(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】有機C1-C6アルコキシシランおよび酸性化剤を用いることを含むケラチン物質の染色方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20221114BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20221114BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221114BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/25
A61K8/891
A61K8/20
A61K8/24
A61K8/23
A61K8/36
A61K8/362
A61K8/368
A61K8/365
A61K8/81
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517379
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020073679
(87)【国際公開番号】W WO2021052722
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019214203.6
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーザー,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】コロンコ,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】クリーナー,カロリーネ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニィ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】シェープゲンス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヤイザー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マティアシク,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ホデス,ジン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB011
4C083AB101
4C083AB111
4C083AC261
4C083AC271
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC311
4C083AC911
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD151
4C083BB23
4C083CC36
4C083DD06
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、(A)(A1)1以上の有機C1-C6アルコキシシランおよび/またはその縮合物、並びに(A2)顔料および直接染料からなる群から選択される少なくとも1の着色化合物を含んでなる第一組成物、および(B)(B1)少なくとも1の酸性化剤を含んでなる第二組成物をケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)1以上の有機C
1-C
6アルコキシシランおよび/またはその縮合物、並びに
(A2)顔料および直接染料からなる群から選択される少なくとも1の着色化合物
を含んでなる第一組成物(A)、および
(B1)少なくとも1の酸性化剤
を含んでなる第二組成物(B)
をケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【請求項2】
第一組成物(A)は、式(S-I)および/または(S-II):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (S-I)
[式中、
-R
1、R
2は、独立して水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-Lは、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基であり、
-R
3およびR
4は、互いに独立してC
1-C
6アルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
[式中、
-R
5、R
5'、R
5"、R
6、R
6'およびR
6"は独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(S-III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c" (S-III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
-e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる]
で示される1以上の有機C
1-C
6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一組成物(A)は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
からなる群から選択され、式(S-I)で示される少なくとも1の有機C
1-C
6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一組成物(A)は、式(S-IV):
R
9Si(OR
10)
k(R
11)
m (S-IV)
[式中、
-R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
-R
10は、C
1-C
6アルキル基を表し、
-R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される1以上の有機C
1-C
6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
第一組成物(A)は、
-メチルトリメトキシシラン、
-メチルトリエトキシシラン、
-エチルトリメトキシシラン、
-エチルトリエトキシシラン、
-プロピルトリメトキシシラン、
-プロピルトリエトキシシラン、
-ヘキシルトリメトキシシラン、
-ヘキシルトリエトキシシラン、
-オクチルトリメトキシシラン、
-オクチルトリエトキシシラン、
-ドデシルトリメトキシシラン、
-ドデシルトリエトキシシラン、
-オクタデシルトリメトキシシラン、
-オクタデシルトリエトキシシランおよび
-それらの混合物
からなる群から選択され、式(S-IV)で示される少なくとも1の有機C
1-C
6アルコキシシラン(A1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
第一組成物(A)は、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1の無機顔料(A2)を含んでなることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第一組成物(A)は、層状基材プレートレットに基づく顔料、レンズ状基材プレートレットに基づく顔料、および真空蒸着顔料を含む基材プレートレットに基づく顔料からなる群から選択される少なくとも1の着色顔料(A2)を含んでなることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
第一組成物(A)は、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンからなる群から選択される少なくとも1の化粧品成分を含んでなることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第二組成物(B)は、リン酸、硫酸および/または塩酸からなる群から選択される無機酸としての少なくとも1の酸性化剤(B1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第二組成物(B)は、酸性化剤(B1)として硫酸を含んでなることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第二組成物(B)は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック(toluoylic)酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン(bicarbamic)酸、4,4'-ジシアノ-6,6'-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される有機酸としての少なくとも1の酸性化剤(B1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
第二組成物(B)は、酸性化剤(B1)として酢酸を含んでなることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第二組成物(B)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
第二組成物(B)は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群から好ましくは選択される、少なくとも1のフィルム形成ポリマーを更に含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
別個に製造された、
-第一組成物(A)を含む第一容器、および
-第二組成物(B)含む第二容器
を含んでなる、ケラチン物質を染色するためのキットであって、
組成物(A)および(B)は請求項1~14のいずれかに記載されたものである、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、化粧品の分野であり、2つの組成物(A)および(B)の使用を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の着色方法に関する。組成物(A)は、少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)および少なくとも1の着色化合物(A2)を含んでなる組成物であり、組成物(B)は、少なくとも1の酸性化剤(B1)を含んでなる。
【0002】
本発明の第二の対象は、2つの包装容器に別個に包装された上記2つの組成物(A)および(B)を含む、ケラチン物質を染色するための多成分容器(キット)である。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた様々なカラーリング系が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を伴った長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆物質(いわゆる顕色成分)および発色成分を含み、これらは、過酸化水素などの酸化剤の影響を受けて、互いに実際の染料を生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使う場合、既に調製された染料が着色剤から毛髪繊維に拡散する。酸化染毛と比べて、直接染料を用いて得られた染色物は、色の保持時間が短く、より迅速な洗浄性を有する。直接染料による染色は通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるため、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、不溶性の着色物質と理解されている。着色顔料は、小粒子として染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚の表面にもっぱら付着する。従って、着色顔料は通常、界面活性剤を含む洗剤で数回洗えば、残留することなく除去され得る。このタイプの製品は、「ヘアマスカラ」の名称で様々なものが市販されている。
【0006】
EP 2168633 B1では、顔料を用いた長持ちするヘアカラーの製造方法が扱われている。同文献では、顔料、有機ケイ素化合物、疎水性ポリマーおよび溶媒の組み合わせを毛髪に用いることにより、シャンプーに対する耐性が特に高い着色を実現できることが教示されている。
【0007】
EP 2168633 B1で用いられている有機ケイ素化合物は、アルコキシシラン類からの反応性化合物である。これらのアルコキシシランは、水の存在下で迅速に加水分解し、それぞれの場合に使用されるアルコキシシランと水の量に応じて、加水分解物および/または縮合物を生じる。この反応で使用される水の量が加水分解物または縮合物の特性に及ぼす影響は、例えば、WO 2013/068979 A2に記載されている。
【0008】
これらのアルコキシシランまたはそれらの加水分解物若しくは縮合物をケラチン物質に適用すると、ケラチン物質上にフィルムまたは被覆が形成され、これはケラチン物質を完全に包み込み、このようにして、ケラチン物質の特性に強く影響する。適用分野には、ケラチン繊維の長期的なスタイリングまたは長期的な形状変更が含まれる。この方法では、ケラチン繊維は、所望の形状に力学的に成形され、次いで、上記被覆の形成によって、この形状に固定される。別の特に適切な用途は、ケラチン物質の着色である。この用途では、被覆またはフィルムは、着色化合物、例えば顔料の存在下で製造される。顔料によって着色されたフィルムは、ケラチン物質またはケラチン繊維上に残り、驚くほど耐洗浄性の着色をもたらす。
【0009】
アルコキシシランに基づく染色原理の大きな利点は、この化合物類の高い反応性が迅速な被覆を可能にすることである。これは、ほんの数分の短い適用時間の後でも、良好な着色結果を達成できることを意味する。ヘアトリートメント製品の曝露時間が短いほど、ユーザーの快適性は高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP 2168633 B1
【特許文献2】WO 2013/068979 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特に適用時間が短い場合、得られる着色の色強度には、依然として最適化が必要とされている。また、染色の耐久性、特に洗浄堅牢性に関しては、まだ改善の余地がある。
【0012】
従って、本発明の課題は、色の強度および堅牢性の点で改善を示す、ケラチン物質の染色方法を見出すことであった。ユーザーにとって特に都合のよい短い適用時間を選択した場合に、従来技術から知られている組成物でこれまで達成され得た着色と比べて、色の強度、洗浄堅牢性および摩擦堅牢性は改善されていなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意外なことに、2つの組成物(A)および(B)をケラチン物質に適用する方法においてケラチン物質を染色すると、この課題を見事に解決できることが見出された。ここで、第一組成物(A)は、少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシランおよび/またはその縮合物、並びに少なくとも1の色付与化合物を含んでなる。第二組成物(B)は、少なくとも1の酸性化剤を含んでなることを特徴とする。
【0014】
本発明の第一の対象は、
(A1)1以上の有機C1-C6アルコキシシランおよび/またはその縮合物、並びに
(A2)顔料および直接染料からなる群から選択される少なくとも1の着色化合物
を含んでなる第一組成物(A)、および
(B1)少なくとも1の酸性化剤
を含んでなる第二組成物(B)
をケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法である。
【0015】
染色方法の一部として組成物(A)をケラチン物質に適用した場合に、組成物(A)の適用後の後処理剤として組成物(B)をケラチン物質に適用すると、色強度の増加が観察された。これに関して、意外なことに、色強度の向上に加えて、洗浄堅牢性および摩擦堅牢性の改善も観察された。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ケラチン物質の処理
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を包含する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に含まれる。
【0017】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪(特に、手指の爪および足指の爪)であると理解される。ケラチン物質は、ヒトの毛髪であると理解される。
【0018】
本発明では、用語「着色用組成物」は、サーモクロミック染料およびフォトクロミック染料、顔料、雲母、直接染料などの着色化合物を用いることにより引き起こされる、ケラチン物質(毛髪)の着色のために使用される。この着色方法では、着色化合物は、ケラチン物質表面上の特に均質で滑らかなフィルムに堆積するか、またはケラチン繊維に拡散する。フィルムは、有機アルコキシシランのオリゴマー化または重合によって、並びに色付与化合物および有機ケイ素化合物および任意にフィルム形成ポリマーなどの他の成分との相互作用によって、イン・サイチュで形成される。
【0019】
組成物(A)における有機C1-C6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物
組成物(A)は、1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含有することを特徴とする。
【0020】
有機C1-C6アルコキシシランは、1、2または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から好ましくは選択される、有機非ポリマーケイ素化合物である。
【0021】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有するか、または炭素が酸素、窒素または硫黄原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は、好ましくは1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0022】
IUPAC命名法によると、用語「シラン」は、ケイ素骨格および水素をベースにした化合物を意味する。有機シランにおいて、水素原子は(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に、置換されている。
【0023】
本発明におけるC1-C6アルコキシシランの特徴は、少なくとも1個のC1-C6アルコキシ基がケイ素原子に直接結合していることである。従って、本発明におけるC1-C6アルコキシシランは、少なくとも1個の構造単位:
R'R"R"'Si-O-(C1-C6アルキル)
[基R'、R"およびR"'は、ケイ素原子の残りの3つの結合価を表す]
を含む。
【0024】
ケイ素原子に結合した1以上のC1-C6アルコキシ基は非常に反応性が高く、水の存在下で迅速に加水分解される。反応速度は、とりわけ、一分子あたりの加水分解性基の数に依存する。加水分解性C1-C6アルコキシ基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは、構造単位:R'R"R"'Si-O-CH2-CH3を含む。基R'、R"およびR"'は、ケイ素原子の残りの3つの自由原子価を表す。
【0025】
少量の水の添加でさえ、最初に加水分解が生じ、次に有機アルコキシシラン間の縮合反応が起こる。このため、有機アルコキシシラン(A1)とその縮合物の両方が組成物中に存在し得る。
【0026】
縮合物は、水の除去および/またはC1-C6アルカノールの除去を伴った、少なくとも2つの有機C1-C6アルコキシシランの反応によって形成された生成物であると理解される。
【0027】
縮合物は、例えば、二量体、三量体またはオリゴマーであり得、縮合物は常に、モノマーとバランスが取れている。
【0028】
加水分解で使用または消費された水の量に応じて、平衡はモノマーのC1-C6アルコキシシランから縮合物にシフトする。
【0029】
特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を含み、有機ケイ素化合物が1以上の塩基性化学官能基を更に含むことを特徴とする。
【0030】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり得、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合している。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0031】
本発明の非常に特に好ましい方法は、組成物(A)が1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を含み、C1-C6アルコキシシランが1以上の塩基性化学官能基を更に含むことを特徴とする。
【0032】
特に良好な結果は、本発明の方法において、式(S-I)および/または(S-II)で示されるC1-C6アルコキシシランを用いた場合に得られた。上述したように、加水分解/縮合は微量の水分で既に開始するので、式(S-I)および/または(S-II)で示されるC1-C6アルコキシシランの縮合物もこの実施態様に含まれる。
【0033】
別の非常に特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、第一組成物(A)が、式(S-I)および/または(S-II):
R
1R
2N-L-Si(OR
3)
a(R
4)
b (S-I)
[式中、
-R
1、R
2は、独立して水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
-Lは、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基であり、
-R
3およびR
4は、互いに独立してC
1-C
6アルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
[式中、
-R
5、R
5'、R
5"、R
6、R
6'およびR
6"は独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
-A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
-R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(S-III):
-(A"")-Si(R
6")
d"(OR
5")
c" (S-III)
で示される基を表し、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c"は、1~3の整数を表し、
-d"は、整数3-c"を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
-e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる]
で示される1以上の有機C
1-C
6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする。
【0034】
式(S-I)および/または(S-II)で示される化合物における置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5'、R5"、R6、R6'、R6"、R7、R8、L、A、A'、A"、A"'およびA""の例を以下に示す。
【0035】
C1-C6アルキル基の例は、基メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルである。プロピル、エチルおよびメチルが、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価のC1-C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が包含される。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、二価のアルキレン基が分岐していてもよい。分岐二価のC3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0036】
式(S-I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (S-I)
で示される有機ケイ素化合物において、基R1およびR2は、相互に独立して水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。非常に好ましくは、R1およびR2は、共に水素原子を表す。
【0037】
有機ケイ素化合物の中央部には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を意味する。
【0038】
二価C1-C20アルキレン基は、二価または二価のC1-C20アルキレン基と称されることもあり、これは、各L原子団が2つの結合を形成し得ることを意味する。
【0039】
好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C20アルキレン基を意味する。更に好ましくは、-L-は、直鎖二価のC1-C6アルキレン基を意味する。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を意味する。Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を意味する。
【0040】
本発明において、式(S-I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (S-I)
で示される有機ケイ素化合物は、各々の一端にケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0041】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、基R3およびR4は独立してC1-C6アルキル基を表し、特に好ましくは基R3およびR4は独立してメチル基またはエチル基を表す。
【0042】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数3を表す場合、bは0に等しい。aが数2を表す場合、bは1に等しい。aが数1を表す場合、bは2に等しい。
【0043】
組成物(A)が、式(S-I)[式中、基R3およびR4は相互に独立してメチル基またはエチル基を表す]で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシランを含有する場合に、特に適当な特性を有するケラチン処理剤が調製された。
【0044】
また、最も洗浄堅牢性のある染色物は、組成物(A)が、式(S-I)[式中、aは数3を表す]で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシランを含有する場合に得られた。この場合、bは数0を表す。
【0045】
また、最も洗浄堅牢性のある染色物は、組成物(A)が、式(S-I)[式中、aは数3を表す]で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシランを含有する場合に得られた。ここで、
-R3およびR4は相互に独立してメチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を意味し、
-bは数0を意味する。
【0046】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が、式(S-I):
R1R2N-L-Si(OR3)a(R4)b (S-I)
[式中、
-R1、R2は、共に水素原子を表し、
-Lは、直鎖二価C1-C6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはエチレン基(-CH2-CH2-)を表し、
-R3は、エチル基またはメチル基を表し、
-R4は、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表す]
で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシランを含んでなることを特徴とする。
【0047】
本発明の課題を解決するのに特に適しており、式(I)で示される有機ケイ素化合物は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
である。
【0048】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、第一組成物(A)が、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
からなる群から選択され、式(S-I)で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする。
【0049】
式(I)で示される有機ケイ素化合物は市販されている。(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは例えばSigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもまた、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0050】
本発明の方法の別の実施態様では、組成物(A)は、式(S-II):
で示される1以上の有機C
1-C
6アルコキシシランを含んでなり得る。
【0051】
本発明における式(S-II)で示される有機ケイ素化合物は、両端それぞれに、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'を有する。
【0052】
式(S-II)で示される分子の中央部には、基-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-が存在する。ここで、e、f、gおよびhのそれぞれは、相互に独立して、数0または1であり、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。換言すると、本発明における式(S-II)で示される有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A')]-および-[O-(A")]-および-[NR8-(A"')]-からなる群から選択される原子団を少なくとも1つ含む。
【0053】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6')d'(OR5')c'において、基R5、R5'、R5"は、相互に独立してC1-C6アルキル基を表す。基R6、R6'およびR6"は、独立してC1-C6アルキル基を表す。
【0054】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0055】
同様に、c'は、1~3の整数を表し、d'は、整数3-c'を表す。c'が数3を表す場合、d'は0である。c'が数2を表す場合、d'は1である。c'が数1を表す場合、d'は2である。
【0056】
cおよびc'が共に数3を表す場合、最高の洗浄堅牢性を有する染色物が得られた。この場合、dおよびd'は、共に数0を表す。
