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特表2022-548974ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物の選択的エステル化を含む、イソイジドを製造及び/又は単離する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物の選択的エステル化を含む、イソイジドを製造及び/又は単離する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20221115BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
C07D493/04 101D
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022518228
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076254
(87)【国際公開番号】W WO2021058425
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】19198984.7
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マスカル,マーク
(72)【発明者】
【氏名】サスカ,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】キンドラー,アロイス
(72)【発明者】
【氏名】ツンド,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,サイカット
【テーマコード(参考)】
4C071
4H039
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC12
4C071DD04
4C071EE05
4C071FF15
4C071HH05
4C071KK08
4C071KK16
4C071LL07
4H039CA66
4H039CD10
(57)【要約】
イソイジドを製造及び/又は単離する方法、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物、並びにイソイジドを製造及び/又は単離する方法におけるこのような組成物の使用が本明細書中に開示されている。イソイジドをジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離するための、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物の選択的エステル化のステップを含む方法の使用がさらに本明細書中に開示されている。さらに、イソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法が開示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
のイソイジドを製造及び/又は単離する方法であって、
以下のステップ:
M3)イソイジドとイソソルビド及びイソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む、式II
【化2】
の化合物の混合物を用意又は調製するステップ、
M4)非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物が得られるように、ステップM3)からの式IIの化合物の混合物を選択的エステル化の条件に供するステップであり、
選択的エステル化が、
- 金属触媒の存在下で実施される、
並びに
- 式IIの化合物の混合物を、カルボン酸無水物からなる群から選択される試薬と反応させることを含み、カルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)がいずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される、
ステップ、
並びに
M5)ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から非エステル化イソイジドを分離して、非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ステップM4)の選択的エステル化が、
- イソイジドの存在下で、イソソルビド及び/若しくはイソマンニドを選択的にエステル化する方式で実施される、
並びに/又は
- 金属触媒の存在下で実施され、
金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、インジウム、タリウム、ランタニド、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される、
好ましくは金属塩触媒の存在下で実施され、
好ましくは金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、インジウム、タリウム、ランタニド、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される、
並びに/又は
- -20℃~50℃の範囲、好ましくは10℃~50℃の範囲、より好ましくは15℃~45℃の範囲、さらにより好ましくは15℃~35℃の範囲の温度で実施される、
並びに/又は
- 15分~24時間の範囲、好ましくは30分~10時間の範囲、より好ましくは1時間~5時間の範囲、またより好ましくは1時間~3時間の範囲の反応時間で実施される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップM4)の選択的エステル化が、金属触媒の存在下で実施され、金属触媒が鉛触媒、好ましくは鉛塩触媒である又はこれを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップM3)で用意又は調製される式IIの化合物の混合物が、イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる混合物を含み、
好ましくは
- イソイジドが、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、10~95モル%の範囲、好ましくは40~95モル%の範囲、より好ましくは50~90モル%の範囲の総量で存在する、
又は
- イソイジドが、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、40~70モル%の範囲、好ましくは45~65モル%の範囲、より好ましくは50~60モル%の範囲の総量で存在する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物において、
- 非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物とを含む混合物が、イソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下の追加のステップ:
M2)イソソルビド、イソマンニド、イソソルビドのエステル、イソマンニドのエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、
好ましくはイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはイソソルビド、
好ましくは、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物が、有機ヒドロキシル化合物の混合物中に存在するソルビトール、マンニトール、イソソルビド、イソマンニド及びソルビタン誘導体(1,4-ソルビタン、3,6-ソルビタン、2,5-マンニタン、2,6-ソルビタン、1,5-ソルビタン、2,5イジタン及びこれらの混合物からなる群から選択される)の全質量に対して、90~99.5質量%の範囲、好ましくは95~99.5質量%の範囲の総量のイソソルビドを含む、有機ヒドロキシル化合物の混合物として使用される、
遷移金属触媒の存在下及び好ましくは水素の存在下での移動水素化の条件下で、
好ましくはアルコール、水及びこれらの混合物からなる群から選択される、極性溶媒の好ましくは存在下で、
反応させて、請求項1又は4に記載の式IIの化合物の混合物を得るステップ
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の、好ましくは請求項4に記載の方法。
【請求項7】
以下の追加のステップ:
M1)ソルビトール、マンニトール及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は両方の化合物を、酸性条件下で反応させて、イソソルビド、イソマンニド及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を得るステップであり、
好ましくは、これによって、ステップM2)で使用されることになる、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される前記1種以上の化合物を得る、ステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップM5)が、
M5)非エステル化イソイジドを、ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から相分離により、好ましくは液液抽出により分離して、
非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の追加のステップ(複数可):
M6)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジド及び/若しくは1種以上のその反応生成物をさらに含む混合物を使用するステップであり、好ましくは1種以上の反応生成物がイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくはイソイジドをさらに含み、
好ましくは1つ以上のステップで、ステップM3)の式IIの化合物の混合物を提供若しくは調製する、ステップ、
並びに/又は
M7)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジドをさらに含む混合物を加水分解するステップであり、
好ましくはステップM2)でこうして得たイソソルビド及び/又はイソマンニドを使用する、ステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
好ましくは請求項1又は5に記載の、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物。
【請求項11】
存在するエステル化イソソルビド、存在するエステル化イソマンニド及び存在するエステル化イソイジドが、2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸でエステル化されている、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジドと、組成物中に存在するエステル化イソイジド、エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドの合計とのモル比が、40:60~65:35の範囲、好ましくは45:55~60:40の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が、75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- 組成物が、イソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む
請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が、75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる、請求項10から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
- イソイジドを製造及び/又は単離する方法における、好ましくは出発原料として若しくは中間体としての、
並びに/又は
- イソイジドを、他のジアンヒドロヘキシトールから、好ましくはイソソルビド及び/若しくはイソマンニドを含む他のジアンヒドロヘキシトール若しくはジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離する方法における、好ましくは出発原料として又は中間体としての、
請求項10から14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
イソイジドをジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から、好ましくは請求項1又は4に記載の式IIの化合物の混合物から分離するための、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物の選択的エステル化のステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項17】
方法が、イソイジド以外のジアンヒドロヘキシトール異性体を選択的にエステル化するステップ、続いて非エステル化イソイジドをエステル化ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離するステップを含む、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
イソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法であって、イソイジドモノマー及び/又は修飾イソイジドモノマーを、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により、又は請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を含む方法により、製造又は単離することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソイジドを製造及び/又は単離する方法に、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物に、並びにイソイジドを製造及び/又は単離する方法におけるこのような組成物の使用に関する。本発明は、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物を選択的にエステル化して、ジアンヒドロヘキシトール異性体の前記混合物からイソイジドを分離するステップを含む方法の使用にさらに関連する。さらに、本発明は、イソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
時には「イソヘキシド」とも呼ばれるジアンヒドロヘキシトールは、2つのアネレート化テトラヒドロフラン環から形成される二環式の、酸素含有複素環である。ジアンヒドロヘキシトールは、化合物イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドを含む。前記ジアンヒドロヘキシトールは、例えば、当技術分野で公知のプロセスにより、糖アルコールである、ソルビトール、マンニトール又はイジトールのそれぞれの2重の脱水から得ることができる。
【0003】
