IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-546304薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜
<>
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図1
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図2
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図3
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図4
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図5
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図6
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図7
  • 特表-薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ用の窒素リッチな窒化ケイ素膜
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20221027BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221027BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L21/318 B
H01L29/78 619A
H01L29/78 618B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022511228
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020038595
(87)【国際公開番号】W WO2021040860
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】16/557,102
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リム, ロドニー シュンロン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ユン ベ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チアルイ
(72)【発明者】
【氏名】ツイ, イー
(72)【発明者】
【氏名】イム, ドンキル
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スヤン
【テーマコード(参考)】
5F058
5F110
【Fターム(参考)】
5F058BA07
5F058BB05
5F058BB06
5F058BC02
5F058BC08
5F058BD04
5F058BD10
5F058BF07
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BF39
5F058BJ03
5F110AA14
5F110BB01
5F110CC01
5F110CC07
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD03
5F110DD04
5F110DD12
5F110DD13
5F110DD14
5F110DD15
5F110DD17
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE06
5F110EE30
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF03
5F110FF04
5F110GG01
5F110GG02
5F110GG13
5F110GG24
5F110GG25
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK06
5F110HL02
5F110HL03
5F110HL04
5F110HL06
5F110NN03
5F110NN04
5F110NN22
5F110NN23
5F110NN24
5F110NN28
5F110NN35
5F110NN77
5F110NN78
5F110QQ08
(57)【要約】
本開示の実施形態は、一般に、窒素リッチな窒化ケイ素と、窒素リッチな窒化ケイ素を堆積させる方法と、窒素リッチな窒化ケイ素を含有するトランジスタおよび他のデバイスとに関する。1つまたは複数の実施形態では、パッシベーション膜スタックが、ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含有する。窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20原子パーセント(at%)~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%である。1つまたは複数の例では、パッシベーション膜スタックは、酸化ケイ素層と、窒素リッチな窒化ケイ素層と、窒素リッチな窒化ケイ素および/または水素リッチな窒化ケイ素などの任意のタイプの窒化ケイ素を含有する第3の層とを含有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、
前記酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層と
を含むパッシベーション膜スタックであって、
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20原子パーセンテージ(at%)~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%である、パッシベーション膜スタック。
【請求項2】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約27at%~約34at%、窒素濃度が約42at%~約65at%、および水素濃度が約18at%~約25at%であり、前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が1.03超~約2である、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項3】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素-水素結合濃度が約0.5%~約6%である、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項4】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、全水素結合濃度が30%未満である、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項5】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が約1×10-8g/m/日~約1×10-4g/m/日である、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項6】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、厚さが約1nm~約500nmである、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項7】
前記酸化ケイ素層は、厚さが約50nm~約1000nmである、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項8】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された水素リッチな窒化ケイ素層をさらに含み、前記水素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が前記窒素リッチな窒化ケイ素層よりも高い、請求項1に記載のパッシベーション膜スタック。
【請求項9】
請求項1に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、
基板上に配置された緩衝層と、
前記緩衝層上に配置された第1の金属層と、
前記第1の金属層および前記緩衝層の上に配置されたゲート絶縁体層と、
前記ゲート絶縁体層上に配置された金属酸化物層と、
前記金属酸化物層および前記ゲート絶縁体層の上に配置された第2の金属層とを含み、
前記パッシベーション膜スタックの前記酸化ケイ素層が、前記第2の金属層、前記金属酸化物層、および前記ゲート絶縁体層のうちの少なくとも1つの上に配置される、薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記パッシベーション膜スタックがさらに、前記窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された水素リッチな窒化ケイ素層を含み、前記水素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が前記窒素リッチな窒化ケイ素層よりも高い、請求項9に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項11】
請求項1に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、
基板上に配置された緩衝層と、
前記緩衝層上に配置された第1の金属層と、
前記第1の金属層および前記緩衝層の上に配置されたゲート絶縁体層と、
前記ゲート絶縁体層上に配置された金属酸化物層と、
前記金属酸化物層および前記ゲート絶縁体層の上に配置されたエッチング停止層と、
前記エッチング停止層および前記金属酸化物層の上に配置された第2の金属層とを含み、
前記パッシベーション膜スタックの前記酸化ケイ素層が、前記第2の金属層および前記エッチング停止層の少なくとも一方の上に配置される、薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記パッシベーション膜スタックがさらに、前記窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された水素リッチな窒化ケイ素層を含み、前記水素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が前記窒素リッチな窒化ケイ素層よりも高い、請求項11に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項13】
請求項1に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、
基板上に配置された緩衝層と、
前記緩衝層上に配置された金属酸化物層と、
前記金属酸化物層上に配置されたゲート絶縁体層と、
前記ゲート絶縁体層上に配置された第1の金属層と、
前記緩衝層、前記金属酸化物層、前記ゲート絶縁体層、および前記第1の金属層のうちの少なくとも1つの上に配置された層間誘電体層と、
前記層間誘電体層および前記金属酸化物層の上に配置された第2の金属層とを含み、
前記パッシベーション膜スタックの前記酸化ケイ素層が、前記層間誘電体層および前記第2の金属層の少なくとも一方の上に配置される、薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記基板上に配置された第3の金属層をさらに含み、前記緩衝層が前記第3の金属層および前記基板の上に配置される、請求項13に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項15】
請求項1に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、
基板上に配置された、低温ポリシリコンを含む緩衝層と、
