(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(54)【発明の名称】半導体製造における動的プロセス制御
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221017BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20221017BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20221017BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20221017BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B13/02 A
C23C16/455
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508765
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020045794
(87)【国際公開番号】W WO2021030364
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマー・プルショッタム
(72)【発明者】
【氏名】ミアオ・テンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ゲンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホー・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アベル・ジョセフ・アール.
(72)【発明者】
【氏名】アター・シッダッパ
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・プルキット
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5H004
【Fターム(参考)】
4K030EA03
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5H004KC32
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5H004KD62
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】例えば、半導体製造用途における基板処理の動的プロセス制御のための方法及びシステムが提供される。いくつかの例示的なシステム及び方法は、原子層堆積(ALD)プロセスにおける高度な監視及び機械学習のために提供される。いくつかの例は、チャンバパラメータ整合のための動的プロセス制御と監視、及びガスラインの充填時間にも関連する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセスにおける処理サイクルを監視するためのシステムであって、
前記製造プロセスのための処理チャンバ、及び
プロセス監視動作を実行するように構成された1つ又は複数のコントローラを含み、
前記動作は、
前記製造プロセスのパラメータを識別し、
前記製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成することを含み、前記パラメータ値は、前記処理チャンバを供給するラインのガスライン充填時間を含む、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記動作は、
前記処理チャンバを供給する前記ライン内のバルブの開放とその後の一定の圧力増加の確立との間の圧力ランプアップ時間に基づいて、前記ガスライン充填時間を計算することをさらに含む、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記動作は、
前記第1のサイクルについて生成された前記曲線に基づいて、
前記製造プロセスの第2のサイクルについての前記パラメータの第2の値を識別すること、
前記製造プロセスの前記第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、及び
パラメータ値の前記第2の曲線をパラメータ値の前記第1の曲線とカーブフィッティングさせること
をさらに含む、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記カーブフィッティングの動作は、
前記製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値の曲線を、前記第1又は第2の曲線にあてはめて、前記製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成すること
を含む、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスにおける複数のステップを含み、
前記動作は、
前記ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を前記黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させること
をさらに含む、システム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムであって、前記黄金曲線は前記ALDプロセスの各ステップに対する黄金パラメータ値を含む、システム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムであって、前記識別されたパラメータは、前記製造プロセスの制御変数と関連付けられており、
前記動作は、
前記第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、前記第2のサイクルにおける前記制御変数の値と前記第1のサイクルにおける前記制御変数の値との整合値を識別すること、及び
前記第1のパラメータ値を前記第2のパラメータ値と一致させるように前記製造プロセスを調整すること
をさらに含む、システム。
【請求項8】
製造プロセスにおける処理サイクルを監視するための方法であって、
前記製造プロセスのパラメータを識別し、
前記製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成することを含み、パラメータ値は、前記処理チャンバを供給するラインのガスライン充填時間を含む、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記動作は、
前記処理チャンバを供給する前記ライン内のバルブの開放とその後の一定の圧力増加の確立との間の圧力ランプアップ時間に基づいて、前記ガスライン充填時間を計算すること
をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記動作は、
前記第1のサイクルについて生成された前記曲線に基づいて、
前記製造プロセスの第2のサイクルについての前記パラメータの第2の値を識別すること、
前記製造プロセスの前記第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、及び
パラメータ値の前記第2の曲線をパラメータ値の前記第1の曲線とカーブフィッティングさせること
をさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記カーブフィッティングの動作は、
前記製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値の曲線を、前記第1又は第2の曲線にあてはめて、前記製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスにおける複数のステップを含み、
前記動作は、
前記ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を前記黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させること
をさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記黄金曲線は前記ALDプロセスの各ステップに対する黄金パラメータ値を含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記識別されたパラメータは、前記製造プロセスの制御変数と関連付けられており、
前記動作は、
前記第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、前記第2のサイクルにおける前記制御変数の値と前記第1のサイクルにおける前記制御変数の値との整合値を識別すること、及び
前記第1のパラメータ値を前記第2のパラメータ値と一致させるように前記製造プロセスを調整すること
をさらに含む、方法。
【請求項15】
機械可読媒体であって、機械によって読み取られた際に、機械に、
製造プロセスのパラメータを識別し、
前記製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成する動作を実行させる命令を含み、前記パラメータ値は、前記処理チャンバを供給するラインのガスライン充填時間を含む、
機械可読媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の媒体であって、前記動作は、
前記処理チャンバを供給する前記ライン内のバルブの開放とその後の一定の圧力増加の確立との間の圧力ランプアップ時間に基づいて、前記ガスライン充填時間を計算すること
をさらに含む、媒体。
【請求項17】
請求項16に記載の媒体であって、前記動作は、
前記第1のサイクルについて生成された前記曲線に基づいて、前記製造プロセスの第2のサイクルについての前記パラメータの第2の値を識別すること、
前記製造プロセスの前記第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、及び
パラメータ値の前記第2の曲線をパラメータ値の前記第1の曲線とカーブフィッティングさせること
をさらに含む、媒体。
【請求項18】
請求項17に記載の媒体であって、前記カーブフィッティングの動作は、
前記製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値の曲線を、前記第1又は第2の曲線にあてはめて、前記製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成することを含む、媒体。
【請求項19】
請求項18に記載の媒体であって、前記製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスにおける複数のステップを含み、
前記動作は、
前記ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を前記黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させること
をさらに含む、媒体。
【請求項20】
請求項18に記載の媒体であって、前記黄金曲線は前記ALDプロセスの各ステップについての黄金パラメータ値を含む、媒体。
【請求項21】
請求項15に記載の媒体であって、前記識別されたパラメータは、前記製造プロセスの制御変数と関連付けられており、
前記動作は、
前記第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、前記第2のサイクルにおける前記制御変数の値と前記第1のサイクルにおける前記制御変数の値との整合値を識別すること、及び
前記第1のパラメータ値を前記第2のパラメータ値と一致させるように前記製造プロセスを調整すること
をさらに含む、媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本特許出願は、2019年8月12日に出願された、Kumarらによる「Dynamic Process Control In Semiconductor Manufacturing」と題する米国仮特許出願第62/885,667号の優先権の利益を主張し、上記の出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、基板処理における動的プロセス制御に関し、いくつかの例では、原子層堆積(ALD)プロセスにおける高度な監視及び機械学習のためのシステム及び方法に関する。いくつかの例は、チャンバ整合のための動的プロセス制御と監視、及びガスラインの充填時間にも関連する。
【背景技術】
【0003】
現在、基板処理チャンバに関連する、ほとんどではないにせよ多くのパラメータは、構成要素の設定値付近で動作するように監視される。例えば、マスフローコントローラ(MFC)のフローやチャンバ圧は、一定の誤差マージンを含み得る。この誤差に対応するために、パラメータの上限又は下限を、ある値や一定の割合に設定可能とすることが一般的である。例えば、ALDプロセスでは、バルブの開閉時間を監視し、その時間を適宜監視パラメータに反映させる。
【0004】
しかしながら、現在のプロセス監視方法は、一般的に、処理チャンバ又はその構成要素の比較的広範囲、又は大まかな不具合を検出することにのみに適している。このような大まかな検出は、例えば化学気相堆積(CVD)又はプラズマ励起化学気相堆積(PECVD)プロセスのような、定常状態又は単一ステップの状況では問題ないが、チャンバ状態がミリ秒で変化するALDなどの複数ステップのプロセスでの使用又は適用に対しては限界がある。
【0005】
ここで提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を大まかに提示することを目的とする。この背景技術の項で説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、並びに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示又は暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、概して、半導体基板の製造システムにおける動的プロセス制御に関する。いくつかの例では、ALDプロセスにおける高度な監視及び機械学習のためのシステム及び方法を提供する。いくつかの例は、チャンバ整合のための動的プロセス制御と監視、及びガスラインの充填時間にも関連する。いくつかの例は、半導体処理としての文脈で説明されているが、そのような文脈外の基板処理、例えば、金属やフォトマスクのような誘電体の処理にも同様に適用可能である。
