IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.の特許一覧

特表2022-547864アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置
<>
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図1A
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図1B
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図2
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図3
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図4
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図5
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図6
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図7
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図8
  • 特表-アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】アライメントソースとしてのレーザモジュール、メトロロジシステム、及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20221109BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514537
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2020074863
(87)【国際公開番号】W WO2021052790
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/901,369
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アイガオンカー,マヘシュ,ウペンドラ
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA06
2H197AA09
2H197AA12
2H197CA03
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CC05
2H197CD12
2H197CD13
2H197EA15
2H197EA18
2H197EA25
2H197EB22
2H197EB23
2H197GA01
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
改良された光レーザモジュールが開示される。レーザモジュールは、レーザ光を発生させるように構成されたレーザ源(310)と、レーザ光の成分の位相を脱相関化することによってレーザ光のコヒーレンス効果を低減させるように構成された無限インパルス応答フィルタとを含み得る。無限インパルス応答フィルタは、それぞれ光路長(L1,L2,L3)が異なる複数の光伝搬ループを形成するための複数の光カプラ(410,420,430,440,450)を含み得る。レーザモジュールは、レーザモジュールの出力がコヒーレンス効果を更に低減させるべく拡大されたスペクトルを有するように、光伝搬ループに配置され光キャリア周波数をシフトさせるように構成された音響光学変調器を更に含み得る。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生させるように構成されたレーザ源と、
前記レーザ光の成分の位相を脱相関化し、それによって前記レーザ光のコヒーレンス効果を低減させるように構成された無限インパルス応答フィルタと、
を備えるレーザモジュール。
【請求項2】
前記レーザ源は緑色レーザ光を発生させるように構成されている、請求項1のレーザモジュール。
【請求項3】
前記無限インパルス応答フィルタは、光路長が異なる複数の光伝搬ループを形成するための複数の光カプラを備える、請求項1のレーザモジュール。
【請求項4】
前記複数の光伝搬ループは、
第1のファイバ長の第1のファイバを有する第1の光伝搬ループと、
第2のファイバ長の第2のファイバを有する第2の光伝搬ループと、
第3のファイバ長の第3のファイバを有する第3の光伝搬ループと、
を備えており、
前記第1のファイバ長、前記第2のファイバ長、及び前記第3のファイバ長は、前記レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい、請求項3のレーザモジュール。
【請求項5】
前記第1のファイバ長と前記第2のファイバ長との差の絶対値は、前記レーザ光の前記コヒーレンス長よりも大きい、請求項4のレーザモジュール。
【請求項6】
前記第3のファイバ長と前記第1のファイバ長及び前記第2のファイバ長の合計との差の絶対値は、前記レーザ光の前記コヒーレンス長よりも大きい、請求項4のレーザモジュール。
【請求項7】
前記3つのファイバ長のうちいずれか2つの任意の整数倍の合計は、前記3つのファイバ長のうち他の1つの整数倍ではない、請求項4のレーザモジュール。
【請求項8】
前記第1のファイバ長と、前記第2のファイバ長と、前記第3のファイバ長との組み合わせは、次のうち1つである、請求項4のレーザモジュール。
前記第1のファイバ長は1.17mであり、前記第2のファイバ長は2.63mであり、前記第3のファイバ長は4.47mである、
前記第1のファイバ長は1.31mであり、前記第2のファイバ長は2.57mであり、前記第3のファイバ長は4.49mである、
前記第1のファイバ長は1.67mであり、前記第2のファイバ長は2.77mであり、前記第3のファイバ長は4.57mである、又は、
前記第1のファイバ長は1.79mであり、前記第2のファイバ長は3.73mであり、前記第3のファイバ長は5.93mである。
【請求項9】
前記レーザモジュールの出力がコヒーレンス効果を更に低減させるべく拡大されたスペクトルを有するように、光伝搬ループに配置され光キャリア周波数をシフトさせるように構成された音響光学変調器を更に備える、請求項3のレーザモジュール。
【請求項10】
前記レーザモジュールの前記出力の異なるスペクトル成分間の位相関係をスクランブルするように、ランダム化された位相信号によって駆動されるファイバ位相変調器を更に備える、請求項9のレーザモジュール。
【請求項11】
光スイッチとして構成された可変光アテニュエータを更に備える、請求項1のレーザモジュール。
【請求項12】
前記複数の光カプラは、
前記レーザ源に接続された第1の入力ポートを含む第1の光カプラと、
前記第1の光カプラの第1の出力ポートに接続された第1の入力ポートを含む第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの第2の出力ポートに接続された第1の入力ポート及び前記第2の光カプラの第2の出力ポートに接続された第2の入力ポートを含む第3の光カプラと、
前記第3の光カプラの第1の出力ポートに接続された第1の入力ポート、前記第3の光カプラの第2の出力ポートに接続された第2の入力ポート、前記第1の光カプラの第2の入力ポートに接続された第1の出力ポート、及び前記第2の光カプラの第2の入力ポートに接続された第2の出力ポートを含む第4の光カプラと、
を備える、請求項4のレーザモジュール。
【請求項13】
前記第1のファイバは前記第3の光カプラの前記第1の出力ポートと前記第4の光カプラの前記第1の入力ポートとの間に配置されており、
前記第2のファイバは前記第3の光カプラの前記第2の出力ポートと前記第4の光カプラの前記第2の入力ポートとの間に配置されている、
請求項12のレーザモジュール。
【請求項14】
前記第1のファイバは前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートと前記第3の光カプラの前記第1の入力ポートとの間に配置されており、
前記第2のファイバは前記第2の光カプラの前記第2の出力ポートと前記第3の光カプラの前記第2の入力ポートとの間に配置されている、
請求項12のレーザモジュール。
【請求項15】
前記第3のファイバは前記第4の光カプラの前記第2の出力ポートと前記第1の光カプラの前記第2の入力ポートとの間に配置されているか、又は、
前記第3のファイバは前記第4の光カプラの前記第1の出力ポートと前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートとの間に配置されている、
