ整数でありうる。動作330および360は、その後周期的に繰り返されてよい。
【0141】
本明細書に記載の交互変換時間ALD技術を用いて堆積されたシリコン酸化膜は、180秒間に200:1のフッ化水素酸において約1Å/分未満、または約0.5~約0.6Å/分のウェットエッチング速度を実現してよい。
【0142】
本明細書ではシリコン酸化膜について説明されているが、所定の開示の実施形態の適用は、シリコン窒化物、シリコン炭化物、シリコン酸窒化物、シリコン炭窒化物、シリコンオキシカーバイド、およびポリシリコンを含むがこれらに限定されない、他のシリコン含有膜の堆積に適用可能であってよいことが理解されるだろう。
【0143】
本明細書においてPEALDは例として説明されているが、所定の開示の実施形態は、熱ALDおよび空間ALDを含む任意のALD技術に適用でき、また、本明細書において変換時間が説明されているが、ドーズ、パージ、RF電力、および/または圧力も調整可能である。

装置
【0144】
図4は、低圧環境を維持するための処理チャンバ本体402を有する原子層堆積(ALD)処理ステーション400の実施形態の概略図を表す。一般的な低圧処理ツール環境には、複数のALD処理ステーション400が含まれてよい。例えば、図5は、マルチステーション処理ツール500の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、以下に詳しく説明されるハードウェアパラメータを含むALD処理ステーション400の1つ以上のハードウェアパラメータは、1つ以上のコントローラ450によってプログラムで調節されてよい。
【0145】
ALD処理ステーション400は、シャワーヘッド406に処理ガスを供給するための反応物供給システム401aと流体連通する。反応物供給システム401aは、シリコン前駆体ガスなどの処理ガス、または第2反応ガス(例えば、酸素およびアルゴン)をシャワーヘッド406に供給するために混合および/または調整するための混合容器404を備える。1つ以上の混合容器入口弁420は、混合容器404への処理ガスの導入を制御してよい。アルゴンプラズマは、同様にシャワーヘッド406に供給されてよい、または、ALD処理ステーション400において生成されてよい。
【0146】
例として、図4の実施形態は、混合容器404に供給される液体反応物を蒸発させるための蒸発点403を含む。いくつかの実施形態では、蒸発点403は、加熱気化器であってよい。かかる気化器で生成された飽和反応物蒸気は、下流の供給配管において凝縮する可能性がある。凝縮した反応物への非親和性ガスの曝露は、小粒子を生成するかもしれない。これらの小粒子は、配管を詰まらせ、弁動作を妨げ、基板を汚染するだろう。これらの問題に対処するためのいくつかの手法は、残留反応物を除去するための供給配管のパージおよび/または排気を含む。しかし、供給配管をパージすることは、処理ステーションのサイクルタイムを増加させ、処理ステーションのスループットを低下させる可能性がある。よっていくつかの実施形態では、蒸発点403の下流の供給配管は、ヒートトレースされてよい。いくつかの例では、混合容器404もヒートトレースされてよい。非限定的な一例では、蒸発点403の下流の配管は、混合容器404において約100℃から約150℃に至る温度プロファイルの増加を有する。
【0147】
いくつかの実施形態では、液体前駆体または液体反応物は、液体注入器において蒸発してよい。例えば液体注入器は、混合容器の上流のキャリアガス流に液体反応物のパルスを注入してよい。一実施形態では、液体注入器は、液体を高圧から低圧に勢いよく流すことにより反応物を蒸発させてよい。別の例では、液体注入器は液体を分散微液滴に霧化してよく、分散微液滴はその後、加熱供給配管で蒸発する。小さい液滴は大きい液滴よりも速く蒸発し、液体注入と完全気化との間の遅延を低減してよい。蒸発がより速くなることで、蒸発点403から下流の配管の長さが短縮されてよい。ある状況では、液体注入器は、混合容器404に直接取り付けられてよい。別の状況では、液体注入器は、シャワーヘッド406に直接取り付けられてよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、蒸発のための液体の質量流量およびALD処理ステーション400への供給を制御するために、蒸発点403の上流に液体流量コントローラ(LFC)が設けられてよい。例えばLFCは、その下流に設置された熱式質量流量計(MFM)を備えてよい。次に、MFMと電気連通する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して、LFCのプランジャ弁が調節されてよい。しかし、フィードバック制御を用いて液体流を安定させるのに1秒以上かかる可能性がある。これにより、液体反応物をドーズする時間が引き延ばされるかもしれない。よっていくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてよい。これは、いくつかの実施形態では、LFCのセンスチューブおよびPIDコントローラを停止することにより実施されてよい。
【0149】
シャワーヘッド406は、基板412に向けて処理ガスを分配する。図4に示された実施形態では、基板412はシャワーヘッド406の下に設置され、台座408に載っていることが示されている。シャワーヘッド406は、任意の適した形状を有してよく、基板412に処理ガスを分配するための任意の適した数および配置のポートを有してよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、台座408は、基板412とシャワーヘッド406との間の空間に基板412を曝すように上下されてよい。いくつかの実施形態では、台座の高さは、コントローラ450によってプログラムで調節されてよいことが分かるだろう。
【0151】
別の状況では、プラズマが点火される実施形態において、台座408の高さを調節することは、プロセスのプラズマ活性化周期中におけるプラズマ密度の変更を可能にしてよい。処理段階の終わりに、台座408から基板412が取り外せるように、台座408は別の基板の搬送段階時に下降されてよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、台座408は、ヒータ410によって温度制御されてよい。いくつかの実施形態では、台座408は、開示の実施形態で説明されたように、シリコン窒化膜の堆積中に少なくとも約250℃の温度、またはいくつかの実施形態では、少なくとも約300℃未満(約250℃など)の温度に加熱されてよい。いくつかの実施形態では、台座は、約-50℃から約900℃の温度、または約50℃から約300℃の温度(約200℃から約275℃の温度など)に設定される。いくつかの実施形態では、台座は、約50℃から約300℃の温度に設定される。いくつかの実施形態では、台座は、約200℃から約275℃の温度に設定される。
【0153】
