IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

特表2022-548379光硬化性(メタ)アクリレート組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(54)【発明の名称】光硬化性(メタ)アクリレート組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
C08F290/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517797
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020051644
(87)【国際公開番号】W WO2021055862
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/902,659
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ジン、 シュファ
(72)【発明者】
【氏名】チュヨン、 チー-ミン
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD211
4J127BG141
4J127BG14Y
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127CB132
4J127CB151
4J127CB281
4J127CC012
4J127CC021
4J127CC132
4J127CC161
4J127CC162
4J127DA12
4J127DA42
4J127DA44
4J127DA63
4J127DA66
4J127EA12
4J127FA08
(57)【要約】
【解決手段】
膜の表面、特に、膜フィルターのような浸透及び逆浸透用途で使用される膜の表面に特徴を形成するための光硬化性(メタ)アクリレート組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分、
b)(メタ)アクリレートモノマー、
c)有機フィラー、及び
d)光開始剤、
を含む、光硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物は、UV光又は可視光に曝されると、硬化した反応生成物を形成し、
前記硬化した反応生成物が、
1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、及び/又は
2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満
の質量損失を示す、光硬化性組成物。
【請求項2】
前記硬化した反応生成物が、約20以上のショアD硬度を有する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
前記硬化性組成物が、約10,000~約100,000cpsの粘度を有する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記硬化性組成物が、約1.5~約6のチキソトロピー指数を有する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約20重量%~約60重量%の量で存在する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分がポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーである、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
前記(メタ)アクリレートモノマーが、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約10重量%~約60重量%の量で存在する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレートモノマーがポリエチレングリコールジアクリレートである、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
前記有機フィラーが、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約40重量%の量で存在する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
前記有機フィラーが疎水性ポリオレフィンベースの有機増粘剤である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
前記有機フィラーが、ポリ塩化ビニル粉末、ポリプロピレン粉末、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
前記光開始剤が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約0.2重量%~約5重量%の量で存在する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
前記光開始剤が、UV光又は可視光範囲の放射線によって励起される少なくとも1つの発色団が付着しているポリマー構造である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項14】