前記緩衝層上に配置されたポリシリコン層と、
前記ポリシリコン層および前記緩衝層の上に配置された第1のゲート絶縁体層と、
前記第1のゲート絶縁体層上に配置された第1の金属層と、
前記第1の金属層および前記第1のゲート絶縁体層の少なくとも一方の上に配置された第1の層間誘電体層と、
前記第1の層間誘電体上に配置された、窒素リッチな窒化ケイ素を含む第1の酸化物緩衝層と、
前記第1の酸化物緩衝層上に配置された、酸化ケイ素を含む第2の酸化物緩衝層と、
前記第1の酸化物緩衝層および前記ポリシリコン層と接触している第2の金属層と、
前記第2の酸化物緩衝層上に配置された金属酸化物層と、
前記金属酸化物層上に配置された第2のゲート絶縁体層と、
前記第2のゲート絶縁体層上に配置された第3の金属層と、
前記第2の酸化物緩衝層、前記金属酸化物層、前記第2のゲート絶縁体層、および前記第3の金属層のうちの少なくとも1つの上に配置された第2の層間誘電体層と、
前記第2の層間誘電体上に配置され、前記金属酸化物層もしくは前記第2の金属層に、またはその両方に接触している第4の金属層とを含み、
前記パッシベーション膜スタックの酸化ケイ素層が、前記第2の層間誘電体層および前記第4の金属層の少なくとも一方の上に配置される、薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記第2の金属層がさらに、前記第1の層間誘電体層または前記第2の酸化物緩衝層と接触している、請求項15に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項17】
ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、
前記酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層と
を含むパッシベーション膜スタックであって、
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が約1×10-8g/m/日~約1×10-4g/m/日であり、ケイ素-水素結合濃度が約0.1%~約10%であり、
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が1.03超~約2である、パッシベーション膜スタック。
【請求項18】
窒化ケイ素材料を堆積させる方法であって、
ワークピースを約200℃~約250℃の温度に加熱すること、
プラズマ強化化学気相堆積プロセス中に前記ワークピースを堆積ガスに曝すこと、および
窒素リッチな窒化ケイ素層を前記ワークピース上に堆積させることを含み、
前記堆積ガスが、ケイ素前駆体、窒素前駆体、およびキャリアガスを含み、
前記堆積ガス中の前記ケイ素前駆体と前記窒素前駆体と前記キャリアガスとのモル比が、それぞれ約1:約4~約8の範囲:約20~約80の範囲である、方法。
【請求項19】
前記堆積ガス中の前記ケイ素前駆体と前記窒素前駆体と前記キャリアガスとのモル比が、それぞれ約1:約5~約7の範囲:約30~約50の範囲であり、前記ケイ素前駆体がシランを含み、前記窒素前駆体がアンモニアを含み、前記キャリアガスが窒素(N)を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20at%~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%であり、前記窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が1.03超~約2である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に堆積プロセスに関し、詳細には、窒化ケイ素およびその他の材料をワークピース上に堆積させるための気相堆積プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、およびマイクロLEDパネルが、フラットパネルディスプレイにしばしば使用される。通常、LCDは、液晶材料の層を間に挟んで接合された2枚のガラス基板を一般に含有する。ガラス基板は、半導体基板であっても、ガラス、石英、サファイア、または透き通ったプラスチックフィルムなどの透明な基板であってもよい。LCDはまた、バックライト用の発光ダイオードを含有し得る。
【0003】
LCDの解像度要件が高くなるにつれて、ピクセルと呼ばれる液晶セルの多数の個別領域を制御することが望ましくなってきている。現代のディスプレイパネルは、約800万ピクセル(4K解像度)、約3300万ピクセル(8K解像度)、またはもっと多いピクセルを有し得る。少なくともこれと同数のトランジスタがガラス基板上に形成され、それにより各ピクセルを、基板上に配置された他のピクセルに対して通電状態と非通電状態に切り替えることができるようになる。
【0004】
シリコン含有材料が、ほとんどのTFTの基本要素になっている。シリコン含有材料は、低温ポリシリコン(LTPS)TFT用のポリシリコンなどのチャネル材料を形成するために使用されており、また、TFTのゲート誘電体層、インターフェース層、パッシベーション層、および/またはエッチング停止層を形成する際に利用される構成要素としてさえも使用されている。
【0005】
金属酸化物チャネルベースのTFTでは、シリコン含有パッシベーション層は、特にIn-Ga-Zn酸化物(IGZO)チャネル半導体の場合に、湿度およびガス拡散に対してデバイスを保護することができない。湿気(HO)および/またはガス(たとえば、H、O、および/またはN)がIGZOチャネル半導体、ならびに他の層の中に拡散すると、デバイス全体が不安定になる。通常、湿気およびガスは、様々な下層によって生成され、水素リッチな酸化ケイ素および/または水素リッチな窒化ケイ素を含有するパッシベーション層を通り抜けて、またはパッシベーション層から、拡散する可能性がある。
【0006】
したがって、TFTまたは他のタイプのデバイス内の湿気および/またはガスの拡散を低減または除去するためのパッシベーション材料が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態は、一般に、窒素リッチな窒化ケイ素と、窒素リッチな窒化ケイ素を堆積させる方法と、窒素リッチな窒化ケイ素を含有するトランジスタおよび他のデバイスとに関する。1つまたは複数の実施形態では、パッシベーション膜スタックが、ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含有する。窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20原子パーセント(at%)~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%である。1つまたは複数の例では、パッシベーション膜スタックは、酸化ケイ素層と、窒素リッチな窒化ケイ素層と、窒素リッチな窒化ケイ素および/または水素リッチな窒化ケイ素などの任意のタイプの窒化ケイ素を含有する第3の層とを含有する。
【0008】
他の実施形態では、パッシベーション膜スタックは、ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含み、窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が約1×10-8g/m/日~約1×10-4g/m/日であり、ケイ素-水素結合濃度が約0.1%~約10%であり、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が1.03超~約2である。いくつかの例では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素-水素結合濃度が約0.5%~約6%であり、全水素結合濃度(窒素-水素結合濃度を含む)が30%未満である。
【0009】
いくつかの実施形態では、窒化ケイ素材料を堆積させる方法は、ワークピースを約200℃~約250℃の温度に加熱すること、プラズマ強化化学気相堆積(PE-CVD)プロセス中にワークピースを堆積ガスに曝すこと、および窒素リッチな窒化ケイ素層をワークピース上に堆積させることを含む。堆積ガスは、ケイ素前駆体、窒素前駆体、およびキャリアガスを含有し、この堆積ガスは、堆積ガス中のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比が、それぞれ約1:約4~約8の範囲:約20~約80の範囲である。いくつかの例では、堆積ガスは、堆積ガス中のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比が、それぞれ約1:約5~約7の範囲:約30~約50の範囲である。1つまたは複数の例では、ケイ素前駆体はシランであるかこれを含有し、窒素前駆体はアンモニアであるかこれを含有し、キャリアガスは窒素(N)であるかこれを含有する。
【0010】
本開示の上記に列挙された特徴の手法が詳細に理解できるように、上で簡潔に要約された本開示についてのより具体的な説明が、添付の図面に一部が示されている実施形態を参照することによって得られよう。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を示すにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでなく、他の同様に効果的な実施形態も認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する薄膜トランジスタ(TFT)構造の概略図である。
図2】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する別のTFT構造の概略図である。
図3】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する別のTFT構造の概略図である。
図4】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する別のTFT構造の概略図である。
図5】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する別のTFT構造の概略図である。
図6】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する別のTFT構造の概略図である。
図7】本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、2つの窒素リッチな窒化ケイ素層を含有するTFT構造の概略図である。
図8】本明細書において説明され論じられる1つまたは複数の実施形態による、2つの窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する別のTFT構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解しやすくするために、可能な場合には同じ参照数字が、各図面で共通である同じ要素を示すのに使用されている。1つまたは複数の実施形態の要素および特徴は、他の実施形態に有利に組み込まれてもよいことが企図されている。
【0013】
本開示の実施形態は、一般に、窒素リッチな窒化ケイ素を含有するパッシベーション膜スタックと、そのパッシベーション膜スタックを堆積させる方法と、そのパッシベーション膜スタックを含有するトランジスタおよび他のデバイスとに関する。1つまたは複数の実施形態では、パッシベーション膜スタックは、ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含む。いくつかの例では、パッシベーション膜スタックは、ワークピース上に配置され、酸化ケイ素層と、窒素リッチな窒化ケイ素層と、窒素リッチな窒化ケイ素および/または水素リッチな窒化ケイ素などの任意のタイプの窒化ケイ素を含有する第3の層とを含有する。
【0014】
窒素リッチな窒化ケイ素層は、従来の窒化ケイ素よりも多い窒素および/または少ない水素を含有する。従来の窒化ケイ素は通常、窒素が乏しい窒化ケイ素および/または水素リッチな窒化ケイ素である。このように、水素リッチな窒化ケイ素層は、本明細書で説明され論じられている窒素リッチな窒化ケイ素層よりも水素濃度が高い。また、窒素リッチな窒化ケイ素層は、窒素が乏しい窒化ケイ素および/または水素リッチな窒化ケイ素よりも水抵抗が大きい。
