(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(54)【発明の名称】流体ハンドリングシステム及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20221107BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513904
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(85)【翻訳文提出日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020073867
(87)【国際公開番号】W WO2021047911
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポレット,セオドルス,ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ステッフェンス,コエン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ハム,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ピーテルス,ゲルベン
(72)【発明者】
【氏名】エウメレン,エリック,ヘンリカス,エギディウス,キャサリナ
(72)【発明者】
【氏名】ファーニ,フランシス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197BA17
2H197DB27
2H197DB29
2H197FA01
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
放射ビームにより照射された基板の表面のある領域を濡らすための流体ハンドリングシステム。流体ハンドリングシステムは、第1のデバイスの少なくとも一部と基板の表面との間の第1の空間(111)に第1の液体を閉じ込めるように構成された第1のデバイス(112)を備える。第1のデバイスは、第1の液体を通過することにより領域を照射する放射ビーム(B)が通過するための内部に形成されたアパーチャ(10)を備える。第1のデバイスは、第1の液体を第1の空間に供給するように構成された少なくとも1つの第1の液体供給部材(20、23、34)と、第1の空間から液体を除去するように構成された少なくとも1つの抽出部材(32)と、を備える。流体ハンドリングシステムは、第2のデバイスの少なくとも一部と基板の表面との間の第2の空間(211)に第2の液体を供給するように構成された少なくとも1つの第2の液体供給部材(201)を備える第2のデバイス(200)を更に備え、基板の表面上に第2の液体と第1の液体との間のギャップ(g)が存在する。流体ハンドリングシステムは、少なくともこの領域の上方に液体層を形成するために、第2の空間から液体を除去することなく第2の液体を第2の空間に供給するように構成され、第1の液体及び第2の液体を基板の表面上に同時に供給するように構成される。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームにより照射された基板の表面のある領域を濡らすための流体ハンドリングシステムであって、前記流体ハンドリングシステムが、第1のデバイスと第2のデバイスとを備え、
前記第1のデバイスが、前記第1のデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面との間の第1の空間に第1の液体を閉じ込め、
前記第1のデバイスが、前記第1の液体を通過することにより前記領域を照射する前記放射ビームが通過するための内部に形成されたアパーチャを有し、
前記第1のデバイスが、前記第1の液体を前記第1の空間に供給する少なくとも1つの第1の液体供給部材と、前記第1の空間から液体を除去する少なくとも1つの抽出部材と、を含み、
前記第2のデバイスが、前記第2のデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面との間の第2の空間に第2の液体を供給する少なくとも1つの第2の液体供給部材を備え、前記基板の前記表面上に前記第2の液体と前記第1の液体との間のギャップが存在し、
前記流体ハンドリングシステムが、少なくとも前記領域の上方に液体層を形成するために、前記第2の空間から液体を除去することなく前記第2の液体を前記第2の空間に供給し、前記第1の液体及び前記第2の液体を前記基板の前記表面上に同時に供給する、流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2の液体供給部材が一連のスプレーノズルを備える、及び/又は、少なくとも1つの第3の液体供給部材と少なくとも1つの抽出部材とを備えた第3のデバイスを更に備え、
前記少なくとも1つの第3の液体供給部材が、前記第3のデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面との間の第3の空間に第3の液体を供給し、
前記第3のデバイスが、前記第3の液体の少なくとも一部を前記少なくとも1つの抽出部材を介して回収する、請求項1の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
前記第3のデバイスが、前記第1のデバイスの一部であるか、又は、前記第1のデバイスに隣接して配置されている、請求項2の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの液体供給部材が、前記第1のデバイスの内面上、及び/又は、前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面上、に形成された液体供給開口を備えている、前述の請求項のいずれかの流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
前記第1のデバイスが、2つの抽出部材及び2つのガス供給部材を備え、
前記少なくとも1つの第1の液体供給部材、前記2つの抽出部材及び前記2つのガス供給部材が、前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面上に形成されている、前述の請求項のいずれかの流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
前記抽出部材の第1のものが、前記第1の液体供給部材の半径方向外側にあり、前記2つのガス供給部材の第1のものが、前記抽出部材の前記第1のものの半径方向外側にあり、前記抽出部材の第2のものが、前記2つのガス供給部材の前記第1のものの半径方向外側にあり、前記2つのガス供給部材の第2のものが前記2つの抽出部材の前記第2のものの半径方向外側にある、及び/又は、
前記2つの抽出部材の少なくとも一方が多孔質材を内部に含む、及び/又は、
前記第1のデバイスの底面に少なくとも1つの別の開口を含み前記少なくとも1つの別の開口が前記2つの抽出部材の前記第1のものと前記2つのガス供給部材の前記第1のものとの間及び/又は前記2つの抽出部材の前記第2のものと前記2つのガス供給部材の前記第2のものとの間に配置される、及び/又は、
前記第1のデバイスの前記表面が凹部を含み任意選択で前記凹部が傾斜面を有する、請求項5の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
前記第1のデバイスが少なくとも2つの抽出部材及び少なくとも1つのガス供給部材を備え、前記液体供給部材、前記少なくとも2つの抽出部材及び前記ガス供給部材が、前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面上に形成される、又は、
前記第1のデバイスの前記少なくとも1つの抽出部材が前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面内のチャンバを備えるとともに前記チャンバ内の多孔質材を備え、前記少なくとも1つの抽出部材が前記チャンバから液体を抽出する第1のチャネル及び前記チャンバからガスを抽出する第2のチャネルを備える、又は、
前記第1のデバイスが内側部及び外側部を備え、前記第1のデバイスの前記少なくとも1つの液体供給部材が前記内側部上に形成され、前記内側部が第1の抽出部材を備え、前記外側部が第2の抽出部材を備えている、請求項1から4のいずれかの流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
平面視で、前記少なくとも2つの抽出部材の第1のものが前記ガス供給部材の半径方向外側にあり、前記ガス供給部材が前記少なくとも2つの抽出部材の第2のものの半径方向外側にあり、前記少なくとも1つの抽出部材の前記第2のものが前記液体供給部材の半径方向外側にある、及び/又は、
前記少なくとも2つの抽出部材の少なくとも一方が、多孔質材を内部に備えている、請求項7の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
前記第1のデバイスの底面に少なくとも1つの別の開口を備え、前記少なくとも1つの別の開口が前記2つの抽出部材の前記第1のものと前記ガス供給部材との間に配置される、及び/又は、
前記多孔質材が、半径方向最も内側にある前記抽出部材内に設けられている、請求項8の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
前記外側部が、前記内側部と前記基板との間に配置されたプレートであって、前記プレートの両側の前記第1の液体を分離する、プレートを含み、
前記内側部の前記プレートに対向する表面が、前記第1の抽出部材を含み、
前記プレートの前記基板に対向する表面が、前記第2の抽出部材を含む、請求項7の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
前記第1の抽出部材及び/又は前記第2の抽出部材が、前記第1の液体を単相流で回収する多孔質材を含む、請求項7又は10の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
前記第2のデバイスが、前記第1のデバイスの一部であるか、又は、前記第1のデバイスに隣接して配置されている、前述の請求項のいずれかの流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
前記第2の液体により前記基板の前記表面上に形成されたエリアが、前記第1の液体により前記基板の前記表面上に形成されたエリアよりも大きい、前述の請求項のいずれかの流体ハンドリングシステム。
【請求項14】
前記第1の液体及び/又は前記第2の液体が水である、及び/又は、
前記液体層が少なくともおよそ10μm、より好ましくは少なくともおよそ20μmの平均厚さを有する、前述の請求項のいずれかの流体ハンドリングシステム。
【請求項15】
基板の表面のある領域に向けて放射ビームを投影する投影システムと、
前述の請求項のいずれかの流体ハンドリングシステムと、
前記基板を前記流体ハンドリングシステムに対して又はその逆に移動させる機構と、
を備える、リソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2019年9月13日に出願された欧州特許出願19197225.6の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は流体ハンドリングシステムと基板を濡らす方法とに関する。本発明はリソグラフィ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナと、を含む。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進み続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の量は、「ムーアの法則」と通称される傾向に従って、数十年にわたり着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用い得る。この放射の波長が、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。
