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特表2022-546849オーバレイ計測用格子ターゲット構造の暗視野イメージング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】オーバレイ計測用格子ターゲット構造の暗視野イメージング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20221101BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20221101BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01B11/00 C
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515124
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020048668
(87)【国際公開番号】W WO2021050305
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/897,548
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/036,760
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/996,328
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
【テーマコード(参考)】
2F065
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA02
2F065AA03
2F065CC19
2F065FF04
2F065FF48
2F065HH04
2F065HH12
2F065HH14
2F065HH16
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL04
2H197HA03
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA39
4M106DB02
4M106DB08
4M106DB14
4M106DB16
(57)【要約】
計量システムを、対称的オフ軸照明プロファイルを有する照明で以て標本上の計量ターゲットを照明する照明サブシステムを有するものとし、その対称的オフ軸照明プロファイルを、一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的なものとし、その照明サブシステムを、同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態にて、その対称的オフ軸照明プロファイル内で互いに逆側にある角度から照明をもたらすものとすればよい。その計量ターゲットを、標本の第1層上にある第1周期構造と、その標本の第2層上にある第2周期構造とを、有するものとすればよい。その計量システムを、更に、その計量ターゲットの像でありその対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの二通りの非0次回折光を用い形成された像を生成する、イメージングサブシステムを有するものとすればよい。その計量サブシステムにて、更に、第1層・前記第2層間アライメントを示すオーバレイ誤差をその1枚又は複数枚の画像に基づき求めればよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量システムであって、
対称的オフ軸照明プロファイルを有する照明で以て標本上の計量ターゲットを照明するよう構成された照明サブシステムを備え、前記対称的オフ軸照明プロファイルが一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的であり、前記照明サブシステムが、同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態にて、前記対称的オフ軸照明プロファイル内で互いに逆側にある角度から照明を供給し、前記計量ターゲットが、前記標本の第1層上にある第1周期構造と、前記標本の第2層上にある第2周期構造とを有し、
対物レンズで以て前記計量ターゲットから集光し、前記計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像であり前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの二通りの非0次回折光を用い形成されるものを生成するよう、構成されているイメージングサブシステムを備え、
前記イメージングサブシステムに可通信結合されたコントローラを備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令が、前記1個又は複数個のプロセッサに、
前記計量ターゲットの前記1枚又は複数枚の画像であり前記対称的オフ軸照明プロファイルによる前記計量ターゲットの前記照明に係るものを、前記イメージングサブシステムから受け取らせ、且つ
前記第1層・前記第2層間アライメントを示すオーバレイ誤差を前記1枚又は複数枚の画像に基づき求めさせる、
ものである計量システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量システムであって、前記照明サブシステムが、前記対称的オフ軸照明プロファイル内で互いに逆側にある角度から照明を同時供給する計量システム。
【請求項3】
請求項1に記載の計量システムであって、前記照明サブシステムが、前記対称的オフ軸照明プロファイル内で互いに逆側にある角度から照明を順次供給する計量システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルが、
二重極照明プロファイル、四重極照明プロファイル及び環状照明プロファイルのうち少なくとも一つを含む計量システム。
【請求項5】
請求項1に記載の計量システムであって、前記照明の波長、前記対称的オフ軸照明プロファイル内の一通り又は複数通りの照明角、並びに前記第1又は第2周期構造の周期、のうち少なくとも一つが、前記イメージングサブシステムの集光瞳内に対称的強度分布がもたらされるよう選定されている計量システム。
【請求項6】
請求項1に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの前記二通りの非0次回折光が、
前記計量ターゲットからの反射に依拠する非0次回折光を含む計量システム。
【請求項7】
請求項6に記載の計量システムであって、前記照明サブシステムが照明レンズを有し、その照明レンズにより、前記対称的オフ軸照明プロファイルの態をなす前記照明を、前記対物レンズの数値開口外にある一通り又は複数通りの角度にて前記計量ターゲットに差し向ける計量システム。
【請求項8】
請求項6に記載の計量システムであって、前記照明サブシステムが前記対物レンズを介し前記計量ターゲットに前記照明ビームを差し向ける計量システム。
【請求項9】
請求項8に記載の計量システムであって、前記計量システムが、更に、
前記対物レンズにより前記計量ターゲットから集められた光のうち少なくとも0次回折光を阻止する1個又は複数個の絞りを、備える計量システム。
【請求項10】
請求項1に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの前記二通りの非0次回折光が、
前記計量ターゲットを通じた透過に依拠する非0次回折光を含む計量システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計量システムであって、前記二通りの非0次回折光が、
1次回折光及び2次回折光を含む計量システム。
【請求項12】
請求項1に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルの態をなす前記照明の空間コヒーレンス及び時間コヒーレンスのうち少なくとも一方が、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの前記二通りの非0次回折光が前記イメージングサブシステムの集光瞳内に丸ごと入るよう、選定されている計量システム。
【請求項13】
請求項1に記載の計量システムであって、前記第1層と前記第2層とが共通ウェハ上に配置されている計量システム。
【請求項14】
請求項1に記載の計量システムであって、前記標本が、界面にて接合された第1ウェハ及び第2ウェハを有し、前記第1層が前記第1ウェハ上にあり前記第2層が前記第2ウェハ上にある計量システム。
【請求項15】
請求項1に記載の計量システムであって、前記第1周期構造と前記第2周期構造とが共通周期を有する計量システム。
【請求項16】
計量システムであって、
2本以上の照明ビームを生成するよう構成された多チャネル照明源を備え、前記2本以上の照明ビームが、対称的オフ軸照明プロファイルの態で標本上の計量ターゲットを照明するよう配列されており、前記2本以上の照明ビームが、一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的となるよう向き決めされており、前記2本以上の照明ビームが、同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態にて前記対称的オフ軸照明プロファイルで以て前記計量ターゲットを照明し、前記計量ターゲットが、前記標本の第1層上にある第1周期構造と、前記標本の第2層上にある第2周期構造とを有し、
前記2本以上の照明ビームに応じ前記計量ターゲットから集光するよう構成された対物レンズを備え、
前記2本以上の照明ビームそれぞれに由来する二通りの非0次回折光に基づき前記計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像を生成するよう構成されたイメージングサブシステムを備え、
前記イメージングサブシステムに可通信結合されたコントローラを備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令が、前記1個又は複数個のプロセッサに、
