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特表2022-547001エステル化反応装置及びエステル化反応方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】エステル化反応装置及びエステル化反応方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/08 20060101AFI20221102BHJP
   C07C 69/82 20060101ALI20221102BHJP
   C07C 69/80 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
C07C67/08
C07C69/82 A
C07C69/80 A
C07C69/82 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513890
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 KR2020012604
(87)【国際公開番号】W WO2021060777
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0119165
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョー、ヨン ウク
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ジン、チャン ヒュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン スン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC48
4H006BD81
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006KA06
4H006KC20
4H006KC30
(57)【要約】
【要約】
本発明は、エステル化反応装置及びエステル化反応方法に関し、本発明に係るエステル化反応装置は、供給されるカルボン酸及びアルコールを含む原料物質が収容される収容部が内部に形成された反応タンクと、前記収容部の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された各区画領域を個別的に加熱させる加熱手段、及び前記加熱手段を制御してN個の前記区画領域のうち液体が位置した区画領域のみを加熱させるように前記加熱手段を制御する制御部と、を含み、前記原料物質のエステル化反応が進められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されるカルボン酸及びアルコールを含む原料物質が収容される収容部が内部に形成された反応タンクと、
前記収容部の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された区画領域を個別的に加熱させる加熱手段と、
前記加熱手段を制御して、N個の前記区画領域のうち液体が位置した区画領域のみを加熱させるように前記加熱手段を制御する制御部と、を含み、前記原料物質のエステル化反応が進められるエステル化反応装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、
N個の前記区画領域それぞれに備えられたN個の熱源供給部を含む、請求項1に記載のエステル化反応装置。
【請求項3】
前記熱源供給部は、
内部に熱源である高温流体が通過するコイル状の熱源供給管を含む、請求項2に記載のエステル化反応装置。
【請求項4】
前記熱源供給部は、
コイル状で巻かれるが、前記収容部の上下方向中心軸を基準として巻かれた幅が互いに異なる多数の熱源供給管を含む、請求項3に記載のエステル化反応装置。
【請求項5】
多数の前記熱源供給管は、
前記反応タンクで前記収容部の上下方向中心軸を基準として多数回巻かれた形態で備えられる、請求項4に記載のエステル化反応装置。
【請求項6】
N個の前記区画領域のうち最下部に位置した区画領域に位置した前記熱源供給管のコイルピッチ(Coil pitch)は、残りの区画領域に位置した前記熱源供給管のコイルピッチ(Coil pitch)より同様であるか小さく形成される、請求項3~5のいずれか一項に記載のエステル化反応装置。
【請求項7】
前記高温流体は、スチーム(steam)を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載のエステル化反応装置。
【請求項8】
N個の前記区画領域の液体収容状態を感知する感知手段を含み、
前記感知手段は、感知された前記液体収容状態の情報を前記制御部に伝達する、請求項3~5のいずれか一項に記載のエステル化反応装置。
【請求項9】
前記感知手段は、
前記反応タンクの内部に位置して前記収容部に収容された前記液体の収容高さ(レベル)を測定する液体レベルセンサを含む、請求項8に記載のエステル化反応装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記感知手段を介して感知された前記液体の収容レベル感知値により、前記収容部のN個の前記区画領域別の液体収容有無を判別して、