請求項12のレーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は2019年9月17日に提出された米国仮特許出願第62/901,369号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えばリソグラフィ装置において用いられ得るメトロロジシステムにおいてアライメントソースとして使用されるレーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。その場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に対応する回路パターンを生成することができ、このパターンは、放射感応性材料(レジスト)層を有する基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又はいくつかのダイの一部を含む)に結像可能である。一般的に、1枚の基板は、順次露光される隣接したターゲット部分のネットワークを含むであろう。既知のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行又は逆平行に同期的にスキャンしながらパターンをこの所与の方向に放射ビームでスキャンすることによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。別のリソグラフィシステムは、パターニングデバイスが存在せず、光ビームが2つのビームに分割されて、その2つのビームが反射システムの使用を通じて基板のターゲット部分で干渉させられる、干渉リソグラフィシステムである。干渉は、基板のターゲット部分にラインを形成させる。
【0004】
[0004] デバイスフィーチャを基板上に正確に設置するようにリソグラフィプロセスを制御するために、基板上には一般にアライメントマークが提供されると共に、リソグラフィ装置は1つ以上のアライメントセンサを含み、そのアライメントセンサによって基板上のアライメントマークの位置が高い精度で測定可能である。これらのアライメントセンサは、メトロロジシステム内にあり、基板を位置合わせするべくアライメントマークの位置(例えばX及びY位置)を検出するために用いられて、マスクによってパターン付与されたビームの正確な露光を保証する。メトロロジシステムは、Z方向のウェーハ表面の高さを判定するために用いられ得る。
【0005】
[0005] アライメントシステムは、典型的には照明システムを含む。照明されたアライメントマークから検出される信号は、照明システムの波長が、アライメントマークの物理的若しくは光学特性又はアライメントマークに接触若しくは隣接にする材料の物理的若しくは光学特性にどれだけ良く一致するかに依存し得る。前述の特性は、用いられる処理ステップに応じて異なり得る。アライメントシステムは、アライメントシステムによって検出されるアライメントマーク信号の品質及び強度を最大化するために、一組の離散した比較的狭い通過帯域を有する狭帯域放射ビームを提供し得る。
【0006】
[0006] 一般に、アライメントセンサは、1つ以上のレーザ源によって生成される1つよりも多くの色を検出することができる。典型的には、これらのレーザは、532nm、633nm、780及び850nmを中心としている。しかしながら、約532nmの波長を生成するために用いられる既存の緑色レーザモジュールは低寿命を有する傾向があると共に高コヒーレントであり、これは、ウェーハ要因によるコヒーレンス効果(WICO:wafer induced coherence effects)に起因してアライメント位置の不確実性をもたらす。従来の緑色レーザ源のモードホッピングもアライメント問題の一因となり得る。
【発明の概要】
【0007】
[0007] したがって、より良好な使用寿命を実現するためばかりでなくコヒーレンス効果を低減させるためにも、メトロロジシステムにおけるアライメントソースとしての新しいレーザモジュールの需要が存在する。
【0008】
[0008] 本開示の一態様は、レーザ光を発生させるように構成されたレーザ源と、レーザ光の成分の位相を脱相関化し、それによってレーザ光のコヒーレンス効果を低減させるように構成された無限インパルス応答フィルタとを備えるレーザモジュールを提供する。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態においては、レーザ源は緑色レーザ光を発生させるように構成されている。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態においては、無限インパルス応答フィルタは、光路長が異なる複数の光伝搬ループを形成するための複数の光カプラを備える。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態においては、複数の光伝搬ループは、第1のファイバ長の第1のファイバを有する第1の光伝搬ループと、第2のファイバ長の第2のファイバを有する第2の光伝搬ループと、第3のファイバ長の第3のファイバを有する第3の光伝搬ループとを備えており、第1のファイバ長、第2のファイバ長、及び第3のファイバ長は、レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態においては、第1のファイバ長と第2のファイバ長との差の絶対値は、レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態においては、第3のファイバ長と第1のファイバ長及び第2のファイバ長の合計との差の絶対値は、レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態においては、3つのファイバ長のうちいずれか2つの任意の整数倍の合計は、3つのファイバ長のうち他の1つの整数倍ではない。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態においては、第1のファイバ長と、第2のファイバ長と、第3のファイバ長との組み合わせは、次のうち1つである。第1のファイバ長は1.17mであり、第2のファイバ長は2.63mであり、第3のファイバ長は4.47mである、第1のファイバ長は1.31mであり、第2のファイバ長は2.57mであり、第3のファイバ長は4.49mである、第1のファイバ長は1.67mであり、第2のファイバ長は2.77mであり、第3のファイバ長は4.57mである、又は、第1のファイバ長は1.79mであり、第2のファイバ長は3.73mであり、第3のファイバ長は5.93mである。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態においては、レーザモジュールの出力がコヒーレンス効果を更に低減させるべく拡大されたスペクトルを有するように、レーザモジュールは更に、光伝搬ループに配置され光キャリア周波数をシフトさせるように構成された音響光学変調器を備える。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態においては、レーザモジュールは更に、レーザモジュールの出力の異なるスペクトル成分間の位相関係をスクランブルするように、ランダム化された位相信号によって駆動されるファイバ位相変調器を備える。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態においては、レーザモジュールは更に、光スイッチとして構成された可変光アテニュエータを備える。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態においては、複数の光カプラは、レーザ源に接続された第1の入力ポートを含む第1の光カプラと、第1の光カプラの第1の出力ポートに接続された第1の入力ポートを含む第2の光カプラと、第1の光カプラの第2の出力ポートに接続された第1の入力ポート及び第2の光カプラの第2の出力ポートに接続された第2の入力ポートを含む第3の光カプラと、第3の光カプラの第1の出力ポートに接続された第1の入力ポート、第3の光カプラの第2の出力ポートに接続された第2の入力ポート、第1の光カプラの第2の入力ポートに接続された第1の出力ポート、及び第2の光カプラの第2の入力ポートに接続された第2の出力ポートを含む第4の光カプラとを備える。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態においては、第1のファイバは第3の光カプラの第1の出力ポートと第4の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置され、第2のファイバは第3の光カプラの第2の出力ポートと第4の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置される。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態においては、第1のファイバは第1の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置され、第2のファイバは第2の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置される。