【0057】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が、式(S-II):
[式中、
-R
5およびR
5'は独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-cおよびc'は、共に数3を表し、
-dおよびd'は、共に数0を表す]
で示される1以上の有機C
1-C
6アルコキシシランを含んでなることを特徴とする。
【0058】
cおよびc'が共に数3であり、dおよびd'が共に数0である場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(S-IIa):
(R5O)3Si-(A)e-[NR7-(A')]f-[O-(A")]g-[NR8-(A"')]h-Si(OR5')3 (S-IIa)
に相当する。
【0059】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1を表してよく、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、原子団-(A)e-および-[NR7-(A')]f-および-[O-(A")]g-および-[NR8-(A"')]h-のいずれが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部に存在しているか、を規定している。
【0060】
本発明では、特定の原子団の存在が、洗浄堅牢な染色結果の達成に特に有利であることが見出された。特に良好な結果は、e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1を表す場合に得られた。特に好ましくは、eおよびfは共に数1を意味する。更に、gおよびhは共に数0を意味する。
【0061】
eおよびfが共に1を表し、gおよびhが共に0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(S-IIb):
(R5O)c(R6)dSi-(A)-[NR7-(A')]-Si(R6')d'(OR5')c' (S-IIb)
によって表わされる。
【0062】
基A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖または二価の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、直鎖二価のC1-C20アルキレン基を表す。更に好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は独立して、直鎖二価のC1-C6アルキレン基を表す。
【0063】
二価C1-C20アルキレン基は、二価または二価のC1-C20アルキレン基と称されることもあり、これは、基A、A'、A"、A"'およびA""のそれぞれが2つの結合を形成し得ることを意味する。
【0064】
特に、基A、A'、A"、A"'およびA""は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に好ましくは、基A、A'、A"、A"'およびA""は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0065】
fが数1を表す場合、本発明における式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR7-(A')]-を含む。
【0066】
fが数1を表す場合、本発明における式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR8-(A"')]-を含む。
【0067】
式中、R7およびR8は独立して、水素原子、C1-C6アルキル基、ヒドロキシC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、アミノC1-C6アルキル基または式(S-III):
-(A"")-Si(R6")d"(OR5")c" (S-III)
で示される基を表す。
【0068】
極めて好ましくは、基R7およびR8は相互に独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(S-III)で示される原子団を表す。
【0069】
fが数1を表し、hが数0を表す場合、本発明における有機ケイ素化合物は、原子団-[NR7-(A')]-を含むが、原子団-[NR8-(A"')]-を含まない。基R7が式(III)で示される原子団を表す場合、有機ケイ素化合物は、3個の反応性シラン基を含む。
【0070】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が、式(S-II):
[式中、
-eおよびfは、共に数1を表し、
-gおよびhは、共に数0を表し、
-AおよびA'は独立して、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基を表し、
-R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(S-III)で示される基を表す]
で示される1以上の有機C
1-C
6アルコキシシラン(A1)を含んでなることを特徴とする。
【0071】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が、式(S-II)[式中、
-eおよびfは、共に数1を表し、
-gおよびhは、共に数0を表し、
-AおよびA'は相互に独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、
-R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(S-III)で示される基を表す]
で示される1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を含んでなることを特徴とする。
【0072】
本発明の課題を解決するのに適した式(S-II)で示される有機ケイ素化合物は、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
である。
【0073】
式(S-II)で示される有機ケイ素化合物は、市販されている。
【0074】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0075】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0076】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも称され、Sigma-AldrichまたはFluorochemから商業的に購入できる。
【0077】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0078】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が、
-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
-3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択され、式(S-II)で示される1以上の有機C1-C6アルコキシシラン、および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする。
【0079】
別の染色試験では、本発明の方法において、式(S-IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (S-IV)
で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を使用した場合に、特に有利であることが見出された。
【0080】
式(S-IV)で示される化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、有機ケイ素化合物は、一分子あたり1つ以上の加水分解性基を含む。
【0081】
式(S-IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (S-IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基を表し、
-R10は、C1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキルC1-C6アルコキシシラン型のシランとも称される。
【0082】
別の実施態様では、本発明の特に好ましい方法は、第一組成物(A)が、式(S-IV):
R9Si(OR10)k(R11)m (S-IV)
[式中、
-R9は、C1-C12アルキル基を表し、
-R10は、C1-C6アルキル基を表し、
-R11は、C1-C6アルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を含んでなることを特徴とする。
【0083】
式(S-IV)で示される有機C1-C6アルコキシシランにおいて、基R9は、C1-C12アルキル基を表す。このC1-C12アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐鎖であってよい。好ましくはR9は、直鎖C1-C8アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基またはn-ドデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基を表す。
【0084】
式(S-IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R10はC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10はメチル基またはエチル基を表す。
【0085】
式(S-IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R11はC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0086】
更に、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0087】
組成物(A)が、kが数3である式(S-IV)で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する染色物が得られた。この場合、mは数0を意味する。
【0088】
本発明の課題の解決に特に適した式(S-IV)で示される有機ケイ素化合物は、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-n-プロピルトリメトキシシラン(プロピルトリメトキシシランとしても知られている)
-n-プロピルトリエトキシシラン(プロピルトリエトキシシランとしても知られている)
-n-ヘキシルトリメトキシシラン(ヘキシルトリメトキシシランとしても知られている)
-n-ヘキシルトリエトキシシラン(ヘキシルトリエトキシシランとしても知られている)
-n-オクチルトリメトキシシラン(オクチルトリメトキシシランとしても知られている)
-n-オクチルトリエトキシシラン(オクチルトリエトキシシランとしても知られている)
-n-ドデシルトリメトキシシラン(ドデシルトリメトキシシランとしても知られている)
-n-ドデシルトリエトキシシラン(ドデシルトリエトキシシランとしても知られている)
-n-オクタデシルトリメトキシシラン(ドデシルトリメトキシシランとしても知られている)および/または
-n-オクタデシルトリエトキシシラン(オクタデシルトリエトキシシランとしても知られている)である。
【0089】
別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、第一組成物(A)が、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-プロピルトリメトキシシラン
-プロピルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシラン
-オクタデシルトリエトキシシラン
-それらの混合物
からなる群から選択され、式(S-IV)で示される少なくとも1の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする。
【0090】
相応の加水分解物または縮合物は、例えば下記化合物である。
水による、式(S-I)で示されるC
1-C
6アルコキシシランの加水分解(例として、3-アミノプロピルトリエトキシシランを用いた反応スキーム):
【0091】
使用する水の量に応じて、使用するC
1-C
6アルコキシシラン1個あたり何回かの加水分解反応も起こり得る。
または
【0092】
水による、式(S-IV)で示されるC
1-C
6アルコキシシランの加水分解(例として、メチルトリメトキシシランを用いた反応スキーム):
【0093】
使用する水の量に応じて、使用するC
1-C
6アルコキシシラン1個あたり何回かの加水分解反応も起こり得る。
または
【0094】
((3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよびメチルトリメトキシシランの混合物を用いて示される)縮合反応は以下を包含する:
および/または
および/または
および/または
および/または
および/または
および/または
【0095】
上記の例示的反応スキームでは、それぞれ、二量体への縮合が示されているが、複数のケイ素原子を有するオリゴマーへの更なる縮合も可能であり、好ましい。
【0096】
式(S-I)で示される、部分的加水分解C1-C6アルコキシシランおよび完全加水分解C1-C6アルコキシシランの両方が、この縮合反応に関与でき、まだ反応していない、式(S-I)で示される、部分的加水分解C1-C6アルコキシシランまたは完全加水分解C1-C6アルコキシシランと縮合する。この場合、式(S-I)で示されるC1-C6アルコキシシランは、自分自身と反応する。
【0097】
また、式(S-I)で示される、部分的加水分解C1-C6アルコキシシランおよび完全加水分解C1-C6アルコキシシランの両方が、この縮合反応に関与でき、まだ反応していない、式(S-IV)で示される部分的加水分解C1-C6アルコキシシランまたは完全加水分解C1-C6アルコキシシランと縮合する。この場合、式(S-I)で示されるC1-C6アルコキシシランは、式(S-IV)で示されるC1-C6アルコキシシランと反応する。
【0098】
更に、式(S-IV)で示される、部分的加水分解C1-C6アルコキシシランおよび完全加水分解C1-C6アルコキシシランの両方が、縮合反応に関与でき、まだ反応していない、式(S-IV)で示される部分的加水分解C1-C6アルコキシシランまたは完全加水分解C1-C6アルコキシシランと縮合する。この場合、式(S-IV)で示されるC1-C6アルコキシシランは、自分自身と反応する。
【0099】
本発明に従った組成物(A)は、様々な割合で1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を含み得る。当業者は、これを、ケラチン物質上のシラン被覆の所望の厚さと、処理するケラチン物質の量に応じて決める。
【0100】
組成物(A)が、その総重量に基づいて、30.0~85.0重量%、好ましくは35.0~80.0重量%、より好ましくは40.0~75.0重量%、更により好ましくは45.0~70.0重量%、特に好ましくは50.0~65.0重量%の総量で、1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)および/またはその縮合物を含有する場合、適用時に非常に良好な染色結果を発現する特に貯蔵安定な組成物が得られた。
【0101】
