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特表2022-545789セグメント化基板チャック付きキャリアヘッド
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  • 特表-セグメント化基板チャック付きキャリアヘッド 図1A
  • 特表-セグメント化基板チャック付きキャリアヘッド 図1B
  • 特表-セグメント化基板チャック付きキャリアヘッド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-31
(54)【発明の名称】セグメント化基板チャック付きキャリアヘッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20221024BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221024BHJP
   B24B 37/32 20120101ALI20221024BHJP
【FI】
B24B37/30 E
H01L21/304 622H
H01L21/304 622K
H01L21/304 622R
B24B37/32 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510966
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 US2020047478
(87)【国際公開番号】W WO2021041240
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/891,207
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/688,348
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ, スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】グルサミー, ジェイ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AB04
3C158BA05
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA13
3C158EA23
3C158EB01
5F057AA16
5F057AA31
5F057BA11
5F057BA15
5F057CA11
5F057DA03
5F057FA13
5F057FA19
5F057FA20
5F057GA02
(57)【要約】
化学機械研磨装置用のキャリアヘッドは、キャリア本体、外膜アセンブリ、環状セグメント化チャック、および内膜アセンブリを含む。外膜アセンブリは、キャリア本体から支持され、第1の複数の個別に加圧可能な外側チャンバを画定する。外膜アセンブリの下に支持されている環状セグメント化チャックは、外膜アセンブリのそれぞれの加圧可能なチャンバによって独立して垂直方向に可動である複数の同心リングを含む。リングのうちの少なくとも2つは、基板をチャックに吸着チャックするための通路を有する。内膜アセンブリは、キャリア本体から支持され、チャックの複数の同心リングのうちの最も内側のリングに取り囲まれている。内膜アセンブリは、第2の複数の個別に加圧可能な内側チャンバを画定し、基板に接触する下部表面を有する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨装置用のキャリアヘッドであって、
キャリア本体と、
前記キャリア本体から支持される外膜アセンブリであって、第1の複数の個別に加圧可能な外側チャンバを画定する外膜アセンブリと、
前記外膜アセンブリから支持されている環状セグメント化チャックであって、前記基板チャックが前記外膜アセンブリのそれぞれの加圧可能なチャンバによって独立して垂直方向に可動である複数の同心リングを含み、前記リングのうちの少なくとも2つが基板を前記チャックに吸着チャックするための通路を有する、環状セグメント化チャックと、
前記キャリア本体から支持されている内膜アセンブリであって、前記チャックの前記複数の同心リングのうちの最も内側のリングに取り囲まれ、第2の複数の個別に加圧可能な内側チャンバを画定し、前記基板に接触する下部表面を有する、内膜アセンブリと、を備える、キャリアヘッド。
【請求項2】
前記基板チャックの下に延在するクッションをさらに備え、前記クッションが、前記基板チャックに固定され、前記基板に接触するように構成されている、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項3】
前記クッションが同心リングから構成される、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項4】