N個の前記区画領域のうち液体が収容されたものと判別された区画領域の前記熱源供給管に前記高温流体を供給し、液体が収容されないものと判別された区画領域の前記熱源供給管に前記高温流体の供給を遮断するように制御する、請求項9に記載のエステル化反応装置。
【請求項11】
カルボン酸及びアルコールを含む原料物質を反応タンクの収容部に供給する供給過程と、
前記収容部の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された区画領域を、加熱手段を介して個別的に加熱させる加熱過程と、
前記加熱過程中、制御部を介して前記加熱手段を制御して、N個の前記区画領域のうち液体が位置した区画領域のみを前記加熱手段が加熱するようにする制御過程と、を含み、前記原料物質のエステル化反応を行うエステル化反応方法。
【請求項12】
前記加熱過程は、
前記加熱手段であるN個の前記区画領域それぞれに備えられたN個の熱源供給部を介して、前記収容部の各区画領域を個別的に加熱する、請求項11に記載のエステル化反応方法。
【請求項13】
前記加熱過程は、
前記熱源供給部に、内部に熱源である高温流体が通過するコイル状の熱源供給管を使用して前記収容部の各区画領域を個別的に加熱する、請求項12に記載のエステル化反応方法。
【請求項14】
前記加熱過程は、
前記熱源供給管を通過する前記高温流体としてスチーム(steam)を使用する、請求項13に記載のエステル化反応方法。
【請求項15】
N個の前記区画領域の液体収容状態を、感知手段を介して個別的に感知する感知過程をさらに含み、
前記感知過程で前記感知手段を介して感知された前記液体収容状態の情報を前記制御部に伝達する、請求項13または14に記載のエステル化反応方法。
【請求項16】
前記感知過程は、
前記感知手段である前記反応タンクの内部に位置する液体レベルセンサを介して前記収容部に収容された前記液体の収容レベル(高さ)を感知する、請求項15に記載のエステル化反応方法。
【請求項17】
前記制御過程は、
前記制御部で前記感知過程中に感知された前記液体の収容レベル感知値により、前記収容部のN個の前記区画領域別の液体収容有無を判別して、
N個の前記区画領域のうち液体が収容されたものと判別された区画領域の前記熱源供給管に前記高温流体を供給し、液体が収容されないものと判別された区画領域の前記熱源供給管に前記高温流体の供給を遮断するように制御する、請求項16に記載のエステル化反応方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年9月26日に出願された韓国特許出願第10-2019-0119165号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、エステル化反応方法及びエステル化反応装置に関する。
【背景技術】
【0003】
フタレート系可塑剤は、20世紀まで世界の可塑剤市場の92%を占めており(Mustafizur Rahman and Christopher S.Brazel「The plasticizer market:an assessment of traditional plasticizers and research trends to meet new challenges」Progress in Polymer Science 2004、29、1223-1248参考)、主にポリ塩化ビニル(以下、PVCという)に柔軟性、耐久性、耐寒性などを付与し、溶融時に粘度を下げて加工性を改善するために使用される添加物であって、PVCに様々な含量に投入され、硬いパイプのような硬質製品から、柔らかくてよく伸びて食品包装材及び血液バック、床材などに使用できる軟質製品に至るまで、その如何なる材料よりも実生活と密接な連関性を有し、人体との直接的な接触が不可避な用途として広く使用されている。
【0004】
しかし、フタレート系可塑剤のPVCと相溶性及び優れた軟質付与性にもかかわらず、最近、フタレート系可塑剤が含有されたPVC製品を実生活で使用する際に、製品の外部に少しずつ流出され、内分泌系障害(環境ホルモン)推定物質、及び重金属水準の発癌物質として作用し得るという有害性の論難が提起されている(N.R.Janjua et al.「Systemic Uptake of Diethyl Phthalate、Dibutyl Phthalate、 and Butyl Paraben Following Whole-body Topical Application and Reproductive and Thyroid Hormone Levels in Humans」Environmental Science and Technology 2008、42、7522-7527参照)。特に、1960年代に米国で、フタレート系可塑剤の中でその使用量が最も多いジエチルヘキシルフタレート(di-(2-ethylhexyl)phthalate、DEHP)がPVC製品の外部に流出されるという報告が発表された後、1990年代に入ってから環境ホルモンに対する関心が増し、フタレート系可塑剤の人体有害性に対する多様な研究をはじめとして、汎世界的な環境規制が施され始めた。
