IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

特表2022-546219ウェーハ接地のための方法、装置、及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ウェーハ接地のための方法、装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20221027BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01J37/20 H
H01L21/66 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507662
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2020073704
(87)【国際公開番号】W WO2021037827
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/893,135
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/022,374
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/068,839
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イーシャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シビン
(72)【発明者】
【氏名】カオ,シャンフイ
(72)【発明者】
【氏名】チュ,カンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ドウ,ユーイン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,イン
(72)【発明者】
【氏名】リー,インロン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ウィルク,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル トールン,ヤン-ヘラルト,コルネリス
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB05
4M106DJ02
5C101AA03
5C101FF02
5C101FF25
5C101HH11
(57)【要約】
ウェーハ接地及びウェーハ接地位置調整のためのシステム及び方法が開示される。第一方法が、接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で受信することと、少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定することと、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することと、を含み得る。ウェーハの接地位置を調整するための第二方法が、ウェーハとウェーハに接触している少なくとも1つの接地ピンとの間の電気的接続を終了することと、ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整することと、接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することと、を含み得る。第三方法が、衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることと、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することと、を含み得る。
【選択図】図15D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地ピンと、
衝突によって前記ウェーハ上のコーティングを貫通するように前記接地ピンを制御することと、前記接地ピンと前記ウェーハとの間に電気的接続を確立することと、のための回路を有するコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記ウェーハを支持するウェーハステージに結合されたアクチュエータを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記接地ピンを作動させるように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記衝突によって前記接地ピンに前記ウェーハ上の前記コーティングを貫通させるための回路を有する前記コントローラが、前記衝突によって前記接地ピンに前記コーティングを貫通させるための回路であって、前記接地ピンが前記ウェーハと直接接触するか、又は前記接地ピンが前記コーティングを完全に貫通しない、回路を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
衝突によって前記ウェーハ上の前記コーティングを貫通するように前記接地ピンを制御するための回路を有する前記コントローラが、前記ウェーハに向けて前記接地ピンを作動させるための回路を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記ウェーハに向けて前記接地ピンを作動させるための回路を有する前記コントローラが、ある距離だけ前記ウェーハから離れるように前記接地ピンを移動させることと、前記ウェーハに向けて前記接地ピンを加速させることと、のための回路を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記ウェーハのタイプ、前記ウェーハのコーティングのタイプ、又は前記コーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、前記距離を決定することのためである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記ウェーハから離れるように前記接地ピンを移動させる前に、前記ウェーハに接触するように前記接地ピンを制御することのためである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
マスブロックであって、前記アクチュエータが前記マスブロックを作動させるように構成される、マスブロックを更に備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
衝突によって前記ウェーハ上の前記コーティングを貫通するように前記接地ピンを制御するための回路を有する前記コントローラが、前記ウェーハに向かう前記接地ピンに衝突するように前記マスブロックを作動させるための回路を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ウェーハに向かう前記接地ピンに衝突するように前記マスブロックを作動させるための回路を有する前記コントローラが、前記接地ピンに向けて前記マスブロックを作動させるための回路を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記接地ピンに向けて前記マスブロックを作動させるための回路を有する前記コントローラが、ある距離だけ前記接地ピンから離れるように前記マスブロックを移動することと、前記接地ピンに向けて前記マスブロックを加速させることと、のための回路を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記ウェーハのタイプ、前記ウェーハのコーティングのタイプ、又は前記コーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、前記距離を決定することのためである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記接地ピンから離れるように前記マスブロックを移動させる前に、前記接地ピンに接触するように前記マスブロックを制御することのためである、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
装置に方法を実行させるために、前記装置の少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることと、
前記接地ピンと前記ウェーハとの間に電気的接続を確立することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年8月28日に出願された米国特許出願第62/893,135号、2020年5月8日に出願された米国特許出願第63/022,374号、及び2020年8月21日に出願された米国特許出願第63/068,839号の優先権を主張するものであり、これらの米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書の記載は、荷電粒子ビーム装置の分野に関し、より詳細には、半導体ウェーハ製造におけるウェーハ接地及びバイアシングに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビーム装置が発生させた荷電粒子ビームをウェーハ基板の表面に衝突させた際にウェーハ基板の表面から到来する二次電子、後方散乱電子、ミラー電子、又は他の種類の電子を検出することにより、ウェーハ基板の2次元画像を生成することができる。半導体産業では、ウェーハ処理(例えば、電子ビーム直接描画リソグラフィシステム)、プロセスモニタリング(例えば、クリティカルディメンジョン走査電子顕微鏡(critical dimension scanning electron microscope、CD-SEM))、ウェーハ検査(例えば、電子ビーム検査システム)、欠陥解析(例えば、欠陥レビューSEM、略称DR-SEM、及び集束イオンビームシステム、略称FIB)など、様々な目的で様々な荷電粒子ビーム装置が半導体ウェーハに対して使用されている。このような装置が機能を果たすとき、より良いイメージングのために、ウェーハ基板の電位が、所定の値に保持されたり、バイアスされたりし得る。これを実現するために、過剰な電荷がウェーハ基板に供給されるプロセスであるウェーハ基板と荷電粒子ビームとの相互作用のプロセスにおいて、プログラム可能なDC電圧源(例えば、ウェーハバイアス供給源)に対象のウェーハ基板を電気的に接続する、より具体的には、抵抗接続する。このプロセスは、ウェーハバイアシングと呼ばれ得る。
【0004】
[0004] ウェーハバイアシングにおいては、従来、ウェーハバイアス供給源からウェーハ基板への電気的な接触は、ウェーハの表面は電気接点を配置するのに不適切であるため、ウェーハ基板の裏面に押し当てた1つ又は複数の電気接点を使用して、ウェーハ基板の裏面において行われる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、ウェーハ接地のためのシステム及び方法を提供する。いくつかの実施形態では、ウェーハを接地するための方法が、接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で受信することを含み得る。本方法はまた、少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定することを含み得る。本方法は、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することを更に含み得る。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、ウェーハを接地するためのシステムが開示される。本システムは、接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で生成するように構成されたセンサと、電気信号を発生させるように構成された電気信号発生器と、コントローラであって、電気的特性の第一値を受信することと、少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定することと、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することとのための回路を備えるコントローラとを含み得る。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、ウェーハの接地位置を調整するための方法が開示される。本方法は、ウェーハとウェーハに接触している接地ピンとの間の電気的接続を終了することを含み得る。本方法はまた、ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整することを含み得る。本方法は、接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することを更に含み得る。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、ウェーハの接地位置を調整するためのシステムが開示される。検査システムは、ウェーハと接触するように構成された接地ピンと、ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了し、ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整し、接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復するように構成されたアクチュエータとを備え得る。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、ウェーハを接地するための方法が開示される。本方法は、複数のプローブとウェーハとの間に接点のセットを確立することを含み得る。本方法はまた、ウェーハのコーティングの破壊を促進するために、複数のプローブを介して接点のセットに電気信号の第一セットを印加することを含み得る。本方法は、ウェーハを介する複数のプローブの間の電気経路の抵抗が所定の閾値以上であるとの決定に基づいて、複数のプローブを介して接点のセットに電気信号の第二セットを印加することであって、電気信号の第二セットが、電気信号の第一セットを印加するときのウェーハに関連する電気的特性の値に基づいて決定される、ことを更に含み得る。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、ウェーハを接地するための方法が開示される。本方法は、複数のプローブとウェーハとの間に接点の第一セットを確立することを含み得る。本方法はまた、ウェーハのコーティングの破壊を促進するために、複数のプローブを介して接点の第一セットに電気信号の第一セットを印加することを含み得る。本方法は、ウェーハを介する複数のプローブの間の電気経路の抵抗が所定の閾値以上である場合、複数のプローブとウェーハとの間に接点の第二セットを確立することを更に含み得る。本方法は、複数のプローブを介して接点の第二セットに電気信号の第二セットを印加することであって、電気信号の第二セットが、電気信号の第一セットを印加するときのウェーハに関連する電気的特性の値に基づいて決定される、ことを更に含み得る。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、ウェーハを接地するための方法が開示される。本方法は、接地ピンにウェーハを接触させることを含み得る。本方法はまた、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることを含み得る。本方法は、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することを更に含み得る。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、システムが開示される。本システムは、ウェーハと接触するように構成された接地ピンを備え得る。本システムはまた、コントローラであって、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることと、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することとのための回路を有するコントローラを備え得る。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、ウェーハを接地するための方法が開示される。本方法は、衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることを含み得る。本方法はまた、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することを含み得る。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、システムが開示される。本システムは、接地ピンと、コントローラであって、衝突によってウェーハ上のコーティングを貫通するように接地ピンを制御することと、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することとのための回路を有するコントローラとを備え得る。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が、装置に方法を実行させるために、装置の少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶し得る。本方法は、衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることを含み得る。本方法はまた、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することを含み得る。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、ウェーハ接地のためのシステムが開示される。本システムは、第一接地ピンを備え得る。本システムはまた、静電ホルダの内側に第一電極を備える静電ホルダを備え得る。本システムは、第一接地ピンと第一電極との間に電気的に結合された第一過電圧保護デバイスであって、第一過電圧保護デバイスが、第一過電圧保護デバイスに印加された第一電圧が閾値電圧を超えたときに電気を通し、第一電圧が閾値電圧を超えないときに電気を通すことを停止するように構成される、第一過電圧保護デバイスを更に備え得る。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、高電圧の高速ランピングのための装置が開示される。本装置は、装置の高電圧部分と装置の接地部分との間に配置されたアイソレータを備え得る。本装置はまた、高電圧部分に電気的に結合された第一電極を備え得る。本装置は、接地部分に電気的に結合され、第一電極に導通していない第二電極を更に備え得る。本装置は、アイソレータの上で第一電極及び第二電極を覆う誘電体層を更に備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0018]本開示のいくつかの実施形態による、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[0019]本開示のいくつかの実施形態による、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部分であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3】[0020]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地の例示的なシステムの図である。
図4】[0021]本開示のいくつかの実施形態による、例示的なマルチピンウェーハ接地システムの図である。
図5】[0022]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的な方法を示すフローチャートである。
図6】[0023]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地位置調整の例示的なシステムの図である。
図7】[0024]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地位置調整の例示的なシステムの図である。
図8】[0025]本開示のいくつかの実施形態による、調整前及び調整後の例示的な接地位置の図である。
図9】[0026]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地位置調整の例示的なシステムの図である。
図10】[0027]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハの接地位置を調整する例示的な方法を示すフローチャートである。
図11】[0028]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハの接地位置を調整するための別の例示的な方法を示すフローチャートである。
図12】[0029]本開示のいくつかの実施形態による、例示的なマルチピンウェーハ接地システムの図である。
図13】[0030]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的な方法を示すフローチャートである。
図14A】[0031]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的なシステムの動作段階を示す。
図14B】[0031]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的なシステムの動作段階を示す。
図14C】[0031]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的なシステムの動作段階を示す。
図14D】[0031]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的なシステムの動作段階を示す。
図15A】[0032]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための別の例示的なシステムの動作段階を示す。
図15B】[0032]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための別の例示的なシステムの動作段階を示す。
図15C】[0032]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための別の例示的なシステムの動作段階を示す。
図15D】[0032]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための別の例示的なシステムの動作段階を示す。
図16】[0033]本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的な方法を示すフローチャートである。
図17】[0034]本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が瞬時に発生する例示的なウェーハ接地システムの図である。
図18】[0035]本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が形成されることが防止される例示的なウェーハ接地システムの図である。
図19A】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が形成されることが防止される例示的なウェーハ接地システムの図である。
図19B】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が形成されることが防止される例示的なウェーハ接地システムの図である。
図19C】[0036]本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が形成されることが防止される例示的なウェーハ接地システムの図である。
図20】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、高電圧部分において放電が発生し得る例示的なウェーハ検査システムの断面図を示す。
図21】[0038]本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的な装置の図である。
図22】[0039]本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための別の例示的な装置の図である。
図23】[0040]本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための更に別の例示的な装置の図である。
図24】[0041]本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための更に別の例示的な装置の図である。
図25】[0042]本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的なウェーハ検査システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0043] ここで、例が添付の図面に示される例示的な実施形態について詳細に参照する。以下の説明は添付の図面を参照している。添付の図面においては、別段の記載がない限り、異なる図面で同じ番号がある場合、同じ又は類似の要素を表している。例示的な実施形態の以下の説明に記載されている実装形態は、本開示によるすべての実装形態を表すわけではない。そうではなく、これら実装形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている主題に関連する態様による装置及び方法の例に過ぎない。本開示の範囲を制限することなしに、いくつかの実施形態は、電子ビーム(「eビーム」)を利用するシステムにおける検出システム及び検出方法を提供するという文脈で説明され得る。しかしながら、本開示はそのように限定されるものではない。他のタイプの荷電粒子ビーム(例えば、プロトン、イオン、ミューオン、又は電荷を運ぶ任意の他の粒子を含む)も同様に適用され得る。更に、検出のためのシステム及び方法は、他のイメージングシステム、例えば、光イメージング、光子検出、X線検出、イオン検出などにも使用され得る。
【0020】
[0044] 電子デバイスは、基板と呼ばれる一片の半導体材料の上に形成された回路から構成される。半導体材料としては、例えば、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリン、シリコンゲルマニウムなどが挙げられ得る。多くの回路が同じ一片のシリコン上に一緒に形成されることがあり、集積回路又はICと呼ばれる。これらの回路のサイズは、より多くの回路を基板上に取り付けることができるように劇的に小さくなっている。例えば、スマートフォンのICチップは、親指の爪ほどの大きさでありながら、20億個超のトランジスタを備え、各トランジスタのサイズは、ヒトの髪の毛のサイズの1000分の1未満であり得る。
【0021】
[0045] 極めて小さい構造体又は構成要素を備えたこれらのICの製造は、数百の個別のステップをしばしば伴う、複雑で時間及び費用のかかるプロセスである。1つのステップにおけるエラーであっても、完成したICに欠陥をもたらし、これを使いものにならなくする可能性がある。よって、製造プロセスの1つの目標は、このような欠陥を回避して、プロセスで製造される、動作するICの数を最大化すること、つまり、プロセスの歩留まり全体を向上させることである。
【0022】
[0046] 歩留まりを向上させるための1つの要素は、チップ製造プロセスをモニタリングして、チップ製造プロセスにおいて十分な数の動作する集積回路が製造されることを確保することである。プロセスをモニタリングする1つの方法は、チップ回路構造体の形成の様々な段階でチップ回路構造体を検査することである。検査は、走査型荷電粒子顕微鏡(scanning charged-particle microscope、「SCPM」)を使用して行われ得る。例えば、SCPMは、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)であり得る。SCPMは、このような極めて小さい構造体をイメージングするために使用されて、実際に、ウェーハの構造体の「写真」を撮ることができる。画像は、構造体が適切な位置で適切に形成されたか否かを決定するために使用され得る。構造体に欠陥がある場合、プロセスを調整することができるため、欠陥が再発しにくくなる。
【0023】
