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特表2022-545349化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置
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  • 特表-化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/26 20060101AFI20221020BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20221020BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20221020BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221020BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20221020BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20221020BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20221020BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
C08G65/26
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/004 504
G03F7/027
G02B5/20 101
C08F2/44 Z
C08F2/50
C08F290/06
G02F1/1335 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507904
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 KR2020015316
(87)【国際公開番号】W WO2021091222
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0142546
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジュンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンミ
(72)【発明者】
【氏名】リム、ミニョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、スミン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
2H291
4J005
4J011
4J127
【Fターム(参考)】
2H148BE36
2H148BF12
2H148BG06
2H148BH02
2H225AC31
2H225AC36
2H225AC55
2H225AC72
2H225AC73
2H225AC74
2H225AC75
2H225AC79
2H225AD06
2H225AM66P
2H225AM70P
2H225AM86P
2H225AM92P
2H225AM93P
2H225AM94P
2H225AM95P
2H225AM99P
2H225AN39P
2H225BA16P
2H225BA33P
2H225CA18
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
2H291FA16X
2H291FB04
2H291GA10
2H291LA03
2H291LA22
4J005AA14
4J005BA00
4J005BB01
4J005BD04
4J005BD05
4J011PA22
4J011PA97
4J011PB25
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA22
4J011QB11
4J011QB15
4J011QB18
4J011RA10
4J011SA61
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J127AA01
4J127AA03
4J127BB021
4J127BB042
4J127BB043
4J127BB073
4J127BB083
4J127BB101
4J127BB123
4J127BB221
4J127BB222
4J127BB223
4J127BB251
4J127BB282
4J127BB283
4J127BB302
4J127BB303
4J127BC021
4J127BC023
4J127BC053
4J127BC141
4J127BC143
4J127BC151
4J127BC153
4J127BD161
4J127BD202
4J127BD203
4J127BE391
4J127BE39Y
4J127BE511
4J127BE51Y
4J127BF301
4J127BF30X
4J127BF531
4J127BF53X
4J127BF551
4J127BF55X
4J127BG041
4J127BG043
4J127BG04X
4J127BG04Y
4J127BG051
4J127BG052
4J127BG053
4J127BG05X
4J127BG05Y
4J127BG101
4J127BG102
4J127BG10X
4J127BG10Y
4J127BG111
4J127BG11X
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4J127BG163
4J127BG16X
4J127BG16Y
4J127BG172
4J127BG173
4J127BG17Y
4J127BG183
4J127BG18Y
4J127BG231
4J127BG23X
4J127BG251
4J127BG25X
4J127BG301
4J127BG30X
4J127BG331
4J127BG33X
4J127CB371
4J127CC111
4J127FA17
(57)【要約】
【要約】
本出願は、化学式1の化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物、およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-CO-L-R;または-CONR'R''であり、
Lは、置換もしくは非置換のアルケニレン基;置換もしくは非置換のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r3およびr4は、0~4の整数であり、r3が2以上の場合、R3は、互いに同一または異なり、r4が2以上の場合、R4は、互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
M1およびM2は、-M1'-M2'-M3'-であり、
M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
nは、1~30の整数である。
【請求項2】
M1'およびM3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
M2'は、直接結合;-SO-;または置換もしくは非置換のアリーレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
M1およびM2は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の化合物:
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
【化3】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
M2'は、前記化学式1で定義したものと同じであり、
R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r13およびr14は、1~4の整数であり、r13が2以上の場合、R13は、互いに同一または異なり、r14が2以上の場合、R14は、互いに同一または異なる。
【請求項4】
R1およびR2は、水素である、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1は、-CO-L-R;または-CONR'R''であり、
