(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20221101BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20221101BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G02B5/02 C
B32B7/023
C08J5/18 CEY
C08J5/18 CFH
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514575
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 KR2020018654
(87)【国際公開番号】W WO2021125876
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171331
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178179
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・テク・オ
(72)【発明者】
【氏名】クワン・スン・パク
(72)【発明者】
【氏名】チャン・フン・シン
【テーマコード(参考)】
2H042
4F071
4F100
【Fターム(参考)】
2H042BA04
4F071AA33
4F071AA67
4F071AA81
4F071AC07
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4F071AE02
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4F071AF15
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4F071AF30Y
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4F071AG15
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4F071BC16
4F100AK52A
4F100AK52C
4F100AL05A
4F100AL05C
4F100AT00B
4F100AT00D
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4F100BA03
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4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
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4F100DD01A
4F100DD01C
4F100EJ08A
4F100EJ08C
4F100JA02
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4F100JB14A
4F100JB14C
4F100JK07
4F100JK08
4F100JK12A
4F100JK12C
4F100JN21A
4F100JN21C
4F100JN30A
4F100JN30C
(57)【要約】
本発明は、フィルムに関する。本発明は、透明性またはヘイズなどの光学物性と、硬度などの機械的物性、および柔軟性に優れ、表面の形態が多様な用途に適するように制御されており、前記制御された表面形態の耐久性に優れたフィルムを提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面にISO 25178規格による歪度(skewness)が負の値である凹凸表面が形成されたエネルギー線硬化性組成物の硬化物層を含み、
前記凹凸表面は、下記数式1~3のうち一つ以上を満たす、フィルム:
[数式1]
0.3≧△H=100×|(H
A-H
I)/N|
[数式2]
0.3≧△G=100×|(G
A-G
I)/N|
[数式3]
0.3≧△R=100×|(R
A-R
I)/N|
数式1~3で、△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、前記凹凸表面のヘイズ変化率、60度グロス(gloss)変化率および算術平均粗さ(Ra)の変化率であり、数式1で、H
Iは、前記凹凸表面の初期ヘイズであり、H
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面のヘイズであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(H
A-H
I)/N|は、前記H
A、H
IおよびNを(H
A-H
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値であり、数式2で、G
Iは、前記凹凸表面の初期60度グロスであり、G
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の60度グロスであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(G
A-G
I)/N|は、前記G
A、G
IおよびNを(G
A-G
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値であり、数式3で、R
Iは、前記凹凸表面の初期算術平均粗さ(Ra)であり、R
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の算術平均粗さ(Ra)であり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(R
A-R
I)/N|は、前記R
A、R
IおよびNを(R
A-R
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値である。
【請求項2】
前記凹凸表面は、下記数式1~3のうち二つ以上を満たす、請求項1に記載のフィルム:
[数式1]
0.3≧△H=100×|(H
A-H
I)/N|
[数式2]
0.3≧△G=100×|(G
A-G
I)/N|
[数式3]
0.3≧△R=100×|(R
A-R
I)/N|
数式1~3で、△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、前記凹凸表面のヘイズ変化率、60度グロス(gloss)変化率および算術平均粗さ(Ra)の変化率であり、数式1で、H
Iは、前記凹凸表面の初期ヘイズであり、H
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面のヘイズであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(H
A-H
I)/N|は、前記H
A、H
IおよびNを(H
A-H
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値であり、数式2で、G
Iは、前記凹凸表面の初期60度グロスであり、G
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の60度グロスであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(G
A-G
I)/N|は、前記G
A、G
IおよびNを(G
A-G
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値であり、数式3で、R
Iは、前記凹凸表面の初期算術平均粗さ(Ra)であり、R
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の算術平均粗さ(Ra)であり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(R
A-R
I)/N|は、前記R
A、R
IおよびNを(R
A-R
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値である。
【請求項3】
前記凹凸表面は、下記数式1~3を全部満たす、請求項1に記載のフィルム:
[数式1]
0.3≧△H=100×|(H
A-H
I)/N|
[数式2]
0.3≧△G=100×|(G
A-G
I)/N|
[数式3]
0.3≧△R=100×|(R
A-R
I)/N|
数式1~3で、△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、前記凹凸表面のヘイズ変化率、60度グロス(gloss)変化率および算術平均粗さ(Ra)の変化率であり、数式1で、H
Iは、前記凹凸表面の初期ヘイズであり、H
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面のヘイズであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(H
A-H
I)/N|は、前記H
A、H
IおよびNを(H
A-H
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値であり、数式2で、G
Iは、前記凹凸表面の初期60度グロスであり、G
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の60度グロスであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(G
A-G
I)/N|は、前記G
A、G
IおよびNを(G
A-G
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値であり、数式3で、R
Iは、前記凹凸表面の初期算術平均粗さ(Ra)であり、R
Aは、スチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の算術平均粗さ(Ra)であり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(R
A-R
I)/N|は、前記R
A、R
IおよびNを(R
A-R
I)/Nに代入して求められた数値の絶対値である。
【請求項4】
前記凹凸表面のISO 25178規格による歪度(skewness)が、-2以上、かつ、0未満である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記エネルギー線硬化性組成物は、シリコーン樹脂成分および反応性希釈剤を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記シリコーン樹脂成分は、下記平均単位式1で示される、請求項5に記載のフィルム:
[平均単位式1]
(R
1
3SiO
1/2)
a(R
2
2SiO
2/2)
b(R
3SiO
3/2)
c(SiO
4/2)
d(RO
1/2)
e
平均単位式1で、R
1~R
3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基またはエネルギー線硬化性基であり、R
1~R
3が複数個存在する場合、それぞれ、互いに同じでも異なっていてもよく、R
1~R
3のうち少なくとも一つは、エネルギー線硬化性基であり、a,b,cおよびdは、a+b+c+dを1に換算したとき、それぞれ、0≦a≦1、0<b≦1、0<c≦1および0≦d≦1を満たし、eは、e/(a+b+c+d)が0~0.4の範囲内となる数である。
【請求項7】
前記シリコーン樹脂成分は、重量平均分子量が1万~5万の範囲内である、請求項5に記載のフィルム。
【請求項8】
前記シリコーン樹脂成分は、分子量分布が1.8以上である、請求項5に記載のフィルム。
【請求項9】
前記反応性希釈剤は、アクリレート化合物である、請求項5に記載のフィルム。
【請求項10】
前記エネルギー線硬化性組成物は、シリコーン樹脂成分100重量部に対して1~200重量部の反応性希釈剤を含む、請求項5に記載のフィルム。
【請求項11】
前記凹凸表面の鉛筆硬度が5H以上である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記凹凸表面は、1,500回以上の500gスチールウール耐性を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記凹凸表面におけるヘイズが3%~50%の範囲内である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
前記凹凸表面の算術平均粗さRaが0.01μm~2μmの範囲内である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
前記凹凸表面の60度グロス(gloss)が10%~90%の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項16】
基材フィルムをさらに含み、前記硬化物層が前記基材フィルムの一面または両面に形成されている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項17】
第1方向における熱膨張係数(CTEF1)と前記第1方向に垂直な第2方向における熱膨張係数(CTEF2)との割合(CTEF2/CTEF1)が1.5以上である、請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
第1方向における弾性率(YMF1)と前記第1方向に垂直な第2方向における弾性率(YMF2)との割合(YMF1/YMF2)が1以上である、請求項16に記載のフィルム。
【請求項19】
第1方向における最大応力(MSF1)と前記第1方向に垂直な第2方向における最大応力(MSF2)との割合(MSF1/MSF2)が1.5以上である、請求項16に記載のフィルム。
【請求項20】
第1方向における伸び率(EF1)と前記第1方向に垂直な第2方向における伸び率(EF2)との割合(EF1/EF2)が1.5以上である、請求項16に記載のフィルム。
【請求項21】
光学機能層と、前記光学機能層の一面に形成された請求項1に記載のフィルムと、を含む光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
透明樹脂フィルムは、光学特性に優れ、ガラスに比べてこわれにくい特性があるので、ガラス代替材として考慮できる。
【0003】
透明樹脂フィルムを製造する方法としては、いわゆるセルキャスト法とも呼ばれる方法であって、セル内に硬化性組成物を注入した後に硬化させる方法や、スチールベルト(steel belt)上に硬化性組成物をキャスティング(flow casting)し、硬化させる方法などが知られている。
【0004】
セルキャスト法は、特許文献1などに知られているが、この方法は、連続してフィルムを製造することができず、効率も良くない。
【0005】
スチールベルト(steel belt)上に硬化性組成物をキャスティング(flow casting)し、硬化させる方法は、特許文献2などに知られているが、この方法では、均一な物性を有するフィルムの製造が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08-132455号公報
