(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルの固化
(51)【国際特許分類】
C07C 227/42 20060101AFI20221110BHJP
B01J 2/26 20060101ALI20221110BHJP
B01J 2/02 20060101ALI20221110BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20221110BHJP
C07C 229/52 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C07C227/42
B01J2/26
B01J2/02 A
B01J2/00 A
C07C229/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516629
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2020075727
(87)【国際公開番号】W WO2021052942
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロップ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ウロッチ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンターベルグ,ノルベルト
【テーマコード(参考)】
4G004
4H006
【Fターム(参考)】
4G004AA00
4G004CA07
4H006AA02
4H006AB92
4H006AD15
4H006BC51
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BR60
4H006BT32
4H006BU46
(57)【要約】
本発明は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化させる方法であって、液体のヘキシル2-[4-5(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]ベンゾエートに少なくとも400s-1の剪断速度を適用するステップ(a)を含む、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化させる方法であって、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに少なくとも400s
-1の剪断速度を適用するステップ(a)を含む、方法。
【請求項2】
液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルが、溶融物又はサブクール溶融物として提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶融物が、54℃超~70℃、好ましくは54℃超~65℃の温度を有し、又は
サブクール溶融物が、15~54℃、好ましくは20~35℃の温度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
適用される剪断速度が、少なくとも500s
-1、好ましくは少なくとも1000s
-1又は少なくとも2000s
-1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)が、54℃未満、好ましくは40℃以下の温度に冷却される装置において実施される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)が、押出機、表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽において実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)が押出機において実施され、方法が、
(a1)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを、液体溶融物が得られるまで加熱するステップ、
(a2)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを押出機に供給するステップ、
(a3)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを押し出すステップ
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a1)において、54℃超の温度が適用され、及び/又は
ステップ(a2)が、供給物を54℃超の温度に加熱しながら実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
押出ステップ(a3)が、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを固化したストランドの形態で提供する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
押出ステップ(a3)が、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを懸濁液の形態で提供し、これを
(a4i)懸濁液を54℃未満、好ましくは40℃未満の温度の冷却ベルト又はドラムフレーカーで冷却して、固化溶融物を得るさらなるステップ
によって固化させる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
(a5i)固化溶融物を破壊してフレーク又は粒子にするさらなるステップ
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
押出ステップ(a3)が、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを懸濁液の形態で提供し、これを
(a4ii)懸濁液の液滴を形成し、これを54℃未満、好ましくは40℃未満の温度の冷却ベルトで冷却して、固化したパスティルを得るさらなるステップ
によって固化させる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
押出機が、単軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機である、請求項7から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルが押出機に連続的に供給され、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルが、固化したストランドの形態で又は懸濁液の形態で押出機から連続的に収集される連続プロセスとして実施される、請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)が、表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽において実施され、方法が、