前記イメージングサブシステムから前記計量ターゲットの前記1枚又は複数枚の画像を受け取らせ、且つ
前記第1層・前記第2層間アライメントを示すオーバレイ誤差を前記1枚又は複数枚の画像に基づき求めさせる、
計量システム。
【請求項17】
請求項16に記載の計量システムであって、前記2本以上の照明ビームが前記計量ターゲットを前記対称的オフ軸照明プロファイルで以て同時照明する計量システム。
【請求項18】
請求項16に記載の計量システムであって、前記2本以上の照明ビームが前記計量ターゲットを前記対称的オフ軸照明プロファイルで以て順次照明する計量システム。
【請求項19】
請求項16に記載の計量システムであって、前記2本以上の照明ビームのうち少なくとも幾本かが相異なる波長を有する計量システム。
【請求項20】
請求項16に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルが、
二重極照明プロファイル、四重極照明プロファイル及び環状照明プロファイルのうち少なくとも一つを含む計量システム。
【請求項21】
請求項16に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの前記二通りの非0次回折光が、
前記計量ターゲットからの反射に依拠する非0次回折光を含む計量システム。
【請求項22】
請求項21に記載の計量システムであって、前記2本以上の照明ビームが、前記対物レンズの数値開口外にて前記対称的オフ軸照明プロファイルで以て前記計量ターゲットを照明する計量システム。
【請求項23】
請求項21に記載の計量システムであって、前記2本以上の照明ビームが、前記対物レンズを通じ前記対称的オフ軸照明プロファイルで以て前記計量ターゲットを照明する計量システム。
【請求項24】
請求項23に記載の計量システムであって、前記計量システムが、更に、
前記対物レンズにより前記計量ターゲットから集められた光のうち少なくとも0次回折光を阻止する1個又は複数個の絞りを、備える計量システム。
【請求項25】
請求項16に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの前記二通りの非0次回折光が、
前記計量ターゲットを通じた透過に依拠する非0次回折光を含む計量システム。
【請求項26】
請求項16に記載の計量システムであって、前記二通りの非0次回折光が、
1次回折光及び2次回折光を含む計量システム。
【請求項27】
請求項16に記載の計量システムであって、前記対称的オフ軸照明プロファイルの態をなす前記照明の空間コヒーレンス及び時間コヒーレンスのうち少なくとも一方が、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの前記二通りの非0次回折光が前記イメージングサブシステムの集光瞳内に丸ごと入るよう、選定されている計量システム。
【請求項28】
請求項16に記載の計量システムであって、前記第1層と前記第2層とが共通ウェハ上に配置されている計量システム。
【請求項29】
請求項16に記載の計量システムであって、前記標本が、界面にて接合された第1ウェハ及び第2ウェハを有し、前記第1層が前記第1ウェハ上にあり前記第2層が前記第2ウェハ上にある計量システム。
【請求項30】
請求項16に記載の計量システムであって、前記第1周期構造と前記第2周期構造とが共通周期を有する計量システム。
【請求項31】
計量方法であって、
対称的オフ軸照明プロファイルを有する照明で以て標本上の計量ターゲットを照明し、但し前記対称的オフ軸照明プロファイルを一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的なものとし、前記対称的オフ軸照明プロファイルを、同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態で前記計量ターゲットに差し向け、その計量ターゲットを、前記標本の第1層上にある第1周期構造と、前記標本の第2層上にある第2周期構造とを有するものとし、
前記対称的オフ軸照明プロファイルを有する前記照明に応じ、前記対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの二通りの非0次回折光に基づき、前記計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像を生成し、
1個又は複数個のプロセッサで以て、前記1枚又は複数枚の画像に基づき、前記第1層及び前記第2層のアライメントを示すオーバレイ誤差を求める、
計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は総じてオーバレイ計量に関し、より具体的には、オーバレイ計量用の周期的ターゲット構造の暗視野イメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、Andrew Hill及びAmnon Manassenを発明者とし「接合ウェハのオーバレイ計測用の格子ターゲット構造の暗視野イメージング」(DARKFIELD IMAGING OF GRATING TARGET STRUCTURES FOR OVERLAY MEASUREMENT OF BONDED WAFERS)と題する2019年9月9日付米国仮特許出願第62/897548号と、Andrew Hill及びAmnon Manassenを発明者とし「接合ウェハのオーバレイ計測用の格子ターゲット構造の暗視野イメージング」(DARKFIELD IMAGING OF GRATING TARGET STRUCTURES FOR OVERLAY MEASUREMENT OF BONDED WAFERS)と題する2020年6月9日付米国仮特許出願第63/036760号とに基づき、米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張し、参照により両者の全容を本願に繰り入れる。
【0003】
画像式オーバレイ計量システムでは、通常、計量ターゲットの明視野像に基づきオーバレイ計測結果を生成する。しかしながら、明視野像は、通常、イメージングシステムにおける収差に対し敏感である。結果として、オーバレイ計測結果もそれら収差に対し敏感となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0278942号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、光学的収差に対しロバストなオーバレイ計量を行えるシステム及び方法を提供することが、望ましかろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計量システムを開示する。ある例証的実施形態に係るシステムは、対称的オフ軸照明プロファイルを有する照明で以て計量ターゲットを照明する照明サブシステムを有し、その対称的オフ軸照明プロファイルが一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的であり、且つその照明サブシステムが、同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態にて、その対称的オフ軸照明プロファイル内で互いに逆側にある角度から照明を供給するものである。また、ある例証的実施形態では、その計量ターゲットが、標本の第1層上にある第1周期構造と、その標本の第2層上にある第2周期構造とを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、その計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像であり、その対称的オフ軸照明プロファイルの各点からの二通りの非0次回折光を用い形成されるものを生成する、イメージングサブシステムを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムはコントローラを有し、そのコントローラが、その計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像でありその対称的オフ軸照明プロファイルによるその計量ターゲットの照明に係るものを、そのイメージングサブシステムから受け取り、第1層・第2層間アライメント(位置揃え具合)を示すオーバレイ誤差を、その1枚又は複数枚の画像に基づき求める。
【0007】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計量システムを開示する。ある例証的実施形態に係るシステムは、2本以上の照明ビームを生成する多チャネル照明源を有し、それら2本以上の照明ビームが、対称的オフ軸照明プロファイルの態で標本上の計量ターゲットを照明するよう配列されていて、それら2本以上の照明ビームが、一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的となるよう向き決めされていて、その照明サブシステムが、その対称的オフ軸照明プロファイルを形成しており互いに逆側にある角度から同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態で照明を供給するものである。また、ある例証的実施形態では、その計量ターゲットが、標本の第1層上にある第1周期構造と、その標本の第2層上にある第2周期構造とを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、照明ビームに応じ計量ターゲットから集光するよう構成された対物レンズを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、それら2本以上の照明ビームそれぞれに由来する二通りの非0次回折光に基づき計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像を生成する、イメージングサブシステムを有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、そのイメージングサブシステムから計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像を受け取り、第1層・第2層間アライメントを示すオーバレイ誤差をその1枚又は複数枚の画像に基づき求める、コントローラを有する。
