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特表2022-548410物理蒸着チャンバおよび物理蒸着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(54)【発明の名称】物理蒸着チャンバおよび物理蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/35 20060101AFI20221111BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
C23C14/35 A
H01L21/31 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525914
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2020123065
(87)【国際公開番号】W WO2021088658
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】201911067926.1
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 宏 瑞
(72)【発明者】
【氏名】李 冰
(72)【発明者】
【氏名】黄 其 偉
【テーマコード(参考)】
4K029
5F045
【Fターム(参考)】
4K029BD01
4K029DA10
4K029DC45
4K029DC46
5F045AA19
5F045BB10
5F045DP02
(57)【要約】
本開示の実施形態は、物理蒸着(PVD)チャンバおよびPVD装置を開示する。PVDチャンバは、チャンバ本体を含む。チャンバ本体内には、上部電極アッセンブリが配置される。上部電極アッセンブリは、マグネトロンを担持するためのベースプレート・アッセンブリと、ベースプレート・アッセンブリと間隔を置いて配置されるバックプレートと、ベースプレート・アッセンブリをバックプレートへ接合する接合アッセンブリとを含む。接合アッセンブリは、ベースプレート・アッセンブリへ接合される。接合アッセンブリは、バックプレートへねじ式に接合され、よって、ベースプレート・アッセンブリとバックプレートとの間隔は、接合アッセンブリをバックプレートに対して移動させることにより調整されることが可能である。本開示の実施形態のPVDチャンバおよびPVD装置は、要件または実際の条件に従って、ベースプレート・アッセンブリとターゲットとの間のターゲット磁気ギャップのサイズを簡便に調整することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理蒸着(PVD)チャンバであって、チャンバ本体と、前記チャンバ本体内に配置される上部電極アッセンブリとを備え、前記上部電極アッセンブリは、マグネトロンを担持するように構成されるベースプレート・アッセンブリと、前記ベースプレート・アッセンブリから間隔を置いて配置されるバックプレートと、前記ベースプレート・アッセンブリを前記バックプレートへ接合するための接合アッセンブリとを含み、
前記接合アッセンブリは、前記ベースプレート・アッセンブリへ接合され、かつ、前記接合アッセンブリは、前記バックプレートへねじ式に接合されることにより、前記ベースプレート・アッセンブリと前記バックプレートとの間隔は、前記接合アッセンブリを前記バックプレートに対して移動させることによって調整されることが可能である、PVDチャンバ。
【請求項2】
前記接合アッセンブリは、接合ボルトを含み、前記接合ボルトは、ボルトヘッドと、ボルトとを含み、前記ボルトヘッドは、前記ベースプレート・アッセンブリへ接合され、かつ、前記ボルトは、前記バックプレートへねじ式に接合される、請求項1に記載のPVDチャンバ。
【請求項3】
前記ボルトヘッドは、前記ベースプレート・アッセンブリへ回転可能に接合される、請求項2に記載のPVDチャンバ。
【請求項4】
前記ボルトヘッドは、凸球面を有するように構成され、
前記ベースプレート・アッセンブリは、ベースプレート本体を含み、前記ベースプレート本体内には、第1の凹球面を有する第1の溝が配置され、前記ボルトヘッドは、前記第1の溝内に配置され、かつ、前記凸球面は、前記第1の凹球面と協働する、請求項3に記載のPVDチャンバ。
【請求項5】