L、R、R'およびR''は、前記化学式1で定義したものと同じである、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物の重量平均分子量は、3,000g/mol~8,000g/molである、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物を含むバインダー樹脂。
【請求項8】
請求項7に記載のバインダー樹脂;顔料分散液:多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含むネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
界面活性剤をさらに含む、請求項8に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記顔料分散液は、ブラック有機顔料を含む、請求項8または9に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、前記バインダー樹脂10~40重量部;
顔料分散液20~40重量部;
多官能性モノマー0.1~10重量部;
光開始剤0.1~5重量部;および
溶媒20~50重量部を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記ネガ型感光性樹脂組成物は、厚さ1.5μmの塗膜の形成時、テーパ角が15゜以上30゜以下である、請求項8から11のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月8日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0142546号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光素子ディスプレイ(OLED Display)において絶縁層として使用される透明バンク(Bank)は、外光反射を低減するために偏光板を用いなければならない。しかし、偏光板を用いると、輝度が低下するというデメリットがある。既存の透明バンク(Bank)絶縁膜の代わりにブラック顔料を用いたブラックバンク(Bank)を適用すれば、外光反射を低減して偏光板のないディスプレイの実現の可能性が図られ、偏光板による輝度低下を低減して現在より2倍以上の輝度を実現することができる。
【0004】
モバイル用ディスプレイのためのブラックバンクの開発においてホール(hole)パターンの実現の際、従来のカルド系バインダーを用いると、パターンの直進性が低下し、ホールに残渣が生じる問題がある。
【0005】
したがって、当技術分野では、有機発光素子において外光反射の問題を緩和し、直進性およびマージンを改善するための材料の研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、直進性、顔料分散液に対する相溶性に優れた化合物、バインダー樹脂、ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-CO-L-R;または-CONR'R''であり、
Lは、置換もしくは非置換のアルケニレン基;置換もしくは非置換のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r3およびr4は、0~4の整数であり、r3が2以上の場合、R3は、互いに同一または異なり、r4が2以上の場合、R4は、互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
M1およびM2は、-M1'-M2'-M3'-であり、
M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
nは、1~30の整数である。
【0008】
本明細書の一実施態様は、前記化合物を含むバインダー樹脂を提供する。
【0009】
本明細書の一実施態様は、前記バインダー樹脂;顔料分散液:多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
本明細書の一実施態様は、前記ネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に係る化合物、これを含むバインダー樹脂および前記バインダー樹脂を含むネガ型感光性樹脂組成物は、直進性が改善され、顔料分散液に対する相溶性に優れて残渣の面で有利である。また、現像時間によるパターンの大きさ(CD)およびテーパ角において優れたマージンを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本出願の一実施態様に係るブラックバンクを含むディスプレイ装置の模式図である。
図2】本出願の一実施態様に係るネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成した塗膜の厚さを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0015】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
[化学式1]
【化2】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-CO-L-R;または-CONR'R''であり、
Lは、置換もしくは非置換のアルケニレン基;置換もしくは非置換のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r3およびr4は、0~4の整数であり、r3が2以上の場合、R3は、互いに同一または異なり、r4が2以上の場合、R4は、互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
M1およびM2は、-M1'-M2'-M3'-であり、
M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
nは、1~30の整数である。
【0016】
前記化学式1で表される化合物をバインダー樹脂に含ませ、前記バインダー樹脂はネガ型感光性樹脂組成物に添加して、既存のカルド系バインダー樹脂に比べて直進性が改善され、顔料分散液に対する相溶性に優れるというメリットがある。
【0017】
また、現像時間によるパターンの大きさ(CD)およびテーパ角において優れたマージンを有することができる。
【0018】
具体的には、前記化学式1で表される化合物は、カルド系構造を含むことにより、顔料分散液との相溶性に優れている。また、前記化学式1で表される化合物にジアミン(diamine)構造が含まれることにより、他のバインダーとの相溶性にも優れている。
【0019】
本明細書において、
【化3】
は、他の置換基または結合部に結合する部位を意味する。
【0020】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;-OH;-COOH;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;シクロアルケニル基;およびアリール基からなる群より選択された1個以上の置換基で置換されているか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。
【0022】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、前記アルキル基の炭素数は1~30であってもよい。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~10である。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~30である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。アルケニル基の具体例としては、スチルベニル基(stylbenyl)、スチレニル基(styrenyl)などのアリール基が置換されたアルケニル基が好ましいが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書において、シクロアルケニル基は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルケニル基の炭素数は3~10である。シクロアルケニル基の例としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基が好ましいが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に結合位置が2つあるものを意味する。前記アルキレン基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、例えば、炭素数1~30であってもよい。また、炭素数1~20であってもよいし、炭素数1~10であってもよい。