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態においては、第3のファイバは第4の光カプラの第2の出力ポートと第1の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置されるか、又は、第3のファイバは第4の光カプラの第1の出力ポートと第2の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置される。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態においては、レーザモジュールは更に、第1の光カプラが10:90の分岐比を有し、第2の光カプラ、第3の光カプラ、第4の光カプラが各々50:50の分岐比を有することを備える。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態においては、レーザモジュールは更に、第1の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置された第1の音響光学変調器と、第2の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置された第2の音響光学変調器とを備える。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態においては、レーザモジュールは更に、第3の光カプラの第1の出力ポートと第4の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置された第1の音響光学変調器と、第3の光カプラの第2の出力ポートと第4の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置された第2の音響光学変調器とを備える。
【0026】
[0026] 本開示の別の一態様は、開示されるレーザモジュールを含みアライメント光を発生させるように構成された多色放射源を備える、メトロロジシステムを提供する。
【0027】
[0027] 本開示の別の一態様は、開示されるメトロロジシステムを備えるリソグラフィ装置を提供する。
【0028】
[0028] 本発明の更なる特徴及び利点、並びに本発明の種々の実施形態の構造及び動作は、添付の図面を参照して、以下で詳細に説明する。なお、本発明は、本明細書中に説明される具体的な実施形態に限定されない。そのような実施形態は、例示のみを目的として本明細書中に提示される。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいて、追加的な実施形態が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
[0029] 本明細書に組み込まれその一部を形成する添付の図面は、本発明を図示すると共に、更に、明細書と合わせて本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
【0030】
図1A】[0030] 一実施形態による反射型リソグラフィ装置の概略図である。
図1B】[0031] 一実施形態による透過型リソグラフィ装置の概略図である。
図2】[0032] いくつかの実施形態によるアライメントマークをスキャンするアライメントセンサの概略ブロック図である。
図3】[0033] いくつかの実施形態による例示的な緑色レーザモジュールの概略図を示す。
図4】[0033] いくつかの実施形態による例示的な緑色レーザモジュールの概略図を示す。
図5】[0033] いくつかの実施形態による例示的な緑色レーザモジュールの概略図を示す。
図6】[0033] いくつかの実施形態による例示的な緑色レーザモジュールの概略図を示す。
図7】[0033] いくつかの実施形態による例示的な緑色レーザモジュールの概略図を示す。
図8】[0033] いくつかの実施形態による例示的な緑色レーザモジュールの概略図を示す。
図9】[0034] いくつかの実施形態による出力緑色レーザのスペクトル拡幅を示す概略図を含む。
【0031】
[0035] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になるであろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。ある要素が最初に出現する図面は、対応する参照番号の左端の数字によって示される。他に示されない限り、本開示を通じて提供される図面は縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0036] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0033】
[0037] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0034】
[0038] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0035】
[0039] 反射型及び透過型リソグラフィシステムの例
【0036】
[0040] 図1A及び図1Bは、それぞれ本発明の実施形態が実装され得るリソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’の概略図である。リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’はそれぞれ以下の、放射ビームB(例えば深紫外放射又は極端紫外放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、又は動的パターニングデバイス)MAを支持するように構成されると共に、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成されると共に、基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTとを備える。リソグラフィ装置100及び100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。
【0037】
[0041] 照明システムILは、放射ビームBを誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0038】
[0042] 支持構造MTは、基準フレームRFに対するパターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置100及び100’のうちの少なくとも1つの設計等の条件、及びパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械的、真空、静電、又は他のクランプ技術を使用して、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、フレーム又はテーブルであり得、必要に応じて固定式又は可動式であり得る。センサを使用することにより、支持構造MTは、パターニングデバイスMAが、例えば、投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにできる。
【0039】
[0043] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するために放射ビームBの断面にパターンを付与するのに使用され得る何らかのデバイスを指すものと広義に解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する可能性がある。
【0040】
[0044] パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’におけるように)透過型又は(図1Aのリソグラフィ装置100におけるように)反射型であり得る。パターニングデバイスMAの例には、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、及びハーフトーン型位相シフトマスク、更には多様なハイブリッドマスクタイプなどのマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、それぞれが入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜され得る小さいミラーのマトリクス配列を採用する。傾斜されたミラーは、小さいミラーのマトリクスにより反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0041】
[0045] 本明細書において使用する「投影システム」PSという用語は、用いられる露光放射線に、又は、基板Wへの液浸液の使用もしくは真空の使用などの他の要素に適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、静電型、又はそれらのあらゆる組み合わせを含むあらゆるタイプの投影システムを含むことができる。その他のガスは放射線又は電子を吸収し過ぎる可能性があるため、EUV又は電子ビーム放射線には真空環境を使用することがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供することができる。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0042】