【0007】
いくつかの例においては、連続するALDサイクルを個別に監視し、ALDサイクルのすべてのステップをカーブフィッティング又は定義された誤差マージンを使用して一致させる。すべてのALDサイクルは、いくつかの例では反復可能となっており、異なる変数の反復性を監視するために、時間基準を定義できる。いくつかの例では、異なる測定変数についての連続したALDサイクルの比較が行われてもよい。変数の例としては、チャンバ圧、前駆体供給圧(又は前駆体マニホールド圧)、反射高周波(RF)エネルギー、順方向電力、及びバーストパージ圧などを含み得る。また、これら以外の監視変数やパラメータを使用してもよい。
【0008】
いくつかの例は、監視値からの偏差に基づくツール警告又はエラーメッセージを提供する。いくつかの例は、これらの目標を実現するためのアルゴリズムやソフトウェアを含む。
【0009】
実施形態の一例は、原子層堆積(ALD)半導体製造プロセスにおける処理サイクルを監視するためのシステムを提供する。システムの一例は、ALD製造プロセスのための処理チャンバ、及び、プロセス監視動作を実行するように構成された1つ又は複数のコントローラを含み、前記動作は、製造プロセスにおける反復動作に基づいてALDサイクルの時間基準を定義すること、時間基準に基づく周期的な時間増分における一連のデータ点に対する一連のパラメータ値を含む黄金曲線にアクセスすること、黄金曲線における各データ点に対する変動性又は公差マージンにアクセスすること、ALD製造プロセスにおける1サイクルの周期的な時間増分に基づいてパラメータデータを収集すること、あるデータ点において、パラメータデータのパラメータ値が変動性又は公差マージン内であるかどうかを動的に監視すること、パラメータ値が変動性又は公差マージンから外れたと判断したことに基づいて、後続のサイクルにおけるパラメータ値が黄金曲線における関連するパラメータ値と一致するように前記製造プロセスを調整することを含む。
【0010】
いくつかの例では、時間基準の基礎を形成する反復動作は、処理チャンバを供給する特定のバルブの開閉を含む。いくつかの例では、パラメータデータは、収集頻度に基づいて規則的な間隔で収集され、収集頻度は、0~1Hz、1~10Hz、10~100Hz、又は100~1000Hzの範囲内である。
【0011】
いくつかの例では、規則的な間隔は、ALD製造プロセスにおけるトリガポイントに基づき、各トリガポイントは、ALD製造プロセス内のステップにおける時点を定義するか、あるいはそれに基づく。
【0012】
いくつかの例では、前記動作は、トリガポイントにおいて収集されたパラメータデータを、黄金曲線における対応するパラメータデータセットと比較することをさらに含む。いくつかの例では、パラメータデータは、前駆体マニホールド圧、パージ圧、コンバージョンマニホールド圧、チャンバ圧、ガスフロー、RF反射電力、及びRF順方向電力のうちの1つ又は複数に関連するパラメータ値を含む。
【0013】
さらなる例において、システムの一例は、製造プロセスのための処理チャンバ、及び、プロセス監視動作を実行するように構成された1つ又は複数のコントローラを含み、前記動作は、製造プロセスのパラメータを識別すること、製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成すること、第1のサイクルについて生成された曲線に基づいて、製造プロセスの第2のサイクルについてのパラメータの第2の値を識別すること、及び、第1のパラメータ値を第2のパラメータ値と一致させるように製造プロセスを調整することを含む。
【0014】
いくつかの例では、前記動作は、製造プロセスの第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、及び、パラメータ値の第2の曲線をパラメータ値の第1の曲線とカーブフィッティングさせることをさらに含む。
【0015】
いくつかの例では、カーブフィッティング動作は、製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値曲線を、第1又は第2の曲線にあてはめて、製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成することを含む。いくつかの例では、製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスの複数のステップを含み、前記動作はさらに、ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させることを含む。
【0016】
いくつかの例では、黄金曲線は、ALDプロセスの各ステップに対する黄金パラメータ値を含む。いくつかの例では、識別されたパラメータは製造プロセスの制御変数に関連付けられ、前記動作は、第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、第2のサイクルにおける制御変数の値と第1のサイクルにおける制御変数の値との整合値を識別すること、及び第1のパラメータ値を第2のパラメータ値と一致させるように製造プロセスを調整することをさらに含む。
【0017】
さらなる例では、半導体製造サイクルにおける処理ステップを監視するための自己学習システムを提供する。システムの一例は、一連の反復半導体製造サイクルを含む半導体製造プロセスを収容する処理チャンバを含み、各サイクルは複数の処理ステップと、プロセス監視動作を行うように構成された処理チャンバに関連付けられた1つ又は複数のコントローラを含み、前記動作は、処理チャンバから収集されたパラメータデータに基づいて一連の反復サイクルにおける各ステップについて基準黄金パラメータ値のセットを生成すること、基準黄金値のセットに基づいて機械学習モデルを生成すること、機械学習モデルを使用して、一連の反復サイクルにおける第2のサイクルにおけるパラメータ値を、一連の反復サイクルにおける第1のサイクルにおける対応するパラメータ値と一致させることを含む。
【0018】
いくつかの例では、半導体製造プロセスはALDプロセスであり、一連の反復サイクルにおける各サイクルのステップは、ドーズステップ、パージステップ、コンバージョンステップ、及びパージステップを含む連続的ステップを含む。
【0019】
いくつかの例では、前記動作は、各連続ステップでパラメータ値データを含む黄金曲線を生成すること、機械学習モデルのための訓練データとして黄金曲線を使用することをさらに含む。
【0020】
いくつかの例では、前記動作は、機械学習モデルに基づいて、第2のサイクルの各連続ステップにおけるパラメータ値を第1のサイクルの各連続ステップの対応するパラメータ値と一致させることによって、一連の反復サイクルにおける各サイクルを反復及び一致させることをさらに含む。
【0021】
いくつかの例では、パラメータは、前駆体マニホールド圧、パージ圧、チャンバ圧、ガスフロー、チャンバ温度、RF反射電力、及びRF順方向電力のうちの1つ又は複数を含む。
【0022】
いくつかの例では、前記動作は、処理チャンバからパフォーマンスデータを収集すること、パフォーマンスデータのドリフトを識別し、パフォーマンスドリフトデータを生成すること、及びドリフトデータを機械学習モデルのための訓練データに組み込むことをさらに含む。
【0023】
さらなる例では、半導体製造プロセスにおける処理サイクルを監視するためのシステムを提供する。ここで、システムの一例は、製造プロセスのための処理チャンバ、及び、プロセス監視動作を実行するように構成された1つ又は複数のコントローラを含み、前記動作は、製造プロセスのパラメータを識別すること、製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成することを含み、前記パラメータ値は、処理チャンバを供給するラインのガスライン充填時間を含む。
【0024】
いくつかの例では、前記動作は、処理チャンバを供給するライン内のバルブの開放とその後の一定の圧力増加の確立との間の圧力ランプアップ時間に基づいて、ガスライン充填時間を計算することをさらに含む。いくつかの例では、前記動作は、第1のサイクルについて生成された曲線に基づいて、製造プロセスの第2のサイクルについてのパラメータの第2の値を識別すること、製造プロセスの第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、パラメータ値の第2の曲線をパラメータ値の第1の曲線とカーブフィッティングさせることをさらに含む。
【0025】
いくつかの例では、カーブフィッティング動作は、製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値曲線を、第1又は第2の曲線にあてはめて、製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成することを含む。いくつかの例では、製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスの複数のステップを含み、前記動作はさらに、ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させることを含む。
【0026】
いくつかの例では、黄金曲線は、ALDプロセスの各ステップに対する黄金パラメータ値を含む。
【0027】
いくつかの例では、識別されたパラメータは製造プロセスの制御変数に関連付けられ、前記動作は、第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、第2のサイクルにおける制御変数の値と第1のサイクルにおける制御変数の値との整合値を識別すること、及び、第1のパラメータ値を第2のパラメータ値と一致させるように製造プロセスを調整することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
いくつかの実施形態を、添付の図面を参照して説明する。なおこれらの実施形態は例示であり、限定として示されるものではない。
【0029】
【
図1】
図1は、いくつかの例に係る、本開示の方法のいくつかの例が適用可能な反応チャンバの概略図である。
【0030】
【
図2A】
図2Aは、例示的な実施形態に係る、チャンバパラメータを監視するための従来の方法の態様を表示する。
【
図2B】
図2Bは、例示的な実施形態に係る、チャンバパラメータを監視するための従来の方法の態様を表示する。
【
図2C】
図2Cは、例示的な実施形態に係る、チャンバパラメータを監視するための従来の方法の態様を表示する。
【0031】
【
図3】
図3は、例示的な実施形態に係る、30ALDサイクルの例示的なカーブフィッティングを示すグラフ300である。
【0032】
【
図4】
図4は、例示的な実施形態に係る、公差マージンを含むグラフである。
【0033】
【
図5】
図5は、例示的な実施形態に係る、ある方法における例示的な動作のフローチャートを示す。
【0034】
【
図6】
図6は、例示的な実施形態に係る、ALDサイクルにおける例示的なステップ及びパラメータの表を示す。
【0035】
【
図7】
図7は、例示的な実施形態に係る、ALDサイクルにおけるプロセス制御のための黄金及び修正値の例の表を示す。
【0036】
【
図8】
図8は、例示的な実施形態に係る、整合方法での例示的な整合動作を示す。
【0037】
【
図9】
図9は、例示的な実施形態に係る、例示的なチャンバ間の相違を示す。
【0038】
【
図10】
図10は、例示的な実施形態に係る、ALDサイクルにおける前駆体マニホールド圧を調整するためのパラメータのセットを含む表を示す。
【0039】
【
図11】
図11は、例示的な実施形態に係る、整合方法での例示的な整合動作を示す。
【0040】
【
図12】
図12は、例示的な実施形態に係る、チャンバ内動的プロセス制御の方法における例示的な制御動作を示す。
【0041】
【
図13】
図13は、例示的な実施形態に係る、異なる制御変数に一致させるための変更が可能なパラメータの例を含む表を示す。
【0042】
【
図14】
図14は、例示的な実施形態に係る、ALDサイクルのステップを示す。
【0043】
【
図15】
図15は、例示的な実施形態に係る、自己学習型監視法における動作を示す。
【0044】
【
図16】
図16は、例示的な実施形態に係る、データ採取法における動作を示す。
【0045】
【
図17】
図17は、例示的な実施形態に係る、バルブの配置を示す。
【0046】
【
図18】
図18は、例示的な実施形態に係る、ガスマニホールドの共用の分流構成の概略図である。
【0047】
【
図19】
図19は、例示的な実施形態に係る、ガスマニホールドの個々のステーション分流構成の概略図である。
【0048】
【
図20】
図20は、例示的な実施形態に係る、ガスライン充填時間を決定するための方法の態様を示す。
【0049】
【
図21】
図21は、例示的な実施形態に係る、ガス崩壊(又は滞留)時間を決定するための方法の態様を示す。
【0050】
【
図22】
図22は、例示的な実施形態に係る、いくつかの方法における例示的な動作のフローチャートを示す。
【
図23】
図23は、例示的な実施形態に係る、いくつかの方法における例示的な動作のフローチャートを示す。
【
図24】
図24は、例示的な実施形態に係る、いくつかの方法における例示的な動作のフローチャートを示す。
【
図25】
図25は、例示的な実施形態に係る、いくつかの方法における例示的な動作のフローチャートを示す。
【0051】
【
図26】
図26は、1つ又は複数の例示的な実施形態を実施できる、あるいは、1つ又は複数の例示的な実施形態を制御できる機械の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の説明は、本開示の例示的な実施形態を実現するシステム、方法、技術、命令シーケンス、及びコンピューティング機械プログラム製品を含む。以下の説明では、説明という目的の下、例示的な実施形態の完全な理解のために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、本開示が、これらの具体的な詳細がなくても実施可能であることは、当業者には明らかである。
【0053】
この特許文書の開示の一部は、著作権保護の対象となる資料を含み得る。著作権者は、特許書類又は特許の開示が特許商標庁の特許包袋又は記録にある限り、その特許書類又は特許の開示がいかなる者によって複写されることに対して異議を唱えないが、それ以外の場合には一切の著作権を留保する。以下の表示は、後述又は図示される、本文書の一部を構成するすべてのデータに適用される。Copyright Lam Research Corporation, 2019-2020, All Rights Reserved.
