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特表2022-548171高度回路アーキテクチャのための高密度ロジック及びメモリの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】高度回路アーキテクチャのための高密度ロジック及びメモリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517254
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020043192
(87)【国際公開番号】W WO2021055098
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/901,591
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/854,340
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,マーク アイ.
(72)【発明者】
【氏名】フルフォード,エイチ.ジム
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】リーブマン,ラース
(72)【発明者】
【氏名】チャネムゲーム,ダニエル
(57)【要約】
本明細書の技術は、高度回路アーキテクチャ用の高密度ロジック及びメモリを製造するための方法を含む。本方法は、別個の基板上に多層スタックを形成し、多層スタック上に接合膜を形成し、次いで、接合膜を接触させ接合させて、多層スタックのそれぞれを含む組み合わせ構造を形成することを含み得る。本方法を繰り返して、追加の組み合わせを形成することができる。反復の間に、組み合わせ構造からトランジスタデバイスが形成され得る。イオン化された原子の注入は、追加の多層の成長を目的とした基板の劈開を容易にすることができ、アニールが、イオン化された原子の注入の所定の侵入深さにおいて基板を脆弱化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造する方法であって、
第1の基板の第1の表面上に第1の多層スタックを形成するステップであって、前記第1の基板は、前記第1の基板の前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、前記第1の多層スタックは、第1の材料と第2の材料との交互の層を含む、ステップと;
第2の基板の第2の表面上に第2の多層スタックを形成するステップであって、前記第2の基板は、前記第2の基板の前記第2の表面とは反対側の第1の表面を有し、前記第2の多層スタックは、第3の材料と第4の材料との交互の層を含む、ステップと;
イオン化された原子を前記第2の基板の前記第1の表面の所定の深さまで注入するステップと;
前記第1の多層スタックの上面の上に第1の接合膜を形成し、前記第2の多層スタックの上面の上に第2の接合膜を形成するステップと;
前記第1の接合膜が前記第2の接合膜と接触するように、前記第1の基板を前記第2の基板に整列させるステップと;
前記第1の基板及び前記第2の基板にアニールを実施して、前記第1の接合膜を前記第2の接合膜に接合させ、組み合わせ構造を形成するステップであって、前記アニールは、さらに、ほぼ前記注入の前記所定の深さにおいて、前記第2の基板の一部分を脆弱化させる、ステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記イオン化された原子は、12未満の原子番号を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イオン化された原子を注入するステップは、第1のタイプのイオン化された原子を注入するステップと、第2のタイプの粒子を注入するステップとを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタイプのイオン化された原子は、H、H、He、及びホウ素からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料及び前記第3の材料はシリコンであり、前記第2の材料及び前記第4の材料はSiGeである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の接合膜を形成するステップ、及び前記第2の接合膜を形成するステップは、酸化物堆積プロセスを実施するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の接合膜及び前記第2の接合膜は、それぞれ、30オングストローム~300オングストロームの厚さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の接合膜を形成し、前記第2の接合膜を形成するステップは、液体化学物質を使用して、前記第1の多層スタックの前記上面をクリーニングし、前記第2の多層スタックの前記上面をクリーニングして、化学酸化膜を形成するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記化学酸化膜は、5オングストローム~30オングストロームの厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の接合膜を形成し、前記第2の接合膜を形成するステップは、前記クリーニングの後に、前記化学酸化膜上に酸化物層を堆積させるための酸化物堆積プロセスを実施し、その結果、前記多層スタックのそれぞれの上に2層の酸化物を形成するステップを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の多層スタック及び前記第2の多層スタックは、それぞれ、少なくとも4層を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
前記第1の接合膜上に第1の炭素含有接合膜を形成するステップと;
前記第2の接合膜上に第2の炭素含有接合膜を形成するステップと、
を有し、
