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特表2022-548833ペレット製造機でペレットを製造する方法、ペレット、及びペレットの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ペレット製造機でペレットを製造する方法、ペレット、及びペレットの使用
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/22 20060101AFI20221115BHJP
   B29B 7/52 20060101ALI20221115BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C08J3/22 CES
B29B7/52
B29B9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515766
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 EP2020074965
(87)【国際公開番号】W WO2021048061
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】19196747.0
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グフレーラー,トーマス ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】サティヤナラヤナ,シャム サンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゲールク,イェン イク
(72)【発明者】
【氏名】プフ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】オサリバン,ジェニファー エム
(72)【発明者】
【氏名】ヘルブスト,ハインツ
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
【Fターム(参考)】
4F070AA12
4F070AA15
4F070AA18
4F070AB22
4F070AB23
4F070AC55
4F070AE03
4F070FB04
4F070FC05
4F201AA03
4F201AA09
4F201AA13
4F201AB06
4F201AB22
4F201AJ08
4F201AR12
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK16
4F201BK56
4F201BK75
4F201BL08
4F201BL42
4F201BL43
(57)【要約】
ペレット製造機でペレットを製造する方法であって、該方法が、(a)ノズルを通してローラーで圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップ、及び(b)ストランドを砕いてペレットを得るステップを含み、圧縮用混合物が、(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、及び(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、を含む、方法。ペレットは、安定化ポリマーの製造において、ポリマー安定化剤をダストフリーで取り扱うために有用である。さらに、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーを安定化する方法であって、ペレットをポリマーに投入することを含む方法もまた開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー及びノズル付きダイを備えるペレット製造機でペレットを製造する方法であって、該方法が、
(A)ノズルを通してローラーで圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップ、及び
(B)ストランドを砕いてペレットを得るステップ
を含み、
圧縮用混合物が、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%
を含み、
重量%は圧縮用混合物の重量に基づく、
方法。
【請求項2】
融解エンタルピーが、EN ISO 11357-3に準拠した示差走査熱量測定によって求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加工助剤が10000Da超~40000Da未満の重量平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
加工助剤が50℃超~85℃未満の融解ピーク温度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
融解ピーク温度が、EN ISO 11357-3に準拠した示差走査熱量測定によって求められる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
加工助剤がワックスのプロピレン-エチレンコポリマーである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤を89~96重量%、
(ii)加工助剤を4~11重量%
含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ストランドが、50℃超~110℃未満の表面温度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
方法が、
(プレA)圧縮用混合物をペレット製造機に供給するステップであって、
圧縮用混合物が粉末状であるステップ、
を含み、ステップ(プレA)がステップ(A)の前に行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ペレット製造機がリングダイ式ペレット製造機であり、ダイが内側及び外側を備えるリングの幾何学的形状を有し、ノズルが内側から外側への通路に相当するか、又は、ペレット製造機がフラットダイ式ペレット製造機であり、ダイが上側及び下側を備える平板の幾何学的形状を有し、ノズルが上側から下側への通路に相当する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
リングダイ式ペレット製造機では、リングが回転しており、ローラーが固定された回転軸を備え、フラットダイ式ペレット製造機では、ダイが固定されており、ローラーが回転している回転軸を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ノズルがノズル直径及びプレス長さを有し、プレス長さのノズル直径に対する比が2~8である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ローラー表面が波状である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ペレット製造機がリングダイ式ペレット製造機である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ペレット製造機が2つ以上のローラーを備え、ダイが2つ以上のノズルを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ペレットであって、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%
を含み、
重量%はペレットの重量に基づく、
ペレット。
【請求項17】
丸棒の形状を有し、丸棒の円の直径が2mm~4mmの間である、請求項16に記載のペレット。
【請求項18】
円の直径の1~3倍の長さを有する、請求項17に記載のペレット。
【請求項19】
安定化ポリマーの製造における、ペレットの成分をダストフリーで取り扱うための、請求項16~18のいずれか一項に定義されるペレットの使用であって、ポリマーが、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物である、使用。
【請求項20】
安定化ポリマーを製造する方法であって、
(AP)請求項16~18のいずれか一項に定義されるペレットをポリマーに投入して、ペレット-ポリマー混合物を得るステップ、
(BP)ペレット-ポリマー混合物を、機械的撹拌下で120~340℃の範囲の温度にさらして、安定化ポリマーを得るステップ
を含み、
ポリマーが、ポリオレフィン、ポリスチレン、又はそれらの混合物である、
方法。
【請求項21】
圧縮用混合物であって、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%
を含み、
重量%は圧縮用混合物の重量に基づく、
圧縮用混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレットを製造する方法であって、亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト)であるポリマー安定化剤、及び加工助剤を含む圧縮用混合物を、ペレット製造機(ペレットミル)のノズルを通してプレス(圧縮)してストランドを得るステップ、並びにストランドを砕いてペレットを得るステップを含む、方法に関する。さらなる実施形態は、ポリマー安定化剤及び加工助剤を含むペレットである。さらなる実施形態は、安定化ポリマーの製造において、ペレットの成分をダストフリー(無塵)で取り扱うためのペレットの使用である。さらなる実施形態は、安定化ポリマーを製造する方法であって、ペレットをポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマー中に組み込み、安定化ポリマーを得るステップを含む、方法である。さらなる実施形態は、圧縮用混合物である。
【背景技術】
【0002】
建築用の建設資材として使用されるか又は物品の一部となる有機ポリマーは、酸化、熱又は光による分解の影響を受けやすい。ポリマーの加工の際、例えば、ポリマー合成から得られたポリマーが所望の最終物品又は中間物品へと機械的に変換されるときに起こる短期分解が存在する。中間物品は、多くの場合、仕掛品であり、特に望ましい添加剤をポリマー合成から得られたポリマー中へと組み込むために役立つ。短期分解は、多くの場合は機械的圧力と併せて生じる比較的高い工程温度、例えば80℃超~330℃に対する比較的短い曝露により特性付けられることが多い。
【0003】
酸化、熱又は光による分解に対する安定化のためにポリマー安定化剤を有機ポリマー中に組み込むことが長く知られている。ポリマー安定化剤の組み込みは、典型的には、熱可塑性ポリマーについてはポリマーの加工中に行われ、ここで加熱されたポリマーは、低下した粘性を有するか、又は液体状態に近く、このためポリマー中のポリマー安定化剤の均一な分配が補助される。ポリマー安定化剤は、極めて多くの場合、室温において固体であり、その合成から粉末形態で得られる。実施上の問題は、粉末形態のポリマー安定化剤の実際の組み込みの際に生じる。粉末の操作は粉塵(dust)を容易に生成しやすい。粉塵は、製造工場における労働者の労働衛生の観点から、工場の安全性(例えば粉塵爆発)の観点から、また工場の清浄度(例えば、工場設備の粉塵汚染)の観点から、重大な問題である。さらに、ポリマー中への粉末の組み込みは、典型的にはバッチ様式では行われない。その代わりに、ポリマーへの粉末の連続添加は、例えば押出機中、連続様式で、典型的にはポリマーの0.5重量%未満の量で加工されるが、特定の瞬間において、実際に組み込まれる量は変動を受けやすい。したがって、全体として大きな量になるポリマーには、その後統計的には同量のポリマー安定化剤が含まれるが、これはポリマーの総量のうちの単一単位については必ずしも真実ではない。