【0054】
ここで
図1を参照すると、プラズマ系処理チャンバの一例が示されている。本主題は、様々な半導体製造及び基板処理動作に使用できるが、ここに示す例では、プラズマ系処理チャンバは、プラズマ励起又はラジカル励起CVD又はALD動作を想定して説明する。また、他のタイプのALD処理技術(例えば、熱を利用したALD動作)も公知であり、非プラズマ系処理チャンバも組み込み可能であることは、当業者に理解できるであろう。ALDツールとは、2つ以上の化学種の間でALD反応を起こす、特殊なCVD処理システムのことである。2つ以上の化学種は前駆体ガスと呼ばれ、半導体産業で使用されるシリコン基板などの基板上に、材料の薄膜堆積を形成するために使用される。前駆体ガスをALD処理チャンバに順次導入し、基板表面と反応させて堆積層を形成する。一般に、基板は前駆体との相互作用を繰り返し、基板上に1つ又は複数の材料膜を徐々に堆積させ、膜は次第に厚くなっていく。一定の用途においては、基板製造プロセスにおいて、複数の前駆体ガスを用いて様々なタイプの膜を形成可能である。
【0055】
図1にプラズマ系処理チャンバ101が示されているが、この処理チャンバ101には、シャワーヘッド103(シャワーヘッド電極としてもよい)及び基板支持アセンブリ107が配置されている。基板支持アセンブリ107は、以下で詳細に説明されるような台座を含み得る。典型的には、基板支持アセンブリ107は、実質的に等温である表面の提供を目的とし、基板105のための加熱素子及びヒートシンクの両方として機能し得る。基板支持アセンブリ107は、上述したように、基板105の処理を補助するための加熱素子が含まれる静電チャック(ESC)を備えていてもよい。基板105は、元素半導体(例えば、シリコン又はゲルマニウム)を含む基板、化合物素子(例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)又は窒化ガリウム(GaN))を含む基板、又はその他種々のタイプの基板(導体基板、半導体基板、及び非導体基板を含む)を含み得る。
【0056】
動作時には、基板105は、搬入口109から基板支持アセンブリ107に搬入される。ガスライン113は、シャワーヘッド103に1つ又は複数のプロセスガス(例えば、前駆体ガス)を供給できる。これを受け、シャワーヘッド103は、1つ又は複数のプロセスガスを、プラズマ系処理チャンバ101に供給する。1つ又は複数のプロセスガスを供給するためのガス源111(例えば、1つ又は複数の前駆体ガスアンプル)は、ガスライン113に結合されている。いくつかの例では、RF電力源115がシャワーヘッド103に結合されている。他の例では、電源が基板支持アセンブリ107又はESCに結合されている。
【0057】
シャワーヘッド103の入口より前のガスライン113の下流において、ポイントオブユース(POU)及びマニホールドの組合わせ(図示せず)が、1つ又は複数のプロセスガスの、プラズマ系処理チャンバ101への進入を制御している。プラズマ強化ALD(PEALD)動作において薄膜を堆積するために使用されるプラズマ系処理チャンバ101の場合、前駆体ガスはシャワーヘッド103内で混合されてもよい。
【0058】
動作時には、プラズマ系処理チャンバ101は、真空ポンプ117によって真空にされる。RF電力は、シャワーヘッド103と、基板支持アセンブリ107内又は基板支持アセンブリ107上に設けられた下部電極(明示せず)の間で容量結合している。基板支持アセンブリ107は、通常2つ以上のRF周波数で供給される。例えば、様々な実施形態において、RF周波数は、約1MHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、及び他の所望の周波数のうちの少なくとも1つから選択し得る。特定のRF周波数を遮断、あるいは部分的に遮断するように設計されたコイルを、必要に応じて設けることも可能である。従って、ここで説明する特定の周波数は、単に理解を容易にするために提供される。RF電力は、1つ又は複数のプロセスガスを通電して、基板105とシャワーヘッド103との間の空間でプラズマ化させる。発生したプラズマは、基板105上での様々な層(図示せず)の堆積を補助する。他の用途においては、プラズマは、基板105上の様々な層にデバイス特性をエッチングするために使用できる。RF電力は、少なくとも基板支持アセンブリ107を介して結合されている。基板支持アセンブリ107の中には、ヒーター(
図1では図示せず)が組み込まれていてもよい。プラズマ系処理チャンバ101の細部は、多様な設計を有していてもよい。
【0059】
いくつかの例では、所与のサイクル全体の中で、ALDは、処理チャンバ内で発生するドーズ、パージ、コンバージョン、及びパージステップを含む複数ステップ(例えば、主に4ステップ)のプロセスとみなすことができる。その他のサイクル及びステップも適用可能である。ガスフロー、チャンバ圧、及びRF値などのパラメータが堆積プロセス(サイクル)の全体を通して一定である特定のPECVDプロセスとは異なり、ALDでは、これらのプロセスパラメータ(など)は、サイクル全体、あるいは連続するサイクル内においても各ステップにおいて変化し得る。
【0060】
異なるステップにおいてのパラメータの未監視の変化は、いくつかの重要な制御変数の変動を見えなくする場合がある。例えば、チャンバ圧は従来、一定値又は設定した圧力に維持することを求められる。従来、複数ステッププロセスにおける各種のステップでのチャンバへのガスフローの変動は、設定圧力を維持するために連続的に動く絞りバルブによって制御されていた。しかし、ガスフローを変化させ絞りバルブを作動することにおいては、固有のフィードバック遅延の問題があり、それによって、例えばALDプロセス中にしばしば制御不良を引き起こす可能性がある。
【0061】
同様に、処理中において、前駆体ガス、例えばアルゴン(Ar)を供給するガスラインにおける前駆体マニホールド圧は、ほとんどの場合、前駆体ガスがチャンバに入る際、又は迂回されるときのガスフローの上昇又は遅延変化に起因して変動する。換言すると、所与のガスラインの圧力は、ガスがチャンバに流れているか(例えば、バーストパージ圧が生じているか)、又は分流しているか(例えば、フロー圧の制限が生じているか)に応じて、一定の範囲内で変化する可能性がある。これらの変動は、すべてとは言わずとも多くのALDサイクルにおいて明白であり、望ましくないとされる。パラメータの設定値からの偏差は、チャンバの処理に問題があることを示す場合があり、基板やフィルムの特性に影響を与え得る。
【0062】
図2A~2Cを参照すると、チャンバパラメータを監視する従来の方法は、(単に例として)設定値202と、上限206と下限208との間に設定された誤差帯域204の周辺における、チャンバ圧(
図2A)、前駆体マニホールド圧(
図2B)、及びパージ圧(
図2C)を監視することを含み得る。誤差帯域204は、多くの場合比較的大きく、実際、ALDサイクル中に発生する、より小さいが潜在的には顕著な変動を検出できない程度に大きい。そのため、従来の設定値や誤差帯域に基づく取り組みでは、ALDサイクル中のより詳細な態様又はチャンバ状態を、正確に又は忠実に監視できない。昨今、基板上に高アスペクトのナノメートルサイズの形成物や半導体装置を作成するために、より正確で制御性が高く、特異性も高いチャンバ制御が基板メーカーに求められている。
【0063】
この点に関して、ここで
図3を参照する。いくつかの例では、全体の堆積又はエッチングサイクル内の連続したドーズ、パージ、コンバージョン、及び(再度の)パージステップは、カーブフィッティングを使用して監視及び整合される。いくつかの例は、上述したタイプの全サイクルで定義された一般的な誤差帯域とは対照的に、特定のステップごとに構成された、定義された誤差マージンを含む。いくつかの例では、ALDサイクルの各ステップ(例えば、上記の4つのステップのそれぞれ)は、カーブフィッティング又は定義されたステップ固有の公差マージンに基づいて反復可能になっている。異なる変数の反復性を監視するために、時間基準を定義できる。
【0064】
いくつかの例では、プロセスパラメータ監視のための基準フレームは、例えば従来法での設定値と誤差帯域による確立とは対照的に、前段階又は初期のステップ又はサイクルによって、後続のステップ又はサイクル用として確立される。実際、いくつかの例は、従来の設定値又は誤差帯域に関しては不可知論的(すなわち無視する)であり、所与の基板製造プロセスにおいて、前のサイクル又はステップを繰り返すことを基本として動作している。例えば、ALDサイクルのパラメータを試行錯誤的に調整し、基板上に所望の形状を形成してもよい。それらの成功例としてのパラメータの絶対値が何であるかを必ずしも知らないか、あるいは識別できない場合でも、本開示の例では、単に、カーブフィッティングから導出されるデータ又はステップ特有の公差マージンによる定義に基づいて成功サイクルを繰り返すように、処理チャンバを構成できる。
【0065】
図3は、30ALDサイクルの例示的なカーブフィッティングを描くグラフ300である。チャンバ圧(y軸)は、各ALDサイクルの期間、100ミリ秒(ms)の時間増分で監視した。各ALDサイクルの開始から終了までの経過時間は約1秒以下の範囲であり、図示のように、その期間における時間増分ごとにチャンバ圧データを収集した。チャンバ圧を表す曲線306のセットは、各ALDサイクル内の連続するステップ(例えば、ドーズ、パージ、コンバージョン、及びパージ)の経過中、データのピーク302と谷304との間で変動する。図示の例では、各ALDサイクルは、ドーズステップから始まる。
【0066】
カーブフィッティング動作は、曲線のセットにおける各曲線306に対して実行され、その結果、連続又は後続のALDサイクルは、以前のサイクルを繰り返す。ALDサイクル内の各ステップもまた、以前のサイクルを繰り返すことができる。この点において、そのステップに関連付けられた1つ(又は複数)の時間増分に対して、ステップ特有の公差マージンを確立できる。公差マージンは、
図4のグラフ400に示されるタイプに対して観察又は設定された変動性データに基づき得る。ここで、時間増分ごとに、チャンバ圧の変動性(又は公差マージン)が観察され得る。比較的広い(又は緩い)公差マージン402は、例えば、
図3の0.4時間増分における曲線のセットによって表される比較的広いチャンバ圧のセットに対応し得る。逆に、比較的狭い(又は厳密な)公差マージン404は、例えば、
図3の0.1時間増分における曲線のセットによって表される比較的狭い(又は等しい)チャンバ圧のセットに対応し得る。1つのステップ中又はALDサイクル中の各時間増分について、変動性又は公差マージンを定義可能である。曲線セット内の1つ又は複数のカーブ306もまた、独自に又は公差マージンに基づいて、定義可能である。1つ又は複数の曲線セット306及び/又はステップ特有の公差マージンは、例えば、基板処理動作におけるALDサイクル中のステップ及びサイクルの監視及び反復性のために確立・使用できる。
【0067】