前記第1の基板を前記第2の基板に整列させるステップは、前記第1の炭素含有接合膜を前記第2の炭素含有接合膜に接触させるステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記第2の基板の前記脆弱化された部分を除去するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記脆弱化された部分を除去した後に、前記第2の基板の劈開された厚さを所定の厚さに低減させるステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の基板の前記劈開された厚さは、60nm未満に低減されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
第3の基板の第1の表面上に第3の多層スタックを形成するステップであって、前記第3の基板は、前記第3の基板の前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、前記第3の多層スタックは、前記第3の材料と前記第4の材料との交互の層を含む、ステップと;
前記組み合わせ構造の前記第2の基板上に第4の多層スタックを形成するステップであって、前記第4の多層スタックは、前記第1の材料と前記第2の材料との交互の層を備え、前記層のそれぞれは、厚さ低減後に前記第2の基板の前記脆弱化された部分を除去することにより形成された表面から始まるエピタキシャル成長により形成される、ステップと;
前記第3の多層スタックの上面の上に第3の接合膜を形成し、前記第4の多層スタックの上面の上に第4の接合膜を形成するステップと;
前記第3の接合膜が前記第4の接合膜に接触するように、前記第3の基板を前記組み合わせ構造に整列させるステップと;
前記組み合わせ構造及び前記第3の基板にアニールを実施して、前記第3の接合膜を前記第4の接合膜に接合させ、その結果、前記第3の基板を前記組み合わせ構造の一部にするステップと、
を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記第3の多層スタックの前記上面に前記第3の接合膜を形成する前に、前記第3の基板の前記第1の表面にイオン化された原子を前記所定の深さまで注入するステップ、を有し、
前記組み合わせ構造及び前記第3の基板への前記アニールは、また、ほぼ前記注入の前記所定の深さにおいて、前記第3の基板の一部分を脆弱化させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、
前記第3の基板の前記脆弱化された部分を除去するステップと;
前記脆弱化された部分を除去した後、前記第3の基板の劈開された厚さを所定の厚さに低減させるステップと、
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
半導体デバイスを製造する方法であって、
第1の基板の第1の表面上に第1の多層スタックを形成するステップであって、前記第1の基板は、前記第1の基板の前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、前記第1の多層スタックは、第1の材料と第2の材料との交互の層を含み、前記第1の多層スタックは、エピタキシャル成長された少なくとも6層を含む、ステップと;
第2の基板の第2の表面上に第2の多層スタックを形成するステップであって、前記第2の基板は、前記第2の基板の前記第2の表面と反対側の第1の表面を有し、前記第2の多層スタックは、第3の材料と第4の材料との交互の層を含み、前記第2の多層スタックは、エピタキシャル成長された少なくとも6層を含む、ステップと;
イオン化された原子を前記第2の基板の前記第1の表面の所定の深さまで注入するステップと;
前記第1の多層スタックの上面の上に第1の接合膜を形成し、前記第2の多層スタックの上面の上に第2の接合膜を形成するステップと;
前記第1の接合膜が前記第2の接合膜と接触するように、前記第1の基板を前記第2の基板に整列させるステップと;
前記第1の基板及び前記第2の基板にアニールを実施して、前記第1の接合膜を前記第2の接合膜に接合させ、組み合わせ構造を形成するステップであって、前記アニールは、また、ほぼ前記注入の前記所定の深さにおいて、前記第2の基板の一部分を脆弱化させる、ステップと;
前記第2の基板の前記脆弱化された部分を除去するステップと;
前記組み合わせ構造から少なくとも1つのトランジスタデバイスを形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項20】
さらに、前記第2の基板の前記脆弱化された部分を除去した後に、前記第2の基板の残部を薄膜化して前記第2の基板の前記残部を完全に除去し、前記第1の多層スタックと前記第2の多層スタックとを組み合わせたものを露出させるステップを有する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2019年9月17日に出願された米国仮特許出願第62/901,591号明細書、及び2020年4月21日に出願された米国特許出願第16/854,340号明細書の優先権の利益を主張するものであり、それら全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
本開示は、特に高密度ロジック及びメモリ形成のための、集積回路及びマイクロエレクトロニクスデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的としている。この背景技術の項で説明される範囲における本発明者の研究、並びに出願時に先行技術として認定されていないかもしれない記載の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められない。
【0004】
半導体デバイスの、例えば特にマイクロスケール又はナノスケールでの製造では、膜形成堆積、エッチングマスク形成、パターニング、材料エッチング及び除去、並びにドーピング処理などの様々な製作プロセスが行われる。これらのプロセスは繰り返し実行されて、所望の半導体デバイス要素が基板上に形成される。微細加工では、トランジスタは、能動デバイス平面の上に形成される配線/メタライゼーションと共に、1つの平面内に作製され、したがって2次元(2D)回路又は2D製作として特徴付けられている。スケーリングの取り組みにより、2D回路内の単位面積当たりのトランジスタ数は、大幅に増加したものの、スケーリングが1桁のナノメートルの半導体デバイス製作ノードに入るにつれて、スケーリングの取り組みは、より大きい課題に直面している。半導体デバイス製造業者は、トランジスタが互いの上に積層されている3次元(3D)半導体回路に対する要望を表明している。
【0005】
3D集積化は、半導体のスケーリングを継続するための実現可能な選択肢であると見なされている。製造ばらつきと静電的なデバイス限界とに起因して、コンタクテッドゲートピッチがそのスケーリング限界に達すると、2Dトランジスタ密度スケーリングが停止する。