【特許文献2】特開平04-080007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フィルムを提供することを目的とする。本発明は、透明性またはヘイズなどの光学物性と、硬度などの機械的物性、および柔軟性に優れ、表面の形態が多様な用途に適するように制御されており、前記制御された表面形態の耐久性に優れたフィルムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において言及する物性のうち測定温度および/または測定圧力が結果に影響を及ぼす物性は、特に別途言及しない限り、常温および/または常圧で測定した結果である。
【0009】
用語「常温」は、加温および減温されない自然そのままの温度であり、例えば、10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、約23℃または約25℃程度の温度を意味する。また、本明細書において温度の単位は、特に別途規定しない限り、摂氏(℃)である。
【0010】
用語「常圧」は、加圧または減圧されない自然そのままの圧力であり、通常、大気圧レベルの約1気圧程度を意味する。
【0011】
本明細書において測定湿度が結果に影響を及ぼす物性の場合、当該物性は、前記常温および/または常圧状態で特に調節されない自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0012】
本発明において用語「アルキル基、アルキレン基またはアルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4の直鎖または分岐鎖アルキル基、アルキレン基またはアルコキシ基を意味したり、炭素数3~20、炭素数3~16、炭素数3~12、炭素数3~8または炭素数3~6の環状アルキル基、アルキレン基あるいはアルコキシ基を意味する。
【0013】
本発明において用語「アルケニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4の直鎖または分岐鎖状アルケニル基を意味したり、炭素数3~20、炭素数3~16、炭素数3~12、炭素数3~8または炭素数3~6の環状アルケニル基を意味する。
【0014】
本発明において用語「アリール基またはアリーレン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数6~24、炭素数6~18または炭素数6~12のアリール基またはアリーレン基を意味したり、フェニル基またはフェニレン基を意味する。
【0015】
本発明において用語「エポキシ基」は、特に別途規定しない限り、3個の環構成原子を有する環状エーテル(cyclic ether)または前記環状エーテルを含む化合物から誘導された1価残基を意味する。エポキシ基としては、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などが例示できる。前記で脂環式エポキシ基は、脂肪族炭化水素環構造を含み、前記脂肪族炭化水素環を形成している2個の炭素原子が、また、エポキシ基を形成している構造を含む化合物に由来する1価残基を意味する。脂環式エポキシ基としては、6個~12個の炭素を有する脂環式エポキシ基が例示でき、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基などが例示できる。
【0016】
前記アルキル基、アルキレン基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリーレン基またはエポキシ基は、任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0017】
本発明は、フィルムに関する。一例示において、前記フィルムは、硬化物層を含んでもよい。前記硬化物層は、エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であってもよい。前記フィルムは、前記硬化物層のみからなる単層構造であるか、あるいはさらなる他の層を含む多層構造であってもよい。例えば、前記フィルムは、基材フィルムをさらに含んでもよく、このような場合には、前記基材フィルムの一面または両面に前記硬化物層が形成されていてもよい。
【0018】
前記硬化物層の少なくとも一面は、凹凸表面であってもよい。例えば、前記硬化物層が前記基材フィルムの一面に形成される場合には、前記硬化物層の前記基材フィルムに向かう面と反対側の表面は、凹凸表面であってもよい。このような凹凸表面の形状は、目的に応じて多様に制御できる。
【0019】
例えば、前記凹凸表面は、算術平均粗さ(Arithmetic mean roughness、Ra)が約0.01μm~2μmの範囲内であってもよい。前記算術平均粗さは、後述するスチールウールテストを行う前または後の凹凸表面に対する算術平均粗さであってもよい。前記凹凸表面は、硬化物層と一体化した表面であってもよい。これは、前記凹凸表面が前記硬化物層とは異なる別途の層により形成されたものではなく、前記硬化物層自体に当該凹凸表面が形成されていることを意味する。
【0020】
前記算術平均粗さは、KS B 0601規格またはISO 4287/1規格によって確認できる。このような算術平均粗さは、他の例示において、0.05μm以上、0.1μm以上、0.15μm以上、0.2μm以上、0.25μm以上または0.3μm以上であるか、1.8μm以下、1.6μm以下、1.4μm以下、1.2μm以下、1μm以下、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下または0.4μm以下程度であってもよい。
【0021】
一例示において、前記凹凸表面は、いわゆる防眩表面(Anti-glare surface)を形成する凹凸表面であってもよい。
【0022】
前記凹凸表面は、3%~50%の範囲内のヘイズ(Haze)を示すことができる。前記ヘイズは、後述するスチールウールテストを行う前または後の凹凸表面に対するヘイズであってもよい。前記ヘイズは、後述する実施例に開示された方式で測定できる。前記ヘイズは、他の例示において、3.5%以上、4%以上、4.5%以上、5%以上、5.5%以上、6%以上、6.5%以上、7%以上、7.5%以上、8%以上、8.5%以上、9%以上、9.5%以上、10%以上、10.5%以上、11%以上、11.5%以上、12%以上、12.5%以上、13%以上、13.5%以上、14%以上、14.5%以上、15%以上、15.5%以上、16%以上、16.5%以上、17%以上、17.5%以上、18%以上、18.5%以上、19%以上、19.5%以上、20%以上、20.5%以上または21%以上であるか、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または7%以下程度であってもよい。
【0023】
前記凹凸表面は、60度グロス(gloss)が10%~90%の範囲内の表面であってもよい。前記60度グロスは、後述するスチールウールテストを行う前または後の凹凸表面に対する60度グロスであってもよい。前記60度グロスは、後述する実施例に開示された方式で測定できる。前記60度グロスは、他の例示において、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上または65%以上であるか、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下または50%以下程度であってもよい。
【0024】
前記凹凸表面は、優れた表面特性を示すことができる。
【0025】
例えば、前記凹凸表面は、5H以上の鉛筆硬度を示すことができる。前記鉛筆硬度は、JIS 5600規格によって、鉛筆硬度測定装備を使って、約25℃の温度および50%の相対湿度で500gの荷重および45度の角度で鉛筆芯をフィルムの凹凸表面にひく方式で測定できる。フィルムの凹凸表面で圧痕、傷または破裂などの欠陥の発生が確認されるまで鉛筆芯の硬度を段階的に増加させることで鉛筆硬度を測定できる。前記凹凸表面の鉛筆硬度は、他の例示において、略6H以上、7H以上、8H以上または9H以上であってもよい。公知の鉛筆硬度の測定方法によって確認される鉛筆硬度の最大値は9Hである。したがって、前記凹凸表面の鉛筆硬度の上限は9Hであってもよい。
【0026】
前記凹凸表面は、1,500回以上の500gスチールウール耐性(Steel wool Resistance)を示すことができる。前記で500gスチールウール耐性(Steel wool Resistance)は、スチールウールテストで確認される表面特性である。前記フィルムの凹凸表面の500gスチールウール耐性(Steel wool Resistance)は、他の例示において、略2,000回以上、2,500回以上、3,000回以上、3,500回以上、4,000回以上、4,500回以上、5,000回以上、5,500回以上、6,000回以上、6,500回以上、7,000回以上、7,500回以上、8,000回以上、8,500回以上、9,000回以上または9,500回以上であってもよい。前記スチールウール耐性は、その数値が高いほど、フィルムの凹凸表面が優れた耐スクラッチ性を示すことを意味するので、その上限は特に制限されない。一例示において、前記500gスチールウール耐性は、20,000回以下程度、15,000回以下程度、14,000回以下程度、13,000回以下程度、12,000回以下程度または11,000回以下程度であってもよい。
【0027】
本発明のフィルムにおいて前記のように形成された凹凸表面は、その形状を安定して維持できる耐久性を示すことができる。
【0028】
例えば、前記凹凸表面は、下記数式1~3のいずれか一つ、または前記数式のうち二つあるいは前記数式を全部満たすことができる。
【0029】
[数式1]
0.3≧△H=100×|(HA-HI)/N|
【0030】
[数式2]
0.3≧△G=100×|(GA-GI)/N|
【0031】
[数式3]
0.3≧△R=100×|(RA-RI)/N|
【0032】
数式1~3で、△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、前記凹凸表面のヘイズ変化率、60度グロス(gloss)変化率および算術平均粗さ(Ra)の変化率である。
【0033】
数式1で、HIは、前記凹凸表面の初期ヘイズ(後述するスチールウールテストを行う前のヘイズ)であり、HAは、後述するスチールウールテストを行った後の前記凹凸表面のヘイズであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(HA-HI)/N|は、前記HA、HIおよびNを(HA-HI)/Nに代入して求められた数値の絶対値である。
【0034】
数式2で、GIは、前記凹凸表面の初期60度グロス(後述するスチールウールテストを行う前の60度グロス)であり、GAは、後述するスチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の60度グロスであり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(GA-GI)/N|は、前記GA、GIおよびNを(GA-GI)/Nに代入して求められた数値の絶対値である。
【0035】
数式3で、RIは、前記凹凸表面の初期算術平均粗さ(Ra)(後述するスチールウールテストを行う前の算術平均粗さ)であり、RAは、後述するスチールウールテストを行った後の前記凹凸表面の算術平均粗さ(Ra)であり、Nは、前記スチールウールテストを行った回数であり、|(RA-RI)/N|は、前記RA、RIおよびNを(RA-RI)/Nに代入して求められた数値の絶対値である。
【0036】
前記数式1~3の確認のために行われるスチールウールテストは、後述する実施例に記載された方式によって、前記凹凸表面を等級#0000のスチールウールにて500gの荷重でスクラッチする方式で行われる。前記スクラッチは、前記数式1~3で変数N回行われ得る。この場合、Nは、例えば、1,000以上、1,100以上、1,200以上、1,300以上、1,400以上または1,500以上であるか、3,000以下、2,900以下、2,800以下、2,700以下、2,600以下、2,500以下、2,400以下、2,300以下、2,200以下、2,100以下、2,000以下、1,900以下、1,800以下、1,700以下、1,600以下または1,500以下程度であってもよい。
【0037】
数式1で、△Hは、他の例示において、約0.25以下、約0.2以下、約0.15以下、約0.1以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下または約0.01以下程度であってもよい。前記△Hは、その数値が低いほど、凹凸表面の維持力に優れていることを意味するので、その下限は特に制限されない。一例示において、前記△Hは、0以上または0超過程度であってもよい。
【0038】
数式2で、△Gは、他の例示において、約0.25以下、約0.2以下、約0.15以下、約0.1以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下または約0.02以下程度であってもよい。前記△Gは、その数値が低いほど、凹凸表面の維持力に優れていることを意味するので、その下限は特に制限されない。一例示において、前記△Gは、0以上または0超過程度であってもよい。
【0039】
数式3で、△Rは、他の例示において、約0.25以下、約0.2以下、約0.15以下、約0.1以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.065以下、約0.06以下、約0.055以下、約0.05以下、約0.045以下、約0.04以下、約0.035以下、約0.03以下、約0.025以下、約0.02以下、約0.015以下、約0.01以下、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下または約0.004以下程度であってもよい。前記△Rは、その数値が低いほど、凹凸表面の維持力に優れていることを意味するので、その下限は特に制限されない。一例示において、前記△Rは、0以上または0超過程度であってもよい。
【0040】
前記算術平均粗さ(Ra)、ヘイズ(Haze)、60度グロス(gloss)、鉛筆硬度および500gスチールウール耐性(Steel wool Resistance)からなる群から選択された一つ以上の物性を示し、前記数式1~3のうち一つ以上を満たす形状保持力を示す凹凸表面を形成するために、前記凹凸表面のいわゆる歪度(skewness)が調節できる。歪度は、任意の分布が対称から逸脱して片側に偏った程度を表示する値であり、凹凸表面に対しては、平均平面に対する表面高さの対称程度を表示する値である。前記歪度が正数なら、凹凸表面を構成するピーク(peak)が優勢であることを意味し、負数なら、凹凸表面を構成するバレー(valley)が優勢であることを意味する。このような歪度(skewness)は、ISO 25178規格によって公知の光学プロファイラー(optical profiler)またはAFM(Atomic Force Microscope)装置などを使って確認できる。