さらにいくつかの実施形態では、ALD処理ステーション400の圧力制御は、バタフライ弁418によって提供されてよい。図4の実施形態に示されるように、バタフライ弁418は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を調整する。しかし、いくつかの実施形態では、ALD処理ステーション400の圧力制御は、ALD処理ステーション400に導入される1つ以上のガスの流量を変更することによって調節されてもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、基板412とシャワーヘッド406との間の空間を変更するために、台座408に対するシャワーヘッド406の位置が調節されてよい。さらに、台座408および/またはシャワーヘッド406の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適した機構によって変更されてよいことが分かるだろう。いくつかの実施形態では、台座408は、基板412の配向を回転させるための回転軸を備えてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のこれらの例示的な調節は、1つ以上のコントローラ450によってプログラムで実施されてよい。
【0155】
プラズマが上述のように用いられうるいくつかの実施形態では、シャワーヘッド406および台座408は、プラズマに給電するために高周波(RF)電源414および整合ネットワーク416と電気連通する。様々な実施形態では、台座は給電された台座であり、チャンバは接地されたシャワーヘッドを備える。いくつかの実施形態では、台座が接地され、シャワーヘッドが給電される。短い変換時間および長い変換時間の変換中に用いられるプラズマ持続期間は、コントローラ450を用いて制御されてよい。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギは、プラズマ電力および変換期間の組み合わせを用いて調整される。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギは、処理ステーション圧、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスのタイミングのうちの1つ以上を制御することにより制御されてよい。例えば、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを形成するために、RF電源414および整合ネットワーク416が任意の適した電力で操作されてよい。適した電力の例は、上記に含まれる。同様に、RF電源414は、任意の適した周波数のRF電力を提供してよい。いくつかの実施形態では、RF電源414は、互いに独立して高低周波数RF電源を制御するように構成されてよい。低周波RF周波数の例は、0kHzから500kHzの周波数を含んでよいが、これらに限定されない。高周波RF周波数の例は、1.8MHzから2.45GHz、または約13.56MHzよりも大きい、または27MHzよりも大きい、または40MHzよりも大きい、または60MHzよりも大きい周波数を含んでよいが、これらに限定されない。表面反応を始めるために、任意の適したパラメータが個々にまたは連続的に調整されてよいことが分かるだろう。
【0156】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つ以上のプラズマモニタによってin-situで監視されてよい。ある状況では、プラズマ電力は、1つ以上の電圧電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視されてよい。別の状況では、プラズマ密度および/または処理ガス濃度は、1つ以上の発光分光分析センサ(OES)によって測定されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のプラズマパラメータは、かかるin-situプラズマモニタからの測定値に基づいてプログラムで調節されてよい。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためにフィードバックループにおいて用いられてよい。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために、他のモニタが用いられてよいことが分かるだろう。かかるモニタは、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器を含んでよいが、これらに限定されない。
【0157】
いくつかの実施形態では、コントローラ450のための命令は、入出力制御(IOC)シーケンス命令によって提供されてよい。一例では、処理段階の条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれてよい。いくつかの場合では、処理段階のための全ての命令がその処理段階と同時に実行されるように、プロセスレシピ段階は連続して配置されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のリアクタパラメータを設定するための命令は、レシピ段階に含まれてよい。例えば、第1レシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガス(例えば、第1前駆体)の流量を設定するための命令と、キャリアガス(アルゴンなど)の流量を設定するための命令と、第1レシピ段階のための遅延命令とを含んでよい。続く第2レシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を調整または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令と、第2レシピ段階のための遅延命令とを含んでよい。第3レシピ段階は、第2反応ガスの流量を調整するための命令と、第2反応ガスの流れる期間を調整するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令と、第3レシピ段階のための遅延命令とを含んでよい。続く第4レシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を調整または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令と、第4レシピ段階のための遅延命令とを含んでよい。これらのレシピ段階は、本開示の実施形態の範囲内の任意の適した方法で、さらに細分化されてよい、および/または繰り返されてよいことが分かるだろう。いくつかの実施形態では、コントローラ450は、図5のシステムコントローラ550に関して以下に説明される特徴のいずれかを含んでよい。
【0158】