【0006】
3D集積化、すなわち複数デバイスの垂直積層は、面積ではなく体積におけるトランジスタ密度を増加させることによって、これらのスケーリング限界を克服することを目的とする。例えばCPU又はGPU製品において使用される、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の超大規模集積回路(VLSI)スケーリングは、半導体ロードマップを前進させる主な手段として3D集積化の採用を探索しており、したがって実現技術を所望している。そのような技術の1つは、別個の基板上への別個のナノ平面層スタックの熱接着を利用して、組み合わされた層スタックを形成し、結果として生じるトランジスタの密度を増加させることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、半導体デバイスを製造するための方法に関し、この方法は、第1の基板の第1の表面上に第1の多層スタックを形成することであって、第1の基板は第1の基板の第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、第1の多層スタックは第1の材料と第2の材料との交互の層を含む、ことと;第2の基板の第2の表面上に第2の多層スタックを形成することであって、第2の基板は第2の基板の第2の表面とは反対側の第1の表面を有し、第2の多層スタックは第3の材料と第4の材料との交互の層を含む、ことと;第2の基板の第1の表面の所定の深さに、イオン化された原子を注入することと;第1の多層スタックの上面の上に第1の接合膜を形成し、第2の多層スタックの上面の上に第2の接合膜を形成することと;第1の接合膜が第2の接合膜と接触するように、第1の基板を第2の基板に整列させることと;第1の基板及び第2の基板にアニールを実施して、第1の接合膜を第2の接合膜に接合させ、組み合わせ構造を形成することであって、アニールはまた、ほぼ注入の所定の深さにおいて、第2の基板の一部分を脆弱化させる、ことと、を含む。
【0008】
この方法は加えて、第2の基板の脆弱化された部分を除去することと;脆弱化された部分を除去した後に、第2の基板の劈開された厚さを所定の厚さに低減させることと、を含む。
【0009】
この方法は加えて、第3の基板の第1の表面上に第3の多層スタックを形成することであって、第3の基板は第3の基板の第1の表面とは反対側の第2の表面を有し、第3の多層スタックは第3の材料と第4の材料との交互の層を含む、ことと;組み合わせ構造の第2の基板上に第4の多層スタックを形成することであって、第4の多層スタックは第1の材料と第2の材料との交互の層を含み、各層は、厚さ低減の後に、第2の基板の脆弱化された部分を除去することにより形成された表面から始まるエピタキシャル成長により形成される、ことと;第3の多層スタックの上面に第3の接合膜を形成することと、第4の多層スタックの上面に第4の接合膜を形成することと;第3の接合膜が第4の接合膜に接触するように、第3の基板を組み合わせ構造に整列させることと;組み合わせ構造及び第3の基板にアニールを実施して、第3の接合膜を第4の接合膜に接合させることにより、第3の基板を組み合わせ構造の一部にすることと、を含む。
【0010】
この概要のセクションは、本開示又は特許請求の範囲に記載される本発明の全ての実施形態及び/又は段階的に新規な態様を指定するわけではないことに留意されたい。その代わりに、本発明の概要は、異なる実施形態、及び新規性に関する対応点についての、予備的な考察を提供するだけである。本発明及び実施形態の更なる詳細及び/又は予想される観点については、読者は、以下で更に議論されるような、本開示の発明を実施するための形態セクション及び対応する図面を参照されたい。
【0011】
例として提案する本開示の様々な実施形態について、以下の図を参照しながら詳細に説明する。図では、同様の番号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態による、ナノ層スタックの例示的な結果を示す基板の断面図である。
図2】本開示の一実施形態による、第2のウェハーへのイオン化された原子の注入中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図3】本開示の一実施形態による、酸化物形成中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図4】本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図5】本開示の一実施形態による、第2のウェハーの基板の薄膜化を示す、組み合わせ構造の断面図である。
図6】本開示の一実施形態による、第3のウェハーの準備の断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、酸化物形成中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図8】本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図9】本開示の一実施形態による、ナノ層スタックの例示的な結果を示す基板の断面図である。
図10】本開示の一実施形態による、第2のウェハーへのイオン化された原子の注入中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図11】本開示の一実施形態による、酸化物堆積中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図12】第3のウェハーの接合後及び接合前のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図13】本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図14】本開示の一実施形態による、デュアル酸化物層を有する組み合わせ構造の準備及び接合の断面図である。
図15】本開示の一実施形態による、デュアル酸化物層を有する組み合わせ構造の準備及び接合の断面図である。
図16】本開示の一実施形態による、ナノ層スタックの例示的な結果を示す基板の断面図である。