図5は、例えば、ALDプロセスにおけるステップ又はサイクルの監視方法500の例示的な動作のフローチャートを示す。いくつかの例では、動作502は、ALDサイクルの時間基準(開始)(例えば、特定のドーズバルブの開放)を定義することを含む。いくつかの例では、動作502はまた、一連のデータ点(例えば、時間増分)に対する「黄金曲線」又は黄金値を定義することを含み得る。いくつかの例では、動作502はさらに、各データ点(時間増分)に対する変動性又は公差マージンを定義することを含む。
【0068】
いくつかの例では、動作504は、パラメータデータを収集することを含む。いくつかの例では、パラメータデータは、ある収集頻度(例えば、1Hz、10Hz、100Hz、又は1000Hz)に基づいて規則的な間隔で(例えば、いわゆるトリガポイントにおいて)収集される。
【0069】
いくつかの例では、動作506は、例えば、チャンバ圧、前駆体マニホールド圧、パージ圧、RF反射電力、及びRF順方向電力などの様々なパラメータについてのデータを比較する、データ比較を含み得る。特定の時間増分(トリガポイント)についてのパラメータ値が、黄金曲線又は黄金値と比較される。いくつかの例では、データ比較は、リアルタイムで、所与のサイクルもしくはステップの終了時に、又は所与の基板製造プロセスの終了時に実行可能である。これは、ユーザの定義によるものであってもよく、又はプロセスニーズもしくは最適化に基づいてもよい。
【0070】
いくつかの例では、動作508は、ステップ及びサイクルの反復性を可能にするアルゴリズムを生成することを含む。例示的なアルゴリズムは、カーブフィッティング、黄金値からの標準偏差、又は変動性もしくは公差マージンにおける最小あるいは最大範囲のうちの1つ又は複数を含み(又はそれらに基づき)得る。他のアルゴリズム因子も使用できる。
【0071】
いくつかの例では、動作510は、報告(例えば、カーブフィッティングの出力を生成すること、又は変動性レポートを生成すること)を含む。いくつかの例では、動作510は、例えば、変動性レポートに基づいてプロセスパラメータを調整するための、又はプロセスパラメータを一組の当てはめられた曲線又は公差マージン内に納めるための修正措置を特定及び/又は実行することを含み得る。いくつかの例は、例えば、プロセスパラメータが一組の当てはめられた曲線又は公差マージン内に含まれる場合には措置を行わないことを含み得る。これに応じて、ツール又は処理チャンバ警告が生成されても(又は生成されなくても)よい。
【0072】
プロセスパラメータの変動はまた、他の領域におけるプロセス制御及び監視を困難にする場合がある。例えば、基板間のばらつき(又はロット間のばらつき)は、基板処理中のチャンバ熱の蓄積によって起こり得る。ツール間のばらつきは、ポンプ効率の差によって起こり得る。従来、ばらつきを制御するための主な取り組みは、個々の装置のパフォーマンスを監視することに重点が置かれていた。装置及びそれらの関連するパラメータの例としては、デバイスエラー限界がフローの1%に設定されているMFCフローが挙げられる。MFCフローは、基板処理中にその限界内で動作するように監視される。装置とパラメータは、さらに、バルブタイミング(例えば、開時間50ms、閉時間70msで動作するように監視されるALDバルブタイミング)を含み得る。別の例においては、バルブは、25msで開位置と閉位置との間で切り替えられるように設定されてもよい。他の例においては、設定範囲内の偏差を監視する熱電対を使用して、台座温度を制御してもよい。RF電力の制御には、順方向電力と反射電力を監視することを含み得る。これらの装置は、典型的には、チャンバ制御不良を引き起こしたり、チャンバ条件をランダムあるいは変動的にし得る固有の性能又は応答上の限界がある。監視限界の厳密性の不十分さや、またプロセス因子及び装置制限の多数さが、この望ましくない影響の原因となり得る。
【0073】
さらに、
図6を参照すると、ガスフロー、圧力、及びRF電力などのパラメータが堆積プロセス全体にわたって概して一定のままである多くのPECVDプロセスとは異なり、各サイクルにおけるいくつかのパラメータが、ALDプロセス(サイクル)中に連続的に変化している。
図6の表600に、ALDサイクルにおける例示的なステップ及び関連するパラメータを示す。これらのステップは、図示するように、ドーズ、ドーズ後のパージ、RF電力印加、及びパージを含み得る。
【0074】
本明細書におけるいくつかの例は、そのような課題の解決を目指すものであり、デバイスパラメータの監視とは対照的に、測定したパラメータを整合することを含む。したがって、いくつかの例は、例えば、プロセスステップ又はサイクルの所与のセットに対して、及び処理ツール内のプロセスチャンバのセットに亘って、装置及び/又はチャンバのパフォーマンスを整合させることを可能にするように構成される。例えば、各ALDステップ中に生成される圧力変動又は圧力は、サイクルの個々のステップで生じる1つ又は複数のプロセスパラメータを調整することによって、サイクルごとに、又はツール及びチャンバに亘って整合できる。例えば、基板製造プロセスにおける個々のステップ(又はサイクル)における所与の圧力設定点は、ガスフローの動的かつリアルタイムの調整によって、ステップ又はサイクルに亘って整合(又は反復)可能である。
【0075】
同様に、前駆体マニホールド圧のレベル変動は、堆積速度(depR)に影響を与える可能性があり、いくつかの例においては、チャンバ整合における重要な変数となり得る。一方で、前駆体マニホールド圧は、前駆体ガス(例えば、Ar)プッシュフロー、前駆体フロー(又はアンプル温度)、分流によるポンプ効率、及びチャンバ出口又は分流タイミングなどの1つ又は複数の例示的要因によって影響を受ける可能性がある。上述したように、既存の技術は、例えばMFCフロー、バルブ開閉時間、RF生成器への電力などの装置設定値を制御及び監視して、チャンバパラメータを設定値に制御するように試みる。基板間、ロット間、及びツール間の変動性は、デバイスパラメータを使用し、それを監視することによって制御される。デバイスパラメータを制御することで、整合が可能であると想定されている。しかしながら、処理チャンバ又はガスライン内の実際の条件は、ALDステップ及びサイクルによって課される時間制限内には制御又は整合されない。
【0076】
いくつかの例は、チャンバ整合のための動的プロセス制御と監視を含む。例として、デバイスパラメータを整合する代わりに測定パラメータを整合することで、整合チャンバパフォーマンスを達成することが挙げられる。いくつかの例では、「黄金曲線」又は黄金値は、例えば、チャンバ内で所与の又は所望の基板形成を行うための所望のパラメータ値のセットを表し得る。チャンバは、「黄金」条件又は「黄金」値に設定された制御変数を用いて操作してもよい。いくつかの例では、「黄金曲線」は、1つのステップ又はサイクルから導出されたパラメータデータに基づいてもよく、その後、そのステップ又はサイクルを繰り返すために、又は、例えばチャンバ、基板、及びツールに亘ってパラメータ値又は制御変数を一致させるために、基準又は基準点として使用され得る。
【0077】
図7の表700に、ALDサイクルにおける関連するステップのための黄金値の例示的なセットを示す。圧力及びガスフローの行はそれぞれ、2つの値、すなわち「黄金」値(単に圧力又はフローと表示)及び「修正された」圧力又はフローを含む。いくつかの例では、動作中、各ステップにおける圧力は、監視された圧力曲線が黄金チャンバの黄金値に一致するように修正される。同様に、各ステップにおけるガスフローは、黄金フロー値又は黄金圧力値に一致するように修正できる。1つのパラメータにおける調整は、そのパラメータにおける直接的な変化を引き起こし得るか、あるいは第1のパラメータに関連する別のパラメータにおける間接的な変化を引き起こし得る(例えば、チャンバガスフローの変化は、チャンバガスフローの圧力における対応する変化に影響を及ぼす)。
【0078】
いくつかの例では、ALDサイクルの第1のステップに存在する圧力変動又は圧力は、圧力設定点を調整することによって、後続のステップ(又はサイクル)において一致し、したがって、いくつかの例では、プロセスは、所与のデバイスパラメータへの調整によってではなく、以前のプロセスパラメータを尺度としてこれに一致するように制御される。いくつかの例では、圧力整合調整は、個別ステップ又はサイクルごとに行われる。いくつかの例では、圧力整合は、例えば、以前のガスフローを一致させることによって直接的又は間接的に行われる。
【0079】
図8に、整合法800における例示的な整合動作を示す。グラフ802において、第1のステップ又はサイクルにおけるツールA圧力曲線804は、第2のステップ又はサイクルにおけるツールB圧力曲線806とは一致せず、またそれらのそれぞれの値の曲線は一致せず、互いに対してオフセットされていることが分かる。図示の例では、曲線806のツールB圧力値は、曲線804のツールA圧力値に対して遅延している言える。いくつかの例では、グラフ808に示されるように、2つの曲線804及び806が実質的に一致するように、例えばガスフロー又は圧力パラメータなどのチャンバパラメータに対して調整が行われる。正確に一致したステップ又はサイクルは、チャンバ条件の反復性及び基板製造における一貫性を保証する上で有用であり、その結果、基板形成物及び半導体装置の作製における精度が向上する。
【0080】
他の例においては、ALDサイクル中の2つの異なるチャンバの前駆体マニホールド圧力曲線は、ツール上の全ての関連装置が仕様内で機能しているにも関わらず一致しない場合がある。チャンバ間の変動性は、ポンプ効率の差、前駆体マニホールド圧及びチャンババルブのバルブタイミングの差、ガスライン温度などから生じ得る。
図9に、チャンバ間の差の例を描画する。例えば、グラフ900では、期間902において圧力に対してのチャンバの差が確認できる。グラフ904では、それぞれの(チャンバ間の)圧力の差が認められる。図示された圧力曲線906及び908は、時間及び圧力の大きさが互いに対してオフセットされている(一致していない)。
【0081】
いくつかの例では、チャンバ間整合の問題への対処を行う。この点に関し、
図10の表1000に、ALDサイクルにおける前駆体マニホールド圧を調整するためのパラメータのセットを示す。例示的なパラメータは、前駆体ガスフロー(例えば、アルゴンAr)、前駆体フロー、アンプル入口・出口バルブタイミング、並びにチャンバ入口・出口バルブタイミングを含む。例示的なパラメータは、それぞれ対応する黄金値又は黄金曲線を含み得る。また、これら以外のパラメータを使用してもよい。
【0082】
前駆体マニホールド圧に対する制御の効果又は影響は、例えば、表1000のコメント部分に示されるように、いくつかのパラメータにおいて特定の調整を行うことによって付与できる。例えば、アルゴンプッシュフローは、前駆体マニホールド圧の大きさに影響を与えることができ、圧力曲線を垂直方向に移動させることができる。換言すれば、第2の又は後続のステップ(又はサイクル)において確立された前駆体マニホールド圧力曲線を、以前のステップ又はサイクルにおいて確立された(又は生成された)対応する曲線と一致させる際、整合グラフ(例えば、グラフ802)において以前の曲線よりも「低い」ように見える場合、後続のサイクル(第3及び第4のサイクルなど)における圧力の曲線は、アルゴン前駆体プッシュフローを適宜調整することによって上方に移動するように補正できる。したがって、処理チャンバの条件は、固定の設定値又は誤差帯域に基づくのではなく、以前のステップ又はサイクルから得られたパラメータ値を監視することによって、本質的に一定になるように構成できる。