a)少なくとも1つの表面を含む膜、及び
b)前記膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に配置された、請求項1に記載の光硬化性組成物の硬化した反応生成物、
を含む、複合膜構造。
【請求項15】
前記硬化した反応生成物が、前記膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に接着結合されている、請求項14に記載の複合膜構造。
【請求項16】
前記硬化した反応生成物が、前記膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に、予め決められたパターンで配置される、請求項14に記載の複合膜構造。
【請求項17】
前記予め決められたパターンが、ストライプ、波、円、楕円、弧、正方形、長方形、ダイヤモンド、五角形、六角形、星、山形、ランダムなパターン、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項16に記載の複合膜構造。
【請求項18】
a)i)(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分、
ii)(メタ)アクリレートモノマー、
iii)有機フィラー、及び
iv)光開始剤、
を含む硬化性組成物を提供する工程、並びに
b)前記硬化性組成物をUV又は可視光源に曝露して、硬化した反応生成物を形成する工程
を含む、加水分解的に安定した硬化した反応生成物を製造する方法であって、
前記硬化した反応生成物が、
1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、又は
2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満、
の質量損失を示すときに、前記加水分解安定性が実証される、方法。
【請求項19】
前記硬化した反応生成物が、約20以上のショアD硬度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約20重量%~約60重量%の量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分がポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記(メタ)アクリレートモノマーが、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約10重量%~約60重量%の量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記(メタ)アクリレートモノマーがポリエチレングリコールジアクリレートである、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記有機フィラーが、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約40重量%の量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記有機フィラーが疎水性ポリオレフィンベースの有機増粘剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記有機フィラーが、ポリ塩化ビニル粉末、ポリプロピレン粉末、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記光開始剤が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて約0.2重量%~約5重量%の量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記光開始剤が、UV光又は可視光範囲の放射線によって励起される少なくとも1つの発色団が付着しているポリマー構造を有する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテルウレタンアクリレート及び有機フィラーを含む硬化性(メタ)アクリレート組成物、並びにこうした組成物の製造方法及び使用方法に関する。より具体的には、本発明は、膜、特に膜フィルターのような浸透及び逆浸透用途で使用される膜の表面上に、特徴を形成するための光硬化性(メタ)アクリレート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性組成物は、いくつか例を挙げると、シーリング、接着、コーティング、及びポッティングの用途に広く使用されてきた。骨格及び硬化性基の種類は、一般に、特定の最終用途とそれが使用されることが意図される環境を参照して選択される。様々な程度の不飽和基及び他の機能的に架橋する基を有するポリマーが使用されてきた。
【0003】
逆浸透(RO)膜の結合及び間隔(spacing)のために、一般的に使用される接着剤(すなわち、硬化性組成物)は、2部構成の室温硬化ポリウレタン又はエポキシである。ゲル化時に先立って2つの部分を混合及び適用してパーツを形成しなければならず、これは、いくつかの用途にとって望ましくない。(メタ)アクリレート末端ポリブタジエンを含有する光硬化性アクリレートは、膜の折り畳みの保護(membrane fold protection)用として開示されているが、膜への結合は報告されていない。ポリブタンジエンアクリレートオリゴマーは、一般に多くの基材への接着性が低い。ポリエーテルウレタンアクリレート樹脂を含有する光硬化性アクリレートは、優れた加水分解安定性を有することが知られているが、RO膜への結合はアルカリ性溶液中では困難である。