[0046] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過型マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射型マスクを使用する)。
【0043】
[0047] リソグラフィ装置100及び/又はリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであり得る。このような「マルチステージ」マシンにおいては、追加の基板テーブルWTが並行して使用されるか、あるいは1つ以上の基板テーブルWTが露光に使用されている間に、1つ以上の他のテーブルで準備工程を実行することができる。ある状況では、追加のテーブルは基板テーブルWTでなくてもよい。図1Bの例における2つの基板テーブルWTa及びWTbがこれを例示している。本明細書で開示される発明は、スタンドアロン型で使用可能であるが、特に、シングルステージ又はマルチステージのいずれかの装置の露光前測定ステージにおいて、追加の機能を提供することができる。
【0044】
[0048] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプであり得る。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野でよく知られている。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0045】
[0049] 図1A及び図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。例えば放射源SOがエキシマレーザである場合には、放射源SOとリソグラフィ装置100,100’とは別個の物理的実体であり得る。この場合、放射源SOはリソグラフィ装置100又は100’の一部を構成するとは見なされず、放射ビームBは放射源SOから、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステムBD(図1B)を介してイルミネータILへ通過する。他の場合、例えば放射源SOが水銀ランプである場合には、放射源SOはリソグラフィ装置100,100’の一体部分であり得る。放射源SOとイルミネータILとは、またビームデリバリシステムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと呼ばれることがある。
【0046】
[0050] イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタAD(図1B)を備えてよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ「σ-outer」及び「σ-inner」と呼ばれる)を調整することができる。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネント(図1B)を備えてもよい。イルミネータILは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームBを調節するのに使用することができる。
【0047】
[0051] 図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後に、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSは放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けによって、基板テーブルWTを(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wを位置合わせすることができる。
【0048】
[0052] 図1Bを参照すると、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)に放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。マスクMAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けにより、(例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)基板テーブルWTa/WTbを正確に移動させることができる。同様に、(例えばマスクライブラリの機械的な取り出し後又はスキャン中に)第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1Bに図示せず)とを使用して、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。
【0049】
[0053] 一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現することができる。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1,M2及び基板アライメントマークP1,P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0050】
[0054] リソグラフィ装置100及び100’は、以下のモードのうち少なくとも1つにおいて使用可能である。
【0051】
[0055] 1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTa/WTbが基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに付与されたパターン全体が一度にターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。その後、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTa/WTbはX方向及び/又はY方向にシフトされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを限定する。
【0052】
[0056] 2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTa/WTbが同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって決定され得る。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非スキャン方向における)幅を限定し、スキャン動作の長さがターゲット部分の(スキャン方向における)高さを決定する。
【0053】
[0057] 3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態に維持され、基板テーブルWTa/WTbが移動又はスキャンされる一方で、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される。このモードでは、一般にパルス状放射源SOを使用することができ、基板テーブルWTa/WTbの各移動の後に、又はスキャン中に連続する放射パルスの合間に、プログラマブルパターニングデバイスが必要に応じて更新される。この動作モードは、上記で参照したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0054】
[0058] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、あるいは全く異なる使用モードも利用できる。
【0055】
[0059] リソグラフィ装置LAは所謂デュアルステージタイプのものであり、2つの基板テーブルWTa及びWTbと、2つのステーション、露光ステーション及び測定ステーションとを有していて、基板テーブルはステーション間で交換可能である。露光ステーションで一方の基板テーブル上の1つの基板が露光されている間に、測定ステーションでは、様々な準備ステップを実行できるように、他方の基板テーブル上に別の基板がロードされてもよい。準備ステップは、レベルセンサLSを用いて基板の表面をマッピングすること、及びアライメントセンサASを用いて基板上のアライメントマーカの位置を測定することを含み得る。これは、装置のスループットの実質的な増加を可能にする。測定ステーションならびに露光ステーションにあるときの基板テーブルの位置を位置センサIFが測定することができない場合には、両ステーションにおける基板テーブルの位置が追跡されることを可能にするために、第2の位置センサが設けられてもよい。
【0056】