イソイジドは、例えば、再生可能な資源及び/又は生分解性である資源由来のポリマーのための構成ブロックとして、工業合成におけるその有用性のために注目を集めている化合物である。
【0004】
イソソルビドは、中間体としてD-ソルビトールを介してD-グルコースから製造することができ、イソマンニドは、中間体としてD-マンニトールを介してD-フルクトースから製造することができるので、イソソルビドとイソマンニドは両方とも普通、特定の問題もなく工業用の量で入手可能である。しかし、イソイジドの生産のための出発原料であるイジトールは、技術的量で入手可能ではない。したがって、イソソルビド又はイソマンニドを出発原料として使用するエピマー化法を含めて、イソイジドをより多量に調製するための努力が過去になされてきた。
【0005】
以下の文献は、ジアンヒドロヘキシトールを改質するある特定の態様について論じている:
文献US 4,417,065は、2-硝酸イソソルビドの調製の方法について記載している。
文献EP 3 056 496号明細書は、イソイジドを製造する方法に関連する。
文献US 2012/116101は、ジアンヒドロヘキシトールジエステル組成物を調製する方法を開示している。
文献US 3,023,223号は、イソイジドを生成する方法について論じている。
文献WO 2013/125950は、イソイジドを製造する方法を開示している。
P. Stoss ら、Synthesis、1987年、174~176頁は、1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトールの位置選択性アシル化について報告している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の従来技術を考慮すると、イソイジドを製造及び/又は単離するより簡便な方法、特にイソイジドの単離ステップからのより高い収率を含めて、イソイジドをより高い効率で製造及び/又は単離する方法に対する必要性が依然として存在する。
【0007】
それに対応して、本発明の主要な目的は、イソイジドを製造及び/又は単離する簡便な方法及びこのような方法に使用するための組成物を提供することであった。
【0008】
本発明の別の目的は、ジアンヒドロヘキシトール異性体の選択的誘導体化の方法を適用することにより、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物からイソイジドを分離する方法を提供することであった。
【0009】
加えて、本発明のより具体的な目的は、イソイジドを製造及び/又は単離する、より簡便な方法で得られるイソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主要な目的及び他の目的は、式I
【0011】
【化1】
のイソイジドを製造及び/又は単離する方法であって、以下のステップ:
M3)イソイジドとイソソルビド及びイソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む式II
【0012】
【化2】
の化合物の混合物を用意又は調製するステップ、
並びに
M4)非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物(又はそれぞれ)が得られるように、ステップM3)からの式IIの化合物の混合物を選択的エステル化の条件に供するステップ
を含む方法により達成することができることが現在判明している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明並びに好ましい変形形態並びにそのパラメーター、特性及び要素の好ましい組合せが添付の特許請求の範囲に定義されている。本発明の好ましい態様、詳細、改変及び利点はまた、以下の説明及び以下に示されている実施例において定義され、説明される。
【0014】
本発明によるイソイジドを製造及び/又は単離する方法は極めて効率的であり(例えば、エネルギー消費及び/又はコストの点から)、穏やかな条件下及び高収率で、非エステル化イソイジド及びエステル化ジアンヒドロヘキシトール異性体を含む混合物からイソイジドを非常に簡便に単離することを可能にすることが現在判明している。
【0015】
特に、イソイジド(本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の条件下で)は、イソソルビド又はイソマンニドよりもずっと遅く、エステル化、特にアシル化され、特にアセチル化されることが独自の実験において判明した。
【0016】
本発明の文脈において、当技術分野における通常の意味に従い、化合物イソイジドは、「1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトール」(CAS RN:24332-71-6)という化学名でもまた公知の化合物を意味する。本発明の文脈において、当技術分野における通常の意味に従い、化合物イソソルビドは、「D-イソソルビド」という名称又は「1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール」又は「1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール」(CAS RN:652-67-5)という化学名でもまた公知の化合物を意味する。本発明の文脈において、当技術分野における通常の意味に従い、化合物イソマンニドは、「1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール」(CAS RN:641-74-7)という化学名でもまた公知の化合物を意味する。
【0017】
本発明の文脈において、「イソイジド」及び「非エステル化イソイジド」という用語は同義語として使用される。
【0018】
本発明の文脈において、「選択的エステル化」又は「立体選択的エステル化」という用語は、この分野における通常の意味に従い、非立体特異的メカニズム(ここでは非立体特異的エステル化)では複数の生成物(ここでは、ジアンヒドロヘキシトールのモノエステル、ジアンヒドロヘキシトールのジエステル又は非エステル化ジアンヒドロヘキシトール)の形成が可能となるが、反応メカニズムとは無関係である要因、例えば、立体的接近が生成物のうちの1種のみ(又は一部のみ)に好都合である、反応混合物(ここではジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物)の特性を意味する。
【0019】
本発明の文脈において、「エステル化イソイジド」、「エステル化イソソルビド」、「エステル化イソマンニド」及び「エステル化ジアンヒドロヘキシトール」という用語は、いずれの場合も、モノエステル化した(具体的には、モノアシル化又はモノアセチル化した)それぞれの化合物、これらのそれぞれのモノエステル、及びビスエステル化した(具体的には、ビスアシル化又はビスアセチル化した)それぞれの化合物、これらのそれぞれのジエステル、並びにモノエステル化及びビスエステル化化合物のそれぞれの混合物を含む。観察された特定のジアンヒドロヘキシトール及びそのエステル化に適用された反応条件に応じて、モノエステル、ジエステル又はモノエステルとジエステルの混合物が生じ得る一方で、モノエステル又はジエステルのいずれかがこのような混合において優勢であり得る(「選択的エステル化」、上記を参照されたい)。本発明のテキストが「エステル化イソソルビド」について言及している場合、普通、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の条件下では、イソソルビドのモノエステル(具体的には、モノアシル化又はモノアセチル化したイソソルビド)が優勢である。本発明のテキストが「エステル化イソマンニド」について言及している場合、普通、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の条件下では、イソマンニドのジエステル(具体的には、ビスアシル化又はビスアセチル化したイソマンニド)が優勢である。ある特定の場合、特に反応時間が短い及び/又は比較的少量のみのアシル化剤が利用可能な場合、イソマンニドのモノエステルが他の形態のイソマンニドよりも優位を占めることができる。
【0020】
ステップM4)において上で定義されたように、非エステル化イソイジド、並びにエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物を含む混合物はまた、以下により詳細に説明され、特定されているように、エステル化イソイジドをある程度含み得る。
【0021】
特定の態様では、本発明はまた1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトールを製造及び/又は単離する方法であって、以下のステップ:
M3a)1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトールと1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール及び1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトールからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む、式II
【0022】
【化3】
の化合物の混合物を用意又は調製するステップ、並びに
M4a)非エステル化1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトールとエステル化1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビトール及びエステル化1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトールからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物が得られるように、ステップM3a)からの式IIの化合物の混合物を選択的エステル化の条件に供するステップ
を含む方法に関連する。
【0023】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のステップM3)及びM4)の文脈において、本明細書で論じた本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、本明細書の上記に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のステップM3a)及びM4a)に適用される。
【0024】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は、上若しくは下に好ましいと記載されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)であって、ステップM4)(又はステップM4a)における選択的エステル化が、
- イソイジドの存在下でイソソルビド及び/若しくはイソマンニドを選択的にエステル化する方式で実施される、
並びに/又は
- 金属触媒、好ましくは金属塩触媒の存在下
好ましくは金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、インジウム、タリウム、ランタニド、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択され、
より好ましくは金属がバリウム、水銀、鉛及びビスマスからなる群から選択され、
さらにより好ましくは金属触媒が、鉛触媒、好ましくは鉛塩触媒、より好ましくはカルボン酸鉛(II)及び酸化鉛(II)からなる群の少なくとも1つのメンバーである若しくはこれを含み、さらにより好ましくは、金属触媒は酢酸鉛(II)である若しくはこれを含む
で実施される、
並びに/又は(好ましくは「並びに」)
- 式IIの化合物の混合物を、以下からなる群から選択される試薬:
- スルホン酸、好ましくは1~8個の範囲の総数の炭素原子を含むスルホン酸であり、好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、より好ましくはスルホン酸が、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される、
- スルホン酸エステル、好ましくはスルホン酸エステルであり、スルホン酸(すなわち、一般式R-SO2-O-(式中、Rは炭素原子を含む、スルホン酸エステルのスルホン酸部分を表す)のスルホン酸エステルのスルホン酸部分)が1~8個の範囲の総数の炭素原子を含み、好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、より好ましくは、スルホン酸エステルはp-トルエンスルホン酸のエステル、メタンスルホン酸のエステル及びトリフルオロメタンスルホン酸のエステルからなる群から選択される、
- スルホン酸ハロゲン化物、好ましくはスルホン酸塩化物及びスルホン酸臭化物の群から選択され、より好ましくはスルホン酸塩化物であり、
好ましくは、スルホン酸ハロゲン化物(すなわち、一般式R-SO2-X(式中、Xはハロゲン原子を表し、Rは炭素原子を含む、スルホン酸ハロゲン化物のスルホン酸部分を表す)のスルホン酸ハロゲン化物のスルホン酸部分)が、いずれの場合も1~8個の範囲の総数の炭素原子を含み、好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、より好ましくは、スルホン酸ハロゲン化物が、いずれの場合も、p-トルエンスルホン酸のハロゲン化物(好ましくはp-トルエンスルホン酸塩化物)、メタンスルホン酸のハロゲン化物(好ましくはメタンスルホン酸塩化物)及びトリフルオロメタンスルホン酸のハロゲン化物(好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸塩化物)からなる群から選択される、
- スルホン酸無水物、好ましくはスルホン酸無水物を形成するスルホン酸(複数可)(すなわち、一般式Ra-SO2-若しくはRb-SO2-(それぞれ、式中、Ra及びRbは炭素原子を含む、スルホン酸無水物のスルホン酸部分を表す)のスルホン酸無水物のスルホン酸部分である)が、いずれの場合も1~8個の範囲の総数の炭素原子を含み、好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、より好ましくはスルホン酸無水物を形成するスルホン酸(複数可)が、いずれの場合も、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される、
- カルボン酸、好ましくは2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸であり、好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、
好ましくは、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含み、いずれの場合も好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成する脂肪族カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸;4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;安息香酸;フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されている安息香酸;ニコチン酸並びにフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されているニコチン酸からなる群から選択される、
