(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ケイ素含有膜の非コンフォーマル性堆積のための組成物、及びその組成物を使用する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20221101BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20221101BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L21/316 X
C23C16/42
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515733
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020049315
(87)【国際公開番号】W WO2021050368
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】メイリャン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ティンミン ワン
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA14
4K030BA42
4K030BA44
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA03
4K030JA06
4K030JA09
4K030JA10
4K030LA12
4K030LA15
5F058BA20
5F058BC02
5F058BD04
5F058BF04
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF37
5F058BJ06
(57)【要約】
非コンフォーマル性のケイ素及び酸素含有膜を、1つ又は複数の基材上のビア及び/又はトレンチを備える表面特徴中に堆積するための原子層堆積方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素及び酸素を含有する非コンフォーマル性の膜を、基材上にビア及び/又はトレンチを備える表面特徴中に堆積するための原子層堆積方法であって、
a.前記表面特徴上に露出したヒドロキシル基を有する前記基材を反応器中に配置して、周囲温度~約700℃の少なくとも1つの温度に前記反応器を加熱して、任意選択で、100torr以下の圧力で前記反応器を保持する工程;
b.R
1R
2R
3SiX (I)の式を有する第一の前駆体(式中、R
1、R
2、R
3のそれぞれが、水素、直鎖のC
1~C
10アルキル基、分岐鎖のC
3~C
10アルキル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
3~C
10ヘテロ環基、C
2~C
10アルケニル基、C
2~C
10アルキニル基及びC
4~C
10アリール基からなる群から独立に選択され;Xが、窒素含有ヘテロ原子環基である)を前記反応器中に導入して、前記露出したヒドロキシル基と反応させる工程;
c.不活性ガスを使用して、任意の未反応の第一の前駆体を前記反応器からパージする工程;
d.酸素源を前記反応器中に導入する工程;並びに
e.不活性ガスを用いて、任意の未反応の酸素源及び任意の副生成物をパージする工程
を含み、工程b~eが、前記表面特徴が所定の量のケイ素及び酸素を含有する非コンフォーマル性の膜によって被覆されるまで繰り返される、方法。
【請求項2】
Xが、ピロリル、置換されたピロリル、2-ピロリニル、置換されたピロリニル、イミダゾリル、置換されたイミダゾリル、2-イミダゾリニル、置換された2-イミダゾリニル、ピラゾリル、置換されたピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、2-ピラゾリニル、置換されたピラゾリニル、1,4-ジヒドロピリジニル、置換された1,4-ジヒドロピリジニル、1,2-ジヒドロピリジニル、置換された1,2-ジヒドロピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジニル及び置換された1,2,3,4-テトラヒドロピリジニルからなる群から選択され、Xが置換されているときには、置換基が、直鎖のアルキル基及び分岐鎖のアルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが、3-メチルピロリル、2-メチルピロリル、3,4-ジメチルピロリル、3-エチルピロリル、2,5-ジメチルピロリル、2,4-ジメチルピロリル、2,3-ジメチルピロリル、2,3-ジヒドロ-3-メチル-ピロリル、2,3-ジヒドロ-5-メチル-1h-ピロリル、3,4-ジヒドロ-4-メチルピロリル、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチルピロリル、2,3-ジヒドロ-3,5-ジメチルピロリル、2-メチルイミダゾリル、4-メチルイミダゾリル、2-エチルイミダゾリル、2,4-ジメチルイミダゾリル、4,5-ジメチルイミダゾリル、2-メチルイミダゾリニル、4-メチル-2-イミダゾリニル、4,4-ジメチル-2-イミダゾリニル、4-メチルピラゾリル、5-メチル-ピラゾリル、3-メチルピラゾリル、5-メチル-1,2,3-トリアゾリル、4,5-ジメチル-1,2,3-トリアゾリル、4-メチル-4,5-ジヒドロ-ピラゾリル、5-メチル-2-ピラゾリニル、3-メチル-2-ピラゾリニル、1,4-ジヒドロ-4-メチルピリジニル、1,4-ジヒドロ-2-メチルピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-メチルピリジニル及び1,2,3,4-テトラヒドロ-5,6-ジメチルピリジニルからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の前駆体が、ピロリルトリメチルシラン、ピロリルジメチルオクチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、2-ピロリノトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、2-イミダゾリノトリメチルシラン、ピラゾリルトリメチルシラン、1,2,3-トリアゾリルトリメチルシラン及び2-ピラゾリノトリメチルシランからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸素源が、酸素、酸素プラズマ、水蒸気プラズマ、水及び有機アミンの混合物、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記表面特徴が、少なくとも2:1の深さ:幅のアスペクト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記深さ:幅のアスペクト比が、少なくとも4:1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記表面特徴が、100nm以下の幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酸化ケイ素又は金属酸化物を含む膜を、基材上にビア及び/又はトレンチを備える表面特徴中に堆積するための原子層堆積方法であって、