【0004】
硬化性組成物と膜表面との間の適切な接着が当初は達成されたとしても、硬化後並びに膜の使用中及び維持管理中に膜への良好な接着を維持するためには、膜表面に接着される材料、例えばスペーサー特徴が必要である。例えば、RO膜の使用及び維持管理には、膜表面とそれに接着する特徴/スペーサーを水性環境にさらす必要がある。特に、膜の洗浄には、しばしば膜を酸性及び塩基性の水溶液にさらす必要がある。特に酸性及びアルカリ性溶液下で、水と接触すると、硬化した組成物によって形成された特徴は劣化し、使用中及び維持管理中に質量、機械的強度、及び膜への接着が失われる場合がある。
【0005】
光硬化性(メタ)アクリレート組成物、及びこうした組成物を使用して膜表面に加水分解的に安定した特徴を形成し、これにより、硬化した組成物の膜表面への良好な接着、並びに膜の後続する使用中及び維持管理中の硬化した組成物の良好な接着、質量、及び機械的強度の維持が可能になる方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、a)(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分、b)(メタ)アクリレートモノマー、c)有機フィラー、及びd)光開始剤を包含する光硬化性(メタ)アクリレート組成物であって、UV光又は可視光に曝されると、前記硬化性組成物は硬化した反応生成物を形成し、前記硬化した反応生成物は、1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、及び/又は、2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満の質量損失を示す、光硬化性組成物を提供する。
【0007】
本発明の別の態様では、a)少なくとも1つの表面を含む膜、及びb)前記膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に配置された、上記の硬化性組成物の硬化した反応生成物を包含する複合膜構造を提供する。
【0008】
本発明の更に別の態様では、a)i)(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分、ii)(メタ)アクリレートモノマー、iii)有機フィラー、及びiv)光開始剤を含む硬化性組成物を提供する工程、並びに
b)前記硬化性組成物をUV又は可視光源に曝露して、硬化した反応生成物を形成する工程を含む、加水分解的に安定した硬化した反応生成物を製造する方法であって、
前記硬化した反応生成物が、1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、又は2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満の質量損失を示すときに、前記加水分解安定性が実証される、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、a)(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分、b)(メタ)アクリレートモノマー、c)有機フィラー、及びd)光開始剤を包含する光硬化性(メタ)アクリレート組成物であって、UV光又は可視光に曝されると、前記硬化性組成物は硬化した反応生成物を形成し、前記硬化した反応生成物は、1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、及び/又は、2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満の質量損失を示す、光硬化性組成物を対象とする。
【0010】
本明細書で使用される場合、「加水分解的に安定」とは、硬化した反応生成物が水の存在下での化学分解に耐性があることを意味する。この加水分解安定性は、特にRO膜の用途では重要である。これは、このような複合膜構造の使用中及び維持管理中に、硬化した反応生成物が(しばしば連続的に)水性条件にさらされるためである。さらに、膜の特定の使用に応じて、硬化した反応生成物は、高度に酸性及び高度に塩基性の条件にさらされる場合がある。例えば、RO膜フィルターの洗浄又は再調整には、スペーサー要素に捕捉された残留物及び破片(すなわち、硬化した反応生成物によって形成された特徴)を除去するための苛性溶液の適用が含まれる。したがって、硬化した反応生成物の加水分解安定性は、これらの膜要素の寿命を延ばし、それらの頻繁な交換に関連する費用を削減するために重要である場合がある。
【0011】
本発明の1つの態様では、硬化した反応生成物の加水分解安定性は、硬化反応生成物が、水溶液のような水性条件にさらされたときに最小の質量損失を示すときに実証される。本明細書で使用される場合、「最小の質量損失」とは、高温で長期間水性条件にさらされたときの損失が、5%未満、4%未満、3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、又は0.5%未満であることを意味する。本明細書で使用される場合、「長期間」とは、約0.5週間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、又は約6週間を意味する。本明細書で使用される場合、「高温」とは、約30℃以上、約35℃以上、約40℃以上、約45℃以上、約50℃以上、約55℃以上、約60℃以上、又は約70℃以上を意味する。