(a1r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを、液体溶融物が得られるまで加熱するステップ、
(a2r)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを冷却して、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物を得るステップ、
(a3r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物を、装置、好ましくは表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽に供給するステップ、及び
(a4r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物に剪断を適用するステップ
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化させる方法であって、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに少なくとも400s-1の剪断速度を適用するステップ(a)を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)は、DHHBとも称され、ベンゾフェノン誘導体の群に属するUV-Aフィルターである。これはBASFによってUvinul A Plusという商品名で販売されている。これは約54℃の融点を有する。
【0003】
無溶媒のDHHB溶融物は結晶化しにくいことが当技術分野で公知である。過冷却溶融物は、最終的に結晶化するまで数週間、準安定液体状態を保つことができる。そのような非常にゆっくりと結晶化する製品では、冷却ベルトでのフレーク化又はパスティル化(pastillation)のような経済的な固化方法は不可能である。タブ又はドラムにおいてDHHBを結晶化させ、その後これを破砕するような方法のみが適用可能である。しかし、これらの方法は空時収率が低く、不均一な粒子形状及びサイズにつながり、このことは例えば、そのケーキング(caking)特性に関する欠点につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、DHHBを固化させる改善された方法を提供することであった。特に、本発明の目的は、先行技術の方法と比較して、経済的利点を有する方法を提供することであった。さらに、目的は、均一な粒子形状及びサイズであり、好ましくは良好な流動性を示す、固化したDHHBを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、前述の目的の少なくとも1つを本発明の方法によって達成することができることが見出された。特に、本発明は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCIジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、DHHB)を固化させる方法であって、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに少なくとも400s-1の剪断速度を適用するステップ(a)を含む、方法に関する。
【0006】
驚くべきことに、DHHB溶融物又はサブクール溶融物(subcooled melt)に剪断速度を適用することによりDHHBの結晶化を誘発し、したがって結晶化を強力に加速することができることが、本発明の発明者らによって見出された。
【0007】
好ましい実施形態では、溶融物は、54℃超~70℃、好ましくは54℃超~65℃の温度を有し、又はサブクール溶融物は15~54℃、好ましくは20~35℃の温度を有する。
【0008】
好ましい実施形態では、適用される剪断速度は、少なくとも500s-1、好ましくは少なくとも1000s-1又は少なくとも2000s-1である。非常に高い剪断速度を生成する装置は押出機である。
【0009】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法は、押出機、表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置(cooling disc crystallizer)、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽において実施される。
【0010】
好ましい一実施形態によれば、ステップ(a)は押出機において実施され、
本発明の方法は、好ましい実施形態では、
(a1)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを、液体溶融物が得られるまで加熱するステップ、
(a2)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを押出機に供給するステップ、
(a3)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを押し出すステップ
を含む。
【0011】
別の好ましい実施形態では、ステップ(a)は、表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽において実施され、本発明の方法は、
(a1r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを、液体溶融物が得られるまで加熱するステップ、
(a2r)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを冷却して、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物を得るステップ、
(a3r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物を、装置、好ましくは表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽に供給するステップ、及び
(a4r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物に剪断を適用するステップ
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の方法に関する好ましい実施形態を提示する。上述の好ましい実施形態及びさらに下記に例示される好ましい実施形態は、単独でも互いに組み合わせても好ましいことを理解すべきである。