【0041】
本発明者らは、前記凹凸表面のISO 25178規格によって確認した歪度が負の値を有するようにして、目的とする凹凸表面の特性を具現できるという点を確認した。前記歪度は、例えば、約-2以上かつ0未満であってもよい。前記歪度は、他の例示において、約-1.9以上、約-1.8以上、約-1.7以上、約-1.6以上、約-1.5以上、約-1.4以上、約-1.3以上、約-1.2以上、約-1.1以上、約-1.0以上または約-0.9以上であるか、-0.1以下、約-0.2以下、約-0.3以下、約-0.4以下または約-0.5以下であってもよい。このような範囲で歪度を示すように調節することによって、目的に応じて具現された形状が安定して維持される凹凸表面を形成できる。
【0042】
このような歪度を確保するためには、いわゆる防眩フィルムをテンプレート(template)として使って当該フィルムの凹凸形状を前記硬化物層に転写する過程を必要とする。すなわち、いわゆる防眩フィルムと知られた凹凸表面を形成する公知の方式によって形成された凹凸表面は、正の歪度を示すので、このような正の歪度の表面が逆相に転写された表面は、負の歪度を示すことができる。また、逆相に転写される過程で歪度の絶対値は類似した範囲内で維持され、その符号が変わるので、前記テンプレートとして使用される凹凸表面の歪度を制御することによって、目的とする歪度の絶対値を負の領域で示す凹凸表面を形成できる。
【0043】
したがって、前記硬化物層は、エネルギー線硬化性組成物層を防眩フィルムと接触させた状態で前記エネルギー線硬化性組成物層にエネルギー線を照射する段階を経て形成できる。このような方式によって前記言及された特性を満たす硬化物層が形成できる。前記でエネルギー線硬化性組成物層は、エネルギー線硬化性組成物を使って形成した層であって、例えば、前記エネルギー線硬化性組成物を前記基材フィルム上にコーティング乃至キャスティングして形成された層を意味する。
【0044】
用語「エネルギー線硬化性組成物」は、エネルギー線の照射によって硬化する組成物を意味する。用語「エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線およびガンマ線はもちろん、アルファ-粒子ビーム(alpha-particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、中性子ビーム(neutron beam)または電子ビーム(electron beam)などの粒子ビームなどが含まれ得る。通常、エネルギー線としては、紫外線または電子ビームなどが使用される。
【0045】
用語「防眩フィルム」は、可視光の少なくとも一部の領域あるいは全体可視光領域に対して低い反射率を示すように形成された表面を含むフィルムを意味する。前記低い反射率を示すように形成された表面は、防眩表面と呼ばれることがある。
【0046】
このような防眩フィルムの防眩表面は、多様な形状を有しうるが、通常、一定水準の粗さ(roughness)を有する凹凸表面を有し、公知の方式で形成された前記防眩表面の凹凸表面は正の歪度を有する。このような防眩フィルムの凹凸表面をエネルギー線硬化性組成物層と接触させた状態で前記層にエネルギー線を照射して前記エネルギー線硬化性組成物を硬化させることによって、目的とする物性を満たす凹凸表面を有するフィルムを形成できる。
【0047】
前記過程を通じて前記防眩フィルムの凹凸表面が硬化物層の表面に転写されることができ、このように転写された凹凸表面は、硬化物層の活用度を高める。例えば、前記凹凸表面が転写された硬化物層は、それ自体で可視光領域の一部または全領域に対して低い反射率を示したり、あるいは必要な層と組み合わせられて前記低い反射率を示すことができる。したがって、このような硬化物層は、前述した優れた物性と共に低い反射率が要求される多様な用途において効果的に適用できる。
【0048】
前記工程でエネルギー線硬化性組成物層と接触する防眩表面は、前述したように凹凸表面であってもよく、このような凹凸表面は、正の歪度(skewness)を示す凹凸表面であってもよい。前記凹凸表面も、ISO 25178規格により確認できる。前記防眩フィルムの凹凸表面は、0超過かつ約2以下であってもよい。前記歪度は、他の例示において、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、約1.5以下、約1.4以下、約1.3以下、約1.2以下、約1.1以下、約1.0以下または約0.9以下であるか、0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上または約0.5以上であってもよい。このような範囲の歪度の凹凸表面を適用して、目的とする歪度の凹凸表面を形成できる。
【0049】
前記エネルギー線硬化性組成物層と接触する防眩表面の凹凸表面は、算術平均粗さ(Arithmetic mean roughness、Ra)が約0.01μm~2μmの範囲内であってもよい。このような範囲で算術平均粗さを有する凹凸表面である防眩表面を適用することによって、目的とする物性の硬化物層の製造が可能になり得る。前記算術平均粗さは、後述する実施例に開示された方式で測定できる。このような算術平均粗さは、他の例示において、0.05μm以上、0.1μm以上、0.15μm以上、0.2μm以上または0.25μm以上であるか、1.8μm以下、1.6μm以下、1.4μm以下、1.2μm以下、1μm以下、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下または0.4μm以下程度であってもよい。
【0050】
エネルギー線硬化性組成物層と接触する防眩表面は、60度グロス(gloss)が10%~90%の範囲内の表面であってもよい。このような範囲で60度グロスを有する表面である防眩表面を適用することによって、目的とする物性の硬化物層の製造が可能になり得る。前記60度グロスは、後述する実施例に開示された方式で測定できる。このような60度グロスは、他の例示において、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上または45%以上であるか、85%以下、80%以下、75%以下または70%以下程度であってもよい。
【0051】
エネルギー線硬化性組成物層と接触する防眩表面は、3%~50%のヘイズを示す表面であってもよい。このような範囲でヘイズを有する表面である防眩表面を適用することによって、目的とする物性の硬化物層の製造が可能になり得る。前記ヘイズは、後述する実施例に開示された方式で測定できる。このようなヘイズは、他の例示において、3.5%以上、4%以上または4.5%以上であるか、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下または25%以下程度であってもよい。
【0052】
本発明において適用が可能な防眩フィルムの種類は、特に制限されず、例えば、前記言及したヘイズ、60度グロスおよび/または算術平均粗さRaを有する凹凸表面を有する防眩フィルムが適用可能である。
【0053】
好適な例示において、前記防眩フィルムとしては、バインダー樹脂および粒子を含む防眩層を有するフィルムを使用できる。
【0054】
この際、バインダー樹脂としては、熱またはエネルギー線硬化性バインダー樹脂を適用でき、その具体的な例は、特に制限されるものではないが、エネルギー線硬化性バインダー樹脂を適用することが、工程の観点などから有利になり得る。使用可能なエネルギー線硬化性バインダー樹脂の種類は、特に制限されないが、好適な効果の確保のために、非ウレタン系多官能性アクリレート化合物が適用できる。例えば、前記化合物として、硬化性官能基(ex.(メタ)アクリロイルオキシ基など)が2個以上の化合物が適用できる。前記化合物の官能基の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下または3個以下程度であってもよい。このような化合物としては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl pivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などの二官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはプロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの三官能性アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能性アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能性アクリレート;およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの六官能性アクリレートなどの多官能性アクリレート化合物などを使用でき、これらの中で、目的とする粘度と物性などを考慮して一種または二種以上を選択して使用できる。
【0055】
前記硬化性バインダー樹脂を粒子と混合した状態でコーティングし、その樹脂の種類に応じた硬化方式で硬化させた防眩層が適用できる。適用可能な粒子の種類は、特別な制限がなく、例えば、PMMA(poly(methyl methacrylate))粒子やPS(polystyrene)粒子などの有機ポリマー粒子またはシリカ粒子またはジルコニア粒子、アルミナ粒子またはチタニア粒子などの無機粒子などが適用できる。前記粒子の形状、平均粒径および/または割合には、特別な制限はなく、目的とする60度グロスやヘイズ、算術平均粗さRaなどを考慮して適切な形状および/または平均粒径を有する粒子を適切な割合で適用できる。
【0056】
前記防眩層には、前記成分に、さらに必要な任意の成分、例えば、シリコーン系またはフッ素系スリップ剤や開始剤などが追加されることもできる。
【0057】
防眩フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面に形成された前記防眩層とを含んでもよい。この際、基材フィルムとしては、適切な透過率、例えば、約370nmの波長の光に対する透過率が80%以上の基材フィルムを適用できる。すなわち、通常の防眩フィルムは、光学フィルムの最外郭に存在するので、紫外線遮断機能が付与されて、370nmの波長に対して低い透過度(50%以下)を示す場合が大部分であり、本発明においては、防眩フィルムがモールドに適用されるのであり、紫外線硬化工程のために紫外線に対して透過度の高いフィルムが適用されることが必要である。したがって、前記のような透過率が適用できる。基材フィルムの種類は、前記透過率を有するものであれば、特別な制限はなく、例えば、公知の高分子フィルムのうちで前記透過率を示すものが選択できる。
【0058】
前記防眩フィルムの防眩表面を前記エネルギー線硬化性組成物層に接触させた状態で前記エネルギー線を照射する段階が行われ得る。
【0059】
防眩フィルムと接触するエネルギー線硬化性組成物層は、エネルギー線硬化性組成物をキャスティング乃至コーティングして形成することができる。この場合、キャスティングまたはコーティングの方式は、特に制限されず、公知の方式、例えば、グラビアコーティング、ロールコーティング、リバースコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング、リップコーティング、ドクター(doctor)コーティング、エクストルージョン(extrusion)コーティング、スライドコーティング、ワイヤーバーコーティング、カーテンコーティング、押出コーティングまたはスピンコーティングなどの方法が適用できる。キャスティング過程でゲル形状の付着物や異物が発生しないように、前記キャスティングは、エネルギー線が照射されない条件で行い、また、必要に応じて、キャスティングの温度も、適切に制御できる。
【0060】
キャスティング方式などにより形成される前記エネルギー線硬化性組成物層の厚みは、前記組成物の種類、前記組成物に含まれる樹脂が有する官能基の種類、目的とする用途、キャスティング均一性、後述する平坦層の形成の有無などを考慮して適切な厚みで調節できる。前記形成される層の厚みは、略1μm~1000μmの範囲内であってもよい。前記厚みは、他の例示において、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上または35μm以上であるか、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、55μm以下、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下または25μm以下程度であってもよいが、これらに制限されるものではない。例えば、後述する平坦層が一面に形成されていない基材層上に前記エネルギー線硬化性組成物層が形成される場合、エネルギー線硬化性組成物層の収縮力などを考慮して前記形成された層の厚みが追加で制御できる。平坦層が形成されていない基材層の一面に前記エネルギー線硬化性組成物層を形成する場合、前記硬化性組成物層の厚みは、例えば、35μm以下であってもよい。前記硬化性組成物層の厚みは、他の例示において、33μm以下、31μm以下、29μm以下、27μm以下、25μm以下、23μm以下または21μm以下であるか、5μm以上、10μm以上または15μm以上であってもよい。前記硬化性組成物層の厚みは、前述したように、基材層上に平坦層が形成されたか否かだけでなく、後述する硬化性組成物層に含まれる樹脂の種類などを考慮して制御でき、したがって、前記厚みは、これらに制限されるものではない。
【0061】
前記エネルギー線硬化性組成物へのエネルギー線の照射は、基材フィルム上にエネルギー線硬化性組成物をキャスティングしてエネルギー線硬化性組成物層を形成する段階と、前記エネルギー線硬化性組成物層に前記防眩フィルムを積層して前記防眩フィルムとエネルギー線硬化性組成物層を接触させる段階と、を含む方式で製造された積層体に対して行われ得る。この際、前記記述したように、前記エネルギー線硬化性組成物層と接触する防眩フィルムの表面は、前述した防眩表面であってもよい。
【0062】
前記方式を適用することによって、前記製造される硬化物層の物性や品質の均一性をより安定して維持できる。
【0063】
前記基材フィルムの種類は、特に制限されず、適切な表面平滑性を有する基材フィルムが適用できる。例えば、基材フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンや、ポリエチレンまたはノルボルネン(norbornene)樹脂フィルムなどのポリオレフィンフィルム、アセテートフィルム、アクリルフィルム、フッ化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアリレートフィルム、セロファンまたはポリエーテルスルホンフィルムなどのフィルムを単独であるいは2種以上を組み合わせて使用できる。このようなフィルムのうちで、要求耐熱性、透明性を考慮して適切なフィルムが選択できる。
【0064】
前記基材フィルムとしては、透明フィルム、例えば、光透過率が80%以上または85%以上のフィルムを使用できる。基材フィルムの厚みは、特別な制限はないが、フィルムの製造過程で適用される張力に対する抵抗性や、積層体の反りやゆがみなどまたはエネルギー線の透過効率などを考慮して、略10μm~400μmまたは50μm~300μmの範囲内で選択できる。