別の実施態様では、非常に特に好ましい方法は、第一組成物(A)が、組成物(A)の総重量に基づいて、30.0~85.0重量%、好ましくは35.0~80.0重量%、より好ましくは40.0~75.0重量%、更により好ましくは45.0~70.0重量%、最も好ましくは50.0~65.0重量%の総量で、1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A2)および/またはその縮合物を含んでなることを特徴とする。
【0102】
組成物(A)における着色化合物(A2)
本発明に必須の第二成分として、組成物(A)は、顔料および直接染料からなる群から選択される少なくとも1の着色化合物(A2)を含んでなる。
【0103】
本発明では、着色化合物は、顔料、直接染料から選択され、直接染料は、フォトクロミック染料およびサーモクロミック染料であってもよい。
【0104】
非常に好ましくは、組成物(A)は少なくとも1の顔料を含有する。
【0105】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、更に好ましくは0.05g/L未満の着色化合物である。水への溶解度は、例えば、下記方法により測定できる:0.5gの顔料をビーカーに秤取する。磁気撹拌棒を加える。次いで、1Lの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間が経過しても顔料の未溶解成分が混合物中に見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。おそらく微細に分散した顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解顔料が濾紙上に残留する場合は、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0106】
適当な着色顔料は、無機起源および/または有機起源であってよい。
【0107】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0108】
好ましい着色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機着色顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから調製できる。また、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの着色顔料、および蛍光顔料または燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0109】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。特に好ましい着色顔料は、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、pigment blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0110】
着色真珠光沢顔料もまた、本発明における顔料の群からの特に好ましい着色剤である。これらは通常、雲母および/または雲母ベースであり、1以上の金属酸化物で被覆されている場合がある。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、鱗雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するためには、雲母、白雲母または金雲母を金属酸化物で被覆する。
【0111】
天然の雲母の代替品として、1以上の金属酸化物で被覆された合成雲母を真珠光沢顔料として使用することもできる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成の雲母(マイカ)をベースとし、上記した金属酸化物の1以上で被覆されたものである。金属酸化物の層の厚さを変えることで、それぞれの顔料の色を変えることができる。
【0112】
好ましい雲母ベース顔料は、合成フルオロフロゴパイト(INCI:Synthetic Fluorphlogopite)をベースとし、金属酸化物で被覆された合成雲母プレートレットである。合成フルオロフロゴパイトプレートレットは、例えば、酸化スズ、酸化鉄および/または二酸化チタンで被覆されている。金属酸化物層は、ヘキサシアノ鉄(II/III)酸鉄またはカーマインレッドなどの顔料を更に含んでもよい。このような雲母顔料は、例えば、Eckart社からSYNCRYSTALという名称で入手可能である。
【0113】
非常に特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、第一組成物(A)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料から好ましくは選択される、少なくとも1つの有機顔料(A2)を含んでなることを特徴とする。
【0114】
別の好ましい実施態様では、本発明における組成物(A)は、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された雲母または雲母ベース着色化合物から選択される顔料の群からの、少なくとも1つの着色化合物(A2)を含んでなることを特徴とする。
【0115】
別の好ましい実施態様では、本発明における組成物(A)は、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)からなる群から選択される1以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される、少なくとも1つの着色化合物(A2)を含んでなることを特徴とする。
【0116】
特に適当な着色顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)の商品名で、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)の商品名で、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)の商品名で、Sunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0117】
商品名がColorona(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, Mica, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), D&C RED NO. 30 (CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), フェロシアン化鉄 (CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), 酸化鉄 (CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), Mica, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona SynCopper, Merck, Synthetic Fluorphlogopite(および)酸化鉄
Colorona SynBronze, Merck, Synthetic Fluorphlogopite(および)酸化鉄
【0118】
商品名がXirona(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Xirona Golden Sky, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, 酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Le Rouge, Merck, 酸化鉄(および)シリカ
【0119】
また、商品名がUnipure(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient CI 77491(酸化鉄), シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄), シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄), シリカ
【0120】
また、商品名がFlamenco(登録商標)の特に好ましい顔料は、例えば以下である。
Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D, BASF, 二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z, BASF, 雲母(および)二酸化チタン
【0121】
別の実施態様では、組成物(A)はまた、有機顔料からなる群から選択される1以上の着色化合物を含み得る。
【0122】
本発明における有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物からなる群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料またはカラーラッカーである。
【0123】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0124】
別の特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、第一組成物(A)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、および/またはカラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1の有機顔料(A2)を含有することを特徴とする。
【0125】
有機顔料はカラーペイントであってもよい。本発明の意味において、用語「カラーラッカー」は、吸収された染料の層を含んでなる粒子を意味し、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0126】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0127】
光および温度に対するそれらの優れた耐性のために、本発明における手段において顔料を使用することが特に好ましい。使用される顔料が特定の粒度を有する場合も好ましい。この粒度は、一方では形成されたポリマーフィルム中の顔料の均一な分布をもたらし、他方では化粧品の適用後の粗い毛髪または皮膚の感触を回避する。従って、本発明では、少なくとも1の顔料が1.0~50μm、好ましくは5.0~45μm、好ましくは10~40μm、14~30μmの平均粒度D50を有する場合に有利である。平均粒度D50は、例えば、動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0128】
特定の形状の顔料も、ケラチン物質を着色するために使用され得る。例えば、層状および/またはレンズ状の基材プレートレットに基づく顔料を使用できる。また、真空蒸着顔料含有基材プレートレットに基づく着色剤も可能である。
【0129】
別の特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、第一組成物(A)が、層状基材プレートレットに基づく顔料、レンズ状基材プレートレットに基づく顔料、および真空蒸着顔料を含む基材プレートレットに基づく顔料からなる群から選択される少なくとも1の着色顔料(A2)を含んでなる。
【0130】
このタイプの基材プレートレットは、最大50nm、好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大25nm、例えば最大20nmの平均厚さを有する。基材プレートレットの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。基材ウェハの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm、2.5~30nm、5~30nm、10~30nm、2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nm、および10~20nmである。好ましくは、各基材プレートは、可能な限り均一な厚さを有する。
【0131】
基材プレートレットの厚さが薄いため、顔料は特に高い隠蔽力を示す。
【0132】
基材プレートは、モノリシック構造を有する。本明細書における「モノリシック」とは、基材プレートレット内部で構造変化が生じることはあっても、割れ目、成層または内包物を伴わない単一の閉じたユニットからなることを意味する。基材プレートレットは、好ましくは構造が均質である。即ち、プレートレット内に濃度勾配は存在しない。特に、基材プレートレットは、層状構造を有さず、その中に粒子または分散粒子を有さない。
【0133】
基材プレートレットの寸法は、それぞれの適用目的、特にケラチン物質に対する所望の効果に応じて調整できる。典型的には、基材プレートレットは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大直径を有する。
【0134】
好ましい実施態様では、平均厚さに対する平均寸法の比で示されるアスペクト比は、少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、より好ましくは750超である。被覆なしの基材プレートレットの平均寸法は、該被覆なしの基材プレートレットのd50値である。特に記載のない限り、d50値は、Sympatec Helos装置を用いてquixel湿式分散により測定したものである。試料を調製するため、分析対象の試料をイソプロパノール中に3分間、予備分散させる。
【0135】
基材プレートレットは、プレートレット形状に形成可能な任意の材料で構成できる。
【0136】
基材プレートレットは天然起源のものであり得るが、合成により生成されたものであってもよい。基材プレートレットを構成可能な材料として、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物、並びに鉱物、例えば雲母および(半)貴石、並びにプラスチックが挙げられる。好ましくは、基材プレートレットは金属(合金)で構成されている。
【0137】
金属光沢顔料に適した任意の金属を使用できる。そのような金属には、鉄および鋼、並びに空気および水に耐性のあるあらゆる(半)金属、例えば白金、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素並びにそれらの合金、例えばアルミニウム青銅および真鍮が包含される。好ましい金属はアルミニウム、銅、銀および金である。好ましい基材プレートレットには、アルミニウムプレートレットおよび真鍮プレートレットが包含され、アルミニウム基材プレートレットが特に好ましい。
【0138】
層状基材プレートレットは、不規則に構成されたエッジを特徴としており、その外観から「コーンフレーク」とも称されている。
【0139】
その不規則な構造に起因して、層状基材プレートレットに基づく顔料は、高い割合の散乱光を生じる。更に、層状基材プレートレットに基づく顔料は、ケラチン物質の既存の色を完全にカバーするわけではなく、例えば、自然な灰色化に類似した効果を達成し得る。
【0140】
レンズ状(レンズ形状)基材プレートレットは、規則的な丸いエッジを有しており、その外観から「1ドル硬貨」とも称されている。その規則的な構造に起因して、レンズ状基材プレートレットに基づく顔料では、反射光の割合が主である。
【0141】
真空蒸着顔料(VMP)は、例えば、適切に被覆されたフィルムから金属、金属合金または金属酸化物を放出させることによって得られる。真空蒸着顔料は、5~50nmの範囲の基材プレートレットの特に薄い厚さと、増加した反射率を有する特に滑らかな表面とを特徴とする。真空蒸着顔料を含む基材プレートレットは、この用途では、VMP基材プレートレットとも称される。アルミニウムのVMP基材プレートレットは、例えば、金属化フィルムからアルミニウムを放出させることによって得られる。
