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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】PU複合樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20221109BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20221109BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C08J5/24 CFF
C08G18/08 038
C08G18/32 003
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022516313
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020075447
(87)【国際公開番号】W WO2021048334
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】19197006.0
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】エムゲ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フェッドリヒ,ラウラ
【テーマコード(参考)】
4F072
4J034
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB22
4F072AD43
4F072AE02
4F072AK03
4F072AK11
4F072AL02
4F072AL03
4F072AL04
4F072AL07
4J034BA02
4J034CA05
4J034CB04
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC09
4J034CD04
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC06
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC02
4J034KD02
4J034KD12
4J034KD25
4J034KE01
4J034KE02
4J034MA21
4J034QB14
4J034RA05
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、次の成分:(a)少なくとも成分:(i)ポリイソシアネート組成物、(ii)少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)(ii.1)を含むポリオール組成物の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタン、(b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維を含む、繊維複合材料であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とが、イソシアネート指数が99から400の間となる比において使用される、繊維複合材料に関する。本発明はさらに、繊維複合材料の生成のための方法、この方法によって得られる、または得ることができる繊維複合材料、およびパイプ、特に円錐形パイプ、パイプ連結具、圧力容器、貯蔵タンク、遮蔽材、マスト、条材、ローラー、トーションシャフト、異形材、スポーツ用品のピース、成形パーツ、カバー、自動車外装パーツ、ロープ、ケーブル、アイソグリッド構造、または半完成繊維材製品の生成のために繊維複合材料を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分a)およびb):
a)少なくとも以下の成分i)およびii)の反応によって得られるかまたは得ることができるポリウレタン:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を有する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物;
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維;
を含む、繊維複合材料であって、
ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)が、イソシアネート指数が99~400の間の比となるように使用される、繊維複合材料。
【請求項2】
以下の成分a)およびb):
a)少なくとも以下の成分i)およびii)の反応によって得られるかまたは得ることができるポリウレタン:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%のエトキシル化ポリエーテルオール(ii.1)を含むポリオール組成物;
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含む、請求項1に記載の繊維複合材料。
【請求項3】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤および
ii.1.2)エチレンオキシドを
アルコキシル化触媒(ii.1.3)、場合により更なる
ii.1.4)助剤および/または添加剤の存在下で反応させて得られるかまたは得ることができる、請求項2に記載の繊維複合材料。
【請求項4】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、プロピレンオキシドをベースとする末端基および/もしくはブチレンオキシドをベースとする末端基を有さず、好ましくは、エチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、かつ/またはエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、エチレンオキシドをベースとする基のみを有し、プロピレンオキシドをベースとする基および/もしくはブチレンオキシドをベースとする基を含まない、請求項2または3に記載の繊維複合材料。
【請求項5】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオール開始剤(ii.1.1)が、3の官能価を有するトリオール、好ましくは式(I):
【化1】
[式中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、1~6の範囲からの整数である]のトリオールを含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項6】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に請求項3に記載の式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成され、さらなるアルキレンオキシドを使用せず、かつ/またはエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成され、さらなる開始剤、特にアミン系開始剤を使用しない、請求項2から5のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項7】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、トリオール、好ましくは請求項3または4に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II):
【化2】
[式中、
l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1であり、
p、q、およびrは、それぞれ互いに独立して、0または1~6の範囲からの整数であり、
、X、およびXは、それぞれ、-CH-CH-O-基である]
を有する、請求項2から6のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項8】
ポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈するポリオールを含み、ポリオール組成物(ii)が、好ましくは、プロピレンオキシド末端基もしくはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含まない、かつ/またはポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項9】
ポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシド基を有するポリオールを含まず、かつ/またはポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシドをベースとするポリオールを含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項10】
繊維複合材料を生成するための方法、特に請求項1から9のいずれか一項に記載の繊維複合材料を生成するための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を提供する工程、
B)少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を有する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を提供する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含み、
ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)が、イソシアネート指数が99~400の間の比となるように使用される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の繊維複合材料を生成するための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を提供する工程、
B)少なくとも15質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を提供する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む、方法。
【請求項12】
ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材(ポリウレタンプリプレグ)の生成のための、請求項10または11に記載の繊維複合材料を生成するための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを配向繊維(b)と接触させ、続いて部分的に硬化させることによる、方法。
【請求項13】
ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材を生成することを目的とする、請求項10または11に記載の繊維複合材料を生成ための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを80℃未満の温度で重合し、続いて配向繊維(b)と接触させることによる、方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる、繊維複合材料。
【請求項15】
パイプ、特に円錐形パイプ、パイプ連結具、圧力容器、貯蔵タンク、遮蔽材、マスト、条材、ローラー、トーションシャフト、異形材、スポーツ用品のピース、成形パーツ、カバー、自動車外装パーツ、ロープ、ケーブル、アイソグリッド構造、または半完成繊維材製品の生成のために、請求項1から9のいずれか一項に記載の繊維複合材料または請求項10から13のいずれか一項に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる繊維複合材料を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分:(a)少なくとも成分(i)ポリイソシアネート組成物、(ii)少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタンと、(b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維とを含む、繊維複合材料に関する。
【0002】
本発明はさらに、繊維複合材料の生成のための方法、この方法によって得られる、または得ることができる繊維複合材料、およびパイプ、特に円錐形パイプ、パイプ連結具、圧力容器、貯蔵タンク、遮蔽材(insulator)、マスト、条材、ローラー、トーションシャフト、異形材、スポーツ用品のピース、成形パーツ、カバー、自動車外装パーツ、ロープ、ケーブル、アイソグリッド構造、または半完成繊維材製品の生成のために繊維複合材料を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フィラメントワインディングは、回転対称部品の生成のための製造方法である。フィラメントワインディングでは、繊維を通常、1個または複数のスプールからロービングとして引き出して樹脂に浸漬させ、回転芯に巻きつける。ロービングは、平行なフィラメント(連続繊維)で作製されたバンドル、ストランド、またはマルチフィラメントヤーンであり、これは主に、複合材料の下位群である繊維複合プラスチックまたは繊維強化プラスチックの生成に使用される。原則的に、ロービングに加えて、不織布、織物布帛、または編み物布帛などの二次元繊維材も使用することができる。回転芯に巻き取った後、積層体をオーブンで硬化させる。繊維のタイプ、巻き付け角度、および層の厚さを変えることによって、広範囲の積層体を生成することができ、多様な分野において使用される。
【0004】
フィラメントワインディングのための配合についての標準的な要求事項は、特に、30分超、好ましくは45分超という長い開放時間である。反応混合物は、連続繊維をそれぞれの樹脂に含浸させる開放浴中でゲル化してはならない。その上、ワインディング方法中に空気が含まれることに起因して、特に大気の水分/湿潤繊維とイソシアネートとの反応に起因して、表面にバブルが形成されないことが必須である。これによって、このような樹脂浴のための従来のポリウレタン(PU)配合は、反応性が低いポリオールまたは触媒、典型的には、プロピレンオキシドによって、すなわち第二級アルコールによってキャッピングされたポリオールを使用することになる。反応性および親水性のため、プロピレンオキシド(PO)は、エチレンオキシド(EO)よりも明らかに好ましい。
【0005】
国際公開第2016/183073(A1)号パンフレットは、繊維ワインディングによる複合要素の生成のための方法を開示しており、アミン開始ポリオールが使用されるが、その正確な組成は開示されていない。国際公開第03/085022(A1)号パンフレットには、水素を含む反応性基を呈する有機多官能価樹脂を使用する、フィラメントワインディングに使用するための反応系が記載されており、使用するポリオールはほぼ完全にPO系である。
【0006】
エチレンオキシドでキャッピングされたポリオールの使用は、ポリオール成分の開放時間が短くなり、開放含浸浴における短時間の後に反応樹脂がゲル化するので、このような反応性樹脂は従来の加工技術によって加工可能ではないため、通常回避される。けれども、より短い硬化時間は経済的な観点からは望ましく、1つの狙いは、水分への感度を最小化することでもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/183073(A1)号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/085022(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、生成におけるより短い開放時間が可能であり、樹脂成分が水分への低い感度を呈し、より短い硬化時間も可能にする、PU繊維複合体の製造であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、次の成分:
a)少なくとも成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物
の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタン、
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含む、繊維複合材料によって達成された。
【発明の効果】
【0010】