【0065】
前記基材フィルムとして、一面に平坦化層が形成されているフィルムが使用できる。例えば、一面に平坦化層が形成された基材フィルムにおける前記平坦化層のない面に前記エネルギー線硬化性組成物層が形成できる。前記平坦化層が一面に形成された基材フィルムを適用することによって、前記エネルギー線硬化性組成物層を後述する樹脂および/または厚みなどで形成しながらも、カール(Curl)などが発生することなく、表面特性にさらに優れたフィルムを製造できる。
【0066】
前記平坦化層を形成する材料に特別な制限はない。一例示において、前記平坦化層は、前記フィルムの形成に適用されるエネルギー線硬化性組成物を同一に基材フィルム上にコーティングし、硬化させて形成することができる。
【0067】
基材フィルムにエネルギー線硬化性組成物をキャスティングし、当該キャスティングされたエネルギー線硬化性組成物上に前記防眩フィルムの防眩表面を積層して積層体を製造した後に、エネルギー線の照射を行うことができる。
【0068】
必要に応じて、前記エネルギー線硬化性組成物層と防眩表面の接触を一定の圧力で加圧して行うこともできる。
【0069】
前記方式で防眩フィルムをエネルギー線硬化性組成物層と接触させた状態でエネルギー線を照射して前記組成物を硬化させることによって、前記硬化物層を製造できる。この際、エネルギー線の照射方向は、制限されず、例えば、前記防眩フィルム側、または前記エネルギー線硬化性組成物層の前記防眩フィルムに当接しない面側または前記両側でエネルギー線が照射できる。前記積層体(防眩フィルム/エネルギー線硬化性組成物層/基材フィルム)に対してエネルギー線の照射を行う場合にも、前記防眩フィルム側、前記基材フィルム側または両側でエネルギー線が照射できる。
【0070】
一例示において、前記積層体に対してエネルギー線の照射を行う場合に、エネルギー線は、前記基材フィルムを通じて前記エネルギー線硬化性組成物層に照射できる。
【0071】
例えば、エネルギー線として紫外線を照射する場合には、紫外線ランプを使って発生させた紫外線を照射できる。紫外線ランプとしては、メタルハライド(metal halide)ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノン(xenon)ランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプおよび/または無電極ランプなどが適用できる。照射条件は、エネルギー線硬化性組成物の組成などによって決定でき、通常、露光量が略0.01~10mJ/cm2程度のレベルになるように照射できる。前記露光されるエネルギーの量は、他の例示において、約0.05mJ/cm2以上、0.1mJ/cm2以上、0.5mJ/cm2以上、1mJ/cm2以上または1.5mJ/cm2以上であるか、9mJ/cm2以下、8mJ/cm2以下、7mJ/cm2以下、6mJ/cm2以下または5mJ/cm2以下程度であってもよい。
【0072】
このようなエネルギー線の照射が行われる温度は特に制限されない。通常、前記エネルギー線の照射は、常温(15℃~35℃の範囲内)で行われるが、必要に応じて、当該温度が調節でき、このような場合には、エネルギー線の照射過程で加熱/冷却装置などが適用されることもできる。
【0073】
本発明において適用可能なエネルギー線硬化性組成物の種類には特別な制限はないが、前記キャスティング、コーティング効率、目的とする表面特性および/または硬化前後の硬化収縮などを考慮して、エネルギー線硬化性を有し、かつ、キャスティング可能な流動性乃至可塑性を有するものが適用できる。必要に応じて、硬化前後の硬化収縮による反りやゆがみなどの防止のために、硬化収縮率が適正範囲に制御されることもできる。通常、硬化前後の体積収縮率が3%~10%の範囲内にあるエネルギー線硬化性組成物が使用できる。
【0074】
例えば、前記エネルギー線硬化性組成物としては、いわゆるアクリル系エネルギー線硬化性組成物、シリコーン系エネルギー線硬化性組成物またはエポキシ系エネルギー線硬化性組成物のうちで適切な種類を選択して使用できる。また、工程効率やフィルム物性を考慮して無溶剤タイプの組成物が適用できる。
【0075】
前記エネルギー線硬化性組成物としては、例えば少なくともシリコーン樹脂成分および反応性希釈剤を含む組成物を使用できる。
【0076】
前記適用されるシリコーン樹脂成分の種類は、特に制限されないが、目的とする物性をより効果的に満たすために、下記平均単位式1で表示されるシリコーン樹脂成分が適用できる。
【0077】
[平均単位式1]
(R1
3SiO1/2)a(R2
2SiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d(RO1/2)e
【0078】
平均単位式1で、R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基またはエネルギー線硬化性基であり、R1~R3が複数個存在する場合、それぞれ、互いに同じでも異なっていてもよく、R1~R3の少なくとも一つは、エネルギー線硬化性基であり、a、b、cおよびdは、a+b+c+dを1に換算したとき、それぞれ、0≦a≦1、0<b≦1、0<c≦1および0≦d≦1を満たし、eは、e/(a+b+c+d)が0~0.4の範囲内となる数である。前記エネルギー線硬化性基は、例えば、ラジカル硬化性基またはカチオン硬化性基であってもよく、目的とする物性の具現などを考慮して、ラジカル硬化性基であることが好ましい。
【0079】
前記平均単位は、前記シリコーン樹脂成分に含まれる単量体単位、すなわちいわゆるM、D、TおよびQ単位の平均的な割合を示すものであり、前記シリコーン樹脂成分が前記平均単位式1を示すというのは、前記成分が前記平均単位式1による割合で単量体単位を含む一つの高分子成分(シリコーン樹脂)を含む場合、または前記成分が二つ以上の高分子成分(シリコーン樹脂)を含み、当該二つ以上の成分に含まれるすべての単量体単位の平均が前記平均単位式1で規定される場合を意味する。
【0080】
前記平均単位式1で、a+b+c+dを1に換算したとき、前記aおよびdは、それぞれ独立して、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下、0.1以下または0.05以下程度であってもよい。
【0081】
前記平均単位式1で、a+b+c+dを1に換算したとき、前記bは、他の例示において、0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上または0.25以上であるか、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.3以下または0.25以下程度であってもよい。
【0082】
前記平均単位式1で、a+b+c+dを1に換算したとき、前記cは、他の例示において、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上または0.75以上であるか、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下または0.75以下程度であってもよい。
【0083】
平均単位式1で、RO1/2は、ケイ素原子に結合されている縮合性官能基を意味する。すなわち、前記シリコーン樹脂成分は、一例示において、縮合性シラン化合物を縮合させ製造できるが、その過程で反応せずに残存する縮合性官能基が前記RO1/2で表示され得る。
【0084】
平均単位式1で、eは、e/(a+b+c+d)が0~0.4の範囲になるようにする数であってもよい。前記e/(a+b+c+d)は、他の例示において、0.35以下程度、0.3以下程度、0.25以下程度、0.2以下程度、0.15以下程度、0.1以下程度または0.05以下程度であってもよい。
【0085】
平均単位式1で、R1~R3は、それぞれ、ケイ素原子に直接結合している官能基であって、平均単位式1で表示されるシリコーン樹脂成分内でそれぞれ複数個存在することもでき、複数個存在する場合、これらは同じでも異なっていてもよい。前記R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基またはエネルギー線硬化性官能基であってもよい。R1~R3のうち少なくとも一つは、エネルギー線硬化性官能基であり、例えば、少なくとも前記R3(R3が複数個である場合、R3のうち少なくとも一つ)は、エネルギー線硬化性官能基であってもよい。
【0086】
前記平均単位式で、R2は、好適にはアルキル基であってもよい。
【0087】
前記でエネルギー線硬化性官能基は、例えば、いわゆるラジカル硬化性官能基またはカチオン硬化性官能基であってもよい。ラジカル硬化性官能基としては、代表的に、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアルキル基または(メタ)アクリロイルオキシアルキル基などがあり、カチオン硬化性官能基としては、エポキシ基を例示できる。用語「エポキシ基」は、特に別途規定しない限り、3個の環構成原子を有する環状エーテル(cyclic ether)または前記環状エーテルを含む化合物から誘導された1価残基を意味する。エポキシ基としては、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などが例示できる。前記で脂環式エポキシ基は、脂肪族炭化水素環構造を含み、前記脂肪族炭化水素環を形成している2個の炭素原子が、また、エポキシ基を形成している構造を含む化合物に由来する1価残基を意味する。脂環式エポキシ基としては、6個~12個の炭素原子を有する脂環式エポキシ基が例示でき、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基などが例示できる。
【0088】
前記エネルギー線硬化性官能基は、好ましくは、ラジカル硬化性官能基であってもよい。カチオン硬化性官能基を含む樹脂の場合、開環反応(ring-opening)を通じて重合されるので、硬化などによる体積縮小が殆どないのに対し、前記ラジカル硬化性官能基を含む樹脂の場合、硬化などによって収縮することで、原子密度が高くなり得、これによって、目的とする物性の具現にさらに適している。
【0089】
このようなエネルギー線硬化性官能基は、全体R1~R3の中で略50モル%以上、略55モル%以上、略60モル%以上、略65モル%以上、略70モル%以上、略75モル%以上、略80モル%以上、略85モル%以上、略90モル%以上または略95モル%以上の割合で存在できる。前記エネルギー線硬化性官能基の割合の上限には、特別な制限はなく、例えば、前記官能基の割合は、略100モル%以下、略95モル%以下、略90モル%以下、略85モル%以下、略80モル%以下、略75モル%以下または略70モル%以下程度であってもよい。
【0090】
前記シリコーン樹脂成分は、重量平均分子量(Mw,Weight Average Molecular Weight)が1万~5万の範囲内であってもよい。前記重量平均分子量は、いわゆるGPC(Gel Permeation Chromatography)により測定された標準ポリスチレンの換算値であってもよい。前記重量平均分子量は、他の例示において、約11000g/mol以上、12000g/mol以上、13000g/mol以上、14000g/mol以上、15000g/mol以上、16000g/mol以上、17000g/mol以上、18000g/mol以上、19000g/mol以上、20000g/mol以上、21000g/mol以上、22000g/mol以上、23000g/mol以上、24000g/mol以上、25000g/mol以上、26000g/mol以上、27000g/mol以上、28000g/mol以上、29000g/mol以上または30000g/mol以上であるか、45000g/mol以下、40000g/mol以下、35000g/mol以下、30000g/mol以下、25000g/mol以下または20000g/mol以下程度であってもよい。
【0091】
前記シリコーン樹脂成分は、また、分子量分布(PDI,Mw/Mn)、すなわち数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の割合が1.8以上程度であってもよい。前記分子量分布は、他の例示において、1.9以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上または2.3以上であるか、3.0以下、2.9以下、2.8以下、2.7以下、2.6以下、2.5以下または2.4以下であってもよい。
【0092】
前述した平均単位を有し、また、前記分子量特性を有するシリコーン樹脂成分は、目的とする物性の硬化物層を効果的に形成できるようにする。
【0093】
前記シリコーン樹脂成分の製造のためには、いわゆる縮合性シラン化合物(ex.アルコキシシラン化合物)を縮合させる重合過程と、前記重合過程に引き続く分子量調節過程が必要である。前記で縮合性シラン化合物を縮合させてシリコーン樹脂成分を製造する方式は、多様に公知されており、通常、このような縮合過程のみを行って、シリコーン樹脂成分を製造している。ところが、単に前記のように縮合工程による重合だけでは、前記言及されたレベルの分子量特性の確保が難しい。したがって、前記縮合過程に引き続いて適切な分子量調節過程が必要である。
【0094】
前記分子量調節過程は、例えば、重合反応物を所定温度の減圧条件で維持しつつ行うことができる。この過程で、重合反応物に含まれている溶媒、低分子量成分および/または未反応物が除去されて、目的とするレベルで分子量が調節できる。前記で減圧条件は、特に制限されるものではないが、約50~90Torrの真空度で減圧工程を行うことができる。前記真空度は、他の例示において、約55Torr以上、約60Torr以上または約65Torr以上であるか、約85Torr以下、約80Torr以下または約75Torr以下程度であってもよい。
【0095】
前記減圧工程は、所定の温度プロファイル下で行われ得る。例えば、前記減圧工程は、約30℃~70℃の範囲内の温度で真空度を前記レベルに維持する第1段階と、前記第1段階に引き続いて真空度を前記レベルに維持しつつ、温度を60~100℃の範囲内に維持する第2段階とを含んでもよい。前記第1段階で、温度を約30℃~70℃の範囲内に維持しつつ、前記言及した真空度を維持する場合、減圧により温度が低下し、通常、10℃~30℃程度のレベルに温度が低下する。したがって、前記のように温度が低下すると、さらに温度を前記第2段階レベルまで上げて、さらに分子量調節工程を進める。前記第1段階の温度は、他の例示において、約35℃以上、40℃以上または45℃以上であるか、65℃以下、60℃以下または55℃以下であってもよく、第2段階の温度は、他の例示において、約65℃以上、70℃以上または75℃以上であるか、約95℃以下、約90℃以下または85℃以下であってもよい。また、前記第1段階では、前記言及したように、実質的に前記言及された真空度で前記温度が約30℃~70℃の範囲内の温度から10℃~30℃程度のレベルに低下する過程が行われ得る。前記第1および第2段階が行われる時間は、特に制限されないが、適切なレベルの分子量を確保するために、前記第1段階は、略1時間~5時間行い、前記第2段階は、略10分~60分間程度で行うことができる。