【0008】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計量方法を開示する。ある例証的実施形態に係る方法では、対称的オフ軸照明プロファイルを有する照明で以て標本上の計量ターゲットを照明し、その対称的オフ軸照明プロファイルを、一通り又は複数通りの計測方向に沿い対称的なものとし、照明サブシステムが、同時的及び順次的のうち少なくとも一方の態にて、その対称的オフ軸照明プロファイル内で互いに逆側にある角度から照明を供給する。また、ある例証的実施形態では、その計量ターゲットを、標本の第1層上にある第1周期構造と、その標本の第2層上にある第2周期構造とを、有するものとする。また、ある例証的実施形態に係る方法では、照明に応じその対称的オフ軸照明プロファイルの各点からもたらされる二通りの非0次回折光に基づき、その計量ターゲットの1枚又は複数枚の画像を生成する。また、ある例証的実施形態に係る方法では、1個又は複数個のプロセッサで以て、その1枚又は複数枚の画像に基づき、第1層及び第2層のアライメントを示すオーバレイ誤差を求める。
【0009】
理解し得るように、前掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部分をなし、本発明の諸実施形態を描出し、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を有している。
【0010】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、添付図面を参照することによって、本件開示の数多な長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ計量システムの概念図である。
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る暗視野イメージングツールを描出する概念図である。
図1C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り透過モードイメージング向けに構成されている暗視野イメージングツールの概念図である。
図1D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り斜めTTL暗視野イメージング向けに構成されている暗視野イメージングツールの概念図である。
図2A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、集光瞳に亘りデフォーカス(焦点外れ)に係る波面誤差をプロットした図である。
図2B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、集光瞳に亘り球面収差に係る波面誤差をプロットした図である。
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイターゲットの上面図である。
図4A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る集光瞳の上面図であり、比較的高い時間コヒーレンス及び比較的低い空間コヒーレンスを有する照明ビームがもとで生じる諸次回折光を描出している。
図4B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る集光瞳の上面図であり、比較的低い時間コヒーレンス及び比較的高い空間コヒーレンスを有する照明ビームがもとで生じる諸次回折光を描出している。
図4C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る集光瞳の上面図であり、照明ビームの空間及び時間コヒーレンスの平衡による集光瞳内局在対称分布の実現を描出している。
図5A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、X方向沿いで向き決めされた第1方位角に関連付けられていて、オーバレイターゲットから三通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツールの概念図である。
図5B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図5Aに従い構成されているイメージングツールの集光瞳における諸次回折光分布の上面図である。
図5C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、X方向沿いで向き決めされた第2方位角であり図5A中の第1方位角とは逆側にある第2方位角に関連付けられていて、オーバレイターゲットから三通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツールの概念図である。
図5D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図5Cに従い構成されているイメージングツールの集光瞳における諸次回折光分布の上面図である。
図6A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、X方向沿いで向き決めされた第1方位角に関連付けられていて、オーバレイターゲットから二通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツールの概念図である。
図6B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図6Aに従い構成されているイメージングツールの集光瞳の上面図である。
図6C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、X方向沿いで向き決めされた第2方位角であり図6A中の第1方位角とは逆側にある第2方位角に関連付けられていて、オーバレイターゲットから二通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツールの概念図である。
図6D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図6Cに従い構成されているイメージングツールの集光瞳の上面図である。
図7A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る暗視野イメージングツールの概念図であり、集光瞳内である次数の回折光が切り詰められる構成を描出している。
図7B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図7Aに従い構成されている暗視野イメージングツールの集光瞳の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照する。ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で本件開示を具体的に図示及び記述してある。本願中で説明される諸実施形態は限定ではなく例証であると捉えられるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な改変及び修正を施すことができる。
【0013】
本件開示の諸実施形態は、周期的フィーチャ(特徴部分)を有するオーバレイターゲットの暗視野イメージングに依拠するオーバレイ計量を指向している。本件開示の文脈上、暗視野イメージングなる語は回折又は散乱光に依拠するイメージング、とりわけそのオーバレイターゲットからの0次回折(鏡面反射)を除外してのイメージングを記述するのに用いられている。本願での熟考によれば、様々な技術を利用しこの構成でのイメージングを実行することができるので、本願中の暗視野イメージングなる語は、この構成でのイメージングに適するあらゆる種類のシステム又は技術に敷衍されるよう、広義に解されるべきである。
【0014】
本件開示のある種の実施形態では、オーバレイ計量ターゲットを、標本の2個以上の層に関わるターゲットフィーチャを有するものとする。この場合、暗視野像内ターゲットフィーチャの相対位置により標本層間オーバレイ誤差(例.レジストレーション(整列)誤差)を表すことができる。更に、オーバレイターゲットを構成する諸標本層を、1枚又は複数枚のウェハ上に配することができる。例えば、1枚のウェハ上の2個以上のパターン化層として標本を形成することができる。このように、1枚のウェハ上の2個以上の標本層上にターゲットフィーチャが備わるオーバレイターゲットであれば、その1枚のウェハ上の2個以上の標本層間におけるオーバレイ計測結果をもたらすことができる。また例えば、界面にて一体接合された2枚のウェハとして標本を形成し、各ウェハにてその界面(例.それらウェハの内向き対向面)付近に複数個のパターン化層を設けてもよい。このように、各ウェハの少なくとも1個の標本層上にターゲットフィーチャが備わるオーバレイターゲットであれば、接合プロセス中に、それら2枚のウェハのアライメントについてのオーバレイ計測結果をもたらすことができる。
【0015】
本願での熟考によれば、空間的及び時間的にコヒーレントな光を用いた、周期的フィーチャの暗視野イメージングは、明視野イメージング及び/又は低コヒーレント照明によるイメージングに比べ、光学的収差に対し相対的に不感となりうる。イメージングシステムの光学的収差は、そのイメージングシステムの瞳面に亘る波面誤差変動により特徴付けることができる。即ち、その瞳面に亘る集光光の拡がりを制限することにより、それら光学的収差に対するそのイメージングシステムの感度を制限することができる。
【0016】