前記第1の溝の開放端は、前記バックプレートとは反対側である、前記ベースプレート本体の第1の表面上に位置決めされ、かつ、前記ボルトは、前記ベースプレート本体の外側に位置決めされ、前記バックプレートへねじ式に接合され、または、
前記第1の溝の前記開放端は、前記ベースプレート本体の内側に位置決めされ、前記ベースプレート本体には、貫通穴が設けられ、前記貫通穴の一端は、前記第1の溝の前記開放端と連通し、他端は、前記第1の表面上に位置決めされ、前記貫通穴の直径は、前記凸球面の直径より小さく、かつ、前記ボルトは、前記貫通穴から延びて、前記バックプレートへねじ式に接合される、請求項4に記載のPVDチャンバ。
【請求項6】
前記ベースプレート・アッセンブリは、さらに、固定モジュールを含み、前記固定モジュールは、前記ベースプレート本体へ着脱可能に接合され、前記固定モジュールには、第2の凹球面を有する第2の溝が備えられ、前記第2の凹球面は、連続する凹球面を形成すべく前記第1の凹球面と位置合わせされ、前記ボルトヘッドは、前記第1の溝と前記第2の溝との間に固定され、かつ、前記凸球面は、前記第1の凹球面および前記第2の凹球面と協働する、請求項5に記載のPVDチャンバ。
【請求項7】
前記ベースプレート本体には、リセスが形成され、前記固定モジュールは、前記リセス内に埋め込まれ、かつ、前記固定モジュールの、前記ベースプレート本体へ露出される表面は、前記ベースプレート本体の、前記第1の表面から離れる向きの第2の表面と同一平面である、請求項6に記載のPVDチャンバ。
【請求項8】
前記固定モジュールには、操作穴が設けられ、前記操作穴の一端は、前記第2の溝と連通し、他端は、前記固定モジュールの、前記ベースプレート本体へ露出される前記表面上に位置決めされ、かつ、前記ボルトヘッド上には、前記操作穴に対応する操作溝が設けられる、請求項7に記載のPVDチャンバ。
【請求項9】
複数の接合アッセンブリが含まれ、前記複数の接合アッセンブリは、間隔を置いて配置され、かつ各接合アッセンブリは、マグネトロンから互いにずらされる、請求項1~8のいずれか1項に記載のPVDチャンバ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のPVDチャンバを備える、物理蒸着(PVD)装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、半導体製造分野に関し、より詳細には、物理蒸着(PVD)チャンバおよびPVD装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造プロセスにおいて、物理蒸着装置は、通常、様々な異なる金属層および関連する材料層を製造するために適用される。最も広く使用されるものが、マグネトロンスパッタリング装置である。
【0003】
マグネトロンスパッタリング装置のチャンバ内には、マグネトロンとターゲットとが含まれる。マグネトロンは、ターゲットから逃げる原子に磁場力を印加して原子を予め決められた堆積位置へと駆動するために、ターゲットの近くに配置される。さらに、マグネトロンとターゲットとの間には、ターゲット磁気ギャップが存在する。ターゲット磁気ギャップの大きさが異なると、磁場力の大きさも異なる。したがって、ターゲット磁気ギャップのサイズは、原子が予め決められた堆積位置で良好に膜を形成することを可能にするための要件または実際の条件に従って、適切に設定される必要がある。
【0004】
しかしながら、既存のマグネトロンスパッタリング装置のチャンバ構造には、ターゲット磁気ギャップの大きさが調整され得ない、または調整が困難である、という問題がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態の目的は、既存の技術におけるこれらの技術的課題のうちの少なくとも1つを解決し、かつ、物理蒸着(PVD)チャンバおよびPVD装置を提供することにある。ターゲット磁気ギャップの大きさは、要件または実際の条件に従って、ベースプレート・アッセンブリとターゲットとの間で簡便に調整されることが可能である。
【0006】
上述の目的を達成するために、本開示の実施形態の第1の態様は、チャンバ本体を含むPVDチャンバを提供する。チャンバ本体内には、上部電極アッセンブリが配置されてもよい。上部電極アッセンブリは、マグネトロンを担持するように構成されるベースプレート・アッセンブリと、ベースプレート・アッセンブリから間隔を置いて配置されるバックプレートと、ベースプレート・アッセンブリとバックプレートとを接合する接合アッセンブリとを含んでもよい。
【0007】