【0012】
本発明の態様では、水性条件には、酸性の水性条件、塩基性の水性条件、及び中性の水性条件が包含されてよい。本明細書で使用される場合、「酸性の水性条件」とは、pHが約3以下、約2.5以下、約2以下、約1.5以下、又は約1以下の水性条件を意味する。本明細書で使用される場合、「塩基性の水性条件」とは、pHが約11以上、約11.5以上、約12以上、約12.5以上、又は約13以上の水性条件を意味する。本明細書で使用される場合、「中性の水性条件」とは、pHが約6~約8又はpHが約7の水性条件を意味する。
【0013】
本発明の1つの態様では、硬化した反応生成物の加水分解安定性は、硬化反応生成物が、1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、及び/又は、2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満、の質量損失を示すときに示される。
【0014】
本発明の1つの態様では、硬化した反応生成物は、約20以上、好ましくは約20~約70、又は約40~約60のショアD硬度を有する。
【0015】
本発明の1つの態様では、硬化性組成物は、約10,000~約100,000、又は約20,000~約80,000センチポアズ(25℃、10s-1)の粘度を有する。
【0016】
本発明の1つの態様では、硬化性組成物は、堆積を容易にするのに十分なチキソトロピーを可能にする一方で、堆積後及び硬化前にその物理的構造を維持するように効果的にバランスがとられた、最適化されたレオロジーを有する。本明細書で使用される場合、「チキソトロピー」とは、応力(例えば、混合及び振とう)が加えられると物質の粘性が低くなり、こうした応力がないと(例えば、静止状態)粘性が高くなることを意味する。
【0017】
本発明の更なる態様では、硬化性組成物は、約1.5~約6、又は約1.5~約5のチキソトロピー指数を有する。本明細書で使用される場合、「チキソトロピー指数」とは、1s-1の速度での硬化性組成物の粘度(センチポアズ)と10s-1の速度での硬化性組成物の粘度(センチポアズ)との比(1s-1での粘度/10s-1での粘度)を意味する。粘度は、既知の方法、例えば、コーンプレートレオメーター、平行プレートレオメーター、又はブルックフィールド粘度計等の回転粘度計を使用して決定してよい。
【0018】
本発明の1つの態様では、(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分は、ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーである。適切なポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーとしては、これらに限定されないが、脂肪族ウレタンアクリレートが挙げられる。適切なポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーの例としては、エベクリル264、265、270、1258、4100、4200、4220、4265、8807、8810及び8800-20R(全てオルネクスから)、BR-14B、BR-302、BR-344、BR-345、BR-372、BR-543、BR-571、BR-582、BR582E8、BR-930D、BR-3042及びBR-3471(全てダイマックスから)、ジェノマー4230、4217、(全てラーンから)、CN9004、9005、959、989、996及び980(全てサートマーから)が挙げられる。IGM、エボニック及び興和のようなウレタンアクリレート製造業者からの他のポリエーテルウレタンアクリレートも使用してよい。
【0019】
本発明の1つの態様では、ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコールジアクリレート(ポリエーテルウレタンアクリレートの正確な構造は不明)、又はこれらの組合せである。
【0020】
本発明の更なる態様では、(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分は、硬化性組成物の総重量に基づいて約20重量%~約60重量%、又は約30重量%~約50重量%の量で存在する。
【0021】
適切な(メタ)アクリレートモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-へプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸-エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル-2-ペルフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジペルフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロメチル-2-ペルフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、及び2-ペルフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。