- カルボン酸エステル、好ましくはカルボン酸(すなわち一般式R-C(O)O-(式中、Rは炭素原子を含むカルボン酸部分を表す)のカルボン酸エステルのカルボン酸部分)が、いずれの場合も2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択され、好ましくはいずれの場合も存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、
より好ましくは、いずれの場合もカルボン酸が、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含み、いずれの場合も好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成する脂肪族カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸;4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;安息香酸;フッ素、塩素、臭素又はヨウ素で1回置換されている安息香酸;ニコチン酸並びにフッ素、塩素、臭素又はヨウ素で1回置換されているニコチン酸からなる群から選択される、
- カルボン酸ハロゲン化物、好ましくはカルボン酸塩化物及びカルボン酸臭化物からなる群から選択され、より好ましくはカルボン酸塩化物であり、
好ましくは、カルボン酸(すなわち、一般式R-C(O)-X(式中、Xはハロゲン原子を表し、Rは炭素原子を含む、カルボン酸ハロゲン化物のカルボン酸部分を表す)のカルボン酸ハロゲン化物のカルボン酸部分である)が、いずれの場合も2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択され、好ましくはいずれの場合も存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、
より好ましくは、いずれの場合もカルボン酸が、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含み、いずれの場合も好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成する脂肪族カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸;4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;安息香酸;フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されている安息香酸;ニコチン酸並びにフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されているニコチン酸からなる群から選択される、
- カルボン酸無水物、好ましくはカルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)(すなわち、一般式Rc-C(O)-若しくはRd-C(O)-(それぞれ、式中、Rc及びRdは炭素原子を含むカルボン酸無水物のカルボン酸部分を表す)のカルボン酸無水物のカルボン酸部分である)が、いずれの場合も、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択され、好ましくはいずれの場合も存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、
より好ましくは、いずれの場合もカルボン酸無水物を形成するカルボン酸が、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含み、いずれの場合も好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成する脂肪族カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸;4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;安息香酸;フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されている安息香酸;ニコチン酸並びにフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されているニコチン酸からなる群から選択され、
さらにより好ましくは、カルボン酸無水物が、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物(すなわち2-メチルプロパン酸無水物)、ピバル酸無水物(すなわち2,2-ジメチルプロパン酸無水物)、吉草酸無水物(すなわちペンタン酸無水物)及びこれらの混合物からなる群から選択され、
またさらにより好ましくは、カルボン酸無水物が、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物(すなわち2-メチルプロパン酸無水物)、ピバル酸無水物(すなわち2,2-ジメチルプロパン酸無水物)及びこれらの混合物からなる群から選択される、
並びに
- クロロギ酸のアルキルエステル(クロロギ酸エステルとしてもまた公知である)、好ましくは、アルキルエステル基が非分枝若しくは(構造的に可能な場合)分枝であり、2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む、
好ましくは、
- スルホン酸無水物、好ましくはスルホン酸無水物を形成するスルホン酸(複数可)(すなわち、一般式Ra-SO2-若しくはRb-SO2-(それぞれ、式中、Ra及びRbは炭素原子を含む、スルホン酸無水物のスルホン酸部分を表す)のスルホン酸無水物のスルホン酸部分である)が、いずれの場合も1~8個の範囲の総数の炭素原子を含み、より好ましくはスルホン酸無水物を形成するスルホン酸(複数可)が、いずれの場合もp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される、
並びに
- カルボン酸無水物、好ましくはカルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)(すなわち、一般式Rc-C(O)-若しくはRd-C(O)-(それぞれ、式中、Rc及びRdは上で定義されたような意味を有する)のカルボン酸無水物のカルボン酸部分である)が、いずれの場合も、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択され、好ましくはいずれの場合も存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成し、
より好ましくは、いずれの場合もカルボン酸無水物を形成するカルボン酸が、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含み、いずれの場合も好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成する脂肪族カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている、2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸;4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;フッ素、塩素、臭素及び/若しくはヨウ素で1~3回置換されている4~8個の範囲の総数の炭素原子を含む脂環式カルボン酸;安息香酸;フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されている安息香酸;ニコチン酸並びにフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素で1回置換されているニコチン酸からなる群から選択され、
さらにより好ましくは、カルボン酸無水物が、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、ピバル酸無水物、吉草酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択され、
またさらにより好ましくは、カルボン酸無水物が、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、ピバル酸無水物及びこれらの混合物からなる群から選択される、
からなる群から選択される試薬であって、
さらにより好ましくは無水酢酸である若しくはこれを含む試薬
と反応させるステップを含み、
並びに/又は
- -20℃~50℃、好ましくは10℃~50℃、より好ましくは15℃~45℃、さらにより好ましくは15℃~35℃の範囲の温度で実施される、
並びに/又は
- 15分~24時間、好ましくは30分~10時間、より好ましくは1時間~5時間、またより好ましくは1時間~3時間の範囲の反応時間で実施される、
方法が好ましい。
【0025】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法が好ましく(又は上又は下に好ましいと記載されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)、ステップM4)(又はステップM4a)の選択的エステル化は、式IIの化合物の混合物を、カルボン酸無水物、又は好ましい試薬のサブグループ(本明細書において上により詳細に定義されている通り)からなる群から選択される試薬と反応させることを含む。
【0026】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、ステップM4)の選択的エステル化は、金属触媒の存在下で実施され、金属触媒は均一相又は不均一相、好ましくは均一相に存在する。好ましくは、ステップM4)に存在する式IIの化合物の混合物のモル量に対して、ステップM4)に存在する金属触媒の総量は、0.01~10.0モル%の範囲、より好ましくは0.05~5.0モル%の範囲、またより好ましくは0.1~3.0モル%の範囲である。
【0027】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、式IIの化合物の混合物と反応させるための試薬は、スルホン酸無水物又はカルボン酸無水物である又はこれを含み、無水物はいずれの場合も対称(すなわち同じ酸由来の2つの酸部分で構成される)又は非対称(すなわち異なる酸由来の2つの酸部分で構成される)であることができる。本発明の目的のため、対称スルホン酸無水物及び対称カルボン酸無水物が、式IIの化合物の混合物と反応させるための試薬として好ましい。
【0028】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、式IIの化合物の混合物と反応させるための試薬は、スルホン酸エステル又はカルボン酸エステルである又はこれを含み、前記スルホン酸エステル又は前記カルボン酸エステルのエステル部分は、好ましくはいずれの場合も1~6個、好ましくは2~4個の炭素原子を含む非分枝又は(構造的に可能な場合)分枝アルキルエステルである又はこれを含む。
【0029】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、式IIの化合物の混合物と反応させるための試薬は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸ハロゲン化物及び/又はカルボン酸無水物である又はこれを含み、カルボン酸は、前記カルボン酸又は前記カルボン酸エステル、前記カルボン酸ハロゲン化物及び/若しくは前記カルボン酸無水物を形成するカルボン酸(上で説明されている通り)を表し、好ましくは、酢酸;フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で1~3回置換されている酢酸;プロピオン酸;フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で1~3回置換されているプロピオン酸;酪酸;フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で1~3回置換されている酪酸;ピバル酸;フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で1~3回置換されているピバル酸;吉草酸;フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で1~3回置換されている吉草酸;カプロン酸;フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で1~3回置換されているカプロン酸;安息香酸、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素で1回置換されている安息香酸;ニコチン酸並びにフッ素、塩素、臭素又はヨウ素で1回置換されているニコチン酸からなる群から選択される。
【0030】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、ステップM4)に存在する式IIの化合物の混合物と反応させるための試薬の総モル量は、好ましくは、ステップM4)に存在する式IIの化合物の混合物のモル量に対して、試薬が0.5~2モルの範囲、より好ましくは0.5~1.5モルの範囲である。
【0031】
一般的に、式IIの化合物の混合物は、上で定義されたような試薬(又は上で好ましいと定義された試薬)を、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のステップM4)(又はM4a)において、選択された特定の試薬のエステル化に対して当技術分野で公知の方法に従い、式IIの化合物(又はこれらの混合物、それぞれ)と反応させることができる。上で説明されたように、エステル化反応の立体選択的過程は、原則として反応メカニズムと無関係であるが、(異なる)式IIの化合物の立体配置により主に制御され、選択された試薬の性質及び/又は選択された触媒の性質によりある程度影響を受け得る。それでもなお、ステップM4)(又はM4a))における反応のある特定のパラメーターを調節することは、例えば、得られる所望の反応生成物の量(又は比率)の点で、選択的エステル化の結果に有利に影響を与えることができる。
【0032】
本明細書において上記の、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(ステップM4)又はM4a)に対する)に対して定義されているような温度範囲及び反応時間の範囲は、高い含有量の非エステル化イソイジド及び高い含有量のエステル化された他のジアンヒドロヘキシトール異性体を含む、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物(普通はエステル化イソイジドも)をもたらす好ましいパラメーターを特徴付ける。
【0033】
本明細書において上に定義されているような前記温度範囲及び前記反応時間範囲(ステップM4)又はM4a)に対して)は、特に本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に適しており、式IIの化合物の混合物を反応させるための試薬は、カルボン酸無水物又はスルホン酸無水物、好ましくはカルボン酸無水物、より好ましくは、カルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)(すなわち、それぞれ、一般式Ra-C(O)-又はRb-C(O)-のカルボン酸無水物のカルボン酸部分である)がいずれの場合も2~8個、好ましくは2~6個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸無水物である又はこれを含む。