【0027】
本明細書において、アルケニレン基は、アルケニル基に結合位置が2つあるものを意味する。前記アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~60のものが好ましい。一実施態様によれば、前記アルケニレン基の炭素数は2~30である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニレン基の炭素数は2~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルケニレン基の炭素数は2~10である。
【0028】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、インデニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、アリーレン基は、前記アリール基に結合位置が2つあるものを意味する。
【0030】
本明細書において、シクロアルケニレン基は、前記シクロアルケニル基に結合位置が2つあるものを意味する。
【0031】
本明細書の一実施態様において、R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-CO-L-R;または-CONR'R''である。
【0032】
本明細書の一実施態様において、R1は、水素;-CO-L-R;または-CONR'R''である。
【0033】
本明細書の一実施態様において、R2は、水素である。
【0034】
本明細書の一実施態様において、R1およびR2は、水素である。
【0035】
本明細書の一実施態様において、R1は、-CO-L-Rである。
【0036】
本明細書の一実施態様において、R1は、-CONR'R''である。
【0037】
本明細書の一実施態様において、Lは、置換もしくは非置換のアルケニレン基;置換もしくは非置換のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0038】
本明細書の一実施態様において、Lは、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニレン基;置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0039】
本明細書の一実施態様において、Lは、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニレン基;置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0040】
本明細書の一実施態様において、Lは、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニレン基;置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基である。
【0041】
本明細書の一実施態様において、Lは、置換もしくは非置換のエテニレン基;置換もしくは非置換のシクロヘキセニレン基;または置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0042】
本明細書の一実施態様において、Lは、エテニレン基;シクロヘキセニレン基;またはフェニレン基である。
【0043】
本明細書の一実施態様において、R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0044】
本明細書の一実施態様において、R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基である。
【0045】
本明細書の一実施態様において、R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、R、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である。
【0047】
本明細書の一実施態様において、Rは、-COOHである。
【0048】
本明細書の一実施態様において、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のエチル基である。
【0049】
本明細書の一実施態様において、R'およびR''は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;またはアクリルオキシ基またはメタクリルオキシ基で置換されたエチル基である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、水素である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のプロピレン基である。
【0060】
本明細書の一実施態様において、L1およびL2は、ヒドロキシ基で置換されたプロピレン基である。
【0061】
本明細書の一実施態様において、M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基である。
【0062】
本明細書の一実施態様において、M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0063】
本明細書の一実施態様において、M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;置換もしくは非置換のメチレン基;置換もしくは非置換のフェニレン基;または置換もしくは非置換のジフェニルフルオレニレン基である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、M1'~M3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;-SO-;トリフルオロメチル基で置換されたメチレン基;ヒドロキシ基または-COOHで置換されたフェニレン基;またはヒドロキシ基で置換されたジフェニルフルオレニレン基である。
【0067】
本明細書の一実施態様において、M1'およびM3'は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、M2'は、直接結合;-SO-;または置換もしくは非置換のアリーレン基である。
本明細書の一実施態様において、M1およびM2は、下記化学式2で表される。
[化学式2]
【化4】
前記化学式2において、
【化5】
は、前記化学式1に連結される部分を意味し、
M2'は、前記化学式1で定義したものと同じであり、
R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r13およびr14は、1~4の整数であり、r13が2以上の場合、R13は、互いに同一または異なり、r14が2以上の場合、R14は、互いに同一または異なる。
【0068】
本明細書の一実施態様において、R1は、-CO-L-R;または-CONR'R''であり、L、R、R'およびR''は、前記化学式1で定義したものと同じである。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式のいずれか1つで表される化合物である。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【0070】
前記化学式において、nは、1~30の整数である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物の重量平均分子量は、3,000g/mol~8,000g/molである。
【0072】
前記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)方法で測定することができる。
【0073】
本明細書の一実施態様は、前記化合物を含むバインダー樹脂を提供する。
【0074】
前記バインダー樹脂は、下記化学式Aで表される化合物および下記化学式Bで表される化合物の少なくとも1つをさらに含むことができる。
[化学式A]
【化36】
[化学式B]
【化37】
【0075】
前記化学式Aにおいて、nは、1~20の整数であり、
前記化学式Bにおいて、nは、1~10の整数である。
【0076】
本明細書の一実施態様は、前記バインダー樹脂;顔料分散液:多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0077】
本出願のもう一つの実施態様において、前記多官能性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーが使用できる。