上記のように、マルチステーション処理ツールには1つ以上の処理ステーションが含まれてよい。図5は、いずれかまたは両方がリモートプラズマ源を含んでよい搬入ロードロック502および搬出ロードロック504を備える、マルチステーション処理ツール500の実施形態の概略図を示す。大気圧のロボット506は、ウエハを、ポッド508を通じて装填されたカセットから、大気ポート510を介して搬入ロードロック502に移動させるように構成されている。ウエハは、ロボット506によって搬入ロードロック502の台座512に設置され、大気ポート510が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。搬入ロードロック502がリモートプラズマ源を備える場合、ウエハは、処理チャンバ514に導入される前に、ロードロックにおいてリモートプラズマ処理に曝されてよい。さらにウエハは、例えば湿気および吸着ガスを取り除くために、搬入ロードロック502において加熱されてもよい。次に、処理チャンバ514へのチャンバ搬送ポート516が開き、別のロボット(図示せず)が処理のためにウエハをリアクタに入れて、リアクタ内に示された第1ステーションの台座に設置する。図5に示された実施形態はロードロックを含むが、いくつかの実施形態では、ウエハの処理ステーションへの直接搬入が提供されてよいことが分かるだろう。
【0159】
図の処理チャンバ514は、図5に示された実施形態では1から4の番号が付けられた4つの処理ステーションを備える。各ステーションは、加熱台座(ステーション1の518)およびガスライン入口を有する。いくつかの実施形態では、各処理ステーションが異なる目的または複数の目的を有してよいことが分かるだろう。例えば、いくつかの実施形態では、処理ステーションは、ALDプロセスモードとプラズマ強化ALDプロセスモードとの間で切り替え可能であってよい。加えてまたはあるいは、いくつかの実施形態では、処理チャンバ514は、1つ以上の左右一対のALD処理ステーションおよびプラズマ強化ALD処理ステーションを備えてよい。図の処理チャンバ514は4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバが任意の適した数のステーションを有してよいことが理解されるだろう。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは5つ以上のステーションを有してよく、他の実施形態では、処理チャンバは3つ以下のステーションを有してよい。
【0160】
図5は、処理チャンバ514内部でウエハを搬送するためのウエハ搬送システム590の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、ウエハ搬送システム590は、様々な処理ステーションの間、および/または、処理ステーションとロードロックとの間でウエハを搬送してよい。任意の適したウエハ搬送システムが用いられてよいことが分かるだろう。非限定的な例は、ウエハカルーセルおよびウエハ搬送ロボットを含む。図5は、マルチステーション処理ツール500のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ550の実施形態も表す。システムコントローラ550は、1つ以上のメモリデバイス556、1つ以上の大容量記憶装置554、および1つ以上のプロセッサ552を備えてよい。プロセッサ552は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入出力接続、ステッパモータコントローラ基板などを含んでよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ550は、マルチステーション処理ツール500の全ての動作を制御する。システムコントローラ550は、大容量記憶装置554に格納され、メモリデバイス556にロードされ、プロセッサ552上で実行されるシステム制御ソフトウェア558を実行する。あるいは、制御ロジックがシステムコントローラ550にハードコードされてよい。これらの目的のために、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))などが用いられてよい。以下の説明において「ソフトウェア」または「コード」が用いられる場合は、その位置に機能的に同等のハードコードされたロジックが用いられてよい。システム制御ソフトウェア558は、タイミング、ガスの混合、ガスの流量、チャンバ圧および/またはステーション圧、チャンバ温度および/またはステーション温度、ウエハ温度、目標電力レベル、RF電力レベル、基板台座位置、チャック位置、および/またはサセプタ位置、ならびに、マルチステーション処理ツール500によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含んでよい。システム制御ソフトウェア558は、任意の適した方法で構成されてよい。例えば、様々な処理ツール部品のサブルーチンまたは制御オブジェクトは、様々な処理ツールプロセスを実行するために用いられる処理ツール部品の動作を制御するように書き込まれてよい。システム制御ソフトウェア558は、任意の適したコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されてよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、システム制御ソフトウェア558は、上記の様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含んでよい。いくつかの実施形態では、システムコントローラ550に関連付けられた大容量記憶装置554および/またはメモリデバイス556に格納された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが用いられてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板位置決めプログラム、処理ガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムを含む。
【0163】
基板位置決めプログラムは、基板を台座518に載せ、基板とマルチステーション処理ツール500の他の部品との間の空間を制御するために用いられる処理ツール部品のためのプログラムコードを含んでよい。
【0164】
処理ガス制御プログラムは、処理ステーションの圧力を安定させるために、ガス組成(例えば、本明細書に記載のヨウ素含有シリコン前駆体ガス、窒素含有ガス、キャリアガス、およびパージガス)ならびに流量を制御し、必要に応じて堆積前に1つ以上の処理ステーションにガスを流すためのコードを含んでよい。圧力制御プログラムは、例えば処理ステーションの排気システムのスロットル弁、処理ステーションへのガス流などを調整することにより、処理ステーションの圧力を制御するためのコードを含んでよい。
【0165】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するのに用いられる発熱体への電流を制御するためのコードを含んでよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、基板への伝熱ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してよい。
【0166】
プラズマ制御プログラムは、本明細書の実施形態により1つ以上の処理ステーションの加工電極に印加されるRF電力レベルを設定するためのコードを含んでよい。
