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特表2022-544480プラズマ処理のための3フェーズパルス印加システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-19
(54)【発明の名称】プラズマ処理のための3フェーズパルス印加システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221012BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20221012BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221012BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
H01L21/205
H01L21/31 C
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507834
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020030194
(87)【国際公開番号】W WO2021029922
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】16/540,160
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
(72)【発明者】
【氏名】大秦 充敬
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB27
2G084CC05
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC16
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD04
2G084DD13
2G084DD38
2G084DD55
2G084HH05
2G084HH06
2G084HH25
2G084HH26
2G084HH28
2G084HH32
2G084HH56
5F004BB13
5F004CA03
5F004CA06
5F004CA08
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA05
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB01
5F004DB07
5F004EA28
5F045AA08
5F045EH11
5F045EH19
5F045EH20
(57)【要約】
プラズマ処理の方法は、反応種制御フェーズを実行することと、イオン/ラジカル制御フェーズを実行することと、副生成物制御フェーズを実行することとを含む。反応種制御フェーズは、処理チャンバにソース電力をパルス印加して、プラズマ中にイオン及びラジカルを生成することを含む。イオン/ラジカル制御フェーズは、反応種制御フェーズ後に実行される。イオン/ラジカル制御フェーズは、処理チャンバへのソース電力を減少させることと、処理チャンバ内の基板にバイアス電力をパルス印加することとを含む。副生成物制御フェーズは、イオン/ラジカル制御フェーズ後に実行される。副生成物制御フェーズは、反応種制御フェーズに対して処理チャンバへのソース電力を減少させることと、イオン/ラジカル制御フェーズに対して基板へのバイアス電力を減少させることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理の方法であって、
処理チャンバにソース電力をパルス印加して、プラズマ中にイオン及びラジカルを生成することを含む反応種制御フェーズを実行することと、
前記反応種制御フェーズ後にイオン/ラジカル制御フェーズを実行することであって、前記イオン/ラジカル制御フェーズは、前記処理チャンバへの前記ソース電力を減少させることと、前記処理チャンバ内の基板にバイアス電力をパルス印加することとを含む、実行することと、
前記イオン/ラジカル制御フェーズ後に副生成物制御フェーズを実行することであって、前記副生成物制御フェーズは、前記反応種制御フェーズに対して前記処理チャンバへの前記ソース電力を減少させることと、前記イオン/ラジカル制御フェーズに対して前記基板への前記バイアス電力を減少させることとを含む、実行することと
を含む方法。
【請求項2】
前記反応種制御フェーズ、前記イオン/ラジカル制御フェーズ及び前記副生成物制御フェーズを周期的に実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理チャンバにガスを提供することであって、前記ガスの流量は、前記反応種制御フェーズ、前記イオン/ラジカル制御フェーズ及び前記副生成物制御フェーズ中、実質的に一定である、提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応種制御フェーズは、前記バイアス電力を前記基板にパルス印加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記副生成物制御フェーズは、
前記副生成物制御フェーズの全てにわたり、前記ソース電力を実質的に0まで減少させることと、
前記副生成物制御フェーズの全てにわたり、前記バイアス電力を実質的に0まで減少させることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記副生成物制御フェーズは、前記バイアス電力を前記基板にパルス印加して、前記基板における副生成物の再堆積を制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法を実行するように構成される装置であって、
前記処理チャンバに隣接して配置された結合要素と、
前記基板を支持する基板ホルダと、
前記結合要素に結合され、且つ前記ソース電力をパルス印加するように構成されるソース電力供給ノードと、
前記基板ホルダに結合され、且つ前記バイアス電力をパルス印加するように構成されるバイアス電力供給ノードと
を含む装置。
【請求項8】
プラズマ処理の方法であって、
ソース電力パルスが結合要素に印加され、及びバイアス電力パルスが、基板を支持する基板ホルダに印加される、電力パルスの周期を使用して基板を処理することを含み、
前記電力パルスの周期は、
第1のソース電力レベル及び第1のバイアス電力レベルを含む第1のフェーズと、
第2のソース電力レベル及び第2のバイアス電力レベルを含む第2のフェーズと、
第3のソース電力レベル及び第3のバイアス電力レベルを含む第3のフェーズと
を含み、
前記第1のバイアス電力レベルは、0より大きく、
前記第2のソース電力レベルは、前記第1のソース電力レベルより小さく、
前記第2のバイアス電力レベルは、前記第2のソース電力レベルより大きく、
前記第3のソース電力レベルは、前記第1のソース電力レベルより小さく、
前記第3のバイアス電力レベルは、前記第2のバイアス電力レベルより小さい、方法。
【請求項9】
前記電力パルスの周期を繰り返し実行することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のバイアス電力レベルは、実質的に0である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のバイアス電力レベルは、0より大きい、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第3のバイアス電力レベルは、0より大きい、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第3のソース電力レベル及び前記第3のバイアス電力レベルの両方は、実質的に0である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法を実行するように構成される装置であって、
処理チャンバと、
前記結合要素に結合され、且つ前記ソース電力パルスを生成するように構成されるソース電力供給ノードと、
前記基板ホルダに結合され、且つ前記バイアス電力パルスを生成するように構成されるバイアス電力供給ノードと
を含む装置。
【請求項15】
プラズマ処理の方法であって、
0より大きい第1のソース電力レベル、及び
第1のバイアス電力レベル
を含む第1のフェーズ中、ソース電力パルスをプラズマ処理チャンバに印加することと、
前記第1のフェーズ後の第2のフェーズ中、前記プラズマ処理チャンバ内の基板にバイアス電力パルスを印加することであって、前記第2のフェーズは、