【0078】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーの例としては、分子中に少なくとも1個または2個以上の付加重合可能な不飽和基を有し沸点が100℃以上である化合物、またはカプロラクトンを導入した多官能性モノマーなどがある。
【0079】
前記分子中に少なくとも1個または2個以上の付加重合可能な不飽和基を有し沸点が100℃以上である化合物の非制限的な例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、またはフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの多官能性モノマー、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能性モノマーなどがある。
【0080】
前記カプロラクトンを導入した多官能性モノマーの非制限的な例としては、ジペンタエリスリトールにカプロラクトンを導入した場合、テトラヒドロフリルアクリレートにカプロラクトンを導入した場合、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートにカプロラクトンを導入した場合、ビスフェノールA誘導体にカプロラクトンを導入した場合、ウレタン系の多官能性モノマーにカプロラクトンを導入した場合などがある。
【0081】
具体的には、ジペンタエリスリトールにカプロラクトンを導入したKAYARAD DPCA-20、30、60、120などとFA-2D、FA1DT、FA-3などがあり、テトラヒドロフリルアクリレートにカプロラクトンを導入したKAYARAD TC-110S、またはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートにカプロラクトンを導入したKAYARAD HX-220、KAYARAD HK-620などを使用することができる。
【0082】
その他、ビスフェノールA誘導体であるエポキシアクリレート、ノボラック-エポキシアクリレートにカプロラクトンを導入したものもあり、ウレタン系の多官能性アクリレートであるU-324A、U15HA、U-4HAなどにカプロラクトンを導入したものもある。
【0083】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーは、単独または2種以上を混合して使用してもよい。
【0084】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーは、ネガ型感光性樹脂組成物の総重量に対して1~30重量%だけ含まれることが好ましい。その含有量が1重量%以上の場合、光感度や絶縁膜の強度に有利であり、30重量%以下の場合、塗膜の粘着性が過度になるのを防止し、絶縁膜の強度低下および現像時のパターン消失を防止することができる。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記顔料分散液は、ブラック有機顔料を含む。
【0086】
前記ブラック有機顔料とは、有機物からなり、単一種として可視光線波長帯の光を吸収して黒色系の色相を呈する顔料を意味する。ブラック顔料として有機顔料を用いることにより、既存の2種以上の組み合わせ顔料または無機顔料に比べて少ない量でも所望の光学密度(OD)を達成することができる。本明細書の実施態様に係る組成物は、ブラック有機顔料として1種または2種以上を含むことができる。
【0087】
一実施態様によれば、前記ブラック有機顔料としてラクタム系顔料またはペリレン系顔料が使用できる。
【0088】
一例によれば、ブラック有機顔料は、下記化学式11または12で表される化合物を含む。
[化学式11]
【化38】
前記化学式11において、
Raは、Hまたはメチル基を含めたアルキル基であり、
、R、RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-COOR、-CONR、-OR、-OOCR、-OOCNR、OH、CN、NO、NR、-NRCOR、-N=CR、-SR、-SOR、-SO(x=2~3)、または-SONRであるか、RとR、RとR、またはRとRとが直接結合するか、O、S、またはNRブリッジを介して互いに結合して環を形成し、
Rbは、N、O、S、CO、およびCOOのうちの1つを含む単一または多重環基であり、
およびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1-C12アルキル、C3-C12シクロアルキル、C2-C12アルケニル、C3-C12シクロアルケニル、またはC2-C12アルキニルであり、これらを構成する-CH-、-CH=、および-C≡の少なくとも1つが-COO-、-O-、-CONR10-、=N-、-NR10-、-S-、または-CO-で置換されるか、炭素に結合した水素の少なくとも1つがハロゲン、-COOR10、-CONR1017、-OR10、-OOCR10、-OOCNR1017、OH、CN、NO、-NR10COR17、-N=CR1017、SR10、-SOR10、-SO10(x=2~3)、-SONR1017、または-NR1017で置換されていてもよく、ここで、R10およびR17は、それぞれ独立して、C1~C6アルキルであるか、O、S、またはNHを含む基である。
【0089】
前記「メチル基を含めたアルキル基」の意味とは、メチル基であってもよく、メチル基以外のアルキル基であってもよいことを意味する。
【0090】
[化学式12]
【化39】
前記化学式12において、
11およびR13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、C1~C12アルキル、C3~C12シクロアルキル、C6~C12アリール基、またはC3-C12のヘテロアリール基であり、これらを構成する-CH-および-CH=の少なくとも1つが=N-、-N=N-、-O-、-CO-、-COO-、または-NR15-で置換されるか、炭素に結合した水素の少なくとも1つがハロゲン、-OR15、CN、またはNOで置換されていてもよいし、R15は、H、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニルまたはフェニルであり、
12およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはNR16であり、R16は、C1~C12アルキルまたはC2~C12アルケニルであり、
11とR12またはR13とR14とが結合して環(cyclic)を形成してもよく、
ReおよびRfは、ハロゲン基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数である。
【0091】
一例によれば、前記化学式11のRbは、下記構造式で表されてもよい。
【化40】
前記構造式において、RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、H、CH、CF、F、またはClである。
【0092】
一例によれば、前記化学式11は、下記構造式で表されてもよい。
【化41】
前記化学式11の化合物の代表的な製品としては、バスフ社の顔料IRGAPHOR Bk S0100CFがあり、前記化学式12の代表例としては、C.I.顔料ブラック31、32などがある。
【0093】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記顔料分散液は、400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料を1種以上さらに含む。この時、ブラック有機顔料と400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料との重量比は、100:0~90:10であってもよい。
【0094】