前記クッションが、前記リングを貫通する前記通路と位置合わせされた真空チャネルを含む、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項5】
前記クッションが、前記基板チャックの隣り合う同心リング間の間隙に跨る、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項6】
前記クッションが前記内膜アセンブリの下に延在する、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項7】
前記クッションが、前記内膜アセンブリの複数の個別に加圧可能なチャンバに跨る、請求項6に記載のキャリアヘッド。
【請求項8】
前記内膜アセンブリが、前記キャリア本体の下の空間を前記複数の内側チャンバに分割する複数のフラップを有する内膜を含む、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項9】
前記外膜アセンブリが、前記キャリア本体の下の空間を前記複数の外側チャンバに分割する複数のフラップを有する外膜を含む、請求項8に記載のキャリアヘッド。
【請求項10】
前記内膜と前記外膜とが単一膜の一部である、請求項9に記載のキャリアヘッド。
【請求項11】
研磨パッドを支持するプラテンと、
キャリアヘッドであって、
キャリア本体、
前記キャリア本体から支持される外膜アセンブリであって、第1の複数の個別に加圧可能な外側チャンバを画定する外膜アセンブリ、
前記外膜アセンブリから支持されている環状セグメント化基板チャックであって、前記外膜アセンブリのそれぞれの加圧可能なチャンバによって独立して垂直方向に可動である複数の同心リングを含み、前記リングのうちの少なくとも2つが基板を前記チャックに吸着チャックするための通路を有する、環状セグメント化基板チャック、および
前記キャリア本体から支持されている内膜アセンブリであって、前記チャックの前記複数の同心リングのうちの最も内側のリングに取り囲まれ、第2の複数の個別に加圧可能なチャンバを画定し、前記基板に接触する下部表面を有する、内膜アセンブリ、を含む、キャリアヘッドと、
前記内側チャンバおよび前記外側チャンバに結合された複数の圧力源と、
前記圧力源に接続されたコントローラと、を備える、化学機械研磨システム。
【請求項12】
前記基板チャックの下に延在するクッションをさらに備え、前記クッションが、前記基板チャックに固定され、前記基板に接触するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記クッションが、前記リングを貫通する前記通路と位置合わせされ前記圧力源に接続された真空チャネルを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記キャリアヘッドがエッジ制御リングを含み、前記エッジ制御リングが、前記チャックの前記複数の同心リングのうちの最も外側のリングを取り囲み、前記最も外側のリングに対して垂直方向に可動である、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
化学機械研磨の方法であって、
基板をキャリアヘッド内に配置することと、
前記キャリアヘッドの基板チャックを通して送られる外膜アセンブリからの圧力と、前記チャックに取り囲まれた前記キャリアヘッドの内膜アセンブリからの圧力と、を使用して、前記基板を研磨することと、
研磨中、前記チャックを使用して、前記キャリアヘッドに前記基板をチャックすることによって、前記基板が横方向に動かないようにすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械研磨(CMP)に使用するキャリアヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、半導体ウエハ上の導電層、半導電層、または絶縁層の連続した堆積によって基板に形成される。様々な製造プロセスでは、基板上の層の平坦化が必要となる。例えば、ある製造段階では、非平坦面全体にわたって充填層を堆積させ、充填層を平坦化させることを伴う。用途によっては、パターン化層の上面が露出するまで充填層が平坦化される。例えば、金属層をパターン化絶縁層に堆積させ、その絶縁層にあるトレンチおよび孔を埋めることができる。平坦化の後、パターン化層のトレンチおよび孔にある金属の残り部分がビア、プラグ、および線を成して、基板上に薄膜回路間の導電路をもたらす。別の例として、誘電体層をパターン化導電層全体にわたって堆積させ、次に、後続のフォトリソグラフィック段階が実施できるように平坦化することができる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの方法として認められている。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに装着することが必要になる。基板の露出面は、通常、回転式研磨パッドに当たっている。キャリアヘッドは、基板を研磨パッドに押し付ける制御式負荷を基板に与える。研磨粒子状態の研磨スラリが、通常、研磨パッドの表面に与えられる。
