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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】円偏光板
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20221102BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20221102BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20221102BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221102BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221102BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221102BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221102BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B1/11
G02B1/14
H05B33/14 A
H05B33/02
G09F9/30 349E
B32B7/023
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515070
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 KR2020014702
(87)【国際公開番号】W WO2021085973
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0138749
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・クン・イ
【テーマコード(参考)】
2H149
2K009
3K107
4F100
5C094
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB01
2H149AB05
2H149BA02
2H149BA12
2H149DA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149DA19
2H149EA02
2H149EA03
2H149EA19
2H149EA22
2H149FA02Z
2H149FA03W
2H149FA05Y
2H149FA66
2H149FC02
2H149FC03
2H149FD05
2H149FD09
2H149FD10
2H149FD12
2H149FD14
2K009AA02
2K009AA15
2K009BB28
2K009CC01
2K009CC09
2K009DD02
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107CC32
3K107EE26
3K107FF06
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AT00C
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB05D
4F100GB41
4F100JN06A
4F100JN10B
4F100JN18
4F100YY00A
4F100YY00B
5C094AA08
5C094ED14
5C094JA11
(57)【要約】
本出願は、円偏光板に関する。本出願は、フラット分散特性を有する位相差フィルムを用いて反射色感を改善し得る円偏光板を提供することができる。また、本出願は、前記円偏光板を含むOLED装置を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射防止フィルム、偏光子、R(450)/R(550)値が0.99~1.01である位相差フィルム及び粘着剤層を順次に含む円偏光板であって、前記反射防止フィルムの550nm波長に対する反射率は、2.0%以下であり、反射色は、L色座標基準b>0を満足し、前記円偏光板の430nm波長に対する透過率は、30%超過であり、R(λ)は、λnm波長に対する面内位相差値であることを特徴とする、円偏光板。
【請求項2】
前記反射防止フィルムの最低反射波長は、500nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項3】
前記反射防止フィルムの最低反射波長は、380nm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項4】
前記反射防止フィルムは、最低反射率は1%以下であり、380nm~780nm範囲内の波長で反射率が1%以下である波長帯域が1個存在することを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項5】
前記反射防止フィルムのヘイズは、1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項6】
前記反射防止フィルムは、反射色がL色座標基準a>0及びL>0を満足することを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項7】
前記偏光子の550nm波長の光に対する透過率は、40%~50%範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項8】
前記位相差フィルムの550nm波長の光に対する面内位相差値は、130nm~144nm範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項9】
前記位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸が成す角度は、35度~55度範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項10】
前記円偏光板の460nm及び550nm波長の光に対する透過率は、それぞれ40%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項11】
前記円偏光板の430nm波長の光に対する透過率は、50%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項12】
前記円偏光板は、370nm~430nm範囲内の波長で最大吸光度を示す染料をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の円偏光板。
【請求項13】
OLEDパネル及び前記OLEDパネルの一面に配置された請求項1~12のいずれか一項に記載の円偏光板を含むことを特徴とする、OLED装置。
【請求項14】
前記OLEDパネルは、500nm~600nmの範囲内の波長の光に対する平均反射率が25%以下であることを特徴とする、請求項13に記載のOLED装置。
【請求項15】
前記円偏光板が付着されたOLEDパネルの550nm波長の光に対する反射率は、2.1%以下であることを特徴とする、請求項13に記載のOLED装置。
【請求項16】
前記円偏光板が付着されたOLEDパネルの反射色は、L色座標基準下記式3又は式4を満足することを特徴とする、請求項13に記載のOLED装置。
[式3]
【数1】
[式4]
0<a<8及び-8<b<0
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、円偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年11月1日に提出された大韓民国特許出願第10-2019-0138749号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0003】