驚くべきことに、少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)、すなわち、反応性第一級ヒドロキシル基を呈するポリオールを使用すると、(ワインディング試験における)スレッドワインディング中に、望まれないバブル形成の回避について、有意に良好な結果を生じることが見出された。したがって、少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)をベースとするポリウレタンは、スレッドワインディング中に、85%という高い大気湿度にもかかわらず、バブル形成をまったく示さないか、最大でも非常にわずかであったが、一方、15質量%未満の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を使用すると発泡をもたらし、すなわち、部品表面において望ましくないバブルを形成した。検討した機械的特性のほとんどすべてについて、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を使用した場合には、特に衝撃強さについて、利点が見出された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(a)によるポリウレタンは、850g/l以上、好ましくは1000~1500g/lの範囲内(L.J.GibsonおよびM.F.Ashby、Cellular Solids、Cambridge Press、第2版、1997年、54~56ページ)、より好ましくは1000~1300g/lの範囲内の密度を呈する高密度ポリウレタンであり、密度は、DIN EN ISO 1183-1(2019年9月)に準拠して、浮力法を使用して決定する。高密度ポリウレタンの密度に関するすべての情報ではいつも、充填材を考慮せず、純粋なポリウレタン樹脂を指す。下の(ii.1.4)についての以下の説明に準拠して充填材を使用する場合、本発明によるポリウレタンの規定密度は、使用する充填材の量および密度に応じて変化する。
【0012】
本発明の文脈において、生成方法の結果としてポリオールに含まれる少量の発泡剤、例えば水は、ここでは、発泡剤の添加を成すものであると理解されるべきではない。高密度ポリウレタンの生成のための反応混合物は、好ましくは、0.2質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満の水を含む。
【0013】
少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)は、好ましくは、トリメチロールプロパン(TMP)、ブタン-1,2-4-トリオール、ペンタン-1,3,5-トリオール、3-(ヒドロキシメチル)ペンタン-1,2,5-トリオール、ヘプタン-1,4,7-トリオール、フェノール誘導体と少なくとも2当量のホルムアルデヒド、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスロール、エリトルロース、リブロール(ribulol)、リブロース、キシルロール(xylulol)、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトース、プシコース、およびエトキシル化ポリエーテルポリオールとの反応生成物からなる群から;より好ましくは、トリメチロールプロパン(TMP)、ブタン-1,2-4-トリオール、ペンタン-1,3,5-トリオール、3-(ヒドロキシメチル)ペンタン-1,2,5-トリオール、ヘプタン-1,4,7-トリオール、フェノール誘導体と少なくとも2当量のホルムアルデヒド、およびエトキシル化ポリエーテルポリオールとの反応生成物からなる群から;より好ましくは、トリメチロールプロパン(TMP)、ブタン-1,2-4-トリオール、ペンタン-1,3,5-トリオール、3-(ヒドロキシメチル)ペンタン-1,2,5-トリオール、ヘプタン-1,4,7-トリオール、およびエトキシル化ポリエーテルポリオールからなる群から選択される。
【0014】
本発明によれば、(i)に従ってポリイソシアネート組成物を使用する。ジ-またはポリイソシアネート(i)としての使用は、ポリウレタンの生成のために公知であるすべての脂肪族、脂環式、または芳香族イソシアネート、およびまたこれらの任意の混合物からなりうる。ポリイソシアネート組成物は、ここでは、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。本発明によれば、ポリイソシアネート組成物はまた、2種以上のポリイソシアネートを含むことができる。少なくとも1種のポリイソシアネートは、好ましくは少なくとも1種のジイソシアネートであり、より好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、および芳香族ジイソシアネート、ならびにこれらのジイソシアネートの2種以上の混合物からなる群から選択される。詳細には、例えば、次の芳香族ジイソシアネート:トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,4-および-2,6-ジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタン-4,4’-、-2,4’-および/もしくは-2,2’-ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン-2,4’-および-4,4’-ジイソシアネートの混合物、液体ウレタン-、カルボジイミド-もしくはウレトンイミン-改質ジフェニルメタン-4,4’-および/もしくは-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトジフェニルエタン、モノマー性メタンジフェニルジイソシアネートおよび多数の環を有するメタンジフェニルジイソシアネート(ポリマー性MDI)のホモログの混合物、ナフチレン-(1,2)-および-1,5-ジイソシアネート、またはこれらのイソシアネートおよびポリオール、もしくはイソシアネートおよびイソシアネート反応性成分のプレポリマーを言及することができる。脂肪族ジイソシアネートとして、通常の脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-および/もしくはオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-および/もしくは1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-および/もしくは-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-、2,4’-および/もしくは2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、またはこれらのイソシアネートのオリゴマーもしくはプレポリマーが使用される。MDIを含むイソシアネート組成物が好ましい。
【0015】
ジ-またはポリイソシアネート(i)としての使用は、好ましくは、任意に、多数の環を有するMDIホモログとも一緒に、ジフェニルメタンジイソシアネート、例えば、2,4’-MDI、4,4’-MDI、またはこれらの成分の混合物をベースとするイソシアネートからなる。ジ-およびポリイソシアネート(a)は、好ましくは2.0~2.9、特に好ましくは2.0~2.8の官能価を呈する。
【0016】
ポリイソシアネート組成物(i)のジ-およびポリイソシアネートはまた、ポリイソシアネートプレポリマーの形態で使用することもできる。これらのポリイソシアネートプレポリマーは、上に記載したポリイソシアネート(i)を、例えば、30~100℃、好ましくはおよそ80℃の温度で、イソシアネートと反応する少なくとも2個の基を有する化合物と、プレポリマーを与えるまで、過剰に反応させることによって得ることができる。本発明によるポリイソシアネートプレポリマーのNCO含有量は、好ましくは15質量%~33質量%のNCO、特に好ましくは25質量%~30質量%のNCOである。DIN 53019-1~3による、ジ-もしくはポリイソシアネート、またはポリイソシアネートプレポリマー(i)の25℃における粘度は、好ましくは5から1000mPa・sの間、より好ましくは5から700mPa・sの間、特に好ましくは10から400mPa・sの間である。ジ-および/またはポリイソシアネート(i)は、特に好ましくは、少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも70mol%の、2の官能価を有するイソシアネートを呈する。
【0017】
一実施形態では、繊維複合材料は、次の成分:
a)少なくとも成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物
の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタン、
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含み、
少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)は、少なくとも1個の末端アルコキシ基がエチレンオキシドをベースとするアルコキシル化ポリエーテルポリオールである。
【0018】
少なくとも1個の末端アルコキシ基がエチレンオキシドをベースとするアルコキシル化ポリエーテルポリオールとは、末端構造単位-[-O-CH-CH-OH[式中、pは1~6の範囲からの整数である]を含むポリエーテルポリオールを意味する。好ましくは、少なくとも1個の末端アルコキシ基がエチレンオキシドをベースとするアルコキシル化ポリエーテルポリオールとは、末端構造単位-[-O-CHR-CHp’-[-O-CH-CH-OH[式中、pは1~6の範囲からの整数であり、p’はゼロまたは1~6の範囲からの整数であり、Rは、p’繰り返し単位のそれぞれについていつも独立に、メチル基およびエチル基から独立に選択される]を含むポリエーテルポリオールを意味する。
【0019】
一実施形態では、繊維複合材料は、次の成分:
a)少なくとも成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物
の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタン、
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含む。
【0020】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、
ii.1.1)3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤
と、
ii.1.2)エチレンオキシドとの、
アルコキシル化触媒(ii.1.3)の存在下における、
ii.1.4)任意に、さらなる助剤および/または添加剤の存在下における
反応によって得られる、または得ることができる。
【0021】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、200g/mol未満、好ましくは50~140g/molの範囲内、より好ましくは55~135g/molの範囲内、より好ましくは60~130g/molの範囲内の等価分子量を呈する。
【0022】
「3~6の官能価を有するポリオール」とは、1分子当たり平均で、2.8~3.0の範囲内、または3.8~4.0の範囲内、または4.8~5.0の範囲内、または5.8~6.0の範囲内のヒドロキシル基を呈するポリオールを意味するものと理解される。同様に、「3または4の官能価を有するポリオール」とは、1分子当たり平均で、2.8~3.0の範囲内、または3.8~4.0の範囲内のヒドロキシル基を呈するポリオールを意味するものと理解される。実践上は、ポリオールの合成中の様々な副反応によって、名目上想定されるよりも実際には低いことがある官能価が生じうるため、名目上の官能価からの逸脱がある(M.Ionescu、Chemistry and Technology of Polyols、Rapra、2005年、67~75ページ)。200g/mol未満の等価分子量範囲では、官能価が3または4または5または6に非常に近いこと、好ましくは3または4に非常に近いことが想定される。等価分子量(EMW)は、ポリエーテルポリオールの分子量(M(ポリエーテルポリオール))と、ポリエーテルポリオールの官能価(F)との比:
EMW=M(ポリエーテルポリオール)/F[g]
として定義される。
【0023】
アルコキシル化触媒(ii.1.3)は、当業者に公知である。塩基性触媒、例えば、アルカリ金属塩、例えばナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび/もしくは水酸化セシウム、アミン、例えばイミダゾール誘導体など、またはルイス酸触媒、例えば、ホウ素系フッ素含有ルイス酸触媒、例えばBFもしくはトリスペンタフルオロフェニルボランが使用される。
【0024】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、300mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは300~1400mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1300mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1260mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する。
【0025】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、100質量%のポリオール組成物(ii)の総質量に対して、15質量%~100質量%、好ましくは20質量%~100質量%、より好ましくは25質量%~75質量%、より好ましくは30質量%~50質量%において使用される。
【0026】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基および/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈せず、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は好ましくは、専らエチレンオキシドをベースとする末端基を呈する。繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、専らエチレンオキシドをベースとする基を呈し、プロピレンオキシドをベースとする基および/またはブチレンオキシドをベースとする基を含まない。
【0027】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオール開始剤(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくは式(I):
【化1】
[式中、l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数である]のトリオールを含む。好ましくは、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~3の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1である。
【0028】
トリオール(ii.1.1)は好ましくは、200~2000mg KOH/gの範囲内、好ましくは250~1850mg KOH/gの範囲内、より好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する。
【0029】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。
【0030】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応によって生成したエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を有する1種または複数のトリオールと組み合わせて使用する。この関係において用いるトリオールとして、エトキシル化ポリエーテルポリオールを除く、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する、上に記載した少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)が使用される。
【0031】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなる開始剤、特にアミン系開始剤を使用しない。「アミン系開始剤」は、1個または複数の第一級、第二級、および/または第三級アミン基を含む化合物を含む。これには、例えばエタノールアミンなどの第一級アミン化合物、ジエタノールアミンなどの第二級アミン化合物、イソホロンジアミン、ジアミノトルエン、ジアミノヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、もしくはエチレンジアミンなどの第一級アミン基を有するオリゴアミン、例えば、トリエタノールアミンもしくはトリエチルアミンなどの第三級アミン化合物、または第一級アミン基を有するポリアミンを含む。
【0032】
繊維複合材料の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、トリオール、好ましくは上に記載した式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、好ましくは式(II):
【化2】
[式中、
l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1であり、
p、q、およびrは、それぞれ互いに独立して、ゼロまたは1~6の範囲からの整数であり、
、X、およびXはそれぞれ、-CH-CH-O-基である]
を呈する。
【0033】
好ましくは、ポリオール組成物(ii)は、アミン系開始剤をベースとするポリオールを含まない。