前記第1のソース電力レベルより小さい第2のソース電力レベル、及び
前記第2のソース電力レベルより大きい第2のバイアス電力レベル
を含む、印加することと、
前記第2のフェーズ後の第3のフェーズ中、前記プラズマ処理チャンバ内の副生成物の量を減少させることであって、前記第3のフェーズは、
前記第1のソース電力レベルより小さい第3のソース電力レベル、及び
前記第2のバイアス電力レベルより小さい第3のバイアス電力レベル
を含む、減少させることと
を含む方法。
【請求項16】
前記第3のソース電力レベル及び前記第3のバイアス電力レベルの両方は、実質的に0である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のフェーズ、前記第2のフェーズ及び前記第3のフェーズを周期的に実行することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
あるガス流量において前記処理チャンバにガスを提供することであって、前記ガス流量は、前記第1のフェーズ、前記第2のフェーズ及び前記第3のフェーズ中、実質的に一定の値に維持される、提供することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のフェーズは、前記第1のソース電力レベルにおけるソースパルスのシーケンスを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法を実行するように構成される装置であって、
前記プラズマ処理チャンバに隣接して配置された結合要素と、
前記基板を支持する基板ホルダと、
前記結合要素に結合され、且つ前記ソース電力パルスを印加するように構成されるソース電力供給ノードと、
前記基板ホルダに結合され、且つ前記バイアス電力パルスを印加するように構成されるバイアス電力供給ノードと
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、以下の非仮出願:2019年8月14日出願の「THREE-PHASE PULSING SYSTEMS AND METHODS FOR PLASMA PROCESSING」という名称の米国特許出願公開第16/540,160号明細書に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、プラズマ処理に関し、特定の実施形態において、3フェーズパルス印加を使用したプラズマ処理のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス加工対象物内のデバイス形成は、基板上の多くの材料層の形成、パターニング及び除去を含む一連の製造技術を伴い得る。現在及び次世代の半導体デバイスの物理的及び電気的仕様を達成するために、構造的完全性を維持しつつ、フィーチャ寸法を減少させることを可能にする処理フローが様々なパターニングプロセスにとって望ましい。
【0004】
プラズマプロセスは、一般に、マイクロエレクトロニクス加工対象物においてデバイスを形成するために使用される。例えば、プラズマエッチング及びプラズマ蒸着は、半導体デバイス製作中の共通のプロセス工程である。ソース電力及びバイアス電力の組み合わせは、プラズマ処理中にプラズマを生成し、方向付けするために使用され得る。エッチング及び蒸着フェーズ中に副生成物が生成されることがある。副生成物の存在は、基板及びプラズマシステムにおける副生成物の密度によって有益である場合又は有害である場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、プラズマ処理の方法は、反応種制御フェーズを実行することと、イオン/ラジカル制御フェーズを実行することと、副生成物制御フェーズを実行することとを含む。反応種制御フェーズは、処理チャンバにソース電力をパルス印加して、プラズマ中にイオン及びラジカルを生成することを含む。イオン/ラジカル制御フェーズは、反応種制御フェーズ後に実行される。イオン/ラジカル制御フェーズは、処理チャンバへのソース電力を減少させることと、処理チャンバ内の基板にバイアス電力をパルス印加することとを含む。副生成物制御フェーズは、イオン/ラジカル制御フェーズ後に実行される。副生成物制御フェーズは、反応種制御フェーズに対して処理チャンバへのソース電力を減少させることと、イオン/ラジカル制御フェーズに対して基板へのバイアス電力を減少させることとを含む。
【0006】
別の実施形態によれば、プラズマ処理の方法は、ソース電力パルスが結合要素に印加され、及びバイアス電力パルスが、基板を支持する基板ホルダに印加される、電力パルスの周期を使用して基板を処理することを含む。電力パルスの周期は、第1のフェーズ、第2のフェーズ及び第3のフェーズを含む。第1のフェーズは、第1のソース電力レベル及び第1のバイアス電力レベルを含む。第1のバイアス電力レベルは、0より大きい。第2のフェーズは、第2のソース電力レベル及び第2のバイアス電力レベルを含む。第2のソース電力レベルは、第1のソース電力レベルより小さい。第2のバイアス電力レベルは、第2のソース電力レベルより大きい。第3のフェーズは、第3のソース電力レベル及び第3のバイアス電力レベルを含む。第3のソース電力レベルは、第1のソース電力レベルより小さい。第3のバイアス電力レベルは、第2のバイアス電力レベルよりも小さい。
【0007】
本発明のさらに別の実施形態によれば、プラズマ処理の方法は、第1のフェーズ中、ソース電力パルスをプラズマ処理チャンバに印加することを含む。第1のフェーズは、0より大きい第1のソース電力レベルを含む。第1のフェーズは、第1のバイアス電力レベルをさらに含む。方法は、第1のフェーズ後の第2のフェーズ中、プラズマ処理チャンバ内の基板にバイアス電力パルスを印加することも含む。第2のフェーズは、第1のソース電力レベルより小さい第2のソース電力レベル及び第2のソース電力レベルより大きい第2のバイアス電力レベルを含む。方法は、第2のフェーズ後の第3のフェーズ中、プラズマ処理チャンバ内の副生成物の量を減少させることをさらに含む。第3のフェーズは、第1のソース電力レベルより小さい第3のソース電力レベル及び第2のバイアス電力レベルより小さい第3のバイアス電力レベルを含む。
【0008】
本発明及びその利点のより詳細な理解のために、ここで、添付図面と併せて行われる以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による、例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図及び対応する定性グラフを示す。
図2】本発明の実施形態による、別の例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図を示す。
図3】本発明の実施形態による、さらに別の例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図を示す。
図4】本発明の実施形態による、さらに別の例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図を示す。
図5】本発明の実施形態による、例としてのプラズマ処理システムのブロック図を示す。
図6A】本発明の実施形態による、誘導結合プラズマ処理装置の概略図を示し、図6Aは、反応種制御フェーズ中の誘導結合プラズマ処理装置を示す。
図6B】本発明の実施形態による、誘導結合プラズマ処理装置の概略図を示し、図6Bは、イオン/ラジカル制御フェーズ中の誘導結合プラズマ処理装置を示す。
図6C】本発明の実施形態による、誘導結合プラズマ処理装置の概略図を示し、図6Cは、副生成物制御フェーズ中の誘導結合プラズマ処理装置を示す。
図7】本発明の実施形態による、例としてのプラズマ処理の方法を示す。
図8】本発明の実施形態による、別の例としてのプラズマ処理の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
異なる図中の対応する数字及び記号は、特段の指示のない限り、対応する部分を概して参照する。図は、実施形態の関連する態様を明確に示すように描かれており、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。図に描かれるフィーチャの端部は、フィーチャの範囲の終端を必ずしも示していない。
【0011】
様々な実施形態を作成すること及び使用することについて、以下に詳述される。しかしながら、本明細書に説明される様々な実施形態は、多様な具体的な文脈において適用可能であると理解されるべきである。述べられる具体的な実施形態は、様々な実施形態を作成及び使用する具体的な方法を単に例示するものであり、限定された範囲において解釈されるべきではない。