一実施態様によれば、400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料は、イエロー系顔料、オレンジ系顔料、ブラウン系顔料、およびレッド系顔料の少なくとも1つを含むことができる。具体的には、前記400nm~600nmの少なくとも一部の波長の光を吸収する顔料は、C.I.Pigment yellow138、C.I.Pigment yellow139、C.I.Pigment yellow150、C.I.Pigment yellow151、C.I.Pigment yellow83、C.I.Pigment yellow93、およびC.I.Pigment yellow110などのyellow系と、C.I.Pigment Red123、C.I.Pigment Red149、C.I.Pigment Red178、C.I.Pigment Red179、C.I.Pigment Red224、C.I.Pigment Red139、C.I.Pigment Red143、C.I.Pigment Red166、C.I.Pigment Red242、C.I.Pigment Red175、C.I.Pigment Red176、C.I.Pigment Red177、C.I.Pigment Red185、C.I.Pigment Red208、C.I.Pigment Red254、C.I.Pigment Red255、C.I.Pigment Red264、C.I.Pigment Red272、C.I.Pigment Orange36、C.I.Pigment Orange62、C.I.Pigment Orange64、C.I.Pigment Orange72、C.I.Pigment Orange71、C.I.Pigment Orange73、C.I.Pigment Brown23、C.I.Pigment Brown41、C.I.Pigment Brown42などがある。
【0095】
本出願のもう一つの実施態様によれば、前記顔料分散液は、塗膜内の含有量50重量%使用を基準として、体積抵抗が1011オーム・cm以上を有する高抵抗カーボンブラックをさらに含むことができる。ブラック有機顔料と高抵抗カーボンブラックとの重量比は、99.5:0.5~90:10であってもよい。
【0096】
本出願のもう一つの実施態様において、前記光開始剤は、光によってラジカルを発生させる役割を果たす材料であって、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物からなる群より選択される化合物を1種または2種以上混合して使用することが好ましい。
【0097】
前記光開始剤として使用可能なアセトフェノン系化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(4-ブロモ-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンからなるグループより選択されるものを使用することができる。
【0098】
ビイミダゾール系化合物としては、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、および2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4,5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾールからなるグループより選択されたものが使用できる。
【0099】
トリアジン系化合物としては、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3,-ブタジエニル-s-トリアジン、および2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジンからなるグループより選択されたものが使用できる。
【0100】
オキシム系化合物としては、1,2-オクタジオン-1-(4-フェニルチオ)フェニル-2-(o-ベンゾイルオキシム)(チバガイギー社、CGI124)、エタノン-1-(9-エチル)-6-(2-メチルベンゾイル-3-イル)-1-(o-アセチルオキシム)(CGI242)、オキシムOX-03(チバガイギー社)、NCI-831(アデカ社)、PI-102(LG化学)、PBG304、PBG305、PBG3057(トロンリー社)などがある。
【0101】
前記光開始剤は、樹脂組成物の総重量に対して0.5~10重量%だけ含まれることが好ましい。より好ましくは、前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマー100重量部に対して10~300重量部(全体光開始剤の使用量基準)使用するのが良いし、特に、樹脂組成物の総重量に対して、アセトフェノン系化合物0.5~5重量%を使用するか、オキシム系開始剤として0.01~3重量%を混合使用してもよい。
【0102】
前記光開始剤には、補助成分としてラジカルの発生を促進させる光架橋増感剤を樹脂組成物の総重量に対して0.01~5重量%、または硬化を促進させる硬化促進剤0.01~5重量%が追加的に含まれてもよい。
【0103】
前記光架橋増感剤としては、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2-メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニルペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;ベンジル、1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジオン、9,10-フェナントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;メチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのベンゾフェノン系化合物;2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)-4-メチル-シクロペンタノンなどのアミノシナジスト;3,3-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、10,10-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-C1]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物;4-ジエチルアミノカルコン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;2-ベンゾイルメチレン、または3-メチル-b-ナフトチアゾリンなどを使用することができる。
【0104】
また、前記硬化促進剤としては、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-4,6-ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-トリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール-トリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン-トリス(2-メルカプトアセテート)、またはトリメチロールプロパン-トリス(3-メルカプトプロピオネート)などを使用することができる。
【0105】
前述した実施態様に係るネガ型感光性樹脂組成物は、本発明の目的に悪影響を及ぼさない限り、追加的に添加剤を含むことができる。例えば、分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱重合防止剤、およびレベリング剤からなる群より1種以上選択される添加剤が追加的に使用できる。
【0106】
前記分散剤は、予め顔料を表面処理する形態で顔料に内部添加させる方法、または顔料に外部添加させる方法で使用することができる。前記分散剤としては、高分子型、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性分散剤を使用することができる。このような分散剤の非制限的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、またはアルキルアミンなどがある。これらは、単独で添加するか、2以上組み合わせて添加されてもよい。
【0107】
前記密着促進剤の非制限的な例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)-シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、または3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。
【0108】
前記酸化防止剤の非制限的な例としては、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2,6-g,t-ブチルフェノールなどがあり、前記紫外線吸収剤の非制限的な例としては、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、またはアルコキシベンゾフェノンなどがある。また、前記熱重合防止剤の非制限的な例としては、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、または2-メルカプトイミダゾールなどがある。