【0167】
圧力制御プログラムは、本明細書の実施形態により反応チャンバの圧力を維持するためのコードを含んでよい。
【0168】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ550に関連付けられたユーザインタフェースがあってよい。ユーザインタフェースは、表示画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィックソフトウェア表示装置、ならびにユーザ入力装置(ポインティング装置、キーボード、タッチ画面、マイクなど)を含んでよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ550によって調節されたパラメータは、プロセス条件に関してよい。非限定的な例は、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(例えば、RFバイアス電力レベル)などを含む。これらのパラメータは、ユーザインタフェースを用いて入力されうるレシピの形でユーザに提供されてよい。
【0170】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ550のアナログおよび/またはデジタルの入力接続によって様々な処理ツールセンサから提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、マルチステーション処理ツール500のアナログ・デジタル出力接続に出力されてよい。監視されうる処理ツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(例えば、圧力計)、熱電対などを含む。プロセス条件を維持するために、適切にプログラムされたフィードバック制御機構がこれらのセンサからのデータと共に用いられてよい。
【0171】
システムコントローラ550は、上記の堆積プロセスを実施するためのプログラム命令を提供してよい。プログラム命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを制御してよい。命令は、本明細書に記載の様々な実施形態により積層のin-situ堆積を操作するようにパラメータを制御してよい。
【0172】
システムコントローラ550は通常、1つ以上のメモリデバイス556と、装置が本開示の実施形態による方法を実施するよう命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサとを備えるだろう。本開示の実施形態によるプロセス動作を制御するための命令を含む機械可読媒体がシステムコントローラ550に接続されてよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ550は、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。これらの電子機器は「コントローラ」と呼ばれてよく、システムの様々な構成部品または副部品を制御してよい。システムコントローラ550は、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、特定のシステムに接続もしくは結合されたツールおよび他の搬送ツール、ならびに/またはロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示のあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0174】
概して、システムコントローラ550は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でシステムコントローラ550に伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ550は、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、またはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えば、システムコントローラ550は、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータはシステムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査して、現行の処理のパラメータを変更し、現行の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、システムコントローラ550は、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータの形で命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、システムコントローラ550が結合するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって上述のように、システムコントローラ550は、例えば互いにネットワーク接続される1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバでのプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路だろう。
【0176】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、ALDチャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0177】
上記のように、システムコントローラ550は、ツールによって実施される処理工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。
【0178】
本明細書に記載の方法を実施するのに適した装置は、2011年4月11日出願の「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION」と題した米国特許出願第13/084,399号(現米国特許第8,728,956号)、および、2011年4月11日出願の「SILICON NITRIDE FILMS AND METHODS」と題した米国特許出願第13/084,305号においてさらに説明されており、各々はその全てが本明細書に援用される。
【0179】