【0096】
前記分子量調節工程に適用される重合反応物を得る方式は特に制限されない。当該業界では、アルコキシシランなどの縮合性化合物を使ってシリコーン樹脂を製造する内容が多様に知られており、このような方法がすべて本発明において適用できる。
【0097】
後続する分子量調節過程で目的とする好適な分子量の確保を有利にするために、前記重合過程は、アルコキシシランなどの縮合性シランを水性溶媒とアルコール、ケトンおよび/またはアセテートの混合溶媒内で塩基触媒を適用して重合させる方法が適用できる。
【0098】
前記過程で、アルコキシシランとしては、公知の化合物が適用できる。
【0099】
前記で適用可能な水性溶媒としては、例えば、水があり、このような水性溶媒は、重合に適用される全体縮合性シラン化合物(ex.アルコキシシラン)1モル当たり略0.1~10モルの割合で適用できる。前記水性溶媒の割合は、他の例示において、約0.5モル以上、約1モル以上、約1.5モル以上、約2モル以上または約2.5モル以上であるか、約9モル以下、約8モル以下、約7モル以下、約6モル以下、約5モル以下、約4モル以下または約3モル以下程度であってもよい。
【0100】
前記で適用可能なアルコールとしては、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、i-ブチルアルコール、n-ブチルアルコールおよび/またはt-ブチルアルコールなどが例示でき、ケトン溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルケトン、メチルイソプロピルケトンおよび/またはアセチルアセトンなどが例示でき、アセテート溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテートおよび/またはブチルアセテートなどが例示できるが、これらに制限されるものではない。このようなアルコール、ケトンまたはアセテート溶媒は、重合に適用される全体縮合性シラン化合物(ex.アルコキシシラン)1モル当たり略0.1~10モルの割合で適用できる。前記アルコール、ケトンまたはアセテート溶媒の割合は、他の例示において、約0.5モル以上、約1モル以上、約1.5モル以上、約2モル以上または約2.5モル以上であるか、約9モル以下、約8モル以下、約7モル以下、約6モル以下、約5モル以下、約4モル以下または約3モル以下程度であってもよい。
【0101】
前記過程で適用される塩基触媒としては、例えば、pKaが15以下のアミン化合物などが適用できる。前記アミン化合物のpKaは、他の例示において、約14.5以下、約14以下、約13.5以下、約13以下、約12.5以下、約12以下、約11.5以下、約11以下、約10.5以下であるか、約1以上、約2以上、約3以上、約4以上、約5以上、約6以上、約7以上、約8以上、約9以上または約10以上であってもよいが、これらに制限されない。アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミンが適用できるが、pKaが前記範囲内であれば、特に制限されない。
【0102】
前記アミン化合物は、全体縮合性シラン化合物(ex.アルコキシシラン)1モル当たり略0.0001モル~0.1モルの割合で適用できる。前記割合は、他の例示において、約0.0005モル以上、約0.0007モル以上、約0.0009モル以上または約0.01モル以上であるか、約0.09モル以下、約0.08モル以下、約0.07モル以下、約0.06モル以下、約0.05モル以下、約0.04モル以下、約0.03モル以下または約0.02モル以下程度であってもよい。
【0103】
例えば、前記のような成分の混合物を略50~110℃の範囲内の温度で約8~16時間程度維持して重合反応物を得ることができる。前記重合反応の温度は、他の例示において、約55℃以上、約60℃以上、約65℃以上、約70℃以上または約75℃以上であるか、約105℃以下、約100℃以下、約95℃以下、約90℃以下または約85℃以下程度であってもよく、重合時間は、他の例示において、約9時間以上、約10時間以上または約11時間以上であるか、約15時間以下、約14時間以下または約13時間以下程度であってもよい。
【0104】
前記方式で重合された重合物を前記分子量調節工程に導入する場合、目的とする分子量特性をより効果的に確保できる。
【0105】
前記エネルギー線硬化性組成物は、前記成分と共に反応性希釈剤を含んでもよい。反応性希釈剤は、前記組成物の粘度などを適正範囲で調節して、キャスティング工程が適切に行われるようにすることができる。
【0106】
反応性希釈剤としては、特別な制限なしで公知の成分を使用できる。エネルギー線硬化性組成物の硬化タイプ(例えば、ラジカル硬化性であるか、カチオン硬化性であるかなど)によって好適な反応性希釈剤が公知となっている。
【0107】
一例示において、前記シリコーン樹脂成分が、エネルギー線硬化性官能基として、ラジカル硬化性官能基(例えば、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基など)を含む場合、前記反応性希釈剤としては、各種アクリレート化合物を適用できる。
【0108】
このようなアクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートまたはテトラデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートまたは8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl pivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などの二官能性アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、三官能性ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの三官能性アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能性アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能性アクリレート;およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの六官能性アクリレートなどの多官能性アクリレート化合物などを使用でき、これらの中で、目的とする粘度と物性などを考慮して一種または二種以上を選択して使用できる。
【0109】
他の例示において、前記シリコーン樹脂成分が、エネルギー線硬化性官能基として、カチオン硬化性官能基(例えば、エポキシ基など)を含む場合、前記反応性希釈剤としては、エポキシ化合物またはオキセタン化合物を適用できる。
【0110】
カチオン硬化性組成物において反応性希釈剤に適用可能なエポキシまたはオキセタン化合物は、当該業界において多様に公知となっており、このような公知の反応性希釈剤が制限なしで使用できる。
【0111】
例えば、反応性希釈剤に適用可能なエポキシ化合物またはオキセタン化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)-シクロヘキサン-1,4-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキシド、4-ビニルエポキシシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンオキシド、リモネンジオキシド、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、εカプロラクトン-変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン-変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、βメチル-δバレロラクトン-変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ビシクロヘキシル-3,3’-エポキシド、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-C(CH3)2-、-CBr2-、-C(CBr3)2-、-C(CF3)2-、-C(CCl3)2-または-CH(C6H5)-結合を有するビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロジオクチルフタレート、エポキシヘキサヒドロ-ジ-2-エチルヘキシルフタレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またはこれらの化合物にアルキレンオキシドを付加して収得したポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアリン酸、エポキシオクチルステアリン酸、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ポリブタジエン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(3-ヒドロキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(4-ヒドロキシブチル)オキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(5-ヒドロキシペンチル)オキシメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン、ビス((1-エチル(3-オキセタニル)メチル)エーテル、3-エチル-3-((2-エチルヘキシルオキシ)メチル)オキセタン、3-エチル-((トリエトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン、3-(メタ)アリルオキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4-フルオロ-[1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4-メトキシ-[1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]-ベンゼン、[1-(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-エチルヘキシル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、2-ヒドロキシエチル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテルまたは2-ヒドロキシプロピル(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテルなどや、前記のうちで選択された2種以上の組み合わせなどが例示できるが、これらに制限されるものではない。
【0112】
前記エネルギー線硬化性組成物において適用される反応性希釈剤の割合は、目的とする粘度などを考慮して調節されるのであり、特別な制限はないが、通常、前記シリコーン樹脂成分100重量部に対して1~200重量部の割合で反応性希釈剤が適用できる。前記割合は、他の例示において、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上または9重量部以上であるか、190重量部以下、180重量部以下、170重量部以下、160重量部以下、150重量部以下、140重量部以下、130重量部以下、120重量部以下、110重量部以下、100重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、30重量部以下または20重量部以下程度であってもよい。
【0113】
エネルギー線硬化性組成物は、前記シリコーン樹脂成分と反応性希釈剤を基本成分として含み、必要なさらなる成分を含むこともできる。このような添加剤成分としては、前記エネルギー線硬化性組成物の硬化を開始させることができる開始剤、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤および/または表面改質剤などが例示できるが、これらに制限されるものではない。
【0114】
エネルギー線硬化性組成物に含まれ得るさらなる成分としては、ヘイズ調節のための散乱粒子も含まれる。このような粒子は、通常、光の散乱が可能な粒径を有し、さらに、周辺マトリックスと異なる屈折率を有する粒子が適用され、目的とするヘイズを考慮して適正レベルの粒径と屈折率を有する粒子を使用できる。
【0115】
前記のようなエネルギー線硬化性組成物を前述した方法に適用して硬化物層を製造することによって、目的物性を有する硬化物層を製造できる。
【0116】
本発明のフィルムは、前記硬化物層が一面に形成された基材フィルムを含んでもよい。この基材フィルムは、前述した製造方法で適用された基材フィルムであってもよい。
【0117】
前述したように、基材フィルムとしては、特別な制限なしで公知のフィルムを適用できるが、目的物性をより効果的に満足させるために、機械的および/または熱的に非等方性を有する高分子フィルムを適用できる。本明細書において前記機械的および/または熱的観点から、非等方性の高分子フィルムは、非対称高分子フィルムと呼称できる。前記で高分子フィルムが機械的物性の観点から非等方性というのは、後述する伸び率、応力および弾性率の特性を有する場合であり、熱的に非等方性というのは、後述する熱膨張係数などを有する場合である。
【0118】
本明細書において言及する各高分子フィルムの物性の測定は、本明細書の実施例項目に記述した方式によって測定する。
【0119】
前記のような高分子フィルムとしては、いわゆる高延伸PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムまたはSRF(SuperRetardation Film)などと知られたフィルムが代表的に公知となっている。したがって、本発明において前記高分子フィルムは、例えば、ポリエステルフィルムであってもよい。
【0120】
前記のようなフィルムは、当該業界に公知となっており、このようなフィルムは、製造過程での高延伸工程により機械的および/または熱的物性において非対称性を示す。当該業界に公知となった前記高分子フィルムの代表的な例としては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのポリエステルフィルムがあり、例えば、Toyobo社で供給される商品名SRF(SuperRetardation Film)系のフィルムがある。
【0121】
一例示において、前記高分子フィルムは、面内の任意の第1方向におけるフィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)(E1)と、前記第1方向と垂直を成す第2方向におけるフィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)(E2)との割合(E1/E2)が3以上であってもよい。前記割合(E1/E2)は、他の例示において、約3.5以上、4以上、4.5以上、5以上、5.5以上、6以上または6.5以上であってもよい。前記割合(E1/E2)は、他の例示において、約20以下、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、8以下または7.5以下であってもよい。