【0005】
そこで、多くの研究陣は、フタレート系可塑剤、特にジ(2-エチルヘキシル)フタルレートの流出による環境ホルモンの問題、及び環境規制に対応すべく、ジ(2-エチルヘキシル)フタルレートの製造時に使用される無水フタル酸が排除された新しい非フタレート系代替可塑剤を開発するか、フタルレート基盤であるが可塑剤の流出が抑制されて工業用として使用され得るジ(2-エチルヘキシル)フタルレートを代替できるフタルレート系可塑剤を開発するだけでなく、フタレート系可塑剤の流出を抑制して人体への危害性を顕著に減らすことはもちろん、環境基準にも適合した流出抑制の技術を開発するために研究を進めている。
【0006】
このように、ジエステル基盤の可塑剤として、既存の環境的問題のあるジ(2-エチルヘキシル)フタルレートを代替できる環境的問題から自由な物質の開発が活発に進められており、物性に優れたジエステル系可塑剤を開発する研究はもちろん、このような可塑剤を製造するための設備に関する研究も活発に進められており、工程設計の側面でより効率的かつ経済的で、簡素な工程の設計が求められている。
【0007】
一方、該ジエステル系可塑剤を製造するために、原料物質に熱を加えてエステル化反応を行う反応工程を含んで製造しているが、反応工程で原料物質に熱源を供給する際に、熱伝達効率が低く、原料物質が炭化して異物が発生する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0027623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一観点は、原料物質に熱源を供給してエステル化反応が起こるように反応タンクの収容部に熱源を供給する際に、熱伝達効率を増大させることができ、原料物質が炭化することを防止することができるエステル化反応装置及びエステル化反応方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によるエステル化反応装置は、供給されるカルボン酸及びアルコールを含む原料物質が収容される収容部が内部に形成された反応タンクと、前記収容部の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された各区画領域を個別的に加熱させる加熱手段、及び前記加熱手段を制御してN個の前記区画領域のうち液体が位置した区画領域のみを加熱させるように前記加熱手段を制御する制御部を含み、前記原料物質のエステル化反応が進められ得る。
【0011】
一方、本発明の実施形態によるエステル化反応方法は、カルボン酸及びアルコールを含む原料物質を反応タンクの収容部に供給する供給過程と、前記収容部の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された各区画領域を、加熱手段を介して個別的に加熱させる加熱過程、及び前記加熱過程中、制御部を介して前記加熱手段を制御し、N個の前記区画領域のうち液体が位置した区画領域のみを前記加熱手段が加熱するようにする制御過程を含み、前記原料物質のエステル化反応を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カルボン酸及びアルコールを含む原料物質に熱を加えてエステル化反応が起こる反応タンクの収容部で、液体が収容されたウェット(Wet)領域にのみ熱源を供給して熱伝達効率を増大させることができる。ここで、収容部の液体が収容されないドライ(Dry)領域の熱源供給を遮断し、ドライ(Dry)領域に位置した原料物質が炭化して異物が発生する問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態によるエステル化反応装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態によるエステル化反応装置を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態によるエステル化反応装置の概念を例示的に示す断面図である。
図4】本発明の実施形態によるエステル化反応装置で反応タンクの内部を例示的に示す平面図である。
図5】本発明の実施形態によるエステル化反応装置で熱源供給部に含まれた多数の熱源供給管を例示的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、特定の長所及び新規な特徴は、添付の図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施形態からさらに明らかになる。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付加するに当たり、同一の構成要素に限っては、たとえ他の図面上に示されても、できる限り同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明は、様々な異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。また、本発明を説明するに当たり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態によるエステル化反応装置を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態によるエステル化反応装置を示す断面図であり、図3は、本発明の実施形態によるエステル化反応装置の概念を例示的に示す断面図である。