【0013】
上記に示すとおり、本発明の方法は、結晶化を誘発するために、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルに少なくとも400s-1の剪断速度を適用するステップ(a)を含む。
【0014】
好ましい実施形態では、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、溶融物又はサブクール溶融物として提供される。使用される装置に応じて、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、溶融物として又はサブクール溶融物として提供されることを理解すべきである。
【0015】
好ましい実施形態では、溶融物は、54℃超~70℃、好ましくは54℃超~65℃の温度を有し、又はサブクール溶融物は、15~54℃、好ましくは20~35℃の温度を有する。
【0016】
剪断速度の適用は、核生成が開始して固化を引き起こすまでの期間を決定付ける。好ましくは、剪断速度は、核生成が2時間未満で、より好ましくは1時間未満で開始するように適合させる。好ましい実施形態では、適用される剪断速度は、少なくとも500s-1、好ましくは少なくとも1000s-1又は少なくとも2000s-1である。より好ましい実施形態では、適用される剪断速度は、少なくとも5000s-1である。好ましい剪断速度は、1000~100000、好ましくは2000~50000、より好ましくは8000~30000の範囲内である。そのような高い剪断速度は、核生成が開始するまでの期間をさらに減少させ、それにより、固化方法の効率を上昇させる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「剪断速度」という用語は、液体のDHHBに漸進的な剪断変形が適用される速度を指す。一般に、剪断速度は、1枚は一定のスピードで移動し、もう1枚は静止している2枚の平行なプレート間を流動する流体について、以下の式:
γ=v/h
(式中、「γ」は秒の逆数(毎秒)で測定される剪断速度であり、「v」はメートル毎秒で測定される移動するプレートの速度であり、「h」はメートルで測定される2枚の平行なプレート間の距離である)
に基づいて決定され得る。この原理に基づいて、剪断速度の適用に使用される装置の回転スピード及び寸法は、剪断速度を予め決定する。
【0018】
DHHBの固化は、融点を下回る温度、すなわち54℃未満の温度を適用することによってさらに増強され得る。好ましい実施形態では、本発明の方法のステップ(a)は、54℃未満、好ましくは40℃以下の温度に冷却される装置において実施される。20℃~35℃の範囲内の温度、例えば約30℃が特に好ましい。
【0019】
本発明の方法に好適な装置は押出機である。したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法は押出機において実施される。押出機は、部分又は完全固化に使用され得る。完全固化は、数分以内に、好ましくは30分以内に、より好ましくは20分以内に生じ得る。好適な押出機には、単軸スクリュー及び二軸スクリュー押出機が含まれる。共回転又は逆回転スクリューを備えた二軸スクリュー押出機が好ましい。押出機は、必要に応じて加熱手段及び冷却手段を備えていてもよい。所要の剪断速度を適用するために、押出機のスクリュースピード、すなわち回転スピード(rpmで測定されるスクリュースピード)を適合させる。剪断速度はまた、とりわけ、スクリュー直径及びスクリューと壁との間の距離によって決まることが当業者に知られている。特に、高いスクリュースピード、大きいスクリュー直径及びスクリューと壁との間の短い距離は、高い剪断速度をもたらし、逆もまた同様である。
【0020】
上記に示すとおり、方法のステップ(a)は、好ましくは、54℃未満、好ましくは40℃未満の温度に冷却される装置において実施される。したがって、押出機のバレル温度は、54℃未満、好ましくは40℃未満であることが好ましい。この目的のために、クリオスタットが使用され得る。
【0021】
DHHBは、液体形態で押出機に導入されることが好ましい。したがって、押出機に供給するステップの前にDHHBが加熱されることが好ましい。よって、好ましい実施形態では、本発明の方法は、
(a1)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを、液体溶融物が得られるまで加熱するステップ、
(a2)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを押出機に供給するステップ、
(a3)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを押し出すステップ
を含む。
【0022】
好ましい一実施形態では、ステップ(a1)において、54℃超の温度が適用される。好ましくは、ステップ(a1)における液体溶融物は、54℃超~80℃、より好ましくは60~75℃の温度で得られる。別の好ましい実施形態では、ステップ(a2)は、供給物を54℃超の温度に加熱しながら実施される。好ましくは、ステップ(a2)における液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、54℃超~75℃、より好ましくは54℃超~70℃、さらにより好ましくは54~65℃の温度で供給される。また別の好ましい実施形態では、ステップ(a3)は、54℃未満、好ましくは40℃未満のバレル温度で実施される。好ましくは、ステップ(a3)における液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、10~54℃、より好ましくは11~50℃の温度で押し出される。別の好ましい実施形態では、ステップ(a3)において、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、10~30℃、より好ましくは12~25℃、さらにより好ましくは14~22℃、特に15~21℃の温度を有する。
【0023】
別の好ましい実施形態では、ステップ(a3)は、押出ヘッドからの効率的な押出を確保するために、少なくとも大気圧下で、好ましくは大気圧よりも高い圧力で実施される。
【0024】
押出ステップ(a3)はDHHBを様々な形態で提供し得る。
【0025】
好ましい一実施形態では、押出ステップ(a3)は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを固化したストランドの形態で提供する。
【0026】
別の好ましい実施形態では、押出ステップ(a3)は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを懸濁液の形態で提供し、これを
(a4i)懸濁液を54℃未満、好ましくは40℃未満の温度の冷却ベルト又はドラムフレーカーで冷却して、固化溶融物を得るさらなるステップ
