(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】半電導性ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20221110BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20221110BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221110BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C09K11/08 G
G02B5/20
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516014
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2020075263
(87)【国際公開番号】W WO2021048244
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】カーリル,サナー
(72)【発明者】
【氏名】オーデッド,コビ ヤーコブ ネタネル
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
4H001
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA11
2H148AA18
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107CC04
3K107CC45
3K107DD53
3K107DD55
3K107DD56
3K107DD57
3K107DD66
3K107DD68
3K107DD70
4H001CA02
4H001CC13
4H001XA15
4H001XA49
(57)【要約】
本発明は半電導性ナノ粒子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)
【化1】
式中
oは、1、2または3、好ましくは1である;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
R
2、R
3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
A
1は、
【化2】
であって、n=0または1である;
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNである;
A
2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
R
aは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基R
aは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化3】
式中
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化4】
である;
L
2は、
【化5】
である;
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
X
1は、各発生にて同一かまたは異なっており、-COOM
1、-PO(OH)(OM
1)、-PO(OM
1)
2、-OC(S)SM
1、-NH
2、-NHR
a、-N(R
a)
2、-SO
3M
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、SiOR
a、または-N(CS
2M
1)
2から好ましくは選択されるアンカー基である;
Ar
1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい;
A
3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
M
1は、水素原子、または1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、1/2 Zn
2+、1/2 Pb
2+、1/2 Sn
2+、1/2 Cd
2+、1/3 Bi
3+、もしくは1/4 Sn
4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、または1/2 Zn
2+、より好ましくは水素原子を示す、
によって表される化合物を含む、半電導性発光ナノ粒子。
【請求項2】
化学式(I)中
A
1が
【化6】
であり、ここでYが、上に定義されるとおりである、請求項1に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項3】
化学式(I)中
X
1が、各発生にて同一かまたは異なっており、-OC(S)SM
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、または-N(CS
2M
1)
2から選択される;
ここでAr
1、A
3およびM
1が、請求項1に定義されるとおりである、
請求項1または2に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項4】
化学式(I)中
A
1が
【化7】
であり、および
X
1が、各発生にて同一かまたは異なっており、-OC(S)SM
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、または-N(CS
2M
1)
2から選択される;
ここでY、Ar
1、A
3およびM
1が、請求項1に定義されるとおりである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項5】
化学式(I)中、
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化8】
式中L
1は、
【化9】
である;
およびL
2は、
【化10】
であり、ここでm、lおよびR
aは、請求項1に定義されるとおりである、
から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項6】
化学式(I)中、
A
1は
【化11】
である;
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化12】
式中
L
1は
【化13】
であり、好ましくはL
1は、
【化14】
である;
L
2は、
【化15】
である;
および
X
1は、各発生にて同一かまたは異なっており、-OC(S)SM
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、または-N(CS
2M
1)
2から選択され、
ここでm、l、Y、R
a、Ar
1、A
3およびM
1は、請求項1に定義されるとおりである、
から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項7】
化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(III)
【化16】
式中存在する記号は、請求項1~6のいずれか一項に記載に定義されるとおであり、および
式中Zは、NまたはOである、
で表される化合物を表す、請求項1~6のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項8】
化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(IV)、(V-a)または(V-b)
【化17】
式中存在する記号および指標は、請求項1~7のいずれか一項に記載に定義されるとおりであり、およびjは、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
で表される化合物を表す、請求項1~7のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項9】
化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(IV-1)~(IV-6)および(V-1)~(V-6)
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
式中存在する記号および指標は、請求項1~8のいずれか一項に記載に定義されるとおりの意味を有し、および指標gおよびfは、同一かまたは異なっており、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
のうち1つで表される化合物を表す、請求項1~8のいずれか一項に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【請求項10】
一般式(III)
【化19】
式中、
Yは、O、NまたはS、好ましくはOまたはNである;
Zは、OまたはNである;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
R
2、R
3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
R
aは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基R
aは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化20】
式中、
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数であり、
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数であり、
L
1は、
【化21】
である;
L
2は、
【化22】
である;
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
A
3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
および、
M
1は、水素原子、または1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、1/2 Zn
2+、1/2 Pb
2+、1/2 Sn
2+、1/2 Cd
2+、1/3 Bi
3+、もしくは1/4 Sn
4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、または1/2 Zn
2+、より好ましくは水素原子を示す、
で表される化合物。
【請求項11】
化合物が、以下の化学式(IV)、(V-a)または(V-b)
【化23】
式中jは、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
の1つで表される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子、および、
少なくとも1つのさらなる機能的材料、それは好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される、
を含む、組成物。
【請求項13】
コアおよび任意に1以上のシェル層を少なくとも有する半電導性発光ナノ粒子、化学式(I)
【化24】
式中、
oは、1、2または3、好ましくは1である;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
R
2、R
3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
A
1は、
【化25】
である、
n=0または1であり、
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNであり、
A
2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
R
aは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基R
aは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化26】
式中、
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化27】
である;
L
2は、
【化28】
である;
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
X
1は、各発生にて同一かまたは異なっており、-COOM
1、-PO(OH)(OM
1)、-PO(OM
1)
2、-OC(S)SM
1、-NH
2、-NHR
a、-N(R
a)
2、-SO
3M
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、SiOR
a、または-N(CS
2M
1)
2から好ましくは選択されるアンカー基である;
Ar
1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい;
A
3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
M
1は、水素原子、または1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、1/2 Zn
2+、1/2 Pb
2+、1/2 Sn
2+、1/2 Cd
2+、1/3 Bi
3+、もしくは1/4 Sn
4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、または1/2 Zn
2+、より好ましくは水素原子を示す、
によって表される化合物;ならびに
少なくとも1つのさらなる機能的材料、それは好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される、
を含む、組成物。
【請求項14】
化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(III)
【化29】
式中Zは、NまたはOである、
で表される化合物を表す、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つのさらなる機能的材料が、ホストまたはマトリックス材料であり、好ましくは(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーから選択される請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子、または請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物、および、
少なくとも1つの溶媒、それは好ましくは、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート)、酢酸エチル、ブチルアセタート、アミルアセタート、エチレンカーボネート、メトキシプロピルアセタートなどのエステル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリコールエーテル、ヘキシレングリコールなどのグリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコール、またはトルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンなどの芳香族、ハロゲン化、および脂肪族炭化水素からなる群から選択される、
を含む、配合物。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物、または請求項16に記載の配合物の、電子デバイス、光学デバイスまたは生物医学デバイスにおける使用。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子、または請求項10または11に記載の化合物、または請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物、または請求項16に記載の配合物を含む、光学媒体。
【請求項19】
請求項1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子、または請求項10または11に記載の化合物、または請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物、または請求項16に記載の配合物、または請求項18に記載の光学媒体を含む、光学デバイス。
【請求項20】
以下のステップa)~c):
a)コアおよび任意に1以上のシェル層を少なくとも有する半電導性発光ナノ粒子、少なくとも1つのさらなる機能的材料、以下に定義される化学式(I)で表される化合物、および任意に少なくとも1つの溶媒を混合することによって混合物を調製すること;
b)基体上へ混合物を提供すること;
c)得られた混合物を、300から650nmまでの範囲において、好ましくは320から520nmまで、より好ましくは350nmから500nmまで、なおより好ましくは360nmから470nmまでの範囲にあるピーク光波長を有する光照射に供すること:
【化30】
式中、
oは、1、2または3、好ましくは1である;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
R
2、R
3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
A
1は、
【化31】
である;
n=0または1である;
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNである;
A
2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
R
aは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基R
aは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化32】
式中、
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化33】
である;
L
2は、
【化34】
である;
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
X
1は、各発生にて同一にまたは異なって、好ましくはCOOM
1、-PO(OH)(OM
1)、-PO(OM
1)
2、-OC(S)SM
1、-NH
2、-NHR
a、-N(R
a)
2、-SO
3M
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、SiOR
a、または-N(CS
2 M
1)