a.前記表面特徴上に露出したヒドロキシル基を有する前記基材を反応器中に配置して、周囲温度~約700℃の温度に前記反応器を加熱して、任意選択で、100torr以下の圧力で前記反応器を保持する工程;
b.R
1R
2R
3SiX (I)の式を有する第一の前駆体(式中、R
1、R
2、R
3のそれぞれが、水素、直鎖のC
1~C
10アルキル基、分岐鎖のC
3~C
10アルキル基、C
3~C
10環状アルキル基、C
3~C
10ヘテロ環基、C
2~C
10アルケニル基、C
2~C
10アルキニル基及びC
4~C
10アリール基からなる群から独立に選択され;Xが、窒素含有ヘテロ原子環基である)を前記反応器中に導入して、前記露出したヒドロキシル基と反応させる工程;
c.不活性ガスを使用して、任意の未反応の第一の前駆体を前記反応器からパージする工程;
d.少なくとも1つの有機アミノ基を有する第二の前駆体の蒸気を導入して、任意の未反応のヒドロキシル基と反応させる工程;
e.不活性ガスを使用して、任意の未反応の第二の前駆体を前記反応器からパージする工程;
f.酸素源を前記反応器中に導入する工程;並びに
g.不活性ガスを使用して、任意の未反応の酸素源及び副生成物をパージする工程
を含み、工程b~gが、前記特徴が、前記特徴の底部から上部まで酸化ケイ素又は金属酸化物によって充填されるまで繰り返される、方法。
【請求項10】
Xが、ピロリル、置換されたピロリル、2-ピロリニル、置換されたピロリニル、イミダゾリル、置換されたイミダゾリル、2-イミダゾリニル、置換された2-イミダゾリニル、ピラゾリル、置換されたピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、2-ピラゾリニル、置換されたピラゾリニル、1,4-ジヒドロピリジニル、置換された1,4-ジヒドロピリジニル、1,2-ジヒドロピリジニル、置換された1,2-ジヒドロピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジニル及び置換された1,2,3,4-テトラヒドロピリジニルからなる群から選択され、Xが置換されているときには、置換基が、直鎖のアルキル基及び分岐鎖のアルキル基からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Xが、3-メチルピロリル、2-メチルピロリル、3,4-ジメチルピロリル、3-エチルピロリル、2,5-ジメチルピロリル、2,4-ジメチルピロリル、2,3-ジメチルピロリル、2,3-ジヒドロ-3-メチル-ピロリル、2,3-ジヒドロ-5-メチル-1h-ピロリル、3,4-ジヒドロ-4-メチルピロリル、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチルピロリル、2,3-ジヒドロ-3,5-ジメチルピロリル、2-メチルイミダゾリル、4-メチルイミダゾリル、2-エチルイミダゾリル、2,4-ジメチルイミダゾリル、4,5-ジメチルイミダゾリル、2-メチルイミダゾリニル、4-メチル-2-イミダゾリニル、4,4-ジメチル-2-イミダゾリニル、4-メチルピラゾリル、5-メチル-ピラゾリル、3-メチルピラゾリル、5-メチル-1,2,3-トリアゾリル、4,5-ジメチル-1,2,3-トリアゾリル、4-メチル-4,5-ジヒドロ-ピラゾリル、5-メチル-2-ピラゾリニル、3-メチル-2-ピラゾリニル、1,4-ジヒドロ-4-メチルピリジニル、1,4-ジヒドロ-2-メチルピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-メチルピリジニル及び1,2,3,4-テトラヒドロ-5,6-ジメチルピリジニルからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の前駆体が、ピロリルトリメチルシラン、ピロリルジメチルオクチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、2-ピロリノトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、2-イミダゾリノトリメチルシラン、ピラゾリルトリメチルシラン、1,2,3-トリアゾリルトリメチルシラン及び2-ピラゾリノトリメチルシランからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記酸素源が、酸素、酸素プラズマ、水蒸気プラズマ、水及び有機アミンの混合物、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の前駆体が、有機アミノシラン、有機アミノジシラン、有機アミノトリシリルアミン、有機アミノシロキサン、有機アミノシクロシロキサン、有機アミノチタン、有機アミノハフニウム、有機アミノジルコニウム、有機アミノタンタル、有機アミノタングステン、有機アミノモリブデン、有機アミノアルミニウム、アルキルアルミニウム及び金属アルコキシドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の前駆体が、ジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、ジ-イソ-プロピルアミノメチルシラン、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、tert-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサアミノトリメチルシラン、ピロリジノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン及びイミダゾリルトリメチルシランからなる群から選択される有機アミノシランである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記表面特徴が、少なくとも2:1の深さ:幅のアスペクト比を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記深さ:幅のアスペクト比が、少なくとも4:1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面特徴が、100nm以下の幅を有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本願は、2019年9月10日に提出された米国特許第62/898047号明細書の利益を主張するものである。米国特許第62/898047号明細書は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