【0015】
1つまたは複数の実施形態において、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20原子%(at%)、約22at%、約24at%、約25at%、約26at%、約27at%、約28at%、約29at%、約30at%、もしくは約31at%~約32at%、約33at%、約34at%、約35at%、約36at%、約37at%、または約38at%以上である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が、約20at%~約38at%、約22at%~約38at%、約25at%~約38at%、約27at%~約38at%、約28at%~約38at%、約30at%~約38at%、約31at%~約38at%、約32at%~約38at%、約33at%~約38at%、約35at%~約38at%、約36at%~約38at%、約20at%~約35at%、約22at%~約35at%、約25at%~約35at%、約27at%~約35at%、約28at%~約35at%、約30at%~約35at%、約31at%~約35at%、約32at%~約35at%、約33at%~約35at%、約20at%~約34at%、約22at%~約34at%、約25at%~約34at%、約27at%~約34at%、約28at%~約34at%、約30at%~約34at%、約31at%~約34at%、約32at%~約34at%、約33at%~約34at%、約20at%~約33at%、約22at%~約33at%、約25at%~約33at%、約27at%~約33at%、約28at%~約33at%、約30at%~約33at%、約31at%~約33at%、または約32at%~約33at%である。
【0016】
いくつかの実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、窒素濃度が、約40at%、約42at%、約43at%、約44at%、約45at%、約46at%、約48at%、約50at%、または約52at%~約54at%、約55at%、約58at%、約60at%、約65at%、約70at%、約72at%、もしくは約75at%以上である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、窒素濃度が、約40at%~約75at%、約42at%~約75at%、約43at%~約75at%、約44at%~約75at%、約45at%~約75at%、約48at%~約75at%、約50at%~約75at%、約55at%~約75at%、約60at%~約75at%、約65at%~約75at%、約70at%~約75at%、約40at%~約65at%、約42at%~約65at%、約43at%~約65at%、約44at%~約65at%、約45at%~約65at%、約48at%~約65at%。約50at%~約65at%、約55at%~約65at%、約60at%~約65at%、約62at%~約65at%、約40at%~約58at%、約42at%~約58at%、約43at%~約58at%、約44at%~58at%、約45at%~58at%、約48at%~約58at%。約50at%~約58at%、約55at%~約58at%、約40at%~約55at%、約42at%~約55at%、約43at%~約55at%、約44at%~約55at%、約45at%~約55at%、約48at%~約55at%、約50at%~約55at%、または約52at%~約55at%である。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が、約10at%、約12at%、約15at%、約18at%、または約20at%~約21at%、約22at%、約23at%、約25at%、約27at%、約30at%、約32at%、もしくは約35at%以上である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が、約10at%~約35at%、約12at%~約35at%、約15at%~約35at%、約18at%~約35at%、約19at%~約35at%、約20at%~約35at%、約21at%~約35at%、約22at%~約35at%、約23at%~約35at%、約24at%~約35at%、約25at%~約35at%、約28at%~約35at%、約30at%~約35at%、約10at%~約25at%、約12at%~約25at%、約15at%~約25at%、約18at%~約25at%、約19at%~約25at%、約20at%~25at%、約21at%~25at%、約22at%~25at%、約23at%~25at%、約24at%~25at%、約10at%~約23at%、約12at%~約23at%、約15at%~約23at%、約18at%~約23at%、約19at%~約23at%、約20at%~約23at%、約21at%~約23at%、または約22at%~約23at%である。
【0018】
1つまたは複数の例では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20at%~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%である。他の例では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約27at%~約34at%、窒素濃度が約42at%~約65at%、および水素濃度が約18at%~約25at%である。いくつかの例では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約28at%~約33at%、窒素濃度が約43at%~約58at%、および水素濃度が約19at%~約23at%である。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が、1より大きく、1.02より大きく、1.03より大きく、または1.05より大きく、たとえば約1.06、約1.08、約1.10、約1.12、約1.15、約1.18、約1.20、約1.22、または約1.25~約1.28、約1.30、約1.35、約1.38、約1.40、約1.45、約1.50、約1.55、約1.60、約1.80、約1.90、もしくは約2以上などである。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が、1.03超~約2、1.03超~約1.9、1.03超~約1.8、1.03超~約1.7、1.03超~約1.6、1.03超~約1.5、1.03超~約1.45、1.03超~約1.4、1.03超~約1.39、1.03超~約1.38、1.03~約1.36、1.03超~約1.35、1.03超~約1.3、1.03超~約1.25、1.03超~約1.2、1.03超~約1.15、1.03超~約1.1、約1.05~約2、約1.05~約1.9、約1.05~約1.8、約1.05~約1.7、約1.05~約1.6、約1.05~約1.5、約1.05~約1.45、約1.05~約1.4、約1.05~約1.39、約1.05~約1.38、約1.05~約1.36、約1.05~約1.35、約1.05~約1.3、約1.05~約1.25、約1.05~約1.2、約1.05~約1.15、約1.05~約1.1、約1.1~約2、約1.1~約1.9、約1.1~約1.8、約1.1~約1.7、約1.1~約1.6、約1.1~約1.5、約1.1~約1.45、約1.1~約1.4、約1.1~約1.39、約1.1~約1.38、約1.1~約1.36、約1.1~約1.35、約1.1~約1.3、約1.1~約1.25、約1.1~約1.2、約1.1~約1.15、約1.2~約2、約1.2~約1.9、約1.2~約1.8、約1.2~約1.7、約1.2~約1.6、約1.2~約1.5、約1.2~約1.45、約1.2~約1.4、約1.2~約1.39、約1.2~約1.38、約1.2~約1.36、約1.2~約1.35、約1.2~約1.3または約1.2~約1.25である。
【0020】
いくつかの実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、フーリエ変換赤外線(FT-IR)分光測定によって決定されたケイ素-水素結合濃度が、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約1.8%、または約2%~約2.2%、約2.5%、約2.8%、約3%、約3.5%、約4%、約5%、約6%、約8%、約10%、約12%、約14%、約15%、約16%、約17%、もしくは18%未満である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、FT-IR分光測定によって決定されたケイ素-水素結合濃度が、約0.1%~約18%未満、約0.1%~約17%、約0.1%~約15%、約0.1%~約12%、約0.1%~約10%、約0.1%~約8%、約0.1%~約6%、約0.1%~約5%、約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.5%~18%未満、約0.5%~約17%、約0.5%~約15%、約0.5%~約12%、約0.5%~約10%、約0.5%~約8%、約0.5%~約6%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%、約0.5%~1%、約1%~約18%未満、約1%~約17%、約1%~約15%、約1%~約12%、約1%~約10%、約1%~約8%、約1%~約6%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、または約1%~約1.5%である。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、FT-IR分光測定によって決定された窒素-水素結合濃度が、約1%、約3%、約5%、約6%、約8%、約10%、約12%、約15%、または約18%~約20%、約22%、約25%、約26%、約27%、約28%、約28%、もしくは約30%である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、FT-IR分光測定によって決定された窒素-水素結合濃度が、約1%~約30%、約3%~約30%、約5%~約30%、約8%~約30%、約10%~約30%、約12%~約30%、約15%~約30%、約18%~約30%、約20%~約30%、約25%~約30%、約1%~約25%、約3%~約25%、約5%~約25%、約8%~約25%、約10%~約25%、約12%~約25%、約15%~約25%、約18%~約25%、約20%~約25%、約1%~約22%、約3%~約22%、約5%~約22%、約8%~約22%、約10%~約22%、約12%~約22%、約15%~約22%、約18%~約22%または約20%~約22%である。
【0022】
窒素リッチな窒化ケイ素層の総水素結合濃度は、ケイ素-水素結合濃度と窒素-水素結合濃度を合計したものである。1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、FT-IR分光測定によって決定された総水素結合濃度が30%未満であり、たとえば約1%、約2%、約3%、約5%、約6%、約8%、約10%、約12%、約15%、約16%、または約18%~約20%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約28%、約29%、もしくは30%未満などである。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、FT-IR分光測定によって決定された窒素-水素結合濃度が、約1%~30%未満、約3%~30%未満、約5%~30%未満、約8%~30%未満、約10%~30%未満、約12%~30%未満、約15%~30%未満、約18%~30%未満、約20%~30%未満、約25%~30%未満、約1%~約28%、約3%~約28%、約5%~約28%、約8%~約28%、約10%~約28%、約12%~約28%、約15%~約28%、約18%~約28%、約20%~約28%、約1%~約24%、約3%~約24%、約5%~約24%、約8%~約24%、約10%~約24%、約12%~約24%、約15%~約24%、約18%~約24%、約20%~約24%、約1%~約23%、約3%~約23%、約5%~約23%、約8%~約23%、約10%~約23%、約12%~約23%、約15%~約23%、約16%~約23%、約18%~約23%、または約20%~約23%である。