【0034】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリウレタン(a)は、アミン系開始剤をベースとするポリオールを使用することなく得ることができる、または得られる。
【0035】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含む。
【0036】
(ii)によるポリオール組成物は、好ましくは、少なくとも1種のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)に加えて、1種または複数のさらなるポリオールを含み、さらなるポリオールは、ポリエステルポリオール、より好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールの群から選択される。少なくとも1種のポリエステルポリオール、好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールは、好ましくは、2~3の範囲内、より好ましくは2.4~3の範囲内の官能価を呈する。
【0037】
ポリエステルオールは、例えば、好ましくはエステル化触媒の存在下で、脂肪族または芳香族ジカルボン酸誘導体と、多価アルコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル基を含有するポリアセタール、および/またはヒドロキシル基を含有する脂肪族ポリ炭酸エステルとの重縮合によって生成する。さらなる可能性は、環状エステル(例えば、ε-カプロラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸、例えばω-ヒドロキシカプロン酸)または炭酸エステルの開環重合、およびまたポリエステルオールと多価アルコールとのエステル交換にある。さらなる可能なポリオールは、例えば、「Kunststoffhandbuch,Band 7,Polyurethane」[Plastics Handbook,Volume 7,Polyurethanes]、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、3.1章に引用されている。
【0038】
好ましくは、多官能価アルコール、好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子を有するジオールを、2~12個の炭素原子を有する多官能価カルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、マレイン酸、フマル酸、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸異性体混合物と反応させる。複数のジカルボン酸は、両方を個々に使用することも、互いを混合物で使用することもできる。ここで、脂肪酸、例えばオレイン酸またはリシノール酸などの存在下で、重縮合を行うことができる。二価または多価アルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-または1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-または1,2-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、およびトリメチロールプロパンである。
【0039】
ポリエステルオールは、好ましくは、1.8から4の間、好ましくは2~3の官能価、および3480~3000、好ましくは480~3000g/molの数平均分子量を有する。
【0040】
これらはその上、10未満、好ましくは2未満の酸価を呈する。
【0041】
ポリエステルポリオールの生成のために、有機ポリカルボン酸および/または誘導体と、多価アルコールとを、触媒なしで、または好ましくはエステル化触媒の存在下で、有利には不活性ガス、例えば、窒素、一酸化炭素、ヘリウム、またはアルゴンなどの雰囲気において、150~250℃、好ましくは180~220℃の温度の溶融物中、任意に減圧下、好ましくは10未満、特に好ましくは2未満である所望の酸価まで、重縮合することができる。好ましい実施形態では、エステル化混合物を、上述の温度において、80~30、好ましくは40~30の酸価まで、標準圧力下および続いて500mbar未満、好ましくは50~150mbarの圧力下で、重縮合する。例えば、金属、金属酸化物、または金属塩の形態における、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン、およびスズ触媒が、エステル化触媒として好適である。しかしながら、重縮合は、共沸蒸留によって縮合の水を除去するための希釈剤および/または共留剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはクロロベンゼンなどの存在下で、液相中で行うこともできる。ポリエステルポリオールの生成のために、有機ポリカルボン酸および/または誘導体と多価アルコールとは、有利には、1:1~1:8、好ましくは1:1.05~1.2のモル比において重縮合させる。
【0042】
使用される好ましいポリエステルオールは、芳香族ポリエステルオールおよびオレオケミカルポリエステルオールである。オレオケミカルポリオールの例は、とりわけ、M.Ionescu、Chemistry and Technology of Polyols、Rapra、2005年、17.1章に記載されている。ヒドロキシル官能化オレオケミカル化合物、すなわち、オレオケミカルポリオールが、好ましく使用される。使用することができる、複数のヒドロキシル官能化オレオケミカル化合物が存在する。例は、ひまし油、ヒドロキシル基によって改質した油、例えば、ブドウ種子油、ブラッククミン油、カボチャ種子油、ルリジサ種子油、ダイズ油、コムギ胚種油、ナタネ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、杏仁油、ピスタチオ核油、アーモンド油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、イブニングプリムローズ油、ワイルドローズ油、麻油、ベニバナ油、クルミ油、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸、またはセルボンをベースとする、ヒドロキシル基によって改質された脂肪酸エステルである。オレオケミカルポリオールの一実施形態では、ひまし油(トリグリセリド混合物)およびその誘導体を使用する。好ましい誘導体は、アルキレンオキシドまたはケトン-ホルムアルデヒド樹脂との反応生成物である。終わりに挙げた化合物は、例えば、Covestro AGによって、Desmophen(登録商標) 1150の記載のもとで販売されている。使用されるオレオケミカルポリオールのさらに好ましい群は、アルコールとの同時反応を有するエポキシ化脂肪酸エステルの開環、任意にこれに続く、さらなるエステル交換反応によって得ることができる。ヒドロキシル基の油脂への組込みは主として、これらの生成物に含まれるオレフィン性二重結合のエポキシ化によって達成され、形成したエポキシ基と一価または多価アルコールとの反応が続く。エポキシド環はここでヒドロキシル基となり、または多官能価アルコールの場合、多数のOH基を有する構造となる。油脂は大部分がグリセロールエステルであるため、上述の反応には並列エステル交換反応も伴う。このようにして得た化合物は、好ましくは、500から1500g/molの範囲内の分子量を有する。このような生成物は、例えば、BASFによって(Sovermol(登録商標)として)、またはAltropol Kunststoff GmbHによってNeukapol(登録商標)として供給される。
【0043】
高密度ポリウレタンの一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は任意のポリエーテルオールを含み、これは例えば、エポキシド、例えば、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドと、活性水素原子を有する開始剤化合物、例えば、脂肪族アルコール、フェノール、アミン、カルボン酸、水、またはスクロース、ソルビトール、もしくはマンニトールなどの天然物質をベースとする化合物とから、触媒を使用して製造される。ここで、塩基性触媒または二元金属シアン化物触媒、例えば、国際公開第2006/034800(A1)号パンフレット、欧州特許第0090444(B1)号、または国際公開第05/090440(A1)号パンフレットに記載されているものなどを言及することができる。好ましくは、多官能価アルコールと、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドとの反応から得られ、10%未満の、第二級OH基を呈するポリエーテルオールが、成分(ii)に含まれる。
【0044】
加えて、(ii)によるポリオール組成物は、当業者に公知のポリオールタイプ、例えば、ラジカル重合またはアニオン重合ブタジエンをベースとするポリブタジエン、アクリレートポリオール、ポリシロキサンポリオール、マンニッヒ縮合によって得ることができるポリオール、例えばビスフェノールA、レソルシノール、ノボラック、またはメラミンをベースとする、芳香族ポリオールを含むことができる。さらなる可能なものは、ポリテトラヒドロフランもしくはポリカプロラクトン、またはこれらの出発材料からのコポリマーである。さらなる可能なものは、例えばトリオールをベースとするポリマーポリオール、およびポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル、またはポリアクリレート/ポリメタクリレートをベースとする粒子である。これらのポリオールタイプのすべては、例えば、M.Ionescu、Chemistry and Technology of Polyols、Rapra、2005年、67~75ページから公知である。
【0045】
高密度ポリウレタンの一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、任意の連鎖延長剤を含む。連鎖延長剤として、好ましくは450g/mol未満、特に好ましくは60~400g/molの分子量を有する物質が使用され、連鎖延長剤はイソシアネート基と反応する2個の水素原子を呈し、架橋剤はイソシアネート基と反応する3個の水素原子を呈する。これらは好ましくは、個々に、または混合物の形態で使用することができる。好ましくは、400未満、特に好ましくは60~300、特に60~150の分子量を有するジオールおよび/またはトリオールが使用される。開始剤分子として、例えば、2~14個、好ましくは2~10個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、および/または芳香脂肪族のジオール、例えば、モノエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-、1,3-または1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、およびビス(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン(HQEE)、ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリオール、例えば、1,2,4-または1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール、およびトリメチロールプロパン、ならびにヒドロキシル基を含有する低分子量ポリアルキレンオキシドが好適であり、ポリアルキレンオキシドは、エチレンオキシドおよび/または1,2-プロピレンオキシド、ならびに上述のジオールおよび/またはトリオールをベースとする。
【0046】
アミン連鎖延長剤、例えば、ジエチルトルエンジアミン(DEDTA)、m-フェニレンジアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンなどは、さらに好適である。連鎖延長剤として、モノエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ジエチレングリコール、グリセロール、またはこれらの混合物が、特に好ましく使用される。連鎖延長剤および/または架橋剤を使用する場合、連鎖延長剤および/または架橋剤の割合は、ポリオール組成物(ii)の成分の総質量に対して、典型的には1質量%~50質量%、好ましくは2質量%~20質量%である。しかしながら、ここで、連鎖延長剤または架橋剤を省くこともできる。けれども、連鎖延長剤、架橋剤、または任意にやはりこれらの混合物の添加は、機械的特性、例えば硬度を改質するために有利であると判明していることがある。
【0047】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈するポリオールを含み、ポリオール組成物(ii)は、好ましくは、プロピレンオキシド末端基またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含まない。好ましくは、ポリオール組成物(ii)は、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含む。ポリオール組成物(ii)は、より好ましくは、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシド基を呈するポリオール、ならびに/またはプロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシドをベースとするポリオール、ならびに/または第二級OH基を有する連鎖延長剤を含まない。
【0048】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、ポリオール組成物(ii)の総質量に対して好ましくは5質量%~50質量%における、少なくとも1種の反応性希釈剤を含み、少なくとも1種の反応性希釈剤は、好ましくは、少なくとも1個のオレフィン性基を有する物質、好ましくは少なくとも2個のオレフィン性基を有する物質、より好ましくは、少なくとも1個の末端オレフィン性基、より好ましくは少なくとも2個の末端オレフィン性基を有する物質を含む。末端オレフィン性基を有する物質は、好ましくは、アリルエーテル;ビニルエーテル;アクリレート、メタクリレートの群から、より好ましくは、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、およびブタンジオールジアクリレートとブタンジオールジメタクリレートとの混合物;エチレングリコールをベースとするアクリレート、好ましくはオリゴマー性またはポリマー性エチレングリコールアクリレート;プロピレングリコールをベースとするアクリレート、好ましくはプロピレングリコールをベースとするオリゴマー性またはポリマー性アクリレート;ビスフェノールAをベースとするアクリレート、ビスフェノールFをベースとするアクリレート、グリセロール系アクリレート、オリゴマー性グリセロール系アクリレート、トリメチロールプロパン系アクリレート、ジトリメチロールプロパン系アクリレート、ペンタエリスリトール系アクリレート、イソシアヌレート系アクリレート、ヘキサヒドロトリアジン系のアクリレート、およびメタクリレートの群から選択され、いつも少なくとも1個、好ましくは2個以上のアクリレート、メタクリレート、アリルエーテル、またはビニルエーテル基が、より好ましくは、いつも少なくとも1個、より好ましくは2個以上の末端アクリレート、メタクリレート、アリルエーテル、またはビニルエーテル基が含まれる。
【0049】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリウレタンはエポキシ樹脂を、いつもポリオール組成物(ii)の総質量に対して、好ましくは1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~25質量%において含む。
【0050】
低粘度の脂肪族、脂環式、または芳香族エポキシド、およびまたこれらの混合物は、ポリエポキシドとして特によく適している。ポリエポキシドは、エポキシド、例えばエピクロロヒドリンとアルコールとの反応によって製造することができる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、シクロヘキサンジメタノール、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール-ホルムアルデヒドノボラック、ブタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、またはポリエーテルポリオールを、アルコールとして使用することができる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、またはテレフタル酸のグリシジルエステル、およびまたこれらの混合物も、使用することができる。エポキシドは、二重結合を含む有機化合物のエポキシ化によって、例えば、脂肪または油、例えばダイズ油をエポキシ化して、エポキシ化ダイズ油を与えることによって生成することもできる。ポリエポキシドはまた、反応性希釈剤として、単官能価エポキシドも含むことができる。これらは、アルコールとエピクロロヒドリンとの反応によって生成することができ、例えば、C~C18アルコール、クレゾール、またはp-(tert-ブチル)フェノールのモノグリシジルエーテルである。使用することができるさらなるエポキシドは、例えば、Henry LeeおよびKris Nevilleによる「Handbook of Epoxy Resins」、McGraw-Hill Book Company、1967年に記載されている。170~250g/eqの範囲内のエポキシド等価質量、特に好ましくは176~196g/eqの範囲内のエポキシド等価質量を有するビスフェノールAのグリシジルエーテルを使用することが好ましい。エポキシ当量の値は、ASTM D-1652に従って決定することができる。例えば、これについては、Eurepox 710またはEpilox 828を使用することができる。
