(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】多孔質材料で作られる複数の塊体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/02 20060101AFI20221027BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20221027BHJP
C08J 9/28 20060101ALI20221027BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B29C39/02
B29C33/42
C08J9/28 CFF
B29C39/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510138
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2020073685
(87)【国際公開番号】W WO2021037823
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインリッヒ,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルザンク,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィークマン,レネ トマス
(72)【発明者】
【氏名】モファード,ソーアジ
(72)【発明者】
【氏名】フリッケ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】カミンスキー,トルベン
(72)【発明者】
【氏名】トマス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】エルベス,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】レルスベルク,ヴィブケ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F202
4F204
【Fターム(参考)】
4F074AA78
4F074AD06
4F074AD07
4F074AD11
4F074AD13
4F074AD14
4F074AH03
4F074AH04
4F074CB34
4F074CB47
4F074CC22X
4F074CC28Y
4F074DA32
4F202CA23
4F202CA27
4F202CB01
4F202CL02
4F204AA42
4F204AC06
4F204EA03
4F204EB01
4F204EF01
4F204EF27
4F204EK17
4F204EW02
(57)【要約】
本発明は、ゾル-ゲル法によって多孔質材料の前駆体から誘導される多孔質材料で作られる複数の塊体(12)を製造する方法に関する。本方法は:
(i)前記多孔質材料の前駆体を、前記塊体(12)の形状を規定する型(10)に充填し、前記前駆体は少なくとも2つの反応性成分(CA,CB)と溶媒(S)を含み、そしてゲル塊体を形成する工程と、
(ii)複数のゲル塊体(12)を形成するように、工程(i)を繰り返す工程と、
(iii)前記多孔質材料の前駆体から前記ゲル塊体(12)が形成される所定時間の後に、前記ゲル塊体(12)を前記型(10)から取り出す工程と、
(iv)前記ゲル塊体(12)を互いに隣接させて配置する工程と、
(v)2つの隣接するゲル塊体(12)の間に、その間にクリアランスを提供するようにスペーサー(14)を設ける工程と、
(vi)前記ゲル塊体(12)から前記溶媒(S)を除去する工程と、
を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾル-ゲル法によって多孔質材料の前駆体から誘導される多孔質材料で作られる複数の塊体(12)を製造する方法であって:
(i)前記多孔質材料の前駆体を、前記塊体(12)の形状を規定する型(10)に充填し、前記前駆体は少なくとも2つの反応性成分(CA,CB)と溶媒(S)を含み、そしてゲル塊体を形成する工程と、
(ii)複数のゲル塊体(12)を形成するように、工程(i)を繰り返す工程と、
(iii)前記多孔質材料の前駆体から前記ゲル塊体(12)が形成される所定時間の後に、前記ゲル塊体(12)を前記型(10)から取り出す工程と、
(iv)前記ゲル塊体(12)を互いに隣接させて配置する工程と、
(v)2つの隣接するゲル塊体(12)の間に、その間にクリアランスを提供するようにスペーサー(14)を設ける工程と、
(vi)前記ゲル塊体(12)から前記溶媒(S)を除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記スペーサー(14)は、互いに接続された第1グリッド(18)と第2グリッド(20)を含むグリッドアセンブリ(16)であって、前記第1グリッド(18)は第1開口部(22)を含み、前記第2グリッド(20)は第2開口部(24)を含み、前記第1開口部(22)と前記第2開口部(24)は互いにずれている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリッドアセンブリ(16)は、1.0mm~4.0mm、好ましくは1.25mm~3.5mm、より好ましくは1.5mm~2.5mmの厚さを有し、及び/又は、
前記第1開口部(22)及び/又は前記第2開口部(24)は規則的なパターン又は不規則なパターンで配置され、及び/又は、
前記第1開口部(22)及び/又は前記第2開口部(24)は、同一の又は異なる開口部面積を含み、及び/又は、
前記第1開口部(22)及び/又は前記第2開口部(24)は、同一の形状又は異なる形状を有し、及び/又は、
前記第1開口部(22)及び/又は前記第2開口部(24)は、円形、長円形、楕円形、多角形、丸みを帯びたエッジを含む多角形、長方形、又は正方形の形状を有し、及び/又は、
前記方法は、前記第1グリッド(18)及び/又は前記第2グリッド(20)の表面に、電気的に散逸性で前記ゲル塊体(12)に対して非粘着性の材料からなるコーティングを少なくとも部分的に提供する工程をさらに含み、及び/又は、
前記第1開口部(22)及び第2開口部(24)の合計開口部面積は、塊体(12)の対向する外表面の40%~95%である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記各ゲル塊体(12)を前記スペーサー(14)とともに、一体的に、好ましくはモノリシックに形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スペーサー(14)は、前記ゲル塊体(12)の少なくとも1つの表面(32)から突出する複数の突起(30)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記各ゲル塊体(12)の一表面にのみ前記突起(30)を形成することをさらに含み、前記ゲル塊体(12)は、前記ゲル塊体(12)のうちの1つの前記突起(30)を含む表面(32)が、それぞれの隣接する前記塊体(12)の突起(30)を含まない表面(34)と対向するように、互いに隣接して配置されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記突起(30)のそれぞれは、直径が1.0~5.0mm、好ましくは1.25~4.0mm、より好ましくは1.5~2.5mmである円形の断面形状を含み、及び/又は、
前記突起(30)は、規則的なパターン又は不規則なパターンで配置され、及び/又は、
前記突起(30)は、同一の形状又は異なる形状を有し、及び/又は、
前記突起(30)は、0.1mm~20.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、より好ましくは1.0mm~3.0mmの高さ(40)を有し、及び/又は、
前記突起(30)は、隣接する突起(30)の外表面(38)間の最小距離(36)が0.1mmとなるように配置され、及び/又は、
前記突起(30)は、円錐台として形成され、及び/又は、
前記方法は、前記ゲル塊体(12)から前記溶媒(S)を除去した後に、前記突起(30)を除去する工程をさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲル塊体(12)は、立方体、円筒形、又は多角形の形状を有するスラブとして形成され、
前記ゲル塊体(12)は、最大の表面積を有する前記立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に垂直に配向するように配置され、又は、
前記ゲル塊体(12)は、最大の表面積を有する前記立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に平行に配向するように配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲル塊体(12)はスラブとして形成され、前記スラブは少なくとも10cmの長さと少なくとも10cmの幅を有し、及び/又は、
前記ゲル塊体(12)はスラブとして形成され、前記スラブは少なくとも0.5mmの厚さを有している、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記スペーサー(14)は、グリッド開口部(44)を含むグリッド(42)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記グリッド開口部(44)は、同一の又は異なる開口部面積を有し、及び/又は、
前記グリッド開口部(44)は、規則的なパターン又は不規則なパターンで配置され、及び/又は、
前記グリッド(42)は、前記グリッド開口部(44)を規定する支柱(46)を含み、前記支柱(46)は、1.0mm~5.0mm、好ましくは1.25mm~4.5mm、より好ましくは1.5mm~4.0mmの幅(48)を有し、及び/又は、
前記ゲル塊体(12)は、立方体、円筒形、又は多角形の形状を有するスラブとして形成され、前記ゲル塊体(12)は、最大の表面積を有する前記立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に垂直に配向するように配置され、及び/又は、
前記方法は、前記グリッド(42)の表面に、電気的に散逸性で前記ゲル塊体(12)に対して非粘着性の材料からなるコーティングを少なくとも部分的に提供する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記塊体(12)からの前記溶媒(S)の除去は、超臨界乾燥によって行われる、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記グリッド(42)は、塊体(12)を担持し、前記塊体(12)が他のグリッド(42)に係合することなく、その上に配置された他のグリッド(42)を支持するように構成され、
前記グリッド(42)は、前記塊体(12)が他のグリッド(42)に係合することなく、その上に配置された他のグリッド(42)を支持するように構成された外側リム(50)を好ましくは含む、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記塊体(12)からの前記溶媒(S)の除去は、超臨界乾燥又は対流乾燥によって行われる、請求項1~9のいずれか1項又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
断熱材としての、又は真空断熱パネル用の、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法によって得られた又は得られ得る塊体(12)の使用であって、前記塊体(12)は好ましくは内部断熱システム又は外部断熱システムで使用される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゾル-ゲル法によって多孔質材料の前駆体から誘導される多孔質材料で作られる複数の塊体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数ミクロン又はそれより著しく低い範囲のサイズの細孔、及び少なくとも70%の高い多孔度を有する多孔質材料、例えばポリマー発泡体は、理論的考察に基づき特に良好な断熱材である。
【0003】
小さい平均孔径を有するこのような多孔質材料は、例えば、ゾル-ゲル法及び続く乾燥により生成される有機エアロゲル又はキセロゲルである。ゾル-ゲル法では、反応性有機ゲル前駆体に基づくゾルがまず生成され、次にそのゾルが架橋反応によってゲル化されてゲルを形成する。ゲルから例えばエアロゲル又はキセロゲルなどの多孔質材料を得るためには、液体が除去されなければならない。簡単のために、この工程は以下で乾燥と称する。例えば、エアロゲルの場合、細孔が崩壊する可能性があるため、二酸化炭素による超臨界乾燥のような一般的に特別な乾燥工程を必要とする。
【0004】
特に、多孔質材料を調製するプロセスの間は、反応性前駆体及び溶媒を含む混合物が提供される。多孔質材料の形状を規定するために、この混合物が充填される型が基本的に使用されてよい。ゲル化後及び乾燥前又は乾燥後に、このようにして形成された多孔質材料ら作られた塊体は、過程及び材料に応じて型から取り出されなければならない。
【0005】
WO2016/150684A1は、少なくとも有機ゲルを形成するのに適した成分を含む組成物(A)と溶媒(B)とを含む混合物(I)を提供し、ゲルを形成するために溶媒(B)の存在下で組成物(A)中の成分を反応させ、及び工程b)で得られたゲルを乾燥する、多孔質材料を調製する方法を開示し、該組成物(A)は、アルカリ金属及び土類アルカリ金属、アンモニウム、飽和又は不飽和モノカルボン酸のイオン液体塩ならびにカルボン酸からなる群から選択される触媒成分(C1)を触媒成分(C2)として含む触媒系(CS)を含む。本発明はさらに、このようにして得ることができる多孔質材料と、断熱材として及び真空断熱パネルにおける、特に内部又は外部の断熱システムにおける、及び水タンク又は製氷機の断熱システムにおける多孔質材料の使用に関する。