[0047] SEMの動作原理はカメラと同様である。カメラは、人又は物体から反射又は放出された光の強度を受け取って記録することにより写真を撮る。SEMは、ウェーハの構造体から反射又は放出された電子のエネルギー又は量を受け取って記録することにより「写真」を撮る。このような「写真」を撮る前に、電子ビームが構造体に対して投射され得、電子が構造体から(例えば、ウェーハの表面から、ウェーハの表面の下にある構造体から、又はその両方から)反射又は放出される(「出射する」)と、SEMの検出器がそれらの電子のエネルギー又は量を受け取って記録して、検査画像を生成し得る。このような写真を撮るために、電子ビームはウェーハ全体を(例えば、ライン・バイ・ラインで又はジグザグに)走査することができ、検出器は電子ビームが投影された領域(「ビームスポット」と呼ばれる)から到来する、出射する電子を受け取ることができる。検出器は、各ビームスポットからの出射する電子を1つずつ受け取って記録し、すべてのビームスポットについて記録された情報を合わせて検査画像を生成し得る。単一の電子ビームを使用して単一の「写真」を撮影して検査画像を生成するSEM(「シングルビームSEM」と呼ばれる)もあれば、複数の電子ビームを使用してウェーハの複数の「部分写真」を並列に撮影して、それらをつなぎ合わせて検査画像を生成するSEM(「マルチビームSEM」と呼ばれる)もある。複数の電子ビームを使用することにより、SEMは、これらの複数の「部分写真」を得るために構造体上に多くの電子ビームを供給し、その結果、構造体からより多くの電子が出射され得る。したがって、検出器は、より多くの出射する電子を同時に受け取り、ウェーハの構造体の検査画像をより高効率及びより高速に生成し得る。
【0024】
[0048] 典型的には、構造体は、ステージと呼ばれるイメージングのためのプラットフォーム上に置かれた基板(例えば、シリコン基板)上に作られる。電子ビームが構造体に当たると、基板は帯電し、電気的に中性ではなくなり得る。帯電した基板は電圧を得て、出射する電子に影響を与えることがあり、このことが画像品質に影響を与え得る。したがって、イメージングを改善するためには、基板を接地することが有利であり得る。
【0025】
[0049] 接地のために、基板は、電源に電気的に接続され得る。電源と基板との間の電気的接続は、基板の裏面(すなわち、構造体のない表面)に1つ又は複数の導電性の接地ピン又はプローブを押し当てることにより実施され得る。基板の裏面は、通常、基板の製造プロセスにおいて保護被覆として作られた材料の薄膜(「裏面膜」)によって覆われる。
【0026】
[0050] しかしながら、裏面膜は導電性ではない。一般に、このような非導電性の裏面膜を打開するために、貫通法と電気ザッピング法との2つのタイプの方法が使用され得る。貫通法では、接地ピンが裏面膜を貫通して基板に直接接触するように押し当てられ得る。しかしながら、貫通法は、裏面膜に損傷をもたらすことがあり、その場合、製造時の基板の損傷につながり得、また過剰な粒子が生成されることにつながって、SEMの真空チャンバの汚染につながり得る。
【0027】
[0051] 電気ザッピング法では、接地ピンが裏面膜に押し当てられてこれを部分的に貫通するが、完全には貫通しないことがある。電源は、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立するために裏面膜を破壊する目的で、接地ピンの間に高電圧(例えば、数十キロボルト)の電気信号(「接地信号」)を発生させ得る。接地信号は、接地ピンの先端と裏面膜との間に電気的ザッピングを生じ得る。
【0028】
[0052] しかしながら、電気ザッピング法にも課題がある。1つ目の課題は、裏面膜を破壊するために、そしてそれを過剰な損傷を生じることなく行うために必要な接地信号の最適化された電圧が基板のタイプによって異なることである。つまり、あるタイプの基板において最適化された接地信号の電圧が、別のタイプの基板の裏面膜を破壊できず、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を形成することができない場合がある。2つ目の課題は、接地信号の過剰な電圧により、接地ピンの先端付近のウェーハに過剰な損傷(例えば、裏面膜の小規模爆発)が生じて、その結果、イメージング環境(例えば、SEMシステムの真空チャンバ)を汚染し得る粒子が発生し得ることである。3つ目の課題は、電気ザッピングがいくつかの接地位置において失敗し得るが、同じ位置でザッピングを繰り返すことは、接地ピンの寿命を縮めたり、過剰な数の汚染粒子につながったりし得るため望ましくないことである。したがって、いずれの方法にも改善が望まれる。
【0029】
[0053] 本開示の実施形態は、改善されたウェーハ接地システムを提供し得る。ウェーハ接地は、貫通法又は電気ザッピング法を使用することにより実施され得る。本開示の電気ザッピング法の実施形態によれば、接地ピンの接触位置が動的に調整され得る。初期の接触位置において接地が成功しなかった場合、接触位置を動的に調整し、異なる接地信号を印加することにより、ウェーハ接地が成功する確率を高めつつ、真空チャンバ内の汚染を抑制し、接地ピンの寿命を延ばすことができる(従来の方法と比較して)。加えて、本開示の電気ザッピング法の実施形態によれば、ウェーハ接地のための電気信号の電気的特性もまた、接地電気経路の測定フィードバックに基づいて動的に調整され得る。電気的特性を動的に調整することにより、接地ピンの寿命が延び、検査用真空チャンバ内の汚染が減少し、電気信号が異なるタイプのウェーハを接地するのに好都合に適合され得る。また、本開示の貫通法及び電気ザッピング法の実施形態によれば、接地ピンとウェーハとの間の接触を改善するために、ウェーハに対して接地ピンを振動させるための振動子が設けられ得る。振動子は、貫通法を使用するシステムに使用されてもよく、その場合、裏面膜の爆発及び汚染粒子の堆積を回避することができ、接地ピンの寿命を延ばすことができる。振動子はまた、電気ザッピング法のみを使用したシステム、又は両方の方法を組み合わせたシステムに使用されてもよく、その場合、接地ピンの接地位置に調整のための余剰寸法を設けることができ、ウェーハ接地の成功率を更に高めることができる。
【0030】
[0054] 本開示の実施形態は、ウェーハ接地及びウェーハの接地位置の調整のための方法及びシステムを含む。例えば、ウェーハ接地システムが、接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で受信し得る。ウェーハ接地システムはまた、少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定し得る。ウェーハ接地システムは、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を更に制御し得る。別の例では、ウェーハ接地システムは、ウェーハと接地ピンとを引き離し得る。ウェーハ接地システムはまた、ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整し得る。ウェーハ接地システムは、接地ピンとウェーハとを更に再び付け得る。実施形態の詳細を以下のとおり記載する。
【0031】
[0055] 更に、特別な場合では、極めて複雑な構造体がウェーハ上に製造されることがあり、このことはウェーハ接地により多くの課題を生じ得る。例えば、いくつかのICは多数の層を備えるように製造され得る。このような多層構造体は、ウェーハの表面に通常の場合よりも高い張力を生じ得る。高い張力は、ウェーハにワープ(warp)又はボウ(bow)を生じさせることがあり、これにより、検査画像においてエラー(例えば、不明瞭さ)が生じ得る。このような複雑な構造体に起因してウェーハにワープ又はボウが生じることを避けるために、このような複雑なICを製造するためのいくつかのウェーハは、機械的強度を高めるために厚膜化裏面膜がコーティングされ得る。しかしながら、ウェーハにワープが生じるのを防ぐのに十分な厚さを有する厚膜化裏面膜は、電気ザッピング法も貫通法もウェーハ接地において成功裏に機能しない程に厚すぎることがある。
【0032】
[0056] 本開示の実施形態は、「ピン衝突」法を使用するウェーハ接地のための方法及びシステムを更に含む。ウェーハ接地システムは、部分的貫通又は完全貫通のいずれかで厚膜化裏面膜を貫通するように厚膜化裏面膜に衝突するように接地ピンを作動させ得る。衝突により厚膜化裏面膜を貫通した後、ウェーハ接地のために接地ピンとウェーハの導電面との間の電気的接続が確立され得る。
【0033】
[0057] 典型的には、基板は、静電ホルダ(又は「静電チャック」)によってステージ上に配置及び固定される。静電ホルダは少なくとも1つの電極を備えていてもよく、非導電性の誘電体材料が電極と基板との間に設けられていてもよい。例えば、電極は、ステージの上面の下に設けられ得る。クランプ電圧を印加されているとき、電極は、静電場を介してステージの上面に基板を引き付けて固定し得る。クランプ電圧がオフであるとき、電極は静電場を失い得、基板はステージから解放され得る。
【0034】
[0058] しかしながら、場合によっては、クランプ電圧がオフになった後に残留電荷が静電ホルダ上に生じることがあり、これにより残留クランプ力が生じ得る。残留クランプ力は、基板の解放を難しくすることがあり、場合によっては基板が全く解放されないことがある。このような「ウェーハスティッキング」問題は、機器の性能及び稼働率に影響を与え得る。残留電荷は、ある期間にわたって蓄積されることもあれば、クランプ電圧を印加したときに瞬時に形成されることもある。例えば、静電ホルダの通常動作中に、接地ピンが接地信号を供給するために基板に接触し得る。基板は、ある電位(例えば、30キロボルト)でバイアスされ得る。静電ホルダの電極には、この電位に対して浮いているクランプ電圧(例えば、+300ボルト又は-300ボルト)が供給され得る。クランプ電圧が(例えば、複数の基板の固定及び解放のために)周期的にオン及びオフされる場合、この電位とクランプ電圧との間の電圧差に起因して電荷が完全に中和されないため、残留電荷が、ある期間にわたって静電ホルダの表面に蓄積され得る。アーク放電が電極の回路に発生する場合にクランプ電圧が印加されると、残留電荷は瞬時に形成されることがあり、このとき、基板と電極との間の瞬時電圧差(例えば、10キロボルト)がクランプ電圧を著しく乱し得るが、電位は影響を受けない。このような瞬時電圧差によって、基板と電極との間に強い電場が瞬時に形成されることがあり、この電場が、静電ホルダの上面に対して基板の電荷を引き付けたり、跳ね返したりし得る。
【0035】
[0059] 残留クランプ力を抑制するために、いくつかの設計が使用され得る。場合によっては、ある期間にわたって蓄積された残留電荷を処理するために、第一設計が使用され得る。例えば、残留クランプ力が存在するとモニタリングされた場合に基板を上昇させるために使用され得るリフトピンが静電ホルダに設けられ得る。別の例として、残留クランプ力が所定の閾値を超えていると測定された場合に、静電ホルダの表面の残留電荷を中和する(例えば、イオンを発射する)ために使用され得るイオナイザが静電ホルダに設けられ得る。
【0036】
[0060] しかしながら、残留電荷が瞬時に形成される場合、初期残留力を測定できないため、第一設計が有効に機能しないことがある。そのような場合には、第二設計が使用され得る。例えば、リフトピンが基板を上昇させるために使用され得るように残留クランプ力が所定の閾値未満になったと測定されるまで、静電ホルダの表面の残留電荷を一時的に中和するために、また基板が解放された後に残留電荷を完全に中和するために、静電ホルダの放電電圧を制御し得る放電コントローラが静電ホルダに設けられ得る。それにも関わらず、静電ホルダの第二設計は、イオナイザではなく静電ホルダの放電能力に依拠し、これは、すべての残留電荷を中和するには効率が悪いことがある。
【0037】
[0061] 本開示の実施形態は、基板と静電ホルダとの間に瞬時に形成された電圧差に起因する残留電荷の形成を防止するための装置及びシステムを更に含み、本装置及びシステムは、静電ホルダの電極と基板との間に通信可能に結合された過電圧保護デバイスを備え得る。過電圧保護デバイスは、過電圧下では導電性になり、過電圧がなくなるとリセットされて非導電性になり得る。例えば、過電圧保護デバイスは、電極と基板との間の電圧差が閾値電圧未満である場合には導電性であり得る。電圧差が(例えば、電極の回路に生じるアーク放電によって)閾値電圧を超える場合、過電圧保護デバイスは、電極と基板との間の電圧差を抑制又は排除するように、電極と基板との間で電気を通すように導電性になり得る。電圧差が閾値電圧を再び下回ると、過電圧保護デバイスが再び非導通状態になり得る。そうすることにより、基板又は静電ホルダに残留電荷は瞬時に形成されなくなり得る。
【0038】
[0062] 場合によっては、基板と静電ホルダとの間における瞬時に形成される電圧差の1つの原因は、静電ホルダ付近で生じる放電であり得る。典型的には、静電ホルダは、ステージのハウジングの上面に配置され得る。静電ホルダ上に固定された基板をバイアスするために、ハウジングの上面が導電性とされ、バイアシングする高電位(例えば、-30キロボルト)を印加され得る。地面にハウジングの底面を接続するなどして、ハウジングは接地される。ハウジングの上面と底面とは、1つ又は複数のアイソレータによって絶縁され得る。例えば、アイソレータは、ハウジングの1つ又は複数の壁であり得る。
【0039】
[0063] 既存のウェーハ接地システムの1つの課題は、システムの高電圧部分(例えば、ハウジングの上面)と接地部分(例えば、ハウジングの底面)との間のアイソレータが不要な放電をしがちであり得ることである。高電圧部分とアイソレータとの間の電場が過度に強い場合、両者の間で電荷の電界放出が始まり得、これにより高電圧部分の表面から電子が脱落し得る。これらの電界放出電子が十分な着地エネルギーを有して、アイソレータの表面に付着した気体分子を解放する場合、アバランシェ効果がトリガされ得、最終的には高電圧部分とアイソレータとの間に絶縁破壊がもたらされ得る。例えば、アーク放電が生じることがあり、これは、高電圧部分付近で大量の電荷を放出し得る。このような放電は、静電ホルダのクランプ電圧を(例えば、基板と静電ホルダとの間に電圧差を瞬時に形成させることにより)乱し、静電ホルダに残留電荷を形成させることがあり、これにより本明細書に記載されているウェーハスティッキング問題が引き起こされ得る。更に、このような放電は、環境から望ましくない粒子(例えば、粉塵)を引き付けることがあり、これはウェーハ接地システムに対する潜在的な害をもたらし得る。
【0040】
[0064] ウェーハ接地システムの通常動作の際には、システムの高電圧部分の電圧が安定しているため、電界放出は発生しない。しかしながら、高電圧がスイッチをオン及びオフされると(例えば、基板の交換又は保守点検のため)、アイソレータの表面電圧は、高電圧のランプアップ又はランプダウンに容量的に反応し得る(例えば、アイソレータと高電圧部分とが実効キャパシタの2つの端子となる)。このような場合、高電圧部分とアイソレータとの間の電場が電界放出を引き起こし、最終的には不要な放電を引き起こすように十分に強くなり得る。
【0041】
[0065] 不要な放電を防ぐために、既存のウェーハ接地システムは、高電圧のランプアップ又はランプダウンを低速で行わなければならないことがある。それにも関わらず、そのような低速のランピング速度は、特にマルチビーム検査システムにおけるウェーハ検査のスループットを抑制し得る。
【0042】
[0066] 本開示の実施形態は、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための装置及びシステムを更に含む。例えば、そのような装置は、装置の高電圧部分と装置の接地部分との間に配置されたアイソレータを備え得る。本装置はまた、高電圧部分に電気的に結合された第一電極と、接地部分に電気的に結合され、第一電極に導通していない第二電極とを備え得る。本装置は、アイソレータの上で第一電極及び第二電極を覆う誘電体層を更に備え得る。そうすることにより、強い電場は、第一電極及び第二電極の端部付近と、アイソレータの表面付近とに形成されるように閉じ込められ得る。また、第一電極と第二電極とは、それらの間に滑らかに弱まる電場を形成し得、これにより、高い電場強度に対応する電場の勾配の急激な変化を避けることができる。更に、第一電極及び第二電極を覆うことにより、周囲の環境がそれらの間の電場に対する影響を弱め得る。また、第一電極と第二電極との間で電場が非常に強くなったとしても、第一電極及び第二電極は誘電体層及びアイソレータによって覆われているため、電界放出は発生することができない。まとめると、提供される装置及びシステムは、不要な放電を引き起こすことなく高電圧の迅速なランピング、ウェーハスティッキングの問題の可能性の低下、ウェーハ検査のスループットの大幅な向上、不要な放電に起因する環境への害の抑制をもたらし得る。
【0043】
[0067] 図面内の構成要素の相対的な寸法は、明確にするために誇張されている場合がある。下記の図面の説明では、同一又は類似の参照番号は同一又は類似の構成要素又はエンティティを指し、個々の実施形態に関する相違のみを説明する。
【0044】
[0068] 本明細書で使用される場合、特に別段の記載のない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、すべての可能な組み合わせを包含する。例えば、構成要素がA又はBを含み得ると記載されている場合、特に別段の記載のない限り、又は実行不可能でない限り、構成要素は、A、又はB、又はA及びBを含み得る。別の例として、構成要素がA、B、又はCを含み得ると記載されている場合、特に別段の記載のない限り、又は実行不可能でない限り、構成要素は、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含み得る。
【0045】
[0069] 図1は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示す。EBIシステム100は、イメージングに使用され得る。図1に示すように、EBIシステム100は、メインチャンバ101と、ロードロックチャンバ102と、ビームツール104と、機器フロントエンドモジュール(EFEM)106とを備える。ビームツール104は、メインチャンバ101内に配置される。EFEM106は、第一ローディングポート106aと第二ローディングポート106bとを備える。EFEM106は、追加のローディングポート(複数可)を備えてもよい。第一ローディングポート106a及び第二ローディングポート106bは、ウェーハ(例えば、半導体ウェーハ又は他の材料(複数可)で作られたウェーハ)又は検査すべきサンプル(ウェーハとサンプルとは同義で使用され得る)を収容する、ウェーハ用正面開口式一体型ポッド(wafer front opening unified pod、FOUP)を受け入れる。「ロット」は、バッチとしての処理のためにロードされ得る複数のウェーハである。
【0046】
[0070] EFEM106の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、ロードロックチャンバ102にウェーハを移送し得る。ロードロックチャンバ102は、大気圧よりも低い第一圧力に達するようにロードロックチャンバ102内の気体分子を除去するロードロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第一圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、ロードロックチャンバ102からメインチャンバ101にウェーハを移送し得る。メインチャンバ101は、第一圧力よりも低い第二圧力に達するようにメインチャンバ101内の気体分子を除去するメインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。第二圧力に達した後、ウェーハはビームツール104による検査を受ける。ビームツール104は、単一ビームシステムであってもマルチビームシステムであってもよい。
【0047】
[0071] ビームツール104には、コントローラ109が電子的に接続される。コントローラ109は、EBIシステム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。図1では、コントローラ109は、メインチャンバ101、ロードロックチャンバ102、及びEFEM106を備える構造体の外側にあるものとして示されているが、コントローラ109は構造体の一部であってもよいことを理解されたい。
【0048】
[0072] いくつかの実施形態では、コントローラ109は、1つ又は複数のプロセッサ(図示せず)を備え得る。プロセッサは、情報を操作又は処理することができる汎用又は専用の電子デバイスであり得る。例えば、プロセッサは、中央処理装置(又は「CPU」)、グラフィック処理装置(又は「GPU」)、光学プロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、知的財産(IP)コア、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、プログラマブルアレイロジック(PAL)、ジェネリックアレイロジック(GAL)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びデータ処理することができる任意のタイプの回路の任意の数の任意の組み合わせを含み得る。プロセッサはまた、ネットワークを介して結合された複数のマシン又はデバイスにわたって分散された1つ又は複数のプロセッサを含む仮想プロセッサであってもよい。
【0049】
[0073] いくつかの実施形態では、コントローラ109は、1つ又は複数のメモリ(図示せず)を更に備え得る。メモリは、(例えば、バスを介して)プロセッサによってアクセス可能であるコード及びデータを記憶することができる汎用又は専用の電子デバイスであり得る。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気ディスク、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、セキュリティデジタル(SD)カード、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(CF)カード、又は任意のタイプのストレージデバイスの任意の数の任意の組み合わせを含み得る。コードは、オペレーティングシステム(OS)と、特定のタスクのための1つ又は複数のアプリケーションプログラム(又は「アプリ」)とを含み得る。メモリはまた、ネットワークを介して結合された複数のマシン又はデバイスにわたって分散された1つ又は複数のメモリを含む仮想メモリであってもよい。
【0050】
[0074] 図2は、本開示の実施形態による、例示的なイメージングシステム200を示す。図2の電子ビームツール104は、EBIシステム100における使用のために構成され得る。電子ビームツール104は、単一ビーム装置であってもマルチビーム装置であってもよい。図2に示すように、電子ビームツール104は、電動サンプルステージ201と、検査すべきウェーハ203を保持するように電動サンプルステージ201によって支持されたウェーハホルダ202とを備える。電子ビームツール104は、対物レンズアセンブリ204と、(電子センサ面206a及び206bを備える)電子検出器206と、対物開口208と、コンデンサレンズ210と、ビーム制限開口212と、銃開口214と、アノード216と、カソード218とを更に備える。対物レンズアセンブリ204は、いくつかの実施形態では、ポールピース204aと、制御電極204bと、偏向器204cと、励磁コイル204dとを備える改良型はねのけ式液浸系位相差用対物レンズ(swing objective retarding immersion lens、SORIL)を含み得る。追加的に、電子ビームツール104は、ウェーハ203上の材料の特性を評価するためのエネルギー分散X線スペクトロメータ(Energy Dispersive X-ray Spectrometer、EDS)検出器(図示せず)を備え得る。
【0051】
[0075] アノード216とカソード218との間に加速電圧を印加することによって、カソード218から一次電子ビーム220が放出される。一次電子ビーム220は、銃開口214及びビーム制限開口212を通過する。銃開口214及びビーム制限開口212の双方が、ビーム制限開口212の下にあるコンデンサレンズ210に入射する電子ビームのサイズを決定し得る。コンデンサレンズ210が一次電子ビーム220を集束させた後、ビームは、対物レンズアセンブリ204に入射する前に、電子ビームのサイズを設定するための対物開口208に入射する。偏向器204cは、ウェーハ上でのビームスキャンを容易にするように一次電子ビーム220を偏向させる。例えば、スキャンプロセスにおいて、偏向器204cは、ウェーハ203の異なる部分について、画像再構築のためのデータを提供するために、ウェーハ203の上面の異なる位置上に異なる時点で一次電子ビーム220を順次偏向させるように制御され得る。更に、偏向器204cはまた、特定の位置におけるウェーハ構造体の立体画像再構築のためのデータを提供するために、特定の位置においてウェーハ203の異なる側上に異なる時点で一次電子ビーム220を偏向させるように制御され得る。更に、いくつかの実施形態では、アノード216及びカソード218は複数の一次電子ビーム220を発生させることができ、電子ビームツール104は、ウェーハ203の異なる部分の画像再構築のためのデータを提供するために、複数の一次電子ビーム220をウェーハの異なる部分/異なる側に同時に投影する複数の偏向器204cを備え得る。
【0052】
[0076] 励起コイル204d及びポールピース204aは、ポールピース204aの一端で開始してポールピース204aの他端で終了する磁場を発生させる。一次電子ビーム220によってスキャンされるウェーハ203の部分は、この磁場に浸され得、帯電されて電場を発生し得る。電場によって、ウェーハの表面付近において、入射する一次電子ビーム220はウェーハ203と衝突する前にエネルギーが低減される。ポールピース204aから電気的に絶縁された制御電極204bは、ウェーハ203のマイクロアーチングを防止すると共に適正なビームフォーカスを確保するようにウェーハ203上の電場を制御する。
【0053】
[0077] 一次電子ビーム220を受けると、ウェーハ203の一部分から二次電子ビーム222が放出され得る。二次電子ビーム222は、電子検出器206のセンサ面上206a及び206b上にビームスポットを形成し得る。電子検出器206は、ビームスポットの強度を表す信号(例えば、電圧、電流など)を発生させ、この信号を画像処理システム250に供給し得る。二次電子ビーム222及び結果として生じるビームスポットの強度は、ウェーハ203の外部又は内部構造に応じて変わり得る。更に、上で論じたように、一次電子ビーム220をウェーハの上面の異なる位置上、又は特定の位置においてウェーハの異なる側上に投射させて、異なる強度の二次電子ビーム222(及び結果として生じるビームスポット)を発生させ得る。したがって、ウェーハ203の位置に対してビームスポットの強度をマッピングすることにより、処理システムは、ウェーハ203の内部又は外部構造を反映した画像を再構築し得る。
【0054】
[0078] イメージングシステム200は、電動サンプルステージ201上のウェーハ203を検査するために使用され得、上で論じた電子ビームツール104を備える。イメージングシステム200はまた、画像取得装置260と、ストレージ270と、コントローラ109とを備える画像処理システム250を備え得る。画像取得装置260は、1つ又は複数のプロセッサを備え得る。例えば、画像取得装置260は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得装置260は、導電体、光ファイバケーブル、ポータブルストレージメディア、IR、Bluetooth、インターネット、無線ネットワーク、無線通信機、又はそれらの組み合わせなどの媒体を介して、電子ビームツール104の検出器206と接続され得る。画像取得装置260は、検出器206からの信号を受信し得、画像を構築し得る。よって、画像取得装置260は、ウェーハ203の画像を取得し得る。画像取得装置260はまた、等高線の生成、取得した画像への指標の重ね合わせなど、様々な後処理機能を実行し得る。画像取得装置260は、取得した画像の輝度及びコントラストなどの調整を実行し得る。ストレージ270は、ハードディスク、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどのストレージ媒体であり得る。ストレージ270は、画像取得装置260と結合され得、スキャンされた生の画像データを原画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用され得る。画像取得装置260及びストレージ270は、コントローラ109に接続され得る。いくつかの実施形態では、画像取得装置260、ストレージ270、及びコントローラ109は、1つの制御ユニットとして一緒に一体化され得る。
【0055】
[0079] いくつかの実施形態では、画像取得装置260は、検出器206から受信したイメージング信号に基づいて、サンプルの1つ又は複数の画像を取得し得る。イメージング信号は、荷電粒子イメージングを行うためのスキャン動作に対応し得る。取得された画像は、複数のイメージング領域を含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージ270に記憶され得る。単一の画像は、複数の領域に分割され得る原画像であり得る。領域のそれぞれは、ウェーハ203の特徴を含む1つのイメージング領域を含み得る。
