(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物を含む調製物、その調製方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 18/30 20060101AFI20221019BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20221019BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20221019BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20221019BHJP
C08L 23/18 20060101ALI20221019BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
C08G18/30 020
C08G18/65
C08G18/08 038
C08L75/04
C08L23/18
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022511237
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020072448
(87)【国際公開番号】W WO2021032528
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ドラーヴェ,パトリク
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ゼバスティアン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002BB172
4J002BB192
4J002CK031
4J002CK041
4J002CK051
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD202
4J002FD320
4J034BA08
4J034CA04
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC12
4J034CC26
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4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
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4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
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4J034DG08
4J034DG09
4J034DH02
4J034DM01
4J034HA01
4J034HA07
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4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
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4J034QC04
4J034QD01
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4J034RA05
4J034RA07
4J034RA09
4J034RA11
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)を含む調製物であって、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)はポリイソシアネートと、イソシアネートと反応する化合物と、水とを、ポリアルファオレフィンを含む消泡剤、の存在下で反応させることによって得られる調製物と、それぞれの製造方法と、同様に使用と、その調製物に由来する装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)を含む調製物であって、前記熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)は、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)イソシアネートと反応する化合物と、
(c)水と、
を、
(d)ポリアルファオレフィンを含む消泡剤、
の存在下で反応させることによって得られる、調製物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)は、熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)である、請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
前記調製物は鎖延長剤を用いずに得られる、請求項1又は2に記載の調製物。
【請求項4】
前記ポリアルファオレフィンは、2~14個の炭素原子を含む1-アルケンの反応生成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項5】
前記ポリアルファオレフィンは、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンからなる群から選択される1-アルケンの1つの反応生成物であるか、又はそれらの混合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項6】
前記ポリアルファオレフィンは、調製物の全量を参照して0.5質量%~3質量%を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項7】
前記ポリアルファオレフィンは、好ましくはDIN 55672-1:2016に従って決定される4.0×10
2g/Mol~1.5×10
4g/Mol、好ましくは、2.0×10
3g/Mol~2.4×10
3g/Molの数平均分子量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項8】
前記イソシアネートは、芳香族のイソシアネートであり、より好ましくは、前記ポリイソシアネートは、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項による調製物を調製する方法。
【請求項10】
前記方法は、反応押出法、ベルトライン法、ベルトキャスト法、又はハンドキャスト法であり、好ましくはベルトライン法である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
以下のステップ:
(A1)予備混合物を得るために、イソシアネートに対して反応性のある化合物を消泡剤と混合するステップと、
(A2)反応混合物を得るために、ポリイソシアネートを、好ましくは50℃以上150℃以下の範囲の温度で前記予備混合物に導入するステップと、
を含むか、又は
すべての反応成分を同時に混合する、請求項9又は10による方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項による調製物、又は、物品を製造するための請求項9~11のいずれか1項の方法によって得られた調製物の使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項による調製物、又は、請求項9~11のいずれか1項の方法によって得られた調製物を含む、物品。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項による調製物、又は、請求項9~11のいずれか1項の方法によって得られた調製物からなる、発泡ビーズ又は物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TPPPとも呼ばれる熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物を含む調製物(preparation)、その調製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
TPPPは、適切な量の構成成分であるポリイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性のある化合物の反応生成物である。
【0003】
TPU-Uとも呼ばれる熱可塑性ポリウレタンウレアは、US4,286,080、US5,688,863及びUS5,739,250に記載されている。これらのTPU-Uは、ポリオール、ジイソシアネート及び水を反応押出法を用いて反応させることによって調製される。
【0004】
これらTPU-U中の水の存在は、発泡に関して生成プロセスを不十分し、工業規模での取り扱いを困難にさせる。したがって、これらの技術では、完成したTPPPの機械的特性及び耐熱性を損なうことなく、安定した再現性のあるプロセスを提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、厄介な発泡を減少させることによって、TPPPを含む調製物の製造方法を改善し、それによって、安定して再現性があり、同時に許容可能な機械的特性及び良好な耐熱性を有する高品質のTPPP調製物が得られようにすることであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、この目的は、TPPPとも呼ばれる熱可塑性ポリ重付加生成物を含む調製物の製造方法において、ポリアルファオレフィンを含む消泡剤を使用することで達成できることが見出された。
【0007】
したがって、実施形態1では、本発明は、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)を含む調製物に関し、ここで、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)は:
(a)ポリイソシアネートと、
(b)好ましくは少なくとも500g/Molの数平均分子量を有する、イソシアネートと反応する化合物と、
(c)水と、
を、
(d)ポリアルファオレフィンを含む消泡剤、
の存在下で反応させることによって得られる。
【0008】
以下に概説されるさらなる実施形態においてさらに明確でさえある実施形態1の利点のいくつかは、低減された発泡であり、この結果、特に圧縮永久ひずみ、摩耗、及び反発の点で良好な機械的特性を有する、安定して再現性のある高品質のTPPPが得られる。その他の重要な特性は、低温柔軟性及び非常に優れた耐熱性である。
【0009】
本発明の別の態様は、TPPP、好ましくはTPU-Uを含む調製物に基づく発泡ビーズである。
【0010】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される、調製物(preparation)とも呼ばれる生成物を調製するための方法に関する。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、本明細書の一項目に記載される、調製物(preparation)とも呼ばれる生成物を物品の使用に関する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載される、生成物、調製物をそれぞれ含む物品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例で説明した消泡剤の性能を決定するために使用される金属缶の寸法を示す。缶は円錐形である。頂部の直径(d1)は163mm、底部の直径(d2)は155mm、高さ(h)は180mm、体積(V)は3.3Lである。実験に使用した缶の材料は、壁の厚さ(w)が約0.6mmのアルミナムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明:
TPPPは、ポリイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性のある化合物の反応生成物である。イソシアネートに対して反応性のある好ましい化合物としては、分子量が500g/Mol以上の化合物である。49g/Mol~499g/Molの分子量を有する、イソシアネートに対して反応性のある化合物を「鎖延長剤」と呼ぶ。水は尿素単位を生じるイソシアネートに対して反応性のある別の化合物であるため、別に参照される。イソシアネート、及びイソシアネートに対して反応性のある化合物は、熱可塑性ポリウレタンポリ付加生成物(TPPP)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)の構成要素とも呼ばれる。
【0015】
混入成分とも呼ばれる、構成成分以外は、消泡剤を指し、及び任意で触媒、補助物質材料、及び/又は添加剤とも添加物質材料を指す。
【0016】
鎖延長剤
実施形態1のすべての特徴を含む好ましい実施形態2では、適切な鎖延長剤の少量が、TPPPを含む調製物において構成成分として添加される。これは、所望の特性に影響を与えない。少量とは、TPPP、好ましくはTPU-Uの総質量を参照して、0質量%よりも高く、2質量%未満である任意の量である。別の好ましい実施形態では、TPPP、好ましくはTPU-Uの総質量を参照して、より好ましくは0質量%より高く1質量%未満、より好ましくは0質量%より高く、0,1質量%未満の量である。
【0017】