【0006】
US2005/0159497A1は、化学検知剤を含むエアロゲルを含むモノリシックエアロゲルを迅速に製造する方法及び装置を開示している。この方法は、密封された容器内にゲル前駆体溶液又は予形成されたゲルを、ゲル又はゲル前駆体が容器の内部容積を少なくとも部分的に満たし、密封容器がホットプレスの対向プレート間に配置するように提供し;ホットプレスプレートを介して密封容器を加熱して拘束力を加え(拘束力は容器の実質的な通気を最小限に抑えるのに十分である);エアロゲルを形成するのに有効な条件下で、加えられた拘束力を制御可能に解放することを含む。この方法を実施するための好ましい装置は、上部及び下部のプレスプレートを有するホットプレスと、上部及び下部プレートの間に配置された型の形態である。ドープ化されたエアロゲルモノリスとその化学センサとしての使用についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO00/24799
【特許文献2】WO2009/027310
【特許文献3】WO2016/150684A1
【特許文献4】US2005/0159497A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
型の使用に関連する特定の問題は、ゲルから溶媒を除去するために、CO2などの移動相がゲルの表面に到達しなければならないことである。溶媒の除去中において、乾燥を可能な限り迅速に乾燥を行うためには、ゲルの全側面で周囲の雰囲気への溶媒の拡散が行われることが好ましい。乾燥時間は、ゲル内の任意の点と周囲の雰囲気との間の最大距離に応じて指数関数的に増加し、これはゲルの厚さとゲル表面の移動相へのアクセス性に影響される。移動相に対して不透過性の表面を有する典型的な型では、ゲルの全側面に対する移動相の低下されたアクセス性のため、ゲル化された塊体からの最適な溶媒の除去ができないため、特に厚いゲルの場合には、ゲル化塊体を型から取り出して別個に乾燥させることが有利な場合がある。しかし、場合によっては、ゲル化塊体の形状が安定しておらず、乾燥中に支持する必要がある。複数のゲル塊体を同時に乾燥させる場合は、移動相がすべてのゲル塊体に全側面からアクセスできるようにするために、互いに分離させる必要がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点を回避することであった。特に、ゲル化塊体を所望の形状に保つことができ、ゲルからの溶媒の除去を時間的に効率よく行うことができる、多孔質材料から作られた塊体の製造方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、ゾル-ゲル法によって多孔質材料の前駆体から誘導される多孔質材料で作られる複数の塊体を製造する方法によって解決され、前記方法は:
(i)多孔質材料の前駆体を、塊体の形状を規定する型に充填し、前記前駆体は少なくとも2つの反応性成分CA、CBと溶媒Sを含み、そしてゲル塊体を形成する工程と、
(ii)複数のゲル塊体を形成するように、工程(i)を繰り返す工程と、
(iii)前記多孔質材料の前駆体から塊体が形成される所定時間の後に、前記ゲル塊体を前記型から取り出す工程と、
(iv)前記塊体を隣接させて配置する工程と、
(v)2つの隣接するゲル塊体の間に、その間にクリアランスを提供するように少なくとも1つのスペーサーを設ける工程と、
(vi)前記ゲル塊体から溶媒Sを除去する工程と、
を含む。
【0011】
本明細書で使用される「スペーサー」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、部品の間に固体材料が充填されていないか無いクリアランスを提供しつつ、アセンブリ内の2つの部品を分離するように構成された固体材料を指し得る。本開示では、スペーサーは、隣接するゲル塊体の間にクリアランスを提供して2つの隣接するゲル塊体を分離するように構成されている。さらに、スペーサーは、2つの隣接するゲル塊体に、特に、互いに向き合うゲル塊体の側面に機械的な支持を提供するように構成されてよい。隣接する2つのゲル塊体の分離により、スペーサーの固体材料で充填されていないクリアランスが隣接するゲル塊体の間に形成される。クリアランスによって、クリアランスを介してもゲル塊体から溶媒を除去することができる。つまり、スペーサーによって形成されたクリアランスは、ゲル塊体の全側面から、及び、スペーサーが配置された側面においてさえも、溶媒がクリアランスを介して流れることができるため、溶媒をゲル塊体から除去することができる。この目的のために、スペーサーは、ゲル塊体を乾燥させる間に溶媒が通って移動することができる有意かつ所定量の開口部の面積又は体積を提供するように形成される。
【0012】
本発明の方法によれば、驚くべきことに、隣接するゲル塊体の間に特別に設計されたスペーサーを設けることにより、ゲル塊体の形状を維持するための十分な機械的な支持と、移動相による溶媒の時間的に効率よい除去を可能にするゲル塊体間の十分なクリアランスを実現することができることがわかった。溶媒を除去すると、溶媒を含んでいた空洞によって形成された孔が残る。このように、溶媒を除去した後、塊体は多孔質であり、したがって、多孔質材料で作られた塊体であると確認されることができる。
【0013】
本発明の多孔質材料は、好ましくはエアロゲル又はキセロゲルである。
【0014】
スペーサーは、互いに接続された第1グリッドと第2グリッドを含むグリッドアセンブリであってよく、第1グリッドは第1開口部を含み、第2グリッドは第2開口部を含み、第1開口部と第2開口部は互いにずれている。したがって、第1開口部及び第2開口部は、2つのグリッドの平面において開放路を形成し、ゲルからの溶媒を含む移動相がそこを通って流れることを可能にする。
【0015】
グリッドアセンブリは、1.0mm~4.0mm、好ましくは1.25mm~3.5mm、より好ましくは1.5mm~2.5mmの厚さを有してよい。このように、グリッドアセンブリは、ゲル塊体を機械的に支持してその形状を維持するのに十分な安定性を有している。
【0016】
第1開口部及び/又は第2開口部は、規則的なパターンで配置されていても、又は不規則なパターンで配置されていてもよい。このように、開口部の広い範囲の可能な配置が実現可能である。
【0017】
第1開口部及び/又は第2開口部は、同一の又は異なる開口部面積を含んでよい。このように、開口部面積は、塊体の形状など、それぞれの用途に適合されてよい。
【0018】
第1開口部及び/又は第2開口部は、同一の形状又は異なる形状を含んでよい。このように、開口部の広い範囲の形状が可能である。
【0019】
第1開口部及び/又は第2開口部は、円形、長円形、楕円形、多角形、丸みを帯びたエッジを含む多角形、長方形、又は正方形の形状を含んでよい。このように、開口部の広い範囲の形状が可能である。
【0020】
この方法は、第1グリッド及び/又は第2グリッドの表面に、電気的に散逸性でゲル塊体に対して非粘着性の材料からなるコーティングを少なくとも部分的に提供する工程をさらに含んでよい。グリッドは、電気的に散逸性で多孔質材料の前駆体及び塊体に対して非粘着性の材料から成るコーティングが設けられてよいため、前駆体に接触するように意図されたグリッドのエリアは、前駆体、多孔質材料、及び/又はそれらの中間生成物に付着することが防止される。これにより、多孔質材料から成る塊体はグリッドから確実かつ完全に取り出されることができる。さらに、コーティングが電気的散逸性のある材料で作られているため、グリッド、ゾル及び/又はゲルの静電荷による爆発が防止され、グリッドは防爆環境で使用されることができる。
【0021】
第1開口部及び第2開口部の合計開口部面積は、塊体の対向する外表面の40%~95%であってよい。これにより、かなり大きな開口部面積を実現することができる。
【0022】
本方法は、スペーサーとともに各ゲル塊体を、一体的に、好ましくはモノリシックに形成する工程をさらに含んでよい。したがって、スペーサーは、塊体の一部として形成されることができ、それは、隣接するゲル塊体の間にスペーサーとして機能する別個の構成部材を設けることを避けることができる。
【0023】
スペーサーは、ゲル塊体の少なくとも1つの表面から突出する複数の突起を含んでいてよい。このように、突起は、隣接するゲル塊体間のクリアランスを提供するのに役立つ。
【0024】
本方法は、各ゲル塊体の一表面にのみ突起を形成する工程をさらに含んでいてよく、ゲル塊体は、ゲル塊体のうちの1つの突起を含む表面が、それぞれの隣接する塊体の突起を含まない表面と対向するように、互いに隣接して配置される。このように、突起は、別個のスペーサーを省略できるように、ゲル塊体自体に形成することができる。それにより、方法ステップが少なくとも1ステップ削減される。
【0025】
突起のそれぞれは、直径が1.0~5.0mm、好ましくは1.25~4.0mm、より好ましくは1.5~2.5mmである円形の断面形状を有することができる。このように、突起はかなり小さくても、クリアランスを提供するのに十分に寸法づけされている。
【0026】
突起は、規則的なパターンで配置されていても、又は不規則なパターンで配置されていてもよい。このように、十分なクリアランスを提供する限り、突起は適宜配置されてよい。
【0027】
突起は、同一の形状又は異なる形状を有してよい。このように、十分なクリアランスを提供する限り、突起は適切な形状とすることができる。
【0028】
突起は、0.1mm~20.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、より好ましくは1.0mm~3.0mmの高さを有してよい。この高さは、隣接する塊体からの距離、つまりクリアランスの大きさを規定する。規定された高さにより、ゲル塊体の空間的配置とその間のクリアランスが最適化される。
【0029】
突起は、隣接する突起の外表面間の最小距離が0.1mm、好ましくは0.5mmとなるように配置されてよい。これにより、突起間の溶媒の十分な流れが確保される。
【0030】
突起は、円錐台として形成されてよい。このように、突起は、平らな先端を有し、鋭い先端ではなく、したがって、隣接する塊体の損傷が回避される。
【0031】
この方法は、ゲル塊体から溶媒Sを除去した後に、突起を除去する工程をさらに含んでよい。このように、塊体は、本方法の終了時には塊体は平面であり、したがって、塊体は、絶縁スラブとしてなどの塊体のいくつかの用途のために障害となるような不均一な部分を含まない。
【0032】
ゲル塊体は、立方体、円筒形、又は多角形の形状を有するスラブとして形成されてよく、そこでは、ゲル塊体は、最大の表面積を有する立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力の方向に対して実質的に垂直に配向するように配置されている。したがって、スラブは、除去工程中、実質的に垂直に配向され得る。本明細書で使用される「実質的に垂直」という用語は、正確な垂直方向からの偏差が10°以下、好ましくは5°以下であることを意味すると理解されるべきである。
【0033】
あるいは、ゲル塊体は、立方体、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして形成されてよく、そこでは、ゲル塊体は、最大の表面積を有する立方体、円筒形又は多角形の側面が重力の方向に対して実質的に平行になるように配置されている。したがって、除去工程の間、スラブは実質的に水平に配向され得る。本明細書で使用される「実質的に平行」という用語は、正確な平行方向からの偏差が10°以下、好ましくは5°以下であることを意味すると理解されるべきである。
【0034】
ゲル塊体は、最大寸法を有する立方体、円筒形又は多角形のエッジが重力方向に対して実質的に垂直に配向されるように配置されてよい。ゲル塊体はスラブとして形成されてよく、スラブは少なくとも10cmの長さと少なくとも10cmの幅を有する。このようなスラブは、絶縁スラブとしてなどの広範な応用技術分野を有する。実用上の理由から、長さ及び/又は幅の上限は、200cm又は100cmすらあり得る。
【0035】
ゲル塊体はスラブとして形成されてよく、該スラブは少なくとも0.5mmの厚さを有する。実用上の理由から、厚さの上限は、25.0mm、20.0mm、又は15.0mmすらあり得る。このようなスラブは、絶縁スラブとしてなどの広範な応用技術分野を有する。
【0036】
スペーサーは、グリッド開口部を有するグリッドであってよい。これにより、隣接するゲル塊体の間のクリアランスと同様に十分な支持が提供される。
【0037】
グリッドは、塊体を担持し、該塊体が他のグリッドに係合することなく、その上に配置された他のグリッドを支持するように構成されてよい。したがって、ゲル塊体のたわみや変形を防止することができる。
【0038】
グリッドは、外側リムを含んでよく、外側リムは、塊体が他のグリッドに係合することなく、その上に配置された他のグリッドを支持するように構成されてよい。したがって、塊体はグリッド上で十分に保護される。
【0039】
グリッドの開口部は、同一の又は異なる開口部面積を有してよい。したがって、開口部面積は適宜規定されることができる。
【0040】
グリッド開口部は、規則的なパターンで配置されていても、又は不規則なパターンで配置されていてもよい。このように、開口部は適宜配置されてよい。
【0041】
グリッドは、開口部を規定する支柱を含んでいてよく、支柱は、1.0mm~5.0mm、好ましくは1.25mm~4.5mm、より好ましくは1.5mm~4.0mmの幅を有する。これにより、塊体の十分な支持とともに、十分な開口部面積が与えられる。
【0042】