イメージングシステムの集光瞳内で計測した、オーバレイターゲットからの諸次回折光のサイズ及び形状は、照明の空間及び時間コヒーレンスに影響されうる。例えば、比較的高い空間コヒーレンスを有する照明ビームであれば、その入射照明ビームに類するサイズ及び形状を有し高度に局在的な諸次回折光をもたらすことができる。比較的高い時間コヒーレンスを有する照明ビーム、例えばその照明のスペクトル帯域幅を制限することで得られるそれによっても、諸次回折光における色分散を制限することで、集光瞳内に局在的な諸次回折光をもたらすことができる。こうした、局在的な諸次回折光に依拠するコヒーレント暗視野イメージングでは、集光瞳内での光の空間的拡がりのうち像に寄与するものが減り、ひいてはその瞳に亘る波面誤差変動の影響が制限されるため、そのイメージングシステムにおける光学的収差の影響を制限することができる。
【0017】
ある種の実施形態では、オーバレイ計測方向に関し対称的な照明で以てオーバレイターゲットが照明される。場合によっては、対称的な照明により正確なオーバレイ計測を容易に行うことができ、とりわけそのターゲット又はイメージングシステムに非対称性がある場合にはそうなる。本件開示の文脈上、特定の方向又は軸に関し対称的な照明とは、表面法線から見て互いに逆側にある方位角からの、そのターゲットのオフ軸照明のことである。その関係上、そうした照明のことを、対称的オフ軸照明プロファイルを有する照明と呼ぶことができる。更に、照明プロファイルを、複数通りの方向に関し対称的なものとすることができる。例えば、二重極照明により、一通りの計測方向(例.X方向又はY方向)に沿い対称的照明を行うことができ、四重極照明により、相直交する二通りの計測方向(例.X方向及びY方向)に関し対称的照明を行うことができる。同様に、環状照明プロファイルにより、その標本上の全方向に関し対称的な照明を行うことができる。
【0018】
更に、対称的照明は、互いに逆側にある方位角での同時照明によっても順次照明によっても、実施することができる。例えば、本件開示の文脈上、対称的照明とは、何らかの特定像を生成するのに用いられる何らかの具体的照明プロファイルのことではなく、オーバレイ計測に係る1枚又は複数枚の画像に係る照明の総体のことである。
【0019】
本願での更なる熟考によれば、これに限られるものではないがデフォーカス、球面収差等、多くの光学的収差が、そのシステムの光軸周りで対称的である。ある種の実施形態では、集光瞳内集光光強度分布も対称的となるようオーバレイターゲット及びイメージングシステムが共最適化される。この構成では、像に関わる光が、その集光瞳内で類似する波面誤差を有している部分に限られるため、それら光学的収差に対する感度を更に下げることができる。場合によっては、この一定な波面誤差の影響を、アルゴリズム的に軽減例えば除去し、そのオーバレイ計測に対する影響を更に制限することができる。
【0020】
それらオーバレイターゲット及びイメージングシステムの共最適化には様々な技術を用いることができる。例えば、そのオーバレイターゲットからの諸次回折光を、これは必須ではないが、その集光瞳内で対称的に分布させればよい。また例えば、(同時技術又は順次技術による)対称的照明に係り集められた諸次回折光の結合強度分布を、対称的なものとしてもよい。その場合、一方の方位角からの照明により何らかの非対称性が持ち込まれても、その逆側の方位角からの照明により打ち消すことができる。
【0021】
更に、オーバレイターゲットからの諸次回折光がイメージングシステムの集光瞳内で呈する分布は、一般に、これに限られるものではないがターゲットフィーチャの周期、照明波長、照明角、並びにイメージングシステムの数値開口(NA)を初め、複数個のパラメタの関数となる。従って、オーバレイターゲット又はイメージングシステムのパラメタの何らかの組合せを選定することで、指定された瞳面内諸次回折光分布をもたらすことができる。加えて、上掲のパラメタの何れも固定又は可変とすることができる。例えば、ターゲットフィーチャの周期と暗視野イメージングシステムの計測パラメタ(例.照明波長、照明入射角、NA等)とを、所与系列の計測に関し固定してもよい。また例えば、暗視野イメージングシステムの計測パラメタのうち1個又は複数個を可調としてもよい。その場合、計測パラメタをオンザフライで(即時的に)又はレシピの一部分として調整することで、ある範囲のターゲット周期に対し柔軟に適合させることができる。
【0022】
本件開示のある種の実施形態では、オーバレイターゲットの各注目標本層上のターゲットフィーチャのうち、共通計測向けのものを、ある共通周期を有する周期的なものとする。例えば、ターゲットフィーチャのなかに、これに限られるものではないが、共通周期を有するライン/スペースフィーチャを含めることができる。この場合、それらターゲットフィーチャにより、暗視野イメージングシステムの瞳面内に、よく画定された諸次回折光をもたらすことができる。
【0023】
暗視野イメージングシステムにて像を生成する際に、オーバレイターゲットの周期的ターゲットフィーチャに発する何通りの次数の回折光(例.二通りの次数の回折光)を用いてもよい。ある種の実施形態では、二通りの次数の対称的回折光に依拠し像を生成するようオーバレイターゲット及び暗視野イメージングシステムが共最適化される。この場合、周期的ターゲットフィーチャの像を正弦曲線に対応付けることができる。本願での更なる熟考によれば、そうした像に対する光学的収差の影響により、主に、その像におけるその正弦曲線のコントラストが低下することとなろう。しかしながら、二通りの次数の対称的回折光でありその瞳面内で局在化されているものに依拠し像を形成した場合、コントラストに対する対称的収差の影響が比較的少なくなりうる。従って、二通りの次数の対称的回折光によるコヒーレント暗視野イメージングに依拠するオーバレイ計量は光学的収差、とりわけ対称的波面誤差により特徴付けられる光学的収差であり、これに限られるものではないがデフォーカス、球面収差等といったものに対し、相対的に不感となりうる。
【0024】
本願での更なる熟考によれば、暗視野イメージングは、標本から反射されてきた光を用いずその標本の像が形成されるため、その標本からの鏡面反射(例.異種素材間界面における反射によるそれ)の存在時に比較的ロバストである。
【0025】
本願での更なる熟考によれば、二通りの次数の対称的回折光によるコヒーレント暗視野イメージングは、これに限られるものではないが接合ウェハで形成された標本上のオーバレイに、よく適したものとなりうる。そうした標本上のオーバレイターゲットのターゲットフィーチャは、それら2枚のウェハ間の界面上かその付近にある。そのオーバレイターゲットをイメージングする際には、両ウェハの厚みを過り(例.透過モードイメージングでは両ウェハを過り、反射モードイメージングでは1枚のウェハを2回過り)光を伝搬させる必要がある。厚手半導体ウェハ(例.約0.75mm)で形成されており比較的高い屈折率を有する標本でこの構成にすると光学的収差がひときわ起きやすい。更に、空気対ウェハ界面での反射は強くなりかねず(例.直交入射で約31%)、ひいてはかなりの0次信号がもたらされかねない。しかしながら、本願既述の通り、二通りの次数の対称的回折光によるコヒーレント暗視野イメージングは、関連する収差及び相当な0次信号の双方に対し相対的に不感となりうる。
【0026】
以下、図1A図7Bを参照し、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いオーバレイをコヒーレント暗視野イメージングするシステム及び方法について記述する。
【0027】
図1Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ計量システム100の概念図である。ある実施形態では、オーバレイ計量システム100に備わるイメージングツール102により、標本104からの非0次回折光に基づき標本104又はその一部分の暗視野像を1個又は複数個生成する。例えば、標本104の2個以上の層内にフィーチャが備わるオーバレイターゲットの暗視野像を、このイメージングツール102により生成することができる。
【0028】
イメージングツール102は、様々な構成の標本上にある様々なデザインのオーバレイターゲットの暗視野像を生成するのに、適したものとすることができる。ある実施形態では、1枚のウェハ上にある2個以上のパターン化層として標本104を形成する。1枚のウェハ上に2個以上の標本層がありその上にターゲットフィーチャが備わるオーバレイターゲットであれば、1枚のウェハ上にあるそれら2個以上の標本層間におけるオーバレイ計測結果をもたらすことができる。また、ある実施形態によれば、界面にて一体接合された2枚のウェハとして標本104を形成し、各ウェハにてその界面(例.それらウェハの内向き対向面)付近に1個又は複数個のパターン化層を設けることができる。各ウェハが少なくとも1個の標本層を有しその上にターゲットフィーチャが備わるオーバレイターゲットであれば、接合プロセス中に、それら2枚のウェハのアライメントにつきオーバレイ計測結果をもたらすことができる。
【0029】
また、ある実施形態では、オーバレイ計量システム100にコントローラ106を設け、それをイメージングツール102に可通信結合する。コントローラ106は、イメージングツール102に指令し、選定されている一通り又は複数通りのレシピに基づき暗視野像を生成させるよう、構成することができる。コントローラ106は、更に、これに限られるものではないが、暗視野像を初めとするデータをイメージングツール102から受け取るよう構成することができる。加えて、コントローラ106は、獲得した暗視野像に基づきオーバレイターゲットに係るオーバレイを求めるよう、構成することができる。
【0030】
また、ある実施形態では、コントローラ106に1個又は複数個のプロセッサ108が備わる。例えば、記憶デバイス110又はメモリ内に保持されている一組のプログラム命令を実行するよう、その1個又は複数個のプロセッサ108を構成することができる。コントローラ106に備わる1個又は複数個のプロセッサ108のなかには、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子を含めることができる。本件開示の目的上、語「プロセッサ」又は「処理素子」は、1個又は複数個の処理素子又は論理素子(例.1個又は複数個のマイクロプロセッサデバイス、1個又は複数個の用途特化集積回路(ASIC)デバイス、1個又は複数個のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、或いは1個又は複数個のディジタル信号プロセッサ(DSP))を有するデバイス全てが包括されるよう、広義に定義することができる。その意味で、この1個又は複数個のプロセッサ108には、アルゴリズム及び/又は命令群(例.メモリ内に格納されているプログラム命令群)を実行するよう構成されたあらゆるデバイスを含めることができる。ある実施形態によれば、その1個又は複数個のプロセッサ108を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、ネットワーク接続コンピュータその他、何らかのコンピュータシステムであり、然るべく構成されたプログラムを実行することで本件開示の随所に記載の如く計量システム100を動作させ又はそれと連携して稼働するよう構成されたコンピュータシステムとして、具体化することができる。