エレクトロニクス装置の製造のための組成物及び方法が本明細書において説明される。より具体的には、半導体の特徴への酸化ケイ素膜の非コンフォーマル性堆積のための、又は欠陥なしに、ケイ素若しくは金属酸化物含有膜で、ビア及び/若しくはトレンチを備える半導体の特徴を完全に充填するための化合物、並びにその化合物を含む組成物及び方法が、本明細書において説明される。
【背景技術】
【0003】
当分野において、ケイ素若しくは金属酸化物含有膜、又はそれらの組み合わせを堆積して、半導体基材に高アスペクト比の特徴の開口部を充填するための、組成物、並びにその組成物を使用し、かつ化学抑制及び堆積技術を用いる方法を提供する要求がある。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0203354号明細書は、化学抑制を使用して、原子層堆積(ALD)方法での、金属酸化物膜のコンフォーマル性調節のための方法及びシステムを開示している。金属酸化物堆積のための抑制前駆体は、キレート剤、例えばジケトンを含んでよい。
【0005】
米国特許第10199212号及び10043656号明細書は、酸化ケイ素又は窒化ケイ素材料に対して選択的に、ケイ素含有又は金属含有誘電体材料を、ケイ素又は金属表面に、選択的に堆積するための方法及び装置を開示している。アセチルクロリドは、ブロッキング剤として使用される。
【発明の概要】
【0006】
本明細書において説明される組成物及び方法は、非コンフォーマル性の酸化ケイ素を、ビア及び/若しくはトレンチを備える特徴に堆積するための、又はケイ素/金属酸化物含有膜を堆積して、ビア及び/若しくはトレンチを備える特徴を充填するための、組成物及び方法を提供することによって、従来技術の問題を解決する。膜の堆積は、典型的な原子層堆積(ALD)方法を使用して行われ、方法は、
a.表面上にヒドロキシル基を有する、ビア及び/又はトレンチを備える特徴を有する1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約700℃の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100torr以下の圧力で反応器を保持する工程;
b.R1R2R3SiX (I)の式を有する第一の前駆体(式中、R1、R2、R3が、水素、直鎖のC1~C10アルキル基、分岐鎖のC3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10ヘテロ環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群からそれぞれ独立に選択され;Xが、窒素含有ヘテロ原子環基である)を反応器中に導入して、特徴の頂部表面領域上のそれらのヒドロキシル基と優先的に反応させる工程;
c.不活性ガスを使用して、未反応の第一の前駆体をパージする工程;
d.酸素源を導入する工程;並びに
e.不活性ガスを使用して、未反応の酸素源及び副生成物をパージする工程
を含み、工程b~eは、特徴が非コンフォーマル性の酸化ケイ素によって被覆されるまで繰り返される。
【0007】
上で説明される1つ又は複数の実施態様において、酸素源は、酸素、酸素プラズマ、水蒸気プラズマ、水及び有機アミンの混合物、過酸化水素、亜酸化窒素、オゾン、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例2において説明される、600℃における、ピロリルトリメチルシランを使用する(16秒の前駆体パルス時間)、トレンチへの非コンフォーマル性酸化ケイ素膜の成長のTEM像を示していて、トレンチ中の非コンフォーマル性酸化ケイ素を示している。すなわち、左のTEM像から右のTEM像へと、トレンチの頂部においてより厚く、トレンチの中部及び底部においてより薄い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
原子層堆積(ALD)又はALDに類似のプロセスで、例えば、以下に限定するものではないが、サイクル性化学気相堆積プロセス(CCVD)で、ビア又はトレンチを、ケイ素又は金属酸化物含有膜で充填することに関する組成物及びプロセスが本明細書において説明される。本発明において、ピロリル、置換されたピロリル、2-ピロリニル、置換されたピロリニル、イミダゾリル、置換されたイミダゾリル、2-イミダゾリニル、置換された2-イミダゾリニル、ピラゾリル、置換されたピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、2-ピラゾリニル、置換されたピラゾリニル、1,4-ジヒドロピリジニル、置換された1,4-ジヒドロピリジニル、1,2-ジヒドロピリジニル、置換された1,2-ジヒドロピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジニル及び置換された1,2,3,4-テトラヒドロピリジニルからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有ヘテロ原子環基を有する第一の前駆体が使用されて、基材上の露出した表面ヒドロキシル基と反応して、基材の特徴、例えばビア及びトレンチの表面特徴の頂部表面領域のヒドロキシル基と優先的に反応して、結果として、特徴に、酸化ケイ素の非コンフォーマル性堆積をもたらす。用語「置換された」は、環基中の1つ又は複数の水素原子を、1つ又は複数のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソ-プロピル及びn-プロピルで置き換えることをいう。第一の前駆体の投与を制御して、特徴の底部への拡散を限定する。従って、第一の前駆体は、特徴の底部部分よりも、基材表面及び特徴の頂部部分に、より堆積され、表面付近におけるより速い膜成長、及び特徴の底部付近におけるより遅い膜成長を可能とする。トレンチ又は他の特徴のより低い領域で膜成長を限定するこの方法は、第二の前駆体及び酸素源のために開口部を残らせて、目的の膜でギャップを完全に充填することを可能とする。理論によって拘束されるものではないが、窒素原子に連結された少なくとも1つのC=C結合を有する第一の前駆体中のSi-N結合は、C=C-N-Si結合の間の電子の非局在化のために、窒素原子に連結されたC=C結合を有しない前駆体のSi-N結合よりもかなり強く、これらの前駆体を、ヒドロキシル基に対して、あまり反応性でなくして、従って、好ましくは、特徴の頂部に配置されたヒドロキシル基と、より反応すると考えられる。