【0016】
また、図4は、本発明の実施形態によるエステル化反応装置で反応タンクの内部を例示的に示す平面図であり、図5は、本発明の実施形態によるエステル化反応装置で熱源供給部に含まれた多数の熱源供給管を例示的に示す分解斜視図である。
【0017】
図1から図3を参考にすれば、本発明の実施形態によるエステル化反応装置100は、収容部111が内部に形成された反応タンク110と、収容部111の区画領域N、N-1、N-2を個別的に加熱させる加熱手段120、及び加熱手段120を制御する制御部130を含み、原料物質のエステル化反応が進められる。本発明の実施形態によるエステル化反応装置100は、液体収容状態を感知する感知手段140をさらに含んでよい。
【0018】
より詳しくは、反応タンク110は、外部から供給されるカルボン酸及びアルコールを含む原料物質が収容される収容部111が内部に形成される。
【0019】
ここで、カルボン酸は、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上を含むものであってよい。
【0020】
ここで、アルコールは、アルキル炭素数が3~10であってよい。
【0021】
一方、原料物質は、反応タンク110の外部から原料供給部150を介して反応タンク110の収容部111に供給されてよい。この際、反応タンク110の収容部111に供給された原料物質は、反応タンク110の収容部111に位置した攪拌部180を介して攪拌されてよい。ここで、原料供給部150に第1調節バルブ151が備えられ、原料物質の供給を調節することができる。
【0022】
加熱手段120は、収容部111の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された各区画領域N、N-1、N-2を個別的に加熱させることができる。(図3では、区画領域が3個に示されているが、本発明の収容部上の区画領域の個数が3個に必ず限定されるものではない。)
【0023】
また、加熱手段120は、N個の区画領域N、N-1、N-2それぞれに備えられたN個の熱源供給部121、122、123を含んでよい。ここで、加熱手段120は、N個の熱源供給部121、122、123をそれぞれ開閉させる供給部バルブVをさらに含んでよい。
【0024】
さらに、加熱手段120は、例えば、上下方向に対して収容部111の上部に位置する第1熱源供給部121、中央部に位置する第2熱源供給部122、及び下部に位置する第3熱源供給部123を含んでよいが、本発明の加熱手段120の熱源供給部121、122、123の数がここに必ず限定されるものではない。ここで、加熱手段120は、例えば、第1熱源供給部121を開閉させる第1供給部バルブV1と、第2熱源供給部122を開閉させる第2供給部バルブV2、及び第3熱源供給部123を開閉させる第3供給部バルブV3を含んでよい。
【0025】
図2から図5を参照すれば、熱源供給部121、122、123は、内部に熱源である高温流体が通過するコイル(Coil)状の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cを含んでよい。ここで、高温流体は、例えば、スチーム(steam)を含んでよい。ここで、熱源供給部121、122、123をそれぞれ開閉させる供給部バルブVは、熱源供給部121、122、123でそれぞれの熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cごとに取り付けられてよい。
【0026】
また、熱源供給部121、122、123は、コイル状で巻かれるが、収容部111の上下方向中心軸Xを基準として巻かれた幅(a、b、c)が互いに異なる多数の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cを含んでよい。ここで、N個の熱源供給部121、122、123それぞれは、コイル状の多数の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cをそれぞれ含んでよい。これにより、反応タンク110の収容部111を均一に加熱することができる。ここで、N個の熱源供給部121、122、123のうち熱源が供給される収容部111の区画領域N、N-1、N-2に位置した熱源供給部121、122、123は、当該区画領域N、N-1、N-2を均一に加熱することができる。
【0027】