【0034】
同様に、本明細書において上に定義されているような前記温度範囲及び前記反応時間範囲(ステップM4)又はM4a)に対して)は、特に本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に適しており、反応は、金属触媒の存在下で、好ましくは本明細書において上に定義されているような好ましい又はより好ましい金属触媒の存在下で実施される。
【0035】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のある特定の変形形態において、ステップM4)は、反応条件下で不活性である(又は触媒活性のみがある)1種以上の有機溶媒の存在下で実施される、又はステップM4)はこのような有機溶媒(複数可)の不在下で実施される。適切な不活性な(又は触媒活性のみがある)有機溶媒は、一般的に当技術分野で知られているような、エーテル溶媒、エステル溶媒、ニトリル溶媒、ケトン溶媒、アミド溶媒、芳香族溶媒、脂肪族溶媒、ハロ芳香族溶媒、ハロ脂肪族溶媒及びこれらの混合物から選択される。反応において触媒活性のみがある溶媒は、一般的に当技術分野で知られているように、反応では消費されない。
【0036】
本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の好ましい変形形態において、式IIの化合物の混合物と反応させるための試薬は、ステップM4)の溶媒として使用される(又は溶媒としても機能する)。これらの好ましい変形形態では、好ましくは、反応条件下で不活性な(又は上記で特定されたように触媒活性のみがある)追加の有機溶媒はステップM4)には存在しない。
【0037】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/若しくは単離する方法)もまた好ましく、ステップM3)で用意又は調製される式IIの化合物の混合物は、イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる混合物を含み、
好ましくは、
- イソイジドは、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、10~95モル%の範囲、好ましくは40~95モル%の範囲、より好ましくは50~90モル%の範囲の総量で存在する、
又は
- イソイジドは、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、40~70モル%の範囲、好ましくは45~65モル%の範囲、より好ましくは50~60モル%の範囲の総量で存在する。
【0038】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、ステップM3)で用意又は調製される式IIの化合物の混合物は、イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる混合物を含み、これは、好ましくは、特に移動水素化の条件下で(以下により詳細に説明及び特定されている、特にステップM2)を参照せよ)、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはイソソルビドから、異性化、エピマー化によりそれぞれ調製される。
【0039】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の条件下、好ましくはステップM2)の条件下で、イソイジドは普通、イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる混合物中に、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、上で定義されたように40~70モル%の範囲の総量で(又は上で定義されたような好ましい量で)存在することが判明した。したがって、40~70モル%の範囲のイソイジド量の前記総量は、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の条件、具体的にはステップM2)の条件から生成されたイソイジドの熱力学平衡量を表すと考えられる。
【0040】
しかし、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の条件下で得られるイソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる前記混合物は、例えば、蒸留方法、結晶化方法及びクロマトグラフィー方法などを含む、例えば、当分野で一般的に公知の物理化学的方法により、イソイジドをさらに豊富に含ませることができる。イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる前記混合物にイソイジドを豊富に含ませるこれらステップの結果として、イソイジドは、上で定義されたように、95モル%までの総量でこのような豊富に含ませた混合物中に存在することができる。
【0041】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は、上又は下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)がさらに好ましく、
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物中の、
- 非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比は、75:25~98:2、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比は、20:80~0.01:99.99、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比は、20:80~0.01:99.99、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物とを含む混合物は、イソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む。
【0042】
許容される反応時間に応じて、ステップM4)で得た非エステル化イソイジド及びエステル化(特にモノアシル化、特にモノアセチル化)イソソルビド及び場合によってエステル化(特にビスアシル化、特にビスアセチル化)イソマンニドを含む混合物中の存在するエステル化(特にアセチル化)イソソルビド:存在する非エステル化イソソルビドのモル比が99:1以上となり得ることが独自の実験において判明した。本発明のイソイジドを製造及び/又は単離する方法から、このような高いモル過剰のエステル化イソソルビドを得ることは、ステップM4)で得た混合物からのイソソルビド(それぞれエステル化イソソルビド)の分離を大幅に簡略化するので特に有益である。
【0043】
さらなる態様では、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は、上又は下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)もまた好ましく、
- ステップM4)で得た非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物中の、
- 非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比は80:20以上である、
及び
- 存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比は5:95以下である、
及び
- 存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比は5:95以下である。
【0044】
さらに、本明細書で定義されたような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は、上又は下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)が好ましく、本方法は以下の追加のステップを含む(好ましくは、上で定義されたようなステップM3)の前に行う):
M2)イソソルビド、イソマンニド、イソソルビドのエステル、イソマンニドのエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、
好ましくはイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはイソソルビド、
好ましくは、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、好ましくはイソソルビド、(複数可)が、有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物の混合物中に存在するソルビトール、マンニトール、イソソルビド、イソマンニド及びソルビタン誘導体(ソルビタン誘導体は1,4-ソルビタン、3,6-ソルビタン、2,5-マンニタン、2,6-ソルビタン、1,5-ソルビタン、2,5イジタン及びこれらの混合物からなる群から選択される)の全質量に対して、90~99.5質量%の範囲、好ましくは95~99.5質量%の範囲の総量のイソソルビドを含む、有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物の混合物として使用される、
遷移金属触媒の存在下及び好ましくは水素の存在下での移動水素化の条件下で、
好ましくは、遷移金属は、ニッケル、銅、ルテニウム及びロジウムからなる群から選択され、より好ましくは、遷移金属はルテニウム若しくはニッケルである、
好ましくは
- 好ましくはアルコール、好ましくは1~6個の炭素原子を含むアルコール、水及びこれらの混合物からなる群から選択される極性溶媒の存在下で、
より好ましくは、それぞれが1~6個、好ましくは2~4個の炭素原子を含む1種以上のアルコールを含む若しくはこれらからなる溶媒の存在下で、さらにより好ましくは2-プロパノールの存在下で、
並びに/又は
- 200~10000kPa、好ましくは1000~7500kPa、より好ましくは2000~5000kPaの範囲の全圧力で、
並びに/又は
- 100℃~250℃、好ましくは150℃~235℃の範囲の温度で、
反応させて、上で定義されたような式IIの化合物の混合物を得る。
【0045】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、ステップM2)は、上で定義されたような有機溶媒、好ましくは極性溶媒、すなわち非水性溶媒中で行われ、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のこの好ましい代替法は、式IIの化合物の混合物と反応させるためのステップM4)に好ましく使用される試薬が普通水感受性であることから、そうでなければ必要であったかもしれない時間のかかる水除去作業なしに、ステップM2)から生成した生成物(すなわち、上で定義されたような式IIの化合物の混合物)をステップM3)及び/又はステップM4)に対して簡便に使用することができるという有益な効果を有する。
【0046】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、ステップM2)は遷移金属触媒の存在下で行われ、遷移金属触媒は均一相又は不均一相、好ましくは不均一相内に存在する。ステップM2)において不均一相に存在する好ましい遷移金属触媒は、(i)支持された不均一な遷移金属触媒、好ましくはルテニウム/炭素(ruthenium on carbon)、及び(ii)骨格の不均一な遷移金属触媒、好ましくは骨格の不均一なニッケル触媒、より好ましくはニッケル合金から調製された骨格の不均一なニッケル触媒、例えば、US 1,628,190に記載されているもの、及び「ラネーニッケル」として一般的に当技術分野で公知のものからなる群から選択される触媒であり、さらにより好ましくは、モリブデン促進された、またさらにより好ましくはモリブデン促進されたラネーニッケル触媒である、骨格の不均一なニッケル触媒(本明細書で以前に定義された、又は本明細書で以前に好ましいと定義されたもの)である。
【0047】
好ましくは、本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において、ステップM2)の不均一相に存在する遷移金属触媒は、粉末、スラリー及び形成された物体(形成された物体は好ましくは押出物及びタブレットを含む)からなる群から選択される固体形態で存在する。
【0048】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の好ましい変形形態では(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)、前記方法は、以下の追加のステップを含む:
M1)ソルビトール(好ましくはD-ソルビトール)、マンニトール(好ましくはD-マンニトール)及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は両方の化合物を、酸性条件下で反応させて、イソソルビド、イソマンニド及びこれらの混合物からなる群から選択される(少なくとも)1種以上の化合物を得るステップ、
好ましくは、ステップM2)において(又はステップM2)のために)使用するためのイソソルビド、イソマンニド及びこれらの混合物からなる群から選択される前記1種以上の化合物を得るステップ。
【0049】
ステップM1)で定義された反応は一般的に、それぞれの中間体化合物ソルビタン、マンニタン又はイジタンを介して進行する、酸触媒される二分子脱水反応として、当技術分野でそれ自体公知である(例えば、少なくともその態様は文献US2009/0259057から公知である)。
【0050】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の1つの好ましい特定の変形形態では(又は、上又は下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)、好ましくはステップM2)において(又はステップM2)のために)使用されるイソソルビド、イソマンニド及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物(本明細書において上に定義されている通り)は、有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物の混合物中に存在するソルビトール、マンニトール、イソソルビド、イソマンニド及びソルビタン誘導体(1,4-ソルビタン、3,6-ソルビタン、2,5-マンニタン、2,6-ソルビタン、1,5-ソルビタン、2,5イジタン及びこれらの混合物(以下で特定された通り)からなる群から選択される)の全質量に対して、90~99.5質量%の範囲、好ましくは95~99.5質量%の範囲の総量のイソソルビドを含む、有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物の混合物として使用される。イソイジドを製造及び/又は単離する方法のこの好ましい特定の変形形態では、有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物(本明細書において以前定義されているようなイソソルビドに加えて)の混合物は、好ましくは、有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物の混合物中に存在するソルビトール、マンニトール、イソソルビド、イソマンニド及びソルビタン誘導体の全質量に対して(上で定義されたように)、0.5質量%以上の、好ましくは0.5~5質量%の範囲の総量のソルビタン誘導体をさらに含む。前記混合物又は有機(好ましくはシクロヘテロ脂肪族)ヒドロキシル化合物の混合物は、例えば、C. Dussenne et al., Green Chemistry (2017) 19, 5332-5344に記載の通り当技術分野でそれ自体公知である(例えば「粗製イソソルビド」)。1,4-ソルビタン、3,6-ソルビタン、2,5-マンニタン、2,6-ソルビタン、1,5-ソルビタン2,5-イジタン及びこれらの混合物からなる群から選択される、上述されている前記ソルビタン誘導体は、以下の化学構造:
【0051】
【化4】
を有する(当技術分野で公知の通り)。
【0052】
さらに、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)が好ましく、本方法は以下の追加のステップをさらに含む:
M5)非エステル化イソイジドを、ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から、好ましくは相分離により、より好ましくは液液抽出により、分離して、
非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ。
【0053】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において(ステップM5))、非エステル化イソイジドは、ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物と(及び場合によってはまたエステル化イソイジドと)を含む混合物から、好ましくは相分離で又はクロマトグラフィーで分離することができる。相分離は、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のステップM5)において非エステル化イソイジドを分離するための好ましい方法である。
【0054】
本明細書において上に定義されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法において(ステップM5))、非エステル化イソイジドは、ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物と(及び場合によってエステル化イソイジドと)を含む混合物から、相分離で分離され、前記相分離は好ましくは液液抽出、結晶化及び蒸留を含む。液液抽出は本発明の方法のステップM5)の相分離の好ましい方法である。
【0055】
ステップM5)における、有機の、水不混和性溶媒、好ましくはクロロホルム、2-メチルテトラヒドロフラン、イソプロピルメチルケトン、酢酸エチル及びこれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくは酢酸エチルである又は酢酸エチルを含む、有機の、水不混和性有機溶媒(ステップM4)で得た、エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物の少なくとも大部分を含み、さらに場合によってはまたエステル化イソイジドを含む混合物を含むこと又は得ること)を用いた、水相の液液抽出(ステップM4)で得た非エステル化イソイジドの少なくとも大部分を含むこと又は得ること)は、非エステル化イソイジド、並びにエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物、さらに場合によってまたエステル化イソイジドを含む混合物から高収率で非エステル化イソイジドを(相分離により)分離する、特に穏やか、簡便及び効率的な方法であることが独自の実験で判明した。
【0056】
したがって、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)が好ましく、本方法は少なくとも以下のステップ(すなわち本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法は、追加のステップ、例えば、本明細書中に開示されているステップM1)、M2)、M6)及び/又はM7)のうちの1つ以上又はすべてを、好ましくはこれらの付番の連続した順序でさらに含むことができる):
M3)イソイジドとイソソルビド及びイソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む(上記でより詳細に説明及び特定されている通り)、式II
【0057】
【化5】
の化合物の混合物を用意又は調製するステップ、
M4)非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物(又はそれぞれ)が得られるように(上記でより詳細に説明及び特定されている通り)、ステップM3)からの式IIの化合物の混合物を選択的エステル化の条件に供するステップ、
並びに
M5)ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から非エステル化イソイジドを、好ましくは相分離により、より好ましくは液液抽出(上記でより詳細に説明及び特定されている通り)により分離して、
非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ
を含む。
【0058】
本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)もまた好ましく、本方法は、以下の追加のステップ(複数可):
M6)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジド、及び/若しくは1種以上のこれらの反応生成物をさらに含む混合物であって、好ましくは1種以上の反応生成物がイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくはイソイジドをさらに含む混合物を使用し、
好ましくは1つ以上のステップで、ステップM3)の(又はステップM3)のための)式IIの化合物の混合物を提供若しくは調製するステップ、
並びに/又は(好ましくは「又は」)
M7)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくは、ステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジドをさらに含む混合物を加水分解するステップであり、
好ましくは、ステップM2)で(又はステップM2)のために)こうして得たイソソルビド及び/又はイソマンニドを(好ましくはこうして得たイソイジドも)、使用するステップ
をさらに含む。
【0059】
本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のステップM6)及び/又はM7)により、所望の生成物イソイジドへと変換されていないエステル化ジアンヒドロヘキシトール異性体は、回収して、本発明による方法又はプロセスへと再循環され、所望の生成物イソイジドの全収率をさらに増加させることができる。したがって、ステップM6)及び/又はM7)を含む本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法を実施することにより、本方法の有効性はさらに有利に増加させることができる。
【0060】
本発明はまた、好ましくは本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は、本明細書に好ましいと記載されているようなそれぞれの本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)のステップM4)において(又はステップM4)のために)上記に定義されているような、(少なくとも)非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物に関連する。前記組成物はさらなる成分を含むことができる。例えば前記組成物は、エステル化イソイジドもさらに含むことができ、普通エステル化イソイジドをさらに含む。「エステル化イソイジド」という用語は、本発明の文脈において使用されている場合、上で説明されているようなイソイジドのモノエステル、イソイジドのジエステル並びにイソイジドのモノエステルとイソイジドのジエステルの混合物からなる群を含む。
【0061】
一般的に、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、本明細書において上及び下に定義されているような本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物に必要な変更を加えて適用される。及び逆もまた同様であり、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に、必要な変更を加えて適用される。
【0062】
上で定義されたような本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)が好ましく、存在するエステル化イソソルビド、存在するエステル化イソマンニド及び存在するエステル化イソイジドはいずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸でエステル化されている。好ましくは、存在するエステル化イソソルビド、存在するエステル化イソマンニド及び存在するエステル化イソイジドは、いずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含む同じカルボン酸で、いずれの場合もエステル化されている。例えば、このように好ましい本発明による組成物において、存在するエステル化イソソルビド、存在するエステル化イソマンニド及び存在するエステル化イソイジドは、いずれの場合も酢酸でエステル化されている(すなわち、組成物中に存在する前記エステル化化合物のすべては酢酸エステルとして存在する)。
【0063】
上で定義されたような本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)がさらに好ましく、
- エステル化イソソルビドは、イソソルビドを、カルボン酸無水物からなる群から選択される試薬と反応させることによりエステル化されており、カルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)は、いずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される、
及び/又は
- エステル化イソマンニドは、イソマンニドをカルボン酸無水物からなる群から選択される試薬と反応させることによりエステル化されており、カルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)は、いずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される。
【0064】
上で定義されたような本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)もまた好ましく、
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジドと、組成物中に存在するエステル化イソイジド、エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドの合計とのモル比は40:60~65:35の範囲であり、好ましくは45:55~60:40の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比は、75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比は、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比は、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- 組成物はイソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む。
【0065】
上で定義されたような、本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)が特に好ましく、
- 存在するエステル化イソソルビド、存在するエステル化イソマンニド及び存在するエステル化イソイジドは、いずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸でエステル化されている、
並びに
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比は、75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である。
【0066】
上で定義されたような本発明による組成物は、本発明に従いイソイジドを製造及び/若しくは単離する方法のための価値のある出発原料並びに/又は本発明に従いイソイジドを製造及び/若しくは単離する方法において価値のある中間体である。
【0067】
上で定義されたような本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)もまた好ましく、
- 組成物中の非エステル化イソイジド:存在するエステル化イソイジドのモル比は80:20以上であり、
及び
- 組成物中の存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比は5:95以下であり、
及び
- 組成物中の存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比は5:95以下である。
【0068】
本発明は、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)により得られる又は得ることができる上で定義されたような本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)にさらに関連する。
【0069】
一般的に、上で定義されたような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の文脈で及び上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上及び下で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物に適用される。逆もまた同様であり、上及び下で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法及び上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物に適用される。
【0070】
さらに、本発明は、上で定義されたような、本発明による組成物(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明による組成物)を、
- イソイジドを、好ましくは出発原料として若しくは中間体として製造及び/又は単離する方法において、
並びに/又は
- イソイジドを他のジアンヒドロヘキシトールから、好ましくはイソソルビド及び/若しくはイソマンニドを含む他のジアンヒドロヘキシトール若しくはジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離する方法において、
好ましくは出発原料として又は中間体とし使用することに関連する。
【0071】