【0012】
プラズマ処理特性の制御は、プラズマ処理技術(例えば、パルス処理技術)を実施する際に重要であり得る。例えば、反応種生成、ラジカルに対するイオンの比率、イオンエネルギー(及びイオン角度)、副生成物並びに副生成物に対するイオン及びラジカルの比率などは、所与のプラズマプロセス中の精度及びフィーチャ正確度に影響を及ぼし得る。したがって、様々なプラズマ処理特性を独立して制御可能であることが望ましい。例えば、反応種、ラジカル及び副生成物の制御の向上は、コンタクト、フィン、ゲート配線の形成、他のフロントエンド又はバックエンドプロセス及び一般的なパターニング工程並びに他のプラズマプロセスに有用であり得る。
【0013】
ソース電力は、高密度プラズマを生成するために結合要素(例えば、螺旋共振器のコイル)に印加され得る。バイアス電力は、基板ホルダによって支持される基板において、エネルギーをイオンに結合するために基板ホルダに印加され得る。結合要素は、プラズマ中に反応種及びラジカルの両方を生成する。イオンエネルギー及びイオン角度は、例として、プラズマプロセスの品質、均一性、選択性及び予測性に影響を及ぼし得る。プラズマプロセス中のソース電力及びバイアス電力の印加を調節する高度パルス技術(APT)は、イオンエネルギー、イオン角度(即ち基板表面におけるイオンの入射角)及び基板におけるイオン流束を制御するために特に有用であり得る。ソース電力は、基板への電流を制御する一方、バイアス電力は、プラズマと基板との間の電圧を制御し得るため、ソース電力及びバイアス電力の組み合わせは、エネルギー及び角度を制御するために用いられ得る。
【0014】
副生成物は、プロファイル(例えば、側壁が基板と成す角度)に対する制御因子であり得るため、副生成物を管理することは、重要であり得る。副生成物の生成、密度及び除去は、プロファイル制御(例えば、側壁の垂直度)、精度、清浄度、基板において行われる反応の速度及び種類などに影響を及ぼし得る。副生成物の存在は、多くのものの作用であり得る。例えば、副生成物は、基板において生成されることがあるが、プラズマによって変化することもある。圧力は、副生成物の基板からの遊離及び副生成物の基板上への再堆積に影響を及ぼし得る。副生成物は、フィーチャ内で生成され、側壁上に直接堆積され得る。加えて、副生成物は、堆積プロファイル(例えば、フィーチャ側壁の垂直度)及びプラズマ均一性に影響を及ぼし得る。
【0015】
プラズマ処理システムにおける副生成物の量及び密度が具体的に制御されるとき、所望のプラズマ処理結果を達成することが難しい場合がある。特に、副生成物は、プラズマ処理中の受動的な関与に起因する問題を提示し得る。例えば、副生成物は、エッチングプロセス中に基板付近の領域内に放出された後にプラズマによって変化し得る。その後、副生成物は、基板上に再堆積され得、且つ/又はガス流によって除去され得る。所望のプラズマ処理結果を達成するために、ある範囲内で基板における副生成物の密度又は流束を維持することが望ましい場合がある。
【0016】
本明細書で説明される様々な実施形態は、制御を3つの独立した動作フェーズ、反応種制御、イオン/ラジカル制御及び副生成物制御に有利に分離し得る。各制御フェーズ中、プロセスパラメータのセットは、プラズマ処理特性の特定のセットに主に又は完全に影響を及ぼすように制御され得る。このようにして、適正な機能分離の可能な限りの利益がプラズマプロセスにおいて達成され得る。プロセスパラメータの3つのセットを別個に管理することにより、プラズマ処理中の高精度トポグラフィカル制御が有利に可能となり得る。
【0017】
反応種制御フェーズ中、反応種の生成が制御され得る。イオン/ラジカル制御フェーズにおいて、ラジカルに対するイオンの比率、イオンエネルギー、イオン角度及び基板におけるイオン流束など、イオン及びラジカルに関する様々なプラズマ処理特性が制御され得る。副生成物制御フェーズ中、副生成物の量及びイオン/ラジカルに対する副生成物の比率など、副生成物に関するプラズマ処理特性が制御され得る。例えば、副生成物は、副生成物制御フェーズ中にシステムから除去され得る。
【0018】
さらに、各制御フェーズは、プラズマプロセス中に複数回繰り返される周期中に実施され得る。複数の制御フェーズで繰り返されるプロセスは、連続した非繰り返しプロセス中に達成され得るよりも大きい、プロセスパラメータ(例えば、イオン/ラジカル比率、エネルギーなど)の変動を有利にもたらし得る。加えて、周期毎のプラズマ処理特性の継続的な制御は、生産性(例えば、スループット)を損なう複雑な自己制御プロセスに対する必要性を有利に低下させるか、又は複雑な自己制御プロセスを除去し得る。例えば、原子層エッチング(ALE)及び原子層堆積(ALD)の両方の技術は、自己制御化学的性質を用いて化学修飾された表面単分子層のみをエッチングすることにより、基板の個々の単分子層を修正する。従来のALEプロセス中、単一単分子層は、自己制御プロセスに起因して50ms~100ms毎に除去され得る。スループットは、ガス切り替え及び/又はパージの必要性による影響も受け得る。本明細書で説明される様々な実施形態の利益は、自己制御プロセスを除去又は減少させることにより、高いスループットを有する高いエッチング及び堆積精度を達成することであり得る。
【0019】
加えて、エッチング副生成物は、基板が従来のプラズマ処理技術においてエッチングされている間、時間と共に増大する傾向があり得る。本明細書で説明される様々な実施形態は、全てのサイクルにおける副生成物除去フェーズが、(例えば、滞留時間よりも大きい時間スケールにわたる)サイクル毎の副生成物の望ましくない蓄積を有利に減少させるか又は除去することを含み得る。プロセスパラメータのセットは、所与のプラズマプロセスに対して、各制御フェーズに対応する適切な値に調整され得る。これらのプロセスパラメータは、特にソースパルスパラメータ(例えば、ソース電力)、バイアスパルスパラメータ(例えば、バイアス電力)及びフェーズ期間を含み得る。例えば、隣接フェーズ間の遅延、ガス流量、パルス形状、パルス周波数、パルス数、ガス組成物、バイアス極性などの追加プロセスパラメータも含まれ得る。
【0020】
以下で与えられる実施形態は、プラズマ処理のための様々なシステム及び方法並びに特に3フェーズパルス印加を使用したプラズマ処理のためのシステム及び方法を説明する。以下の記述は、実施形態を説明する。プラズマ処理方法の実施形態の例としての概略タイミング図は、図1を用いて説明される。プラズマ処理方法の実施形態の複数の他の例としての概略タイミング図は、図2図4を用いて説明される。プラズマ処理システムの実施形態の例としてのブロック図は、図5を用いて説明される。誘導結合プラズマ処理装置の2つの例としての概略図は、図6A及び図6Bを用いて説明される。プラズマ処理の2つの方法の実施形態は、図7及び図8を用いて説明される。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による、例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図及び対応する定性グラフを示す。
【0022】
図1を参照すると、概略タイミング図100は、パルス化されて、3つのフェーズ、第1のフェーズ110、第2のフェーズ120及び第3のフェーズ130を含む周期150中に反応種、高速イオン及び副生成物を生成する、ソース電力P及びバイアス電力Pを含む。様々な実施形態では、周期150は、逐次的周期である(例えば、フェーズは、順序通りに実行される)。加えて、周期150は、いくつかの実施形態において繰り返し(即ち周期的に)実行される。様々な実施形態では、周期150は、多くの回数(例えば、1回よりも十分多く)繰り返し実行される。例えば、周期150は、ソースパルスがプラズマ処理装置(例えば、結合要素)に印加され、及びバイアスパルスがプラズマ処理装置(例えば、基板を支持する基板ホルダ)に印加される、電力パルスの逐次的周期であり得る。結果として、3つのフェーズは、パルス化フェーズとも呼ばれ得る。
【0023】
3つのフェーズのそれぞれは、所与のフェーズ中、それに応じて調整されるプロセスパラメータのセットによって定義される。プロセスパラメータのセットは、ソース電力レベル、バイアス電力レベル及びフェーズ期間を含む。プロセスパラメータのセット内の所与のパラメータは、所与のフェーズ中、実質的に一定であり得る。例えば、第1のフェーズ110は、第1のソース電力レベルPS1、第1のバイアス電力レベルPB1及び第1のフェーズ期間tによって定義される。同様に、第2のフェーズ120及び第3のフェーズ130は、第2のソース電力レベルPS2、第2のバイアス電力レベルPB2及び第2のフェーズ期間tにより、且つ第3のソース電力レベルPS3、第3のバイアス電力レベルPB3及び第3のフェーズ期間tによりそれぞれ定義される。