本発明の1つの態様では、(メタ)アクリレートモノマーは、SR259(サートマーからのポリエチレングリコール(200)ジアクリレート)等のポリエチレングリコールジアクリレートである。適切な多官能性(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、望ましくはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノール-A(メタ)アクリレート(「EBIPA」又は「EBIPMA」)等のビスフェノール-Aジ(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフラン(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリレート、シトロネリルアクリレート及びシトロネリルメタクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(「HDDA」又は「HDDMA」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(「ETTA」)、トリエチレングリコールジアクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)が挙げられる。本発明の1つの態様では、(メタ)アクリレートモノマーは、単官能性若しくは二官能性アクリレート、又はこれらの組合せである。
【0022】
本発明の1つの態様では、(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性組成物の総重量に基づいて約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約40重量%の量で存在する。
【0023】
本発明の更なる態様では、(メタ)アクリレートモノマーは、約1,000cps未満又は約500cps未満の粘度を有する。
【0024】
本発明の1つの態様では、有機フィラーとしては、疎水性ポリオレフィンベースの有機増粘剤、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性ポリマー、ポリオレフィン、ナイロン繊維、及びこれらの組合せが挙げられる。適切な有機フィラーとしては、ポリ塩化ビニル粉末、ポリプロピレン粉末、又はこれらの組合せが挙げられる。
【0025】
本発明の1つの態様では、有機フィラーは、硬化性組成物の総重量に基づいて約5重量%~約50重量%又は約15重量%~約40重量%の量で存在する。
【0026】
本発明の態様では、硬化性組成物は、光硬化性(photocurable)又は光硬化性(light curable)組成物であり、すなわち、可視光又は紫外線(UV)のような光を使用して硬化可能である。本発明の態様では、硬化性組成物は、可視光又はUV光を生成する電球又はLED等の光源を使用して硬化させてよい。
【0027】
本発明の更なる態様では、光開始剤は、UV開始剤、可視開始剤、又はUVと可視開始剤の組合せであってよい。本発明の1つの態様では、光開始剤は、UV光又は可視光範囲の放射線によって励起される少なくとも1つの発色団が付着しているポリマー構造である。
【0028】
様々なUV開始剤を使用してよい。UV開始剤は、一般に200~400nmの範囲で、特に不可視光に隣接するスペクトルの部分及びこれをわずかに超える可視部分、例えば>200nm~約390nmで、有効である。
【0029】
本発明において有用である、UV放射に応答し、(メタ)アクリル官能化硬化性成分の硬化を開始及び誘導する開始剤としては、これらに限定されないが、ベンゾフェノン及び置換ベンゾフェノン、アセトフェノン及び置換アセトフェノン、ベンゾイン及びそのアルキルエステル、キサントン及び置換キサントン、ホスフィンオキシド、ジエトキシ-アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ-チオ-キサントン、N-メチルジエタノール-アミン-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
こうしたUV開始剤の例としては、「オムニラッド」(以前の「イルガキュア」)及び「ダロキュア」、商品名、特に、「オムニラッド」184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、369(2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン)、500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの組合せ)、651(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンとの組合せ)、及び819[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]、並びに「ダロキュア」1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン)及び4265(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンとの組合せ)、並びに2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社からルシリンTPOとして市販されている)としてIGMレジンから市販されている開始剤が挙げられる。もちろん、これらの材料の組合せも本明細書で使用してよい。もちろん、本明細書でUV光開始剤として分類されるこれらの光開始剤のいくつかは、可視範囲へのテーリング吸収を有し、UV光硬化開始剤と可視光硬化開始剤との境界線にまたがるが、それにもかかわらず、本発明の一部として本明細書に含まれることが理解される。