一般的に、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の文脈で、上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物の文脈で、及び/又は上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたような本発明による組成物の使用に適用される。逆もまた同様であり、上で定義されたような、本発明による組成物の使用の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に、上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物に、並びに上及び下で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物に適用される。
【0072】
さらに、本発明は、イソイジドを前記ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から、好ましくは上で定義されたような式IIの化合物の混合物(又は上に好ましいと記載されているような式IIの化合物の混合物)から分離するための、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物(好ましくは上で定義されたような式IIの化合物の混合物)の選択的エステル化のステップを含む方法、好ましくは本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は上若しくは下に好ましいと記載されているような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法)の使用に関連する。
【0073】
一般的に、上で定義されたような本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の文脈で、上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物の文脈で、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物の文脈で、並びに/又は上で定義されたような組成物の使用の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたような、本発明による選択的エステル化のステップを含む方法の使用に適用される。逆もまた同様であり、上で定義されたような、本発明による選択的エステル化のステップを含む方法の使用の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に、上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物に、上及び下で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物に、並びに上で定義されたような本発明による組成物の使用に適用される。
【0074】
上で定義されたような、本発明による選択的エステル化のステップを含む方法の使用(又は上に好ましいと記載されているような、本発明による選択的エステル化のステップを含む方法の使用)が好ましく、本方法は、イソイジド以外のジアンヒドロヘキシトール異性体を選択的にエステル化するステップ、続いてエステル化ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から非エステル化イソイジドを分離するステップを含む。
【0075】
記述されている通り、イソイジド又は修飾イソイジドは、ポリマーに対する、例えば、生分解性ポリマーに対する及び/又は再生可能な天然資源由来のポリマーに対する構成ブロックとして(具体的にはモノマーとして)特に注目されている。例として、イソイジドとジカルボン酸又は無水物との重縮合により製造されるポリエステル、及び二官能性カルボキシル化合物、例えば、ホスゲンとの反応により製造されるポリカーボネートが挙げられる。イソイジドはまた、慣例的に他のジオールが使用される他の重合においても有用である。例えば、イソイジドのビスグリシジルエーテルは、エポキシ樹脂においてビスフェノール-Aの代替物として使用することができる。
【0076】
したがって本発明はまた、イソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法(及び/又はポリマーを製造するためのイソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーの使用)に関連し、本方法(又は使用)は、本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により(又は本明細書に好ましいと記載されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に従う)、又は本明細書で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(又は本明細書に好ましいと記載されているような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に従う)を含む方法により、イソイジドモノマー及び/又は修飾イソイジドモノマーを製造又は単離するステップを含む。
【0077】
一般的に、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法の文脈で、上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物の文脈で、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物の文脈で、上で定義されたような組成物の使用の文脈で、並びに/又は上で定義されたような、本発明による選択的エステル化のステップを含む方法の使用の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたようなポリマーを製造する方法(又はポリマーに使用するため)に適用される。逆もまた同様であり、上で定義されたような、本発明による、ポリマーを製造する方法(又は製造するための使用)の文脈で、本明細書で論じられている本発明のすべての態様は、必要な変更を加えて、上で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法に、上で定義されたような、本発明による非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物を含む混合物とを含む組成物に、上及び下で定義されたような、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法により得ることができる本発明による組成物に、上で定義されたような本発明による組成物の使用に、並びに上で定義されたような、本発明による選択的エステル化のステップを含む方法の使用に適用される。
【0078】
本発明は、以下の態様A1~A15によりさらに要約され、説明される:
A1.式I
【0079】
【化6】
のイソイジドを製造及び/又は単離する方法であって、
以下のステップ:
M3)イソイジドとイソソルビド及びイソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む、式II
【0080】
【化7】
の化合物の混合物を用意又は調製するステップ、並びに
M4)非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物が得られるように、ステップM3)からの式IIの化合物の混合物を選択的エステル化の条件に供するステップ
を含む、方法。
【0081】
A2.ステップM4)の選択的エステル化が、
- イソイジドの存在下で、イソソルビド及び/又はイソマンニドを選択的にエステル化する方式で実施される、
並びに/又は
- 金属触媒、好ましくは金属塩触媒の存在下
好ましくは、金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、インジウム、タリウム、ランタニド、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される
で実施される、
並びに/又は
- 式IIの化合物の混合物を、以下からなる群から選択される試薬:
- スルホン酸、好ましくは1~8個の範囲の総数の炭素原子を含むスルホン酸、
- スルホン酸エステル、好ましくはスルホン酸が1~8個の範囲の総数の炭素原子を含むスルホン酸エステル、
- スルホン酸ハロゲン化物、好ましくはスルホン酸塩化物及びスルホン酸臭化物の群から選択され、
好ましくは、いずれの場合も1~8個の範囲の総数の炭素原子を含むスルホン酸ハロゲン化物、
-スルホン酸無水物、好ましくはスルホン酸無水物を形成するスルホン酸(複数可)がいずれの場合も1~8個の範囲の総数の炭素原子を含む、
- カルボン酸、好ましくは2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸、
- カルボン酸エステル、好ましくはカルボン酸が、いずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される、
- カルボン酸ハロゲン化物、好ましくはカルボン酸塩化物及びカルボン酸臭化物からなる群から選択され、
好ましくはカルボン酸が、いずれの場合も、2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される、
- カルボン酸無水物、好ましくはカルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)が、いずれの場合も、2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される、
並びに
- クロロギ酸のアルキルエステル、好ましくは、アルキルエステル基が非分枝又は分枝であり、2~6個の範囲の総数の炭素原子を含む、
と反応させるステップを含み、
並びに/又は
- -20℃~50℃、好ましくは10℃~50℃、より好ましくは15℃~45℃、さらにより好ましくは15℃~35℃の範囲の温度で実施される、
並びに/又は
- 15分~24時間、好ましくは30分~10時間、より好ましくは1時間~5時間、またより好ましくは1時間~3時間の範囲の反応時間で実施される、
態様A1に記載の方法。
【0082】
A3.ステップM3)で用意又は調製した式IIの化合物の混合物が、イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる混合物を含み、
好ましくはイソイジドが、
- 式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、10~95モル%の範囲、好ましくは40~95モル%の範囲、より好ましくは50~90モル%の範囲の総量で、
又は
- 式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、40~70モル%の範囲、好ましくは45~65モル%の範囲、より好ましくは50~60モル%の範囲の総量で
存在する、先行する態様のいずれかに記載の方法。
【0083】
A4.
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物中で、
- 非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が、75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
及び/又は
- 存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物とを含む混合物が、イソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む、
先行する態様のいずれかに記載の方法。
【0084】
A5.以下の追加のステップ:
M2)イソソルビド、イソマンニド、イソソルビドのエステル、イソマンニドのエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、
好ましくはイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはイソソルビド、
好ましくは、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、好ましくはイソソルビドが、有機ヒドロキシル化合物の混合物中に存在するソルビトール、マンニトール、イソソルビド、イソマンニド及びソルビタン誘導体(1,4-ソルビタン、3,6-ソルビタン、2,5-マンニタン、2,6-ソルビタン、1,5-ソルビタン、2,5イジタン及びこれらの混合物からなる群から選択される)の全質量に対して、90~99.5質量%の範囲、好ましくは95~99.5質量%の範囲の総量のイソソルビドを含む、有機ヒドロキシル化合物の混合物として使用される、
遷移金属触媒の存在下及び好ましくは水素の存在下での移動水素化の条件下で、
好ましくはアルコール、水及びこれらの混合物からなる群から選択される、極性溶媒の好ましくは存在下で、
反応させて、態様A1又はA3のいずれかに記載の式IIの化合物の混合物を得るステップ
を含む、先行する態様のいずれかに記載の、好ましくは態様A3に記載の方法。
【0085】
A6.以下の追加のステップ:
M1)ソルビトール、マンニトール及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は両方の化合物を、酸性条件下で反応させることによって、イソソルビド、イソマンニド及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を得る、
好ましくは、これによって、ステップM2)で使用されることになるイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される前記1種以上の化合物を得るステップ
を含む態様A5に記載の方法。
【0086】
A7.以下の追加のステップ:
M5)非エステル化イソイジドを、ステップM4)で得た非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から、好ましくは相分離により、より好ましくは液液抽出により分離して、
非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ
をさらに含む、先行する態様のいずれかに記載の方法。
【0087】
A8.以下の追加のステップ(複数可):
M6)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジド、及び/若しくは1種以上のその反応生成物をさらに含む混合物を使用するステップであり、好ましくは1種以上の反応生成物がイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくはイソイジドをさらに含み、
好ましくは1つ以上のステップで、ステップM3)の式IIの化合物の混合物を提供若しくは調製するステップ、
並びに/又は
M7)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジドをさらに含む混合物を加水分解するステップであり、
好ましくはステップM2)でこうして得たイソソルビド及び/若しくはイソマンニドを使用するステップをさらに含む、
先行する態様のいずれかに記載の方法。
【0088】
A9.好ましくは態様A1又はA4に記載の、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物。
【0089】
A10.