【0024】
第1のフェーズ110は、反応種制御フェーズと考えられ得る。誘導性の波動加熱又は共振ソースに対して、反応種生成は、ソース電力Pと共に直接拡大縮小し得る。この理由から、第1のソース電力レベルPS1は、様々な実施形態において、反応種制御フェーズ中にオンである。一実施形態では、反応種制御フェーズ中、第1のソース電力レベルPS1は、0よりも大きく、バイアス電力Pは、オフである(即ち、第1のバイアス電力レベルPB1は、0又は実質的に0に等しい)。そのフェーズ中、プラズマシステムに対するソース電力Pがオンであるため、反応種制御フェーズは、ソース電力フェーズと考えられ得る。
【0025】
他の実施形態では、ソース電力P及びバイアス電力Pは、両方とも反応種制御フェーズ中にオンである。例えば、バイアス電力Pは、反応種制御フェーズ中に維持又はパルス化されて、堆積プロセス中の成長を制御し、且つ/又は電子、イオン及びラジカルと共に生成される堆積種を除去することによって清浄度を維持し得る、イオンエネルギーに影響を及ぼし得る。
【0026】
定性グラフ102に示されるように、電子密度N及びラジカル密度Nは、第1のフェーズ110中に高い。例えば、ラジカル密度Nは、最初に増加し、その後、第1のフェーズ110中、高いレベルに維持される。電子密度Nは、第1のフェーズ110の初めに急速に増加し、第1のフェーズ110全体を通して増加し続ける。イオン密度は、電子密度Nに比例する。電子温度T及びイオンエネルギーεの両方は、第1のフェーズ110の始まりにおいてスパイクし、次いで、残りの間、実質的に一定の値を維持する。第1のフェーズ110では反応種と比較して小さいが、副生成物は、第1のフェーズ110中にも生成され得る。図示されるように、副生成物密度Nbpは、第1のフェーズ110中に段階的に増加し得る。
【0027】
第2のフェーズ120は、イオン/ラジカル制御フェーズと考えられ得る。イオン/ラジカル制御フェーズ中、ソース電力Pは、反応種制御フェーズと比較して減少する。例えば、ソース電力Pは、イオン/ラジカル制御フェーズの期間中にオフになり得る。イオン/ラジカル制御フェーズにおけるソース電力Pの減少又は除去により、基板への電流が減少するか又は除去され得る。さらに、印加されるバイアス電力Pは、電圧を増加させ得る。イオン/ラジカル制御フェーズ中、第2のバイアス電力レベルPB2は、第2のソース電力レベルPS2よりも大きい。同様に、第2のソース電力レベルPS2は、第1のソース電力レベルPS1よりも小さい。
【0028】
定性グラフ102に示されるように、電子密度Nは、急速に減少し、ラジカル密度Nは、比較的一定のままである(例えば、かなり遅い速度で減少する)。電子温度Tは、第1のフェーズ110と比較して第2のフェーズ120中にも実質的に一定の値を維持する。一方、イオンエネルギーεは、実質的に一定の値まで急速に増加する。特に、副生成物は、エッチング又は他のプラズマプロセスに起因して第2のフェーズ120中に生成され得る。図示されるように、副生成物密度Nbpは、第1のフェーズ110よりも速く第2のフェーズ120において増加する。
【0029】
複数のプラズマ処理特性は、第2のフェーズ120中に影響を受け得る。例えば、基板における電子流束Γ及びイオン流束Γは、減少し得る一方、基板におけるエネルギー流束Γエネルギーは、増加し得る。加えて、ラジカル流束Γは、同じ状態のままであるか、又はイオン流束Γに対して段階的に変化し得、それは、基板におけるイオンに対するラジカルの比率の増加をもたらす(例えば、ΓがΓより十分大きい)。例えば、滞留時間Tresがイオン/ラジカル制御フェーズ(第2の期間t)の期間よりも長い場合、ラジカル流束Γは、イオン流束Γと比較して明らかに減少しない場合がある。この状態において、ラジカル流束Γは、一定であると考えられ得、イオン流束Γは、過渡的であると考えられ得、それは、イオン流束Γに対するラジカル流束Γの比率が大きくなることをもたらす。
【0030】
第3のフェーズ130は、副生成物制御フェーズと考えられ得る。前述の通り、副生成物は、第2のフェーズ120中に生成されることがあり、副生成物は、基板において様々な濃度で望ましくても又は望ましくなくてもよい。例えば、基板における濃度の範囲内でプラズマプロセスに有利な影響を及ぼし得る副生成物が生成される場合がある。しかしながら、副生成物制御フェーズがないと、副生成物は、望ましくないことに、有利な範囲を超えるように累積し得る。副生成物は、複数の滞留時間にわたってサイクル間で累積することがあり、それは、不具合を誇張し、プラズマプロセスに対して副生成物が有し得る悪影響を悪化させる場合がある。例えば、副生成物は、サイクル間でプラズマ特性を変更することがある。
【0031】
副生成物制御フェーズ中、ソース電力Pは、第1のフェーズ110(例えば、反応種生成フェーズ)と比較して減少し、バイアス電力Pは、第2のフェーズ120(例えば、イオン/ラジカル制御フェーズ)と比較して減少する。一実施形態では、第3のソース電力レベルPS3及び第3のバイアス電力レベルPB3は、0又は実質的に0まで減少する。代替として、第3のソース電力レベルPS3又は第3のバイアス電力レベルPB3は、ゼロ以外であり得る。ソース電力P及びバイアス電力Pがオフであるか又は低いとき、副生成物は、除去され得る。例えば、種生成及びエッチングプロセスは、副生成物が生成されるよりも速く副生成物が吸い出されることを有利に可能にして、副生成物制御フェーズ中に減少又は除去され得る。
【0032】
基板及びプラズマシステムにおける副生成物密度Nbpが減少しているため、基板における副生成物流束Γbpも減少し得る。その結果、副生成物に対するイオンの比率及び副生成物に対するラジカルの比率も副生成物制御フェーズ中に制御され得る。例えば、定性グラフ102に示されるように、システム中の副生成物密度Nbpは、ラジカル密度N及び電子密度N(イオン密度Nに比例する)の両方よりもはるかに高速で変化する(即ち減少する)。その結果、副生成物に対するイオンの比率及び副生成物に対するラジカルの比率の両方が副生成物制御フェーズ中に変化し得る。
【0033】
ソース電力Pは、交流電流(AC)電力であり得る。いくつかの実施形態では、ソース電力Pは、無線周波数(RF)電力であり、様々な実施形態において超短波(VHF)である。いくつかの実施形態では、ソース電力Pは、約60MHz~約200MHzである。他の実施形態では、ソース電力Pは、約25MHz~約60MHzであり、一実施形態では27MHzである。ソース電力Pは、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、表面波プラズマ(SWP)などを生成し得る。例えば、ソース電力Pは、プラズマを生成するために螺旋共振器アンテナに結合され得る。
【0034】
同様に、バイアス電力Pは、AC電力であり得る。代替として、バイアス電力Pは、例えば、パルス直流(DC)電力であり得る。いくつかの実施形態では、バイアス電力Pは、RF電力であり、様々な実施形態では高周波(HF)であり、他の実施形態では中周波(MF)である。いくつかの実施形態では、バイアス電力Pは、約200kHz~約600kHzであり、一実施形態では400kHzである。他の実施形態では、バイアス電力Pは、約600kHz~約13MHzである。
【0035】
ソース電力P及びバイアス電力Pは、3つのフェーズのそれぞれの間、シングルパルス又は一連の電力パルスとしてそれぞれ印加され得る。例えば、シングルソースパルスが第1のフェーズ期間t内に第1のソース電力レベルPS1で印加され得る。代替として、一連のソースパルスが第1のフェーズ期間t内に印加され得る。同様に、シングルバイアス電力パルス又は一連のバイアス電力パルスは、第2のフェーズ期間t中、第2のソース電力レベルPB2で印加され得る。
【0036】
ガスは、所与のプラズマプロセスに従って選択され得る所望の流量でプラズマ処理装置の処理チャンバ内に与えられ得る。所与のプラズマプロセスの流量は、周期150(即ち第1のフェーズ110、第2のフェーズ120及び第3のフェーズ130)中、実質的に一定の値に維持され得る。一実施形態では、ガスは、臭化水素(HBr)を含む。様々な実施形態では、ガスは、ヘリウム(He)又はアルゴン(Ar)などの不活性ガスを含む。ガスは、酸素(O)、四フッ化炭素(CF)、三フッ素化窒素(NF)、六フッ化硫黄(SF)、塩素(Cl)、四塩化炭素(CCl)なども含み得る。
【0037】