[0060] 装置は更に、上述した種々のアクチュエータ及びセンサの全ての移動及び測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUを含む。LACUは、装置の動作に関する所望の計算を実行するための信号処理及びデータ処理能力も備えている。実用においては、制御ユニットLACUは、各々がリアルタイムのデータ取得や装置内のサブシステム又はコンポーネントの処理及び制御に対処する多くのサブユニットからなるシステムとして実現されるであろう。例えば、ある処理サブシステムは基板ポジショナPWのサーボ制御専用であり得る。別々のユニットが粗動アクチュエータ及び精密アクチュエータ、又は異なる軸にさえ対処し得る。別のユニットが位置センサIFの読出し専用であってもよい。装置の全体制御が、これらのサブシステム処理装置と、オペレータと、及びリソグラフィック製造プロセスに関わる他の装置と通信する中央処理装置によって制御されてもよい。
【0057】
[0061] アライメントセンサの例
【0058】
[0062] 図2はアライメントセンサASの概略ブロック図である。照明源220は複数の波長及び/又は偏光のうち1つの放射のアライメントビーム222を提供し、これは対物レンズ224を通じて、基板W上に位置するマーク202などのマーク上へと方向転換される。
【0059】
[0063] いくつかの実施形態においては、照明源220は、異なる波長を中心とする複数のレーザビームを発生させるように構成された多色レーザモジュールアセンブリ(LMA)を含み得る。例えば、多色LMAは、532nmを中心とする緑色レーザ、633nmを中心とする赤色レーザ、780nmを中心とする近赤外(NIR)レーザ、及び850nmを中心とする遠赤外(FIR)レーザなど、4つの波長の放射を生成するための4つの個々のレーザ源を含むことができる。いくつかの実施形態においては、多色LMAは更に、複数のレーザビームの偏光を変調すると共に、その後その複数のレーザビームをアライメントビーム222として結合することができる。
【0060】
[0064] マーク202によって散乱された放射は対物レンズ224によって捉えられ、情報伝達ビーム226にコリメートされる。自己参照干渉計228は、上記で言及した米国特許第6,961,116号に開示されているタイプのものであり、ビーム226を処理して、(波長毎に)別々のビームをセンサアレイ230上に出力する。スポットミラー223がこの点でゼロ次絞りとして都合よく機能するので、情報伝達ビーム226はマーク202からのより高次の回折放射のみを備える(これは測定に不可欠ではないが、信号対ノイズ比を改善する)。センサ格子230の個々のセンサからの強度信号232は処理ユニットPUに提供される。ブロック228における光学処理とユニットPUにおける演算処理との組み合わせによって、センサに対する基板上のX及びY位置の値が出力される。処理ユニットPUは、図1に示される制御ユニットLACUと別個であってもよいし、又は、設計選択上及び便宜上、これらは同じ処理ハードウェアを共有してもよい。ユニットPUが別個である場合には、信号処理の一部がユニットPUにおいて実施されると共に別の一部がユニットLACUにおいて実施されてもよい。
【0061】
[0065] 既に言及したように、図示される特定の測定は、マークの1ピッチに対応するある範囲内のマークの位置を固定するのみである。正弦波のどの周期がマークされた位置を含む周期であるのかを特定するためには、これと関連して、よりコースな測定技術が用いられる。精度の向上のため及びマークが作製される材料や上にマークが位置する材料とは無関係なマークのロバストな検出のために、コース及び/又はファインなレベルでの同じ処理が異なる波長で繰り返されてもよい。波長は、同時に処理されるように光学的に多重化及び逆多重化されてもよく、及び/又は時間分割によって多重化されてもよい。本開示の例は、マーク非対称性に対する感度が低減された、実用的でロバストな測定装置(アライメントセンサ)を提供するために、いくつかの波長での測定を利用するであろう。
【0062】
[0066] 測定プロセスをより詳細に参照すると、図2においてvと標示された矢印は、スポット206がマーク202の長さLを横断するスキャン速度を表す。この例において、アライメントセンサAS及びスポット206は現実には静止したままであり、速度vで移動するのは基板Wである。したがって、アライメントセンサは、図1Bに示されるように基準フレームRFに強固に且つ精度よく取り付けられてもよく、その一方で基板Wの移動の方向とは反対の方向でマーク202を効果的にスキャンする。基板は、基板テーブルWTへの取り付け及び基板位置決めシステムPWによって、この移動を制御される。図示される全ての移動はX軸に平行である。同様の動作はY方向でのスポット208によるマーク204のスキャンにも当てはまる。これについては更なる説明はしない。
【0063】
[0067] 米国特許第8,593,464号に述べられているように、リソグラフィ装置の高生産性スループット要求は、基板上の多数の位置でのアライメントマークの測定が可能な限り迅速に実施されることを必要とし、これは、スキャン速度vWが速く、各マーク位置の取得に利用可能な時間TACQがそれに対応して短いことを暗示している。簡単に言えば、TACQ=L/vWという式が当てはまる。米国特許第8,593,464号には、取得時間を長くするようにスポットの逆スキャン動作を付与する技術が記載されている。所望であれば、同じスキャンスポット技術が本明細書において新たに開示されるタイプのセンサ及び方法に適用されてもよい。
【0064】
[0068] 格子ピッチがより小さいマーク上で位置合わせをすることには関心が存在する。現実の生産において測定されるオーバーレイは、一般に、制御された検査条件下よりも有意に大きい。調査が示唆することには、これは、製品ウェーハ上のアライメントマークが処理中に、程度の差はあれ、非対称になることに起因する。アライメントマークのピッチを小さくすることにより、測定されるアライメント位置におけるいくつかのタイプの非対称の影響は低減される。
【0065】
[0069] 当業者には、アライメント格子のピッチの縮小を可能にするいくつかのオプションは、(i)用いられる放射の波長を短くすること、(ii)アライメントセンサ光学素子のNAを増加させること、及び(iii)オフアクシス照明を用いることであることがわかる。アライメント格子は吸収膜(例えばアモルファスカーボンハードマスク)の下に位置していることが多いので、より短い波長は必ずしも可能ではない。NAを増加させることは一般に可能であるが、ウェーハから安全な距離にある小型の対物系の必要があるので、好適ではない。したがって、オフアクシス照明を用いることが魅力的である。
【0066】
[0070] アライメントレーザとしての改良された緑色レーザモジュール
【0067】
[0071] 上述したように、(例えば532nmを中心とする波長の)既存の緑色レーザモジュールは、期待値よりもずっと小さい低寿命を有する傾向がある。例えば、アライメントセンサASの既存の多色レーザモジュールアセンブリ(LMA)で現在用いられている緑色レーザモジュールはダイオード励起固体(DPSS)レーザを使用しており、これは6か月未満の低いB10寿命及び約1年のみの低いB20寿命に悩まされている。当業者には、B10寿命はある製品の母集団の10パーセントがそれまでに故障するであろう時間の長さとして定義され、その一方でB20寿命はある製品の母集団の20パーセントがそれまでに故障するであろう時間の長さとして定義されることがわかる。
【0068】
[0072] また、各レーザについて較正及び検査されるウェーハ要因によるコヒーレンス効果(WICO)が位置不確定性の一因となる。既存の緑色レーザモジュールは、一般に、高度にコヒーレントな放射源であり、よって、WICOによるアライメント位置不確定性を引き起こす。更に、既存の緑色レーザモジュールのモードホッピングも、一般に、アライメントのために用いられるときに緑色において顕著であるオーダー間シフト(SBO:shift between order)ジャンプの一因である。そして、既存の緑色レーザモジュールのレーザビームスイッチ(LBS)も誤作動及び故障を生じがちである。したがって、本開示は、これら及び他の課題を解決するための改良された緑色レーザモジュールを提供する。
【0069】
[0073] いくつかの実施形態においては、開示される緑色レーザモジュールは、測定時にはいつでも、開示される緑色レーザモジュールから放出される光子パケットがいくつか前の「コヒーレンス時間」間隔に放出された緑色レーザ光の複数のコピーを含むことを保証することができる。別の言葉で言えば、開示される緑色レーザモジュールの光出力は、レーザ自体のコヒーレンス長よりも長く遅延した光の理論的に無限の複製を含み、そのため光子パケットにおけるコヒーレンス関係を壊す。
【0070】
[0074] 本開示のいくつかの実施形態においては、開示される緑色レーザモジュールは、複数の光カプラ(「光ファイバスプリッタ」とも称される)及びパッチコードを用いて構築される無限インパルス応答(IIR)フィルタを含み得る。いくつかの実施形態においては、IIRフィルタの光入力は、3つの異なるファイバ長、すなわちそれぞれL,L,Lの、3つのループに分割可能である。後述されるように特定の規則に従って3つのファイバ長L,L,Lの値を具体的に選択することによって、これらのファイバ脱相関器(fiber decorrelators)からの信号の3つのループの整数も互いに位相関係にあることができず、したがってWICOは排除される。
【0071】
[0075] 図3から図8は、本開示の種々の実施形態による例示的なIIRフィルタを含む緑色レーザモジュールの概略図である。
