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特表2022-548979選択的自己制限式タングステンエッチングプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】選択的自己制限式タングステンエッチングプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221115BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20221115BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20221115BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/3213 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L21/28 E
H01L21/28 301R
H01L21/88 D
H01L21/88 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518256
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020052703
(87)【国際公開番号】W WO2021062145
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】16/583,749
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, サスミット シンハー
(72)【発明者】
【氏名】ガンディコッタ, シュリーニヴァース
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, プラミット
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【テーマコード(参考)】
4M104
5F004
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA02
4M104AA04
4M104AA05
4M104BB18
4M104BB30
4M104BB32
4M104DD43
4M104DD65
4M104DD74
4M104GG16
5F004BB26
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA26
5F004DA27
5F004DB08
5F004DB13
5F004EA28
5F004EA38
5F004EB02
5F033GG02
5F033GG04
5F033HH07
5F033HH15
5F033HH18
5F033HH19
5F033HH20
5F033HH21
5F033HH32
5F033HH33
5F033PP06
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ15
5F033QQ21
5F033QQ76
5F033QQ89
5F033RR04
5F033RR06
5F033WW03
5F033XX02
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083HA06
5F083JA31
5F083JA39
5F083JA40
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH04
5F101BH14
(57)【要約】
半導体素子(例えば、V-NAND)におけるディープエッチング法について述べる。金属層をフィーチャに堆積させる。この金属層は、金属層の表面を酸化させ、酸化物を層単位でエッチングすることによる低温原子層エッチングによって除去される。金属層の除去の後、フィーチャに金属が充填される。
【選択図】図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の少なくとも1つのフィーチャに共形ライナを堆積させることであって、前記共形ライナが、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)のうちの1つまたは複数を含む、共形ライナを堆積させることと、
前記少なくとも1つのフィーチャにおける前記共形ライナに金属層を堆積させることであって、前記金属層が金属を含む、金属層を堆積させることと、
前記金属層上に金属酸化物層を形成するように第1の深さまで前記金属を酸化させることと、
前記金属酸化物層を選択的に除去するように前記金属酸化物層をエッチングすることと、を含む処理方法。
【請求項2】
前記金属が、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、またはモリブデン(Mo)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属が、タングステン(W)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物膜が、タングステン酸化物(WO)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属を酸化させることが、400℃以上の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属酸化物層をエッチングすることが、約100℃~約500℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属酸化物をエッチングすることが、前記金属酸化物を金属ハロゲン化物エッチャントに曝すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属ハロゲン化物エッチャントが、WF、WCl、WCl、またはタングステンオキシハロゲン化物のうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基板表面に金属層を堆積させることであって、前記基板表面がその上に少なくとも1つのフィーチャを有し、前記少なくとも1つのフィーチャが、前記基板表面から底面までのフィーチャ深さを延び、前記少なくとも1つのフィーチャの幅が第1の側壁と第2の側壁とで画定され、前記金属層が、前記基板表面、ならびに前記少なくとも1つのフィーチャの前記第1の側壁、前記第2の側壁、および前記底面に堆積される、金属層を堆積させることと、