2から選択されるアンカー基であり;
Ar
1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい;
A
3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
M
1は、水素原子、または1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、1/2 Zn
2+、1/2 Pb
2+、1/2 Sn
2+、1/2 Cd
2+、1/3 Bi
3+、もしくは1/4 Sn
4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg
2+、1/2 Cu
2+、または1/2 Zn
2+、より好ましくは水素原子を示す、
を含む、請求項19に記載の光学デバイスの調製のためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、半電導性ナノ粒子、および前記ナノ粒子を含む組成物、および配合物に関する。さらにまた本発明は、前記ナノ粒子の使用、前記ナノ粒子を含む光学媒体および光学デバイス、および光学デバイスを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
量子ドット(QD)などの半電導性発光ナノ粒子の安定性は、電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスへの応用に不可欠である。正しく安定化されたQDは、プロセシング、デバイス製作、およびデバイス操作中に発生し得る高温、空気、湿気、および化学物質に曝露されるとき、フォトルミネッセンス強度を有意に失わない。
【0003】
半電導性発光ナノ粒子、とりわけQDを安定化するために、ナノ粒子表面に化学吸着することができる官能基(いわゆる「アンカー基」)を有するモノマー化合物、および重合性単分子層を形成する重合性官能基は、安定剤リガンドの関心あるクラスである。かかる二官能性重合性安定剤リガンドを使用する利点は、一方では、重合性モノマー分子がナノ粒子表面に結合することによって正しい安定剤として作用し、他方では、それらが他の好適なモノマー、例えば他のリガンドまたはマトリックス材料からの分子との表面重合を可能にすることであり、その結果得られるナノ粒子の安定性の増大を確保する。すなわち、表面に結合したリガンドの重合性官能基を重合または架橋し、下層のナノ粒子の安定性をさらに高めることができるポリマーシェルまたはコーティング層を生じることができる。かくして、使用される重合性安定剤リガンドの特性およびナノ粒子表面上に形成されるポリマーシェルに従って、ナノ粒子コアの元の特性は、適用要件に従って大幅に変更または修正され得る。
【0004】
Kim et al.(“Heat- and water-proof quantum dot/siloxane composite film: Effect of quantum dot-siloxane linkage”, Journal of the SID, 25/2, 2017, 108-116)には、シロキサン(メタクリラート)マトリックスに化学的に結合したオレイン酸によって官能化されたCdSe/ZnS量子ドット(QD)が記載される。
US 2015/0344776 A1には、オレイン酸などの脂肪酸リガンドを含む第1コーティング層と、極性アクリラートヘッド基と非極性アルキル鎖を有する有機材料を含む第2コーティング層を有するナノ粒子が記載される。第2のコーティング層は、アルキル鎖のインターカレーションを介して第1の層と相互作用する。
Crouse et al.(“Influencing Solvent Miscibility and Aqueous Stability of Aluminum Nanoparticles through Surface Functionalization with Acrylic Monomers”, ACS Applied Materials in Interfaces, Vol. 2, No. 9, 2010, 2560-2569)には、2-カルボキシエチルアクリラートで官能化されたアルミニウムナノ粒子が記載される。
【0005】
WO2018/056632 A1には、QDの表面に化学的に結合するチオール基などのアンカー基、およびシランベースの材料と相互作用することができるシラン官能基を有する二官能性リガンドで官能化されたQDが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許文献
1. US 2015/0344776 A1
2. WO 2018/056632 A1
【非特許文献】
【0007】
非特許文献
3. Kim et al.(“Heat- and water-proof quantum dot/siloxane composite film: Effect of quantum dot-siloxane linkage”, Journal of the SID, 25/2, 2017, 108-116
4. Crouse et al.(“Influencing Solvent Miscibility and Aqueous Stability of Aluminum Nanoparticles through Surface Functionalization with Acrylic Monomers”, ACS Applied Materials in Interfaces, Vol. 2, No. 9, 2010, 2560-2569
【発明の概要】
【0008】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、改善された熱安定性および長期安定性、好ましくは極性溶媒に良好な可溶性を有する、とりわけ溶液、配合物、またはフィルム(硬化後を包含する)において安定した分散を維持でき、とりわけ電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスにおいて使用されるとき、高い量子収率と発光効率を示すことができる新規の半電導性発光ナノ粒子が依然として必要であることを新たに見出した。
【0009】
本発明は、上記の問題の観点でなされた。したがって、本発明の目的は、とりわけ電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスを使用するとき、改善された熱安定性および長期安定性を有し、高い量子収率および発光効率を示す半電導性発光ナノ粒子を提供することである。
本発明のさらなる目的は、(メタ)アクリラートまたはエポキシベースの系などの電子、光学または生物医学デバイスの製造において一般的に使用される様々なポリマー系との高い化学的親和性を有し、および、溶媒、とりわけにフォトリソグラフィーで一般的に使用されるPGMEAなどの極性溶媒への高い可溶性を有する半電導性発光ナノ粒子を提供することである。
本発明のさらなる目的は、溶液、配合物、またはフィルム(重合/硬化ステップ後を包含する)において安定な分散を維持することのできる半電導性発光ナノ粒子を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、半電導性発光ナノ粒子の安定剤リガンドまたは添加剤として適用されるために好適な、ナノ粒子表面に増加した安定性を与えることができ、および下層のナノ粒子の安定性をさらに高めるために重合および/または架橋することができる重合性化合物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、半電導性発光ナノ粒子の安定剤リガンドまたは添加剤として適用するために好適な、ナノ粒子表面を不動態化する、および、電子、光学、または生物医学デバイスの製造において使用される、PGMEAなどの極性溶媒、および(メタ)アクリラートまたはエポキシベースなどのさまざまな溶媒およびポリマー系とのナノ粒子への化学的親和性を提供することのできる、および、ナノ粒子の凝集を防ぎ、溶液、配合物、またはフィルム(硬化後を包含する)へのナノ粒子の良好な分散を確保することのできる重合性化合物を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の目的は、高い発光効率、高い輝度、高いコントラスト、高い信頼性、および短い応答時間を有する光学デバイスを提供することである。
本発明のさらなる目的は、光学デバイスを調製するための単純なプロセスを提供することである。
本発明者らは、上記の目的の1以上は、特許請求の範囲で定義される特徴によって対処される得ることを見出した。
具体的には、上に記載の1以上の問題を解決するために、本発明は、コア、任意に1以上のシェル層、および本明細書に定義されるとおりの以下の化学式(I)
【化1】
で表される化合物を含む半電導性発光ナノ粒子を提供する。
上記の問題の1以上は、本明細書に定義されるとおり以下の化学式(III)
【化2】
で表される化合物によってもまた解決される。
【0012】
さらにまた、本発明は、本発明に従う半電導性発光ナノ粒子および少なくとも1の機能的材料をさらに含む組成物に、および、半電導性発光ナノ粒子、本明細書に定義されるとおりの化学式(I)で表される化合物および少なくとも1のさらなる機能的材料を含む組成物に関する。
加えて、本発明は、本発明に従う半電導性発光ナノ粒子、または本明細書の定義される組成物、および少なくとも1つの溶媒を含む配合物に関する。
【0013】
本発明はさらに、本発明に従う半電導性発光ナノ粒子または組成物または配合物の、光学デバイスまたは生物医学デバイスにおける使用を提供する。
さらにまた、本発明は、光学媒体および光学デバイス、および該光学デバイスを調製するためのプロセスに関する。
本発明の利点は、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の簡単な記載
【
図1】
図1は、各々同じ条件にて測定された実施例13から得られたフィルムを含有する量子材料のEQEの変化を示す外部量子効率(EQE)/%の図表である。
【
図2】
図2は、各々同じ条件にて測定された実施例13から得られたフィルムを含有する量子材料の最大強度のシフトを示す波長にわたる正規化された強度の発光スペクトルである。
【
図3】
図3は、実施例14のEQE測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な記載
以降、本発明を実施するためのベストモードは、詳細に記載される。本明細書に使用されるとき、破線または星印(「a」または「*」)は、一般に、化合物の隣接するユニットまたは基への結合点または接続点を示すために使用され、例えば、ポリマーの場合、隣接する繰り返しまたは構成ユニット、または別の基、例えば、モノマー化合物の場合の側鎖を包含する。
本明細書に使用されるとき、用語「アンカー基」は、半電導性ナノ粒子の表面と相互作用することができ、それにより、例えば共有結合またはイオン結合、または双極子-双極子相互作用を介して、アンカー基を含む化合物をナノ粒子表面に結合または化学吸着することのできる有機官能基を示すが、これらに限定されない。ナノ粒子表面に結合または付着した化合物(これらの用語は本明細書では交換可能に使用される)または結合または付着することができる化合物は、本明細書では「リガンド」または「表面リガンド」と称される。
以下の定義は、一般的な定義として使用される化学基に適用される。これらは、より具体的な定義が与えられていない場合にのみ適用される。本発明の意味におけるアリール基は、5~40個の芳香環原子を含有し、そのいずれもヘテロ原子ではない。本明細書におけるアリール基は、例えばベンゼンなどの単純な芳香環、またはナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどの縮合した(condensed(縮合の(fused)))芳香族多環のいずれかを意味すると解される。本出願の意味における縮合芳香族多環は、互いに縮合した(縮合の)2つ以上の単純な芳香環からなる。その結果として、本発明の意味でのアリーレン基は、アリール基に由来するが、フェニレンなどの2つの環炭素原子から水素原子が除去されている。
【0016】
本発明の意味におけるヘテロアリール基は、5~40個の芳香環原子を含む芳香族基、その少なくとも1つはヘテロ原子である、すなわちヘテロ芳香族基である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選択される。本明細書におけるヘテロアリール基は、ピリジン、ピリミジンまたはチオフェンなどの単純なヘテロ芳香族環、またはキノリンまたはカルバゾールなどの縮合した(縮合の)ヘテロ芳香族多環のいずれかを意味すると解される。本出願の意味における縮合したヘテロ芳香族多環は、相互に縮合した(縮合の)2つ以上の単純なヘテロ芳香族環からなる。その結果として、本発明の意味におけるヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に由来するが、2つの環炭素原子から水素原子が除去されている。アリールまたはヘテロアリール基、ここで各場合において以下に定義されるとおりに置換されていてもよく、および任意の所望の位置を介して芳香族またはヘテロ芳香族環系に連結されていてもよい、または、アリーレンまたはヘテロアリーレン基は、とりわけ、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジノイミダゾール、キノキサリノイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾールから由来する基を意味すると解釈される。
【0017】
本発明の意味におけるアルカリルまたはアルカリレン基は、以下に定義されるとおり、アルキル基が結合し、以下に定義されるとおり置換されていてもよい、上で定義されるとおりのアリールまたはアリーレン基を意味すると解される。
本発明の意味におけるアルキルヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリーレン基は、以下に定義されるとおりのアルキル基が結合し、以下に定義されるとおりに置換されていてもよい、上に定義されるとおりのヘテロアリールまたはヘテロアリーレン基を意味すると解される。
本発明の意味における芳香族環系は、環系中に5~40個のCの芳香族環原子を含有し、および芳香族環原子としてヘテロ原子を含まない。したがって、本出願の意味における芳香環系は、ヘテロアリール基を含まない。本発明の意味におけるヘテロ芳香族環系は、5~40個の芳香族環原子を含有し、そのの少なくとも1つはヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OまたはSから選択される。ヘテロ芳香族環系は、芳香族環原子の1つとして少なくとも1つのヘテロ原子を得なければならないという相違点を除き、上記の芳香族環系として定義される。
【0018】
本発明の意味における芳香族またはヘテロ芳香族環系は、必ずアリールまたはヘテロアリール基のみを含有しない系を意味すると解釈されることが意図されているが、加えて、複数のアリールまたはヘテロアリール基が、1以上の任意に置換されていてもよいC、Si、N、OまたはS原子などの非芳香族ユニットによって接続されていてもよい。かかるケースにおける非芳香族ユニットは、芳香環系全体のH以外の原子の総数に対して、好ましくはH以外の原子の10%未満を含む。よって、例えば、9,9'-スピロ-ビフルオレン、9,9'-ジアリール-フルオレン、トリ-アリール-アミン、ジアリールエーテル、およびスチルベンなどの系もまた、本発明の意味において、2つ以上のアリール基が、例えば、直鎖または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基によって、またはシリル基によって接続されている系として解される。さらにまた、2以上のアリールまたはヘテロアリール基が単結合を介して互いに連結されている系、例えば、ビフェニル、ターフェニルまたはビピリジンなどの系などもまた、本発明の意味での芳香環系と解される。
【0019】
本発明の目的のために、1~40個のC原子を有する直鎖のアルキル基、または3~40個のC原子を有する分枝状のまたは環状アルキル基、または2~40個のC原子を有する直鎖のアルケニルまたはアルキニル基、または3~40個の炭素原子分枝状のアルケニルまたはアルキニル基は、ここで加えて上述の基における個々のH原子またはCH2基は以下のとおりに置換されていてもよく、好ましくは、ラジカルメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチル-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、neo-ヘキシル、n-へプチル、シクロへプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロ-メチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルを意味すると解される。上の定義を考慮すると、1~40個のC原子を有する直鎖のアルキレン基、3~40個のC原子を有する環状または分枝状のアルキレン基、2~40個のC原子を有する直鎖のアルケニレンまたはアルキニレン基、または3~40個のC原子を有する分枝状のアルケニレン基またはアルキニレン基は、上述のラジカル夫々のジラジカルを意味すると解される。
本発明の意味におけるアラルキルまたはアルアルキレン基は、上に定義されるとおりのアリール基が結合し、下で定義されるとおりに置換されていてもよい、上で定義されるとおりのアルキルまたはアルキレン基を意味すると解される。
【0020】
本発明の意味におけるヘテロアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキレン基は、上で定義されるとおりのヘテロアリール基が結合し、下で定義されるとおりに置換されていてもよい、上で定義されるとおりのアルキルまたはアルキレン基を意味すると解される。
【0021】
1~40個のC原子を有するアルコキシ基は、好ましくはメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロへプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、または2,2,2-トリフルオロエトキシを意味すると解される。
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子が提供され、コア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)
【化3】
で表される化合物を含む。
指標「o」は、1、2または3、好ましくは1である。
【0022】
基R1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい)である。
【0023】