【0051】
繊維複合材料の一実施形態では、イソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)、好ましくはイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とは、それぞれ、25℃において1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満の粘度を呈し、粘度は、ASTM D445(25℃)に従って決定する。
【0052】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)、好ましくはポリイソシアネート組成物(i)とイソシアネートと反応するすべての基とは、イソシアネート指数が99から400の間、好ましくは100から250の間となる比において使用される。イソシアネート指数は、好ましくは100~399の範囲内、より好ましくは101~249の範囲内である。本発明の文脈において、イソシアネート指数とは、イソシアネート基と、イソシアネートと反応する基との化学量論比に100を乗じたものを意味するものと理解される。イソシアネートと反応する基とは、この関係において、任意の化学発泡剤およびエポキシ基を有する化合物を含むが、イソシアネート基自体を含まない、イソシアネートと反応する反応混合物に含まれるすべての基を意味するものと理解される。イソシアネート指数は、使用した成分の質量%または量、および成分の官能価からの計算によって決定する。先行技術では、一般に、イソシアネート指数が高いと、生成の過程で起こる、イソシアネートと大気中の水分との望ましくない反応のリスクが上昇するというのが、優勢な見解である。そのため、当業者は従来、指数を、開放ワインディング方法における過剰のイソシアネートがないか、最小限のみとなるように選択することになる(イソシアネート指数100~120)。例えば、国際公開第03/085022(A)号パンフレットは、ワインディング方法における120超のイソシアネート指数を開示しており、実施例A9、A10、A11、A12、A13、およびA14はすべて、定量的データのみを含み、加工性および発泡形成に関する詳細はない。国際公開第18/036943(A)号パンフレットには、本発明と同様の化学が記載されており(しかしEO系架橋剤ではなく、支配的なポリオールは第二級OHを有する)、最大200(好ましくは最大110)の範囲内の指数を与えるが、繊維ワインディングの用途に最適化していない。驚くべきことに、本発明によるポリオール組成物では、99から400の間、好ましくは100から250の間という大過剰のイソシアネートの使用が可能になることが見出されている。驚くべきことに、本発明によるポリオール組成物を使用する場合、高い指数に関しては(特に加熱撓み温度に関して)驚くほど改善された特性も得ることができ、高い指数にもかかわらず、加工性/バブルを形成する傾向は驚くほど優れていることを示すことができた。
【0053】
イソシアネート基とエポキシ基との比は、12:1から2:1の間、好ましくは10:1から4:1の間である。
【0054】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)もポリオール組成物(ii)も、ラジカル開始剤および光開始剤を含まない。繊維複合材料の一実施形態では、ラジカル禁止剤が存在する。ラジカル禁止剤として、炭素-炭素二重結合のラジカル重合を停止または遅延させる物質が使用されうる。ラジカル捕捉剤とも呼ばれるラジカル禁止剤は、ビス(トリフルオロメチル)ニトロキシド、アミノキシルラジカル、2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル、および2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イルオキシを含む。好ましいラジカル禁止剤は、フェノチアジン、ニトロベンゼン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p-ベンゾキノン、およびジフェニルピクリルヒドラジルである。好ましい実施形態では、反応混合物は、成分(ii)の総質量に対して、0.0001質量%~2.0質量%、好ましくは0.0005質量%~1.0質量%、特に0.001質量%~0.5質量%のラジカル禁止剤を含む。ラジカル禁止剤は原則的に、成分(i)に、および/または成分(ii)に添加することができる。
【0055】
助剤および/または添加剤(ii.1.4)も、任意に使用することができる。ポリウレタンの生成のために公知であるすべての助剤および添加剤を、ここで使用することができる。例えば、界面活性物質、発泡安定剤、気泡調整剤、脱気剤、脱泡剤、水捕捉剤、付着促進剤、湿潤剤、流動助剤、チキソトロープ剤、剥離剤、可塑剤、薄め液、充填材、染料、顔料、難燃剤、煙形成を抑制するための添加剤、加水分解阻害剤、帯電防止剤、酸化防止剤、UV保護剤、ならびに静真菌物質および静細菌物質を言及することができる。このような物質は公知であり、例えば、「Kunststoffhandbuch,Band 7,Polyurethane」[Plastics Handbook,Volume 7,Polyurethanes]、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、3.4.4章および3.4.6~3.4.11章に記載されている。当業者には、これらの添加剤を、ポリオール組成物に対して0~25質量パーセントの範囲内で使用できることが公知である。
【0056】
繊維複合材料の一実施形態では、発泡剤を添加することなく、高密度ポリウレタンが得られる。本発明の文脈において、生成方法の結果としてポリオールに含まれる少量の発泡剤、例えば水は、ここでは、発泡剤の添加を成すものであると理解されるべきではない。高密度ポリウレタンの生成のための反応混合物は、好ましくは、いつも使用したすべての成分の総質量に対して、0.2質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満の水を含む。任意の助剤および/または添加剤(ii.1.4)は、好ましくは水捕捉剤を含む。
【0057】
添加剤として、従来のポリウレタン触媒を触媒(ii.1.4)として使用することができる。これらは、イソシアネートと反応する水素原子を有する化合物(b)の、ジ-およびポリイソシアネート(a)との反応を大幅に加速する。ポリウレタンの生成に使用することができる従来の触媒として、例えば、アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、または第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチル-、N-エチル-、もしくはN-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ならびにアルカノールアミン化合物、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチルジエタノールアミン、ならびにジメチルエタノールアミンを言及することができる。同じくらい好適であるのは、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)、およびラウリル酸スズ(II)、ならびに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリル酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、および二酢酸ジオクチルスズ、ならびにまたカルボン酸ビスマス、例えば、ネオデカン酸ビスマス(III)、2-エチルヘキサン酸ビスマス、およびオクタン酸ビスマス、またはこれらの混合物である。有機金属化合物は、単独で使用することができ、または好ましくは強塩基性アミンと組み合わせて使用することができる。成分(ii.1.4)がエステルである場合、専らアミン触媒が好ましく使用される。当業者に公知の「潜在的」触媒を使用することもでき、これは、周囲温度においては触媒活性を呈しない、またはわずかにのみ呈し、例えば温度を上昇させることによってのみ活性化するものである。これらの触媒の例は、とりわけ、ドイツ特許公開第102008021980(A1)号または国際公開第2009/115540(A1)号パンフレットに見出される。
【0058】
触媒(ii.1.4)は、触媒または触媒の組合せとして、例えば、成分(ii)の質量に対して、0.001質量%~5質量%、特に0.05質量%~2質量%の濃度で使用することができる。さらに好ましい実施形態では、助剤および添加剤(ii.1.4)は、従来のポリウレタン形成触媒ではない塩基性触媒を含むことができる。これらは、例として、ポリイソシアヌレートの形成を触媒する触媒を含む。ポリイソシアヌレート触媒は、アルカリ金属カルボン酸塩を含む。これらは好ましくは、ギ酸塩および酢酸塩、特に酢酸塩、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、および酢酸セシウムを含む。
【0059】
繊維複合材料の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカルボン酸塩を含む。繊維複合材料の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)は、酸ブロック触媒を含む。
【0060】
さらなるタイプの添加剤(ii.1.4)は脱気剤であるが、これは当業者に公知であり、例えば、Thomas Brock、Michael Groteklaes、およびPeter Mischke:Lehrbuch der Lacktechnologie[Textbook of Paint Technology]、Ulrich Zorll編、第2版、Vincentz Verlag、Hanover、2000年、ISBN 978-3-87870-569-7、2.4.2.1章、Defoamers and Deaerators、169ページ以下に記載されている。さらなる実施形態では、イソシアネートと反応する水素原子を含まないこのような成分(ii.1.4)も、ポリイソシアネート組成物(i)に添加することができる。
【0061】
いくつかの実施形態は、添加剤(ii.1.4)として充填材を含む。充填材の群は、粉砕した鉱物、例えば、金属酸化物、水酸化アルミニウム、ベントナイト、パーライト、フライアッシュ、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウムなど、タルク、マイカ、カオリン、ケイ灰石、石英粉末、ケイソウ土、焼成シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ガラス微小球、中空ガラス微小球、グラファイト、またはすすを含む。生物学的由来の充填材、例えば、木質繊維、木材チップ、タケ繊維、タケチップ、藁、亜麻、またはセルロース繊維なども含まれる。
【0062】
本発明の意味の中で、「ポリウレタン」という用語は、すべての公知のポリイソシアネート付加重合生成物を含む。これらは、イソシアネートとアルコールとの付加生成物、およびまた改質ポリウレタンを含み、イソシアヌレート、アロファン酸エステル、尿素、カルボジイミド、ウレトンイミド、またはビウレット構造、および他のイソシアネート付加生成物を含むことができる。
【0063】
繊維複合材料の一実施形態では、繊維(b)の材料は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、天然繊維、例えば、セルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、ザイロン繊維(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール))、炭化ケイ素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、およびこれらの組合せの群から選択される。より好ましくは、これらは通常、ガラス繊維または炭素繊維である。本発明の文脈において、「繊維」という用語は、好ましくは、個々の繊維またはバンドル化繊維として使用される連続繊維、特にいわゆる「ロービング」の形態、すなわち、本質的に平行に配列されたフィラメント(連続繊維)で作製されたバンドル、ストランド、またはマルチフィラメントヤーンとしての形態の繊維を意味する。ロービングの断面は、好ましくは楕円形または長方形であり、楕円形には円形状も含む。100~10000texの範囲内、好ましくは1000~5000texの範囲内、より好ましくは1500~3000texの範囲内の繊度を有するロービングが、好ましく使用される。繊維を湿潤するための技法は限定されず、一般に公知である。これらは例えば、繊維ワインディング方法、引抜成形方法、手積み積層方法、および好ましくは真空注入方法としての注入方法、ならびにまた繊維噴霧方法を含む。
【0064】
好ましくは、繊維複合材料は、繊維の存在下で反応混合物を反応させて高密度無孔質ポリウレタンを与える、発泡剤の使用を省いた方法からしかるべく得られる、または得ることができる。そのため、繊維複合材料は、好ましくは、繊維ワインディング方法、引抜成形方法、真空注入方法などの注入方法、またはRTM方法、手積み積層方法、プリプレグ方法、およびこれらの方法の2種以上の混合形態からなる群から選択される方法によって生成される。
【0065】
繊維の存在下で反応混合物がわずかに発泡し、次いで、例えば、加圧方法によって圧縮する、または固結させる方法は、より好ましくない。
【0066】
短ガラス繊維または長ガラス繊維、連続繊維、非捲縮布帛、経編み布帛、横編み布帛、編み物布帛、組紐、不織布、マット、例えばランダム分布繊維マット等の使用を補うことができる。この関係において、例えば単方向および/または多方向など、同じまたは異なる繊維配向を有するプライが可能である。
【0067】
繊維複合材料の生成のための方法
本発明はさらに、繊維複合材料の生成のため、特に上に記載した繊維複合材料の生成のための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む、方法に関する。
【0068】
(a)によるポリウレタンは、850g/l以上、好ましくは1000~1500g/lの範囲内(L.J.GibsonおよびM.F.Ashby、Cellular Solids、Cambridge Press、第2版、1997年、54~56ページ)、より好ましくは1000~1300g/lの範囲内の密度を呈する高密度ポリウレタンであり、密度は、DIN EN ISO 1183-1(2019年9月)に準拠して、浮力法を使用して決定する。高密度ポリウレタンの密度に関するすべての情報ではいつも、充填材を考慮せず、純粋なポリウレタン樹脂を指す。下の(ii.1.4)についての以下の説明に準拠して充填材を使用する場合、本発明によるポリウレタンの規定密度は、使用する充填材の量および密度に応じて変化する。
【0069】
一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)であって、少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)が、少なくとも1個の末端アルコキシ基がエチレンオキシドをベースとするアルコキシル化ポリエーテルポリオールである、ポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む。
【0070】
少なくとも1個のアルコキシ基がエチレンオキシドをベースとするアルコキシル化ポリエーテルポリオールとは、末端構造単位-[-O-CH-CH-OH[式中、pは1~6の範囲からの整数である]を含むポリエーテルポリオールを意味する。好ましくは、少なくとも1個の末端アルコキシ基がエチレンオキシドをベースとするアルコキシル化ポリエーテルポリオールとは、末端構造単位-[-O-CHR-CHp’[-O-CH-CH-OH[式中、pは1~6の範囲からの整数であり、p’はゼロまたは1~6の範囲からの整数であり、Rは、p’繰り返し単位のそれぞれについていつも独立に、メチル基およびエチル基から独立に選択される]を含むポリエーテルポリオールを意味する。
【0071】
一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む。
【0072】
ポリイソシアネート組成物(i)、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)、およびまたポリオール組成物(ii)のさらなる成分、ならびにまた繊維(b)に関する詳細または具体的な実施形態は、繊維複合材料自体との関係において上に既に記載されており、ここでしかるべく製造方法に適用される。
【0073】
一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D.1)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させて予備重合ポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、積層体を得る工程、