【0122】
本明細書において用語「高分子フィルムの第1方向および第2方向」は、前記フィルム基板の面内の任意の方向である。例えば、高分子フィルムが延伸高分子フィルムである場合、前記面内の方向は、前記高分子フィルムのMD(Machine Direction)およびTD(transverse direction)方向により形成される面内の方向であってもよい。一例示において、本明細書において記述する第1方向は、高分子フィルムの遅相軸および進相軸方向のうちいずれか一方の方向であり、第2方向は、遅相軸および進相軸方向のうち他方の方向であってもよい。他の例示において、前記第1方向は、高分子フィルムが延伸高分子フィルムである場合、MD(Machine Direction)およびTD(transverse direction)方向のうちいずれか一方の方向であり、第2方向は、MD(Machine Direction)およびTD(transverse direction)方向のうち他方の方向であってもよい。
【0123】
前記高分子フィルムの前記第1方向(例えば、前述した遅相軸方向またはTD方向)における伸び率が15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上または40%以上であってもよい。前記伸び率は、他の例示において、約60%以下、55%以下、50%以下または45%以下であってもよい。
【0124】
前記高分子フィルムは、前記第2方向における熱膨張係数(CTE2)と前記第1方向における熱膨張係数(CTE1)との割合(CTE2/CTE1)が1.5以上であってもよい。前記熱膨張係数(CTE1、CTE2)は、それぞれ、40℃~80℃の温度範囲内で確認される値である。前記割合(CTE2/CTE1)は、他の例示において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下または3以下程度であってもよい。
【0125】
前記第2方向における熱膨張係数(CTE2)は、5~150ppm/Kの範囲内であってもよい。前記熱膨張係数は、約10ppm/K以上、15ppm/K以上、20ppm/K以上、25ppm/K以上、30ppm/K以上、35ppm/K以上、40ppm/K以上、45ppm/K以上、50ppm/K以上、約55ppm/K以上、60ppm/K以上または65ppm/K以上であるか、140ppm/K以下、130ppm/K以下、120ppm/K以下、100ppm/K以下、95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下または70ppm/K以下であってもよい。
【0126】
前記高分子フィルムは、前記第2方向における弾性率(YM2)と前記第1方向における弾性率(YM1)との割合(YM1/YM2)が1.5以上であってもよい。前記割合(YM1/YM2)は、他の例示において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2.5以下であってもよい。
【0127】
前記第1方向における弾性率(YM1)は、約2~10GPaの範囲内であってもよい。前記弾性率(YM1)は、他の例示において、約2.5GPa以上、3GPa以上、3.5GPa以上、4GPa以上、4.5GPa以上、5GPa以上または5.5GPa以上であるか、約9.5GPa以下、9GPa以下、8.5GPa以下、8GPa以下、7.5GPa以下、7GPa以下、6.5GPa以下または6GPa以下であってもよい。
【0128】
本明細書においていう弾性率は、特に別途言及しない限り、いわゆるヤング率(Young’s modulus)であり、後述する実施例の方式によって測定する。
【0129】
前記高分子フィルムは、前記第2方向における最大応力(MS2)と前記第1方向における最大応力(MS1)との割合(MS1/MS2)が1.5以上であってもよい。前記割合(MS1/MS2)は、他の例示において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2.5以下であってもよい。
【0130】
前記第1方向(例えば、前述した遅相軸方向またはTD方向)における最大応力(MS1)は、約80~300MPaの範囲内であってもよい。前記最大応力(MS1)は、他の例示において、約90MPa以上、約100MPa以上、約110MPa以上、約120MPa以上、約130MPa以上、約140MPa以上、約150MPa以上、約155MPa以上、160MPa以上、165MPa以上、170MPa以上、175MPa以上または180MPa以上、185MPa以上、190MPa以上または195MPa以上であるか、約300MPa以下、約290MPa以下、約280MPa以下、約270MPa以下、約260MPa以下、約250MPa以下、約245MPa以下、240MPa以下、235MPa以下、230MPa以下、225MPa以下、220MPa以下、215MPa以下、210MPa以下、205MPa以下または200MPa以下であってもよい。
【0131】
前述したように、前記のような大きい光学的、機械的および/または熱的非対称性を有する高分子フィルムの代表的な例は、いわゆる高延伸ポリエステルフィルムなどと知られた延伸PET(polyethylene terephthalate)フィルムであり、このようなフィルムは、当該業界で容易に入手できる。
【0132】
前記高分子フィルム(基材フィルム)の一面に前記硬化物層が形成されたフィルム(基材フィルム+硬化物層を含む)あるいは前記基材フィルムの一面に前記硬化物層が形成され、他の面には、前記平坦化層が形成されたフィルム(平坦化層+基材フィルム+硬化物層を含む)は、前記高分子フィルム(基材フィルム)と同等であるか、それから制御された非対称性を示すことができる。
【0133】
例えば、前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)は、面内の任意の第1方向におけるフィルム(硬化物層/基材フィルム含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)(EF1)と前記第1方向と垂直を成す第2方向におけるフィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)(EF2)との割合(EF1/EF2)が1.5以上であってもよい。前記割合(EF1/EF2)は、他の例示において、約2以上、2.5以上、3以上または3.5以上であってもよい。前記割合(EF1/EF2)は、他の例示において、約20以下、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下、5.5以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下または3以下であってもよい。
【0134】
本明細書において言及するフィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)の機械的および/または熱的特性を記述することで言及する第1および第2方向は、前記高分子フィルム(基材フィルム)の機械的および/または熱的特性を記述することで言及する第1および第2方向とそれぞれ同じ方向であってもよい。
【0135】
前記でフィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)の前記第1方向における伸び率(EF1)は、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、3%以上、3.5%以上、4%以上、4.5%以上、5%以上、5.5%以上または6%以上であってもよい。前記伸び率は、約20%以下、15%以下、10%以下または5%以下であってもよい。
【0136】
前記高分子フィルムの第1方向における伸び率(E1)と前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)の前記第1方向における伸び率(EF1)との割合(E1/EF1)は、例えば、約2~20の範囲内であってもよい。前記割合(E1/EF1)は、他の例示において、約2.5以上、約3以上、約3.5以上、約4以上、約4.5以上、約5以上、約5.5以上、約6以上、約6.5以上、約7以上、約7.5以上、約8以上、約8.5以上、約9以上、約9.5以上または約10以上であるか、約19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下または7以下であってもよい。
【0137】
前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)は、前記第2方向における熱膨張係数(CTEF2)と前記第1方向における熱膨張係数(CTEF1)との割合(CTEF2/CTEF1)が1.5以上であってもよい。前記熱膨張係数(CTEF1、CTEF2)は、それぞれ、40℃~80℃の温度範囲内で確認される値である。前記割合(CTEF2/CTEF1)は、他の例示において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下または3以下程度であってもよい。
【0138】
前記第2方向における熱膨張係数(CTEF2)は、5~150ppm/Kの範囲内であってもよい。前記熱膨張係数は、約10ppm/K以上、15ppm/K以上、20ppm/K以上、25ppm/K以上、30ppm/K以上、35ppm/K以上、40ppm/K以上、45ppm/K以上、50ppm/K以上、約55ppm/K以上、60ppm/K以上または65ppm/K以上、70ppm/K以上、75ppm/K以上、80ppm/K以上または85ppm/K以上であるか、140ppm/K以下、130ppm/K以下、120ppm/K以下、100ppm/K以下、95ppm/K以下または90ppm/K以下であってもよい。
【0139】
前記高分子フィルムの前記第2方向における熱膨張係数(CTE2)と前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)の前記第2方向における熱膨張係数(CTEF2)との割合(CTE2/CTEF2)は、例えば、約2以下であってもよい。前記割合(CTE2/CTEF2)は、他の例示において、約0以上、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、約0.6以上または約0.7以上であるか、約1.5以下、1以下、0.9以下、0.85以下または0.8以下であってもよい。
【0140】
前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)は、前記第2方向における弾性率(YMF2)と前記第1方向における弾性率(YMF1)との割合(YMF1/YMF2)が1以上であってもよい。前記割合(YMF1/YMF2)は、他の例示において、約1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上または1.8以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2.5以下、2以下、1.9以下、1.8以下または1.8以下であってもよい。
【0141】
前記第1方向における弾性率(YMF1)は、約2~10GPaの範囲内であってもよい。前記弾性率(YMF1)は、他の例示において、約2.5GPa以上、3GPa以上、3.5GPa以上、4GPa以上または4.5GPa以上であるか、約9.5GPa以下、9GPa以下、8.5GPa以下、8GPa以下、7.5GPa以下、7GPa以下、6.5GPa以下または6GPa以下、5.5GPa以下または5GPa以下であってもよい。
【0142】
前記高分子フィルムの第1方向における弾性率(YM1)と前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)の前記第1方向における弾性率(YMF1)との割合(YM1/YMF1)は、例えば、約0.5~10の範囲内であってもよい。前記割合(YM1/YMF1)は、他の例示において、約1以上または1超過や、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1.5以下であってもよい。
【0143】
前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)は、前記第2方向における最大応力(MSF2)と前記第1方向における最大応力(MSF1)との割合(MSF1/MSF2)が1.5以上であってもよい。前記割合(MSF1/MSF2)は、他の例示において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下または3以下であってもよい。
【0144】
前記第1方向における最大応力(MSF1)は、約50~200MPaの範囲内であってもよい。前記最大応力(MSF1)は、他の例示において、約55MPa以上、約60MPa以上、約65MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上、約85MPa以上、約90MPa以上または95MPa以上であるか、約190MPa以下、約180MPa以下、約170MPa以下、約160MPa以下、約150MPa以下、約145MPa以下、約140MPa以下、約135MPa以下、約130MPa以下、約125MPa以下、約120MPa以下、約115MPa以下、約110MPa以下、約105MPa以下、90MPa以下または約80MPa以下であってもよい。
【0145】
前記高分子フィルムの第1方向における最大応力(MS1)と前記フィルム(硬化物層/基材フィルムを含むまたは硬化物層/基材フィルム/平坦化層を含む)の前記第1方向における最大応力(MSF1)との割合(MS1/MSF1)は、例えば、約0.5~10の範囲内であってもよい。前記割合(MS1/MSF1)は、他の例示において、約1以上、1.5以上、2以上または2.5以上であるか、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下または3以下であってもよい。
【0146】
前記のように、光学的、機械的および/または熱的に大きい非対称性を有する基材フィルムを適用することによって、前記言及されたフィルムの物性が確保され、これは、前記フィルムが多様な用途に効果的に適用可能な物性を確保できるようにする。
【0147】
例えば、本発明の前記フィルムは、優れた柔軟性を有することができる。本発明のフィルムは、例えば、前記言及された耐スクラッチ性および/または表面硬度を示すと同時に、優れた柔軟性を示すことができる。例えば、前記フィルムは、単独であるいは他の膜と組み合わせて1~40pi程度の最大維持曲率半径を示すことができる。前記で最大維持曲率半径とは、前記フィルムに対してASTM D522規格によるマンドレルテストによって屈曲させたとき、フィルムの表面で欠陥が観察されず、最大に屈曲されたときの曲率半径を意味する。
【0148】