【0109】
本出願のもう一つの実施態様において、前記溶媒は、溶解性、顔料分散性、塗布性などを考慮する時、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、2-ヒドロキシエチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、メチル-3-エトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、ブチルアセテート、アミルホルメート、イソアミルアセテート、イソブチルアセテート、ブチルプロピオネート、イソプロピルブチレート、エチルブチレート、ブチルブチレート、エチルピルベート、またはγ-ブチロールアセテートなどを使用することができる。前記溶媒は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0110】
また、前記溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、t-ブタノール、2-エトキシプロパノール、2-メトキシプロパノール、3-メトキシブタノール、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0111】
本明細書の一実施態様は、前記ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、前記バインダー樹脂10~40重量部;顔料分散液20~40重量部;多官能性モノマー0.1~10重量部;光開始剤0.1~5重量部;および溶媒20~50重量部を含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0112】
必要に応じて、前記ネガ型感光性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含む。具体的には、前記ネガ型感光性樹脂組成物は、前記ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、界面活性剤0.1~2重量部をさらに含むことができる。
【0113】
前記ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる各構成要素が前述した含有量範囲を満足する場合、本明細書において目的とする工程マージン、膜厚、テーパ角、または残渣の面で優れた物性を得ることができる。
【0114】
本明細書の一実施態様において、前記ネガ型感光性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含む。
【0115】
前記界面活性剤としては、フッ素系またはシリコーン系界面活性剤が使用できる。従来のネガ型樹脂組成物は、フッ素系またはシリコーン系界面活性剤を500ppm以上使用している。本出願の実施態様によれば、フッ素系またはシリコーン系界面活性剤を50ppm以上450ppm以下で使用することができる。この場合、下部コーティング基板の屈曲が激しい場合にも、表面のレベリング効果が制御されて、前記屈曲上で一定以上の厚さを形成することができる。50ppm未満を使用する場合には、カラーフィルタの積層部分におけるブラックバンクの厚さ(f1)形成が可能であっても表面平坦化効果がほとんどなくて、表面欠点が発生することがあり、コーティング基板の角にビーズが厚く形成されて、後続工程で問題を誘発することがある。450ppm超過で使用する場合には、平坦化効果が過度に良くて、カラーフィルタの積層部分におけるブラックバンクの厚さ(f1)形成に不利である。本出願のもう一つの実施態様において、前記アルカリ可溶性樹脂バインダーとしては、酸基(acid functional group)を含むモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合によって形成された共重合体を使用することができる。前記のような共重合による場合、単独重合によって製造された樹脂よりフィルムの強度を高めることができる。あるいは、前記形成された共重合体とエポキシ基を含有したエチレン性不飽和化合物との高分子反応によって製造される高分子化合物を使用してもよい。また、前記共重合体構造にエポキシ基を含有したエチレン性不飽和化合物が結合して形成された高分子化合物を共に使用してもよい。
【0116】
前記酸基を含むモノマーの非制限的な例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸などがある。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0117】
前記酸基を含むモノマーと共重合可能なモノマーの非制限的な例としては、スチレン、クロロスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、β-(メタ)アシロールオキシエチルヒドロゲンスクシネート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、N-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミドなどがある。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0118】
また、酸基(acid functional group)を含むモノマーと該モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体と高分子反応できるエポキシ基を含有したエチレン性不飽和化合物の非制限的な例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4-メチル-4,5-エポキシペンテン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ノルボルニル誘導体などがある。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0119】
前述した実施態様に係るネガ型感光性樹脂組成物は、前述した成分を混合して製造できる。
【0120】
一例によれば、まず、顔料分散液を製造する。分散液状態で市販される顔料を用いることにより、顔料分散液の製造に代えることができる。前記顔料分散液に前記バインダー樹脂を混合し、多官能性モノマー、光開始剤、および溶媒を添加し撹拌して、前記ネガ型感光性樹脂組成物を製造することができる。
【0121】
前述した実施態様に係る感光性樹脂組成物はネガ型であるので、紫外線感度が高いと同時にパターンの残渣がない材料を使用することができる。一例によれば、前記樹脂組成物は、厚さ2μmの塗膜の形成時、体積抵抗が1012オーム・cm以上であり、誘電率が3~6であってもよい。もう一つの例によれば、厚さ2μmの塗膜の形成時、380nm~600nmにおける光透過率が1%未満であり、光学密度(OD)が1/μm以上であってもよい。
【0122】
本明細書の一実施態様に係る前記ネガ型感光性樹脂組成物は、厚さ1.5μmの塗膜の形成時、テーパ角が15゜以上30゜以下であるネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0123】
前記塗膜は、0.5μm~2μmであってもよいが、これに限定されない。
【0124】
前記テーパ角は、SEM(Scanning Electrone Microscope)形状を観測して測定することができる。
【0125】
前記ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜の形成時に前述したテーパ角の範囲を満足する場合、工程マージンに優れる。
【0126】
本明細書の一実施態様は、前記ネガ型樹脂組成物を用いて形成されたブラックバンクを含むディスプレイ装置を提供する。
【0127】
図1は、本発明に係るブラックバンクを含むディスプレイ装置の模式図である。
【0128】
前記ブラックバンクを形成する方法の一例は、次の通りである。
【0129】
前述したネガ型感光性樹脂組成物を基板の表面に塗布し、プリベーク(pre-bake)によって溶媒を除去することにより膜を形成することができる。前記塗布方法としては、スプレー(spray)法、ロール(roll)コーティング法、回転(spin)コーティング法、バー(bar)コーティング法、スリット(slit)コーティング法などの方法を使用することができる。プリベークの条件は、組成物の配合成分と比率によって異なるが、通常、70~150℃で0.5~30分間施すことができる。