【発明の概要】
【0004】
ある態様において、化学機械研磨装置用のキャリアヘッドは、キャリア本体、外膜アセンブリ、環状セグメント化チャック、および内膜アセンブリを含む。外膜アセンブリは、キャリア本体から支持され、第1の複数の個別に加圧可能な外側チャンバを画定する。外膜アセンブリの下に支持されている環状セグメント化チャックは、外膜アセンブリのそれぞれの加圧可能なチャンバによって独立して垂直方向に可動である複数の同心リングを含む。リングのうちの少なくとも2つは、基板をチャックに吸着チャックするための通路を有する。内膜アセンブリは、キャリア本体から支持され、チャックの複数の同心リングのうちの最も内側のリングに取り囲まれている。内膜アセンブリは、第2の複数の個別に加圧可能な内側チャンバを画定し、基板に接触する下部表面を有する。
【0005】
別の態様において、化学機械研磨システムは、研磨パッドを支持するプラテン、キャリアヘッド、キャリアヘッドにある内側チャンバおよび外側チャンバに結合された複数の圧力源、および圧力源に結合されたコントローラを含む。
【0006】
別の態様において、化学機械研磨の方法は、基板をキャリアヘッド内に配置することと、キャリアヘッドの基板チャックを通して送られる外膜アセンブリからの圧力と、チャックに取り囲まれたキャリアヘッドの内膜アセンブリからの圧力と、を使用して、基板を研磨することと、研磨時、チャックを使用して、キャリアヘッドに基板をチャックすることによって、基板が横方向に動かないようにすることと、を含む。
【0007】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0008】
キャリアヘッドは、上部キャリア本体および下部キャリア本体を含み得る。エッジ制御リングは、チャックの複数の同心リングのうち最も外側のリングを取り囲み、その最も外側のリングに対して垂直方向に動くことができる。加圧可能なチャンバは、キャリア本体に対するエッジ制御リングの位置付けを制御することができる。保持リングは、キャリア本体に接続され得、チャックを取り囲むことができる。
【0009】
考えられ得る利点としては、以下のうちの1つまたは複数を挙げることができるが、これらに限るわけではない。セグメント化基板チャックが、研磨パッドに対して基板を位置付けると同時に、基板をキャリアヘッドに固定することができる。このチャックは、基板が横方向に動かないようにすることによって、基板が保持リングにぶつかる可能性をなくするか減らすことができる。保持リングの内面が基板と保持リングとの接触を減らすことによってそれほど損傷を受けなくなるのにしたがって、保持リングの寿命を延ばすことができる。さらに、基板が反りにくくなるように、基板のエッジがそれほど横力を受けないようにして、より均一に研磨される望ましい基板プロファイルをもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】セグメント化チャック付きキャリアヘッドの概略断面図である。
図1B図1Aの膜アセンブリの概略断面図である。
図2】セグメント化チャック付きで、浮動膜アセンブリを備えるキャリアヘッドの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
研磨時、研磨パッドから基板に掛かる摩擦力により、基板が保持リングに接触する可能性がある。これにより、保持リングが損傷する可能性があり、例えば、基板と保持リングとの接触が原因で保持リングの壁の内面に引っかき傷ができる可能性がある。基板が保持リングとの衝突の結果として細かく砕けるすなわち台無しになる可能性もある。さらに、引っかき傷の結果として、研磨時に、基板のエッジが研磨パッドに乗り上がる可能性も研磨パッドに打ち付けられる可能性もあり、基板上の圧力分布を変え、非均一性をもたらす可能性がある。また、保持リングは、一定数の研磨周期の後、例えば、引っかき傷が許容限界を超えることにより誘発される非均一性の前に、取り替えが必要となる場合がある。
【0012】
これらの問題のうちの1つまたは複数に対処する技法は、基板をキャリアヘッドにチャックすることである。基板をチャックすることによって、基板が保持リングに接触しないようにすることができ、それにより基板のエッジの非均一性を軽減し、保持リングを長持ちさせることができる。しかし、当該キャリアヘッドが、基板の裏面のいくつかの部分に接触する可撓性の膜を含むこともまた可能である。
【0013】
図1Aおよび図1Bを参照すると、基板10がキャリアヘッド100を備える化学機械研磨(CMP)装置により研磨され得る。
【0014】
キャリアヘッド100は、ハウジング102、キャリア本体104、ジンバル機構106(キャリア本体104の一部と見なされ得る)、および保持リング130を含む。
【0015】
ハウジング102は、通常、円形形状であり得、研磨時に中心軸125を中心に供回りする駆動軸124に接続され得る。キャリアヘッド100の空気圧制御用にハウジング102を貫通する通路があってもよい。