E)任意の、工程D.1)において生成した積層体を成形する工程であって、この目的のために、工程D.1)において生成した積層体の1個または複数を使用して固結させることができる工程、
F)D.1)による積層体またはE)による成形積層体の硬化を完了させる工程
を含む。
【0074】
一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D.2)ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させて、予備重合ポリウレタン(a)を与える工程、
E)繊維(b)の存在下で、予備重合ポリウレタン(a)を反応させ、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、積層体を得る工程、
F)任意の、工程E)において生成した積層体を成形する工程であって、この目的のために、工程D.1)において生成した積層体の1個または複数を使用して固結させることができる工程、
G)E)による積層体またはF)による成形積層体の硬化を完了させる工程
を含む。
【0075】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、
ii.1.1)3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤
と、
ii.1.2)エチレンオキシドとの、
アルコキシル化触媒(ii.1.3)の存在下における、
ii.1.4)任意に、さらなる助剤および/または添加剤の存在下における
反応によって得られる、または得ることができる。
【0076】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、300mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは300~1400mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1300mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1260mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する。
【0077】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、200g/mol未満、好ましくは50~140g/molの範囲内、より好ましくは55~135g/molの範囲内、より好ましくは60~130g/molの範囲内の等価分子量を呈する。
【0078】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、100質量%のポリオール組成物(ii)の総質量に対して、20質量%~100質量%、より好ましくは25質量%~75質量%、より好ましくは30質量%~50質量%において使用される。
【0079】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、プロピレンオキシドをベースとする末端基および/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈せず、好ましくは、専らエチレンオキシドをベースとする末端基を呈する。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、専らエチレンオキシドをベースとする基を呈し、プロピレンオキシドをベースとする基および/またはブチレンオキシドをベースとする基を含まない。
【0080】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオール開始剤(ii.1.1)は、3の官能価を有するトリオール、好ましくは式(I):
【化3】
[式中、l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数である]のトリオールを含む。好ましくは、式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~3の範囲からの整数であり、好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1である。トリオール(ii.1.1)は好ましくは、200~2000mg KOH/gの範囲内、好ましくは250~1850mg KOH/gの範囲内、より好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する。
【0081】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなるアルキレンオキシドを使用しない。
【0082】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなる開始剤、特にアミン系開始剤を使用しない。
【0083】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、トリオール、好ましくは上に記載した式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II):
【0084】
【化4】
[式中、
l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1であり、
p、q、およびrは、それぞれ互いに独立して、ゼロまたは1~6の範囲からの整数であり、
、X、およびXはそれぞれ、-CH-CH-O-基である]を呈する。
【0085】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、アミン系開始剤をベースとするポリオールを含まない。
【0086】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリウレタン(a)は、アミン系開始剤をベースとするポリオールを使用することなく得ることができる、または得られる。
【0087】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含む。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、1種または複数のさらなるポリオール、好ましくは少なくとも1種のポリエステルポリオール、より好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールを含む。少なくとも1種のポリエステルポリオール、好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールは、好ましくは、2~3の範囲内、より好ましくは2.4~3の範囲内の官能価を呈する。使用されるポリエステルポリオール、または好ましい芳香族ポリエステルポリオールもしくは好ましいオレオケミカルポリオールに関する詳細は、繊維複合材料に関するセクションの冒頭に既に記載されており、そこに記載した詳細が本方法にも適用される。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、プロピレンオキシド末端基またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含まない。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含む。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含まない。
【0088】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリオール組成物(ii)は、少なくとも1種の反応性希釈剤を含み、少なくとも1種の反応性希釈剤は、好ましくは、少なくとも1個のオレフィン性基を有する物質、好ましくは少なくとも2個のオレフィン性基を有する物質、より好ましくは、少なくとも1個の末端オレフィン性基、より好ましくは少なくとも2個の末端オレフィン性基を有する物質を含む。
【0089】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリウレタンはエポキシ樹脂を、いつもポリオール組成物(ii)の総質量に対して、好ましくは1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~25質量%において含む。
【0090】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、イソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)、好ましくはイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とは、それぞれ、25℃において1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満の粘度を呈し、粘度は、ASTM D445(25℃)に従って決定する。
【0091】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)、好ましくはポリイソシアネート組成物(i)とイソシアネートと反応するすべての基とは、イソシアネート指数が99から400の間、好ましくは100から250の間となる比において使用される。イソシアネート指数は、好ましくは100~399の範囲内、より好ましくは101~249の範囲内である。
【0092】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)、ポリオール組成物(ii)、および繊維(b)は別にして、(i)と(ii)とを混合した後、または(b)を添加した後には、さらなる成分を添加しない。
【0093】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)もポリオール組成物(ii)も、ウレタン、尿素、アミド、ビウレット、アロファネート、およびイソシアヌレート基を含まない。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、ポリイソシアネート組成物(i)は、イソシアネートプレポリマーを含む。
【0094】
繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、さらなる助剤および/または添加剤(ii.1.4)を添加し、さらなる助剤および/または添加剤は、好ましくはポリオール組成物(ii)に、より好ましくは、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)に、より好ましくは、さらなる助剤および/または添加剤を含むエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)に含まれ、より好ましくは、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)は、アルコキシル化触媒(ii.1.3)ならびにさらなる助剤および/または添加剤(ii.1.4)の存在下で、3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤(ii.1.1)と、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応によって得られる、または得ることができる。繊維複合材料の生成のための方法の一実施形態では、さらなる助剤および/または添加剤を添加し、さらなる助剤および/または添加剤は好ましくは、イソシアネート組成物(i)に含まれる。さらなる助剤および/または添加剤(ii.1.4)に関するさらなる詳細は、繊維複合材料についての冒頭に既に記載されており、ここで相応に生成方法に適用される。繊維複合材料の一実施形態では、発泡剤を添加することなく、高密度ポリウレタンが得られる。本発明の文脈において、生成方法の結果としてポリオールに含まれる少量の発泡剤、例えば水は、ここでは、発泡剤の添加を成すものであるとは解釈されない。高密度ポリウレタンの生成のための反応混合物は、好ましくは、いつも使用したすべての成分の総質量に対して、0.2質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満の水を含む。任意の助剤および/または添加剤(ii.1.4)は、好ましくは水捕捉剤を含む。
【0095】
繊維複合材料の生成のための方法については、繊維の存在下で反応混合物を反応させて高密度無孔質ポリウレタンを与える、発泡剤の使用を省いた方法が好ましい。そのため、繊維複合材料は、好ましくは、繊維ワインディング方法、引抜成形方法、真空注入方法などの注入方法、またはRTM方法、手積み積層方法、およびこれらの方法の2種以上の混合形態からなる群から選択される方法によって生成される。
【0096】
繊維の存在下で反応混合物がわずかに発泡し、次いで、例えば、加圧方法によって圧縮する、または固結させる方法は、より好ましくない。
【0097】
繊維の存在下で反応混合物を反応させて高密度無孔質ポリウレタンを与える、発泡剤の使用を省いた、繊維複合材料の生成のための方法が好ましい。そのため、繊維複合材料は、好ましくは、繊維ワインディング方法、引抜成形方法、真空注入方法などの注入方法、またはRTM方法、手積み積層方法、プリプレグ方法、およびこれらの方法の2種以上の混合形態からなる群から選択される方法によって生成される。
【0098】
繊維の存在下で反応混合物がわずかに発泡し、次いで、例えば、加圧方法によって圧縮する、または固結させる方法は、より好ましくない。
【0099】
一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、繊維ワインディング方法を使用して、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを含浸浴に計量注入し、これらをここで繊維(b)と接触させ、続いて含浸繊維をワインディングスピンドル、ツール、または部品に配置することによって行われる。
【0100】
含浸浴は、国際公開第19/025439(A1)号パンフレットに従って実行される。浴槽は、供与システムの混合ヘッドに直接連結されており、温度を制御することができる。含浸浴の樹脂容量は、できるだけ少ない樹脂で機能することができ、1分当たり複数回の頻繁な交換が行われるような寸法とする。
【0101】
1分当たりの樹脂消費は、繊維の個数、密度およびtexカウント、所望する繊維体積含有量、樹脂の密度、ならびに繊維が引き出されて浴槽を通る速さから容易に計算することができる。浴槽の幾可学的形状は、樹脂が蓄積しうるデッド・ゾーンが生じないように選択される。その上、洗浄液体または圧縮空気を含浸浴に加える可能性が考慮され、この目的のために含浸浴を分解しなくてよい。
【0102】
一実施形態では、引抜成形方法を使用する繊維複合材料の生成のための方法は、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、反応混合物を閉鎖式含浸装置に計量注入し、その中で反応混合物が連続配向繊維および/または繊維マット(b)と接触し、これを連続的に型を通して引き出し、次いで硬化させることによって行われる。一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、真空注入方法として、例えばRTM方法を使用して、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを少なくとも部分的に排気された型に計量注入し、その中には繊維(b)で作製されたプリフォームが事前に挿入されており、続いて型の中で硬化させることによって行われる。
【0103】
一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材(ポリウレタンプリプレグ)の生成のために行われる。
【0104】
国際公開第2014/170252(A1)号パンフレットによれば、ポリウレタン系プリプレグの生成のためには、潜在的触媒を使用して、高い割合の第二級OH末端基(40~100%)を有するポリオールを使用することが好ましい。国際公開第2014/170252(A1)号パンフレットおよび同2018/219756(A1)号パンフレットによれば、この目的のためには、イソシアネート基を含有するプレポリマーを使用し、これを90℃に加熱し、次いで繊維に含浸させることが有利または必要である。
【0105】
本発明による方法によれば、プリプレグの生成のために、好ましくは、少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオールを使用することができる。この関係において、一実施形態によれば、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、配向繊維(b)と接触させ、続いて部分的に硬化させることができる。一実施形態によれば、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、80℃未満の温度で反応させる。予備反応させた混合物を、次いで配向繊維(b)と接触させ、続いて部分的に硬化させる。両実施形態によれば、最終硬化のために、プリプレグ材料を(任意に、成形し、例えば加圧において、さらなるプリプレグのプライと固結させた後に)150℃に3分~3時間加熱する。