【0023】
窒素リッチな窒化ケイ素層は、従来の窒化ケイ素と比較した場合、水抵抗が比較的高い。1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が、相対湿度85%、温度85℃で実施された水蒸気透過率(WVTR)標準試験によれば、約1×10-8g/m/日以上であり、たとえば、約2×10-8g/m/日、約5×10-8g/m/日、約1×10-7g/m/日、約5×10-7g/m/日、約1×10-6g/m/日、または約5×10-6g/m/日~約1×10-5g/m/日、約5×10-5g/m/日、約1×10-4g/m/日、約5×10-4g/m/日、もしくは約1×10-3g/m/日である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が、85%の相対湿度および85℃で実施されたWVTR標準試験によれば、約1×10-8g/m/日~約1×10-4g/m/日、約1×10-7g/m/日~約5×10-4g/m/日、または約5×10-6g/m/日~約1×10-5g/m/日である。1つまたは複数の例では、厚さが約2000Åの窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が、相対湿度100%および40℃で実施されたWVTR標準試験によれば、約2.8×10-4g/m/日~約4×10-4g/m/日である。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素材料または層を堆積させる方法は、ワークピースを処理温度に加熱し、プラズマ強化化学気相堆積(PE-CVD)プロセス中にワークピースを堆積ガスに曝し、窒素リッチな窒化ケイ素材料または層をワークピース上に堆積させることを含む。他の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素材料または層を堆積させる方法は、ワークピースを処理温度に加熱すること、熱原子層堆積(ALD)プロセスまたはプラズマ強化ALD(PE-ALD)プロセス中にワークピースをケイ素前駆体および窒素前駆体に連続して暴露すること、ならびに窒素リッチな窒化ケイ素材料または層をワークピース上に堆積させることを含む。本明細書で説明され論じられている実施形態では、ワークピースは、基板、薄膜トランジスタ(TFT)構造もしくはその一部分、ゲート構造もしくはその一部分、またはディスプレイ、半導体、光電池、超小型電子機器、および/もしくは他の分野に関連する他の任意のタイプの電子デバイスまたはその一部分であっても、これらを含んでいてもよい。いくつかの例では、ワークピースは、酸化ケイ素を含有する1つまたは複数の層を含む。1つまたは複数の例では、この方法は、酸化ケイ素層をワークピース上に堆積させ、次に、窒素リッチな窒化ケイ素層を酸化ケイ素層上に堆積させることを含む。
【0025】
PE-CVDまたは他の堆積プロセス中に、基板またはワークピースは、処理温度に加熱すること、または処理温度に維持することができる。処理温度は、約25℃、約50℃、約80℃、約100℃、約150℃、または約200℃~約220℃、約235℃、約250℃、約280℃、約300℃、約350℃、もしくは約400℃以上とすることができる。たとえば、処理温度は、約25℃~約400℃、約25℃~約300℃、約25℃~約280℃、約25℃~約265℃、約25℃~約250℃、約25℃~約235℃、約25℃~約220℃、約25℃~約200℃、約25℃~約180℃、約25℃~約150℃、約25℃~約125℃、約25℃~約100℃、約25℃~約80℃、約25℃~約50℃、約100℃~約400℃、約100℃~約300℃、約100℃~約280℃、約100℃~約265℃、約100℃~約250℃、約100℃~約235℃、約100℃~約220℃、約100℃~約200℃、約100℃~約180℃、約100℃~約150℃、約100℃~約125℃、約200℃~約400℃、約200℃~約300℃、約200℃~約280℃、約200℃~約265℃、約200℃~約250℃、約200℃~約235℃、約200℃~約220℃、約220℃~約250℃、約230℃~約250℃、または約235℃~約250℃とすることができる。1つまたは複数の例では、処理温度は、350℃未満、300℃未満、280℃未満、265℃未満、250℃未満、235℃未満、または200℃未満である。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、PE-CVDまたは他の堆積プロセス中に、堆積ガスは、1つまたは複数のケイ素前駆体、1つまたは複数の窒素前駆体、および1つまたは複数のキャリアガスを含み得る。ケイ素前駆体は、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、四フッ化ケイ素のうちの1つもしくは複数、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。窒素前駆体は、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、窒素(N)、これらのプラズマのうちの1つもしくは複数、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。キャリアガスは、窒素(N)、水素(H)、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトンのうちの1つもしくは複数、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。1つまたは複数の例では、ケイ素前駆体はシランであるかこれを含有し、窒素前駆体はアンモニアであるかこれを含有し、キャリアガスは窒素であるかこれを含有する。
【0027】
堆積ガス中のケイ素前駆体の流量は、約100sccm(毎分標準立方センチメートル)、約150sccm、約180sccm、約200sccm、約220sccm、または約250sccm~約280sccm、約300sccm、約320sccm、約350sccm、約400sccm、約450sccm、約500sccm、約650sccm、約800sccm、もしくは約1000sccmとすることができる。たとえば、ケイ素前駆体の流量は、約100sccm~約1,000sccm、約100sccm~約800sccm、約100sccm~約500sccm、約100sccm~約400sccm、約100sccm~約350sccm、約100sccm~約300sccm、約100sccm~約250sccm、約100sccm~約200sccm、約200sccm~約1,000sccm、約200sccm~約800sccm、約200sccm~約500sccm、約200sccm~約400sccm、約200sccm~約350sccm、約200sccm~約300sccm、約200sccm~約250sccm、約200sccm~約225sccm、約250sccm~約1,000sccm、約250sccm~約800sccm、約250sccm~約500sccm、約250sccm~約400sccm、約250sccm~約350sccm、約250sccm~約300sccm、約250sccm~約280sccm、約270sccm~約300sccm、約285sccm~約300sccm、約270sccm~約320sccm、または約285sccm~約320sccmとすることができる。
【0028】
堆積ガス中の窒素前駆体の流量は、約800sccm、約1000sccm、約1200sccm、約1350sccm、約1500sccm、または約1600sccm~約1650sccm、約1700sccm、約1800sccm、約2000sccm、約2200sccm、約2500sccm、約3000sccm、約3500sccm、約4000sccm、もしくは約5000sccmとすることができる。たとえば、窒素前駆体の流量は、約1000sccm~約5000sccm、約1000sccm~約4000sccm、約1000sccm~約3000sccm、約1000sccm~約2500sccm、約1000sccm~約2000sccm、約1000sccm~約1800sccm、約1000sccm~約1500sccm、約1500sccm~約5000sccm、約1500sccm~約4000sccm、約1500sccm~約3000sccm、約1500sccm~約2500sccm、約1500sccm~約2000sccm、約1500sccm~約1800sccm、約1800sccm~約5000sccm、約1800sccm~約4000sccm、約1800sccm~約3000sccm、約1800sccm~約2500sccm、または約1800sccm~約2000sccmとすることができる。
【0029】
堆積ガス中のキャリアガスの流量は、約1SLM(毎秒標準リットル)、約3SLM、約4SLM、約5SLM、約6SLM、または約8SLM~約9SLM、約10SLM、約12SLM、約15SLM、約18SLM、約20SLM、約22SLM、約25SLM、もしくは約30SLMとすることができる。たとえば、キャリアガスの流量は、約1SLM~約30SLM、約5SLM~約30SLM、約8SLM~約30SLM、約10SLM~約30SLM、約12SLM~約30SLM、約15SLM~約30SLM、約20SLM~約30SLM、約1SLM~約20SLM、約5SLM~約20SLM、約8SLM~約20SLM、約10SLM~約20SLM、約12SLM~約20SLM、約15SLM~約20SLM、約18SLM~約20SLM、約1SLM~約15SLM、約5SLM~約15SLM、約8SLM~約15SLM、約10SLM~約15SLM、約12SLM~約15SLM、または約13SLM~約15SLMとすることができる。
【0030】
1つまたは複数の例では、堆積ガスは、ケイ素前駆体が約1のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比、すなわち、それぞれ、窒素前駆体が約4~約8の範囲、キャリアガスが約20~約80の範囲であるモル比を有する。他の例では、堆積ガスは、ケイ素前駆体が約1のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比、すなわち、それぞれ、窒素前駆体が約5~約7の範囲、キャリアガスが約30~約50の範囲であるモル比を有する。いくつかの例では、堆積ガスは、ケイ素前駆体が約1のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比、すなわち、それぞれ、窒素前駆体が約5.5~約6.5の範囲、キャリアガスが約35~約45の範囲であるモル比を有する。
【0031】