【0004】
ポリマー安定化剤の好適な無塵剤形を提供するために、幾つかのアプローチが知られている。1つの方向性は、付加的成分、すなわちポリマー安定化剤としては必要のない成分の添加を伴わない好適な無塵剤形を提供することである。例えば、粉末形態のポリマー安定化剤を、回転圧縮により加圧塊成し、フレーク剤を得る。別のアプローチは、粉末形態のポリマー安定化剤から、上記ポリマー安定化剤を融解し、融液の一滴を冷却された表面上で固化させることによるパステル剤(pastille)の形成である。別のアプローチは、粉末形態のポリマー安定化剤から、上記ポリマー安定化剤を、ポリマー安定化剤の軟化点を上回る温度の押出機中で加熱して混錬し、ダイを通して加熱された塊を押出して温かいストランドを形成し、この温かいストランドをペレットへと切断することによるペレットの形成である。別の方向性は、付加的成分、すなわちポリマー安定化剤としては必要とされない成分を添加することにより好適な無塵剤形を提供することである。この付加的成分は、圧縮助剤、結合剤又は加工助剤と呼ばれる場合があり、ポリマー状の付加的成分の場合には、さらにまたマスターバッチポリマー又は担体ポリマーとも呼ばれ、典型的に、ポリマー安定化剤粉末の粒子それぞれに対するホットメルト糊(接着剤)の一種として作用する。ポリマー安定化剤自体が少なくとも主要部分に融解するか否かは、適用される温度及びポリマー安定化剤に対する付加的成分の化学的性質により、特にある種の相互溶解性が存在するか否かによって決まる。ポリマー安定化剤の剤形中への付加的成分の添加は利点を有する。特に、ポリマー安定化剤の剤形は、単に製造の最後にスクリーニングダストをそれぞれふるい分けするだけで、最初は無塵で得られる可能性がある。しかし、最初の無塵剤形の耐摩耗性は、剤形の輸送及びそれに伴う粉塵の形成の観点で関連してくる1つの特性である。
【0005】
亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)は、短期加工安定化剤(短時間処理安定化剤)として機能するポリマー安定化剤である。融解範囲は180~183℃であり、例えばIrgafos 168(商標、BASF SEから市販)に含有されている。
【0006】
特開平06-254845は、熱安定化剤の粉末、及び熱安定化剤よりも融点又は軟化点が低い有機配合剤の粉末を規定の比率で混合後、混合物をリング状目皿板に供給し、回転ローラーによって目皿板から粒状に押し出す方法による、粉末防止性及び分散性を有する安定化剤に関する。
【0007】
米国特許第5,846,656号は、紫外線及び熱酸化劣化に対してポリマー材料を安定化するための安定化系であって、ペレット状である安定化系に関する。ペレットは、少なくとも1種の安定化剤、及び安定化剤の融解を防止する薬剤の、実質的に乾燥した均一混合物から形成される。安定化剤化合物は、混合物の約50重量%~約98重量%を構成する。安定化剤は酸化防止剤、例えば亜リン酸塩(ホスファイト)及びヒンダードフェノール若しくはヒンダードアミンUV光安定化剤、又はそれらの組み合わせである。融解防止剤は、均一混合物の約3%~10%を構成する、脂肪酸若しくは脂肪族アルコールから誘導される化合物、脂肪酸若しくは脂肪族アルコール、又は複数の脂肪酸若しくは脂肪族アルコールの組み合わせであり得る。脂肪酸、脂肪族アルコール、及びそれらから誘導される化合物は、好ましくは50~100℃の範囲、好ましくは50~約80℃の範囲の低融点を有する。あるいは、融解防止剤は、均一混合物の約2~50重量%を構成する、小さな粒子サイズを有する潤滑剤であり得る。
【0008】
米国特許第6,596,198号は、ペレット化安定化剤添加剤系、及び良好な、好ましくは少なくとも約90重量%のペレット収率で当該系を製造する方法に関する。安定化剤添加剤系は、少なくとも安定化剤及び加工助剤を含み、好ましくは離型剤を含む。加工助剤は安定化剤よりも融解温度が低い。安定化剤は、安定化剤及び離型剤を組み合わせた合計重量の50重量%未満を構成する。
【0009】
国際公開第2008-033410は、様々な重合法において安定性を高めるために使用し得る高濃度ペレット化添加剤濃縮物又はポリマー安定化剤若しくはブレンド及びそれらの調製に関する。ペレット化添加剤濃縮物は少なくとも10重量%の担体ポリマーを含み、実施例においては、担体ポリマーの融解温度は上回るが主添加剤の融解温度よりは低い温度の押出機中で添加剤混合物を担体ポリマーと一緒に加熱し、その後温かいストランドをペレットへと切断することによって得られる。実施例4は、全体でポリマー安定化剤の含有量が70重量%であり担体ポリマーとしてのポリエチレンの含有量が30重量%であるペレットにおいて、亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)の含有量が48重量%であるペレットという結果になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平06-254845
【特許文献2】米国特許第5,846,656号
【特許文献3】米国特許第6,596,198号
【特許文献4】国際公開第2008-033410
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
依然として、出発物質として元は粉末形態である、亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)である、ポリマー安定化剤の、さらなる固体剤形に対する必要性がある。第1の態様において、剤形単位の剤形のそれぞれの製造は、理想的には、ポリマー安定化剤を加温することなく行うべきであり、又は少なくとも加温を最小限にすべきである。第1に、これは、直接加熱又は間接加熱のいずれかによるポリマー安定化剤の加温に必要とされるであろう工程エネルギーを節約し、すなわち機械的圧力が熱エネルギーへと変換され、これが加工されるポリマー安定化剤の温度の明らかな増加をもたらす。第2に、これは、ポリマー安定化剤の高温への不必要な曝露も回避する。不必要な曝露は一般的には回避されるべきであり、個々のポリマー安定化剤が相転移を受ける可能性もあり、例えば、元は結晶の物質が粘性状態に移行する。さらに、剤形の製造は、欠陥製品の生成を伴わずに行うべきであり、すなわち、利用されたポリマー安定化剤の出発物質は、1ランで高い割合で剤形へと加工されるべきである。言い換えれば、生成される不良品の量は、それが出発物質として再び直接再利用可能な形態であるとしても低いべきである。不良品の除去の一例は、最初に無塵剤形を得るための所望の剤形のふるい分けである。第2の態様において、ポリマー安定化剤の剤形は、その製造後、保存及び輸送中に安定したままであるべきである。特に、最初の無塵剤形は先と同様に、振動に対する曝露において、例えばバッグへの充填中に、充填されたバッグの輸送において、又は安定化される(安定化しようとする)ポリマーへの組み込みのための剤形単位の供給操作において、剤形単位の相互の摩耗によりそれぞれ微粒子の粉塵を生成する可能性がある。従って、剤形の一定レベルの耐摩耗性が望ましい。第3の態様において、剤形の単位は、理想的にはその形及び重量において多様でありすぎるべきでなく、これは、安定化されるポリマー中への組み込みにおいて剤形単位のより正確な供給を可能とするからである。より正確な供給の結果は、とりわけ安定化されるポリマー中への連続添加においては、安定化されたポリマー中でポリマー安定化剤の濃度がそれほど変動しないことである。言い換えれば、安定化ポリマーの特定の部分におけるポリマー安定化剤の局所濃度は、安定化ポリマー全体におけるポリマー安定化剤の平均濃度からのずれをそれほど示さない。剤形単位の供給が、安定化されるポリマー中への組み込みにおいて一段階で起こる場合、ポリマーはそれ自体依然として固体単位、例えばペレットとして存在し、このため、剤形単位は形及び重量においてポリマーの固体単位と比較的類似していることが有利である。これは、剤形単位と安定化されるポリマーの固体単位との混合物が、混合物として輸送される間に分離することを嫌う。このような輸送の一例は、安定化されるポリマーとポリマー安定化剤との混合物の、保存設備からポリマー中への組み込みのための装置、例えば押出機への圧送である。第4の態様において、ポリマー安定化剤の剤形は、低含有量の助剤成分を含むべきである。助剤成分は、剤形の製造の間、例えば、後で除去される溶媒の添加の間にのみ存在する可能性がある。助剤成分は恒久的に存在する可能性があり、すなわち、剤形の組成物は、安定化されるポリマー中に組み込まれるであろう助剤成分を含む。第5の態様において、ポリマーの安定化は、理想的には、安定化されるポリマー全体にわたる個々のポリマー安定化剤分子の均一な分配によって補助される。あるいは、ポリマー安定化剤が、安定化されるポリマー中の個々の分子として可溶性ではない場合、不溶性ポリマー安定化剤の個々の分子の凝集体、又は個々のポリマー安定化剤分子の凝集体からのさらに大きな粒子は、安定化されるポリマー中で均一に分配される。ポリマー安定化剤の分配に対する剤形の潜在的な影響は、最初は全てのポリマー安定化剤分子が剤形中に濃縮されるが、その後は全てのポリマー安定化剤が理想的には安定化されるポリマー中で均一に分配されることを考慮することにより明らかである。安定化されるポリマーにおけるポリマー安定化剤の不均一な分配は、ポリマー及びポリマー安定化剤の粉末を混合する場合のような、より完全な初期分配によって安定化されたポリマーと比較して低下した、安定化ポリマーの分解に対する安定性とは異なって気づかれる可能性もある。例えば、安定化ポリマー中で不均一に分配されたポリマー安定化剤は、上記安定化ポリマーから薄いポリマーフィルムを製造する場合に表面特性を乱す可能性があるか、又は安定化ポリマーの回転押出の場合にフィルター又はノズルの目詰まりをもたらす可能性がある。安定化されるポリマーの性質は、好適なポリマー安定化剤と関係がある。例えば、ポリアミドは溶融状態になる途中でジメチルスルホキシドと同等のある種の溶媒に変化するが、ポリオレフィンは、典型的には、溶融状態になる途中でn-ヘキサン又はデカリンなどのある種の溶媒のみに変化する。したがって、ポリアミド中での処理よりも高い温度でのポリオレフィンの処理中に、ポリオレフィン中のポリマー安定化剤の分配を修正する可能性は少ない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ローラー及びノズル付きダイを備えるペレット製造機でペレットを製造する方法であって、該方法が、
(A)ノズルを通してローラーで圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップ、及び
(B)ストランドを砕いてペレットを得るステップ
を含み、圧縮用混合物が、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%
を含み、重量%は圧縮用混合物の重量に基づく、
方法が見出された。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】方眼紙に置かれた、例E-1-1で得られたペレットを示す図である。
図2】方眼紙に置かれた、例E-1-2で得られたペレットを示す図である。
図3】方眼紙に置かれた、例E-1-3で得られたペレットを示す図である。
図4】方眼紙に置かれた、例E-1-4で得られたペレットを示す図である。
図5】方眼紙に置かれた、例E-1-5で得られたペレットを示す図である。
図6】方眼紙に置かれた、例E-1-6で得られたペレットを示す図である。
図7】方眼紙に置かれた、例E-1-7で得られたペレットを示す図である。