偏光子及び位相差フィルムを基本的に含むいわゆる円偏光板は、OLEDパネルのOff状態で表面反射を低めるために用いられ得る。例えば、特許文献1では、有機発光装置において透明電極側に円偏光板を配置する方法が開示されている。円偏光板に用いる前記位相差フィルムが逆分散特性を有する場合、反射色感がneutralで最も優れるが、材料特性上価格が非常に高価である(特許文献1:日本公開特許平8-321381号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、フラット分散特性を有する位相差フィルムを用いて反射色感を改善し得る円偏光板及び前記円偏光板を含むOLED装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、円偏光板に関する。図1は、本出願の円偏光板を例示的に示す。図1に示したように、本出願の円偏光板100は、反射防止フィルム10、偏光子20、位相差フィルム30及び粘着剤層40を順次に含むことができる。前記位相差フィルムは、フラット分散特性を有することができる。前記反射防止フィルムの550nm波長の光に対する反射率は、2.0%以下であってもよい。前記反射防止フィルムは、反射色がL色座標基準b>0を満足することができる。前記円偏光板は、430nm波長の光に対する透過率が30%超過であってもよい。
【0006】
本出願は、このような円偏光板を通じて、フラット分散特性を有する位相差フィルムを用いても反射色感を改善することができる。以下、本出願の円偏光板に対して具体的に説明する。
【0007】
前記反射防止フィルムの反射率は、円偏光板が後述するOLEDパネルに付着された状態で測定された反射率が約1.4%以下となるようにする範囲内で調節され得る。前記反射防止フィルムの550nm波長の光に対する反射率は、2.0%以下であってもよく、具体的に、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下又は1.3%以下であってもよい。前記反射防止フィルムの550nm波長の光に対する反射率の下限は、例えば、0.6%以上又は0.7%以上であってもよい。
【0008】
前記反射防止フィルムの380nm~780nm波長の光に対する透過率が90%以上又は95%以上であってもよい。前記反射防止フィルムのヘイズは、1%以下であってもよい。反射防止フィルムのヘイズの下限は、特に制限されないが、例えば、0.01%以上であってもよい。
【0009】
前記反射防止フィルムの反射色は、CIE 1976で定義された方法によって決定されたL色座標基準b>0を満足することができる。また、前記反射防止フィルムの反射色は、CIE 1976で定義された方法によって決定されたL色座標基準a>0及びL>0を満足することができる。前記aは、具体的に、0.5以上、1.0以上、1.5以上又は2.0以上であってもよく、その上限は、例えば、5以下であってもよい。前記bは、具体的に、0.05以上、0.1以上、0.5以上、1.0以上、2.0以上又は3.0以上であってもよく、その上限は、例えば、10以下であってもよい。一方、反射防止フィルムの反射色は、CIE 1976で定義された方法によって決定されたL色座標基準a<b又はa>bを満足することができる。一つの例示で、反射防止フィルムの反射色がa>bを満足する場合、a<bを満足する場合と比較して、反射色感を改善することに一層有利である。また、前記Lは、具体的に、0.5<L<13を満足することができる。前記Lは、具体的に、2.0以上、4.0以上、6.0以上又は7.0以上であってもよい。このような反射防止フィルムの使用を通じてフラット分散特性を有する位相差フィルムを用いて反射色感を改善することに一層有利である。
【0010】
前記反射防止フィルムは、最低反射波長が500nm以下、490nm以下、485nm以下、480nm以下、475nm以下又は470nm以下であってもよい。本明細書で最低反射波長は、前記反射防止フィルムの光の波長に対する反射率スペクトラムで、反射率が最も低く現われる地点の波長を意味することができる。前記最低反射波長は、例えば、380nm以上であってもよい。前記反射防止フィルムは、最低反射率が1.0%以下であってもよい。本明細書で最低反射率は、前記反射防止フィルムの波長に対する反射率スペクトラムで、反射率が最も低く現われる地点の反射率を意味することができる。
【0011】
前記反射防止フィルムは、波長に対する反射率スペクトラムがU字形グラフを示すことができる。図2の(a)は、U字形グラフを例示的に示し、図2の(b)は、W字形グラフを例示的に示す。しかし、図2は、U字形グラフを例示的に説明するための図面であり、本出願の範囲が図2に制限されるものではない。前記反射防止フィルムは、380nm~780nm範囲内の波長で最低反射率を示す反射帯域、例えば、反射率が1%以下である波長帯域が1個(図2の(a)のR1領域)存在することができる。このようなU字形グラフは、380nm~780nm範囲内の波長で最低反射率を示す反射帯域が2領域(図2の(b)のR1、R2)であるW字形グラフと区分される概念であってもよい。このような反射防止フィルムの使用を通じてフラット分散特性を有する位相差フィルムを用いて反射色感を改善することに一層有利であり得る。
【0012】
前記反射防止フィルムの光学物性が前記範囲内である場合、材料は適切に選択され得る。例えば、前記反射防止フィルムは、低屈折層を含むことができる。反射防止フィルムの光学物性を前記範囲内に調節することは公知である。例えば、反射防止フィルムの最低反射波長は、低屈折層の厚さを厚くするほど長波長に移動し、低屈折層の厚さを薄くするほど短波長に移動する傾向がある。また、反射防止フィルムの最低反射率は、低屈折率材料により決定され得る。例えば、反射防止フィルムの最低反射率は、低屈折材料の屈折率が低いほど低くなる傾向がある。
【0013】
前記低屈折層は、低屈折物質を含むことができる。一つの例示で、前記低屈折物質は、低屈折無機粒子であってもよい。前記低屈折無機粒子は、550nm波長の光に対する屈折率が、例えば、1.5以下、1.45以下又は1.40以下であってもよい。前記屈折率の下限は、例えば、1.0以上、1.1以上、1.2以上又は1.3以上であってもよい。
【0014】
一つの例示で、低屈折無機粒子は、シリカ系粒子であってもよい。前記シリカ系粒子は、例えば、中空シリカ、メソポーラスシリカ(mesoporous silica)などを例示することができる。他の一つの例示で、低屈折無機粒子としては、フッ化マグネシウム(MgF)を用いることができる。
【0015】
一つの例示で、低屈折無機粒子は、ナノサイズの粒子であってもよい。低屈折無機粒子の平均粒径は、例えば、10nm~700nm、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~200nm又は10nm~100nmの範囲内であってもよい。
【0016】
低屈折層の厚さは、本出願の目的を考慮して適切に調節され得る。低屈折層の厚さは、例えば、10nm~500nm、10nm~300nm、10nm~200nm、50nm~200nm又は100nm~200nm範囲内であってもよい。上述したように、反射防止フィルムの最低反射波長は、低屈折層の厚さによって調節できるので、所望する最低反射波長を考慮して低屈折層の厚さを前記範囲内で適切に調節することができる。
【0017】
低屈折層は、バインダー樹脂をさらに含むことができる。低屈折無機粒子は、バインダー樹脂内に分散した状態で存在することができる。
【0018】
低屈折層は、バインダー樹脂100重量部に対して低屈折無機粒子を30~600重量部で含むことができる。具体的に、低屈折無機粒子は、バインダー樹脂100重量部に対して30~500重量部、30~400重量部、30~300重量部、30~200重量部又は100~200重量部の範囲で含まれ得る。低屈折無機粒子の含量が過多となる場合、反射率が高くなり得、表面凹凸が過多に発生して耐スクラッチ性、防汚性のような表面特性が低下し得る。
【0019】
バインダー樹脂は、例えば、光重合性化合物であってもよい。具体的に、光重合性化合物は、(メト)アクリレート基又はビニル基を含む単量体又はオリゴマーを含むことができる。より具体的に、光重合性化合物は、(メト)アクリレート基又はビニル基を1以上、又は2以上、又は3以上含む単量体又はオリゴマーを含むことができる。