【0031】
可視光に応答して硬化を開始及び誘導する本発明で使用するのに適切な開始剤としては、これらに限定されないが、カンファーキノンペルオキシエステル開始剤、9-フルオレンカルボン酸ペルオキシエステル、可視光[青]光開始剤、d1-カンファーキノン、「イルガキュア」784DC(置換チタノセンに基づく光開始剤)、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0032】
他の適切な光開始剤系としては、以下の特許又は刊行物のそれぞれに開示されているものが挙げられ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0033】
本明細書に参照により組み込まれる田本らの米国特許第4,505,793号は、3-ケト置換クマリン化合物と活性ハロゲン化合物との組合せを包含する光重合開始剤を開示している。いくつかの例示的な化合物が開示されている。こうした光重合開始剤は、約180nm~600nmの範囲の波長を有する光への曝露によって硬化する。
【0034】
本明細書に参照により組み込まれる永島らの米国特許第4,258,123号は、化学線を照射するとフリーラジカルを生成する開始剤成分を包含する感光性樹脂組成物を開示している。こうした成分としては、本明細書でより完全に記載されているように、様々なトリアジン化合物が挙げられる。
【0035】
追加の有用な成分は、参照により本明細書に組み込まれる以下の文書に開示されている。欧州特許公開番号EP0369645A1は、トリハロメチル置換-s-トリアジン、約300~1000nmの範囲の放射線を吸収することができる増感化合物、及び電子供与体を包含する3部構成の光開始剤系を開示している。ケトン、クマリン染料、キサンテン染料、3H-キサンテン-3-オン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、メタン及びポリメチン染料、ポルフィリン、芳香族多環式炭化水素、p-置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリリウム染料、及びピリジニウム染料を包含する例示的な増感化合物が開示されている。アミン、アミド、エーテル、尿素、フェロセン、スルフィン酸とその塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸とその塩、ジチオカルバミン酸とその塩、キサントゲン酸塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、及びテトラフェニルボロン酸の塩を含む例示的な供与体も開示されている。こうした開始剤は、UV光及び可視光の両方に感受性がある。
【0036】
追加の有用な成分は、参照により本明細書に組み込まれる以下の文書に開示されている。欧州特許公開番号EP0563925A1は、約250~1000nmの範囲の放射線を吸収できる増感化合物及び2-アリール-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンを包含する光重合開始剤を開示している。開示される例示的な増感化合物としては、シアニン染料、メロシアニン染料、クマリン染料、ケトクマリン染料、(チオ)キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、スクアリリウム染料、ピリジニウム染料、(チア)ピリリウム染料、ポルフィリン染料、トリアリールメタン染料、(ポリ)メタン染料、アミノスチリル化合物及び芳香族多環式炭化水素が挙げられる。これらの光重合開始剤は、UV及び可視光に感受性がある。
【0037】
参照により本明細書に組み込まれるネッカーズらの米国特許第5,395,862号は、可視光に感受性のあるフルオロン光開始剤を開示している。こうしたフルオロン開始剤系には、励起されたフルオロン種からの電子を受け入れることができる共開始剤も包含される。オニウム塩、ニトロハロメタン及びジアゾスルホンを包含する例示的な共開始剤が開示されている。参照により本明細書に組み込まれるネッカーズらの米国特許第5,451,343号は、350nmを超える波長の光を吸収する開始剤としてフルオロン及びピロニン-Y誘導体を開示している。参照により本明細書に組み込まれる、パラゾットらの米国特許第5,454,676号は、UV光又は可視光下で硬化する3部構成の光開始剤系を開示している。3部構成系には、アリーリドニウム塩、増感化合物、及び電子供与体が包含される。例示的なヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩が挙げられる。3部構成系で使用するための例示的な増感剤及び電子供与体も開示されている。さらに、増感剤は約300~1000nmの範囲の光を吸収することができる。
【0038】
本発明の更なる態様では、光開始剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて約0.2重量%~約5重量%、又は約1重量%~約3重量%の量で存在する。
【0039】