3つのフェーズ(例えば、主に第2のフェーズ120)中に生じる副生成物は、処理チャンバのガス内の種の1つ又は複数からの要素及び/又は基板からの要素を含む化合物であり得る。例えば、ケイ素(Si)及びHBrガスを含む基板の場合、臭化ケイ素(SiBr)を含む副生成物が形成され得る。加えて又は代替として、フッ化ケイ素(SiF)及び塩化ケイ素(SiCl)などのケイ素含有残留物、フッ化炭素(CF)、ハイドロフルオロカーボン(CH)などの(例えば、フォトレジスト、有機層又はガス前駆体からの)炭素含有残留物など、他の副生成物が形成され得る。
【0038】
図2は、本発明の実施形態による、別の例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図を示す。図2の概略タイミング図は、例えば、図1の概略タイミング図100など、本明細書で説明される他の概略タイミング図の具体的な実装形態であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであり得る。
【0039】
図2を参照すると、概略タイミング図200は、パルス化されて、3つのフェーズ、第1のフェーズ210、第2のフェーズ220及び第3のフェーズ230を含む周期250中に反応種、イオン及び副生成物を生成する、ソース電力P及びバイアス電力Pを含む。第1のフェーズ210、第2のフェーズ220、第3のフェーズ230及び周期250は、それぞれ図1の第1のフェーズ110、第2のフェーズ120、第3のフェーズ130及び周期150の具体的な実装形態であり得る。例えば、概略タイミング図200は、バイアス電力Pが第1のフェーズ210及び第3のフェーズ230において(実質的に)オフであり、ソース電力Pが第3のフェーズ230において(実質的に)オフである、具体的な例に適用する。
【0040】
図示されるように、周期250は、プラズマプロセス中に繰り返し(例えば、周期的に)実行される、反応種制御フェーズ(第1のフェーズ210)、イオン/ラジカル制御フェーズ(第2のフェーズ220)及び副生成物制御フェーズ(第3のフェーズ230)を含む電力パルスの逐次的周期である。第1のソース電力レベルPS1は、0より大きく(即ちソース電力Pがオンである)、第1のバイアス電力レベルPB1は、第1のフェーズ210中、0又は実質的に0である(即ちバイアス電力Pがオフである)。様々な実施形態では、第1のソース電力レベルPS1は、第1のフェーズ210中、約700W~約900Wであり、一実施形態では、第1のフェーズ210中、約800Wである。第1のフェーズ期間tは、様々な実施形態において約10μs~約100μsである。一実施形態では、第1のフェーズ期間tは、約20μsである。
【0041】
第2のフェーズ220中、第2のバイアス電力レベルPB2は、第2のソース電力レベルPS2よりも大きい。任意選択で、ソース電力Pは、第2のフェーズ220中、オフにされる(即ち、第2のソース電力レベルPS2は、0又は実質的に0である)。様々な実施形態では、第2のバイアス電力レベルPB2は、第2のフェーズ220中、約300W~約500Wであり、一実施形態では、第2のフェーズ220中、約400Wである。第2のフェーズ期間tは、様々な実施形態において約20μs~約100μsである。一実施形態では、第2のフェーズ期間tは、約70μsである。
【0042】
第3のフェーズ230中、ソース電力Pがオフであり(即ち第3のソース電力レベルPS3が0又は実質的に0である)、バイアス電力Pがオフである(即ち第3のバイアス電力レベルPB3が0又は実質的に0である)。第3のフェーズ期間tは、基板の表面におけるガスのおよその局所滞留時間であり得る。比較により、基板の表面における副生成物の滞留時間は、(例えば、高流量に対して)はるかに短いことができる。その結果、第3のフェーズ期間tがガスの局所滞留時間より短いとき、副生成物は、基板の表面におけるラジカルよりも高速で有利に除去され得る。様々な実施形態では、第3のフェーズ期間tは、約50μs~約3msである。一実施形態では、第3のフェーズ期間tは、約100μsである。別の実施形態では、第3のフェーズ期間tは、約1msである。
【0043】
図3は、本発明の実施形態による、さらに別の例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図を示す。
【0044】
図3を参照すると、概略タイミング図300は、パルス化されて、3つのフェーズ、第1のフェーズ310、第2のフェーズ320及び第3のフェーズ330を含む周期350中に反応種、イオン及び副生成物を生成する、ソース電力P及びバイアス電力Pを含む。第1のフェーズ310、第2のフェーズ320、第3のフェーズ330及び周期350は、それぞれ図1の第1のフェーズ110、第2のフェーズ120、第3のフェーズ130及び周期150の具体的な実装形態であり得る。例えば、概略タイミング図300は、ソース電力P及びバイアス電力Pが第1のフェーズ310においてオンである、具体的な例に適用する。
【0045】
図示されるように、周期350は、プラズマプロセス中に繰り返し(例えば、周期的に)実行される、反応種制御フェーズ(第1のフェーズ310)、イオン/ラジカル制御フェーズ(第2のフェーズ320)及び副生成物制御フェーズ(第3のフェーズ330)を含む電力パルスの逐次的周期である。第1のフェーズ310中、第1のソース電力レベルPS1は、0より大きく(即ちソース電力Pがオンである)、第1のバイアス電力レベルPB1も0より大きい(即ちバイアス電力Pがオンである)。図示されるように、第1のバイアス電力レベルPB1は、第1のソース電力レベルPS1よりも大きいことができる。代替として、第1のバイアス電力レベルPB1は、第1のソース電力レベルPS1と等しいか又はそれよりも小さいこともできる。
【0046】
様々な実施形態では、第1のソース電力レベルPS1は、第1のフェーズ310中、約100W~約200Wであり、一実施形態では、第1のフェーズ310中、約150Wである。様々な実施形態では、第1のバイアス電力レベルPB1は、第1のフェーズ310中、約400W~約600Wであり、一実施形態では、第1のフェーズ310中、約500Wである。第1のフェーズ期間tは、様々な実施形態において約10μs~約100μsである。一実施形態では、第1のフェーズ期間tは、約20μsである。
【0047】
第2のフェーズ320中、第2のバイアス電力レベルPB2は、第2のソース電力レベルPS2よりも大きい。第2のソース電力レベルPS2は、第1のソース電力レベルPS1よりも小さい。任意選択で、ソース電力Pは、第2のフェーズ320中、オフにされる(即ち、第2のソース電力レベルPS2は、0又は実質的に0である)。図示されるように、第2のバイアス電力レベルPB2は、いくつかの実施形態において、第1のバイアス電力レベルPB1と(実質的に)等しいことができる。代替として、第2のバイアス電力レベルPB2は、第1のバイアス電力レベルPB1より大きいか又はそれよりも小さいことができる。
【0048】
様々な実施形態では、第2のソース電力レベルPS2は、第2のフェーズ320中、0W~約100Wである。一実施形態では、第2のソース電力レベルPS2は、第2のフェーズ320中、約50Wである。別の実施形態では、第2のソース電力レベルPS2は、第2のフェーズ320中、0Wである。様々な実施形態では、第2のバイアス電力レベルPB2は、第2のフェーズ320中、約400W~約600Wであり、一実施形態では、第2のフェーズ320中、約500Wである。第2のフェーズ期間tは、様々な実施形態において約20μs~約100μsである。一実施形態では、第2のフェーズ期間tは、約70μsである。
【0049】
第3のフェーズ330中、ソース電力Pは、低く(即ち、第3のソース電力レベルPS3は、第1のソース電力レベルPS1より小さい)、バイアス電力Pも低い(即ち、第3のバイアス電力レベルPB3は、第2のバイアス電力レベルPB2よりも小さい)。第3のフェーズ期間tは、基板の表面におけるガスのおよその局所滞留時間であり得る(例えば、図示されるように、第1のフェーズ期間tよりも長く、且つ第2のフェーズ期間tよりも長いことができる)。
【0050】
図4は、本発明の実施形態による、さらに別の例としてのプラズマ処理方法の概略タイミング図を示す。
【0051】
図4を参照すると、概略タイミング図400は、パルス化されて、3つのフェーズ、第1のフェーズ410、第2のフェーズ420及び第3のフェーズ430を含む周期450中に反応種、イオン及び副生成物を生成する、ソース電力P及びバイアス電力Pを含む。第1のフェーズ410、第2のフェーズ420、第3のフェーズ430及び周期450は、それぞれ図1の第1のフェーズ110、第2のフェーズ120、第3のフェーズ130及び周期150の具体的な実装形態であり得る。概略タイミング図400は、3つのフェーズのそれぞれが、隣接フェーズ間の遅延Dを表す追加パラメータによってさらに定義される、具体的な例に適用される。