鎖延長剤は、好ましくは、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物であり、0.05×103g/Mol~0.499×103g/Molの分子量を有し、好ましくは、官能基(2の官能性)とも呼ばれるイソシアネートと反応する2つの基を有するものである。鎖延長剤は、単一の鎖延長剤であるか、又は少なくとも2つの鎖延長剤の混合物のいずれかである。鎖延長剤は、好ましくは二官能性化合物であり、好ましい例は、アルキレンラジカルに2~10個の炭素原子を有するジアミン又はアルカンジオールである。好ましい実施形態では、鎖延長剤(CE)は、1,2-エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメタノールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール及びハイドロキノンビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、又はこれらの混合物、からなる群から選択される。好ましくは、鎖延長剤は、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオール、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコール、好ましくはそれぞれのオリゴ-及び/又はポリプロピレングリコールからなる群から選択され、又はそれらの混合物である。特に好ましい鎖延長剤は、エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールである。好ましい一実施形態では、鎖延長剤は1,3プロパンジオールである。
【0018】
水
別の好ましい実施形態3では、実施形態1もしくは2又はその好ましい実施形態によるTPPPを含む調製物は、鎖延長剤を含有しない。ハードセグメントは、ジイソシアネートと水のみから構築される。ソフトセグメントは、ポリオールである。このTPPPは、TPU-Uとも呼ばれる熱可塑性ポリウレタンウレアである。TPU-Uは、同等の熱可塑性ポリウレタン(TPU)におけるのと同じポリオールを用いて、さらなる添加物なしに、より高い熱安定性を有する材料を製造することができるため、特に望ましい。
【0019】
別の好ましい実施形態4では、調製物は、構成成分:
(a)ポリイソシアネートと、
(b)少なくとも500g/Molの数平均分子量を好ましくは有する、イソシアネートに対して反応性のある化合物と、
(c)水と、
を、
(d)消泡剤、
の存在下での反応によって得られるTPPP、好ましくは、TPU-Uを含み、
そこでは、好ましくは、調製物は、鎖延長剤を含まず、消泡剤はポリアルファオレフィンを含む。
【0020】
好ましくは、水の量は、構成成分の総質量に基づいて、0.1質量%~3.0質量%の間である。好ましくは、それは0.1質量%~2.8質量%の間、好ましくは0.15質量%~2.8質量%の間、好ましくは0.2質量%~2.8質量%の間である。より好ましくは、0.2質量%~2.5質量%の間、より好ましくは0.25質量%~2.5質量%の間、より好ましくは0.3質量%~2.5質量%の間である。最も好ましくは、0.3質量%~2.2質量%の間、又は、最も好ましくは、0.35質量%~2.2質量%の間、又は、最も好ましくは、0.4質量%~2.2質量%の間である。特に好ましい実施形態では、構成成分の総質量に基づいて、水の量は0.4質量%~2.0質量%の間である。
【0021】
好ましい実施形態5では、実施形態1から4のいずれか又はそれらの好ましい実施形態のすべての特徴を含む調製物は、消泡剤は、ポリアルファオレフィンを含むか、又はポリアルファオレフィンである。ポリ-α-オレフィン(ポリ-α-オレフィン、PAO)は、アルファ-オレフィンを重合させることによって作られるポリマーであるアルファ-オレフィン又はα-オレフィンは、炭素-炭素二重結合がα-炭素原子から始まるアルケンであり、すなわち、二重結合が分子内の第1炭素と第2炭素の間にあるものである。
【0022】
好ましい実施形態6では、すなわち、実施形態5又はその好ましい実施形態のすべての特徴を含む調製物では、ポリアルファオレフィンは、2~14個の炭素原子を含む1-アルケンの反応生成物であり、さらに好ましくは、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンからなる群から選択される1-アルケンの1つの反応生成物であるか、又はそれらの混合物であり、さらに好ましくは、1-アルケンは1-デセンである。これらのモノマーは市販されており、以下のCAS-No. 1-ヘキセン:592-41-6、1-オクテン:111-66-0、1-デセン:872-05-9、1-ドデセン:112-41-4,1-テトラデセン:1120-36-1を有する。
【0023】
好ましい実施形態7では、すなわち、実施形態5又は6又はその好ましい実施形態のすべての特徴を含む調製物では、ポリアルファオレフィンは、2量体、3量体、4量体などの1-デセンのオリゴマーの混合物を含む(CAS-No.68037-01-4)。一方、製造プロセスにより、エチレン、プロピレン及び/又は1-ブテンなどの炭素原子の少ない分子がこれらのオリゴマーに含まれていてよい。
【0024】
好ましい実施形態では、ポリ-アルファ-オレフィン(PAO)は分岐しており、他の好ましい実施形態では、PAOは直鎖状である。他の好ましい実施形態では、PAOの分散度は、1と3の間、より好ましくは1と2の間、さらに好ましくは1,2と1,4の間、最も好ましくは1,3である。好ましい実施形態では、分散度は、DIN 55672-1:2016に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、(Polymer Laboratoriesによって提供されるポリスチレン(PS)に対して;テトラヒドロフラン(THF)中の溶液)。
【0025】
好ましい実施形態8では、実施形態5から7の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物は、調製物の全量を参照して0.5質量%~3質量%のポリ-アルファ-オレフィンを含む。
【0026】
実施形態5から8の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態9においては、ポリアルファオレフィンは、4.0×102g/Mol~1.5×104g/Mol、好ましくは1.0×103g/Mol~8.0×103g/Mol、より好ましくは2×103g/Mol~4.0×103g/Mol、最も好ましくは2.6×103g/Mol~3.0×103g/Molの数平均分子量を有する。この文脈における分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定され、好ましくはDIN 55672-1:2016に従って決定される(Polymer Laboratoriesによって提供されるポリスチレン(PS)に対して;テトラヒドロフラン(THF)中の溶液で)。
【0027】
好ましくは、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)は、(a)イソシアネート、好ましくはジイソシアネートを、(b)イソシアネートと反応する化合物と反応させ、好ましい実施形態では、ポリオール、好ましくはイソシアネートと反応する2つの官能基を有するポリオール、好ましくは、500g/Mol~100×103g/Molの数平均分子量を有するポリオールと、所望であれば、(c)好ましくは0.05×10g/Mol~100×10g/Molの分子量を有する鎖延長剤又は水と反応させ、さらに他の好ましい実施形態では、消泡剤の存在下で鎖延長剤及び水と、所望であれば、さらに(d)触媒及び/又は(e)補助剤及び/又は添加剤の存在下で反応させることによって調製される。
【0028】
成分(a)イソシアネート、(b)イソシアネートと反応する化合物、好ましい実施形態ではポリオール及び(c)鎖延長剤、それぞれ水は、構造成分又は構成成分として、個別に又は一緒に扱われ得る。触媒及び/又は補助剤及び/又は添加剤を含む構成成分は、入力材料とも呼ばれる。TPPP、好ましくはTPU-Uの硬度及びメルトインデックスを調整するために、使用される構成成分の量のモル比を変化させることができ、それにより、硬度及び溶融粘度は、鎖延長剤(c)、それぞれ水の含有量が増加するにつれて増加し、一方、メルトフローインデックスは減少する。
【0029】
軟質ポリイソシアネート重付加生成物TPPP、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)、好ましくはショアA硬度が90未満、好ましくは90~70ショアAを有するもの生成するために、本質的に二官能性のポリオール(b)は、ポリヒドロキシル化合物(b)とも呼ばれ得、使用する場合には、鎖延長剤(c)及び水は、有利には0.3~2(水)又は1:1~1:5(c)、好ましくは0.5~1.5(水)又は1:1.5~1:4.5(c)のモル比で使用されることができ、これによって得られる構造成分(b)及び(c)、それぞれ水の混合物は、170を超える、特に230~450のヒドロキシル当量を有する。
【0030】
熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)を調製するために、構成成分(a)、(b)を、いくつかの好ましい実施形態では鎖延長剤(c)をも、好ましい実施形態では触媒(d)ならびに任意に補助剤及び/又は添加剤(e)の存在下で、成分(b)及び(c)のヒドロキシル基の合計に対するジイソシアネート(a)のNCO基の当量比が0.95~1.10:1、好ましくは0.98~1.08:1、特に約1.0~1.05:1となるような量で、反応させる。
【0031】
本発明の文脈における数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定され、好ましくはDIN 55672-1に従って決定される。
【0032】
イソシアネート
イソシアネートは、好ましくは有機イソシアネート(a)であり、好ましくは脂肪族、脂環式脂肪族、芳香脂肪族及び/又は芳香族のイソシアネートであり、さらに好ましくはジイソシアネートである。イソシアネートは、より好ましくは、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチル-ブチレン-1,4-ジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-ブチレン-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、2,4-パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、2,4-テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12 MDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアネート、3,3’-ジメチル-ジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネート、を含む群から選択されるか、あるいはそれらの混合物である。
【0033】
実施形態1~9の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態10において、ポリイソシアネートは、上記で概説したように芳香族ジイソシアネートであり、より好ましくは、2,4-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなる群から選択されるか、あるいはそれらの混合物である。最も好ましくは、イソシアネートは2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。
【0034】
ポリオール
イソシアネート反応性化合物(b)は、統計的平均で少なくとも1.8、多くとも3.0のZerewitinoff活性水素原子を有しており、この数はイソシアネート反応性化合物(b)の官能性として参照されるものであり、物質量から1分子について理論的に計算された1分子のイソシアネート反応性基の量を示す。官能性は、好ましくは1.8~2.6、さらに好ましくは、1.9~2.2、特に好ましくは、2である。イソシアネートに対して反応性のある化合物(b)は、0.500×103g/Molと8×310g/Molの間、好ましくは0.7×103g/Mol~6.0×103g/Molの間、特に0.8×103g/Mol~4.0×103g/Molの間の分子量を有するものが好ましい。
【0035】
イソシアネート反応性化合物は本質的に直鎖状であり、イソシアネート反応性物質又は異なる物質の混合物であり、この場合、混合物は上記要件を満たす。これらの長鎖化合物は、ポリイソシアネートのイソシアネート基含有量に基づいて、1当量Mol%~80当量Mol%の含有量で使用される。
【0036】
イソシアネート反応性化合物(b)は、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基又はカルボン酸基から選択される反応性基を有することが好ましい。好ましい基はヒドロキシル基である。これらの化合物は、ポリオールとも呼ばれる。ポリオール(b)は、好ましくは、ポリエステル、ポリエーテルオール又はポリカーボネートジオールからなる群から選択され、より好ましくは、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートからなる群から選択される。特に好ましいのは、ポリエーテルポリオールである。さらに別の実施形態では、ポリエステルポリオールが好ましい。