【0056】
[0080] ウェーハ接地は、ウェーハ203が電気的に中性になるようにウェーハ203からウェーハホルダ202に電荷を伝導することにより実施され得る。ウェーハ接地を実行するために貫通法又は電気s法が使用され得る。これらの方法では、ウェーハは、その裏面をウェーハステージによって支持された状態で、ウェーハステージ上に配置され得る。ウェーハ基板の裏面の表面には、(例えば、保護コーティングとして機能する)裏面膜が存在し得る。裏面膜は非導電性であり得る。導電性材料(例えば、金属)で作られた2つ以上の接地ピンが、裏面膜を完全に穿孔することなく裏面膜に押し当てられ得る。
【0057】
[0081] 電気ザッピング法では、電気信号は、第一接地ピンから第一絶縁破壊を介して裏面膜を通ってウェーハに入り、ウェーハから第二絶縁破壊を介して裏面膜を通って第二接地ピンに出得る。絶縁破壊により、「バイアス経路」と呼ばれ得る、裏面膜を通る安定な電気経路(例えば、直流(DC)経路)が形成され得る。バイアス経路は、実効抵抗を有し得る。例えば、裏面膜の抵抗は、実効抵抗に寄与し得る。
【0058】
[0082] 電気ザッピングの際に、第一接地ピンと第二接地ピンとの間の実効抵抗を測定するためにセンサが使用され得る。ウェーハ接地システムに結合されたコントローラが、閾値条件が満たされているか否か(例えば、実効抵抗が所定の抵抗以下であるか否か)を決定し得る。閾値条件が満たされている場合、コントローラは、電気信号発生器に接地信号の発生を停止させ得る。閾値条件が満たされていない場合、コントローラは、電気信号発生器に接地信号の発生を所定の持続時間(例えば、数ミリ秒から数十ミリ秒)だけ継続させ得る。このような実効抵抗と所定の抵抗との比較のそれぞれが、ウェーハ接地の「サイクル」と呼ばれ得る。一般に、閾値条件が満たされるまでには数サイクルかかり得る。
【0059】
[0083] バイアス経路の実効抵抗が所定の抵抗以下である場合、ウェーハ接地は完了され得る。次いで、コントローラは、電気信号発生器から接地ピンを電気的に切り離し、ウェーハバイアス供給源にこれらの接地ピンを電気的に接続し得る。ウェーハバイアス供給源は、ウェーハバイアシングのために、バイアス経路を通してウェーハ基板に低電圧の電気信号を供給し得る。
【0060】
[0084] 電気ザッピング法の課題は、ウェーハ接地を完了する前に、コントローラが、電気信号発生器に同じ振幅、同じ周波数、又は同じ所定の持続時間などの同じ接地信号を発生させ続け得ることである。そのような電気信号はウェーハ接地には最適化されていない場合がある。例えば、絶縁破壊を引き起こすためには、振幅が必要以上に大きくなることもあれば、周波数が必要以上に高くなることもあれば、持続時間が必要以上に長くなることもある。最適化されていない電気信号は、裏面膜の粒子にエネルギーを与え、裏側の表面からこれらの裏面膜の粒子を解放し得る。粒子は、ウェーハ及びウェーハステージを囲む真空チャンバに入ることがあり、そうすると汚染が生じてメンテナンスコストを押し上げ得る。また、最適化されていない電気信号は、接地ピンの寿命を縮めることがあり、これもメンテナンスコストを押し上げ得る。
【0061】
[0085] 電気ザッピング法の別の課題は、接地信号が異なるタイプのウェーハに対して調整可能ではない場合があることである。接地信号は、所定の信号プロファイル(例えば、方形波)を有し得る。所定の信号プロファイルは、印加される所定の振幅、所定の周波数、又は所定の持続時間を有し得る。このような所定の信号プロファイルの特性は、調整可能ではない場合がある。しかしながら、メーカが違えば、異なるタイプのウェーハが製造され得、ウェーハのタイプが異なれば、裏面膜のタイプも異なり得る。例えば、異なるタイプの裏面膜は、酸化物、窒化珪素、又は他の材料などの異なる材料の裏面膜であり得る。別の例としては、異なるタイプの裏面膜は、異なる厚さ、硬度、又は伝導度(例えば、絶縁性であること、又は高抵抗であること)を有し得る。最適化された電気信号は、ウェーハのタイプごとに特性が異なり得る。調整可能ではない信号プロファイルでは、接地のための電気信号の信号プロファイルが、ウェーハのタイプごとに最適化して設定される可能性は低いため、上述のような課題が生じる。
【0062】
[0086] 電気ザッピング法の更なる別の課題は、接地信号の信号プロファイルが典型的には方形波などのパルスであることである。試験の結果、パルス信号によって、より多くの裏面膜の粒子が真空チャンバ内に解放され得ることがわかっている。
【0063】
[0087] 電気ザッピング法のまた別の課題は、裏面膜における接地ピンの接触位置(「接地位置」)が典型的には固定されることである。接地ピンがウェーハに押し当てられるとき、接触不良又は他の理由に起因してウェーハが接地されない場合がある可能性がある。しかしながら、ウェーハステージにはウェーハの位置を調整する機構がないことがあるため、接地位置を調整することは難しい場合がある。ウェーハを成功裏に接地させる確率を高めるために、既存のシステムは、裏面膜に押し当てるために複数の(例えば2つ以上の)接地ピンを使用し得る。複数の接地ピンのうちのいずれか2つが電気経路を形成する場合、ウェーハ接地は、これらの2つの接地ピンを使用して完成され得る。それにも関わらず、接地ピンのいずれも電気経路を形成できない場合、ウェーハは接地されないことがあり、廃棄物として破棄されることがある。このことにより、製造の生産性及び効率が低下し得る。また、複数の接地ピンを使用することによりシステムの複雑さが増し得る。
【0064】
[0088] 図3は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地の例示的なシステム300の図である。システム300は、接地ピンの寿命の改善又は跳ね飛ばされる粒子の低減など、様々な利点を伴ってウェーハを接地するために使用され得る。図3では、システム300は、ウェーハを保持するためのサブシステム302と、電気信号発生器314と、センサ316と、コントローラ322と、制御パラメータ最適化器324とを少なくとも備える。
【0065】
[0089] サブシステム302は、静電ホルダ306とウェーハ304とを備える。いくつかの実施形態では、ウェーハ304は図2のウェーハ203であってもよく、静電ホルダ306は図2のウェーハホルダ202であってもよい。ウェーハ304は裏面膜308を備える。裏面膜308は非導電性であり得る。静電ホルダ306は、少なくとも1つの電極310を備え得る。電極310は、電気を流すと、静電場を介して静電ホルダ306にウェーハ304を引き付けて固定し得る。サブシステム302は、少なくとも1つの接地ピン(又は「プローブ」)312を更に備える。接地ピン312は、電気信号発生器314とウェーハ304との間に電気的に接続され得る。いくつかの実施形態では、接地ピン312は、裏面膜308を完全に貫通することなしに、裏面膜308に押し当てられ得る。接地ピン312は、電気信号発生器314とセンサ316とに電気的に接続され得る。
【0066】
[0090] 電気信号発生器314は、ウェーハ304を接地するための接地信号を発生させ得る。いくつかの実施形態では、電気信号発生器314はドライバである。接地信号は、接地ピン312とウェーハ304との間で裏面膜308を通る絶縁破壊を引き起こすための高い電圧を有し得る。センサ316は、絶縁破壊に関連する電気的特性320を検出又は測定するために使用され得る。例えば、電気的特性320は、インピーダンス、抵抗、容量性リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス、又は容量性サセプタンスのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、電気的特性320は、接地ピンとウェーハとを含む電気経路に関連し得る。例えば、サブシステム302は、単一の接地ピン312を備える単一ピンシステムであってもよい。単一ピンシステムでは、センサ316は、ウェーハ304に電気的に接続され得、接地ピン312とウェーハ304との間で裏面膜308を通る絶縁破壊の電気的特性320を測定し得る。
【0067】
[0091] 別の例としては、サブシステム302は、複数の接地ピン312を備えるマルチピンシステムであり得る。図4は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なマルチピンウェーハ接地システム400の図である。システム400は、ウェーハ304と、静電ホルダ306と、裏面膜308と、電極310と、複数の接地ピン312とを備える。いくつかの実施形態では、サブシステム302が、システム400で置き換えられ得る。マルチピンシステムでは、例えば、電気信号発生器314が第一接地ピンと電気的に接続され得、センサ316が第二接地ピンと電気的に接続され得る。接地信号は、第一接地ピンを通ってウェーハ304に入り、第二接地ピンを通って出得る。図3のセンサ316は、第一絶縁破壊及び第二絶縁破壊の電気的特性320を測定し得、第一絶縁破壊は、第一接地ピンとウェーハ304との間で裏面膜308を通り、第二絶縁破壊は、ウェーハ304と第二接地ピンとの間で裏面膜308を通る。いくつかの実施形態では、ウェーハステージ上でウェーハ304と導体(図3の静電ホルダ306又は電極310)との間に容量結合が形成され得る。例えば、ウェーハステージ上でウェーハと導体とがキャパシタを形成し得る。容量結合は、接地信号の電気経路(「帰路」)として使用され得る。容量結合の電気的接続は、接地ピン312のうちの少なくとも1つを通って入る交流(AC)信号を用いて確認され得る。AC信号が流れて電流ループを形成すると、コントローラ322は、容量結合が確立されたと決定し得る。いくつかの実施形態では、接地ピン312とウェーハ304との間の電気的接続の品質は、AC信号を測定することにより検証され得る。
【0068】
[0092] 再び図3を参照すると、コントローラ322は、電気信号発生器314に電気的に接続され得、接地信号及びAC信号を発生させるように電気信号発生器314を制御し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ322は、図1及び図2のコントローラ109の一部分として実施され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ322は、ソフトウェアモジュール又はハードウェアモジュールなど、コントローラ109とは独立なコントローラとして実施され得る。接地信号及びAC信号の特性は、コントローラ322によって出力される制御パラメータによって制御され得る。接地信号及びAC信号の特性は、電圧、電流、電圧若しくは電流のプロファイル、プロファイルの周波数、プロファイルの周期、プロファイルの位相、プロファイルの振幅、又は電圧若しくは電流の持続時間のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、接地信号のプロファイルは、正弦波形状であり得る。方形波信号と比較して、正弦波信号(例えば、正弦波高電圧信号)は、エネルギーを与えられて裏面膜308の表面から解放された跳ね飛ばされる粒子の数を大幅に低減し得る。絶縁破壊を生じるのに必要最小限の電圧又は持続時間で接地信号を発生させるなど、接地信号及びAC信号の特性を制御することにより、接地プロセスの性能が最適化され得る。ウェーハ304のタイプに応じて、コントローラ322によって出力される制御パラメータは異なり得る。したがって、接地信号及びAC信号が調整可能であり得、接地ピン312の寿命が改善され得る。
【0069】
[0093] 制御パラメータ最適化器324は、コントローラ322のための制御パラメータを最適化し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ322は、少なくとも電気的特性320を用いてリアルタイム制御パラメータ326を生成し得る。例えば、コントローラ322は、電気的特性320の値と電気的特性320の目標値328とを受信し、リアルタイム制御パラメータ326を生成し得る。いくつかの実施形態では、目標値328は、データベース(例えば、コントローラ322によってアクセス可能なメモリ)に記憶され得、コントローラ322は、要求に応じてデータベースから目標値328を取得し得る。目標値328は、電気的特性320と同じタイプの値であってもよく、接地状態を示すように予め定められていてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ322がリアルタイム制御パラメータ326を決定する前に、電気的特性320の値が目標値328と比較され得る。例えば、電気的特性320が実効抵抗である場合、目標値328は実効抵抗の目標値であり得る。電気的特性320の値が実効抵抗の目標値以下である場合、コントローラ322は、絶縁破壊が発生してウェーハ304が接地されたと決定し得、接地信号の発生を停止するように電気信号発生器314を制御し得る。電気的特性320の値が実効抵抗の目標値以上である場合、コントローラ322は、絶縁破壊が発生していないと決定し、制御パラメータ最適化器324によって最適化されるリアルタイム制御パラメータ326を生成し得る。制御パラメータ最適化器324は、リアルタイム制御パラメータ326を最適化し、最適化された制御パラメータ330をコントローラ322に出力し得る。コントローラ322は、意図した特性を有する接地信号を発生させるように電気信号発生器314を制御するために、最適化された制御パラメータ330を使用し得る。
【0070】
[0094] 制御パラメータ最適化器324は、様々な入力に基づいてリアルタイム制御パラメータ326を最適化し得る。入力は、初期パラメータ326と、電気的特性320の値と、目標値328と、ウェーハタイプ332とを少なくとも含み得る。いくつかの実施形態では、ウェーハタイプ332は、目標値328を記憶する同じデータベースなどのデータベースに記憶され得る。いくつかの実施形態では、制御パラメータ最適化器324は、リアルタイム制御パラメータ326を最適化するための他の入力データを含み得る。ウェーハタイプ332は、ウェーハ304のタイプを示し得る。例えば、ウェーハタイプ332は、裏面膜308の材料のタイプ、厚さ、硬度若しくは伝導度、又はウェーハ304の電気的特性などを示し得る。いくつかの実施形態では、制御パラメータ最適化器324は、電気的特性320の値、リアルタイム制御パラメータ326、目標値328、及びウェーハタイプ332を入力として用いて、最適化されたパラメータ330を決定するために機械学習技法を用い得る。機械学習技法は、例えば、ニューラルネットワークを含み得る。機械学習技法は、教師なしの学習モデルであっても教師あり学習モデルであってもよい。
【0071】
[0095] いくつかの実施形態では、機械学習技法は、教師あり学習モデルであり得、様々なウェーハタイプ332、電気的特性320の測定値、及び電気的特性320の目標値328の条件下でリアルタイム制御パラメータを最適化するように訓練され得る。いくつかの実施形態では、教師あり学習モデルを訓練するために、様々なウェーハタイプ332、電気的特性320の測定値、及び電気的特性320の目標値328に対応する既知のパラメータ(例えば、機械学習技法を使用せずにチューニングされたパラメータ)の情報が、真の分類又は正確な分類を示すラベル(「接地の真実性ラベル」)として使用され得る。例えば、そのような情報は、ログファイルとしてデータベースに記憶され得る。訓練の際には、初期制御パラメータが生成されて教師あり学習モデルに供給され得る。教師あり学習モデルの出力は、接地の真実性ラベルと比較され得る。異なっている場合は、教師あり学習モデルのパラメータが更新され得る。このような比較の正答率が所定の水準(例えば、95%)を超えた場合、教師あり学習モデルが訓練されたと決定され得る。
【0072】
[0096] 訓練された教師あり学習モデルは、様々なウェーハタイプ332、電気的特性320の測定値、及び電気的特性320の目標値328に基づいて最適化された制御パラメータ330を決定するために使用され得る。例えば、ウェーハ接地の第一サイクルでは、コントローラ322は、意図された電圧の周波数又は意図された電圧の振幅など、意図された特性を有する正弦波の接地信号を生成するように電気信号発生器314を制御するために、最適化された制御パラメータ330を受信し得る。センサ316は、電気的特性320の第一値を測定し得る。コントローラ322は、電気的特性320の第一値を受信し、データベースから目標値328を取得し得る。電気的特性320の第一値が目標値328よりも高いという比較結果に基づいて、コントローラ322はリアルタイム制御パラメータ326を生成し得る。制御パラメータ最適化器324は、リアルタイム制御パラメータ326及び電気的特性320の第一値を受信し、データベースから目標値328及びウェーハタイプ332を更に取得し得る。それらを訓練された教師あり学習モデルに入力することにより、制御パラメータ最適化器324は、最適化された制御パラメータ330を出力し得る。コントローラ322は、ウェーハ接地の第二サイクルで接地信号の特性を変えるように電気信号発生器314するために、最適化された制御パラメータ330を受信し得る。
【0073】
[0097] いくつかの実施形態では、ウェーハ接地の異なるサイクルにおいて最適化された制御パラメータ330は異なり得る。例えば、最適化された制御パラメータ330は、センサ316によって測定された電気的特性320の値に依存し得る。例えば、上述の例のウェーハ接地の第二サイクルでは、コントローラ322が接地信号の特性を変えるように電気信号発生器314を制御した後に、センサ316が電気的特性320の第二値を受信し得る。第二値は、ウェーハ接地の第一サイクルにおいてセンサ316によって測定された第一値よりは低いが、目標値328よりは依然として高く、このことは、絶縁破壊は完全には発生していないが、その発生の可能性が接地信号の制御された電圧によって高められたことを示し得る。この状況では、接地ピンの寿命を過剰に高い電圧から保護しながら、絶縁破壊の発生を確保する趣旨で、接地信号の電圧が降下され得る。制御パラメータ最適化器324は、ウェーハ接地の第三サイクルのための最適化された制御パラメータ330を決定するために第二値を入力し得、このことは、ウェーハ接地の第二サイクルのときよりも接地信号の電圧の振幅を下げるように電気信号発生器314を制御するようにコントローラ322に示し得る。
【0074】
[0098] 接地プロセスの各サイクルにおいて、最適化されたパラメータは異なり得る。最適化された接地電圧プロファイルにより、接地ピンの寿命が大幅に改善されることが期待される。
【0075】
[0099] いくつかの実施形態では、最適化された制御パラメータ330は、ウェーハタイプ332に応じて異なり得る。例えば、ウェーハ304を検査した後、新しいタイプの裏面膜を有する新しいウェーハが静電ホルダ306上に配置され得る。新しいタイプの裏面膜は、裏面膜308とは異なる電気的特性を有し得る。この状況では、制御パラメータ最適化器324は、データベースから対応するウェーハタイプを取得し、新しいウェーハに対応するリアルタイム制御パラメータを最適化し得る。
【0076】
[0100] いくつかの実施形態では、制御パラメータ最適化器324は、コントローラ322によってアクセス可能なメモリに記憶されたアプリケーションプログラム又はコードなど、コントローラ322によってアクセス可能及び実行可能なソフトウェアモジュールとして実施され得る。いくつかの実施形態では、制御パラメータ最適化器324は、実行可能なプログラムコードを記憶するハードウェアモジュールとして実施され得、ハードウェアモジュールは、データの入出力のためにコントローラ322と通信し得る。例えば、ハードウェアモジュールは、FPGA又はASICであり得る。
【0077】
[0101] 図5は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的な方法500を示すフローチャートである。方法500は、荷電粒子ビーム装置(例えば、EBIシステム100)と結合され得るコントローラによって実行され得る。例えば、コントローラは、図2のコントローラ109又は図3のコントローラ322であってもよい。コントローラは、方法500を実施するようにプログラムされ得る。
【0078】
[0102] ステップ502において、コントローラは、接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で受信する。いくつかの実施形態では、電気的特性は、図3の電気的特性320であってもよい。例えば、電気的特性は、インピーダンス、抵抗、容量性リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス、又は容量性サセプタンスのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0079】
[0103] 電気的特性の第一値は、ウェーハ接地の第一サイクルにおける電気的特性320の第一値であってもよい。ウェーハは、図3のウェーハ304であってもよい。電気信号は、図3の電気信号発生器314によって発生された接地信号であってもよい。いくつかの実施形態では、センサ(例えば、図3のセンサ316)が、電気的特性を測定した後に第一値を生成し得る。コントローラは、センサから第一値を受信し得る。
【0080】
[0104] いくつかの実施形態では、センサは、ウェーハを出る電気信号を伝導する電気経路の一部分(「フィードバック部分」)に配置され得る。いくつかの実施形態では、電気的特性は、ウェーハと、ウェーハを支持するウェーハマウントとを含む電気経路に関連し得る。いくつかの実施形態では、電気的特性は、ウェーハと、ウェーハを支持するウェーハマウントと、接地ピンとを含む電気経路に関連する。例えば、ウェーハマウントは、図3の静電ホルダであってもよい。
【0081】
[0105] いくつかの実施形態では、電気的特性は、ウェーハとウェーハマウントとの間の抵抗、又はウェーハとウェーハマウントとの間の容量性リアクタンスのうちの一方を含み得る。例えば、単一ピンシステムでは、接地信号は、接地ピン312を通ってウェーハ304に入り、ウェーハ304からウェーハ304と静電ホルダ306との間にある容量結合を介して出得る。この例では、電気経路は、例えば、接地ピン312と、裏面膜308と、ウェーハ304との間の電気的特性を含み得る。電気的特性は、ウェーハ304と静電ホルダ306との間に容量結合の容量性リアクタンスを含み得る。別の例では、マルチピンシステムにおいて、接地信号は、第一接地ピンを通ってウェーハ304に入り、第二接地ピンを通って出得る。電気経路は、例えば、第一接地ピン312と、裏面膜308と、ウェーハ304と、第二接地ピンとの間の電気的特性を含み得る。この例では、電気的特性は、第一絶縁破壊及び第二絶縁破壊の実効抵抗などのウェーハとウェーハマウントとの間の抵抗を含み得、第一絶縁破壊は、第一接地ピンとウェーハ304との間で裏面膜308を通り、第二絶縁破壊は、ウェーハ304と第二接地ピンとの間で裏面膜308を通り得る。
【0082】
[0106] 本開示では、電気的特性のタイプは限定されず、また本開示では、本開示の範囲を外れることなしに、直流回路又は交流回路の電気的特性が使用され得ることに留意されたい。
【0083】
[0107] 再び図5を参照すると、ステップ504において、コントローラは、少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定する。例えば、第一制御パラメータは、図3に示すようなウェーハ接地の第一サイクルにおける最適化された制御パラメータ330であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、第一値と電気的特性の目標値との比較に基づいて、第一制御パラメータを決定し得る。例えば、電気的特性の目標値は、図3の目標値328であってもよい。いくつかの実施形態では、比較に基づいて第一制御パラメータを決定するために、コントローラは、第一値と目標値との間の差が閾値条件を満たすか否かを決定し得る。コントローラは、差が閾値条件を満たすという決定に基づいて、第一制御パラメータを更に決定し得る。いくつかの実施形態では、例えば、電気的特性が抵抗である場合、閾値条件は、第一値が目標値以下であることであり得る。電気的特性のタイプに応じて、第一値と目標値との間の閾値条件は、適宜変更され得、本明細に示す例に限定されるものではないことに留意されたい。
【0084】
[0108] いくつかの実施形態では、第一制御パラメータを決定するために、コントローラは、少なくとも第一値を用いて初期パラメータを決定し得る。例えば、初期パラメータは、図3のリアルタイム制御パラメータ326であってもよい。次いで、コントローラは、少なくとも初期パラメータ、第一値、目標値、及びウェーハのタイプに基づいて、第一制御パラメータを決定し得る。例えば、ウェーハのタイプは、図3のウェーハタイプ332であってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、図3の制御パラメータ最適化器324などの制御パラメータ最適化器を使用して第一制御パラメータを決定してもよい。
【0085】
[0109] いくつかの実施形態では、制御パラメータ最適化器は、第一制御パラメータを決定するために機械学習技法を使用し得る。例えば、機械学習技法への入力は、少なくとも初期パラメータ、第一値、目標値、及びウェーハのタイプを含み得る。例えば、図3に示すように、制御パラメータ最適化器324は、リアルタイム制御パラメータ326、電気的特性320の第一値、目標値328、及びウェーハタイプ332を入力としてもよい。制御パラメータ最適化器324の出力は、最適化された制御パラメータ330であってもよい。
【0086】
[0110] 再び図5を参照すると、ステップ506において、コントローラは、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御する。例えば、図3に示すように、コントローラ322は、最適化された制御パラメータ330を用いて電気信号発生器314によって発生された接地信号の特性と、電気的特性320の第一値とを制御し得る。いくつかの実施形態では、電気信号の特性は、電圧、電流、電圧若しくは電流のプロファイル、プロファイルの周波数、プロファイルの周期、プロファイルの位相、プロファイルの振幅、又は電圧若しくは電流の持続時間のうちの少なくとも1つを含む。
【0087】
[0111] いくつかの実施形態では、電気信号のプロファイルは、正弦波形状であり得る。方形波プロファイルと比較して、正弦波プロファイルを有する電気信号は、ウェーハ及びウェーハマウントを囲む真空チャンバ(例えば、図3のサブシステム302を囲む真空チャンバ)内に、ウェーハの裏面膜(例えば、裏面膜308)の粒子が跳ね飛ばされるのを低減し得る。
【0088】
[0112] いくつかの実施形態では、電気信号の特性を制御する場合、コントローラは、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性の値を変更し得る。例えば、コントローラは、接地信号の電圧の振幅、周波数、位相、又は持続時間を変更し得る。
【0089】
[0113] いくつかの実施形態では、同じタイプのウェーハに対する接地プロセス中に、ウェーハ接地のサイクル数が増加するにつれて、接地信号の電圧が降下し得る。例えば、ステップ506において、コントローラは、第一制御パラメータ及び第一値を用いて接地信号の電圧を降下させ得る。
【0090】
[0114] いくつかの実施形態では、ステップ502~506は、ウェーハ接地が完了するまで繰り返され得る。例えば、ウェーハ接地の第一サイクルでステップ506を実行した後、コントローラは電気的特性の第二値を受信し得る。コントローラは、少なくとも第二値を用いて第二制御パラメータを更に決定し得る。コントローラは、第二制御パラメータ及び第二値を用いて電気信号の特性を更に制御し得る。コントローラは、閾値条件が満たされるまで、方法500の実行を停止し得る。このことは、ステップ504に記載されている。いくつかの実施形態では、第二制御パラメータと第一制御パラメータとは異なる値を有し得る。これに対応して、第二制御パラメータの値と第一制御パラメータの値とは異なる値を有し得る。
【0091】
[0115] いくつかの実施形態では、ステップ502において記載されたようにウェーハ及びウェーハマウントを含む電気経路のインピーダンス(例えば、抵抗)は、所定の閾値以上であり得る。インピーダンスが所定の閾値以上である場合、コントローラは、電気経路が開いていると決定し得る。例えば、所定の閾値は、中でも、100,000オーム、200,000オーム、3000,000オーム、又は350,000オームの抵抗値を含み得る。所定の閾値は、ウェーハの接地要件を満たすために必要であり得る電流の予測される量に基づいて決定され得る。インピーダンスが所定の閾値以上である場合、コントローラがステップ506を実行した後、電気経路が開いている(例えば、ウェーハとウェーハマウントとの間に流れ得る電気信号はほとんど又はまったくない)と決定され得る。インピーダンスが所定の閾値以上である場合、コントローラは、少なくとも第一値を用いて第三制御パラメータを決定し得る。例えば、第一値は、電気経路が依然として開いている間にコントローラが電気信号を印加した後の電気経路に関連するデータであってもよい。第三制御パラメータと第一制御パラメータとは異なる値を有し得る。次いで、コントローラは、少なくとも第三制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御し得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、電気経路が閉じるまでこのような動作を繰り返し得る。