図8】方眼紙に置かれた、例E-1-8で得られたペレットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
圧縮用混合物の成分(i)及び(ii)の重量百分率は、圧縮用混合物の重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含む、圧縮用混合物に含有されるすべての成分の重量百分率を合計すると、全体で100重量%になる。言い換えれば、すべての成分の合計は100重量%である。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0015】
ポリマー安定化剤は、酸化、熱、又は光により起こる分解を受けやすいポリマーを、酸化、熱、又は光による分解に対して安定化する働きをする。亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)を以下に示す。
【0016】
【化1】
【0017】
該物質は、例えば、市販のポリマー安定化剤Irgafos 168(商標 BASF)に含有されている。該物質は主に短時間処理安定化剤として機能する。短時間処理安定化剤は、短時間の劣化に対して使用される。短時間の劣化は多くの場合、ポリマーが比較的高い処理温度(例えば80℃超~330℃)に、比較的短時間さらされることを特徴とし、多くの場合、機械的応力と組み合わされて起こる。
【0018】
好ましくは、ポリマー安定化剤は粉末状である。粉末のかさ密度は、DIN EN ISO 17892-3に準拠して求められる。好ましくは、ポリマー安定化剤は粉末状であり、DIN EN ISO 17892-3によって求めた際に300g/L超~900g/L未満、非常に好ましくは350g/L超~600g/L未満、特に380g/L超~550g/L未満、極めて特に400g/L超~500g/L未満のかさ密度を有する。
【0019】
加工助剤は、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピー、融解ピーク温度、及び融解範囲を有する。融解エンタルピーは、EN ISO 11357-3に準拠した示差走査熱量測定(DSC)によって、好ましくは大気圧、例えば101.32kPaで求められる。融解温度及び融解範囲も同様に、EN ISO 11357-3に準拠した示差走査熱量測定によって、好ましくは大気圧、例えば101.32kPaで求められる。好ましくは、大気圧でのEN ISO 11357-3は、(a)10℃/min及び30mL/min N2で0℃から200℃、(b)10℃/min及び30mL/min N2で200℃から0℃、(c)10℃/min及び30mL/min N2で0℃から200℃、の3つの連続した加熱サイクルで実施される。
【0020】
好ましくは、加工助剤の融解エンタルピーは、101.32kPaで10J/g超~100J/g未満、非常に好ましくは15J/g超~85J/g未満、特に17J/g超~70J/g未満、極めて特に18J/g超~55J/g未満、とりわけ19J/g超~40J/g未満、極めてとりわけ20J/g超~30J/g未満、最もとりわけ21J/g超~25J/g未満である。
【0021】
好ましくは、加工助剤の融解ピーク温度は、50℃超~85℃未満、非常に好ましくは55℃超~83℃未満、特に60℃超~81℃未満、極めて特に65℃超~80℃未満、とりわけ70℃超~79℃未満、極めてとりわけ73℃超~78℃未満、最もとりわけ75℃超~77℃未満である。
【0022】
好ましくは、加工助剤の融解範囲は、20℃~100℃の間、非常に好ましくは21℃~99℃の間、特に22℃~98℃の間、極めて特に23℃~97℃の間、とりわけ24℃~96℃の間である。
【0023】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、加工助剤が50℃超~85℃未満の融解ピーク温度を有する、方法である。
【0024】
プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤は、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及びMwとMnとの比である多分散度指数(PD)を有する。好ましくは、重量平均分子量、数平均分子量、及び多分散度指数は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、非常に好ましくは、ISO 16014-4に準拠した高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)によって求められる。ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて、検出器は好ましくは屈折率検出器(RI検出器)である。溶媒は、好ましくはトリクロロベンゼンである。カラム温度は、好ましくは150℃である。キャリブレーション標準は、好ましくはポリスチレンを含む。
【0025】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の重量平均分子量は、10000Da(ダルトン)超~40000Da未満、非常に好ましくは12000Da超~35000Da未満、特に14000Da超~30000Da未満、極めて特に15000Da超~25000Da未満、とりわけ16000Da超~20000Da未満、極めてとりわけ17000Da超~18000Da未満である。
【0026】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の数平均分子量は、2000Da超~10000Da未満、非常に好ましくは3000Da超~9000Da未満、特に4000Da超~8000Da未満、極めて特に5000Da超~7500Da未満、とりわけ6000Da超~7000Da未満である。
【0027】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の多分散度指数は、1.3超~7未満、非常に好ましくは1.5超~5未満、特に1.7超~4未満、極めて特に1.9超~3.5未満、とりわけ2.1超~3未満、極めてとりわけ2.3超~2.7未満である。
【0028】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の重量平均分子量は10000Da超~40000Da未満、且つ数平均分子量は2000Da超~10000Da未満であり、非常に好ましくは、重量平均分子量は12000Da超~35000Da未満、且つ数平均分子量は3000Da超~9000Da未満であり、特に、重量平均分子量は14000Da超~30000Da未満、且つ数平均分子量は4000Da超~8000Da未満であり、極めて特に、重量平均分子量は15000Da超~25000Da未満、且つ数平均分子量は5000Da超~7500Da未満であり、とりわけ、重量平均分子量は16000Da超~20000Da未満、且つ数平均分子量は6000Da超~7000Da未満である。
【0029】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の多分散度指数は1.3超~7未満、且つ重量平均分子量は10000Da(ダルトン)超~40000Da未満であり、非常に好ましくは、多分散度指数は1.5超~5未満、且つ重量平均分子量は12000Da超~35000Da未満であり、特に、多分散度指数は1.7超~4未満、且つ重量平均分子量は14000Da超~30000Da未満であり、極めて特に、多分散度指数は1.9超~3.5未満、且つ平均分子量は15000Da超~25000Da未満であり、とりわけ、多分散度指数は2.1超~3未満、且つ平均分子量は16000Da超~20000Da未満であり、極めてとりわけ、多分散度指数は2.3超~2.7未満、且つ平均分子量は17000Da超~18000Da未満である。
【0030】
多分散度指数は、重量平均分子量及び数平均分子量と数学的に相関していることが理解される。したがって、以下において、与えられた多分散度指数の範囲は、与えられた平均分子量の範囲から適切な特定の平均分子量を選択し、与えられた数平均分子量の範囲から適切な特定の数平均分子量を選択することによって得ることができる、特定の多分散度指数のみが意図されていることを意味する。好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の多分散度指数は、1.3超~7未満であり、重量平均分子量は10000Da(ダルトン)超~40000Da未満であり、数平均分子量は2000Da超~10000Da未満である。非常に好ましくは、多分散度指数は1.5超~5未満であり、重量平均分子量は12000Da超~35000Da未満であり、数平均重量は3000Da超~9000Da未満である。特に、多分散度指数は1.7超~4未満であり、重量平均分子量は14000Da超~30000Da未満であり、数平均重量は4000Da超~8000Da未満である。極めて特に、多分散度指数は1.9超~3.5未満であり、平均分子量は15000Da超~25000Da未満であり、数平均分子量は5000Da超~7500Da未満である。とりわけ、多分散度指数は2.1超~3未満であり、平均分子量は16000Da超~20000 Da未満であり、数平均分子量は6000Da超~7000Da未満である。
【0031】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、加工助剤が10000Da超~40000Da未満の重量平均分子量を有する、方法である。
【0032】
好ましくは、加工助剤は粉末状である。粉末のかさ密度は、DIN EN ISO 17892-3に準拠して求められる。好ましくは、加工助剤は粉末状であり、DIN EN ISO 17892-3によって求めた際に200g/L超~800g/L未満、非常に好ましくは250g/L超~600g/L未満、特に280g/L超~400g/L未満、極めて特に300g/L超~400g/L未満のかさ密度を有する。
【0033】
好ましくは、加工助剤は、ワックスのプロピレン-エチレンコポリマーである。好ましくは、加工助剤は、プロピレン及びエチレンからメタロセン触媒を用いて合成されるプロピレン-エチレンコポリマーワックスである。好ましくは、加工助剤は、プロピレン-エチレンコポリマーであって、長いポリマー鎖が短鎖(-CH3)によって分岐され、非常に好ましくは、本質的に短鎖のみで分岐され、特に短鎖のみで分岐された、プロピレン-エチレンコポリマーである。好ましくは、加工助剤は、プロピレン-エチレンコポリマーワックスであって、ISO 1183に準拠した23℃での密度が0.85g/cm3超~0.90g/cm3未満、非常に好ましくは0.87g/cm3である、プロピレン-エチレンコポリマーワックスである。好ましくは、加工助剤は、プロピレン-エチレンコポリマーワックスであって、ASTM D 3954に準拠した滴点が80℃超~100℃未満、非常に好ましくは85℃超~95℃未満、特に滴点が87℃~93℃の範囲である、プロピレン-エチレンコポリマーワックスである。好ましくは、加工助剤は、プロピレン-エチレンコポリマーワックスであって、DIN 53019に準拠した170℃での粘度が50mPas超~750mPas未満、非常に好ましくは100mPas超~500mPas未満、特に120mPas超~350mPas、極めて特に粘度が150mPas~250mPasの範囲である、プロピレン-エチレンコポリマーワックスである。好ましくは、加工助剤は、プロピレン-エチレンコポリマーワックスであって、Licocene PP 1302である。
【0034】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、加工助剤がワックスのプロピレン-エチレンコポリマーである、方法である。