ゲル塊体は、立方体、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして形成されてよく、ゲル塊体は、最大の表面積を有する立方体、円筒形又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に垂直に配向されるように配置されている。したがって、除去工程中は、スラブは実質的に水平に配向されてよい。本明細書で使用される「実質的に垂直」という用語は、正確な垂直方向からの偏差が10°以下、好ましくは5°以下であることを意味すると理解されるべきである。
【0043】
この方法は、グリッドの表面に、電気的に散逸性でゲル塊体に対して非粘着性の材料からなるコーティングを少なくとも部分的に提供する工程をさらに含んでよい。グリッドの表面が、電気的に散逸性で多孔質材料の前駆体及び塊体に対して非粘着性の材料から成るコーティングを少なくとも部分的に設けられているため、塊体に接触するように意図したグリッドのエリアは、塊体、多孔質材料、及び/又はそれらの中間生成物に付着することを防止される。これにより、多孔質材料から成る塊体はグリッドから確実かつ完全に取り除かれることができる。さらに、コーティングが電気的散逸性のある材料で作られているため、グリッド、ゾル及び/又はゲルの静電荷による爆発が防止され、グリッドを防爆環境で使用することができる。
【0044】
塊体からの溶媒の除去は、超臨界乾燥又は対流乾燥によって行われてよい。これにより、溶媒を確実に除去することができる。
【0045】
不織布、発泡金属又は焼結シートの層がスペーサーとして使用されてよい。
【0046】
さらに、上述のような方法によって得られた又は得られ得る多孔質材料で作られた塊体が開示されている。
【0047】
塊体、又は上述のような方法で得られたもしくは得られ得る塊体は、断熱材として、又は真空断熱パネル用に使用されることができる。本発明によって得ることができる多孔質材料は、有利な熱的特性を有し、さらに、簡単な加工性及び高い機械的安定性、例えば低い脆性などのさらなる有利な特性を有する。
【0048】
本発明のさらなる展開によれば、多孔質材料で作られた塊体は、内部断熱システム又は外部断熱システムで使用される。本発明によって得ることができる多孔質材料は、有利な熱的特性を有し、さらに、簡単な加工性及び高い機械的安定性、例えば低い脆性などのさらなる有利な特性を有する。
【0049】
好ましい実施形態は、特許請求の範囲及び明細書で見出されことができる。好ましい実施形態の組み合わせは、本発明の範囲を出ない。使用される構成要素の好ましい実施形態が以下に記載される。
【0050】
有機及び無機エアロゲル及びキセロゲル、同様にそれらの調製方法は、現技術水準から知られている。ゾル-ゲル法では、反応性ゲル前駆体に基づくゾルが最初に生成され、続いてそのゾルが架橋反応によってゲル化されてゲルを形成する。ゲルから多孔質材料、例えばエアロゲルを得るために、液体が除去されなければならない。この工程は、簡単のため、以下で乾燥と称される。
【0051】
有機(例えばPU)又は無機(例えばシリカ)の前駆体に基づくゲルモノリス又は粒子は、好ましくは超臨界抽出(すなわち、超臨界状態の媒体、例えばCO2を使用すること)により乾燥され、有機、無機又はハイブリッドエアロゲルが得られることは、一般に知られている。
【0052】
ゲルの化学的性質は様々であり得る。有機ゲルが提供されることは可能であるが、無機ゲルもまた本発明による方法を適用することが可能である。有機又は無機ゲルを調製する適切な方法は当業者に公知である。好ましくは、ゲルは、本発明による有機ゲルである。原則として、本方法はゲルの化学的性質に依存しない。したがって、本発明によれば、任意の有機又は無機ゲルが本方法で使用されることができ、例えば、合成ポリマー又はバイオポリマーに基づくゲルなどの有機ゲル又は無機ゲルが使用され得る。
【0053】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記の方法にも関し、そこではゲルは有機ゲルである。
【0054】
本発明の目的に好ましい有機キセロゲル及びエアロゲルを以下に説明する。
【0055】
有機エアロゲル又はキセロゲルは、イソシアネートに基づく、及び任意にイソシアネートに対して反応性のある他の成分に基づくことが好ましい。例として、有機エアロゲル又はキセロゲルは、イソシアネートと、OH-官能性及び/又はNH-官能性化合物に基づくことができる。
【0056】
本発明では、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はポリ尿素に基づく有機キセロゲル、又はポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はポリ尿素に基づく有機エアロゲルが好ましい。
【0057】
したがって、本発明の1つの好ましい実施形態は、上記のようなプロファイルと、前記プロファイルによって少なくともある程度囲まれた断熱コアを有する複合要素を提供し、前記有機多孔質材料は、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はポリ尿素に基づく有機キセロゲル、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はポリ尿素に基づく有機エアロゲル、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つである。
【0058】
有機エアロゲル又はキセロゲルは、イソシアネート、及びイソシアネートに対して反応性のある成分に基づくことが特に好ましく、そこでは少なくとも1つの多官能芳香族アミンがイソシアネートに対して反応性のある成分として使用されている。有機キセロゲル又はエアロゲルがポリ尿素及び/又はポリイソシアヌレートに基づくものであることが好ましい。
【0059】
「ポリ尿素に基づく」とは、有機キセロゲル又はエアロゲル中のモノマー単位の結合の少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも70mol%、特に少なくとも90mol%がウレタン結合の形態をとることを意味する。「ポリ尿素に基づく」とは、有機キセロゲル又はエアロゲル中のモノマー単位の結合の少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも70mol%、特に少なくとも90mol%が尿素結合の形態をとることを意味する。「ポリイソシアヌレートに基づく」とは、有機キセロゲル又はエアロゲルにおけるモノマー単位の結合の少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも70mol%、特に少なくとも90mol%がイソシアヌレート結合の形態をとることを意味する。「ポリ尿素及び/又はポリイソシアヌレートに基づく」とは、有機キセロゲル又はエアロゲル中のモノマー単位の結合の少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも70mol%、特に少なくとも90mol%が、尿素結合及び/又はイソシアヌレート結合の形態をとることを意味する。
【0060】
ここで、本発明の複合要素は、種々のエアロゲル及びキセロゲルの組み合わせを含むこともできる。本発明の目的のために、複合要素が複数の絶縁コアを含むことも可能である。本発明の目的のために、複合要素は、有機多孔質材料と共に、他の絶縁材料、例えばポリウレタンを含むことも可能である。
【0061】
有機多孔質材料という用語は、以下、本発明で使用される有機エアロゲル又はキセロゲルを指すために使用される。
【0062】
使用される有機多孔質材料が、以下の工程を含む方法で得られることが好ましい:
(a)少なくとも1つの多官能イソシアネート(a1)及び少なくとも1つの多官能芳香族アミン(a2)を、任意に成分(a3)としての水の存在下で、及び、任意に少なくとも1つの触媒(a4)の存在下で反応させる工程;
(b)エアロゲル又はキセロゲルを得るために溶媒を除去する工程。
【0063】
工程(a)の目的のために好ましく使用される成分(a1)から(a4)、及び定量的比率を以下に説明する。
【0064】
成分(a1)という用語は、すべての多官能イソシアネート(a1)について以下で使用される。同様に、成分(a2)という用語は、すべての多官能芳香族アミン(a2)について以下で使用される。言及されるモノマー成分が、有機多孔質材料中に反応した形態で存在することは、当業者に明らかである。
【0065】
本発明の目的のために、化合物の官能性とは、分子当たりの反応性基の数を意味する。モノマー成分(a1)の場合、官能性とは、分子当たりのイソシアネート基の数である。モノマー成分(a2)のアミノ基の場合、官能性とは、分子当たりの反応性アミノ基の数である。ここで多官能性化合物は、少なくとも2の官能性を有する。
【0066】
異なる官能性を有する化合物の混合物が成分(a1)又は(a2)として使用される場合、化合物の官能性は、それぞれの場合において、個々の化合物の官能性の数平均値から得られる。多官能性化合物は、分子当たり上記官能基のうち少なくとも2つを含む。
【0067】
成分(a1)
成分(a1)として、少なくとも1つの多官能イソシアネートを使用することが好ましい。
【0068】
本発明の方法の目的のために、成分(a1)の使用量は、いずれの場合も合計質量が100質量%である成分(a1)、(a2)、及び関連する場合には成分(a3)の合計質量に基づいて、好ましくは少なくとも20質量%、特に少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%、非常に特に好ましくは少なくとも55質量%、特に少なくとも68質量%である。本発明の方法の目的のために、成分(a1)の使用量は、さらに好ましくは、いずれの場合も合計質量が100質量%である成分(a1)、(a2)、及び関連する場合には(a3)の合計質量に基づいて、多くても99.8質量%、特に多くても99.3質量%、特に好ましくは多くても97.5質量%である。
【0069】
使用できる多官能イソシアネートは、芳香族、脂肪族、脂環式、及び/又は芳香脂肪族のイソシアネートである。このタイプの多官能イソシアネートは、それ自体が公知であるか、又はそれ自体が公知の方法で生成されることができる。多官能イソシアネートは、特に混合物の形態で使用されることもでき、この場合、成分(a1)は、様々な多官能イソシアネートを含む。モノマーユニット(a1)として使用されることができる多官能イソシアネートは、モノマー成分の分子当たり2つ以上のイソシアネート基を有する(ジイソシアネートという用語が前者について以下で使用される)。
【0070】
特に適切な化合物は、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-、及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート、及び/又はp-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、及び、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-、及び/又は2,2’-ジイソシアネートである。
【0071】
多官能イソシアネート(a1)として、芳香族イソシアネートが好ましい。これは、水が成分(a3)として使用される場合に特に当てはまる。
【0072】
以下は、成分(a1)の多官能イソシアネートの特に好ましい実施形態である:
i)トリレンジイソシアネート(TDI)、特に2,4-TDIもしくは2,6-TDI、又は2,4-及び2,6-TDIの混合物に基づく多官能イソシアネート;
ii)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特に2,2’-MDI又は2,4’-MDI又は4,4’-MDI、又はポリフェニルポリメチレンイソシアネートとも称されるオリゴマーMDI、又は上記のジフェニルメタンジイソシアネートの2つ又は3つの混合物、又はMDIの生成の間に得られる粗MDI、又はMDIの少なくとも1つのオリゴマー、及び上記の低分子量のMDI誘導体の少なくとも1つの混合物に基づく多官能イソシアネート;
iii)実施形態i)の少なくとも1つの芳香族イソシアネート、及び実施形態ii)の少なくとも1種の芳香族イソシアネートの混合物。
【0073】
オリゴマージフェニルメタンジイソシアネートは、多官能イソシアネートとして特に好ましい。オリゴマージフェニルメタンジイソシアネート(以下、オリゴマーMDIと称する)は、複数のオリゴマー縮合物、したがってジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)誘導体の混合物を含む。多官能イソシアネートはまた、好ましくはモノマー芳香族ジイソシアネート及びオリゴマーMDIの混合物から構成され得る。
【0074】
オリゴマーMDIは、2より大きい、特に3又は4又は5の官能性を有する1つ以上のMDIの多核縮合物(polynuclear condensate)を含む。オリゴマーMDIは公知であり、しばしばポリフェニルポリメチレンイソシアネート、あるいはポリマーMDIと称される。オリゴマーMDIは、通常、異なる官能性を有するMDIに基づくイソシアネートの混合物から構成される。オリゴマーMDIは、通常、モノマーMDIとの混合物で使用される。
【0075】
オリゴマーMDIを含むイソシアネートの(平均)官能性は、約2.2~約5の範囲、特に2.4~3.5の範囲、特に2.5~3の範囲で変化し得る。異なる官能性を有するMDIに基づく多官能イソシアネートのこのタイプの混合物は、特に、通常、塩酸による触媒作用によってMDIの生成中に、粗MDI生成の中間生成物の形態で生成される粗MDIである。
【0076】
多官能イソシアネート及びMDIに基づく複数の多官能イソシアネートの混合物は、公知であり、例として、BASF Polyurehanes GmbHより商標Lupranat(登録商標)として販売されている。
【0077】
成分(a1)の官能性は少なくとも2、特に少なくとも2.2、特に好ましくは少なくとも2.4であることが好ましい。成分(a1)の官能性は、好ましくは2.2~4、特に好ましくは2.4~3である。