【0142】
金属または金属合金基材プレートは、例えば陽極酸化(酸化物層)またはクロメート処理によって不動態化され得る。
【0143】
被覆されていない層状、レンズ状および/またはVPM基材プレート、特に金属または金属合金で作られたものは、入射光を高度に反射し、明暗フロップを生じるが、色彩感は生じない。
【0144】
色彩感は、例えば、光学干渉効果によって生じ得る。そのような顔料は、少なくとも単一被覆された基材プレートレットに基づき得る。これは、様々に屈折および反射する光線の重なり合いにより、干渉効果を示す。
【0145】
従って、好ましい顔料、被覆基材プレートレットに基づく顔料。基材ウェハは、好ましくは、少なくとも50nmの被覆厚さを有する高屈折金属酸化物の少なくとも1つの被覆Bを有する。好ましくは、被覆Bと基材ウェハの表面との間に、別の被覆Aが存在する。必要に応じて、層B上の別の被覆Cがが存在し、これは下の層Bとは異なる。
【0146】
被覆A、BおよびCに適した材料は、被覆様で長期的に基材プレートレットに適用され得る物質の全てであり、被覆AおよびBの場合、必要な光学特性を備えている。基材プレートレットの表面の被覆される部分は、光沢効果を有する顔料を得るのに十分である。例えば、基材プレートレットの上部および/または下部のみを被覆し、側面を省略し得る。好ましくは、側面を含む、場合により不動態化されていてよい基材プレートレットの表面全体が、被覆Bによって覆われている。従って、基材プレートレットは、被覆Bによって完全に覆われている。これにより、顔料の光学特性が向上し、機械的および化学的耐性が向上する。上記は、層Aにも当てはまり、好ましくは存在する場合は層Cにも当てはまる。
【0147】
複数の被覆A、Bおよび/またはCがそれぞれの場合に存在し得るが、被覆された基材ウェハは、好ましくは、それぞれの場合に1つの被覆A、Bおよび存在する場合は被覆Cをもっぱら有する。
【0148】
被覆Bは、少なくとも1の高屈折率の金属酸化物で構成される。高屈折率の材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。好ましくは、被覆Bは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の高屈折率の金属酸化物を含む。
【0149】
被覆Bは、少なくとも50nmの厚さを有する。好ましくは、被覆Bの厚さは、400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
【0150】
被覆Bに適した高屈折率の金属酸化物は、好ましくは、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe2O3、赤)、酸化コバルト(II)(青)、酸化クロム(III)(緑)、酸化チタン(III)(青、通常は酸窒化チタンおよび窒化チタンと混合して存在する)および酸化バナジウム(V)(橙)などの選択的に光を吸収する(即ち有色の)金属酸化物、並びにそれらの混合物である。二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムなどの無色の高屈折率の酸化物も適している。
【0151】
被覆Bは、各々の場合に被覆Bの総量に基づいて、好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%の、選択的に吸収する染料を含み得る。適当な染料は、金属酸化物被覆に安定して組み込まれ得る有機および無機染料である。
【0152】
被覆Aは、好ましくは、少なくとも1の低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物を有する。好ましくは、被覆Aは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の低屈折率金属酸化物(水和物)を含む。低屈折率材料は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率を有する。
【0153】
被覆Aに適した低屈折率金属酸化物には、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウムおよびそれらの混合物が包含され、二酸化ケイ素が好ましい。被覆Aは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0154】
好ましくは、基材プレートレットの表面と被覆Bの内面との間の距離は、最大100nm、特に好ましくは最大50nm、とりわけ好ましくは最大20nmである。被覆Aの厚さ、従って基材プレートレットの表面と被覆Bとの間の距離が上記規定の範囲内にあることを確実にすることによって、顔料は、高い隠蔽力を確実に有することができる。
【0155】
基材プレートレットに基づく顔料が1つの層Aのみを有する場合、顔料は、アルミニウムの基材プレートレットおよびシリカの層Aを有することが好ましい。基材プレートレットに基づく顔料が層Aおよび層Bを有する場合、顔料は、アルミニウムの基材プレートレット、シリカの層A、および酸化鉄の層Bを有することが好ましい。
【0156】
或いは、金属酸化物に対し、層Bは、金属粒子キャリア層の表面に金属粒子が付着した金属粒子キャリア層を含んでなり得る。好ましい実施態様では、金属粒子は、金属粒子キャリア層の一部を直接覆っている。この実施態様では、エフェクト顔料は、金属粒子が存在しない領域、即ち金属粒子で覆われていない領域を有する。
【0157】
金属粒子キャリア層は、金属層および/または金属酸化物層を含んでなる。
【0158】
金属粒子キャリア層が金属層および金属酸化物層を含んでなる場合、これらの層の配置は特に限定されない。
【0159】
金属粒子支持層が金属層を少なくとも含んでなることが好ましい。金属層が、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)および金(Au)から選択される元素を含んでなることが更に好ましい。
【0160】
金属層は、例えば、金属を含有する金属塩溶液にアルカリを添加することにより形成できる。
【0161】
金属粒子キャリア層が金属酸化物層を含む場合、これは好ましくは二酸化ケイ素を含まない。金属酸化物層は、好ましくは、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)およびCe(セリウム)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含有する。特に好ましくは、金属酸化物層の形態の金属粒子支持層iii)は、Sn、Zn、TiおよびCeの金属酸化物を含有する。
【0162】
金属酸化物層の形態の金属粒子支持層は、例えば、金属酸化物の金属を形成する金属のアルコキシドをゾル-ゲル法で加水分解することによって製造できる。
【0163】
金属層の厚さは、好ましくは30nm以下である。
【0164】
金属粒子は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、金(Au)、およびそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含んでよい。金属粒子が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)および銀(Ag)から選択される少なくとも1つの元素を含んでなることが特に好ましい。
【0165】
金属粒子の平均粒径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。金属粒子間の距離は、好ましくは10nm以下である。
【0166】
金属粒子を形成する適当な方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD)、無電解めっき法などが挙げられる。これらの方法の中でも、無電解めっき法が特に好ましい。
【0167】
好ましい実施態様では、顔料は、下にある被覆Bとは異なる金属酸化物(水和物)の被覆Cを更に有する。適切な金属酸化物としては、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)が挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0168】
被覆Cは好ましくは、10~500nm、より好ましくは50~300nmの厚さを有する。例えばTiO2ベースの、被覆Cを設けることにより、高い隠蔽力を保持しながら、より優れた干渉性を達成できる。
【0169】
層AおよびCは、腐食防止、並びに化学的および物理的安定化の役割を果たす。特に好ましくは、層AおよびCは、ゾル-ゲル法により適用されたシリカまたはアルミナである。この方法は、テトラエチルオルソシリケートまたはアルミニウムトリイソプロパノレートなどの金属アルコキシドの溶液(通常、有機溶媒の溶液、またはC1-C4アルコールなどの有機溶媒を少なくとも50重量%含む有機溶媒と水との混合物の溶液)中に、未被覆の基材ウェハまたは層Aおよび/または層Bで既に被覆された基材ウェハを分散させ、弱塩基または酸を加えて金属アルコキシドを加水分解することにより、(被覆された)基材プレートレットの表面に金属酸化物のフィルムを形成することを含む。
【0170】
層Bは、例えば、1つ以上の有機金属化合物の加水分解により、および/または1つ以上の溶解金属塩の析出、並びに後続の後処理(例えば、形成された水酸化物含有層のアニールによる酸化物層への移行)により製造できる。
【0171】
被覆A、Bおよび/またはCのそれぞれは、2以上の金属酸化物(水和物)の混合物で構成されていてよいが、被覆のそれぞれは好ましくは、1の金属酸化物(水和物)で構成される。
【0172】
被覆された層状若しくはレンズ状基材プレートレットをベースにした顔料、または被覆されたVMP基材プレートレットをベースにした顔料は、好ましくは70~500nm、特に好ましくは100~400nm、特に好ましくは150~320nm、例えば180~290nmの厚さを有する。基材プレートレットの薄い厚さに起因して、顔料は、特に高い隠蔽力を発揮する。被覆基材プレートレットの小さい厚さは、未被覆基材プレートレットの厚さを小さく保つことにより、また、被覆Aおよび存在する場合は被覆Cの厚さを可能な限り小さい値に調整することにより、達成される。被覆Bの厚さは、顔料の色彩感を決定する。
【0173】
最外層(構造に応じてA層、B層またはC層)をシラン、リン酸エステル、チタン酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸などの有機化合物で付加的に変性することにより、ケラチン物質中の被覆基材プレートレットベース顔料の付着性および耐摩耗性を大幅に向上させることができる。この場合、有機化合物は、最外層の、好ましくは金属酸化物含有の、層A、層Bまたは層Cの表面に結合している。最外層とは、基材プレートレットから空間的に最も離れた層を示す。有機化合物は、好ましくは、金属酸化物含有層A、BまたはCに結合できる官能性シラン化合物である。これらは単官能性または二官能性化合物のいずれであってもよい。二官能性有機化合物の例としては、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(プロポキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、またはフェニルアリルジクロロシランが挙げられる。また、単官能性シラン、アルキルシランまたはアリールシランによる変性も実施できる。これは、もっぱら1個の官能基を有し、この官能基は、被覆基材プレートレットベース顔料の表面に(即ち、最外層の金属酸化物含有層に)、または完全には被覆されていない場合は金属表面に共有結合していてよい。シランの炭化水素基は顔料から離れる。シランの炭化水素基の種類および性質に応じて、顔料の疎水性の程度を変えることができる。そのようなシランの例としては、ヘキサデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。特に好ましいのは、単官能性シランで表面変性されたシリカ被覆アルミニウム基材プレートレットベース顔料である。オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘカデシルトリメトキシシランおよびヘカデシルトリエトキシシランが特に好ましい。変更された表面特性/疎水化に起因して、適用における付着性、耐摩耗性および配向性の向上を達成できる。
【0174】
適当な基材プレートレットベース顔料は、例えば、Eckart社のVISIONAIREシリーズの顔料を包含する。
【0175】
レンズ状基材プレートレットに基づく顔料は、例えば、Schlenk Metallic Pigments GmbH社からAlegrace(登録商標)Gorgeousの名称で入手可能である。
【0176】
真空蒸着顔料を含んでなる基材プレートレットに基づく顔料は、例えば、Schlenk Metallic Pigments GmbH社からAlegrace(登録商標)MarvelousまたはAlegrace(登録商標)Aurousの名称で入手可能である。
【0177】
別の実施態様では、本発明の方法は、組成物(A)が、組成物(A)の総重量に基づいて、0.001~20重量%、0.05~5重量%の総量で、1以上の顔料を含有することを特徴とする。
【0178】
着色化合物として、本発明における組成物は、1以上の直接染料を含有してもよい。直接作用染料は、毛髪に直接作用し、色を形成するために酸化工程を必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料、またはインドフェノールである。
【0179】
本発明の意味における直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料として扱われない。好ましくは、本発明の意味における直接染料は、1.0g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。特に、本発明の意味における直接染料は、1.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0180】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および非イオン性直接染料に分類できる。
【0181】
別の好ましい実施態様では、本発明における剤は、剤が、着色化合物として少なくとも1つのアニオン性直接染料、カチオン性直接染料および/または非イオン性直接染料を含有することを特徴とする。
【0182】
別の好ましい実施態様では、本発明における方法は、組成物(B)および/または組成物(C)が、アニオン性直接染料、非イオン性直接染料および/またはカチオン性直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含んでなることを特徴とする。
【0183】
適当なカチオン性直接染料は、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2、Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347(Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51 Basic Red 76を包含する。
【0184】
非イオン性直接染料として、非イオン性ニトロおよびキノン染料並びに天然アゾ染料を使用できる。適当な非イオン性直接染料は、以下の国際名称または商品名で記載されているものである:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9の既知の化合物、および1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2'-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール。