【0020】
(メト)アクリレート基を含む単量体又はオリゴマーの具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メト)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メト)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メト)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メト)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ブチルメタクリレート又はこれらの2種以上の混合物や、又はウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、デンドリティックアクリレートオリゴマー又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。このとき、前記オリゴマーの分子量は、1,000~10,000範囲内であることが好ましい。
【0021】
前記ビニル基を含む単量体又はオリゴマーの具体的な例としては、ジビニルベンゼン、スチレン又はパラメチルスチレンが挙げられる。
【0022】
一方、光重合性化合物は、上述した単量体又はオリゴマー以外にフッ素系(メト)アクリレート系単量体又はオリゴマーをさらに含むことができる。前記フッ素系(メト)アクリレート系単量体又はオリゴマーをさらに含む場合、前記(メト)アクリレート基又はビニル基を含む単量体又はオリゴマーに対する前記フッ素系(メト)アクリレート系単量体又はオリゴマーの重量比は、0.1%~10%範囲内であってもよい。
【0023】
反射防止フィルムは、基材層をさらに含むことができ、低屈折層は、基材層の一面に形成されていてもよい。
【0024】
基材層としては、光透過性樹脂を含むことができる。したがって、基材層は、光透過性基材層であってもよい。基材層は、例えば、380nm~780nm波長の光に対する透過率が90%以上であってもよい。前記基材層は、例えば、380nm~780nm波長の光に対するヘイズが1%以下であってもよい。このような基材層の使用を通じて透過度を高く維持するとともに反射率を低めることができる反射防止フィルムの提供に一層有利であり得る。
【0025】
基材層は、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、環状オレフィン系高分子(cycloolefin polymer)フィルム、ポリ(メト)アクリレート系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリノルボルネン(polynorbornene)フィルム及びポリエステルフィルムからなる群より選択された1種以上を含むことができる。基材層の厚さは、生産性などを考慮して10μm~300μm範囲内であってもよいが、これに限定するものではない。
【0026】
低屈折層は、低屈折層形成用組成物を基材層上にコーティング及び硬化することで製造することができる。低屈折層形成用組成物は、前記低屈折無機粒子を含むことができ、また、前記バインダー樹脂をさらに含むことができる。後述するように、基材層上にハードコーティング層が形成されている場合、前記低屈折層形成用組成物をハードコーティング層上にコーティング及び硬化することで低屈折層を形成することができる。
【0027】
低屈折層形成用組成物をコーティングする方法は、特に制限されず、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング又はブレードコーティングなどの公知のコーティング方法により行われ得る。
【0028】
低屈折層形成用組成物を硬化する方法は、特に制限されず、例えば、光の照射又は熱の印加により行われ得る。前記低屈折層形成用組成物を光硬化することは、200nm~400nm波長の紫外線又は可視光線を照射することで行われ得る。また、光照射時の露光量は、100mJ/cm~4,000mJ/cm範囲内であってもよい。露光時間も特に限定されるものではなく、用いられる露光装置、照射光線の波長又は露光量によって適切に変化させ得る。
【0029】
反射防止フィルムは、ハードコーティング層をさらに含むことができる。ハードコーティング層は、基材層と低屈折層の間に存在することができる。ハードコーティング層は、反射防止フィルムの硬度を向上させ得る。これを通じて、反射防止フィルムをディスプレイ装置の最外郭に位置する光学フィルム、すなわち、ウィンドウフィルムとして用いることができる。
【0030】
前記ハードコーティング層の屈折率範囲は、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択され得る。ハードコーティング層は、例えば、550nm波長の光に対する屈折率が、例えば、1.5以下、1.40又は1.30以下であってもよい。前記屈折率の下限は、例えば、1.0以上、1.1以上又は1.2以上であってもよい。
【0031】
前記ハードコーティング層としては、通常的に知られているハードコーティング層を大きな制限なしに用いることができる。前記ハードコーティング層は、例えば、光硬化性樹脂を含むことができる。前記光硬化性樹脂は、光透過性樹脂であってもよい。前記ハードコーティング層に含まれる光硬化性樹脂は、紫外線などの光が照射されると重合反応を起こし得る光硬化型化合物の重合体であって、当業界で通常的なものであってもよい。具体的に、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート及びポリエーテルアクリレートからなる反応性アクリレートオリゴマー群;及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、トリメチルプロパンエトキシトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びエチレングリコールジアクリレートからなる多官能性アクリレート単量体群から選択される1種以上を含むことができる。
【0032】
ハードコーティング層は、光硬化性樹脂に分散した有機又は無機微粒子をさらに含むことができる。ハードコーティング層に含まれる有機又は無機微粒子の具体的な例が限定されるものではないが、例えば、前記有機又は無機微粒子は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂及びナイロン樹脂からなる群より選択される1種以上の有機微粒子であるか、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム及び酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上の無機微粒子であってもよい。有機又は無機微粒子の粒径は、具体的に限定されるものではないが、例えば、有機微粒子は、1~10μmの粒径を有することができ、無機微粒子は、1nm~500nm又は1nm~300nmの粒径を有することができる。前記有機又は無機微粒子の粒径は、体積平均粒径で定義され得る。
【0033】
ハードコーティング層の厚さは、例えば、0.1μm~100μmの範囲内であってもよい。ハードコーティング層を適用した反射防止フィルムの鉛筆硬度は、例えば、2H以上又は4H以上であってもよい。このような範囲内で、反射防止フィルムをディスプレイ装置の最外郭のウィンドウフィルムで用いる場合にも透明ディスプレイ素子を外部から保護することに有利であり得る。
【0034】
ハードコーティング層は、例えば、ハードコーティング層形成用組成物を基材層上にコーティング及び硬化することで製造することができる。ハードコーティング層形成用組成物は、前記光硬化性樹脂を含むことができ、必要な場合、前記有機又は無機微粒子をさらに含むことができる。
【0035】
ハードコーティング層形成用組成物を硬化する方法は特に制限されず、例えば、光の照射又は熱の印加により行われ得る。前記ハードコーティング層形成用組成物を光硬化することは、200nm~400nm波長の紫外線又は可視光線を照射することで行われ得る。また、光の照射時の露光量は、100mJ/cm~4,000mJ/cm範囲内であってもよい。露光時間も特に限定されるものではなく、用いられる露光装置、照射光線の波長又は露光量によって適切に変化させ得る。