【0106】
本発明による方法は、このとき、例えば、開放含浸浴を使用する場合、またはプリプレグの生成において、長い開放時間(30分超)が要求され、反応材料が比較的長時間にわたって周囲の雰囲気と直接接触する、繊維複合材料のための生成方法が選択される場合、特に有利である。
【0107】
あるいは、繊維複合材料の生成のための方法は、繊維噴霧方法、特に長繊維射出またはSMC方法によって行われる。一実施形態では、繊維複合材料の生成のための方法は、長繊維射出方法を使用して、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、好ましくは混合ヘッドにおいて、切断した繊維(b)を反応混合物に滴らせ、次いで、材料を型および/または支持体に噴霧し、続いてそこで硬化させることによって行われる。一実施形態では、SMC(シートモールディングコンパウンド)の生成のための繊維複合材料の生成のための方法は、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを2枚のキャリアフィルムの少なくとも一方に塗布し、これらを強化繊維と接触させ、2枚のキャリアフィルムを一緒にしてサンドイッチを形成し、これらをローリングすることによって行い、SMCは任意に、切断して積み重ねて、または巻き上げて貯蔵され、SMCパーツの1個または複数は任意に、キャリアフィルムを除去した後、加圧ツールにおいて固結および硬化されて、部品を形成する。
【0108】
本発明はさらに、上に記載した方法によって得られる、または得ることができる繊維複合材料に関する。
【0109】
本発明はさらに、パイプ、特に円錐形パイプ、パイプ連結具、圧力容器、貯蔵タンク、遮蔽材、マスト、条材、ローラー、トーションシャフト、異形材、スポーツ用品のピース、成形パーツ、カバー、自動車外装パーツ、ロープ、ケーブル、アイソグリッド構造、または半完成繊維材製品の生成のために、上に記載した繊維複合材料を使用する方法、または上に記載した方法によって得られる、もしくは得ることができる繊維複合材料を使用する方法に関する。
【0110】
本発明は、対応する戻り参照および他の参照から得られる次の実施形態および実施形態の組合せによって、より詳細に説明されている。特に、実施形態の範囲が言及されるすべての場合において、例えば、「実施形態1から4のいずれかに記載の方法」などの表現の文脈において、この範囲内の各実施形態は、当業者に明白に開示されているとみなされ、すなわち、当業者はこの表現の語句を、「実施形態1、2、3、および4のいずれかに記載の方法」と同義として理解することに留意されたい。その上、次の実施形態のセットは、保護の範囲を決定する請求項のセットではなく、むしろ、本発明の一般的なおよび好ましい態様を対象とする記載の好適に構築されたパーツを構成することに留意されたい。
【0111】
1.次の成分:
a)少なくとも成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物
の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタン、
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含む、繊維複合材料。
【0112】
2.次の成分:
a)少なくとも成分:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物
の反応によって得られる、または得ることができるポリウレタン、
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含む、実施形態1に記載の繊維複合材料。
【0113】
3.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤
と、
ii.1.2)エチレンオキシドとの、
アルコキシル化触媒(ii.1.3)の存在下における、
ii.1.4)任意に、さらなる助剤および/または添加剤の存在下における
反応によって得られる、または得ることができる、実施形態2に記載の繊維複合材料。
【0114】
4.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、300mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは300~1400mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1300mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1260mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する、実施形態2または3に記載の繊維複合材料。
【0115】
5.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、200g/mol未満、好ましくは50~140g/molの範囲内、より好ましくは55~135g/molの範囲内、より好ましくは60~130g/molの範囲内の等価分子量を呈する、実施形態2から4のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0116】
6.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、100質量%のポリオール組成物(ii)の総質量に対して、15質量%~100質量%、好ましくは20質量%~100質量%、より好ましくは25質量%~75質量%、より好ましくは30質量%~50質量%において使用される、実施形態2から5のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0117】
7.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、プロピレンオキシドをベースとする末端基および/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈せず、好ましくは、専らエチレンオキシドをベースとする末端基を呈する、実施形態2から6のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0118】
8.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、専らエチレンオキシドをベースとする基を呈し、プロピレンオキシドをベースとする基および/またはブチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施形態2から7のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0119】
9.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオール開始剤(ii.1.1)が、3の官能価を有するトリオール、好ましくは式(I):
【0120】
【化5】
[式中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、1~6の範囲からの整数である]のトリオールを含む、実施形態2から8のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0121】
10.式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n、およびoが、それぞれ互いに独立して、1~3の範囲からの整数であり、好ましくは、l、m、n、およびoがすべて1である、実施形態9に記載の繊維複合材料。
【0122】
11.トリオール(ii.1.1)が、200~2000mg KOH/gの範囲内、好ましくは250~1850mg KOH/gの範囲内、より好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する、実施形態9または10に記載の繊維複合材料。
【0123】
12.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施形態2から11のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0124】
13.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなる開始剤、特にアミン系開始剤を使用しない、実施形態2から12のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0125】
14.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、トリオール、好ましくは実施形態8から10のいずれかに記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II):
【0126】
【化6】
[式中、
l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1であり、
p、q、およびrは、それぞれ互いに独立して、ゼロまたは1~6の範囲からの整数であり、
、X、およびXはそれぞれ、-CH-CH-O-基である]
を呈する、実施形態2から13のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0127】
15.ポリオール組成物(ii)が、アミン系開始剤をベースとするポリオールを含まない、実施形態1から14のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0128】
16.ポリウレタン(a)が、アミン系開始剤をベースとするポリオールを使用することなく得ることができる、または得られる、実施形態1から15のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0129】
17.ポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含む、実施形態1から16のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0130】
18.ポリオール組成物(ii)が、1種または複数のさらなるポリオール、好ましくは少なくとも1種のポリエステルポリオール、より好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールを含み、少なくとも1種のポリエステルポリオール、好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールが、好ましくは、2~3の範囲内、より好ましくは2.4~3の範囲内の官能価を呈する、実施形態1から17のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0131】
19.ポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈するポリオールを含み、ポリオール組成物(ii)が、好ましくは、プロピレンオキシド末端基またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含まない、実施形態1から18のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0132】
20.ポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含む、実施形態1から19のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0133】
21.ポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含まず、かつ/またはポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシドをベースとするポリオールを含まない、実施形態1から20のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0134】
22.ポリオール組成物(ii)が、好ましくはポリオール組成物(ii)の総質量に対して5質量%~50質量%における、少なくとも1種の反応性希釈剤を含み、少なくとも1種の反応性希釈剤が、好ましくは、少なくとも1個のオレフィン性基を有する物質、好ましくは少なくとも2個のオレフィン性基を有する物質、より好ましくは、少なくとも1個の末端オレフィン性基、より好ましくは少なくとも2個の末端オレフィン性基を有する物質を含む、実施形態1から21のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0135】
23.ポリウレタンがエポキシ樹脂を含む、実施形態1から22のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0136】
24.ポリウレタンがエポキシ樹脂を、いつもポリオール組成物(ii)の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~25質量%において含む、実施形態23に記載の繊維複合材料。
【0137】
25.イソシアネート組成物(i)が、25℃において1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満の粘度(ASTM D445(25℃))を呈する、実施形態1から24のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0138】
26.ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)、好ましくはポリイソシアネート組成物(i)とイソシアネートと反応するすべての基とが、イソシアネート指数が99から400の間、好ましくは100から250の間となる比において使用される、実施形態1から25のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0139】
27.ポリイソシアネート組成物(i)もポリオール組成物(ii)も、ラジカル開始剤または光開始剤を含まない、実施形態1から26のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0140】
28.ポリイソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカルボン酸塩を含む、実施形態1から27のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0141】
29.ポリイソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)が、酸ブロック触媒を含む、実施形態1から28のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0142】
30.ポリオール組成物(ii)の粘度が、1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満(ASTM D445(25℃))である、実施形態1から29のいずれかに記載の繊維複合材料。
【0143】
31.繊維複合材料の生成のため、特に実施形態1から30のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む、方法。
【0144】
32.実施形態31に記載の繊維複合材料の生成のため、特に実施形態1から30のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む、方法。
【0145】
33.実施形態32に記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D.1)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させて予備重合ポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、積層体を得る工程、
E)任意の、工程D.1)において生成した積層体を成形する工程であって、この目的のために、工程D.1)において生成した積層体の1個または複数を使用して固結させることができる工程、
F)D.1)による積層体またはE)による成形積層体の硬化を完了させる工程
を含む、方法。
【0146】
34.実施形態32に記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を準備する工程、
B)少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも30質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)を含むポリオール組成物(ii)を準備する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D.2)ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させて、予備重合ポリウレタン(a)を与える工程、
E)繊維(b)の存在下で、予備重合ポリウレタン(a)を反応させ、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、積層体を得る工程、