【0035】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を88~97重量%、及び(ii)加工助剤を3~12重量%含む、方法である。
【0036】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を90~97重量%、及び(ii)加工助剤を3~10重量%含む、方法である。
【0037】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を91~97重量%、及び(ii)加工助剤を3~9重量%含む、方法である。
【0038】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を89~96重量%、及び(ii)加工助剤を4~11重量%含む、方法である。
【0039】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を90~96重量%、及び(ii)加工助剤を4~10重量%含む、方法である。
【0040】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を91~96重量%、及び(ii)加工助剤を4~9重量%含む、方法である。
【0041】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を87~94重量%、及び(ii)加工助剤を6~13重量%含む、方法である。
【0042】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を88~94重量%、及び(ii)加工助剤を6~12重量%含む、方法である。
【0043】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を87~93重量%、及び(ii)加工助剤を7~13重量%含む、方法である。
【0044】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(i)ポリマー安定化剤を88~93重量%、及び(ii)加工助剤を7~12重量%含む、方法である。
【0045】
ポリマー及び加工助剤とは異なる付加的成分が圧縮用混合物に含有される場合、付加的成分は比較的少量のみ、すなわち、10重量%以下(=0~10重量%)で含有される。付加的成分は、付加的成分の混合物も含む。したがって、付加的成分の混合物は、比較的少量のみ、すなわち、10重量%以下(=0~10重量%)で含有される。付加的成分は、例えば、別のポリマー安定化剤、別の加工助剤又は充填剤である。別のポリマー安定化剤は、例えば、フェノール系酸化防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定化剤、金属不活性化剤、ポリマー安定化剤とは異なるホスファイト、ホスホナイト、ヒドロキシルアミン又はアミンN-オキシド、チオ相乗剤、酸スカベンジャー又は過酸化物スカベンジャーである。別の加工助剤は、例えば、オレアミド、エルカミド、ベヘナミド又はモノステアリン酸グリセリンである。充填剤は、例えば、シリカ、タルク又はウォラストナイトである。好ましくは、付加的成分は、波長380nm未満、非常に好ましくは350nm未満、特に300nm未満、極めて特に280nm未満、とりわけ260nm未満の光吸収極大値を有し、極めてとりわけ250nmを超える光吸収極大値を有さない。
【0046】
付加的成分は、好ましくは、23℃及び101.32KPaで固体状である。好ましくは、付加的成分は粉末状である。粉末のかさ密度は、DIN EN ISO 17892-3に準拠して求められる。非常に好ましくは、付加的成分は粉末状であり、200g/L超~950g/L未満のかさ密度を有する。
【0047】
好ましくは、付加的成分は、圧縮用混合物に、9重量%以下(=0~9重量%)の量、非常に好ましくは8重量%以下(=0~8重量%)の量、特に7重量%以下(=0~7重量%)の量、極めて特に6重量%以下(=0~6重量%)の量、とりわけ5重量%以下(=0~5重量%)の量、極めてとりわけ3重量%以下(=0~3重量%)の量、最もとりわけ1重量%以下(=0~1重量%)の量で含有され、極めて最もとりわけ、圧縮用混合物に付加的成分は含有されない。
【0048】
好ましいのは、ローラー及びノズル付きダイを備えるペレット製造機でペレットを製造する方法であって、該方法が、
(A)ノズルを通してローラーで圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップ、及び
(B)ストランドを砕いてペレットを得るステップ
を含み、
圧縮用混合物が、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分10重量%以下
を含み、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%以下である、
方法である。
【0049】
好ましいのは、ローラー及びノズル付きダイを備えるペレット製造機でペレットを製造する方法であって、該方法が、
(A)ノズルを通してローラーで圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップ、及び
(B)ストランドを砕いてペレットを得るステップ
を含み、
圧縮用混合物が、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分0~10重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0050】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、(iii)付加的成分を0~3重量%含有する、方法である。
【0051】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤88~97重量%、
(ii)加工助剤3~12重量%、及び
(iii)付加的成分0~9重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0052】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤90~97重量%、
(ii)加工助剤3~10重量%、及び
(iii)付加的成分0~7重量%からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0053】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤91~97重量%、
(ii)加工助剤3~9重量%、及び
(iii)付加的成分0~6重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0054】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤89~96重量%、
(ii)加工助剤4~11重量%、及び
(iii)付加的成分0~7重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0055】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤90~96重量%、
(ii)加工助剤4~10重量%、及び
(iii)付加的成分0~6重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0056】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤91~96重量%、
(ii)加工助剤4~9重量%、及び
(iii)付加的成分0~5重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0057】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤87~94重量%、
(ii)加工助剤6~13重量%、及び
(iii)付加的成分0~7重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0058】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤88~94重量%、
(ii)加工助剤6~12重量%、及び
(iii)付加的成分0~6重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0059】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤87~93重量%、
(ii)加工助剤7~13重量%、及び
(iii)付加的成分0~6重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0060】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、圧縮用混合物が、
(i)ポリマー安定化剤88~93重量%、
(ii)加工助剤7~12重量%、及び
(iii)付加的成分0~5重量%
からなり、
成分(i)、(ii)及び(iii)の合計が100重量%である、
方法である。
【0061】
圧縮用混合物は、好ましくは、23℃及び101.32KPaで固体状である。非常に好ましくは、圧縮用混合物は粉末状である。好ましくは、粉末状の圧縮用混合物は、粉末状のポリマー安定化剤及び粉末状の加工助剤、並びに、場合により粉末状の付加的成分の物理的混合によって得られる。物理的混合は、ポリマー安定化剤又は加工助剤の完全な融解を含まず、ポリマー安定化剤又は処理安定化剤を溶媒に溶解し、続いて溶媒の一部又は全部を蒸発させることを含まない。成分(i)、(ii)及び場合により(iii)の粉末の固体粒子は、圧縮用混合物中に均一に分布している。物理的混合は、バッチ式又は連続的に実施することができる。
【0062】
圧縮用混合物は、ペレット製造機でペレットを製造する方法における供給材料である。圧縮用混合物は通常、ノズル付きダイ及びローラーを備えるペレット製造機のセクションに、重力によって連続的に投入される。ノズル付きダイ及びローラーを備えるペレット製造機のセクションへの投入時における圧縮用混合物の温度が高すぎる場合、ローラー領域にペースト状の塊が形成され、これが製造方法の不具合につながる可能性がある。投入時の圧縮用混合物の温度は、好ましくは40℃未満であり、非常に好ましくは、投入は室温で行われる。ローラーは、供給材料を事前に圧縮して脱気し、ノズルを通して供給材料をプレス(圧縮)する。円柱状のストランドが形成される。より詳細には、供給材料としての圧縮用混合物は、円錐形であり得るノズルの供給ゾーンでさらに圧縮され、ノズルの長い、通常円筒状に形成されたチャネルで、ノズル表面の摩擦によって加熱され始め、焼結する。ノズルの関連表面は、チャネルの最小直径に沿ったノズルのチャネル表面であり、通常は円筒状である。ノズルの最小直径は、本明細書ではノズル直径として定義される。プレス長さは、本明細書では、円筒状チャネルの最小直径が適合する距離として定義される。ノズルの円筒状チャネルは、プレス長さに次いで拡張する可能性があるが、円筒状チャネルの拡張部分は、供給材料による摩擦の増加には寄与しない。ノズル直径及びプレス長さは、焼結度に影響を与えるパラメータである。ストランドを砕いてペレットを得ることは、例えば、ダイの外側から調整された距離にある破砕装置としてのカッティングナイフを用いて行われる。カッティングナイフでの切断は、ストランドをそれぞれ破損させ、通常ノズル直径の1~3倍である、さまざまな長さのペレットとする。その後、ペレットは冷却され、例えば、1.6mmのふるいにかけることができ、これは、例えば、振動ふるいで行うことができる。部分的に圧縮された形態の圧縮用混合物から本質的になる、ふるいにかけられた微粉画分は、供給材料として直接再利用されるか、又は粉砕後に再利用され得る。より詳細な説明は、セクションE)の実験部分に記載されている。ステップ(B)の前に2回以上のステップ(A)が行われる、すなわち、形成されたストランドが砕かれる前に、2回以上のプレスが行われる可能性があることに留意されたい。このためのパラメータは、プレス長さの終わりと破砕装置、例えばカッティングナイフとの間の距離である。