PE-CVDまたは他の堆積プロセスは、容量結合プラズマ(CCP)システム、高密度プラズマ(HDP)を有する誘導結合プラズマ(ICP)システム、もしくは遠隔プラズマシステム(RPS)などの様々なプラズマシステム、または他のPE-CVDもしくはPE-ALDのプロセスチャンバもしくはシステムで実施することができる。PE-CVDまたは他の堆積プロセス中に、プラズマは、RF電力を2400ワット(W)未満とすること、たとえば約800W、約1000W、約1200W、約1500W、約1700W、または約1800W~約1900W、約2000W、約2100W、約2200W、もしくは約2300Wなどとすることができる。たとえば、プラズマは、RF電力を約800W~2400W未満、約800W~約2200W、約800W~約2000W、約800W~約1900W、約800W~約1800W、約800W~約1600W、約800W~約1200W、約1200W~2400W未満、約1200W~約2200W、約1200W~約2000W、約1200W~約1900W、約1200W~約1800W、約1200W~約1600W、約1200W~約1500W、約1500W~2400W未満、約1500W~約2200W、約1500W~約2000W、約1500W~約1900W、または約1500W~約1800Wとすることができる。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含むパッシベーション膜スタックの一部分である。いくつかの例では、パッシベーション膜スタックはまた、窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された窒化ケイ素を含有する第3の層も含む。第3の層は、窒素リッチな窒化ケイ素、窒素が乏しい窒化ケイ素、および/または水素リッチな窒化ケイ素などの、任意のタイプの窒化ケイ素であっても、これらを含んでいてもよい。他の実施形態では、窒素リッチな窒化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する酸化物緩衝層上に配置された、窒素リッチな窒化ケイ素を含有する酸化物緩衝層を含む酸化物緩衝膜スタックの一部分である。
【0033】
いくつかの実施形態では、酸化ケイ素層および/または酸化ケイ素を含有する酸化物緩衝層は、PE-CVDプロセス中に堆積または他の方法で形成することができる。PE-CVDプロセスは、ワークピースを酸化物堆積ガスに曝すこと、ならびに、酸化ケイ素層および/または酸化ケイ素を含有する酸化物緩衝層をワークピース上に堆積させることを含む。酸化物堆積ガスは、1つまたは複数のケイ素前駆体、1つまたは複数の酸化剤、および任意選択で1つまたは複数のキャリアガスを含み得る。ケイ素前駆体は、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、四フッ化ケイ素のうちの1つもしくは複数、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。酸化剤は、亜酸化窒素、酸素、オゾン、水、1つもしくは複数の過酸化物、これらのプラズマのうちの1つもしくは複数、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。キャリアガスは、含まれる場合には、窒素(N)、水素(H)、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトンのうちの1つもしくは複数、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。1つまたは複数の例では、ケイ素前駆体はシランであるかこれを含有し、酸化剤は、亜酸化窒素であるかこれを含有する。
【0034】
酸化物堆積ガス中のケイ素前駆体の流量は、約20sccm、約35sccm、約50sccm、約60sccm、約80sccm、または約100sccm~約120sccm、約135sccm、約150sccm、約165sccm、約180sccm、約200sccm、約250sccm、約280sccm、約300sccm、約350sccm、約400sccm、もしくは約500sccmとすることができる。たとえば、ケイ素前駆体の流量は、約20sccm~約500sccm、約20sccm~約400sccm、約20sccm~約350sccm、約20sccm~約300sccm、約20sccm~約250sccm、約20sccm~約220sccm、約20sccm~約200sccm、約20sccm~約180sccm、約20sccm~約165sccm、約20sccm~約150sccm、約20sccm~約135sccm、約20sccm~約120sccm、約20sccm~約100sccm、約20sccm~約80sccm、約20sccm~約50sccm、約100sccm~約500sccm、約100sccm~約400sccm、約100sccm~約350sccm、約100sccm~約300sccm、約100sccm~約250sccm、約100sccm~約220sccm、約100sccm~約200sccm、約100sccm~約180sccm、約100sccm~約165sccm、約100sccm~約150sccm、約100sccm~約135sccm、約100sccm~約120sccm、約140sccm~約500sccm、約140sccm~約400sccm、約140sccm~約350sccm、約140sccm~約300sccm、約140sccm~約250sccm、約140sccm~約220sccm、約140sccm~約200sccm、約140sccm~約180sccm、約140sccm~約165sccm、または約140sccm~約150sccmとすることができる。
【0035】
酸化物堆積ガス中の酸化剤の流量は、約1SLM、約2SLM、約3SLM、約4SLM、約5SLM、または約6SLM~約7SLM、約8SLM、約9SLM、約10SLM、約11SLM、約12SLM、約14SLM、約16SLM、約18SLM、もしくは約20SLMとすることができる。たとえば、酸化物堆積ガス中の酸化剤の流量は、約1SLM~約20SLM、約1SLM~約18SLM、約1SLM~約15SLM、約1SLM~約12SLM、約1SLM~約10SLM、約1SLM~約8SLM、約1SLM~約6SLM、約1SLM~約5SLM、約4SLM~約20SLM、約4SLM~約18SLM、約4SLM~約15SLM、約4SLM~約12SLM、約4SLM~約10SLM、約4SLM~約8SLM、約4SLM~約6SLM、約8SLM~約20SLM、約8SLM~約18SLM、約8SLM~約15SLM、約8SLM~約12SLM、または約8SLM~約10SLMとすることができる。
【0036】
いくつかの例では、PE-CVDプロセス中に酸化物堆積ガスは、RF電力が約800W、約1000W、約1500W、約1800W、または約2000W~約2200W、約2500W、約2800W、約3000W、約3500W、約4000W、約4500W、もしくは約5000W以上のプラズマに曝される。たとえば、PE-CVDプロセス中に酸化物堆積ガスは、RF電力が約800W~5000W、約1000W~約4000W、約1000W~約3500W、約1000W~約3000W、約1000W~約2500W、約1000W~約2000W、約2000W~約4000W、約2000W~約3500W、約2000W~約3000W、約2000W~約2500W、約2000W~約2200W、または約2800W~約3200Wのプラズマに曝される。
【0037】
図1は、本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、酸化ケイ素層160および窒素リッチな窒化ケイ素層170を含むパッシベーション膜スタック156を含有している、薄膜トランジスタ(TFT)構造100の概略図である。TFT構造100は、基板102上に配置された緩衝層110と、緩衝層110上に配置された第1の金属層120とを含有する。緩衝層110は、基板102と第1の金属層120の間に配置される。
【0038】
基板102は、半導体基板、ディスプレイ基板、または他の任意のタイプの基板とすることができる。いくつかの例では、基板102は透明とすることができる。基板102は、ガラス、石英、サファイア、プラスチックもしくはポリマー(たとえば、透き通ったプラスチックフィルム)、ケイ素、酸化ケイ素、ガリウム、ガリウムヒ素、これらのドープされた変種、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。緩衝層110は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。緩衝層110は、同じ材料および/または異なる材料からなる1つ、2つ、3つ、または4つ以上の層を含み得る。いくつかの例では、緩衝層110は、酸化ケイ素スタックおよび窒化ケイ素スタックであっても、これらを含んでいてもよい。たとえば、緩衝層110は、第1の酸化ケイ素層と、第1の酸化ケイ素層上の第1の窒化ケイ素層と、第1の窒化ケイ素層上の第2の酸化ケイ素層とを含み得る。緩衝層110は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、緩衝層110は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0039】
第1の金属層120は、クロム、モリブデン、銅、チタン、タンタル、アルミニウム、クロム-モリブデン、銅-モリブデン、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。第1の金属層120は、厚さを約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、第1の金属層120は、厚さを約500Å~約10000Å、約1000Å~約10000Å、または約1500Å~約8000Åとすることができる。
【0040】
TFT構造100は、第1の金属層120上に、および/またはこれを覆って配置された、かつ緩衝層110上に配置されたゲート絶縁体層130を含有する。金属酸化物層140は、ゲート絶縁体層130上に配置される。第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、金属酸化物層140上に、および/またはこれを覆って配置され、かつゲート絶縁体層130上に配置されてゲート構造を形成する。
【0041】
ゲート絶縁体層130は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、これらのケイ酸塩、これらの窒化物、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。ゲート絶縁体層130は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、ゲート絶縁体層130は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0042】
金属酸化物層140は、酸化モリブデン、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムスズ亜鉛(ITZO)、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。金属酸化物層140は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、または約500Å~約800Å、約1000Å、約1200Å、約1500Å、約1800Å、もしくは約2000Åとすることができる。たとえば金属酸化物層140は、厚さを約50Å~約2000Å、約100Å~約2000Å、または約500Å~約1500Åとすることができる。
【0043】
第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、クロム、モリブデン、銅、チタン、タンタル、アルミニウム、クロム-モリブデン、銅-モリブデン、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0044】
パッシベーション膜スタック156は、酸化ケイ素層160がコンタクト金属層150、金属酸化物層140、ゲート絶縁体層130、またはこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つに、または2つ以上に配置されるように、ゲート構造上に、これらを覆って配置される。1つまたは複数の例では、シリコン酸化物層160は、コンタクト金属層150、金属酸化物層140、およびゲート誘電体層130の上に配置される。窒素リッチな窒化ケイ素層170は、酸化ケイ素層160の上に配置される。
【0045】
酸化ケイ素層160は、二酸化ケイ素またはシリカであっても、これらを含んでいてもよい。酸化ケイ素層160は、厚さを約50nm、約100nm、または約200nm~約300nm、約500nm、約800nm、もしくは約1,000nm以上とすることができる。たとえば、酸化ケイ素層160は、厚さを約50nm~約1,000nm、約50nm~約800nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約100nm~約1,000nm、約100nm~約800nm、約100nm~約500nm、約100nm~約300nm、または約100nm~約200nmとすることができる。