本明細書に記載の装置/プロセスは、例えば、半導体デバイス、表示装置、LED、光発電パネルなどの製作または製造用のリソグラフィパターニングツールまたはリソグラフィパターニングプロセスと併せて用いられてよい。通常、必ずしもではないが、かかるツール/プロセスは、共通の製作設備において一緒に用いられる、または行われるだろう。膜のリソグラフィパターニングは通常、(1)スピンオンツールまたはスプレイオンツールを用いてワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布する動作、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いてフォトレジストを硬化する動作、(3)ウエハステッパなどのツールによってフォトレジストを可視光またはUV光またはX線光に露光する動作、(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、レジストを現像して選択的にレジストを除去し、それによりレジストをパターニングする動作、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下地膜またはワークピースにレジストパターンを転写する動作、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジスト剥離剤などのツールを用いてレジストを除去する動作、のいくつかまたは全てを含み、各動作は、いくつかの可能なツールによって可能になる。
実験
実験1
【0180】
実験は、200:1の希釈したHFにおける180秒間のウェットエッチング速度、および、2000Wのプラズマ電力におけるステップカバレッジを求めるために、異なる変換時間で堆積した様々なシリコン酸化膜について200℃で行われた。その結果は、図6に示されている。
【0181】
RF変換時間は、RFのオン時間を変更することにより調整され、変換時間の増加は、図6の矢印で示されている。円プロットは、ウェットエッチング速度比(熱酸化物のウェットエッチング速度によって正規化されたALD酸化膜のウェットエッチング速度)であり、四角プロットはステップカバレッジである。図のように、RF変換時間は、ウェットエッチング速度比を低減し、優れたステップカバレッジを実現するために、おおよそ0.75秒に飽和点を有し、短い変換時間(例えば、低RFバジェット)ではウェットエッチング速度比は高く、ステップカバレッジは実質的に100を超えるが、100に近いことは向上したステップカバレッジを意味する。これらの結果は、向上した膜品質がより長いRF変換時間で実現できることを示唆するが、かかる変換時間は、時間の増加を犠牲にして生じる。

実験2
【0182】
実験は、様々な技術を用いて堆積した様々なシリコン酸化膜のウェットエッチング速度を比較するために、300℃で行われた。ここで用いられたプラズマは、13MHz周波数のプラズマ発生器を要した。
【0183】
第1シリコン酸化膜(SiOx #1)は、DIPASドーズ、パージ、アルゴンと同時の酸素プラズマ、パージ、の繰り返し周期を用いる、複数周期の短い変換(別名、低プラズマエネルギ)PEALDを用いて堆積された。アルゴンと同時の酸素プラズマの間のRF変換時間は0.15秒であり、RF電力は2000Wであった。1ALD周期の持続期間は、0.95秒であった。
【0184】
第2シリコン酸化膜(SiOx #2)は、DIPASドーズ、パージ、0.15秒のRF変換時間でアルゴンと同時の酸素プラズマ、パージ、DIPASドーズ、パージ、0.75秒のRF変換時間でアルゴンと同時の酸素プラズマ、パージ、の周期を用いる、短い変換と長い変換とが交互に切り替わるPEALDを複数周期用いて堆積された。RF電力は2000Wであった。1ALD周期の平均期間は、1.25秒であった。
【0185】
第3シリコン酸化膜(SiOx #3)は、DIPASドーズ、パージ、0.45秒のRF変換時間でアルゴンと同時の酸素プラズマ、パージ、DIPASドーズ、パージ、0.75秒のRF変換時間でアルゴンと同時の酸素プラズマ、パージ、の周期を用いる、中間変換と長い変換とが交互に切り替わるPEALDを複数周期用いて堆積された。RF電力は2000Wであった。1ALD周期の平均期間は、1.4秒であった。
【0186】
第4シリコン酸化膜(SiOx #4)は、DIPASドーズ、パージ、0.75秒のRF時間でアルゴンと同時の酸素プラズマ、パージ、の周期を用いる、長い変換PEALDを複数周期用いることで堆積された。RF電力は2000Wであった。1ALD周期の平均期間は、1.55秒であった。
【0187】
これらのシリコン酸化膜の各々のウェットエッチング速度は、200:1のフッ化水素酸において180秒間で求められた。ウェットエッチング速度値の結果は、以下の表1および図7に提供される。
【表1】
【0188】
表1および図7に示されるように、第1技術は、望ましくない高ウェットエッチング速度をもたらした。第4技術は低エッチング速度を実現したが、周期期間を引き延ばして全体的にスループットを低下させる長い変換(別名、高RFバジェット)を用いた。第2技術および第3技術は、第4技術と同等の低いウェットエッチング速度を実現したが、ALD周期ごとに長い変換時間を用いなかったため、全プロセスの持続期間を短縮し、スループットを増加させた。
【0189】
第3技術および第4技術を用いて堆積したシリコン酸化膜のステップカバレッジは、第3技術と第4技術との間でかなり類似するステップカバレッジを示すステップカバレッジが得られた。これは、交互の変換時間PEALD周期を用いる同等の高品質膜結果を意味する。

実験3
【0190】
実験は、コンタクト製造用のビアにライナ膜を堆積するために行われた。膜は、ドーズ、パージ、0.25秒間の変換、およびパージを含む第1ALD周期と、ドーズ、パージ、1.55秒間の変換、およびパージを含む第2ALD周期とを用いて堆積された。2つの周期は、4枚の基板に対して5500Wの変換プラズマ電力を用いて交互に行われた。第2膜は、ドーズ、パージ、1.55秒間の変換、およびパージを含むALD周期のみを用いて堆積された。結果として生じた、フィーチャの底部、中間部、および上部のウェットエッチング速度が評価され、図8に示されている。
【0191】
図8は、1.55秒周期のみを用いて堆積した膜を斜線の陰影付き棒線で表し、交互変換時間周期を用いて堆積した膜を塗りつぶした棒線で表す。図のように、2つの膜は、底部および中間部について類似したウェットエッチング速度を示す。これは、全て1.55秒の変換時間を用いて実現した膜品質と、1.55秒の変換時間と0.25秒の変換時間とを交互に用いて実現した膜品質とが類似することを意味し、後者はスループットを大幅に低下させうる。

結論
【0192】
前記実施形態は、明確な理解のためにある程度詳細に説明されたが、所定の変更および修正が添付の特許請求の範囲内で行われてよいことは明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実施する多くの別の方法があることに注意されたい。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきでない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜を堆積する方法であって、
処理チャンバに基板を提供する工程と、
第1原子層堆積(ALD)周期において、前記基板の上に第1量の材料を堆積する工程であって、1周期は、
前駆体が前記基板の表面に吸着できる条件下で前記基板を前記前駆体に曝し、それにより前記前駆体の第1吸着層を形成する工程と、
第1期間にわたって前記前駆体の前記第1吸着層を反応種に曝して、前記第1量の前記材料を形成する工程と、を含む工程と、