基R2、R3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい)である。
【0024】
好ましくは、基R
2およびR
3の1つはHであり、および他の1つは上に定義されるとおりである。なおより好ましくは両方の基R
2およびR
3はHである。
A
1は、
【化4】
であって、n=0または1である;
または二価の基
【化5】
であり、
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNであり、ここで破線は、残りの化合物への結合を示し(つまり、二価の基A
1からユニットC=CR
1へのおよび基Lへの夫々の結合である)、
ここでA
2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である。
好ましい態様において、A
1は二価の基
【化6】
であり、ここでYは、上に定義されるとおりである。
【0025】
Raは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基Raは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である。
【0026】
連結基Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化7】
【0027】
式中
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化8】
である;
L
2は、
【化9】
である;
【0028】
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L1と基L2との間の結合をマークし、およびここでL1およびL2の各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここでL1およびL2の1以上のCH2基は、-RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここでL1およびL2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である。
【0029】
好ましい態様に従って、Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基Raによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)、
【0030】
あるいは以下の化学式(II)
【化10】
式中L
1は、
【化11】
【化12】
である;
およびL
2は、
【化13】
であり、ここでm、lおよびR
aは、上に定義されるとおりである、
から選択され、ここで破線は化合物の残りの部分への結合(つまり、基L、L
1、およびL
2から基A
1または基X
1への結合)を示し、記号「*」は基L
1とL
2の間の結合を示し、および、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークする。
【0031】
X1は、各発生にて同一かまたは異なってアンカー基であり、好ましくは -COOM1、-PO(OH)(OM1)、-PO(OM1)2、-OC(S)SM1、-NH2、-NHRa、-N(Ra)2、-SO3M1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、SiORa、または-N(CS2M1)2から選択される。
好ましい態様において、X1は、各発生にて同一かまたは異なって、-OC(S)SM1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、または-N(CS2M1)2から選択される。
Ar1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい。
【0032】
A3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である。
M1は、水素原子、または1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、1/2 Zn2+、1/2 Pb2+、1/2 Sn2+、1/2 Cd2+、1/3 Bi3+、もしくは1/4 Sn4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、または1/2 Zn2+、より好ましくは水素原子を示す。
【0033】
本明細書に使用されるとき、表記「1/2 Mg2+」、「1/2 Cu2+」、「1/2 Zn2+」または「1/2 Cd2+」は、記号 M1がMg2+、Cu2+、Zn2+またはCd2+などの二価のカチオンを表すとき、二価のカチオンはその正電荷を2つの別個の一価のアニオン性基と共有することを意味すると解されるべきである。
つまり、それは1つの正電荷を1価のアニオン性基X1と共有し、および別の1つの正電荷を別の一価のアニオン性基、例えば、化学式(I)で表される化合物の同じ分子(分子内)または別の異なる分子(分子間)に位置する別の一価のアニオン性基X1と共有する。
同じく、3価または4価のカチオンは、その3つまたは4つの正電荷をアニオン性基と共有する。
【0034】
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子は、コア、任意に1以上のシェル層、および本明細書に定義される化学式(I)で表される二機能性の重合性化合物を含み、改善された熱安定性および長期安定性、ならびに高い量子収率および高い発光効率を示し、およびしたがって電子デバイス、光学デバイスまたは生物医学デバイスにおいて有利に適用できると考えられる。その上、本発明に従って半電導性発光ナノ粒子は、様々な溶媒およびポリマーシステム、とりわけ、光学デバイスにおけるマトリックス材料として典型的に使用される(メタ)アクリラートまたはエポキシベースのシステムとの高い化学的親和性を有し、およびしたがって、マトリックス材料と十分に相互作用し、および高度の架橋を達成し、溶媒、とりわけ極性溶媒に良好な可溶性を示し、および凝集せずに、溶液、配合物、またはフィルム(すなわち、硬化後でさえ)において安定した分散体を維持することが見出された。
本明細書に使用されるとき用語「重合性の」は、それぞれの化合物(例えば、モノマー化合物)が、好ましくは開始時に、化学的に反応または架橋してポリマー鎖または三次元ネットワークを形成することができることを意味する。重合開始は、光照射または熱に応答して、または開始剤化合物を用いるが、それに限定されない。
【0035】
本発明のさらに好ましい態様に従って、化学式(I)中、
A
1は、
【化14】
であり、および
X
1は、各発生にて同一にまたは異なって、-OC(S)SM
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、または-N(CS
2M
1)
2から選択され、
ここで記号Y、Ar
1、A
3およびM
1、および二価の連結基Lは、上に定義されるとおりである。
【0036】
本発明の依然としてさらに好ましい態様に従って、化学式(I)中、
A
1は、
【化15】
であり、
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化16】
式中L
1は、
【化17】
【化18】
である;
【0037】
およびL
2は、
【化19】
である;および
X
1は、各発生にて同一にまたは異なって、-OC(S)SM
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、または-N(CS
2M
1)
2から選択され、ここで記号および指標m、l、Y、R
a、Ar
1、A
3およびM
1は、上に定義されるとおりである。
さらに好ましくは、化学式(I)で表される化合物は、以下の化学式(III)
【化20】
ここで記号Y、R
1、R
2、R
3、A
3、LおよびM
1は、上に定義されるとおりであり、およびここでZは、NまたはOである、
で表される化合物を表す。
【0038】
本発明のなおさらに好ましい態様において、化学式(I)で表されるまたは化学式(III)で表される化合物は、以下の化学式(IV)、(V-a)、または(V-b)、好ましくは化学式(IV)、または(V-a)
【化21】
式中、記号は上に定義されるとおりの意味を有し、および化学式(IV)中指標jは1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
で表される化合物を表す。
【0039】
化学式(I)で表される化合物、および、化学式(IV)および(V-a)で表される化合物は、以下の化学式(IV-1)~(IV-6)および(V-1)~(V-6)
【化22】
【化23】
【化24】
式中記号および指標は上に定義されるとおりの意味を有し、およびここで指標gおよび指標fは、各々、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、を表す。
具体的に好ましくは、化学式(IV-1)~(IV-6)および(V-1)~(V-6)で表される化合物中、M
1は、水素である。
本発明のさらに好ましい態様に従って、化学式(I)で表される化合物は、150~2000Daの範囲にある分子量を有する。より好ましくは、それは150~1500Daの範囲にある、なおより好ましくは200~1000Daの範囲にある分子量を有する。
【0040】
-半電導性発光ナノ粒子
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子の無機部分として、多種多様な公的に知られている半電導性発光ナノ粒子が必要に応じて使用されてもよい。本発明の半電導性発光ナノ粒子の形状のタイプは具体的には限定されない。任意のタイプの半電導性発光ナノ粒子、例えば、球形、細長い形状、星形、多面体形状の半電導性発光ナノ粒子が使用されてもよい。
本発明の半電導性発光ナノ粒子は、コアを含み、および任意に1以上のシェル層を含んでもよい。本発明に従って、用語「シェル層」は、コアを完全にまたは部分的に覆う構造を意味する。好ましくは、前記1以上のシェル層は、前記コアを完全に覆う。用語「コア」および「シェル」は、当技術分野において周知であり、および、US 8221651 B2などの量子材料の分野において典型的に使用されている。
【0041】
半電導性発光ナノ粒子の該1以上のシェル層が具体的には限定されず、および、単一のシェル層、ダブルシェル層、または2を超えるシェル層を有するマルチシェル層でもよく、好ましくはそれはダブルシェル層である。本発明に従って、用語「ナノ」は、1nmと999nmとの間におけるサイズを意味する。好ましくはそれは、1nmから150nmまでである。本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズ材料である。
本発明に従って、用語「量子サイズ」は、化合物も別の表面改変もなしの、半電導性材料それ自体のサイズを意味し、例えばISBN:978-3-662-44822-9などに記載の量子閉じ込め効果を示してもよい。好ましくは、量子サイズ材料の全体構造のサイズは、1nmから100nmまで、より好ましくはそれは、1nmから30nmまで、なおより好ましくはそれは、5nmから15nmまでである。
【0042】
本発明に従って、半電導性発光ナノ粒子の該コアは、変化してもよい。
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2 合金、およびその任意の組み合わせが使用されてもよい。
【0043】
本発明の好ましい態様において、半電導性発光ナノ粒子の該コアは、1以上の周期表の13族元素および1以上の周期表の15族元素を含む。例えば、GaAs、GaP、GaSb、InAs、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuInS2、CuInSe2、Cu2(InGa)S4、およびその任意の組み合わせ。
なおより好ましくは、コアは、InおよびP原子を含む。例えば、InP、InPS、InPZnS、InPZn、InPGa。
シェル層の少なくとも1つは、周期表の12、13または14族の第1の元素および周期表の15または16族の第2の元素を含み、好ましくはすべてのシェル層は、周期表の12、13または14族の第1の元素および周期表の15または16族の第2の元素を含む。
【0044】
本発明の好ましい態様において、シェル層の少なくとも1つは、周期表の12族の第1の元素および周期表の16族の第2の元素を含む、例えば、CdS、CdZnS、ZnS、ZnSe、ZnSSe、ZnSSeTe、CdS/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnS/ZnSeシェル層は使用され得る。
好ましくは、すべてのシェル層は、周期表の12族の第1の元素および周期表の16族の第2の元素を含む。
より好ましくは、少なくとも1つのシェル層は、以下の式(VI)
ZnSxSeyTez - (VI)
式中式(I)、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、ここでなおより好ましくは0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1である。
例えば、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnSeSTe、CdS/ZnS、ZnSe/ZnS、ZnS/ZnSe シェル層は好ましくは使用され得る。
【0045】
好ましくは、すべてのシェル層は、式(VI)で表される。
例えば、緑および/または赤放射の使用のための半電導性発光ナノ粒子として、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS/ZnSe、InPZn/ZnS、InPZn/ZnSe/ZnS、InPZn/ZnS/ZnSe、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnS半電導性発光ナノ粒子またはこれらの任意の組み合わせが使用され得る。
より好ましくは、それは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS/ZnSe、InPZn/ZnS、InPZn/ZnSe/ZnS、InPZn/ZnS/ZnSe が使用され得る。
本発明のより好ましい態様において半電導性発光ナノ粒子の該シェル層は、ダブルシェル層である。
該半電導性発光ナノ粒子は、例えば、Sigma-Aldrichから公的に入手可能、および/またはACS Nano, 2016, 10 (6), pp 5769-5781, Chem. Moter. 2015, 27, 4893-4898および国際特許出願の公報No.WO2010/095140Aに記載されている。
【0046】
-追加の化合物
本発明の態様に従って、本発明に従う半電導性発光ナノ粒子は、ナノ粒子の最外表面(すなわち、コアまたは存在する場合シェル層の最外表面)に付着される化合物またはリガンドを含み、化合物またはリガンドは、好ましくは本明細書に定義されるとおり化学式(I)で表される二機能性の重合性である。
本発明の半電導性発光ナノ粒子は、任意に、化学式(I)で表される化合物とは異なる、ナノ粒子の最外表面に付着される化合物またはリガンドを、さらに含んでもよい。
結果的に、半電導性発光ナノ粒子のコアまたはシェル層の最外表面は、化学式(I)で表される化合物と一緒に、異なるタイプの化合物で上塗り(over-coated)されてもよい。
【0047】
1以上の該別の化合物またはリガンドが、コアの最外表面、または、半電導性発光ナノ粒子のシェル層に付着される場合、式(I)で表される化合物の量は、コアの最外表面、または、シェル層に付着される全化合物の、30wt.%から99.9wt%まで、好ましくは50wt%から95wt%までの範囲であり、より好ましくはそれは、60wt%から90wt%までの範囲である。
理論によって拘束されることは望まないが、かかる化合物は、溶媒中、より容易に半電導性発光ナノ粒子の分散をもたらし得る。
【0048】
一般的な使用における別の化合物は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などのホスフィンおよびホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸;デデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)などのアミン;ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などのカルボン酸;酢酸、およびこれらの任意の組み合わせを包含する。
【0049】
かかる化合物の例は、例えば、国際特許出願公開公報No.WO 2012/059931Aにリガンドとして記載される。
-化合物
本発明はさらにまたは、一般式(III)
【化25】
式中、
Yは、O、NまたはS、好ましくはOまたはNであり、
Zは、OまたはNであり、
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
【0050】
R2、R3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい)である;
【0051】
Raは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基Raは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
【0052】
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化26】
【0053】
式中
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化27】
である;
L
2は、
【化28】
である;
【0054】
ここで破線は、残りの化合物への結合(すなわちL、L1およびL2から基Yまたは基Zへの結合)を示し、および記号「*」は、基L1と基L2との間の結合をマークし、およびここでL1およびL2の各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここでL1およびL2の1以上のCH2基は、-RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここでL1およびL2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
【0055】
A3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;および
【0056】