【0005】
[0005] より小さなフィーチャの解像度のさらなる向上は、露光中に水などの比較的高い屈折率を有する液浸流体を基板上に供給することによって達成されることがある。液浸流体の効果は、露光放射が気体よりも流体中で波長がより短くなることから、より小さなフィーチャの結像を可能にすることである。液浸流体の効果は、システムの有効開口数(NA)を増やし、さらに焦点深度を長くすることと見なされることもある。
【0006】
[0006] 液浸流体は、リソグラフィ装置の投影システムと基板との間の局所エリアに流体ハンドリング構造によって閉じ込められることがある。基板と閉じ込められた液浸流体との間の速い相対運動によって液浸流体が局所エリアから漏れることがある。このような漏れは望ましいものではなく、基板上に欠陥をもたらすことがある。したがって、基板が投影システムに対してステップ又はスキャンされる速度が制限される。これによってリソグラフィ装置のスループットが制限される。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明の目的は、スループットを向上させる措置が講じられた流体ハンドリングシステム及び方法を提供することである。
【0008】
[0008] 本発明によれば、放射ビームにより照射された基板の表面のある領域を濡らすための流体ハンドリングシステムであって、流体ハンドリングシステムが、第1のデバイスと第2のデバイスとを備え、第1のデバイスが、第1のデバイスの少なくとも一部と基板の表面との間の第1の空間に第1の液体を閉じ込めるように構成され、第1のデバイスが、第1の液体を通過することによりこの領域を照射する放射ビームが通過するための内部に形成されたアパーチャを有し、第1のデバイスが、第1の液体を第1の空間に供給するように構成された少なくとも1つの第1の液体供給部材と、第1の空間から液体を除去するように構成された少なくとも1つの抽出部材と、を備え、第2のデバイスが、第2のデバイスの少なくとも一部と基板の表面との間の第2の空間に第2の液体を供給するように構成された少なくとも1つの第2の液体供給部材を備え、基板の表面上に第2の液体と第1の液体との間のギャップが存在し、流体ハンドリングシステムが、少なくともこの領域の上方に液体層を形成するために、第2の空間から液体を除去することなく第2の液体を第2の空間に供給するように構成され、第1の液体及び第2の液体を基板の表面上に同時に供給するように構成された流体ハンドリングシステムが提供される。
【0009】
[0009] 本発明によれば、本明細書に開示される基板のある領域を濡らす方法も提供される。
【0010】
[0010] 本発明によれば、本明細書に開示されるリソグラフィ装置も提供される。
【0011】
[0011] 本発明の種々の実施形態、特徴及び利点の構造及び動作だけではなく、本発明のさらなる実施形態、特徴及び利点が添付図面を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0013】
【
図2】2a、2b及び2cはそれぞれ、全周囲に延在し得る異なる特徴部(feature)が各バージョンの左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンの断面図である。
【
図3】3a、3b及び3cはそれぞれ、全周囲に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを含む本発明のある実施形態のシステムの断面図である。
【
図4】4a、4b、4c及び4dはそれぞれ、全周囲に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを含む本発明のある実施形態のシステムの断面図である。
【0014】
[0013] 図に示された特徴部は必ずしも縮尺通りではなく、描かれたサイズ及び/又は配置は限定的ではない。図が本発明にとって不可欠ではない場合がある任意選択的な特徴部を含むことは理解されるであろう。更に、装置の特徴の全てが図のそれぞれに描かれているわけではなく、図は特定の特徴を説明するのに適切なコンポーネントの一部のみを示すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0014] 本文献では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0016】
[0015] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0017】
[0016]
図1はリソグラフィ装置を概略的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAをサポートするように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に配置するように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板サポートWTを正確に配置するように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポート(例えば基板テーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0018】
[0017] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームBを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使用して放射ビームBを調節し、パターニングデバイスMAの平面において、その断面にわたって所望の空間及び角度強度分布が得られるようにしてもよい。
【0019】
[0018] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0020】
[0019] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11を充填するように、基板の少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液浸液で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、援用により本願に含まれる米国特許第6952253号に与えられている。
【0021】
[0020] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプである場合もある(「デュアルステージ」とも呼ばれる)。こうした「マルチステージ」機械において、基板サポートWTを並行して使用するか、及び/又は、一方の基板サポートWT上の基板Wにパターンを露光するためこの基板を用いている間に、他方の基板サポートWT上に配置された基板Wに対して基板Wの以降の露光の準備ステップを実行することができる。
【0022】
[0021] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置は測定ステージ(図示せず)を含むことができる。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するよう配置できる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。クリーニングデバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部のような、リソグラフィ装置の一部をクリーニングするよう配置できる。基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動することができる。
【0023】
[0022] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、例えばマスクのようなパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFを用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(
図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分間の空間に位置付けることも可能である。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分C間に位置付けられている場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0024】
[0023] 本発明を明確にするため、デカルト座標系が用いられる。デカルト座標系は3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸の各々は他の2つの軸に対して直交している。x軸を中心とした回転をRx回転と称する。y軸を中心とした回転をRy回転と称する。z軸を中心とした回転をRz回転と称する。x軸及びy軸は水平面を画定し、z軸は垂直方向を画定する。デカルト座標系は本発明を限定せず、単に明確さのため使用される。代わりに、円筒座標系のような別の座標系を用いて本発明を明確にすることも可能である。デカルト座標系の配向は、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように、異なるものとしてもよい。
【0025】
[0024] 液浸技術は、より小さなフィーチャの解像度の向上を可能とするべくリソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置において、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が、装置の(パターン形成されたビームが基板Wに投影されるときに通過する)投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11に介在する。液浸液は、投影システムPSの最終素子の下方で基板Wの少なくとも一部を覆う。よって、露光を受ける基板Wの少なくとも一部が液浸液に浸される。
【0026】
[0025] 商用の液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。典型的に、この水は半導体製造プラントで一般的に使用されている超純水(UPW)などの高純度の蒸留水である。液浸システムでは多くの場合、UPWは精製され、液浸液として液浸空間11に供給される前に追加の処理ステップを受けることがある。水のほかに、例えばフッ化炭化水素のような炭化水素及び/又は水溶液など、屈折率の高い他の液体を液浸液として使用することができる。更に、液体以外の流体を液浸リソグラフィに使用することが想定されている。
【0027】
[0026] 本明細書では、使用時に最終素子100と最終素子100に対向する表面との間の液浸空間11に液浸液が閉じ込められる局所液浸について言及されることになる。この対向表面は、基板Wの表面、又は基板Wの表面と同一平面にある支持台(又は基板サポートWT)の表面である(以下の本文における基板Wの表面への言及はまた、そうではないと明記しない限り、付加的又は代替的に基板サポートWTの表面を指すものであり、逆も同様である)。投影システムPSと基板サポートWTとの間に存在する流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に閉じ込めるために使用される。液浸液で満たされた液浸空間11は、平面視で基板Wの上面よりも小さく、液浸空間11は、基板W及び基板サポートWTが下方に移動する間、投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
【0028】