【0036】
低屈折層形成用組成物又はハードコーティング層形成用組成物は、溶媒をさらに含むことができる。前記溶媒は、有機溶媒であってもよい。前記有機溶媒としては、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系又はエーテル系の溶媒を用いることができる。炭化水素系溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、n-デカン、n-ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン溶媒などが挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶媒の例としては、四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼン溶媒などが挙げられる。エーテル系溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、ジオクサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒などが挙げられる。
【0037】
低屈折層形成用組成物又はハードコーティング層形成用組成物は、任意の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤としては、例えば、硬化性樹脂の硬化を補助する硬化剤や触媒又はラジカル開始剤や陽イオン開始剤などの開始剤、揺変性付与剤、レベリング剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、ラジカル生成物質、有無機顔料あるいは染料、分散剤、熱伝導性フィラーや絶縁性フィラーなどの各種フィラー、機能性高分子又は光安定剤などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0038】
本明細書で用語「偏光子」は、偏光機能を有するフィルム、シート又は素子を意味する。偏光子は、多くの方向に振動する入射光から一側方向に振動する光を抽出することができる機能性素子である。
【0039】
本明細書で用語「偏光子」と「偏光板」は、互いに区別される対象を指称する。用語「偏光子」は、偏光機能を有するフィルム、シート又は素子それ自体を意味し、用語「偏光板」は、前記偏光子の一面又は両面に積層されている他の要素を含む対象を意味する。上記で他の要素としては、偏光子の保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム、粘着剤層、接着剤層、表面処理層などが例示され得るが、これに制限されるものではない。本出願の円偏光板によると、前記偏光子の一面又は両面に付着された保護フィルムを含んでもよく、含まなくてもよい。偏光子の一面又は両面に付着された別の保護フィルムを含まなくても反射防止フィルム及び/又は位相差フィルムが偏光子の保護基材として作用し得る。
【0040】
本出願で偏光子としては、吸収型線偏光子を用いることができる。このような偏光子としては、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子が知られている。基本的に、本出願では、偏光子としては公知の偏光子を用いることができる。一つの例示で、公知のPVA(poly(vinyl alcohol))偏光子として、下記特性を有する偏光子が適用され得る。
【0041】
前記偏光子の550nm波長の光に対する透過率は、40%~50%範囲内であってもよい。前記透過率は、具体的に、42%~43%又は43.5%~44.5%範囲内であってもよい。前記透過率は、550nm波長の光に対する偏光子の単体(Single)透過率を意味することができる。前記偏光子の単体透過率は、例えば、スペクトロメーター(V7100、Jasco社製)を用いて測定することができる。例えば、偏光子試料(上部及び下部保護フィルムを含まない)を機器に保持した状態でairをbase lineに設定し、偏光子試料の軸を基準偏光子の軸と垂直及び水平に整列した状態でそれぞれの透過率を測定した後、単体透過率を計算することができる。
【0042】
通常的に、PVA(poly(vinyl alcohol))系吸収型線偏光子は、上のような単体透過率を示し、本出願では、このようなPVA系吸収型線偏光子が適用され得るが、上記のような単体透過率を示す限り、適用され得る偏光子の種類は、前記に制限されない。
【0043】
PVA系偏光子は、一般的にPVAフィルム又はシート及び前記PVAフィルム又はシートに吸着配向された二色性色素又はヨウ素のような異方吸収性物質を含むことができる。
【0044】
PVAフィルム又はシートは、例えば、ポリ酢酸ビニルをゲル化して得ることができる。ポリ酢酸ビニルとしては、酢酸ビニルの単独重合体;及び酢酸ビニル及び他の単量体の共重合体などが例示され得る。上記で酢酸ビニルと共重合される他の単量体としては、不飽和カルボン酸化合物、オレフィン化合物、ビニルエーテル化合物、不飽和スルホン酸化合物及びアンモニウム基を有するアクリルアミド化合物などの一種又は二種以上が例示され得る。
【0045】
ポリ酢酸ビニルのゲル化度は、一般的に、約85モル%~約100モル%又は98モル%~100モル%程度である。線偏光子のポリビニルアルコールの重合度は、一般的に、約1,000~約10,000又は約1,500~約5,000であってもよい。
【0046】
PVA偏光子は、PVAフィルム又はシートに染色工程と延伸工程を経て製造される。必要な場合に、前記偏光子の製造工程は、膨潤、架橋、洗浄及び/又は乾燥工程をさらに含むことができる。
【0047】
例えば、上記で染色工程は、異方吸収性物質であるヨウ素をPVAフィルム又はシートに吸着させるための工程であって、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含む処理槽内に前記PVAフィルム又はシートを浸漬させて行うことができるが、この過程で処理槽内のヨウ素及びヨウ化カリウムの濃度を調節する方式で前記単体透過率の調節が可能である。
【0048】
染色工程でPVAフィルム又はシートは、ヨウ素(I)、KIなどのヨウ化物及び/又はホウ酸化合物(ホウ酸又はホウ酸塩)などを含む染色液又は架橋液に沈漬され、この過程でヨウ素などの異方吸収性物質がPVAフィルム又はシートに吸着する。したがって、前記過程で染色液内の前記化合物の濃度に応じて偏光子に吸着する異方吸収性物質の種類又は量が決定され、それによって、偏光子の特定波長の光に対する吸収率と透過率が決定され得る。
【0049】
例えば、前記染色液に存在できるヨウ素化合物の種は、ヨウ化物(M)とヨウ素(I)に由来するI、I、I 又はI などがあり得る。ところが、前記化合物のうちIは、光吸収波長範囲が約190nm~260nmであり、色感の影響は大きくなく、Iは、光吸収波長範囲が約400nm~500nmであり、色感は、主にレッド(red)であり、I は、光吸収波長範囲が約250nm~400nmであり、色感は、主にイエロー(Yellow)であり、線形構造のI は、吸収波長範囲が観測されず、色感の影響は、大きくなく、曲がった構造のI は、光吸収波長範囲が約500nm~900nmであり、色感は、主にブルー(blue)である。
【0050】
前記位相差フィルムは、フラット分散特性を有することができる。本明細書でフラット分散特性は、波長が増加するにしたがて位相差値が一定の特性を意味することができる。一つの例示で、前記フラット分散特性は、位相差フィルムのR(450)/R(550)値が0.99~1.01であるものを意味することができる。また、前記フラット分散特性によると、位相差フィルムのR(650)/R(550)値が0.99~1.01であってもよい。上記でR(λ)は、λnm波長の光に対する面内位相差値を意味することができる。フラット分散特性の位相差フィルムは、逆分散特性の位相差フィルムに比べて低価で市販される製品を求めることができる長所がある。また、フラット分散特性の位相差フィルムは、追加コーティング工程が不要なので、工程収率においても有利である。