【0010】
例えば典型的なALDコンフォーマル性膜成長において、トレンチ中の膜成長の間に、不動態化剤が使用されないとき、ギャップ充填の間に膜成長が進行するにつれて、基材表面における、又は基材表面付近の開口部は狭くなる。最終的には、このことは、トレンチ内部におけるさらなる膜成長を妨げ、ポロシティをもたらす。
【0011】
1つの実施態様において、本発明において説明される、特徴を有する基材への酸化ケイ素の非コンフォーマル性堆積のための方法は、
a.表面上にヒドロキシル基を有する、ビア及び/又はトレンチを備える特徴を有する1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約700℃の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100torr以下の圧力で反応器を保持する工程;
b.R1R2R3SiX (I)の式を有する第一の前駆体(式中、R1、R2、R3が、水素、直鎖のC1~C10アルキル基、分岐鎖のC3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10ヘテロ環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群からそれぞれ独立に選択され;Xが、窒素含有ヘテロ原子環基である)を反応器中に導入して、特徴の頂部表面領域上のそれらのヒドロキシル基と優先的に反応させる工程;
c.不活性ガスを使用して、未反応の第一の前駆体をパージする工程;
d.酸素源を導入する工程;並びに
e.不活性ガスを使用して、未反応の酸素源及び副生成物をパージする工程
を含み、工程b~eは、特徴が非コンフォーマル性の酸化ケイ素によって被覆されるまで繰り返される。
【0012】
別の実施態様において、本発明において説明される、特徴を有する基材への酸化ケイ素又は金属酸化物のギャップ充填のための方法は、
a.表面上にヒドロキシル基を有する、ビア及び/又はトレンチを備える特徴を有する1つ又は複数の基材を反応器中に配置して、周囲温度~約700℃の1つ又は複数の温度に反応器を加熱して、任意選択で、100torr以下の圧力で反応器を保持する工程;
b.R1R2R3SiX (I)の式を有する第一の前駆体(式中、R1、R2、R3が、水素、直鎖のC1~C10アルキル基、分岐鎖のC3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10ヘテロ環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群からそれぞれ独立に選択され;Xが、窒素含有ヘテロ原子環基である)を反応器中に導入して、特徴の頂部表面領域上のそれらのヒドロキシル基と優先的に反応させる工程;
c.不活性ガスを使用して、未反応の第一の前駆体をパージする工程;
d.少なくとも1つの有機アミノ基を有する第二の前駆体の蒸気を導入して、それらの未反応のヒドロキシル基と反応させる工程;
e.不活性ガスを使用して、未反応の前駆体をパージする工程;
f.酸素源を導入する工程;並びに
g.不活性ガスを使用して、未反応の酸素源及び副生成物をパージする工程
を含み、工程b~gは、特徴が、特徴の底部から上部まで充填されるまで繰り返される。幾つかの実施態様において、R1、R2、R3のうち少なくとも1つは、直鎖のC6~C10アルキル基、分岐鎖のC6~C10アルキル基、C6~C10環状アルキル基、C4~C10ヘテロ環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基から選択されて、特徴の表面上のヒドロキシル基との反応に際して、より大きい接触面積をもたらし、従って、それらの前駆体が小さいビア又はトレンチに入ることを困難にし、一方で、ビア又はトレンチ内部のヒドロキシルと反応するように、より小さい分子サイズを有する第二の前駆体が選択されて、より良好なボトムアップの充填を促進する。
【0013】
上の式Iにおいて、及び本明細書を通じて、用語「アルキル」は、1~10個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の官能基を意味する。例示的な直鎖のアルキル基は、以下に限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基を含む。例示的な分岐鎖のアルキルは、以下に限定するものではないが、イソ-プロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、イソ-ヘキシル及びネオ-ヘキシルを含む。特定の実施態様において、アルキル基は、それに結合された1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、それに結合されたアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、イソ-プロポキシ及びn-プロポキシ、ジアルキルアミノ基、例えばジメチルアミノ又はそれらの組み合わせを有してよい。他の実施態様において、アルキル基は、それに結合された1つ又は複数の官能基を有しない。アルキル基は、飽和であるか、又は代替的に不飽和であってよい。
【0014】
上の内容において、及び本明細書を通じて、用語「不活性ガス」は、ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素及びそれらの組み合わせからなる群から選択される不活性ガスを意味する。幾つかの実施態様において、パージ工程(すなわちc、e又はg)における不活性ガスは同じである。他の実施態様において、パージ工程(すなわちc、e又はg)における不活性ガスは異なってよい。
【0015】
上の内容において、及び本明細書を通じて、用語「ヒドロキシル」は、既存の表面又はプロセスの間に基材から生成した表面のいずれかの上のヒドロキシル基を意味する。適した基材の例は、以下に限定するものではないが、ケイ素、SiO2、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、窒化バナジウム、金属、例えばゲルマニウム、銅、チタン、タングステン、コバルト、ルテニウム、白金、パラジウム、アルミニウム、及びそれらの組み合わせを含む。
【0016】
上の式Iにおいて、及び本明細書を通じて、用語「環状アルキル」は、3~10個の炭素原子を有する、環状の官能基を意味する。例示的な環状アルキル基は、以下に限定するものではないが、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基を含む。
【0017】