さらに、多数の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cは、例えば、巻かれた幅(a、b、c)が大きい順序で第1熱源供給管121a、122a、123aと、第2熱源供給管121b、122b、123b、及び第3熱源供給管121c、122c、123cを含んでよい。すなわち、巻かれた幅(a)の最も大きい第1熱源供給管121a、122a、123aは、反応タンク110と最も隣接するように螺旋状の曲線を形成して位置し、巻かれた幅(c)の最も小さな第3熱源供給管121c、122c、123cは、収容部111の上下方向中心軸Xと最も隣接するように螺旋状の曲線を形成して位置し、巻かれた幅(b)が第1熱源供給管121a、122a、123a及び第3熱源供給管121c、122c、123cの間である第2熱源供給管121b、122b、123bは、第1熱源供給管121a、122a、123a及び第3熱源供給管121c、122c、123cの間に螺旋状の曲線を形成して位置する。しかし、熱源供給部121、122、123の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cの数がここに必ず限定されるものではない。
【0028】
また、多数の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cは、例えば、反応タンク110で収容部111の上下方向中心軸Xを基準として多数回巻かれた形状で備えられてよい。
【0029】
また、収容部111のN個の区画領域N、N-1、N-2のうち最下部に位置した区画領域N-2に位置した熱源供給管123a、123b、123cのコイルピッチ(Coil pitch)Pは、残りの区画領域N、N-1に位置した熱源供給管121a、122a、121b、122b、121c、122cのコイルピッチ(Coil pitch)Pより同様であるか小さく形成されてよい。これにより、常に液状の原料物質が収容される収容部111の最下部の区画領域N-2の熱伝達効率をより向上させ、反応効率を向上させることができる。
【0030】
一方、加熱手段120を介して加熱されるカルボン酸及びアルコールがエステル化反応を起こし、エステル化反応の生成物としてエステル系物質及び水が生成され得る。ここで.エステル化反応により液状であるエステル系物質が生成され、液状物質排出部160を介して反応タンク110の外部に排出され、水が生成されても気化して気化物質排出部170を介して反応タンク110の外部に排出され得る。
【0031】
液状物質排出部160は、例えば、反応タンク110の下部と連結され、気化物質排出部170は、反応タンク110の上部と連結されてよい。
【0032】
また、液状物質排出部160に第2調節バルブ161が備えられて生成された液状物質の排出を調節することができ、気化物質排出部170に第3調節バルブ171が備えられて気化物質の排出を調節することができる。(参照:図1
【0033】
図3を参考にすれば、感知手段140は、収容部111のN個の区画領域N、N-1、N-2の液体収容状態を感知することができる。
【0034】
また、感知手段140は、感知された液体収容状態の情報を制御部130に伝達することができる。
【0035】
さらに、感知手段140は、反応タンク110の内部に位置して収容部111に収容された液体Rの収容高さ(レベル)を測定する液体レベルセンサ141、142を含んでよい。
【0036】
ここで、感知手段140は、反応タンク110の収容部111の上側部に位置した第1液体レベルセンサ141及び反応タンク110の収容部111の下側部に位置した第2液体レベルセンサ142を含んでよい。
【0037】
図1及び図3を参考にすれば、制御部130は、加熱手段120を制御してN個の区画領域N、N-1、N-2のうち液体Rが位置した区画領域N、N-1、N-2のみを加熱させるように加熱手段120を制御することができる。ここで、制御部130は、N個の熱源供給部121、122、123をそれぞれ開閉させる供給部バルブVを制御することにより、加熱手段120の熱源供給を制御することができる。
【0038】
また、制御部130は、感知手段140を介して感知された液体Rの収容レベル感知値により、収容部111のN個の区画領域N、N-1、N-2別の液体収容有無を判別することができる。ここで、制御部130は、N個の区画領域N、N-1、N-2のうち液体Rが収容されたものと判別された区画領域N、N-1、N-2の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体を供給し、液体Rが収容されないものと判別された区画領域N、N-1、N-2の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体の供給を遮断するように制御することができる。
【0039】
ここで、熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体を供給して加熱される当該区画領域N、N-1、N-2は、例えば、150℃~230℃の温度で加熱されてよい。ここで、具体的には、例えば、熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体を供給して加熱される当該区画領域N、N-1、N-2は、例えば、180℃の温度で加熱されてよい。この際、本発明の加熱手段120である熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cを介して、当該区画領域N、N-1、N-2が個別的に加熱されるように制御部130で各供給部バルブV1、V2、V3の開閉を調節することにより、当該区画領域N、N-1、N-2の熱源供給を制御することができる。