【0052】
図示されるように、周期450は、プラズマプロセス中に繰り返し(例えば、周期的に)実行される、反応種制御フェーズ(第1のフェーズ410)、イオン/ラジカル制御フェーズ(第2のフェーズ420)及び副生成物制御フェーズ(第3のフェーズ430)を含む電力パルスの逐次的周期である。前述の通り、第1のフェーズ410は、不等式PS1>0によって特徴付けられ、第2のフェーズ420は、不等式PB2>PS2且つPS2<PS1によって特徴付けられ、第3のフェーズ430は、不等式PS3<PS1且つPB3<PB2によって特徴付けられる。しかしながら、隣接フェーズ間の遅延Dを表す追加パラメータも含まれる。遅延中、ソース電力P及びバイアス電力Pの両方がオフ又は実質的にオフにされ得る。
【0053】
具体的には、この例では、第1のフェーズ410、第2のフェーズ420及び第3のフェーズ430は、パラメータのセット{PS1,PB1,t,D}、{PS2,PB2,t,D}及び{PS3,PB3,t,D}によってそれぞれ定義され、ここで、Dは、第1のフェーズ410と第2のフェーズ420との間の第1の遅延であり、Dは、第2のフェーズ420と第3のフェーズ430との間の第2の遅延であり、Dは、第3のフェーズ430と、周期450が周期的に実行されるときの新たな周期450の後続の第1のフェーズ410との間の遅延である。加えて又は代替として、フェーズ間の遅延Dは、負でもあり得、それは、フェーズ間のオーバラップをもたらす。
【0054】
遅延パラメータは、本明細書で説明される実施形態のいずれかに含まれ得る。例えば、様々な実施形態では、第1の遅延Dは、約5μs~約15μsであり得、一実施形態では約10μsである。第1の遅延Dのそのような値は、図2及び他を参照して説明される例と併せて用いられ得る。この具体的な例において、第1の遅延Dは、第1のフェーズ期間t及び第2のフェーズ期間tの両方よりも短いが、これが当てはまらなくともよい。他の実施形態では、第1の遅延Dは、約500μs~約3msであり得、一実施形態では約1msである。第1の遅延Dのそのような値は、図3及び他を参照して説明される例と併せて用いられ得る。ここで、第1の遅延Dは、第1のフェーズ期間t及び第2のフェーズ期間tよりも長い。第2の遅延D及び第3の遅延Dは、所与のプラズマプロセスの所望の特性による類似の方式で変化し得る。
【0055】
図2の概略タイミング図200は、プラズマ処理の方法の実施形態の特定のグループを表し得る。例えば、概略タイミング図200は、シリコンエッチングプラズマプロセス中に用いられ得る。プロセス中にもたらされるガスは、例えば、He又はArなどの不活性ガス、HBr並びに少量のO及び/又はCFを含み得る。第1のソース電力レベルPS1は、約800Wであり得、第1のバイアス電力レベルPB1は、0又は実質的に0であり得、第1のフェーズ期間tは、約20μsであり得、第1の遅延Dは、約10μsであり得る。任意選択で、第1のバイアス電力レベルPB1は、底面のフィーチャ壁を清浄に保つために約500Wであり得る。第2のソース電力レベルPS2は、0又は実質的に0であり得、第2のバイアス電力レベルPB2は、約400Wであり得、第2のフェーズ期間tは、約70μsであり得る。任意選択で、第2のソース電力レベルPS2は、第2のフェーズ中に流束を増加させるために約100Wであり得る。第3のソース電力レベルPS3及び第3のバイアス電力レベルPB3は、0又は実質的に0であり得、第3のフェーズ期間tは、数百マイクロ秒(例えば、100μs)~数ミリ秒(例えば、3ms)の範囲内の値であり得る。
【0056】
同様に、概略タイミング図300は、プラズマ処理の方法の実施形態の異なるグループを表し得る。例えば、概略タイミング図300は、窒化ケイ素エッチングプロセス中に用いられ得る。このエッチングプロセスは、例えば、原子層エッチング(ALE)に類似し得る。プロセス中にもたらされるガスは、例えば、Arなどの不活性ガス及びC又はCなどの少量(例えば、5%)のフッ素化炭素を含み得る。第1のソース電力レベルPS1は、約100W~約200Wであり得、第1のバイアス電力レベルPB1は、約500Wであり得、第1の遅延Dは、プラズマのおよその両極性拡散時間であり得る。両極性拡散時間は、第1のフェーズ期間t及び第2のフェーズ期間tに対して長いことができる。上述の通り、第1のバイアス電力レベルPB1は、フッ素が関与しているときに重要であり得る底面のフィーチャ壁を清浄に保つために約500Wであり得る。例えば、バイアス電力は、基板における重合作用を制御するために第1のフェーズにおいて必要とされ得る。第2のソース電力レベルPS2は、0又は実質的に0であり得、第2のバイアス電力レベルPB2は、約500Wであり得る。第2のバイアス電力レベルPB2は、シリコンエッチングプラズマプロセスよりも高いことができる。任意選択で、第2のソース電力レベルPS2は、第2のフェーズ中に流束を増加させるために0W~約100Wであり得る。第3のソース電力レベルPS3及び第3のバイアス電力レベルPB3は、0又は実質的に0であり得、第3のフェーズ期間tは、数百マイクロ秒(例えば、100μs)~数ミリ秒(例えば、3ms)の範囲内の値であり得る。
【0057】
図5は、本発明の実施形態による、例としてのプラズマ処理システムのブロック図を示す。図5のプラズマ処理システムは、例えば、図1の概略タイミング図など、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかを実行する概略タイミング図を実施するために使用され得る。さらに、図5のプラズマ処理システムは、例えば、図7及び図8の方法など、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかを実行するために使用され得る。
【0058】
図5を参照すると、プラズマ処理システム500は、処理チャンバ540に結合されるソース電力結合要素511を含む。ソース電力結合要素511は、処理チャンバ540内又は処理チャンバ540に隣接して配置され得る。ソース電力結合要素511は、プラズマ60の生成をもたらす、処理チャンバ540へのソース電力Pの印加を可能にし得る。様々な実施形態では、ソース電力結合要素511は、処理チャンバ540の周りに位置する導電コイルであり、一実施形態では1/4波長螺旋共振器である。別の実施形態では、ソース電力結合要素511は、処理チャンバ540の上に位置する平面渦巻型コイルとして実施され得る半波螺旋共振器である。代替として、他のソース電力結合要素、例えばアンテナ、電極、導波管又は電子ビームが使用され得る。
【0059】
プラズマ処理システム500は、処理チャンバ540に結合されるバイアス電力結合要素521をさらに含む。バイアス電力結合要素521は、処理中のマイクロエレクトロニクス加工対象物へのバイアス電力Pの印加を可能にし得る。様々な実施形態では、バイアス電力結合要素521は、基板ホルダであり、一実施形態では静電チャックである。バイアス電力結合要素521は、基板を支持する基板ホルダ又は単純に基板自体とも呼ばれ得る。
【0060】
ソース電力Pは、ソース電力パルス変調回路51を含むソース電力制御経路17を用いて処理チャンバ540に結合され得る。ソース電力パルス変調回路51は、高振幅状態と低振幅状態との間でソース信号を変調し得る。変調ソース信号は、変調ソース信号上に波形を重畳し得る関数発生器15によって受信され得る。関数発生器15は、変調ソース信号の振幅を増大させるように構成される増幅回路も任意選択で含み得る。
【0061】
重畳された波形の周波数は、パルス変調周波数より高いことができる。様々な実施形態では、重畳された波形の周波数は、RF周波数であり得、一実施形態では約13.56MHzである。結果として、結果となるソース電力パルスのそれぞれは、重畳された波形の複数の周期を含み得る。波形形状は、正弦波、矩形波、鋸波などの周期波形を含み得る。代替として、波形形状は、任意波形形状を生成するように、様々な周波数の複数の正弦波の重畳などの非周期波を含み得る。
【0062】
ソース電力制御経路17は、任意選択のソースインピーダンス整合ネットワーク13を含み得る。関数発生器15によって生成されるソース電力パルスは、ソース電力結合要素511によって処理チャンバ540に結合される前に、任意選択のソースインピーダンス整合ネットワーク13を通過し得る。任意選択のソースインピーダンス整合ネットワーク13は、ソース電力結合要素511がプラズマ60に誘導結合される共振構造であるときなど、あるプラズマ処理システムにおいて省略され得る。逆に、任意選択のソースインピーダンス整合ネットワーク13は、ソース電力結合要素511が非共振であるときに含まれ得る。任意選択のソースインピーダンス整合ネットワーク13は、負荷のインピーダンスを供給のインピーダンスと整合させることによってソース電力Pがプラズマ60に有効に結合されることを保証するために使用され得る。