前記曲率半径は、他の例示において、1.5pi以上であるか、38pi以下程度、36pi以下程度、34pi以下程度、32pi以下程度、30pi以下程度、28pi以下程度、26pi以下程度、24pi以下程度、22pi以下程度、20pi以下程度、18pi以下程度、16pi以下程度、14pi以下程度、12pi以下程度、10pi以下程度、8pi以下程度、6pi以下程度、4pi以下程度または3pi以下程度であってもよい。
【0149】
前記本発明のフィルムにおいて適用可能な基材フィルムの厚みは、特に制限されず、目的とする用途を考慮した一般的な厚みを有することができる。
【0150】
前記のような本発明のフィルムは、多様な用途に適用できる。例えば、前記フィルムは、多様な光学用途に適用できる。
【0151】
したがって、本発明は、また、光学積層体に関する。前記光学積層体は、光学機能性層および前記機能性層の少なくとも一面に形成された前記フィルムを形成できる。この場合、フィルムにおいて硬化物層に対して前記基材フィルムが前記機能性層に隣接して位置できる。
【0152】
前記で適用可能な光学機能性層の種類は、特に制限されず、例えば、公知の偏光層や位相差層などが例示できる。
【発明の効果】
【0153】
本発明は、透明性またはヘイズなどの光学物性と、硬度などの機械的物性、および柔軟性に優れ、表面の形態が多様な用途に適するように制御されており、前記制御された表面形態の耐久性に優れたフィルムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0154】
以下、実施例に基づいて本発明の範囲をより具体的に説明するが、本発明の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0155】
1.ヘイズの測定方法
ヘイズは、測定機器(製造社:MCRL、製品名:HM-150)を使ってフィルムの凹凸面に光が入射するようにして、透過モード方式で、JIS K 7136規格によって測定した。
【0156】
2.60度グロス(gloss)の測定方法
60度グロスは、測定機器(製造社:BYK、製品名:BYK Micro Glossmeter 60°4561)を使ってフィルムの凹凸面に光が入射するようにして、反射モード方式で、DIN EN ISO 2813規格によって測定した。
【0157】
3.算術平均粗さRaの測定方法
フィルムの凹凸表面などの算術平均粗さRaは、ナノシステム社のoptical profiler(モデル名:NV2700)を使って、KS B 0601またはISO 4287/1規格によって確認し、二つの規格が一致しない場合には、KS B 0601規格によって確認した。
【0158】
4.500gスチールウール耐性の評価
スチールウール耐性は、Liberon社で販売する等級#0000のスチールウールを用いて評価した。測定装備(製造社:キベイエンティ社、商品名:KM-M4360)を使って前記スチールウールを500gの荷重でフィルムの凹凸表面に接触させ、左右移動させながら、スチールウール耐性を評価した。この際、接触面積は、略横および縦がそれぞれ2cmおよび2cm程度(接触面積:4cm2)になるようにした。前記移動は、約60回/minの速度で行い、移動距離は、略10cmにした。目視観察で反射を観察して、圧痕、傷または破裂などが確認されるまでスチールウールテストを行った。
【0159】
5.鉛筆硬度の評価
鉛筆硬度は、JIS 5600規格によって、測定装備(製造社:チュンブクテック社、商品名:Pencil Hardness Tester)を使って、500gの荷重および45度の角度で円筒形の鉛筆芯を用いてフィルムの凹凸表面をひいて圧痕、傷または破裂などの欠陥の発生が確認されるまで鉛筆芯の硬度を段階的に増加させることで測定した。鉛筆芯の速度は約1mm/secとし、移動距離は約10mmとした。このようなテストは、約25℃の温度および50%の相対湿度で行った。
【0160】
6.GPC(Gel Permeation Chromatograph)
数平均分子量(Mn)および分子量分布は、GPC(Gel permeation chromatography)を使って測定した。5mLバイアル(vial)にシリコーン樹脂成分などの分析対象物質を入れ、約1mg/mL程度の濃度になるようにTHF(tetrahydrofuran)に希釈する。その後、較正用標準試料と分析しようとする試料をシリンジフィルター(細孔径:0.45μm)を通じてろ過させた後に測定した。分析プログラムは、Agilent technologies社のChemStationを使用し、試料の溶出時間を較正曲線と比較して重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求め、その割合(Mw/Mn)で分子量分布(PDI)を計算した。GPCの測定条件は、下記の通りである。
【0161】
<GPC測定条件>
機器:Agilent technologies社の1200 series
カラム:Polymer laboratories社のPLgel mixed B 2個を使用
溶媒:THF
カラム温度:35℃
サンプル濃度:1mg/mL、200μL注入
標準試料:ポリスチレン(Mp:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)
【0162】
7.フィルムの引張特性および熱膨張係数の評価
フィルムの弾性率(Young’s modulus)、伸び率(Elongation)および最大応力(Max.stress)は、UTM(Universal Testing Machine)装備(Instron 3342)を用いて、常温(25℃)で10mm/minの引張速度で力を加えて、ASTM E831規格によって引張強度(tensile strength)試験を進めて測定した。この場合、各試験片は、幅が約10mm、長さが約30mmになるように裁断して製造し、前記長さ方向の両終端の各10mmずつをテーピングして装備に固定した後に評価を進めた。熱膨張係数は、TMA(Thermomechanical Analysis)装置(Metteler toledo社、SDTA840)を用いて、40℃から80℃に温度を10℃分の速度で昇温させながら、長さ膨張試験を進めて、ASTM E831規格によって測定した。測定時に試験片の測定方向の長さを10mmとし、荷重を0.02Nに設定した。
【0163】
8.凹凸表面の歪度(skewness)の測定方法
凹凸表面の歪度(skewness)は、ナノシステム社のoptical profiler(モデル名:NV2700)を使って、ISO 25178規格によって確認した。前記過程でプログラムとしてナノシステム社のnanomapプログラムを使用した。
【0164】
製造例1.フィルム材料Pの製造
シリコーン樹脂成分pの製造
3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103,Shinetsu silicon社)、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS,Sigma-Aldrich社)、エタノール、水およびTEA(triethyl amine)を0.8:0.2:2.8:2.8:0.01(KBM5103:DMDMS:エタノール:水:TEA)のモル比で常温で均一に混合し、フラスコで80℃で撹拌しつつ、約12時間程度反応させて、1次反応物を得た。製造された1次反応物の数平均分子量(Mn)は約8341.38g/mol程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.05程度であった。
【0165】
前記1次反応物を70Torr程度の真空条件および50℃の温度で約3時間程度維持した。この過程で温度が減圧により約20℃程度に低下した。次に、さらに、真空条件を維持したまま、温度を80℃に上げて30分間維持することによって、さらなる重合および溶媒(水)の蒸発が進行されるようにして、シリコーン樹脂成分pを得た。得られたシリコーン樹脂成分pは、下記平均単位式Aで示される成分であって、数平均分子量(Mn)が約13426.63g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が約2.34程度であった。
【0166】
[平均単位式A]
(Me2SiO2/2)0.2(AcSiO3/2)0.8
【0167】
平均単位式Aで、Meは、メチル基であり、Acは、3-アクリロイルオキシプロピル基である。
【0168】
無溶剤タイプのコーティング液pの製造
前記製造されたシリコーン樹脂成分pをトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)と9:1の重量比(シリコーン樹脂成分p:TMPTA)で混合し、前記混合物100重量部に対して約2.5重量部のラジカル開始剤(製造社:Dupont、製品名:Igarcure819)を配合して、無溶剤タイプのコーティング液pを製造した。
【0169】
製造例2.フィルム材料Qの製造
シリコーン樹脂成分qの製造
反応時間を約1時間程度として1次反応物を得たことを除いて、製造例1のシリコーン樹脂成分pと同じ方式で製造した。製造された1次反応物の数平均分子量(Mn)は約1712.88g/mol程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.63程度であった。
【0170】
前記1次反応物を70Torr程度の真空条件および50℃の温度で約3時間程度維持した。この過程で温度が減圧により約20℃程度に低下した。次に、さらに真空条件を維持したまま、温度を80℃に上げて30分間維持することによって、さらなる重合および溶媒(水)の蒸発が進行されるようにして、シリコーン樹脂成分qを得た。得られたシリコーン樹脂成分qは、下記平均単位式Aで示される成分であって、数平均分子量(Mn)が約2219.63g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が約1.77程度であった。
【0171】
[平均単位式A]
(Me2SiO2/2)0.2(AcSiO3/2)0.8
【0172】
平均単位式Aで、Meは、メチル基であり、Acは、3-アクリロイルオキシプロピル基である。
【0173】
無溶剤タイプのコーティング液qの製造
前記製造されたシリコーン樹脂成分qをトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)と9:1の重量比(シリコーン樹脂成分q:TMPTA)で混合し、前記混合物100重量部に対して約2.5重量部のラジカル開始剤(製造社:Dupont、製品名:Igarcure819)を配合して、無溶剤タイプのコーティング液qを製造した。
【0174】
製造例3.フィルム材料Rの製造
シリコーン樹脂成分rの製造
エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS,Sigma-Aldrich社)、エタノール、水およびTEA(Triethyl amine)を0.8:0.2:2.8:2.8:0.01(エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン:DMDMS:エタノール:水:TEA)のモル比で常温で均一に混合し、フラスコで70℃で撹拌しつつ、約24時間程度反応させて、1次反応物を得た。
【0175】
前記1次反応物を70Torr程度の真空条件および50℃の温度で約3時間程度維持した。この過程で温度が減圧により約20℃程度に低下した。次に、さらに真空条件を維持したまま、温度を80℃に上げて30分間維持することによって、シリコーン樹脂成分rを得た。得られたシリコーン樹脂成分rは、下記平均単位式Bで示すことができる。
【0176】
[平均単位式B]
(Me2SiO2/2)0.2(EpSiO3/2)0.8
【0177】
平均単位式Bで、Meは、メチル基であり、Epは、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基である。
【0178】
無溶剤タイプのコーティング液rの製造
前記製造されたシリコーン樹脂rをエポキシダイマーである13((([3-ethyloxetane-3-yl]methoxy)methyl)oxane)(DOX,toagosei社)と6:4の重量比(エポキシ樹脂:DOX)で混合し、前記混合物100重量部に対して約3重量部のカチオン開始剤(IK-1,San-Apro社)を配合して、無溶剤タイプのコーティング液rを製造した。
【0179】
製造例4.モールド用防眩フィルム(AG1フィルム)の製造
モールド用防眩フィルムは、厚み100μmのPET(poly(ethylene terephthalate))基材フィルム(TA063,Toyobo社)上にコーティング液として、非ウレタン系多官能性アクリレートであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate)、平均粒径(メディアン粒径、D50粒径)が約1μmのシリカ粒子、フッ素系スリップ剤(製造社:3M、製品名:FC4430)およびラジカル開始剤(製造社:Dupont、製品名:Igarcure819)を100:12:0.1:2の重量比(非ウレタン系多官能性アクリレート:シリカ粒子:スリップ剤:ラジカル開始剤)で含むコーティング液を溶媒に50重量%程度の固形分で希釈して製造したコーティング液を約20μm程度の厚みでコーティングし、80℃で約2分間乾燥後、H bulb(Fusion社)で1J/cm2程度のエネルギーで紫外線を照射して製造した。製造された防眩フィルムの防眩表面の算術平均粗さRaは0.2~0.4μmのレベルであり、60度グロスは45%であった。また、前記防眩表面の歪度(skewness)は略0.55~0.6程度であった。
【0180】
製造例5.モールド用防眩フィルム(AG2フィルム)の製造
コーティング液として、非ウレタン系多官能性アクリレートであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate)、平均粒径(メディアン粒径、D50粒径)が約1μmのシリカ粒子、フッ素系スリップ剤(製造社:3M、製品名:FC4430)およびラジカル開始剤(製造社:Dupont、製品名:Igarcure819)を100:9:0.1:2の重量比(非ウレタン系多官能性アクリレート:シリカ粒子:スリップ剤:ラジカル開始剤)で含むコーティング液を溶媒に50重量%程度の固形分で希釈して製造したコーティング液を使用したことを除いて、製造例4と同一に防眩フィルムを製造した。当該フィルムの防眩表面の算術平均粗さRaは0.2~0.4μmのレベルであり、60度グロスは65%であった。また、前記防眩表面の歪度(skewness)は略0.75~0.85程度であった。
【0181】
実施例1
一面に厚み約40μmの平坦化層が形成されたPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムにおける平坦化層のない面に製造例1の無溶剤タイプのコーティング液pを約40μm程度の厚みでコーティングした。前記PETフィルムとしては、Toyobo社のSRFフィルムを使用した。前記SRFフィルムの面内位相差(Rin)は約8,400nmであり、厚み方向位相差(Rth)は約9,200nmであった。また、前記SRFフィルムのTD方向の熱膨張係数(CTE1)、弾性率(YM1)、最大応力(MS1)および伸び率(E1)は、それぞれ27ppm/K、5.7GPa、199MPaおよび44.5%であり、MD方向の熱膨張係数(CTE2)、弾性率(YM2)、最大応力(MS2)および伸び率(E2)は、それぞれ、67ppm/K、2.3GPa、81MPaおよび6.8%であった。