【0040】
一方、制御部130は、原料供給部150に第1調節バルブ151と、液状物質排出部160に第2調節バルブ161、及び気化物質排出部170に第3調節バルブ171と連結され、第1調節バルブ151、第2調節バルブ161、及び第3調節バルブ171を制御することができる。(ここで、バルブが制御部を介して電気的に制御される技術は公知の技術であるので、バルブの作動原理及び制御原理に対する説明は省略する。)
【0041】
図1から図3を参考にすれば、前記のように構成された本発明の実施形態によるエステル化反応装置100は、カルボン酸及びアルコールを含む原料物質に熱を加えてエステル化反応が起こる反応タンク110の収容部111をN個に区画し、各区画領域N、N-1、N-2を個別的に加熱手段120を介して加熱させるが、液体Rが位置した区画領域N、N-1、N-2のみを加熱させるように制御部130で加熱手段120を制御することができる。
【0042】
これにより、収容部111のN個の区画領域N、N-1、N-2のうち液体Rが収容されたウェット(Wet)領域にのみ熱源を供給して熱伝達効率を顕著に増大させることができる。すなわち、液状のカルボン酸及びアルコールが混合された原料物質に熱を加えてエステル化反応が行われるようにする際に、カルボン酸及びアルコールが混合された原料液が収容されたエステル化反応が起こる領域のみを加熱して、エステル化反応が起こらない原料液が収容されない領域に不必要に熱源が加えられ、効率が低下する問題を防止することができる。
【0043】
また、液体Rが収容されないドライ(Dry)領域の熱源供給を遮断することにより、原料物質が炭化する問題を防止することができる。すなわち、液状のカルボン酸及びアルコールが混合された原料物質に熱を加えてエステル化反応が行われるようにする際に、原料物質のうち固体又は気体状態の物質に熱が加えられて炭化されることから異物が発生する問題をドライ(Dry)領域の熱源供給を遮断することにより防止することができる。
【0044】
以下で本発明の実施形態によるエステル化反応方法を説明する。
【0045】
図1から図3を参考にすれば、本発明の実施形態によるエステル化反応方法は、原料物質を反応タンク110の収容部111に供給する供給過程と、収容部111の区画領域N、N-1、N-2を加熱させる加熱過程、及び加熱過程中に制御部を介して加熱手段120を制御する制御過程を含み、原料物質のエステル化反応を行う。また、本発明の実施形態によるエステル化反応方法は、液体収容状態を感知する感知過程をさらに含んでよい。
【0046】
より詳しくは、供給過程は、カルボン酸及びアルコールを含む原料物質を反応タンク110の収容部111に供給することができる。
【0047】
また、供給過程は、例えば、液状のカルボン酸及びアルコールを混合して原料供給部150を介して反応タンク110の収容部111に供給することができる。ここで、原料供給部150に第1調節バルブ151が備えられて原料物質の供給を調節することができる。
【0048】
カルボン酸は、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上を含むものであってよい。
【0049】
アルコールは、アルキル炭素数が3~10であってよい。
【0050】
また、供給過程で反応タンク110の収容部111にカルボン酸の投入量及び1次アルコールの総投入量のモル比率は、例えば、1:2~1:5であってよい。
【0051】
加熱過程は、収容部111の上下方向にN(Nは、2以上の整数)個に区画された各区画領域N、N-1、N-2を、加熱手段120を介して個別的に加熱させることができる。
【0052】
また、加熱過程は、加熱手段120であるN個の区画領域N、N-1、N-2それぞれに備えられたN個の熱源供給部121、122、123を介して、収容部111の各区画領域N、N-1、N-2を個別的に加熱することができる。
【0053】
さらに、加熱過程は、熱源供給部121、122、123に、内部に熱源である高温流体が通過するコイル状の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cを使用して、収容部111の各区画領域N、N-1、N-2を個別的に加熱することができる。
【0054】
また、加熱過程は、熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cを通過する高温流体としてスチーム(steam)を使用することができる。
【0055】
加熱過程を介してカルボン酸及びアルコールがエステル化反応を起こし、エステル化反応の生成物としてエステル系物質及び水が生成され得る。
【0056】
ここで、エステル化反応により生成された液状のエステル系物質は、液状物質排出部160を介して反応タンク110の外部に排出され、水は気化して気化物質排出部170を介して反応タンク110の外部に排出され得る。
【0057】
液状物質排出部160は、例えば、反応タンク110の下部と連結され、気化物質排出部170は、反応タンク110の上部と連結されてよい。
【0058】