【0185】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1個のカルボン酸基(-COOH)および/または少なくとも1個のスルホン酸基(-SO3H)を有する直接染料である。pH値に依存して、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SO3H)は、それらの脱プロトン化形態(-COO-、-SO3
-存在)と平衡関係を示す。プロトン化形態の割合は、pHの低下とともに増える。直接染料をその塩として使用する場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。本発明の酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはそのカリウム塩の形態でも使用できる。
【0186】
本発明の意味における酸性染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料として扱われない。好ましくは、本発明の意味における酸性染料は、1.0g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0187】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、対応するアルカリ塩よりも低い溶解度をしばしば有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0188】
酸性染料の本質的な特徴は、アニオン性電荷を形成する能力であり、その原因となるカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、様々な発色団系に結合している。適当な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見られる。
【0189】
例えば、下記群からの1以上の化合物が特に適した酸性染料として選択され得る:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No. 7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°015)、Acid Orange 10(C.I. 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18; CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Real red D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphthol red S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n℃53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext. D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blue V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patent blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I. Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(C.I.42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、 Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No. 5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0190】
例えば、アニオン性直接染料の水溶性は、下記方法で測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに導入する。磁気撹拌棒を加える。次いで、100mLの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。次いで、水性混合物を視覚的に評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した染料の量が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解染料が濾紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1.0g/Lである。
【0191】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸およびジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃の水に高度に溶解できる。
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きい。
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0192】
サーモクロミック染料を使用することもできる。サーモクロミズムには、温度の関数として可逆的または不可逆的に、その色を変化させる材料の特性が含まれる。これは、強度および/または波長最大値の両方を変えることによって実施できる。
【0193】
最後に、フォトクロミック染料も使用可能である。フォトクロミズムには、光、特にUV光の照射に応じて可逆的または不可逆的に、その色を変化させる材料の特性が含まれる。これは、強度および/または波長最大値の両方を変えることによって実施できる。
【0194】
別の実施態様では、本発明における方法は、組成物(A)が、組成物(A)の総重量に基づいて、0.001~20重量%、0.05~5重量%の総量で1以上の直接染料を含有することを特徴とする。
【0195】
組成物(A)における他の化粧品成分
加えて、組成物(A)は、1以上の他の化粧品成分を含有してよい。
組成物(A)において場合により使用してよい化粧品成分は、組成物に更なる有益な特性を付与するのに適したあらゆる成分であり得る。例えば、組成物(A)において、溶媒、増粘剤またはフィルム形成ポリマー;非イオン性、カチオン性、アニオン性または双性イオン性/両性イオン性の界面活性化合物からの界面活性化合物;顔料、直接染料、酸化染料前駆体からなる群からの着色化合物;C8-C30脂肪アルコール、炭化水素化合物、脂肪酸エステルからなる群からの脂肪成分;pH調整剤の群に属する酸および塩基;香料、防腐剤、植物抽出物、およびタンパク質加水分解物。
【0196】
これらの他の物質の選択は、剤の所望の特性に応じて当業者によって実施される。他の任意成分および使用されるこれらの成分の量については、当業者に知られている関連マニュアルが明示的に参照される。
【0197】
これに関して、組成物(A)において、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはデカメチルシクロペンタシロキサンからなる群から選択される化粧品成分を使用することが、特に好ましいことが見出された。
【0198】
別の特に好ましい実施態様では、本発明における方法は、第一組成物(A)が、ヘキサメチルジシロキサンからなる群から選択される少なくとも1の化粧品成分を含んでなることを特徴とする。オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンを含有する。
【0199】
ヘキサメチルジシロキサンは、CAS番号107-46-0を有し、例えばSigma-Aldrichから商業的に購入できる。
【0200】
オクタメチルトリシロキサンは、CAS番号107-51-7を有し、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0201】
デカメチルテトラシロキサンは、CAS番号141-62-8を有し、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0202】
ヘキサメチルシクロトリシロキサンは、CAS番号541-05-9を有する。
オクタメチルシクロテトラシロキサンは、CAS番号556-67-2を有する。
デカメチルシクロペンタシロキサンは、CAS番号541-02-6を有する。
【0203】
組成物(A)におけるヘキサメチルジシロキサンの使用が、特に好ましいことが見出された。特に好ましくは、ヘキサメチルジシロキサンは、組成物(A)中に、組成物(A)の総重量に基づいて、1.0~20.0重量%、好ましくは1.3~10.0重量%、更に好ましくは1.6~5.0重量%、より更に好ましくは2.0~4.0重量%の量で存在する。
【0204】
組成物(A)における含水率(A1)
本発明における方法は、ケラチン物質への第一組成物(A)の適用を特徴とする。
本発明の明細書において、組成物(A)は、即用性組成物を意味し、これは、その実施態様において、ケラチン物質に、毛髪に適用できる。
【0205】
本発明の方法において、組成物(A)は、その存在している形態で容器に入れて提供することができる。しかし、C1-C6アルコキシシランを伴う場合、組成物(A)は非常に反応性の化合物を含有する。しかし、貯蔵安定性に関する問題を回避するために、2以上の貯蔵安定性組成物を混合することにより、使用直前に即用性かつ反応性の組成物(A)を調製することが特に好ましい。例えば、即用性組成物(A)は、1以上の有機C1-C6アルコキシシラン(A1)を高濃度で含む低含水シランブレンド(A-I)と、例えばゲル、ローションまたは界面活性剤系であり得る高含水キャリア組成物(A-II)とを混合することによって調製できる。
【0206】
従って、即用性組成物(A)は、好ましくは、より高い含水率を有し、含水率は、組成物(A)の総重量に基づいて、50.0~90.0重量%、好ましくは55.0~90.0重量%、より好ましくは60.0~90.0重量%、特に好ましくは70.0~90.0重量%の範囲であり得る。
【0207】
別の実施態様では、本発明における方法は、第一組成物(A)が、組成物(A)の総重量に基づいて、50.0~90.0重量%、好ましくは55.0~90.0重量%、より好ましくは60.0~90.0重量%、特に好ましくは70.0~90.0重量%の水を含有することを特徴とする。
【0208】
組成物(A)のpH値
別の実験では、組成物(A)のpH値が、染色時に得られる色強度に影響を及ぼし得ることが見出された。アルカリ性のpH値が、方法において達成可能な染色性能に有利な効果を与えることが見出された。
【0209】
この理由から、組成物(A)が7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.0~10.5のpHを有することが好ましい。
【0210】
pH値は、組み合わせ電極を介したガラス電極を使用するか、またはpH試験紙を使用するなど、当技術分野から知られている通常の方法を使用して測定できる。
【0211】
別の非常に特に好ましい実施態様では、本発明における方法は、組成物(A)が、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.0~10.5のpHを有することを特徴とする。
【0212】
上記pH値を調整するために、組成物(B)においても使用される酸性化剤を使用できる。
【0213】
組成物(B)における酸性化剤
本発明に必須の成分(B1)として、組成物(B)は少なくとも1の酸性化剤(B1)を含有する。
【0214】
特に好ましくは、酸性化剤(B1)は、無機酸、有機酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0215】
組成物(B)が、酸性化剤(B1)として少なくとも1の無機酸を含有する場合に、好ましい結果が得られた。適当な無機酸は、例えば、リン酸、硫酸および/または塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0216】
別の好ましい実施態様では、方法は、組成物(B)が、無機酸からなる群から選択される、好ましくはリン酸、硫酸、塩酸およびそれらの混合物からなる群から選択される酸性化剤(B1)を含んでなることを特徴とする。
【0217】
別のより好ましい実施態様では、方法は、組成物(B)が、酸性化剤(B1)として硫酸を含んでなることを特徴とする。
【0218】
同様に、組成物(B)が酸性化剤(B1)として少なくとも1の有機酸を含有する場合も、良好な結果が得られた。有機酸は好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルキック(corkic)酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック(toluoylic)酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン(bicarbamic)酸、4,4'-ジシアノ-6,6'-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0219】
別の好ましい実施態様において、方法は、組成物(B)が、有機酸からなる群から選択される少なくとも1の酸性化剤(B1)を含み、該有機酸は好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルキック(corkic)酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ショウノウ酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイリック酸、ヒドラトロパシック(hydratropasic)酸、アトロパシック(atropasic)酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4'-ジシアノ-6,6'-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0220】
更なるより好ましい実施態様において、方法は、組成物(B)が酢酸を酸性化剤(B1)として含むことを特徴とする。
【0221】
また、好適な酸性化剤として、メタンスルホン酸および/または1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が挙げられる。
【0222】
酸性化剤(B1)の群において、硫酸および/または酢酸が特に好適であることが見出された。
【0223】
更なる特に好ましい実施態様において、方法は、組成物(B)が、硫酸、酢酸およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1の酸性化剤(B1)を含むことを特徴とする。
【0224】
組成物(B)は、酸性化剤(B1)を化粧品用キャリア中に、好ましくは水性化粧品用キャリア中に含む。これに関して、組成物(B)が、組成物(B)の総重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、更により好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含有する場合が好ましいことが見出された。
【0225】
組成物(B)に含まれる酸性化剤は、組成物(B)のpHに対して影響を及ぼす。酸性pH値もまた、方法において得られる染色性能および染色物の堅牢性に対して有益な効果をもたらすことが見出された。
【0226】
このため、酸性化剤(B1)を含む組成物(B)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpH値を有することが好ましい。
【0227】
pH値は、当技術分野で知られた通常の方法、例えば、組み合わせ電極を介してガラス電極を使用した、またはpH試験紙を使用したpH測定によって測定できる。
【0228】