M1は、水素原子、または1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、1/2 Zn2+、1/2 Pb2+、1/2 Sn2+、1/2 Cd2+、1/3 Bi3+、もしくは1/4 Sn4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、または1/2 Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
によって表される化合物に関する。
半電導性発光ナノ結晶に関連して上で定義された化学式(III)で表される化合物の好ましい態様、記号、およびの指標は、この文脈において同様に好ましい。
具体的に好ましくは、本発明による化学式(III)で表される化合物は、上で定義された化学式(IV)、(V-a)または(V-b)で表される化合物を表す。
なおより好ましくは、本発明による化学式(III)で表される化合物は、上で定義された化学式(IV-1)~(IV-6)および(V-1)~(V-6)で表される化合物のうちの1つを表す。
【0057】
本明細書に定義されるとおり化学式(III)で表される二機能性の重合性化合物は、チオール/チオラート官能基および重合性アクリラートベースの官能基を含み、二価の連結または架橋基(すなわち、基L)によって互いに隔てられ、半電導性発光ナノ粒子のリガンドまたは添加剤として適用するために特に好適であるところ、それらは、PGMEAなどの極性溶媒と、およびデバイス製造プロセスにおいて典型的に使用される(メタ)アクリラートまたはエポキシベースの系との親和性が高い(すなわち、かかる系と化学的に相互作用できる)ためである。それらの高い親和性のために、これらの化合物は、二重結合を含む架橋を介して((メタ)アクリラート)マトリックス材料に化学的に結合することができ、それにより、特にフィルム硬化およびフィルム加熱後に、ナノ粒子により高い安定性を与えることができ、ナノ粒子の凝集を防ぎ、溶液、配合物、またはフィルム(フィルム硬化後を包含する)へのナノ粒子の良好な分散を確保し、それによってナノ粒子の安定性をさらに高めることができる。
【0058】
-組成物
本発明に従う半電導性発光ナノ粒子は、とくに電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスにおいて使用されるとき、従来技術による電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスにおいて一般的に使用されるホストまたはマトリックス材料および/または光学的に透き通ったポリマーなどのさらなる機能的材料と組み合わられ、組成物を形成してもよい。多種多様な好適な機能的材料が、電子、光学、または生物医学デバイスの分野の当業者において知られており、これらは好ましくは使用されてもよい。
第1の側面において、かくして、本発明はさらに、本発明に従う半電導性発光ナノ粒子、すなわち、コア、任意に1以上のシェル層、および本明細書に定義されるとおりの化学式(I)で表される化合物を含む半電導性発光ナノ粒子、および、少なくとも1つのさらなる機能的材料を含む組成物を提供する。
【0059】
本発明のこの側面の態様において、半電導性発光ナノ粒子は、ナノ粒子の最外表面(すなわち、コアまたは存在する場合シェル層の最外表面)に付着される化合物またはリガンドを含み、化合物またはリガンドは、好ましくは本明細書に定義されるとおり化学式(I)で表される二機能性の重合性である。
少なくとも1つのさらなる機能的材料は、好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つのさらなる機能的材料は、ホストまたはマトリックス材料であり、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーから選択される。下で定義される化学式(VII)で表される(メタ)アクリラートモノマーは特に好ましい。
以下に、本発明に従って使用することができるさらなる機能的材料の好ましい例が、それに限定されることなく記載される。
【0060】
本明細書に使用されるとき、重合開始剤は、架橋または重合反応を開始または促進するために、解離および電子移動を包含する異なる経路によって反応種(フリーラジカル、カチオン、またはアニオン)を生成する分子または化合物である。したがって、光開始剤は、光(UVまたは可視光)に曝露されるとき、かかる反応種を生成する分子または化合物であり、熱開始剤は、熱が適用されるときにそのような反応種を生成する分子または化合物である。
重合開始剤は、本発明の範囲内で具体的に限定されず、例えば、光開始剤、求核的開始剤、ラジカル開始剤または熱開始剤であり得る。これらの好適な例は、当業者に知られている。好ましくは、光開始剤または熱開始剤が使用される。
【0061】
好適な湿潤および分散剤は、好ましくは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級のアミン基、カルボキシル基、ヘテロ環状の基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、およびホスホン酸から選択されるアンカー基を含む。好ましい湿潤および分散剤などの例は、例えば、WO 2017/054898 A1に開示される。
本発明に従って、該有機発光材料および電荷輸送材料として、任意のタイプの公的に知られている材料が使用され得る。例えば、周知の有機蛍光材料、有機ホスト材料、有機染料、有機電子輸送材料、有機金属錯体、および有機正孔輸送材料が好ましくは使用され得る。
本発明に従って、光散乱粒子として、該光散乱粒子を包含する、ミー散乱効果を与えることができる層のマトリックス材料とは異なる屈折率を有する任意のタイプの公的に知られている光散乱粒子が、所望に応じて使用され得る。
【0062】
好ましくは、散乱粒子として、小粒子の、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3 TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、MgOなどの無機オキシド、ポリマー化ポリスチレン、ポリマー化PMMAなどの有機粒子、中空シリカなどの無機中空オキシド、またはこれらの任意の組み合わせが使用されてもよい。
接着促進剤は、本発明の重合性組成物から硬化フィルムを形成する際に、硬化後に適用される応力によってパターンが剥がれることを防ぐ機能を有する。接着促進剤として、イミダゾールおよびシランカップリング剤を採用することが好ましい。接着増強剤として、イミダゾールおよびシランカップリング剤は、好ましくは採用される。イミダゾールの例は、2-ヒドロキシベンズイミダゾール、2-ヒドロキシエチルベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、および2-アミノイミダゾールを包含する。それらの中で、2-ヒドロキシベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾールおよびイミダゾールは具体的に好ましい。
【0063】
現像液溶解促進剤またはスカム除去剤は、現像液中に形成されたコーティングの溶解度を制御し、それにより、現像後にスカムが基体上に残存することを防ぐ機能を有する。この添加剤として、クラウンエーテルが採用され得る。最も単純な構造を有するクラウンエーテルは、一般式(-CH2-CH2-O-)nで表される。それら中で、本発明において、nが4~7である式のクラウンエーテルが好ましく使用される。その一方で、クラウンエーテルはしばしば個々に「x-クラウン-y-エーテル」と称され、xおよびyはそれぞれ環を形成する原子の総数およびそれに含まれる酸素原子の数を表す。本発明において、添加剤は、好ましくは、X=12、15、18および21およびy=x/3のクラウンエーテル、それらのベンゾ縮合(-condensed)生成物、およびそれらのシクロヘキシル縮合(-condensed)生成物からなる群から選択され得る。クラウンエーテルの好ましい例は、2-クラウン-7-エーテル、18-クラウン-6-エーテル、15-クラウン-5-エーテル、12-クラウン-4-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン-7-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン-6-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン-5-エーテル、ジベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、ジシクロヘキシル- 21-クラウン-7-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6-エーテル、ジシクロヘキシル-5-クラウン-5-エーテル、およびジシクロヘキシル-12-クラウン-4-エーテルを包含する。
それらの中で、18-クラウン-6-エーテルおよび15-クラウン-5-エーテルからなる群から選択される添加剤は具体的に好ましい。その量は、本発明の有機ポリシリコン化合物100重量部に基づき、好ましくは0.05~15重量部、より好ましくは0.1~10重量部である。
【0064】
重合阻害剤として、ニトロン誘導体、ニトロキシドラジカル誘導体、およびヒドロキノン、メチルヒドロキノンおよびブチルヒドロキニーネなどのヒドロキノン誘導体を組み込まれてもよい。それらは、単独で使用するされても、2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。その量は、本発明の有機ポリシリコン化合物100重量部に基づいて、好ましくは0.1~10重量部である。
消泡剤の例は、アルコール(C1~C18)、オレイン酸やステアリン酸などの高級脂肪酸、グリセリンモノラウラートなどの高級脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)(Mn:200~10000)およびポリプロピレングリコール(Mn:200~10000)などのポリエーテル、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルなどのシリコーン化合物、および、以下に詳細に説明する有機シロキサン界面活性剤を包含する。これらは、単独で使用されても、2以上の組み合わせで使用されてもよい。その量は、本発明の有機ポリシリコン化合物100重量部に基づいて、好ましくは0.1~3重量部である。
必要な場合、本発明の重合性組成物は、コーティング性、現像性などを改善する目的で組み込まれる界面活性剤をさらに含んでもよい。本発明で使用可能な界面活性剤は、例えば、非イオン性、アニオン性、および両性界面活性剤である。
【0065】
非イオン性界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレンアルコールのポリエトキシアート、およびアセチレングリコールのポリエトキシアートなどのアセチレングリコール誘導体、Fluorad([商標]、Sumitomo 3M Limitedにより製造)、MEGAFAC([商標]、DIC Corporationにより製造)、およびSurufuron([商標]、Asahi Glass Co., Ltd.により製造)などのシリコンを含有する界面活性剤、および、KP341([商標]、Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.により製造)などの有機シロキサン界面活性剤を包含する。
上のアセチレングリコールは、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3、6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4、7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、および2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールを包含する。
【0066】
アニオン性界面活性剤の例は、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアンモニウム塩および有機アミン塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸のアンモニウム塩および有機アミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩および有機アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸のアンモニウム塩および有機アミン塩、および、アルキル硫酸のアンモニウム塩および有機アミン塩を包含する。さらに、両性界面活性剤の例は、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、およびラウリル酸アミドプロピルヒドロキシスルホンベタインを包含する。
【0067】
それらの界面活性剤は、単独でまたは2以上の組み合わせで使用されてもよい。その量は、本発明の重合性組成物に基づき、通常、50~2000ppm、好ましくは100~1000ppmである。
必要に従って、増感剤は、本発明の重合性組成物に組み込まれてもよい。本発明の組成物に好ましく使用される増感剤の例は、クマリン、ケトクマリン、それらの誘導体、チオピリリウム塩、およびアセトフェノンを包含する。具体的に言うと、その具体例は、p-ビス(o-メチルスチリル)ベンゼン、7-ジメチルアミノ-4-メチルキノロン-2,7-アミノ-4-メチルクマリン、4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ピリジルヨウ化メチル、7-ジエチルアミノクマリン、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチルキノリジノ-<9,9a,1-gh>クマリン、7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロキノリジノ<9,9a,1-gh>クマリン、7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、7-エチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、2,3,5,6-1H、4H-テトラヒドロ-9-カルボエトキシキノリジノ-<9,9a,1-gh>クマリン、3-(2'-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、N-メチル-4-トリフルオロメチルピペリジノ-<3,2-g>クマリン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンゾチアゾリルエチルヨウ化物、3-(2'-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、および以下の式で表されるピリリウムまたはチオピリリウム塩などの増感染料を包含する。
【化29】
【0068】
増感染料は、高圧水銀灯(360~430nm)などの安価な光源の使用によるパターニングを行うことを可能にする。その量は、本発明の有機ポリシリコン化合物100重量部に基づき、好ましくは0.05~15重量部、より好ましくは0.1~10重量部である。
増感剤として、例えば、WO2012/059331 A1またはJP3820633Bに開示されるとおりのアントラセン骨格を有する化合物を採用することもまた実行可能である。アントラセン骨格を有する増感剤が添加されるとき、その量は、本発明の有機ポリシリコン化合物100重量部に基づき、好ましくは0.01~5重量部である。
【0069】
さらに、必要な場合、安定剤が本発明の組成物に添加されてもよい。安定剤は、一般的に知られているものから自由に選択され得る。しかしながら、本発明において、芳香族アミンは、それらが安定化に高い効果を有するので好ましい。それらの芳香族アミンの中で、好ましくはピリジン誘導体であり、および特に好ましくは、2位および6位にかさ高い置換基を有するピリジン誘導体である。その具体的な例は次のとおりである。
【化30】
【0070】
本発明のこの側面のさらに好ましい態様において、少なくとも1つのさらなる機能的材料は、光学的に透き通ったポリマーである。
本発明に従って、光学デバイスに好適な多種多様な公に知られている透き通ったマトリックス材料は、好ましくは光学的に透き通ったポリマーとして使用され得る。
本明細書に使用されるとき、用語「透き通った」は、光学媒体において使用される厚さ、および光学媒体の動作中に使用される波長または波長範囲で透過する入射光の少なくとも約60%を意味する。好ましくは、それは70%を超え、より好ましくは75%を超え、最も好ましくは80%を超える。
【0071】
本発明の好ましい態様において、光学的に透き通ったポリマーは透き通ったマトリックス材料である。
本明細書に使用されるとき、用語「ポリマー」は、繰り返しユニットを有し、重量平均分子量(Mw)が1000g/モル以上である材料を意味する。分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対してGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)によって決定される。本発明のさらに好ましい態様において、透き通ったポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上および250℃以下である。
【0072】
Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm; Rickey J Seyler, Assignment of the Glass Transition, ASTM publication code number (PCN) 04-012490-50などに記載される示差走査熱量測定で観察された熱容量の変化に基づき測定される。
例えば、透き通ったマトリックス材料用の透き通ったポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタンまたはポリシロキサンは、好ましく使用され得る。さらに好ましくは、透き通ったマトリックス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/モルまでの範囲であり、より好ましくは、10,000から250,000g/モルまでである。
【0073】
さらなる側面において、本発明はまた、本明細書に定義されるとおりの化学式 (I)で表される化合物、または、本明細書に定義されるとおりの化学式(III)で表される化合物、または、本明細書に定義されるとおりの式(IV)、(V-a)または(V-b)で表される化合物、および、
少なくとも1つのさらなる機能的材料、好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤および増感剤からなる群から選択される、を含む組成物を提供する。