【0031】
更に、記憶デバイス110には、連携している1個又は複数個のプロセッサ108により実行可能なプログラム命令群を格納するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる格納媒体を含めることができる。例えば、その記憶デバイス110に非一時的記憶媒体を含めることができる。また例えば、その記憶デバイス110に、これに限られるものではないがリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光学記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を含めることができる。更に注記されることに、記憶デバイス110を、1個又は複数個のプロセッサ108と共に共通コントローラハウジング内に収容することができる。ある実施形態によれば、その記憶デバイス110を、1個又は複数個のプロセッサ108及びコントローラ106の物理的な居所に対しリモート配置することができる。例えば、コントローラ106に備わる1個又は複数個のプロセッサ108から、ネットワーク(例.インタネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)に、アクセスするようにしてもよい。
【0032】
イメージングツール102は、回折光及び/又は散乱光を用いるイメージングに適し本件技術分野で既知な、何れの種類のイメージングツールともすることができる。更に、暗視野イメージングを踏まえオーバレイターゲットのオーバレイを求めるため、計測パラメタを規定する何通りかのレシピに基づき暗視野像を生成するよう、イメージングツール102の構成を設定することができる。例えば、オーバレイ計量ツールのレシピ中に、これに限られるものではないが、照明波長、標本に発する輻射の波長検出値、標本上における照明スポットサイズ、入射照明の角度、入射照明の偏向、オーバレイターゲット上における入射照明ビームの位置、そのオーバレイ計量ツールのフォーカルボリュームにおけるオーバレイターゲットの位置等を、含めることができる。
【0033】
図1Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るイメージングツール102を描出する概念図である。ある実施形態では、イメージングツール102に、照明ビーム114を生成するよう構成された照明源112が備わる。照明ビーム114には、これに限られるものではないが紫外(UV)輻射、可視輻射、赤外(IR)輻射等を初め、一通り又は複数通りの指定光波長を含めることができる。
【0034】
照明源112には、照明ビーム114を供給するのに適したあらゆる種類の照明源を含めることができる。ある実施形態では照明源112がレーザ光源とされる。例えば、その照明源112のなかに、これに限られるものではないが1個又は複数個の狭帯域レーザ光源、広帯域レーザ光源、超連続体(超広帯域)レーザ光源、白色レーザ光源等を含めることができる。この場合、その照明源112から、高いコヒーレンス(例.高い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明ビーム114を供給することができる。また、ある実施形態では照明源112がレーザ維持プラズマ(LSP)光源を有する。例えば、その照明源112のなかに、これに限られるものではないがLSPランプ、LSPバルブ、LSPチャンバ等、一種類又は複数種類の元素を好適に収容でき、レーザ光源によりその元素をプラズマ状態に励起することで広帯域照明が放射されうるものを、含めることができる。また、ある実施形態では照明源112がランプ光源を有する。例えば、その照明源112のなかに、これに限られるものではないがアークランプ、放電ランプ、無電極ランプ等を含めることができる。この場合、その照明源112から、低いコヒーレンス(例.低い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明ビーム114を供給することができる。
【0035】
また、ある実施形態では、イメージングツール102が、1個又は複数個の照明チャネル116を介し標本104へと照明ビーム114を差し向ける。更に、標本104を固持するのに適した標本ステージ118上に標本104を配置することができ、更には照明ビーム114を基準として標本104を位置決めしうるようその標本ステージ118を構成することができる。
【0036】
各照明チャネル116内には、照明ビーム114を修正及び/又は調光すること並びにその照明ビーム114を標本104に差し向けることに適した、1個又は複数個の光学部材を設けることができる。例えば、各照明チャネル116内に、これは必須ではないが(例.標本104上における照明ビーム114のスポットサイズを制御するため、瞳面及び/又は視野面を中継するため等の)1個又は複数個のレンズ120、そのチャネル内の照明ビーム114の偏向を調整するための1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個のディフューザ、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ、1個又は複数個のビーム整形器、或いは1個又は複数個の鏡(例.静止鏡、並進鏡、走査鏡等)を設けることができる。
【0037】
また、ある実施形態では、イメージングツール102内に、標本104からの光(例.標本光124)を集めるための集光路122を設ける。ある実施形態では、その集光路122上に対物レンズ126を設け、それにより標本104からの回折光又は散乱光を集める。例えば、対物レンズ126により、照明ビーム114に応じ標本104上のオーバレイターゲットからもたらされる一通り又は複数通りの次数の回折輻射を、集めることができる。集光路122には、更に、これに限られないが1個又は複数個のレンズ128、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のビームブロック、1個又は複数個のビームスプリッタ等を初め、対物レンズ126により集光された照明を差し向け及び/又は修正するための複数個の光学素子を、設けることができる。
【0038】
また、ある実施形態では、集光路122上に、標本104の像(例.暗視野像)を生成するよう構成された1個又は複数個の検出器130を設ける。例えば、集光路122上の諸素子(例.対物レンズ126、1個又は複数個のレンズ128等)により標本104の像をもたらし、それを検出器130にて受け取ることができる。
【0039】
本願での熟考によれば、イメージングツール102の照明チャネル116及び集光路122は、標本104の暗視野像を生成するのに適する広範な構成に従い、向き決めすることができる。図1B図1Dにはイメージングツール102の非限定的構成が描かれている。大略、イメージングツール102は、(例.図1B図1Dに描かれている通り)反射モードに従い構成することや、(例.図1Cに描かれている通り)透過モードに従い構成することができる。更に、イメージングツール102にて0次光(例.鏡面反射や直接透過)を阻止し、本件技術分野で既知な何らかの技術を用い暗視野イメージングを果たすようにしてもよい。例えば、0次光が対物レンズ126の数値開口(NA)外となるよう、ひいてはその対物レンズ126により捕捉されないよう、照明チャネル116及び集光路122を向き決めすればよい。また例えば、0次光が対物レンズ126により捕捉されるものの(例.集光路122上の)1個又は複数個の絞り又はアパーチャにより阻止されるよう、照明チャネル116及び集光路122を向き決めしてもよい。
【0040】
図1Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り透過モードイメージング向けに構成されているイメージングツール102の概念図である。ある実施形態では、照明チャネル116のうち少なくとも1個を、標本104から見て対物レンズ126とは逆側にて向き決めし、それにより透過モードイメージングを行う。
【0041】
図1B及び図1Cに描かれている通り、対物レンズ126とは別体な照明レンズ120が照明チャネル116のうち少なくとも1個に備わるアウトサイドザレンズ(OTL)構成に従い、イメージングツール102を構成することができる。以下参照する図1Dにある通り、ある種の実施形態では、対物レンズ126を介し照明ビーム114を差し向けるよう照明チャネル116のうち少なくとも1個が向き決めされるスルーザレンズ(TTL)構成に従い、イメージングツール102が構成される。
【0042】
図1Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り斜めTTL暗視野イメージング向けに構成されているイメージングツール102の概念図である。ある実施形態では、イメージングツール102に備わるオフ軸鏡132(例.開放開口を有する環状鏡等)により、ある斜め立体角域に沿い照明ビーム114を差し向けると同時に、暗視野イメージングを行えるよう、その立体角域内で対物レンズ126により集められた標本光124を阻止する。集められた標本光124のうち一部をオフ軸鏡132により阻止せず、それらの部分(例.光軸134付近のそれ)を検出器130まで伝搬させることで、暗視野像を形成することができる。オフ軸鏡132は、これは必須ではないが集光路122の瞳面又はその付近に配置するのがよい。この場合、その瞳面におけるオフ軸鏡132の空間的寸法を、照明ビーム114が標本104へと差し向けられる立体角域と、集められた標本光124が検出器130へと伝搬して暗視野像を形成することが許容される立体角域とに、直に対応付けることができる。