【0016】
キャリア本体104は、ハウジング102下に位置する垂直可動アセンブリである。ローディングチャンバ108は、キャリア本体104に負荷、例えば下向きの圧力または下向きの重みが掛かるように、ハウジング102とキャリア本体104との間に位置する。チャンバ108は、環状湾曲の転動形ダイヤフラムすなわちベローズ109によって密閉され得る。研磨パッドに対するキャリア本体104の垂直位置は、キャリア本体104を垂直方向に動かすように加圧可能であるローディングチャンバ108によっても制御される。実装形態によっては、研磨パッドに対するキャリアヘッド100の垂直位置は、駆動軸124を垂直方向に動かすことができるアクチュエータ(図示せず)によって制御される。
【0017】
ジンバル機構106は、キャリア本体104が旋回し、ハウジング102に対するこのベースアセンブリ104の横移動を防ぎながらハウジング102に対して垂直方向に動くことを可能にする。ただし、ジンバル機構は、任意選択の装備であり、ベースアセンブリがハウジング102に対して一定の傾きになっていてもよい。
【0018】
膜アセンブリ110は、内膜組立部150および外膜組立部140を含む。内膜組立部150は、キャリア本体104に接続された内膜152を含む。内膜152が、シリコンゴムなどの薄い可撓性材料から構成されてもよい。内膜150の下面155は、基板取り付け面となり、基板10は、キャリアヘッド100に押し込まれると下面155に直に接触する。
【0019】
内膜152によって、キャリア本体104と下面155との間の空間は、複数の個別に加圧可能な内側チャンバ154に分割され得る。この加圧可能な内側チャンバ154は、例えば軸125を中心に同心円状に配置され得る。中央内側チャンバ154aが、円形であってもよく、その他の内側チャンバ154bが環状であってもよい。1~10個の個別に加圧可能な内側チャンバ154があってもよい。それぞれの個別に加圧可能な内側チャンバ154を他の個別に加圧可能な内側チャンバ154とは独立して、加圧して、膨張させ、また、減圧してしぼませることができる。
【0020】
実装形態によっては、内膜152に、空間を個別に加圧可能な内側チャンバ154に分割するフラップ152a(図1A参照)を含めることができる。別法として、実装形態によっては、それぞれの個別に加圧可能な内側チャンバ154が、内膜152の床151と2つの側壁部153とで画定されてもよい。各チャンバでは、フランジ部156が、側壁部153の上縁から内方に延在し、クランプ157によってキャリア本体104に固定されてもよい(図1B参照)。クランプ157がネジ、ボルト、または他の同様の締め具でキャリア本体104に固定されてもよい。
【0021】
隣り合う内側チャンバの側壁部153は、ブリッジング部159によって、例えばフランジ部156と同一平面上に、その上縁で接続されてもよい。これに対し、ブリッジング部159の下では、隣り合う側壁部153が間隙158によって分離されている。側壁部153が分離されていることによって、それぞれの個別に加圧可能な内側チャンバ154が隣り合う個別に加圧可能な内側チャンバ154に対して膨張することができる(具体的には、それぞれの個別に加圧可能な内側チャンバ154の床151が垂直方向に動く)。したがって、隣り合う内側チャンバに別々の側壁153を使用することにより、基板上の隣り合うゾーン間の圧力のクロストークが減る。
【0022】
内膜組立部150は、外膜組立部140に取り囲まれている。外膜組立部140は外膜142を含み、外膜142はキャリア本体104に接続されている。外膜142は、シリコンゴムなどの薄い可撓性材料から構成されてもよい。外膜142により、キャリア本体104と下面145との間の空間が複数の個別に加圧可能な外側チャンバ144に分割されている。各外側チャンバ144は、基板チャック160の一部に、例えば以下に述べるようなチャック160の環状リング162のうちの1つに、掛かる圧力を制御する。
【0023】
個別に加圧可能な外側チャンバ144が、環状同心チャンバであってもよい。2~10個の個別に加圧可能な外側チャンバ144があってもよい。それぞれの個別に加圧可能な外側チャンバ144を他の外側チャンバ144とは独立して、加圧して膨張させ、また、減圧してしぼませることができる。
【0024】
実装形態によっては、外膜142は、キャリア本体104の下の空間を複数の個別に加圧可能な外側チャンバ144に分割するフラップ142aを含む。別法として、実装形態によっては、それぞれの個別に加圧可能な外側チャンバ144が、外膜142の床部141と2つの側壁部143とで囲まれてもよい。各チャンバでは、フランジ部146が、側壁部143の上縁から内方に延在し、クランプ147によってキャリア本体104に固定されていてもよい(図1B参照)。クランプ157がネジ、ボルト、または他の同様の締め具でキャリア本体104に固定されていてもよい。
【0025】