【0072】
[0076] 図3を参照すると、緑色レーザモジュールG1は緑色光レーザ源310を含み得る。いくつかの実施形態においては、緑色光レーザ源310は、532nmを中心とする波長帯域を有する連続又はパルスレーザ放射を放出する任意の適当なレーザ源であり得る。いくつかの実施形態においては、緑色光レーザ源310は400KHrsよりも大きい平均故障時間(MTTF)を有していてもよく、これはずっと良好なB10寿命をもたらし得る。しかしながら、緑色光レーザ源310は約10mmのコヒーレンス長(L)を有し得るので、より悪いWICO性能を有する可能性がある。
【0073】
[0077] より良好なWICO性能を得るために、緑色光レーザ源310は更に、コヒーレンス効果を低減させるための無限インパルス応答(IIR)フィルタを含み得る。いくつかの実施形態においては、IIRフィルタは、第1の光カプラ410、第2の光カプラ420、第3の光カプラ430、第4の光カプラ440、及び第5の光カプラ450のような、複数の光カプラ(「光ファイバスプリッタ」とも称される)を備え得る。
【0074】
[0078] 図3に示されるように、緑色光レーザ源310からの緑色光出力は、第1の光カプラ410の第1の入力ポート410aに伝達され得る。なお、図3から図8において、矢印付きの各実線はファイバを表し、矢印はファイバにおける光の伝搬方向を表す。第1の光カプラ410は10:90の分岐比を有し得る。つまり、第1の出力ポート410cの出力光は第1の入力ポート410aからの入力光のパワーを10%及び第2の入力ポート410bからの入力光のパワーを90%含み、その一方で、第2の出力ポート410dの出力光は第1の入力ポート410aからの入力光のパワーを90%及び第2の入力ポート410bからの入力光のパワーを10%含む。第1の光カプラ410の第1の出力ポート410cからの出力光は、第2の光カプラ420の第1の入力ポート420aに伝達され得る。第1の光カプラ410の第2の出力ポート410dからの出力光は、第3の光カプラ430の第1の入力ポート430aに伝達され得る。
【0075】
[0079] いくつかの実施形態においては、2つのデバイスの間に配置されたファイバは、偏光維持(PM)スプライス510によって接続され得る。例えば、あるPMスプライス510が第1の光カプラ410の第1の出力ポート410cと第2の光カプラ420の第1の入力ポート420aとの間に配置されたファイバを接続するために用いられ得ると共に、別のPMスプライス510が第1の光カプラ410の第2の出力ポート410dと第3の光カプラ430の第1の入力ポート430aとの間に配置されたファイバを接続するために用いられ得る。なお、図3から図12においては、PMスプライス510を図示するために中実の楕円形が用いられる。当業者には、PMスプライス510は、2つの光デバイスの間に光導波路を構成するようにファイバを接続するために用いられ得ることがわかる。よって、以下においては、PMスプライス510は図3から図12との関連では説明されない。
【0076】
[0080] いくつかの実施形態においては、第2の光カプラ420は3dBカプラであり得、50:50の分岐比を有する。別の言葉で言えば、第1の出力ポート420c及び第2の出力ポート420dの出力光の各々は、第1の入力ポート420aからの入力光のパワーを50%及び第2の入力ポート420bからの入力光のパワーを50%含む。第2の光カプラ420の第1の出力ポート420cからの出力光は、可変光アテニュエータ(VOA)520を介して第5の光カプラ450の入力ポート450aに伝達され得る。VOA520はシャッタとして用いられ得るが、現在用いられているレーザビームスイッチ(LBS)ホイールよりも信頼性が高い。第2の光カプラ420の第2の出力ポート420dからの出力光は、第3の光カプラ430の第2の入力ポート430bに伝達され得る。
【0077】
[0081] いくつかの実施形態においては、第5の光カプラ450は99:1の分岐比を有し得る。第1の出力ポート450cの出力光は、第1の入力ポート450aからの入力光のパワーを99%含む。第5の光カプラ450の第1の出力ポート450cは、緑色レーザモジュールG1のメイン出力であり、ファイバチャネルプロトコル(FCP、図3には図示しない)に伝達され得る。第5の光カプラ450の第2の出力ポート450dからの出力光は、第1の入力ポート450aからの入力光のパワーを1%含み、検査目的で用いられ得ると共に、診断出力(図3には図示しない)に伝達され得る。
【0078】
[0082] いくつかの実施形態においては、第3の光カプラ430は3dBカプラであり得、50:50の分岐比を有する。別の言葉で言えば、第1の出力ポート430c及び第2の出力ポート430dの出力光の各々は、第1の入力ポート430aからの入力光のパワーを50%及び第2の入力ポート430bからの入力光のパワーを50%含む。図3に示されるように、第3の光カプラ430の第1の出力ポート430cからの出力光は、第1の長さLを有する第1のファイバを介して第4の光カプラ440の第1の入力ポート440aに伝達され得る。第3の光カプラ430の第2の出力ポート430dからの出力光は、第2の長さLを有する第2のファイバを介して第4の光カプラ440の第2の入力ポート440bに伝達され得る。
【0079】
[0083] いくつかの実施形態においては、第4の光カプラ440は3dBカプラであり得、50:50の分岐比を有し得る。別の言葉で言えば、第1の出力ポート440c及び第2の出力ポート440dの出力光の各々は、第1の入力ポート440aからの入力光のパワーを50%及び第2の入力ポート440bからの入力光のパワーを50%含む。図3に示されるように、第4の光カプラ440の第1の出力ポート440cからの出力光は、ループを形成するように第2の光カプラ420の第1の入力ポート420aに伝達され得る。第4の光カプラ440の第2の出力ポート440dからの出力光は、第3の長さLを有する第3のファイバを介してループを形成するように第1の光カプラ410の第2の入力ポート410bに伝達され得る。
【0080】
[0084] 3つのファイバ長L,L,及びLの各々は、緑色レーザのコヒーレンス長(L)よりも大きい。3つのファイバ長L,L,及びLの値は特定の規則に従って決定され得る。いくつかの実施形態においては、第1のファイバ長Lと第2のファイバ長Lとの差の絶対値は、緑色レーザのコヒーレンス長(L)よりも大きい。また、第3のファイバ長Lと第1のファイバ長L及び第2のファイバ長Lの合計との差の絶対値は、緑色レーザのコヒーレンス長(L)よりも大きい。更に、3つのファイバ長のうちいずれか2つの任意の整数倍の合計は、3つのファイバ長の他の1つの整数倍で表すことができない。つまり、A+A≠A、ただしA,A,及びAは1以上の任意の整数であり、集合{x,y,z}={1,2,3}である。このようにして3つのファイバ長L,L,Lの値を具体的に選択することによって、これらのファイバ脱相関器からの信号のループの整数も互いに位相関係にあることができない。つまり、複数の光伝搬ループによって発生する複数の光子パケットが、WICOを排除するべく位相が異なるように調整される。
【0081】
[0085] 3つのファイバ長L,L,及びLの種々の組み合わせが、3つのファイバ長L,L,及びLの値を決定するための上述の規則を満足し得る。例えば、第1のファイバ長Lは1.17mに等しくてもよく、第2のファイバ長Lは2.63mに等しくてもよく、第3のファイバ長Lは4.47mに等しくてもよい。別の一例として、第1のファイバ長Lは1.31mに等しくてもよく、第2のファイバ長Lは2.57mに等しくてもよく、第3のファイバ長Lは4.49mに等しくてもよい。また別の一例として、第1のファイバ長Lは1.67mに等しくてもよく、第2のファイバ長Lは2.77mに等しくてもよく、第3のファイバ長Lは4.57mに等しくてもよい。更に別の一例として、第1のファイバ長Lは1.79mに等しくてもよく、第2のファイバ長Lは3.73mに等しくてもよく、第3のファイバ長Lは5.93mに等しくてもよい。なお、3つのファイバ長L,L,Lは上記で開示される組み合わせによって限定されるものではなく、開示される規則を満足する任意の他の適当な値を有し得る。
【0082】
[0086] 図4から図5を参照すると、本開示のいくつかの他の実施形態による他の例示的な緑色レーザモジュールG11及びG12の概略図が示されている。なお、緑色光レーザ源310、光カプラ410~450、PMスプライス510等のような、図3との関連で上述されたのと同じコンポーネントは、ここでは繰り返さない。
【0083】
[0087] 図4に示される緑色レーザモジュールG11を図3に示される緑色レーザモジュールG1と比較すると、光キャリア周波数をパススルー毎に200MHz、体系的にアップシフト又はダウンシフトするように、IIRフィルタにおいて音響光学変調器(AOM)が用いられている。図4に示されるように、第1のAOM530-1は、第1のカプラ410の第2の出力ポート410dと第3の光カプラ430の第1の入力ポート430aとの間に接続され得る。第1のAOM530-1は第1の無線周波数(RF)ドライバ540-1によって駆動され得る。第2のAOM530-2は、第2のカプラ410の第2の出力ポート420dと第3の光カプラ430の第2の入力ポート430bとの間に接続され得る。第2のAOM530-2は第2の無線周波数(RF)ドライバ540-2によって駆動され得る。両AOMは、キャリア周波数をブルーシフトさせることによって緑色レーザのスペクトル出力を拡大することもでき、これは結果としてWICOがアライメント位置の不確定性に影響を与えることを低減させる。