【0078】
成分(a1)におけるイソシアネート基の含有量は、好ましくは5~10mmol/g、特に6~9mmol/g、特に好ましくは7~8.5mmol/gである。当業者は、イソシアネート基の含有量(mmol/g)、及び当量(g/当量)として知られる特性が、相互関係を有することを知っている。mmol/gでのイソシアネート基の含有量は、ASTM D-5155-96Aに従って質量%での含有量から得られる。
【0079】
好ましい一実施形態において、成分(a1)は、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、及びオリゴマージフェニルメタンジイソシアネートから選択される少なくとも1つの多官能イソシアネートから構成される。この好ましい実施形態の目的のため、成分(a1)は特に好ましくは、オリゴマージフェニルメタンジイソシアネートを含み、少なくとも2.4の官能性を有する。
【0080】
使用される成分(a1)の粘度は幅広く変化し得る。成分(a1)は、100~3000mPa.s、特に200~2500mPa.sの粘度を有することが好ましい。
【0081】
成分(a2)
本発明は、成分(a2)として、少なくとも1つの多官能OH-官能化又はNH-官能化化合物を使用する。本発明の好ましい方法の目的のため、成分(a2)は少なくとも1つの多官能芳香族アミンである。
【0082】
成分(a2)は、ある程度その場で生成されることができる。このタイプの実施形態において、工程(a)のための反応は、水(a3)の存在下で行われる。水はイソシアネート基と反応し、CO2の放出と共にアミノ基を与える。したがって、多官能アミンは、ある程度、(その場で)中間生成物として生成される。反応の過程で、それらは、イソシアネート基と反応して尿素結合を与える。
【0083】
この好ましい実施形態において、反応は水(a3)、及び成分(a2)としての多官能芳香族アミンの存在下で、及び任意で触媒(a4)の存在下で行われる。同様に好ましいように、別の実施形態においては、成分(a1)及び成分(a2)としての多官能芳香族アミンの反応は、任意で触媒(a4)の存在下で行われる。ここでは水(a3)は存在しない。
【0084】
多官能芳香族アミンはそれ自体当業者に知られている。多官能アミンは、分子当たり、イソシアネートに対して反応性のある少なくとも2つのアミノ基を有するアミンである。ここでイソシアネートに対して反応性のある基は、第一級アミノ基及び第二級アミノ基であり、ここで第一級アミノ基の反応性は、一般に、第二級アミノ基の反応性よりも著しく高い。
【0085】
多官能芳香族アミンは、好ましくは、2つの第一級アミノ基を有する二核芳香族化合物(二官能芳香族アミン)、2つより多い第一級アミノ基を有する対応する三核芳香族化合物、又は多核芳香族化合物、又は、上記化合物の混合物である。特に好ましい成分(a2)の多官能芳香族アミンは、ジアミノジフェニルメタンの異性体及び誘導体である。
【0086】
言及された二官能二核芳香族アミンは、特に好ましくは一般式Iのものである、
【0087】
【0088】
式中、R1及びR2は同一又は異なっていてよく、互いに独立して、水素及び1~6つの炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基から選択され、及び、全ての置換基Q1~Q5及びQ1’~Q5’は同一又は異なっており、互いに独立して、水素、第一級アミノ基、及び1~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基から選択され、そこではアルキル基はさらなる官能基を有してもよく、ただし一般式Iの化合物が少なくとも2つの第一級アミノ基を有し、Q1、Q3及びQ5のうち少なくとも1つが第一級アミノ基であり、Q1’、Q3’及びQ5’のうち少なくとも1つが第一級アミノ基である。
【0089】
一実施形態において、一般式Iの置換基Qのためのアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルから選択される。以下、この種類の化合物は、置換芳香族アミン(a2-s)と称される。しかしながら、全ての置換基Qは、それらが上記で規定されているアミノ基でない限り(使用される用語は、非置換多官能芳香族アミンである)、水素であることも同様に好ましい。一般式Iの目的のためのR1及びR2は、同一又は異なっており、及び、互いに独立して、水素、第一級アミノ基、及び1~6つの炭素原子を有する直鎖状又は分岐状アルキル基から選択されることが好ましい。R1及びR2は、水素及びメチルから選択されることが好ましい。特に好ましくはR1=R2=Hである。
【0090】
他の適切な多官能芳香族アミン(a2)は、特にトルエンジアミンの異性体及び誘導体である。成分(a2)の目的のために、トルエンジアミンの特に好ましい異性体及び誘導体は、トルエン-2,4-ジアミン及び/又はトルエン-2,6-ジアミン及びジエチルトルエンジアミン、特に3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン及び/又は3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンである。
【0091】
成分(a2)は、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジアミノジフェニルメタン及びオリゴマージアミノジフェニルメタンから選択される少なくとも1つの多官能芳香族アミンを含むことが特に非常に好ましい。
【0092】
オリゴマージアミノジフェニルメタンは、アニリン及びホルムアルデヒドの1つ以上の多核メチレン架橋縮合物を含む。オリゴマーMDAは、少なくとも1つ、しかし一般的には複数の、2を超える、特に3又は4又は5の官能性を有するMDAのオリゴマーを含む。オリゴマーMDAは既知であるか、又はそれ自体既知の方法により生成されることができる。オリゴマーMDAは通常はモノマーMDAとの混合物の形態で使用される。
【0093】
成分(a2)の多官能アミンの(平均)官能性は、このアミンがオリゴマーMDAを含む場合、約2.3~約5、特に2.3~3.5、特に2.3~3の範囲で変化し得る。このような変化する官能性を有するMDAに基づく多官能アミンの混合物の1つは、特に粗MDIであり、それは特に、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合中に、通常は塩酸により触媒される粗MDIの生成の中間生成物として生成される。
【0094】
少なくとも1つの多官能芳香族アミンが、ジアミノジフェニルメタン、又はジアミノジフェニルメタンの誘導体を含むことが特に好ましい。少なくとも1つの多官能芳香族アミンが、オリゴマージアミノジフェニルメタンを含むことが特に好ましい。成分(a2)が、化合物(a2)としてオリゴマージアミノジフェニルメタンを含み、その全官能性が、少なくとも2.1であることが特に好ましい。特に、成分(a2)はオリゴマージアミノジフェニルメタンを含み、その官能性は少なくとも2.4である。本発明の目的のために、成分(a2)の目的のために置換多官能芳香族アミンを使用することにより、第一級アミノ基の反応性を制御することが可能である。言及され、以下に述べられ、以下では(a2-s)と称される置換多官能芳香族アミンは、単独で、又は上記の(非置換)ジアミノジフェニルメタン(式Iにおける全てのQは、それらがNH2でない限り水素である)との混合物で使用されることができる。
【0095】
この実施形態において、上記式Iの目的のためのQ2,Q4、Q2’、及びQ4’は、付随する規定を含めて、一般式Iの化合物が少なくとも1つの直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するように選択されることが好ましく、それは芳香族環に結合した少なくとも1つの第一級アミノ基に関してα位に1~12個の炭素原子を有するさらなる官能基を有することができる。本実施形態において、Q2,Q4、Q2’、及びQ4’は、置換芳香族アミン(a2-s)が、それぞれα位に1~12個の炭素原子を有する1つ又は2つの直鎖状又は分岐状アルキル基を有する少なくとも2つの第一級アミノ基を有するように選択されることが好ましく、そこではそれらはさらなる官能基を有することができる。Q2,Q4、Q2’、及びQ4’の1つ以上が、それらが1~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、これらがさらなる官能基を有するように選択される限り、これらの官能基としては、アミノ基及び/又はヒドロキシ基、及び/又はハロゲン原子が好ましい。
【0096】
アミン(a2-s)は、3,3’,5,5’-テトラアルキル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラアルキル-2,2’-ジアミノジフェニルメタン、及び3,3’,5,5’-テトラアルキル-2,4’-ジアミノジフェニルメタンからなる群から選択されることが好ましく、そこでは3、3’、5、及び5’位のアルキル基は、同一又は異なっていてよく、互いに独立して、1~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基から選択され、これらはさらなる官能基を有してもよい。上記のアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル(それぞれの場合で非置換)であることが好ましい。
【0097】
一実施形態において、置換基Qの1つ以上のアルキル基の水素原子の1つ、複数、又は全ては、ハロゲン原子、特に塩素によって置換されていてよい。あるいは、置換基Qの1つ以上のアルキル基の水素原子の1つ、複数、又は全ては、NH2又はOHによって置換されてよい。しかしながら、一般式Iの目的のためのアルキル基は、炭素及び水素から構成されることが好ましい。
【0098】
特に好ましい一実施形態において、成分(a2-s)は、3,3’,5,5’-テトラアルキル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンを含み、アルキル基は、同一又は異なっていてよく、互いに独立して、1~12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基から選択され、これらはさらなる官能基を任意で有してもよい。上記のアルキル基は、好ましくは非置換のアルキル基、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルから選択され、特に好ましくはメチル及びエチルから選択される。3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、及び/又は3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが特に非常に好ましい。
【0099】
上記の成分(a2)の多官能アミンは、それ自体当業者には既知であるか、又は既知の方法で生成されることができる。既知の方法の1つは、アニリン又はアニリン誘導体とホルムアルデヒドとを、酸性触媒を用いてそれぞれ反応させる方法である。
【0100】
上記で説明した通り、成分(a3)としての水は、成分(a1)の追加の多官能芳香族イソシアネートと事前に計算された量で反応し、その場で対応する多官能芳香族アミンを与えるという点で、多官能芳香族アミンをある程度置換することができる。
【0101】
有機ゲル前駆体(A)という用語は、以下、成分(a1)~(a3)について使用される。
【0102】
触媒(a4)
好ましい一実施形態において、本発明の方法は、好ましくは、成分(a4)として少なくとも1つの触媒の存在下で実行される。
【0103】
使用可能な触媒は、原則として、当業者に知られている任意の触媒、イソシアネートの三量化を促進させる任意の触媒(これらは三量化触媒として知られている)、及び/又はイソシアネートとアミノ基との反応を促進させる任意の触媒(これらはゲル触媒として知られている)、及び/又は―水が使用される範囲で―イソシアネートと水との反応を促進させる任意の触媒(これらは発泡触媒として知られている)であり得る。
【0104】
対応する触媒は、それ自体知られており、上記3つの反応に関して異なる方法で機能する。したがって、それらは性能に応じて、上記タイプの1つ以上に割り当てられることができる。当業者はさらに、上記反応以外の反応も起こり得ることを知っている。
【0105】
対応する触媒は、とりわけそれらの発泡に対するゲル比に基づいて特徴付けることができ、例としてポリウレタン[ポリウレタン(複数)]3rd edition,G.Oeterl,Hanser Verlag,Munich,1993年、104~110頁により知られている。
【0106】
成分(a3)がない、すなわち水が使用されない限り、好ましい触媒は、三量化プロセスに関して著しい活性を有する。これはネットワーク構造の均一性に有利な効果を有し、結果として、特に有利な機械的特性が得られる。
【0107】
成分(a3)として水が使用される限り、好ましい触媒(a4)は、バランスのとれた発泡に対するゲル比を有するため、成分(a1)と水との反応が、ネットワーク構造に不利な影響を伴うほど過度に促進されず、同時に短いゲル化時間が得られ、それにより離型時間が有利に短縮する。好ましい触媒は、同時に三量化に関して著しい活性を有する。これは、ネットワーク構造の均一性に有利な効果をもたらし、特に有利な機械的特性を与える。
【0108】
触媒はモノマーユニット(組み込み可能な触媒)であっても、又は組み込み不可能であってもよい。
【0109】
成分(a4)の最小有効量を使用することは有利である。成分(a1)、(a2)及び(a3)の合計100質量部に基づいて、成分(a4)を、0.01~5質量部、特に0.1~3質量部、特に好ましくは0.2~2.5質量部使用することが好ましい。
【0110】