【0046】
窒素リッチな窒化ケイ素層170は、本明細書で説明され論じられている組成物を含有する。窒素リッチな窒化ケイ素層170は、厚さを約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約50nm、約80nm、または約100nm~約120nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、約500nm、約800nm、もしくは約1000nm以上とすることができる。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素層170は、厚さを約1nm~約1000nm、約1nm~約800nm、約1nm~約500nm、約1nm~約300nm、約1nm~約250nm、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約1nm~約100nm、約1nm~約80nm、約1nm~約50nm、約1nm~約25nm、約1nm~約15nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約20nm~約1000nm、約20nm~約800nm、約20nm~約500nm、約20nm~約300nm、約20nm~約250nm、約20nm~約200nm、約20nm~約150nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約50nm、約20nm~約25nm、約50nm~約1000nm、約50nm~約800nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、約50nm~約100nm、または約50nm~約80nmとすることができる。
【0047】
1つまたは複数の例では、酸化ケイ素層160は、厚さが約50nm~約500nmであり、窒素リッチな窒化ケイ素層170は、厚さが約1nm~約200nmである。
【0048】
図2は、本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、TFT構造200の概略図である。TFT構造200は、酸化ケイ素層160と、窒素リッチな窒化ケイ素層170と、窒素リッチな窒化ケイ素層170上に配置された、窒化ケイ素を含有する第3の層180とを含む、パッシベーション膜スタック158を含有する。第3の層180は、窒素リッチな窒化ケイ素、窒素が乏しい窒化ケイ素、および/または水素リッチな窒化ケイ素などの、任意のタイプの窒化ケイ素であっても、これらを含んでいてもよい。第3の層180中のシリコンと窒素は、化学量論比またはSi:N比を約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、または約3:4とすることができる。いくつかの例では、第3の層180は、窒素リッチな窒化ケイ素層170よりも水素濃度が高い、水素リッチな窒化ケイ素層であるかこれを含有する。他の例では、第3の層180は、窒素リッチな窒化ケイ素層170と窒素濃度が同じである、または実質的に同じである、窒素リッチな窒化ケイ素層であるかこれを含有する。
【0049】
窒化ケイ素を含有する第3の層180は、1つまたは複数の熱気相堆積プロセスおよび/またはプラズマ気相堆積プロセスなどの、任意の堆積プロセスによって堆積させることができる。例示的な堆積プロセスは、化学蒸気堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PE-CVD)、スパッタリングもしくは物理的気相堆積(PVD)、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。いくつかの例では、窒化ケイ素を含有する第3の層180は、容量結合プラズマ(CCP)システム、または高密度プラズマ(HDP)を用いる誘導結合プラズマ(ICP)システムなどのプラズマシステムによって堆積される。
【0050】
窒化ケイ素を含有する第3の層180は、本明細書で説明され論じられている組成物を含有する。窒素リッチな窒化ケイ素層170は、厚さを約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約50nm、約80nm、または約100nm~約120nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、約500nm、約800nm、もしくは約1,000nm以上とすることができる。たとえば、窒化ケイ素を含む第3層180は、厚さを約1nm~約1,000nm、約5nm~約1,000nm、約5nm~約800nm、約5nm~約500nm、約5nm~約300nm、約5nm~約250nm、約5nm~約200nm、約5nm~約150nm、約5nm~約100nm、約5nm~約80nm、約5nm~約50nm、約5nm~約25nm、約5nm~約15nm、約5nm~約10nm、約20nm~約1,000nm、約20nm~約800nm、約20nm~約500nm、約20nm~約300nm、約20nm~約250nm、約20nm~約200nm、約20nm~約150nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約50nm、約20nm~約25nm、約50nm~約1,000nm、約50nm~約800nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、または約50nm~約100nmとすることができる。
【0051】
1つまたは複数の例では、酸化ケイ素層160は厚さが約50nm~約500nm、窒素リッチな窒化ケイ素層170は厚さが約1nm~約200nm、窒化ケイ素を含有する第3層180は厚さが約5nm~約500nmである。
【0052】
図3は、本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、TFT構造300の概略図である。TFT構造300は、基板102上に配置された緩衝層110と、緩衝層110上に配置された第1の金属層120と、第1の金属層120および緩衝層110の上に配置されたゲート絶縁体層130とを含有する。
【0053】
TFTアセンブリ300はさらに、ゲート絶縁体層130上に配置された金属酸化物層140と、金属酸化物層140上に、これを覆って配置され、かつゲート絶縁体層130上に配置されたエッチング停止層(ESL)320とを含有する。TFTアセンブリ300はまた、エッチング停止層320および金属酸化物層140の上に配置された第2の金属層すなわちコンタクト金属層150を含有する。第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、エッチング停止層320を通り抜け、または貫通して延び、ビアまたはコンタクト通路によって金属酸化物層140と接触する。
【0054】
エッチング停止層320は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、これらのケイ酸塩、これらの窒化物、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。エッチング停止層320は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、または約1500Å~約2000Å、約2500Å、約3000Å、約3500Å、約4000Å、もしくは約5000Åとすることができる。たとえば、エッチング停止層320は、厚さを約50Å~約5000Å、約100Å~約5000Å、または約1000Å~約5000Åとすることができる。
【0055】
酸化ケイ素層160は、第2の金属層もしくはコンタクト金属層150、エッチング停止層320の少なくとも一方、または両方の上に、および/またはこれらを覆って配置される。たとえば、パッシベーション膜スタック156の酸化ケイ素層160は、第2の金属層すなわちコンタクト金属層150上に、これを覆って配置され、かつエッチング停止層320上に配置される。窒素リッチな窒化ケイ素層170は、酸化ケイ素層160上に配置される。
【0056】
図4は、本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、TFT構造400の概略図である。TFT400は、酸化ケイ素層160と、窒素リッチな窒化ケイ素層170と、窒素リッチな窒化ケイ素層170上に配置された、窒化ケイ素を含有する第3層180とを含む、パッシベーション膜スタック158を含有する。
【0057】
図5は、本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、TFT構造500の概略図である。TFT500のシステムは、基板102上に配置された緩衝層110と、緩衝層110上に配置された金属酸化物層140と、金属酸化物層140上に配置されたゲート絶縁体層520と、ゲート絶縁体層520上に配置された第1の金属層すなわちゲート金属層530とを含有する。ゲート絶縁体層520は、金属酸化物層140と第1の金属層すなわちゲート金属層530との間に配置される。
【0058】
ゲート絶縁体層520は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、これらのケイ酸塩、これらの窒化物、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。ゲート絶縁体層520は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、または約1500Å~約2000Å、約2500Å、約3000Å、約3500Å、約4000Å、もしくは約5000Åとすることができる。たとえば、ゲート絶縁体層520は、厚さを約50Å~約5000Å、約100Å~約5000Å、または約1000Å~約5000Åとすることができる。
【0059】
第1の金属層すなわちゲート金属層530は、クロム、モリブデン、銅、チタン、タンタル、アルミニウム、クロム-モリブデン、銅-モリブデン、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。第1の金属層すなわちゲート金属層530は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、第1の金属層すなわちゲート金属層530は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0060】
TFT500はまた、緩衝層110、金属酸化物層140、ゲート絶縁体層520、および/またはゲート金属層530のうちの少なくとも1つの上に、および/またはこれらを覆って配置された層間誘電体(ILD)層540も含有する。1つまたは複数の例では、少なくとも1つの緩衝層110上に配置された層間誘電体層540は、金属酸化物層140、ゲート誘電体層520、およびゲート金属層530の上に、これらを覆って配置される。
【0061】
層間誘電体層540は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、これらのケイ酸塩、これらの窒化物、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせからなる1つまたは2つ以上の層であっても、これらを含んでいてもよい。1つまたは複数の例では、層間誘電体層540は、酸化ケイ素上に配置された窒化ケイ素の二重層を含み得る。他の例では、層間誘電体層540は、窒化ケイ素上に配置された酸化ケイ素の二重層を含み得る。層間誘電体層540は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、層間誘電体層540は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0062】
第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、ILD層540および金属酸化物層140の上に配置される。第2の金属層すなわちコンタクト金属層150は、層間誘電体層540を通り抜け、または貫通して延び、ビアまたはコンタクト通路によって金属酸化物層140と接触する。