【0037】
ポリエステルポリオール
好ましいポリオールは以下の群:ポリプロピオラクトン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリオキサシクロドデカン-2-オン、アジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸もしくはそれらの混合物、ならびに1,2-エタンジオールと1,4-ブタンジオールの混合物に基づくコポリエステル、アジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸もしくそれらの混合物、ならびに1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールの混合物に基づくコポリエステル、アジピン酸、ならびに3-メチル-ペンタンジオール-1,5及び/もしくはポリテトラメチレングリコール(ポリテトラヒドロフラン、PTHF)に基づくポリエステル、特に好ましくはアジピン酸ならびに1,2-エタンジオールと1,4-ブタンジオールの混合物に基づくコポリエステル、又はアジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸もしくはそれらの混合物、ならびにポリテトラメチレングリコール(PTHF)に基づくポリエステルから選択され、又はそれらの混合物である。
【0038】
ポリエーテルポリオール
他の好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、好ましくはポリエーテルジオールであり、さらに好ましいのは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドに基づくものである。別の好ましいポリエーテルは、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。好ましい実施形態では、ポリテトラヒドロフランは、0.6×103g/Molと3×103g/Molの間の数平均分子量を有する。1つの好ましい実施形態では、PTHFの数平均分子量は、0.6×103g/Molと0.7×103g/Molの間であり、最も好ましくは0.65×103g/Molである。さらに別の好ましい実施形態では、数平均分子量は、0.9×103g/Molと1.1×103g/Molの間、より好ましくは1.0×103g/Molであり、さらに別の実施形態では、数平均分子量は、1.9×103g/Molと2.1×103g/Molの間、より好ましくは2.0×103g/Molである。好ましい実施形態では、PTHFは、上記のような特定の分子量で使用される。他の好ましい実施形態では、PTHFは異なる分子量を有するPTHFの混合物であり、より好ましくは上記で与えられた通りである。1つの好ましい実施形態では、PTHFは、0.9×103g/Molと1.1×103g/Molの間、より好ましくは1.0×103g/Molの数平均分子量を有するPTHFと、1.9×103g/Molと2.1×103g/Molの間、より好ましくは2.0×103g/Molの数平均分子量を有するPTHFとの混合物である。
【0039】
本発明の文脈における数平均分子量Mnは、好ましくはDIN 55672-1に従って決定される。
【0040】
ポリカーボネートジオール
別の好ましい実施形態では、イソシアネートに対して反応性のある化合物(b)は、ポリカーボネートジオール、好ましくは脂肪族ポリカーボネートジオールである。好ましいポリカーボネートジオールは、例えば、アルカンジオールに基づくポリカーボネートジオールである。好ましいポリカーボネートジオールは、厳密に二官能性のOH-官能性のポリカーボネートジオール、好ましくは厳密に二官能性のOH-官能性の脂肪族ポリカーボネートジオールである。好ましいポリカーボネートジオールは、ブタンジオール、ペンタンジオール又はヘキサンジオール、特に1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-(1,5)-ジオールに基づくか、又はそれらの混合物であり、特に好ましくは1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はそれらの混合物である。本発明において最も好ましいのは、ブタンジオールとヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオール、ペンタンジオールとヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオール、ヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2つ以上の混合物である。
【0041】
好ましくは、使用されるポリカーボネートジオールは、GPCを介して決定される0.5×103Mol~4.0×103g/Molの範囲、好ましくは0.65×103g/Mol~3.5×103g/Molの範囲、特に好ましくは0.8×103g/Mol~3.0×103g/Molの範囲の数平均分子量を有し、最も好ましくは2.0×103g/Molの数平均分子量を有する。
【0042】
ポリシオロキサンジオール
別の好ましい実施形態では、ポリオールはポリシロキサンジオールである。分子量は、好ましくは0,500×103g/Molと15×103g/Molの間であり、より好ましくは1.0×103g/Molと3.0×103g/Molの間である。
【0043】
好ましくは、オリゴ又はポリシロキサンは、式(I):
HO-[Ak-O]q-Ak-Si(R2)-[O-Si(R2)]p-O-Si(R2)-Ak-[O-Ak]q’-OH 式(I)
を有し、式中、Akは好ましくはC2-C4アルキレンを表し、RはC1-C4アルキルを表し、p、q及びq’のそれぞれは独立して、0から50の範囲から選択される数である。式(I)のより好ましい部位(B)においては、pは1から50、特に2から50の範囲である。
【0044】
1つの好ましい実施形態では、Akは、各残基(C1)内の同一のアルキレン単位を表し、さらに別の好ましい実施形態では、Akは、同一の残基(C1)内の異なるアルキレン単位を表す。1つの好ましい実施形態では、Akは、同じ残基(C1)内のエチレン又はプロピレンである。
【0045】
1つの好ましいポリジメチルシロキサンジオールは、式(II)
【0046】
【0047】
ここで、mは5~80の範囲、
又は、式(III)
【0048】
【0049】
実施形態1~10又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態11においては、イソシアネートと反応する化合物は、ポリシロキサンを含まない。
【0050】
ポリオールの混合物
1つの好ましい実施形態では、ポリオールは2つ以上のポリオールの混合物である。
【0051】
ポリエーテルポリオールとポリカーボネートジオールの混合物を使用する場合、ポリカーボネートジオールは、ポリオール混合物の総質量に基づいて、50質量%未満、好ましくは35質量%未満、より好ましくは15質量%未満、最も好ましくは5質量%未満の量で使用される。
【0052】
実施形態1~11の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態12においては、イソシアネートと反応する化合物はポリエーテルポリオールであり、より好ましくはポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。PTHFは、好ましくは、1×103g/Molの数平均分子量を有する。
【0053】
触媒
好ましい実施形態では、触媒(d)は構成成分とともに使用される。これは特に、イソシアネート(a)のNCO基と、イソシアネート反応性化合物(b)、好ましくはヒドロキシル基を有するイソシアネート反応性化合物(b)と、使用される場合には、鎖延長剤(c)及び水と、の間の反応を促進するものである。好ましい触媒は、KOH、第三級アミンからなる群から選択されるか、又は、金属化合物から、好ましくはチタン酸エステル、鉄化合物、鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、好ましくはカルボン酸のもの、特に好ましいスズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート又はスズジアルキル塩、さらに好ましいジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートから選択されるか、又はカルボン酸のビスマス塩、好ましくはネオデカン酸ビスマス(III)からなる群から選択されるか、又はまたはそれらの混合物である。
【0054】
好ましい触媒は第三級アミンであり、好ましくは、N,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、1-[ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノ]-2-プロパノール、N,N-ビス-(2-ヒドロキシ-プロピル)-N’,N’-ジメチルプロパンジイルジアミン、N’-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N,N,N’-トリメチルプロパン-1,3-ジアミン、2-[[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]エタノール、1-O-ジメチルアミノエチル-エチレングリコール、2-((2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチル-アミノ)エタノール、からなる群から選択される。
【0055】
より好ましいのは、触媒がN,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン又はN’-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N,N,N’-トリメチルプロパン-1,3-ジアミンから選択されるか、又はそれらの混合物である。これらの触媒は特に活性が高い。
【0056】
最も好ましいのは、N,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンであり、この触媒は非常に活性が高く、毒性が低いためである。
【0057】
触媒(d)は、イソシアネートと反応する化合物(b)の100質量部に対して0,0001~0,1質量部の量で使用されるのが好ましく、より好ましくは100質量部に対して0.005~0.05質量部の量、より好ましくは100質量部に対して0.01~0.02質量部の量、最も好ましくはイソシアネートと反応する化合物(b)の100質量部に対して0.015質量部の量で使用される。さらに別の好ましい実施形態では、構成成分とともに触媒(d)が使用されない。
【0058】
補助剤
好ましい実施形態では、補助剤又は添加剤(e)が、構成成分(a)~(c)に加えられる。好ましい例としては、界面活性物質、充填剤、難燃剤、造核剤、酸化安定剤、潤滑助剤および離型助剤、染料および顔料、必要であれば安定剤、好ましくは加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機充填剤、補強剤及び/又は可塑剤が挙げられる。本発明の意味での安定剤は、プラスチック又はプラスチック組成物を有害な環境の影響から保護する添加剤である。好ましい例は、一次及び二次酸化防止剤、立体障害性フェノール、立体障害性アミン光安定剤、UV吸収剤、加水分解阻害剤、消炎剤及び難燃剤である。市販の安定剤の例は、Plastics Additives Handbook,第5版 Edition,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001([1]),98~136頁に記載されている。
【0059】
好ましい実施形態では、UV吸収剤は、0.3×103g/Molより大きい数平均分子量、特に0.39×103g/Molより大きい数平均分子量を有する。さらに、好ましい紫外線吸収剤は、5×103g/Molを超えない分子量、特に好ましくは2×103g/Molを超えない分子量を有する。
【0060】
UV吸収剤は、好ましくは、シンナメート、オキサニリド及びベンゾトリアゾールからなる群から選択されるか、又はそれらの混合物であり、UV吸収剤として特に適しているのはベンゾトリアゾールである。特に適切なUV吸収剤の例としては、Tinuvin(登録商標)213、Tinuvin(登録商標)234、Tinuvin(登録商標)312、Tinuvin(登録商標)571、Tinuvin(登録商標)384、Eversorb(登録商標)82である。好ましくは、UV吸収剤は、組成物の総質量に基づいて0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~2.0質量%、特に0.2質量%~0.5質量%の量で添加される。
【0061】