図17】本開示の一実施形態による、第2のウェハーへのイオン化された原子の注入中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図18】本開示の一実施形態による、炭素含有接合膜の形成中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図19】本開示の一実施形態による、第3のウェハーの接合後及び接合前のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図20】本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタックを示す基板の断面図である。
図21】本開示の一実施形態による、デュアル酸化物層を有する組み合わせ構造の準備及び接合の断面図である。
図22】本開示の一実施形態による、デュアル酸化物層を有する組み合わせ構造の準備及び接合の断面図である。
図23】本開示の一実施形態による、半導体デバイスを製造する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の開示は、提示する主題の様々な特徴を実現するための多数の様々な実施形態又は実施例を示す。本開示を簡略化するために、構成要素及び配置の具体例を以下に記載する。当然のことながら、これらは単なる実施例に過ぎず、限定することを意図するものではない。例えば、以下に続く説明における第2の特徴の上方又は上での第1の特徴の形成は、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触して形成される実施形態を含んでもよく、また、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触し得ないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の特徴が形成され得る実施形態を含んでもよい。加えて、本開示は、様々な実施例において参照番号及び/又は文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは、簡潔さ及び明瞭さを目的としており、それ自体は、議論する様々な実施形態及び/又は構成間の関係について言及するものではない。更に、本明細書では、「上部」、「下部」、「下」、「下方」、「より下」、「上方」、「より上」などの空間的に相対的な用語を、説明を簡単にするために使用して、図に示すような1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴に対する関係を説明することがある。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図している。装置は、それ以外の方向に向けられ(90度回転される又は他の向きにする)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子もそれに応じて同様に解釈されてもよい。
【0014】
本明細書に記載する様々なステップの説明の順序は、明確化のために示されている。一般に、これらのステップは、任意の適切な順序で実施することができる。加えて、本明細書における異なる特徴、技法、構成などがそれぞれ、本開示の異なる箇所に記述される場合があるが、その概念はそれぞれ、互いに独立して又は互いに組み合わせて実行され得ることが意図されている。したがって、本発明は、多くの異なる形態で具現化及び考察することができる。
【0015】
本明細書の技術は、高密度3Dロジック回路を作製するための方法を含む。技術には、2つ以上の基板上にナノ平面層スタックを形成し、これらの基板を比較的低温で一緒に接合させることが含まれる。次いで、ナノ平面層スタックをトランジスタ、又はロジック若しくはメモリプレーンに変えることができる。代わりに、単結晶シリコン上に形成されたロジック及び/又はメモリのスタックを積層化して一緒に接合することができる。スタックは、部分的に形成されたデバイスであり得る、又は完全に形成されたデバイスであり得る。
【0016】
本明細書における接合は、接触させた2つの基板の表面間に確立される分子結合により生じる。エピタキシャルスタック又はデバイススタックを有する基板は、その上に酸化膜又は炭素含有膜などの接合面が形成されている。これらの境界膜は、周囲条件にて互いに接触して整列されている。ファンデルワールス力に起因して初期接着が発生し、次いで熱アニール処理が使用されて、室温結合(弱い結合)が共有結合(強い結合)に変換される。この技術は、低温において、薄い厚さの境界から強力な接合をもたらし、ナノ平面の効果的な接合をもたらして3D集積ロジックのニーズを実現させる。このような技術は、垂直に積層されたシリコンベース領域を最大限に使用する。本明細書の技術は、高品質のシリコン及びチャネル材料で、より多くのトランジスタ平面を形成することを可能にする。
【0017】
本明細書の実施形態は、半導体デバイスを形成するための方法を提供する。図1は、本開示の一実施形態による、マイクロ又はナノスケールの多層スタック107(以下、「ナノ層スタック107」と呼ぶ)の例示的な結果を示す基板105の断面図である。一実施形態では、基板105は、上面及び底面を含み、ナノ層スタック107は、第1のウェハー100aの基板105の上面上に形成することができる。例えば、12層の交互のナノ層材料を形成することができる。ナノ層スタック107は、例えば、第1の材料110及び第2の材料115の交互の層を含むことができ、第1の材料110はシリコンとすることができ、第2の材料115はSiGeとすることができる。ナノ層は、例えば、相補型電界効果トランジスタ(CFET)プロセスフローにより形成することができ、これは、ナノ層の後のエピタキシャル成長まで続き得る。所望の最終デバイスに基づいて様々な数の層を形成することができ、様々な技術を使用して基板105上に層を形成してもよいことが理解され得る。ナノ層スタック107は、同様に2つ以上のウェハー上に、例えば第2のウェハー100b上に、形成することができる。第2のウェハー100bの基板105は、上面及び底面を含むことができ、ナノ層スタック107は、第2のウェハー100bの基板105の底面に形成することができる。第1のウェハー100aのナノ層スタック107、及び第2のウェハー100bのナノ層スタック107は、対応するナノ層スタック107に異なる材料を含むことができることが理解され得る。したがって、第1のウェハー100aのナノ層スタック107は、第1の材料110及び第2の材料115を含むことができる一方で、第2のウェハー100bのナノ層スタック107は、互いに交互になっている第3の材料及び第4の材料を含むことができる。
【0018】