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジドと、組成物中に存在するエステル化イソイジド、エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドの合計とのモル比が、40:60~65:35の範囲、好ましくは45:55~60:40の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が、75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化したイソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- 組成物がイソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む、
態様9に記載の組成物。
【0090】
A11.態様A1からA8のいずれかに記載の方法により得られる又は得ることができる、態様A9からA10のいずれかに記載の組成物。
【0091】
A12.
- イソイジドを製造及び/又は単離する方法における、好ましくは出発原料として若しくは中間体としての、
並びに/又は
- イソイジドを、他のジアンヒドロヘキシトールから、好ましくはイソソルビド及び/若しくはイソマンニドを含む他のジアンヒドロヘキシトール若しくはジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離する方法における、
好ましくは出発原料として若しくは中間体としての、
態様A9からA11のいずれかに記載の組成物の使用。
【0092】
A13.イソイジドを、ジアンヒドロヘキシトール異性体の前記混合物から、好ましくは態様A1又はA3に定義された式IIの化合物の混合物から分離するための、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物の選択的エステル化のステップを含む方法、好ましくは態様A1からA8のいずれかに記載の方法、の使用。
【0093】
A14.方法が、イソイジド以外のジアンヒドロヘキシトール異性体を選択的にエステル化するステップ、続いて非エステル化イソイジドを、エステル化ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離するステップを含む、態様A13に記載の使用。
【0094】
A15.イソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法であって、イソイジドモノマー及び/又は修飾イソイジドモノマーを、態様A1からA8のいずれかの方法により、又は態様A1からA8のいずれかの方法を含む方法により、製造又は単離することを含む、方法。
【0095】
[実施例]
本発明による以下の実施例は、その範囲を制限することなく、本発明をさらに説明及び例示することを意図する。
【0096】
[実施例1]
遷移金属触媒としてRu/Cを使用したイソソルビドの異性化(ステップM2))
イソソルビド(10.00g、68.4mモル)のイソプロパノール(20mL)中溶液を、反応器内で2時間、500mgの5%Ru/C不均一触媒(5質量%Ru/C触媒、使用されるイソソルビドの質量に対して0.25質量%ルテニウムをもたらす)と共に、10バール(1000kPa)の水素圧力下及び220℃の温度で(「移動水素化条件」)撹拌した。次いで、反応器を室温に冷却し、降圧した。触媒(Ru/C)を濾過により単離し(これにより触媒回収率は97%超と判明)、新鮮なイソプロパノール(10mL)で洗浄した。濾液(有機成分を含む)を減圧下で濃縮して、ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む、無色の、粘性の油状物質を得た。この油状物質は、(質量分析と組み合わさったガスクロマトグラフィー、GC-MSで確認した、異なるジアンヒドロヘキシトール成分の特徴的1H-NMRシグナルの相対的積分により)、イソイジド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して55モル%)、イソソルビド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して38モル%)及びイソマンニド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して7モル%)を含むことが判明した。
【0097】
次いで、この反応物から得た無色の、粘性の油状物質を、その成分をさらに精製又は単離せずに次の反応ステップで使用した。
【0098】
[実施例2]
式IIの化合物の混合物の選択的エステル化(ステップM3))及びM4))-パートI
上記実施例1で得て用意された無色の、粘性の油状物質(イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む;ステップM3))に、無水酢酸(7.12mL、75.3mモル)及び鉛(II)アセテート(556mg、1.71mモル)を加え、生成した混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、酢酸エチル(30mL)を混合物に加えて、酢酸鉛(II)触媒を沈殿させた。沈殿した触媒を続いて濾過によって収集し(これにより触媒回収率は96%超と判明)、新鮮な酢酸エチル(5mL)で洗浄した。
【0099】
次いで、この反応から得た、合わせた酢酸エチル相(エステル化した、具体的にはアセチル化した、ジアンヒドロヘキシトールと非エステル化ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む)を、その成分をさらに精製又は単離せずに次の反応ステップで使用した。
【0100】
[実施例3]
ジアンヒドロヘキシトールの混合物からの液液抽出によるイソイジドの分離(ステップM5))-パートI
上記実施例2で得た、合わせた酢酸エチル相(エステル化した、具体的にはアセチル化した、ジアンヒドロヘキシトールと非エステル化ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む)を水(30mL)と共に30分間撹拌し、次いで層を分離し、水層を酢酸エチルで4回(4×30mL)抽出し、ここでは水相を酢酸エチル相と一緒に、いずれの場合も各分離前に30分間再度撹拌した。
【0101】
水相を続いて分離し、水を減圧下で除去して、イソイジドを生成した(4.21g、上記実施例1において出発原料として使用されているイソソルビドの総量に対して42%)。
【0102】
この実施例3で得たイソイジドの純度を質量分析と組み合わさったガスクロマトグラフィー(GC-MS)及び1H-NMRで分析し、99%以上と判明した。
【0103】
[実施例4]
エステル化ジアンヒドロヘキシトールの加水分解(ステップM7))
上記実施例3からの有機(酢酸エチル)相(エステル化した、具体的にはアセチル化した、ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む)を合わせ、合わせた有機相から減圧下で溶媒を除去して、無色の油状物質を生成した(7.21g)。
【0104】
こうして得た油状物質を水(15mL)に溶解し、酸性カチオン交換樹脂(Amberlite(登録商標)IR120、1.0g)を加え、こうして得た混合物を6時間加熱還流した。混合物を室温まで冷却後、酸性カチオン交換樹脂を濾過によって収集し(酸性カチオン交換樹脂の回収率は99%超と判明)、濾液を減圧下で濃縮して、イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドの混合物(異性体のモル比:69(イソソルビド):13(イソマンニド):18(イソイジド)、合わせた収量:5.21g)を生成した。混合物の異性体の比率をそれぞれの異なるジアンヒドロヘキシトール成分の特徴的1H-NMRシグナルの相対的積分により決定した。
【0105】
この実施例4においてこうして得たイソソルビド、イソマンニド及びイソイジドの混合物を再循環させて、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法(以下の実施例5を参照されたい)のステップM2)において使用した。
【0106】
[実施例5]
ステップM7)で得たジアンヒドロヘキシトールの混合物の再循環
上記実施例4で得たイソソルビド、イソマンニド及びイソイジドの混合物を、上記実施例1に記載されている手順を使用してステップM2)に供し、イソイジド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して55モル%)、イソソルビド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して38モル%)及びイソマンニド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して7モル%)を含む混合物を得た。
【0107】
[実施例6]
ラネーニッケルを遷移金属触媒として使用したイソソルビドの異性化(ステップM2))
イソソルビド(1.00g、6.84mmol)のイソプロパノール(10mL)中溶液を、反応器内で3時間、1質量%Moで促進されたラネーニッケル触媒(100mg、「Grace 3202」、92%以上のNiを含む)と共に、10バール(1000kPa)の水素圧力下及び200℃の温度で(「移動水素化条件」)撹拌した。次いで、反応器を室温に冷却し、降圧した。触媒(ラネーニッケル)を濾過により単離し(これにより触媒の回収率は99%超と判明した)、新鮮なイソプロパノール(10mL)で洗浄した。濾液(有機成分を含む)を減圧下で濃縮して、ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む、無色の、粘性の油状物質を得た。この油状物質は、(異なるジアンヒドロヘキシトール成分の特徴的1H-NMRシグナルの相対的積分及びGC-MSにより)、イソイジド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して54モル%)、イソソルビド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して39モル%)及びイソマンニド(混合物中に存在するジアンヒドロヘキシトールの総モル量に対して7モル%)を含むことが判明した。
【0108】
次いで、この反応から得た無色の、粘性の油状物質を、その成分をさらに精製又は単離せずに次の反応ステップで使用した。
【0109】
[実施例7]
式IIの化合物の混合物の選択的エステル化(ステップM3)及びM4))-パートII
実施例6において上記に記載されている方法に従って用意された無色の、粘性の油状物質に(1.0g、6.84mモル;実施例6において上記に示されているモル比でイソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む)、カルボン酸無水物(8.21mモル、いずれの場合も、以下の表1中の実施例8a~8fで特定された、カルボン酸無水物)及び酢酸鉛(II)三水和物(65mg、0.171mモル)を加え、生成した混合物を、いずれの場合も室温で3時間撹拌した。次いで、酢酸エチル(5mL)を混合物に加え、いずれの場合も、酢酸鉛(II)触媒を沈殿させた。沈殿した触媒を続いて濾過によって収集し、新鮮な酢酸エチル(2mL)で洗浄した。
【0110】
次いで、この反応から得た、合わせた酢酸エチル相(エステル化した、具体的にはアシル化した、ジアンヒドロヘキシトール及び非エステル化ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む)を、いずれの場合も、これらの成分をさらに精製又は単離せずに次の反応ステップで使用した。
【0111】
[実施例8]
ジアンヒドロヘキシトールの混合物からの液液抽出によるイソイジドの分離(ステップM5))-パートII
上記実施例7で得た(いくつかの実験から得た、以下の表1を参照せよ)合わせた酢酸エチル相(エステル化した、具体的にはアシル化した、ジアンヒドロヘキシトールと非エステル化ジアンヒドロヘキシトールの混合物を含む)を減圧下で蒸発させて、いずれの場合も油性の残留物を得た。次いで、こうして得た各油性の残留物を水(15mL)に溶解し、分液ロートを使用して、酢酸エチルで6回(6×15mL)抽出した。
【0112】
水をいずれの場合も水相から減圧下で続いて除去し、いずれの場合も残留する有機の残留物を1H-NMR及びGC-MSで分析した。有機残留物のそれぞれの絶対的収量(単位:g)及び有機残留物のこれらの分析の結果が以下の表1、実施例8a~8fに示されている:
【0113】
【表1】
【0114】
上記表1に示されている「組成」とは、いずれの場合も得た有機残留物の組成を指し、表1で「組成」に対して示されている「モル%」は、得た有機残留物中に存在するジアンヒドロヘキシトール(アシル化ジアンヒドロヘキシトールを含む)の総モル量に対する前記組成物の成分のモル%である。
【0115】