多くの場合、上述のような酸化防止剤とUV吸収剤に基づくUV安定化は、UV線の有害な影響に対する組成物の良好な安定性を保証するのに十分でない。この場合、酸化防止剤および/またはUV吸収剤に加えて、あるいは単独の安定剤として、立体障害性アミン光安定剤(HALS)を組成物に添加する。市販されているHALS安定剤の例は、Plastics Additive Handbook,第5版 edition,H.Zweifel著,Hanser Publishers,Munich,2001年123~136頁に記載されている。特に好ましい障害性アミン光安定剤は、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバカット(Tinuvin(登録商標)765、Ciba Spezialitaetenchemie AG)、ならびに1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸(Tinuvin(登録商標)622)の縮合生成物である。特に、最終製品のチタン含有量が、使用した成分に基づいて、150ppm未満、好ましくは50ppm未満、特に10ppm未満である場合、1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸(Tinuvin(登録商標)622)の縮合生成物が好ましい。
【0062】
HALS化合物は、組成物の総質量に基づいて、0.01質量%~5質量%、特に好ましくは0.1質量%~1質量%、特に0.15質量%~0.3質量%の濃度で使用されるのが好ましい。
【0063】
特に好ましいUV安定化剤は、フェノール安定剤、ベンゾトリアゾール及び上記の好ましい量のHALS化合物の混合物を含む。
【0064】
上記の補助剤及び添加剤に関するさらなる情報は、技術文献、例えば、Plastics Additives Handbook,第5版 edition,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001に記載されている。好ましい実施形態では、TPPP、より好ましくはTPU-Uは、ペレット又は粉末の形態である。一実施形態では、TPPP、好ましくはTPU-Uが発泡しており、より好ましくは、TPPP、好ましくはTPU-Uのペレット又は粉末のいずれかは発泡している。これらの発泡TPPP、好ましくはこれらのTPU-Uのペレット又は粉末は、膨張TPPP粒子とも呼ばれ、好ましい膨張TPU-Uは、TPU-U粒子とも呼ばれ、あるいは短くeTPPP粒子、eTPU-U粒子ともそれぞれ呼ばれる。
【0065】
適切な発泡剤は、方法と正確な条件に基づいて選択され、有機液体もしくは無機気体、又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。使用可能な液体は、ハロゲン化炭化水素、又は飽和脂肪族炭化水素、特に3から8個の炭素原子を有するものを含む。適切な無機ガスは、窒素、空気、アンモニア、又は二酸化炭素である。さらなる詳細は、例えば、WO2005/023920、WO2007/082838、WO2010/136398、WO2013/153190、WO2014/198779、WO2015/055811、WO2017/030835、US2017/0036377、US2016/0271847、US2016/0108198、WO2014/150119、WO2014/150124及びWO2016/131671に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
調製方法(PPP)
本発明の別の態様は、実施形態1~12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物を調製するための方法であり、これは実施形態13である。
【0067】
ポリイソシアネート重付加生成物、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)は、例えば反応押出機法、ベルトライン法、ベルトキャストライン法、ハンドキャスト法などの公知の方法に従って不連続又は連続的に生成されることができる。これらの方法では、「ワンショット」法又はプレポリマー法のいずれかが適用される。
【0068】
構成成分(a)、(b)、及び水、最終的には鎖延長剤(c)、及び消泡剤を互いに混合する。これは、好ましい実施形態において、触媒(d)及び/又は補助剤(e)の存在下で、連続して又は同時に行われる。反応押出機法における混合は、好ましくは100℃から280℃の間、より好ましくは140℃から250℃の間の温度で行われる。ベルトライン法での混合は、好ましくは50℃から95℃の間、より好ましくは50℃から85°の間の温度で行われる。これにより、水の蒸発を避けることができる。
【0069】
実施形態14において、先行する実施形態13による方法は、反応押出機法、ベルトライン法、ベルトキャスト法、又はハンドキャスト法であり、好ましくはベルトライン法又はベルトキャスト法である。
【0070】
実施形態15において、実施形態13もしくは14による方法、又はその好ましい実施形態は、以下のステップ:
(A1)予備混合物を得るために、分子量が少なくとも500g/Molのイソシアネートに対して反応性のある化合物を消泡剤と混合するステップと、
(A2)反応混合物を得るために、ポリイソシアネートを、好ましくは50℃以上150℃以下の範囲の温度で前記予備混合物に導入するステップと、
を含むか、又は
すべての反応成分が同時に混合されるかである。
【0071】
ステップ(A1)及び(A2)は、プレポリマー法とも呼ばれる。イソシアネートと、イソシアネートと反応する化合物の分子比は、2:1と1:1の間が好ましい。これは、プレポリマーの形でのイソシアネートの取り扱いが非常に容易になるという利点を有する。さらに、システムの要求に応じて粘度を調整することができる。別の好ましい実施形態では、イソシアネートと、イソシアネートと反応する化合物の分子比は、0.1:1と1:1の間、又は別の好ましい実施形態では0.5:1と1:1の間である。これも、要求に応じて粘度を調整することができる。ステップ(A3)では、水、少なくとも500g/Molを有するイソシアネートに対しての反応性を有する追加の化合物を、反応混合物に添加して、熱可塑性ポリ重付加生成物(TPPP)を形成する。いくつかの好ましい実施形態では、鎖延長剤が追加で加えられ、他の好ましい実施形態では、少なくとも500g/Molを有するイソシアネートに対して反応性を有する化合物の他には、水のみが反応混合物に構成成分として加えられる。
【0072】
実施形態15による方法における実施形態16では、すべての反応成分が同時に混合される。この方法は、キャストベルトライン法、ベルトライン法及び反応押出法、又はハンドキャスト法に特に好ましい。
【0073】
ハンドキャスト法、ベルトライン法、及びベルトキャストライン法は、押出法に比べて二酸化炭素(CO2)の脱ガスをはるかに容易することができるため、好ましい。さらに、本発明による消泡剤を使用することにより、脱気がより効果的である。
【0074】
使用
好ましい実施形態17では、それぞれ、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態に従って、それぞれ実施形態13から16の1つ又はそれら好ましい実施形態による方法によって得られる調製物は、ペレット又は粉末の形態である。好ましい実施形態におけるペレット又は粉末は、コンパクトな材料である。別の好ましい実施形態では、ペレットは、発泡ビーズとも呼ばれる膨張した材料である。
【0075】
本発明の別の態様及び実施形態18は、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物からなる発泡ビーズ、又は実施形態13から16の1つ又はそれらの好ましい実施形態によって得られる調製物からなる発泡ビーズである。
【0076】
これらの発泡ビーズ、またそれから生成された成形体は、様々な用途に使用されることができ(例えば、WO94/20568、WO2007/082838A1、WO2017030835、WO2013/153190A1、WO2010010010を参照)、ここで参照により組み込まれる。
【0077】
本発明の別の態様及び実施形態19は、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の使用、又は実施形態13から16の1つ又は物品を製造するためのその好ましい実施形態による方法によって得られる調製物の使用である。
【0078】
これらの物品の製造は、射出成形、カレンダリング、粉末焼結又は押出成形によって行われるのが好ましい。
【0079】
本発明のさらに別の態様は、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物によって製造される物品、又は実施形態13から16の1つ又はそれらの好ましい実施形態による方法によって得られる物品である。
【0080】
さらなる好ましい実施形態における物品は、コーティング、減衰要素、ベローズ、ホイル、繊維、成形体、建物および輸送機関のための床、不織布、ガスケット、ロール、靴底、ホース、ケーブル、ケーブルコネクタ、ケーブルシース、クッション、ラミネート、プロファイル、ストラップ、サドル、調製物のさらなる発泡による発泡体、プラグコネクタ、トレーリングケーブル、ソーラーモジュール、自動車のライニング、ワイパーブレード、エレベータの荷重支承部材、ローピングアレンジメント、機械用駆動ベルト、好ましくは乗客用コンベア、乗客コンベアの手すり、熱可塑性材料の、別の材料の特性に影響を与える物質を意味する改質剤、から選択される。これらの物品のそれぞれ自体が好ましい実施形態であり、これはまた用途と参照される。
【実施例】
【0081】
1.実施例-原材料
ポリオール1:114のOH数で第一級OH官能のみを含む、テトラメチレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール(官能性:2)
ポリオール2:55,5~56,2のOH数を含む、アジピン酸、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールに基づくポリエステルポリオール(官能性:2)
ポリオール3:55,5のOH数を含む、 -カプロラクトンに基づくポリエステルポリオール(官能性:2)
イソシアネート1:芳香族ジイソシアナート(4,4’-メチレンジフェニルジイソシアナート)
鎖延長剤(CE)1:1,4-ブタンジオール
H2O:水
消泡剤1(D1):2(エチレン)から14(1-テトラデセン)の炭素原子数を有する1-アルケンを含み、分子量は400g/Molから15000g/Mol(数平均分子量は2200g/Mol)、分散度は1,3である、ポリアルファオレフィン。例えば、米国のBYK社からBYK(登録商標)-1790として、入手可能
消泡剤2(D2):脂肪族ヒドロキシ化合物、ナタネ油、パラフィンワックスの水中乳剤。例えば、ドイツのBASF社からAfranil NCとして、入手可能
消泡剤3(D3):泡を破壊するポリシロキサンとポリグリコール中の疎水性固体の混合物。例えば、米国BYK社からBYK(登録商標)-093として、入手可能
消泡剤4(D4):ポリオールアルコキシレート、EO-POブロックコポリマー、非イオン性。例えば、ドイツのBASF社からSokalan AFとして、入手可能
消泡剤5(D5):エトキシル化されたプロポキシル化脂肪アルコール、非イオン性。例えば、ドイツのBASF社からPlurafac LF 1300として、入手可能
【0082】
2.実施例-適切な消泡剤の選択
熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)は、表2に概説されているレシピによる消泡剤の存在下でメチレンジフェニルジイソシアネート(Lupranat MET、461.69g)、脱イオン水(14.86g)、及びそれぞれのポリオールを反応させることによって合成されたものである。ポリオールは、
図1に従って金属缶内でオーブンで90℃に予熱された。まず、金属缶をオーブンから取り出し、撹拌機の下に置いた。次に、脱イオン水とそれぞれの消泡剤を続けて加え、得られた混合物を連続的な撹拌下で80℃まで冷却した。メチレンジフェニルジイソシアネートをオーブンで52℃(T
MDI=52℃)に予熱し、次に80℃で缶内の消泡剤、ポリオール、水(反応混合物)に加え、反応を開始させてTPU-Uを合成した。反応混合物の温度及び反応時間は、反応混合物が105℃に達する(金属缶内のTPU-Uのゲル化を避けるため)か、あるいは現れた発泡体の高さが金属缶の頂部に達するまで記録された。その後、反応混合物を125℃の加熱プレート上のテフロン製タブに注ぎ、反応を完了させた。イソシアネートを添加してから10分後、得られたTPU-Uスラブを80℃のオーブンに15時間入れた。最後に、TPU-Uを粉砕し、2mmと6mm厚のテストプレートに再成形した。テストプレートからS2テストバー(DIN 53504)を打ち抜き、機械的テストに使用した。テストプレート製造中の溶融物の温度は250℃を超えてはならない。
【0083】
上記の手順における反応混合物が、発泡体のレベルが金属缶の頂部に到達する前に少なくとも100℃に達した場合(以下の表では最高反応温度と表示)、及び、反応混合物を加熱プレートに注がなければならないまでの反応時間が60秒から120秒の間である場合(以下の表では最大反応時間と表示)、消泡剤はTPU-Uベルトライン生成に使用するのに適している。両パラメータは、ベルトライン法の製造方法において、十分な反応性と混合ポッド内の平均滞留時間を保証するために非常に重要である。
【0084】
【0085】
3.実施例-熱可塑性ポリウレタン及び熱可塑性ポリウレタンウレアの合成
ポリオールは、
図1による金属缶内でオーブンで90℃に予熱された。まず、金属缶をオーブンから取り出し、撹拌機の下に置いた。次に、脱イオン水とそれぞれの消泡剤を続けて加え、得られた混合物を連続的な撹拌下で80℃まで冷却した。メチレンジフェニルジイソシアネートをオーブンで52℃(T