接合アッセンブリは、ベースプレート・アッセンブリへ接合されてもよい。接合アッセンブリは、バックプレートへねじ式に接合されてもよい。したがって、ベースプレート・アッセンブリとバックプレートとの間隔は、接合アッセンブリをバックプレートに対して移動させることによって調整されてもよい。
【0008】
ある実施形態において、接合アッセンブリは、接合ボルトを含んでもよい。接合ボルトは、ボルトヘッドと、ボルトとを含んでもよい。ボルトヘッドは、ベースプレート・アッセンブリへ接合されてもよく、かつ、ボルトは、バックプレートへねじ式に接合されてもよい。
【0009】
ある実施形態において、ボルトヘッドは、ベースプレート・アッセンブリへ回転可能に接合されてもよい。
【0010】
ある実施形態において、ボルトヘッドは、凸球面として構成されてもよい。
ベースプレート・アッセンブリは、ベースプレート本体を含んでもよい。ベースプレート本体内には、第1の凹球面を有する第1の溝が配置されてもよい。ボルトヘッドは、第1の溝内に配置されてもよい。凸球面は、凹球面に適応してもよい。
【0011】
ある実施形態において、第1の溝の開放端は、バックプレートとは反対側である、ベースプレート本体の第1の表面上に位置決めされてもよい。ボルトは、ベースプレート本体の外側に位置決めされ、バックプレートへねじ式に接合されてもよい。他の一部の実施形態において、第1の溝の開放端は、ベースプレート本体の内側に位置決めされてもよい。ベースプレート本体には、貫通穴が設けられてもよい。貫通穴の一端は、第1の溝の開放端と連通していてもよい。他端は、第1の表面上に位置決めされてもよい。貫通穴の直径は、凸球面の直径より小さくてもよい。ボルトは、貫通穴から延びて、バックプレートへねじ式に接合されてもよい。
【0012】
ある実施形態において、ベースプレート・アッセンブリは、さらに、固定モジュールを含んでもよい。固定モジュールは、ベースプレート本体へ着脱可能に接合されてもよい。固定モジュールには、第2の凹球面を有する第2の溝が備えられてもよい。第2の凹球面は、連続する凹球面を形成すべく第1の凹球面と位置合わせされてもよい。ボルトヘッドは、第1の溝と第2の溝との間に固定されてもよい。凸球面は、凹球面および第2の凹球面に適応してもよい。
【0013】
ある実施形態では、ベースプレート本体上にリセスが形成されてもよい。固定モジュールは、リセス内に埋め込まれてもよい。固定モジュールの、ベースプレート本体へ露出される表面は、ベースプレート本体の、第1の表面から離れた第2の表面と同一平面であってもよい。
【0014】
ある実施形態において、固定モジュールには、操作穴が配置されてもよい。操作穴の一端は、第2の溝と連通していてもよい。他端は、固定モジュールの、ベースプレート本体へ露出される表面上に位置決めされてもよい。ボルトヘッド上には、操作穴に対応する操作スロットが配置されてもよい。
【0015】
ある実施形態では、複数の接合アッセンブリが含まれてもよい。複数の接合アッセンブリは、間隔を置いて配置されてもよい。接合アッセンブリの各々は、マグネトロンからずらされてもよい。
【0016】
本開示の実施形態の第2の態様は、先に述べたようなPVDチャンバを含むPVD装置を提供する。
【0017】
既存の技術と比較した、本開示の実施形態の有益な効果は、以下の通りである。
本開示の実施形態のPVDチャンバでは、接合アッセンブリをベースプレート・アッセンブリへ接合し、かつ、接合アッセンブリをバックプレートへねじ式に接合することにより、ベースプレート・アッセンブリとバックプレートとの間隔が、接合アッセンブリをバックプレートに対して移動させることによって調整され得る。したがって、ベースプレート・アッセンブリとターゲットとの相対位置の調整が実現され得、よって、ターゲット磁気ギャップのサイズは、要件または実際の条件に従って調整されることが可能である。さらに、上述の調整は、上述の接合アッセンブリを回転させるだけで実現可能であることから、調整方法がより簡便となり、作業効率が向上する。
【0018】
本開示の実施形態のPVD装置は、本開示の実施形態の上述のPVDチャンバを用いることにより、ベースプレート・アッセンブリとターゲットとの相対位置の調整を実現するだけでなく、ターゲット磁気ギャップを要件または実際の条件に従って調整もする。この調整方法は、より簡便であり、作業効率を向上させる。
【0019】
図面の簡単な説明