成分(a4)の目的のための好ましい触媒は、第一級、第二級、及び第三級アミン、トリアジン誘導体、有機金属化合物、金属キレート、第四級アンモニウム塩、水酸化アンモニウム、ならびにアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、及びカルボキシレートからなる群から選択される。
【0111】
適切な触媒は、特に、強塩基、例えばアルキル部分に1~4つの炭素原子を有する水酸化テトラアルキルアンモニム及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどの第四級水酸化アンモニウム、例えば水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、及び例えばナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、及びナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、及びカリウムイソプロポキシドである。
【0112】
さらに適切な三量化触媒は、特にカルボン酸のアルカリ金属塩、例えばギ酸カリウム、酢酸ナトリム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクタン酸カリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、トリクロロ酢酸カリウム、クロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ならびに10~20個の炭素原子及び任意に側OH基を有する飽和又は不飽和長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。
【0113】
他の適切な触媒は、特にN-ヒドロキシアルキル第四級アンモニウムカルボキシレート、例えばギ酸トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムホルメートである。
【0114】
適切な有機リン化合物、特にホスホレンの酸化物の例は、1-メチルホスホレンオキシド、3-メチル-1-フェニルホスホレンオキシド、1-フェニルホスホレンオキシド、3-メチル-1-ベンジルホスホレンオキシドである。
【0115】
有機金属化合物は、それ自体、特にゲル触媒として当業者に既知であり、同様に触媒(a4)として適切である。スズ2-エチルヘキサノエート及びジブチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物が、成分(a4)の目的のために好ましい。金属アセチルアセトネート、特に亜鉛アセチルアセトネートがさらに好ましい。
【0116】
第三級アミンは、それ自体、ゲル触媒及び三量化触媒として当業者に知られている。第三級アミンは、触媒(a4)として、特に好ましい。好ましい第三級アミンは、特に、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N’-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、例えばN,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジンなどのN,N’,N”-トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、アミノプロピルイミダゾール、ジメチルベンジルアミン、1,6-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン(IUPAC:1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びジイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、及びヒドロキシエチルアニリンである。
【0117】
成分(a4)の目的のために特に好ましい触媒は、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、アミノプロピルイミダゾール、ジメチルベンジルアミン、1,6-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、トリエチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、金属アセチルアセトネート、酢酸塩、プロピオン酸塩、ソルビン酸塩、ヘキサン酸エチル、オクタン酸塩及び安息香酸塩からなる群から選択される。
【0118】
本発明の目的のための好ましい触媒(a4)の使用は、改善された機械的特性、特に改善した圧縮強度を有する多孔質材料をもたらす。さらに、触媒(a4)の使用は、ゲル化時間を短縮、すなわち、他の特性に一切不利な影響を与えることなく、ゲル化反応を加速させる。
【0119】
溶媒
本発明において使用される有機エアロゲル又はキセロゲルは、溶媒の存在下で生成される。
【0120】
本発明の目的のため、溶媒という用語は、液体希釈剤、すなわち狭義での溶媒だけでなく、分散媒体も含む。混合物は、特に真性の溶液、コロイド溶液、又は例えば乳濁液又は懸濁液などの分散液であってよい。混合物が真性の溶液であることが好ましい。溶媒は、工程(a)の条件下で液体である化合物であり、好ましくは有機溶媒である。
【0121】
使用される溶媒は、原則として有機化合物、又は複数の化合物の混合物を含むことができ、溶媒は、混合物が供給される温度条件及び圧力条件(簡略化して溶液条件)下で液体である。溶媒の組成は、溶媒が、有機ゲル前駆体を溶解又は分散、好ましくは溶解させることが可能であるように選択される。有機エアロゲル又はキセロゲルを生成するための上記の好ましい方法の目的のために、好ましい溶媒は、有機ゲル前駆体(A)のための溶媒、すなわち、反応条件下で有機ゲル前駆体(A)が完全に溶解するものである。
【0122】
溶媒の存在下での反応の初期反応生成物は、ゲル、すなわち溶媒で膨潤した粘弾性の化学的ネットワークである。形成されたネットワークに対して良好な膨潤剤である溶媒は通常、微細な細孔、及び小さい平均孔径を有するネットワークをもたらす一方で、得られるゲルの膨潤剤として不十分な溶媒は通常、大きい平均孔径を有する粗い細孔のネットワークをもたらす。
【0123】
したがって、溶媒の選択は、所望の孔径分布、及び所望の多孔性に影響を及ぼす。溶媒の選択は、一般に、本発明の方法の工程(a)の間又は後に沈殿反応生成物の形成による沈殿又は凝集を非常に実質的に回避するような方法でも行われる。
【0124】
適切な溶媒が選択される場合、沈殿反応生成物の割合は、通常、混合物の総質量に基づいて、1質量%未満である。特定の溶媒中で形成される沈殿生成物の量は、ゲル化点の前に、適切なフィルタを通して反応混合物をろ過することにより、質量測定で決定することができる。
【0125】
使用できる溶媒は、イソシアネートに基づくポリマーのための溶媒であることが先行技術から知られている。ここで好ましい溶媒は、成分(a1)、(a2)、及び該当する場合は(a3)のための溶媒、すなわち、成分(a1)、(a2)、及び該当する場合は(a3)の成分を反応条件下で実質的に完全に溶解するものである。溶媒は、成分(a1)に対して不活性、すなわち、それに対して反応しないものであることが好ましい。
【0126】
使用できる溶媒の例は、ケトン、アルデヒド、アルキルアルカノエート、ホルムアミド及びN-メチルピロリドンなどのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、脂肪族及び脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物、及びフッ素含有エーテルが挙げられる。上記の化合物の2つ以上で作られた混合物を使用することも可能である。
【0127】
アセタール、特にジエトキシメタン、ジメトキシメタン、及び1,3-ジオキソランも溶媒として使用することができる。
【0128】
ジアルキルエーテル及び環状エーテルも、溶媒として適している。好ましいジアルキルエーテルは特に2~6つの炭素原子を有するもの、特にメチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、プロピルエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチル-n-ブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、及びエチルtert-ブチルエーテルである。特に好ましい環状エーテルは、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びテトラヒドロピランである。
【0129】
他の好ましい溶媒は、アルキルアルカノエート、特にギ酸メチル、酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸エチルである。好ましいハロゲン化溶媒は、WO00/24799、4頁12行~5頁4行に記載されている。
【0130】
アルデヒド及び/又はケトンは、好ましい溶媒である。溶媒として適切なアルデヒド又はケトンは特に、一般式R2-(CO)-R1に対応するものであり、ここでR1及びR2は、水素、又は1、2、3又は4つの炭素原子を有するアルキル基である。適切なアルデヒド又はケトンは特に、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソペンタアルデヒド、2-メチルペンタアルデヒド、2-エチルヘキサアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、フルフラール、アクロレイン二量体、メタクロレイン二量体、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、6-メチル-3-シクロヘキセンアルデヒド、シアンアセトアルデヒド、グリオキシル酸エチル、ベンズアルデヒド、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-ブチルケトン、エチルイソプロピルケトン、2-アセチルフラン、2-メトキシ-4-メトキシペンタン-2-オン、シクロヘキサノン及びアセトフェノンである。上記のアルデヒド及びケトンは、混合物の形態で使用されることもできる。溶媒として、置換基当たり3つまでの炭素原子を有するアルキル基を有するケトン及びアルデヒドが、特に好ましい。一般式R1(CO)R2のケトンが、非常に特に好ましく、式中、R1及びR2は、互いに独立して、1つから3つの炭素原子を有するアルキル基から選択される。1つの第一の好ましい実施形態において、ケトンはアセトンである。別の好ましい実施形態において、2つの置換基R1及び/又はR2の少なくとも1つは、少なくとも2つの炭素原子を有するアルキル基、特にメチルエチルケトンを含む。本発明の方法と組合せて上記の特に好ましいケトンを使用することにより、特に小さい平均孔径を有する多孔質材料が得られる。限定を意図するものではなく、得られるゲルの細孔構造は、上記の特に好ましいケトンの比較的高い親和性のために、特に微細であると考えられる。
【0131】
多くの場合において、特に適切な溶媒は、上記溶媒から選択され、互いに完全に混和する2つ以上の化合物の混合物を使用することにより得られる。
【0132】
成分(a1)、(a2)、及び該当する場合は(a3)、及び該当する場合は(a4)、及び溶媒は、本発明の方法の工程(a)における反応の前に、適切な形態で供給されることが好ましい。
【0133】
一方で成分(a1)、他方で(a2)及び該当する場合は(a3)、及び該当する場合は(a4)は、いずれの場合も溶媒の適切な割合で別個に供給されることが好ましい。別個の供給は、混合プロセスの前又はその間のゲル化反応の理想的な監視又は制御を可能にする。
【0134】
水が成分(a3)として使用される限り、成分(a3)を成分(a1)とは別に供給することが特に好ましい。これにより、成分(a2)が存在しない状態で、ネットワークの形成を伴う水と成分(a1)の反応を回避する。さもなければ、水と成分(a1)の予混合は、細孔構造の均一性及び得られる材料の熱伝導率に関して、より有利でない特性をもたらす。工程(a)を実施する前の供給される混合物はまた、さらなる成分として、当業者に公知の従来の補助剤を含み得る。例として、界面活性剤物質、核剤、酸化安定剤、潤滑剤及び離型剤、染料、及び顔料、例えば加水分解、光、熱、又は変色に関する安定剤、無機及び/又は有機の充填剤、補強剤、及び殺生物剤を挙げることができる。
【0135】
上記の補助剤及び添加剤に関するさらなる詳細は、技術文献、例えばPlastics Additive Handbook,5th edition,H.Zweifel,ed.Hanser Publishers,Munchen,2001年、1頁、及び41~43頁に見出すことができる。
【0136】
方法の工程(a)における反応を実行するためには、まず、工程(a)の反応の前に供給される成分の均一な混合物を生成する必要がある。
【0137】
工程(a)の目的のために反応される成分は、従来の方法で供給され得る。この目的のために、良好で迅速な攪拌を達成するために、攪拌器、又は他の混合装置を使用することが好ましい。混合プロセスにおける欠陥を回避するため、均一な混合物を生成するための必要な時間は、ゲル化反応が少なくとも部分的なゲルの形成に至る時間に対して短くなければならない。他の混合条件は一般に重大ではなく、例として、混合プロセスは、0~100℃、及び0.1~10bar(絶対圧)、特に例として、室温及び大気圧で実施されることができる。均一な混合物が生成されると、混合装置は好ましくはスイッチオフされる。
【0138】
ゲル化反応は、重付加反応、特にイソシアネート基、及びアミノ基又はヒドロキシ基の
重付加反応を伴う。
【0139】
本発明の目的のため、ゲルは、液体と接触するポリマー(使用される用語は、ソルボゲル又はリオゲル、若しくは、水が液体として使用される場合:アクアゲル又はヒドロゲル)に基づく架橋系である。ここで、ポリマー相は、連続的する三次元的ネットワークを形成する。