第2ALD周期を用いて、前記第1量の前記材料に第2量の前記材料を堆積する工程であって、1周期は、
前記前駆体が前記基板の表面に吸着できる条件下で前記基板を前記前駆体に曝し、それにより前記前駆体の第2吸着層を形成する工程と、
第2期間にわたって前記前駆体の前記第2吸着層を反応種に曝して、前記第2量の前記材料を形成する工程と、を含む工程と、を含み、
前記第1期間と前記第2期間とは異なる期間である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2期間は、前記第1期間よりも約1.1倍から約15倍長い、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記反応種を生成するためにプラズマを点火する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記プラズマは、in situで生成される、方法。
【請求項5】
を堆積する方法であって、
処理チャンバに基板を提供する工程と、
少なくとも第1プラズマ強化原子層堆積(PEALD)周期および第2PEALD周期を含む2回以上のPEALD周期に前記基板を曝すことにより、前記基板の上に共形を堆積する工程と、を含み、
前記第1PEALD周期は、
駆体を導入して、前記基板の表面に前記前駆体の吸着層を形成する工程と、
記前駆体の前記吸着層を反応物およびアルゴンに曝し、第1プラズマエネルギで第1プラズマを点火する工程と、を含み、
前記第2PEALD周期は、
記前駆体を導入して、前記基板の表面に前記前駆体の吸着層を形成する工程と、
記前駆体の前記吸着層を反応物およびアルゴンに曝し、第2プラズマエネルギで第2プラズマを点火する工程と、を含み、
前記第2プラズマエネルギは、前記第1プラズマエネルギよりも少なくとも3倍大きい、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、さらに、
第3プラズマエネルギで実施される第3PEALD周期を含み、
前記第1プラズマエネルギは前記第2プラズマエネルギよりも小さく、前記第2プラズマエネルギは前記第3プラズマエネルギよりも小さい、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記第1プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力と、前記第2プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力とは、同じである、方法。
【請求項8】
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の処理チャンバと、
前記1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサを制御して、前記流量制御ハードウェアに、
前記1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、
第1期間中に、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前駆体および反応物の第1セットの交互流を導入させ、
第2期間中に、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前記前駆体および前記反応物の第2セットの交互流を導入させるように、
少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、コントローラと、を備え、
前記第2期間は、前記第1期間よりも少なくとも1.1倍長い、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、さらに、
プラズマ発生器を備える、装置。
【請求項10】
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の処理チャンバと、
前記1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、
プラズマ発生器と、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサを制御して、前記流量制御ハードウェアに、
前記1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、
前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前駆体および反応物の第1セットの交互流を導入させ、
形材料を形成するために、前記第1セットの間に前記反応物を導入させるときに、第1プラズマエネルギを有するプラズマを発生させ、
前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前記前駆体および前記反応物の第2セットの交互流を導入させ、
形材料を形成するために、前記第2セットの間に前記反応物を導入するときに、前記第1プラズマエネルギよりも少なくとも1.1倍大きい第2プラズマエネルギを有するプラズマを発生させるように、
少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、コントローラと、を備える、装置。
【請求項11】
請求項8および10のいずれかに記載の装置であって、
前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つは、給電されたシャワーヘッドと、前記基板を保持するための接地された台座とを備える、装置。
【請求項12】
請求項8および10のいずれかに記載の装置であって、
前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つは、前記基板を保持するための給電された台座と、接地されたシャワーヘッドと、を備える、装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
動作133から136は、必要に応じて複数回繰り返されてよく、各回は、短い変換ALDの1周期を構成する。ウェットエッチング速度の低下などの所望の膜特性は、以下にさらに説明されるように動作133~136に従って実現される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
動作133~136を繰り返す1回以上の周期の後に、動作143~146が実施されてよい。図1では、動作133~136が動作143~146よりも前に起こるように示されているが、当業者は、動作143~146が動作133~136より前に実施されてもよく、動作133~136および動作143~146の任意の組み合わせが任意の順序で実施されてよいことを理解するだろう。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