本明細書で記述する添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために使用されるものであって、本開示の一部を構成する。本開示の例示的な実施形態およびそれらの記述は、本開示を説明するために使用されるものであって、本開示を不適切に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の幾つかの実施形態による物理蒸着(PVD)チャンバの略図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態による上部電極アッセンブリの略図である。
図3図2の方向Aにおける略図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態による接合アッセンブリの構造略図である。
図5図4の方向Bにおける構造略図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態によるPVD装置の略図である。
図7a】本開示の幾つかの実施形態によるPVD装置を使用する間の、マグネトロンデバイスの組立ての調整を示す略図である。
図7b】本開示の幾つかの実施形態によるPVD装置を使用する間の、マグネトロンデバイスの組立ての調整を示す略図である。
図7c】本開示の幾つかの実施形態によるPVD装置を使用する間の、マグネトロンデバイスの組立ての調整を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の目的、技術的ソリューションおよび利点をより明確にするために、以下、本開示の特定の実施形態および対応する図面に関連して、本開示の技術的ソリューションを明確かつ完全に説明する。明らかに、説明する実施形態は、本開示の実施形態の単に一部であって、全てではない。本開示の実施形態に基づいて、一般的な当業者によって創造的な努力なしに達成される他の実施形態は全て、本開示の範囲内にあるものとする。
【0022】
図1は、本開示のある実施形態による物理蒸着(PVD)チャンバ1(以後、単にチャンバ1と称する)の略図である。
【0023】
図1に示すように、チャンバ1は、チャンバ本体100と、チャンバ本体100より上方に配置されるターゲット支持プレート300と、ターゲット支持プレート300より上方に配置される上部電極アッセンブリ200とを含む。具体的には、上部電極アッセンブリ200は、ベースプレート・アッセンブリ201と、ベースプレート・アッセンブリ201からある間隔を置いて配置されかつこれに接合されるバックプレート202とを含む。ベースプレート・アッセンブリ201は、マグネトロン203を担持するように構成されてもよい。ターゲット支持プレート300は、ベースプレート・アッセンブリ201の、バックプレート202から離れた側に配置される。ターゲット302は、ターゲット支持プレート300の、ベースプレート・アッセンブリ201から離れた側に取り付けられる。
【0024】
チャンバ1は、さらに、マグネトロン203の回転を駆動するように構成されるモータ11と、チャンバ1の内部環境の原子汚染を回避するように構成される、ライナ12、カバープレート13および堆積リング14などの他のコンポーネントと、を含む。これらのコンポーネントは、本開示の概念との相関度が低く、ここでは説明を省く。
【0025】
さらに、ターゲット支持プレート300とマグネトロン203との間には、ターゲット磁気ギャップ303が設けられる。マグネトロン203によりターゲット302から逃げる原子へ印加される磁場力の大きさは、ターゲット磁気ギャップ303を調整することによって調整され得る。したがって、原子は、予め決められた堆積位置において膜を良好に形成し得る。ターゲット磁気ギャップ303を簡便に調整するために、本実施形態では、図2に示すように、上部電極アッセンブリ200が、マグネトロン203を担持するベースプレート・アッセンブリ201と、ベースプレート・アッセンブリ201からある間隔を置いて配置されるバックプレート202と、ベースプレート・アッセンブリ201をバックプレート202へ接合する接合アッセンブリ205とを含む。接合コンポーネント205は、ベースプレート・アッセンブリ201へ接合されてもよく、かつ、接合コンポーネント205は、バックプレート202へねじ式に接合されてもよい。したがって、ベースプレート・アッセンブリ201とバックプレート202との間隔204のサイズは、接合アッセンブリ205をバックプレート202に対して移動させることにより調整されてもよい。
【0026】