【0140】
本発明の方法の工程(a)の目的のため、ゲルは通常、静置によって、すなわち、単に混合物を収容する容器、反応容器、又は反応器(以下、ゲル化装置と称する)を静置することにより生成される。ゲル化(ゲル形成)プロセスの間に、混合物はさらに攪拌、又は混合されないことが好ましい、なぜならこのことはゲルの形成を妨げる可能性があるからである。ゲル化プロセスの間、混合物を覆うか、又はゲル化装置を密封することが有利であることが証明されている。
【0141】
ゲル化プロセス自体は当業者に公知であり、例えばWO2009/027310の21頁19行~23頁13行に記載されている。
【0142】
原則として、いかなる溶媒も、それが二酸化炭素と混和可能であるか、又は得られたゲルからの溶媒の除去を可能にする十分な沸点を有する限り使用されることができる。一般に、溶媒は、当技術分野で公知の他の液体を使用することができるが、低分子有機化合物、すなわち1~6つ、好ましくは2~4つの炭素原子を有するアルコールであり得る。可能な溶媒は、例えば、ケトン、アルデヒド、アルキルアルカノエート、ホルムアミドなどのアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、脂肪族及び脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物、及びフッ素含有エーテルである。上記の化合物の2つ以上の混合物を使用することも可能である。他の有用な液体の例としては、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、アセトン、ジクロロメタン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
溶媒のさらなる可能性はアセタール、特にジエトキシメタン、ジメトキシエタン及び1,3-ジオキソランである。
【0144】
ジアルキルエーテル及び環状エーテルも同様に溶媒として適している。好ましいジアルキルエーテルは、特に、2~6つの炭素原子を有するものであり、特にメチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、プロピルエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、エチルn-ブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル及びエチルt-ブチルエーテルである。好ましい環状エーテルは、特にテトラヒドロフラン、ジオキサン及びテトラヒドロピランである。
【0145】
アルデヒド及び/又はケトンが溶媒として特に好ましい。溶媒として適切なアルデヒド又はケトンは、特に、一般式R2-(CO)-R1に対応するものであり、式中、R1及びR2は、それぞれ水素又は1、2、3、4、5、6又は7つの炭素原子を有するアルキル基である。適切なアルデヒド又はケトンは特に、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソペンタアルデヒド、2-メチルペンタアルデヒド、2-エチルヘキサアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、フルフラール、アクロレイン二量体、メタクロレイン二量体、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、6-メチル-3-シクロヘキセンアルデヒド、シアンアセトアルデヒド、グリオキシル酸エチル、ベンズアルデヒド、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-ブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン、5-メチル-2-アセチルフラン、2-アセチルフラン、2-メトキシ-4-メトキシペンタン-2-オン、5-メチルヘプタン-3-オン、2-ヘプタノン、オクタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン及びアセトフェノンである。上記のアルデヒド及びケトンは、混合物の形態で使用されることもできる。置換基当たり3つまでの炭素原子を有するアルキル基を有するケトン及びアルデヒドが、溶媒として好ましい。
【0146】
さらに好ましい溶媒は、アルキルアルカノエート特にギ酸メチル、酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸エチル、三酢酸グリセリン及びアセト酢酸エチルである。好ましいハロゲン化溶媒は、WO00/24799、4頁12行目から5頁4行目に記載されている。
【0147】
さらに適切な溶媒は、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート又はブチレンカーボネートのような有機カーボネートである。
【0148】
多くの場合、特に適切な溶媒は、上記溶媒から選ばれた2つ以上の完全に混和性のある化合物を使用することによって得られる。
【0149】
本発明の方法はまた、例えば適切な処理工程などのさらなる工程を含んでもよい。
【0150】
本発明の方法で得られる生成物は、好ましくは少なくとも70体積%の細孔度を有する多孔質材料、特にエアロゲルである。多孔質材料は、粉末又はモノリシックブロックであってよい。多孔質材料は、有機多孔質材料、又は無機多孔質材料であってよい。
【0151】
さらなる実施態様において、多孔質材料は、約2nm~約2000nmの平均孔径を有する。さらなる実施形態において、乾燥ゲル材料の平均孔径は、約4nm、約6nm、約8nm、約10nm、約12nm、約14nm、約16nm、約18nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1000nm、又は約2000nmであってよい。多孔質材料の細孔のサイズ分布は、本発明によれば、単峰性又は多峰性であり得る。
【0152】
本発明の文脈において、表面積、細孔径、同様に細孔容積は、特に明記しない限り、ISO9277:2010に従って、BETにより測定した。この国際規格は、Brunauer,Emmett and Teller(BET)法に従って、物理的に吸着した気体の量を測定することにより、分散体(例えばナノ粉末)又は多孔質固体の全特定外表面積と内表面積を決定することを規定している。これは1984年と1994年の国際純正応用化学連合(IUPAC)の推奨を考慮している。
【0153】
さらなる態様によれば、本発明はまた、本発明の方法により得られた又は得られ得る多孔質材料に関する。
【0154】
本発明の方法により得られた又は得られ得る多孔質材料は、異なる用途に適合可能である。
【0155】
本発明はまた、断熱材としての、又は真空断熱パネルのコア材料としての、上記に開示された多孔質材料、又は上記に開示された方法によりって得られた又は得られ得る多孔質材料の使用に関する。
【0156】
本発明はまた、多孔質材料を含む建築材料及び真空断熱パネル、ならびに断熱のための多孔質材料の使用に関する。好ましくは、本発明によって得られた材料は、特に建物における断熱のために、又は特に移動、輸送用途、又は例えば冷却装置などの固定用途、又は移動用途における冷断熱のために使用される。特定の用途のための機械的補強のために、繊維を添加剤として使用することができる。
【0157】
断熱材に使用される材料は、以下の用途分野:中空ブロックの断熱材として、マルチシェルビルディングブロックのコア断熱材として、真空断熱パネル(VIP)のコア断熱材として、外部断熱システムのコア断熱材として、空洞壁工事の断熱材として、特にルーズフィル断熱材の関連において使用されることが好ましい。
【0158】
本発明のさらなる目的は、本発明による多孔質材料を含むか、又はそれからなる、成形品、ビルディングブロック又はモジュール、ビルシステム、及びビル複合材である。本発明の別の目的は、本発明による多孔質材料を含む真空断熱パネルである。さらに、断熱材及び多孔質材料は、特に押出し中空プロファイルの断熱に適しており、特に窓枠の断熱材のコア材料として適している。
【0159】
断熱材は、例えば、建物の内部又は外部の断熱、又は壁の空洞の断熱に用いられる断熱材である。本発明による多孔質材料は、例えば複合材料などの断熱システムに有利に使用されることができる。
【0160】
さらなる態様によれば、本発明はまた、上記に開示されているような多孔質材料、特に無機又は有機多孔質材料、又は触媒担体として上記に開示されているような方法によって得られた又は得られ得る多孔質材料、特に無機多孔質材料を、食品用途、又は医療、医薬及び化粧品用途のための添加剤としてのセンサの調製のために使用することに関する。いくつかの用途については、バイオポリマー、より具体的には多糖類に基づく多孔質材料を使用することが好ましい場合がある。化粧品用途においては、本発明の方法により得られた又は得られ得る多孔質材料、特に無機又は有機多孔質材料は、例えば、人体の臭気を処置する1つの方法である消臭活性剤として使用されることができる。これらは、デオドラント組成物として考えられるあらゆる形態で提供されることができる。それは、ローション、スプレー又はエアゾールとしての分散;クリーム特にチューブ又はグレーティングで分配されるクリーム;ロールアンとして又はグレーティングとして分配される液体ゲル;スティックの形態;ルースパウダー又はコンパクトパウダーの形態であり得、この点に関し、当業者には周知のこのタイプの製品に一般的に使用される成分を含み、ただし、それらは本発明によるエアロゲルを妨害しないことを条件とする。
【0161】
本発明はまた、断熱材としての、又は真空断熱パネルのための、上記に開示された多孔質材料、又は上記に開示された方法によって得られた又は得られ得る多孔質材料の使用に関する。断熱材は、例えば、建物の内部又は外部の断熱に用いられる断熱材である。本発明による多孔質材料は、例えば複合材料などの断熱システムに有利に使用されることができる。
【0162】
さらなる実施形態によれば、本発明はしたがって、上で開示された多孔質材料の使用に関し、そこでは多孔質材料は、内部又は外部断熱システムに使用される。
【0163】
要約すると、本発明は、以下の実施形態を含み、これらは、そこに定義されるそれぞれの相互依存性によって示される実施形態の特定の組み合わせを含む。
【0164】
実施形態1:ゾル-ゲル法によって多孔質材料の前駆体から誘導される多孔質材料で作られる複数の塊体を製造する方法であって:
(i)前記多孔質材料の前駆体を、前記塊体の形状を規定する型に充填し、前記前駆体は少なくとも2つの反応性成分(CA,CB)と溶媒(S)を含み、そしてゲル塊体を形成する工程と、
(ii)複数のゲル塊体を形成するように、工程(i)を繰り返す工程と、
(iii)前記多孔質材料の前駆体から前記ゲル塊体が形成される所定時間の後に、前記ゲル塊体を前記型から取り出す工程と、
(iv)前記ゲル塊体を互いに隣接させて配置する工程と、
(v)2つの隣接するゲル塊体の間に、その間にクリアランスを提供するようにスペーサーを設ける工程と、
(vi)前記ゲル塊体から溶媒(S)を除去する工程と、
を含む、方法。
【0165】
実施形態2:前記スペーサーは、互いに接続された第1グリッドと第2グリッドを含むグリッドアセンブリであって、前記第1グリッドは第1開口部を含み、前記第2グリッドは第2開口部を含み、前記第1開口部と前記第2開口部は互いにずれている、実施形態1による方法。
【0166】
実施形態3:前記グリッドアセンブリは、1.0mm~4.0mm、好ましくは1.25mm~3.5mm、より好ましくは1.5mm~2.5mmの厚さを有している、実施形態2による方法。
【0167】
実施形態4:前記第1開口部及び/又は前記第2開口部が規則的なパターン又は不規則なパターンで配置されている、実施形態2又は3による方法。
【0168】
実施形態5:前記第1開口部及び/又は前記第2開口部が、同一の又は異なる開口部面積を含む、実施形態2~4のいずれか1つによる方法。
【0169】
実施形態6:前記第1開口部及び/又は前記第2開口部が、同一の形状又は異なる形状を有している、実施形態2~5のいずれか1つによる方法。
【0170】
実施形態7:前記第1開口部及び/又は前記第2開口部は、円形、長円形、楕円形、多角形、丸みを帯びたエッジを含む多角形、長方形、又は正方形の形状を有している、実施形態2から6のいずれか1つによる方法。
【0171】
実施形態8:前記第1グリッド及び/又は第2グリッドの表面に、電気的に散逸性で前記ゲル塊体に対して非粘着性の材料からなるコーティングを少なくとも部分的に提供する工程をさらに含む、実施形態2~7のいずれか1つによる方法。
【0172】
実施形態9:前記第1開口部及び第2開口部の合計開口部面積は、塊体の対向する外表面の40%~95%である、実施形態2~8のいずれか1つによる方法。
【0173】
実施形態10:前記各ゲル塊体を前記スペーサーとともに、一体的に、好ましくはモノリシックに形成することをさらに含む、実施形態1による方法。
【0174】
実施形態11:前記スペーサーは、前記ゲル塊体の少なくとも1つの表面から突出する複数の突起を含む、実施形態10による方法。
【0175】
実施形態12:前記各ゲル塊体の一表面にのみ前記突起を形成することをさらに含み、前記ゲル塊体は、前記ゲル塊体のうちの1つの前記突起を含む表面が、それぞれの隣接する前記塊体の突起を含まない表面と対向するように、互いに隣接して配置されている、実施形態11による方法。
【0176】
実施形態13:前記突起のそれぞれは、直径が1.0~5.0mm、好ましくは1.25~4.0mm、より好ましくは1.5~2.5mmである円形の断面形状を含む、実施形態11又は12による方法。
【0177】
実施形態14:前記突起は、規則的なパターン又は不規則なパターンで配置されている、実施形態10~13のいずれか1つによる方法。
【0178】
実施形態15:前記突起は、同一の形状又は異なる形状を有している、実施形態10~14のいずれか1つによる方法。