【0084】
[0088] 図9を参照すると、概略図が、本開示のいくつかの実施形態による、1つ以上のループの後の出力緑色レーザのスペクトル拡幅を示している。左の図に示されるように、532nm波長の当初の緑色レーザは、そのパワーを固定されたλ/fに集中させており、ここで、λはレーザ310の公称中心波長(例えば532nm)であり、fは2つのAOM530-1及び530-2に適用されるRF周波数である。いくつかの実施形態においては、2つのAOMは、図9の中央の図に示されるように、1つのループの後、光キャリア周波数を200MHz、正及び負にシフトさせ得る。つまり、アップコンバートされたAOMの出力は、(532nm+200MHz)に対応する周波数となり得、ダウンコンバートされたAOMの出力は(532nm-200MHz)に対応する周波数となり得る。よって、パワーはスペクトルが正及び負に200MHz離れ得る。多数のループの後、2つのAOMは、緑色レーザ周波数を200MHz、正及び負に繰り返しシフトさせ得る。つまり、スペクトル成分は200MHzおきに複数の値の波長/周波数で広く分布し得る。よって、出力緑色レーザはいつでも、緑色光レーザ源310によって放出された緑色光の多数のコピーと、複数の正又は負に200MHz周波数シフトされたスペクトル成分とを有することができる。したがって、光子パケットに存在するコヒーレントな位相関係はいつでも、WICO効果を低減させるように、壊され得る。
【0085】
[0089] なお、AOMはIIRフィルタの光回路の異なる位置に配置され得る。例えば、図5に示される緑色レーザモジュールG12においては、第1の無線周波数(RF)ドライバ540-1によって駆動される第1のAOM530-1は第3のカプラ430の第1の出力ポート410dと第4の光カプラ440の第1の入力ポート440aとの間に接続されてもよく、その一方で、第2の無線周波数(RF)ドライバ540-2によって駆動される第2のAOM530-2は第3のカプラ430の第2の出力ポート430dと第4の光カプラ430の第2の入力ポート440bとの間に接続されてもよい。
【0086】
[0090] いくつかの実施形態においては、第5の光カプラ450の第1の出力ポート450cの後にファイバ位相変調器550が接続され得る。ファイバ位相変調器550は、緑色レーザの出力の異なるスペクトル成分間の位相関係を更にスクランブルするようにランダム化された位相シヌソイド信号によって駆動され得、それによってWICOがアライメント位置の不確定性に影響を与えることを更に低減させる。
【0087】
[0091] 図6から図8を参照すると、本開示のいくつかの他の実施形態による他の例示的な緑色レーザモジュールG2,G3,及びG4の概略図が示されている。なお、緑色光レーザ源310、光カプラ410~450、PMスプライス510等のような、図3との関連で上述されたのと同じコンポーネントは、ここでは繰り返さない。いくつかの実施形態においては、異なる長さL,L,及びLの3つのファイバの場所は、IIRフィルタの光回路の異なる場所に配置され得る。
【0088】
[0092] いくつかの実施形態においては、図6に示される緑色レーザモジュールG2を図3に示される緑色レーザモジュールG1と比較すると、第1のファイバ長Lの第1のファイバは第1の光カプラ410の第2の出力ポート410dと第3の光カプラ430の第1の入力ポート430aとの間に配置されてもよく、その一方で、第2のファイバ長Lの第2のファイバは第2の光カプラ420の第2の出力ポート420dと第3の光カプラ430の第2の入力ポート430bとの間に配置されてもよい。なお、図中には示されていないが、図4及び図5との関連で上述したように、緑色レーザモジュールG2のIIRフィルタの異なる場所に2つのAOMが追加されてもよい。
【0089】
[0093] いくつかの実施形態においては、図7に示される緑色レーザモジュールG3を図3に示される緑色レーザモジュールG1と比較すると、第3のファイバ長Lの第3のファイバは第4の光カプラ440の第1の出力ポート440cと第2の光カプラ430の第1の入力ポート420aとの間に配置されてもよい。同様に、図中には示されていないが、図4及び図5との関連で上述したように、緑色レーザモジュールG3のIIRフィルタの異なる場所に2つのAOMが追加されてもよい。
【0090】
[0094] いくつかの他の実施形態においては、図8に示される緑色レーザモジュールG4を図3に示される緑色レーザモジュールG1と比較すると、第1のファイバ長Lの第1のファイバは第1の光カプラ410の第2の出力ポート410dと第3の光カプラ430の第1の入力ポート430aとの間に配置されてもよく、第2のファイバ長Lの第2のファイバは第2の光カプラ420の第2の出力ポート420dと第3の光カプラ430の第2の入力ポート430bとの間に配置されてもよく、第3のファイバ長Lの第3のファイバは第4の光カプラ440の第1の出力ポート440cと第2の光カプラ430の第1の入力ポート420aとの間に配置されてもよい。同様に、図中には示されていないが、図4及び図5との関連で上述したように、緑色レーザモジュールG4のIIRフィルタの異なる場所に2つのAOMが追加されてもよい。
【0091】
[0095] 本開示は単なる例としてなされているものであること、及び本開示の実施形態の詳細においては本開示の精神及び範囲を逸脱することなく多数の変更がなされ得ることは理解される。開示される実施形態の特徴は、様々に組み合わせ及び再配置され得る。本開示の変更、均等物、又は改良は、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者にとっては理解できるものであると共に、本開示の範囲内に包含されることが意図される。例えば、上述の5つの光カプラ410~450の分岐比は例示的なものに過ぎず、限定されるべきではない。例えば、開示される緑色レーザモジュールのIIRフィルタにおいては、95:5,90:10,80:20,75:25,60:40,40:60,25:75、20:80,10:90,5:95など、他の分岐比の任意の適当な光カプラが用いられ得る。別の一例として、光カプラの数も本明細書においては限定されない。図面に示されていないいくつかの実施形態では、数Mの行及び数Nの列の光カプラを有する光カプラアレイがIIRフィルタを構築するように接続されてもよい。
【0092】
[0096] したがって、本開示は、より良好な使用寿命と、低減されたコヒーレンス効果と、より速い切り替えスピードとを実現するように改良された緑色レーザモジュールを提供する。開示されるIIRフィルタを用いて緑色レーザの位相を脱相関化することによって、及びAOMを用いてスペクトル成分を追加することによって、開示される緑色レーザモジュールは、緑色レーザモジュールの出力から光が放出されるときに、スペクトル包絡線の下の光子パケットにおいて同じ位相関係を有することを回避することができる。異なる緑色成分は同じスペクトル範囲を占め得るが、全ての光子はいつでも波束間で位相が異なるように構成される(例えば同じ位相関係を有さない)。なぜなら、異なる光子間の位相関係は、光をコヒーレンス長(L)を進んだ後又はコヒーレンス時間(T)よりも長い期間にわたって結合するときに壊れるからである。よって、発生した緑色光は積分球内で多数回反射し、そのような反射の後の結合された光はコヒーレンシを失い得る。
【0093】
[0097] また、モードホッピングは本来のレーザノイズよりも少なく低規模であり得、これにより緑色レーザにおけるモードジャンプに起因するSbOドリフトがさほど問題にならなくなり得る。更に、開示される緑色レーザモジュールにおいては可変光アテニュエータ(VOA)が光スイッチとして実装され、これはレーザビームスイッチ(LBS)に関係する誤作動及び故障を劇的に低減させることができる。なお、本開示は、リソグラフィシステムにとってのみならず、任意の用途(例えば生物医学、センサ、電気通信など)の任意のレーザにとって、レーザ源のコヒーレンスを壊すのに良い。また、本開示は一例として緑色レーザを用いることも注目される。しかしながら、本開示は、開示されるスキームにおいて適切なファイバ長及び他のコンポーネントを選択することによって、異なる波長の任意のレーザ源(例えば、赤色レーザ、任意の他の可視光レーザ、UVレーザ、又は赤外レーザなど)についても機能し得る。
【0094】
[0098] 実施形態は更に、以下の条項を用いて記載することもできる。
1.レーザ光を発生させるように構成されたレーザ源と、
レーザ光の成分の位相を脱相関化し、それによってレーザ光のコヒーレンス効果を低減させるように構成された無限インパルス応答フィルタと、
を備えるレーザモジュール。
2.レーザ源は緑色レーザ光を発生させるように構成されている、条項1のレーザモジュール。