前記金属層上に金属酸化物層を形成するように第1の深さまで前記金属を酸化させること、および前記金属酸化物層を選択的に除去するように前記金属酸化物層をエッチングすること、を含むプロセスサイクルを行うことと、を含む、処理方法。
【請求項10】
前記金属が、タングステン(W)を含み、前記金属酸化物層が、タングステン酸化物(WO)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属層を堆積させるのに先立ち、前記少なくとも1つのフィーチャに共形ライナを堆積させることをさらに含み、前記共形ライナが、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)のうちの1つまたは複数を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記金属を酸化させることが、400℃以上の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記金属酸化物層をエッチングすることが、約100℃~約500℃の範囲の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記金属酸化物をエッチングすることが、前記金属酸化物を、WF、WCl、WCl、またはタングステンオキシハロゲン化物のうちの1つまたは複数を含む金属ハロゲン化物エッチャントに曝すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセスサイクルをn回繰り返すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記金属層を酸化させることが、前記金属層の表面を酸素(O)に曝すことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が、酸化物層と窒化物層との複数の交互層を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
基板を処理する方法であって、
基板にフィルムスタックを形成することであって、前記フィルムスタックが、酸化物材料と窒化物材料との複数の交互層を含み、前記フィルムスタックがスタック厚を有する、フィルムスタックを形成することと、
前記フィルムスタック面の上面から底面までの深さを延びる開口を形成することであって、前記開口の幅が第1の側壁と第2の側壁とで画定される、開口を形成することと、
任意選択的に、前記フィルムスタック面に、ならびに前記開口の前記第1の側壁、前記第2の側壁、および前記底面にバリア層を形成することであって、前記バリア層が、約20Å~約50Åの範囲の厚みがあるTiNを含む、バリア層を形成することと、
前記フィルムスタックに金属層を、前記金属層が前記開口を塞ぎ、金属層厚みで前記フィルムスタックの前記上面を覆うように、堆積させることと、
繰り返し、金属酸化物層を形成するように前記金属層の前記表面を酸化させ、前記金属層が除去されるまで前記少なくとも1つのフィーチャから前記金属酸化物層をエッチングすることであって、前記表面を酸化させることが、Oに曝すことを含み、前記金属層酸化物をエッチングすることが、ハロゲン化物エッチャントに曝すことを含む、前記金属酸化物層をエッチングすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体素子にある隙間またはフィーチャに充填する方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、タングステンを使用した3次元半導体素子における隙間充填の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、その設計や材料成分の複雑性が高まるにつれ、材料の選択的除去が半導体素子の絶え間ないスケーリングおよび向上にとって重要となってきている。選択的原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etching)は、自己制限式表面反応を採用する精密エッチング法として現れた。金属酸化物(MO)の選択的ALEは、特に、いくつかの半導体技術にとって重要であるが、その酸化物材料の固有の安定性を原因として成し遂げるのが難しい場合がある。
【0003】
フラッシュメモリ用途にV-NAND構造または3D-NAND構造が使用される。V-NAND素子は、多数のセルがブロック状に配列された垂直積層NAND構造である。ゲートラストワード線形成は、現時点では、3D-NAND製造時の主流のプロセスフローである。ワード線形成に先立ち、基板がメモリストリングによって支えられた層状酸化物スタックになっている。隙間スペースには、CVDまたはALDを使用してタングステンが充填される。メモリスタックの上面/側壁にもタングステンがコーティングされる。タングステンが隙間スペースの内側にしかなく、各タングステン充填がその他のタングステン充填とは完全に別個になるように、エッチングプロセス(例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive-Ion Etch)プロセスまたはラジカル系エッチングプロセス)によってそのスタックの上面/側壁からタングステンが除去される。しかし、エッチングプロセスの負荷作用を原因として、個々のエッチングによって、スタックの上面のワード線凹部と底のワード線凹部とが違ってくることが多い。この違いは、酸化物スタック層が増大するにつれて目立ってくる。
【0004】
多層VNANDタングステン充填では、タングステンを充填する際に、特に埋め込みワード線では課題が多い。より良い隙間充填をもたらす堆積-エッチングサイクル技法が求められている。しかし、現時点では、有効なタングステン隙間充填をもたらすのに使用できるサイクル堆積-エッチングプロセスは何もない。
【0005】
したがって、特にNAND用途において、タングステンをエッチングする改良した方法が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、基板を処理する方法を対象とするものである。1つまたは複数の実施形態において、処理方法は、基板上の少なくとも1つのフィーチャに金属層を堆積させることと、金属層上に金属酸化膜層を形成するように第1の深さまで金属を酸化させることと、金属酸化物層を選択的に除去するように金属酸化物層をエッチングすることと、を含む。
【0007】