【0083】
図11に、整合法1100における例示的な動作を示す。ここでは、ALDプロセスの各ステップ又はサイクルにおいて一致する前駆体マニホールド圧1102及び1104を確立するために、(ALDサイクル当たりの)プッシュフロー、アンプル温度、及びバルブタイミングなどのパラメータの変化を利用した。さらに一致した前駆体マニホールド圧は、依存するチャンバ間の堆積速度を一致させることができる。
【0084】
動的プロセス制御の方法における例示的な動作としては、一致させる制御変数(例えば、圧力)を選択すること、制御変数を修正するために変更するパラメータを決定すること、パラメータの制御増分を決定すること、及び制御変数の黄金曲線からの偏差を計算することなどを含み得る。
図12を参照すると、チャンバ内の動的プロセス制御のための方法1200における制御動作の例としては、動作1202において、制御変数(例えば、圧力)を識別し、それについての黄金曲線又は値を確立すること、動作1204において、識別された制御変数の値に影響し得る第1の調整パラメータを識別すること、動作1206において、制御変数についての識別されたパラメータにおける大きさ又は段階的増分を決定すること、動作1208において、制御変数に最大の潜在的影響を有するパラメータ増分を選択すること、動作1210において、制御変数が仕様内にあるかどうかを決定すること、「はい」の場合、動作1212において、動作1206及び1208を繰り返すこと、「いいえ」の場合、動作1212において、選択されたパラメータ増分を適用すること、動作1214において、選択されたパラメータ増分の適用後に制御変数が仕様内にあるかどうかを決定することなどが挙げられる。「はい」である場合、方法1200は、動作1206及び1208を繰り返すことを含む。「いいえ」である場合、方法例1200は、動作1216において、識別された制御変数の値に影響し得る第2の調整パラメータ(例えば、ガスフロー設定)を識別することと、動作1218~1226において、第2の調整パラメータについて上記で要約した制御動作を繰り返すことを含む。第1及び第2の調整パラメータの選択された増分が、識別された制御変数の黄金値を確立すると、1218において、チャンバは、圧力の整合のために最適化される。
【0085】
いくつかの例は、動的プロセス制御における黄金曲線からの偏差を決定するための方法を含む。この方法における動作の例としては、ALDサイクルの開始時の時間基準(例えば、チャンバのドーズ用バルブの開放のためのデジタル出力信号)を定義することなどが挙げられる。その後、規則的な間隔(例えば、1ms、10ms、50ms、100ms)で収集された全てのデータ点は、黄金曲線における対応するデータと比較される。黄金曲線からの偏差又はエラー限界は、実験に基づいて、又はユーザ仕様に基づいて予め定義できる。パラメータが特定の測定、例えばチャンバ圧に対して最適化されると、パラメータの変化が他の制御変数、例えば前駆体マニホールド圧に及ぼす影響がチェックされ、必要に応じて調整される。
図13の表1300に、異なる制御変数の整合が可能となるように修正を行うためのパラメータの例を示す。
【0086】
本明細書のいくつかの例は、動的パラメータ制御を、実際の測定値、例えば、チャンバ圧、ガスライン圧、温度、供給されるRF電力に一致させることで、基板間、ロット間、及びチャンバ間の整合を達成する。いくつかの例は、黄金曲線又は黄金値からの測定偏差を最小にするためのパラメータの最適化を含む。最適化されたパラメータは、チャンバごとに異なっていてもよい。最適化されたパラメータは、他の要因(例えば、ドリフト)に対処するために、それぞれの累積において異なっていてもよい。いくつかの例は、プロセス制御のためのパラメータの最適化を実行するためのソフトウェア的特徴(以下により詳しく記載)を含む。本プロセス制御方法は、例えば、連続動作中に、又はツール始動時もしくは予定されたメンテナンス時に、規則的に又は断続的に実行できる。パラメータ最適化は、割り当てられた優先度で実行でき、いくつかの例では、所与のプロセスに最も影響を与える制御変数に基づいて実行できる。
【0087】
さらなる態様では、いくつかの例は、例えば、プロセス、特にALD及びCVDプロセスの高度な監視のための自己学習技術を含む。これらの技術は、従来の装置を制御するための従来の方法で生じ得る監視問題への対処を目的としている。例えば、MFCは、典型的には、設定誤差範囲の設定値付近で監視される。バルブタイミング制御では、典型的には、ALDバルブの開閉時間を監視し、ALDバルブは、50 msという短い期間での所与のサイクル又はプロセス中において、開状態と閉状態との間で切り替えることができる。RF生成は、典型的には、順方向電力及び反射電力に基づいて測定及び制御され、次に、誤差帯域内で監視される。チャンバ及び他の温度は、誤差帯域/パーセンテージ内の設定値付近で制御及び監視される。
【0088】
(デバイスとは対照的に)プロセスパラメータを監視するための従来の取り組みは、設定誤差帯域の設定値付近のチャンバ圧を監視することを含む。誤差帯域は、しばしばALDサイクル中に生じる固有の変動を無視できる程度に大きく設定される。そのため、これらの取り組みは、ALDサイクル中のより詳細なアスペクト又はチャンバ条件を忠実に監視できるものではない。高アスペクトナノサイズ基板形成物及び半導体装置の作製を可能にするため、詳細かつ深いチャンバ制御を使用するケースが増えてきている。さらに、前駆体マニホールド及びバーストパージ圧もまた、典型的には、帯域の周辺で監視される。従来の誤差帯域は、典型的には、ALDサイクル中のより小さい変動を捉える点には広すぎるように設定されており、そのため上述と同様の点で問題になる。
【0089】
供給されるRF電力に関しては、RF電力のワンタイムチェックによって、単にRFストライク後に高周波がオンであるかオフであるかをチェックする。電圧-電流(VI)センサは、プラズマ「オン」ステップ中にRF電力を監視し、単にRF電力よりも高い周波数で(例えば、1kHzで)監視する。したがって、広い意味では、既存の方法は、制限又は誤差帯域設定に基づいており、典型的には限定されたデータに基づいて行う、受動的又は「無言の」監視法である。一般的に、監視帯域は非常に広く、今日の半導体製造で常に要求される厳格なプロセス制御の問題への解決はおろか対応もできない。さらに他の欠点としては、同じ監視帯域が全てのツールに適用され、ツール間の修正又はカスタマイズは行われないことである。典型的には、カスタマイズはアドホックベースで、手動で実行される。典型的には、従来技術においては、蓄積を考慮したり、予防メンテナンスの後か、ハードウェア変更の後かということにかかわらず、基板間又はツール間のパフォーマンス又は比較はほとんど又は全く行われない。
【0090】
上述したように、ALDプロセスは、複数ステップのプロセスとみなすことができる。
図14を参照すると、典型的なALDサイクル1400は、4つの主要なステップ:ドーズ1402、パージ1404、コンバージョン1406、及びパージ1408を含む。いくつかの本実施例では、ALDサイクルの各ステップ、及び所与のALDプロセスの後続のサイクルは、異なる変数について個別に監視される。監視変数は、「スマート」自己学習監視プロセスにおけるカーブフィッティング又は定義された誤差マージンを使用して、各ALDステップ及び/又はサイクルにおいて整合される。すべてのALDサイクルは反復可能とされ、チャンバ圧、前駆体マニホールド圧、温度などのパラメータの反復性を、すべてのサイクル又はステップにおいて監視する(さらに反復可能にする)ことができる。
【0091】
図15に、一例としての自己学習型監視法1500における動作1502~1522を示す。方法155は、動作1502において、監視対象である1つ以上のパラメータ、例えば、バルブタイミング、VIセンサ、RF順方向、RF反射方向、圧力(チャンバ圧、前駆体マニホールド圧、又はバースト圧など)、及び他のパラメータを定義することを含む。初期データは、開始値と比較し、基本的な優良度を定義するために収集され、また黄金値又は黄金曲線を含み得る。黄金曲線は、例えば、
図3に示すようなものであってもよい。動作1504は、平均値、標準偏差、制御不能率(OOC)、及び他の統計値などのアスペクトのデータ解析及びロギングを含む。動作1504は、さらに、導出された統計値などの新しいデータでパフォーマンスデータを更新することを含み得る。動作1506は、平均値パフォーマンスなどの1つ又は複数の統計値からの偏差に基づいてチャンバパフォーマンスを監視することを含み得る。動作1508は、偏差がデバイス限界内であるか否かを判定することを含み得る。「はい」の場合、動作1504などの以前の動作を繰り返してよい。動作1510は、偏差がデバイス限界外であるか否かを判定することを含み得る。「いいえ」の場合、動作1512は、ユーザレビュー警告を発することを含む。レビューの結果、「問題なし」であれば、方法内の以前の動作を図示するように繰り返してもよい。「問題あり」の場合、動作1522は、ツール警告を発することを含む。動作1514は、(ユーザが定義できる)規則的な間隔で、トラッカーデータを保存することを含み得る。動作1516は、パフォーマンスデータをトラッカーデータと比較して、データのドリフトを識別することを含む。動作1518は、比較に基づいて、データにドリフトがあるかどうかを識別することを含む。「はい」の場合、動作1520は、ユーザ入力と修正の対応アクションを取得するためのレポートを発行することを含む。
【0092】
自己学習型監視法の一例は、複数のシステムからデータを採取して、チャンバ間及びツール間のパフォーマンス整合に関する仕様内チャンバパフォーマンスを定義することを含み得る。
図16に、データ採取法1600における例示的な動作である1602~1612を示す。動作1602において、複数のシステム(例えば、処理チャンバ)が識別される。動作1604において、監視システムは、識別された処理チャンバ(又はツール)内の選択されたモジュールから、パラメータの実際のパフォーマンス又は黄金曲線値を取得する。取得頻度が特定される。取得頻度は、例えば、ユーザが定義した頻度であってもよく、毎日でもよく、トラッカーデータに基づいていてもよく、また毎週でもよい。
【0093】
動作1606において、各チャンバ又はツールから、統計的プロセス制御(SPC)計測が取得される。動作1608は、関連パラメータの各々についてのチャンバ間(又はツール間)パフォーマンスの比較及び分析を実行することと、各チャンバ(たとえば、図中のチャンバ1~3)について平均値パフォーマンス及び標準偏差を定義することを含む。動作1608は、ユーザ定義基準(例えば、3σ)に基づいて外れ値パフォーマンスに関する警告を生成することと、取得したSPCデータとの相関を確立することを含み得る。動作1610は、全体的なチャンバ間(又はツール間)の比較及び分析を実行することと、動作1612において、適切な場合にツール警告を発することを含む。