【0130】
次に、プリベークされた塗布膜を所定のパターンマスクを介して紫外線などの放射線を照射し、アルカリ水溶液によって現像して不必要な部分を除去してパターンを形成する。現像方法としては、ディッピング(dipping)法、シャワー(shower)法などを制限なく適用可能である。現像時間は、通常、30~180秒程度である。前記現像液には、アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類;エチルアミン、N-プロピルアミンなどの1級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミンなどの3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アルコールアミン類;ピロール、ピペリジン、n-メチルピペリジン、n-メチルピロリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンなどの環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリンなどの芳香族3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などを使用することができる。
【0131】
現像後、流水洗浄を約30~90秒間行い、空気または窒素で乾燥させることによりパターンを形成する。このパターンをホットプレート(hot plate)、オーブン(oven)などの加熱装置を用いてポストベーク(post-bake)により完成したブラックバンクを得ることができる。この時、ポストベークの条件は、150~230℃で10~90分程度加熱することが好ましい。
【0132】
完成したブラックバンクは、体積抵抗が1012オーム・cm以上であり、誘電率が3~6であり、光学密度(OD)が1~2/μmである。
【0133】
一実施態様に係る有機発光素子を含むディスプレイ装置の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記のように製造することができる。
【0134】
ガラスなどの透明基板上にITO(Indium Tin Oxide)などの透明電極をスパッタリング(sputtering)で蒸着し、PR塗布、露光、現像、エッチング、PR除去などの過程を経てパターン化された透明電極を形成した後、前述したネガ型感光性樹脂組成物を用いてブラックバンクを形成する。
【0135】
例えば、前述したネガ型感光性樹脂組成物を電極が形成された基板にコーティングして塗膜を形成し、フォトマスクなどと紫外線を含む放射線を用いて露光させた後、前記露光した基板を現像し洗浄した後、乾燥させてパターン化することができる。次に、形成されたブラックバンク上に各画素の区分のための隔壁を形成することができる。
【0136】
その後、有機薄膜を単層または多層に蒸着する。前記有機薄膜は、発光層を含み、必要に応じて他の電荷輸送または電荷ブロックのための層、例えば、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、正孔輸送層、正孔注入層、および/または電子ブロック層をさらに含むことができる。その後、金属電極層を蒸着する。次に、中空構造のSUS缶と前記基板をエポキシ樹脂などの封止材(密封剤)で封止(密封)した後、モジュールに組立てることで、有機発光素子を含むディスプレイ装置を製造することができる。
【0137】
前記ディスプレイ装置は、図2のように、カラーフィルタ(a)と、前記カラーパターン上に備えられたオーバーコート層(b)と、前記オーバーコート層上に備えられたブラックバンクとを含み、前記ブラックバンクの厚さの差は、0.5~2μmであってもよい。前記ディスプレイ装置は、カラーフィルタ層が存在しないホワイトピクセル(d)をさらに含むことができる。この場合にも、ブラックバンクの厚さの均一性が維持できる。具体的には、カラーフィルタのピクセルの積層部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さ(f1)は0.5~2μm、カラーフィルタのピクセルの平坦部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さ(f2)、およびホワイトピクセル上に形成されたブラックバンクの厚さ(f3)は、それぞれ1~3μmであってもよいし、f3-f1は、0.5~2μmであってもよい。
【0138】
具体的には、図2にブラックバンクが形成された構造を例示した。図2に示されるように、ブラックバンクが適用される下部基板は、すでにカラーフィルタ(a)、オーバーコート層(b)、メタル電極(c)、メタルライン(e)などが積層されている。一例によれば、前記メタルライン(e)は、薄膜トランジスタ(TFT)のゲートとして役割を果たすことができる。この時、図1の積層構造における電流の流れ方向をみると、薄膜トランジスタ(TFT)のゲートであるメタルライン(e)を介して電流が印加されて、陽極の役割を果たすメタル電極(c)を経て、有機発光層および陰極に流れていく。例えば、カラーフィルタは、通常、2-2.5μm、オーバーコート層は1-3μm、メタル電極は500~2000オングストロームの厚さに形成される。図2にて、b1は、カラーフィルタのピクセルの平坦部上のオーバーコート層の厚さであり、b2は、カラーフィルタのピクセルの積層部のオーバーコート層の厚さである。
【0139】
特に、最近、透過度改善の目的でホワイトピクセル(d)が追加される。図2にて、f1は、カラーフィルタのピクセルの積層部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さであり、f2は、カラーフィルタのピクセルの平坦部およびオーバーコート層上のブラックバンクの厚さであり、f3は、ホワイトピクセル上に形成されたブラックバンクの厚さである。各カラー層が接して積層された部分におけるブラックバンクの厚さ(f1)と、オーバーコート層で満たされたホワイトピクセル部上のブラックバンクの厚さ(f3)との差が激しく発生する。
【0140】
このようなブラックバンクが適用される基板の積層構造の厚さの差によって表面屈曲が激しく、このため、ブラックバンク用樹脂組成物を用いた塗膜の形成時、屈曲が高いカラー積層部では組成物が流れ落ちて一定高さのブラックバンクを形成することが容易でない。しかし、本発明では、前記化学式1の化合物を用いることによりネガ型感光性樹脂組成物の流れ特性が改善されて、表面屈曲が激しい表面のうち屈曲の高い部分に感光性樹脂組成物をコーティングしても流れ落ちることなく一定厚さのブラックバンクを形成することができる。
【実施例
【0141】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0142】
製造例.
【0143】
重合例A1-1およびA1-2
【化42】
丸底フラスコ(Round bottom flask)に3,3'-diamino-[1,1'-biphenyl]-4,4'-diol13.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)70gを投入した後、120℃に加熱して1時間撹拌した。以後、BPFG(2,2'-((((9H-fluorene-9,9-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(oxy))bis(methylene))bis(oxirane))18.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)30g、トリメチルアミン(TEA)0.3gを投入した後、120℃で18時間撹拌した。反応が終了した後、常温に冷却させた後に得られた下記の構造の重合例A1-1およびA1-2を得た。
【0144】
得られた重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認しており、後述の通りである。以下、組成比は3,3'-diamino-[1,1'-biphenyl]-4,4'-diol:9,9'-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンモノマー(BPFG monomer)の組成比(モル比)を意味する。
【0145】
[重合例A1-1]
【化43】
組成比35:65、Mw4,500
【0146】
[重合例A1-2]
【化44】
組成比35:65、Mw6,000
【0147】
重合例A1-3~A1-7
【化45】