【0092】
[0116] いくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハ接地の異なるサイクルで、異なるタイプの制御パラメータを生成し、最適化し得る。例えば、上述の第二制御パラメータと第一制御パラメータとは異なるタイプの制御パラメータであり得る。例えば、第一制御パラメータは、コントローラが接地信号の振幅を制御するための1つ又は複数のパラメータであり得る一方、第二制御パラメータは、コントローラが接地信号の持続時間を制御するための1つ又は複数のパラメータであり得る。
【0093】
[0117] 図6は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地位置調整の例示的なシステム600の図である。システム600は、ウェーハを保持するためのサブシステム602と、ウェーハ接地サブシステム606と、ウェーハ接地位置調整サブシステム608とを少なくとも備える。サブシステム602は、図3のサブシステム302と類似していてもよく、ウェーハ304と、静電ホルダ306と、裏面膜308と、電極310と、接地ピン312と、ウェーハステージ604とを備える。いくつかの実施形態では、ウェーハステージ604は、図2の電動サンプルステージ201であってもよい。いくつかの実施形態では、サブシステム606は、ウェーハ304を接地するために使用されてもよく、図3のシステム300と同様であってもよいが、その詳細は以下では説明しない。いくつかの実施形態では、サブシステム608は、接地ピン312が裏面膜308に接触する位置(「接地位置」)を調整し得る。
【0094】
[0118] いくつかの実施形態では、ウェーハ304が静電ホルダ306の上に取り付けられ、接地ピン312が裏面膜308と接触する場合、サブシステム606は、図3図5に記載のプロセスを使用することなどによって、ウェーハ304が接地され得るか否かを試験し得る。接地が成功しない場合、サブシステム608は、そのように示された信号を受信し、接地位置を調整するための信号を発生させ得る。信号は、接地位置を変更するために、サブシステム602の1つ又は複数のアクチュエータを駆動し得る。接地位置が調整されると、サブシステム606は、ウェーハ304が接地され得るか否かの試験を続け得る。上述のプロセスは、ウェーハ304が成功裏に接地されるまで繰り返され得る。図6ではサブシステム602がマルチピンシステムとして示されているが、(例えば、図3のサブシステム302と同様の)単一ピンシステムであってもよく、ウェーハ接地位置調整が依然として動作し得ることに留意されたい。
【0095】
[0119] 図7は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地位置調整の例示的なシステム700の図である。いくつかの実施形態では、システム700は、サブシステム608の一実施形態であってもよい。システム700は、ウェーハを保持するためのサブシステム702と、コントローラ710と、センサ712と、目標調整値714とを少なくとも備える。センサ712は、ウェーハ304と接地ピン312との間の相対位置(例えば、回転位置又は並進位置)を測定し得る。いくつかの実施形態では、目標調整値714は、接地位置を目標位置に調整するためにサブシステム702のアクチュエータを制御するためにコントローラ710によって使用されるパラメータの値を含み得る。例えば、目標位置は、回転位置又は並進位置を含み得る。いくつかの実施形態では、目標調整値714は、データベース(例えば、図1のシステム100の1つ又は複数のメモリ)に記憶され得る。サブシステム702は、図3のサブシステム302又は図6のサブシステム602と類似していてもよく、ウェーハ304と、静電ホルダ306と、裏面膜308と、電極310と、接地ピン312と、ウェーハステージの上部704と、ウェーハステージの底部706と、リフタ708を含むアクチュエータとを備える。サブシステム702は、図7ではマルチピンシステムとして示されている。しかしながら、サブシステム702はまた、図3のサブシステム302などの単一ピンシステムであってもよい。アクチュエータは、電気式アクチュエータ、磁気式アクチュエータ、電磁式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、機械式アクチュエータ、又は任意の適切なタイプのアクチュエータを含み得る。いくつかの実施形態では、(上部704及び底部706を備える)ウェーハステージは、図2の電動サンプルステージ201であってもよい。
【0096】
[0120] コントローラ710は、センサ712に電気的に接続され、及びリフタ708と上部704に機械的に接続されたアクチュエータ(図示せず)とを含むアクチュエータに電気的に接続され得る。コントローラ710は、リフタ708、上部704、接地ピン312、又はウェーハ304を移動させるための他の機械的構成要素(例えば、ロボットアーム)など、サブシステム702の様々な部分を移動させるようにアクチュエータを制御し得る。例えば、コントローラ710と上部704との間の破線の矢印は、コントローラ710が、上部704を水平方向、垂直方向、又はその両方に移動させるようにアクチュエータ(図示せず)を制御し得ることを示し得る。コントローラ710とリフタ708との間の破線の矢印は、コントローラ710が、ウェーハ304を垂直方向に移動させるようにリフタ708を制御し得ることを示し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ710は、アクチュエータを制御するためのパラメータを取得するため、又はセンサ712から受信したデータを記憶するためにデータベースに更に接続し得る。例えば、コントローラ710は、目標調整値714を記憶するデータベースにアクセスし得る。いくつかの実施形態では、コントローラ710は、図1及び図2のコントローラ109の一部分として実施され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ710は、ソフトウェアモジュール又はハードウェアモジュールなど、コントローラ109とは独立なコントローラとして実施され得る。
【0097】
[0121] いくつかの実施形態では、底部706は静止状態にあり得、上部704は可動であり得る。例えば、上部704は、可動(例えば、垂直方向、水平方向、又はその両方に沿って)、又は水平方向に回転可能、又はその両方であり得る。いくつかの実施形態では、静電ホルダ306は、上部704に固定され得、また、上部704と共に可動であり得る。いくつかの実施形態では、上部704は、静電ホルダ306を介してウェーハ304を支持し、接地ピン312を固定し得る。例えば、接地ピンの端部が上部704に固定されてもよいし、また上部704と共に可動であってもよい。ウェーハ304が上部704に(例えば、静電ホルダ306に)載っている場合、接地ピン312がウェーハ304の底面(例えば、裏面膜308)に接触し得る。
【0098】
[0122] いくつかの実施形態では、アクチュエータは上部を移動させ得る。例えば、アクチュエータは、上部704を水平方向に、例えばあるアジマス角だけ回転させる回転機構(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータはリフタ708を含み得る。リフタの第一端が底部706に固定され得、リフタの第二端が垂直方向に可動であり得る。例えば、リフタの第一端は、底部706に(例えば、底部706にある孔を貫通することにより)水平方向に固定され、垂直方向に可動であってもよい。リフタの第二端は、電磁式アクチュエータ又は油圧式アクチュエータなどの移動機構によって上昇又は下降され得る。リフタの第二端は、そこにある孔又は溝を貫通することなどによって、上部704、静電ホルダ306、及び電極310を貫通し得る。リフタの第二端は、静電ホルダ306の上面を超えて移動し、ウェーハ304の底面に接触し得る。サブシステム702では、ある高さ(例えば、数ミリメートル)までリフタを上昇させることにより、ウェーハ304が静電ホルダ306の上面を離れて上昇され、接地ピン312から引き離され得る。
【0099】
[0123] いくつかの実施形態では、リフタ708は垂直方向及び水平方向に固定され得、上部704は垂直方向に可動であり得る。上部704が下降されると、接地ピン312及び静電ホルダ306も下降され得る。しかしながら、リフタ708がウェーハ304を支持し得、ウェーハ304が垂直方向に静止状態にあってもよい。上部704を下降させることにより、静電ホルダ306がウェーハ304の底面を離れて下降され得、接地ピン312が底面から引き離され得る。
【0100】
[0124] いくつかの実施形態では、接地位置を調整するために、以下の手順がシステム700によって実行され得る。図6のサブシステム606は、ウェーハ304が接地されていないと決定し、そのことを示す信号をコントローラ710に送信し得る。コントローラ710は、ウェーハ304に対する接地ピン312の現在の回転角度(例えば、アジマス角)を測定するようにセンサ712を制御し得る。コントローラ710は、目標調整値714(例えば、目標回転角度の値)を更に取得し得る。コントローラ710は、目標角度と現在の回転角度との間の角度差を測定することなどにより、目標角度と現在の回転角度とを比較し得る。次いで、コントローラ710は、接地位置を調整するためのアクチュエータに角度差を送信し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ710は、ソフトウェアモジュールなどのアクセス可能なメモリにコンピュータ可読命令を記憶し、上述の動作を実行するためにそのような命令を実行し得る。
【0101】
[0125] いくつかの実施形態では、接地位置を調整することは、接地ピン312とウェーハ304との間の相対回転角度(例えば、アジマス角)を変更することを含み得る。相対回転角度を変更することは、接地ピン312を回転運動において静止状態に維持したままウェーハ304の回転角度を変更すること、ウェーハ304を回転運動において静止状態に維持したまま接地ピン312の回転角度を変更すること、又は接地ピン312及びウェーハ304の回転角度を変更することのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0102】
[0126] 例えば、いくつかの実施形態では、リフタ708が底部706に水平方向に固定され、垂直方向に可動である場合、コントローラ710は、上部704を垂直方向に静止状態に維持することなどにより、ウェーハ304を上昇させるようにリフタ708を制御し得る。接地ピン312及び静電ホルダ306が上部704に固定されているため、ウェーハ304がリフタ708によって上昇されると、裏面膜308が接地ピン312及び静電ホルダ306の上面から引き離され得る。コントローラ710は、角度差に等しい角度だけ水平方向(例えば、アジマス方向)に回転するように上部704を更に制御し得る。回転の方向は、時計回り又は反時計回りのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、回転は、上部704の中心を中心とし得る。接地ピン312は上部704に固定されているため、接地ピン312はまた、上部704と共に角度差だけ回転され得る。コントローラ710は、底部706を回転運動において静止状態に、ひいてはウェーハ304も回転運動において静止状態にするように制御し得る。このような回転を行った後、コントローラ710は、接地ピン312が異なる位置で裏面膜308に再び付くとき、ウェーハ304が静電ホルダ306の上に載るまでウェーハ304を下降させるようにリフタ708を制御し得る。
【0103】
[0127] 別の例として、いくつかの実施形態では、リフタ708が底部706に水平方向及び垂直方向に固定されている場合、コントローラ710は、アクチュエータ(図示せず)を制御して上部704を下降させて、接地ピン312と裏面膜308とを引き離し得る。底部706に水平方向及び垂直方向に固定されたリフタ708はまた、「支持部」と呼ばれ得る。接地ピン312及び静電ホルダ306が上部704に固定されているため、上部704がアクチュエータによって下降されると、裏面膜308が接地ピン312及び静電ホルダ306の上面から引き離され得る。コントローラ710は、角度差に等しい角度だけ水平方向(例えば、アジマス方向)に回転するように上部704を更に制御し得る。回転の方向は、時計回り又は反時計回りのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、回転は、上部704の中心を中心とし得る。接地ピン312は上部704に固定されているため、接地ピン312はまた、上部704と共に角度差だけ回転され得る。コントローラ710は、底部706を回転運動において静止状態に、ひいてはウェーハ304も回転運動において静止状態にするように制御し得る。このような回転を行った後、コントローラ710は、接地ピン312が異なる位置で裏面膜308に再び付くとき、ウェーハ304が静電ホルダ306の上に載るまで上部704を上昇させるようにアクチュエータを制御し得る。
【0104】
[0128] 別の例として、いくつかの実施形態では、接地ピン312は、上部704に固定されず、独立したアクチュエータ(図示せず)に固定され得る。この例では、コントローラ710は、リフタ708を垂直方向に静止状態に維持することなどにより、上部704及びウェーハ304を垂直方向に静止状態に維持したまま、接地ピン312を下降させるようにアクチュエータを制御し得る。次いで、静電ホルダ306にウェーハ304を載せたまま、接地ピン312は裏面膜308から引き離され得る。コントローラ710は、角度差に等しい角度だけ水平方向(例えば、アジマス方向)に接地ピンを回転させるように独立したアクチュエータを更に制御し得る。回転の方向は、時計回り又は反時計回りのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、回転は、上部704の中心を中心とし得る。そのような回転を行った後、コントローラ710は、異なる位置で裏面膜308に再び付くまで接地ピン312を上昇させるようにアクチュエータを制御し得る。
【0105】
[0129] いくつかの実施形態では、コントローラ710は、接地ピン312とウェーハ304との間の並進位置を調整し得る。例えば、コントローラ710は、接地ピン312と裏面膜308とを引き離すように制御し、並進アクチュエータ(図示せず)を制御して、上部704、接地ピン312、又はウェーハ304のうちの少なくとも1つの所定の方向に沿って所定の距離だけ水平位置を調整した後、接地ピン312と裏面膜308とを異なる位置において再び付けることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ710は、接地ピン312と裏面膜308との間の並進位置及び回転位置の両方を調整し得る。
【0106】
[0130] コントローラ710が接地位置の調整を完了すると、サブシステム606は、ウェーハ304が接地し得るか否かを再度試験し得る。ウェーハ304が成功裏に接地され得る場合、調整プロセスは終了され得る。ウェーハ304が成功裏に接地され得ない場合、システム700は、もう一度調整を行うように再び機能し得る。このプロセスは、ウェーハ304が成功裏に接地されるまで繰り返され得る。いくつかの実施形態では、角度差は小さな値(例えば、1000分の1度、100分の1度、又は10分の1度)として予め定められていてもよく、システム700は、ウェーハ304を成功裏に接地する前に、実質的に任意の数の調整を行ってもよく、このことにより、ウェーハ304が無駄にならないことが確保され得る。
【0107】
[0131] 図8は、調整前及び調整後の例示的な接地位置の図である。図8は、図7のサブシステム702に設けられたウェーハ304の上面図である。図8では、サブシステム702は、2つの接地ピン312を備え得る。図7に関連して説明した例と同様に、ウェーハ304は回転運動において静止状態にあり得る。接地の回転を調整するために、ウェーハ304の上昇又は上部704の下降などにより、接地ピン312が裏面膜308から引き離され得る。図8に示すように、ウェーハ304が静止状態にあり、上部704が回転されるとき、上部704は角度差808だけ時計回り方向802に沿って回転され得る。そのような調整の前に、接地ピン312は、黒色の点で示されている第一接地位置804において裏面膜308に接触し得る。調整後、接地ピン312は、円で示されている接地位置806において裏面膜308に接触し得る。
【0108】
[0132] このような調整を行うことにより、ウェーハ304を破棄することなく、接地位置が容易に及び効率的に実行され得、ウェーハ304を接地する可能性を好都合にも高めることができ、よって、製造の生産性及び効率を向上させることができる。また、このような接地位置調整設計を用いることにより、接地ピンの数が削減され、これによりウェーハ接地システムの複雑さが低減され得る。更に、角度差の任意の値及び所定の距離の任意の値を設定することにより、接地位置は、必要に応じて任意の精度で任意の回数だけ調整され得る。
【0109】
[0133] 図7及び図8において、いくつかの実施形態では、接地ピン312が裏面膜308に再び付くときに、接地ピン312は、調整前とは異なる圧力で裏面膜308に押し当てられ得る。例えば、調整後、接地ピン312は、より高い圧力で裏面膜308に押し当てられて得る。より高い圧力では、たとえ角度差が0°であっても、接地ピン312が裏面膜308により深く貫通し得るため、状況によっては、ウェーハ接地サブシステム(例えば、ウェーハ接地サブシステム606)にウェーハ304を接地させることが可能になり得る。圧力を変えることにより、接地位置を調整するための別の独立した態様が提供され得る。位置調整及び圧力調整は、システム702によって単独でも組み合わせによっても使用され得る。
【0110】
[0134] 図9は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地位置調整の例示的なシステム900の図である。システム900は、ウェーハを保持するためのサブシステム602と、ウェーハ接地サブシステム606と、ウェーハ調整プラットフォーム902とを少なくとも備える。サブシステム602及び606については図6で説明しており、以下ではこれ以上説明しない。ウェーハ調整プラットフォーム902は、サブシステム608及び702とは異なり得るため、以下に詳述する。
【0111】
[0135] いくつかの実施形態では、ウェーハ調整プラットフォーム902は、ウェーハ304を回転運動又は並進運動させるためのプラットフォームであり得る。例えば、ウェーハ調整プラットフォーム902は、コントローラと、センサと、ウェーハ304を回転運動又は並進運動させるための少なくとも1つのアクチュエータとを備え得る。いくつかの実施形態では、ウェーハ調整プラットフォーム902は、サブシステム602とは独立な構成要素として実施され得る。例えば、ウェーハ調整プラットフォーム902は、サブシステム602と同じ真空チャンバ内の異なる位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、接地位置を調整するために、アンローディングアクチュエータ(例えば、ロボットアーム)が、静電ホルダ306からウェーハ調整プラットフォーム902上にウェーハ304を(例えば、吸い上げて上昇させることにより)アンロードし得る。ウェーハ調整プラットフォーム902は、ウェーハ304をある角度だけ(例えば、角度差だけ)回転させたり、ウェーハ304をある距離だけ並進移動させたりし得る。ウェーハ304を回転又は並進移動させた後、ローディングアクチュエータ(例えば、ロボットアーム)が、ウェーハ調整プラットフォーム902から再び静電ホルダ306にウェーハ304を(例えば、吸い上げて上昇させることにより)ロードし得、それによって、接地ピン312が異なる位置で裏面膜308に再び付き得る。システム900の設計を使用する1つの利点は、システム900の設計を使用することにより、既存のウェーハステージ(例えば、ウェーハステージ604)を置き換えることなく、又は既存のウェーハステージを(例えば、リフタ708を追加することにより)実質的に修正することなく、構成要素(ウェーハ調整プラットフォーム902)を追加することによって、接地位置調整システムとウェーハステージの既存の設計との互換性を最大化し得ることであり得る。
【0112】
[0136] 図10及び図11は、本開示のいくつかの実施形態による、方法1000~1100の例示的なフローチャートを示す。方法1000~1100は、荷電粒子ビーム装置(例えば、EBIシステム100)と結合され得るコントローラによって実行され得る。例えば、コントローラは、図2のコントローラ109又は図7のコントローラ710であってもよい。コントローラは、方法1000~1100を実施するようにプログラムされ得る。
【0113】
[0137] 図10は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハの接地位置を調整する例示的な方法を示すフローチャートである。
【0114】
[0138] ステップ1002において、コントローラは、ウェーハとウェーハに接触している接地ピンとの間の電気的接続を終了する。例えば、ウェーハは、図6図9のウェーハ304であってもよい。接地ピンは、図6図9の接地ピン312のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、リフタ(例えば、図7のリフタ708)を使用して、ウェーハを支持するウェーハマウント(例えば、図6図9の静電ホルダ306)から離れるようにウェーハを上昇させるようにアクチュエータを制御し得る。リフタは、ウェーハの底面(例えば、図6図9の裏面膜308)と接触し、ウェーハマウントの底部(例えば、図7の底部706)に固定され得る。いくつかの実施形態では、接地ピンはウェーハマウントの上部(例えば、図7の上部704)に固定され得、接地ピンは、ウェーハが上部の上にあるときに、ウェーハの底面に接触し得る。
【0115】
[0139] いくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハと接地ピンとを引き離すために、ウェーハマウント上にあるウェーハの底面から接地ピンを下降させるようにアクチュエータを制御し得る。接地ピンは、図7に示され説明されるように、ウェーハマウントにおいて垂直方向に可動であり得る。コントローラは、ウェーハを垂直方向に静止状態に維持するように制御し得る。例えば、接地ピンは、図7に示され説明されるように、ウェーハマウントを下降又は上昇させることなく、接地ピンを垂直方向に下降及び上昇させ得る独立したアクチュエータに接続され得る。
【0116】
[0140] いくつかの実施形態では、コントローラは、接地ピンとウェーハとを引き離すようにウェーハマウントの上部を下降させるようにアクチュエータを制御し得る。いくつかの実施形態では、接地ピンは、図7に示され説明されるように、ウェーハマウントの上部に固定され得る。ウェーハの底面は、図7に示され説明されるように、ウェーハマウントの底部に固定された(例えば、リフタ708が垂直方向に静止状態にされる場合)非可動式支持部に接触し得る。接地ピンは、図7に示され説明されるように、上部が下降されていない場合、ウェーハの底面に接触し得る。
【0117】
[0141] いくつかの実施形態では、コントローラは、図9に示され説明されるように、ウェーハマウントからプラットフォームにウェーハを取り外すようにアクチュエータを制御し得る。いくつかの実施形態では、接地ピンは、図9に示され説明されるように、ウェーハマウントに固定され、ウェーハがウェーハマウントの上にあるときにウェーハに接触し得る。
【0118】
[0142] ステップ1004において、コントローラは、ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整する。いくつかの実施形態では、相対位置は、相対回転位置、相対並進位置、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、図6図9に示され説明されるように、ウェーハと接地ピンとの間の相対アジマス角を所定の角度だけ調整するようにアクチュエータを制御し得る。いくつかの実施形態では、所定の角度は、現在の相対アジマス角と目標の相対角度との間の差であり得る。現在の相対アジマス角は、ウェーハと接地ピンとの間にあり得る。目標の相対アジマス角は、ウェーハと接地ピンとの間にあり得る。例えば、所定の角度は、図8の角度差808であってもよい。
【0119】
[0143] いくつかの実施形態では、リフタを使用してウェーハマウントから離れるようにウェーハを上昇させること、又はウェーハマウントの上部を下降させることにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、ウェーハマウントの底部に対してウェーハの上部を所定の角度だけ回転させることによって、相対位置を調整し得る。いくつかの実施形態では、ウェーハの底面から接地ピンを下降させることにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、接地ピンがウェーハマウントに対して回転運動において可動である場合、ウェーハマウントに対して接地ピンを所定の角度だけ回転させることによって、相対位置を調整し得る。いくつかの実施形態では、ウェーハマウントからプラットフォームにウェーハを取り外すことにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、プラットフォームにウェーハを所定の角度だけ回転させることによって、相対位置を調整し得る。
【0120】
[0144] いくつかの実施形態では、ウェーハが接地ピンから並進移動により引き離される場合、コントローラは、図7に説明されるように、ウェーハと接地ピンとの間の相対並進距離を所定の距離だけ調整するようにアクチュエータを制御し得る。
【0121】
[0145] ステップ1006において、コントローラは、接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復する。いくつかの実施形態では、リフタを使用してウェーハマウントから離れるようにウェーハを上昇させることにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、図7に示され説明されるように、リフタを使用してウェーハマウントの上部上にウェーハを下降させることによって、接地ピンとウェーハとを再び付け得る。いくつかの実施形態では、ウェーハの底面から接地ピンを下降させることにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、図7に示され説明されるように、ウェーハの底面に接触するように接地ピンを上昇させることによって、接地ピンとウェーハとを再び付け得る。いくつかの実施形態では、ウェーハマウントの上部を下降させることにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、図7に示され説明されるように、ウェーハマウントの上部を上昇させることによって、接地ピンとウェーハとを再び付け得る。
【0122】
[0146] いくつかの実施形態では、ウェーハマウントからプラットフォームにウェーハを取り外すことにより、ウェーハが接地ピンから引き離される場合、コントローラは、図9に示され説明されるように、プラットフォームからウェーハマウント上にウェーハを移動させることによって、接地ピンとウェーハとを再び付け得る。
【0123】
[0147] いくつかの実施形態では、コントローラが接地ピンとウェーハとを再び付けるように信号を送る場合、接地ピンは、ウェーハと接地ピンとを引き離す前の接地ピンと底面との間の圧力とは異なる圧力で、ウェーハの底面に接触し得る。いくつかの実施形態では、接地ピンは、図8に示すように、ウェーハと接地ピンとを引き離す前に接地ピンが底面に接触する位置とは異なる位置で、ウェーハの底面に接触し得る。いくつかの実施形態では、接地ピンは、同じ相対位置でウェーハの底面に接触し得る。
【0124】
[0148] いくつかの実施形態では、ステップ1002~1006は、ウェーハが成功裏に接地されるまで繰り返され得る。
【0125】
[0149] 図11は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハの接地位置を調整するための別の例示的な方法1100を示すフローチャートである。方法1100はステップ1102~1108を含む。コントローラは、ステップ1002~1006とそれぞれ同様にステップ1102~1106を実行し得る。
【0126】