【0179】
実施形態16:前記突起は、0.1mm~20.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、より好ましくは1.0mm~3.0mmの高さを有している、実施形態10~15のいずれか1つによる方法。
【0180】
実施形態17:前記突起は、隣接する突起の外表面間の最小距離が0.1mmとなるように配置されている、実施形態10~16のいずれか1つによる方法。
【0181】
実施形態18:前記突起は、円錐台として形成される、実施形態10~17のいずれか1つによる方法。
【0182】
実施形態19:前記ゲル塊体から前記溶媒(S)を除去した後に、前記突起を除去する工程をさらに含む、実施形態10~18のいずれか1つによる方法。
【0183】
実施形態20:前記ゲル塊体は、立方体、円筒形、又は多角形の形状を有するスラブとして形成され、前記ゲル塊体は、最大の表面積を有する前記立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に垂直に配向するように配置されている、実施形態1~19のいずれか1つによる方法。
【0184】
実施形態21:前記ゲル塊体は、立方体、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして形成され、前記ゲル塊体は、最大の表面積を有する前記立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に平行に配向するように配置されている、実施形態1~19のいずれか1つによる方法。
【0185】
実施形態22:前記ゲル塊体は、最大の寸法を有する前記立方体、円筒形、又は多角形のエッジが重力方向に対して実質的に垂直に配向するように配置されている、実施形態20又は21による方法。
【0186】
実施形態23:前記ゲル塊体はスラブとして形成され、前記スラブは少なくとも10cmの長さと少なくとも10cmの幅を有する、実施形態1~22のいずれか1つによる方法。
【0187】
実施形態24:前記ゲル塊体はスラブとして形成され、前記スラブは少なくとも0.5mmの厚さを有している、実施形態1~23のいずれか1つによる方法。
【0188】
実施形態25:前記スペーサーは、グリッド開口部を含むグリッドである、実施形態1による方法。
【0189】
実施形態26:前記グリッド開口部は、同一の又は異なる開口部面積を有している、実施形態25による方法。
【0190】
実施形態27:前記グリッド開口部は、規則的なパターン又は不規則なパターンで配置されている、実施形態25~26のいずれか1つによる方法。
【0191】
実施形態28:前記グリッドは、前記グリッド開口部を規定する支柱を含み、前記支柱は、1.0mm~5.0mm、好ましくは1.25mm~4.5mm、より好ましくは1.5mm~4.0mmの幅を有する、実施形態25~27のいずれか1つによる方法。
【0192】
実施形態29:前記ゲル塊体は、立方体、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして形成され、前記ゲル塊体は、最大の表面積を有する前記立方体、円筒形、又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に垂直に配向するように配置されている、実施形態25~28のいずれか1つによる方法。
【0193】
実施形態30:前記グリッドの表面に、電気的に散逸性で前記ゲル塊体に対して非粘着性の材料からなるコーティングを少なくとも部分的に提供する工程をさらに含む、実施形態25~29のいずれか1つによる方法。
【0194】
実施形態31:前記塊体からの前記溶媒の除去は、超臨界乾燥によって行われる、実施形態25~30のいずれか1つによる方法。
【0195】
実施形態32:前記グリッドは、前記塊体を担持し、前記塊体が他のグリッドに係合することなく、その上に配置された他のグリッドを支持するように構成されている、実施形態25~30のいずれか1つによる方法。
【0196】
実施形態33:前記グリッドは、外側リムを含み、前記外側リムは、前記塊体が他のグリッドに係合することなく、その上に配置された他のグリッドを支持するように構成されている、実施形態32による方法。
【0197】
実施形態34:前記塊体からの前記溶媒の除去は、超臨界乾燥又は対流乾燥によって行われる、実施形態1~24又は32~33のいずれか1つによる方法。
【0198】
実施の形態35:実施形態1~34のいずれか1つによる方法で得られた又は得られ得る多孔質材料で作られた塊体。
【0199】
実施形態36:断熱材としての、又は真空断熱パネル用の、実施形態35による塊体、又は実施形態1~34のいずれか1つによる方法よって得られた又は得られ得る塊体の使用。
【0200】
実施形態37:前記塊体は、内部断熱システム又は外部断熱システムで使用される、実施形態36による使用。
【図面の簡単な説明】
【0201】
本発明のさらなる特徴及び実施形態は、後続の説明において、特に従属請求項と関連して、より詳細に開示される。そこでは、それぞれの特徴は、当業者が理解するように、分離された態様で、また任意の実行可能な組み合わせで実現されてよい。実施形態は、図に概略的に示されている。なお、これらの図において同一の符号は、同一の要素又は機能的に同一の要素を示す。
【
図2】開示された方法の第1実施形態で使用されるスペーサーの斜視図を示す。
【
図4】第1配向に従って配置された複数の塊体の斜視図を示す。
【
図5】第2配向に従って配置された複数の塊体の斜視図を示す。
【
図6】開示された方法の第2実施形態で使用される型の斜視図を示す。
【
図7】開示された方法の第2実施形態の概略フローチャートを示す。
【
図8】
図8A~8Fは、開示された方法の第3実施形態で使用される異なるスペーサーの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0202】
詳細な説明
以下で使用される場合、「有する」、「備える」、又は「含む」という用語、又はそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴の他に、この文脈で説明されている実体にさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外にAに他の要素が存在しない状況(つまり、Aは専らかつ排他的にBを構成する状況)と、Bに加えて、1つ以上の要素、例えば要素C、要素CとD、又はさらに要素などが実体Aに存在する状況の双方を指し得る。
【0203】
さらに、「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語、又は、特徴もしくは要素が1回以上存在し得ることを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照するときに、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は、それらの特徴又は要素が1回以上現れ得るという事実にもかかわらず、繰り返されないことに留意されたい。
【0204】
さらに、以下で使用される場合、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」という用語、又は、同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、追加的/代替的特徴に関連して使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、追加的/代替的特徴であり、如何なる意味でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者であれば認識するように、代替的特徴を用いて実施することができる。同様に、「本発明の一実施形態では」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、及び、そのような方法で導入される特徴を本発明の他の追加的/代替的又は非追加的/非代替的特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、追加的/代替的特徴であることが意図されている。
【0205】
さらに、「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、それぞれの構成部材又は要素の相違を容易にするために排他的に使用され、特定の順序又は重要性を定義するために解釈されてはならないことに留意されたい。
【0206】
本明細書で使用される「型」という用語は、ゾルゲルの前駆体によって提供される液体又は柔軟な材料で充填されるように構成された中空のブロック又は容器を指す。特に、ゾル-ゲル法は型内で行われる。ゾル-ゲル法の間、前駆体はゾルを形成し、該ゾルは続いてゲル化を開始する。このように、液体は、型の内部ボリュームによって規定される形状を採用して、型内で硬化又は固化する。型は基本的にゾル-ゲル法を行うために用いられる。しかしながら、溶媒は、このようにして形成されたゲルから、ゲルが型内に残った状態で、又はゲルが型から取り出されたた状態で、除去されてよいことに留意されたい。本発明では、型は、複数の部分から構成されてよく、内部ボリュームは、下部分によって規定されてよい。
【0207】
本明細書で使用される「ゾル-ゲル法」という用語は、低分子から固体材料を生成する方法を指す。この場合、本方法は、エアロゲル、キセロゲル及び/又はクリオゲルのような多孔質材料の製造に使用される。本方法は、前駆体としてのモノマーをコロイド溶液、いわゆるゾルに変換することを含み、ゾルは続いて、離散粒子又はネットワークポリマーのいずれかの統合ネットワーク、いわゆるゲルに反応する。この化学的手順では、ゾルは、離散粒子から連続ポリマーネットワークまでの範囲の形態の液相と固相の両方を含むゲル状二相系の形成に向かって徐々に発達する。このゲル状二相系をゲルと呼ぶ。特に、ゲルは、互いに接続された細孔内に溶媒を封入又は包囲する、すなわち、細孔は相互に貫入するネットワークを形成する。残留液相、すなわち溶媒を除去するには、乾燥プロセスが必要であり、乾燥プロセスは典型的には一定量の収縮及び緻密化を伴う。溶媒が除去される速度は、ゲル中の多孔度の分布によって最終的に決定される。最終的な成分の最終的な微細構造は、この処理段階の間の構造テンプレートに課される変化によって明らかに強く影響される。
【0208】
本明細書で使用される「塊体」という用語は、識別可能な物質の集合体によって形成される固体物体を指し、それは識別可能な境界によって拘束されてもよく、及び、3次元空間内で並進又は回転によって単位として移動してもよいし、又は移動させられてもよい。
【0209】
本明細書で使用される「多孔質」という用語は、細孔を有する材料特性を指す。ゲルが溶媒は、ゲルが型内に存在又は残留している状態、又はゲルが型から取り出された後に、ゲルから除去されてよいため、「多孔質」という用語は、液体、特に溶媒、又は空気などのガスで満たされた細孔の両方をカバーする。細孔は、ある種のネットワークを形成するように互いに接続されることができる。
【0210】
本明細書で使用される「コーティング」という用語は、型の下部分の内面に適用される被覆を指す。特に、コーティングは、少なくとも、多孔質材料の前駆体及びそこで作られる塊体と接触することを意図した下部分のこれらのエリアに適用されてよい。言うまでもなく、コーティングは、内部ボリュームを規定する下部分の内面全体に適用されてよい。
【0211】
本明細書で使用される「電気的散逸性」は、材料特性を指し、そこでは、電荷は、接地へ流れることができるが、導電性材料と比較した場合、より制御された方式でよりゆっくりと接地に流れることができる。
【0212】
本明細書で使用される「非粘着性」という用語は、ある部品が別の部品に付着しない特性を指す。したがって、両方の部分は互いに緩やかに接触している。本発明によれば、コーティングは、型内に充填された前駆体から形成された、又は生じたゲルに付着しない。ゾル-ゲル法で用いられる溶媒は、ゲルが型内にある状態で除去される場合、コーティングは、塊体が型から取り出されるように、このように形成された塊体に付着しないように構成される。
【0213】
本明細書で使用される場合、塊体の形状の「幅」及び「長さ」という用語は、塊体の形状の高さ又は厚さに垂直な寸法を指す。
【0214】
本明細書で使用される「開口部面積」という用語は、開口部の境界によって規定される開口部の面積を指す。
【0215】
図1は、本発明によるゾル-ゲル法で多孔質材料の前駆体から誘導される多孔質材料で作られる複数の塊体を製造する方法のフローチャートを示す。
図1は、開示された方法の基本原理の説明として理解されたい。ステップS10では、型10が提供される。型10は、形成される塊体12の形状を規定する。ステップS12では、多孔質材料の前駆体が型10に充填される。前駆体は、少なくとも2つの反応性成分CA、CBと、溶媒Sを含む。多孔質材料の前駆体は、以下のようにして調製されてよい。第1反応性成分CAと溶媒Sとが第1受容タンクに供給される。さらに、第2反応性成分CBと溶媒Sとが第2受容タンクに供給される。第1の反応性成分及び溶媒の所定量が第1受容タンクから混合装置に供給される。例えば、所定量は、第1量投与装置による定量投与として定義される。第2反応性成分及び溶媒の所定量が第2受容タンクから混合装置に供給される。例えば、所定量とは、第2定量投与装置による定量投与として定義される。任意に、閉ループ作動が、第1受容タンク及び混合装置、及び/又は第2受容タンク及び混合装置に備えられてもよい。次に、多孔質材料の前駆体は、型10内に所定量まで充填される。例えば、充填プロセスは、混合装置によって行われる。特に、前駆体は、下部分に充填される前に、混合装置によって混合される。前駆体は、不活性又は換気される領域内で型10へ充填される。例えば、充填は、二酸化炭素又は窒素雰囲気中で、又は実験室のフードと同様の装置内で行われる。型10は、蓋によって、特に気密に閉じられることができる。それにより、如何なる溶媒蒸気も型10から漏れることが防止される。次に、前駆体の2つの反応性成分からのゾルゲル反応が起こり、前駆体がゲル化する。これにより、ゲル塊体12が形成される。ゲル化後、ゲルは、ゲル化反応を完了させるために、及び、ゲル塊体が十分に硬くない場合などのように、ゲル塊体12のさらなる取り扱いに悪影響を及ぼさないようにするために、少なくとも3時間、好ましくは少なくとも8時間などの所定時間、硬化又はエージングが行われる。例えば、硬化又はエージングプロセスは、硬化装置によって行われる。硬化後、塊体が形成される。