図2は、本開示の一実施形態による、第2のウェハー100bへのイオン化された原子の注入中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、イオン化された原子、例えば、劈開用粒子を、第2のウェハー100b上のナノ層スタック107の反対側の表面に注入して、劈開部位109を生じさせることができる。この実施形態における以降の図では、ナノ層スタック107の複数の層は、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100b上において単一の層に簡略化される。図示するように、第2のウェハー100bの上面に、イオン化された原子を注入することができる。イオン化された原子は、H、H、He、又はBなどの比較的軽い元素材料から選択できる。例えば、注入は、HとHeの組み合わせ、又はHとホウ素の組み合わせなどの元素ペアのデュアル注入を含むことができる。非限定的な例として、ホウ素及びHが選択される場合、5×1014~5×1015イオン/cmのドーズを有するホウ素、及び2~6×1016イオン/cmのドーズを有するHに対して注入範囲を一致させるために、ホウ素は180keVのエネルギーを有することができ、Hは129keVのエネルギーを有することができる。He及びHの注入範囲を一致させる別の例では、Heは45keVのエネルギーを使用できる一方で、Hは30keVのエネルギーを有することができ、両方の注入種は、2~6×1016イオン/cmのドーズ範囲を有することができる。デュアル注入の飛程範囲を調整して、注入されたイオン種のエネルギーが各ピークに対して同じ飛程範囲を有するようにすることができる。1つ以上の元素を、1つ以上のプロセスステップで注入することができる。任意のエネルギーを使用できることに留意されたい。使用するエネルギーが劈開部位109の深さを決定し得るので、両方のエネルギーを調整して、劈開部位109を生成させるためのイオン化された原子の注入深さが同じになるように各イオンの射影飛程範囲を一致させるべきである。一例では、デュアル注入は、劈開部位109において基板105を分離させるためのアニール温度を300℃未満に大幅に低減させることができる。代わりに、注入を1つだけ使用する場合、例えばHだけの場合、アニール温度を400℃~600℃にすることができる。第1のウェハー100aにイオン化された原子を注入することもできるが、本実施形態では、第1のウェハー100aにイオン化された原子は注入されない。
【0019】
図3は、本開示の一実施形態による、酸化物形成中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、ナノ層スタック107の上部に化学接合膜120を形成することができる。ナノ層スタック107の上面は、基板105から最も遠い面として定義することができる。したがって、図示するように、第1のウェハー100a上のナノ層スタック107の上面は、第1のウェハー100aの基板105の上面の方向にあるが、第2のウェハー100b上のナノ層スタック107の上面は、第2のウェハー100bの基板105の底面の方向にある。例示的な接合膜120は、酸化物及び炭素含有膜を含むが、他の選択肢を使用することができる。
【0020】
一実施形態では、接合膜120は、各基板105上に形成された化学酸化膜又は境界であり得る。第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bの両方を、2段階クリーニングシーケンスを使用してクリーニングすることができる。例えば、第1のクリーニングでは、HSO:Hの混合物を、例えば(2.5~3.5):1、又は好ましくは3:1の比率で10~20分間使用することができる。第1のクリーニングに続いて、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bを、10~20分間の超音波処理を用いて脱イオン(DI)水でリンスすることができる。第2のクリーニングは、NHOH:H:HOの混合物を、例えば(0.7~1.3):1:5、又は好ましくは1:1:5の比率で使用することができる。第2のクリーニングは、例えば、20℃~30℃、又は好ましくは25℃の温度で、10~20分間実施することができる。NHは高温で蒸発する可能性があるので、第2のクリーニングの温度をより低い温度に維持することが有益である。これにより、-NH基の生成が増加し、その結果、アニール後にシリコンの共有結合が増加する。これにより、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bのそれぞれの上に約5~15オングストローム(A)の化学酸化膜(すなわち、化学接合膜120)が残り、これは、いったん加熱されるとシリコンの強力な共有結合を形成するのに適している。化学接合膜120はまた、基板105の他の面を覆うこともできる。
【0021】
図4は、本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。形成された化学接合膜120を用いて、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bのナノ層スタック107を一緒に接合させることができる。第1のウェハー100a上の化学接合膜120が第2のウェハー100b上の化学接合膜120と接触するように、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bを整列させることができる。第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bの接合膜120が互いに接触していることにより、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bは、ファンデルワールス力に起因して所定位置に留まることができる。引き続き、アニールを実施することができる。第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bは、例えば、200℃~500℃において3~6時間加熱することができる。アニールは、強力で永続的なシリコン共有結合の形成を促進し得る。加えて、第2のウェハー100bの基板105の上面にイオン化された原子が注入されていると、アニールにより、劈開部位109において分離が誘発される可能性がある。このとき、イオン化された原子の注入範囲のピークが、ウェハーの薄膜化を可能にしていた。第2のウェハー100bの基板105を劈開させることにより、バルク基板105材料の厚さ全体をエッチング又は研磨する必要なく、基板105(例えば、バルクシリコンの裏面)の厚さを低減させることができる。