【0063】
パッシベーション膜スタック156の酸化ケイ素層160は、ILD層540、コンタクト金属層150の少なくとも一方、または両方の上に配置される。たとえば、酸化ケイ素層160は、ILD層540およびコンタクト金属層150の上に、これらを覆って配置される。窒素リッチな窒化ケイ素層170は、酸化ケイ素層160上に配置される。
【0064】
図6は、本明細書で説明および議論されている1つまたは複数の実施形態による、TFT構造600の概略図である。TFTシステム600は、TFTシステム500としての層または構成要素の全てを有するが、基板102上に配置された第3の金属層550もまた含む。緩衝層110は、第3の金属層550上に、および/またはこれを覆って配置され、かつ基板102上に配置される。
【0065】
第3の金属層550は、クロム、モリブデン、銅、チタン、タンタル、アルミニウム、クロム-モリブデン、銅-モリブデン、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。第3の金属層550は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、または約1500Å~約2000Å、約2500Å、約3000Å、約3500Å、約4000Å、もしくは約5000Åとすることができる。たとえば、第3の金属層550は、厚さを約50Å~約5000Å、約100Å~約5000Å、または約1000Å~約5000Åとすることができる。
【0066】
図7は、本明細書で説明され論じられている1つまたは複数の実施形態による、TFT700の概略図である。図8は、本明細書において説明され論じられている実施形態による、TFT800の概略図である。TFT700、800のそれぞれは、窒素リッチな窒化ケイ素層170、および窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有する第1の酸化物緩衝層760などの、少なくとも2つの窒素リッチな窒化ケイ素層を含有する。
【0067】
TFT700、800は、基板102上に配置された緩衝層710を含有し、緩衝層710は、1つまたは複数の低温ポリシリコン(LTPS)材料を含有する。LTPS材料は、1つまたは複数のポリシリコン材料、アモルファスシリコン(α-Si)材料、微結晶シリコン材料、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。緩衝層710は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、緩衝層710は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0068】
TFT700、800は、緩衝層710上に配置されたポリシリコン層720と、ポリシリコン層720および緩衝層710の上に配置された第1のゲート絶縁体層730と、第1のゲート絶縁体層730上に配置された第1の金属層732と、第1の金属層732および第1のゲート絶縁体層730の少なくとも一方の上に配置された第1の層間誘電体(ILD)層740とを含有する。ポリシリコン層720は、1つまたは複数のポリシリコン材料、アモルファスシリコン(α-Si)材料、微結晶シリコン材料、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。ポリシリコン層720は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、または約500Å~約600Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、約1800Å、もしくは約2000Åとすることができる。たとえばポリシリコン層720は、厚さを約50Å~約2000Å、約100Å~約2000Å、または約500Å~約1500Åとすることができる。
【0069】
第1のゲート絶縁体層730は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、そのケイ酸塩、これらの窒化物、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせであっても、これらを含んでいてもよい。第1のゲート絶縁体層730は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、または約1500Å~約2000Å、約2500Å、約3000Å、約3500Å、約4000Å、もしくは約5000Åとすることができる。たとえば、第1のゲート絶縁体層730は、厚さを約50Å~約5000Å、約100Å~約5000Å、または約1000Å~約5000Åとすることができる。
【0070】
第1の金属層732は、クロム、モリブデン、銅、チタン、タンタル、アルミニウム、クロム-モリブデン、銅-モリブデン、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせでであっても、これらを含んでいてもよい。第1の金属層732は、厚さを約100Å、約150Å、約200Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、第1の金属層732は、厚さを約100Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0071】
第1のILD層740は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、これらのケイ酸塩、これらの窒化物、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせからなる1つまたは2つ以上の層であっても、これらを含んでいてもよい。1つまたは複数の例では、層間誘電体740は、酸化ケイ素上に配置された窒化ケイ素の二重層を含み得る。他の例では、第1のILD層740は、窒化ケイ素上に配置された酸化ケイ素の二重層を含み得る。第1のILD層740は、厚さを約50Å、約100Å、約250Å、約500Å、約800Å、約1000Å、約1500Å、または約2000Å~約2500Å、約3000Å、約4000Å、約5000Å、約8000Å、もしくは約10000Åとすることができる。たとえば、第1のILD層740は、厚さを約50Å~約10000Å、約500Å~約10000Å、または約1000Å~約8000Åとすることができる。
【0072】
1つまたは複数の実施形態では、TFT700、800は、1つまたは複数の第1の酸化物緩衝層760および1つまたは複数の第2の酸化物緩衝層770を含有する、酸化物緩衝膜756を含む。第1の酸化物緩衝層760は、窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有し、第1のILD層740上に配置される。第2の酸化物緩衝層770は、酸化ケイ素材料を含有し、第1の酸化物緩衝層760上に配置される。
【0073】
窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有する第1の酸化物緩衝層760は、厚さが約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約50nm、約80nm、または約100nm~約120nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、約500nm、約800nm、もしくは約1000nm以上である。たとえば、窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有する第1の酸化物緩衝層760は、厚さを約1nm~約1000nm、約5nm~約1000nm、約5nm~約800nm、約5nm~約500nm、約5nm~約300nm、約5nm~約250nm、約5nm~約200nm、約5nm~約150nm、約5nm~約100nm、約5nm~約80nm、約5nm~約50nm、約5nm~約25nm、約5nm~約15nm、約5nm~約10nm、約20nm~約1000nm、約20nm~約800nm、約20nm~約500nm、約20nm~約300nm、約20nm~約250nm、約20nm~約200nm、約20nm~約150nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約50nm、約20nm~約25nm、約50nm~約1000nm、約50nm~約800nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、または約50nm~約100nmとすることができる。
【0074】
酸化ケイ素材料を含有する第2の酸化物緩衝層770は、厚さが約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約50nm、約80nm、または約100nm~約120nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、約500nm、約800nm、もしくは約1000nm以上である。たとえば、酸化ケイ素材料を含有する第2の酸化物緩衝層770は、厚さを約1nm~約1000nm、約5nm~約1000nm、約5nm~約800nm、約5nm~約500nm、約5nm~約300nm、約5nm~約250nm、約5nm~約200nm、約5nm~約150nm、約5nm~約100nm、約5nm~約80nm、約5nm~約50nm、約5nm~約25nm、約5nm~約15nm、約5nm~約10nm、約20nm~約1000nm、約20nm~約800nm、約20nm~約500nm、約20nm~約300nm、約20nm~約250nm、約20nm~約200nm、約20nm~約150nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約50nm、約20nm~約25nm、約50nm~約1000nm、約50nm~約800nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、または約50nm~約100nmとすることができる。
【0075】
1つまたは複数の例では、窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有する第1の酸化物緩衝層760は、厚さが約50nm~約500nmであり、酸化ケイ素材料を含有する第2の酸化物緩衝層770は、厚さが約5nm~約500nmである。
【0076】
第2の金属層750は、TFT700、800の両方において、第1の酸化物緩衝層760およびポリシリコン層720と接触している。TFT700の1つまたは複数の実施形態では、図7に示されるように、第2の金属層750はさらに、第1のILD層740と接触している。たとえば、第2の金属層750は、第1のILD層740上に配置され、窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有する第1の酸化物緩衝層760は、第2の金属層750上に、および/またはこれを覆って配置される。TFT800の1つまたは複数の実施形態では、第2の金属層750はさらに、図8に示されるように、第2の酸化物緩衝層770と接触している。たとえば、第2の金属層750は、窒素リッチな窒化ケイ素材料を含有する第1の酸化物緩衝層760上に配置され、第2の酸化物緩衝層770は、第2の金属層750上に、および/またはこれを覆って配置される。
【0077】
TFT700、800はまた、第2の酸化物緩衝層770上に配置された金属酸化物層140と、金属酸化物層140上に配置された第2のゲート絶縁体層520と、第2のゲート絶縁体層520上に配置されたゲート金属層530などの第3の金属ゲート層とを含有する。TFT700、800はさらに、第2の酸化物緩衝層770、金属酸化物層140、第2のゲート絶縁体層520およびゲート金属層530のうちの少なくとも1つの上に配置されたILD層540などの、第2のILD層を含有する。
【0078】