MDI=52℃)に予熱し、次に80℃で缶内の消泡剤、ポリオール、水(反応混合物)に加え、反応を開始させてTPU-Uを合成した。反応混合物の温度及び反応時間は、反応混合物が105℃に達する(金属缶内のTPU-Uのゲル化を避けるため)か、あるいは現れた発泡体の高さが金属缶の頂部に達するまで記録された。その後、反応混合物を125℃の加熱プレート上のテフロン製タブに注ぎ、反応を完了させた。イソシアネートを添加してから10分後、得られたTPU-Uスラブを80℃のオーブンに15時間入れた。最後に、TPU-Uを粉砕し、2mmと6mm厚のテストプレートに再成形した。テストプレートからS2テストバー(DIN 53504)を打ち抜き、機械的テストに使用した。テストプレート製造中の溶融物の温度は250℃を超えてはならない。
【0086】
【0087】
4.実施例-テスト方法と結果
サンプルのテストプレートは射出成形によって作られ、機械的なテストの前に100℃で20時間の焼戻しをされた。
【0088】
ショアA硬度:DIN ISO 7619-1:2012
ショアD硬度:DIN ISO 7619-1:2012
引張テスト:DIN 53 504:2017
引裂強度テスト:DIN ISO 34-1,B:2016
摩耗:DIN ISO 4649:2014
圧縮永久ひずみ:DIN ISO 815:2016
D1モル質量及び数平均分子量(Mn):DIN 55672-1:2016(Polymer Laboratories社によって提供されるポリスチレン(PS)に対して(M=162g/Mol~M=50400g/Mol);テトラヒドロフラン(THF)の溶液)
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
表3~5からわかるように、サンプル1~3とサンプル4~8、サンプル18~19とサンプル20~21、及びサンプル22とサンプル23の比較は、ブタンジオールおよびポリウレアウレタンに基づく熱可塑性ポリウレタンの生産性及び機械的特性の相違を強調している。サンプル4~13は、ポリウレタンウレアが消泡剤として使用されるポリアルファオレフィンの濃度とは無関係に、広い濃度範囲の水で製造され得ることを示している。表1のポリアルファオレフィン含有サンプル及びサンプル14~17は、ポリウレタンウレアの製造工程で好ましく用いられるポリアルファオレフィンの濃度範囲を示している。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TPPPとも呼ばれる熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物を含む調製物(preparation)、その調製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
TPPPは、適切な量の構成成分であるポリイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性のある化合物の反応生成物である。
【0003】
TPU-Uとも呼ばれる熱可塑性ポリウレタンウレアは、US4,286,080、US5,688,863及びUS5,739,250に記載されている。これらのTPU-Uは、ポリオール、ジイソシアネート及び水を反応押出法を用いて反応させることによって調製される。
【0004】
これらTPU-U中の水の存在は、発泡に関して生成プロセスを不十分し、工業規模での取り扱いを困難にさせる。したがって、これらの技術では、完成したTPPPの機械的特性及び耐熱性を損なうことなく、安定した再現性のあるプロセスを提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、厄介な発泡を減少させることによって、TPPPを含む調製物の製造方法を改善し、それによって、安定して再現性があり、同時に許容可能な機械的特性及び良好な耐熱性を有する高品質のTPPP調製物が得られようにすることであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、この目的は、TPPPとも呼ばれる熱可塑性ポリ重付加生成物を含む調製物の製造方法において、ポリアルファオレフィンを含む消泡剤を使用することで達成できることが見出された。
【0007】
したがって、実施形態1では、本発明は、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)を含む調製物に関し、ここで、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)は:
(a)ポリイソシアネートと、
(b)好ましくは少なくとも500g/Molの数平均分子量を有する、イソシアネートと反応する化合物と、
(c)水と、
を、
(d)ポリアルファオレフィンを含む消泡剤、
の存在下で反応させることによって得られる。
【0008】
以下に概説されるさらなる実施形態においてさらに明確でさえある実施形態1の利点のいくつかは、低減された発泡であり、この結果、特に圧縮永久ひずみ、摩耗、及び反発の点で良好な機械的特性を有する、安定して再現性のある高品質のTPPPが得られる。その他の重要な特性は、低温柔軟性及び非常に優れた耐熱性である。
【0009】
本発明の別の態様は、TPPP、好ましくはTPU-Uを含む調製物に基づく発泡ビーズである。
【0010】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される、調製物(preparation)とも呼ばれる生成物を調製するための方法に関する。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、本明細書の一項目に記載される、調製物(preparation)とも呼ばれる生成物を物品の使用に関する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載される、生成物、調製物をそれぞれ含む物品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例で説明した消泡剤の性能を決定するために使用される金属缶の寸法を示す。缶は円錐形である。頂部の直径(d1)は163mm、底部の直径(d2)は155mm、高さ(h)は180mm、体積(V)は3.3Lである。実験に使用した缶の材料は、壁の厚さ(w)が約0.6mmのアルミ
ニウムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明:
TPPPは、ポリイソシアネートおよびイソシアネートに対して反応性のある化合物の反応生成物である。イソシアネートに対して反応性のある好ましい化合物としては、分子量が500g/Mol以上の化合物である。49g/Mol~499g/Molの分子量を有する、イソシアネートに対して反応性のある化合物を「鎖延長剤」と呼ぶ。水は尿素単位を生じるイソシアネートに対して反応性のある別の化合物であるため、別に参照される。イソシアネート、及びイソシアネートに対して反応性のある化合物は、熱可塑性ポリウレタンポリ付加生成物(TPPP)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)の構成要素とも呼ばれる。
【0015】
混入成分とも呼ばれる、構成成分以外は、消泡剤を指し、及び任意で触媒、補助物質材料、及び/又は添加剤とも添加物質材料を指す。
【0016】
鎖延長剤
実施形態1のすべての特徴を含む好ましい実施形態2では、適切な鎖延長剤の少量が、TPPPを含む調製物において構成成分として添加される。これは、所望の特性に影響を与えない。少量とは、TPPP、好ましくはTPU-Uの総質量を参照して、0質量%よりも高く、2質量%未満である任意の量である。別の好ましい実施形態では、TPPP、好ましくはTPU-Uの総質量を参照して、より好ましくは0質量%より高く1質量%未満、より好ましくは0質量%より高く、0,1質量%未満の量である。
【0017】
鎖延長剤は、好ましくは、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物であり、0.05×103g/Mol~0.499×103g/Molの分子量を有し、好ましくは、官能基(2の官能性)とも呼ばれるイソシアネートと反応する2つの基を有するものである。鎖延長剤は、単一の鎖延長剤であるか、又は少なくとも2つの鎖延長剤の混合物のいずれかである。鎖延長剤は、好ましくは二官能性化合物であり、好ましい例は、アルキレンラジカルに2~10個の炭素原子を有するジアミン又はアルカンジオールである。好ましい実施形態では、鎖延長剤(CE)は、1,2-エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメタノールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール及びハイドロキノンビス(β-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、又はこれらの混合物、からなる群から選択される。好ましくは、鎖延長剤は、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオール、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコール、好ましくはそれぞれのオリゴ-及び/又はポリプロピレングリコールからなる群から選択され、又はそれらの混合物である。特に好ましい鎖延長剤は、エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールである。好ましい一実施形態では、鎖延長剤は1,3プロパンジオールである。
【0018】
水
別の好ましい実施形態3では、実施形態1もしくは2又はその好ましい実施形態によるTPPPを含む調製物は、鎖延長剤を含有しない。ハードセグメントは、ジイソシアネートと水のみから構築される。ソフトセグメントは、ポリオールである。このTPPPは、TPU-Uとも呼ばれる熱可塑性ポリウレタンウレアである。TPU-Uは、同等の熱可塑性ポリウレタン(TPU)におけるのと同じポリオールを用いて、さらなる添加物なしに、より高い熱安定性を有する材料を製造することができるため、特に望ましい。
【0019】
別の好ましい実施形態4では、調製物は、構成成分:
(a)ポリイソシアネートと、
(b)少なくとも500g/Molの数平均分子量を好ましくは有する、イソシアネートに対して反応性のある化合物と、
(c)水と、
を、
(d)消泡剤、
の存在下での反応によって得られるTPPP、好ましくは、TPU-Uを含み、
そこでは、好ましくは、調製物は、鎖延長剤を含まず、消泡剤はポリアルファオレフィンを含む。
【0020】
好ましくは、水の量は、構成成分の総質量に基づいて、0.1質量%~3.0質量%の間である。好ましくは、それは0.1質量%~2.8質量%の間、好ましくは0.15質量%~2.8質量%の間、好ましくは0.2質量%~2.8質量%の間である。より好ましくは、0.2質量%~2.5質量%の間、より好ましくは0.25質量%~2.5質量%の間、より好ましくは0.3質量%~2.5質量%の間である。最も好ましくは、0.3質量%~2.2質量%の間、又は、最も好ましくは、0.35質量%~2.2質量%の間、又は、最も好ましくは、0.4質量%~2.2質量%の間である。特に好ましい実施形態では、構成成分の総質量に基づいて、水の量は0.4質量%~2.0質量%の間である。
【0021】
好ましい実施形態5では、実施形態1から4のいずれか又はそれらの好ましい実施形態のすべての特徴を含む調製物は、消泡剤は、ポリアルファオレフィンを含むか、又はポリアルファオレフィンである。ポリ-α-オレフィン(ポリ-α-オレフィン、PAO)は、アルファ-オレフィンを重合させることによって作られるポリマーである。アルファ-オレフィン又はα-オレフィンは、炭素-炭素二重結合がα-炭素原子から始まるアルケンであり、すなわち、二重結合が分子内の第1炭素と第2炭素の間にあるものである。
【0022】
好ましい実施形態6では、すなわち、実施形態5又はその好ましい実施形態のすべての特徴を含む調製物では、ポリアルファオレフィンは、2~14個の炭素原子を含む1-アルケンの反応生成物であり、さらに好ましくは、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンからなる群から選択される1-アルケンの1つの反応生成物であるか、又はそれらの混合物であり、さらに好ましくは、1-アルケンは1-デセンである。これらのモノマーは市販されており、以下のCAS-No. 1-ヘキセン:592-41-6、1-オクテン:111-66-0、1-デセン:872-05-9、1-ドデセン:112-41-4,1-テトラデセン:1120-36-1を有する。
【0023】
好ましい実施形態7では、すなわち、実施形態5又は6又はその好ましい実施形態のすべての特徴を含む調製物では、ポリアルファオレフィンは、2量体、3量体、4量体などの1-デセンのオリゴマーの混合物を含む(CAS-No.68037-01-4)。一方、製造プロセスにより、エチレン、プロピレン及び/又は1-ブテンなどの炭素原子の少ない分子がこれらのオリゴマーに含まれていてよい。
【0024】
好ましい実施形態では、ポリ-アルファ-オレフィン(PAO)は分岐しており、他の好ましい実施形態では、PAOは直鎖状である。他の好ましい実施形態では、PAOの分散度は、1と3の間、より好ましくは1と2の間、さらに好ましくは1,2と1,4の間、最も好ましくは1,3である。好ましい実施形態では、分散度は、DIN 55672-1:2016に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、(Polymer Laboratoriesによって提供されるポリスチレン(PS)に対して;テトラヒドロフラン(THF)中の溶液)。
【0025】