隣り合う外側チャンバの側壁部143は、ブリッジング部149によって、例えばフランジ部146と同一平面上に、その上縁で接続されていてもよい。これに対し、ブリッジング部149の下では、隣り合う側壁部143が間隙148によって分離されている。側壁部143が分離されていることによって、それぞれの個別に加圧可能な外側チャンバ144が隣り合う外側チャンバ144に対して膨張することができる(具体的には、それぞれの個別に加圧可能な外側チャンバ144の床部151が垂直方向に動く)。したがって、隣り合う内側チャンバに別々の側壁143を使用することにより、基板上の隣り合うゾーン間の圧力のクロストークが減る。実装形態によっては、内膜152と外膜154とは、1つの単一膜の一部である。
【0026】
研磨作業時、個別に加圧可能なチャンバ144および154に加圧して、膨張させ、個別に加圧可能なチャンバ144または154の下にある基板10の一部に対して研磨レートを上げることができる。同様に、個別に加圧可能なチャンバ144または154を減圧して、しぼませ、個別に加圧可能なチャンバ144または145の下にある基板10の一部に対して研磨レートを下げることができる。
【0027】
外膜組立部140の下には、内膜組立部150を取り囲むセグメント化基板チャック160がある。このチャック160は、アルミニウム、ステンレス鋼、セラミック、またはプラスチックから構成されてよい。チャック160は、複数の同心環状リング162を含むことができる。環状リング162は、キャリアヘッド100の回転軸125と同心円を成すことができる。環状リング162と外側チャンバ144との個数が同じであってもよい。チャック160の各環状リング162は、対応する外側チャンバ144の下に位置付けられ得る。したがって、各外側チャンバ144が膨張するかしぼむのにしたがって、そのチャンバ144が下にある環状リング162を垂直方向に動かし、基板10に掛かる圧力を強めるか弱めるようにする。
【0028】
隣り合う環状リング162間には、チャネル164、例えば環状間隙がある。チャネル164は、圧力源180に接続され得る(以下でさらに述べる)。圧力源180は、環状リング162間から研磨副産物(例えば、研磨スラリ、粒子)を吹き飛ばすことができる。
【0029】
チャック160が外膜組立部140を下支えすることから、研磨作業時、膜142は、基板10に接触することはなく、基板10との接触に起因して摩耗の増大を受けることも裂けることもない。
【0030】
チャック160の下には、また場合によっては内膜部150の下にも、クッション170があってもよい。クッション170が、圧縮性材料、例えばゴム、例えばシリコーン、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM:Ethylene Propylene Diene Terpolymer)もしくはフルオロエラストマー、または多孔性ポリマーシートで成っていてもよい。クッション170には、チャックの環状リング162の下の部分172および内膜152の下の部分175を含めることができる。
【0031】
1つまたは複数の真空チャネル174がクッション170を貫通して形成されている。具体的には、チャネル174は、環状リング172の下の領域に、クッションを貫通して形成され得る。真空チャネル174を、通路182を介して圧力源180に接続し、真空チャネル174内の圧力を変調させることができる。各通路182の一部は、チャック160の環状リング162を走る導管184によってもたらされ得る(簡単にするために、通路182のその他の部分は大まかに示しているが、他の中実部分を通る導管およびチャンバを通るホースを含めることができる)。例えば、圧力源180が、基板10をクッション170に押さえ付けることができる真空を真空チャネル174に生み出すことができる。
【0032】
クッション170によりチャック160および内膜組立部150が下支えされるので、チャック160および内膜組立部150によってもたらされる非均一性に対処することができる。環状リング162間の間隙および個別に加圧可能なチャンバ154間の間隙158は、加圧しないので、掛かった圧力における局所非均一性をもたらす可能性がある。しかし、クッション170を環状リング162間の間隙および間隙158に跨らせることができる。このように、クッション170は、基板10の一部に掛かる圧力を分散させ、環状リング162間の間隙および個別に加圧可能なチャンバ154間の間隙158を下支えする基板10の一部に起こる可能性がある非均一性をならすことができる。
【0033】
別法として、クッション170が別々の環状リングから構成され、クッション170の各リングが、間隙によって隣り合うリングから分離され、チャックの160の対応する環状リング162の底に固定されてもよい。クッション170には、内膜部150に跨る中央領域175も含めることができる。
【0034】