図7および図8にさらに示されているように、TFT700、800は、第2のILD層540上に配置されている、かつ金属酸化物層140もしくは第2の金属層750と、または両方と接触しているコンタクト金属層150などの、第4のコンタクト金属層を含有する。パッシベーション膜スタック156の酸化ケイ素層160は、少なくとも1つの第2のILD層540上に、かつコンタクト金属層150上に、および/またはこれを覆って配置される。窒素リッチな窒化ケイ素層170は、酸化ケイ素層160上に配置される。
【0079】
本開示の実施形態はさらに、以下の第1~23項のうちのいずれか1つ以上に関連する。
【0080】
1.ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含むパッシベーション膜スタックであって、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20原子パーセンテージ(at%)~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%である、パッシベーション膜スタック。
【0081】
2.第1項に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、基板上に配置された緩衝層と、緩衝層上に配置された第1の金属層と、第1の金属層および緩衝層の上に配置されたゲート絶縁体層と、ゲート絶縁体層上に配置された金属酸化物層と、金属酸化物層およびゲート絶縁体層の上に配置された第2の金属層とを含み、パッシベーション膜スタックの酸化ケイ素層が、第2の金属層、金属酸化物層、およびゲート絶縁体層のうちの少なくとも1つの上に配置される、薄膜トランジスタ。
【0082】
3.パッシベーション膜スタックがさらに、窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された水素リッチな窒化ケイ素層を含み、水素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が窒素リッチな窒化ケイ素層よりも高い、第2項に記載の薄膜トランジスタ。
【0083】
4.第1項に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、基板上に配置された緩衝層と、緩衝層上に配置された第1の金属層と、第1の金属層および緩衝層の上に配置されたゲート絶縁体層と、ゲート絶縁体層上に配置された金属酸化物層と、金属酸化物層およびゲート絶縁体層の上に配置されたエッチング停止層と、エッチング停止層および金属酸化物層の上に配置された第2の金属層とを含み、パッシベーション膜スタックの酸化ケイ素層が、第2の金属層およびエッチング停止層の少なくとも一方の上に配置される、薄膜トランジスタ。
【0084】
5.パッシベーション膜スタックがさらに、窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された水素リッチな窒化ケイ素層を含み、水素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が窒素リッチな窒化ケイ素層よりも高い、第4項に記載の薄膜トランジスタ。
【0085】
6.第1項に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、基板上に配置された緩衝層と、緩衝層上に配置された金属酸化物層と、金属酸化物層上に配置されたゲート絶縁体層と、ゲート絶縁体層上に配置された第1の金属層と、緩衝層、金属酸化物層、ゲート絶縁体層、および第1の金属層のうちの少なくとも1つの上に配置された層間誘電体層と、層間誘電体層および金属酸化物層の上に配置された第2の金属層とを含み、パッシベーション膜スタックの酸化ケイ素層が、層間誘電体層および第2の金属層の少なくとも一方の上に配置される、薄膜トランジスタ。
【0086】
7.基板上に配置された第3の金属層をさらに含み、緩衝層が第3の金属層および基板の上に配置される、第6項に記載の薄膜トランジスタ。
【0087】
8.第1項に記載のパッシベーション膜スタックを含む薄膜トランジスタであって、基板上に配置された、低温ポリシリコンを含む緩衝層と、緩衝層上に配置されたポリシリコン層と、ポリシリコン層および緩衝層の上に配置された第1のゲート絶縁体層と、第1のゲート絶縁体層上に配置された第1の金属層と、第1の金属層および第1のゲート絶縁体層の少なくとも一方の上に配置された第1の層間誘電体層と、第1の層間誘電体上に配置された、窒素リッチな窒化ケイ素を含む第1の酸化物緩衝層と、第1の酸化物緩衝層上に配置された、酸化ケイ素を含む第2の酸化物緩衝層と、第1の酸化物緩衝層およびポリシリコン層と接触している第2の金属層と、第2の酸化物緩衝層上に配置された金属酸化物層と、金属酸化物層上に配置された第2のゲート絶縁体層と、第2のゲート絶縁体層上に配置された第3の金属層と、第2の酸化物緩衝層、金属酸化物層、第2のゲート絶縁体層、および第3の金属層のうちの少なくとも1つの上に配置された第2の層間誘電体層と、第2の層間誘電体上に配置され、金属酸化物層もしくは第2の金属層に、または両方に接触している第4の金属層とを含み、パッシベーション膜スタックの酸化ケイ素層が、第2の層間誘電体層および第4の金属層の少なくとも一方の上に配置される、薄膜トランジスタ。
【0088】
9.第2の金属層がさらに、第1の層間誘電体層または第2の酸化物緩衝層と接触している、第8項に記載の薄膜トランジスタ。
【0089】
10.ワークピース上に配置された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に配置された窒素リッチな窒化ケイ素層とを含むパッシベーション膜スタックであって、窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が約1×10-8g/m/日~約1×10-4g/m/日であり、ケイ素-水素結合濃度が約0.1%~約10%であり、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が1.03超~約2である、パッシベーション膜スタック。
【0090】
11.窒化ケイ素材料を堆積させる方法であって、ワークピースを約200℃~約250℃の温度に加熱すること、プラズマ強化化学気相堆積プロセス中にワークピースを堆積ガスに曝すこと、および窒素リッチな窒化ケイ素層をワークピース上に堆積させることを含み、堆積ガスが、ケイ素前駆体、窒素前駆体、およびキャリアガスを含み、堆積ガス中のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比が、それぞれ約1:約4~約8の範囲:約20~約80の範囲である、方法。
【0091】
12.堆積ガス中のケイ素前駆体と窒素前駆体とキャリアガスのモル比が、それぞれ約1:約5~約7の範囲:約30~約50の範囲であり、ケイ素前駆体がシランを含み、窒素前駆体がアンモニアを含み、キャリアガスが窒素(N)を含む、第11項に記載の方法。
【0092】
13.窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約20at%~約35at%、窒素濃度が約40at%~約75at%、および水素濃度が約10at%~約35at%であり、窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が1.03超~約2である、第11項に記載の方法。
【0093】
14.窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素濃度が約27at%~約34at%である、第1~13項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0094】
15.窒素リッチな窒化ケイ素層は、窒素濃度が約42at%~約65at%である、第1~14項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0095】
16.窒素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が約18at%~約25at%である、第1~15項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0096】
17.窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素に対する窒素の比率が、1.03超~約2である、第1~16項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0097】
18.窒素リッチな窒化ケイ素層は、ケイ素-水素結合濃度が約0.5%~約6%である、第1~17項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0098】
19.窒素リッチな窒化ケイ素層は、全水素結合濃度が30%未満である、第1~18項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0099】
20.窒素リッチな窒化ケイ素層は、水抵抗が約1×10-8g/m/日~約1×10-4g/m/日である、第1~19項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0100】
21.窒素リッチな窒化ケイ素層は、厚さが約1nm~約500nmである、第1~20項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0101】
22.酸化ケイ素層は、厚さが約50nm~約1000nmである、第1~21項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0102】
23.窒素リッチな窒化ケイ素層上に配置された水素リッチな窒化ケイ素層をさらに含み、水素リッチな窒化ケイ素層は、水素濃度が窒素リッチな窒化ケイ素層よりも高い、第1~22項のいずれか一項に記載のパッシベーション膜スタック、薄膜トランジスタ、および/または方法。
【0103】
以上は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、他のさらなる実施形態を考案することができ、また本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。本明細書に記載された全ての文書は、本明細書と矛盾しない範囲で、あらゆる優先権文書および/または試験手順を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。前述の一般的な説明および特定の実施形態から明らかなように、本開示の諸形態が図示され説明されたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができる。したがって、本開示は、前述の一般的な説明および特定の実施形態によって限定されるものではない。同様に、用語「含んでいる(comprising)」は、米国法律の目的上、用語「含んでいる(including)」と同義であると考えられる。同様に、組成物、要素、または要素群に移行句「含んでいる(comprising)」が先行するときにはいつでも、組成物、要素、または要素についての記述に移行句「本質的に~から成る(consisting essentially of)」、「~から成る(consisting of)」、「~から成る群から選択された(selected from the group of consisting of)」または「である(is)」が先行する、同じ組成または要素群もまた企図されており、逆も同様であると理解されたい。
【0104】
いくつかの実施形態および特徴については、一組の数値的上限および一組の数値的下限を用いて説明された。任意の2つの値の組み合わせ、たとえば、任意の下方値と任意の上方値との組み合わせ、任意の2つの下方値の組み合わせ、および/または任意の2つの上方値の組み合わせを含む範囲が、特に指示がない限り企図されていることを理解されたい。特定の下方値、上方値および範囲が、添付の1つまたは複数の請求項に現れる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】