【0051】
本明細書で面内位相差値は、下記数式1によって計算され得る。
【0052】
[数1]
Rin=d*(nx-ny)
【0053】
数式1で、Rinは、面内位相差であり、nx及びnyは、それぞれ位相差フィルムのx軸方向の屈折率とy軸方向の屈折率を意味し、dは、位相差フィルムの厚さである。このような定義は、特に別に規定しない限り、本明細書で同一に適用され得る。上記でx軸方向は、位相差フィルムの面上遅相軸方向を意味し、y軸方向は、前記x軸に垂直な面上方向(進相軸方向)を意味し、z軸方向は、前記x軸とy軸により形成される平面の法線の方向、例えば、位相差フィルムの厚さ方向を意味することができる。本明細書で遅相軸は、位相差フィルムの面方向を基準として屈折率が最も高く現われる方向と平行な軸を意味することができる。本明細書で屈折率を言及しながら特に別に規定しない限り、屈折率は、約550nm波長の光に対する屈折率である。
【0054】
位相差フィルムの550nm波長の光に対する面内位相差値は、130nm以上~144nm以下の範囲内であってもよい。位相差フィルムの550nm波長の光に対する面内位相差値は、具体的に、132.5nm以上、135nm以上、137.5nm以上又は140nm以上であってもよい。このような範囲内で、フラット分散位相差フィルムを用いて反射視感を向上させることに適切であり得る。
【0055】
位相差フィルムの面内位相差値を調節する方式は、公知である。一つの例示で、位相差フィルムが高分子延伸フィルムである場合、高分子フィルムの材料、厚さ、延伸割合を調節することで面内位相差値を調節することができる。他の一つの例示で、位相差フィルムが液晶重合フィルムである場合、液晶層の厚さ、液晶の複屈折値などを調節することで面内位相差値を調節することができる。
【0056】
位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸が成す角度は、35度~55度範囲内であってもよい。前記角度は、具体的に、35度以上、37度以上、39度以上であってもよく、55度以下、50度以下、47度以下又は46度以下であってもよい。前記角度は、より具体的に、37度~43度範囲内であるか又は44度~46度範囲内であってもよい。これを通じて、フラット分散位相差フィルムを用いた円偏光板の反射視感を改善し得る。本明細書で、A軸がB軸に対して成す角度は、B軸を0度基準として、時計方向にA軸が成す角度と反時計方向にA軸が成す角度を全て含む意味であり得る。
【0057】
位相差フィルムの厚さは、高分子延伸フィルムの場合には、例えば、10μm~100μm範囲内であってもよい。他の一つの例示で、位相差フィルムの厚さは、液晶重合フィルムである場合には、例えば、0.1μm~5μm範囲内であってもよい。
【0058】
位相差フィルムは、液晶重合フィルム又は高分子延伸フィルムであってもよい。具体的に、位相差フィルムとしては、延伸により光学異方性を付与し得る高分子フィルムを適切な方式で延伸した延伸高分子層又は液晶層を用いることができる。液晶層としては、液晶高分子層又は重合性液晶化合物の硬化層を用いることができる。
【0059】
液晶重合フィルムは、基材層及び前記基材層の一面に液晶層を含むことができる。液晶重合フィルムの基材層は、前記反射防止フィルムの基材層に関する内容が同一に適用され得る。したがって、液晶重合フィルムの基材層も光透過性基材を用いることができる。前記液晶層は、重合性液晶化合物を重合された状態で含むことができる。本明細書で用語「重合性液晶化合物」は、液晶性を示し得る部位、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また、重合性官能基を一つ以上含む化合物を意味することができる。このような重合性液晶化合物は、いわゆるRM(Reactive Mesogen)という名称で多様に公知されている。前記重合性液晶化合物は、前記硬化層内で重合された形態、すなわち、上述した重合単位で含まれていてもよく、これは、前記液晶化合物が重合されて硬化層内で液晶高分子の主鎖又は側鎖のような骨格を形成している状態を意味することができる。
【0060】
前記重合性液晶化合物は、単官能性又は多官能性重合性液晶化合物であってもよい。上記で単官能性重合性液晶化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であり、多官能性重合性液晶化合物は、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。一つの例示で、多官能性重合性液晶化合物は、重合性官能基を2個~10個、2個~8個、2個~6個、2個~5個、2個~4個、2個~3個又は2個又は3個含むことができる。
【0061】
前記のような重合性液晶化合物を、例えば、開始剤、安定剤及び/又は非重合性液晶化合物などの他の成分と配合して製造された重合性液晶組成物を配向膜上で配向させた状態で硬化させて複屈折が発現した前記硬化層を形成することは、公知である。前記フラット分散特性を有する位相差フィルムは、フラット分散特性を有する重合性液晶化合物を含むことで製造され得る。
【0062】
高分子延伸フィルムとしては、例えば、高分子材料として、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリノルボルネンなどの環型オレフィンポリマー(COP:Cycloolefin polymer)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール又はTAC(Triacetyl cellulose)などのセルロースエステル系ポリマーや前記ポリマーを形成する単量体のうち2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を用いることができる。
【0063】
高分子延伸フィルムを得る方法は特に制限されない。例えば、前記高分子材料をフィルム形態に成形した後に延伸することで得ることができる。前記フィルム形態への成形方法は、特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形など公知の方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの2次加工成形法も用いることができる。その中でも押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。このとき、例えば、Tダイ、円形ダイなどが装着された押出機などを用いて未延伸フィルムを押出成形することができる。押出成形により成形品を得る場合には、事前に各種樹脂成分、添加剤などを溶融混練した材料を用いることもでき、押出成形時に溶融混練を経て成形することもできる。また、各種樹脂成分に共通した溶媒、例えば、クロロホルム、二塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種樹脂成分を溶解した後、キャスト乾燥固体化することにより、未延伸フィルムをキャスト成形することもできる。
【0064】
高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向に1軸延伸、機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向又は長さ方向)に直行する方向(TD;Transverse Direction、横方向又は幅方向)に1軸延伸することができ、また、ロール延伸とテンダー延伸の順次二軸延伸法、テンダー延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などにより延伸することで、二軸延伸フィルムを製造することもできる。
【0065】
高分子延伸フィルムの位相差値の制御は、一般的にフィルムの延伸条件を制御することにより行われ得る。これは、位相差値がフィルムの延伸によるフィルム自体の厚さに因るからである。二軸延伸の場合は、機械的流れ方向(MD方向)と機械的流れ方向に直行する方向(TD方向)の延伸倍率の比(MD方向/TD方向)を0.67以下あるいは1.5以上とすることが好ましく、0.55以下あるいは1.8以上がより好ましく、0.5以下あるいは2以上が最も好ましい。