【0063】
ステップ(A)の前に、ノズル付きダイ及びローラーを備えるペレット製造機のセクションに圧縮用混合物を供給する。圧縮用混合物は、好ましくは、粉末状でペレット製造機に供給される。供給は、好ましくは、重力によって行われる。
【0064】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、
(プレA)圧縮用混合物をペレット製造機に供給するステップであって、圧縮用混合物が粉末状であるステップ
を含み、
ステップ(プレA)がステップ(A)の前に行われる、
方法である。
【0065】
形成されたストランドの表面温度は、ノズルから出た後に、発生した摩擦によって周囲温度に対して上昇する。ストランドの表面温度は、例えば、赤外線照射の測定によって求められる。好ましくは、ストランドの表面温度は、50℃超~110℃未満、非常に好ましくは55℃超~105℃未満、特に60℃超~103℃未満、極めて特に62℃超~101℃未満である。
【0066】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ストランドが50℃超~110℃未満の表面温度を有する、方法である。
【0067】
ペレット製造機は、好ましくは、リングダイ式ペレット製造機又はフラットダイ式ペレット製造機である。歯車式ペレット製造機では、2つの歯車がローラーとして機能し、歯車と歯車との間の平歯車の配置によってノズル及びダイに相当するものを形成する。これにより、圧縮用混合物が打錠及び圧縮される。
【0068】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機がリングダイ式ペレット製造機であり、ダイが内側及び外側を備えるリングの幾何学的形状を有し、ノズルが内側から外側への通路に相当するか、又は、ペレット製造機がフラットダイ式ペレット製造機であり、ダイが上側及び下側を備える平板の幾何学的形状を有し、ノズルが上側から下側への通路に相当する、方法である。
【0069】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、リングダイ式ペレット製造機では、リングが回転しており、ローラーが固定された回転軸を備え、フラットダイ式ペレット製造機では、ダイが固定されており、ローラーが回転している回転軸を備える、方法である。
【0070】
機械的エネルギー投入量の主な要因は、ノズルのプレス長さのノズルのノズル直径に対する比(ノズルのプレス長さとノズルのノズル直径の比)である。例えば、表面温度は、選択したノズルのプレス長さ及びノズル直径の影響を受ける。好ましくは、プレス長さのノズル直径に対する比は、2~8であり、非常に好ましくは3~7であり、特に4~6であり、極めて特に5である。
【0071】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ノズルがノズル直径及びプレス長さを有し、プレス長さのノズル直径に対する比が2~8である、方法である。
【0072】
ローラー、好ましくは2つ以上のローラー、非常に好ましくは2つ又は3つのローラーは、通常、ローラー、圧縮用混合物、及びダイの間の摩擦によって駆動される。ローラーの表面が滑らかな場合、ローラーが滑る可能性がある。ローラー表面を波状とすることにより、製造方法の不具合につながる可能性のある、高すぎる滑りの程度が低減される。
【0073】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ローラー表面が波状である、方法である。
【0074】
リングダイ式ペレット製造機では、機械的エネルギー投入量の別の要因は、リングダイの回転数に対応する回転速度である。
【0075】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機がリングダイ式ペレット製造機である、方法である。
【0076】
ペレット製造機のダイの数は、ペレット製造機の構造設計及び工学上の考慮事項によって決定される。好ましくは、ペレット製造機は1つのダイを備える。ペレット製造機のローラーの数は、ペレット製造機の構造設計及び工学上の考慮事項によって決定される。ローラーの数が多いほど、ダイにおいて互いに反対側に配置された2つ以上のノズルを備えるダイの場合、ペレット製造機で特定の期間にわたってステップ(A)及び(B)をより高頻度で行うことが可能となる。ペレット製造機は、好ましくは2つ以上のローラー、非常に好ましくは2つ、3つ又は4つのローラー、特に2つ又は3つのローラー、極めて特に2つのローラーを備える。ダイのノズルの数は、ペレット製造機の構造設計及び工学上の考慮事項によって決定される。ダイのノズル数が多いと、ステップ(A)が個々のノズルで並行して又は後に行われ、2つ以上のストランドを並行して形成することが可能となる。ここで、「後に」とは、ステップ(A)が最初に第1のノズルで再び繰り返される前に、ステップ(A)が別のノズルで行われることを意味する。次に、ステップ(B)は、原則として並行して行われる。すなわち、2本以上のストランドを砕くことは、原則として並行して行われる。したがって、原則として、2つ以上のペレットが並行して得られる。したがって、特定の期間におけるペレットの生産数は大幅に増加する。ペレット製造機のダイは、好ましくは2つ以上のノズル、非常に好ましくは48~20000、特に96~16000、極めて特に360~14000、とりわけ720~12000、極めてとりわけ1440~11000、最もとりわけ3600~10000のノズルを備える。
【0077】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機が2つのローラーを備える、方法である。
【0078】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機が2つ以上のノズルを有するリングを備える、方法である。
【0079】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機が1つのリングを備える、方法である。
【0080】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機が2つ以上のローラーを備え、ダイが2つ以上のノズルを備える、方法である。
【0081】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機が1つのダイ、2つ以上のローラーを備え、ダイが2つ以上のノズルを備える、方法である。
【0082】
好ましいのは、ペレットを製造する方法であって、ペレット製造機が1つのダイ、2つ以上のローラーを備え、ダイが2つ以上のノズルを備え、ステップ(A)が、2つ以上のノズルのうち、第1のノズルで行われ、同時に又は後に(ただしステップ(A)が、2つ以上のノズルのうち、第1のノズルで再び行われる前に)、2つ以上のノズルのうち、第2のノズルで行われる、方法である。
【0083】
圧縮方法から得ることができるペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%
を含み、重量%はペレットの重量に基づいている。
【0084】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量百分率は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含む、ペレットに含有されるすべての成分の重量百分率を合計すると、全体で100重量%になる。言い換えれば、すべての成分の合計は100重量%である。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0085】
好ましくは、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分10重量%以下
を含み、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%以下である。
【0086】
好ましくは、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分0~10重量%
からなり、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%である。
【0087】
ペレットは、好ましくは丸棒の形状を有する。丸棒の形状は円柱状が理想であるが、ペレットの場合、円柱の2つの底領域は必ずしも平面及び互いに平行ではなく、特に平面及び互いに平行ではない。これは、ステップ(B)のストランドであるストランドを砕くことに起因し、これが、110℃を超える温度まで均一に昇温したストランドをナイフでホットカットする場合よりも多くの破損要素を含むためである。丸棒は円の直径を有する。好ましくは、丸棒の円の直径は、2mm~4mmの間、非常に好ましくは3mmである。ペレットの長さは、本明細書では、ノズル内のストランド形成の方向、すなわち、ストランドを砕くことによって生成される、ペレット表面における点を除き、ペレット表面における点まで平均して同じ距離を持つことによって定義される、ペレットの軸における最長距離として理解される。丸棒の場合、ペレットの軸は丸棒の回転軸である。ペレットは、好ましくは、円の直径の1~3倍の長さを有する。1つのペレットはそれ自体特定の長さの値を有するが、複数のペレットはペレットの平均の長さを有し得る。これは、破損要素を伴ってカットすることで行われるステップ(B)によって引き起こされる。ステップ(B)での破砕装置の距離の下で、ノズル及びノズルチャネルの設計が役割を果たす。選択肢の1つは、ノズルのプレス長さに次いで、ノズルの直径よりも大きい直径のセクションが続くことである。したがって、ノズルは、プレス長さセクション、及びプレス長さセクションの後に続く拡張セクションを有するチャネルを備える。拡張セクションにより、ダイの所望の厚さをノズルのプレス長さよりも大きくすることが可能になる。ダイの機械的強度の理由から、例えばダイの破損を避けるために、ダイの特定の厚さが望ましい場合がある。
【0088】
可能なステップ(C)は、ステップ(B)からのペレットを、例えば1.6mmのふるいにかけることである。これにより、ペレットを製造する方法、例えばステップ(B)に起因する微粉を除去する。
【0089】
可能なステップ(D)は、ペレットを冷却することである。例えば、冷却により、ペレットの温度がペレット製造機の周囲温度と類似した温度となる。ペレット製造機の周囲温度は、好ましくは室温であり、非常に好ましくは23℃である。この冷却は、可能なステップ(C)の実施中に、すでに部分的又は完全に行われていてもよい。冷却は、空気の流れによってサポート可能である。
【0090】
ペレット製造機でペレットを製造する方法、圧縮用混合物、及びペレットについての上記の定義及び選好は、ペレット製造機でペレットを製造する方法に関して記載されている。これらの定義及び選好は、本発明のさらなる実施形態にも適用される。
【0091】