本開示の別の実施形態は、基板を処理する方法を対象とするものである。1つまたは複数の実施形態において、処理方法は、基板表面に金属層を堆積させることであって、基板表面がその上に少なくとも1つのフィーチャを有し、少なくとも1つのフィーチャが、基板表面から底面までのフィーチャ深さを延び、少なくとも1つのフィーチャの幅が第1の側壁と第2の側壁とで画定され、金属層が、基板表面、ならびに少なくとも1つのフィーチャの第1の側壁、第2の側壁、および底面に堆積される、金属層を堆積させることと、金属層上に金属酸化物層を形成するように第1の深さまで金属を酸化させること、および金属酸化物層を選択的に除去するように金属酸化物層をエッチングすること、を含むプロセスサイクルを行うことと、を含む。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、基板を処理する方法を対象とするものである。1つまたは複数の実施形態において、基板を処理する方法は、基板にフィルムスタックを形成することであって、フィルムスタックが、酸化物材料と窒化物材料との複数の交互層を含み、フィルムスタックがスタック厚を有する、フィルムスタックを形成することと、フィルムスタック面の上面から底面までの深さを延びる開口を形成することであって、開口の幅が第1の側壁と第2の側壁とで画定される、開口を形成することと、任意選択的に、フィルムスタック表面に、ならびに開口の第1の側壁、第2の側壁、および底面に、バリア層を形成することであって、バリア層が、厚みが約20Å~約50Åの範囲であるTiNを含む、バリア層を形成することと、金属層が開口を塞ぎ、金属層厚みでフィルムスタックの上面を覆うように、フィルムスタックに金属層を堆積させることと、繰り返し、金属酸化物層を形成するように金属層の表面を酸化させ、金属層が除去されるまで少なくとも1つのフィーチャから金属酸化物層をエッチングすることであって、表面を酸化させることが、Oに曝すことを含み、金属層酸化物をエッチングすることが、ハロゲン化物エッチャントに曝すことを含む、金属酸化物層をエッチングすることと、を含む。
【0009】
これまで述べた本開示の特徴を詳しく理解できるように、上で手短にまとめた本開示について、そのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することで、より具体的に説明することができる。添付図面には、本開示の典型的な実施形態しか示していないので、限定と捉えるべきではなく、本開示には、他の等しく有効な実施形態を受け入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による、ワード線が形成される酸化物層スタックを示す図である。
図2図1の酸化物層スタックに形成された金属膜を示す図である。
図3A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、高温酸化・エッチングプロセスを示す図である。
図3B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、高温酸化・エッチングプロセスを示す図である。
図4A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、低温酸化・エッチングプロセスを示す図である。
図4B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、低温酸化・エッチングプロセスを示す図である。
図4C】本開示の1つまたは複数の実施形態による、低温酸化・エッチングプロセスを示す図である。
図4D】本開示の1つまたは複数の実施形態による、低温酸化・エッチングプロセスを示す図である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、基板フィーチャの断面図である。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、基板フィーチャの断面図である。
図5C】本開示の1つまたは複数の実施形態による、基板フィーチャの断面図である。
図5D】本開示の1つまたは複数の実施形態による、基板フィーチャの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について述べる前に、本開示が以下の発明を実施するための形態に明示する構築ステップまたはプロセスステップの細目に限定されるものではない、ということを理解すべきである。本開示は、他の実施形態も受け入れる余地があり、様々に実施されるか行われることが可能である。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、用語「基板」と「ウエハ」とは、同じ意味で使用しており、両方とも、プロセスが作用する表面または表面の一部のことである。当業者であれば、基板と言うとき、文脈上明らかにそうではないと分からない限り、基板の一部しか指さないこともある、ということが分かるであろう。また、基板に堆積させると言うとき、ベア基板と、1つまたは複数の膜またはフィーチャが堆積しているか形成されている基板との両方を意味することがある。
【0013】
本明細書で使用する際の「基板」とは、製造プロセス時に膜処理が行われる如何なる基板のことでもあり、また基板に形成された如何なる材料表面のことでもある。例えば、処理が行われ得る基板表面は、その用途に応じて、シリコン、シリコン酸化物、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI:Silicon On Insulator)、炭素ドープシリコン酸化物、アモルファスシリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガラス、サファイヤなどの材料、ならびに金属、窒化金属、金属合金、およびその他の導電材料などの任意の他の材料を含む。基板は、半導体ウエハを含むがこれに限定されるわけではない。基板表面を磨く、エッチングする、減らす、酸化させる、ヒドロキシル化させる、焼き戻す、UV硬化させる、電子線硬化させる、かつ/または焼く、と言った前処理プロセスを基板に受けさせることができる。基板そのものの表面に直に膜処理することの他に、本開示では、以下により詳しく開示する通りに、開示した膜処理ステップのいずれも、基板に形成された下層に対しても行われてもよく、「基板表面」という用語は、文脈上分かるように、このような下層を含むことが意図されている。したがって例えば、基板表面に膜/層または部分膜/層が堆積している場合、新しく堆積させる膜/層の露出面が基板表面に成る。
【0014】