【0066】
粘着剤層は、円偏光板をディスプレイパネルに付着させる機能を行うことができる。前記粘着剤層は、粘着性樹脂を含むことができる。前記粘着性樹脂としては、例えば、光透過性粘着性樹脂を用いることができる。例えば、前記粘着性樹脂により形成された粘着剤層の380nm~780nm波長の光に対する透過率が約80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上となるようにする粘着性樹脂を用いることができる。前記透過率は、前記粘着剤層に入射される光量に対する前記粘着剤層を透過する光量の百分率を意味することができる。粘着性樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エーテル系樹脂、フルオル系樹脂及びゴム系樹脂からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。
【0067】
粘着剤層の厚さは、例えば、15μm~30μm範囲内であってもよい。
【0068】
粘着剤層を位相差フィルムの一面に形成する方法は特に制限されない。一つの例示で、離型フィルムに前記粘着性樹脂を含む粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成した後、前記粘着剤層を位相差フィルムの一面に転写して離型フィルムを除去する工程により行われ得る。他の一つの例示で、前記位相差フィルムの一面に直接粘着剤組成物を塗布することで粘着剤層を形成することができる。
【0069】
前記円偏光板は、430nm波長の光に対する透過率が50%以下又は45%以下であってもよい。円偏光板は、430nm波長の光に対する透過率の下限は、例えば、20%以下であってもよい。
【0070】
前記円偏光板は、染料をさらに含むことができる。前記染料は、円偏光板の透過率を調節する機能をする。本明細書で染料は、可視光領域、例えば、380nm~780nm波長範囲内で少なくとも一部又は全体範囲内の光を集中的に吸収及び/又は変形させ得る物質を意味することができる。
【0071】
前記染料を含む円偏光板は、430nm波長の光に対する透過率が40%以下又は35%以下であってもよい。円偏光板は、このような透過率範囲を満足することでneutral反射色に寄与することができるので、フラット分散特性の位相差フィルムを用いても、反射視感を改善することに一層有利であり得る。より具体的に、前記染料を含む円偏光板は、460nm及び550nm波長の光に対する透過率が、それぞれ35%以上又は40%以上であってもよく、その上限は、それぞれ50%以下又は45%以下であってもよい。
【0072】
前記染料を含む円偏光板の430nm波長の光に対する透過率の下限は、4%以上、10%以上、15%以上又は20%以上であってもよい。前記透過率が過度に低い場合、OLEDから発光するwhite光のカラー変化が過度に大きくなるので、染料を含む粘着剤層の透過率の下限は、前記範囲内であることが好ましい。
【0073】
前記染料としては、円偏光板が前記透過度特性を示すようにする範囲内で適切に選択され得る。前記染料は、例えば、ブルー領域で吸収を示す染料であってもよい。前記染料は、ブルー領域で最大吸光度を示すことができる。本明細書で染料の吸収乃至吸光度は、染料を光透過性樹脂に混合して形成された層に対して測定した透過度スペクトラムから決定され得る。本明細書で光透過性樹脂は、前記樹脂単独に形成された層に対して測定した380nm~780nm波長の光に対する透過率が、約80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上である層を意味することができる。
【0074】
上記のような吸収特性を有する染料を本明細書でブルーカットダイ(Blue cut dye)と略称することができる。前記ブルー領域は、例えば、370nm~430nm波長範囲内であってもよい。したがって、前記染料を含む円偏光板も380nm~780nm波長範囲のうち370nm~430nm範囲内で最大吸光度を示すことができる。前記染料は、ブルー領域を吸収するので、Yellow色感を示すことができる。前記染料は、円偏光板が前記透過度特性示すようにする範囲内で、単一染料であってもよく、2種以上の染料の混合物であってもよい。
【0075】
前記染料としては、アントラキノン系染料、メチン系染料、アゾメチン系染料、オキサジン系染料、アゾ系染料、スチリル系染料、クマリン系染料、ポルフィリン系染料、ジベンゾフラノン系染料、ジケトピロロピロール系染料、ロダミン系染料、キサンテン系染料及びピロメテン系染料からなる群より選択された一つ以上の染料を用いることができる。
【0076】
前記染料は、円偏光板が前記透過率を示すようにする範囲内で円偏光板に含まれる任意の層に含まれ得る。
【0077】
例えば、前記染料は、前記反射防止フィルム、位相差フィルム及び粘着剤層のうち一つ以上に含まれ得る。一つの例示で、前記染料は、前記反射防止フィルムに含まれ得る。上述したように、反射防止フィルムは、基材層及び前記基材層の一面に低屈折層を含むことができる。この場合、前記染料は、反射防止フィルムの基材層内に含まれ得る。また、上述したように、反射防止フィルムは、基材層と低屈折層の間にハードコーティング層をさらに含むことができる。この場合、前記染料は、反射防止フィルムのハードコーティング層内に含まれてもよい。一つの例示で、前記染料は、前記位相差フィルムに含まれ得る。上述したように、位相差フィルムが液晶重合フィルムである場合、位相差フィルムは、基材層及び前記基材層の一面に液晶層を含むことができる。この場合、前記染料は、位相差フィルムの基材層内に含まれ得る。一方、位相差フィルムが高分子延伸フィルムである場合、前記染料は、高分子延伸フィルム内に含まれ得る。一つの例示で、前記染料は、前記粘着剤層に含まれてもよい。
【0078】
他の一つの例示で、前記円偏光板は、前記反射防止フィルム、位相差フィルム及び粘着剤層以外に、染料を含ませるための用途のための別の層をさらに含むこともできる。このような別途の層も光透過性樹脂を主成分で含むとともに前記染料を含むことができる。前記別途の層の位置は、特に制限されず、反射防止フィルム、偏光子、位相差フィルム又は粘着剤層の一面又は両面に形成され得る。ただし、前記粘着剤層は、円偏光板をパネルに付着するための用途であるので、粘着剤層のパネル付着面には存在しないことが好ましい。
【0079】
前記染料を含む層は、430nm波長の光に対する透過率が100%未満、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下又は70%以下であってもよい。前記染料を含む層は、このような透過率範囲を満足することでneutral反射色に寄与することができるので、フラット分散特性の位相差フィルムを用いても、反射視感を改善させることに一層有利であり得る。より具体的に、前記染料を含む層は、460nm及び550nm波長の光に対する透過率がそれぞれ90%以上であってもよい。前記染料を含む層の430nm波長の光に対する透過率の下限は、10%以上であってもよい。前記透過率が過度に低い場合、OLEDから発光するwhite光のカラー変化が過度に大きくなるので、染料を含む層の透過率の下限は、前記範囲内であることが好ましい。
【0080】
染料を含む層で染料の含量は、円偏光板が前記透過度特性を示すようにする範囲内で適切に選択され得る。上述したように、染料を含む層は、光透過性樹脂を主成分で含み、前記染料をさらに含むことができる。染料を含む層で染料の含量は、例えば、光透過性樹脂100重量部に対して10重量部以下であってもよい。染料を含む層で染料の含量が増加するほど目的とする反射色に近接し得る。ただし、染料の含量が過度に高い場合、染料の溶解度が不足して析出が発生することもあり、各層の物性に影響を与える場合もあるので、前記範囲内で調節されることが好ましい。染料を含む層で染料の含量は、具体的に、光透過性樹脂100重量部に対して8重量部以下、6重量部以下、4重量部以下、2重量部以下又は1重量部以下であってもよい。染料を含む層で染料の含量の下限は特に制限されないが、染料の添加による反射視感改善の効果を効果的に示すために、例えば、光透過性樹脂100重量部に対して0.01重量部以上又は0.1重量部以上で含まれ得る。