保持リング130によって、膜組立体100および基板10を取り囲むことができ、保持リング130は、圧力制御リングとして働くことができる。保持リング130は、アクチュエータ134、例えば、加圧可能なチャンバまたはベローズに接続され得る。アクチュエータ134は、保持リング130に垂直方向に動くようにさせることができる。例えば、アクチュエータ134は、研磨作業時、保持リング130を研磨パッド30に押し当てることができる。保持リング130は、基板10がチャック160によって保持リング130内の所定位置に保たれるので、基板10に接触することなく、研磨パッド30上で基板10を囲むように構成されている。これによって、保持リング130を長持ちさせることができる。つまり、保持リング130内の所定位置に保たれているが、保持リング130に押し当てられていない基板10の接触を減らすことにより、基板10および保持リング130が、それほど損傷を受けないようにすることができる。
【0035】
真空圧が基板10をクッション170に押さえ付けることにより、キャリアヘッド100内の基板10が横方向に動かないようにすることができる。結果として、基板10と保持リング130との衝突接触の影響を原因とする損傷を基板10のエッジが受けにくくなる。同様に、基板10と保持リング130との接触を減らすことにより、保持リング130の内面がそれほど損傷を受けなくなる。また、保持リング130が基板10からそれほど損傷を受けないので、取り替えが必要になるまでの保持リング130の寿命を延ばすことができる。また、保持リング130との接触に起因して、基板10のエッジが上方や下方に引っ張られることが起こりにくいので、特に基板のエッジ近くでは、研磨をより均一にすることができる。さらに、クッション170が基板10と内膜組立部150との間にあるので、研磨作業時、膜152が基板10との接触に起因する摩耗の増大を受けることも裂けることもない。
【0036】
コントローラ190が圧力源180に接続されてもよい。圧力源180とは、例えば、ポンプ、設備空気、または関連付けられたバルブ付きの真空供給ラインなどであってもよい。圧力源180を、ローディングチャンバ108、チャネル164、および真空チャネル174に接続し、それらの圧力を上げ下げすることができる。例えば、ローディングチャンバ108に加圧して、キャリア本体104を研磨パッド30へ向かって下げるか、減圧して、真空チャネル174を真空にし、基板10をクッション170に装着するように、コントローラ190が圧力源180を制御することができる。
【0037】
図2を参照すると、キャリアヘッド200は、ハウジング102、上部キャリア本体204a、下部キャリア本体204b、保持リング130、および外リング230を含む。以下に断りがある場合を除き、キャリアヘッド200は、キャリアヘッド100と同様である。
【0038】
上部キャリア本体204aは、ハウジング102の下に位置する垂直可動アセンブリである。上部キャリア本体204aに負荷、すなわち下向きの圧力または下向きの重みが掛かるように、上部ローディングチャンバ208aがハウジング102と上部キャリア本体204aとの間に位置する。研磨パッド30に対する上部キャリア本体204aの垂直位置は、上部キャリア本体204aを垂直方向に動かすように加圧可能である上部ローディングチャンバ208aによって制御される。上部ローディングチャンバ208aは、ハウジング102と上部キャリア本体204aとの間に延在する環状湾曲の転動形ダイヤフラムすなわちベローズ224によって密閉され得る。
【0039】
同様に、下部キャリア本体204bは、上部キャリア本体204aの下に位置する垂直可動アセンブリである。下部キャリア本体204bに負荷、すなわち下向きの圧力または下向きの重みが掛かるように、下部ローディングチャンバ208bが、上部キャリア本体204aと下部キャリア本体204bとの間に位置する。研磨パッドに対する下部キャリア本体204bの垂直位置もまた、下部キャリア本体204bを垂直方向に動かすように加圧可能である下部ローディングチャンバ208bによって制御される。コントローラ190は、圧力源180を調節することによって、上部負荷ゾーン208aおよび下部負荷ゾーン208bにおける圧力を上げ下げすることができる。
【0040】
上部キャリア本体204aと下部キャリア本体204bとは、例えば、上部ローディングチャンバ208aにおける圧力と下部ローディングチャンバ208bにおける圧力とによって決まってくる通りに、互いに独立して動くことができる。下部ローディングチャンバ208aは、上部キャリア本体204aと下部キャリア本体204bとの間に延在する環状湾曲の転動形ダイヤフラムすなわちベローズ250によって密閉され得る。
【0041】