【0022】
アニールは2段階プロセスに分離できることに留意されたい。なぜなら、劈開は、より短い時間で、例えば数分で起こる可能性があり、その後、両方の接合膜120を結合させるために、比較的長いアニールプロセスが続くからである。第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bの化学接合膜120を整列させ、アニールにより一緒に接合させることができ、例えば、10A~30Aの範囲、又は好ましくは20Aの厚さを有する中間の化学接合膜120がもたらされる。
【0023】
図5は、本開示の一実施形態による、第2のウェハー100bの基板105の薄膜化を示す組み合わせ構造の断面図である。第1のウェハー100aと第2のウェハー100bとが恒久的に接合されると、それらは組み合わせ構造になる。次いで、劈開部分は、組み合わせ構造から除去され得る及び/又はクリーニングされ得る。追加の薄膜化を実施できる。追加の薄膜化は、その後の半導体デバイスの形成のためにナノ層スタック107のうちの1つにアクセスするために、並びに追加のナノ層スタック107を追加するために有益である。例えば、第2のウェハー100bの基板105全体を除去することができ、ナノ層スタック107(このとき、組み合わせる前と比較して2倍の層を有し、層の半分がそれぞれ接合膜120によって分離されている)を半導体デバイスに形成することができる。例えば、ナノ層スタック107からゲートオールアラウンド(GAA)デバイスが製造され得る。バルク基板105材料を薄膜化するために様々な技術を使用することができる。例えば、第2のウェハー100bの基板105の上面は、化学的機械的研磨(CMP)によりエッチング又は研磨され、その結果、10~50nmなどの所望の厚さの単結晶シリコンになり得る。劈開されたバルクシリコンは、追加使用の前に研磨され得ることに留意されたい。劈開されて残った劈開部分は、追加の数十サイクルのための基板として再利用され得る。より軽い不活性元素の場合、そのようなクリーニングは任意選択であり得る。ホウ素などの他の元素を使用する場合、この元素がバルクシリコン中に残っているとドーパントとして機能する可能性があるので、クリーニング又は研磨ステップを使用してホウ素が除去され得る。
【0024】
この時点で、2つのナノ層スタック107が接合され、追加のスタックのためにアクセス可能である。上述したように、それぞれが12層のナノ層スタック107の場合、このとき24層の交互の層が極めて接近している。次いで、前のステップを繰り返すことにより、追加のナノ平面層を組み合わせ構造に追加できる。
【0025】
図6は、本開示の一実施形態による、第3のウェハー100cの準備の断面図である。一実施形態では、ナノ層スタック107は、第3のウェハー100cの基板105上に形成することができ、第3のウェハー100cの基板105は上面及び底面を含み、ナノ層スタック107は底面に形成される。加えて、ナノ層スタック107は、組み合わせ構造上の第2のウェハー100bの薄膜化された基板105上に形成することができる。次いで、アニール中に切断又は劈開させるために、任意選択で第3のウェハー100cの基板105の上面にイオン化された原子を注入することができる。組み合わせ構造は、イオン化された原子のいかなる注入も受ける必要はない。以前に実行したのと同様に、2つ以上の異なるイオン化された原子を使用する場合、イオン化された原子の注入エネルギーを調整して、イオン化された原子のピーク飛程範囲又は注入深さが全ての注入で同じになるようにすることができる。
【0026】
図7は、本開示の一実施形態による、酸化物形成中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、化学接合膜120(例えば、1つ以上の酸化物層及び/又は炭素含有層)は、各構造(すなわち、組み合わせ構造及び第3のウェハー100c)の覆われていないナノ層スタック107上に形成することができる。
【0027】
上述したように処理は継続する。図8は、本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、組み合わせ構造のナノ層スタック107と第3のウェハー100cとを一緒に接合することができる。組み合わせ構造上の化学接合膜120が第3のウェハー100c上の化学接合膜120と接触するように、組み合わせ構造及び第3のウェハー100cを整列させることができる。続いて、アニールが接合膜120間に強力で永続的なシリコン共有結合を形成する。アニールはまた、第3のウェハー100cの基板105に切断又は劈開を引き起こし得る。
【0028】
第3のウェハー100cの劈開された基板105は、研磨して薄くすることができる。この時点で、製造はトランジスタの作製に継続することができる。これまでに説明したように、48層の半導体材料のナノ層が組み合わされた。一例では、組み合わせ構造は24個の単結晶シリコン面を含み、これをトランジスタチャネル材料に使用することができる。例えば、組み合わせ構造をマスクしエッチングして、FET、メモリ構成要素などのナノチャネルを形成することができる。代わりに、ナノ層スタック107形成のステップを繰り返し、熱アニールにより接合させることにより、より多くのナノ層を形成することができる。
【0029】
理解され得るように、組み合わされた第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bは、上述したように、ナノ層スタック107上の接合膜120の任意の組み合わせから形成することができる。
【0030】
図9は、本開示の一実施形態による、ナノ層スタック107の例示的な結果を示す基板105の断面図である。一実施形態では、ナノ層スタック107は、第1のウェハー100aの基板105の上面上に形成することができる。ナノ層スタック107は、加えて第2のウェハー100b上に形成することができ、ナノ層スタック107は、第2のウェハー100bの基板105の底面上に形成することができる。
【0031】
図10は、本開示の一実施形態による、第2のウェハー100bへのイオン化された原子の注入中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、イオン化された原子を第2のウェハー100b上のナノ層スタック107の反対側の表面に注入して、劈開部位109を生成することができる。図示するように、第2のウェハー100bの上面に、イオン化された原子を注入することができる。