別の非常に特に好ましい実施態様において、方法は、組成物(B)が、酸性化剤(B1)を含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpH値を有することを特徴とする。
【0229】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0230】
組成物(B)におけるフィルム形成ポリマー
組成物(B)は、少なくとも1のフィルム形成ポリマーを更に付加的に含んでよい。
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、同一の反復有機単位からなる巨大分子である。本発明のポリマーは、1種のモノマーの重合によって、または互いに構造的に異なる複数種のモノマーの重合によって製造される合成ポリマーであってよい。ポリマーが1種のモノマーの重合により製造される場合、これはホモポリマーと称される。構造的に異なる複数種のモノマーが重合において使用される場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0231】
ポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によって決まる。本発明において、フィルム形成疎水性ポリマーの最大分子量は107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下である場合が好ましい。
【0232】
本発明の意味において、フィルム形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン物質上またはケラチン繊維上にフィルムを形成できるポリマーである。フィルムの形成は、例えば、ポリマーで処理されたケラチン物質を顕微鏡で観察することによって実証できる。
【0233】
別の好ましい実施態様では、本発明における方法は、第二組成物(B)が少なくとも1のフィルム形成ポリマーを含んでなることを特徴とする。
【0234】
別の特に好ましい実施態様では、本発明における方法は、第二組成物(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群から好ましくは選択される少なくとも1のフィルム形成ポリマーを含んでなることを特徴とする。
【0235】
フィルム形成ポリマーは、親水性であっても疎水性であってもよい。
【0236】
第一の実施態様では、少なくとも1の疎水性のフィルム形成ポリマーを、組成物(B)において使用することが好ましい場合がある。
【0237】
疎水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%未満の水への溶解度を有するポリマーである。
【0238】
フィルム形成疎水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1.0gのポリマーをビーカーに入れる。水で100gにする。磁気撹拌子を加え、混合物を撹拌しながらマグネチックスターラー上で25℃に加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度の故に視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存している場合は、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0239】
このようなものとして、アクリル酸型ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミド型ポリマーおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0240】
特に適当なフィルム形成疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群からのポリマーである。
【0241】
別の好ましい実施態様では、組成物(B)は、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群から選択される少なくとも1のフィルム形成疎水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0242】
合成ポリマー、ラジカル重合によって得られるポリマー、または天然のポリマーの群から選択されるフィルム形成疎水性ポリマーが、本発明における課題を解決するのに特に好適であることが見出された。
【0243】
他の特に適当なフィルム形成疎水性ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC1-C20アルキル基、アリール基若しくはC2-C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステル若しくはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0244】
他のフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピルのホモポリマーまたはコポリマーおよび/またはそれらの混合物から選択されてよい。
【0245】
別のフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、C2-C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-オクチルクリルアミド、N-ジ(C1-C4)アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択され得る。
【0246】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1-C6アルキルエステルのコポリマーであり、これらはINCI名アクリレートコポリマーで販売されている。好適な市販品は例えば、Rohm & Haas製のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1-C6アルキルエステル、およびエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪族アルコールとのエステルのコポリマーもまた好ましい。好適なエチレン性不飽和酸は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり、好適なアルコキシル化脂肪族アルコールは特に、ステアレス-20またはセテス-20である。
【0247】
非常に特に好ましい市販のポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アクリル酸アルキル架橋ポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas製の流通品Soltex OPT(アクリレート/C12-22メタクリル酸アルキルコポリマー)である。
【0248】
ビニルモノマーベースの好適なポリマーとして、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C1-C6)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0249】
また、特に好適であるものは、コポリマーのオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、例えばNATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)若しくはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているもの、またはNATIONAL STARCHによって商品名DERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0250】
好適なオレフィンベースポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0251】
別の実施態様において、フィルム形成疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレン誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。このようなブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて1つ以上の他のブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであってよい。かかるポリマーはBASFによって商品名「Luvitol HSB」で市販されている。
【0252】
組成物(B)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1のフィルム形成ポリマーを含む場合、色調の強い洗浄堅牢性の染色物を得ることができた。
【0253】
別の好ましい実施態様において、本発明における方法は、組成物(B)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1のフィルム形成ポリマーを含むことを特徴とする。
【0254】
第一の実施態様において、少なくとも1の親水性のフィルム形成ポリマーを、組成物(B)において使用することが好ましい場合がある。
【0255】
親水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きい水への溶解度を有するポリマーである。
【0256】
フィルム形成親水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1.0gのポリマーをビーカーに入れる。水で100gにする。磁気撹拌子を加え、混合物を撹拌しながらマグネチックスターラー上で25℃に加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。完全に溶解したポリマーは肉眼で均質に見える。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度の故に視覚的に評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存していない場合、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0257】
非イオン性、アニオン性およびカチオン性のポリマーは、フィルム形成親水性ポリマーとして使用できる。
【0258】
好適なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、酢酸ビニル(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然のガム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択され得る。
【0259】
更に、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドン含有コポリマーをフィルム形成親水性ポリマーとして使用することが特に好ましい。
【0260】
別の非常に特に好ましい実施態様において、組成物(B)は、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1のフィルム形成親水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0261】
組成物(B)が、ポリビニルピロリドン(PVP)をフィルム形成親水性ポリマーとして含む場合が更に好ましい。意外なことに、PVP含有剤(b)を用いて得られた染色物の洗浄堅牢性もまた非常に良好であった。
【0262】
特に適当なポリビニルピロリドンは、例えばBASF SEからLuviskol(登録商標)K、特にBASF SEからLuviskol(登録商標)K 90またはLuviskol(登録商標)K 85の名称で入手可能である。
【0263】
Ashland(ISP, POI Chemical)によって販売されているポリマーPVP K 30もまた、別の非常に適当なポリビニルピロリドン(PVP)として使用できる。PVP K 30は冷水中での溶解性が高いポリビニルピロリドンであり、CAS番号9003-39-8を有する。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0264】
他の特に好適なポリビニルピロリドンは、商品名LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115で知られる物質であり、BASFから入手可能である。
【0265】
ポリビニルピロリドンコポリマーの群からのフィルム形成親水性ポリマーを使用することによっても、特に良好で洗浄堅牢性の着色結果がもたらされる。
【0266】
ビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマー、例えば商標Luviskol(登録商標)(BASF)で販売されているものは、特に好適なフィルム形成親水性ポリマーである。ともにビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであるLuviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73は、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0267】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマーおよび/またはビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーおよび/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマーおよび/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーが化粧品組成物において特に好ましい。
【0268】
ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAの名称でBASF SEによって販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、商品名Aquaflex(登録商標)SF-40でAshland Incによって販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、AshlandによってStyleze CC-10の名称で販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0269】
ポリビニルピロリドンの他の好適なコポリマーはまた、N-ビニルピロリドンと、V-ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールからなる群からの少なくとも1の更なるモノマーとの反応により得られるものであってもよい。
【0270】
別の非常に特に好ましい実施態様において、組成物(B)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1のフィルム形成親水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0271】
ビニルピロリドンの別の適当なコポリマーは、INCI名マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0272】
また、非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーをフィルム形成親水性ポリマーとして使用した場合、特に良好な洗浄堅牢性を有する強く染色されたケラチン物質、特に毛髪を得ることができた。
【0273】