[0027] 他の液浸システム、例えば非閉じ込め液浸システム(いわゆる「オールウェット」液浸システム)や浴式液浸システムも想定されている。非閉じ込め液浸システムでは、液浸液は、最終素子100の下方の表面を越えて広がる。液浸空間11外の液体は薄い液膜として存在する。液体は、基板Wの表面全体、あるいは基板W及び基板Wと同一平面上の基板サポートWTの表面全体を覆うことがある。浴式システムでは、基板Wは液浸液の浴槽に完全に浸漬される。
【0029】
[0028] 流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に供給し、液浸空間11から液浸液を除去し、それにより液浸液を液浸空間11に閉じ込める構造である。それは流体供給システムの一部である特徴部を含む。PCT特許出願公開第WO99/49504号に開示されている構成は、液浸液を液浸空間11から供給又は回収し、投影システムPSの下のステージの相対運動に応じて動作する複数のパイプを備える初期の流体ハンドリング構造である。より最近の設計では、流体ハンドリング構造は、投影システムPSの最終素子100と基板サポートWT又は基板Wとの間の液浸空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在し、それにより液浸空間11を部分的に画定する。
【0030】
[0029] 流体ハンドリング構造12は、様々な機能の選択を有することがある。各機能は、流体ハンドリング構造12がその機能を達成できるようにする対応する特徴部から導かれることがある。流体ハンドリング構造12は、それぞれが1つの機能を指す、バリア部材、シール部材、流体供給システム、流体除去システム、液体閉じ込め構造などいくつかの異なる用語で呼ばれることがある。
【0031】
[0030] バリア部材としての流体ハンドリング構造12は、液浸空間11からの液浸液の流れに対するバリアである。液体閉じ込め構造としての構造は、液浸液を液浸空間11に閉じ込める。シール部材として、流体ハンドリング構造12の封止機構は、液浸液を液浸空間11に閉じ込めるシールを形成する。封止機構は、例えばガスナイフのような、シール部材の表面にある開口からの追加のガス流を含むことがある。
【0032】
[0031] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を供給するため、流体供給システムである場合がある。
【0033】
[0032] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を少なくとも部分的に閉じ込めるため、流体閉じ込めシステムである場合がある。
【0034】
[0033] ある実施態様では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体に対するバリアを提供するため、流体閉じ込め構造などのバリア部材である場合がある。
【0035】
[0034] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、例えば液浸流体の流れ及び/又は位置を制御することを助けるために、ガス流を生成又は使用することがある。
【0036】
[0035] ガス流は、液浸流体を閉じ込めるシールを形成することがあるため、流体ハンドリング構造12はシール部材と呼ばれることがあり、そうしたシール部材は、流体閉じ込め構造である場合がある。
【0037】
[0036] ある実施形態では、液浸液が液浸流体として用いられる。その場合、流体ハンドリング構造12は液体ハンドリングシステムである場合がある。前述の説明を参照すると、流体に関して定義された特徴部へのこの段落での言及は、液体に関して定義された特徴部を含むものと理解されることがある。
【0038】
[0037] リソグラフィ装置は投影システムPSを有する。基板Wの露光中に、投影システムPSはパターン形成された放射ビームを基板W上に投影する。基板Wに到達するために、放射ビームBの経路は、投影システムPSから、投影システムPSと基板Wとの間の流体ハンドリング構造12によって閉じ込められた液浸液を通過する。投影システムPSは、ビーム経路の最後にあるレンズ素子を有し、これは液浸液と接触している。液浸液と接触しているこのレンズ素子は、「最後のレンズ素子」又は「最終素子」と呼ばれることがある。最終素子100は、流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に囲まれている。流体ハンドリング構造12は、液浸液を最終素子100の下方かつ対向表面の上方に閉じ込めることがある。
【0039】
[0038]
図2a、
図2b及び
図2cは、流体ハンドリングシステムの変形形態に存在し得る様々な特徴部を示している。この設計は、異なる説明がされていない限り
図2a、
図2b及び
図2cと同じ特徴部の一部を共有することがある。本明細書に記載される特徴部は、図に示すように又は必要に応じて個別に又は組み合わせて選択されることがある。図は、全周囲に延在し得る、異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの異なるバージョンを示す。したがって、例えば流体ハンドリングシステムは、全周囲に延在する同じ特徴部を有することがある。例えば、流体ハンドリングシステムは、
図2aの左側、又は
図2aの右側、又は
図2bの左側、又は
図2bの右側、又は
図2cの左側、又は
図2cの右側のみの特徴部を有することがある。代替的に、流体ハンドリングシステムは、これらの図からの特徴部の任意の組み合わせを周囲に沿った異なる場所に備えることがある。流体ハンドリングシステムは、以下の変形形態に記載の流体ハンドリング構造12を含むことがある。
【0040】
[0039]
図2aは、最終素子100の底面の周りにある流体ハンドリング構造12を示している。最終素子100は逆円錐台形状を有する。円錐台形状は、平坦な底面及び円錐面を有する。円錐台形状は平面から突出し、底部平面を有する。底部平面は、放射ビームBが通過し得る最終素子100の底面の光学的能動部分である。最終素子100はコーティング30を有することがある。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の少なくとも一部を取り囲む。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に対向する内面を有する。内面と円錐面とは相補形状を有することがある。流体ハンドリング構造12の頂面は実質的に平坦である場合がある。流体ハンドリング構造12は、最終素子100の円錐台形状の周りにフィットすることがある。流体ハンドリング構造12の底面は実質的に平坦である場合があり、使用中、底面は基板サポートWT及び/又は基板Wの対向表面と平行である場合がある。したがって、流体ハンドリング構造12の底面は、基板Wの表面に対向する面と呼ばれることがある。底面と対向表面との間の距離は、30~500ミクロンの範囲内、望ましくは80~200ミクロンの範囲内である場合がある。
【0041】
[0040] 流体ハンドリング構造12は、最終素子100よりも基板W及び基板サポートWTの対向表面の近くに延在する。したがって、液浸空間11は、流体ハンドリング構造12の内面と、円錐台部分の平面と対向表面との間に画定される。使用中、液浸空間11は液浸液で満たされる。液浸液は、最終素子100と流体ハンドリング構造12との間の相補面の間のバッファ空間の少なくとも一部、ある実施形態では、相補内面と円錐面との間の空間の少なくとも一部を満たす。
【0042】
[0041] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を介して液浸空間11に供給される。液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面の供給開口20を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面に形成された下方供給開口23から供給される。下方供給開口23は、放射ビームBの経路を取り囲むことがあり、アレイ状の一連の開口又は単一スリットから形成されることがある。液浸液は、投影システムPSの下方の液浸空間11を通る流れが層流となるように供給されて液浸空間11を満たす。加えて、下方供給開口23からの液浸液の供給は、液浸空間11への泡の進入を防ぐ。この液浸液の供給は、液体シールとして機能することがある。
【0043】
[0042] 液浸液は、内面に形成された回収開口21から回収されることがある。回収開口21を介した液浸液の回収は、負圧の印加によるものや、液浸空間11を通過する液浸液の流れの速度の結果である回収開口21を介した回収である場合がある、あるいは回収は両方の結果である場合がある。回収開口21は、平面視した場合、供給開口20の反対側に位置することがある。付加的又は代替的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の頂面上に位置するオーバフロー回収部24を介して回収されることがある。供給開口20及び回収開口21は、その機能を交換することができる(すなわち、液体の流れ方向を逆転させる)。これによって、流れ方向を流体ハンドリング構造12と基板Wとの相対運動に応じて変化させることが可能になる。
【0044】
[0043] 付加的又は代替的に、液浸液は、底面に形成された回収開口25を介して流体ハンドリング構造12の下方から回収されることがある。回収開口25は、液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に対して保持する働きをすることがある。メニスカス33は流体ハンドリング構造12と対向表面との間に生じ、液体空間とガス状の外部環境との間の境界としての働きをする。回収開口25は、単相流で液浸液を回収し得る多孔質プレートである場合がある。底面の回収開口は、液浸液の回収が行われる一連の釘付け開口32である場合がある。釘付け開口32は、二相流で液浸液を回収することがある。
【0045】
[0044] 任意選択で、流体ハンドリング構造12の内面に対して半径方向外側にガスナイフ開口26がある。ガスは、液浸空間11内の液浸液の液体閉じ込めを支援するために、高速でガスナイフ開口26を介して供給されることがある。供給されたガスは加湿されることがあり、実質的に二酸化炭素を含むことがある。ガスナイフ開口26の半径方向外側には、ガスナイフ開口26を介して供給されたガスを回収するためのガス回収開口28がある。
【0046】
[0045] 例えば大気又はガス源又は真空に開放した別の開口が、流体ハンドリング構造12の底面、すなわち流体ハンドリング構造12の基板Wに対向する表面に存在している場合がある。このような任意選択の別の開口50の例が
図2aの右側に破線で示されている。図に示すように、別の開口50は両矢印で示される供給部材又は抽出部材である場合がある。例えば供給部として構成される場合、別の開口50はあらゆる供給部材と同様、液体供給又はガス供給に接続されることがある。代替的に、抽出部として構成される場合、別の開口50は流体を抽出するのに使用されることがあり、例えば大気又はガス源又は真空に接続されることがある。例えば、少なくとも1つの別の開口50が、ガスナイフ開口26とガス回収開口28との間、及び/又は釘付け開口32とガスナイフ開口26との間に存在している場合がある。
【0047】
[0046]
図2aの左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンはメニスカス33を釘付けする。
図2aの右側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、釘付け開口32の固定位置によって、最終素子100に対して実質的に固定される位置にメニスカス33を釘付けすることがある。
図2aの左側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を釘付けすることがあるため、メニスカス33は回収開口25の長さ及び/又は幅に沿って移動することがある。露光中に放射ビームBが基板Wの全面に向かうように、基板Wを支持する基板サポートWTは投影システムPSに対して移動する。リソグラフィ装置により露光される基板Wの生産を最大化するために、基板サポートWT(ひいては基板W)はできるだけ高速で移動する。ただし、これを上回ると流体ハンドリング構造12と基板Wとの間のメニスカス33が不安定になる限界相対速度(限界スキャン速度と呼ばれる場合が多い)が存在する。不安定なメニスカス33は、例えば1つ以上の液滴の形で液浸液を失うリスクが高くなる。更に、不安定なメニスカス33は、特に閉じ込められた液浸液が基板Wの縁部を横切るときに液浸液に気泡が入ってしまうリスクが高くなる。