[0150] ステップ1108において、別のコントローラ(例えば、図3のコントローラ322、又は図6及び図9のサブシステム606のコントローラ)が、ウェーハを接地するための電気経路が形成される(又は、実質的に開いている)か否かを決定し得る。電気経路が形成されない(又は実質的に開いている)場合、コントローラは、ステップ1102~1106に戻って実行してもよい。電気経路が形成される(又は閉じている)場合、ウェーハが成功裏に接地したと決定され得、コントローラは、方法1100を実行することを停止し得る。本開示では、電気経路のインピーダンス(例えば、抵抗)が所定の閾値以上である場合、電気経路は「実質的に開いている」とみなす。インピーダンスが所定の閾値以上である場合に、コントローラは、電気経路が開いていると決定し得る。いくつかの実施形態では、所定の閾値は、100,000オームの抵抗値を含み得る。
【0127】
[0151] 本開示はまた、接地ピンを調整するために振動子を使用してウェーハを接地するための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、振動子は、ウェーハ接地のために、電気ザッピング法、貫通法、又はその両方をサポートするシステムで使用され得る。図12は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なマルチピンウェーハ接地システム1200の図である。システム1200は、システム400と同様であり、ウェーハ304と、静電ホルダ306と、裏面膜308と、電極310と、複数の接地ピン312と、接地ピン312に結合された(例えば、固定された)複数の振動子1202とを備える。いくつかの実施形態では、接地ピン312のそれぞれが、単一の振動子と結合され得る。いくつかの実施形態では、振動子1202のそれぞれが2つ以上の接地ピンに結合され得る、又は各接地ピンが2つ以上の振動子1202に結合され得る。振動子は、任意の数の次元(例えば、1D、2D、又は3D)の任意の方向(例えば、水平方向、垂直方向、環状、楕円状、又は任意の方向)に沿って接地ピン312を振動させ得る。いくつかの実施形態では、振動子1202は、接地ピン312のアクチュエータ(例えば、リフタ708)と一体化され得る。いくつかの実施形態では、振動子1202は、ピエゾアクチュエータを含み得る。
【0128】
[0152] いくつかの実施形態では、振動子1202は、電源から電力を供給され得る。例えば、電源は、電気信号発生器314と同じであってもよいし異なっていてもよい。コントローラ322は、電源の出力を制御し得る。例えば、コントローラ322は、振動子1202を駆動して振動させるために、出力が任意の形状の電気信号又はパルスとなるように出力を制御し得る。
【0129】
[0153] いくつかの実施形態では、コントローラ322は、ウェーハ接地のために振動子1202の振動を制御し得る。例えば、貫通法を使用するシステムでは、接地ピン312は、初期接地位置において裏面膜308を貫通し、ウェーハ304と直接接触し得る。ウェーハ304と接地ピン312との間に接地信号が流れるように電気経路が形成されない(例えば、1つ若しくは複数の接地ピン312が裏面膜308に完全に貫通し損なった、又は接地ピン312に汚染粒子が堆積している)場合、コントローラ322は、振動子1202又はウェーハ304を制御して振動させて、接地ピン312が、ウェーハ304とよりよく接触するようにしたり、接地ピン312上に堆積した粒子を振り落とすようにしたりなどし得る。別の例として、電気ザッピング法を使用するシステムでは、接地ピン312の接地位置を調整するためにアクチュエータ(例えば、リフタ708又は上部708)を使用することの他、振動子1202は、同じ又は調整された接地位置でより良い接地を実現するために、別の次元の制御を提供し得る。振動子1202を設けることにより、ウェーハ接地システムが、ウェーハ接地に貫通法と電気ザッピング法との両方を使用することが可能になり得ることに留意されたい。換言すれば、振動子1202を備えたウェーハ接地システムは、(貫通法を使用する)機械的モードと(電気ザッピング法を使用する)電気的モードの2つのウェーハ接地「モード」を有し得る。
【0130】
[0154] いくつかの実施形態では、ウェーハ304が静止状態にあるとき、コントローラ322は、振動子1202を制御して振動させ得る。例えば、振動子1202が図7の上部708に固定されている場合、又は上部708が接地ピン312のための振動子として機能する場合、コントローラ322は、上部708を制御して振動させ得る。別の例として、振動子1202が上部704とは独立である場合、コントローラ322は、振動子1202を制御して、上部708の動きとは独立に振動させ得る。いくつかの実施形態では、ウェーハ304が静止状態にはないとき、コントローラ322は、ウェーハ304を制御して振動させ得る。例えば、コントローラ322は、電極310を制御して振動させることにより、ウェーハ304を振動させ得る。振動子1202は、本明細書に開示されているような例に限定されるものではなく、接地ピン312をウェーハ304に対して振動させるための任意の適切な方法で実施され得ることに留意されたい。
【0131】
[0155] いくつかの実施形態では、コントローラ322は、振動子1202を制御して周期的に振動させ得る。いくつかの実施形態では、コントローラ322は、振動子1202を制御して、ウェーハ304と接地ピン312との間で電気的接続が失敗したことを検出したときなど、「必要に応じて」振動させ得る。
【0132】
[0156] 図13は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的な方法1300を示すフローチャートである。方法1300は、荷電粒子ビーム装置(例えば、EBIシステム100)と結合され得るコントローラによって実行され得る。例えば、コントローラは、図3のコントローラ322又は図7のコントローラ710であってもよい。コントローラは、方法1300を実施するようにプログラムされ得る。
【0133】
[0157] ステップ1302において、コントローラは、ウェーハに接地ピンを接触させる。コントローラは、ステップ1002又は1102と同様にステップ1302を実行し得る。いくつかの実施形態では、ステップ1302を実行する前に、コントローラは、ウェーハを接地するための電気経路が形成されているか否かを決定し得る。電気経路が形成されない場合、コントローラは、ステップ1302を実行し得る。
【0134】
[0158] ステップ1304において、コントローラは、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させる。いくつかの実施形態では、コントローラは、接地ピン(例えば、図12の接地ピン312)と、ウェーハを支持するウェーハマウントの上部(例えば、上部704)とに結合された振動子を振動させ得る。いくつかの実施形態では、振動子は上部であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハホルダ(例えば、静電ホルダ306又は電極310)を振動させ得、このときウェーハホルダは、ウェーハマウント上にウェーハを固定している。いくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハの表面に垂直な方向又は表面に平行な方向のうちの少なくとも一方に沿って、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させ得る。例えば、図12に示すように、コントローラは、水平方向、垂直方向、円周方向、又は3D方向に沿って、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させ得る。
【0135】
[0159] ステップ1306において、コントローラは、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立する。コントローラは、ステップ1006又は1106と同様にステップ1306を実行し得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、貫通法を使用して電気的接続を回復し得る。例えば、コントローラは、ウェーハと直接接触するように、表面のコーティング(例えば、裏面膜308)を介してウェーハの表面に接地ピンを押し当て得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、電気ザッピング法を使用して電気的接続を回復し得る。例えば、コントローラは、表面のコーティング(例えば、裏面膜308)を介してウェーハの表面に接地ピンを押し当てることができ、このとき接地ピンは、コーティングを完全に貫通しない。
【0136】
[0160] いくつかの実施形態では、ステップ1306の後、別のコントローラ(例えば、図3のコントローラ322、又は図6及び図9のサブシステム606のコントローラ)が、ウェーハを接地するための電気経路が形成される(又は、実質的に開いている)か否かを決定し得る。電気経路が形成されない(又は実質的に開いている)場合、コントローラは、ステップ1302~1306に戻って実行してもよい。電気経路が形成される場合、ウェーハが成功裏に接地したと決定され得、コントローラは、方法1300を実行することを停止し得る。
【0137】
[0161] 本開示はまた、厚膜化裏面膜を備えたウェーハを接地するための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、高度に複雑な構造体がウェーハ上に製造される。このような複雑な構造体は、多数の層を備え得る。例えば、複雑な構造体としては、NANDフラッシュメモリ回路など、1つ又は複数のNOT-AND(「NAND」)ゲートを備える三次元回路が挙げられる。他の構造体と比べて、多層複合構造体は、ウェーハの表面に高い張力を生じさせることがあり、これにより、ウェーハにワープ又はボウが生じ得る。ボウの生じたウェーハは、ウェーハの部分が一次電子ビーム(例えば、図2の一次電子ビーム220)の焦点面から外れるなど、検査プロセスに問題を生じ得る。それらの問題は、検査画像の品質劣化(例えば、焦点ずれ、ブラーリング、ディストーションなど)の原因となり得る。
【0138】
[0162] このような複雑な構造体に起因してウェーハにワープ又はボウを生じるのを避けるために、いくつかの実施形態では、ウェーハは、機械的強度を高めるために厚膜化裏面膜でコーティングされ得る。例えば、通常の場合、裏面膜の厚さは0.1~0.3μmであり得る。ウェーハにワープ又はボウが生じるのを避けるためには、裏面膜の厚さは(例えば、1.4~2.2μmに)厚くされ得る。しかしながら、厚膜化裏面膜は、電気ザッピング法も貫通法もウェーハ接地に成功裏に機能しない程に厚すぎることがある。例えば、厚膜化裏面膜は、電気ザッピング法では絶縁破壊が突破できないほどの厚さになり得る。別の例では、厚膜化裏面膜は、貫通法において接地ピンが押し当てられて貫通できないほどの厚さになり得る。
【0139】
[0163] 厚膜化裏面膜を備えたウェーハを接地するためには、「ピン衝突法」が使用され得る。図14A図14Dは、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的なシステム1400の動作段階を示す。システム1400はピン衝突法を実施し得る。システム1400は、ウェーハ接地のための任意のシステム(例えば、図3図6図7、又は図9のシステム300、600、700、又は900)のサブシステムであり得る。図14A図14Dでは、1つの接地ピンしか示されていないが、任意の単一ピンシステム(例えば、図3のサブシステム302)又はマルチピンシステム(例えば、図4のシステム400、図6及び図7並びに図9のサブシステム602若しくは702、又は図12のシステム1200)が、ピン衝突法を互換的に実施するように構成され得ることに留意されたい。例えば、マルチピンシステムでは、ピン衝突法は、その複数の接地ピンのうちの1つ又は複数において互換的に実施され得る。
【0140】
[0164] 図14A図14Dでは、システム1400は、ウェーハ304と、裏面膜1402と、接地ピン312と、アクチュエータ(図示せず)とを備える。裏面膜1402は、図3及び図4図6及び図7図9、並びに図12の裏面膜308と同様であり得る。いくつかの実施形態では、裏面膜1402は厚膜化され得る。例えば、裏面膜1402の厚さは、0.3μmを超えてもよい(例えば、1.4~2.2μm)。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、ウェーハを支持するウェーハステージ(例えば、図6又は図9のウェーハステージ604)に結合され得る。例えば、アクチュエータは、ウェーハステージの一部分(例えば、図7の上部704)に結合され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、電気式アクチュエータ(例えば、電気モータなどの電気機械式アクチュエータ、又は油圧式アキュムレータを含む電気油圧式アクチュエータ)、磁気式アクチュエータ(例えば、電気モータ)、ばね(例えば、コイル状のばね又はコイル状のポリマー)、空気圧式アクチュエータ、又は油圧式アクチュエータのうちの1つを含み得る。
【0141】
[0165] 図14Aは、システム1400の初期段階を示し、初期段階では、接地ピン312が、裏面膜1402に接触するように(例えば、図3のコントローラ322又は図7のコントローラ710によって)制御され得る。例えば、初期段階のアクチュエータは動作しないようにされ得る。換言すれば、接地ピン312は初期段階ではデフォルト位置にあり得る。初期段階では、デフォルト位置によって接地ピン312が裏面膜1402に接触させられる。このような初期段階の構成は、厚膜化裏面膜を持たないウェーハを接地するためのシステム1400の互換性を確保し得る。例えば、厚膜化裏面膜を持たないウェーハがシステム1400に配置される場合、図14Aに示すように初期段階を設定することにより、システム1400は、ピン衝突法を持ち出すことなく、ウェーハ接地のための他の方法(例えば、図5図10図11、又は図13の方法500、1000、1100、又は1300)を実行し得る。
【0142】
[0166] 図14Bは、ピン衝突法を実施するシステム1400の第一段階を示しており、第一段階では、接地ピン312がある距離だけ裏面膜1402から(矢印で示すように)離れるように移動される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、裏面膜1402から離れるように接地ピン312を移動させ得る。いくつかの実施形態では、接地ピン312は、接地ピン312(例えば、接地ピン312の先端から測定)と裏面膜1402との間の距離が100ミクロンを超え得るように、裏面膜1402から離れるように移動され得る。例えば、距離は1ミリメートルを超えてもよい。いくつかの実施形態では、裏面膜1402から離れるように接地ピン312を移動させることにより、接地ピン312は、以下に説明するように、加速のための十分な空間を有し得る。
【0143】
[0167] 図14Cは、ピン衝突法を実施するシステム1400の第二段階を示しており、第二段階では、アクチュエータ(図示せず)は、裏面膜1402に向かって(矢印で示すように)接地ピン312を作動(例えば、加速)させ得る。いくつかの実施形態では、加速は、接地ピン312が裏面膜1402に衝突する前に終了し得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、裏面膜1402に衝突する前に、接地ピン312の運動エネルギーが、例えば、0.0002ジュールを超え得るように(例えば、接地ピン312の最大移動距離が3ミリメートルのとき)、接地ピン312を作動させ得る。裏面膜1402に衝突する前の接地ピンの運動エネルギーは、アクチュエータによる作動下でのその移動距離に依存し得、上記の例に限定されるものではないことに留意されたい。
【0144】
[0168] 図14Dは、ピン衝突法を実施するシステム1400の最終段階を示しており、最終段階では、図14Cで説明したように第二段階で得られた運動エネルギーに起因する衝突によって接地ピン312が裏面膜1402を貫通する。いくつかの実施形態では、接地ピン312は、裏面膜1402を完全に貫通し、穴を開けることなくウェーハ304と直接接触し得る。このような場合、接地ピン312とウェーハ304との間の電気的接続は、ウェーハ接地の貫通法を用いてウェーハ304を接地するために確立され得る。いくつかの実施形態では、接地ピン312は、接地ピン312の先端とウェーハ304の表面(例えば、導電性表面)との間の距離が0.3ミクロン以下であり得るように、裏面膜1402を完全には貫通しないこともある。このような場合、接地ピン312とウェーハ304との間の電気的接続は、ウェーハ接地の電気ザッピング法を用いてウェーハ304を接地するために確立され得る。
【0145】
[0169] 上述したようなピン衝突法のいくつかの実施形態では、接地ピン312の運動エネルギーは、図14Bに記載されているような接地ピン312と裏面膜1402との間の距離に依存し得る。例えば、アクチュエータがばねベースのアクチュエータである場合、接地ピン312は、アクチュエータのばねを圧縮するように裏面膜1402から引き離され得る。接地ピン312と裏面膜1402との間の距離が大きいほど、ばねを圧縮することによって接地ピン312が得ることができる弾性エネルギーが大きくなる。接地ピン312が得た弾性エネルギーによって、図14Cで説明したように、第二段階で得た運動エネルギーが決まり得る。別の例では、アクチュエータが電気式アクチュエータである場合、接地ピン312と裏面膜1402との間の距離によって、図14Cで説明したように、第二段階において電気式アクチュエータが接地ピン312に対して働くことができるようにする空間が決まり得る。特定のタイプのアクチュエータでは、異なるタイプのウェーハ、異なるタイプの裏面膜、及び異なる厚さの裏面膜1402が、図14Bで説明したように、第一段階で距離を決め得る。
【0146】
[0170] いくつかの実施形態では、距離は、ウェーハのタイプ、裏面膜のタイプ、又は裏面膜の厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、(例えば、図3のコントローラ322又は図7のコントローラ710によって)決定され得る。例えば、特定の厚さを有する特定のタイプの裏面膜を備えた特定のタイプのウェーハについて、接地プロセスとは別に実験が実施されてもよく、実験では、穴あけなしで接地ピン312とウェーハ304との間の直接接触を確保する距離、又は接地ピン312とウェーハ304との間の絶縁破壊を確保する距離など、対応する距離が取得されてもよい。ウェーハタイプ情報は、システム1400を含むウェーハ接地システム(例えば、図3に示すようなウェーハタイプ332を記憶するデータベース)に記憶されてもよく、対応する距離もウェーハ接地システム(例えば、図3に示すような目標値328も記憶するデータベース)に記憶されてもよい。第二段階を実行するとき、システム1400は、裏面膜1402から離れるように接地ピン312を移動させる前に、ウェーハタイプ情報を決定し、対応する距離を取得し得る。
【0147】
[0171] いくつかの実施形態では、システム1400は、電気的接続から(例えば、図3のセンサ316によって)決定された電気的特性(例えば、図3の電気的特性320)に基づいて距離を最適化し得る。例えば、接地ピン312が裏面膜1402に衝突するが、電気的接続が確立できない場合、又は電気的接続の品質がウェーハ接地のニーズを満たすことができない場合、システム1400は、電気的接続から決定された電気的特性に基づいて、裏面膜1402から離れるように接地ピン312を移動させるための新しい距離を決定し、図14B及び図14Cで説明したようなピン衝突法を繰り返し得る。いくつかの実施形態では、ピン衝突法を繰り返すとき、システム1400はまた、距離の他に、アクチュエータによって接地ピン312に印加される目標運動エネルギーなどの他のパラメータを最適化し得る。
【0148】
[0172] いくつかの実施形態では、電気的接続が図14Dに記載されているように最終段階において確立できない場合、システム1400を含むウェーハ接地システムは、ピン衝突法が実施されるウェーハ上の位置を調整し得る。例えば、位置は、図6図11で説明したような方法で調整され得る。
【0149】
[0173] 図15A図15Dは、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的なシステム1500の動作段階を示す。システム1500はピン衝突法を実施し得る。システム1500は、ウェーハ接地のための任意のシステム(例えば、図3図6図7、又は図9のシステム300、600、700、又は900)のサブシステムであり得る。図15A図15Dでは、1つの接地ピンしか示されていないが、任意の単一ピンシステム(例えば、図3のサブシステム302)又はマルチピンシステム(例えば、図4のシステム400、図6及び図7並びに図9のサブシステム602若しくは702、又は図12のシステム1200)が、ピン衝突法を互換的に実施するように構成され得ることに留意されたい。例えば、マルチピンシステムでは、ピン衝突法は、その複数の接地ピンのうちの1つ又は複数において互換的に実施され得る。
【0150】
[0174] 図15A図15Dでは、システム1500は、ウェーハ304と、裏面膜1402と、接地ピン312と、マスブロック1502と、アクチュエータ(図示せず)とを備える。システム1500のアクチュエータは、図14A図14Dにおいて説明されたシステム1400のアクチュエータと同様であり得る。マスブロック1502は、質量を有する固体の物体であり得る。いくつかの実施形態では、マスブロック1502は、ハンマー又はラムであり得る。
【0151】
[0175] 図15Aは、システム1500の初期段階を示し、初期段階では、接地ピン312が、裏面膜1402に接触するように(例えば、図3のコントローラ322又は図7のコントローラ710によって)制御され得る。また、マスブロック1502が、接地ピン312に接触するように制御され得る。システム1400の初期段階と同様に、このような構成は、厚膜化裏面膜を持たないウェーハを接地するためのシステム1500の互換性を確保し得る。
【0152】
[0176] 図15Bは、ピン衝突法を実施するシステム1500の第一段階を示しており、第一段階では、マスブロック1502がある距離だけ接地ピン312から(矢印で示すように)離れるように移動される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、裏面膜1402から離れるようにマスブロック1502を移動させ得る。いくつかの実施形態では、マスブロック1502は、マスブロック1502(例えば、マスブロック1502の上面から測定)と接地ピン312との間の距離が100ミクロンを超え得るように、接地ピン312から離れるように移動され得る。例えば、距離は1ミリメートルを超えてもよい。いくつかの実施形態では、接地ピン312から離れるようにマスブロック1502を移動させることにより、マスブロック1502は、以下に説明するように、加速のための十分な空間を有し得る。
【0153】
[0177] 図15Cは、ピン衝突法を実施するシステム1500の第二段階を示しており、第二段階では、アクチュエータ(図示せず)は、接地ピン312に向かって(矢印で示すように)マスブロック1502を作動(例えば、加速)させ得る。いくつかの実施形態では、加速は、マスブロック1502が接地ピン312に衝突する前に終了し得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、マスブロック1502の運動エネルギーが、接地ピン312に衝突する又は打撃を与える前に、例えば、0.0002ジュールを超えるように、マスブロック1502を作動させ得る。
【0154】
[0178] 図15Dは、ピン衝突法を実施するシステム1500の最終段階を示しており、最終段階では、マスブロック1502によって接地ピン312に与えられた力に起因する衝突によって接地ピン312が裏面膜1402を貫通する。システム1400の最終段階と同様に、システム1500の最終段階では、接地ピン312が裏面膜1402に完全又は不完全に貫通し得、接地ピン312とウェーハ304との間の電気的接続は、貫通法又は電気ザッピング法をそれぞれ使用してウェーハ304を接地するために確立され得る。
【0155】
[0179] 図15A図15Dに記載されているようなピン衝突法のいくつかの実施形態では、マスブロック1502が接地ピン312に当たるときの運動エネルギーは、図15Bで説明したようなマスブロック1502と接地ピン312との間の距離に依存し得る。図15Cで得られるマスブロック1502の運動エネルギーと、図15Bのマスブロック1502と接地ピン312との間の距離との関係は、図14Cで得られる接地ピン312の運動エネルギーと、図14Bの接地ピン312と裏面膜1402との間の距離との関係と同様であり得、このことは以下では繰り返さない。また、いくつかの実施形態では、図14A図14Dで説明したのと同様に図15Bにおける距離は、ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて決定され得、このことは以下では繰り返さない。いくつかの実施形態では、システム1500は、電気的接続から(例えば、図3のセンサ316によって)決定された電気的特性(例えば、図3の電気的特性320)に基づいて距離を最適化し得る、又は図14A図14Cで説明したのと同様にピン衝突法が実施されるウェーハ上の位置を調整し得、このことは以下では繰り返さない。
【0156】
[0180] 図14A図14Bで説明したピン衝突法と比較して、図15A図15Bで説明したピン衝突法は、システム1500を設計するのにより高い自由度を有し得る。例えば、マスブロック1502の材料及び質量の選択にはより多くの自由度があり得る。図15A図15Bで説明したピン衝突法と比較して、図14A図14Bで説明したピン衝突法は、よりわかりやすく、実施に必要な構成要素が少なくなり得る。
【0157】
[0181] 図16は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェーハ接地のための例示的な方法1600を示すフローチャートである。方法1600は、荷電粒子ビーム装置(例えば、EBIシステム100)と結合され得るコントローラによって実行され得る。例えば、コントローラは、図3のコントローラ322又は図7のコントローラ710であってもよい。コントローラは、方法1600を実施するようにプログラムされ得る。
【0158】
[0182] ステップ1602において、コントローラは、ウェーハ(例えば、図14A図14D又は図15A図15Dのウェーハ304)に接地ピン(例えば、図14A図14D又は図15A図15Dの接地ピン312)を衝突させる。ステップ1604において、コントローラは、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立する。
【0159】
[0183] ステップ1602のいくつかの実施形態では、コントローラは、衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティング(例えば、図14A図14D又は図15A図15Dの裏面膜1402)を貫通させ得る。例えば、コーティングは、0.3ミクロンを超える厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハと直接接触するために、衝突を介して接地ピンにコーティングを貫通させ得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、衝突を介して接地ピンにコーティングを貫通させることができ、このとき接地ピンは、コーティングを完全に貫通しない。例えば、接地ピンがコーティングを完全に貫通しない場合、接地ピンが衝撃によってコーティングを貫通した後の接地ピンの先端とウェーハの表面との間の距離が、0.3ミクロン以下であり得る。前述の距離が0.3ミクロン以下の場合など、いくつかの実施形態では、ウェーハは、依然として電気ザッピング法によって接地され得る。
【0160】
[0184] ステップ1602のいくつかの実施形態では、コントローラは、接地ピンの運動エネルギーが、例えば、0.0002ジュールを超えるように、(例えば、図14A図14Dで説明されるようなアクチュエータを使用して)ウェーハに向けて接地ピンを作動させ得る。いくつかの実施形態では、ウェーハに向けて接地ピンを作動させる場合、コントローラは、(例えば、図14Bに示され説明されるように)ある距離だけウェーハから離れるように接地ピンを移動させることと、(例えば、図14Cに示され説明されるように)ウェーハに向けて接地ピンを加速させることとを制御し得る。いくつかの実施形態では、距離は100ミクロンを超えてもよい。例えば、距離は1ミリメートルを超えてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、(例えば、図14A図14Dで説明したように)ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、距離を決定し得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、図14Aに示すように、ウェーハから離れるように接地ピンを移動させる前に、ウェーハに接地ピンを接触させ得る。