上の式Iにおいて、及び本明細書を通じて、用語「窒素含有ヘテロ原子環基」は、窒素原子に直接連結された少なくとも1つのC=C結合を有する、C3~C10ヘテロ環基を意味する。例示的な窒素含有ヘテロ原子環基は、以下に限定するものではないが、ピロリル、置換されたピロリル、2-ピロリニル、置換されたピロリニル、イミダゾリル、置換されたイミダゾリル、2-イミダゾリニル、置換された2-イミダゾリニル、ピラゾリル、置換されたピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、2-ピラゾリニル、置換されたピラゾリニル、1,4-ジヒドロピリジニル、置換された1,4-ジヒドロピリジニル、1,2-ジヒドロピリジニル、置換された1,2-ジヒドロピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジニル及び置換された1,2,3,4-テトラヒドロピリジニルを含む。このような基の例は、3-メチルピロリル、2-メチルピロリル、3,4-ジメチルピロリル、3-エチルピロリル、2,5-ジメチルピロリル、2,4-ジメチルピロリル、2,3-ジメチルピロリル、2,3-ジヒドロ-3-メチル-ピロリル、2,3-ジヒドロ-5-メチル-1h-ピロリル、3,4-ジヒドロ-4-メチルピロリル、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチルピロリル、2,3-ジヒドロ-3,5-ジメチルピロリル、2-メチルイミダゾリル、4-メチルイミダゾリル、2-エチルイミダゾリル、2,4-ジメチルイミダゾリル、4,5-ジメチルイミダゾリル、2-メチルイミダゾリニル、4-メチル-2-イミダゾリニル、4,4-ジメチル-2-イミダゾリニル、4-メチルピラゾリル、5-メチル-ピラゾリル、3-メチルピラゾリル、5-メチル-1,2,3-トリアゾリル、4,5-ジメチル-1,2,3-トリアゾリル、4-メチル-4,5-ジヒドロ-ピラゾリル、5-メチル-2-ピラゾリニル、3-メチル-2-ピラゾリニル、1,4-ジヒドロ-4-メチルピリジニル、1,4-ジヒドロ-2-メチルピリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-メチルピリジニル及び1,2,3,4-テトラヒドロ-5,6-ジメチルピリジニルを含む。
【0018】
表1には、ケイ素原子に結合されて、第一の前駆体としてのケイ素前駆体を形成することができる窒素含有ヘテロ原子環基の非限定的な例が記載されている。
【表1】
【0019】
上の式Iにおいて、及び本明細書を通じて、用語「アルケニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有し、かつ2~10個、2~8個又は2~6個の炭素原子を有する基を意味する。
【0020】
上の式Iにおいて、及び本明細書を通じて、用語「アルキニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素三重結合を有し、かつ2~10個、2~8個又は2~6個の炭素原子を有する基を意味する。
【0021】
上の式Iにおいて、及び本明細書を通じて、用語「アリール」は、3~10個の炭素原子又は6~10個の炭素原子を有する、芳香族の環状の官能基を意味する。例示的なアリール基は、以下に限定するものではないが、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル及びo-キシリルを含む。
【0022】
第一の前駆体は、R1R2R3SiX (I)の式を有する有機アミノシラン(式中、R1、R2、R3が、水素、直鎖のC1~C10アルキル基、分岐鎖のC3~C10アルキル基、C3~C10環状アルキル基、C3~C10ヘテロ環基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基及びC4~C10アリール基からなる群からそれぞれ独立に選択され;Xが、ピロリル、置換されたピロリル、2-ピロリノ、置換されたピロリニル、イミダゾリル、置換されたイミダゾリル、2-イミダゾリニル、置換された2-イミダゾリニル、ピラゾリル、置換されたピラゾリル、2-ピラゾリニル、置換されたピラゾリノ、1,2,3-トリアゾリル、1,4-ジヒドロピリジニル、置換された1,4-ヒドロピリジニル、1,2-ジヒドロピリジニル及び置換された1,2-ジヒドロピリジニルからなる群から選択される)の窒素原子に連結された少なくとも1つのC=C結合を有する。特定の実施態様において、R1、R2及びR3は全てメチルであり、結果として、ケイ素前駆体は、Si-Meが、Si-H又はSi-Etよりも安定であるために、500℃以上、好ましくは550℃以上の温度における非コンフォーマル性の熱又はプラズマ強化ALD酸化ケイ素のために適している。第一の前駆体の例は、以下に限定するものではないが、ピロリルトリメチルシラン、ピロリルジメチルオクチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、2-ピロリノトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシラン、2-イミダゾリノトリメチルシラン、ピラゾリルトリメチルシラン、1,2,3-トリアゾリルトリメチルシラン、2-ピラゾリノトリメチルシランを含む。
【0023】
少なくとも1つの有機アミノ基を有する酸化ケイ素又は金属酸化物のための第二の前駆体は、有機アミノシラン、有機アミノジシラン、有機アミノトリシリルアミン、有機アミノシロキサン、有機アミノシクロシロキサン、有機アミノチタン、有機アミノハフニウム、有機アミノジルコニウム、有機アミノタンタル、有機アミノタングステン、有機アミノモリブデン、有機アミノアルミニウム、アルキルアルミニウム、金属アルコキシド、及び酸化ケイ素、炭素ドープされた酸化ケイ素、金属酸化物を堆積するのに使用することができる任意の他のケイ素又は金属前駆体、からなる群から選択することができる。
【0024】
有機アミノシランの例は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノシラン、ジ-sec-ブチルアミノシラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン、ジ-イソ-プロピルアミノメチルシラン、ジ-sec-ブチルアミノメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、イソ-プロピルアミノトリメチルシラン、tert-ブチルアミノトリメチルシラン、イソ-ブチルアミノトリメチルシラン、シクロヘキサアミノトリメチルシラン、ピロリジノトリメチルシラン、2-メチルピロリジノトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリジノトリメチルシラン、ピペリジノトリメチルシラン、2,6-ジメチルピペリジノトリメチルシラン、1-メチルピペラジノトリメチルシラン、ピロリルトリメチルシラン、2,5-ジメチルピロリルトリメチルシラン、イミダゾリルトリメチルシランを含む。