【0048】
[0047] 基板Wの表面上に存在する液滴が熱負荷をかけることがあり、欠陥の原因となる場合がある。液滴は乾燥しみを残しながら蒸発することがあり、粒子などのコンタミを搬送しながら移動することがあり、気泡を生じさせる液浸液のより大きい塊と衝突することがあり、液滴が位置する表面に熱負荷をかけながら蒸発することがある。そのような熱負荷は、歪みの原因、及び/又は表面が結像されている基板Wに対するリソグラフィ装置のコンポーネントの位置決めと関係がある場合の位置決め誤差の原因となる可能性がある。したがって、表面に液滴が形成されることは望ましくない。したがって、このような液滴の形成を防ぐために、基板サポートWTの速度は、メニスカス33が安定した状態を保つ限界スキャン速度に制限される。これはリソグラフィ装置のスループットを制限する。
【0049】
[0048]
図2bは、メニスカス33の最終素子100に対する移動を可能にする、左右両側にある流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンを示している。メニスカス33は、移動基板Wの方向に移動することがある。これによってメニスカス33と移動基板Wとの相対速度が低下し、安定性が向上し、メニスカス33の破壊リスクが低下することがある。メニスカス33が破壊される基板Wの速度は、投影システムPS下方での基板Wの高速移動を可能にするように上昇する。したがって、スループットが増加する。
【0050】
[0049]
図2bに示された、
図2aと共通の特徴部は、同じ参照番号を共有する。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面に近い。
【0051】
[0050] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を介して液浸空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りの、円錐台形状の底面の下方に位置する可能性がある。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。
【0052】
[0051] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面の回収開口25を介して液浸空間11から回収される。対向表面が流体ハンドリング構造12の下方で移動するとき、メニスカス33は回収開口25の表面上を対向表面の移動と同じ方向に移動することがある。回収開口25は多孔質部材から形成されることがある。液浸液は単相で回収されることがある。液浸液は二相流で回収されることがある。二相流は、流体ハンドリング構造12内のチャンバ35に受容され、そこで液体とガスに分離される。液体とガスは、チャンバ35から別個のチャネル36、38を通して回収される。
【0053】
[0052] 流体ハンドリング構造12の底面の内周39は、内面から離れて液浸空間11内に延在してプレート40を形成する。内周39は、放射ビームBの形状及びサイズに合致する大きさであり得る小さなアパーチャを形成する。プレート40は、その両側の液浸液を分離する働きをすることがある。供給された液浸液は、アパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通った後、周辺の回収開口25に向かってプレート40の下方を半径方向外側に流れる。
【0054】
[0053] 流体ハンドリング構造12は、
図2bの右側に示すような2つの部分、すなわち内側部12aと外側部12bとに分かれていることがある。内側部12a及び外側部12bは、対向表面と平行な平面内で、互いに対して相対的に移動することがある。内側部12aは、供給開口34を有することがあり、オーバフロー回収部24を有することがある。外側部12bは、プレート40及び回収開口25を有することがある。内側部12aは、内側部12aと外側部12bとの間を流れる液浸液を回収するための中間回収部42を有することがある。
【0055】
[0054] したがって、
図2bの流体ハンドリング構造の2つの異なるバージョンは、メニスカス33の基板Wと同じ方向への移動を可能にすることによって、スキャン速度を高速化し、リソグラフィ装置のスループットを向上させることができる。ただし、メニスカス33が
図2bの左側の流体ハンドリング構造12の回収開口25の表面上を移動する速度は遅い場合がある。
図2bの右側の流体ハンドリング構造12は、外側部12bを内側部12a及び最終素子100に対して移動させることによってメニスカス33のより素早い移動を可能にする。しかしながら、内側部12aと外側部12bとの接触を回避するためにその間に十分な液浸液が供給されることを確実にするように中間回収部42を制御することは困難な場合がある。
【0056】
[0055]
図2cは、
図2a及び/又は
図2bに関連して以上で説明したように液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に釘付けするのに使用され得る、流体ハンドリング構造12の左側及び右側にある2つの異なるバージョンを示している。
図2cに示された、
図2a及び/又は
図2bと共通の特徴部は同じ参照番号を共有する。
【0057】
[0056] 流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面に近い。液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を介して液浸空間11に供給される。液浸液は、流体構造12の内面にある供給開口34を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は、流体構造12の内面にある供給開口20を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は下方供給開口23を介して供給される。液浸液は、抽出部材を介して、例えば内面に形成された回収開口21及び/又はオーバフロー回収部24及び/又は以下で説明される流体ハンドリング構造12の表面にある1つ以上の開口を介して回収されることがある。
【0058】
[0057]
図2cの左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンはメニスカス33を釘付けする。
図2cの右側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口32aの固定位置によって、最終素子100に対して実質的に固定される位置にメニスカス33を釘付けすることがある。
図2cの左側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を釘付けすることがあるため、メニスカス33は回収開口25の長さ及び/又は幅に沿って移動することがある。
【0059】
[0058]
図2bに関連して以上で説明したように、流体ハンドリング構造12の底面の内周は、内面から離れて液浸空間11内に延在して左側に示されるようなプレート40を形成することがある。以上で説明したように、これによって小さなアパーチャが形成されることがあり、両側に液浸液が分離されること、及び/又は液浸液がアパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通った後、周辺の回収開口25に向かってプレート40の下方を半径方向外側に流れることがある。この特徴部は
図2cの左側に示されているが、示されている他の特徴部と組み合わせることは任意選択である。好ましくは、左側に示されるように液浸液は流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を介して液浸空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りの、円錐台形状の底面の下方に位置する可能性がある。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。代替的又は付加的に、液浸液は流体構造12の内面にある供給開口20を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は下方供給開口23を介して供給される。供給開口34は好適な液体供給であるが、供給開口34、供給開口20及び/又は下方供給開口23の任意の組み合わせが設けられることがある。
【0060】
[0059]
図2cの左側に示すように、流体ハンドリングシステムが、上記の流体ハンドリング構造12及び第3のデバイス300を含むことがある。流体ハンドリング構造12は、回収開口25などの抽出部材と、下方供給開口23などの液体供給開口とを有することがある。流体ハンドリング構造12が、
図2aの左側、
図2aの右側、
図2bの左側、
図2bの右側、又は(以下で説明される)
図2cの右側に関連して開示された任意の構成を、第3のデバイス300と組み合わせて含み得ることは理解されるであろう。
【0061】
[0060] また、第3のデバイス300は液滴キャッチャと呼ばれることがある。第3のデバイス300は、流体ハンドリング構造12が表面上を移動した後に基板Wの表面上に液体が発生することを抑えるために設けられる。第3のデバイス300は、液体供給部材301と少なくとも1つの抽出部材302とを含むことがある。少なくとも1つの抽出部材302は、平面視で少なくとも1つの供給部材301を取り囲む形状で形成されることがある。少なくとも1つの第3の液体供給部材301は、第3のデバイス300の少なくとも一部と基板Wの表面との間の空間311に第3の液体を供給するように構成されることがある。第3のデバイス300は、液体の少なくとも一部を少なくとも1つの抽出部材302を介して回収するように構成されることがある。第3のデバイス300は、基板Wの表面上に残された液体を第3の空間311内の液体と統合した後、基板Wの表面上に残っている液体の量が減るように液体を抽出するのに使用されることがある。
【0062】
[0061] 第3のデバイス300は、
図2cの流体ハンドリング構造12とは別個のデバイスとして示されている。第3のデバイス300は流体ハンドリング構造12に隣接して配置されることがある。代替的に、第3のデバイス300は、流体ハンドリング構造12の一部である、すなわち流体ハンドリング構造12と一体である場合がある。
【0063】
[0062] 第3のデバイス300は、流体ハンドリング構造12により供給された液体から離れた第3の空間311に液体を供給するように構成されることがある。
【0064】
[0063] 付加的又は代替的に、流体ハンドリング構造12は
図2cの右側に示すようなコンポーネントを有することがある。より具体的には、流体ハンドリング構造12は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された少なくとも1つの液体供給部材、2つの抽出部材(例えば回収開口32a及び32b)及び2つのガス供給部材(例えばガス供給開口27a及び27b)を含むことがある。少なくとも1つの液体供給部材は、上記の流体ハンドリング構造12の底面にある下方供給開口23、又は
図2bの左側に関連して説明された流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口20若しくは液体供給開口34と同じである場合がある。液体供給部材、抽出部材及びガス供給部材は、流体ハンドリング構造12の表面に形成されることがある。具体的には、これらのコンポーネントは、流体ハンドリング構造12の基板Wに対向する面、すなわち流体ハンドリング構造12の底面に形成されることがある。
【0065】