本発明のさらなる実施形態は、圧縮用混合物であって、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%
を含み、重量%は圧縮用混合物の重量に基づく、
圧縮用混合物である。
【0092】
圧縮用混合物の成分(i)及び(ii)の重量百分率は、圧縮用混合物の重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含む、圧縮用混合物に含有されるすべての成分の重量百分率を合計すると、全体で100重量%になる。言い換えれば、すべての成分の合計は100重量%である。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0093】
好ましくは、圧縮用混合物は、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分10重量%以下
を含み、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%以下である。
【0094】
好ましくは、圧縮用混合物は、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分0~10重量%
からなり、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%である。
【0095】
圧縮用混合物は、好ましくは粉末状である。
【0096】
本発明のさらなる実施形態は、ペレットであって、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%
を含み、重量%はペレットの重量に基づく、
ペレットである。
【0097】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量百分率は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含む、ペレットに含有されるすべての成分の重量百分率を合計すると、全体で100重量%になる。言い換えれば、すべての成分の合計は100重量%である。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0098】
好ましくは、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分10重量%以下を含み、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%以下である。
【0099】
好ましくは、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分0~10重量%
からなり、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%である。
【0100】
好ましいのは、丸棒の形状を有し、丸棒の円の直径が2mm~4mmの間である、ペレットである。
【0101】
好ましいのは、円の直径の1~3倍の長さを有するペレットである。
【0102】
本発明のさらなる実施形態は、安定化ポリマーを製造する方法であって、
(AP)ペレットをポリマーに投入して、ペレット-ポリマー混合物を得るステップ、
(BP)ペレット-ポリマー混合物を、機械的撹拌下で120~340℃の範囲の温度にさらして、安定化ポリマーを得るステップ
を含み、
ポリマーが、ポリオレフィン、ポリスチレン、又はそれらの混合物であり、
ペレットが、(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%
を含み、重量%はペレットの重量に基づく、
方法である。
【0103】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量百分率は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含む、ペレットに含有されるすべての成分の重量百分率を合計すると、全体で100重量%になる。言い換えれば、すべての成分の合計は100重量%である。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0104】
好ましくは、安定化ポリマーを製造する方法において、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分10重量%以下
を含み、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%以下である。
【0105】
好ましくは、安定化ポリマーを製造する方法において、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)であるポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分0~10重量%
からなり、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%である。
【0106】
ステップ(AP)において、ペレットが大きすぎると、ポリマーへの投入、混合(ブレンド)、及び分散がより困難となるため、ペレットのサイズは、好ましくは、適切なサイズである。
【0107】
ステップ(BP)において、ペレット成分は、機械的撹拌下、安定化されるポリマー中で均一に分散及び/又は溶解される。これは、ペレット-ポリマー混合物の熱曝露によって補助され、一方ではポリマーの粘性の低下を、他方では、成分の各融解範囲に達した場合、ペレット成分の融解をもたらす。好ましくは、ステップ(BP)における温度は、135℃~330℃、極めて好ましくは150℃~310℃、特に180℃~300℃、極めて特に190℃~290℃、とりわけ200℃~280℃、極めてとりわけ210℃~260℃の範囲内である。
【0108】
ポリオレフィンは、例えば以下のものである:
1. モノオレフィン及びジオレフィンのホモポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-ブタ-1-エン、ポリ-4-メチルペンタ-1-エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はそれらの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)又は異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0109】
2. モノオレフィン又はジオレフィンの、互いとのコポリマー又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、プロピレン/ブタ-1-エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブタ-1-エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー、例えばCOCのようなエチレン/ノルボルネン、1-オレフィンがin-situで生成されるエチレン/1-オレフィンコポリマー;プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、並びにエチレンとプロピレン及びジエン(例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン-ノルボルネン)とのターポリマー:及びかかるコポリマーの互いとの混合物、又は他のポリオレフィンとの混合物、例えば ポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、又はLDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)。
【0110】
モノオレフィンのポリオレフィン、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは様々な方法で調製することが可能であり、とりわけ以下の方法によって調製することができる:
a) (通常は高圧下及び高温での)ラジカル重合
b) 通常は周期表の4族、5族、6族(例えばクロム)又は7族の1種以上の金属を含む触媒を用いる触媒的重合。これらの金属は、通常は1つ以上の配位子、典型的には、π(pi)配位していてもよく、又はσ(sigma)配位していてもよい、酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離形態であってもよく、又は基質上に、典型的には活性化された塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又はシリコン酸化物上に固定されていてもよい。これらの触媒は、重合媒体中で可溶性であってもよく、又は不溶性であってもよい。触媒は、重合において単独で使用することも可能であり、又はさらなる活性化剤、典型的には金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物又は金属アルキルオキサン(前記金属は周期表の1族、2族及び/又は3族の元素である)を使用してもよい。活性化剤は、さらなるエステル基、エーテル基、アミン基又はシリルエーテル基で好都合に修飾されていてもよい。これらの触媒系は、通常、フィリップス(Phillips)触媒、スタンダードオイルインディアナ(Standard Oil Indiana)触媒、チーグラー(・ナッタ)(Ziegler(-Natta))触媒、TNZ(DuPont社)触媒、メタロセン触媒又は単一部位触媒(SSC)と呼ばれる。
【0111】
ポリスチレンは、例えば以下のものである:
1. スチレンのホモポリマー。
【0112】
2. スチレンと、例えばエチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル、アクリル酸誘導体及びそれらの混合物であるコモノマーとのコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート、スチレンとコモノマーとのブロックコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン。
【0113】
3. スチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン-スチレン又はポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー上のスチレン、ポリブタジエン上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート、ポリブタジエン上のスチレン及びマレイン酸無水物、ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びマレイミド、ポリブタジエン上のスチレン及びマレイミド、ポリブタジエン上のスチレン及びメチルアクリレート以外のアルキルアクリレート又はメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル。
【0114】
ポリオレフィンのコポリマーにおいては、少なくとも2つの異なるモノマーが共重合体化される。ポリマー化オレフィンモノマーの重量含有量が全ポリマー化モノマーの重量に対して50%超であるポリオレフィンのコポリマーが好ましい。ポリスチレンのコポリマーにおいて、少なくとも2つの異なるモノマーが共重合体化されるか、又は1つのモノマーが、ポリマー化された少なくとも異なるモノマー上にグラフト化される。ポリマー化又はグラフト化されたスチレンの重量含有量が、全てのポリマー化又はグラフト化されたモノマーの重量に対して50%超であるポリスチレンのコポリマーが好ましい。