【0025】
有機アミノジシランの例は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノジシラン、ジ-sec-ブチルアミノジシランを含む。
【0026】
有機アミノトリシリルアミンの例は、以下に限定するものではないが、ジ-イソ-プロピルアミノトリシリルアミン、ジエチルアミノトリシリルアミン、イソ-プロピルアミノトリシリルアミン、シクロヘキシルメチルアミノトリシリルアミンを含む。
【0027】
有機アミノシロキサンの例は、以下に限定するものではないが、1-ジメチルアミノ-ペンタメチルジシロキサン、1-ジエチルアミノ-ペンタメチルジシロキサン、1-エチルメチルアミノ-ペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(ジメチルアミノ)テトラメチルジシロキサン、1-ジメチルアミノ-ヘプタメチルトリシロキサン、1,5-ビス(ジメチルアミノ)ヘキサメチルトリシロキサンを含む。
【0028】
有機アミノシクロシロキサンの例は、以下に限定するものではないが、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6-ペンタメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,4,6,6,8,8-ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2-ジメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ジエチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-エチルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-イソ-プロピルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、2-ピロリジノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン及び2-シクロヘキシルメチルアミノ-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンを含む。
【0029】
有機アミノチタンの例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタンを含む。
【0030】
有機アミノハフニウムの例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(CpHf(NMe2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(MeCpHf(NMe2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(EtCpHf(NMe2)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(CpHf(NMeEt)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(MeCpHf(NMeEt)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(EtCpHf(NMeEt)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(CpHf(NEt2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(MeCpHf(NEt2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ハフニウム(EtCpHf(NEt2)3)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム(Cp2Hf(NMe2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((MeCp)2Hf(NMe2)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((EtCp)2Hf(NMe2)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム(Cp2Hf(NMeEt)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((MeCp)2Hf(NMeEt)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((EtCp)2Hf(NMeEt)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((Cp2Hf(NEt2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((MeCp)2Hf(NEt2)3)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム((EtCp)2Hf(NEt2)2)、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジメチルアミノ)ハフニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジエチルアミノ)ハフニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジエチルアミノ)ハフニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(エチルメチルアミノ)ハフニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(エチルメチルアミノ)ハフニウムを含む。
【0031】