【0063】
図5をさらに参照すると、バイアス電力Pは、バイアス電力制御経路27を用いて処理チャンバ540に結合され得る。バイアス電力制御経路27は、パルス変調タイミング回路52を通してソース電力制御経路17に結合され得る。パルス変調タイミング回路52は、ソース電力制御経路17によって生成されるソース電力パルスのタイミングに対するバイアス電力パルスのタイミングを決定し得る。パルス変調タイミング回路52は、ソース電力パルス変調回路51から信号を受信し、ソース電力パルスの前縁又は後縁のいずれかによってトリガされる遅延を導入し得る。代替として、パルス変調タイミング回路52は、バイアス電力制御経路27によって生成されるバイアス電力パルスのタイミングに対するソース電力パルスのタイミングを決定し得る。
【0064】
ソース電力制御経路17と同様に、バイアス電力制御経路27は、パルス変調タイミング回路52によってトリガされる任意選択のバイアス電力パルス変調回路53を含み得る。任意選択のバイアス電力パルス変調回路53は、高振幅状態と低振幅状態との間でバイアス信号を変調し得る。代替として、任意選択のバイアス電力パルス変調回路53は、省略され得、遅延された変調ソース信号は、バイアス電力パルスに対応し得る。
【0065】
変調バイアス信号は、任意選択の関数発生器25によって受信され得る。任意選択の関数発生器25は、変調バイアス信号上に波形を重畳し得る。波形は、変調ソース信号上に重畳された波形に類似するか又は異なり得、前述のような任意の所望の波形形状を有し得る。任意選択の関数発生器25は、変調バイアス信号の振幅を増大させるために、任意選択で増幅回路も含み得る。一実施形態では、処理チャンバ540に放出されるバイアス電力Pは、AC電力である。代替として、処理チャンバ540に放出されるバイアス電力は、DC電力である。この場合、任意選択の関数発生器25は、省略され得る。増幅が必要とされるが、関数発生が必要とされない、いくつかの場合において、増幅回路は、任意選択の関数発生器25の代わりに含まれ得る。
【0066】
バイアス電力インピーダンス整合ネットワーク23も、任意選択の関数発生器25とバイアス電力結合要素521との間のバイアス電力制御経路27に含まれる。バイアス電力インピーダンス整合ネットワーク23は、負荷のインピーダンスを供給のインピーダンスに整合させることによってバイアス電力Pが処理チャンバ540に有効に結合されることを保証するために使用され得る。
【0067】
上述された要素の1つ又は複数がコントローラに含まれ得る。例えば、図5に示されるように、ソース電力パルス変調回路51、パルス変調タイミング回路52及び任意選択のバイアス電力パルス変調回路53がコントローラ50に含まれ得る。コントローラ50は、処理チャンバ540に対してローカルに位置し得る。代替として、コントローラ50は、処理チャンバ540に対してリモートに位置し得る。コントローラ50は、ソース電力制御経路17及びバイアス電力制御経路27に含まれる要素の1つ又は複数とデータを交換することが可能であり得る。インピーダンス整合ネットワークのそれぞれは、コントローラ50によって制御され得るか、又は個々のコントローラを含み得る。
【0068】
コントローラ50は、本明細書で説明される3フェーズ周期の実施形態を用いてプラズマを発生させることと、マイクロエレクトロニクス加工対象物を処理することとに関連する様々なプロセスパラメータを設定、モニタリング及び/又は制御するように構成され得る。プロセスパラメータは、ソース電力及びバイアス電力の両方についての電力レベル、周波数及びデューティサイクルパーセンテージ並びにフェーズ期間、隣接フェーズ間の遅延、ガス流量、パルス形状、パルス周波数、パルス数、ガス組成物、バイアス極性などを含み得るが、これらに限定されない。他のプロセスパラメータも使用され得る。
【0069】
図6A図6B及び図6Cは、本発明の実施形態による、誘導結合プラズマ処理装置の概略図を示し、図6Aは、反応種制御フェーズ中の誘導結合プラズマ処理装置を示し、図6Bは、イオン/ラジカル制御フェーズ中の誘導結合プラズマ処理装置を示し、図6Cは、副生成物制御フェーズ中の誘導結合プラズマ処理装置を示す。
【0070】
図6A図6B及び図6Cを参照すると、誘導結合プラズマ(ICP)処理システム600は、発生器回路を含み得るACソース電源67を含む。ACソース電源67は、処理チャンバ640に隣接して配置される誘導性要素611に結合される。一実施形態では、誘導性要素611は、図示されるように平面コイルである。他の実施形態では、誘導性要素611は、螺旋共振器コイルである。誘導性要素611は、例えば、図5のソース電力結合要素511の具体的な実装形態であり得る。発生器回路も含み得るバイアス電源65は、基板16を支持し得る基板ホルダ621に結合される。基板ホルダ621は、例えば、図5のバイアス電力結合要素521の具体的な実装形態であり得る。
【0071】
1つ又は複数のポンプ出口70も処理チャンバ640に含まれる。ポンプ出口70を通るガス流量は、処理チャンバ640からの副生成物の除去に有利に寄与し得る。様々な実施形態では、ポンプ出口70は、基板ホルダ621及び基板16付近(例えば、下及び周辺部)に配置される。
【0072】
ACソース電源67及びバイアス電源65は、図1図5などにおいて前述した実施形態に従い、ソース電力P及びバイアス電力Pをそれぞれ生成し得る。プラズマ60は、誘導性要素611(例えば、平面又はソレノイド/螺旋コイル又はアンテナ)と基板ホルダ621との間の基板16付近に形成される。誘電物質(図示せず)は、誘導性要素611をプラズマ60から分離し得る。
【0073】
図6Aを参照すると、プラズマ60は、プラズマプロセスの反応種制御フェーズ中に生成され得る。プラズマ60は、プラズマ60から全ての方向に分散する対応する流束(イオン流束Γ、電子流束Γ及びラジカル流束Γ)を生じ得る、イオンソースS、電子ソースS及びラジカルソースSなどの様々な種のソースとして機能し得る。副生成物は、基板16において副生成物流束Γbpによって示される反応種制御フェーズ中にも生成され得る。エネルギーは、エネルギー流束Γエネルギーによって示されるように、反応種制御フェーズ中に基板16にも移送され得る。
【0074】
ここで、図6Bを参照すると、プラズマ60(図示せず)は、イオン/ラジカル制御フェーズにおいて(例えば、残光として)依然として存在し得るが、電子流束Γ及びイオン流束Γは、減少し、エネルギー流束Γエネルギーは、基板16において増加し得る。流量Qは、処理チャンバ640の側壁に向かって種を運び得る。イオン/ラジカル制御フェーズ中、ラジカル流束Γは、基板16に向かう矢印によって示されるように、実質的に一定のままであり得る。減少するイオン流束Γと組み合わせた実質的に一定のラジカル流束Γは、イオン/ラジカル制御フェーズ中、ラジカルに対するイオンの比率を減少させ得る。
【0075】
ここで、図6Cを参照すると、図示されるように非常に低いか又は0であるソース電力に起因して、プラズマ60は、副生成物制御フェーズにおいて存在しても又はしなくてもよい。副生成物制御フェーズ中、流量Qは、処理チャンバ640の側面に向かい続け、ガス流31は、新たな副生成物が生成されるよりも高速で副生成物をポンプ出口70に運び得る。これにより、基板16における副生成物流束Γbpが減少し、副生成物を処理チャンバ640の側面及びポンプ出口70に輸送する副生成物流量BPが導入及び/又は拡大され得る。イオン/ラジカル制御フェーズでのように、ラジカル流束Γは、実質的に一定のままであり続け得る(例えば、副生成物制御フェーズの期間に対して非常にゆっくりと減少し得る)。
【0076】
図7は、本発明の実施形態による、プラズマ処理の例としての方法を示す。図7の方法は、本明細書で説明される概略タイミング図の実施形態並びにプラズマ処理システム及び装置の実施形態を用いて実行され得る。例えば、図7の方法は、図1図6の実施形態のいずれかと組み合わされ得る。矢印は、イベントの特定の順序を示すように意図されるが、図7に示される方法は、特定の順序に限定されるように意図されないことに留意されたい。したがって、以下の方法のステップは、当業者に明らかであり得るような任意の適当な順序で実行され得る。
【0077】