【0094】
いくつかの例では、スマート自己学習型監視システムは、機械学習モデルに基づいて監視プロセスを作成する機械学習コンポーネントを含む。コンポーネントは、データの前処理を行うコンポーネントを含んでいてもよい。前処理コンポーネントは、例えば処理チャンバから供給された、訓練データ、又は(例えば、
図3に示すタイプの)黄金値又は黄金曲線のセットを受信する。前処理コンポーネントは、例えば、MapReduce関数又は類似の関数を訓練データに適用することを含む、訓練データの前処理を行う。次いで、特徴抽出コンポーネントが、前処理された訓練データから複数の特徴(プロセスパラメータなど)を抽出し、これらの特徴を機械学習アルゴリズムに供給する。抽出された特徴は、上述の制御変数のうちの1つ又は複数に関連し得る。いくつかの例では、機械学習アルゴリズムは、特徴のそれぞれに割り当てられた重みを学習し、これらの重みを関数に適用する。この関数と学習された重みは、上述した機械学習モデルに含まれるか、あるいは構成してもよい。1つ又は複数の機械学習モデルは、ファイルシステムに記憶され、チャンバパフォーマンスの分析又はプロセス監視を実行するために必要に応じて読み出される。
【0095】
機械学習アルゴリズムは、教師あり又は教師なし機械学習アルゴリズムの各種多数の候補から選択できる。教師あり機械学習アルゴリズムの例としては、人工ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、インスタンスベース学習、サポートベクトルマシン、ランダムフォレスト、線形分類器、二次分類器、k-最近傍法、決定木、及び隠れマルコフモデルなどが挙げられる。教師なし機械学習アルゴリズムの例としては、EM(期待値最大化)アルゴリズム、ベクトル量子化、情報ボトルネック法などが挙げられる。実施形態の一例では、バイナリロジスティック回帰モデルが使用される。バイナリロジスティック回帰は、従属変数について観察された結果が候補として2つのタイプのみを有し得る状況を扱う。ロジスティック回帰は、独立変数(予測子)の値に基づいて、一方あるいは他方のケースが真(true)であるオッズを予測するために使用される。実施形態のさらなる例においては、ブーストされたツリー勾配降下プロセスを、機械学習に使用する。
【0096】
機械学習モデルに含まれる関数は、プロセス整合スコアを生成するために、実行時に評価可能である。整合スコアは、様々なパラメータを評価し、機械学習アルゴリズムによって学習された特徴の重みを該特徴に適用することに基づいて、複数のシステムにおける条件を一致させる試みが、整合の成功をもたらす可能性についての予測である。いくつかの例では、予測された整合は、ハイブリッド的な結果、あるいは改善された信頼性でチャンバ間又はツール間の整合をもたらすパラメータ調整を含む出力を含んでいてもよい。
【0097】
さらなる例では、ガスライン充填時間を決定する、ハードウェア及びソフトウェアを含むシステム及び方法を提供する。いくつかの例示的な堆積又はエッチングシステムでは、ガスはガスボックスから供給され、ガス源と堆積又はエッチングチャンバとの間に数個のバルブ及びフィルタを含む。これに関して、典型的には、MFC、MFC入口及び出口バルブ、フィルタ、及びチャンバ入口バルブが使用される。特定のバルブからチャンバへのガスの移動時間は、ガスライン充填時間として定義できる。
【0098】
いくつかの例では、ガスライン充填時間は、特定の要因によって影響を受けることがある。これらの因子には、MFC応答及びランプ時間を含むことができるが、いくつかの例では、ランプ時間は、対応するガスフローが設定値の+/-2%以内に到達するのに1~3秒かかる。充填時間の要因としては、バルブ開放時間も含み得る。いくつかの例では、バルブ開放時間は、空気圧遅延及び他の遅延を含む数ミリ秒の範囲内であり、いくつかの例は、空気圧作動式バルブに対して<100msの範囲内のバルブ開放時間を含む。他の要因としては、バルブコンダクタンスを含むガスラインのコンダクタンス、又はフィルタでの圧損を含み得る。基本的に、ガス速度は差圧に依存し、差圧はガスラインのコンダクタンスによって影響されるか、又は決定される。所与のガスライン充填に対して十分な時間を提供できる堆積及びエッチングプロセスの場合、ガスライン充填のいかなる遅延も、堆積又はエッチングプロセスに、仮にあったとしても有意な影響は及ぼさない。
【0099】
さらに上述したように、ALDプロセスは、基板表面上に膜形成をもたらす複数のステップを含むことができ、これらのステップは、前駆体ガス分子が基板表面に付着するドーズステップと、チャンバから過剰な前駆体ガスを除去するためのドーズ後パージと、プラズマを発生させ、表面上に吸着されたガス分子の単層を膜に変換するためのRF電力の印加と、反応副生成物を除くためのRFパージとを含み得る。これらのステップで使用されているガスは、通常、各種様々なマニホールドから発せられる。
【0100】
現状、ガスライン充填時間は測定も監視もされていない。バルブの開閉時間は、アドバンス周波数(kHz)モニタリングを使用して監視できる。ALDバルブは、バルブ絞りの位置を検出する光学センサを含み得る。バルブの開閉タイミングは、バルブを動作させる空気圧バンクへのコマンド(デジタル入力、DI)と、絞りの動きを感知する光学センサ(デジタル出力、DO)のリードバックとの時間差によって監視される。
【0101】
例えば、
図17に示されるバルブの配置1700を参照すると、堆積又はエッチングシステムにおいて、ガスは、典型的にはガスボックスから供給され、いくつかのバルブ及びフィルタを、1つ又は複数のガス源と堆積/エッチングチャンバとの間に提供できる。典型的には、バルブは、MFC、MFC入口及び出口バルブ、フィルタ、及びチャンバ入口バルブを含む。特定のバルブからチャンバへのガスの移動時間は、ガスライン充填時間として定義できる。ガスライン充填時間は、MFC応答とランプ時間に依存する。いくつかの例において、バルブは通常、ガスフローが設定値の+/-2%以内に到達するのに1~3秒かかる。バルブ開放時間は、典型的には、数ミリ秒の範囲で生じる。圧縮乾燥空気遅延及び他の遅延を含め、バルブ開放時間は、空気圧作動式バルブの場合、100ms未満となり得る。バルブコンダクタンスはフィルタでの圧損を含み得る。基本的に、ガス速度は差圧に依存し、一方差圧はガスラインのコンダクタンスによって制御される。ガスラインの充填に十分な時間が確保できる堆積及びエッチングプロセスでは、このようなガスラインの充填の遅延は蒸着/エッチングプロセスにおいて問題にならないこともあり得るが、一方で、ガスラインの充填遅延が許容できない場合もある。高スループット(及び深い基板形成能)のためにALDサイクル時間を短縮する必要性を考えると、基板処理動作でのMFCランプ時間又は遅延は許容できない。そのため、いくつかの例では、ガスライン充填時間は、遅延又は不安定性の潜在的な原因を除外するように決定される。このように決定された充填時間に基づいて、関連するガスを供給するMFCは、連続的又は一貫した方法で動作するように構成される。
【0102】
分流(ガスが不要な場合、ガスにチャンバを迂回させて、例えば排気ライン又はいわゆるフォアライン(fore line)に流れるようにするもの)の存在もまた、ガスライン充填時間に影響を及ぼす可能性がある。
図18は、ガスマニホールドのための共用の分流構成1800の概略図である。ガスは、チャンバから離れるように分流され、典型的には比較的長いガスライン充填となる。
図19は、ガスマニホールドのための個々のステーション分流構成1900の概略図である。ガスは、チャンバに近づくように分流され、典型的には比較的短いガスライン充填となる。
【0103】
ALDプロセスでは、個々のステップ時間は、最も近い出口バルブから処理チャンバまでのガスライン充填時間を含み得る。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、一貫したツール間の測定可能なガスライン充填時間を提供するという重要な、しかし同時に複雑な要求への対応を示す。
【0104】
いくつかの例示的な実施形態は、様々な時間において(例えば、始動時に、予防メンテナンス後に、又は規則的な間隔で)、自動的に、ガスライン充填時間を測定する。現時点の測定値は、以前の測定値と自動的に比較され、ガスライン充填時間におけるあらゆるずれが報告される。より広義には、測定値はまた、他のツールから導出されたガスライン充填時間とも比較され、ツール間のばらつき及びツール適合性又は状態を判定できる。
【0105】
いくつかの例においては、チャンバ真空計を使用して、ガスライン充填時間を測定又は監視する。例えば、マニホールド出口バルブの開放とチャンバ圧の増加との間の時間差は、いくつかの例においては、ガスライン充填時間を測定又は計算するために使用される。いくつかの例示的な方法は、ガスポンプによって供給される処理チャンバ内のベース圧力又は一定の圧力を確立することを含む。この方法は、ポンプからチャンバを隔離するために、ポンプの絞り及び/又は分流バルブを閉じることを含む。ガスフローは、ライン充填時間の測定対象である適切なマニホールド又はガスラインから分流するように設定される。この方法は、さらに、ガスマニホールド出口バルブを開き、分流バルブを閉じて、チャンバ圧の増加を測定することを含む。典型的には、チャンバ圧が上昇し始める前に、多少の初期遅延が起こる。いくつかの例で使用される圧力ランプ曲線は、ガスライン充填時間又は遅延を計算するために使用できる。換言すると、圧力ランプの初期遅延は、チャンバへのガスライン充填時間を示す。計算された遅延(充填時間)は、基板処理チャンバの定常動作及びチャンバ整合動作を向上させるために、ガス流入アルゴリズムを含む制御及び監視システム及び方法に対して因子化できる。
【0106】
ここで、
図20のグラフ2000を参照して、ガスライン充填時間を決定するための方法例を説明する。グラフ2000は、処理チャンバにガスを供給する又は処理チャンバからガスを除去するガスバルブの移動(閉鎖又は開放)を表す線2002を含む。この場合、バルブの例としては、グラフキーに示されるように、分流バルブであり、分流バルブは、チャンバを迂回するライン内のガスを制御する。分流バルブが閉じられている場合、ガスはチャンバから分流せず、代わりにチャンバに入るように仕向けられる。チャンバにガスが入り、チャンバ内の圧力が上がる。典型的には、分流バルブの閉鎖は、チャンバへの供給を可能にするためのチャンバ供給バルブの開放と同時に行われる。いずれの場合も、この例においては、分流バルブのガスライン充填時間が確立されている。
【0107】
線2002は、y軸上の位置「1」における開放(分流)位置から、同じ軸上の「0」における閉鎖位置への分流バルブの物理的閉鎖を表す。上述したように、分流バルブが閉じると、チャンバ内の圧力が上昇し、この上昇はグラフ2000の圧力線2004によって表される。ある期間の後、線2004の傾きは一定になり、すなわち、チャンバ内への一定又は定常的なガスの流入に応じて起こる均一又は定常的なガス圧の上昇を表す。線2004の傾きは、ガスフローが高くなると大きくなる。ガスライン充填時間は、線2004の傾きをx軸と交差するまで外挿することで決定される。この交点は、グラフ2000において位置2006で示され、交点2006と位置2010で示される分流バルブの最終閉鎖との間に延在する時間線2008で示される期間が、ガスライン充填時間である。換言すると、分流バルブの閉鎖(すなわち、チャンバ内へのガスの完全な流入又は最大充填)と、チャンバ内の圧力が一定速度で上昇する点との間に、ランプアップ又は遅延時間(すなわち、ガスライン充填時間)が存在する。