第一の実施態様において、組成物(B)は、少なくとも1の非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0274】
本発明によれば、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶剤中、例えば水中において標準的な条件下で、対イオンによって補われるはずである永続的なカチオン基またはアニオン基を有する構造単位を有しておらず、電気的中性を維持したままであるポリマーであると理解される。カチオン基は、第四級化アンモニウム基を包含するが、プロトン化アミンを含まない。アニオン基は、カルボン酸基およびスルホン酸基を包含する。
【0275】
下記:
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルピロリドンの2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルと酢酸ビニルのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとメタクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとアクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンとN,N-ジ(C1-C4)アルキルアミノ-(C2-C4)アルキルアクリルアミドのコポリマー
からなる群から選択される少なくとも1のポリマーを非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーとして含む組成物(B)が特に好ましい。
【0276】
N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーを使用する場合、モノマーのN-ビニルピロリドンに含まれる構造単位と、モノマーの酢酸ビニルに含まれるポリマーの構造単位とのモル比は、20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲である場合が好ましい。ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの好適なコポリマーは、例えば、BASF SEから商標Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73で入手可能である。
【0277】
別の特に好ましいポリマーは、INCI名VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これはBASF SEから商品名Luviset Clearで入手可能である。
【0278】
別の特に好ましい非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミニオプロピルメタクリルアミドのコポリマーであり、これは、例えば、ISPによりINCI名VP/DMAPAアクリレートコポリマーで、例えば商品名Styleze(登録商標)CC 10で販売されている。
【0279】
興味深いカチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば、ISPにより商品名AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中28~32重量%の活性物質、分子量350000)で販売されている。
【0280】
他の好適なフィルム形成親水性ポリマーとして、
・名称Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550およびINCI名ポリクオタニウム-16並びにFC 905およびHM 552で提供されている、ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
・ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー(これは、第三のモノマー成分としてアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドを伴って、例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称で市販されている)
が挙げられる。
【0281】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルと、ビニルピロリドンおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーとの反応生成物である。好適な市販品は、BASF SEからDehyquart(登録商標)CC 11およびLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称で、またはAshland Inc.からGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755若しくはGafquat 755Nの名称で入手可能である。
【0282】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えばBASF SEからLuviquat(登録商標)Holdの名称で入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは化粧品組成物の総重量に対して1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46をカチオン性グアー化合物と組み合わせて使用することが特に好ましい。ポリクオタニウム-46をカチオン性グアー化合物およびポリクオタニウム-11と組み合わせて使用することがいっそう非常に好ましい。
【0283】
好適なアニオン性のフィルム形成親水性ポリマーは、例えばアクリル酸ポリマーであってよく、これは非架橋形態であっても架橋形態であってもよい。そのような製品は、Lubrizolにより商品名Carbopol 980、981、954、2984および5984で、または3V Sigma(The Sun Chemicals, Inter Harz)によりSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で市販されている。
【0284】
天然ガムの群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーの例は、キサンタンガム、ゲランガム、カロブガムである。
【0285】
多糖類の群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーの例は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0286】
アクリルアミドの群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸またはその塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/またはポリ-2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択され得る。
【0287】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸の好ましいポリマーは架橋型であり、少なくとも90%が中和されている。これらのポリマーは架橋型であっても非架橋型であってもよい。
【0288】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸型の架橋された完全中和または部分中和ポリマーは、INCI名「アンモニウムポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート」または「アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド」で入手可能である。
【0289】
この種の別の好ましいポリマーは、Clamantにより商品名Hostacerin AMPSで販売されている架橋ポリ-2-アクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、これはアンモニアで部分中和されている。
【0290】
別の明白に非常に特に好ましい実施態様では、本発明における方法は、組成物(B)が、少なくとも1種のアニオン性のフィルム形成ポリマーを含むことを特徴とする。
【0291】
これとの関連において、組成物(B)が、少なくとも1つの式(P-I)で示される構造単位および少なくとも1つの式(P-II)で示される構造単位:
[式中、
Mは、水素原子、アンモニウム(NH
4)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウム、または1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを含む場合に、最良の結果が得られた。
【0292】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸単位に基づく。
【0293】
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のアンモニウム塩に基づく。
【0294】
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のナトリウム塩に基づく。
【0295】
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のカリウム塩に基づく。
【0296】
Mが半当量のマグネシウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のマグネシウム塩に基づく。
【0297】
Mが半当量のカルシウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位はアクリル酸のカルシウム塩に基づく。
【0298】
本発明における1種以上のフィルム形成ポリマーは、好ましくは、本発明における組成物(B)において特定の量的範囲で使用される。これに関して、本発明の課題を解決するためには、組成物(B)が、組成物(B)の総重量に基づいて各々の場合に、0.1~18.0重量%、好ましくは1.0~16.0重量%、より好ましくは5.0~14.5重量%、非常に特に好ましくは8.0~12.0重量%の総量で、1種以上のフィルム形成ポリマーを含む場合が特に好ましいことが見出された。
【0299】
更なる好ましい実施態様において、本発明における方法は、組成物(B)が、組成物(B)の総重量に基づいて0.1~18.0重量%、好ましくは1.0~16.0重量%、より好ましくは5.0~14.5重量%、非常に特に好ましくは8.0~12.0重量%の総量で、1種以上のフィルム形成ポリマーを含むことを特徴とする。
【0300】
組成物(B)における他の化粧品成分
加えて、組成物(B)は1以上の別の化粧品成分を含有してもよい。
組成物(B)において場合により使用してよい化粧品成分は、組成物に更なる有益な特性を付与するのに適したあらゆる成分であり得る。例えば、組成物(A)において、溶媒、増粘剤またはフィルム形成ポリマー;非イオン性、カチオン性、アニオン性または双性イオン性/両性イオン性の界面活性化合物からの界面活性化合物;顔料、直接染料、酸化染料前駆体からなる群からの着色化合物;C8-C30脂肪アルコール、炭化水素化合物、脂肪酸エステルからなる群からの脂肪成分;pH調整剤の群に属する酸および塩基;香料、防腐剤、植物抽出物、およびタンパク質加水分解物。
【0301】
これらの更なる物質の選択は、組成物の所望の特性に応じて当業者によって実施される。他の任意成分および使用されるこれらの成分の量については、当業者に知られている関連マニュアルが明示的に参照される。
【0302】
組成物(A)および(B)の適用
本発明における方法は、両方の組成物(A)および(B)の、ケラチン物質への適用を含む。2つの組成物(A)および(B)は、2つの異なる組成物である。
【0303】
先に述べたように、組成物(A)をケラチン物質にまず適用し、次いで組成物(B)を後処理剤としてケラチン物質に適用することが特に好ましい。
【0304】
別の実施態様では、下記工程:
(1)第一組成物(A)をケラチン物質に適用する工程、
(2)1分~10分、好ましくは1分~5分の間、組成物(A)をケラチン物質に作用させる工程、
(3)ケラチン物質から組成物(A)を濯ぎ落とす工程、
(4)組成物(B)をケラチン物質に適用する工程、
(5)1分~10分、好ましくは1分~5分の間、組成物(B)をケラチン物質に作用させる工程、
(6)ケラチン物質から組成物(B)を濯ぎ落とす工程
を含む本発明における方法が特に好ましい。
【0305】
方法の工程(3)および(6)におけるケラチン物質の水による濯ぎは、本発明では、濯ぎ工程では、組成物(a)および(b)と異なる他の組成物を使用せず、水のみを使用することを意味すると理解される。
【0306】
工程(1)では、組成物(A)をまずケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する。
【0307】
適用後、組成物(A)をケラチン物質に作用させる。これに関して、10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特に好ましくは30秒~2分の毛髪への適用時間が特に有利であることが見出された。
【0308】
本発明における方法の好ましい実施態様では、後続工程において組成物(B)を毛髪に適用する前に、組成物(A)をケラチン物質から濯ぎ落とすことができる。
【0309】
工程(4)では、今度は組成物(B)をケラチン物質に適用する。適用後、組成物(B)をそのままにして毛髪に作用させる。
【0310】
本発明における方法は、組成物(A)および(B)の曝露時間が短くても、特に良好な強度および耐洗浄性を有する染色物の製造を可能にする。10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特に好ましくは30秒~3分の毛髪への適用時間が特に有利であることが見出された。
【0311】
工程(6)では、組成物(B)をケラチン物質から水により濯ぎ落とす。
【0312】
別の実施態様では、下記工程:
(1)第一組成物(A)をケラチン物質に適用する工程、
(2)1分~10分、好ましくは1分~5分の間、組成物(A)をケラチン物質に作用させる工程、
(3)ケラチン物質から組成物(A)を濯ぎ落とす工程、
(4)組成物(B)をケラチン物質に適用する工程、
(5)1分~10分、好ましくは1分~5分の間、組成物(B)をケラチン物質に作用させる工程、
(6)ケラチン物質から組成物(B)を濯ぎ落とす工程
を記載の順で含む本発明における方法が特に好ましい。
【0313】
染色方法に必要とされる成分は、多成分包装ユニット(キット)の形態で供給される。
【0314】
本発明の第二の対象は、別個に包装された、
-第一組成物(A)を含む第一容器、および
-第二組成物(B)含む第二容器
を含んでなる、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット)であって、
組成物(A)および(B)は、本発明における第一の対象の説明において既に詳細に説明したものである、多成分包装ユニットである。
【0315】
また、本発明の多成分包装ユニットは、化粧品組成物(C)を含む第三の包装ユニットを含んでもよい。組成物(C)は、上述したように、非常に特に好ましくは、少なくとも1の色付与化合物を含有する。
【0316】
別の特に好ましい実施態様では、本発明における多成分包装ユニット(キット)は、互いに独立して組み立てられた、
-第三組成物(C)含む第三容器
を含み、第三組成物(C)は、本発明における第一の対象の説明において既に詳細に説明したものである。
【0317】
本発明における多成分包装ユニットの別の好ましい実施態様については、本発明における方法に関して既に述べたことが同様に当てはまる。
【国際調査報告】