したがって、ベースプレート・アッセンブリ201とターゲット302との相対位置の調整が実現され得、よって、ターゲット磁気ギャップ303のサイズは、要件または実際の条件に従って調整され得る。さらに、上述の調整は、単に上述の接合アッセンブリ205を回転させることによって実現されてもよい。したがって、この調整方法は、より簡便であり得、これにより、作業効率が向上される。
【0027】
この実施形態において、上述の接合アッセンブリ205は、接合ボルト206を含む。接合ボルト206は、ボルトヘッド207と、ボルト208とを含む。ボルトヘッド207は、ベースプレート・アッセンブリ201へ接合されてもよい。ボルト208は、バックプレート202へねじ式に接合されてもよい。
【0028】
したがって、本開示のチャンバ1(または、チャンバ1を含むPVD装置6)が使用されるとき、バックプレート202に対するベースプレート・アッセンブリ201の位置は、接合ボルト206のボルト208とバックプレート202との接合長さ(すなわち、ねじ接合の長さ)を調整することにより調整されてもよい。したがって、ターゲット磁気ギャップ303のサイズは、簡便に調整され得る。ある特定の実施形態では、バックプレート202にねじ穴209が設けられる。接合ボルト206のボルト208には、ねじ穴209と協働する雄ねじが設けられる。したがって、接合ボルト206のボルト208は、ねじ穴209へねじ式に接合されてもよい。
【0029】
1つの実施形態では、図3に示すように、複数の接合アッセンブリ205が含まれる。複数の接合アッセンブリ205は、間隔を置いて配置される。各接合アッセンブリ205は、マグネトロン203からずらされている。複数の接合アッセンブリ205を間隔を置いて配置することにより、ベースプレート・アッセンブリ201およびバックプレート202は、互いに、より安定的に接合され得る。さらに、ターゲット磁気ギャップ303は、接合アッセンブリ205(たとえば、接合ボルト206)が調整されない場合に一定に保たれ得る。したがって、マグネトロン203は、良好な膜形成をサポートする安定した磁場を提供するように手助けされ得る。さらに、各接合アッセンブリ205をマグネトロン203からずらすことにより、マグネトロン203の搭載および磁場の提供に対する影響が回避され得る。ある特定の実施形態において、接合ボルト206の数は、6つであってもよい。したがって、ベースプレート・アッセンブリ201およびバックプレート202は、間隔を置いて配置される6つの接合ボルト206によって互いに接合されてもよい。ターゲット磁気ギャップ303が調整される場合、これらの接合アッセンブリ205の各々が調整される必要があり得ることは、理解することができる。
【0030】
1つの実施形態において、接合ボルト206のボルトヘッド207は、ベースプレート・アッセンブリ201へ回転可能に接合されてもよい。したがって、バックプレート202が位置決めされる平面に対するベースプレート・アッセンブリ201の傾斜角は、所定の範囲内で調整され得る。したがって、ベースプレート・アッセンブリ201とバックプレート202との間隔204は、等距離を有するように調整されてもよい。特に、複数の接合アッセンブリ205(たとえば、接合ボルト206)が含まれ、かつベースプレート・アッセンブリ201とバックプレート202との距離204が等距離でない場合、接合ボルト206のうちの1つ(たとえば、図3の位置M1における接合ボルト)とバックプレート202との接合長さを調整することによって、ベースプレート・アッセンブリ201は、位置M1における接合ボルトにより駆動されて上昇または下降され得る。一方で、ベースプレート・アッセンブリ201は、移動プロセスの間、他の接合ボルト206(たとえば、図3の位置M2およびM3における接合ボルト)のボルトヘッド207を、ベースプレート・アッセンブリ201に対して回転するように駆動し得る。したがって、ベースプレート・アッセンブリ201とバックプレート202との間隔204は、等距離を有するように自動的に調整されてもよい(上述の調整プロセスは、単にマグネトロン203のレベリングと称される)。マグネトロン203のレベリングプロセスの間に、1つまたは複数の接合ボルト206の調整が必要とされる場合があり得ることは、理解されるべきである。さらに、マグネトロン203のレベリングを加速するために、ベースプレート・アッセンブリ201とバックプレート202との距離204の測定に、ノギスなどの測定ツールが使用されることもある。
【0031】