[0064] 2つの抽出部材のうちの少なくとも一方は内部に多孔質材37を含むことがある。多孔質材37は、開口、例えば流体ハンドリング構造12が流体ハンドリング構造12の下方から流体を抽出する回収開口32a内に設けられることがあり、液浸液を単相流で回収することがある。2つの抽出部材のうちの他方、例えば回収開口32bは、液浸流体を二相抽出器として回収することがある。
【0066】
[0065] 具体的には、流体ハンドリング構造12は、液体供給部材(例えば下方供給開口23)と、液体供給部材の半径方向外側の第1の抽出部材(例えば回収開口32a)と、第1の抽出部材の半径方向外側の第1のガス供給部材(例えばガス供給開口27a)と、第1のガス供給部材の半径方向外側の第2の抽出部材(例えば回収開口32b)と、第2の抽出部材の半径方向外側の第2のガス供給部材(例えばガス供給開口27b)と、を含むことがある。
図2aと同様に、例えば大気又はガス源又は真空に開放した別の開口が、(流体ハンドリング構造12に関連して)先に説明したように、流体ハンドリング構造12の底面に存在している場合がある。
【0067】
[0066] 例えば、少なくとも1つの別の開口(図示せず)が流体ハンドリング構造12の底面に設けられることがある。別の開口は任意選択である。別の開口は、上記の構成で説明された第1の抽出部材(例えば回収開口32a)と第1のガス供給部材(例えばガス供給開口27a)との間に配置されることがある。代替的又は付加的に、別の開口は、上記の構成で説明された第2の抽出部材(例えば回収開口32b)と第2のガス供給部材(例えばガス供給開口27b)との間に配置されることがある。別の開口は上記の別の開口50と同じである場合がある。
【0068】
[0067] 任意選択で、流体ハンドリング構造12は凹部29を含む。凹部29は、回収開口32aと回収開口32bとの間、又はガス供給開口27aと回収開口32bとの間に設けられることがある。凹部29の形状は流体ハンドリング構造12の周りで均一である場合があり、任意選択で傾斜面を含むことがある。回収開口32aと回収開口32bとの間に設けられた凹部29の場合、ガス供給開口27bは
図2cに示されるように傾斜面に設けられることがある。供給開口27aと回収開口32bとの間に設けられた凹部29の場合、ガス供給開口27bは、傾斜面、又は流体ハンドリング構造12の底面の基板Wの表面に平行な部分に設けられることがある。代替的に、凹部29の形状は流体ハンドリング構造12の周囲に沿って変化することがある。凹部29の形状を変化させて、ガス供給部材から供給されたガスが流体ハンドリング構造12の下方の流体に及ぼす影響を変化させることがある。
【0069】
[0068]
図2aから
図2cは、流体ハンドリングシステムの一部として使用され得る異なる構成の例を示す。上記の例は特定の抽出部材及び回収部材について言及しているが、全く同じ種類の抽出部材及び/又は回収部材を使用する必要がないことは理解されるであろう。場合によっては部材の位置を示すのに異なる用語が使用されるが、同じ機能特徴部が設けられることがある。上記の抽出部材の例には、回収開口21、オーバフロー回収部24、回収開口25(場合により多孔質プレート及び/又はチャンバ35を含む)、ガス回収開口28、釘付け開口32、回収開口32a、回収開口32b及び/又は中間回収部42が含まれる。上記の供給部材の例には、供給開口20、下方供給開口23、ガスナイフ開口26、ガス供給開口27a、ガス供給開口27b、及び/又は供給開口34が含まれる。一般に、流体、液体又はガスを抽出/回収するのに使用される抽出部材は、流体、液体又はガスをそれぞれ抽出/回収する他の使用例の少なくともいずれかと交換可能である。同様に、流体、液体又はガスを供給するのに使用される供給部材は、流体、液体又はガスをそれぞれ供給する他の使用例の少なくともいずれかと交換可能である。抽出部材は、流体、液体又はガスを抽出部材に引き込む負圧に接続されることによってある空間から流体、液体又はガスを抽出/回収することがある。供給部材は関連供給に接続されることによって空間に流体、液体又はガスを供給することがある。
【0070】
[0069] 上記の
図2a、
図2b及び
図2cの流体ハンドリング構造12は、基板Wの表面から液浸液を除去する措置を講じるものであるが、依然として液浸液の漏れが生じることがある、及び/又は限界相対速度に制限がある場合がある。上記のように、基板Wの表面上の液滴から様々な欠陥が生じる可能性があり、特に小さい液滴が、歩留まりを低下させるウォーターマーク欠陥をもたらすことになる。
【0071】
[0070] より具体的には、液滴は乾燥しみを残しながら蒸発することがあり、粒子などのコンタミを搬送しながら移動することがあり、気泡を生じさせる液浸液のより大きい塊と衝突することがあり、液滴が位置する表面に熱負荷をかけながら蒸発することがある。そのような熱負荷は、歪みの原因、及び/又は表面が結像されている基板Wに対するリソグラフィ装置のコンポーネントの位置決めと関係がある場合の位置決め誤差の原因となる可能性がある。基板W上のレジスト表面からの化合物が液滴中に漏出することがあり、漏出した化合物は、液滴が蒸発するときに濃縮されて固体残渣を形成することがある。濃度が飽和状態に達したとき、基板Wの表面上に固体残渣が生じることがある。固体残渣と化合物はどちらもレジスト層に拡散する可能性があり、ウォーターマーク欠陥を形成することによって照射領域を破壊する可能性がある。少なくともこれらの理由によって、基板Wの表面上の液滴は望ましくない。特に、中小規模の液滴は、そのサイズが上記の悪影響をもたらすことが知られている液滴の蒸発を引き起こすため、特に懸念される場合がある。更に、進歩するにつれて、追加の層が単一基板上にパターン形成されることによって、そのような欠陥が単一基板W上に発生する可能性が高まり得ることに留意されたい。
【0072】
[0071] 水分損失、ひいてはそのような液滴の形成を防ぐ又は抑えるために、基板サポートWTの速度は、メニスカス33が安定した状態を保つ限界スキャン速度に制限される可能性がある。これによって基板Wがより遅い速度で生成されるため、リソグラフィ装置のスループットが制限される。上記のシステムはまた、液浸液を除去して後に残される液滴を減らすために、基板Wの表面から液体を除去するガスナイフ開口26などの回収機構を所定の位置に有する。例えば
図2a及び/又は2b及び/又は2cに関連して説明した流体ハンドリング構造12を使用することにより、液浸システムを使用した照射の後に全ての液体を除去することにより基板Wを乾燥させることが、浸漬後に基板Wの表面に液滴が発生することを抑える可能性があることが分かっている。ただし、いくつかの液滴が依然として形成されることがあり、限界スキャン速度の制限は可能なら高い方が理想的である。
【0073】
[0072] 本発明の発明者らは、液浸液を使用した露光の後に基板をできるだけ乾いた状態に保つ代わりに、基板Wを濡らすことがウォーターマーク欠陥に対処する代替手段となることに気付いている。有利には、基板Wを濡らすことは上記のウォーターマーク欠陥を減らしたり予防したりすることで歩留まりを向上させることができる。また、ウォーターマーク欠陥がもはや他の露光後工程に依存していない場合がある。また、基板Wを濡らすことは概して乾燥させることよりもはるかに容易である。基板Wを乾燥させることは厳密に制御された時間差における特異的制御を必要とするが、基板Wを濡らすことはより単純で時間がかからない。
【0074】
[0073] 基板Wを濡らすことは、以下で説明されるような様々な方法で実現されることがある。本発明の実施形態が、装置の一部の断面を示す
図3a、
図3b、
図3c、
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dを参照して説明される。これらの図中の
図2a、
図2b及び
図2cと共通の特徴部には同じ参照番号を使用する。
図2a、
図2b及び
図2cに関連して既に説明した特徴部はこれ以上説明しないが、
図2a、
図2b及び
図2cに関連して説明した特徴部はいずれも
図3a、
図3b、
図3c、
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dに示される特徴部と組み合わせることができる。
【0075】
[0074] 本実施形態は、基板Wの表面のある領域を濡らすための流体ハンドリングシステムを提供する。また、ある実施形態が、本明細書に記載される基板Wの表面のある領域を濡らす方法を提供する。この領域は、上記の少なくとも1つのターゲット部分Cと同じである場合がある。
【0076】
[0075] 流体ハンドリングシステムは第1のデバイス112及び第2のデバイス200を含む。以下で更に詳しく説明されるように、第1のデバイス112は第1の液体を基板Wに供給するように構成され、第2のデバイス200は第2の液体を基板Wに供給するように構成される。第1の液体及び第2の液体は、第1の液体及び第2の液体が基板Wの表面上で互いに分離するように供給される。
【0077】
[0076] この方法は第1の液体を第1の空間111に供給することを含む。第1の液体は第1のデバイス112を使用して第1の空間111に供給されることがある。第1のデバイス112は、上記の実施形態及び/又は変形形態のいずれかに記載された、例えば
図2a及び/又は2b及び/又は2cの左側及び/又は右側に関連して図示及び/又は説明された流体ハンドリング構造12である場合がある。
【0078】
[0077] 第1のデバイス112は第1の液体を第1の空間111に閉じ込めるように構成される。第1のデバイス112は、放射ビームBを通過させて基板Wのある領域を照射するために内部に形成されたアパーチャ10を有する。アパーチャ10は第1の液体で満たされる第1の空間111を画定する。第1のデバイス112は、第1の液体を第1の空間111に供給する少なくとも1つの第1の液体供給部材を含む。少なくとも1つの第1の液体供給部材は、上記の供給開口20、供給開口34及び/又は下側開口23である場合がある。
【0079】
[0078] 第1の空間111は、第1のデバイス112の少なくとも一部と基板Wの表面との間にある場合がある。したがって、第1の空間111は上記の液浸空間11と同じである場合がある。第1の空間111内の第1の液体は、基板Wの表面の第1のエリア上に形成されることがある、すなわち第1のエリアは、基板Wの表面の第1の液体と接触するエリアである場合がある。基板Wの第1の液体と接触する第1のエリアは、基板が第1のデバイス112に対して移動する場合(又は逆の場合)に移動することになる。液体層が第2の液体によって形成される場合、第2のエリアは第1のエリアよりも大きい場合がある。
【0080】
[0079] 上記のように第1の空間111は、最終素子100と、最終素子100に対向する表面との間にある場合がある。対向表面は、基板Wの表面、又は支持台(又は基板サポートWT)の基板Wの表面と同一平面上にある表面である。(以下の文章における基板Wの表面についての言及は、明示的に別段の記載がない限り、付加的又は代替的に基板サポートWTの表面についての言及でもあり、逆も同様であることに留意されたい)。
【0081】
[0080] 第1の空間111は第1のデバイス112及び基板Wによって画定されることがある。したがって、上記の変形形態と同様に、第1の空間111は基板W上方の第1のデバイス112によって形成されることがある。第1の空間111は投影システムPSの最終素子100によって更に画定されることがある。第1の空間111は第1の液体で満たされることがある。液体は、流体ハンドリング構造12に関連して以上で説明した第1の空間111に閉じ込められることがある。具体的には、第1の液体(すなわち液浸液)は、少なくとも1つの液体供給部材によって、最終素子100と第1のデバイス112と基板Wとの間の空間に供給することができる。第1の液体は、液体の供給を制御することによって、及び少なくとも1つの抽出部材を使用して第1の液体を空間から除去することによって前述のように閉じ込めることができる。これによって、第1の液体は第1の空間111に閉じ込めることができる。少なくとも1つの液体供給部材は、液体を供給可能な任意の適切な供給部材、例えば下方供給開口23である場合がある。少なくとも1つの抽出部材は、液体を抽出可能な任意の部材、例えば釘付け開口32である場合がある。