表1に示されているデータから、とりわけ5以下の総数の炭素原子を有するカルボン酸の無水物が少なくとも、低い損失で、所望の収量で特に効率的な液液抽出を可能にすると一般に結論づけることができる。しかし、より大きい総数の炭素原子を有するカルボン酸の無水物が使用された場合、試薬のコストはより高くなる。ピバル酸無水物及びイソ酪酸無水物(両方とも分枝炭素鎖を含む)は、こうして得たイソイジド収量及びイソイジドの純度の点から最も好ましい結果を示した。したがって5以下の総数の炭素原子を有するカルボン酸の対称無水物、好ましくは2以上~5以下の範囲の総数の炭素原子を有するカルボン酸の対称無水物(好ましくは存在する炭素原子が(構造的に可能な場合)分枝炭素鎖を形成する)が、本発明に従いイソイジドを製造及び/又は単離する方法のステップM4)における式IIの化合物の混合物との反応に対する試薬として特に好ましいとさらに結論づけることができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
のイソイジドを製造及び/又は単離する方法であって、
以下のステップ:
M3)イソイジドとイソソルビド及びイソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む、式II
【化2】
の化合物の混合物を用意又は調製するステップ、
M4)非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物が得られるように、ステップM3)からの式IIの化合物の混合物を選択的エステル化の条件に供するステップであり、
選択的エステル化が、
- 金属触媒の存在下で実施される、
並びに
- 式IIの化合物の混合物を、カルボン酸無水物からなる群から選択される試薬と反応させることを含み、カルボン酸無水物を形成するカルボン酸(複数可)がいずれの場合も2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸からなる群から選択される、
ステップ、
並びに
M5)ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から非エステル化イソイジドを分離して、非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ステップM4)の選択的エステル化が、
- イソイジドの存在下で、イソソルビド及び/若しくはイソマンニドを選択的にエステル化する方式で実施される、
並びに/又は
- 金属触媒の存在下で実施され、
金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、インジウム、タリウム、ランタニド、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される、
好ましくは金属塩触媒の存在下で実施され、
好ましくは金属が、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、インジウム、タリウム、ランタニド、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される、
並びに/又は
- -20℃~50℃の範囲、好ましくは10℃~50℃の範囲、より好ましくは15℃~45℃の範囲、さらにより好ましくは15℃~35℃の範囲の温度で実施される、
並びに/又は
- 15分~24時間の範囲、好ましくは30分~10時間の範囲、より好ましくは1時間~5時間の範囲、またより好ましくは1時間~3時間の範囲の反応時間で実施される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップM4)の選択的エステル化が、金属触媒の存在下で実施され、金属触媒が鉛触媒、好ましくは鉛塩触媒である又はこれを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップM3)で用意又は調製される式IIの化合物の混合物が、イソイジド、イソソルビド及びイソマンニドを含む又はこれらからなる混合物を含み、
好ましくは
- イソイジドが、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、10~95モル%の範囲、好ましくは40~95モル%の範囲、より好ましくは50~90モル%の範囲の総量で存在する、
又は
- イソイジドが、式IIの化合物の混合物の総モル量に対して、40~70モル%の範囲、好ましくは45~65モル%の範囲、より好ましくは50~60モル%の範囲の総量で存在する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物において、
- 非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が75:25~98:2の範囲、好ましくは80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物とを含む混合物が、イソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下の追加のステップ:
M2)イソソルビド、イソマンニド、イソソルビドのエステル、イソマンニドのエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、
好ましくはイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物、より好ましくはイソソルビド、
好ましくは、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物が、有機ヒドロキシル化合物の混合物中に存在するソルビトール、マンニトール、イソソルビド、イソマンニド及びソルビタン誘導体(1,4-ソルビタン、3,6-ソルビタン、2,5-マンニタン、2,6-ソルビタン、1,5-ソルビタン、2,5イジタン及びこれらの混合物からなる群から選択される)の全質量に対して、90~99.5質量%の範囲、好ましくは95~99.5質量%の範囲の総量のイソソルビドを含む、有機ヒドロキシル化合物の混合物として使用される、
遷移金属触媒の存在下及び好ましくは水素の存在下での移動水素化の条件下で、
好ましくはアルコール、水及びこれらの混合物からなる群から選択される、極性溶媒の好ましくは存在下で、
反応させて、請求項1又は4に記載の式IIの化合物の混合物を得るステップ
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の、好ましくは請求項4に記載の方法。
【請求項7】
以下の追加のステップ:
M1)ソルビトール、マンニトール及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は両方の化合物を、酸性条件下で反応させて、イソソルビド、イソマンニド及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を得るステップであり、
好ましくは、これによって、ステップM2)で使用されることになる、イソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される前記1種以上の化合物を得る、ステップ
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップM5)が、
M5)非エステル化イソイジドを、ステップM4)で得た、非エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物から相分離により、好ましくは液液抽出により分離して、
非エステル化イソイジドを得る及び/又は単離するステップ
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の追加のステップ(複数可):
M6)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジド及び/若しくは1種以上のその反応生成物をさらに含む混合物を使用するステップであり、好ましくは1種以上の反応生成物がイソソルビド、イソマンニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくはイソイジドをさらに含み、
好ましくは1つ以上のステップで、ステップM3)の式IIの化合物の混合物を提供若しくは調製する、ステップ、
並びに/又は
M7)エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種若しくは両方の化合物を含み、好ましくはステップM5)の分離後に得たエステル化イソイジドをさらに含む混合物を加水分解するステップであり、
好ましくはステップM2)でこうして得たイソソルビド及び/又はイソマンニドを使用する、ステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
エステル化イソイジドとエステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドからなる群から選択される1種又は両方の化合物とを含む混合物を含む組成物であり、
存在するエステル化イソソルビド、存在するエステル化イソマンニド及び存在するエステル化イソイジドが、2~8個の範囲の総数の炭素原子を含むカルボン酸でエステル化されており、
組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が、75:25~98:2の範囲の範囲である、組成物。
【請求項11】
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジドと、組成物中に存在するエステル化イソイジド、エステル化イソソルビド及びエステル化イソマンニドの合計とのモル比が、40:60~65:35の範囲、好ましくは45:55~60:40の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中に存在する非エステル化イソイジド:エステル化イソイジドのモル比が、80:20~95:5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソソルビド:存在するエステル化イソソルビドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.5:99.5の範囲である、
並びに/又は
- 組成物中の存在する非エステル化イソマンニド:存在するエステル化イソマンニドのモル比が、20:80~0.01:99.99の範囲、好ましくは5:95~0.1:99.9の範囲である、
並びに/又は
- 組成物が、イソイジド、イソマンニド-2,5-ジアセテート及びイソソルビドモノアセテート、好ましくはイソソルビド-5-モノアセテートを含む
請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる、請求項10又は11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
- イソイジドを製造及び/又は単離する方法における、好ましくは出発原料として若しくは中間体としての、
並びに/又は
- イソイジドを、他のジアンヒドロヘキシトールから、好ましくはイソソルビド及び/若しくはイソマンニドを含む他のジアンヒドロヘキシトール若しくはジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離する方法における、好ましくは出発原料として又は中間体としての、
請求項10から12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
イソイジドをジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から、好ましくは請求項1又は4に記載の式IIの化合物の混合物から分離するための、イソイジドを含むジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物の選択的エステル化のステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項15】
方法が、イソイジド以外のジアンヒドロヘキシトール異性体を選択的にエステル化するステップ、続いて非エステル化イソイジドをエステル化ジアンヒドロヘキシトール異性体の混合物から分離するステップを含む、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
イソイジドモノマー又は修飾イソイジドモノマーを含むポリマーを製造する方法であって、イソイジドモノマー及び/又は修飾イソイジドモノマーを、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により、又は請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を含む方法により、製造又は単離することを含む、方法。
【国際調査報告】