上述の接合ボルト206のボルトヘッド207をベースプレート・アッセンブリ201に対して回転させる方法としては、たとえば、ユニバーサル回転が含まれてもよい。上述のボルトヘッド207は、この回転方法を実現するために様々な構造を有し得る。たとえば、図4に示すように、ボルトヘッド207は、凸球面223として構成される。図2に示すように、ベースプレート・アッセンブリ201は、ベースプレート本体211を含む。ベースプレート本体211内には、第1の凹球面210を有する第1の溝が配置される。ボルトヘッド207は、第1の溝内に配置される。凸球面223は、第1の凹球面210と協働する。したがって、接合ボルト206とベースプレート・アッセンブリ201との接合は、球面接合であってもよい。球面接合は、ユニバーサル回転を実現することができ、これにより、マグネトロン203のレベリングがさらに促進される。凸球面223が全球面であっても、部分球面であってもよいことは、理解されるべきである。これに対応して、第1の溝の第1の凹球面210は、全球面であっても、部分球面であってもよい。
【0032】
ある特定の実施形態において、第1の溝の開放端212は、ベースプレート本体211の、バックプレート202とは反対側の第1の表面(すなわち、図2におけるベースプレート本体211の上面)上に位置決めされる。ボルト208は、ベースプレート本体211の外側に位置決めされて、バックプレート202へねじ式に接合される。全体的に見ると、接合ボルト206は、概して球形状のねじである。したがって、ベースプレート・アッセンブリ201とバックプレート202との組立状態において、接合ボルト206のボルトヘッド207は、第1の溝内に安定的に係合されることが可能であって、第1の溝から抜け出ない。したがって、ベースプレート・アッセンブリ201は、接合ボルト206を介してバックプレート202の底へ安定的に取り付けられ得る。
【0033】
実用上、第1の溝の開放端の位置が、第1の表面上への配置に限定されず、ベースプレート本体211の内側、すなわち第1の表面の内側、にも位置決めされることが可能である点は、留意されるべきである。この場合、貫通穴は、ベースプレート本体211内に配置されてもよい。貫通穴の一端は、第1の溝の開放端と連通していてもよい。他端は、第1の表面上に位置決めされてもよい。貫通穴の直径は、凸球面223の直径より小さくてもよい。ボルト208は、貫通穴から延びて、バックプレート202へねじ式に接合されてもよい。
【0034】
1つの実施形態では、図2に示すように、ベースプレート・アッセンブリ201は、さらに、固定モジュール214を含む。固定モジュール214は、ベースプレート本体211へ着脱可能に接合されてもよい。固定モジュール214には、第2の凹球面213を有する第2の溝が備えられる。第2の凹球面213および第1の凹球面210は、連続する凹球面を形成すべく位置合わせされてもよい。ボルトヘッド207は、第1の溝と第2の溝との間に固定される。凸球面223は、第1の凹球面210および第2の凹球面213と協働してもよい。すなわち、固定モジュール214が加えられる場合、凸球面223と協働する凹球面は、スプリット構造を有してもよく、すなわち、第2の凹球面213と第1の凹球面210とを位置合わせすることにより形成されてもよい。固定モジュール214が設けられない場合、上述のベースプレート本体211の第1の溝内に含まれる第1の凹球面210が一体構造体であり得ることは、容易に理解される。凸球面223は、単に第1の凹球面210と協働し得る。
【0035】
したがって、固定モジュール214およびベースプレート本体211は、それらの間にボルトヘッド207を固定することができ、よって、接合ボルト206とベースプレート本体211との間の接合がより安定的なものとなり得る。さらに、固定モジュール214をベースプレート本体211へ着脱可能に接合することにより、接合ボルト206の組立ては、より簡便なものとなることが可能である。たとえば、ベースプレート本体211が組み立てられる場合、まずは、ベースプレート本体211上の第1の溝内に、接合ボルト206のボルトヘッド207が配置され得る。次に、ベースプレート本体211へ固定モジュール214が接合され得、よって、第1の溝の第1の凹球面210が固定モジュール214の第2の溝の第2の凹球面213と位置合わせされて、連続した凹球面が形成され得る。第1の溝および第2の溝は、合同して、連続した凹球面内にボルトヘッド207を収容し得る。さらに、第2の凹球面213および第1の凹球面210は、ボルトヘッド207の凸球面223と協働してもよい。