例えば、ダイヤフラム250は、上部キャリア本体204aを下部キャリア本体204bに柔軟に接続することによって、上部キャリア本体204aおよび下部キャリア本体204bの垂直方向移動を可能にすることができる。ダイヤフラム250は、可撓性で不浸透性の材料、例えばゴムであってもよい。ダイヤフラム250は、固定具252aおよび252bを使用して、上部キャリア本体204aおよび下部キャリア本体204bに固定され得る。ダイヤフラム250の内縁は、固定具252aと上部キャリア本体204aとの間に挟まれてもよい。ボルト、ネジ、または他の同様の締め具などの締め具を使用して、固定具252aを上部キャリア本体204aに固定することができる。同様に、ダイヤフラム250の外縁が固定具252bと下部キャリア本体204bとの間に挟まれてもよい。ボルト、ネジ、または他の同様の締め具などの締め具を使用して、固定具252bを下部キャリア本体204bに固定することができる。
【0042】
実装形態によっては、研磨パッドに対する上部キャリア本体204aおよび下部キャリア本体204bの垂直位置は、軸122を垂直方向に動かすことができるアクチュエータ(図示せず)によって制御される。
【0043】
環状保持リング130が、アクチュエータおよび/またはベローズ234に接続されてもよい。アクチュエータおよび/またはベローズ234により、保持リング130は、垂直方向に動くことができる。例えば、アクチュエータおよび/またはベローズ234により、研磨作業時、保持リング130を研磨パッド30に押し当てることができる。保持リング130は、基板10がチャック160によって保持リング130内の所定位置に保たれるので、基板10に接触することなく、研磨パッド30上で基板10を囲むように構成されている。
【0044】
外リング230に保持リング130を囲ませることができる。外リング230は、ボルト、ネジ、または他の同様な締め具などの締め具によって上部キャリア本体204aに接続され得る。外リング230は、研磨パッド30の表面に対するキャリアヘッド200の位置付けまたはリファレンシングをもたらす。
【0045】
チャック160を取り囲むのは、エッジ制御リング240である。エッジ制御リング240は、下部ローディングチャンバ208bから切り離され、下部キャリア本体204bに接続されていてもよい。例えば、転動形ダイヤフラムすなわちベローズ244が、エッジ制御リング240と、下部キャリア本体204bから延びる唇部242との間に位置付けられてもよい。エッジ制御リング240は、基板10のエッジにわたって位置付けられ、これにより、基板10のエッジを独立して研磨し、的を絞ったエッジ負荷により、チャック160によって制御される基板10上のその範囲を取り囲む基板10のエッジの研磨を制御することができる。
【0046】
本明細書に記載のシステムのコントローラおよび他のコンピューティングデバイス部分は、デジタル電子回路機構において、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて実装され得る。例えば、コントローラとしては、コンピュータプログラム製品、例えば非一時的機械可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行させるプロセッサを挙げることができる。このようなコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型言語やインタプリタ型言語を含む、如何なる形態のプログラミング言語でも書き込まれ得、このコンピュータプログラムは、コンピューティング環境における使用に適した、スタンドアローンプログラムとしてまたはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくは他のユニットとして、を含む、如何なる形態でも展開され得る。
【0047】
本明細書には多くの具体的な実装形態の詳細が含まれているが、これらは、如何なる発明の範囲に対する、また請求の対象とされ得るものの範囲に対する限定とも見なすべきはなく、特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の描写として見なすべきである。本明細書で、別々の実施形態の背景において説明している特定の特徴は、実施形態1つだけにおいて、組み合わせて実施されてもよい。逆に言えば、実施形態1つだけの背景において説明している様々な特徴が、複数の実施形態において、別々にでも適切な如何なる部分的組合せでも実施されてもよい。また、上記では、特徴をある組合せにおいて作用するとして説明し、また当初はそのように請求項に記載までしていることもあるが、請求項に記載の組合せからの1つまたは複数の特徴が、場合によっては、この組合せから除外されてもよく、請求項に記載の組合せが、部分的組合せを対象とするものであっても、部分的組合せの変形形態を対象とするものであってもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態について述べてきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲を外れない限り、様々な修正がなされてもよい、ということが分かるであろう。したがって、他の実装形態も、以下の特許請求の範囲にある。
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】