【0115】
好ましくは、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーは熱可塑性であり、すなわち高温で、例えば120℃~340℃、とりわけ135℃~330℃の範囲内の温度で新たな形に成形することができる。
【0116】
ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーは、酸化的分解、熱的分解又は光誘導性分解の影響を受けやすい。
【0117】
ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーに添加されるペレットの量は、特定のポリマー及び酸化的分解、熱的分解又は光誘導性分解に対する所望の保護の程度によって変動する。好ましくは、重量%でのペレットの量は、ポリマーの重量に対して0.01~5重量%、極めて好ましくは0.02~3重量%、特に0.04~2重量%、極めて特に0.05~1重量%、とりわけ0.08~0.8重量%、及び極めてとりわけ0.1~0.4重量%である。
【0118】
ステップ(BP)が押出機又は共混錬機中で行われる、安定化ポリマーの製造方法が好ましい。
【0119】
ステップ(AP)において、ペレットは、既に120~340℃の範囲内のポリマー温度を有するポリマーに添加することができる。例えば、ペレットは、押出機又は共混錬機中で予め温められたポリマーに添加される。例えば、ペレットは、例えば押出機である供給機(フィーダー)により、既に温かく粘性の安定化されるポリマー中に導入される。従って、ペレット-ポリマー混合物はすぐに120~340℃の範囲内のポリマー温度の温度を有し、ペレットは崩壊し始める。
【0120】
ステップ(AP)においてペレットが添加されるポリマーが120~340℃の範囲内のポリマー温度を有する、安定化ポリマーの製造方法が好ましい。
【0121】
ステップ(AP)において、ペレットは、40℃未満のポリマー温度を有するポリマーに添加することができる。ポリマーがペレットの形態で存在する場合、成分(a)のペレットと、成分(b)のポリマーペレットを含むペレット-ポリマー混合物が生成される。ポリマーのペレットは、例えば、円柱状の幾何学的形状を有し、例えば、押出された温かいポリマーストランドの熱間切断、その後の水クエンチにおける冷却によって得られる。ポリマーがペレットの形態であるステップ(AP)において得られるペレット-ポリマー混合物は、ステップ(BP)とは無関係に調製及び保存するか、又はステップ(BP)の前に直接調製することができる。
【0122】
ステップ(AP)においてペレットが添加されるポリマーがペレットの形態で存在し、40℃未満のポリマー温度を有する、安定化ポリマーの製造方法が好ましい。
【0123】
安定化ポリマーの製造方法又はそれへの適用方法について記載されている定義及び好ましい例は、本発明のさらなる実施形態にも当てはまる。
【0124】
本発明のさらなる実施形態は、安定化ポリマーの製造における、ペレットの成分をダストフリーで取り扱うためのペレットの使用であって、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であり、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、及び
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%
を含み、重量%はペレットの重量に基づく、
ペレットの使用である。
【0125】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量百分率は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含む、ペレットに含有されるすべての成分の重量百分率を合計すると、全体で100重量%になる。言い換えれば、すべての成分の合計は100重量%である。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0126】
好ましくは、安定化ポリマーの製造における、ペレットの成分をダストフリーで取り扱うためのペレットの使用において、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分10重量%以下
を含み、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%以下である。
【0127】
好ましくは、安定化ポリマーの製造における、ペレットの成分をダストフリーで取り扱うためのペレットの使用において、ペレットは、
(i)亜リン酸トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)(CAS番号31570-04-4)である、物理的形態が粉末のポリマー安定化剤87~97重量%、
(ii)プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する、物理的形態が粉末の加工助剤3~13重量%、並びに
(iii)成分(i)及び成分(ii)とは異なる付加的成分0~10重量%
からなり、成分(i)、(ii)及び(iii)の合計は100重量%である。
【実施例
【0128】
以下の実施例により、本発明を限定することなくさらに説明する。百分率の値は、特に明記されていない限り、重量百分率である。
【0129】
A)特性評価方法
平均粒子サイズは、特に明記されていない限り、Retsch Technology GmbH社のCamsizer P4によるデジタル画像分析によって求められる。測定法は、ISO 13322-2に準拠した動的画像解析である。
【0130】
かさ密度は、DIN EN ISO 17892-3に準拠して測定される。
【0131】
ポリマーのメルトフローインデックスは、ISO 1133に準拠して、Goettfert MI-Roboを使用し、詳細に指定されたパラメータで測定される。
【0132】
示差走査熱量測定(DSC)は、大気圧でEN ISO 11357-3に準拠して測定される。加熱サイクルは、(a)10℃/min及び30mL/min N2で0℃から200℃、(b)10℃/min及び30mL/min N2で200℃から0℃、(c)10℃/min及び30mL/min N2で0℃から200℃である。融解範囲、融解ピーク温度、及び融解エンタルピーは、加熱サイクル(c)で求められる。
【0133】
高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)は、ISO 16014-4に準拠して測定される。装置として、RI検出器を備えたAgilent PL-GPC220を使用する。プレカラムとして、1つのAgilent PFgel Olexis Guard 50×7.5mmカラム(部品番号PL1110-1400)を使用する。カラムとして、3つのAgilent PLgel Olexis 13μm 300×7.5mmカラム(部品番号PL1110-6400)を使用する。カラム温度は150℃である。キャリブレーション標準は、Agilentのポリスチレン及びHigh EasiVial GPC/SECキャリブレーション標準(部品番号PL2010-0201及び部品番号PL2010-0202)である。トリクロロベンゼンを、溶離液として、流速1mL/min、サンプル濃度3mg/mL、注入量200μLで使用する。求めた数平均分子量Mn及び求めた重量平均分子量Mwは、MwとMnとの比として多分散度指数(PD)を計算するために使用される。
【0134】
ふるい分析は、Retsch Technology GmbH社のCamsizer P4によるデジタル画像分析によって実施する。測定法は、ISO 13322-2)に準拠し、D10、D50、及びD90値を用いた動的画像解析である。
【0135】
Norner摩耗試験は、振動するシーブシェイカー及びガラスビーズを使用して、試験される剤形を機械的に処理する試験である。最初のふるい分け分析は1分間行われ、その後シーブデッキ上でガラス球を使用しさらなるふるい分けを行って材料に機械的に衝撃を与え、5分後、10分後及び20分後のシーブ画分の変化を測定する。選択されるシーブは、下位から順に200μm、500μm、1mm、1.6mm、2.5mm及び4mmである。使用されるガラス球(Sigmund Lindner GmbH社、P型)は、16mm ± 0.02mm、重量5.36g/ガラス球の、きめ細やかな艶消し表面を有するソーダ石灰ガラス製のガラス球である。
【0136】
試験手順は以下のとおりである:
1. ガラスビーズが入っていないシーブシェイカーに50gのサンプルを入れ、振幅1mmのふるい分けを1分間行う。各シーブトレイ及びシーブパン上で質量を測定する。
【0137】
2. 8個のガラス球をシーブ500μm上に;9個のガラス球をシーブ1.0mm上に、10個のガラス球をシーブ1.6mm上に、また11個のガラス球をシーブ2.5mm上に加える。5分間ふるい分けを継続し、その後各シーブトレイ及びシーブパン上で質量を測定する。
【0138】
3. さらに5分間ふるい分けを継続し、秤量手順を反復する。
【0139】
4. さらに10分間ふるい分けを継続し、秤量手順を反復する。
【0140】
Retsch GmbH社製のRetsch Sieve Shaker AS200をシーブシェイカーとして使用する。
【0141】
総微粒子は、下位プレート及び200μmメッシュシーブから回収される全ての材料の合計である。従って、摩耗圧力下で生成され、500μmメッシュシーブを通り抜けて落ちるサンプルの断片(<500μm)は、微粒子であるとみなされる。20分後の<500μmの粒径画分(重量%)は、試験される剤形の摩耗耐性及び衝撃耐性を決定するための鍵となる結果(Norner値)である。結果の範囲は、「極めて安定」の0%から「極めて不安定」の100%へと変動し得る。
【0142】
ペレットの平均重量は、特定の数のペレット(約45個のペレット)を取り、特定の数のペレットを計量して全体の重量を求め、全体の重量をペレットの特定の数で割ることによって測定される。
【0143】
ペレットの平均長さは、ペレットの平均重量を想定密度0.95g/cm3に掛け、ペレット直径3mmの円の円面積で割ることによって計算する。
【0144】
B)出発物質
SM-PS-1:Irgafos 168
Irgafos 168(商標(TM)、BASF SE社から市販、融解範囲180~183℃)は、以下に示される亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル) (CAS-No. 31570-04-4)
【化2】
を粉末形態で、すなわち467g/Lのかさ密度及び400μmの平均粒径を有する緩いバルク材料の形態で含む。
【0145】
SM-PA-1:Licocene PP 1302
Licocene PP 1302(商標、Clariantから市販、市販での技術的形態:細粒)は、プロピレン及びエチレンからメタロセン触媒を用いて合成されるプロピレン-エチレンコポリマーワックス(CAS番号9010-79-1)である。長いポリマー鎖の分岐は、短鎖(-CH3)によって起こる。いくつかの物理化学的特性が測定され、表B-1に示されている。テクニカルデータシートには、ISO 1183に準拠した23℃での密度が0.87g/cm3と記載されている。テクニカルデータシートには、ASTM D3954に準拠した滴点が87~93℃と記載されている。テクニカルデータシートには、DIN 53019に準拠した170℃での粘度が150~250mPasと記載されている。技術的形態が細粒である材料のふるい分析が測定され、表B-2に示されている。338g/Lのかさ密度が測定される。技術的形態が細粒である材料は、圧縮に使用される。