本発明の更なる態様では、硬化性組成物は、酸性及び塩基性溶液中で安定である無機フィラーをさらに含んでよい。無機フィラーとしては、ヒュームドシリカ、シラン処理ヒュームドシリカ、シリケート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、長石、強磁性体、フライアッシュ、ガラス繊維、ジュート繊維、マイカ、石英、二酸化チタン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
本発明の1つの態様では、無機フィラーは、硬化性組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約40重量%又は約1重量%~約10重量%の量で存在する。
【0041】
共開始剤、安定剤、レオロジー調整剤、消泡剤、阻害剤、脱酸素剤、染料、着色剤、顔料、接着促進剤、可塑剤、強化剤、補強剤、蛍光剤、湿潤剤、酸化防止剤、及びこれらの組合せのような任意の添加剤もまた、本発明の組成物に包含されてよい。
【0042】
本発明はまた、a)少なくとも1つの表面を含む膜、及びb)前記膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に配置された、上記の硬化性組成物の硬化した反応生成物を包含する複合膜構造を対象とする。
【0043】
本発明は更に、a)i)(メタ)アクリレート官能化ポリエーテルウレタン成分、ii)(メタ)アクリレートモノマー、iii)有機フィラー、及びiv)光開始剤を含む硬化性組成物を提供する工程、並びに
b)前記硬化性組成物をUV又は可視光源に曝露して、硬化した反応生成物を形成する工程を含む、加水分解的に安定した硬化した反応生成物を製造する方法であって、
前記硬化した反応生成物が、1)酸性の水性(pH=1.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに2%未満、又は2)塩基性の水性(pH=12.5)条件に約50℃の温度で約4週間さらされたときに3%未満の質量損失を示すときに、前記加水分解安定性が実証される、方法を対象とする。
【0044】
本発明の複合膜構造の別の態様では、硬化した反応生成物は、膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に接着結合する。
【0045】
本発明の複合膜構造の別の態様では、硬化した反応生成物は、膜の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に、予め決められたパターンで配置される。本発明の複合膜構造の実施形態では、予め決められたパターンは、ストライプ、波、円、楕円、弧、正方形、長方形、ダイヤモンド、五角形、六角形、星、山形、ランダムなパターン、及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0046】
本発明の1つの態様では、パターンは、硬化性組成物の膜表面への印刷又は堆積とそれに続く硬化性組成物の硬化のような既知の方法によって膜表面に形成される。本発明の方法によって膜表面に形成されたパターンは、典型的には、硬化した反応生成物から形成された多数の特徴から構成される。一般に、これらの特徴は、膜のオーバーレイ層間の間隔を提供するのに適した物理的特性を有する。例えば、これらの特徴は、これらの特徴を有する膜を採用する逆浸透膜要素の操作、洗浄、及び寿命を最適化するために、スパイラル逆浸透濾過膜の層間に適切な間隔を提供してよい。本発明の1つの態様では、特徴のパターンは、適切な膜間隔を維持し、膜の効率的な操作を確実にするために十分な膜表面を露出させるのに十分なサイズ及び形状を有してよい。
【0047】
硬化性組成物が堆積される表面は、硬化性組成物の適用に適した任意の膜の表面を包含してよい。本発明の1つの態様では、硬化性組成物が堆積される表面は、膜表面である。本明細書で使用される場合、「膜」とは、一部の物質の通過を許可するが、他の物質の通過を防止する選択的な障壁を意味する。本発明の1つの態様では、膜はフィルター膜、すなわち、水等の液体担体から物質を濾過するための膜である。フィルター膜としては、逆浸透膜、正浸透膜、精密ろ過膜、限外ろ過膜、及びナノろ過膜が挙げられる。硬化した組成物からなる特徴は、膜の活性表面、若しくは膜の非活性表面、又はその両方に堆積されてよい。
【0048】
一般に、前述の記載は、模範的及び例示的な目的のために提供され、本発明は必ずしもそれに限定されるものではない。むしろ、当業者は、追加の修正、及び特定の状況への適合が、本明細書に示され、記載され、本明細書に添付された特許請求の範囲に含まれることを理解するであろう。
【実施例
【0049】
[材料]
実施例では、表1に記載の以下の成分を使用した。
【0050】
【表1】
【0051】
ポリエステルウレタンアクリレートAは、飽和ポリエステルジオールと脂肪族ジイソシアネートとの反応による柔軟なポリエステルウレタンアクリレートであり、ヒドロキシアクリレートでキャップされている。
【0052】
[試験方法]
下記の実施例では、以下の試験方法を採用した。
【0053】
(粘度及びチキソトロピー指数)
コーンアンドプレートレオメーター(アントンパール社)を使用して、せん断速度1s-1及び10s-1で粘度を測定した。1s-1及び10s-1の粘度の比としてチキソトロピー指数を計算した。
【0054】
(化学的耐性-重量変化率)