好ましい実施形態8では、実施形態5から7の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物は、調製物の全量を参照して0.5質量%~3質量%のポリ-アルファ-オレフィンを含む。
【0026】
実施形態5から8の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態9においては、ポリアルファオレフィンは、4.0×102g/Mol~1.5×104g/Mol、好ましくは1.0×103g/Mol~8.0×103g/Mol、より好ましくは2×103g/Mol~4.0×103g/Mol、最も好ましくは2.6×103g/Mol~3.0×103g/Molの数平均分子量を有する。この文脈における分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定され、好ましくはDIN 55672-1:2016に従って決定される(Polymer Laboratoriesによって提供されるポリスチレン(PS)に対して;テトラヒドロフラン(THF)中の溶液で)。
【0027】
好ましくは、熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)は、(a)イソシアネート、好ましくはジイソシアネートを、(b)イソシアネートと反応する化合物と反応させ、好ましい実施形態では、ポリオール、好ましくはイソシアネートと反応する2つの官能基を有するポリオール、好ましくは、500g/Mol~100×103g/Molの数平均分子量を有するポリオールと、所望であれば、(c)好ましくは0.05×10g/Mol~100×10g/Molの分子量を有する鎖延長剤又は水と反応させ、さらに他の好ましい実施形態では、消泡剤の存在下で鎖延長剤及び水と、所望であれば、さらに(d)触媒及び/又は(e)補助剤及び/又は添加剤の存在下で反応させることによって調製される。
【0028】
成分(a)イソシアネート、(b)イソシアネートと反応する化合物、好ましい実施形態ではポリオール及び(c)鎖延長剤、それぞれ水は、構造成分又は構成成分として、個別に又は一緒に扱われ得る。触媒及び/又は補助剤及び/又は添加剤を含む構成成分は、入力材料とも呼ばれる。TPPP、好ましくはTPU-Uの硬度及びメルトインデックスを調整するために、使用される構成成分の量のモル比を変化させることができ、それにより、硬度及び溶融粘度は、鎖延長剤(c)、それぞれ水の含有量が増加するにつれて増加し、一方、メルトフローインデックスは減少する。
【0029】
軟質ポリイソシアネート重付加生成物TPPP、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)、好ましくはショアA硬度が90未満、好ましくは90~70ショアAを有するもの生成するために、本質的に二官能性のポリオール(b)は、ポリヒドロキシル化合物(b)とも呼ばれ得、使用する場合には、鎖延長剤(c)及び水は、有利には0.3~2(水)又は1:1~1:5(c)、好ましくは0.5~1.5(水)又は1:1.5~1:4.5(c)のモル比で使用されることができ、これによって得られる構造成分(b)及び(c)、それぞれ水の混合物は、170を超える、特に230~450のヒドロキシル当量を有する。
【0030】
熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)を調製するために、構成成分(a)、(b)を、いくつかの好ましい実施形態では鎖延長剤(c)をも、好ましい実施形態では触媒(d)ならびに任意に補助剤及び/又は添加剤(e)の存在下で、成分(b)及び(c)のヒドロキシル基の合計に対するジイソシアネート(a)のNCO基の当量比が0.95~1.10:1、好ましくは0.98~1.08:1、特に約1.0~1.05:1となるような量で、反応させる。
【0031】
本発明の文脈における数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定され、好ましくはDIN 55672-1に従って決定される。
【0032】
イソシアネート
イソシアネートは、好ましくは有機イソシアネート(a)であり、好ましくは脂肪族、脂環式脂肪族、芳香脂肪族及び/又は芳香族のイソシアネートであり、さらに好ましくはジイソシアネートである。イソシアネートは、より好ましくは、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチル-ブチレン-1,4-ジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-ブチレン-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、2,4-パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、2,4-テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12 MDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアネート、3,3’-ジメチル-ジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネート、を含む群から選択されるか、あるいはそれらの混合物である。
【0033】
実施形態1~9の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態10において、ポリイソシアネートは、上記で概説したように芳香族ジイソシアネートであり、より好ましくは、2,4-及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなる群から選択されるか、あるいはそれらの混合物である。最も好ましくは、イソシアネートは2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。
【0034】
ポリオール
イソシアネート反応性化合物(b)は、統計的平均で少なくとも1.8、多くとも3.0のZerewitinoff活性水素原子を有しており、この数はイソシアネート反応性化合物(b)の官能性として参照されるものであり、物質量から1分子について理論的に計算された1分子のイソシアネート反応性基の量を示す。官能性は、好ましくは1.8~2.6、さらに好ましくは、1.9~2.2、特に好ましくは、2である。イソシアネートに対して反応性のある化合物(b)は、0.500×103g/Molと8×310g/Molの間、好ましくは0.7×103g/Mol~6.0×103g/Molの間、特に0.8×103g/Mol~4.0×103g/Molの間の分子量を有するものが好ましい。
【0035】
イソシアネート反応性化合物は本質的に直鎖状であり、イソシアネート反応性物質又は異なる物質の混合物であり、この場合、混合物は上記要件を満たす。これらの長鎖化合物は、ポリイソシアネートのイソシアネート基含有量に基づいて、1当量Mol%~80当量Mol%の含有量で使用される。
【0036】
イソシアネート反応性化合物(b)は、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基又はカルボン酸基から選択される反応性基を有することが好ましい。好ましい基はヒドロキシル基である。これらの化合物は、ポリオールとも呼ばれる。ポリオール(b)は、好ましくは、ポリエステル、ポリエーテルオール又はポリカーボネートジオールからなる群から選択され、より好ましくは、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートからなる群から選択される。特に好ましいのは、ポリエーテルポリオールである。さらに別の実施形態では、ポリエステルポリオールが好ましい。
【0037】
ポリエステルポリオール
好ましいポリオールは以下の群:ポリプロピオラクトン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリオキサシクロドデカン-2-オン、アジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸もしくはそれらの混合物、ならびに1,2-エタンジオールと1,4-ブタンジオールの混合物に基づくコポリエステル、アジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸もしくそれらの混合物、ならびに1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールの混合物に基づくコポリエステル、アジピン酸、ならびに3-メチル-ペンタンジオール-1,5及び/もしくはポリテトラメチレングリコール(ポリテトラヒドロフラン、PTHF)に基づくポリエステル、特に好ましくはアジピン酸ならびに1,2-エタンジオールと1,4-ブタンジオールの混合物に基づくコポリエステル、又はアジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸もしくはそれらの混合物、ならびにポリテトラメチレングリコール(PTHF)に基づくポリエステルから選択され、又はそれらの混合物である。
【0038】
ポリエーテルポリオール
他の好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、好ましくはポリエーテルジオールであり、さらに好ましいのは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドに基づくものである。別の好ましいポリエーテルは、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。好ましい実施形態では、ポリテトラヒドロフランは、0.6×103g/Molと3×103g/Molの間の数平均分子量を有する。1つの好ましい実施形態では、PTHFの数平均分子量は、0.6×103g/Molと0.7×103g/Molの間であり、最も好ましくは0.65×103g/Molである。さらに別の好ましい実施形態では、数平均分子量は、0.9×103g/Molと1.1×103g/Molの間、より好ましくは1.0×103g/Molであり、さらに別の実施形態では、数平均分子量は、1.9×103g/Molと2.1×103g/Molの間、より好ましくは2.0×103g/Molである。好ましい実施形態では、PTHFは、上記のような特定の分子量で使用される。他の好ましい実施形態では、PTHFは異なる分子量を有するPTHFの混合物であり、より好ましくは上記で与えられた通りである。1つの好ましい実施形態では、PTHFは、0.9×103g/Molと1.1×103g/Molの間、より好ましくは1.0×103g/Molの数平均分子量を有するPTHFと、1.9×103g/Molと2.1×103g/Molの間、より好ましくは2.0×103g/Molの数平均分子量を有するPTHFとの混合物である。
【0039】
本発明の文脈における数平均分子量Mnは、好ましくはDIN 55672-1に従って決定される。
【0040】
ポリカーボネートジオール
別の好ましい実施形態では、イソシアネートに対して反応性のある化合物(b)は、ポリカーボネートジオール、好ましくは脂肪族ポリカーボネートジオールである。好ましいポリカーボネートジオールは、例えば、アルカンジオールに基づくポリカーボネートジオールである。好ましいポリカーボネートジオールは、厳密に二官能性のOH-官能性のポリカーボネートジオール、好ましくは厳密に二官能性のOH-官能性の脂肪族ポリカーボネートジオールである。好ましいポリカーボネートジオールは、ブタンジオール、ペンタンジオール又はヘキサンジオール、特に1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-(1,5)-ジオールに基づくか、又はそれらの混合物であり、特に好ましくは1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はそれらの混合物である。本発明において最も好ましいのは、ブタンジオールとヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオール、ペンタンジオールとヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオール、ヘキサンジオールに基づくポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2つ以上の混合物である。
【0041】
好ましくは、使用されるポリカーボネートジオールは、GPCを介して決定される0.5×103Mol~4.0×103g/Molの範囲、好ましくは0.65×103g/Mol~3.5×103g/Molの範囲、特に好ましくは0.8×103g/Mol~3.0×103g/Molの範囲の数平均分子量を有し、最も好ましくは2.0×103g/Molの数平均分子量を有する。
【0042】
ポリシオロキサンジオール
別の好ましい実施形態では、ポリオールはポリシロキサンジオールである。分子量は、好ましくは0,500×103g/Molと15×103g/Molの間であり、より好ましくは1.0×103g/Molと3.0×103g/Molの間である。
【0043】
好ましくは、オリゴ又はポリシロキサンは、式(I):
HO-[Ak-O]q-Ak-Si(R2)-[O-Si(R2)]p-O-Si(R2)-Ak-[O-Ak]q’-OH 式(I)
を有し、式中、Akは好ましくはC2-C4アルキレンを表し、RはC1-C4アルキルを表し、p、q及びq’のそれぞれは独立して、0から50の範囲から選択される数である。式(I)のより好ましい部位(B)においては、pは1から50、特に2から50の範囲である。