【0146】
SM-PA-2:Petrolite EP-700
Petrolite EP-700(商標、Baker Hughesから市販)は、プロピレン-エチレンコポリマーワックス(CAS番号9010-79-1)である。長いポリマー鎖の制御された分岐は、プロピレンからの短鎖(-CH3)によって起こる。いくつかの物理化学的特性が測定され、表B-1に示されている。テクニカルデータシートには、ASTM D-127に準拠した滴融点(drop melting point)が96℃と記載されている。テクニカルデータシートには、99℃での粘度が12pcs(120mPas)と記載されている。Petrolite EP-700は、PallmannのディスクミルPF300で粉砕される。得られた粉砕物のふるい分析が測定され、表B-2に示されている。粉砕物のかさ密度473g/Lが測定される。粉砕物を圧縮に使用する。
【0147】
SM-PA-3:Luwax AL-3
Luwax AL-3(商標、BASFから粉末として市販)は、高圧重合によって合成されるポリエチレンワックス(CAS番号9002-88-4)である。長いポリマー鎖の分岐は、長鎖(-[CH2-CH2-]n-H)によって起こる。いくつかの物理化学的特性が測定され、表B-1に示されている。テクニカルデータシートには、DIN 53479及びASTM D-792に準拠した23℃での密度が0.91~0.925g/cm3と記載されている。テクニカルデータシートには、DIN 51801及びASTM D-3954に準拠した滴点(Ubbelohde)が101~112℃と記載されている。テクニカルデータシートには、DIN 51007及びASTM D-3418に準拠した融点(DSC)が102~108℃と記載されている。テクニカルデータシートには、DIN 51562及びASTM D-2162に準拠した120℃での融解粘度が135~240mm2/sであると記載されている。技術的形態が粉末である材料のふるい分析が測定され、表B-2に示されている。495g/Lのかさ密度が測定される。技術的形態の材料は、圧縮に使用される。
【0148】
SM-PA-4:Dow PG 7008
Dow PG 7008(商標、Dow Chemicalsから市販)は、低密度ポリエチレン(CAS番号9002-88-4)である。いくつかの物理化学的特性が測定され、表B-1に示されている。テクニカルデータシートには、ASTM D-792に準拠した23℃での密度が0.918g/cm3と記載されている。テクニカルデータシートには、融解温度(DSC)が106℃と記載されている。テクニカルデータシートには、ISO 306/Aに準拠したビカット軟化温度が89.0℃と記載されている。テクニカルデータシートには、ISO 1133に準拠したメルトインデックスが7.7g/10min(190℃/2.16kg)と記載されている。Dow PG 7008は、PallmannのディスクミルPF300で粉砕される。得られた粉砕物のふるい分析が測定され、表B-2に示されている。粉砕物のかさ密度285g/Lが測定される。粉砕物を圧縮に使用する。
【0149】
SM-PA-5:Borflow HL 708 FB
Borflow HL 708 FB(商標、Borealisから市販)はポリプロピレン(CAS番号9003-07-0)である。いくつかの物理化学的特性が測定され、表B-1に示されている。テクニカルデータシートには、融解温度(DSC)が158℃と記載されている。テクニカルデータシートには、ISO 1133に準拠したメルトインデックスが800g/10min(130℃/2.16kg)と記載されている。Borflow HL 708 FBは、PallmannのディスクミルPF300で粉砕される。得られた粉砕物のふるい分析が測定され、表B-2に示されている。粉砕物のかさ密度365g/Lが測定される。粉砕物を圧縮に使用する。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
C)圧縮用混合物の調製
ポリマー安定化剤及び加工助剤からなる圧縮用混合物は、室温にて5分間、100-L MTIブレンダーで、表C-1に示される出発物質を混合(ブレンド)することによって調製される。
【0153】
【表3】
【0154】
D)ロール圧縮によるフレーク
例D-1-1の場合、出発物質SM-PS-1(100%)は、ロール圧縮プロセスを介して圧縮凝集され、比較用のフレーク(フレーク剤)が得られる。ホッパー内の粉末状SM-PS-1は、供給スクリューを介して圧縮ゾーンに強制供給される。圧縮ゾーンは、互いに向かって回転している、わずかに傷のある表面を有する2つのロールの間に残る間隙によって形成される。ロールは冷水で冷却され、温度は室温付近に維持される。適切な実験室用ロール圧縮機は、例えば、ドイツのAlexanderwerk GmbH社のモデルWP 50N/75(ロール直径:150mm、ロール長:75mm、最大プレス能力:12.8t、最大線圧:1.71t/cm)である。圧縮ゾーンを経てプレートとなる圧縮された出発物質を、1.6mmのふるいを備えたふるい造粒機(例えば、スイスのFrewitt Ltd社のモデルGLA-ORV-0215が好適である)によって造粒し、流動性のフレーク(=D-1-1のフレーク)を生成する。D-1-1のフレークに対してNorner摩耗試験が実施され、その結果が表E-1に示されている。
【0155】
E)リングダイ式ペレット製造機を用いた圧縮によるペレット
リングダイ式ペレット製造機、すなわちMuench Pelletizer RMP 250を、表E-1に記載されている材料の圧縮試験に使用する。Muenchリングダイ式ペレット製造機は、例えば、論文「Produktgestaltung ueber mechanisches Agglomerieren von Pulvern」W. Raehse, Chemie Ingeneur Technik, 2015, 87, No.7, 881 - 902のp.898の図18に示されている。Muench Pelletizer RMP 250は、ノズル、例えばノズル直径3mm、プレス長さ15mm又は18mmのノズルが装備された、回転可能なリングダイを備える。リングダイの内径は250mm、幅は約4cmである。2つ又は3つのノズルを備えた列がこの幅に適合する。ノズルはリングダイの内側に対して60°の角度で拡張する。本明細書において、ノズル直径はノズルの円筒状チャネルの最小直径、プレス長さは最小直径が適合する距離として定義される。ノズルの円筒状チャネルは、プレス長さに次いで拡張されてもよいが、円筒状チャネルの拡張部分は、圧縮される材料による摩擦の増加には寄与しない。ここで、ノズルのチャネルは拡張されていない。具体的に適用されるノズル直径及びプレス長さが表E-1に示されている。圧縮用材料は、リングダイ式ペレット製造機のペレットプレスセクション上に配置された容積測定シングルスクリューフィーダーにより、ノズル付きダイ及び2つのローラーを備える、ペレットプレスセクションへの重量測定によって、室温で投入される。ローラーは、それぞれ直径96mm及び幅30mmで、表面が波状になっている。ペレットプレスセクションでは、2つのローラーが材料を回転リングダイのノズルに押し込む。そこで材料は圧縮され、せん断力によって、加工助剤が軟化し始める温度まで加熱される。焼結プロセスでは、圧縮された材料は円柱状のペレットに造粒される。プロセスを開始するにあたり、リングダイの回転は、リングダイの内表面、すなわちリングダイの回転軸から12.5cmの距離において約4m/sの周速度に設定される。圧縮用材料は、粉末としてプレスセクションに供給される。プロセスが安定して実行されるようになるまで、約15分の初期開始フェーズが必要である。最初は圧縮用材料の粉末がノズルを通って流れているが、これが圧縮用材料の一部によるストランドの形成へと変化し、リングダイ、ローラー、及びノズルは安定した温度に達する。圧縮用材料にとって温度が高すぎると、ペースト状の塊の生成がもたらされる可能性があり、これは、圧縮用材料のさらなる供給を妨げる。ノズルの出口において、リングダイまでの距離を調整可能な2本のナイフでストランドを切断/破損し、ペレット直径の約1~3倍、すなわち約3mm~9mmの長さのペレットとする。理想的には、長さの変動は最小限であるが、切断/破損による、ある種の変動を回避することはできない。表E-1には、ペレットが得られるかどうかが示され、したがってストランドが形成されるかどうかも示されている。プロセスが安定して実行されると、ダイのノズルを出る材料の温度は、放出されたIR照射を非接触で測定することにより、IR温度センサーによって測定され、ストランドの表面温度として表E-1に示されている。統計的には、リングの外面から放出されたIR照射も含まれている。ただし、プロセスが安定して実行されている場合、リングダイはストランドの表面温度付近まで昇温している。リングダイ自体は加熱されない(例E-1-4を除く)、又は冷却されないが、圧縮用材料の摩擦が発生するため、昇温する。得られたペレットを、1.6mmのふるい(直径200mmの振動実験用ふるい)にかけ、得られたペレットから微粉を分離する。ふるい分けによって除去された微粉の量が、圧縮材料の総量に基づいて表E-1に示されている。除去された微粉は、圧縮される材料として直接再利用することができる。ペレットは室温まで冷却された。ペレットが得られた場合、ふるい分け後のペレットのNorner摩耗試験が実施され、結果が表E-1に示されている。得られたペレットのさらなる特性が表E-2に示されている。例E-1-1~E-1-8で得られたペレットの写真が図1図8に示されている。
【0156】
【表4】
【0157】
表E-1の結果より:
- 例D-1-1は、SM-PS-1(Irgafos 168)を冷間圧縮してフレークにすることができることを示しているが、フレークのNorner摩耗試験結果は不十分である。
- 例E-1-4は、加工助剤を含まないSM-PS-1(Irgafos 168)をリングダイ式ペレット製造機でペレット化するには、特殊な予熱が必要であることを示している/SM-PS-1自体の融点が高すぎるため、安定したペレット形成を可能にするためにはバインダーとして加工助剤が必要であると結論付けられる。
- 例E-1-2対例E-1-3は、ダイの長さが長いほど摩擦が大きくなり、プロセス温度が高くなるが、これによりNorner摩耗試験結果は向上しないことを示している。
- 例E-1-3対例E-1-4は、SM-PA-1(Licocene 1302)が、加工助剤を含まない場合よりもNorner摩耗試験結果が大幅に優れたペレットをもたらすことを示している。
- 例E-1-2対例E-1-5は、加工助剤は両方ともプロピレン-エチレンコポリマーワックスであるにもかかわらず、SM-PA-1(Licocene 1302)が、SM-PA-2(Petrolite EP-700)よりもNorner摩耗試験結果が大幅に優れたペレットをもたらすことを示している。
- 例E-1-5及びE-1-8は、プロセス自体で生成され、1.6 mmのふるいによって除去される微粉の量が、有益なNorner摩耗試験結果の信頼できる指標ではないことを示している。
【0158】
【表5】
【0159】
表E-2の結果より:
- 例E-1-4は、加工助剤を含まないSM-PS-1が、平均重量の小さいペレットのみをもたらすことを示している。
- 例E-1-7は、大きい平均重量が、有益なNorner摩耗試験結果の信頼できる指標ではないことを示している。
- 得られたペレットは、写真において、例E-1-4で得られたペレットを除いて、かなり類似して見えるため、有益なNorner摩耗試験結果の信頼できる指標ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】