【0032】
図11は、本開示の一実施形態による、酸化物堆積中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、堆積された接合膜121は、ナノ層スタック107の上部に堆積により形成することができる。クリーニングステップが続く場合は、化学酸化物が残らないように、HFを使用した最終クリーニングステップを使用することができる。次いで、酸化物が、ウェットクリーニングプロセスによる化学接合膜120よりも厚く、例えば、30A~300Aの範囲、又は好ましくは100Aの堆積厚さでナノ層スタック107上に堆積される。例えば、なかでも、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)、及び有機金属化学蒸着(MOCVD)を使用することができる。第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bの堆積された接合膜121を整列させ、アニールにより一緒に接合させることができ、例えば、60A~600Aの範囲、又は好ましくは200Aの厚さを有する中間の堆積された接合膜121がもたらされる。
【0033】
図12は、第3のウェハー100cの接合後及び接合前のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、ナノ層スタック107は、第3のウェハー100cの基板105の底面に形成することができる。加えて、ナノ層スタック107は、組み合わせ構造上の第2のウェハー100bの薄膜化された基板105上に形成することができる。次いで、アニール中に切断又は劈開させるために、任意選択で第3のウェハー100cの基板105の上面にイオン化された原子を注入することができる。
【0034】
図13は、本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、組み合わせ構造のナノ層スタック107と第3のウェハー100cとを、堆積された接合膜121を一緒に接合させることにより、アニール中に一緒に接合させることができる。
【0035】
図14及び図15は、本開示の一実施形態による、デュアル酸化物層を有する組み合わせ構造の準備及び接合の断面図である。一実施形態では、化学接合膜120は、最初に、第1、第2、及び第3のウェハー100a、100b、100cのナノ層スタック107上に形成され、その後に、化学接合膜120の上部への、堆積された接合膜121の堆積が続く。これは、クリーニング化学物質により残った酸化物と、それに続くALD、CVDなどを使用する堆積プロセスとを組み合わせたものである。
【0036】
図16は、本開示の一実施形態による、ナノ層スタック107の例示的な結果を示す基板105の断面図である。一実施形態では、ナノ層スタック107は、第1のウェハー100aの基板105の上面上に形成することができる。ナノ層スタック107は、加えて第2のウェハー100b上に形成することができ、ナノ層スタック107は、第2のウェハー100bの基板105の底面上に形成することができる。
【0037】
図17は、本開示の一実施形態による、第2のウェハー100bへのイオン化された原子の注入中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、イオン化された原子を第2のウェハー100b上のナノ層スタック107の反対側の表面に注入して、劈開部位109を生成することができる。図示するように、第2のウェハー100bの上面に、イオン化された原子を注入することができる。
【0038】
図18は、本開示の一実施形態による、炭素含有接合膜122の形成中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、炭素含有接合膜122は、ナノ層スタック107の上部にエピタキシャル成長させることができる。代わりに、炭素含有接合膜122は、ナノ層スタック107の上面に堆積させることができる。例えば、炭素含有接合膜122は、SiC又はSiCNであり得る。炭素含有接合膜122は、第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bのそれぞれについて、例えば、10~100Aの範囲の厚さを有することができる。第1のウェハー100a及び第2のウェハー100bの堆積された接合膜121は整列され、アニールにより一緒に接合され得る。
【0039】
図19は、本開示の一実施形態による、第3のウェハー100cの接合後及び接合前のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、ナノ層スタック107は、第3のウェハー100cの基板105の底面に形成することができる。加えて、ナノ層スタック107は、組み合わせ構造上の第2のウェハー100bの薄膜化された基板105上に形成することができる。次いで、アニール中に切断又は劈開させるために、任意選択で第3のウェハー100cの基板105の上面にイオン化された原子を注入することができる。
【0040】
図20は、本開示の一実施形態による、接合中のナノ層スタック107を示す基板105の断面図である。一実施形態では、組み合わせ構造のナノ層スタック107と第3のウェハー100cとを、炭素含有接合膜122を一緒に接合させることにより、アニール中に一緒に接合させることができる。
【0041】
図21及び図22は、本開示の一実施形態による、デュアル酸化物層を有する組み合わせ構造の準備及び接合の断面図である。一実施形態では、化学接合膜120は、最初に、第1、第2、及び第3のウェハー100a、100b、100cのナノ層スタック107上に形成され、その後に、化学接合膜120の上部への、炭素含有接合膜122の形成が続く。これは、クリーニング化学物質により残った酸化物と、それに続くALD、CVDなどを使用する堆積プロセスとを組み合わせたものである。例えば、SiC又はSiC(xの範囲は0.7~1.1、yの範囲は0.1~0.4である)を、化学接合膜120上に堆積させることができる。炭素含有接合膜122は、とりわけ、ALD、CVD、PECVD、MOCVD、及びスパッタ堆積により堆積させることができる。選択した堆積技術に応じて、SiCN後のアニールは任意選択で200℃~400℃であることに留意されたい。任意選択で、より厚い膜を堆積し、次いで研磨することができる。酸化物以外の他の境界も使用できる。
【0042】