【0082】
[0081] 第1のデバイス112は、放射ビームBを第1の液体の中を通過させて基板Wの表面のある領域を照射するために内部に形成されたアパーチャ10を有する。照射される基板Wの領域は、その領域の照射中に第1のエリア内にあることになる。
【0083】
[0082] この方法は、放射ビームBを第1のデバイス112のアパーチャ10に、そして第1の空間111内の第1の液体に通過させることによって、基板Wの領域を照射することを含むことがある。したがって、基板Wがパターン形成されているとき、放射ビームBは、最終素子100から第1の液体で満たされたアパーチャ10を通過して最終素子100の下方の基板Wの領域を照射することがある。
【0084】
[0083] 第2の液体は第2のデバイス200によって供給される。より具体的には、第2のデバイス200は、第2の液体を供給するように構成された少なくとも1つの第2の液体供給部材201を含む。この方法は、第2の液体を第2の空間211に供給することを更に含む。第2の空間211は、第2の液体を供給する第2のデバイス200と、第2のデバイス200に対向する表面との間に形成されることがある。対向表面は、基板Wの表面、又は支持台(又は基板サポートWT)の基板Wの表面と同一平面上にある表面である。(以下の文章における基板Wの表面についての言及は、明示的に別段の記載がない限り、付加的又は代替的に基板サポートWTの表面についての言及でもあり、逆も同様であることに留意されたい)。
【0085】
[0084] 第2の空間211内の第2の液体は、基板Wの表面の第2のエリア上に形成されることがある、すなわち第2のエリアは、基板Wの表面の第2の液体と接触するエリアである場合がある。基板Wの第2の液体と接触する第2のエリアは、基板Wが第2のデバイス200に対して移動する場合(又は逆の場合)に移動することになる。より多くの第2の液体が第2の空間211に供給されると、液体は基板Wの表面に広がることになり、第2のエリアのサイズが大きくなる。
【0086】
[0085] 第2の空間211は第2の液体で満たされることがある。ただし、第2のデバイス200と基板Wとの間の空間全体が必ずしも完全に液体で満たされるとは限らない場合がある。例えば、第2の液体は、第2のデバイス200の基部に触れることなく第2の空間211内の基板Wの表面上に供給されることがある。例えば、第2の液体は、基板Wの表面上に第2の液体を噴霧することによって第2の空間211に供給されることがある。
【0087】
[0086] 第2の液体及び第1の液体は基板Wの表面上で互いに分離している。換言すれば、第1の空間111内の第1の液体と第2の空間211内の第2の液体との間にはギャップがある。ギャップgは基板Wの表面上に形成される。これは第1の液体と第2の液体とが互いに直接接触していないことを意味する。したがって、基板Wの表面の第2の液体が供給される第2のエリアと基板Wの表面の第1の液体が供給される第1のエリアとは互いに分離している。
【0088】
[0087] 第2の液体は、基板Wの表面上に液体層を形成するために供給される。より具体的には、第2の液体は、基板Wの照射領域上に液体層を形成するために、第2の空間211から液体を除去することなく第2の空間211に供給される。第2の液体は第2の空間211に任意の適切な速度で供給されることがある。例えば第2の液体は、上記の及び/又は当技術分野で知られている任意の他の液体供給と同じ又は同様の速度で供給されることがある。これは例えば流体ハンドリングシステムと基板Wとの相対速度によって変化し得ることが理解されるであろう。一般に液体は第2の空間211に、およそ0.05~0.5リットル毎分、又は好ましくは0.1~0.3リットル毎分の速度で供給されることがある。好ましくは、第2の空間211に供給される液体の速度はおよそ0.2リットル毎分である場合がある。第2の空間211に供給される第2の液体の量が経時的に増加することによって、基板Wの照射領域上に液体層が形成される。このようにして、第2のデバイス200を使用して基板Wの領域を濡らす、特に基板Wの照射領域を濡らす。
【0089】
[0088] 流体ハンドリングシステムは、第1の液体と第2の液体とを基板の表面上に同時に供給するように構成される。これは第1のデバイス112と第2のデバイス200とが液体を同時に供給するように構成されることを意味する。基板Wが流体ハンドリングシステムに対して移動すること(又は逆の場合)がある。したがって、相対移動があるとき、特定のポイント(例えば照射される領域)において、その領域は第1の液体によって覆われた後に照射され、次いで第1の液体は照射領域に対して移動し、その領域が乾き始めるために上記の問題が引き起こされる。次いでその領域を濡らすために第2の液体を供給することができる。液体を同時に供給することは、第1の液体が除去されるとすぐに、第2の液体を非常に迅速に任意の特定のポイントに供給できることを意味する。
【0090】
[0089] 第2の液体を使用して、基板Wが第1のデバイス112に対して移動するときに後に残され得る小さな液滴よりも大きい液体層を形成する。液体層は、より小さい液滴と同じようには蒸発せず、基板Wに損傷を与えることはない。液体層が分裂して液体の大きな液滴を形成しても、これらのより大きい液滴は、上記のより小さい液滴と同じようには蒸発せず、損傷を与えない。
【0091】
[0090] 液体層の利点は、表面上に残された液滴を、基板Wの表面に損傷を与える前に液体層に統合できることである。例えば、第1の空間111から離れた、また基板Wの表面に残された第1の液体の液滴は液体層に統合することができる。これによってウォーターマーク欠陥の発生を抑えることができる。
【0092】
[0091] このようにして基板Wの照射領域を濡らす方が、既知の技術を用いて基板Wの表面を乾燥させるよりも速い場合がある。したがって、本方法はウォーターマークに関連した欠陥を減らしたり回避したりするのにより効果である場合がある。また、第2の液体を基板Wの表面に供給するのに用いられる制御は、表面を濡らすのではなく表面を乾燥させるのに使用される乾燥ユニットに必要とされる制御よりも要求が厳しくない場合がある。
【0093】
[0092] 第2のデバイス200は、第1のデバイス112の一部であるか、これに隣接して配置されることがある。第2のデバイス200は他の場所に位置することもある。例えば、第2のデバイス200は、基板Wの表面上の任意の液体の縁部に配置されることがある。すなわち、そこで第2のデバイス200は基板Wの表面を濡らすのに使用することができ、そうでなければ乾いてウォーターマークの問題を抱える可能性がある。第2のデバイス200は固定されることがあり、また基板トラックの任意の部分に設けられることがある。第2のデバイス200は、照射後に第2の液体を基板Wの表面に供給することができる任意の場所に設けられることがある。
【0094】
[0093] 上記のように、第2の空間211から液体が除去されることはなく、液体層は、1つ以上の関連領域が第1のデバイス112の下方を通過した後、基板Wの上方に、具体的には基板Wの表面の照射部分の上方に形成される。第2のデバイス200は液体を除去するための機構を含まないことがある。したがって第2のデバイス200は、液体を除去することなく第2の液体を第2の空間211に供給するのに使用されることがある。
【0095】
[0094] 基板W上に形成される液体層は、
図3a、
図3b、
図3c、
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dに示すような厚さtを有する。好ましくは、液体層は少なくともおよそ10μm、又は好ましくは少なくともおよそ20μm、又はより好ましくは少なくともおよそ30μmの厚さを有する。厚さtは、第2のデバイス200の底面と対向表面との間の距離とほぼ同じである場合がある。この距離は第1のデバイス112と対向表面との間の距離とほぼ同じである場合がある。第1のデバイス112の底部と対向表面との間の距離は、30~500ミクロンの範囲、望ましくは80~200ミクロンの範囲内にある場合があり、結果的に液体層の厚さtである場合もある。第2のデバイス200が濡れた照射領域に対して移動した後、基板Wの表面上の液体層は液滴に分裂することがある。液体の量が増加することによって、これらの液滴は通常、比較的大きくなり、その結果、上記の問題を更に軽減することになる。したがって、このとき厚さtは基板Wの表面上に形成された複数の大きな液滴の厚さを平均化することがある。厚さtは、全ての大きな液滴の平均、及び液滴に分裂する前の層、すなわち第2のデバイス200により供給された基板Wの表面上の全ての第2の液体の平均厚さである場合がある。
【0096】
[0095] この方法は、基板Wを流体ハンドリングシステムに対して移動することを更に含むことがある。具体的には、基板Wは移動することがあり、流体ハンドリングシステムは定位置にある場合がある。ただし、これは必須ではなく、流体ハンドリングシステムが移動する可能性がある一方、基板Wが定位置にあったり、流体ハンドリングシステムと基板Wの両方が移動して相対移動を行ったりする可能性がある。
【0097】
[0096] 基板Wは、第2の空間211が放射ビームBによる照射の後に少なくとも基板Wの照射領域の上方に配置されるように流体ハンドリングシステムに対して移動することがある。したがって、第2のエリア(すなわち基板の第2の液体と接触するエリア)は、基板Wと流体ハンドリングシステムとの間の相対移動があるときに変化することになる。第1の空間111は、(上記のターゲット部分Cの1つであり得る)領域の上方に配置されることがある。このときこの領域は第1のエリアの一部である。この領域は、放射ビームBを第1の空間111内の第1の液体を通ってこの領域に通過させることによって照射されることがある。照射後、基板Wは、第2の液体が照射領域の上方に配置されるように流体ハンドリングシステムに対して移動することがある。したがって、照射後の照射領域は第2のエリアの一部である。このようにして第2の流体は、照射された基板Wの各部分の液体層を形成するために供給することができる。
【0098】
[0097] 照射領域は照射後すぐに濡らされることが理想である。具体的には、領域が照射された後、基板Wは、第1のデバイス112が(上記のターゲット部分Cの別の1つであり得る)次の部分を照射するために基板Wの表面の異なる部分の上方に配置されるように、移動する可能性がある。第1のデバイス112が基板Wの異なる部分に移動するとき、第1の空間111内の第1の液体は基板Wの他の部分に移動する。上記のように、これによって液滴が基板Wの表面上、具体的には基板Wの照射領域の上方に残されることがある。第2の空間211内の第2の液体は照射領域の上方に供給されて、表面上に残された液滴を取り込み、液滴の悪影響を抑えることができる。一般にこれが行われるのが迅速であればあるほど、表面上の液滴が基板Wに及ぼすことになる影響が小さくなる。
【0099】
[0098] したがって、第1の液体がその領域から除去される特定の期間内に、第2の液体が基板Wのその領域(すなわち照射領域)の上方に移動することは有益である。第2のデバイス200が第1のデバイス112に対して定位置にある場合、特定ポイントの上方にある第1の液体と第2の液体との間の時間差は、基板Wと流体ハンドリングシステムとの間の相対速度に依存することになる。好ましくは、第2の液体はその領域の上方に、およそ20秒未満で、又は好ましくはおよそ15秒未満で、又は好ましくはおよそ10秒未満で、又は好ましくはおよそ5秒未満で移動する。好ましくは、第2の液体は照射領域の上方におよそ2秒未満で移動する。好ましくは、流体ハンドリングシステムは、第2の液体を照射領域の上方に上記の時間内に供給するように構成される。この時間は、第1の空間111の縁部にあるメニスカス33がその領域の上方から移動するときから第2の液体の縁部がその領域の上方に達するまでの時間から決定されることがある。
【0100】