上に定義されるとおりのさらなる機能的材料の好ましい例は、この文脈において同様に好ましい。
【0074】
本発明のこの態様に従う組成物の好ましい態様において、少なくとも1つのさらなる機能的材料は、ホストまたはマトリックス材料であり、これは、(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーからさらにより好ましくは選択される。以下に定義される化学式(VII)によって表される(メタ)アクリラートモノマーがとくに好ましい。
別の側面において、本発明はまた、少なくともコアおよび任意に1以上のシェル層を有する半電導性発光ナノ粒子、本明細書に定義されるとおりの化学式(I)で表される化合物、
【化31】
および、少なくとも1つのさらなる機能的材料、好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤および増感剤からなる群から選択される、を含む組成物もまた提供する。
【0075】
上に定義されるとおりのさらなる機能的材料の好ましい例は、この文脈において同様に好ましい。
本発明のこの態様による組成物に含まれる半電導性発光ナノ粒子の無機部分として、多種多様な公的に知られている半電導性発光ナノ粒子は所望されるとおり使用されてもよい。とりわけ、半電導性発光ナノ粒子、およびそのコア、および任意の1以上のシェル層の形状のタイプは、本発明の半電導性発光ナノ粒子に関して上に定義されるとおりでもよい。
加えて、本発明のこの側面に従う組成物に含まれる半電導性発光ナノ粒子のコアまたはシェル層の最外表面は、本発明の半電導性発光ナノ粒子に関して上に定義されるとおりに、異なるタイプの化合物またはリガンドで上塗りされていてもよい。
【0076】
本発明のこの側面に従う組成物の好ましい態様において、少なくとも1つのさらなる機能的材料は、(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーからより好ましくは選択されるホストまたはマトリックス材料である。
(メタ)アクリラートモノマーは、好ましくは以下の化学式(VII)
【化32】
式中、
R
4は1~15個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン 鎖またはアルコキシレン鎖であり、
kは、0または1であり、
R
5は、3~40個の炭素原子を有する分枝状のまたは環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の芳香環 原子を有する芳香族のまたはヘテロ芳香環系であり、1以上のラジカルR
bによって置換されていてもよく、
好ましくは該環状アルキルまたはアルコキシ基は3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基であり、各場合において1以上のラジカルR
bによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH
2基は、R
bC=CR
b、C≡C、Si(R
b)
2、Ge(R
b)
2、Sn(R
b)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
b、P(=O)(R
b)、SO、SO2、NR
b、OS、またはCONR
bによって置き換えられていてもよく、および1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよく、
【0077】
Rbは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環 系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基Rbは、相互に、モノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよく、および、
R6は、HまたはCH3である、
で表される。
【0078】
本発明のこの側面に従う組成物におけるマトリックス材料として使用される(メタ)アクリラートモノマーの具体的に好ましい例は、ラウリルアクリラート(LA)、ラウリルメタクリラート(LMA)、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリラート(TBCH)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)、シクロヘキシル メタクリラート(CHMA)、トリプロピレングリコールジアクリラート(TPGDA)、1、6-ヘキサンジオールジメタクリラート(HDDMA)、イソボルニルアクリラート(IBA)、イソボルニルメタクリラート(IBMA)、1,9-ノナンジオールジアクリラート(NDDA)、またはその1以上のいずれかの組み合わせである。
さらに好ましくは、マトリックス材料として使用される化学式(VII)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、25℃にて25cP以下、好ましくは1から25cPまで、より好ましくは2から20cPまで、なおより好ましくは2から10cPまでの範囲の粘度、および/または180℃以上の沸点(B.P.)を有し、好ましくはそれは180℃から350℃まで、より好ましくは250℃から350℃までの範囲である。
【0079】
本発明に従って、該粘度は、室温にて振動式粘度計VM-10A(SEKONIC)により測定することができる。
https://www.sekonic.co.jp/english/product/viscometer/vm/vm_series.html
本発明のこの側面に従う組成物のさらに好ましい態様において、化学式(I)で表される化合物は、本明細書に定義される化学式(III)
【化33】
で表される化合物を表す。
本発明のこの態様による組成物のさらに好ましい実施形態において、化学式(III)において、
Lは化学式(II)
【化34】
から選択され、
式中、
L
1は、
【化35】
である;
【0080】
L
2は、
【化36】
である;
ここで破線は、残りの化合物への結合(すなわちL、L
1およびL
2から基Yまたは基Zへの結合)を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
M
1は、Hであり、
およびここで指標mおよびlおよび記号R
aは、本明細書に定義されるとおりである。
【0081】
さらに好ましくは、本発明のこの側面に従う組成物において、
L
1は、
【化37】
【化38】
である;
L
2は、
【化39】
である。
【0082】
本発明のこの側面に従う組成物の具体的に好ましい態様において、化学式(I)または(III)で表される化合物は、化学式(V-a)または(V-b)、好ましくは(V-a)
【化40】
で表される化合物を表し、
式中記号および指標は、本明細書に定義されるとおりであり、およびZは、NまたはOであり、およびM
1は、Hである。
本発明のこの側面に従う組成物に含まれ得る化学式(Va)の化合物の具体的に好ましい例は、上記で定義された化学式(V-1)~(V-6)によって表され、ここで、M
1はHである。
【0083】
本発明のこの側面に従う組成物は、組成物の総重量に基づくwt.%に基づき、化学式(I)によって表される化合物を1~50wt.%、より好ましくは5~40wt.%、さらにより好ましくは10~30wt.%の量で含むことがさらに好ましい。
さらに好ましくは、本発明のこの側面に従う組成物は、組成物の総重量に基づき、1~50wt.%、より好ましくは20~45wt.%、さらに好ましくは25~40wt.%の量の半電導性発光ナノ粒子(ナノ粒子の無機部分のみ)を含む。
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に定義されるとおりの化学式(I)で表される二機能性重合性アクリラートベースの化合物を、半電導性発光ナノ粒子と、好ましくはホスト材料またはマトリックス材料であり、より好ましくは本発明のこの側面に関連して定義される(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーから選択される、少なくとも1つのさらなる機能的材料とを含む組成物に直接添加される添加剤として使用されるとき、フィルム硬化および/またはフィルム加熱後であっても、ナノ粒子の改善された安定性、高い発光効率などの改善された光学特性を達成することができることを見出した。
【0084】
-配合物
本発明に従う半電導性発光ナノ粒子、化合物または組成物を液相から、例えばスピンコート法または印刷法で処理するために、本発明のナノ粒子、化合物または組成物を含む配合物が必要である。これらの配合物は、例えば、溶液、分散液またはエマルションであってもよい。
【0085】
したがって、本発明はさらに、本明細書で定義される本発明による半電導性発光ナノ粒子、または本明細書で定義される本発明による化合物もしくは組成物、および少なくとも1つの溶媒を含む配合物に関する。
好ましくは、少なくとも1つの溶媒は、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート)、酢酸エチル、ブチルアセタート、アミルアセタート、エチレンカーボネート、メトキシプロピルアセタートなどのエステル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリコールエーテル、ヘキシレングリコールなどのグリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコール、またはトルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンなどの芳香族、ハロゲン化、および脂肪族炭化水素からなる群から選択される。2以上の溶媒の混合物を使用することは好ましくてもよい。
【0086】
配合物における溶媒の量は、コーティングの方法によって自由にコントロールすることができる。例えば、スプレーコーティングする場合、90wt%以上の量で溶媒を含有させることができる。さらに、大型の基体をコーティングする際にしばしば採用されるスリットコート法を行う場合、溶媒の含有量は通常60wt%以上、好ましくは70wt%以上である。
かかる配合物を調製する方法は当業者に知られており、例えば、WO 2002/072714、WO 2003/019694およびそこに引用されている文献に記載される。
【0087】
-使用
本発明はさらに、本明細書に定義されるとおりの本発明による半電導性発光ナノ粒子、または本明細書に定義されるとおりの本発明による組成物または配合物の、電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスにおける使用に関する。
別の側面において、本発明は、さらに、本明細書に定義されるとおりの化学式(I)で表される化合物、または本明細書に定義される化学式(III)で表される化合物の、
少なくともコアおよび任意に1以上のシェル層を有する半電導性発光ナノ粒子、および、少なくとも1つのさらなる機能的材料、それは好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される、を含む組成物における添加剤としての使用に関する。
【0088】
より好ましくは、少なくとも1つのさらなる機能的材料は、ホストまたはマトリックス材料であり、なおより好ましくは、(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーから選択される。
【0089】
本発明による組成物に関係して上に言及されたさらなる機能性材料の定義および好ましい例は、同様にこの使用において好ましい。(メタ)アクリラートモノマーは、具体的に好ましくは、上に定義されるとおりの化学式(VII)で表される。
本発明のこの側面に従う使用に従う半電導性発光ナノ粒子の無機部分として、公知の多種多様な半電導性発光ナノ粒子が所望に応じて使用されてもよい。とりわけ、半電導性発光ナノ粒子の形状のタイプと、そのコアおよび任意の1以上のシェル層は、本発明の半電導性発光ナノ粒子に関連して上に定義されるとおりであってよい。
加えて、本発明のこの側面に従う組成物に含まれる半電導性発光ナノ粒子のコアまたはシェル層(複数可)の最外表面は、本発明の半電導性発光ナノ粒子に関係して上に定義されるとおりの異なるタイプの化合物で上塗りされていてもよい。
【0090】
本発明のこの態様に従う使用の好ましい態様において、使用される化合物は、本明細書で定義される化学式(III)
【化41】
で表される化合物であり、
式中
Lは、化学式(II)から選択され、
【化42】
式中
L
1は、
【化43】
であり
L
2は
【化44】
であり、
式中破線は、残りの化合物への結合(すなわちL、L
1およびL
2から基Yまたは基Zへの結合)を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよく、および、
【0091】
M
1は、Hであり、
およびここで指標mおよびlおよび記号R
aは、本発明の化合物に関係して上に定義されるとおりである。
L
1は
【化45】
【化46】
であり、
好ましくは、L
1は、
【化47】
であり、
およびL
2は、
【化48】
である。
【0092】
本発明のこの側面に従う使用のなおさらに好ましい態様において、化学式(I)または(III)で表される化合物は、化学式(V-a)または(V-b)、好ましくは(V-a)で表される化合物を表わす:
【化49】
式中、記号および指標は、本発明の化合物に関して上に定義されるとおりであり、およびZは、NまたはOであり、およびM
1は、Hである。
【0093】
本発明のこの側面に従って使用される化学式(V-a)で表される化合物の具体的に好ましい例は、上に定義されるとおりの化学式(V-1)~(V-6)で表され、式中M1はHである。
【0094】
-光学媒体
本発明はさらに、本明細書で定義されるとおりの本発明に従う半電導性発光ナノ粒子、または本明細書で定義されるとおりの本発明に従う組成物または配合物を含む光学媒体に関する。
好ましい態様において、光学媒体は、光学フィルム、例えば、カラーフィルタ、色変換フィルム、リモート蛍光体テープ、または他のフィルムもしくはフィルタであり、より好ましくは色変換フィルムであり、さらに好ましくは画素化された色変換フィルムである。
【0095】
-光学デバイス
本発明はさらに、本明細書に定義されるとおりの本発明に従う半電導性発光ナノ粒子、または本明細書に定義されるとおりの本発明に従う組成物または配合物、または本発明の該光学媒体を含む光学デバイスに関する。
本発明の好ましい態様において、光学デバイスは、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレイ用バックライトユニット、発光ダイオード(LED)、微小電気機械システム(MEMS)、電気湿式ディスプレイ、電気発光量子ドット発光ダイオード(US 2016/248029 A2、EP 2221355 A1に記載されるようなEL-Q-LED)または電気泳動ディスプレイ、照明装置、および/または太陽電池である。
【0096】
-プロセス
本発明はさらにまた、本発明の光学デバイスを調製するための単純なプロセスを提供し、該プロセスは、以下のステップa)~c)を、好ましくはこの順番で含む:
a)コアおよび任意に1以上のシェル層を少なくとも有する半電導性発光ナノ粒子、少なくとも1つのさらなる機能的材料、以下に定義される化学式(I)
【化50】
で表される化合物、および任意に少なくとも1つの溶媒を混合することによって混合物を調製すること;
b基体上へ混合物を提供すること;
c)得られた混合物を、300から650nmまでの範囲において、好ましくは320から520nmまで、より好ましくは350nmから500nmまで、なおより好ましくは360nmから470nmまでの範囲にあるピーク光波長を有する光照射に供すること。
【0097】
本発明に従う半電導性発光ナノ粒子に関係して上に言及された化学式(I)で表される化合物、記号および指標の好ましい態様は、このプロセスにおいても同様に好ましい態様である。
とりわけ、上に定義されるとおりの化学式(III)で表される化合物、および上に定義されるとおりの化学式(IV)、(V-a)および(V-b)で表される化合物は好ましい。上に定義されるとおりの化学式(IV-1)~(IV-6)および(V-1)~(V-6)で表される態様はさらに具体的に好ましい。
本発明に従う光学デバイスの調製のためのプロセスの態様に従って、本明細書に定義されるとおりの化学式(I)で表される化合物は、少なくとも1つのさらなる機能的材料および任意の少なくとも1つの溶媒と混合する前に、最初に該半電導性発光ナノ粒子と混合される。
【0098】
本発明に従う光学デバイスの調製のためのプロセスの別の態様に従って、半電導性発光ナノ粒子、少なくとも1つのさらなる機能的材料および任意の少なくとも1つの溶媒は、本明細書に定義される化学式(I)で表される化合物を添加し、および得られた混合物と混合する前に、最初に混合する。
好ましくは、本発明のプロセスのこの態様に従って、化学式(I)で表される化合物は、組成物(溶剤を含まない)の総重量に基づいて、1~50wt.%、より好ましくは5~40wt.%、さらに好ましくは10~30wt.%の量で添加される。
【0099】
少なくとも1つのさらなる機能的材料は、好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つのさらなる機能的材料は、ホストまたはマトリックス材料であり、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーから選択される。本発明に従う光学デバイスを調製するためのプロセスにおいて、上記で定義される化学式(VII)で表される(メタ)アクリラートモノマーはとくに好ましい。
【0100】
「組成物」のセクションにおいて上に定義されるとおりのさらなる機能的材料の好ましい例も同様にこの文脈において好ましい。
本発明に従う光学デバイスの調製のためのプロセスに従って任意に添加されるは少なくとも1つの溶媒は、好ましくは、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート)、酢酸エチル、ブチルアセタート、アミルアセタート、エチレンカーボネート、メトキシプロピルアセタートなどのエステル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリコールエーテル、ヘキシレングリコールなどのグリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコール、またはトルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンなどの芳香族、ハロゲン化、および脂肪族炭化水素からなる群から選択される。
【0101】