【0043】
更に、図示しないが、OTL及び軸TTL双方の暗視野イメージングをサポートするようイメージングツール102を構成してもよい。
【0044】
以下、図2A図7Bを参照し、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るコヒーレント暗視野オーバレイ計量につき記述する。
【0045】
光学的収差はイメージングシステムの集光瞳に亘る波面変動として顕在化しうる。その例として、ありふれた二種類の収差に係る波面誤差を図2A及び図2Bに示す。図2Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、径方向r(例.X方向又はY方向)に沿いイメージングツール102の集光瞳に亘り、デフォーカスに係る波面誤差をプロットした図である。図2Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い、径方向r(例.X方向又はY方向)に沿いイメージングツール102の集光瞳に亘り、球面収差に係る波面誤差をプロットした図である。
【0046】
このように、集光瞳の別々の個所を通る光(例.別々の角度で標本104に発する光)が別々の波面を呈するので、もたらされる像の質が低下することとなる。例えば明視野イメージングでは、通常、光分布が瞳面全体に亘るため、収差に係りその瞳面に亘る波面誤差変動の影響(例.図2A及び図2Bに描かれているそれ)が、強くなることがある。
【0047】
しかしながら、本願での熟考によれば、本願開示の如く非0次回折光に依拠し標本104上の周期的オーバレイターゲットをイメージングすれば、標本104(例.その標本104上のオーバレイターゲット)の像を生成するのに用いられる光が、その集光瞳のうちの局所的部分に制約されることとなる。例えば、非0次回折光を、これは必須ではないが図2A及び図2B中の丸付個所202に対応付けることができる。こうすることで、その集光瞳に亘る波面誤差(例.その波面の変動)の影響を軽減することができる。
【0048】
対するに、極小対称点のみに依拠する像は、対称的な波面誤差を伴う収差に対し完全に不感となりうる。集光瞳内の極小対称点のみに依拠する像の生成は実現可能たりえないが、その集光瞳内の局在対称点(例.図2A及び図2B中で長円により描かれているそれ)に像を限ることで、もたらされる像における収差をかなり軽減することができる。従って、そうした像に基づき生成されるオーバレイ計測結果も、それら収差に対し相対的に不感となりうる。
【0049】
ある実施形態では、集光瞳内の局在的な諸次回折光に依拠するイメージングが、イメージングシステム(例.イメージングツール102)により周期的オーバレイターゲットをイメージングすること、またその集光瞳内に所望次数の回折光をもたらすものとなるようそれらオーバレイターゲット及びイメージングシステムを共最適化(即ち共設計)することで、達成される。
【0050】
本願での更なる熟考によれば、これに限られるものではないがデフォーカス、球面収差等、多くの光学的収差はそのシステムの光軸134周りで対称的となる。図2A及び図2Bに描かれている通り、そうした対称的収差に関しては、その集光瞳内にあり対称的な諸点(例.丸付領域202)にて、実質的に等量の波面誤差が現れる。結果として、対称的瞳面分布を有する像を生成することで、実効的波面誤差をかなり軽減することができる。
【0051】
ある実施形態では、その集光瞳内に対称的な強度分布をもたらすものとなるよう、それらオーバレイターゲット及びイメージングシステムが共最適化される。上述の通り、これを、対称的照明プロファイルによる同時又は順次照明を用い実施することができる。
【0052】
図3は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイターゲット302の上面図である。ある実施形態では、オーバレイターゲット302が、標本104の第1層上にある第1層フィーチャ304と、その標本104の第2層上にある第2層フィーチャ306とを、有するものとされる。
【0053】
ある実施形態では、第1層フィーチャ304及び第2層フィーチャ306のそれぞれが、ある共通周期308を有するフィーチャで形成される。この場合、第1層フィーチャ304からの諸次回折光と第2層フィーチャ306からのそれとを、集光瞳内に共存させることができる。
【0054】
本願での熟考によれば、オーバレイターゲットフィーチャ(例.第1層フィーチャ304及び第2層フィーチャ306)の分布は、その標本104の2個以上の層に係るオーバレイ誤差を求めるのに用いられるオーバレイアルゴリズム次第で、変わりうる。例えば、図3に描かれているオーバレイターゲット302は、その標本の各層上のターゲットフィーチャが回転対称な(ここでは90°回動について対称的な)、先進イメージングメトロロジ(AIM)オーバレイターゲットに相当している。とはいえ、理解し得るようにAIMオーバレイターゲットの使用は専ら例証目的で提示されており、限定として解されるべきではない。というより、どのようなレイアウトであれ周期的フィーチャが1個又は複数個の標本層上に備わるオーバレイターゲット302は、本件開示の神髄及び技術的範囲の枠内である。
【0055】
イメージングツール102によりオーバレイターゲット302の像を生成するに際しては、周期的ターゲットフィーチャ(例.第1層フィーチャ304及び/又は第2層フィーチャ306)からもたらされる非0次回折光を何通り用いてもよい。ある実施形態では、二通りの次数の回折光(例.1次回折光及び2次回折光)に依拠し像を生成するものとなるよう、それらオーバレイターゲット302及びイメージングツール102が共最適化される。この場合、周期的ターゲットフィーチャの像を正弦曲線に対応付けることができる。本願での更なる熟考によれば、そうした像に対する光学的収差の影響は、主に、その像における正弦曲線のコントラストを低下させるものとなろう。とはいえ、その瞳面内に局在する二通りの次数の回折光に依拠し像を形成する場合、その正弦曲線のコントラストに対する収差の影響を、本願既述の通り比較的低くすることができる。
【0056】
以下、図4A図4Cを参照し、諸次回折光に対する照明コヒーレンス(例.照明ビーム114のコヒーレンス)の影響について、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い詳述する。標本104の表面法線を基準とする個々の方位角から照明ビーム114で以てオーバレイターゲット302を照明することで、鏡面反射光402(例.0次回折光)、1次回折光404、2次回折光406、3次回折光408等を、その方位角に係る入射面内に発生させることができる。様々な構成のオーバレイターゲット302及びイメージングツール102により、指定次数の回折光の集光を行うことができる。具体的には、諸次回折光のうち集光瞳412の境界410内に入るものが集まり且つ境界410の外側に出るものが集まらないようにすることができる。更に、イメージングツール102内に何個かの絞り又はアパーチャを設け、それにより、何れか集光された次数の回折光を選択的に阻止することができる。
【0057】
図4Aは本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る集光瞳412の上面図であり、比較的高い時間コヒーレンス及び比較的低い空間コヒーレンスを有する照明ビーム114がもとで生じる諸次回折光を描出している。図4Bは本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る集光瞳412の上面図であり、比較的低い時間コヒーレンス及び比較的高い空間コヒーレンスを有する照明ビーム114がもとで生じる諸次回折光を描出している。
【0058】
図4A及び図4Bに描かれている通り、空間コヒーレンスを調整することで、主に(但し専らではない)、集光瞳412における諸次回折光のサイズに影響を及ぼせる一方、時間コヒーレンスを調整することで、主に(但し専らではない)、その集光瞳412における諸次回折光の形状に影響を及ぼすことができる。とりわけ、照明ビーム114のスペクトル帯域幅を拡げることは、回折角の波長依存性により入射面内で諸次回折光が拡散することにつながりうる。
【0059】
図4Cは本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る集光瞳412の上面図であり、照明ビーム114の空間及び時間コヒーレンスの平衡によりその集光瞳412内に局在的対称分布がもたらされることを、描出している。図4Cに描かれている通り、空間及び時間コヒーレンスを適宜選定することで、その集光瞳412を通じほぼ円形な諸次回折光を提供することができる。とはいえ、互いに逆側にある照明チャネル116を用い、非円形な諸次回折光の対称分布を生成することもできる。例えば、(例.空間コヒーレンスにより持ち込まれるスペックルの影響を減らすべく)一方の照明チャネル116内で照明ビーム114のスペクトルにより持ち込まれる非対称性を、逆側の照明チャネル116の使用を通じ軽減することができる。
【0060】
本願での熟考によれば、何れかの照明チャネル116内の照明ビーム114の空間及び/又は時間コヒーレンスを調整することで、所望のサイズ及び/又は形状を有する諸次の集光回折光を、イメージングツール102の集光瞳412内にもたらすことができる。本願での熟考によれば、空間コヒーレンスを高めることで、集光瞳412のうちターゲット回折により標本化される領域を局所化することができ、収差及びデフォーカスに対する感度が最低化される。しかしながら、空間コヒーレンスが高過ぎるとスペックルが入り込んで計測精度が下がる。従って、各照明ビーム114の空間コヒーレンスを、集光瞳412における局所化とスペックルとが平衡するよう制御した方がよい。同様に、時間コヒーレンスを高める(スペクトル帯域幅を狭める)ことで、集光瞳412のうちターゲット回折により標本化される領域を局所化することができ、ウェハプロセス変動により持ち込まれる回折スペクトルシフトによる瞳内標本化個所のシフトが最小になる。しかしながら、空間コヒーレンスにより持ち込まれるスペックルのコントラストは、時間コヒーレンスを下げる(スペクトル帯域幅を拡げる)ことで、下げることができる。この場合、時間コヒーレンスを、集光瞳412における局所化とスペックルの影響とが平衡するよう制御した方がよい。