3.無限インパルス応答フィルタは、光路長が異なる複数の光伝搬ループを形成するための複数の光カプラを備える、条項1のレーザモジュール。
4.複数の光伝搬ループは、
第1のファイバ長の第1のファイバを有する第1の光伝搬ループと、
第2のファイバ長の第2のファイバを有する第2の光伝搬ループと、
第3のファイバ長の第3のファイバを有する第3の光伝搬ループと、
を備えており、
第1のファイバ長、第2のファイバ長、及び第3のファイバ長は、レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい、条項3のレーザモジュール。
5.第1のファイバ長と第2のファイバ長との差の絶対値は、レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい、条項4のレーザモジュール。
6.第3のファイバ長と第1のファイバ長及び第2のファイバ長の合計との差の絶対値は、レーザ光のコヒーレンス長よりも大きい、条項4のレーザモジュール。
7.3つのファイバ長のうちいずれか2つの任意の整数倍の合計は、3つのファイバ長のうち他の1つの整数倍ではない、条項4のレーザモジュール。
8.第1のファイバ長と、第2のファイバ長と、第3のファイバ長との組み合わせは、次のうち1つである、条項4のレーザモジュール。
第1のファイバ長は1.17mであり、第2のファイバ長は2.63mであり、第3のファイバ長は4.47mである、
第1のファイバ長は1.31mであり、第2のファイバ長は2.57mであり、第3のファイバ長は4.49mである、
第1のファイバ長は1.67mであり、第2のファイバ長は2.77mであり、第3のファイバ長は4.57mである、又は、
第1のファイバ長は1.79mであり、第2のファイバ長は3.73mであり、第3のファイバ長は5.93mである。
9.レーザモジュールの出力がコヒーレンス効果を更に低減させるべく拡大されたスペクトルを有するように、光伝搬ループに配置され光キャリア周波数をシフトさせるように構成された音響光学変調器を更に備える、条項3のレーザモジュール。
10.レーザモジュールの出力の異なるスペクトル成分間の位相関係をスクランブルするように、ランダム化された位相信号によって駆動されるファイバ位相変調器を更に備える、条項9のレーザモジュール。
11.光スイッチとして構成された可変光アテニュエータを更に備える、条項1のレーザモジュール。
12.複数の光カプラは、
レーザ源に接続された第1の入力ポートを含む第1の光カプラと、
第1の光カプラの第1の出力ポートに接続された第1の入力ポートを含む第2の光カプラと、
第1の光カプラの第2の出力ポートに接続された第1の入力ポート及び第2の光カプラの第2の出力ポートに接続された第2の入力ポートを含む第3の光カプラと、
第3の光カプラの第1の出力ポートに接続された第1の入力ポート、第3の光カプラの第2の出力ポートに接続された第2の入力ポート、第1の光カプラの第2の入力ポートに接続された第1の出力ポート、及び第2の光カプラの第2の入力ポートに接続された第2の出力ポートを含む第4の光カプラと、
を備える、条項4のレーザモジュール。
13.第1のファイバは第3の光カプラの第1の出力ポートと第4の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置されており、
第2のファイバは第3の光カプラの第2の出力ポートと第4の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置されている、
条項12のレーザモジュール。
14.第1のファイバは第1の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置されており、
第2のファイバは第2の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置されている、
条項12のレーザモジュール。
15.第3のファイバは第4の光カプラの第2の出力ポートと第1の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置されているか、又は、
第3のファイバは第4の光カプラの第1の出力ポートと第2の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置されている、
条項12のレーザモジュール。
16.第1の光カプラは10:90の分岐比を有し、
第2の光カプラ、第3の光カプラ、第4の光学は各々が50:50の分岐比を有する、
条項12のレーザモジュール。
17.第1の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置された第1の音響光学変調器と、
第2の光カプラの第2の出力ポートと第3の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置された第2の音響光学変調器と、
を更に備える、条項12のレーザモジュール。
18.第3の光カプラの第1の出力ポートと第4の光カプラの第1の入力ポートとの間に配置された第1の音響光学変調器と、
第3の光カプラの第2の出力ポートと第4の光カプラの第2の入力ポートとの間に配置された第2の音響光学変調器と、
を更に備える、条項12のレーザモジュール。
19.条項1のレーザモジュールを含みアライメント光を発生させるように構成された多色放射源を備える、メトロロジシステム。
20.条項19のメトロロジシステムを備える、リソグラフィ装置。
【0095】
[0099] 結び
【0096】
[00100] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0097】
[00101] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0098】
[00102] 本明細書中の言い回し又は専門用語は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではないことが理解されるべきであり、従って、本明細書の専門用語又は言い回しは、本明細書中の教示に照らして当業者によって解釈されるべきである。
【0099】
[00103] 本明細書に記載される実施形態において、「レンズ」及び「レンズ要素」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ又はその組み合わせを指すことができる。
【0100】
[00104] さらに、本明細書で使用する「放射」、「ビーム」及び「光」という用語は、紫外(UV)放射線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長λを有する)、極端紫外(EUV又は軟X線)放射線(例えば、5~20nmの範囲内の波長、例えば、13.5nmの波長を有する)、又は5nm未満で動作する硬X線、さらに、イオンビーム又は、電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆるタイプの電磁放射線を含む。一般に、約400~約700nmの間の波長を有する放射線は可視放射線と考えられる。約780~約3000nm(またはそれ以上)の間の波長を有する放射線はIR放射線とみなされる。UVは、約100~400nmの波長を有する放射線を指す。リソグラフィにおいては、用語「UV」は、普通、水銀放電灯によって生成可能な波長、すなわち、436nmのG線、405nmのH線、及び/又は365nmのI線にも適用される。真空UV、又はVUV(すなわち、ガスによって吸収されるUV)は、約100~200nmの波長を有する放射線を指す。深UV(DUV)は、一般に、126nm~428nmの範囲内の波長を有する放射線を指し、ある実施形態では、エキシマレーザ装置はリソグラフィ装置内で使用されるDUVを生成することができる。例えば、5~20nmの範囲内の波長を有する放射線は、少なくともその一部が5~20nmの範囲内の一定の波長帯域を有する放射線に関連することを認識されたい。
【0101】
[00105] 本明細書で使用される「基板」という用語は、一般に、その上に後続の材料層が追加される材料を記述する。実施形態では、基板自体にパターンが付与され得ると共に、その上に追加された材料にもパターンが付与されるか、又はパターン付与されないままである場合がある。
【0102】
[00106] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。この説明は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0103】
[00107] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0104】
[00108] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0105】
[00109] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。
【0106】
[00110] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】