ステップ(c)における光照射のための光源は、人工光源の1種以上から選択され、発光ダイオード、有機発光ダイオード、冷陰極蛍光ランプ、またはレーザー装置から選択されることが好ましい。
ステップa)において得られる混合物は、バイアルなどの透き通った容器に封入してもよい。
本発明の好ましい態様において、ステップa)、b)および/またはc)は、窒素(N2)またはアルゴン(Ar)雰囲気などの不活性条件下で行われる。より好ましくは、ステップa)およびb)の全て、および、任意にステップc)は、該不活性条件下で行われる。
ステップc)において照射される光の照射強度(すなわち、表面に入射する全光束)は、0.25~100mW/cm2の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5~50mW/cm2の範囲である。
【0102】
本発明に従って、ステップa)に従って感光性組成物を基体に提供するために、公知の任意のタイプのコーティング方法は好ましく使用され得る。例えば、浸漬コーティング、グラビアコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、ブラシコーティング、スプレーコーティング、ドクターコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、およびスリットコーティング。
基体は特に限定されず、および、例えば、シリコン基体、ガラス基体、高分子フィルムなどから適宜選択することができ、それぞれ、フレキシブル、半剛性、剛性のいずれであってもよい。好ましくは、透き通った基体が採用される。光学デバイスに適した公知の透き通った基体は所望に応じて使用され得る。
【0103】
好ましくは、透き通った基体として、透き通ったポリマー基体、ガラス基体、透き通ったポリマーフィルムに積層された薄型ガラス基体、透き通った金属酸化物(例えば、酸化シリコーン、酸化アルミニウム、酸化チタン)などは使用され得る。
光照射のステップの前、および混合物を基体上に供給するステップの後に、必要に応じて加熱ステップ(予熱処理)は任意に行われてもよい。予熱は、ホットプレート、オーブン、炉または同種のものを使用して、好ましくは50~150℃、より好ましくは90~150℃の温度で、10秒~30分、好ましくは10秒~5分程度行われる。
【0104】
さらに、光照射のステップの後に、必要に応じて照射後加熱のステップは任意に行われてもよい。照射後加熱は、ホットプレート、オーブン、炉または同種のものを使用して、好ましくは40~150℃、より好ましくは60~120℃の温度で、10秒~10分、より好ましくは20秒~5分行われる。
本発明のさらに好ましい態様において、ステップc)は、70℃以下、好ましくは60℃から0℃の範囲、より好ましくは50℃から20℃の範囲の温度で、および/または1秒から1時間、好ましくは10秒から30分、より好ましくは1分から15分の時間の間、行われる。
【0105】
好ましい態様
1.コア、任意に1以上のシェル層、および化学式(I)
【化51】
式中
oは、1、2または3、好ましくは1である;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
R
2、R
3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
【0106】
A
1は、
【化52】
であって、n=0または1である;
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNである;
A
2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
【0107】
Raは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基Raは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
【0108】
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化53】
【0109】
式中
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化54】
である;
L
2は、
【化55】
である;
【0110】
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L1と基L2との間の結合をマークし、およびここでL1およびL2の各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここでL1およびL2の1以上のCH2基は、-RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここでL1およびL2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
X1は、各発生にて同一かまたは異なっており、-COOM1、-PO(OH)(OM1)、-PO(OM1)2、-OC(S)SM1、-NH2、-NHRa、-N(Ra)2、-SO3M1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、SiORa、または-N(CS2M1)2から好ましくは選択されるアンカー基である;
【0111】
Ar1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい;
【0112】
A3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
【0113】
M1は、水素原子、または1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、1/2 Zn2+、1/2 Pb2+、1/2 Sn2+、1/2 Cd2+、1/3 Bi3+、もしくは1/4 Sn4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、または1/2 Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
によって表される化合物を含む、半電導性発光ナノ粒子。
【0114】
2.化学式(I)中
A
1が
【化56】
であり、ここでYが、上に定義されるとおりである、態様1に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0115】
3.化学式(I)中
X1が、各発生にて同一かまたは異なっており、-OC(S)SM1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、または-N(CS2M1)2から選択される;
ここでAr1、A3およびM1が、態様1に定義されるとおりである、
態様1または2に記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0116】
4.化学式(I)中
A
1が
【化57】
であり、および
X
1が、各発生にて同一かまたは異なっており、-OC(S)SM
1、-SM
1、-Ar
1-SM
1、-OCO-A
3-SM
1、-COO-A
3-SM
1、-NCO-A
3-SM
1、または-N(CS
2M
1)
2から選択される;
ここでY、Ar
1、A
3およびM
1が、態様1に定義されるとおりである、
態様1~3のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0117】
5.化学式(I)中、
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化58】
式中L
1は、
【化59】
【化60】
である;
およびL
2は、
【化61】
であり、ここでm、lおよびR
aは、態様1に定義されるとおりである、
から選択される、態様1~4のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0118】
6.化学式(I)中、
A
1は
【化62】
である;
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化63】
式中
【0119】
L
1は
【化64】
【化65】
であり、好ましくはL
1は、
【化66】
である;
L
2は、
【化67】
である;
および
【0120】
X1は、各発生にて同一かまたは異なっており、-OC(S)SM1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、または-N(CS2M1)2から選択され、
ここでm、l、Y、Ra、Ar1、A3およびM1は、態様1に定義されるとおりである、
から選択される、態様1~5のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0121】
7.化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(III)
【化68】
式中存在する記号は、態様1~6のいずれか1つに定義されるとおであり、および
式中Zは、NまたはOである、
で表される化合物を表す、態様1~6のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0122】
8.化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(IV)、(V-a)または(V-b)
【化69】
式中存在する記号および指標は、態様1~7のいずれか1つに定義されるとおりであり、およびjは、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
で表される化合物を表す、態様1~7のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0123】
9.化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(IV-1)~(IV-6)および(V-1)~(V-6)
【化70】
【化71】
【化72】
式中存在する記号および指標は、態様1~8のいずれか1つに定義されるとおりの意味を有し、および指標gおよびfは、同一かまたは異なっており、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
のうち1つで表される化合物を表す、態様1~8のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0124】
10.化学式(I)で表される化合物が、150~2000Da、より好ましくは150~1500Da、およびなおより好ましくは200~1000Daの範囲にある分子量を有する、態様1~9のいずれか1つに記載の半電導性発光ナノ粒子。
【0125】
11.一般式(III)
【化73】
式中、
Yは、O、NまたはS、好ましくはOまたはNである;
Zは、OまたはNである;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
【0126】
R2、R3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい)である;
【0127】
Raは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基Raは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
【0128】
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化74】
【0129】
式中、
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数であり、
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数であり、
L
1は、
【化75】
である;
【0130】
L
2は、
【化76】
である;
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L
1と基L
2との間の結合をマークし、およびここでL
1およびL
2の各々は、1以上の基R
aにより置換されていてもよく、ここでL
1およびL
2の1以上のCH
2基は、-R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここでL
1およびL
2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
【0131】
A3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
および、
【0132】
M1は、水素原子、または1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、1/2 Zn2+、1/2 Pb2+、1/2 Sn2+、1/2 Cd2+、1/3 Bi3+、もしくは1/4 Sn4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、または1/2 Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
で表される化合物。
【0133】
12.化合物が、以下の化学式(IV)、(V-a)または(V-b)
【化77】
式中jは、1~40、好ましくは3~24、より好ましくは4~12の整数である、
の1つで表される、態様11に記載の化合物。
【0134】
13.態様1~10のいずれか一項に記載のナノ粒子、および、
少なくとも1つのさらなる機能的材料、それは好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される、
を含む、組成物。
【0135】
14.態様11または12に記載の化合物、および、
少なくとも1つのさらなる機能的材料、それは好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される、
を含む、組成物。
【0136】
15.コアおよび任意に1以上のシェル層を少なくとも有する半電導性発光ナノ粒子、化学式(I)
【化78】
式中、
oは、1、2または3、好ましくは1である;
R
1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
【0137】
R
2、R
3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH
2基は、R
aC=CR
a-、-C≡C-、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい)である;
A
1は、
【化79】
である、
【0138】
n=0または1であり、
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNであり、
A2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
【0139】
Raは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基Raは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
【0140】
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化80】
【0141】
式中、
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化81】
である;
L
2は、
【化82】
である;
【0142】
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L1と基L2との間の結合をマークし、およびここでL1およびL2の各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここでL1およびL2の1以上のCH2基は、-RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここでL1およびL2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
X1は、各発生にて同一かまたは異なっており、-COOM1、-PO(OH)(OM1)、-PO(OM1)2、-OC(S)SM1、-NH2、-NHRa、-N(Ra)2、-SO3M1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、SiORa、または-N(CS2M1)2から好ましくは選択されるアンカー基である;
【0143】
Ar1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい;
A3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
【0144】
M1は、水素原子、または1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、1/2 Zn2+、1/2 Pb2+、1/2 Sn2+、1/2 Cd2+、1/3 Bi3+、もしくは1/4 Sn4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、または1/2 Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
によって表される化合物;ならびに
【0145】
少なくとも1つのさらなる機能的材料、それは好ましくは有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、および増感剤からなる群から選択される、
を含む、組成物。
【0146】
16.化学式(I)で表される化合物が、以下の化学式(III)
【化83】
式中Zは、NまたはOである、
で表される化合物を表す、態様15に記載の組成物。
【0147】
17.Lが、化学式(II)
【化84】
L
1は、
【化85】
である;
L
2は、
【化86】
である;
【0148】
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L1と基L2との間の結合をマークし、およびここでL1およびL2の各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここでL1およびL2の1以上のCH2基は、-RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここでL1およびL2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される、
M1は、Hである、