プラズマ処理の方法700のステップ710は、プロセスパラメータの第1のセット、{PS1,PB1,t}(ここで、PS1>0である)によって定義される第1のフェーズ中にソース電力パルスをプラズマ処理チャンバに印加することを含む。ステップ720は、プロセスパラメータの第2のセット、{PS2,PB2,t}(ここで、PS2<PS1且つPB2>PS2である)によって定義される第2のフェーズ中にバイアス電力パルスをプラズマ処理チャンバ内の基板に印加することを含む。ステップ730は、プロセスパラメータの第3のセット、{PS3,PB3,t}(ここで、PS3<PS1且つPB3<PB2である)によって定義される第3のフェーズ中にプラズマ処理チャンバ内の副生成物の量を減少させることを含む。図示されるように、ステップ710、ステップ720及びステップ730の組み合わせが周期750である。破線矢印によって示されるように、ステップ730後、ステップ710が繰り返され得る。
【0078】
図8は、本発明の実施形態による、別の例としてのプラズマ処理の方法を示す。図8の方法は、本明細書で説明される概略タイミング図の実施形態並びにプラズマ処理システム及び装置の実施形態を用いて実行され得る。例えば、図8の方法は、図1図6の実施形態のいずれかと組み合わされ得る。矢印は、イベントの特定の順序を示すように意図されるが、図8に示される方法は、特定の順序に限定されるように意図されないことに留意されたい。したがって、以下の方法のステップは、当業者に明らかであり得るような任意の適当な順序で実行され得る。
【0079】
プラズマ処理の方法800のステップ810は、処理チャンバにソース電力をパルス印加してプラズマ中にイオン及びラジカルを生成することを含む。ステップ820は、処理チャンバへのソース電力を減少させることと、処理チャンバの基板にバイアス電力をパルス印加することとを含む。ステップ830は、処理チャンバへのソース電力を減少させることと、基板へのバイアス電力を減少させることとを含む。図示されるように、ステップ810、ステップ820及びステップ830の組み合わせが周期850である。破線矢印によって示されるように、ステップ830後、ステップ810が繰り返され得る。
【0080】
ここで、本発明の例としての実施形態が要約される。他の実施形態も、本明細書の全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解され得る。
【0081】
例1.プラズマ処理の方法であって、処理チャンバにソース電力をパルス印加して、プラズマ中にイオン及びラジカルを生成することを含む反応種制御フェーズを実行することと、反応種制御フェーズ後にイオン/ラジカル制御フェーズを実行することであって、イオン/ラジカル制御フェーズは、処理チャンバへのソース電力を減少させることと、処理チャンバ内の基板にバイアス電力をパルス印加することとを含む、実行することと、イオン/ラジカル制御フェーズ後に副生成物制御フェーズを実行することであって、副生成物制御フェーズは、反応種制御フェーズに対して処理チャンバへのソース電力を減少させることと、イオン/ラジカル制御フェーズに対して基板へのバイアス電力を減少させることとを含む、実行することとを含む方法。
【0082】
例2.反応種制御フェーズ、イオン/ラジカル制御フェーズ及び副生成物制御フェーズを周期的に実行することをさらに含む、例1に記載の方法。
【0083】
例3.処理チャンバにガスを提供することであって、ガスの流量は、反応種制御フェーズ、イオン/ラジカル制御フェーズ及び副生成物制御フェーズ中、実質的に一定である、提供することをさらに含む、例1及び2の1つに記載の方法。
【0084】
例4.反応種制御フェーズは、バイアス電力を基板にパルス印加することをさらに含む、例1~3の1つに記載の方法。
【0085】
例5.副生成物制御フェーズは、副生成物制御フェーズの全てにわたり、ソース電力を実質的に0まで減少させることと、副生成物制御フェーズの全てにわたり、バイアス電力を実質的に0まで減少させることとをさらに含む、例1~4の1つに記載の方法。
【0086】
例6.副生成物制御フェーズは、バイアス電力を基板にパルス印加して、基板における副生成物の再堆積を制御することをさらに含む、例1~5の1つに記載の方法。
【0087】
例7.例1~6の1つに記載の方法を実行するように構成される装置であって、処理チャンバに隣接して配置された結合要素と、基板を支持する基板ホルダと、結合要素に結合され、且つソース電力をパルス印加するように構成されるソース電力供給ノードと、基板ホルダに結合され、且つバイアス電力をパルス印加するように構成されるバイアス電力供給ノードとを含む装置。
【0088】
例8.プラズマ処理の方法であって、ソース電力パルスが結合要素に印加され、及びバイアス電力パルスが、基板を支持する基板ホルダに印加される、電力パルスの周期を使用して基板を処理することを含み、電力パルスの周期は、第1のソース電力レベル及び第1のバイアス電力レベルを含む第1のフェーズと、第2のソース電力レベル及び第2のバイアス電力レベルを含む第2のフェーズと、第3のソース電力レベル及び第3のバイアス電力レベルを含む第3のフェーズとを含み、第1のバイアス電力レベルは、0より大きく、第2のソース電力レベルは、第1のソース電力レベルより小さく、第2のバイアス電力レベルは、第2のソース電力レベルより大きく、第3のソース電力レベルは、第1のソース電力レベルより小さく、第3のバイアス電力レベルは、第2のバイアス電力レベルより小さい、方法。
【0089】
例9.電力パルスの周期を繰り返し実行することをさらに含む、例8に記載の方法。
【0090】
例10.第1のバイアス電力レベルは、実質的に0である、例8及び9の1つに記載の方法。
【0091】
例11.第1のバイアス電力レベルは、0より大きい、例8~10の1つに記載の方法。
【0092】
例12.第3のバイアス電力レベルは、0より大きい、例8~11の1つに記載の方法。
【0093】
例13.第3のソース電力レベル及び第3のバイアス電力レベルの両方は、実質的に0である、例8~12の1つに記載の方法。
【0094】
例14.例8~13の1つに記載の方法を実行するように構成される装置であって、処理チャンバと、結合要素に結合され、且つソース電力パルスを生成するように構成されるソース電力供給ノードと、基板ホルダに結合され、且つバイアス電力パルスを生成するように構成されるバイアス電力供給ノードとを含む装置。
【0095】
例15.プラズマ処理の方法であって、0より大きい第1のソース電力レベル及び第1のバイアス電力レベルを含む第1のフェーズ中、ソース電力パルスをプラズマ処理チャンバに印加することと、第1のフェーズ後の第2のフェーズ中、プラズマ処理チャンバ内の基板にバイアス電力パルスを印加することであって、第2のフェーズは、第1のソース電力レベルより小さい第2のソース電力レベル及び第2のソース電力レベルより大きい第2のバイアス電力レベルを含む、印加することと、第2のフェーズ後の第3のフェーズ中、プラズマ処理チャンバ内の副生成物の量を減少させることであって、第3のフェーズは、第1のソース電力レベルより小さい第3のソース電力レベル及び第2のバイアス電力レベルより小さい第3のバイアス電力レベルを含む、減少させることとを含む方法。
【0096】
例16.第3のソース電力レベル及び第3のバイアス電力レベルの両方は、実質的に0である、例15に記載の方法。
【0097】
例17.第1のフェーズ、第2のフェーズ及び第3のフェーズを周期的に実行することをさらに含む、例15及び16の1つに記載の方法。
【0098】
例18.ガス流量は、第1のフェーズ、第2のフェーズ及び第3のフェーズ中、実質的に一定の値に維持される、例15~17の1つに記載の方法。
【0099】
例19.第1のフェーズは、第1のソース電力レベルのソースパルスのシーケンスを含む、例15~18の1つに記載の方法。
【0100】
例20.例15~19の1つに記載の方法を実行するように構成される装置であって、プラズマ処理チャンバに隣接して配置された結合要素と、基板を支持する基板ホルダと、結合要素に結合され、且つソース電力パルスを印加するように構成されるソース電力供給ノードと、基板ホルダに結合され、且つバイアス電力パルスを印加するように構成されるバイアス電力供給ノードとを含む装置。
【0101】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、この説明は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。例えば、図2図4の実施形態の1つ又は複数は、さらなる実施形態において組み合わされ得る。同様に、図7を参照して説明される実施形態は、図8と組み合わされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のそのような修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【国際調査報告】