【0061】
以下、図5A図7Bを参照し、対称的照明プロファイルにより生成される非0次回折光を用いる暗視野イメージングについて、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い詳述する。
【0062】
ある実施形態では、イメージングツール102の集光瞳412内光分布(例.瞳面分布)がそのイメージングツール102の集光路122の光軸134について対称となるよう、オーバレイターゲット302及びイメージングツール102が共最適化される。本件開示の文脈上、対称分布なる語で以て、集光瞳412に亘る諸次回折光の位置対称性及び/又は強度対称性を指し示すことがある。ある実施形態では、オーバレイターゲット302からの諸次回折光が集光瞳412内で対称的に分布する。また、ある実施形態では、オーバレイターゲット302から集められた諸次回折光の強度分布が、光軸134につき対称的となる。更に、本願既述の通り、集光瞳412内対称分布を、互いに逆側にある方位角からの同時又は順次照明に依拠し生成することができる。
【0063】
更に、対称的瞳面分布内に、何通りの次数の集光回折光が入っていてもよい。図5Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いX方向沿いで向き決めされた第1方位角に係り、オーバレイターゲット302から三通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツール102の概念図である。図5Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図5Aに従い構成されたイメージングツール102における、集光瞳412内諸次回折光分布の上面図である。図5Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いX方向に沿い向き決めされていて図5A中の第1方位角とは逆側にある第2方位角に係り、オーバレイターゲット302から三通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツール102の概念図である。図5Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図5Cに従い構成されたイメージングツール102における、集光瞳412内諸次回折光分布の上面図である。
【0064】
図5A図5Dでは、入射面に沿い光軸134を中心にして集光瞳412内で、1次回折光404、2次回折光406及び3次回折光408が対称分布している。反射光402(例.0次回折光)は対物レンズ126により集められず、図5B及び図5Dに示す通り集光瞳412の境界410外に出ているので、オーバレイターゲット302の像の形成には寄与しない。
【0065】
図6Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いX方向沿いで向き決めされた第1方位角に係り、オーバレイターゲット302から二通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツール102の概念図である。図6Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図6Aに従い構成されたイメージングツール102の集光瞳412の上面図である。図6Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いX方向沿いで向き決めされていて図6A中の第1方位角とは逆側にある第2方位角に係り、オーバレイターゲット302から二通りの次数の対称的回折光を集めるよう構成されているイメージングツール102の概念図である。図6Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図6Cに従い構成されているイメージングツール102の集光瞳412の上面図である。
【0066】
図6A及び図6Cでは、入射面に沿い光軸134を中心にして集光瞳412内で、1次回折光404及び2次回折光406が対称分布している。反射光402(例.0次回折光)及び3次回折光408は対物レンズ126により集められず、図6B及び図6Dに示す通り集光瞳412の境界410外に出ているので、オーバレイターゲット302の像の形成には寄与しない。
【0067】
本願既述の通り、二通りの次数の対称的回折光によるコヒーレント暗視野イメージングは、これに限られるものではないが接合ウェハで形成された標本上でのオーバレイに、よく適したものとなりうる。そうした標本上のオーバレイターゲット302のフィーチャはそれら2枚のウェハ間の界面上かその付近にあるので、そうしたオーバレイターゲットをイメージングするには、両ウェハの厚みを過り(例.透過モードイメージングでは両ウェハを過り、反射モードイメージングでは1枚のウェハを2回過り)照明ビーム114を伝搬させる必要がある。厚手半導体ウェハ(例.約0.75mm)で形成されており比較的高い屈折率を有する標本では、この構成だと、これに限られるものではないが球面収差(例.図2Bに描かれているそれ)等といった光学的収差がひときわ起きやすい。とはいえ、本願既述の通り、二通りの次数の対称的回折光によるコヒーレント暗視野イメージングは、そうした関連収差に対し相対的に不感となりうる。
【0068】
更に、コヒーレント暗視野イメージングは、イメージングツール102にて0次信号が捕捉されない(さもなくば阻止される)ため、空気対ウェハ界面における強い反射(例.直交入射で約31%)に対しロバストとなりうる。
【0069】
オーバレイターゲット302からの諸次回折光がイメージングツール102の集光瞳412内で呈する分布は、一般に、オーバレイターゲット302の特性、並びにイメージングツール102の諸パラメタの関数となる。例えば、オーバレイターゲット302からの諸次回折光が集光瞳412内で呈する分布は、これに限られるものではないがターゲットフィーチャ(例.第1層フィーチャ304及び第2層フィーチャ306)の周期308やデューティサイクルを初め、そのオーバレイターゲット302のレイアウト設計パラメタの関数となりうる。また例えば、オーバレイターゲット302からの諸次回折光が集光瞳412内で呈する分布は、これに限られるものではないが照明ビーム114の波長、照明ビーム114の入射角、並びにイメージングツール102のNAを初め、そのイメージングツール102の計測パラメタの関数となりうる。従って、オーバレイターゲット302やイメージングツール102のパラメタの何らかの組合せを選定することで、指定された集光瞳412内諸次回折光分布をもたらすことができる。
【0070】
例えば、これに限られるものではないがオーバレイターゲット302のフィーチャ(例.第1層フィーチャ304及び第2層フィーチャ306)の周期308、照明ビーム114の波長、照明ビーム114の入射角等といったパラメタの選定をもとにして、集光瞳412内諸次回折光分布を調整することができる。また例えば、これに限られるものではないがオーバレイターゲット302のフィーチャのデューティサイクル等といったパラメタの選定をもとにして、ある特定の周期308を有するフィーチャにより生成される諸次回折光の相対強度を、調整することができる。
【0071】
加えて、本願既述の通り、イメージングツール102にて指定計測方向に沿い対称的照明プロファイルを生成するのに、様々な技術を用いることができる。例えば、イメージングツール102に、指定計測方向(例.図5A図6Dでの描写によればX方向)に沿い互いに逆側に照明チャネル116を設けてもよい。また例えば、イメージングツール102に、多重極又は環状照明をもたらす単一の照明チャネル116を設けてもよい。
【0072】
更に、各照明チャネル116のパラメタを相独立に制御又は設計し、他の1個又は複数個の照明ビーム114と整合させることができる。例えば、これに限られるものではないが照明ビーム114の中心波長、スペクトル、入射角、偏向等といったパラメタを、照明チャネル116毎に独立に制御してもよい。とはいえ、少なくとも1個の共通パラメタを有するように、2個以上の照明チャネル116を構成するのがよい。例えば、互いに逆側にある照明チャネル116を、同じ中心波長及び/又はスペクトル帯域幅を有するものにすることで、対称的瞳面分布をもたらすのが望ましかろう。
【0073】
オーバレイターゲット302及びイメージングツール102の共最適化による対称的な集光瞳412内光分布の提供は、様々な技術を用い実行することができる。ある実施形態では、標本104上におけるオーバレイターゲット302の1個又は複数個のインスタンス(実現物)のパラメタが既知例えば固定なものとされる。この場合、初期セットアップ手順にて又は計測レシピの一部分としてイメージングツール102のパラメタを選定することで、所望の集光瞳412内光分布を達成することができる。更に、標本104上のオーバレイターゲット302の相異なるインスタンスを、これは必須ではないが相異なるパラメタを有するものとすることで、相異なる構成のイメージングツール102をターゲットバイターゲットベースで実現し、指定された瞳面分布をオーバレイターゲット302毎にもたらすことができる。また、ある実施形態では、イメージングツール102のパラメタが制約例えば固定される。この場合、イメージングツール102の既知パラメタに基づきオーバレイターゲット302のパラメタを選定することで、指定された集光瞳412内光分布をもたらすことができる。また、ある実施形態では、オーバレイターゲット302及びイメージングツール102のパラメタが、ある共通の設計プロセスにて選定される。例えば、照明ビーム114の照明角、照明ビーム114の波長、及び/又は周期308を選定することで、指定された集光瞳412内諸次回折光分布をもたらすことができる。その上で、オーバレイターゲット302のターゲットフィーチャのデューティサイクルを選定することで、集光瞳412に亘り、指定された強度分布をもたらすことができる。
【0074】