【0161】
[0185] ステップ1602のいくつかの実施形態では、コントローラは、ウェーハに向かう接地ピンにマスブロック(例えば、図15A図15Dのマスブロック1502)を衝突させ得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、マスブロックの運動エネルギーが、例えば、0.0002ジュールを超えるように、(例えば、図15A図15Dで説明されるようなアクチュエータを使用して)接地ピンに向けてマスブロックを作動させ得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、(例えば、図15Bに示され説明されるように)ある距離だけ接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させることと、(例えば、図15Cに示され説明されるように)接地ピンに向けてマスブロックを加速させることとを制御し得る。いくつかの実施形態では、距離は100ミクロンを超えてもよい。例えば、距離は1ミリメートルを超えてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、(例えば、図15A図15Dで説明したように)ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、距離を決定し得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、図15Aに示すように、接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させる前に、接地ピンにマスブロックを接触させ得る。いくつかの実施形態では、接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させる前に接地ピンにマスブロックを接触させることの他に、コントローラは、図15Aに示すように、接地ピンにウェーハを更に接触させ得る。
【0162】
[0186] 例として、図17は、本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が瞬時に発生する例示的なウェーハ接地システム1700の図である。いくつかの実施形態では、システム1700は、図3のシステム300、図4のシステム400、図6のシステム600、図7のシステム700、図9のシステム900、図12のシステム1200、図14A図14Dのシステム1400、又は図15A図15Dのシステム1500と同じ構成要素、より多くの構成要素、又はより少ない構成要素を備え得る。図17では、システム1700は、ウェーハ304と、静電ホルダ306と、(接地ピン312を含む)1つ又は複数の接地ピンと、(第一電極1702及び第二電極1704を含む)複数の電極と、第一電極1702に接続された第一ワイヤリング1706と、第二電極1704に接続された第二ワイヤリング1708と、接地ピン312に接続された接地ワイヤリング1710と、接地ワイヤリング1710に接続された接地電源1712と、第一ワイヤリング1706及び第二ワイヤリング1708に接続された電圧源1714とを備える。
【0163】
[0187] 例えば、第一電極1702は、第一ワイヤリング1706を介して電圧源1714によって供給された(第一電極1702の内側に正の符号「+」で表されている)正のクランプ電圧を帯びることができ、第二電極1704は、第二ワイヤリング1708を介して電圧源1714によって供給された(第二電極1704の内側に負の符号「-」で表されている)負のクランプ電圧を帯びることができる。本明細書に記載される「ワイヤリング」又は「ケーブリング」は、任意の数のワイヤ、ケーブル、コード、インターフェイス、コネクタ、導体、絶縁体、半導体、又は電気分配のための任意の構成要素を含み得る。図17に示すように、第一電極1702及び第二電極1704は、静電ホルダ306の上面の下に備えられ得る。静電ホルダ306は、ウェーハ304と第一電極1702及び第二電極1704との間に、非導電性の誘電体材料を備え得る。図17では1つの接地ピン及び2つの電極しか示されていないが、システム1700は、任意の数の接地ピン及び電極を備え得ることに留意されたい。
【0164】
[0188] システム1700の動作中、接地ピン312は、図17に示すように、接地信号を供給するためにウェーハ304に電気的に接続され得る。例えば、接地ピン312は、本明細書に記載される貫通法などを介して、ウェーハ304の裏面膜(図17には示さず)を貫通した後、ウェーハ304に物理的に接触し得る。別の例として、接地ピン312は、本明細書に記載される電気ザッピング法などを介して、絶縁破壊を介してウェーハ304に導電的に接続し得る。接地電源1712は、接地ワイヤリング1710及び接地ピン312を介してウェーハ304に接地信号及びウェーハバイアス電位(例えば、負の電位)を供給し得る。例えば、接地電源1712は、図3のシステム300における電気信号発生器314の機能を含み得る。接地電源1712は、電圧源1714とは異なるデバイスであり得る。
【0165】
[0189] システム1700の動作中に、静電ホルダ306の電極は、静電ホルダ306の上面上にウェーハ304を固定するためのクランプ電圧を供給され得る。クランプ電圧は、ウェーハ304に供給された電位の上に浮遊電圧だけ浮き得る。例えば、浮遊電圧は300ボルトであり得、その場合、第一電極1702は30キロボルト+300ボルトの正のクランプ電圧を供給され得、第二電極1704は30キロボルト-300ボルトの負のクランプ電圧を供給され得る。本開示のいくつかの実施形態と同様に、図17に示すように、第一電極1702及び第二電極1704は、それぞれ正のクランプ電圧及び負のクランプ電圧を供給され得る。クランプ電圧に応じて、ウェーハ304の底面において反対の電荷が形成され得る(ウェーハ304の内側の正の符号「+」及び負の符号「-」で表される)。第一電極1702のクランプ電圧の絶対値と第二電極1704のクランプ電圧の絶対値とが等しい場合、ウェーハ304の底面において発生した反対の電荷は、ウェーハ304が帯びる総電荷に影響しない。例えば、ウェーハ304は、(例えば、30キロボルトの電位で)バイアスされ、電気的中性を維持し得る(例えば、ゼロの総電荷を帯びる)一方で、ウェーハ304内部の電荷分布は、図17に示すように分極され得る。ウェーハ304の底面で形成された反対の電荷は、対応する電極に引き付けられ得、ウェーハ304は静電ホルダ306の上面に固定され得る。
【0166】
[0190] 場合によっては、電気アーク放電が電極の回路に発生し得る。例えば、図17に示すように、アーク放電1716が第一ワイヤリング1706に発生し得、これにより、ウェーハ304と静電ホルダ306の電極(例えば、第一電極1702)との間に電圧差(例えば、10キロボルト)が瞬時に形成され得る。電圧差は、クランプ電圧を著しく乱す一方で、ウェーハ304に供給されるバイアス電位(例えば、30キロボルト)は影響を受け得ない。例えば、第一電極1702のクランプ電圧が30キロボルト+300ボルトから20キロボルト+300ボルトに降下し得る。別の例として、第二ワイヤリング1708(図17には示さず)にアーク放電が発生する場合、第二電極1704のクランプ電圧もまた電圧差によって変化し得る。このような瞬時に形成される電圧差は、ウェーハ304と静電ホルダ306の電極(例えば、第一電極1702及び第二電極1704)との間に強い電場を発生させ得る。強い電場は、静電ホルダ306の上面に対して、ウェーハ304の電荷を引き付けたり、跳ね返したりし得る。引き寄せられた電荷又は跳ね返された電荷は、ウェーハ304又は静電ホルダ306上に残留電荷を更に形成し得る。
【0167】
[0191] 本開示は、基板と静電ホルダとの間に瞬時に形成された電圧差に起因する残留電荷の形成を防止するための装置及びシステムを提供する。本開示のいくつかの実施形態と同様に、本装置又はシステムは、接地ピンと、静電ホルダの内側に電極を備える静電ホルダと、接地ピンと電極との間に電気的に結合された(例えば、導電的に接続された)過電圧保護デバイスとを備え得る。過電圧保護デバイスは、過電圧保護デバイスに印加される電圧が閾値電圧を超える場合に電気を通し、閾値電圧を超えない場合に電気を通さないように構成され得る。いくつかの実施形態では、過電圧保護デバイスは、複数の方向に電気を伝導することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、閾値電圧は、過電圧保護デバイスの電気的特性(例えば、パラメータ)であり得る。いくつかの実施形態では、閾値電圧は調節可能(例えば、本装置及びシステムの異なるアプリケーションに応じて任意の値を有するように構成可能)であり得る。
【0168】
[0192] いくつかの実施形態では、過電圧保護デバイスは、過渡電圧抑制(TVS)ダイオード、ツェナーダイオード、バリスタ(又は「電圧依存抵抗器」と呼ばれる)、若しくは交流用シリコンダイオード(SIDAC)、又は過電圧下で導電性になり、過電圧がなくなるとリセットされて非導電性になる任意のアクティブクローバデバイスのうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、過電圧保護デバイスがTVSダイオードを含む場合、閾値電圧はTVSダイオードの逆降伏電圧であり得る。TVSダイオードに印加される電圧が逆降伏電圧を超える場合、TVSダイオードは、過電圧に対して接地のための低インピーダンス経路を提供するアバランシェモードで動作し得る。TVSダイオードは、過電圧が逆降伏電圧未満に低下した後、高インピーダンス状態に戻り得る。
【0169】
[0193] いくつかの実施形態では、過電圧保護デバイスは、サイリスタサージ保護デバイス(Trisil)、交流用ダイオード(DIAC)、二方向三端子サイリスタ(TRIAC)のうち少なくとも1つを含み得る。
【0170】
[0194] 本開示のいくつかの実施形態と同様に、本装置及びシステムは複数の接地ピンを備え得、静電ホルダは複数の電極を備え得る。本装置及びシステムは、1つの接地ピンと1つの電極との間にそれぞれが電気的に結合され得る複数の過電圧保護デバイスを備え得る。つまり、各接地ピンと各電極との間には、1つの過電圧保護デバイスが電気的に結合される。複数の過電圧保護デバイスは、過電圧の下では導電性になり、過電圧がなくなるとリセットされて非導電性になるように構成され得る。
【0171】
[0195] 本開示のいくつかの実施形態と同様に、本装置及びシステムは、ハウジングを更に備え得る。ハウジングは、静電ホルダ及び接地ピンを取り囲む凹面を備え得る。ハウジングは、第一インターフェイス又は第二インターフェイスのうちの少なくとも一方を更に備え得る。第一インターフェイスは、凹面上にあり、電極のワイヤリングと嵌合し得る。第二インターフェイスは、凹面上にあり、接地ピンのワイヤリングと嵌合し得る。過電圧保護デバイスは、ハウジングの内側又は外側に配置され得る。
【0172】
[0196] 過電圧保護デバイスを使用することにより、上述の装置及びシステムは、過電圧が電極と接地ピンとの間に瞬時に形成された場合(例えば、電極のワイヤリングにアーク放電が発生した場合)にはいつでも、低インピーダンス状態の過電圧保護デバイスを介して、電極と接地ピンとの間で瞬時に電荷を移動させ得る。過電圧が収まると、過電圧保護デバイスは、高インピーダンス状態に戻り得る。このような技術的解決策は、残留電荷の形成を低減又は排除し得る。
【0173】
[0197] 例として、図18は、本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が形成されることが防止される例示的なウェーハ接地システム1800の図である。システム1800は、図17のシステム1700と同様であり得、ウェーハ304と、静電ホルダ306と、接地ピン312と、第一電極1702と、第二電極1704と、第一ワイヤリング1706と、第二ワイヤリング1708と、接地ワイヤリング1710と、接地電源1712と、電圧源1714と、接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706との間に電気的に結合された第一過電圧保護デバイス1802と、接地ワイヤリング1710と第二ワイヤリング1708との間に電気的に結合された第二過電圧保護デバイス1804とを備える。
【0174】
[0198] 第一過電圧保護デバイス1802及び第二過電圧保護デバイス1804は、接地ワイヤリング1710(及び実質的にウェーハ304)と第一ワイヤリング1706及び第二ワイヤリング1708との間でそれぞれ過剰な電圧を分路し得る。例えば、接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)との間の電圧差が閾値電圧(例えば、降伏電圧)未満である場合、第一過電圧保護デバイス1802(又は第二過電圧保護デバイス1804)は、非導電性になり(例えば、高インピーダンスのキャパシタとして機能する)、接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)との間に流れる電荷を遮断し得る。接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)との間の電圧差が閾値電圧以上である場合、第一過電圧保護デバイス1802(又は第二過電圧保護デバイス1804)は、導電性になり(例えば、インピーダンスが劇的に下がり)、接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)との間に電荷が流れることができるようにし、これにより電圧差が瞬時に減少又は消滅し得る。接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)との間の電圧差が再び閾値電圧未満に再び低下すると、第一過電圧保護デバイス1802(又は第二過電圧保護デバイス1804)は自動的にリセットされて、再び非導通性になり得る。
【0175】
[0199] 第一過電圧保護デバイス1802又は第二過電圧保護デバイス1804は、電荷を流すことができる方向を有し得る。いくつかの実施形態では、第一過電圧保護デバイス1802又は第二過電圧保護デバイス1804は、電荷がそれらのいずれかの方向に沿って流れることができるように「二方向」であり得る。例えば、接地ワイヤリング1710と第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)との間の電圧差の絶対値が閾値電圧以上である場合、第一過電圧保護デバイス1802(又は第二過電圧保護デバイス1804)は、ウェーハ304の電圧が第一電極1702(又は第二電極1704)よりも高いとき、接地ワイヤリング1710から第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)に電荷が流れることができるようにする、又はウェーハ304の電圧が第一電極1702(又は第二電極1704)よりも低いとき、第一ワイヤリング1706(又は第二ワイヤリング1708)から接地ワイヤリング1710に電荷が流れることができるようにする。
【0176】
[0200] いくつかの実施形態では、第一過電圧保護デバイス1802又は第二過電圧保護デバイス1804は、電荷がそれらの単一の方向のみに沿って流れることができるように「一方向」であり得る。例えば、第一過電圧保護デバイス1802が接地ワイヤリング1710から第一ワイヤリング1706に伝導方向を有する場合、第一過電圧保護デバイス1802は、ウェーハ304の電圧が第一電極1702の電圧を閾値電圧だけ超える場合にのみ、電荷が接地ワイヤリング1710から第一ワイヤリング1706に流れることができるようにし得、第一電極1702の電圧がウェーハ304の電圧を閾値電圧だけ超える場合であっても、電荷が第一ワイヤリング1706から接地ワイヤリング1710に流れるのを遮断し得る。
【0177】
[0201] 例として、図19A図19Cは、本開示のいくつかの実施形態による、静電ホルダの電極と接地ピンとの間で電圧差が形成されることが防止される例示的なウェーハ接地システム1900A~1900Cの図である。システム1900A~1900Cは、図18のシステム1800と同様であり得、静電ホルダ306と、接地ピン312と、第一電極1702と、第二電極1704と、第一ワイヤリング1706と、第二ワイヤリング1708と、接地ワイヤリング1710と、接地電源1712と、電圧源1714と、第一過電圧保護デバイス1802と、第二過電圧保護デバイス1804とを備える。システム1900A~1900Cは、(図19A図19Cにおいて太線で表されている)凹面1904を備えるハウジング1902と、凹面1904上の第一インターフェイス1906と、凹面1904上の第二インターフェイス1908と、凹面1904上の接地インターフェイス1910と、第一電極1702と第一インターフェイス1906との間に電気的に結合された第一ケーブリング1912と、第二電極1704と第二インターフェイス1908の間に電気的に結合された第二ケーブリング1914と、接地ピン312と接地インターフェイス1910との間に電気的に結合された接地ケーブリング1916とを更に備える。本明細書に記載される「インターフェイス」は、2つ以上の電気構成要素が互いに接続又は相互作用する位置又は端子を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるインターフェイスは、嵌合する部分(例えば、オス部分又はメス部分)を含み得る。例えば、第一インターフェイス1906、第二インターフェイス1908、及び接地インターフェイス1910は、コネクタ、プラグ、ねじ、クランプ、ピン、ソケット、又は2つ以上の電気構成要素を電気的に結合するための任意の手段を含み得る。
【0178】
[0202] 第一ワイヤリング1706は、第一インターフェイス1906と第一ケーブリング1912とを備え得る。例えば、第一インターフェイス1906は、第一ワイヤリング1706(例えば、第一ケーブリング1912)の1つ又は複数の部分と嵌合し得る。第二ワイヤリング1708は、第二インターフェイス1908と第二ケーブリング1914とを備え得る。例えば、第二インターフェイス1908は、第二ワイヤリング1708(例えば、第二ケーブリング1914)の1つ又は複数の部分と嵌合し得る。接地ワイヤリング1710は、接地インターフェイス1910と接地ケーブリング1916とを備え得る。例えば、接地インターフェイス1910は、接地ワイヤリング1710(例えば、接地ケーブリング1916)の1つ又は複数の部分と嵌合し得る。
【0179】
[0203] 凹面1904は、図19A図19Cに示すように、電気ホルダ306と接地ピン312とを取り囲み得る。凹面1904は、図19A図19Cに示すような例示的な形状に限定されるものではなく、任意の形状とすることができることに留意されたい。
【0180】
[0204] この開示の実施形態と同様に、第一過電圧保護デバイス1802は、接地ピン312と第一電極1702との間に電気的に結合される限り、どこにでも配置され得、第二過電圧保護デバイス1804は、接地ピン312と第二電極1704との間に電気的に結合される限り、どこにでも配置され得る。例として、図19Aに示すように、第一過電圧保護デバイス1802及び第二過電圧保護デバイス1804は、ハウジング1902の内側に設けられる。図19B図19Cに示すように、第一過電圧保護デバイス1802及び第二過電圧保護デバイス1804は、ハウジング1902の外側に設けられる。例えば、図19Bでは、第一過電圧保護デバイス1802は第一インターフェイス1906と接地インターフェイス1910との間に電気的に結合され、第二過電圧保護デバイス1804は第二インターフェイス1908と接地インターフェイス1910との間に電気的に結合される。別の例として、図19Cでは、第一過電圧保護デバイス1802は第一ケーブリング1912と接地ケーブリング1916との間に電気的に結合され、第二過電圧保護デバイス1804は第二ケーブリング1914と接地ケーブリング1916との間に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、第一過電圧保護デバイス1802及び第二過電圧保護デバイス1804は、それらのインピーダンスを更に下げるために、それぞれ第一電極1702及び第二電極1704付近の位置に配置され得る。本開示は、第一過電圧保護デバイス1802の位置又は第二過電圧保護デバイス1804の位置を、図19A図19Cに図示及び記載されているような例に限定するものではないことに留意されたい。
【0181】
[0205] 場合によっては、ウェーハと静電ホルダとの間における瞬時に形成される電圧差の1つの原因は、静電ホルダ付近で生じる放電であり得る。例として、図20は、本開示のいくつかの実施形態による、高電圧部分において放電が発生し得る例示的なウェーハ検査システム2000の断面図を示す。図20では、システム2000は、静電ホルダ306と、静電ホルダ306の上に固定されたウェーハ304と、静電ホルダ306を支持するハウジング1902と、遮蔽板2002の(内部の破線で表される)孔を通してウェーハ304上に投射される一次電子ビーム220とを備える。ハウジング1902は、ステージ(例えば、図2に図示及び説明した電動サンプルステージ201)を配置するために使用され得る空洞2004を備える。静電ホルダ306は、ステージに取り付けられ得、ステージによって移動されるように制御され得る。
【0182】
[0206] ハウジング1902は、(太線で表されている)上面2006と、(太線で表されている)底面2008と、側面2010とを備える。いくつかの実施形態では、側面210はまた、位置決め目的のためのミラーとして使用され得る。検査動作では、上面2006及びウェーハ304は、高電圧(例えば、-30キロボルト)でバイアスされ得る。一次電子ビーム220の偏向を避けるために、遮蔽板2002もまたバイアス電圧(例えば、-30キロボルト)でバイアスされ得る。底面2008は接地され得る。システム2000では、上面2006は高電圧部分と呼ばれ、底面2008は接地部分と呼ばれ得る。絶縁層が、上面2006と底面2008とを絶縁するために、側面2010上に設けられ得る。このような理由により、本開示では側面2010は絶縁面2010とも呼ばれ得る。
【0183】
[0207] 理想的な場合では、接地のおかげで底面2008の下には電場がない、又は遮蔽板2002のおかげで上面2006の上には電場がなく、電場は、上面2006と底面2008との間にのみ存在する。このような理想的な場合では、上面2006の高電圧は、絶縁面2010に沿って上面2006から底面2008に降下し得る。
【0184】
[0208] しかしながら、実際のシナリオでは、上面2006付近の電場が過度に強い場合、上面2006と絶縁面2010との間に電界放出が発生し得る。上面2006は導電性であり、電源に接続されているため、大量の電荷(例えば、電子)を供給し得る電荷源として実質的に機能し得る。電界放出に起因して発生した電荷(「電界放出電荷」と呼ばれる)は、上面2006から離脱して絶縁面2010に到着し得る。電界放出電荷の入射エネルギーが十分に高い場合、電界放出電荷は絶縁面2010に付着した気体分子を放出させ得、アバランシェ効果を引き起こし得る。アバランシェ効果により、上面2006と絶縁面2010との間で大電流がアーク放電し、静電ホルダ306付近の環境に大量の電荷が放電され得る。このような放電は、静電ホルダ306のクランプ電圧を乱し、その上に残留電荷を形成させることがあり、このことがウェーハのスティッキング問題を引き起こし得る。更に、このような放電は、環境から望ましくない粒子(例えば、粉塵)を引き付けることがあり、これがウェーハ検査のための一次電子ビーム220と干渉し得る。
【0185】
[0209] 上面2006の高電圧(すなわち、バイアス電圧)は、ウェーハを交換する又は点検のためにシステム2000をシャットダウンするためなど、状況によってはオン及びオフを切り替えられ得る。そのような状況では、上記のような放電を防ぐために、高電圧のランプアップ又はランプダウンが低速に制限され得、これにより、特にシステム2000がマルチビーム検査システムである場合には、システム2000のウェーハ検査のスループットが制限され得る。
【0186】
[0210] 本開示のいくつかの実施形態と同様に、装置及びシステムが、放電を引き起こすことのない高電圧の高速ランピングのために提供される。そのような装置は、装置の高電圧部分と装置の接地部分との間に配置されたアイソレータを備え得る。高電圧部分は高電圧を印加され得る。接地部分は、グラウンドに電気的に接続されることにより接地され得る。絶縁体は、高電圧部分と接地部分とを絶縁し得る。本装置はまた、高電圧部分に電気的に結合された第一電極と、接地部分に電気的に結合され、第一電極に導通していない第二電極とを備え得る。本装置は、アイソレータの上で第一電極及び第二電極を覆う誘電体層を更に備え得る。本明細書で使用される場合、「覆う」は、囲う、被包する、埋める、包む、埋め込む、重ねる、被覆する、又はある物体を別の物体若しくは環境から絶縁又は隔離する任意の行為を含み得る。例えば、誘電体層は、ガラス、セラミック、又は少なくとも3×10-11ファラッド毎メートルの誘電率を有する任意の材料で作られ得る。
【0187】
[0211] いくつかの実施形態では、高電圧部分は、第一表面(例えば、平板アノード)を備え得る。接地部分は、第一表面に平行である第二表面(例えば、平板カソード)を備え得る。アイソレータは、第一表面と第二表面との間に垂直面(例えば、側壁)を備え得る。
【0188】
[0212] いくつかの実施形態では、誘電体層はアイソレータの表面に付着され得る。このような場合、第一電極及び第二電極は、誘電体層とアイソレータの表面との間で覆われ得る。例えば、ガラス又はセラミックの層が絶縁体の表面に接着されてもよく、第一電極及び第二電極が層と表面との間に接着されてもよい。
【0189】
[0213] いくつかの実施形態では、アイソレータは、誘電体層を含み得る。そのような場合、第一電極及び第二電極は、アイソレータの内側に埋め込まれ得る。例えば、誘電体層は、絶縁体の同質部分であり得る。例として、第一電極及び第二電極は、粘土に埋め込まれ、同時焼成されて単一のセラミック体にしてもよい。
【0190】
[0214] いくつかの実施形態では、アイソレータは、第一電極及び第二電極を埋め込み得、追加の誘電体層がアイソレータの表面に付着され得る。アイソレータ上で第一電極及び第二電極を覆うことは、他の態様で実施されてもよく、本開示はそれらの態様を上述の例示的な実施形態に限定するものではないことに留意されたい。
【0191】
[0215] 本開示のいくつかの実施形態と同様、本装置は、第一導電性部分と第二導電性部分とを更に備え得る。第一導電性部分は、装置の高電圧部分に電気的に結合され、第一電極に容量的に結合され得る。例えば、第一導電性部分は高電圧部分から延びて第一電極に平行である平板であり得る。第二導電性部分は、装置の接地部分に電気的に結合され、第二電極に容量的に結合され得る。例えば、第二導電性部分は接地部分から延びて第二電極に平行である平板であり得る。
【0192】
[0216] 誘電体層は、アイソレータの表面にキャパシタを形成するのに寄与し得る。例えば、第一導電性部分、誘電体層、及び第一電極は、第一キャパシタを形成し得る。別の例として、第二導電性部分、誘電体層、及び第二電極は、第二キャパシタを形成し得る。キャパシタは、電界放出を生じ得る集中した電場の形成を防ぐことために、装置と、その周辺環境にある物体(例えば、装置の隣接する構成要素又は建築構造体)との間の容量結合を緩和し得る。キャパシタの容量が大きいほど、より良く緩和され得る。キャパシタの容量が十分に大きい場合、その大きい容量は、実質的に装置を真空状態にしているとみなすことができ、環境的な容量結合の影響が大幅に緩和され得る、又は排除され得る。
【0193】
[0217] キャパシタの容量は、その端子のオーバーラップ面積に比例し、2つの端子間の距離に反比例し得る。つまり、キャパシタの容量は、距離に対するオーバーラップする面積の比(「オーバーラップ対距離比」と称する)に比例し得る。例えば、第一キャパシタは、その2つの端子として第一導電部分と第一電極とを有し得、これらは、誘電体層の厚さだけ距離を空けられ、第一オーバーラップ面積を有する。第二キャパシタは、その2つの端子として第二導電部分と第二電極とを有し得、これらは、誘電体層の厚さだけ距離を空けられ、第二オーバーラップ面積を有する。
【0194】
[0218] いくつかの実施形態では、誘電体層の厚さが、第一導電性部分と第一電極との間の第一オーバーラップ面積、及び第二導電性部分と第二電極との間の第二オーバーラップ面積のうち小さい方の10分の1(すなわち、1/10)以下であり得る。このような場合、第一キャパシタと第二キャパシタとの両方が、少なくとも10のオーバーラップ対距離比を有し得、このことは、容量の増加に寄与し得る。
【0195】