【0081】
染料を含む層内で染料の重量が同一の場合、前記染料を含む層の厚さを変化させても同一の透過率特性を得ることができる。したがって、染料を含む層の透過度を上述した範囲内で高めようとする場合には、染料を含む層の厚さを固定して染料の重量を減らして染料の濃度を低めるか、染料の濃度が同一の染料を含む層の厚さを低めて染料の重量を低める方法がある。
【0082】
また、本出願は、前記円偏光板を含むディスプレイ装置に関する。前記ディスプレイ装置としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置を例示することができる。
【0083】
図3は、本出願のOLED装置を例示的に示す。図3に示したように、OLED装置は、OLEDパネル200及び前記OLEDパネルの一面に配置された円偏光板100を含むことができる。OLEDパネルと円偏光板は、粘着剤層40を媒介に付着され得る。
【0084】
前記OLEDパネルは、基板、下部電極、有機発光層及び上部電極を順次に含むことができる。有機発光層は、下部電極と上部電極に電圧が印加されたときに光を出すことができる有機物質を含むことができる。前記下部電極と上部電極のうちいずれか一つは、陽極(anode)であり、他の一つは、陰極(cathode)であってもよい。陽極は、正孔(hole)が注入される電極で仕事関数(work function)が高い導電物質で作られ得、陰極は、電子が注入される電極で仕事関数が低い導電物質で作られ得る。通常、陽極としては、仕事関数が大きいITO又はIZOのような透明金属酸化物層を用いることができ、陰極としては、仕事関数が低い金属電極を用いることができる。一般的に有機発光層は透明であるので、上部及び下部電極を透明にする場合、透明ディスプレイを具現することができる。一つの例示で、前記金属電極の厚さを非常に薄くする場合、透明なディスプレイを具現することができる。
【0085】
前記OLEDパネルは、上部電極上に外部から水分及び/又は酸素が流入することを防止する機能をする封止基板をさらに含むことができる。下部電極と有機発光層の間及び上部電極と有機発光層の間には、付帯層をさらに含むことができる。付帯層は、電子と正孔の均衡を取るための正孔伝達層(hole transporting layer)、正孔注入層(hole injecting layer)、電子注入層(electron injecting layer)及び電子伝達層(electron transporting layer)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0086】
前記円偏光板は、OLED素子で光が出る側に配置され得る。例えば、ベース基板側から光が出る背面発光(bottom emission)構造である場合、ベース基板の外側に配置され得、封止基板側から光が出る前面発光(top emission)構造である場合、封止基板の外側に配置され得る。円偏光板は、外光がOLEDパネルの電極及び配線などのように金属で作られた反射層により反射されてOLEDパネルの外側に出ることを防止することによって視認性とディスプレイ性能を改善することができる。
【0087】
一つの例示で、前記OLEDパネルは、カラーフィルターが形成された基板をさらに含むことができる。前記カラーフィルターが形成された基板は、OLEDパネルの金属電極が配置された反対面に配置され得る。このとき、OLEDパネルは、カラーフィルターが形成された基板、透明金属酸化物電極(陽極)、発光層、金属電極(陰極)及びベース基板を順次に含む構造を有することができる。カラーフィルターは、Red、Green及びBlue領域を含むことができ、前記領域を区分するためのブラックマトリックス(black matrix)をさらに含むことができる。OLEDパネルの基板にカラーフィルターが存在する場合、カラーフィルターが存在しない場合に比べて低い反射率を示すことができる。具体的に、Red、Green及びBlueのカラーフィルターがOLEDの発光層の前に位置する場合、発光層の裏面に位置した金属電極での高い反射率を低減させるからである。
【0088】
前記OLEDパネルは、400nm~600nm範囲内の波長の光に対する平均反射率が25%以下である低反射OLEDパネルであってもよい。前記OLEDパネルは、400nm~600nm範囲内の波長の光に対する平均反射率の下限が、例えば、10%以上であってもよい。前記OLEDパネルは、500nm~600nmの範囲内の波長の光に対する平均反射率が25%以下であってもよい。前記OLEDパネルは、600nm~650nm範囲内の波長の光に対する平均反射率が、例えば、35%以下であってもよい。OLEDパネルは、600nm~650nm範囲内の波長の光に対する平均反射率の下限が、例えば、10%以上であってもよい。このようなOLEDパネルの適用を通じてフラット分散特性の位相差フィルムを使いながら反射視感を改善することに一層有利であり得る。
【0089】
上述したように、本出願の円偏光板をOLEDパネルに適用したOLED装置は、優れた反射視感を示すことができる。一つの例示で、前記円偏光板が付着されたOLEDパネルの550nm波長の光に対する反射率が2.1%以下であってもよい。前記反射率は、具体的に、2.0%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下又は1.0%以下であってもよい。前記円偏光板が付着されたOLEDパネルの反射率は、低いほど反射視感に優れたことを意味するもので、下限は特別に制限されないが、例えば、0.1%以上であってもよい。
【0090】
一つの例示で、前記円偏光板が付着されたOLEDパネルの反射色は、L色座標を基準として下記式3又は式4を満足することができる。前記円偏光板は、式3又は式4のうちいずれか一つを満足するか又は両方ともを満足することができる。
【0091】
[式3]
【数1】
【0092】
[式4]
0<a<8及び-8<b<0
【0093】
円偏光板が付着されたOLEDパネルの反射率と反射色が前記条件を満足する場合、反射視感に優れると言える。また、前記a及びb値のうち特にa値の範囲が一層重要であるが、一般的に青光よりは赤光の反射色感が観察者の視感を一層低下させるからである。また、OLEDパネルの550nm波長の光に対する反射率を前記範囲にする場合、a及びbの絶対値が大きくなってもより黒く感じるので、反射視感を向上させることに一層有利であり得る。
【発明の効果】
【0094】
本出願は、フラット分散特性を有する位相差フィルムを用いて反射色感を改善し得る円偏光板及び前記円偏光板を含むOLED装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1図1は、本出願の円偏光板を例示的に示す。
図2図2は、反射防止フィルムの反射率スペクトラムを例示的に示す。
図3図3は、本出願のOLED装置を例示的に示す。
図4図4は、反射防止フィルムの反射率スペクトラムである。
図5図5は、ブルーカットダイを含む粘着剤層の透過率スペクトラムである。
図6図6は、偏光子にブルーカットダイを含む粘着剤層適用による透過率スペクトラムである。
図7図7は、反射板の反射率スペクトラムである。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本出願による実施例及び本出願によらない比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0097】
円偏光板
反射防止フィルム、偏光子、位相差フィルム及び粘着剤層を順次に含む円偏光板を準備した。
【0098】
反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース(TAC)基材フィルム上に、厚さが約5μmであるハードコーティング層をコーティングした後、前記ハードコーティング層上に中空型シリカナノ粒子を含む低屈折層をコーティングすることで製造した。低屈折層は、550nm波長の光に対する屈折率が約1.32である。低屈折層の厚さは、約80nm~200nm範囲内に制御され、低屈折層の厚さを制御することで反射防止フィルムの最低反射波長を調節することができる。具体的に、反射防止フィルムの最低反射波長は、低屈折層の厚さを厚くするほど長波長に移動し、低屈折層の厚さを薄くするほど短波長に移動する。反射防止フィルムの最低反射波長が増加するほど反射防止フィルムの反射色のbは減少する傾向がある。前記厚さ範囲内で厚さを調節して、下記表1のように6種類の反射防止フィルムを製造した。