【0108】
いくつかの実施形態では、ガス減衰時間が特定される。ガス出口バルブの閉鎖は、チャンバへのガスフローの即時停止を意味せず、バルブの閉鎖を指示する際、及びバルブが物理的に完全閉鎖に達する際にも遅延があり、さらに他の構成要素によって引き起こされる遅延もある。バルブが閉鎖されている場合であっても、既にガスライン内にあるバルブ下流のガスは、依然としてチャンバへと続く。
【0109】
いくつかの例では、ガス減衰(又は滞留)時間を確立する方法は、以下の動作のうちの1つ又は複数を含み得る。まず、チャンバは、ベース圧又は定圧で実装される。チャンバは、供給ポンプからのガスの流入を制御する絞り及びスリットバルブによって供給される。チャンバを供給する供給絞り及びスリットバルブは、チャンバを供給ポンプから隔離するために閉じられる。ガスフローは、ガス減衰時間の測定対象であるマニホールド又はガスラインから分流するように設定される。ガスマニホールド出口バルブが開き、分流バルブが閉じられる。チャンバ圧の上昇が測定される。その後、分流バルブが開き、ガス出口バルブが閉じられる。この方法は、さらにチャンバ圧が最大化又は安定化する時間を測定することを含む。この期間を最大化又は安定化する時間は、バルブ閉鎖指示が出口バルブに送信された後、ガスのチャンバへの流入が止まるまでに要する時間(すなわち、ガス減衰又は滞留時間)の尺度である。
【0110】
図21に、例示的なガスライン充填時間及び例示的なガス減衰時間を表すグラフ2100を示す。グラフ内の線2102は、処理チャンバを供給するバルブの開閉を表す。バルブは、2104で示される期間には閉鎖され、また期間2106には開放されて、ガスをチャンバに流入させてチャンバ内の圧力を上昇させる。バルブは、2108で再び閉鎖される。チャンバ圧は、チャンバ真空計によって測定され、圧力線2110によって表される。上述したように、ガスライン充填時間は、2112で示される期間又はΔ(すなわち、圧力の勾配の外挿とx軸との交点と、2102でのバルブ開放指示の瞬間との間の期間)から決定できる。ガス減衰時間は、2108においてバルブが閉じた後、安定化までにかかる時間から決定される。このガス減衰時間は、2114(この例では80 ms)における拡大図に、より明確に視覚化されている。
【0111】
したがって、いくつかの例は、チャンバ圧を使用してガスライン充填時間を測定するための方法、及びチャンバ圧を使用してガス減衰(又は滞留)時間を測定するための方法を提供する。これらの値は、自動化されたパラメータ測定、チャンバ制御、及び整合技術のための動的監視プロセス及びソフトウェアに統合されてもよい。充填及び減衰(滞留)値は、ガスライン充填又は経時的減衰におけるツール間(又はチャンバ間)変動性及び日々のドリフトを監視する際に重要となり得る。このような方法は、堆積又はエッチングのための複数のステップ手順(又はサイクル)を採用し、非常に速いステップ及びサイクル時間を必要とするような製品ラインに適用可能である。より速いステップ及びサイクル時間では、ガスライン充填及び減衰時間が重要になり得る。本実施形態は、それらの測定及び監視を可能にする。
【0112】
例示的な実施形態には、方法を含み得る。
図22を参照すると、ALD半導体製造プロセスにおける処理サイクルを監視するための方法2200は、動作2202において、製造プロセスにおける反復動作に基づいてALDサイクルの時間基準を定義すること、動作2204において、時間基準に基づく周期的な時間増分における一連のデータ点に対する一連のパラメータ値を含む黄金曲線にアクセスすること、動作2206において、黄金曲線における各データ点に対する変動性又は公差マージンにアクセスすること、動作2208において、ALD製造プロセスにおける1サイクルの周期的時間増分に基づいて、パラメータデータを収集すること、動作2210において、あるデータ点において、パラメータデータのパラメータ値が変動性又は公差マージン内であるかどうかを動的に監視すること、動作2212において、パラメータ値が変動性又は公差マージンから外れたと判断したことに基づいて、後続のサイクルにおけるパラメータ値が黄金曲線における関連するパラメータ値と一致するように製造プロセスを調整することを含む。
【0113】
いくつかの例では、時間基準の基礎を形成する反復動作は、処理チャンバを供給する特定のバルブの開閉を含む。
【0114】
いくつかの例では、パラメータデータは、収集頻度に基づいて規則的な間隔で収集され、収集頻度は、0~1Hz、1~10Hz、10~100Hz、又は100~1000Hzの範囲内である。
【0115】
いくつかの例では、規則的な間隔は、ALD製造プロセスにおけるトリガポイントに基づき、各トリガポイントは、ALD製造プロセス内のステップにおける時点を定義するか、あるいはそれに基づく。
【0116】
いくつかの例では、前記動作は、トリガポイントにおいて収集されたパラメータデータを、黄金曲線における対応するパラメータデータセットと比較することをさらに含む。
【0117】
いくつかの例では、パラメータデータは、前駆体マニホールド圧、パージ圧、コンバージョンマニホールド圧、チャンバ圧、ガスフロー、RF反射電力、及びRF順方向電力のうちの1つ又は複数に関連するパラメータ値を含む。
【0118】
図23を参照すると、半導体製造プロセスにおける処理サイクルを監視するための方法2300は、動作2302において、製造プロセスのパラメータを識別すること、動作2304において、製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成すること、動作2306において、第1のサイクルについて生成された曲線に基づいて、製造プロセスの第2のサイクルについてのパラメータの第2の値を識別すること、動作2308において、第1のパラメータ値を第2のパラメータ値と一致させるように製造プロセスを調整することを含む。
【0119】
いくつかの例では、前記動作は、製造プロセスの第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、及び、パラメータ値の第2の曲線をパラメータ値の第1の曲線とカーブフィッティングさせることをさらに含む。
【0120】
いくつかの例では、カーブフィッティング動作は、製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値曲線を、第1又は第2の曲線にあてはめて、製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成することを含む。
【0121】
いくつかの例では、製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスの複数のステップを含み、前記動作はさらに、ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させることを含む。
【0122】
いくつかの例では、黄金曲線は、ALDプロセスの各ステップに対する黄金パラメータ値を含む。
【0123】
いくつかの例では、識別されたパラメータは製造プロセスの制御変数に関連付けられ、前記動作は、第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、第2のサイクルにおける制御変数の値と第1のサイクルにおける制御変数の値との整合値を識別すること、及び第1のパラメータ値を第2のパラメータ値と一致させるように製造プロセスを調整することをさらに含む。
【0124】
図24を参照すると、半導体製造サイクルにおける処理ステップを監視するための機械学習法2400は、動作2402において、処理チャンバから収集されたパラメータデータに基づいて一連の反復サイクルにおける各ステップについて基準黄金パラメータ値のセットを生成すること、動作2404において、基準黄金値のセットに基づいて機械学習モデルを生成すること、動作2406において、機械学習モデルを使用して、一連の反復サイクルにおける第2のサイクルにおけるパラメータ値を、一連の反復サイクルにおける第1のサイクルにおける対応するパラメータ値と一致させることを含む。
【0125】
いくつかの例では、半導体製造プロセスはALDプロセスであり、一連の反復サイクルにおける各サイクルのステップは、ドーズステップ、パージステップ、コンバージョンステップ、及びパージステップを含む連続的ステップを含む。
【0126】
いくつかの例では、前記動作は、各連続ステップでパラメータ値データを含む黄金曲線を生成すること、機械学習モデルのための訓練データとして黄金曲線を使用することをさらに含む。
【0127】
いくつかの例では、前記動作は、機械学習モデルに基づいて、第2のサイクルの各連続ステップにおけるパラメータ値を第1のサイクルの各連続ステップの対応するパラメータ値と一致させることによって、一連の反復サイクルにおける各サイクルを反復及び一致させることをさらに含む。
【0128】
いくつかの例では、パラメータは、前駆体マニホールド圧、パージ圧、チャンバ圧、ガスフロー、チャンバ温度、RF反射電力、及びRF順方向電力のうちの1つ又は複数を含む。
【0129】
いくつかの例では、前記動作は、処理チャンバからパフォーマンスデータを収集すること、パフォーマンスデータのドリフトを識別し、パフォーマンスドリフトデータを生成すること、及びドリフトデータを機械学習モデルのための訓練データに組み込むことをさらに含む。
【0130】
図25を参照すると、半導体製造プロセスにおける処理サイクルを監視するための方法2500は、動作2502において、製造プロセスのパラメータを識別すること、及び動作2504において、製造プロセスの第1のサイクルに基づいて、第1のパラメータ値を含むパラメータ値の第1の曲線を生成することを含み、パラメータ値は、処理チャンバを供給するラインのガスライン充填時間を含む。
【0131】
いくつかの例では、前記動作は、処理チャンバを供給するライン内のバルブの開放とその後の一定の圧力増加の確立との間の圧力ランプアップ時間に基づいて、ガスライン充填時間を計算することをさらに含む。
【0132】
いくつかの例では、前記動作は、第1のサイクルについて生成された曲線に基づいて、製造プロセスの第2のサイクルについてのパラメータの第2の値を識別すること、製造プロセスの第2のサイクルから導出された複数のパラメータ値を含む第2の曲線を生成すること、パラメータ値の第2の曲線をパラメータ値の第1の曲線とカーブフィッティングさせることをさらに含む。
【0133】
いくつかの例では、カーブフィッティング動作は、製造プロセスの第3及び後続のサイクルに基づくか又はそれらから導出された一連のパラメータ値曲線を、第1又は第2の曲線にあてはめて、製造プロセスについての黄金パラメータ値のセットを定義する黄金曲線を生成することを含む。