丸底フラスコ(Round bottom flask)に前記重合例A1-1 100g(固形分30%)を入れて、acetic acid12.1gを投入した後、50℃で18時間撹拌した。反応が終了した後、常温に冷却させた後に得られた重合例A1-3を回収した。重合例A1-4~A1-7も、前記重合例A1-3と同様の製造方法によって製造した。
【0148】
得られた重合体はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量(Mw)を確認しており、後述の通りである。以下、組成比は3,3'-diamino-[1,1'-biphenyl]-4,4'-diol:9,9'-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンモノマー(BPFG monomer)の組成比(モル比)を意味する。
【0149】
[重合例A1-3]
【化46】
組成比35:65、Mw5,000、End capping ratio50%
【0150】
[重合例A1-4]
【化47】
組成比35:65、Mw5,000、End capping ratio50%
【0151】
[重合例A1-5]
【化48】
組成比35:65、Mw5,000、End capping ratio50%
【0152】
[重合例A1-6]
【化49】
組成比35:65、Mw5,000、End capping ratio50%
【0153】
[重合例A1-7]
【化50】
組成比35:65、Mw5,000、End capping ratio50%
【0154】
重合例Ax-1~Ax-7(xは2~5)
以下の重合例Ax-1、2(xは2~5)は、前述した重合例A1-1およびA1-2の重合方法と同様に適用し、Ax-3~7(xは2~5)は、前述した重合例A1-3~A1-7の重合方法と同様に適用した。
【0155】
[重合例A2-1]
【化51】
組成比40:60、Mw5,000
【0156】
[重合例A2-2]
【化52】
組成比40:60、Mw7,000
【0157】
[重合例A2-3]
【化53】
組成比40:60、Mw6,000、End capping ratio50%
【0158】
[重合例A2-4]
【化54】
組成比40:60、Mw6,000、End capping ratio50%
【0159】
[重合例A2-5]
【化55】
組成比40:60、Mw6,000、End capping ratio50%
【0160】
[重合例A2-6]
【化56】
組成比40:60、Mw6,000、End capping ratio50%
【0161】
[重合例A2-7]
【化57】
組成比40:60、Mw6,000、End capping ratio50%
【0162】
[重合例A3-1]
【化58】
組成比40:60、Mw5,000
【0163】
[重合例A3-2]
【化59】
組成比40:60、Mw7,000
【0164】
[重合例A3-3]
【化60】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0165】
[重合例A3-4]
【化61】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0166】
[重合例A3-5]
【化62】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0167】
[重合例A3-6]
【化63】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0168】
[重合例A3-7]
【化64】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0169】
[重合例A4-1]
【化65】
組成比40:60、Mw5,000
【0170】
[重合例A4-2]
【化66】
組成比40:60、Mw7,000
【0171】
[重合例A4-3]
【化67】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0172】
[重合例A4-4]
【化68】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
[重合例A4-5]
【化69】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0173】
[重合例A4-6]
【化70】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0174】
[重合例A4-7]
【化71】
組成比40:60、Mw5,000、End capping ratio50%
【0175】
[重合例A5-1]
【化72】
組成比33:67、Mw3,500
【0176】
[重合例A5-2]
【化73】
組成比33:67、Mw4,000
【0177】
[重合例A5-3]
【化74】
組成比33:67、Mw3,800、End capping ratio50%
【0178】
[重合例A5-4]
【化75】
組成比33:67、Mw3,800、End capping ratio50%
【0179】
[重合例A5-5]
【化76】
組成比33:67、Mw3,800、End capping ratio50%
【0180】
[重合例A5-6]
【化77】
組成比33:67、Mw3,800、End capping ratio50%
【0181】
[重合例A5-7]
【化78】
組成比33:67、Mw3,800、End capping ratio50%
【0182】
重合例R1(日本化薬、ZCR-1797H)
【化79】
Mw6,500
【0183】
重合例R2(LG化学)
【化80】
Mw3,500
【0184】
重合例R3(LG化学)
【化81】
Mw3,000
【0185】
光開始剤(OXE-03)
【化82】
【0186】
多官能性モノマー(DPHA)
【化83】
【0187】
前記構造式において、aおよびbは、1~30の整数である。
【0188】
実施例および比較例
【0189】
下記表1に記載の成分でネガ型感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、ネガ型感光性樹脂組成物100重量部を基準として、下記表1に記載の各成分の重量部および溶媒21.5重量部を含ませて製造した。
【0190】
製造したネガ型感光性樹脂組成物を下記の条件で硬化させた後、評価して、その結果を下記表1に記載した。
【0191】
スピンコーティング(Spin coating)後、soft bakeをした後、露光器を用いて露光(exposure)後、現像液(2.38wt%TMAH sol.)で現像した後、post bakeを進行させた。
【0192】
Resist評価条件:SOB(soft bake)100℃/120s、PB(post bake)230℃/30m、厚さ0.5~2.0μm、exposure:70mJ/cm projection、development:23℃、2.38wt%TMAH solution、puddle、DI water rinse
【0193】
[テーパ角(Taper angle)の測定]
20゜~25゜(◎)
18゜以上20゜未満、25゜超過27゜以下(○)
15゜以上18゜未満、27゜超過30゜以下(△)
30゜超過(X)
【0194】
[表面粗さ]
原子顕微鏡(AFM)測定時のRMS(root mean square roughness) value(nm)
優れている(○):1.0nm未満
普通(△):1.0~2.0nm
良くない(X):2.0nm超過
【0195】
[現像マージン]
パターン原型の保存時間が40s以上(◎)、30s以上40s未満(○)、20s以上30s未満(△)、20s未満(X)
【0196】
[直進性]
優れている(○):パターンの形状が直線であり、凹んだりはみ出したりした所がない
普通(△):パターンの形状が概ね直線であり、凹んだりはみ出したりした所があるが激しくない
良くない(X):パターンの形状が曲線であり、凹んだりはみ出したりした所が激しい
【0197】
[残渣]
残渣なし(◎):SEMで観測時、画面内に残渣がないかまたは1個以下(残渣なし)
少ない(○):2個以上5個以下(少ない)
普通(△):5個以上であるが微細残渣のみ存在(普通)
多い(X):5個以上の微細残渣および大型残渣存在
【0198】
【表1】
顔料分散液:SKC社のSML-76 sample
多官能性モノマー:DHPA
光開始剤:OXE-03
界面活性剤:BYK-307
【0199】
前記表1によれば、比較例より実施例の方が直進性が改善され、顔料分散液に対する相溶性に優れて残渣の面で有利であり、現像時間によるパターンの大きさ(CD)およびテーパ角の測定において優れたマージンを有し得ることを確認することができる。
図1
図2
【国際調査報告】