長い変換時間周期が実施される頻度は、短い変換時間のALD周期によって堆積した低品質膜の堆積した膜品質、および短い変換時間と長い変換時間の相対的な持続期間によって決定される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
上記動作135のように、いくつかの実施形態では、動作145は、変換時間に代えて、または変換時間に加えて、処理チャンバを調整することにより実施されてよい。つまりいくつかの実施形態では、上記でさらに説明されるように、動作145の間に高圧力が用いられるが、動作135の間は低圧力が用いられる。動作145の間に用いられる高圧力は、約10Torrから約15Torrの処理チャンバ圧であってよい。特定の論理に束縛されるものではないが、高圧力は、ラジカルの密度を高めるが、イオンエネルギを低減するとされる。よって、低圧ALD周期と高圧ALD周期、または低圧PEALD周期と高圧PEALD周期とを交互に行うことで、ウェットエッチング速度の低下などの特定の所望特性を有する膜がもたらされうる。一連の低圧ALD周期において高圧ALD周期を実施する周波数は、高圧条件または低圧条件で用いられる層の数に依存する。特定の一例では、高圧ALD周期は、1~20回の低圧ALD周期ごとに実施されてよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
動作103から106は、必要に応じて複数回繰り返されてよく、各回は、短い変換PEALDの1周期を構成する。かかる層は、低密度でありうる層を含む低品質のシリコン酸化膜をもたらす可能性があり、よってこの層単体は、高いウェットエッチング速度を有しうる。しかし、これらの短い変換PEALD周期は、短いサイクルタイムを有し、スループットを増加させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0152
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0152】
いくつかの実施形態では、台座408は、ヒータ410によって温度制御されてよい。いくつかの実施形態では、台座408は、開示の実施形態で説明されたように、シリコン酸化膜の堆積中に少なくとも約250℃の温度、またはいくつかの実施形態では、少なくとも約300℃未満(約250℃など)の温度に加熱されてよい。いくつかの実施形態では、台座は、約-50℃から約900℃の温度、または約50℃から約300℃の温度(約200℃から約275℃の温度など)に設定される。いくつかの実施形態では、台座は、約50℃から約300℃の温度に設定される。いくつかの実施形態では、台座は、約200℃から約275℃の温度に設定される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0160
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0160】
図5は、処理チャンバ514内部でウエハを搬送するためのウエハ搬送システム実施形態を表す。いくつかの実施形態では、ウエハ搬送システム、様々な処理ステーションの間、および/または、処理ステーションとロードロックとの間でウエハを搬送してよい。任意の適したウエハ搬送システムが用いられてよいことが分かるだろう。非限定的な例は、ウエハカルーセルおよびウエハ搬送ロボットを含む。図5は、マルチステーション処理ツール500のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ550の実施形態も表す。システムコントローラ550は、1つ以上のメモリデバイス556、1つ以上の大容量記憶装置554、および1つ以上のプロセッサ552を備えてよい。プロセッサ552は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入出力接続、ステッパモータコントローラ基板などを含んでよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0191
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0191】
図8は、1.55秒周期のみを用いて堆積した膜を斜線の陰影付き棒線で表し、交互変換時間周期を用いて堆積した膜を塗りつぶした棒線で表す。図のように、2つの膜は、底部および中間部について類似したウェットエッチング速度を示す。これは、全て1.55秒の変換時間を用いて実現した膜品質と、1.55秒の変換時間と0.25秒の変換時間とを交互に用いて実現した膜品質とが類似することを意味し、後者はスループットを大幅に増加させうる。
結論
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
前記実施形態は、明確な理解のためにある程度詳細に説明されたが、所定の変更および修正が添付の特許請求の範囲内で行われてよいことは明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実施する多くの別の方法があることに注意されたい。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるべきでない。
適用例1
膜を堆積する方法であって、
処理チャンバに基板を提供する工程と、
第1原子層堆積(ALD)周期において、前記基板の上に第1量の材料を堆積する工程であって、1周期は、
前駆体が前記基板の表面に吸着できる条件下で前記基板を前記前駆体に曝し、それにより前記前駆体の第1吸着層を形成する工程と、
第1期間にわたって前記前駆体の前記第1吸着層を反応種に曝して、前記第1量の前記材料を形成する工程と、を含む工程と、
第2ALD周期を用いて、前記第1量の前記材料に第2量の前記材料を堆積する工程であって、1周期は、
前記前駆体が前記基板の表面に吸着できる条件下で前記基板を前記前駆体に曝し、それにより前記前駆体の第2吸着層を形成する工程と、
第2期間にわたって前記前駆体の前記第2吸着層を反応種に曝して、前記第2量の前記材料を形成する工程と、を含む工程と、を含み、
第1期間と前記第2期間とは異なる期間である、方法。
適用例2
請求項1に記載の方法であって、
前記第2期間は、前記第1期間よりも約1.1倍から約15倍長い、方法。
適用例3
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記反応種を生成するためにプラズマを点火する工程を含む、方法。
適用例4
請求項3に記載の方法であって、
前記プラズマは、in situで生成される、方法。
適用例5
シリコン酸化物を堆積する方法であって、
処理チャンバに基板を提供する工程と、
少なくとも第1プラズマ強化原子層堆積(PEALD)周期および第2PEALD周期を含む2回以上のPEALD周期に前記基板を曝すことにより、前記基板の上に共形シリコン酸化膜を堆積する工程と、を含み、
第1PEALD周期は、
シリコン含有前駆体を導入して、前記基板の表面に前記シリコン含有前駆体の吸着層を形成する工程と、
前記シリコン含有前駆体の前記吸着層を酸素含有反応物およびアルゴンに曝し、第1プラズマエネルギで第1プラズマを点火する工程と、を含み、