[0219] いくつかの実施形態では、誘電体層の厚さが、誘電体層の表面と、装置に容量結合され、装置に属さない物体との間の距離の50分の1以下(例えば、1/50)であり得る。例えば、物体は、装置を取り囲む環境にある物体であり得る。物体及び第一導電性部分(又は第二導電性部分)は実効キャパシタを形成し得、物体と第一導電性部分(又は第二導電性部分)とがそれらの2つの端子となり、それらの間にあるすべての材料(例えば、空気)が誘電体材料となり得る。このような場合、第一キャパシタ(又は第二キャパシタ)の端子間距離が実効キャパシタの端子間距離よりもはるかに小さい(例えば、最大でも1/50)ため、第一キャパシタ(又は第二キャパシタ)の容量は実効キャパシタの容量を超え得、このことは、物体と装置との間の容量結合を緩和することに寄与し得る。
【0196】
[0220] 本開示のいくつかの実施形態と同様に、本装置は、ハウジングを更に備え得る。ハウジングは、ウェーハ検査システムのステージを囲むように構成され得る。高電圧部分は、ハウジングの上面を含み得る。接地部分は、ハウジングの底面を含み得る。アイソレータは、ハウジングの壁を含み得る。例えば、ハウジングは、ステージを囲うことの他に、静電ホルダを支持するために使用され得る。
【0197】
[0221] 本開示のいくつかの実施形態と同様に、本装置は、アイソレータ上で誘電体層によって覆われた複数の電極を備え得る。例えば、覆われた電極の数は、高電圧の値に依存し得る。いくつかの実施形態では、覆われた電極の数は、高電圧の値の比であり得る。そうすることにより、アイソレータの表面電圧が、高電圧のランプアップ又はランプダウン中に構成され得る。
【0198】
[0222] 例として、図21は、本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的な装置2100の図である。装置2100は、上面2006と、底面2008と、絶縁面2010とを含む、図20のシステム2000のいくつかの構成要素を備え得る。図20では、装置2100の高電圧部分が上面2006を含み得、装置2100の接地部分が底面2008を含み得る。上面2006は底面2008に平行であり得る。装置2100のアイソレータは、上面2006及び底面2008と垂直である絶縁面2010を含み得る。図21に示すように、絶縁面2010は、装置2100の上面2006と底面2008との間のアイソレータとして機能し得る。装置2100は、上面2006に電気的に結合された第一電極2102と、底面2008に電気的に結合され、第一電極2102に対して導通していない第二電極2104とを更に備える。
【0199】
[0223] 第一電極2102及び第二電極2104は絶縁面2010に固定され得る。絶縁面2010上に第一電極2102及び第二電極2104を導入することにより、上面2006と底面2008との間の電圧差が一定の割合で小さくなり得る。例えば、図21に示すように、ポイント2106とポイント2108との間の電圧差の値は、x方向に沿って減少し、実質的にゼロ電位に到達し(第二電極2104が接地されているため)、電圧曲線2110によって表されている。ポイント2106は第一電極2102の端部にあり得、ポイント2108は第二電極2104の端部にあり得る。図21に示すように、電圧曲線2110は、急激な変化なしで、一定の傾きを有する。このような場合、ポイント2106とポイント2108との間の電場は一定の強度を有し得、電場の勾配は、滑らかであり得、このことは、電界放出を生じ得る集中した電場の形成を防ぎ得る。
【0200】
[0224] 図21は、装置2100を取り囲む環境の影響を考慮しない理想的な場合を示す。実際のシナリオでは、環境にある物体、又は空気でさえも、容量結合などを介して装置2100と相互作用し得る。例えば、環境が導電性の物体(例えば、図20のシステム2000の隣接する構成要素又は建築構造体)を含む場合、それらの物体と絶縁面2010、第一電極2102、又は第二電極2104との間に容量が存在し得、これは、1つ又は複数の実効キャパシタとして表され得る。
【0201】
[0225] 例として、図22は、本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的な装置2200の図である。図22は、装置2200に対する環境の影響を考慮した実際の場合を示す。装置2200は装置2100と同様であり得、上面2006と、底面2008と、絶縁面2010と、第一電極2102と、第二電極2104とを備え得る。ポイント2106とポイント2108との間の電圧差の値は、x方向に沿って減少し、実質的にゼロ電位に到達し(第二電極2104が接地されているため)、電圧曲線2204によって表されている。
【0202】
[0226] 装置2200は、装置2200とその周辺環境にある物体との間に形成された容量を表す1つ又は複数の実効キャパシタを備える実効キャパシタセット2202を更に備える。実効キャパシタは、単に容量結合を表しているに過ぎず、実際のキャパシタではない。実効キャパシタセット2202の影響下で、図21の電圧曲線2110と比較して、電圧曲線2204は、異なる形状に変化し得、ポイント2106付近にある電場が集中して高い強度を有し得ることを表す急激な変化のポイント2206を含む。このような場合、電界放出がポイント2106付近で発生し得るおそれがある。
【0203】
[0227] 例として、図23は、本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的な装置2300の図である。装置2300は装置2100と同様であり得、上面2006と、底面2008と、絶縁面2010と、第一電極2102と、第二電極2104とを備え得る。(例えば、図22に示すような)環境からの容量結合の影響を緩和又は排除するために、装置2300はまた、絶縁面2010の上で第一電極2102及び第二電極2104を覆う誘電体層2306(点線の領域で表される)を備える。図23では、誘電体層2306が絶縁面2010に(例えば、斜線で表した糊2308を介して)付着され得る。図23では、第一電極2102及び第二電極2104が、誘電体層2306と絶縁面2010との間で覆われている。例えば、誘電体層2306は、ガラス又はセラミックの層であり得る。
【0204】
[0228] 図22の装置2200と同様に、装置2300は、その周囲の環境の物体と容量結合され得る。図23は、環境と第一導電性部分2302との間に形成された第一実効キャパシタ2310と、環境と第二導電性部分2304との間に形成された第二実効キャパシタ2316と、環境と誘電体層2306との間に形成された第三実効キャパシタ2318とを含む、そのような容量結合を反映する3つの実効キャパシタを示す。
【0205】
[0229] 装置2300は、第一導電性部分2302と第二導電性部分2304とを更に備える。第一導電性部分2302は、上面2006に電気的に結合され、第一電極2102に容量的に結合され得る。例えば、図23に示すように、第一導電性部分2302は、上面2006から延び、第一電極2102に平行である平板であり得る。第一導電性部分2302、第一電極2102、及びそれらの間の誘電体層2306の材料は、第一キャパシタ2312を形成し得る。第二導電性部分2304は、底面2008に電気的に結合され、第二電極2104に容量的に結合され得る。例えば、図23に示すように、第二導電性部分2304は、底面2008から延び、第二電極2104に平行である平板であり得る。第二導電性部分2304、第二電極2104、及びそれらの間の誘電体層2306の材料は、第二キャパシタ2314を形成し得る。第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314は、(第一実効キャパシタ2310、第二実効キャパシタ2316、及び第三実効キャパシタ2318で表されるような)装置と環境との間の容量結合を緩和し、電界放出を生じ得る集中した電場の形成を防ぐことができる。
【0206】
[0230] 装置2300とその周辺環境との間の容量結合を効果的に緩和する一つの方法は、それらの容量結合(例えば第一実効キャパシタ2310、第二実効キャパシタ2316、及び第三実効キャパシタ2318の容量)よりもはるかに高いレベルまで、第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314の容量を増加させることである。例えば、第一キャパシタ2312は、その2つの端子として第一導電性部分2302と第一電極2102とを有し得、これらは、誘電体層2306の厚さだけ距離を空けられ、第一オーバーラップ面積を有する。第二キャパシタ2314は、その2つの端子として第二導電性部分2304と第二電極2104とを有し得、これらは、誘電体層2306の厚さだけ距離を空けられ、第二オーバーラップ面積を有する。キャパシタの容量はオーバーラップ対距離比に比例するため、装置は、第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314が高いオーバーラップ対距離比を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層2306の厚さは、第一キャパシタ2312の第一オーバーラップ面積及び第二キャパシタ2314の第二オーバーラップ面積のうち小さい方の10分の1(すなわち、1/10)以下であり得る。このような場合、第一キャパシタ2312と第二キャパシタ2314との両方が、少なくとも10のオーバーラップ対距離比を有し得、このことは、容量の増加に寄与し得る。
【0207】
[0231] 第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314の容量をそれら容量結合の容量よりもはるかに大きいレベルにするために、装置2300はまた、第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314の両方のオーバーラップ対距離比が、第一実効キャパシタ2310、第二実効キャパシタ2316、及び第三実効キャパシタ2318のオーバーラップ対距離比よりも大きくなるように構成され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層2306の厚さが、誘電体層2306の表面と、装置2300に容量結合され、装置2300に属さない物体との間の距離の50分の1以下(例えば、1/50)であり得る。例えば、物体は、装置2300を取り囲む環境にある最も近い物体であり得る。このような場合、第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314の両方の容量は、第一実効キャパシタ2310、第二実効キャパシタ2316、及び第三実効キャパシタ2318の容量を超え得る。なぜなら、第一キャパシタ2312及び第二キャパシタ2314の両方の端子間距離は、第一実効キャパシタ2310、第二実効キャパシタ2316、及び第三実効キャパシタ2318の端子間距離よりもはるかに小さい(例えば、最大で1/50)ためである。このことは、装置2300とその環境との間の容量結合を緩和することに寄与し得る。
【0208】
[0232] 図23に示すように、ポイント2106とポイント2108との間の電圧差の値は、x方向に沿って減少し、実質的にゼロ電位に到達し(第二電極2104が接地されているため)、電圧曲線2320によって表されている。図23の電圧曲線2204と比較して、電圧曲線2320は、急激な変化なしで、平滑な傾きを有する。このような場合、ポイント2106とポイント2108との間に集中した電場が形成されないため、電界放出が防止され得る。
【0209】
[0233] いくつかの実施形態では、誘電体層は、第一電極2102及び第二電極2104を内部に埋め込み得る。例として、図24は、本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的な装置2400の図である。装置2400は、図23の装置2300と同様であり得、上面2006と、底面2008と、第一電極2102と、第二電極2104と、第一導電性部分2302と、第二導電性部分2304と、第一キャパシタ2312と、第二キャパシタ2314と、第一実効キャパシタ2310と、第二実効キャパシタ2316と、第三実効キャパシタ2318とを備える。装置2300とは対照的に、装置2400は、絶縁面2010、誘電体層2306、又は糊2308を含まない。代わりに、装置2400は、図24の点線領域によって表されるように、単一の誘電体(例えば、セラミック体又はガラス体)であるアイソレータ2402を備える。
【0210】
[0234] アイソレータ2402は、装置2300の誘電体層2306に相当すると見なされ得る表面層2404を備え得る。図24に示すように、第一電極2102及び第二電極2104は、アイソレータ2402の内側に埋め込まれ得る。一例として、アイソレータ2402を製造するために、第一電極2102及び第二電極2104が粘土に埋めまれ、電極を埋め込んだ粘土が同時焼成されて単一のセラミック体にされ得る。
【0211】
[0235] 図24に示すように、ポイント2106とポイント2108との間の電圧差の値は、x方向に沿って減少し、実質的にゼロ電位に到達し(第二電極2104が接地されているため)、急激な変化なしで平滑な傾きを有する電圧曲線2406によって表されている。電圧曲線2406は、図23の電圧曲線2204と同様であり得る。このような場合、ポイント2106とポイント2108との間に集中した電場が形成されないため、電界放出が防止され得る。
【0212】
[0236] 例として、図25は、本開示のいくつかの実施形態による、放電を起こさない高電圧の高速ランピングのための例示的なウェーハ検査システム2500の断面図である。システム2500は、図20のシステム2000、図23の装置2300、及び図24の装置2400と同様であり得る。システム2500は、静電ホルダ306と、ウェーハ304と、ハウジング1902と、一次電子ビーム220と、遮蔽板2002と、空洞2004と、上面2006と、底面2008と、絶縁面2010とを備える。システム2000とは対照的に、システム2500は、第一電極2102と、第二電極2104と、第一導電性部分2302と、第二導電性部分2304と、アイソレータ2502とを更に備える。いくつかの実施形態では、アイソレータ2502は、図23の誘電体層2306と同様に実施され得る。いくつかの実施形態では、アイソレータ2502は、図24のアイソレータ2402と同様に実施され得る。図25では、アイソレータ2502は、第一電極2102と第二電極2104との間にある記号のセットとして示され、これらの記号は、アイソレータ2502の誘電体材料によって発生する実効容量結合及び抵抗結合を表している。
【0213】
[0237] 図20図25に関連して図示及び説明されているように。本開示で提供される装置及びシステムは、強い電場の形成を防止し得る。本装置及びシステムは、滑らかに弱まる電場を間に形成するための電極を導入し、これにより電界放出が生じ得る電場の急激な変化を避けることができる。更に、絶縁面上で第一電極及び第二電極を覆うことにより、本装置又はシステムと周囲の環境との間にある容量結合が緩和され得る。まとめると、本装置及びシステムは、不要な放電を引き起こさない高電圧の高速ランピング、ウェーハスティッキングの問題の可能性の低下、ウェーハ検査のスループットの大幅な向上、及び不要な放電に起因する環境への害の抑制をもたらし得る。
【0214】
[0238] 放電を起こさない高電圧の高速ランピングを実施するために、電極を覆った状態でアイソレータを使用する他に、他の方法もまた使用され得ることに留意されたい。例えば、アイソレータを抵抗面に置き換えてもよく、覆った電極が抵抗面による両者の間の抵抗結合を介して電圧差を小さくし得る。しかしながら、抵抗表面で熱放散が起こり得、これにより周囲部分の変形が生じることがある。
【0215】
[0239] また、図20図25に関連して説明した装置及びシステムは、ウェーハ接地又はウェーハ検査での使用に限定されるものではないことに留意されたい。そうではなく、図20図25に関連して説明した装置及びシステムは、高電圧部分と接地部分とを備え、高速ランピング又はランプダウンの需要がある任意のシステム又は装置で使用され得る。例えば、そのようなシステム又は装置としては、SEM、透過型電子顕微鏡(TEM)、又はX線装置が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。
【0216】
[0240] 更なる実施形態が、以下の条項において説明され得る。
条項1.
ウェーハを接地するための方法であって、本方法が、
接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で受信することと、
少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定することと、
第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することと、
を含む、方法。
条項2.
電気的特性が、ウェーハと、ウェーハを支持するウェーハマウントとを含む電気経路に関連する、条項1に記載の方法。
条項3.
電気経路の抵抗が所定の閾値以上であるという決定に基づいて、少なくとも第一値を用いて第二制御パラメータを決定することであって、第二制御パラメータと第一制御パラメータとが異なる値を有する、ことと、
第二制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することと、
を更に含む、条項2に記載の方法。
条項4.
所定の閾値が100,000オームである、条項3に記載の方法。
条項5.
第一制御パラメータを決定することが、
第一値と電気的特性の目標値との比較に基づいて、第一制御パラメータを決定すること
を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項6.
第一制御パラメータを決定することが、
第一値と目標値との間の差が閾値条件を満たすか否かを決定することと、
差が閾値条件を満たすという決定に基づいて、第一制御パラメータを決定することと、
を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項7.
電気的特性が、インピーダンス、抵抗、容量性リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス、又は容量性サセプタンスのうちの少なくとも1つを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項8.
電気的特性が、ウェーハとウェーハマウントとの間の抵抗、又はウェーハとウェーハマウントとの間の容量性リアクタンスのうちの一方を含む、条項7に記載の方法。
条項9.
閾値条件が、第一値が目標値以下であることを含む、条項8に記載の方法。
条項10.
第一制御パラメータを決定することが、
少なくとも第一値を用いて初期パラメータを決定することと、
少なくとも初期パラメータ、第一値、目標値、及びウェーハのタイプに基づいて、第一制御パラメータを決定することと、
を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項11.
第一制御パラメータを決定することが、
機械学習技法を用いて第一制御パラメータを決定することであって、機械学習技法への入力が、初期パラメータ、第一値、目標値、及びウェーハのタイプを含む、こと
を含む、条項10に記載の方法。
条項12.
電気信号の特性が、電圧、電流、電圧若しくは電流のプロファイル、プロファイルの周波数、プロファイルの周期、プロファイルの位相、プロファイルの振幅、又は電圧若しくは電流の持続時間のうちの少なくとも1つを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項13.
プロファイルが、正弦波形状を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項14.
第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することが、
第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性の値を変更すること
を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項15.
電気信号の特性を制御することが、
電気信号の電圧を降下させること
を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項16.
第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することの後、電気的特性の第二値を受信することと、
少なくとも第二値を用いて第三制御パラメータを決定することであって、第三制御パラメータと第一制御パラメータとが異なる値を有する、ことと、
第三制御パラメータ及び第二値を用いて電気信号の特性を制御することと、
を更に含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
条項17.
第三制御パラメータと第一制御パラメータとが異なるタイプの制御パラメータである、条項16に記載の方法。
条項18.
ウェーハを接地するためのシステムであって、本システムが、
接地されるウェーハに関連する電気的特性の第一値を電気信号で生成するように構成されたセンサと、
電気信号を発生させるように構成された電気信号発生器と、
電気的特性の第一値を受信することと、少なくとも第一値を用いて第一制御パラメータを決定することと、第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することとのための回路を備えるコントローラと、
を備える、システム。
条項19.
電気信号発生器とウェーハとの間に電気的に接続された接地ピン
を更に備える、条項18に記載のシステム。
条項20.
電気的特性が、ウェーハと、ウェーハを支持するウェーハマウントと、接地ピンと、を含む電気経路に関連する、条項18又は19に記載のシステム。
条項21.
コントローラが、
電気経路の抵抗が所定の閾値以上であるという決定に基づいて、少なくとも第一値を用いて第二制御パラメータを決定することであって、第二制御パラメータと第一制御パラメータとが異なる値を有することと、
第二制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することと、
のための回路を備える、条項20に記載のシステム。
条項22.
所定の閾値が100,000オームである、条項21に記載のシステム。
条項23.
第一制御パラメータを決定することが、
第一値と電気的特性の目標値との比較に基づいて、第一制御パラメータを決定すること
を含む、条項18~22の何れか一項に記載のシステム。
条項24.
第一制御パラメータを決定することが、
第一値と目標値との間の差が閾値条件を満たすか否かを決定することと、
差が閾値条件を満たすという決定に基づいて、第一制御パラメータを決定することと、
を含む、条項18~23の何れか一項に記載のシステム。
条項25.
電気的特性が、インピーダンス、抵抗、容量性リアクタンス、アドミタンス、コンダクタンス、又は容量性サセプタンスのうちの少なくとも1つを含む、条項18~24の何れか一項に記載のシステム。
条項26.
電気的特性が、ウェーハとウェーハマウントとの間の抵抗、又はウェーハとウェーハマウントとの間の容量性リアクタンスのうちの一方を含む、条項25に記載のシステム。
条項27.
閾値条件が、第一値が目標値以下であることを含む、条項26に記載のシステム。
条項28.
第一制御パラメータを決定することが、
少なくとも第一値を用いて初期パラメータを決定することと、
少なくとも初期パラメータ、第一値、目標値、及びウェーハのタイプに基づいて、第一制御パラメータを決定することと、
を含む、条項18~27の何れか一項に記載のシステム。
条項29.
第一制御パラメータを決定することが、
機械学習技法を用いて第一制御パラメータを決定することであって、機械学習技法への入力が、初期パラメータ、第一値、目標値、及びウェーハのタイプを含む、こと
を含む、条項28に記載のシステム。
条項30.
電気信号の特性が、電圧、電流、電圧若しくは電流のプロファイル、プロファイルの周波数、プロファイルの周期、プロファイルの位相、プロファイルの振幅、又は電圧若しくは電流の持続時間のうちの少なくとも1つを含む、条項18~29の何れか一項に記載のシステム。
条項31.
プロファイルが、正弦波形状を含む、条項18~30の何れか一項に記載のシステム。
条項32.
電気信号の特性を制御することが、
電気信号の電圧を降下させること
を含む、条項18~31の何れか一項に記載のシステム。
条項33.
コントローラが、
第一制御パラメータ及び第一値を用いて電気信号の特性を制御することの後、センサから電気的特性の第二値を受信することと、
少なくとも第二値を用いて第三制御パラメータを決定することであって、第三制御パラメータと第一制御パラメータとが異なる値を有する、ことと、
第二制御パラメータ及び第二値を用いて電気信号の特性を制御することと、
のための回路を備える、条項18~32の何れか一項に記載のシステム。
条項34.
第三制御パラメータと第一制御パラメータとが異なるタイプの制御パラメータである、条項33に記載のシステム。
条項35.
ウェーハの接地位置を調整するための方法であって、本方法が、
ウェーハとウェーハに接触している接地ピンとの間の電気的接続を終了することと、
ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整することと、
接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することと、
を含む、方法。
条項36.
ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了することが、
ウェーハの底面と接触し、ウェーハマウントの底部に固定されたリフタを使用して、ウェーハを支持するウェーハマウントから離れるようにウェーハを上昇させることであって、接地ピンがウェーハマウントの上部に固定され、ウェーハが上部に載っているときに接地ピンがウェーハの底面に接触する、こと
を含む、条項35に記載の方法。
条項37.
接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することが、
リフタを使用してウェーハマウントの上部上にウェーハを下降させること
を含む、条項36に記載の方法。
条項38.
ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了することが、
ウェーハマウントに載っているウェーハの底面から接地ピンを下降させることであって、接地ピンがウェーハマウントにおいて垂直方向に可動であること
を含む、条項35に記載の方法。
条項39.
接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することが、
ウェーハの底面に接触するように接地ピンを上昇させること
を含む、条項38に記載の方法。
条項40.
ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了することが、
ウェーハを支持するウェーハマウントの上部を下降させることであって、接地ピンがウェーハマウントの上部に固定され、ウェーハの底面がウェーハマウントの底部に固定された非可動式支持部に接触し、上部が下降されていないときに接地ピンがウェーハの底面に接触すること
を含む、条項35に記載の方法。
条項41.
接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することが、
ウェーハマウントの上部を上昇させること
を含む、条項40に記載の方法。
条項42.
ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了することが、
ウェーハマウントからプラットフォームにウェーハを取り外すことであって、接地ピンがウェーハマウントに固定され、ウェーハがウェーハマウントに載っているときにウェーハに接触すること
を含む、条項35に記載の方法。
条項43.
接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復することが、
プラットフォームからウェーハマウント上にウェーハを移動させること
を含む、条項42に記載の方法。
条項44.
接地ピンが、ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了する前の接地ピンと底面との間の圧力とは異なる圧力でウェーハの底面に接触する、条項35~43の何れか一項に記載の方法。
条項45.
接地ピンが同じ相対位置でウェーハの底面に接触する、条項35~44の何れか一項に記載の方法。
条項46.
ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整することが、
接地ピンとウェーハとの間の相対アジマス角を所定の角度だけ調整すること
を含む、条項35~45の何れか一項に記載の方法。
条項47.
所定の角度が、ウェーハと接地ピンとの間の現在の相対アジマス角と、ウェーハと接地ピンとの間の目標の相対アジマス角との間の差である、条項46に記載の方法。
条項48.
相対アジマス角を調整することが、
ウェーハマウントの底部に対してウェーハマウントの上部を所定の角度だけ回転させること
を含む、条項46~47に記載の方法。
条項49.