【0216】
ステップS12は、複数のゲル塊体12を形成するように繰り返される。特に、ステップS12は、適宜任意の回数繰り返されてよく、それぞれの用途に応じて繰り返されてよい。ゲル塊体12は、スラブとして形成されてよく、スラブは、少なくとも10cmの長さと少なくとも10cmの幅を有する。実用上の理由から、長さ及び/又は幅の上限は、200cm又は100cmでさえあってよい。スラブは、少なくとも0.5mmの厚さを有する。実用上の理由から、厚さの上限は、25.0mm、20.0mm又は15.0mmであり得る。続いて、ステップS14では、ゲル塊体12は型10から取り出される。言い換えれば、多孔質材料の前駆体からゲル塊体12が形成される所定時間後に、各型10からゲル塊体12が、あるいは、単一の型10が用いられている場合には、ゲル塊体12が順次型10から取り出される。さらに、溶媒Sは、再抽出装置を用いてリサイクル又は再抽出されてよい。
【0217】
ステップS16では、ゲル塊体12は互いに隣接して配置される。ステップS18では、隣接する2つのゲル塊体12の間に、その間にクリアランスを設けるように、スペーサー14が設けられる。ステップS16及びS18は、同時に行われてよいことは注意すべきである。ステップS20では、ゲル塊体12から溶媒Sが除去される。ゲル塊体12からの溶媒Sの除去は、超臨界乾燥又は対流乾燥によって行われる。除去は、オートクレーブ又はオーブンで行われてよい。
図1に示す例では、溶媒Sは、超臨界CO
2によって除去される。
【0218】
図2は、開示された方法の第1実施形態で使用されるスペーサー14の斜視図を示す。
図3は、
図2のスペーサー14の一部の拡大図を示す。第1実施形態のスペーサー14は、グリッドアセンブリ16である。グリッドアセンブリ16は、互いに接続された第1グリッド18と第2グリッド20を含む。特に、第1グリッド18は、第2グリッド20の上に配置されている。第1グリッド18は、第1開口部22を含む。第2グリッド20は、第2開口部24を含む。第1開口部22と第2開口部24とは、互いにずれている。言い換えれば、第1開口部22及び第2開口部24は、互いに正確には重ならず、部分的にのみ重なっている。したがって、第1開口部及び第2開口部は、2つのグリッド18、20の平面内に、溶媒Sがそこを通って流れることができる開放路を形成する。第1開口部22及び第2開口部24は、規則的なパターンで配置されている。第1開口部22及び第2開口部24は、同一の開口部面積を有している。第1及び第2開口部22、24の総開口部面積は、塊体12の対面する外表面の40%~95%、例えば80%であってよい。第1開口部22及び第2開口部24は、同一の形状を有する。図示の例では、第1開口部22及び第2開口部24は、それぞれ長方形及び正方形の形状を有している。グリッドアセンブリ16は、1.0mm~4.0mm、好ましくは1.25mm~3.5mm、より好ましくは1.5mm~2.5mm、例えば2.0mmの厚さを有している。第1グリッド18及び/又は第2グリッド20の表面は、少なくとも部分的に、電気的に散逸性でゲル塊体12に対して非粘着性の材料からなるコーティングが施されていてよい。
【0219】
グリッドアセンブリ16は、以下のように変更されてよい。第1開口部22及び/又は第2開口部24は、不規則なパターンで配置されてよい。第1開口部22及び/又は第2開口部24は、異なる開口部面積を有してよい。第1開口部22及び/又は第2開口部24は、異なる形状を有してよい。第1開口部22及び/又は第2開口部24は、円形、楕円形、長円形、多角形、又は丸みを帯びたエッジを含む多角形の形状を有してよい。
【0220】
図4は、ステップS20の溶媒の除去中に、第1配向に従って配置された複数のゲル塊体12の斜視図を示す。ゲル塊体12は、立方体形状を有するスラブとして形成されている。第1配向では、型10から取り出されたゲル塊体12は、実質的に垂直に配置されている。言い換えれば、ゲル塊体12は、最大の表面積を有する立方体形状の側面が重力方向に対して実質的に平行になるように配置されている。さらに、ゲル塊体12は、最大寸法を有する立方体形状のエッジが重力方向に対して実質的に垂直になるように配置されている。
図4にさらに示されるように、隣接するゲル塊体12の間に、
図2及び
図3に示すようなスペーサー14が設けられている。基本的に、ゲル塊体12は、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして代替的に形成されてよい。
【0221】
図5は、ステップS20の溶媒の除去中に、第2配向に従って配置された複数のゲル塊体12の斜視図を示す。ゲル塊体12は、立方体形状を有するスラブとして形成されている。第2配向では、型10から取り出されたゲル塊体12は、実質的に水平に配置されている。言い換えれば、ゲル塊体12は、最大の表面積を有する立方体形状の側面が重力方向に対して実質的に垂直になるように配置されている。さらに、ゲル塊体12は、最大寸法を有する立方体形状のエッジが重力方向に対して実質的に垂直になるように配置されている。
図5にさらに示されるように、隣接するゲル塊体12の間には、
図2及び
図3に示すようなスペーサー14が設けられている。基本的に、ゲル塊体12は、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして代替的に形成されてよい。ゲルスラブを水平に配置する場合の溶媒の除去は、ゲルスラブを垂直に配置する場合よりも時間がかかる可能性があることに留意されたい。
【0222】
図6は、開示された方法の第2実施形態で使用される型10の斜視図を示す。開示された方法の第2実施形態で使用される型10は、立方体形状を含む。さらに、型10は、底面28に凹部又は窪み26を有している。窪み26は、規則的なパターンで配置されており、切頭円錐形状を有する。以下、本発明の第2の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0223】
図7は、開示された方法の第2実施形態の概略フローチャートを示す。以下では、開示された方法の第1実施形態との相違点のみを詳細に説明し、又は構成部材又は方法のステップは、同一又は同様の参照数字で示し、簡単に説明するだけである。ステップS10では、
図6に示す型10が提供される。ステップS12では、上述した多孔質材料の前駆体が型10に充填される。前駆体は、型10の底面28に設けられた窪み26にも流れ込む。ステップS14では、ゲル塊体12は型10から取り出される。言い換えれば、多孔質体の前駆体からゲル塊体12が形成される所定の時間後に、ゲル塊体12が各型10から、又は単一の型10が使用されている場合には、ゲル塊体12(複数)は型10から順次取り出される。前駆体が型10の底面28の窪み26に流れ込むため、ゲル塊体12は、スペーサー14とそれぞれ一体的かつモノリシックに形成される。具体的には、スペーサー14は、ゲル塊体12の少なくとも1つの表面32から突出する複数の突起30を含む。突起30は、各ゲル塊体12の一表面32にのみ形成されている。型10の窪み26が規則的なパターンで配置されているため、突起30も規則的なパターンで配置されている。特に、突起30は、隣接する突起30の外表面38間の最小距離36が0.1mmになるように配置されている。最小距離36は、突起30の塊体12への移行で画定されてよい。型10の窪み26が円錐台に形成されているため、突起30は円錐台に形成されている。さらに、突起30は、同一の形状を有している。突起30は、0.1mm~20.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、より好ましくは1.0mm~3.0mm、例えば2.0mmの高さ40を有している。突起30のそれぞれは、直径が1.0mm~5.0mm、好ましくは1.25mm~4.0mm、より好ましくは1.5mm~2.0mm、例えば2.0mmの円形断面形状を有する。円錐形又は円錐台形の場合、直径は高さ40の半分で、又は高さ40に沿った平均値として定義されてよい。
【0224】
ステップS16では、ゲル塊体12は、一方のゲル塊体12の突起30を含む表面32がそれぞれ隣接するゲル塊体12の突起を含まない表面34と向き合うように、互いに隣接して配置される。このように、ゲル塊体12を互いに隣接して配置することにより、突起30によって形成されるスペーサー14が、2つの隣接するゲル塊体12の間にクリアランスを設けるように自動的に設けられる。つまり、ステップS16とステップS18が結合される。ステップS20では、溶媒Sがゲル塊体12から、上述したように、すなわち、対流乾燥又は超臨界乾燥によって除去される。
図7に示す例では、溶媒Sは、超臨界CO
2により除去される。ステップS24では、溶媒Sがゲル塊体12から除去され、ゲル塊体12が隣接配置から解放される。ステップS24では、突起30は、ゲル塊体12から溶媒Sを除去した後に、任意に取り除かれてよい。
【0225】
塊体12は、
図6に示す型10を変更することにより、以下のように変更されることができる。突起30は、ゲル塊体12の対向する2つの表面に形成されてよい。突起30は、不規則なパターンで配置されてよい。突起30は、異なる形状を有してよい。
【0226】
図8A~8Fは、開示された方法の第3実施形態で使用される異なるスペーサー14の斜視図を示している。
図8A~8Fによれば、スペーサー14は、グリッド開口部44を有するグリッド42である。グリッド42は、グリッド開口部44を規定する支柱46を含む。支柱46は、1.0mm~5.0mm、好ましくは1.25mm~4.5mm、より好ましくは1.5mm~4.0mmの幅48を有する。同一のグリッド42の支柱46は、異なる幅50を有してよいことに留意されたい。
図8A~8Fに示されるスペーサー14は、グリッド42が塊体12を担持し、塊体12が他のグリッド42に係合することなく、その上に配置された他のグリッド42を支持するように構成されるように設計される。この目的のために、グリッド42は、塊体12が他のグリッド42に係合することなく、その上に配置された別のグリッド42を支持するように構成された外周リム50を備える。
図8A~
図8Fに示されるグリッドは、超臨界乾燥による溶媒Sの除去を可能にするために特に設計されている。基本的に、
図8A~
図8Fに示されるグリッド42は、
図5に示される配置と同様に、溶媒Sを除去する工程の間、互いに重なり合うように水平に配置されるように構成されている。このように、第3実施形態では、ゲル塊体12は、立方体、円筒形又は多角形の形状を有するスラブとして形成されており、ゲル塊体12は、最大の表面積を有する立方体、円筒形又は多角形の側面が重力方向に対して実質的に垂直に配向するように配置されている。グリッド42の表面には、電気的に散逸性で、かつ、ゲル塊体12に対して非粘着性の材料で作られたコーティングを施されていてよい。グリッド開口部44は、同一の又は異なる開口部面積を含んでよい。グリッド開口部44は、規則的なパターンで配置されていても、又は不規則なパターンで配置されていてもよい。以下、
図8A~
図8Fに示すグリッド42のさらなる詳細について説明する。
【0227】
図8Aは、異なるサイズの正方形状のグリッド開口部44を有するグリッド42を示している。さらに、支柱46は、異なる幅48を有している。特に、グリッド42は、例えば2倍など、残りの支柱46よりも広い幅48を有する2つの支柱46を備える。さらに、グリッド開口部44のいくつかは、支柱46間に形成され、外側リム50に隣接し、残りのグリッド開口部44よりも小さい。
【0228】
図8Bは、異なるサイズと異なる形状のグリッド開口部44を有するグリッド42を示している。特に、より大きい円形のグリッド開口部44、より小さい円形のグリッド開口部44及び半円形のグリッド開口部44がある。
【0229】
図8Cは、同一のサイズの正方形状のグリッド開口部44を有するグリッド42を示している。さらに、支柱46は、異なる幅48を有している。特に、グリッド42は、例えば2倍など、残りの支柱46よりも広い幅48を有する2つの支柱46を備えている。
【0230】
図8Dは、異なるサイズのグリッド開口部44を有するグリッド42を示している。特に、グリッド開口部44は、対角線上に延びる長いスロットとして形成されている。さらに、グリッド42は、互いに平行に延び、グリッド開口部44に対して傾斜した2本の支柱46を備えている。
図8Eは、
図8Dに示すグリッドと同様のグリッド42を示している。グリッド42は、異なるサイズのグリッド開口部44を有している。特に、グリッド開口部44は、対角線上に延びる長いスロットとして形成されている。さらに、グリッド42は、互いに平行に延び、グリッド開口部44に対して傾斜した2本の支柱46を備えている。
図8Dに示すグリッドと比較すると、
図8Eに示すグリッド42の支柱46は、より広い幅48を有している。
【0231】
図8Fは、
図8Cに示すグリッド43と同様のグリッド42を示している。グリッド42は、異なるサイズの正方形状のグリッド開口部44を有している。さらに、支柱46は、異なる幅48を有する。特に、グリッド42は、例えば2倍など、残りの支柱46よりも広い幅48を有する2つの支柱46を備えている。これらの2つの支柱46は、残りのグリッド開口部44よりも小さいグリッド開口部44を有している。
【0232】
引用文献
- WO00/24799
- WO2009/027310
- WO2016/150684A1
- US2005/0159497A1
【国際調査報告】