m、lおよびRaは、態様15に定義されるとおりである組成物。
【0149】
18.組成物が、化学式(I)で表される化合物を、組成物の総重量に基づき、1~30wt.%の量において含む、態様15~17のいずれか1つに記載の組成物。
【0150】
19.少なくとも1つのさらなる機能的材料が、ホストまたはマトリックス材料であり、好ましくは(メタ)アクリラートモノマーまたはポリマーから選択される、態様13に記載の組成物または態様14に記載の組成物、または態様15~18のいずれか1つに記載の組成物。
【0151】
20.態様1~10のいずれか1つに記載のナノ粒子、または態様11または12に記載の化合物、または態様13~19のいずれか一項に記載の組成物、および、
少なくとも1つの溶媒、それは好ましくは、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート)、酢酸エチル、ブチルアセタート、アミルアセタート、エチレンカーボネート、メトキシプロピルアセタートなどのエステル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリコールエーテル、ヘキシレングリコールなどのグリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコール、またはトルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンなどの芳香族、ハロゲン化、および脂肪族炭化水素からなる群から選択される、
を含む、配合物。
【0152】
21.態様11に記載の化合物の、少なくともコアおよび任意に1以上のシェル層を有する半電導性発光ナノ粒子、および少なくとも1つのさらなる機能的材料を含む組成物における、添加剤としての使用。
【0153】
22.態様1~10のいずれか1つに記載のナノ粒子、態様12~19のいずれか1つに記載の組成物、または態様20に記載の配合物の、電子デバイス、光学デバイスまたは生物医学デバイスにおける使用。
【0154】
23.態様1~10のいずれか1つに記載のナノ粒子、または態様11または12に記載の化合物、または態様12~19のいずれか1つに記載の組成物、または態様20に記載の配合物を含む、光学媒体。
【0155】
24.態様1~9のいずれか一項に記載のナノ粒子、または態様10または11に記載の化合物、または態様12~15のいずれか1つに記載の組成物、または態様16に記載の配合物、または態様18に記載の光学媒体を含む、光学デバイス。
【0156】
25.以下のステップa)~c):
a)コアおよび任意に1以上のシェル層を少なくとも有する半電導性発光ナノ粒子、少なくとも1つのさらなる機能的材料、以下に定義される化学式(I)で表される化合物、および任意に少なくとも1つの溶媒を混合することによって混合物を調製すること;
b)基体上へ混合物を提供すること;
c)得られた混合物を、300から650nmまでの範囲において、好ましくは320から520nmまで、より好ましくは350nmから500nmまで、なおより好ましくは360nmから470nmまでの範囲にあるピーク光波長を有する光照射に供すること:
【化87】
式中、
oは、1、2または3、好ましくは1である;
【0157】
R1は、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個)の炭素原子を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい)である;
【0158】
R2、R3は、互いに独立して、H、D、CN、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);あるいは、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい)である;
【0159】
A
1は、
【化88】
である;
n=0または1である;
Yは、O、N、S、好ましくはOまたはNである;
【0160】
A2は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2よって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
Raは、出現毎に同一かまたは異なっており、H、D、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキル基またはアルコキシ基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキル基またはアルコキシ基;2~40個の炭素原子(好ましくは2~24個の炭素原子、より好ましくは2~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニル基またはアルキニル基;3~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは3~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニル基またはアルキニル基;5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(ここで上述の基の各々において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、およびここで2以上の隣接する置換基Raは相互に、単-または多環式の、脂肪族の環系を任意に形成していてもよい)である;
【0161】
Lは、1~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基;3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状もしくは環状のアルキレン基;2~40個の炭素原子(好ましくは3~24個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子)を有する直鎖のアルケニレン基もしくはアルキニレン基;または3~40個の炭素原子(好ましくは4~24個の炭素原子、より好ましくは5~12個の炭素原子)を有する分枝状のアルケニレン基もしくはアルキニレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって各々置換されていてもよく、および各場合において1以上のCH
2基は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有するアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、-O-、NR
a、-C(=O)O-、または-C(=O)NR
a-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよい);5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香環系、アラルキレン基、ヘテロアラルキレン基、アルキルアリーレン基またはアルキルヘテロアリーレン基(それらの各々は、1以上の基R
aによって置換されていてもよく、およびここで各場合において1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2によって置き換えられていてもよい)、あるいは以下の化学式(II)
【化89】
式中、
【0162】
mは、1~50、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、およびさらにより好ましくは4~12の整数である;
lは、1~25、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、およびさらにより好ましくは1~8の整数である;
L
1は、
【化90】
である;
L
2は、
【化91】
である;
【0163】
ここで破線は、残りの化合物への結合を示し、および記号「*」は、基L1と基L2との間の結合をマークし、およびここでL1およびL2の各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここでL1およびL2の1以上のCH2基は、-RaC=CRa-、-C≡C-、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここでL1およびL2における1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい、によって表される基から選択される二価の基である;
X1は、各発生にて同一にまたは異なって、-COOM1、-PO(OH)(OM1)、-PO(OM1)2、-OC(S)SM1、-NH2、-NHRa、-N(Ra)2、-SO3M1、-SM1、-Ar1-SM1、-OCO-A3-SM1、-COO-A3-SM1、-NCO-A3-SM1、SiORa、または-N(CS2M1)2選択される;
【0164】
Ar1は、5~40個の芳香環原子(好ましくは5~25個の芳香環原子、より好ましくは5~18個の芳香環原子)を有する芳香環系またはヘテロ芳香環系から選択される二価の基であるが、それらの各々は、1以上の基Raによって置換されていてもよく、およびここで芳香族またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい;
A3は、1~40個の炭素原子(好ましくは1~25個の炭素原子、より好ましくは1~15個の炭素原子)を有する直鎖のアルキレン基、3~40個の炭素原子(好ましくは3~25個の炭素原子、より好ましくは3~15個の炭素原子)を有する分枝状または環状のアルキレン基(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、ここで各場合において1以上のCH2基は、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、-O-、NRa、-C(=O)O-、または-C(=O)NRa-によって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよい);5~25個の芳香環原子(好ましくは5~18個の芳香環原子、より好ましくは5~12個の芳香環原子)を有する芳香族環系またはヘテロ芳香環系(それらの各々は、1以上の基Raにより置換されていてもよく、およびここで芳香族環系またはヘテロ芳香環系の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2によって置き換えられていてもよい)から選択される二価の基である;
【0165】
M1は、水素原子、または1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、1/2 Zn2+、1/2 Pb2+、1/2 Sn2+、1/2 Cd2+、1/3 Bi3+、もしくは1/4 Sn4+から選択される金属カチオン、好ましくは水素原子、1/2 Mg2+、1/2 Cu2+、または1/2 Zn2+、より好ましくは水素原子を示す、
を含む、態様24に記載の光学デバイスの調製のためのプロセス。
27.少なくとも1つのさらなる機能的材料が、有機発光材料、無機発光材料、電荷輸送材料、ホストまたはマトリックス材料、光学的に透き通ったポリマー、抗酸化剤または安定剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤または重合開始剤、湿潤および分散剤、散乱粒子、屈折率調節材料、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、接着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤および増感剤からなる群から選択される、および好ましくはホストまたはマトリックス材料から選択される、より好ましくは(メタ)メタクリラートモノマーまたはポリマーから選択される、および/または、
少なくとも1つの任意の溶媒が、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート)、酢酸エチル、ブチルアセタート、アミルアセタート、エチレンカーボネート、メトキシプロピルアセタートなどのエステル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリコールエーテル、ヘキシレングリコールなどのグリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなどのアルコール、またはトルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびヘプタンなどの芳香族ハロゲンおよび脂肪族炭化水素からなる群から選択される、態様26に記載のプロセス。
【0166】
本発明の効果
本発明は、以下に列挙される技術的効果の1つ以上を提供する。
電子デバイス、光学デバイス、または生物医学デバイスに使用されるとき、とりわけ高い量子収率および高い発光効率を示すことができる、新規な半電導性発光ナノ粒子、
改善された熱安定性を有する新規な半電導性発光ナノ粒子、
改善された長期安定性を有する新規な半電導性発光ナノ粒子、
好ましくは極性溶媒における良好な可溶性を有する新規な半電導性発光ナノ粒子、
【0167】
電子、光学、または生物医学デバイスの製造に使用される様々なポリマーベース、とくに(メタ)アクリラートベースまたはエポキシベースに高い化学的親和性を有する新規な半電導性発光ナノ粒子、
溶液、配合物またはフィルム(フィルム硬化後を包含する)において安定した分散を維持することができる新規な半電導性発光ナノ粒子、
ナノ粒子表面の増大した安定性、および重合および/または架橋され得る下層のナノ粒子の安定性をさらに増強させることができる新規化合物、
ナノ粒子表面を不動態化し、および、電子、光学、生物医学デバイスの製造に使用される様々な溶媒およびポリマーベース、とりわけ極性溶媒または(メタ)アクリラートベース、エポキシベースとナノ粒子の化学的親和性を提供し得る新規化合物、
【0168】
ナノ粒子の凝集を防止し、および、溶液、配合物、フィルム(フィルム硬化後を包含する)におけるナノ粒子の良好な分散を確保することができる新規化合物、
高発光効率、高輝度、高コントラスト、高信頼性、短応答性を有する光デバイス、および
光学デバイスを作製するための単純な調製プロセス。
以下の実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらは例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものでない。
【実施例】
【0169】
実施例:
例において使用される化合物
【0170】
表1:例において使用される化学式(I)に関する化合物
【表1】
【0171】
実施例1 - 4-[(2-スルファニルアセチル)オキシ]ブチルプロパ-2-エノアート(1)の調製
光不在において、180mLの超乾燥トルエン、ベンゼン-1,4-ジオール(0.038g、0.01eq.)、4-ヒドロキシブチルプロプ-2-エノアート(5.3g、1eq.)および2-サルファニル酢酸(2.3g、0.67eq.)をアルゴン雰囲気下、Dean-Stark装置に接続した250mL丸底フラスコに撹拌しながら添加する。この混合物に、4-メチルベンゼン-1-スルホン酸(0.25g、0.04eq.)を添加する。かくして得られた混合物を、還流下、アルゴン雰囲気下、撹拌しながら18時間煮沸する。次いで、加熱を停止し、および系を室温まで冷却する(外部冷却なし)。次のステップにおいて、混合物を蒸留水で洗浄し、相分離、MgSO4で乾燥、およびブフナー漏斗装置を使用するろ過の後、ベンゼン-1、4-ジオール(0.010g)を添加する。次いで、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して5mbar、30℃で除去する。7.1gの純粋な4-[(2-スルファニルアセチル)オキシ]ブチルプロップ-2-エノアートが得られる(収率:87.9%)。
【0172】
実施例2 - 2,5,8,11,14,17-ヘキサメチル-20-[(2-スルファニルアセチル)オキシ]-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサヘニコサン-1-イルプロパ-2-エノアート(2)の調製
光不在において、180mLの超乾燥トルエン、ベンゼン-1,4-ジオール(0.050g、0.03eq.)、20-ヒドロキシ-2,5,8,11,14,17-ヘキサメチル-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサヘニコサン-1-イルプロップ-2-エノアート(7.65g、1eq.)および2-スルファニル酢酸(0.98g、0.67eq.)をアルゴン雰囲気下、Dean-Stark装置に接続した250mL丸底フラスコに撹拌しながら添加する。次いで、4-メチルベンゼン-1-スルホン酸(0.2g、0.07eq.)を添加する。かくして得られた混合物を、還流下、アルゴン雰囲気下、撹拌しながら18時間煮沸する。次いで、加熱を停止し、および系を室温まで冷却させる(外部冷却なし)。次のステップにおいて、混合物を蒸留水で洗浄し、相分離、MgSO4で乾燥、およびブフナー漏斗装置を使用するろ過の後、ベンゼン-1,4-ジオール(0.010 g)を添加する。溶媒をロータリーエバポレーターを使用して5mbar、30℃で除去する。純粋な2,5,8,11,14,17-ヘキサメチル-20-[(2-スルファニルアセチル)オキシ]-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキサヘニコサン-1-イルプロップ-2-エノアート8g(収率:90.5%)が生成物として得られる。
【0173】
実施例3 - リガンドとして化合物(1)および化合物(2)をもつ量子材料の官能化
298μL(無機物30mg含有)の量子ドット(QD)溶液(WO2014/162208および/またはUS9、343、301BBに記載されるとおり製造された赤色発光QD、以下「赤QD@ネイティブ」と示す)に化合物(1)または(2)30mgを混合して不活性雰囲気下、室温で16時間撹拌させる。化合物(1)を含有する試料は、いくつかの沈殿が形成されるが、遠心分離(5500rpm、5分間)により除去し、上清を回収する。化合物(2)を含有する試料は、沈殿は形成されない。かくして得られた化合物(1)または(2)のいずれかをリガンドとして官能化したQDを、それぞれ赤色QD@リガンド#1および#2と表す(いずれの場合も、TGAではQDの総重量を基準として60wt.%リガンドを示す)。有機リガンド(化合物(1)または(2))の量は、熱重量分析(TGA)(モデルTGA2、Metler Toledo)を使用して計算される。量子材料をトルエンに溶解させる。量子収率をHamamatsu絶対量子収率測定装置(型式:Quantaurus C11347)を使用して測定する。量子収率の測定結果を以下の表2にまとめる。