厚さ1ミリメートルのスペーサーを有する2枚のプラスチックシートの間に光硬化性組成物を置き、100mw/cmのUVA光強度を有するUVチャンバー内で30秒間光硬化させた。硬化したシートを長さ20ミリメートル、幅10ミリメートルの長方形の試験片に切断した。次に、試験片をpH1.5の塩酸溶液又はpH12.5の水酸化ナトリウム溶液に50℃又は80℃で2~4週間浸漬した。
【0055】
浸漬後、試験片を蒸留水ですすぎ、50℃で4時間乾燥した。浸漬前後の試験片の重量のパーセント差として重量変化率を計算した。
【0056】
(ショアD硬度)
ASTM D2240に従ってショアD硬度を測定した。試験した材料を2枚のPEフィルムの間に置き、2枚のガラス板で覆って1mmの厚さのシートを形成し、次にガラス板の両面に1.5W/cmの強度のLEDライトを使用して硬化した。次に、硬化したシートを4つに切断し、積み重ねてショア硬度計で測定した。
【0057】
実施例1-様々なポリエーテル及びポリエステルウレタンオリゴマーを含む光硬化性組成物
ポリエーテル及びポリエステルウレタンオリゴマーを含む様々な光硬化性配合物を以下の表2に示すように配合した。
【0058】
【表2】
【0059】
これらの配合物を硬化し、レオロジー、ショア硬度、及び重量変化率について試験した。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
これらの結果は、特にpH12.5のアルカリ性溶液に浸漬した場合に、ポリエーテルウレタンアクリレートを使用する光硬化性組成物が、ポリエステルウレタンアクリレートよりも優れた加水分解安定性(化学的耐性)を有することを実証する。
【0062】
実施例2-様々なウレタンオリゴマー及びフィラーを含む光硬化性組成物
様々なウレタンオリゴマー及びフィラーを含む光硬化性配合物を以下の表4に示すように配合した。各ウレタンアクリレートオリゴマーについて、1つの有機フィラー及び2つの無機フィラーを比較した。
【0063】
【表4】
【0064】
これらの配合物を硬化し、レオロジー、ショア硬度、及び重量変化率について試験した。結果を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
pH1.5溶液への浸漬後とpH12.5溶液への浸漬後において、ポリエーテルウレタンアクリレート(BR582E8)含有配合物(組成物2-3、2-6、及び2-9)は、ポリエステルウレタンアクリレートA含有配合物(組成物2-1、2-4、及び2-7)並びにポリエステルウレタンアクリレート(CN9024)含有配合物(組成物2-2、2-5、及び2-8)よりも重量損失が少なかった。結果は、実施例1の結論と一致する。pH12.5溶液中において、有機フィラー(ポリ塩化ビニル粉末)含有配合物(組成物2-1、2-2、及び2-3)は、ケイ酸ジルコニウム及びケイ酸アルミニウム含有配合物(それぞれ、組成物2-4、2-5、及び2-6、並びに2-7、2-8、及び2-9)よりも重量損失が少なかった。
【0067】
実施例3-様々なポリエーテルウレタンオリゴマー及び有機フィラーを含む光硬化性組成物
様々なポリエーテルウレタンオリゴマー及び有機フィラーを含む光硬化性配合物を以下の表6に示すように配合した。
【0068】
【表6】
【0069】
これらの配合物を硬化し、レオロジー、ショア硬度、及び重量変化率について試験した。結果を表7に示す。
【0070】
【表7】
【0071】
これらの結果は、ポリエーテルウレタンアクリレート及び有機フィラーを使用する光硬化性組成物が、50℃でpH1.5溶液に浸漬後、及び50℃でpH12.5溶液に浸漬後の両方で、良好な加水分解安定性(化学的耐性)を有することを実証する。
【0072】
実施例4-様々なポリエーテルウレタンオリゴマーとアクリレートモノマーとの比を有する光硬化性組成物
様々なポリエーテルウレタンオリゴマーとアクリレートモノマーとの比を有する光硬化性配合物を以下の表8に示すように配合した。
【0073】
【表8】
【0074】
これらの配合物を硬化し、レオロジー、ショア硬度、及び重量変化率について試験した。結果を表9に示す。
【0075】
【表9】
【0076】
これらの結果は、様々なポリエーテルウレタンオリゴマーとアクリレートモノマーとの比を有する光硬化性組成物が全て、50℃でpH1.5溶液に浸漬後、及び50℃でpH12.5溶液に浸漬後の両方で、良好な加水分解安定性(化学的耐性)を有することを実証する。
【0077】
実施例5-ポリエーテルウレタンオリゴマー及び様々な有機フィラーを含む光硬化性組成物
ポリエーテルウレタンオリゴマー及び様々な有機フィラーを含む光硬化性配合物を以下の表10に示すように配合した。
【0078】
【表10】
【0079】
これらの配合物を硬化し、レオロジー、ショア硬度、及び重量変化率について試験した。結果を表11に示す。
【0080】
【表11】
【0081】
これらの結果は、フィラーを含まない、又は異なる範囲の様々な有機フィラーを含む光硬化性組成物は全て、50℃のpH1.5溶液に浸漬後、及び50℃のpH12.5溶液に浸漬後の両方で、良好な加水分解安定性(化学的耐性)を有することを実証する。しかしながら、配合物中の有機フィラーの量は粘度に影響を与える。実施例5-6及び5-6では、指定された試験方法で、フィラーが水を吸収し、水が完全に除去されなかったため、重量変化は正である。
【0082】
これらの結果は、様々な量の有機フィラーを含む光硬化性組成物が全て、50℃のpH1.5溶液への浸漬後及び50℃のpH12.5溶液への浸漬後の両方で、良好な加水分解安定性(化学的耐性)を有することを実証する。

【国際調査報告】