図23は、本開示の一実施形態による、半導体デバイスを製造する方法のフロー図である。説明した方法は以下のように要約される。ステップS2301において、第1のウェハー100aの基板105上に第1のナノ層スタック107が形成される。ステップS2303において、第2のウェハー100bの基板105上に第2のナノ層スタック107が形成される。ステップS2305において、第2のウェハー100bの基板105上の第2のナノ層スタック107の側とは反対側の、第2のウェハー100bの基板105に、イオン化された原子が注入される。ステップS2307において、第1のナノ層スタック107上に第1の接合膜120が形成される。ステップS2309において、第2のナノ層スタック107上に第2の接合膜120が形成される。ステップS2311において、第1及び第2の接合膜120を整列させ接触させて、第1及び第2のナノ層スタック107を接合させて組み合わせ構造にする。ステップS2313において、組み合わせ構造がアニールされ、これにより、第2のウェハー100bの注入された基板105の一部分が脆弱化する。ステップS2315において、第2のウェハー100bの基板105の脆弱化された部分が除去される。ステップS2317において、第2のウェハー100bの基板105の残りの部分の厚さ(すなわち、劈開された厚さ)が、例えばエッチング又はCMPにより低減される。ステップS2319において、第3のウェハー100cの基板105上に第3のナノ層スタック107が形成される。ステップS2321において、脆弱化された部分が除去された第2のウェハー100bの基板105上に第4のナノ層スタック107が形成される。ステップS2323において、第3のナノ層スタック107上に第3の接合膜120が形成される。ステップS2325において、第4のナノ層スタック107上に第4の接合膜120が形成される。ステップS2327において、第3の接合膜120と第4の接合膜120とを整列させ接触させて、組み合わせ構造と第3のナノ層スタック107とが接合される。ステップS2329において、第3のウェハー100cを含む組み合わせ構造がアニールされる。
【0043】
したがって、本明細書の技術は、多数の単結晶シリコン層又は他のシリコン層のスタックを形成して、半導体デバイスの高密度(体積あたり)を可能にするための、様々な実施形態及びプロセスフローを可能にする。したがって、エピタキシャルシリコンの一定数の層を成長させることができる。材料の高品質を維持するために、層の数が限定され得る。例えば、エピタキシャル成長が12層を超えると、電気的性能の劣化及び故障さえも引き起こし得る。エピタキシャルスタックは、接合される前又は後に、トランジスタデバイスに形成され得る。スタックは、エピタキシャルスタックの代わりに、メモリスタック又はその他のロジック回路であり得る。したがって、これらエピタキシャルスタックは、ロジック、メモリ、又は他のデバイスのいずれかのデバイス平面であり得る。理解され得るように、様々な組み合わせが可能である。
【0044】
次いで、各エピタキシャルスタック上の1つ以上の接合層を使用して接合が実現される。接合層は、好ましくは酸化物である又は炭素を含有する。接合層は、設計仕様に応じて様々な厚さで形成できる。付随する注入ステップを使用して、追加のエピタキシャルスタックを組み合わせるための、及び/又は製造を継続するためにエピタキシャルスタックにアクセスするための、裏面バルクシリコンの薄膜化を支援することができる。
【0045】
理解され得るように、本明細書の技術は、48ナノ平面を超える高品質の単結晶シリコンのナノ平面に対して可能である。接合プロセスは、比較的低温で実行できる。任意選択で、完全なデバイスは、ウェハーを接合させる前に、金属接続を形成することができ、これにより、いかなるタイプの積層(ロジック上のメモリ、カスタム回路設計)も可能になる。比較的薄い境界の厚さを使用して接合を生じさせることができる。任意選択で、シリコン平面間に分離層を使用できる。
【0046】
前述の説明では、プロセスシステムの特定の形状、並びにそこで使用される様々な構成要素及びプロセスの説明など、特定の詳細について説明してきた。しかしながら、本明細書における技術は、これらの特定の詳細から逸脱する他の実施形態において実施されてもよく、そのような詳細は、説明のためのものであり、限定のためのものではないことを理解されたい。本明細書で開示される実施形態について、添付の図面を参照して説明してきた。同様に、説明の目的で、完全な理解をもたらすために特定の数、材料、及び構成が示されてきた。それにもかかわらず、実施形態は、そのような具体的な詳細なしに実施され得る。実質的に同じ機能的構成を有する構成要素は、同様の参照記号によって示され、したがっていかなる冗長な説明も省略されている場合がある。
【0047】
様々な実施形態の理解を支援するために、様々な技術を複数の個別の動作として説明してきた。記述の順序は、これらの動作が必然的に順序依存であることを示唆するものと解釈されるべきではない。実際、これらの動作は提示した順序で実行される必要はない。説明された動作は、説明された実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。様々な追加動作が実行されてもよく、且つ/又は説明された動作が追加の実施形態では省略されてもよい。
【0048】
本明細書で使用される「基板」又は「ターゲット基板」は、本発明に従って処理される物体を総称して指す。基板は、デバイス、特に半導体又は他の電子デバイスの任意の材料部分若しくは構造を含んでもよく、例えば半導体ウェハー、レチクルなどのベース基板構造、又は薄膜などのベース基板構造上の層若しくはベース基板構造に重なる層であってもよい。したがって、基板は、パターニングされているか否かに依らず、いかなる特定のベース構造、下敷きとなる層又は上を覆う層にも限定されず、むしろ、任意のそのような層又はベース構造、並びに層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むことが企図されている。説明が特定の種類の基板を参照する場合があるが、これは例示を目的としたものに過ぎない。
【0049】
当業者であれば、本発明の同じ目的を達成しながらも、上記で説明した技術の動作に対してなされる多くの変形形態が存在し得ることも理解するであろう。そのような変形形態は、本開示の範囲に包含されることが意図される。したがって、本発明の実施形態の前述の説明は、限定することを意図したものではない。むしろ、本発明の実施形態に対するいかなる限定も、以下の特許請求の範囲に提示されている。
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【国際調査報告】