第2PEALD周期は、
前記シリコン含有前駆体を導入して、前記基板の表面に前記シリコン含有前駆体の吸着層を形成する工程と、
前記シリコン含有前駆体の前記吸着層を酸素含有反応物およびアルゴンに曝し、第2プラズマエネルギで第2プラズマを点火する工程と、を含み、
前記第2プラズマエネルギは、前記第1プラズマエネルギよりも少なくとも3倍大きい、方法。
適用例6
請求項5に記載の方法であって、さらに、
第3プラズマエネルギで実施される第3PEALD周期を含み、
前記第1プラズマエネルギは前記第2プラズマエネルギよりも小さく、前記第2プラズマエネルギは前記第3プラズマエネルギよりも小さい、方法。
適用例7
請求項5に記載の方法であって、
前記第1プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力と、前記第2プラズマエネルギを生成するのに用いられるプラズマ電力とは同じである、方法。
適用例8
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の処理チャンバと、
前記1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサを制御して、前記流量制御ハードウェアに、前記1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、第1期間中に、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第1セットの交互流を導入させ、第2期間中に、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前記シリコン含有前駆体および前記酸化剤の第2セットの交互流を導入させるように、少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、コントローラと、を備え、
前記第2期間は、前記第1期間よりも少なくとも1.1倍長い、装置。
適用例9
請求項8に記載の装置であって、さらに、
プラズマ発生器を備える、装置。
適用例10
基板を処理するための装置であって、
1つ以上の処理チャンバと、
前記1つ以上の処理チャンバへの1つ以上のガス入口および関連する流量制御ハードウェアと、
プラズマ発生器と、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを有するコントローラであって、前記少なくとも1つのプロセッサおよび前記メモリは、互いに通信可能に接続され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記流量制御ハードウェアと少なくとも動作可能に接続され、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサを制御して、前記流量制御ハードウェアに、前記1つ以上の処理チャンバの少なくとも1つに基板を挿入させ、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つにシリコン含有前駆体および酸化剤の第1セットの交互流を導入させ、共形シリコン酸化材料を形成するために、前記第1セットの間に前記酸化剤を導入させるときに、第1プラズマエネルギを有するプラズマを発生させ、前記1つ以上のガス入口を通じて、前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つに前記シリコン含有前駆体および前記酸化剤の第2セットの交互流を導入させ、共形シリコン酸化材料を形成するために、前記第2セットの間に前記酸化剤を導入するときに、前記第1プラズマエネルギよりも少なくとも1.1倍大きい第2プラズマエネルギを有するプラズマを発生させるように、少なくとも制御するためのコンピュータ実行可能命令を格納する、コントローラと、を備える、装置。
適用例11
請求項8および10のいずれかに記載の装置であって、
前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つは、給電されたシャワーヘッドと、前記基板を保持するための接地された台座とを備える、装置。
適用例12
請求項8および10のいずれかに記載の装置であって、
前記1つ以上の処理チャンバの前記少なくとも1つは、前記基板を保持するための給電された台座と、接地されたシャワーヘッドと、を備える、装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
動作134では、処理チャンバは、必要に応じてパージされる。基板を収容する処理チャンバは、基板表面に吸着していない前駆体を除去するためにパージされてよい。チャンバのパージは、パージガスまたはスイープガスを流すことを含んでよく、それらのガスは、他の動作で用いられるキャリアガスであってよい、または異なるガスであってよい。パージガスの例は、アルゴン、窒素、水素、およびヘリウムを含む。様々な実施形態では、パージガスは不活性ガスである。不活性ガスの例は、アルゴン、窒素、およびヘリウムを含む。いくつかの実施形態では、パージはチャンバを排気することを含んでよい。いくつかの実施形態では、パージガスは、チャンバに前駆体を供給するのに用いられるキャリアガスと同じである。いくつかの実施形態では、動作134は、処理チャンバを排気するための1つ以上の排気下位段階を含んでよい。あるいは動作134は、いくつかの実施形態では省略されてよいことが分かるだろう。動作134は、約0.1秒から約2秒などの任意の適した期間であってよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
動作136では、前駆体と第2反応物との間の反応による余剰副生成物を除去するために、処理チャンバは必要に応じて再パージされる。動作136のプロセス条件は、動作134に関して上記されたプロセス条件のいずれかであってよい。いくつかの実施形態では、チャンバは、約5slmから約70slmの流量で流れる不活性ガスを用いてパージされる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
動作133~136を繰り返す1回以上の周期の後に、動作143~146が実施されてよい。図1Aでは、動作133~136が動作143~146よりも前に起こるように示されているが、当業者は、動作143~146が動作133~136より前に実施されてもよく、動作133~136および動作143~146の任意の組み合わせが任意の順序で実施されてよいことを理解するだろう。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
動作103~106を繰り返す周期を1回以上行った後、動作113~116が実施されてよい。図1Bでは、動作103~106が動作113~116の前に起こるように示されているが、当業者は、動作113~116が動作103~106より前に実施されてもよく、動作103~106および動作113~116の実施の組み合わせは、任意の順序で行われてよいことを理解するだろうことが理解されるだろう。
【国際調査報告】