によって固化させる。
【0027】
より好ましくは、ステップ(a4i)において、懸濁液は、20~30℃の範囲内の温度で、特に室温で冷却される。次いで、ステップ(a4i)に続くさらなるステップにおいて、得られた固化溶融物は破壊して、フレーク又は粒子にし得る。したがって、好ましい実施形態では、方法は、
(a5i)固化溶融物を破壊してフレーク又は粒子にするステップ
をさらに含む。
【0028】
別の好ましい実施形態では、押出ステップ(a3)は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを懸濁液の形態で提供し、これを
(a4ii)懸濁液の液滴を形成し、25℃以下の温度の冷却ベルトで冷却して、固化したパスティル(pastille)を得るさらなるステップ
によって固化させる。
【0029】
好ましい実施形態では、押出機は、単軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機である。
【0030】
さらなる好ましい実施形態では、本発明の方法は、液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルが押出機に連続的に供給され、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルが、固化したストランドの形態で又は懸濁液の形態で押出機から連続的に収集される連続プロセスとして実施される。
【0031】
十分な剪断速度を提供する任意の装置、例えばレオメータ、表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽が好適である。したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法は、レオメータ、表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽、より好ましくは表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽において実施される。
【0032】
これに関連して、方法のステップ(a)における液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルは、好ましくは、サブクール溶融物として提供される。
【0033】
サブクール溶融物は、好ましくは、15~54℃、より好ましくは15~40℃、さらにより好ましくは20~35℃、特に20~30℃の温度を有する。
【0034】
装置は、好ましくは、15~54℃、より好ましくは15~40℃、さらにより好ましくは20~35℃、特に20~30℃の温度を有する。
【0035】
サブクール溶融物は、任意の公知の方法に従って提供され得る。
【0036】
表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽が使用される場合、DHHBは、サブクール溶融物として表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽に導入されることが好ましい。したがって、好適な装置、例えば表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽に供給するステップの前に、DHHBが最初に加熱され次いで冷却されることが好ましい。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、
(a1r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを、液体溶融物が得られるまで加熱するステップ、
(a2r)液体の2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルを冷却して、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物を得るステップ、
(a3r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物を、装置、好ましくは表面かき取り式熱交換器、冷却ディスク晶析装置、又はかき取りかき混ぜ機を備えた撹拌槽に供給するステップ、及び
(a4r)2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルのサブクール溶融物に剪断を適用するステップ
を含む。
【0038】
好ましい一実施形態では、ステップ(a1r)において、54℃超の温度が適用される。好ましくは、ステップ(a1r)における液体溶融物は、54℃超~80℃、より好ましくは60~75℃の温度で得られる。別の好ましい実施形態では、ステップ(a2r)において、サブクール溶融物は、好ましくは、15~54℃、より好ましくは15~40℃、さらにより好ましくは20~35℃、特に20~30℃の温度を有する。別の好ましい実施形態では、ステップ(a4r)は、54℃未満、好ましくは40℃未満、より好ましくは35℃未満、特に30℃未満の温度で実施される。また別の好ましい実施形態では、ステップ(a4r)は、15~54℃、より好ましくは15~40℃、より好ましくは20~35℃、特に20~30℃の温度で実施される。
【0039】
別の好ましい実施形態では、ステップ(a4r)は、少なくとも大気圧下で実施される。
【0040】
剪断ステップ(a4r)は、DHHBを様々な固化形態で提供し得る。
【0041】
本発明を以下の実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0042】
[比較例]
DHHBの固化を以下の条件下で試験した。
【0043】
【0044】
これらの結果は、DHHBの固化反応速度が非常にゆっくりであることを示す。
【0045】
[実施例1]
レオメータにおけるDHHBの固化
25℃の温度を有するDHHBのサブクール溶融物に、回転円錐によって剪断を適用した。
【0046】
剪断速度及び粘度を観察することによって、核生成の開始を決定した。剪断速度が低下し、粘度が上昇すると、核生成が開始する。
【0047】
剪断速度の上昇とともに、核生成が開始するまでの期間が短縮されることが観察された。核生成は、次いでDHHBの固化を引き起こす。異なる剪断速度についての結果を表2に要約する。
【0048】
【0049】
[実施例2]
押出機におけるDHHBの固化
ダイヘッドなしの押出機を使用した。DHHBの溶融には、70℃の温度の加熱キャビネットを使用した。供給ユニットを60℃の温度で加熱した。クリオスタットを使用して押出機を冷却した。スクリューの回転スピードは、表3に示すとおり適合させた。押出機のスループット及び押出塊の温度は、表3に示すとおり適合させた。固化時間についての結果を表3に提示する。
【0050】
【国際調査報告】