相対アジマス角を調整することが、
ウェーハマウントに対して接地ピンを所定の角度だけ回転させることであって、接地ピンがウェーハマウントに対して回転運動において可動であること
を含む、条項46~47に記載の方法。
条項50.
相対アジマス角を調整することが、
プラットフォームにウェーハを所定の角度だけ回転させること
を含む、条項46~47に記載の方法。
条項51.
ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整することが、
ウェーハと接地ピンとの間の相対並進運動距離を所定の距離だけ調整すること
を含む、条項35~45の何れか一項に記載の方法。
条項52.
ウェーハを接地するための電気経路が形成されているか否かを決定することと、
電気経路が形成されていないとの決定に基づいて、ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了することと、
を更に含む、条項35~51の何れか一項に記載の方法。
条項53.
ウェーハの接地位置を調整するためのシステムであって、本システムが、
ウェーハと接触するように構成された接地ピンと、
ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了し、ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整し、接地ピンとウェーハとの間の電気的接続を回復するように構成されたアクチュエータと、
を備える、システム。
条項54.
底部と上部とを備えるウェーハマウントであって、上部が、ウェーハを支持し、接地ピンを固定するように構成され、アクチュエータが、上部を移動させるように更に構成され、接地ピンが、ウェーハが上部に載っているときにウェーハの底面に接触する、ウェーハマウント
を更に備える、条項53に記載のシステム。
条項55.
アクチュエータが、底面に接触し、底部に固定されたリフタを備え、
接地ピンが上部に固定され、
リフタが、上部から離れるようにウェーハを上昇させるように構成される、条項54に記載のシステム。
条項56.
リフタが、上部上にウェーハを下降させるように構成される、条項55に記載のシステム。
条項57.
アクチュエータが、底面に接触し、底部に固定された非可動式支持部 を更に備え、リフタが上部を下降させるように構成される、条項55に記載のシステム。
条項58.
リフタが、上部を上昇させるように構成される、条項57に記載のシステム。
条項59.
接地ピンがウェーハマウントにおいて垂直方向に可動であり、
底面が上部に載っており、
ウェーハと接地ピンとを引き離すように構成されたアクチュエータが、底面から接地ピンを下降させるように更に構成される、条項54に記載のシステム。
条項60.
ウェーハと接地ピンとを引き離すように構成されたアクチュエータが、
底面に接触するように接地ピンを上昇させる
ように更に構成される、条項59に記載のシステム。
条項61.
ウェーハを回転させるように構成されたプラットフォーム
を更に備え、
ウェーハと接地ピンとを引き離すように構成されたアクチュエータが、ウェーハマウントからプラットフォームにウェーハピンを取り外すように更に構成される、条項54に記載のシステム。
条項62.
接地ピンとウェーハとを再び付けるように構成されたアクチュエータが、プラットフォームからウェーハマウント上にウェーハを移動させるように更に構成される、条項61に記載のシステム。
条項63.
接地ピンが、ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了する前の接地ピンと底面との間の圧力とは異なる圧力で底面に接触する、条項53~62の何れか一項に記載のシステム。
条項64.
接地ピンが、同じ相対位置で底面に接触する、条項53~63の何れか一項に記載の方法。
条項65.
ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整するように構成されたアクチュエータが、
接地ピンとウェーハとの間の相対アジマス角を所定の角度だけ調整する
ように更に構成される、条項54~64の何れか一項に記載のシステム。
条項66.
所定の角度が、ウェーハと接地ピンとの間の現在の相対アジマス角と、ウェーハと接地ピンとの間の目標の相対アジマス角との間の差である、条項65に記載のシステム。
条項67.
相対アジマス角を調整するように構成されたアクチュエータが、底部に対して上部を所定の角度だけ回転させるように更に構成される、条項65又は66に記載のシステム。
条項68.
接地ピンが上部に対して回転運動において可動であり、
相対アジマス角を調整するように構成されたアクチュエータが、上部に対して接地ピンを所定の角度だけ回転させるように更に構成される、条項65又は66に記載のシステム。
条項69.
プラットフォームが、ウェーハを所定の角度だけ回転させるように更に構成される、条項65又は66に記載のシステム。
条項70.
ウェーハと接地ピンとの間の相対位置を調整するように構成されたアクチュエータが、
ウェーハと接地ピンとの間の相対並進運動距離を所定の距離だけ調整する
ように更に構成される、条項53~69の何れか一項に記載のシステム。
条項71.
アクチュエータが、
ウェーハを接地するための電気経路が形成されていないとの決定に基づいて、ウェーハと接地ピンとの間の電気的接続を終了する
ように更に構成される、条項53~70の何れか一項に記載のシステム。
条項72.
ウェーハを接地する方法であって、本方法が、
複数のプローブとウェーハとの間に接点のセットを確立することと、
ウェーハのコーティングの破壊を促進するために、複数のプローブを介して接点のセットに電気信号の第一セットを印加することと、
ウェーハを介する複数のプローブの間の電気経路の抵抗が所定の閾値以上であるとの決定に基づいて、複数のプローブを介して接点のセットに電気信号の第二セットを印加することであって、電気信号の第二セットが、電気信号の第一セットを印加するときのウェーハに関連する電気的特性の値に基づいて決定されることと、
を含む、方法。
条項73.
プローブが接地ピンを含む、条項72に記載の方法。
条項74.
電気信号の第一セットが、電圧パルスのセットを含む、条項72又は73に記載の方法。
条項75.
破壊が絶縁破壊を含む、条項72~74の何れか一項に記載の方法。
条項76.
所定の閾値が100,000オームである、条項72~75の何れか一項に記載の方法。
条項77.
ウェーハを接地する方法であって、本方法が、
複数のプローブとウェーハとの間に接点の第一セットを確立することと、
ウェーハのコーティングの破壊を促進するために、複数のプローブを介して接点の第一セットに電気信号の第一セットを印加することと、
ウェーハを介する複数のプローブの間の電気経路の抵抗が所定の閾値以上である場合、複数のプローブとウェーハとの間に接点の第二セットを確立することと、
複数のプローブを介して接点の第二セットに電気信号の第二セットを印加することであって、電気信号の第二セットが、電気信号の第一セットを印加するときのウェーハに関連する電気的特性の値に基づいて決定される、ことと、
を含む、方法。
条項78.
プローブが接地ピンを含む、条項77に記載の方法。
条項79.
電気信号の第一セットが、電圧パルスのセットを含む、条項77又は78に記載の方法。
条項80.
破壊が絶縁破壊を含む、条項77~79の何れか一項に記載の方法。
条項81.
所定の閾値が100,000オームである、条項77~80の何れか一項に記載の方法。
条項82.
ウェーハを接地する方法であって、本方法が、
ウェーハに接地ピンを接触させることと、
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることと、
接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することと、
を含む、方法。
条項83.
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることが、
接地ピンと、ウェーハを支持するウェーハマウントの上部とに結合された振動子を振動させること
を含む、条項82に記載の方法。
条項84.
振動子が上部である、条項83に記載の方法。
条項85.
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることが、
ウェーハを支持するウェーハマウント上のウェーハを固定するウェーハホルダを振動させること
を含む、条項82~84の何れか一項に記載の方法。
条項86.
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることが、
ウェーハの表面に垂直な方向又は表面に平行な方向のうちの少なくとも一方に沿って、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させること
を含む、条項82~85の何れか一項に記載の方法。
条項87.
接地ピン又はウェーハの間の電気的接続を確立することが、
ウェーハと直接接触するように、表面のコーティングを介してウェーハの表面に接地ピンを押し当てること
を含む、条項82~86の何れか一項に記載の方法。
条項88.
接地ピン又はウェーハの間の電気的接続を確立することが、
表面のコーティングを介してウェーハの表面に接地ピンを押し当てることであって、接地ピンがコーティングを完全に貫通しないこと
を含む、条項82~87の何れか一項に記載の方法。
条項89.
ウェーハと接触するように構成された接地ピンと、
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることと、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することと、のための回路を有するコントローラと、
を備える、システム。
条項90.
接地ピンと、ウェーハを支持するウェーハマウントの上部とに結合され、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させるように構成された振動子
を更に備える、条項89に記載のシステム。
条項91.
振動子が上部である、条項90に記載のシステム。
条項92.
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることが、
ウェーハを支持するウェーハマウント上のウェーハを固定するウェーハホルダを振動させること
を含む、条項89~91の何れか一項に記載のシステム。
条項93.
接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させることが、
ウェーハの表面に垂直な方向又は表面に平行な方向のうちの少なくとも一方に沿って、接地ピン又はウェーハのうちの少なくとも一方を振動させること
を含む、条項89~92の何れか一項に記載のシステム。
条項94.
接地ピン又はウェーハの間に電気的接続を確立することが、
ウェーハと直接接触するように、表面のコーティングを介してウェーハの表面に接地ピンを押し当てること
を含む、条項89~93の何れか一項に記載のシステム。
条項95.
接地ピン又はウェーハの間に電気的接続を確立することが、
表面のコーティングを介してウェーハの表面に接地ピンを押し当てることであって、接地ピンがコーティングを完全に貫通しないこと
を含む、条項89~94の何れか一項に記載のシステム。
条項96.
ウェーハを接地する方法であって、本方法が、
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることと、
接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することと、
を含む、方法。
条項97.
コーティングが0.3ミクロンを超える厚さを有する、条項0に記載の方法。
条項98.
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることが、
ウェーハと直接接触するように、衝突によってコーティングに接地ピンを貫通させること
を含む、条項96又は0に記載の方法。
条項99.
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることが、
衝突によって接地ピンにコーティングを貫通させることであって、接地ピンがコーティングを完全に貫通しないこと
を含む、条項96又は0に記載の方法。
条項100.
接地ピンが衝撃によってコーティングを貫通した後の接地ピンの先端とウェーハの表面との間の距離が、0.3ミクロン以下である、条項0に記載の方法。
条項101.
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることが、
ウェーハに向けて接地ピンを作動させること
を含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項102.
ウェーハに向けて接地ピンを作動させることが、
ある距離だけウェーハから離れるように接地ピンを移動させることと、
ウェーハに向けて接地ピンを加速させることと、
を含む、条項0に記載の方法。
条項103.
ウェーハに向けて接地ピンを作動させることが、接地ピンの運動エネルギーが0.0002ジュールを超えるように構成される、条項101又は0に記載の方法。
条項104.
距離が100ミクロン又は1ミリメートルを超える、条項0又は103に記載の方法。
条項105.
ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、距離を決定すること
を更に含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項106.
ウェーハから離れるように接地ピンを移動させる前に、ウェーハに接地ピンを接触させること
を更に含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項107.
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることが、
ウェーハに向かう接地ピンにマスブロックを衝突させること
を含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項108.
ウェーハに向かう接地ピンにマスブロックを衝突させることが、
接地ピンに向けてマスブロックを作動させること
を含む、条項0に記載の方法。
条項109.
接地ピンに向けてマスブロックを作動させることが、
ある距離だけ接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させることと、
接地ピンに向けてマスブロックを加速させることと、
を含む、条項0に記載の方法。
条項110.
接地ピンに向けてマスブロックを作動させることが、マスブロックの運動エネルギーが0.0002ジュールを超えるように構成される、条項108又は0に記載の方法。
条項111.
距離が100ミクロン又は1ミリメートルを超える、条項0又は110に記載の方法。
条項112.
ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、距離を決定すること
を更に含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項113.
接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させる前に、マスブロックに接地ピンに接触させること
を更に含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項114.
接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させる前に、ウェーハに接地ピンを接触させること
を更に含む、条項0~0の何れか一項に記載の方法。
条項115.
接地ピンと、
衝突によってウェーハ上のコーティングを貫通するように接地ピンを制御することと、接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することと、のための回路を有するコントローラと、
を備える、システム。
条項116.
ウェーハを支持するウェーハステージに結合されたアクチュエータ
を更に備える、条項0に記載のシステム。
条項117.
アクチュエータが、電気式アクチュエータ、磁気式アクチュエータ、電磁式アクチュエータ、ばね、空気圧式アクチュエータ、又は油圧式アクチュエータのうちの1つを含む、条項0に記載のシステム。
条項118.
アクチュエータが、接地ピンを作動させるように構成される、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項119.
コーティングが0.3ミクロンを超える厚さを有する、条項0に記載のシステム。
条項120.
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させるための回路を有するコントローラが、
衝突によって接地ピンにコーティングを貫通させるための回路であって、接地ピンがウェーハと直接接触する、又は接地ピンがコーティングを完全に貫通しない、回路
を備える、条項0又は119に記載のシステム。
条項121.
接地ピンが衝撃によってコーティングを貫通した後の接地ピンの先端とウェーハの表面との間の距離が、0.3ミクロン以下である、条項0に記載のシステム。
条項122.
衝突によってウェーハ上のコーティングを貫通するように接地ピンを制御するための回路を有するコントローラが、
ウェーハに向けて接地ピンを作動させるための回路
を備える、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項123.
ウェーハに向けて接地ピンを作動させるための回路を有するコントローラが、
ある距離だけウェーハから離れるように接地ピンを移動させることと、
ウェーハに向けて接地ピンを加速させることと、
のための回路を備える、条項0に記載のシステム。
条項124.
ウェーハに向けて接地ピンを作動させることのための回路が、接地ピンの運動エネルギーが0.0002ジュールを超えるように構成される、条項122又は0に記載のシステム。
条項125.
距離が100ミクロン又は1ミリメートルを超える、条項0又は124に記載のシステム。
条項126.
回路を有するコントローラが、更に、
ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、距離を決定すること
のためである、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項127.
回路を有するコントローラが、更に、
ウェーハから離れるように接地ピンを移動させる前に、ウェーハに接触するように接地ピンを制御すること
のためである、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項128.
マスブロックであって、アクチュエータがマスブロックを作動させるように構成される、マスブロック
を更に備える、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項129.
衝突によってウェーハ上のコーティングを貫通するように接地ピンを制御するための回路を有するコントローラが、
ウェーハに向かう接地ピンに衝突するようにマスブロックを作動させるための回路
を備える、条項0に記載のシステム。
条項130.
ウェーハに向かう接地ピンに衝突するようにマスブロックを作動させるための回路を有するコントローラが、
接地ピンに向けてマスブロックを作動させるための回路
を備える、条項0に記載のシステム。
条項131.
接地ピンに向けてマスブロックを作動させるための回路を有するコントローラが、
ある距離だけ接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させることと、
接地ピンに向けてマスブロックを加速させることと、
のための回路を備える、条項0に記載のシステム。
条項132.
接地ピンに向けてマスブロックを作動させるための回路が、マスブロックの運動エネルギーが0.0002ジュールを超える、条項130又は0に記載のシステム。
条項133.
距離が100ミクロン又は1ミリメートルを超える、条項0又は132に記載のシステム。
条項134.
回路を有するコントローラが、更に、
ウェーハのタイプ、ウェーハのコーティングのタイプ、又はコーティングの厚さのうちの少なくとも1つに基づいて、距離を決定すること
のためである、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項135.
回路を有するコントローラが、更に、
接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させる前に、接地ピンに接触するようにマスブロックを制御すること
のためである、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項136.
回路を有するコントローラが、更に、
接地ピンから離れるようにマスブロックを移動させる前に、ウェーハに接触するように接地ピンを制御すること
のためである、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項137.
装置に方法を実行させるために、装置の少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、本方法が、
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることと、
接地ピンとウェーハとの間に電気的接続を確立することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
条項138.
第一接地ピンと、
静電ホルダの内側に第一電極を備える静電ホルダと、
第一接地ピンと第一電極との間に電気的に結合された第一過電圧保護デバイスであって、第一過電圧保護デバイスに印加された第一電圧が閾値電圧を超えたときに電気を通し、第一電圧が閾値電圧を超えないときに電気を通すことを停止する、ように構成される、第一過電圧保護デバイスと、
を備える、ウェーハ接地のためのシステム。
条項139.
第一過電圧保護デバイスが、複数の方向に電気を通すことができるように構成される、条項0に記載のシステム。
条項140.
閾値電圧が第一過電圧保護デバイスの電気的特性である、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項141.
閾値電圧が調整可能である、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項142.
第一過電圧保護デバイスが、過渡電圧抑制(TVS)ダイオード、ツェナーダイオード、バリスタ、又は交流用シリコンダイオード(SIDAC)のうちの少なくとも1つを含む、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項143.
静電ホルダ及び第一接地ピンを取り囲むように構成された凹面と、凹面上の第一インターフェイスであって、第一インターフェイスが第一電極のワイヤリングと嵌合するように構成される、第一インターフェイス、及び凹面上の第二インターフェイスであって、第二インターフェイスが第一接地ピンのワイヤリングと嵌合するように構成される、第二インターフェイスのうちの少なくとも一方とを備える、ハウジング
を更に備える、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項144.
第一過電圧保護デバイスが、ハウジングの内側にある、条項0に記載のシステム。
条項145.
第一過電圧保護デバイスが、ハウジングの外側にある、条項0に記載のシステム。
条項146.
静電ホルダが、静電ホルダの内側に第二電極を備える、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項147.
第一接地ピンと第二電極との間に電気的に結合された第二過電圧保護デバイスであって、第二過電圧保護デバイスに印加された第二電圧が閾値電圧を超えたときに電気を通し、第二電圧が閾値電圧を超えないときに電気を通すことを停止する、ように構成される、第二過電圧保護デバイス
を更に備える、条項0に記載のシステム。
条項148.
第二接地ピンと、
第二接地ピンと第一電極との間に電気的に結合された第三過電圧保護デバイスであって、第三過電圧保護デバイスに印加された第三電圧が閾値電圧を超えたときに電気を通し、第三電圧が閾値電圧を超えないときに電気を通すことを停止する、ように構成される、第三過電圧保護デバイスと、
を更に備える、条項0~0の何れか一項に記載のシステム。
条項149.
高電圧の高速ランピングのための装置であって、
装置の高電圧部分と装置の接地部分との間に配置されたアイソレータと、
高電圧部分に電気的に結合された第一電極と、
接地部分に電気的に結合され、第一電極に導通していない第二電極と、
アイソレータの上で第一電極及び第二電極を覆う誘電体層と、
を備える、装置。
条項150.
誘電体層がアイソレータの表面に付着され、第一電極及び第二電極が誘電体層とアイソレータの表面との間で覆われる、条項0に記載の装置。
条項151.
アイソレータが誘電体層を備え、第一電極及び第二電極がアイソレータの内側に埋め込まれる、条項0に記載の装置。
条項152.
装置の高電圧部分に電気的に結合され、第一電極に容量的に結合された第一導電性部分と、
装置の接地部分に電気的に結合され、第二電極に容量的に結合された第二導電性部分と、
を更に備える、条項0~0の何れか一項に記載の装置。
条項153.
誘電体層の厚さが、第一導電性部分と第一電極との間の第一オーバーラップ面積、及び第二導電性部分と第二電極との間の第二オーバーラップ面積のうち小さい方の10分の1以下である、条項0に記載の装置。
条項154.
誘電体層の厚さが、誘電体層の表面と、装置に容量結合され、装置に属さない物体との間の距離の50分の1以下である、条項0~0の何れか一項に記載の装置。
条項155.
誘電体層の材料が、3×10-11ファラッド毎メートル以上の誘電率を有する、条項0~0の何れか一項に記載の装置。
条項156.
材料がガラス又はセラミックを含む、条項0に記載の装置。
条項157.
高電圧部分が第一表面を備え、接地部分が第一表面に平行な第二表面を備え、アイソレータが第一表面及び第二表面に垂直な表面を備える、条項0~0の何れか一項に記載の装置。
条項158.
ウェーハを支持するステージを囲むように構成されたハウジングであって、高電圧部分がハウジングの上面を含み、接地部分がハウジングの底面を含み、アイソレータがハウジングの壁を含む、ハウジング
を更に備える、条項0~0の何れか一項に記載の装置。
【0217】
[0241] プロセッサ(例えば、図1のコントローラ109のプロセッサ)が、画像処理、データ処理、データベース管理、グラフィック表示、荷電粒子ビーム装置若しくは他のイメージングデバイスの動作、ウェーハ接地の制御、ウェーハ接地位置調整の制御、又はピン衝突法の実施などを実行するための命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体が提供され得る。非一時的媒体の一般的な形式としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、任意の他の光学データ記憶媒体、孔のパターンを持つ任意の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM又は任意の他のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、並びにそれらのネットワークバージョンが挙げられる。
【0218】
[0242] 図中のブロック図は、本開示の様々な例示的な実施形態による、システム、方法、及びコンピュータハードウェア又はソフトウェア製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。この点において、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む、コードのモジュール、セグメント、又は部分を表し得る。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックで示された機能が、図の記載とは異なる順序で行われ得ることを理解されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実質的に同時に実行又は実施されてもよいし、2つのブロックは、場合により、関連する機能に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また、いくつかのブロックが省略されてもよい。また、ブロック図の各ブロック及びブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは行為を実行する専用のハードウェアベースのシステムによって、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施され得ることを理解されたい。
【0219】
[0243] 本開示の実施形態は、上で説明され、添付の図面に示されたとおりの構造に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地ピンと、
衝突によって前記ウェーハ上のコーティングを貫通するように前記接地ピンを制御することと、前記接地ピンと前記ウェーハとの間に電気的接続を確立することと、のための回路を有するコントローラと、
前記ウェーハを支持するウェーハステージに結合されたアクチュエータと、を備え
前記アクチュエータが、前記接地ピンを作動させるように構成され、
衝突によって前記ウェーハ上の前記コーティングを貫通するように前記接地ピンを制御するための回路を有する前記コントローラが、前記ウェーハに向けて前記接地ピンを作動させるための回路を備え、
前記ウェーハに向けて前記接地ピンを作動させるための回路を有する前記コントローラが、ある距離だけ前記ウェーハから離れるように前記接地ピンを移動させることと、前記ウェーハに向けて前記接地ピンを加速させることと、のための回路を備える、
システム。
【請求項2】
前記衝突によって前記接地ピンに前記ウェーハ上の前記コーティングを貫通させるための回路を有する前記コントローラが、前記衝突によって前記接地ピンに前記コーティングを貫通させるための回路であって、前記接地ピンが前記ウェーハと直接接触するか、又は前記接地ピンが前記コーティングを完全に貫通しない、回路を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記ウェーハのタイプ、前記ウェーハのコーティングのタイプ、又は、前記コーティングの厚さ、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記距離を決定するためである、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記ウェーハから離れるように前記接地ピンを移動させる前に、前記ウェーハに接触するように前記接地ピンを制御するためである、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
マスブロックであって、前記アクチュエータが前記マスブロックを作動させるように構成される、マスブロックを更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
衝突によって前記ウェーハ上の前記コーティングを貫通するように前記接地ピンを制御するための回路を有する前記コントローラが、前記ウェーハに向かう前記接地ピンに衝突するように前記マスブロックを作動させるための回路を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ウェーハに向かう前記接地ピンに衝突するように前記マスブロックを作動させるための回路を有する前記コントローラが、前記接地ピンに向けて前記マスブロックを作動させるための回路を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記接地ピンに向けて前記マスブロックを作動させるための回路を有する前記コントローラが、ある距離だけ前記接地ピンから離れるように前記マスブロックを移動することと、前記接地ピンに向けて前記マスブロックを加速させることと、のための回路を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記ウェーハのタイプ、前記ウェーハのコーティングのタイプ、又は、前記コーティングの厚さ、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記距離を決定するためである、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記回路を有する前記コントローラが、更に、前記接地ピンから離れるように前記マスブロックを移動させる前に、前記接地ピンに接触するように前記マスブロックを制御するためである、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
装置に方法を実行させるために、前記装置の少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
衝突によって接地ピンにウェーハ上のコーティングを貫通させることと、
前記接地ピンと前記ウェーハとの間に電気的接続を確立することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】