有機アミノジルコニウムの例は、以下に限定するものではないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpZr(NMe2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(MeCpZr(NMe2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(EtCpZr(NMe2)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpZr(NMeEt)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(MeCpZr(NMeEt)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(EtCpZr(NMeEt)3)、シクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpHf(NEt2)3)、メチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(MeCpZr(NEt2)3)、エチルシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(EtCpZr(NEt2)3)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(Cp2Zr(NMe2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((MeCp)2Zr(NMe2)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((EtCp)2Zr(NMe2)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(Cp2Zr(NMeEt)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((MeCp)2Zr(NMeEt)2)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((EtCp)2Zr(NMeEt)2)、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((Cp2Zr(NEt2)2)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((MeCp)2Zr(NEt2)3)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム((EtCp)2Zr(NEt2)2)、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、(N-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム、(N-エチル-2,4-シクロペンタジエン-1-エタンアミノ)ビス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムを含む。
【0032】
有機アミノタンタルの例は、以下に限定するものではないが、(tert-ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)タンタル、(tert-ブチルイミノ)トリス(ジエチルアミノ)タンタル及び(tert-ブチルイミノ)トリス(エチルメチルアミノ)タンタルを含む。
【0033】
有機アミノタンタルの例は、以下に限定するものではないが、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン及びビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステンを含む。
【0034】
有機アミノモリブデンの例は、以下に限定するものではないが、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)モリブデン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)モリブデン及びビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)モリブデンを含む。
【0035】
有機アミノアルミニウムの例は、以下に限定するものではないが、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム及びトリス(エチルメチルアミノ)アルミニウムを含む。
【0036】
アルキルアルミニウムの例は、以下に限定するものではないが、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-tertブチルアルミニウム(TTBA)、ビス(2-メチル-2-プロパニル)-(2-メチル-1-プロパニル)アルミニウム、(2-メチル-2-プロパニル)ビス(2-メチル-1-プロパニル)アルミニウム、トリス(2-メチル-1-プロパニル)アルミニウム、トリ(ネオペンチル)アルミニウムを含む。
【0037】
金属酸化物の例は、以下に限定するものではないが、チタンイソ-プロポキシド、チタンメトキシド、チタンエトキシド、アルミニウムイソ-プロポキシドを含む。
【0038】
幾つかの実施態様において、とりわけ金属酸化物について、第二の前駆体を導入する前に指向性ドライエッチングを行って、特徴の底部から堆積されたままの酸化ケイ素のうち幾らかを除去して、より良好なボトムアップの充填を促進することができる。
【0039】
幾つかの実施態様において、基材は表面特徴を備える。本明細書において使用されるとき、用語「表面特徴」又は「特徴」は、以下:ポア、トレンチ、シャロートレンチアイソレーション(STI)、ビア、へこんだ特徴又は類似のもの、のうち1つ又は複数を備える基材又は部分的に製造された基材を意味する。1つの特定の実施態様において、表面特徴は、100μm以下の幅、1μm以下の幅、0.5μm以下の幅、又は50nm以下の幅を有する。この実施態様又は他の実施態様において、表面特徴のアスペクト比(深さ:幅の比)は、存在する場合には、2:1以上、3:1以上、4:1以上、10:1以上、20:1以上又は40:1以上である。高アスペクト比は、100nm以下の幅で2:1以上、好ましくは100nm以下の幅で3:1以上、最も好ましくは100nm以下の幅で4:1以上であることをいう。トレンチ材料は、Si、SiO2、SiNx、炭素ドープされた酸化ケイ素又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0040】