したがって、固定モジュール214、ベースプレート本体211および接合ボルト206は、統一体として形成され得る(すなわち、ベースプレート・アッセンブリ201を形成し得る)。次に、ベースプレート・アッセンブリ201は、接合ボルト206のボルト208を介して、バックプレート202へ全体として取り付けられ得る。このプロセスの間、接合ボルト206上の固定モジュール214の固定機能は、接合ボルト206の、ベースプレート本体211からの係合外れを防止することができ、これにより、ベースプレート・アッセンブリ201の組立てが促進される。ベースプレート本体211としては、マグネトロンスパッタリングに使用されるデバイスなどの他のデバイスが含まれ得ることは、理解されるべきであり、ここでは繰り返して説明しない。
【0036】
ある特定の実施形態では、図2に示すように、ベースプレート本体211にリセス215が形成される。固定モジュール214は、リセス215内に埋め込まれる。固定モジュール214の、ベースプレート本体211へ露出される表面217は、上述の第1の表面から離れて面するベースプレート本体211の第2の表面218と同一平面にある。したがって、全体として見ると、ベースプレート本体211の第2の表面218および固定モジュール214の表面217は、略平面を形成し、これにより、マグネトロン203などの様々なデバイスをベースプレート本体211上に配置することが促進される。
【0037】
1つの実施形態では、図4に示すように、固定モジュール214に操作穴221が設けられる。操作穴の221の一端は、第2の溝と連通している。他端は、固定モジュール214の、ベースプレート本体211へ露出される表面217上に位置決めされる。ボルトヘッド207上には、操作穴221に対応して操作スロット222が配置される。したがって、接合ボルト206のボルトヘッド207が第2の溝の第2の凹球面213と協働する場合に、作業者は、なおも操作穴221を介して凸球面223を操作することができる。したがって、マグネトロン203のレベリングが実行され得、または、ベースプレート・アッセンブリ201(たとえば、ベースプレート本体211)とバックプレート202との間隔204が調整され得る。たとえば、作業者は、マグネトロン203のレベリングを達成すべく接合ボルト206をねじ込むために、ねじ回しを用いて、操作穴221を介して操作スロット222と協働してもよい。
【0038】
ある特定の実施形態において、固定モジュール214とベースプレート本体211との着脱可能な接合方法は、たとえば、ねじ219を介する固定接合であってもよい。より具体的には、図5に示すように、複数のねじ219が含まれ、操作穴220の周りに等間隔で周方向へ配置される。別の特定の実施形態では、4つのねじ219が含まれ、操作穴220の周りに等間隔で周方向へ配置される。したがって、固定モジュール214は、ベースプレート本体211に安定的に取り付けられることが可能である。また、図5に示す固定モジュール214の表面217は、概して正方形であるが、固定モジュール214の表面217は、実際には、長方形、菱形、円、他などの他の任意の適切な形状であることが可能である点も、理解されるべきである。
【0039】
図6は、本開示の幾つかの実施形態によるPVD装置6の略図である。PVD装置6は、先に述べたPVDチャンバ1を含む。加えて、PVD装置6は、真空化デバイス610をさらに含む。PVDチャンバ1内には、ウェーハ601を担持するベース602も設けられてもよい。スパッタリングプロセスの間、ターゲット302から逃げる原子は、最終的に、ウェーハ601上に堆積して、膜を形成する。
【0040】
ターゲット302が消費されるにつれて、ベースプレート・アッセンブリ201は、時々、ターゲット302から離れる方向に調整され得る。図7A図7Cに示すように、初期状態(図7Aに示す)において、ベースプレート・アッセンブリ201のマグネトロン203とターゲット支持プレート300との間のターゲット磁気ギャップ303は、D1である。ターゲット302の腐食面701とマグネトロン203との距離は、適切なものである。ターゲット302が一定期間使用された後、ターゲット磁気ギャップ303は、なおもD1であり得る。ターゲット302の腐食面701とマグネトロン203との距離は、ターゲット302上の原子の連続的な脱出に起因して小さくなり得る。この場合、腐食面701における磁場710の磁場強度は、より大きくなり得るが、これは、(図7Bに示すように)ターゲット302の有効利用にとって有益でない。