更に、何れの照明チャネル116のパラメタも、ワンタイム最適化として計測前に構成設定することや、指定されている何らかの計測に先立ち調整することができる。例えば、オーバレイ計量システム100により集光瞳412内光分布を任意時点にて(例.計測に先立ち、周期的間隔で、等々)監視し、何れかの照明チャネル116のパラメタを修正して対称的瞳面分布をもたらすことができる。
【0075】
更に、図4A図6Dでは、イメージングツール102が、OTLコンフィギュレーションに従い2個の別体な照明源を用い単一軸沿いで対称的照明をもたらすものとして、描かれている。しかしながら、ご理解頂けるように、これらの例は専ら例証目的で提示されており、限定として解されるべきではない。例えば、イメージングツール102により、これに限られるものではないが二重極照明プロファイル、四重極照明プロファイル、環状照明プロファイル等、何通りかの計測方向に沿った対称的照明プロファイルを提供してもよい。この対称的照明プロファイルを、互いに逆側の方位角での同時又は順次照明を通じ、1個又は複数個の照明源112(又はチャネル)を用い、生成してもよい。また例えば、その照明源112を、これに限られるものではないが図1B図1Dに描かれている構成を初め、どのような要領で構成してもよい。その場合に、その対称的照明プロファイルを、反射又は透過モードのOTL及びTTLコンフィギュレーションの何らかの組合せを用い生成してもよい。
【0076】
また、ある実施形態では、集められた諸次回折光が集光瞳412内で切り詰められないよう、オーバレイターゲット302及びイメージングツール102が共最適化される。この場合、何れの次数の回折光も、集光瞳412の境界410内に丸ごと入るか、その外に丸ごと出ることとなる。
【0077】
図7Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るイメージングツール102の概念図であり、ある次数の回折光が集光瞳412内で切り詰められる構成を描出している。図7Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図7Aに従い構成されているイメージングツール102の集光瞳412の上面図である。図7A及び図7Bでは、2次回折光406が対物レンズ126にて部分的にしか集められないため、2次回折光406が集光瞳412の境界410に跨ることとなっている。これに対し、図4A図6Bに描かれている構成では諸次回折光が切り詰められていない。
【0078】
本願記載の何れの方法も、それら方法実施形態の1個又は複数個のステップの結果がメモリ内に格納されるものとすることができる。それら結果に本願記載の何れの結果が含まれていてもよいし、それら結果が本件技術分野で既知な何れの要領で格納されるのでもよい。そのメモリには、本願記載のあらゆるメモリ、或いは本件技術分野にて既知で好適な他のあらゆる格納媒体が含まれうる。結果格納後は、そのメモリ内の諸結果にアクセスすること、それら結果を本願記載の方法又はシステム実施形態のうち任意のもので用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、別のソフトウェアモジュール、方法又はシステムにて用いること等々ができる。更に、結果格納は「恒久的」でも「半恒久的」でも「一時的」でも或いは幾ばくかの期間に亘るものでもよい。例えば、そのメモリをランダムアクセスメモリ(RAM)としてもよく、結果がそのメモリ内に必ずしも永久には存在しないのでもよい。
【0079】
更なる熟考によれば、上述した方法の各実施形態には、本願記載の何れの他方法(群)の何れの他ステップ(群)をも組み込むことができる。加えて、上述した方法の各実施形態を、本願記載のシステムの何れにより実行してもよい。
【0080】
いわゆる当業者には認識し得るように、本願記載の諸部材、諸動作、諸デバイス、諸物体及びそれらに付随する議論は概念的明瞭さに資する例として用いられており、様々な構成上の修正が慮内とされている。従って、本願での用法によれば、先に説明した具体的な手本及びそれに付随する議論の意図は、それらのより一般的な分類階級の代表たることにある。一般に、どのような具体的手本の使用の意図もその分類階級の代表たることにあるので、具体的な諸部材、諸動作、諸デバイス及び諸物体が含まれていないことを限定として捉えるべきではない。
【0081】
本願で用いられている方向指示語、例えば「頂」、「底」、「上方」、「下方」、「上寄り」、「上向き」、「下寄り」、「下降」及び「下向き」の趣旨は、記述目的で相対位置を提示することにあり、絶対的な基準座標系を指定することを企図していない。様々な修正を記載諸実施形態になしうることはいわゆる当業者にとり明らかであろうし、本願にて規定されている一般的諸原理は他の諸実施形態にも適用することができる。
【0082】
本願におけるほぼ全ての複数形語及び/又は単数形語の使用に関し、いわゆる当業者であれば、複数形から単数形へ及び/又は単数形から複数形へと読み替え、文脈及び/又は用途にそぐわせることができる。明瞭性のため、本願では、様々な単数形/複数形読み替えについて明示的に説明していない。
【0083】
本願記載の主題のなかには、幾つか、様々な部材が他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結されることを描出するものがある。ご理解頂けるように、その種の図示構成は単なる例示であり、実のところは、他の多くの構成を実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能を実現する部材配置では、それら部材がその所望機能が実現されるよう有効に「連携」しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ特定機能を実現すべく組み合わされているものは、その所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、構成や介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものはその所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものはその所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られないが、部材同士が物理的に嵌合可能であり及び/又は物理的に相互作用すること、及び/又は部材同士が無線的に相互作用可能であり及び/又は無線的に相互作用すること、及び/又は部材同士が論理的に相互作用可能であり及び/又は論理的に相互作用することがある。
【0084】
更に、理解し得るように、本発明は別項の特許請求の範囲によって定義される。いわゆる当業者には理解し得るように、総じて、本願特に別項の特許請求の範囲(例.別項の特許請求の範囲の本文)にて用いられる語は概ね「開放」語たる趣旨のものである(例.語「~を含んでいる」は「~を含んでいるが~に限られない」、語「~を有している」は「少なくとも~を有している」、語「~を含む」は「~を含むが~に限られない」等々と解されるべきである)。いわゆる当業者にはやはり理解し得るように、ある具体的個数の請求項内導入要件を意図しているのであれば、その意図がその請求項に明示されるので、そうした要件記載がなければそうした意図がないということである。例えば、理解の助けとして、後掲の添付諸請求項のなかに、導入句「少なくとも1個」及び「1個又は複数個」の使用による請求項内要件の導入が組み込まれているものがある。しかしながら、不定冠詞「a」又は「an」による請求項内導入要件の導入によりその請求項内導入要件を含む個別請求項全てがその構成要件を1個しか含まない発明に限定される、といった含蓄があるかのように、そうした語句の使用を解釈すべきではないし、まさにその請求項に導入句「1個又は複数個」又は「少なくとも1個」と不定冠詞例えば「a」又は「an」が併存している場合でもそう解釈すべきではないし(例えば「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1個」又は「1個又は複数個」を意味するものと解すべきである)、またこれと同じことが定冠詞の使用による請求項内要件の導入に関しても成り立つ。加えて、ある請求項内導入要件につき具体的な個数が明示されている場合でも、いわゆる当業者には認識し得るように、通常は、少なくともその明示個数、という意味にその個数記載を解すべきである(例.他の修飾語句を欠く「2個の構成要件」なる抜き身的表現は、通常、少なくとも2個の要件或いは2個以上の要件という意味になる)。更に、「A、B及びCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従いそうした構文が企図されている(例.「A、B及びCのうち少なくとも1個を有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。「A、B又はCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従いそうした構文が企図されている(例.「A、B又はCのうち少なくとも1個を有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。やはりいわゆる当業者には理解し得るように、2個以上の代替的な語を提示する分離接続詞及び/又は分離接続句はほぼ全て、明細書、特許請求の範囲及び図面のうちどこにあるのかを問わず、一方の語、何れかの語、或いは双方の語を包含する可能性が考慮されているものと理解すべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を包含するものと解されよう。
【0085】
本件開示及びそれに付随する長所の多くについては上掲の記述により理解できるであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。述べられている形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、本発明を定義しているのは別項の特許請求の範囲である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
【国際調査報告】