上の式において、及び本明細書を通じて、用語「直鎖のアルキル」は、1~10個、3~10個又は1~6個の炭素原子を有する直鎖の官能基を意味する。上の式において、及び本明細書を通じて、用語「分岐鎖のアルキル」は、3~10個又は1~6個の炭素原子を有する直鎖の官能基を意味する。例示的な直鎖のアルキル基は、以下に限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル基を含む。例示的な分岐鎖のアルキル基は、以下に限定するものではないが、イソ-プロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソ-ペンチル、tert-ペンチル、イソ-ヘキシル及びネオ-ヘキシルを含む。特定の実施態様において、アルキル基は、それに結合された1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はそれらの組み合わせを有してよい。他の実施態様において、アルキル基は、それに結合された1つ又は複数の官能基を有しない。アルキル基は、飽和であるか、又は代替的に不飽和であってよい。
【0041】
先に記載されたように、本明細書において説明される方法を使用して、基材の少なくとも一部にビア及び/又はトレンチを備える表面特徴中に、酸化ケイ素又は金属酸化物を堆積することができる。適した基材の例は、以下に限定するものではないが、ケイ素、SiO2、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、窒化バナジウム、金属、例えばゲルマニウム、銅、チタン、タングステン、コバルト、ルテニウム、白金、パラジウム、アルミニウム、及びそれらの組み合わせを含む。
【0042】
膜は、種々の続く処理工程、例えば化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスと両立可能である。
【0043】
堆積された膜は、以下に限定するものではないが、コンピュータチップ、光学デバイス、磁気情報記憶装置、支持材料又は基材に対するコーティング、マイクロ電気化学システム(MEMS)、ナノ電気化学システム、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、IGZO及び液晶ディスプレイ(LCD)を含む用途を有する。
【実施例】
【0044】
一般的な膜堆積
酸化ケイ素膜の原子層堆積を、以下の前駆体:ピロリルトリメチルシランを使用して行った。堆積を、実験室規模のALD処理ツールにおいて行った。ケイ素前駆体を、蒸気引き抜きによってチャンバーに輸送した。全てのガス(例えば、パージ及び反応体ガス又は前駆体及び酸素源)を、堆積区画に入れる前に、100℃に予熱した。ガス及び前駆体の流量を、高速作動のALDダイヤフラムバルブを用いて制御した。堆積において使用される基材は、12インチ長さのケイ素ストリップであった。コンフォーマル性試験のために、パターンウエハクーポンを、堆積のためにサンプルホルダー上に配置した。サンプルホルダーに熱電対を取りつけて、基材温度を確認した。堆積を、酸素源ガスとしてオゾンを使用して行った。堆積パラメータを表1に提供していて、ここで、用語パルス又は投与は相互交換可能であり、ケイ素前駆体又は酸素源を反応器中に導入する工程を意味する。
【0045】
表1 ピロリルトリメチルシランを使用する、酸素源を用いた、酸化ケイ素膜の原子層堆積のためのプロセス
【表2】
工程b~eを、所望の厚さに到達するまで繰り返した。膜の厚さ及び屈折率(RI)を、Film Tek 2000SEエリプソメータを使用して、膜からの反射データを既定の物理モデル(例えばLorentz Oscillatorモデル)にフィッティングすることによって測定した。サイクル毎の成長速度(GPC)を、酸化ケイ素の厚さ(オングストローム(Å))をサイクルの数で割ったものとして規定した。前駆体の成長速度は、種々の基材温度において、前駆体投与時間及びオゾン時間の増加に伴って飽和を示していて、前駆体のALD挙動を示唆している。湿式エッチング速度を、脱イオン水中の、49%フッ化水素(HF)酸の1%溶液(約0.5wt%HF)を使用して行った。それぞれのバッチについて、熱酸化物ウエハを基準として使用して、溶液濃度を確認した。脱イオン水中の0.5wt%HF溶液についての、典型的な熱酸化物ウエハの湿式エッチング速度(WER)は0.5Å/sである。エッチングの前及び後の膜の厚さを使用して、湿式エッチング速度を計算した。相対WERを、ピロリルトリメチルシラン/ジメチルアミノトリメチルシランからの酸化ケイ素のWERを、同じ条件の下で測定した熱酸化物のWERによって割ったものとして計算する。
【0046】
例1
表1に従って、ピロリルトリメチルシラン/ジメチルアミノトリメチルシランを使用する酸化ケイ素の熱原子層堆積、並びにピロリルトリメチルシラン及びジメチルアミノトリメチルシランを使用するオゾン熱原子層堆積を行った。表2は、600℃、650℃及び700℃の基材温度における、サイクル毎の成長速度(GPC、Å/サイクル)をまとめている。
【0047】
表2 ピロリルトリメチルシラン対ジメチルアミノトリメチルシランのGPC
【表3】
【0048】
表2は、ピロリルトリメチルシランについての600℃及び650℃におけるGPCが、ジメチルアミノトリメチルシランについてのGPCと比較して低いことを示していて、ピロリルトリメチルシランがジメチルアミノトリメチルシランよりも反応性が低いことを示唆している。表3は、酸化ケイ素の相対湿式エッチング速度(WER)を記載していて、ピロリルトリメチルシランから堆積された酸化ケイ素が、ジメチルアミノトリメチルシランから堆積された酸化ケイ素よりも低いWERを有することを示唆している。
【0049】
表3 ピロリルトリメチルシラン対ジメチルアミノトリメチルシランの相対WER
【表4】
【0050】
例2 ピロリルトリメチルシラン及びオゾンを使用する、トレンチ構造の頂部に、非コンフォーマル性の酸化ケイ素膜の成長を堆積する概念実証
ピロリルトリメチルシランによって堆積された、非コンフォーマル性を有する熱酸化ケイ素膜を、TEMを使用して調査した。トレンチのサイズは、約50nm幅かつ約600nm深さである。600℃において堆積を行い、前駆体のパルス時間は2、16及び48秒であり、かつオゾン流は20秒である。膜はトレンチ中で非コンフォーマル性(すなわちトレンチの頂部においてより厚く、トレンチの中部及び底部においてより薄い)であり、おそらくはジメチルアミノトリメチルシランのSi-N結合よりも強い、ピロリルトリメチルシランのSi-N結合に起因して、ピロリルトリメチルシランが、非コンフォーマル性の堆積を提供するための優れた前駆体であることを示している。表4は、トレンチの頂部、中部及び底部における平均化された膜の厚さを示している。
【0051】
図1は、600℃における、ピロリルトリメチルシランを使用する(16秒の前駆体のパルス時間)、トレンチ中の非コンフォーマル性の酸化ケイ素膜成長のTEM像を示していて、トレンチ中の非コンフォーマル性の(すなわちトレンチの頂部においてより厚く、トレンチの中部及び底部においてより薄い)酸化ケイ素を示している。
【0052】
表4 トレンチの異なる位置において測定した、600℃においてピロリルトリメチルシランによって堆積された膜の厚さ
【表5】
【国際調査報告】