【0044】
1つの好ましい実施形態では、Akは、各残基(C1)内の同一のアルキレン単位を表し、さらに別の好ましい実施形態では、Akは、同一の残基(C1)内の異なるアルキレン単位を表す。1つの好ましい実施形態では、Akは、同じ残基(C1)内のエチレン又はプロピレンである。
【0045】
1つの好ましいポリジメチルシロキサンジオールは、式(II)
【0046】
【0047】
ここで、mは5~80の範囲、
又は、式(III)
【0048】
【0049】
実施形態1~10又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態11においては、イソシアネートと反応する化合物は、ポリシロキサンを含まない。
【0050】
ポリオールの混合物
1つの好ましい実施形態では、ポリオールは2つ以上のポリオールの混合物である。
【0051】
ポリエーテルポリオールとポリカーボネートジオールの混合物を使用する場合、ポリカーボネートジオールは、ポリオール混合物の総質量に基づいて、50質量%未満、好ましくは35質量%未満、より好ましくは15質量%未満、最も好ましくは5質量%未満の量で使用される。
【0052】
実施形態1~11の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の好ましい実施形態12においては、イソシアネートと反応する化合物はポリエーテルポリオールであり、より好ましくはポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。PTHFは、好ましくは、1×103g/Molの数平均分子量を有する。
【0053】
触媒
好ましい実施形態では、触媒(d)は構成成分とともに使用される。これは特に、イソシアネート(a)のNCO基と、イソシアネート反応性化合物(b)、好ましくはヒドロキシル基を有するイソシアネート反応性化合物(b)と、使用される場合には、鎖延長剤(c)及び水と、の間の反応を促進するものである。好ましい触媒は、KOH、第三級アミンからなる群から選択されるか、又は、金属化合物から、好ましくはチタン酸エステル、鉄化合物、鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、好ましくはカルボン酸のもの、特に好ましいスズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート又はスズジアルキル塩、さらに好ましいジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートから選択されるか、又はカルボン酸のビスマス塩、好ましくはネオデカン酸ビスマス(III)からなる群から選択されるか、又はまたはそれらの混合物である。
【0054】
好ましい触媒は第三級アミンであり、好ましくは、N,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、1-[ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノ]-2-プロパノール、N,N-ビス-(2-ヒドロキシ-プロピル)-N’,N’-ジメチルプロパンジイルジアミン、N’-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N,N,N’-トリメチルプロパン-1,3-ジアミン、2-[[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]エタノール、1-O-ジメチルアミノエチル-エチレングリコール、2-((2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチル-アミノ)エタノール、からなる群から選択される。
【0055】
より好ましいのは、触媒がN,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン又はN’-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N,N,N’-トリメチルプロパン-1,3-ジアミンから選択されるか、又はそれらの混合物である。これらの触媒は特に活性が高い。
【0056】
最も好ましいのは、N,N-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンであり、この触媒は非常に活性が高く、毒性が低いためである。
【0057】
触媒(d)は、イソシアネートと反応する化合物(b)の100質量部に対して0,0001~0,1質量部の量で使用されるのが好ましく、より好ましくは100質量部に対して0.005~0.05質量部の量、より好ましくは100質量部に対して0.01~0.02質量部の量、最も好ましくはイソシアネートと反応する化合物(b)の100質量部に対して0.015質量部の量で使用される。さらに別の好ましい実施形態では、構成成分とともに触媒(d)が使用されない。
【0058】
補助剤
好ましい実施形態では、補助剤又は添加剤(e)が、構成成分(a)~(c)に加えられる。好ましい例としては、界面活性物質、充填剤、難燃剤、造核剤、酸化安定剤、潤滑助剤および離型助剤、染料および顔料、必要であれば安定剤、好ましくは加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機充填剤、補強剤及び/又は可塑剤が挙げられる。本発明の意味での安定剤は、プラスチック又はプラスチック組成物を有害な環境の影響から保護する添加剤である。好ましい例は、一次及び二次酸化防止剤、立体障害性フェノール、立体障害性アミン光安定剤、UV吸収剤、加水分解阻害剤、消炎剤及び難燃剤である。市販の安定剤の例は、Plastics Additives Handbook,第5版 Edition,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001([1]),98~136頁に記載されている。
【0059】
好ましい実施形態では、UV吸収剤は、0.3×103g/Molより大きい数平均分子量、特に0.39×103g/Molより大きい数平均分子量を有する。さらに、好ましい紫外線吸収剤は、5×103g/Molを超えない分子量、特に好ましくは2×103g/Molを超えない分子量を有する。
【0060】
UV吸収剤は、好ましくは、シンナメート、オキサニリド及びベンゾトリアゾールからなる群から選択されるか、又はそれらの混合物であり、UV吸収剤として特に適しているのはベンゾトリアゾールである。特に適切なUV吸収剤の例としては、Tinuvin(登録商標)213、Tinuvin(登録商標)234、Tinuvin(登録商標)312、Tinuvin(登録商標)571、Tinuvin(登録商標)384、Eversorb(登録商標)82である。好ましくは、UV吸収剤は、組成物の総質量に基づいて0.01質量%~5質量%、好ましくは0.1質量%~2.0質量%、特に0.2質量%~0.5質量%の量で添加される。
【0061】
多くの場合、上述のような酸化防止剤とUV吸収剤に基づくUV安定化は、UV線の有害な影響に対する組成物の良好な安定性を保証するのに十分でない。この場合、酸化防止剤および/またはUV吸収剤に加えて、あるいは単独の安定剤として、立体障害性アミン光安定剤(HALS)を組成物に添加する。市販されているHALS安定剤の例は、Plastics Additive Handbook,第5版 edition,H.Zweifel著,Hanser Publishers,Munich,2001年123~136頁に記載されている。特に好ましい障害性アミン光安定剤は、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバカット(Tinuvin(登録商標)765、Ciba Spezialitaetenchemie AG)、ならびに1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸(Tinuvin(登録商標)622)の縮合生成物である。特に、最終製品のチタン含有量が、使用した成分に基づいて、150ppm未満、好ましくは50ppm未満、特に10ppm未満である場合、1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸(Tinuvin(登録商標)622)の縮合生成物が好ましい。
【0062】
HALS化合物は、組成物の総質量に基づいて、0.01質量%~5質量%、特に好ましくは0.1質量%~1質量%、特に0.15質量%~0.3質量%の濃度で使用されるのが好ましい。
【0063】
特に好ましいUV安定化剤は、フェノール安定剤、ベンゾトリアゾール及び上記の好ましい量のHALS化合物の混合物を含む。
【0064】
上記の補助剤及び添加剤に関するさらなる情報は、技術文献、例えば、Plastics Additives Handbook,第5版 edition,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001に記載されている。好ましい実施形態では、TPPP、より好ましくはTPU-Uは、ペレット又は粉末の形態である。一実施形態では、TPPP、好ましくはTPU-Uが発泡しており、より好ましくは、TPPP、好ましくはTPU-Uのペレット又は粉末のいずれかは発泡している。これらの発泡TPPP、好ましくはこれらのTPU-Uのペレット又は粉末は、膨張TPPP粒子とも呼ばれ、好ましい膨張TPU-Uは、TPU-U粒子とも呼ばれ、あるいは短くeTPPP粒子、eTPU-U粒子ともそれぞれ呼ばれる。
【0065】
適切な発泡剤は、方法と正確な条件に基づいて選択され、有機液体もしくは無機気体、又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。使用可能な液体は、ハロゲン化炭化水素、又は飽和脂肪族炭化水素、特に3から8個の炭素原子を有するものを含む。適切な無機ガスは、窒素、空気、アンモニア、又は二酸化炭素である。さらなる詳細は、例えば、WO2005/023920、WO2007/082838、WO2010/136398、WO2013/153190、WO2014/198779、WO2015/055811、WO2017/030835、US2017/0036377、US2016/0271847、US2016/0108198、WO2014/150119、WO2014/150124及びWO2016/131671に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
調製方法(PPP)
本発明の別の態様は、実施形態1~12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物を調製するための方法であり、これは実施形態13である。
【0067】
ポリイソシアネート重付加生成物、好ましくは熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)は、例えば反応押出機法、ベルトライン法、ベルトキャストライン法、ハンドキャスト法などの公知の方法に従って不連続又は連続的に生成されることができる。これらの方法では、「ワンショット」法又はプレポリマー法のいずれかが適用される。
【0068】
構成成分(a)、(b)、及び水、最終的には鎖延長剤(c)、及び消泡剤を互いに混合する。これは、好ましい実施形態において、触媒(d)及び/又は補助剤(e)の存在下で、連続して又は同時に行われる。反応押出機法における混合は、好ましくは100℃から280℃の間、より好ましくは140℃から250℃の間の温度で行われる。ベルトライン法での混合は、好ましくは50℃から95℃の間、より好ましくは50℃から85°の間の温度で行われる。これにより、水の蒸発を避けることができる。
【0069】
実施形態14において、先行する実施形態13による方法は、反応押出機法、ベルトライン法、ベルトキャスト法、又はハンドキャスト法であり、好ましくはベルトライン法又はベルトキャスト法である。
【0070】
実施形態15において、実施形態13もしくは14による方法、又はその好ましい実施形態は、以下のステップ:
(A1)予備混合物を得るために、分子量が少なくとも500g/Molのイソシアネートに対して反応性のある化合物を消泡剤と混合するステップと、
(A2)反応混合物を得るために、ポリイソシアネートを、好ましくは50℃以上150℃以下の範囲の温度で前記予備混合物に導入するステップと、
を含むか、又は
すべての反応成分が同時に混合されるかである。
【0071】
ステップ(A1)及び(A2)は、プレポリマー法とも呼ばれる。イソシアネートと、イソシアネートと反応する化合物の分子比は、2:1と1:1の間が好ましい。これは、プレポリマーの形でのイソシアネートの取り扱いが非常に容易になるという利点を有する。さらに、システムの要求に応じて粘度を調整することができる。別の好ましい実施形態では、イソシアネートと、イソシアネートと反応する化合物の分子比は、0.1:1と1:1の間、又は別の好ましい実施形態では0.5:1と1:1の間である。これも、要求に応じて粘度を調整することができる。ステップ(A3)では、水、少なくとも500g/Molを有するイソシアネートに対しての反応性を有する追加の化合物を、反応混合物に添加して、熱可塑性ポリ重付加生成物(TPPP)を形成する。いくつかの好ましい実施形態では、鎖延長剤が追加で加えられ、他の好ましい実施形態では、少なくとも500g/Molを有するイソシアネートに対して反応性を有する化合物の他には、水のみが反応混合物に構成成分として加えられる。