また、液状物質排出部160に第2調節バルブ161が備えられて生成された液状物質の排出を調節することができ、気化物質排出部170に第3調節バルブ171が備えられて気化したアルコール及び水などの気化物質の排出を調節することができる。
【0059】
感知過程は、N個の区画領域N、N-1、N-2の液体収容状態を、感知手段140を介して個別的に感知することができる。ここで、感知過程は、感知手段140を介して感知された液体収容状態の情報を制御部130に伝達することができる。
【0060】
また、感知過程は、感知手段140である反応タンク110の内部に位置する液体レベルセンサを介して、収容部111に収容された液体Rの収容レベル(高さ)を感知することができる。
【0061】
制御過程は、加熱過程中に制御部130を介して加熱手段120を制御することにより、N個の区画領域N、N-1、N-2のうち液体Rが位置した区画領域N、N-1、N-2のみを加熱手段120が加熱するようにすることができる。
【0062】
また、制御過程は、制御部130で感知過程中に感知された液体Rの収容レベル感知値により、収容部111のN個の区画領域N、N-1、N-2別の液体収容有無を判別することができる。ここで、制御過程は、N個の区画領域N、N-1、N-2のうち液体Rが収容されたものと判別された区画領域N、N-1、N-2の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体を供給し、液体Rが収容されないものと判別された区画領域N、N-1、N-2の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体の供給を遮断するように制御することができる。
【0063】
さらに、制御過程は、例えば、熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに備えられて熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cを開閉させる供給部バルブVの開閉を制御部130が制御することにより、熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに高温流体の供給を調節することができる。ここで、制御過程は、具体的には、例えば、収容部111のN個の区画領域N、N-1、N-2のうち液体Rが収容されたものと判別された区画領域N、N-1、N-2の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに位置した供給部バルブVを開放して高温流体を供給し、液体Rが収容されないものと判別された区画領域N、N-1、N-2の熱源供給管121a、122a、123a、121b、122b、123b、121c、122c、123cに取り付けられた供給部バルブVを閉鎖することにより、高温流体の供給を遮断することができる。
【0064】
一方、制御部130は、原料供給部150に第1調節バルブ151と、液状物質排出部160に第2調節バルブ161、及び気化物質排出部170に第3調節バルブ171と連結され、第1調節バルブ151、第2調節バルブ161、及び第3調節バルブ171を制御することができる。これにより、制御過程は、制御部130を介して原料物質の供給量と、生成された液状物質の排出量、及び気化物質の排出量を調節することができる。ここで、制御過程は、制御部130を介して反応タンク110の収容部111に収容される液体Rの収容レベル(高さ)を調節することができる。したがって、制御過程は、制御部130を介してN個の熱源供給部121、122、123に個別的に加熱される収容部111上のN個の区画領域N、N-1、N-2の適正な高さに液体Rの収容レベル(高さ)が対応するように調節することができる。
【0065】
以上、本発明を具体的な実施形態により詳しく説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためであって、本発明に係るエステル化反応装置及びエステル化反応方法はこれに限定されない。本発明の技術的思想内において当該分野の通常の知識を有する者により多様な実施が可能である。
【0066】
また、発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明らかになる。
【符号の説明】
【0067】
100 エステル化反応装置
110 反応タンク
111 収容部
120 加熱手段
121 第1熱源供給部
121a 第1熱源供給管
121b 第2熱源供給管
121c 第3熱源供給管
122 第2熱源供給部
122a 第1熱源供給管
122b 第2熱源供給管
122c 第3熱源供給管
123 第3熱源供給部
123a 第1熱源供給管
123b 第2熱源供給管
123c 第3熱源供給管
130 制御部
140 感知手段
141 第1液体レベルセンサ
142 第2液体レベルセンサ
150 原料供給部
151 第1調節バルブ
160 液状物質排出部
161 第2調節バルブ
170 気化物質排出部
171 第3調節バルブ
180 攪拌部
R 液体
V 供給部バルブ
V1 第1供給部バルブ
V2 第2供給部バルブ
V3 第3供給部バルブ
X 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】