ベースプレート・アッセンブリ201をバックプレート202へ向かって(すなわち、ターゲット302から離れる方向へ)調整することにより、ターゲット磁気ギャップ303は、D2になり得、D2は、D1より大きいものであり得る。したがって、ターゲット302の腐食面701とマグネトロン203との距離は、(図7Cに示すように)再び適切なものとなり得る。したがって、ターゲット302の腐食面における磁場強度は、ターゲット302の消費に伴う腐食面における磁場強度の増大を回避するために、常に適切な範囲内に保たれることが可能である。したがって、ターゲット302は、加速的に腐食されてもよい。これにより、ターゲット302の有効利用率が向上され得る。
【0041】
さらに、マグネトロン203をレベリングすることにより、ターゲット材料302の腐食面701が異なる磁場強度を有することが防止され得る。したがって、ターゲット302が不均一に消費される確率が低減され得、これによっても、ターゲット302の有効利用率の向上が促進される。
【0042】
これまでに行った説明は、本開示の単なる実施形態であり、本開示を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本開示に対して様々な変更および改変を行い得る。本開示の精神および原理の範囲内で行われる変更、等価な置換、改良、他は、いずれも、本発明の特許請求の範囲内にあるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理蒸着(PVD)チャンバであって、チャンバ本体と、前記チャンバ本体内に配置される上部電極アッセンブリとを備え、前記上部電極アッセンブリは、マグネトロンを担持するように構成されるベースプレート・アッセンブリと、前記ベースプレート・アッセンブリから間隔を置いて前記ベースプレート・アッセンブリに重ね合わされたバックプレートと、前記ベースプレート・アッセンブリを前記バックプレートへ接合するための接合アッセンブリとを含み、前記バックプレートは、前記ベースプレート・アッセンブリの、前記マグネトロンと反対側の面に配置され、
前記接合アッセンブリは、接合ボルトを含み、前記接合ボルトのボルトヘッドが、前記ベースプレート・アッセンブリへ接合され、かつ、前記接合ボルトのボルトが、前記バックプレートへねじ式に接合される、PVDチャンバ。
【請求項2】
複数の接合アッセンブリが含まれ、前記複数の接合アッセンブリは、前記マグネトロンからずらされ、間隔を置いて配置される、請求項1に記載のPVDチャンバ。
【請求項3】
前記接合ボルトの前記ボルトヘッドは、前記ベースプレート・アッセンブリへ回転可能に接合される、請求項2に記載のPVDチャンバ。
【請求項4】
前記接合ボルトの前記ボルトヘッドは、凸球面を有するように構成され、
前記凸球面と協働する球状シートが前記ベースプレート・アッセンブリに設けられる、請求項3に記載のPVDチャンバ。
【請求項5】
前記ベースプレート・アッセンブリは、ベースプレート本体を含み、前記ベースプレート本体に、前記球状シートと、前記球状シートと連通する貫通穴とが設けられ、前記接合ボルトの前記凸球面は、前記球状シートに嵌合し、前記ボルトは前記貫通穴から延びており、前記凸球面の直径は、前記貫通穴の直径よりも大きい、請求項4に記載のPVDチャンバ。
【請求項6】
前記ベースプレート・アッセンブリは、さらに、固定モジュールを含み、前記固定モジュールは、前記凸球面と協働する凹球面を有し、前記固定モジュールは、前記ベースプレート本体に固定され、前記凹球面は、前記凸球面と嵌合する、請求項5に記載のPVDチャンバ。
【請求項7】
前記ベースプレート本体には、リセスが形成され、前記球状シートは、前記リセスの底面に形成され、前記固定モジュールは、前記リセス内に埋め込まれ、かつ、前記固定モジュールの表面は、前記ベースプレート本体の表面と同一平面である、請求項6に記載のPVDチャンバ。
【請求項8】
前記固定モジュールには、前記凸球面に至る操作穴が設けられ、前記凸球面には、前記操作穴に対応する操作溝が設けられる、請求項6または7に記載のPVDチャンバ。
【請求項9】
前記固定モジュールは、前記ベースプレート本体に、ねじを通して固定的に接合される、請求項に記載のPVDチャンバ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のPVDチャンバを備える、物理蒸着(PVD)装置。
【国際調査報告】