F)任意の、工程E)において生成した積層体を成形する工程であって、この目的のために、工程D.1)において生成した積層体の1個または複数を使用して固結させることができる工程、
G)E)による積層体またはF)による成形積層体の硬化を完了させる工程
を含む、方法。
【0147】
35.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤
と、
ii.1.2)エチレンオキシドとの、
アルコキシル化触媒(ii.1.3)の存在下における、
ii.1.4)任意に、さらなる助剤および/または添加剤の存在下における
反応によって得られる、または得ることができる、実施形態32から34のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0148】
36.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、300mg KOH/g超、好ましくは450mg KOH/g超のヒドロキシル価、より好ましくは300~1400mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1300mg KOH/gの範囲内、より好ましくは450~1260mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する、実施形態32から35のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0149】
37.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、200g/mol未満、好ましくは50~140g/molの範囲内、より好ましくは55~135g/molの範囲内、より好ましくは60~130g/molの範囲内の等価分子量を呈する、実施形態32から36のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0150】
38.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、100質量%のポリオール組成物(ii)の総質量に対して、15質量%~100質量%、好ましくは20質量%~100質量%、より好ましくは25質量%~75質量%、より好ましくは30質量%~50質量%において使用される、実施形態32から37のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0151】
39.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、プロピレンオキシドをベースとする末端基および/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を呈せず、好ましくは、専らエチレンオキシドをベースとする末端基を呈する、実施形態32から38のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0152】
40.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、専らエチレンオキシドをベースとする基を呈し、プロピレンオキシドをベースとする基および/またはブチレンオキシドをベースとする基を含まない、実施形態32から39のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0153】
41.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオール開始剤(ii.1.1)が、3の官能価を有するトリオール、好ましくは式(I):
【化7】
[式中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、1~6の範囲からの整数である]のトリオールを含む、実施形態32から40のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0154】
42.式(I)の少なくとも1種のトリオール(ii.1.1)のl、m、n、およびoが、それぞれ互いに独立して、1~3の範囲からの整数であり、好ましくは、l、m、n、およびoがすべて1である、実施形態41に記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0155】
43.トリオール(ii.1.1)が、200~2000mg KOH/gの範囲内、好ましくは250~1850mg KOH/gの範囲内、より好ましくは300~1850mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を呈する、実施形態41または42に記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0156】
44.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなるアルキレンオキシドを使用しない、実施形態32から43のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0157】
45.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成し、さらなる開始剤、特にアミン系開始剤を使用しない、実施形態32から44のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0158】
46.エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、トリオール、好ましくは実施形態8から10のいずれかに記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II):
【化8】
[式中、
l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1であり、
p、q、およびrは、それぞれ互いに独立して、ゼロまたは1~6の範囲からの整数であり、
、X、およびXはそれぞれ、-CH-CH-O-基である]
を呈する、実施形態32から45のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0159】
47.ポリオール組成物(ii)が、アミン系開始剤をベースとするポリオールを含まない、実施形態31から46のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0160】
48.ポリウレタン(a)が、アミン系開始剤をベースとするポリオールを使用することなく得ることができる、または得られる、実施形態31から47のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0161】
49.ポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含む、実施形態31から48のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0162】
50.ポリオール組成物(ii)が、1種または複数のさらなるポリオール、好ましくは少なくとも1種のポリエステルポリオール、より好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールを含み、少なくとも1種のポリエステルポリオール、好ましくは芳香族ポリエステルポリオールまたはオレオケミカルポリオールが、好ましくは、2~3の範囲内、より好ましくは2.4~3の範囲内の官能価を呈する、実施形態31から49のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0163】
51.ポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシド末端基またはブチレンオキシド末端基を呈するポリオールを含まない、実施形態31から48のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0164】
52.ポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含む、実施形態31から51のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0165】
53.ポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド基を呈するポリオールを含まない、実施形態31から52のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0166】
54.ポリオール組成物(ii)が、少なくとも1種の反応性希釈剤を含み、少なくとも1種の反応性希釈剤が、好ましくは、少なくとも1個のオレフィン性基を有する物質、好ましくは少なくとも2個のオレフィン性基を有する物質、より好ましくは、少なくとも1個の末端オレフィン性基、より好ましくは少なくとも2個の末端オレフィン性基を有する物質を含む、実施形態31から53のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0167】
55.ポリウレタンがエポキシ樹脂を含む、実施形態31から54のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0168】
56.ポリウレタンがエポキシ樹脂を、いつもポリオール組成物(ii)の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~25質量%において含む、実施形態55に記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0169】
57.イソシアネート組成物(i)および/またはポリオール組成物(ii)、好ましくはイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とが、それぞれ、25℃において1000mPa・s未満、好ましくは500mPa・s未満の粘度(ASTM D445(25℃))を呈する、実施形態31から56のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0170】
58.ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)、好ましくはポリイソシアネート組成物(i)とイソシアネートと反応するすべての基とが、イソシアネート指数が99から400の間、好ましくは100から250の間となる比において使用される、実施形態31から57のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0171】
59.(i)、(ii)、および繊維(b)は別にして、(i)と(ii)とを混合した後、または(b)を添加した後には、さらなる成分を添加しない、実施形態31から58のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0172】
60.(i)も(ii)も、ウレタン、尿素、アミド、ビウレット、アロファネート、またはイソシアヌレート基を含まない、実施形態31から59のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0173】
61.(i)がイソシアネートプレポリマーを含む、実施形態31から60のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0174】
62.さらなる助剤および/または添加剤を添加し、さらなる助剤および/または添加剤が、好ましくはポリオール組成物(ii)に、より好ましくは、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)に、より好ましくは、さらなる助剤および/または添加剤を含むエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)に含まれ、より好ましくは、エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、アルコキシル化触媒(ii.1.3)ならびにさらなる助剤および/または添加剤(ii.1.4)の存在下で、3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤(ii.1.1)と、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応によって得られる、または得ることができる、実施形態31から61のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0175】
63.さらなる助剤および/または添加剤を添加し、さらなる助剤および/または添加剤が好ましくは、イソシアネート組成物(i)に含まれる、実施形態31から62のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0176】
64.繊維ワインディング方法を使用し、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを含浸浴に計量注入し、これらをここで繊維(b)と接触させ、続いて含浸繊維をワインディングスピンドル、ツール、または部品に配置することによる、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0177】
65.長繊維射出方法を使用し、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、好ましくは混合ヘッドにおいて、切断した繊維(b)を反応混合物に滴らせ、次いで、材料を型および/または支持体に噴霧し、続いてそこで硬化させることによる、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0178】
66.繊維噴霧方法を使用し、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、反応混合物を繊維と接触させ、続いてこれを硬化させることによる、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0179】
67.引抜成形方法を使用して、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、反応混合物を閉鎖式含浸装置に計量注入し、その中で反応混合物が連続配向繊維および/または繊維マット(b)と接触し、これを連続的に型を通して引き出し、次いで硬化させることによる、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0180】
68.RTM方法を使用して、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを少なくとも部分的に排気された型に計量注入し、その中には繊維(b)で作製されたプリフォームが事前に挿入されており、続いて型の中で硬化させることによる、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法。
【0181】
69.SMC(シートモールディングコンパウンド)の生成のための、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを2枚のキャリアフィルムの少なくとも一方に塗布し、これらを強化繊維と接触させ、2枚のキャリアフィルムを一緒にしてサンドイッチを形成し、これらをローリングすることによる方法であり、SMCが任意に、切断して積み重ねて、または巻き上げて貯蔵され、SMCパーツの1個または複数が任意に、キャリアフィルムを除去した後、加圧ツールにおいて固結および硬化されて、部品を形成する、方法。
【0182】
70.ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材(ポリウレタンプリプレグ)の生成のための、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを配向繊維(b)と接触させ、続いて部分的に硬化させることによる、方法。
【0183】
71.ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材(ポリウレタンプリプレグ)の生成のための、実施形態31から63のいずれかに記載の繊維複合材料の生成のための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを80℃未満の温度で重合し、続いて配向繊維(b)と接触させることによる、方法。
【0184】
72.実施形態31から71のいずれかに記載の方法によって得られる、または得ることができる、繊維複合材料。
【0185】
73.パイプ、特に円錐形パイプ、パイプ連結具、圧力容器、貯蔵タンク、遮蔽材、マスト、条材、ローラー、トーションシャフト、異形材、スポーツ用品のピース、成形パーツ、カバー、自動車外装パーツ、ロープ、ケーブル、アイソグリッド構造、または半完成繊維材製品の生成のために、実施形態1から30のいずれかに記載の繊維複合材料、または実施形態31から71のいずれかに記載の方法によって得られる、もしくは得ることができる繊維複合材料を使用する方法。