【0099】
位相差フィルムは、Zeon社でCOPフィルムを斜め延伸して生産された製品であり、R(450)/R(550)値が1であり、550nm波長の光に対する面内位相差値が、それぞれ130nm、135nm、137.5nm、140nm、142nm及び144nmである製品を準備した。また、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の光吸収軸が成す角度は、45度又は40度となるように調節した。位相差フィルムの位相差値と光軸は、Axometrics社のAxoscan装備を用いて決定する。
【0100】
偏光子は、単体透過率が44%であるPVA系偏光子を用いた。偏光子の透過率及び吸収軸は、Jasco社のV-7100 Spectrophotometer装備を用いて決定する。
【0101】
粘着剤層は、離型フィルムの間にコーティングされた製品を用いて位相差フィルム面にラミネーションする。粘着剤層は、市販される偏光板用アクリル粘着剤を用いる。粘着剤は、ブルーカットダイを含まない粘着剤とブルーカットダイ(Eutec Chemical Co.、Ltd社のEusorb UV-1990)を含む粘着剤を準備した。粘着剤の厚さは、20μmである、ブルーカットダイを含む粘着剤は、粘着剤内のブルーカットダイの濃度が約0.3%、0.6%及び0.9%となるように混合して製造した。ブルーカットダイを含む粘着剤層の透過度スペクトラムは、下記評価例2に具体的に記載した。
【0102】
<評価例1.反射防止フィルムの表面反射特性の評価>
反射防止フィルムに対して、反射色及び反射率を測定して表面反射特性を評価した。表1は、反射防止フィルムの最低反射波長、反射色(L色座標)及び反射率の測定結果を示す。
【0103】
反射防止フィルムの反射率は、基材の反射防止コーティング層の背面に光を吸収するBlack Tapeを付着した後、Minolta社のCM-2600d装備を用いて反射防止コーティング層の表面層の鏡反射率を測定した。具体的に、前記反射率は、前記装備の測定値のうちSCI(Specular Component Included)値からSCE(Specular Component Excluded)値を引いた結果値である。上の測定と同時に測定装備でD65光源条件でのCIE 1976Lを得ることができる。SCE値の大部分が反射防止フィルムではなく背面に付着したBlack Tapeから反射された値であるので、正確な反射防止フィルムの反射特性の判断のためにSCE値を引いた。
【0104】
図4は、反射防止フィルムAR1~AR6の反射率スペクトラムを示し、表1は、反射防止フィルムの反射色のL色座標、視感反射率(Y)及び550nm波長の光に対する反射率を示す。
【0105】
【表1】
【0106】
<評価例2.粘着剤及び偏光板の透過率の評価>
ブルーカットダイを含む粘着剤の透過率と、前記粘着剤の付着前後の偏光子の透過率を測定し、その結果をそれぞれ図5及び図6に示す。ブルーカットダイの濃度が0.3%である粘着剤は、430nm波長に対する透過率が90%であり、ブルーカットダイの濃度が0.6%である粘着剤は、430nm波長に対する透過率が80%であり、ブルーカットダイの濃度が0.9%である粘着剤は、430nm波長に対する透過率が70%である。
【0107】
ブルーカットダイを含む粘着剤の透過率は、Shimadzu UV-3600を用いて測定した。具体的に、ブルーカットダイを含む粘着剤をガラス基板に付着した後に透明なPETフィルムを再び露出された粘着剤表面に付着したサンプルを用いて測定した。サンプルの測定前に装備のベースラインを設定するときは、測定サンプルと同一構造であり、ブルーカットダイを含む粘着剤の代わりに透明な粘着剤を導入したサンプルをローディングした状態で進行した。結果的に、測定したサンプルの透過率に反射率が含まれない条件で測定し、したがって、ダイの吸収がない波長帯の透過率は、100%となる。粘着剤の透過色は、Shimadzu UV-3600装備を用いて得た波長別透過率Dataを用いて計算した。
【0108】
偏光子の透過率は、Jasco社のV-7100 Spectrophotometerを用いて測定した。透過率及び透過色の測定結果は、下記表2に記載した。
【0109】
【表2】
【0110】
<評価例3.円偏光板の反射特性の評価>
Edmund Opticsから購買したガラス基板の一側面にInconel(金属)コーティングされているOD(Optical Density)0.5のreflective ND(Neutral Density)Filterを反射板で用いて円偏光板の反射特性を測定した。図7は、前記反射板の反射率スペクトラムを示す。前記反射率は、Minolta社のCM-2600dを用いて測定し、反射板の蒸着面がlight trapに向かうようにしてガラス面で反射率を測定した。反射率は、SCI(Specular Component Included)mode値を取った。円偏光板を反射板のガラス面に付着して上記のような方法で反射率及び反射色を測定した。反射率及び反射色は、D65光源条件でCIE 1964/10°規格によって測定される。L色座標基準反射色が△a<8を満足するか又は0<a<8及び-8<b<0を満足する場合、反射視感に優れることで評価することができる。
【0111】
円偏光板の構成を変更して反射率及び反射色を測定し、測定結果を表3~表6に記載した。
【0112】
表3は、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の光吸収軸が成す角度が45度であり、粘着剤層が染料を含まないため、円偏光板の430nm波長の光に対する透過率が40.6%である円偏光板に対して反射防止フィルムのb値と位相差フィルムの550nm波長の光に対するRin値を変更した円偏光板に対する測定結果である。
【0113】
表4は、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の光吸収軸が成す角度が40度であり、粘着剤層が染料を含まないため、円偏光板の430nm波長の光に対する透過率が40.6%である円偏光板に対して反射防止フィルムのb値と位相差フィルムの550nm波長の光に対するRin値を変更した円偏光板に対する測定結果である。
【0114】
表5は、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の光吸収軸が成す角度が45度であり、粘着剤層が染料を0.3wt%で含んで円偏光板の430nm波長の光に対する透過率が36.5%である円偏光板に対して反射防止フィルムのb値と位相差フィルムの550nm波長の光に対するRin値を変更した円偏光板に対する測定結果である。
【0115】
表6は、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の光吸収軸が成す角度が45度であり、粘着剤層が染料を0.6wt%で含んで円偏光板の430nm波長の光に対する透過率が32.4%である円偏光板に対して反射防止フィルムのb値と位相差フィルムの550nm波長の光に対するRin値を変更した円偏光板に対する測定結果である。
【0116】
表3~表6で、Y(%)は、視感反射率を意味し、R@550nmは、550nm波長の光に対する反射率を意味し、△aは、
【数2】
で計算される値を意味する。評価結果、実施例は、反射特性が△a<8を満足するか又は0<a<8及び-8<b<0を満足することで優れた反射色を示すことが分かる。
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【符号の説明】
【0121】
100:円偏光板、10:反射防止フィルム、20:偏光子、30:位相差フィルム、40:粘着剤層、200:OLEDパネル
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】