【0134】
いくつかの例では、製造プロセスの各サイクルは、ALDプロセスにおける複数のステップを含み、前記動作はさらに、ALDプロセスの各ステップにおけるパラメータ値を黄金パラメータ値のセットにおけるパラメータ値と一致させることを含む。
【0135】
いくつかの例では、黄金曲線は、ALDプロセスの各ステップに対する黄金パラメータ値を含む。
【0136】
いくつかの例では、識別されたパラメータは製造プロセスの制御変数に関連付けられ、前記動作は、第1及び第2のパラメータ値を直接的又は間接的に使用して、第2のサイクルにおける制御変数の値と第1のサイクルにおける制御変数の値との整合値を識別すること、及び、第1のパラメータ値を第2のパラメータ値と一致させるように製造プロセスを調整することをさらに含む。
【0137】
図26は、本明細書において説明する1つ又は複数の例示的な実施形態プロセスを制御できる機械2600の一例を示すブロック図である。代替の実施形態では、機械2600はスタンドアロンデバイスとして動作してもよく、又は他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク展開では、機械2600は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバ機械、クライアント機械、又はその両方の性能で動作できる。一例では、機械2600はピアツーピア(P2P)(又は他の分散型)ネットワーク環境において、ピア機械として作動できる。さらに、単一の機械2600のみが示されているものの、「機械」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、又は他のコンピュータクラスタ構成などを介して、本明細書で論じられる方法論のいずれか1つ又は複数を実施するための1セット(又は複数セット)の命令を個別に又は共同で実行する機械の任意の集合を含むとも解釈されるべきである。いくつかの例では、
図26に示すように、非一時的機械可読媒体は、機械2600によって読み取られると、上記に要約され本明細書で説明される非限定的な例示的動作を少なくとも含む方法において機械に動作を制御させる命令2624を含む。
【0138】
本明細書に記載の例は、ロジック、いくつかの構成要素、又はメカニズムを含み得るか、又はそれらによって動作できる。回路セットは、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、ロジックなど)を含む有形のエンティティに実装された回路の集合である。回路セットのメンバシップは、時間の経過及び基礎となるハードウェアの変動性に柔軟に対応できる。回路セットは、単独で又は組み合わせて、動作時に特定の動作を実施できるメンバを含む。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実行するように不変に設計されてもよい(例えば、ハードワイヤード)。一例では、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために物理的に修正された(例えば、磁気的、電気的、不変質量粒子の可動配置などによって)コンピュータ読み取り可能媒体を含む、可変的に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含み得る。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的特性が変更される(例えば、絶縁体から導体へ、又はその逆)。命令は、組み込みハードウェア(例えば、実行ユニット又はローディングメカニズム)が、可変接続を介してハードウェア内に回路セットのメンバを作成し、動作時に特定の動作の一部を実行することを可能にする。したがって、コンピュータ読み取り可能媒体は、装置が動作しているときに回路セットの他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれかが、複数の回路セットの複数のメンバで使用され得る。例えば、動作中、実行ユニットは、ある時点で第1の回路セットの第1の回路で使用され、別の時点で第1の回路セット内の第2の回路によって、又は第2の回路セット内の第3の回路によって再利用されてもよい。
【0139】
機械(例えば、コンピュータシステム)2600は、ハードウェアプロセッサ2602(例えば、中央処理装置(CPU)、ハードウェアプロセッサコア、又はそれらの任意の組み合わせ)、グラフィック処理ユニット(GPU)2632、メインメモリ2604、及び静的メモリ2606を含むことができ、その一部又はすべては、インターリンク(例えば、バス)2608を介して互いに通信できる。機械2600はさらに、ディスプレイデバイス2610、英数字入力デバイス2612(例えば、キーボード)、及びユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス2614(例えば、マウス)を含み得る。一例では、ディスプレイデバイス2610、英数字入力デバイス2612、及びUIナビゲーションデバイス2614は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械2600はさらに、大容量記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)2616、信号生成デバイス2618(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス2620、及び1つ又は複数のセンサ2630(全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、又は別のセンサなど)を含み得る。機械2600は、1つ又は複数の周辺機器(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信するため、又はそのような周辺機器を制御するために、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、又は他の有線又は無線(例えば、赤外線(IR)、近距離無線通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ2628を含んでもよい。
【0140】
大容量記憶デバイス2616は、機械可読媒体2622を含み得る。この機械可読媒体2622には、本明細書に記載の技術又は機能のいずれか1つ又は複数を具現化する、又は本明細書に記載の技術又は機能のいずれか1つ又は複数によって利用されるデータ構造又は命令2624(例えば、ソフトウェア)の1つ又は複数のセットが格納される。また示されるように、命令2624は、機械2600による実行中、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ2604内、静的メモリ2606内、ハードウェアプロセッサ2602内、又はGPU2632内に存在してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ2602、GPU2632、メインメモリ2604、静的メモリ2606、又は大容量記憶デバイス2616のいずれか1つ、又はその任意の組み合わせによって、機械可読媒体2622を構成してもよい。
【0141】
機械可読媒体2622は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つ又は複数の命令2624を格納するように構成された単一の媒体、又は複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、並びに/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含み得る。
【0142】
「機械可読媒体」という用語は、機械2600によって実行するための命令2624を格納、符号化、又は搬送でき、かつ機械2600に本開示の技術のいずれか1つ又は複数を実施させる任意の媒体、又はそのような命令2624によって使用されるデータ構造もしくはそのような命令2624に関連するデータ構造を格納、符号化、又は搬送できる任意の媒体を含み得る。機械可読媒体の非限定的な例としては、固体メモリ、光学媒体、及び磁気媒体を含み得る。一例では、大容量機械可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有する機械可読媒体2622を含む。したがって、大容量機械可読媒体は、一時的に伝播する信号ではない。大容量機械可読媒体の特定の例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM))及びフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含み得る。さらに命令2624は、伝送媒体を使用し、ネットワークインターフェースデバイス2620を介して、通信ネットワーク2626を通じて送信又は受信できる。
【0143】
特定の例示的な実施形態又は方法を参照して実施例が説明されてきたが、実施形態のより広い範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができることは明らかである。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味において考慮されるべきである。本明細書の一部を形成する添付の図面は、限定ではなく例示として、主題が実践され得る特定の実施形態を示す。例示された実施形態は、本明細書に開示された教示を当業者が実践できるように十分詳細に説明されている。本開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更を行うことができるように、他の実施形態を利用してもよく、また、明細書に開示された教示から他の実施形態を導き出してもよい。したがって、この詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物のすべての範囲とによってのみ定義される。
【0144】
本発明の主題のそのような実施形態は、本明細書において個々に及び/又は集合的に「発明」という用語によって言及される場合があるが、これは単に便宜上の問題であり、本出願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念(もし実際に複数が開示されているならば)に自発的に限定する意図はない。したがって、本明細書では特定の実施形態を例示し説明したが、同じ目的を達成するために算定された任意の構成が、示された特定の実施形態の代替となり得ることを認識されたい。本開示は、様々な実施形態の任意の及びすべての適応又は変形を網羅することを意図している。上記の実施形態と、本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態との組み合わせは、上記の説明を検討すれば、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】