[0099] 上記のように、第1の空間111と第2の空間211とは別個の空間である。換言すれば、第1の空間111及び第2の空間211の液体は結合されない。したがって、ギャップgは、第1の空間111の第1の液体と第2の空間211の第2の液体との間に設けられる。ギャップgは、第1の液体供給部材(例えば20、23又は34)と少なくとも1つの第2の液体供給部材201との間の距離によって形成されることがある。ギャップgは、第1の空間111内の第1の液体と第2の空間211内の第2の液体との間の流体を除去するのに使用される抽出部材の任意の組み合わせによって維持されることがある。
【0101】
[0100] 上記のように、第2の液体は第2の空間211から除去されない。したがって、第2の空間211内の第2の液体は経時的に広がることになり、第2の液体を供給するのに使用される第2のデバイス200によって除去されないことになる。ただし、液体層が好ましくは基板Wの領域の照射後に使用されることに留意されたい。したがって、第2の空間211は好ましくは第1のデバイス112の後縁に形成される。換言すれば、基板Wは第1のデバイス112の下方に移動することがあり、照射された後に、第1の空間111の残り物である第1の液体の液滴を第2の空間211に取り込むことができるように第2のデバイス200の下方に移動して濡らされる。これは
図3aから
図4dのそれぞれに示されている。
【0102】
[0101] 第2のデバイス200が第1のデバイス112の全体の周りに設けられ得ることは理解されるであろう。代替的に、第2のデバイス200は第1のデバイス112の一部にのみ設けられることがある。第2のデバイス200は、第1のデバイス112の後側にのみ液体を供給するように制御されることがある(又は後縁に配置されることがある)。したがって第2の液体は、領域が照射された後、第2の空間211にのみ供給されることがある。このようにしてギャップgは、基板Wと第2のデバイス200との間の相対移動によって、及び/又は第1の液体を回収/抽出する1つ以上の任意の抽出部材の使用によって維持されることがある。
【0103】
[0102] 少なくとも1つの第2の液体供給部材201が後縁に設けられる場合、基板Wは、第1のデバイス112及び第2のデバイス200に対して
図3a、
図3b、
図3c、
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dの矢印に示すように移動することがある。例えば、基板Wが矢印Aに沿って移動するとき、これらの図のいずれかの右側に示す少なくとも1つの第2の液体供給部材201は後側にあるため、第1の空間111とは別個の第2の空間211内に第2の液体を供給するのに使用されることがある。基板Wが矢印Bに沿って移動するとき、これらの図のいずれかの左側に示す少なくとも1つの第2の液体供給部材201は後側にあるため、第1の空間111とは別個の第2の空間211内に第2の液体を供給するのに使用されることがある。少なくとも1つの第2の液体供給部材201は、第1のデバイス112の後側にあるときに第2の液体のみを供給するように構成される。少なくとも1つの第2の液体供給部材201は、基板Wが
図3a、3b、3c、4a、4b、4c及び4dに示すように第2のデバイス200に対して移動しているときに第2の液体を供給するように構成されることがある。
【0104】
[0103] 好ましくは、第1の液体及び/又は第2の液体は水である。この水は半導体製造プラントで一般的に使用される超純水(UPW)などの高純度の蒸留水である場合がある。UPWは精製されることがあり、第1の空間111及び/又は第2の空間211に供給される前に追加の処理ステップを受けることがある。水のほかに、例えばフッ化炭化水素のような炭化水素及び/又は水溶液など、屈折率の高い他の液体を使用することもできる。第2の液体は第1の液体と同じである場合があるか、又は異なる場合がある。第2の液体は、基板Wの表面上で乾燥する液滴の発生を防ぐ(又は少なくとも抑える)ために供給される。したがって、第2の液体の屈折率は重要ではない。
【0105】
[0104] 少なくとも1つの第2の液体供給部材201は少なくとも1つのスプレーノズルを含むことがある。少なくとも1つの第2の液体供給部材201は、少なくとも1つの開口、又は複数の開口、又はより具体的には、アレイ状の一連の開口によって形成されることがある。第2の液体供給部材201は、複数のノズル、より正確には一連のスプレーノズルを含むことがある。したがって、第2の液体供給部材201は、第2の液体を第2の空間211内に噴霧するのに使用される複数の出口から形成されることがある。
【0106】
[0105] 流体ハンドリングシステムの第1のデバイス112は、例えば上記の流体ハンドリング構造12の変形形態のいずれかに記載の任意の適切な構成を有することがある。具体的には、第2のデバイス200は、第1のデバイス12のような
図2a、
図2b、及び/又は
図2cのいずれか1つの流体ハンドリング構造12と組み合わせて設けられることがある。これは
図3aから
図4dに示されている。
図3a、
図3b及び
図3cにおいて、第2のデバイス200は、
図2a、
図2b及び
図2cに関連して以上で説明された特徴部を含む、第2のデバイスとは別個の第1のデバイス112に加えて設けられる。
【0107】
[0106] より具体的には、流体ハンドリングシステムは第3のデバイス300を含むことがある。第3のデバイス300を含む流体ハンドリングシステムは、
図2a、2b又は2cのいずれかの流体ハンドリング構造12に関連して説明された特徴部を有する第1のデバイス112を更に含むことがある。具体的には第1のデバイス112は、
図2cの左側にある流体ハンドリング構造12に関連して説明された特徴部を有することがある。第3のデバイス300は、
図2cの左側に関連して説明された少なくとも1つの第3の液体供給部材301及び少なくとも1つの抽出部材302を含むことがある。第3のデバイス300は、第1のデバイス112及び第2のデバイス200のいずれとも別個のものとして
図3cに示されている。
図3cに示すように、第3のデバイス300は第1のデバイス112に隣接して配置されることがある。
図3cに示すように、第3のデバイス300は第2のデバイス200に隣接して配置されることがある。第3のデバイス300は、
図4dに示すように第1のデバイス112、第2のデバイス200、又は第1のデバイス112と第2のデバイス200の両方に接続される、すなわちこれらの一部である場合がある。
【0108】
[0107] 付加的又は代替的に、第1のデバイス112は
図2cの右側に関連して説明されたように構成されることがある。したがって、第1のデバイス112は、少なくとも液体供給部材(例えば下方供給開口23又は供給開口20、34)、2つの抽出部材(すなわち回収開口32a、32b)及び少なくとも2つのガス供給部材(例えばガス供給開口27a、27b)を含むことがある。少なくとも1つの液体供給部材、2つの抽出部材及び2つのガス供給部材は、第1のデバイス112の基板Wの表面に対向する表面上に形成されることがある。これは、抽出部材並びにガス及び/又は液体供給部材がそれぞれ第1のデバイス112の基板Wに対向する表面(すなわち第1のデバイス112の底面)上に形成された開口を有し得ることを意味する。したがって、抽出部材は第1のデバイス112と基板Wとの間の空間から流体を抽出することができる。ガス及び/又は液体供給部材は第1のデバイス112と基板Wとの間の空間に流体を供給することができる。
【0109】
[0108]
図3cの右側に示されるように、2つの抽出部材のうちの少なくとも一方、例えば回収開口32aは内部に多孔質材37を含み、単相流で液浸流体を回収することがある。2つの抽出部材のうちの他方、例えば回収開口32bは、液浸流体を二相抽出器として回収することがある。同様に、例えば大気又はガス源又は真空に開放した別の開口が、(第1のデバイス112及び/又は流体ハンドリング構造12に関連して)先に説明した第1のデバイス112の底面に存在している場合がある。付加的又は代替的に、
図2cに関連して説明したように、第1のデバイス112の基板Wに対向する表面は凹部29を含むことがある。
【0110】
[0109] 代替的に、第1のデバイス112は
図2aに関連して説明したように構成されることがある。より具体的には、第1のデバイス112は、少なくとも2つの抽出部材(例えば回収開口21、ガス回収開口28、釘付け開口32及び/又は回収開口25)と少なくとも1つの流体供給部材(例えばガスナイフ開口26)とを含むことがある。液体供給部材(例えば下方供給開口23又は供給開口20、34)、少なくとも2つの抽出部材及びガス供給部材は、第1のデバイス112の基板Wの表面又は最終素子100に対向する表面上に形成されることがある。平面視で、少なくとも2つの抽出部材の第1のもの(例えばガス回収開口28)がガス供給部材(例えばガスナイフ開口26)の半径方向外側にある場合がある。したがって、少なくとも2つの抽出部材の第1のものは、第1のデバイス112の中心点に対してガス供給部材の外側にある場合がある。第1のデバイス112の中心点は、放射ビームが通過する点である場合がある。好ましくは、ガス供給部材は、少なくとも2つの抽出部材の第2のもの、すなわち釘付け開口32の半径方向外側にある。好ましくは、少なくとも1つの抽出部材の第2のものは液体供給部材(例えば下方供給開口23)の半径方向外側にある。少なくとも2つの抽出部材のうちの少なくとも1つ(例えば回収開口21及び/又は釘付け開口32)が液浸流体を二相抽出器として回収することがある。この構成は
図3aの左側及び右側に示されている。
【0111】
[0110] 少なくとも2つの抽出部材のうちの少なくとも1つは内部に多孔質材を含み、液浸流体を単相流で回収することがある。多孔質材は半径方向最も内側にある抽出部材内に設けられることがある。例えば抽出部材の第1のもの(例えば回収開口25)は、上記のように、また
図3aの左側に示されるように多孔質プレートとして形成されることがある。
【0112】
[0111] 付加的又は代替的に、第1のデバイス112は
図2bに関連して説明したように構成されることがある。より具体的には、第1のデバイス112の少なくとも1つの抽出部材は、
図3bの左側に示されるように、第1のデバイス112の基板Wの表面に対向する表面にチャンバ35を含むことがある。多孔質材がチャンバ35の縁部に回収開口25を形成することがある。多孔質材は、第1のデバイス112の基板Wに対向する表面上にチャンバ35の縁部を形成することがある。抽出部材は、チャンバ35から液体を抽出するように構成された第1のチャネル36と、チャンバ35からガスを抽出するように構成された第2のチャネル38とを含むことがある。
【0113】
[0112] 付加的又は代替的に、第1のデバイス112は、
図2bの流体ハンドリング構造12の右側に関連して説明されたように構成されることがある。より具体的には、第1のデバイス112は、
図3bに示されるように内側部112a及び外側部112bを含むことがある。第1のデバイス112の少なくとも1つの液体供給部材(例えば供給開口34)は内側部12a上に形成されることがある。内側部12aは第1の抽出部材(例えば中間回収部42)を含むことがあり、外側部は第2の抽出部材(例えば回収開口25)を含むことがある。上記のように、外側部112bと内側部112aとは互いに対して移動することがある。
【0114】
[0113] 外側部112bは、内側部112aと基板Wとの間に配置されたプレート40を含むことがある。プレート40は、プレート40の両側にある第1の液体を分離するように構成されることがある。内側部112aのプレート40に対向する表面が第1の抽出部材(例えば中間回収部42)を含むことがある。プレート40の基板Wに対向する表面が第2の抽出部材(例えば回収開口25)を含むことがある。第1の抽出部材及び/又は第2の抽出部材は、液体を単相流で回収するように構成された多孔質材を含むことがある。
図3bは、第1の抽出部材と第2の抽出部材の両方が多孔質材を含むことを示しているが、これは必須ではなく、抽出部材の一方だけが多孔質材を含むか、いずれもが多孔質材を含まないことがある。
【0115】
[0114] 第2のデバイス200は、別個のエンティティとして示されている、すなわち