【0174】
実施例4 - 疎水性インク配合物(配合物1)におけるQD(「赤QD@ネイティブ」、「赤QD@リガンド#1」および「赤QD@リガンド#2」)の安定性測定
インク配合物の調製:TBCH(4-tertブチルスクロヘキシルアクリラート)、LA(ラウリルアクリラート)およびトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)をそれぞれ67.5:27.5:5の重量比で混合し、疎水性インク配合物(本明細書において「配合物1」と示す)を調製する。次いで、光重合開始剤Irgacure819を1wt.%溶解して、インク配合物とする。
実施例5から得られた各QD(すなわち、「赤色QD@ネイティブ」、「赤色QD@リガンド#1」、「赤色QD@リガンド#2」)で、以下の合成(フィルム調製および熱安定性試験を包含する)を行う。
実施例3から得られたQDを真空下で乾燥させる。乾燥したQDを、30wt.%(有機および無機重量)の濃度でインク配合物1と混合する(この混合物を「QD@TBCH-1」と示す)。
フィルムの調製:ガラス基体(4×4cm)にQD@TBCH-1をコーティングし、約10μmの厚さのフィルムを形成する。不活性条件下(アルゴン)でUV光(波長365nm)を10分間照射してモノマーを重合する。フィルム硬化後の量子収率をHamamatsu絶対量子収率測定装置(型式:Quantaurus C11347)を使用して測定(同日)する。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
熱安定性試験:UV硬化後に得られたフィルムをアルゴン雰囲気下のチューブオーブンに入れ、180℃に0.5時間加熱する。加熱後1日後、特定の場合においては1週間後に、加熱したフィルムの量子収率を測定する。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
【0175】
実施例5: 疎水性インク配合物(配合物2)におけるQD(「赤QD@ネイティブ」、「赤QD@リガンド#1」および「赤QD@リガンド#2」)の安定性測定
インク配合物の調製:Irgacure819の1wt.%をイソボルニルアクリラート(IBOA)で溶解することにより、疎水性インク配合物(本明細書において「配合物2」と示す)を調製する。実施例3で得られたQD(「赤色QD@ネイティブ」、「赤色QD@リガンド#1」、「赤色QD@リガンド#2」)は、真空下で乾燥させる。乾燥した各QDを30wt%(有機および無機重量)の濃度でインク配合物2と混合する。
フィルムの調製:実施例4と同じ。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
熱安定性試験:実施例4と同じ。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
【0176】
実施例6 - リガンドとして化合物(2)をもつ量子材料の官能化
500μL(30mgの無機物を含有する)のQD溶液(WO 2014/162208および/またはUS 9,343,301 BBに記載されるとおり製造した緑発光QD、「緑QD@ネイティブ」と示す)に30mg(または15mg)の化合物(2)を混合して室温、不活性雰囲気下で16時間撹拌した後、化合物(2)の溶液を添加する。沈殿物は形成されない。一部分において、過剰な化合物(2)が洗い流されていない。かくして得られた化合物(2)をリガンドとして官能化したQDを「緑QD@リガンド#2洗浄なし」と示す(TGAはODの総重量に基づいて5 wt.%のリガンドを示す)。もう一方は、1mLの無水エタノールを添加し、遠心分離(5500rpm、5分)してQDを分離した。上清を除去し、得られた固体を真空下で乾燥させる。かくして得られた化合物(2)をリガンドとして官能化したQDを「洗浄後の緑QD@リガンド#2」と示す(TGAではQDの総重量に基づいて30wt%のリガンドを示す)。有機リガンド(化合物(2))の量は、熱重量分析(TGA)(モデルTGA2、Metler Toledo)を使用して計算する。量子材料は、1mLのトルエンに溶解させる。量子収率は、Hamamatsu絶対量子収率測定装置(型式:Quantaurus C11347)を用いて測定する。量子収率の測定結果を以下の表2にまとめる。
【0177】
実施例7 - インク配合物1におけるQD(「緑QD@ネイティブ」、「緑QD@リガンド#2洗浄なし」、「緑 QD@リガンド#2洗浄後」)の安定性測定
実施例6で得られた各QD(すなわち、「緑QD@ネイティブ」、「緑QD@リガンド#4洗浄なし」、「緑QD@リガンド#2洗浄後」)を使用して、以下の合成(フィルム調製および熱安定性試験を包含する)を行う。
実施例6で得られたQDを真空下で乾燥させる。乾燥したQDを、30wt.%(有機および無機重量)の濃度でインク配合物1と混合する(この混合物を「QD@TBCH-2」と示す)。
フィルムの調製:ガラス基体(4×4cm)にQD@TBCH-2をコーティングし、約10μmの厚さのフィルムを形成する。不活性条件下(アルゴン)でUV線(波長365nm)を10分間照射してモノマーを重合する。フィルム硬化後の量子収率は、Hamamatsu絶対量子収率測定装置(型式:Quantaurus C11347)を使用して測定(同日)する。量子収率の測定結果を下記表3にまとめる。
熱安定性試験:UV硬化後に得られたフィルムをアルゴン雰囲気下のチューブオーブンに入れ、180℃に0.5時間加熱する。加熱後1日後、および特定の場合においては1週間後に、加熱したフィルムの量子収率を測定する。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
【0178】
実施例8 - 化合物(2)を添加剤としてもつインク配合物1におけるQD(「緑QD@ネイティブ」)の安定性測定
実施例6からのQD(緑色QD@ネイティブ)を乾燥させ、30wt%(有機および無機重量)の濃度でインク配合物1中に溶解させる。化合物(2)30μLをインクに直接添加する(この混合物を「QD@TBCH-3」と示す)。
フィルムの調製:ガラス基体(4×4cm)に25μLのQD@TBCH-3をハンドバーコーターでコーティングし、約10μmの厚さのフィルムを形成する。不活性条件下(アルゴン)で紫外線(波長365nm)を10分間照射し、モノマーを重合させる。フィルム硬化後の量子収率をHamamatsu絶対量子収率測定装置(型式:Quantaurus C11347)を使用して測定(同日)する。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
熱安定性試験:UV線硬化後に得られたフィルムをアルゴン雰囲気下のチューブオーブンに入れ、180℃に0.5時間加熱する。加熱1日後に加熱フィルムの量子収率を測定する。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
【0179】
実施例9 - インク配合物2におけるQD(「緑QD@ネイティブ」)の安定性測定
実施例6からのQD(「緑QD@ネイティブ」)を乾燥させ、30wt%(有機および無機重量)の濃度でインク配合物2に溶解させる。
フィルム作製および熱安定性試験を、実施例8に記載されるとおり実施した。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
【0180】
実施例10 - 化合物(2)を添加剤としてもつインク配合物2におけるQD(「緑QD@ネイティブ」)の安定性測定
実施例6からのQD(「緑QD@ネイティブ」)を乾燥させ、30wt.%(有機および無機重量)の濃度でインク配合物2に溶解させる。化合物(2)30μLをインク配合物に直接添加する。
フィルム作成および熱安定性試験を実施例8に記載されるとおりに行う。量子収率の測定結果を以下の表3にまとめる。
【0181】
実施例11 - 緑CdフリーQMを33.1wt%、添加剤として化合物(2)を26.5wt%もつモノマー混合インクの調製
4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリラート(TBCH、BASF)0.39g、ラウリルアクリラート(LA、Sigma Aldrich)0.95g、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA、Sigma Aldrich)を混合し、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物へ0.01gの分散剤(MD-1000、Otsuka化学)を分散させる。次いで、得られた混合物に0.15gの散乱ビーズ(CR-67、Ishihara Sangyo)を超音波処理およびジルコニウムビーズで粉砕することにより混合する。得られた混合物に、固体QMを1.32g含む緑色CdフリーQMトルエン溶液(WO 2014/162208および/またはUS 9,343,301 BBに記載の方法で製造した緑発光QD、「グリーンQD@ネイティブ」と示す)13.9mlを超音波処理することにより混合し、40℃で低圧下にトルエンを蒸発させる。最後に、実施例2に従って調製した化合物(2)1.06g、光開始剤(Omnirad 819、IGM RESINS B.V.)0.03gおよび安定剤(Irganox1010、BASF)0.02gを、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物と混合する。
【0182】
比較例1 - 緑CdフリーQMを33.1wt%もつモノマー混合インクの調製
4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリラート(TBCH、BASF)0.68g、ラウリルアクリラート(LA、Sigma Aldrich)1.67g、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA、Sigma Aldrich)0.12gを混合し、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物へ、分散剤(MD-1000、Otsuka化学)を0.01g分散させる。次いで、得られた混合物に0.15gの散乱ビーズ(CR-67、Ishihara Sangyo)を超音波処理およびジルコニウムビーズで粉砕することにより混合する。得られた混合物に、固体QMを1.32g含む緑色CdフリーQMトルエン溶液(WO 2014/162208および/またはUS 9,343,301 BBに記載されるとおり製造した緑発光QD、「グリーンQD@ネイティブ」と示す)13.9mlを超音波処理することにより混合し、40℃で低圧下にトルエンを蒸発させる。最後に、0.03gの光開始剤(Omnirad 819、IGM RESINS B.V.)および0.02gの安定剤(Irganox1010、BASF)を、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物と混合する。
【0183】
実施例12 - 緑CdフリーQMを38.1wt%および添加剤として化合物(2)を15.3wt%もつモノマー混合インクの調製
4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリラート(TBCH、BASF)0.45g、ラウリルアクリラート(LA、Sigma Aldrich)1.10g、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA、Sigma Aldrich)0.08gを混合し、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物へ、0.01gの分散剤(MD-1000、Otsuka化学)を分散させる。次いで、得られた混合物に0.17gの散乱ビーズ(CR-67、Ishihara Sangyo)を超音波処理およびジルコニウムビーズで粉砕することにより混合する。得られた混合物に、固体QM1.53gを含む緑色CdフリーQMトルエン溶液(WO2014/162208および/またはUS9、343、301 BBに記載されるとおり製造した緑発光QD、「緑QD@ネイティブ」と示す)16.0mlを超音波処理することにより混合し、40℃で低圧下にトルエンを蒸発させて、混合物を得る。最後に、実施例2に従って調製した化合物(2)0.61g、光開始剤(Omnirad 819、IGM RESINS B.V.)0.03gおよび安定剤(Irganox1010、BASF)0.03gを、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物と混合する。
【0184】
比較例2 - 緑CdフリーQMを38.1wt%もつモノマー混合インクの調製
4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリラート(TBCH、BASF)0.61g、ラウリルアクリラート(LA、Sigma Aldrich)1.51g、トリメチロールプロパンアクリラート(TMPTA、Sigma Aldrich)0.11gを混合し、超音波処理することにより得られた混合物へ、分散剤(MD-1000、Otsuka化学)0.01gを分散させる。次いで得られた混合物に0.17gの散乱ビーズ(CR-67、Ishihara Sangyo)を超音波処理およびジルコニウムビーズで粉砕することにより混合する。得られた混合物に、固体QMを1.53g含む緑色CdフリーQMトルエン溶液(WO 2014/162208および/またはUS 9,343,301 BBに記載されるとおり製造した緑色発光QD、「グリーンQD@ネイティブ」と示す)16.0mlを超音波処理することにより混合し、低圧下40℃でトルエンを蒸発させる。最後に、0.03gの光開始剤(Omnirad 819、IGM RESINS B.V.)および0.03gの安定剤(Irganox1010、BASF)を、撹拌および超音波処理することにより得られた混合物と混合する。
実施例11および12ならびに比較例1および2に従って調製したモノマー混合インクの組成を、以下の表4に提示する。
【0185】
実施例13 - 光学測定
フィルム調製:実施例11、12および比較例1、2で得られた各モノマー混合インクを、ガラス基体をシール材で挟んだセルに毛細管注入し、厚さ約15μmの各フィルムを形成する。不活性条件(N2)下、UV線(365nm(i線)で3.9mW/cm2)を200秒照射してモノマーを重合させる。
【0186】
光学的測定
ハロゲンランプ(LUMOLUX fuse optik)、バンドパスフィルター(CWL:450nm/FWHM:10nm)、積分球(ISP-50-8-R、Ocean Optics)、分光器(USB-4000、Ocean Optics)を含有する外部量子効率測定装置により、作製したフィルムの外部量子効率を測定した。
作製したフィルムの発光スペクトルは、450nmの青色励起光を光ファイバーを通してフィルムのガラス面側に照射して測定した。照射領域の直径は5mm程度である。フィルム基体の大きさは、積分球のポートより大きい。QDフィルムからの緑色の発光光と吸収されない青色の励起光が積分球に入る。積分光は光ファイバーで分光器に送られる。
実施例11および12ならびに比較例1および2で得られたモノマー混合インクを用いて作製した量子材料含有フィルムの光学測定の結果を
図1および
図2に示す。
【0187】
実験結果:
表2:アクリル酸-チオールリガンドをもつ官能化したQDの量子収率およびリガンド量。
【表2】
QDの総重量に基づく
【0188】
表3:UV硬化および加熱後のQD(赤と緑)フィルムの量子収率測定結果
【表3】
(*QYは硬化5~15分後に測定、**はインク組成物の総重量に基づく)、TGAを用いて算出;モデルTGA2、Metler Toledo)
【0189】
表2および表3に提示する結果から分かるように、すべての実験において、赤色または緑色QDの量子収率は、フィルムのUV線硬化後に大きく低下しない(特定の場合において、QYは硬化後になおより高い)。一方、表3に提示する結果から、硬化したフィルムを加熱すると(加熱後1日)、量子収率の低下が観察されることがわかる。しかし、ネイティブリガンドを有するQDでは量子収率の低下が非常に大きいのに対して、本発明によるQDでは、すなわち量子収率の低下が著しく抑制されている(すなわち、QY安定性は増大する)ことがわかる。本明細書で定義される二官能性アクリラートベース化合物(ここでは、チオール-アクリラート化合物(1)または(2))とのリガンド交換後)、本発明によるQDの熱安定性が著しく増大していることを示す。具体的には、表3の実施例4および5から分かるように、本発明による二官能性アクリラートベースのリガンドは、TBCH/LA/TMPTA含有インク配合物(配合物1)と同様に、IBOA含有インク配合物(配合物2)における赤色QDの高い安定性に寄与することができる。さらにまた、実施例7から分かるように、本発明による二官能性アクリラートベースのリガンドは、加熱後1週間でさえ、TBCH/LA/TMPTA配合物(配合物1)中の緑QDの高い安定性に寄与できる(「緑QD@リガンド#2洗浄なし」)。実施例7および8ならびに9および10の実験結果の比較もまた、本明細書で定義される化学式(I)で表される二官能性アクリラートベース化合物(ここではチオール-アクリラート化合物(2))をQD含有インク配合物に直接添加する添加剤として本発明に従って使用される場合より高い安定性が得られることを明らかにする。
【0190】
表4:実施例11および12ならびに比較例1および2で調製したモノマー混合インクの組成。
【表4】
【0191】
図1は、実施例11および12ならびに比較例1および2で調製されたインクを使用して実施例13から得られたQD含有フィルムの外部量子効率(EQE)/%の変化を示す図表である。
図2は、実施例11および12ならびに比較例1および2で調製されたインクを使用して実施例13から得られたQD含有フィルムの最大強度のシフトを示す、波長にわたる強度を正規化した発光スペクトルである。
図1および
図2に提示される測定結果から分かるように、QD含有インク配合物に直接添加される添加剤として、本明細書に定義される化学式(I)で表される二官能性重合性アクリラートベース化合物(ここでは、チオール-アクリラート化合物(2))を本発明に従って使用すると(実施例11および12)、かかる化合物を含有しないインク配合物(比較例1および2)と比較して1~2%のEQE増加および波長における1~2nm赤シフトの減少が達成される。
【0192】
実施例14 - モノマー混合物インクの調製
添加剤として、化合物2を1.5、3、7.5、15、25、25wt.%使用した以外は、実施例11のセクションで述べたのと同様にして、モノマー混合インクを調製した。また、比較例として、化合物2を含まないモノマー混合インク(0wt.%)を用意した。
EQE測定は、実施例13に記載したやり方と同様にして行う。
表5はEQE測定の結果を示す。
【0193】
【国際調査報告】