【0182】
次に、前記コーティング層(平坦化層の反対側に形成されたコーティング層)上に製造例5の防眩フィルム(AG2フィルム)の防眩表面を気泡あるいは空気層が混入しないように接触させた状態で、Dバルブ(D bulb,Fusion社)を使って紫外線を2J/cm2のエネルギーで前記防眩フィルムを透過してコーティング層に照射する方向で照射し、また、PETフィルム側にさらに照射して、基材フィルムと硬化物層を含むフィルムを製造した。製造された硬化物層の防眩表面に当接する表面には、凹凸構造が一体的に形成された。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約5.2%程度であり、60度グロスは65.8%程度であり、算術平均粗さRaは約0.26μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は10000回以上であり、鉛筆硬度は約9Hであった。
【0183】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記硬化物の凹凸表面のヘイズは約5.6%程度であり、60度グロスは65.1%程度であり、算術平均粗さRaは約0.29μm程度であった。
【0184】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.027,0.047および0.002であった。
【0185】
また、前記フィルム(平坦化層/基材フィルム/硬化物層)の基材フィルムにおけるTD方向の熱膨張係数(CTEF1)、弾性率(YMF1)、最大応力(MSF1)および伸び率(EF1)は、それぞれ、42ppm/K、4.5GPa、76MPaおよび6.4%であり、MD方向の熱膨張係数(CTEF2)、弾性率(YMF2)、最大応力(MSF2)および伸び率(EF2)は、それぞれ、87ppm/K、2.8GPa、33MPaおよび1.6%であった。
【0186】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約-0.87程度であった。
【0187】
実施例2
実施例1と同じ平坦化層が形成されたPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムにおける平坦化層のない面に製造例1の無溶剤タイプのコーティング液pを約20μm程度の厚みでコーティングした。次に、前記コーティング液上に製造例4の防眩フィルム(AG1)の防眩表面を実施例1と同一に接触および加圧した状態で、PETフィルム側でDバルブ(D bulb,Fusion社)を使って紫外線を4J/cm2のエネルギーで照射して、基材フィルムと硬化物層を含むフィルムを製造した。製造された硬化物層の防眩表面に当接する表面には、凹凸構造が一体的に形成された。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約21.4%程度であり、60度グロスは46.2%程度であり、算術平均粗さRaは約0.31μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は10000回以上であり、鉛筆硬度は約9Hであった。
【0188】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記硬化物の凹凸表面のヘイズは約21.3%程度であり、60度グロスは46.4%程度であり、算術平均粗さRaは約0.34μm程度であった。
【0189】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.007,0.013および0.002であった。
【0190】
また、前記フィルム(平坦化層/基材フィルム/硬化物層)の基材フィルムにおけるTDおよびMD方向の熱膨張係数、弾性率、最大応力および伸び率は、実施例1の場合と同様に確認された。
【0191】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約-0.55程度であった。
【0192】
実施例3
実施例1とは異なって、平坦化層のないPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムを適用した。PETフィルムとしては、実施例1と同じSRFフィルムを使用した。前記PETフィルムの一面に製造例1の無溶剤タイプのコーティング液pを約20μm程度の厚みでコーティングした。次に、前記コーティング液上に製造例5の防眩フィルム(AG2)の防眩表面を実施例1と同一に接触および加圧した状態で、PETフィルム側でDバルブ(D bulb,Fusion社)を使って紫外線を2J/cm2のエネルギーで照射して、基材フィルムと硬化物層を含むフィルムを製造した。製造された硬化物層の防眩表面に当接する表面には、凹凸構造が一体的に形成された。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約5.1%程度であり、60度グロスは66.1%程度であり、算術平均粗さRaは約0.26μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は10000回以上であり、鉛筆硬度は約8Hであった。
【0193】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記硬化物の凹凸表面のヘイズは約5.4%程度であり、60度グロスは66.0%程度であり、算術平均粗さRaは約0.31μm程度であった。
【0194】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.02,0.007および0.003であった。
【0195】
また、前記フィルム(平坦化層/基材フィルム/硬化物層)の基材フィルムにおけるTD方向の弾性率(YMF1)、最大応力(MSF1)および伸び率(EF1)は、それぞれ、4.8GPa、96MPaおよび4.4%であり、MD方向の弾性率(YMF2)、最大応力(MSF2)および伸び率(EF2)は、それぞれ、2.6GPa、39MPaおよび1.9%であった。
【0196】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約-0.75程度であった。
【0197】
実施例4
実施例1とは異なって、平坦化層のないPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムを適用した。PETフィルムとしては、実施例1と同じSRFフィルムを使用した。前記PETフィルムの一面に製造例1の無溶剤タイプのコーティング液pを約20μm程度の厚みでコーティングした。次に、前記コーティング液上に製造例4の防眩フィルム(AG1)の防眩表面を実施例1と同一に接触および加圧した状態で、PETフィルム側でDバルブ(D bulb,Fusion社)を使って紫外線を2J/cm2のエネルギーで照射して、基材フィルムと硬化物層が形成されたフィルムを製造した。製造された硬化物層の防眩表面に当接する表面には、凹凸構造が一体的に形成された。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約21.1%程度であり、60度グロスは47.4%程度であり、算術平均粗さRaは約0.32μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は10000回以上であり、鉛筆硬度は約7Hであった。
【0198】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記硬化物の凹凸表面のヘイズは約21.2%程度であり、60度グロスは46.9%程度であり、算術平均粗さRaは約0.36μm程度であった。
【0199】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.007,0.033および0.003であった。
【0200】
また、前記フィルム(平坦化層/基材フィルム/硬化物層)の基材フィルムにおけるTDおよびMD方向の弾性率、最大応力および伸び率は、それぞれ、実施例3と同様であった。
【0201】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約-0.58程度であった。
【0202】
実施例5
実施例1と同じ平坦化層が形成されたPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムにおける平坦化層のない面に製造例2の無溶剤タイプのコーティング液qを約20μm程度の厚みでコーティングした。次に、前記コーティング液上に製造例4の防眩フィルム(AG1)の防眩表面を実施例1と同一に接触および加圧した状態で、PETフィルム側でDバルブ(D bulb,Fusion社)を使って紫外線を4J/cm2のエネルギーで照射して、基材フィルムと硬化物層を含むフィルムを製造した。製造された硬化物層の防眩表面に当接する表面には、凹凸構造が一体的に形成された。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約21.7%程度であり、60度グロスは45.5%程度であり、算術平均粗さRaは約0.34μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は3000回未満であり、鉛筆硬度は約7Hであった。
【0203】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記硬化物の凹凸表面のヘイズは約22.0%程度であり、60度グロスは44.7%程度であり、算術平均粗さRaは約0.37μm程度であった。
【0204】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.020,0.053および0.002であった。
【0205】
また、前記フィルム(平坦化層/基材フィルム/硬化物層)の基材フィルムにおけるTDおよびMD方向の熱膨張係数、弾性率、最大応力および伸び率は、実施例1の場合と同様に確認された。
【0206】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約-0.59程度であった。
【0207】
比較例1
防眩層の形成のための公知のコーティング液として、平均官能基2官能以上の非ウレタン系多官能アクリレートを60重量%以上含むコーティング液をTACフィルム(50μm、Fuji社のUVカット機能を有するTACフィルム)上に約15μm程度の厚みでコーティングし、80℃の温度で2分間維持して、乾燥した後に、Fusion社のH bulbを通じて1J/cm2のエネルギーで紫外線を照射して、凹凸構造を有する表面を形成した。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約22.1%程度であり、60度グロスは21.5%程度であり、算術平均粗さRaは約0.32μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は500回以下であり、鉛筆硬度は約3Hであった。
【0208】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記凹凸表面のヘイズは約38.4%程度であり、60度グロスは14.2%程度であり、算術平均粗さRaは約83μm程度であった。
【0209】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約1.087,0.487および5.512であった。
【0210】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約0.33程度であった。
【0211】
比較例2
防眩層の形成のための公知のコーティング液として、平均官能基二官能以上の非ウレタン系多官能アクリレートを60重量%以上含むコーティング液をTACフィルム(50μm、Fuji社のUVカット機能を有するTACフィルム)上に完全乾燥後、約15μm程度の厚みとなるようにコーティングし、80℃の温度で2分間維持して、乾燥した後に、Fusion社のH bulbを通じて1J/cm2のエネルギーで紫外線を照射して、凹凸構造を有する表面を形成した。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約28.2%程度であり、60度グロスは19.6%程度であり、算術平均粗さRaは約0.23μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は500回以下であり、鉛筆硬度は約3Hであった。
【0212】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記凹凸表面のヘイズは約40.1%程度であり、60度グロスは14.6%程度であり、算術平均粗さRaは約93μm程度であった。
【0213】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.793,0.333および6.185であった。
【0214】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約0.51程度であった。
【0215】
比較例3
実施例1と同じ平坦化層が形成されたPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムにおける平坦化層のない面に製造例3の無溶剤タイプのコーティング液rを約20μm程度の厚みでコーティングした。次に、前記コーティング液上に製造例4の防眩フィルム(AG1)の防眩表面を実施例1と同一に接触および加圧した状態で、PETフィルム側でDバルブ(D bulb,Fusion社)を使って紫外線を4J/cm2のエネルギーで照射して、基材フィルムと硬化物層を含むフィルムを製造した。製造された硬化物層の防眩表面に当接する表面には、凹凸構造が一体的に形成された。前記凹凸表面に対して測定したヘイズは約23.5%程度であり、60度グロスは46.1%程度であり、算術平均粗さRaは約0.3μm程度であった。また、前記凹凸表面のスチールウール耐性は2000回未満であり、鉛筆硬度は約6Hであった。
【0216】
一方、前記言及された方式でスチールウールテストを1,500回行った後に測定した前記硬化物の凹凸表面のヘイズは約33.3%程度であり、60度グロスは35.9%程度であり、算術平均粗さRaは約5.58μm程度であった。
【0217】
したがって、前記数式1~3の△H、△Gおよび△Rは、それぞれ、約0.653,0.68および0.352であった。
【0218】
また、前記フィルム(平坦化層/基材フィルム/硬化物層)の基材フィルムにおけるTDおよびMD方向の熱膨張係数、弾性率、最大応力および伸び率は、実施例1の場合と同様に確認された。
【0219】
前記凹凸表面の前記光学プロファイルにおける歪度(skewness)は、約-0.79程度であった。
【国際調査報告】