図3a、3b及び3cの第1のデバイス112に直接接続されていない。第2のデバイス200は、第1のデバイス112などの流体ハンドリングシステムの他のコンポーネントに対して定位置にある可能性がある。代替的に、第2のデバイス200は、第1のデバイス112などの流体ハンドリングシステムの他のコンポーネントに対して移動する可能性がある。
図3a、3b及び3cに示されるように、第2のデバイス200は第1のデバイス112に隣接して配置されることがある。したがって、第2のデバイス200は、第1のデバイス112と第2のデバイス200との間に他のコンポーネントを介さずに第1のデバイス112の隣にある場合がある。
【0116】
[0115] 代替的に、第2のデバイス200は、
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dに示すように、第1のデバイス112に接続されているか、第1のデバイス112の一部である場合がある。
図4a、4b、4c及び4dの第1のデバイス112は、
図2a、
図2b及び
図2c(並びに
図3a、
図3b及び
図3c)に関連して以上で説明された特徴部を含む。
【0117】
[0116]
図3a、
図3b、
図3c、
図4a、
図4b、
図4c及び
図4dは、少なくとも1つの第2の供給部材201を含む第2のデバイス200を加えることで、
図2a、
図2b及び
図2cに示された変形形態を提供することが意図されている。第2のデバイス200は、第2のデバイス200が液体層を形成するように構成されている、すなわち第2の空間211から液体を除去することなく第2の液体を第2の空間211に供給するように構成されている限り、様々な他の液体供給部材及び液体除去部材と組み合わせて設けられる可能性がある。換言すれば、流体ハンドリングシステムは、上記の変形形態又は実施形態のいずれかに記載された第1のデバイス112を、上記の変形形態又は実施形態のいずれかの第2のデバイス200と組み合わせて、任意選択で第3のデバイス300などの任意の他のコンポーネント又は機構と組み合わせて含む。
【0118】
[0117] 本発明はリソグラフィ装置を提供することがある。リソグラフィ装置は、上記のリソグラフィ装置の他の特徴部又はコンポーネントのいずれか又は全てを有することがある。例えば、リソグラフィ装置は、任意選択で放射源SO、照明システムIL、投影システムPS、基板テーブルWTなどの少なくとも1つ以上を含むことがある。
【0119】
[0118] 具体的には、リソグラフィ装置は、放射ビームを基板Wの表面のある領域に向けて投影するように構成された投影システムを含むことがある。リソグラフィ装置は、上記の実施形態及び変形形態のいずれかに記載された流体ハンドリングシステムを更に含むことがある。
【0120】
[0119] リソグラフィ装置は、放射ビームによる照射の後に第2の液体を基板Wの照射領域の上方に供給する少なくとも1つの第2の液体供給部材201を配置するために、基板Wを流体ハンドリングシステムに対して移動するように構成された機構を含むことがある。したがってこの機構は、基板Wの位置(又は代替的に、流体ハンドリングシステムの位置)を制御するのに使用されることがある。この機構は、基板Wを保持するように構築された基板サポート(例えば基板テーブル)WT及び/又は基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWであるか又はこれを含む可能性がある。
【0121】
[0120] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0122】
[0121] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0123】
[0122] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0124】
[0123] 以上では光リソグラフィに関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は他の用途に使用できることを理解されたい。
【0125】
[0124] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームにより照射された基板の表面のある領域を濡らすための流体ハンドリングシステムであって、前記流体ハンドリングシステムが、第1のデバイスと第2のデバイスとを備え、
前記第1のデバイスが、前記第1のデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面との間の第1の空間に第1の液体を閉じ込め、
前記第1のデバイスが、前記第1の液体を通過することにより前記領域を照射する前記放射ビームが通過するための内部に形成されたアパーチャを有し、
前記第1のデバイスが、前記第1の液体を前記第1の空間に供給する少なくとも1つの第1の液体供給部材と、前記第1の空間から液体を除去する少なくとも1つの抽出部材と、を含み、
前記第2のデバイスが、前記第2のデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面との間の第2の空間に第2の液体を供給する少なくとも1つの第2の液体供給部材を備え、前記基板の前記表面上に前記第2の液体と前記第1の液体との間のギャップが存在し、
前記流体ハンドリングシステムが、少なくとも前記領域の上方に液体層を形成するために、前記第2の空間から液体を除去することなく前記第2の液体を前記第2の空間に供給し、前記第1の液体及び前記第2の液体を前記基板の前記表面上に同時に供給する、流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2の液体供給部材が一連のスプレーノズルを備える、及び/又は、少なくとも1つの第3の液体供給部材と少なくとも1つの抽出部材とを備えた第3のデバイスを更に備え、
前記少なくとも1つの第3の液体供給部材が、前記第3のデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面との間の第3の空間に第3の液体を供給し、
前記第3のデバイスが、前記第3の液体の少なくとも一部を前記少なくとも1つの抽出部材を介して回収する、請求項1の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
前記第3のデバイスが、前記第1のデバイスの一部であるか、又は、前記第1のデバイスに隣接して配置されている、請求項2の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの液体供給部材が、前記第1のデバイスの内面上、及び/又は、前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面上、に形成された液体供給開口を備えている
、請求項
1~3の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
前記第1のデバイスが、2つの抽出部材及び2つのガス供給部材を備え、
前記少なくとも1つの第1の液体供給部材、前記2つの抽出部材及び前記2つのガス供給部材が、前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面上に形成されている
、請求項
1~4の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
前記抽出部材の第1のものが前記第1の液体供給部材の半径方向外側にあり、前記2つのガス供給部材の第1のものが、前記抽出部材の前記第1のものの半径方向外側にあり、 前記抽出部材の第2のものが、前記2つのガス供給部材の前記第1のものの半径方向外側にあり、前記2つのガス供給部材の第2のものが前記2つの抽出部材の前記第2のものの半径方向外側にある、及び/又は、
前記2つの抽出部材の少なくとも一方が多孔質材を内部に含む、及び/又は、
前記第1のデバイスの底面に少なくとも1つの別の開口を含み前記少なくとも1つの別の開口が前記2つの抽出部材の前記第1のものと前記2つのガス供給部材の前記第1のものとの間及び/又は前記2つの抽出部材の前記第2のものと前記2つのガス供給部材の前記第2のものとの間に配置される、及び/又は、
前記第1のデバイスの前記表面が凹部を含み任意選択で前記凹部が傾斜面を有する、請求項5の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
前記第1のデバイスが少なくとも2つの抽出部材及び少なくとも1つのガス供給部材を備え、前記液体供給部材、前記少なくとも2つの抽出部材及び前記ガス供給部材が、前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面上に形成される、又は、
前記第1のデバイスの前記少なくとも1つの抽出部材が前記第1のデバイスの前記基板の前記表面に対向する表面内のチャンバを備えるとともに前記チャンバ内の多孔質材を備え、前記少なくとも1つの抽出部材が前記チャンバから液体を抽出する第1のチャネル及び前記チャンバからガスを抽出する第2のチャネルを備える、又は、
前記第1のデバイスが内側部及び外側部を備え、前記第1のデバイスの前記少なくとも1つの液体供給部材が前記内側部上に形成され、前記内側部が第1の抽出部材を備え、前記外側部が第2の抽出部材を備えている、請求項1~4の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
平面視で、前記少なくとも2つの抽出部材の第1のものが前記ガス供給部材の半径方向外側にあり、前記ガス供給部材が前記少なくとも2つの抽出部材の第2のものの半径方向外側にあり、前記少なくとも1つの抽出部材の前記第2のものが前記液体供給部材の半径方向外側にある、及び/又は、
前記少なくとも2つの抽出部材の少なくとも一方が、多孔質材を内部に備えている、請求項7の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
前記第1のデバイスの底面に少なくとも1つの別の開口を備え、前記少なくとも1つの別の開口が前記2つの抽出部材の前記第1のものと前記ガス供給部材との間に配置される、及び/又は、
前記多孔質材が、半径方向最も内側にある前記抽出部材内に設けられている、請求項8の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
前記外側部が、前記内側部と前記基板との間に配置されたプレートであって、前記プレートの両側の前記第1の液体を分離する、プレートを含み、
前記内側部の前記プレートに対向する表面が、前記第1の抽出部材を含み、
前記プレートの前記基板に対向する表面が、前記第2の抽出部材を含む、請求項7の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
前記第1の抽出部材及び/又は前記第2の抽出部材が、前記第1の液体を単相流で回収する多孔質材を含む、請求項7又は10の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
前記第2のデバイスが、前記第1のデバイスの一部であるか、又は、前記第1のデバイスに隣接して配置されている
、請求項
1~11の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
前記第2の液体により前記基板の前記表面上に形成されたエリアが、前記第1の液体により前記基板の前記表面上に形成されたエリアよりも大きい
、請求項
1~12の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項14】
前記第1の液体及び/又は前記第2の液体が水である、及び/又は、
前記液体層が少なくともおよそ10μ
mの平均厚さを有する
、請求項
1~13の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項15】
基板の表面のある領域に向けて放射ビームを投影する投影システムと
、
請求項
1~14の何れか一項の流体ハンドリングシステムと、
前記基板を前記流体ハンドリングシステムに対して又はその逆に移動させる機構と、
を備える、リソグラフィ装置。
【国際調査報告】