【0186】
次の実施例は、本発明を説明する役割を果たすが、本発明の主題事項について限定するものでは決してない。
【0187】
実施例
1.化学物質
【0188】
【表1】
【0189】
2.試験方法
DIN ISO 7619-1に準拠したショアD硬度試験
DIN EN ISO 178に準拠した3点曲げ試験
DIN EN ISO 527に準拠した引張強さ
DIN EN ISO 527に準拠した破断伸び
DIN EN ISO 179-1/1fUに準拠したシャルピー衝撃強さ(フラットワイズ)
加熱撓み温度:HDT-B-f、DIN EN ISO 75に準拠した0.45MPaにおけるフラットワイズ
ヒドロキシル価(OH価、OHN):DIN 53240
エポキシ基の含有量:SMS 2026
粘度:ASTM D445(25℃)
収縮率:ポリオールとイソシアネートとを周囲温度において混合し、反応混合物を、1000mm×20mm×10mmの寸法を有する金属型に注ぐ。過剰の材料は、ドクターブレードを用いて除去する。反応混合物を、80℃において1時間、および120℃において2時間硬化させる。周囲温度に冷却した後、パーツを型から取り出す。試験条材の長さを、型の長さと比較する。
【0190】
3.機械的特性の決定のためのポリウレタン試験パネルの生成(実施例1~5および比較例1~3)
実施例1~5および比較例1~3のポリウレタンの組成は、表1に示す通り。イソシアネートを別としたすべての出発材料(通常バッチサイズ:300gのポリオール組成物)を周囲温度において真空下で混合し、次いで、イソシアネートを添加した後、Speedmixer(FA Hauschild)において60秒混合した。続いて、反応混合物を20×30×0.4cmまたは20×30×0.2cmの金属型に注いだ後、ドクターブレードを用いて過剰の樹脂を掻き落とし、80℃において1時間、次いで120℃において2時間、および180℃において2時間硬化させた。続いて、周囲温度において1週間貯蔵した後の材料から、試験供試体をミル粉砕した。
【0191】
4.80%大気湿度においてバブルを形成する傾向を決定するための、繊維ワインディング方法(フィラメントワインディング方法)による、ポリウレタンおよびガラス繊維からの繊維複合材料の生成(実施例1~5および比較例1~3)
実施例1~5および比較例1~3のポリウレタンの組成は、表1に示す通り。抜取りシステムを有する筐体内に設置された、従来の繊維ワインディングシステム(フィラメントワインディングシステム)を使用した。空気加湿器によって、筐体内を所望の大気湿度に設定することができた。筐体内部に取り付けられた、連続ガラス繊維を有するボビンを使用した。ガラス繊維を誘導して、また満たしていない含浸浴を通し、次いで、巻取りヘッドによってマンドレルに巻き取った。マンドレルは、回転装置に両端をクランプした。含浸浴および巻取りヘッドをキャリッジに設置し、これによって、マンドレルの長さにわたって、繊維を巻き取ることができる。キャリッジの動き、マンドレルの回転、およびマンドレル上の繊維の意図する巻取り角度を、時間の関数としてプログラムし、次いで、ワインディングソフトウェアによって制御した。使用したガラス繊維は、3B製のSE3030ガラス繊維(ホウ素不含ガラス繊維、17μmフィラメント直径、tex2400(g/km))であった。選択したワインディングパターンは、2層の周方向プライ、1層のプライ±45°、および2層の周方向プライであった。試験は、25℃の温度かつ85%の大気湿度において行った。樹脂含浸浴を20℃に加熱した。試験の開始時に、イソシアネートを別としたすべての出発材料(通常バッチサイズ:100gのポリオール組成物)を、周囲温度において混合し、その後、イソシアネートを添加し、Speedmixer(FA Hauschild)において60秒混合を行った。続いて、材料を含浸浴に投入した。次いで、樹脂含浸ロービングをマンドレルに巻き取ってそこに固定することができるまで、ローブ(ロービング)を手動で引き出した。次いで、ワインディングプログラムを開始し、ポリウレタン含浸ガラス繊維の複数のプライを、マンドレルに巻き取った。ワインディング方法の終わりにガラス繊維を切断し、筐体内で周囲温度において1時間、材料を放置して硬化させた。続いて、80℃において1時間、および120℃において2時間の硬化を行った。
【0192】
部品表面の質を視覚的に評価した。
1:マイクロバブルのない平滑な表面
2:わずかなマイクロバブルを有する、比較例平滑な表面
3:多数のマイクロバブル
4:粗い、泡状の部品表面
5:1mm超の直径を有する多くの空気バブル、白色、泡状の部品表面
【0193】
【表2】
【0194】
少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール、特にエトキシル化トリオール、すなわち、反応性第一級ヒドロキシル基を呈するポリオールを使用すると、ワインディング試験において、望まれないバブルの形成の回避について、より有意に良好な結果を生じることを示すことができた。少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基、好ましくは3個の第一級ヒドロキシル基を呈する少なくとも三官能価のアルコール、または少なくとも15質量%のエトキシル化ポリオールをベースとするポリウレタンは、ワインディング試験において、85%という高い大気湿度にもかかわらず、バブルの形成をまったく示さないか、最大でも非常にわずかであったが、一方、プロポキシル化ポリオールまたは15質量%未満の上述のポリオールを使用すると、発泡をもたらし、すなわち、望ましくないバブルを形成した。実施例および比較例は、ワインディング方法におけるより良好な加工性に加えて、検討した機械的特性のすべてについて、特に衝撃強さについて、利点があることを示している。
【0195】
驚くべきことに、高いイソシアネート指数を使用できることも示すことができた。当業者は従来、指数を、開放ワインディング方法における過剰のイソシアネートがないか、最小限のみとなるように選択することになった(イソシアネート指数100~120)。一般に、イソシアネート指数が高いと、生成中に起こる、イソシアネートと大気中の水分との望ましくない反応のリスクが上昇すると考えられている。驚くべきことに、本発明によるポリオール組成物では、大過剰のイソシアネート(99から400の間、好ましくは100から250の間の指数)の使用が可能になることが見出されている。
【0196】
実施例および比較例は、本発明によるポリオール組成物を使用する場合、高い指数に関しては(特に加熱撓み温度に関して)驚くほど改善された特性も得られ、驚くべきことに、高い指数にもかかわらず、加工性/バブルを形成する傾向が優れていることを示している。
【0197】
引用文献
WO 03/085022 A1
WO 2016/183073 A1
M. Ionescu, Chemistry and Technology of Polyols, Rapra, 2005, pp 67-75 WO 18/036943 A
WO 19/025439 A1
“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane” [Plastics Handbook, Volume 7, Polyurethanes], Carl Hanser Verlag, 3rd Edition, 1993, Chapters 3.4.4 and 3.4.6 to 3.4.11
DE 102008021980 A1
WO 2009/115540 A1
Thomas Brock, Michael Groteklaes and Peter Mischke: Lehrbuch der Lacktechnologie [Textbook of Paint Technology], Ed.: Ulrich Zorll, 2nd Edition, Vincentz Verlag, Hanover, 2000, ISBN 978-3-87870-569-7, Chap. 2.4.2.1, Defoamers and Deaerators, pp 169 et seq.
“Handbook of Epoxy Resins” by Henry Lee and Kris Neville, McGraw-Hill Book Company, 1967
WO 2014/170252 A1
WO 2018/219756 A1
L.J. Gibson and M.F. Ashby, Cellular Solids, Cambridge Press, 2nd Edition, 1997, pages 54-56
【手続補正書】
【提出日】2021-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分a)およびb):
a)少なくとも以下の成分i)およびii)の反応によって得られるかまたは得ることができるポリウレタン:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を有する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)と、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を有するポリオールとを含むポリオール組成物;
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維;
を含む、繊維複合材料であって、
ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)が、イソシアネート指数が99~400の間の比となるように使用される、繊維複合材料。
【請求項2】
以下の成分a)およびb):
a)少なくとも以下の成分i)およびii)の反応によって得られるかまたは得ることができるポリウレタン:
i)ポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも15質量%のエトキシル化ポリエーテルオール(ii.1)を含むポリオール組成物;
b)少なくとも部分的に高密度ポリウレタンに埋め込まれた繊維
を含む、請求項1に記載の繊維複合材料。
【請求項3】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、
ii.1.1)3~6、好ましくは3または4の官能価を有するポリオール開始剤および
ii.1.2)エチレンオキシドを
アルコキシル化触媒(ii.1.3)、場合により更なる
ii.1.4)助剤および/または添加剤の存在下で反応させて得られるかまたは得ることができる、請求項2に記載の繊維複合材料。
【請求項4】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、プロピレンオキシドをベースとする末端基および/もしくはブチレンオキシドをベースとする末端基を有さず、好ましくは、エチレンオキシドをベースとする末端基のみを有し、かつ/またはエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、エチレンオキシドをベースとする基のみを有し、プロピレンオキシドをベースとする基および/もしくはブチレンオキシドをベースとする基を含まない、請求項2または3に記載の繊維複合材料。
【請求項5】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)のポリオール開始剤(ii.1.1)が、3の官能価を有するトリオール、好ましくは式(I):
【化1】
[式中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、1~6の範囲からの整数である]のトリオールを含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項6】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に請求項3に記載の式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成され、さらなるアルキレンオキシドを使用せず、かつ/またはエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、ポリオール開始剤(ii.1.1.)、特に式(I)のトリオールと、エチレンオキシド(ii.1.2)との反応のみによって生成され、さらなる開始剤、特にアミン系開始剤を使用しない、請求項2から5のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項7】
エトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)が、トリオール、好ましくは請求項3または4に記載の式(I)のトリオール(ii.1.1)をベースとし、より好ましくは式(II):
【化2】
[式中、
l、m、n、およびoは、それぞれ互いに独立して、1~6の範囲からの整数であり、より好ましくは、l、m、n、およびoはすべて1であり、
p、q、およびrは、それぞれ互いに独立して、0または1~6の範囲からの整数であり、
、X、およびXは、それぞれ、-CH-CH-O-基である]
を有する、請求項2から6のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項8】
ポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシド末端基もしくはブチレンオキシド末端基を有するポリオールを含まない、かつ/またはポリオール組成物(ii)が、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシド基を有するポリオールを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項9】
ポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシド基を有するポリオールを含まず、かつ/またはポリオール組成物(ii)が、プロピレンオキシドおよび/もしくはブチレンオキシドをベースとするポリオールを含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の繊維複合材料。
【請求項10】
繊維複合材料を生成するための方法、特に請求項1から9のいずれか一項に記載の繊維複合材料を生成するための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を提供する工程、
B)少なくとも15質量%の、少なくとも2個の第一級ヒドロキシル基を有する少なくとも三官能価のアルコール(ii.1)と、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を有するポリオールとを含むポリオール組成物(ii)を提供する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含み、
ポリイソシアネート組成物(i)およびポリオール組成物(ii)が、イソシアネート指数が99~400の間の比となるように使用される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の繊維複合材料を生成するための方法であって、
A)ポリイソシアネート組成物(i)を提供する工程、
B)少なくとも15質量%のエトキシル化ポリエーテルポリオール(ii.1)と、10質量%未満の、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドをベースとする末端基を有するポリオールとを含むポリオール組成物(ii)を提供する工程、
C)ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合して、ポリウレタン反応混合物(a’)を得る工程、
D)繊維(b)の存在下で、ポリウレタン反応混合物(a’)を反応させてポリウレタン(a)を与え、繊維(b)が、少なくとも部分的にポリウレタン反応混合物(a’)またはポリウレタン(a)に埋め込まれ、繊維複合材料を得る工程
を含む、方法。
【請求項12】
ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材(ポリウレタンプリプレグ)の生成のための、請求項10または11に記載の繊維複合材料を生成するための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを配向繊維(b)と接触させ、続いて部分的に硬化させることによる、方法。
【請求項13】
ポリウレタンを予備含浸させた繊維または繊維材を生成することを目的とする、請求項10または11に記載の繊維複合材料を生成ための方法であって、ポリイソシアネート組成物(i)とポリオール組成物(ii)とを混合し、これらを80℃未満の温度で重合し、続いて配向繊維(b)と接触させることによる、方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる、繊維複合材料。
【請求項15】
パイプ、特に円錐形パイプ、パイプ連結具、圧力容器、貯蔵タンク、遮蔽材、マスト、条材、ローラー、トーションシャフト、異形材、スポーツ用品のピース、成形パーツ、カバー、自動車外装パーツ、ロープ、ケーブル、アイソグリッド構造、または半完成繊維材製品の生成のために、請求項1から9のいずれか一項に記載の繊維複合材料または請求項10から13のいずれか一項に記載の方法によって得られるかまたは得ることができる繊維複合材料を使用する方法。
【国際調査報告】