【0072】
実施形態15による方法における実施形態16では、すべての反応成分が同時に混合される。この方法は、キャストベルトライン法、ベルトライン法及び反応押出法、又はハンドキャスト法に特に好ましい。
【0073】
ハンドキャスト法、ベルトライン法、及びベルトキャストライン法は、押出法に比べて二酸化炭素(CO2)の脱ガスをはるかに容易することができるため、好ましい。さらに、本発明による消泡剤を使用することにより、脱気がより効果的である。
【0074】
使用
好ましい実施形態17では、それぞれ、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態に従って、それぞれ実施形態13から16の1つ又はそれら好ましい実施形態による方法によって得られる調製物は、ペレット又は粉末の形態である。好ましい実施形態におけるペレット又は粉末は、コンパクトな材料である。別の好ましい実施形態では、ペレットは、発泡ビーズとも呼ばれる膨張した材料である。
【0075】
本発明の別の態様及び実施形態18は、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物からなる発泡ビーズ、又は実施形態13から16の1つ又はそれらの好ましい実施形態によって得られる調製物からなる発泡ビーズである。
【0076】
これらの発泡ビーズ、またそれから生成された成形体は、様々な用途に使用されることができ(例えば、WO94/20568、WO2007/082838A1、WO2017030835、WO2013/153190A1、WO2010010010を参照)、ここで参照により組み込まれる。
【0077】
本発明の別の態様及び実施形態19は、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物の使用、又は実施形態13から16の1つ又は物品を製造するためのその好ましい実施形態による方法によって得られる調製物の使用である。
【0078】
これらの物品の製造は、射出成形、カレンダリング、粉末焼結又は押出成形によって行われるのが好ましい。
【0079】
本発明のさらに別の態様は、実施形態1から12の1つ又はそれらの好ましい実施形態による調製物によって製造される物品、又は実施形態13から16の1つ又はそれらの好ましい実施形態による方法によって得られる物品である。
【0080】
さらなる好ましい実施形態における物品は、コーティング、減衰要素、ベローズ、ホイル、繊維、成形体、建物および輸送機関のための床、不織布、ガスケット、ロール、靴底、ホース、ケーブル、ケーブルコネクタ、ケーブルシース、クッション、ラミネート、プロファイル、ストラップ、サドル、調製物のさらなる発泡による発泡体、プラグコネクタ、トレーリングケーブル、ソーラーモジュール、自動車のライニング、ワイパーブレード、エレベータの荷重支承部材、ローピングアレンジメント、機械用駆動ベルト、好ましくは乗客用コンベア、乗客コンベアの手すり、熱可塑性材料の、別の材料の特性に影響を与える物質を意味する改質剤、から選択される。これらの物品のそれぞれ自体が好ましい実施形態であり、これはまた用途と参照される。
【実施例】
【0081】
1.実施例-原材料
ポリオール1:114のOH数で第一級OH官能のみを含む、テトラメチレンオキシドに基づくポリエーテルポリオール(官能性:2)
ポリオール2:55,5~56,2のOH数を含む、アジピン酸、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールに基づくポリエステルポリオール(官能性:2)
ポリオール3:55,5のOH数を含む、 -カプロラクトンに基づくポリエステルポリオール(官能性:2)
イソシアネート1:芳香族ジイソシアナート(4,4’-メチレンジフェニルジイソシアナート)
鎖延長剤(CE)1:1,4-ブタンジオール
H2O:水
消泡剤1(D1):2(エチレン)から14(1-テトラデセン)の炭素原子数を有する1-アルケンを含み、分子量は400g/Molから15000g/Mol(数平均分子量は2200g/Mol)、分散度は1,3である、ポリアルファオレフィン。例えば、米国のBYK社からBYK(登録商標)-1790として、入手可能
消泡剤2(D2):脂肪族ヒドロキシ化合物、ナタネ油、パラフィンワックスの水中乳剤。例えば、ドイツのBASF社からAfranil NCとして、入手可能
消泡剤3(D3):泡を破壊するポリシロキサンとポリグリコール中の疎水性固体の混合物。例えば、米国BYK社からBYK(登録商標)-093として、入手可能
消泡剤4(D4):ポリオールアルコキシレート、EO-POブロックコポリマー、非イオン性。例えば、ドイツのBASF社からSokalan AFとして、入手可能
消泡剤5(D5):エトキシル化されたプロポキシル化脂肪アルコール、非イオン性。例えば、ドイツのBASF社からPlurafac LF 1300として、入手可能
【0082】
2.実施例-適切な消泡剤の選択
熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)は、表2に概説されているレシピによる消泡剤の存在下でメチレンジフェニルジイソシアネート(Lupranat MET、461.69g)、脱イオン水(14.86g)、及びそれぞれのポリオールを反応させることによって合成されたものである。ポリオールは、
図1に従って金属缶内でオーブンで90℃に予熱された。まず、金属缶をオーブンから取り出し、撹拌機の下に置いた。次に、脱イオン水とそれぞれの消泡剤を続けて加え、得られた混合物を連続的な撹拌下で80℃まで冷却した。メチレンジフェニルジイソシアネートをオーブンで52℃(T
MDI=52℃)に予熱し、次に80℃で缶内の消泡剤、ポリオール、水(反応混合物)に加え、反応を開始させてTPU-Uを合成した。反応混合物の温度及び反応時間は、反応混合物が105℃に達する(金属缶内のTPU-Uのゲル化を避けるため)か、あるいは現れた発泡体の高さが金属缶の頂部に達するまで記録された。その後、反応混合物を125℃の加熱プレート上のテフロン(登録商標)製タブに注ぎ、反応を完了させた。イソシアネートを添加してから10分後、得られたTPU-Uスラブを80℃のオーブンに15時間入れた。最後に、TPU-Uを粉砕し、2mmと6mm厚のテストプレートに再成形した。テストプレートからS2テストバー(DIN 53504)を打ち抜き、機械的テストに使用した。テストプレート製造中の溶融物の温度は250℃を超えてはならない。
【0083】
上記の手順における反応混合物が、発泡体のレベルが金属缶の頂部に到達する前に少なくとも100℃に達した場合(以下の表では最高反応温度と表示)、及び、反応混合物を加熱プレートに注がなければならないまでの反応時間が60秒から120秒の間である場合(以下の表では最大反応時間と表示)、消泡剤はTPU-Uベルトライン生成に使用するのに適している。両パラメータは、ベルトライン法の製造方法において、十分な反応性と混合ポッド内の平均滞留時間を保証するために非常に重要である。
【0084】
【0085】
3.実施例-熱可塑性ポリウレタン及び熱可塑性ポリウレタンウレアの合成
ポリオールは、
図1による金属缶内でオーブンで90℃に予熱された。まず、金属缶をオーブンから取り出し、撹拌機の下に置いた。次に、脱イオン水とそれぞれの消泡剤を続けて加え、得られた混合物を連続的な撹拌下で80℃まで冷却した。メチレンジフェニルジイソシアネートをオーブンで52℃(T
MDI=52℃)に予熱し、次に80℃で缶内の消泡剤、ポリオール、水(反応混合物)に加え、反応を開始させてTPU-Uを合成した。反応混合物の温度及び反応時間は、反応混合物が105℃に達する(金属缶内のTPU-Uのゲル化を避けるため)か、あるいは現れた発泡体の高さが金属缶の頂部に達するまで記録された。その後、反応混合物を125℃の加熱プレート上のテフロン(登録商標)製タブに注ぎ、反応を完了させた。イソシアネートを添加してから10分後、得られたTPU-Uスラブを80℃のオーブンに15時間入れた。最後に、TPU-Uを粉砕し、2mmと6mm厚のテストプレートに再成形した。テストプレートからS2テストバー(DIN 53504)を打ち抜き、機械的テストに使用した。テストプレート製造中の溶融物の温度は250℃を超えてはならない。
【0086】
【0087】
4.実施例-テスト方法と結果
サンプルのテストプレートは射出成形によって作られ、機械的なテストの前に100℃で20時間の焼戻しをされた。
ショアA硬度:DIN ISO 7619-1:2012
ショアD硬度:DIN ISO 7619-1:2012
引張テスト:DIN 53 504:2017
引裂強度テスト:DIN ISO 34-1,B:2016
摩耗:DIN ISO 4649:2014
圧縮永久ひずみ:DIN ISO 815:2016
D1モル質量及び数平均分子量(Mn):DIN 55672-1:2016(Polymer Laboratories社によって提供されるポリスチレン(PS)に対して(M=162g/Mol~M=50400g/Mol);テトラヒドロフラン(THF)の溶液)
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
表3~5からわかるように、サンプル1~3とサンプル4~8、サンプル18~19とサンプル20~21、及びサンプル22とサンプル23の比較は、ブタンジオールおよびポリウレアウレタンに基づく熱可塑性ポリウレタンの生産性及び機械的特性の相違を強調している。サンプル4~13は、ポリウレタンウレアが消泡剤として使用されるポリアルファオレフィンの濃度とは無関係に、広い濃度範囲の水で製造され得ることを示している。表1のポリアルファオレフィン含有サンプル及びサンプル14~17は、ポリウレタンウレアの製造工程で好ましく用いられるポリアルファオレフィンの濃度範囲を示している。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)を含む調製物であって、
前記熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)は、
(a)
ジイソシアネートと、
(b)
官能性が1.8~2.6であるイソシアネートと反応する
、化合物と、
(c)水と
を、
(d)ポリアルファオレフィンを含む消泡剤
の存在下で、反応させることによって得られる、調製物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリイソシアネート重付加生成物(TPPP)は、熱可塑性ポリウレタンウレア(TPU-U)である、請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
前記調製物は鎖延長剤を用いずに得られる、請求項1又は2に記載の調製物。
【請求項4】
前記ポリアルファオレフィンは、2~14個の炭素原子を含む1-アルケンの反応生成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項5】
前記ポリアルファオレフィンは、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンからなる群から選択される1-アルケンの1つの反応生成物であるか、又はそれらの混合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項6】
前記ポリアルファオレフィンは、調製物の全量を参照して0.5質量%~3質量%を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項7】
前記ポリアルファオレフィンは、好ましくはDIN 55672-1:2016に従って決定される4.0×10
2g/Mol~1.5×10
4g/Mol、好ましくは、2.0×10
3g/Mol~2.4×10
3g/Molの数平均分子量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項8】
前記イソシアネートは、芳香族のイソシアネートであり、より好ましくは、前記ポリイソシアネートは、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の調製物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項による調製物を調製する方法。
【請求項10】
前記方法は、反応押出法、ベルトライン法、ベルトキャスト法、又はハンドキャスト法であり、好ましくはベルトライン法である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
以下のステップ:
(A1)予備混合物を得るために、イソシアネートに対して反応性のある化合物を消泡剤と混合するステップと、
(A2)反応混合物を得るために、ポリイソシアネートを、好ましくは50℃以上150℃以下の範囲の温度で前記予備混合物に導入するステップと、
を含むか、又は
すべての反応成分を同時に混合する、請求項9又は10による方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項による調製物、又は、物品を製造するための請求項9~11のいずれか1項の方法によって得られた調製物の使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項による調製物、又は、請求項9~11のいずれか1項の方法によって得られた調製物を含む、物品。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項による調製物、又は、請求項9~11のいずれか1項の方法によって得られた調製物からなる、発泡ビーズ又は物品。
【国際調査報告】