半導体製造プロセスでは、材料、例えばタングステン(W)を、ビアまたはトレンチなどであるがこれに限定されるわけではないフィーチャ中に堆積させ、コンタクトまたは相互接続を形成することを伴うことが多い。化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)を使用して、金属、例えばタングステン(W)をフィーチャ中に堆積させることが多く、この場合、充填対象の少なくとも1つのフィーチャがある基板は、金属をフィーチャ中に堆積させるのに金属含有前駆体および還元剤に曝される。しかし、素子が縮むにつれて、フィーチャが小さくなり、特に先進ロジック用途や先進メモリ用途では、CVDによる充填が課題の多いものになってくる。
【0015】
本開示の1つまたは複数の実施形態では、3次元基板の隙間にタングステン膜を堆積させる方法を提供するのが好都合である。本開示のいくつかの実施形態では、共形タングステン酸化物膜を堆積させる方法および選択的タングステン酸化物除去の方法を提供するのが好都合である。いくつかの実施形態では、酸化物スタックの上面から底面まで一様の厚みの高品質タングステン膜でV-NANDの横方向フィーチャに充填する方法を提供するのが好都合である。1つまたは複数の実施形態において、処理方法では、プラズマを使用しないのが好都合である。さらに、1つまたは複数の実施形態の処理方法では、他のディープエッチング技法よりも歯止めの利く速度で選択的にタングステンを除去するのが好都合である。
【0016】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、高度共形金属(例えば、タングステン)酸化物および高度選択的金属酸化物(例えば、タングステン酸化物)除去に基づくワード線分離の方法を対象とするものである。この方法では、高温プロセスでも低温プロセスでも使用することができる。
【0017】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、より良い隙間充填をもたらす堆積-エッチング(「ディープエッチング」)サイクル技法を対象とするものである。1つまたは複数の実施形態の方法が、このようなディープエッチングサイクルプロセスを容易にする。また、1つまたは複数の実施形態において、自然酸化物が金属、例えばタングステンの表面から除去されるので、半導体素子の接触抵抗が高められる。
【0018】
図1を参照すると、基板10上には層スタック12がある。基板10は、適していれば如何なる基板材料でもよく、個々の層のいずれとも同じ材料であることに限定されることはない。例えば、実施形態によっては、基板は、酸化物層、窒化物層、または金属層である。スタック12は、各隙間がワード線またはワード線が形成される外郭を形成するように、互いに間隔を空けて、酸化物層14間に隙間16を形成する複数の酸化物層14を有している。スタック12には上面13および側面15がある。
【0019】
スタック12には、適していればいくつでも酸化物層14または隙間16があってもよい。実施形態によっては、等しい個数のワード線を形成するのに使用され得る約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100個以上の隙間16がスタック12に形成されている。隙間16の個数は、個々の酸化物層14のすべてを結び付けるメモリストリング11のいずれの側でも測定される。実施形態によっては、隙間16の個数は、2の倍数である。実施形態によっては、隙間の個数は、2に等しく、ここでnは任意の正の整数である。実施形態によっては、隙間16の個数は、約96である。
【0020】
図2に示す通り、金属20がスタック12に堆積している。金属20が隙間16を埋め、ワード線19を形成する。金属20がスタック12の上面13および側面15を金属オーバーバーデン22の厚みで覆うように、金属20外形がスタック12全周に形成される。オーバーバーデン22とは、隙間16の外側に堆積した材料である。オーバーバーデンは、金属20を堆積させるのに使用されるプロセスに適していれば如何なる厚みであってもよい。実施形態によっては、オーバーバーデン22の厚みは、約1Å~約1000Åの範囲である。実施形態によっては、オーバーバーデン22の厚みは、約5Å、10Å、15Å、20Å、25Å、30Å、35Å、40Å、45Å、または50Å以上である。
【0021】
金属20は、ワード線用途に使用するのに適していれば如何なる金属であってもよい。具体的な実施形態によっては、金属膜は、タングステンを含む。具体的な実施形態によっては、金属膜は、タングステンを除外する。具体的な実施形態によっては、金属膜は、本質的にタングステンから成る。この絡みで使用する際、「本質的にタングステンから成る」という言い回しは、バルク金属膜の成分が、原子単位で約95%、98%、または99%以上のタングステンであることを意味する。バルク金属膜は、別の表面(例えば、酸化物表面)に接触する可能性があるか、またはさらなる処理に使用できる金属20の表面部分を除外するが、これはこのような部分には、隣り合う材料による何らかの小規模の原子拡散があるか、水素化物終端のような何らかの表面部分があり得るからである。
【0022】
金属20は、化学気相成長(CVD)または原子層堆積(ALD)を含むがこれに限定されるわけではない、適していれば如何なる技法によっても堆積することができる。金属20は、隙間スペース中に、またメモリスタックの上面/側面に堆積する。
【0023】
図3Aおよび図3Bを参照すると、低温エッチングプロセスを伴う高温酸化が示されている。図3Aでは、金属20が酸化し、オーバーバーデン22の厚み程度の深さの金属酸化物25に成る。オーバーバーデン22の実質的に全部を一段階酸化プロセスで酸化させることができる。オーバーバーデンの酸化は、例えば、酸化ガス流、酸化ガス部分圧、ウエハ温度、および高度共形酸化の金属オーバーバーデン22を形成するプロセス時間の影響を受ける可能性がある。
【0024】
酸化ガスは、堆積した金属20と反応し得るのに適していれば如何なる酸化ガスであってもよい。適した酸化ガスは、O、O、HO、H、NO、NO、またはその組合せを含むが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、酸化ガスは、OまたはOのうちの1つまたは複数を含む。実施形態によっては、酸化ガスは、本質的に、OまたはOのうちの1つまたは複数から成る。このように使用する際、「本質的に~から成る」という言い回しは、酸化ガスの酸化成分が約95%、98%、または99%以上の述べた化学種であることを意味する。酸化ガスは、不活性ガス、希釈ガス、またはキャリアガスを含むことができる。例えば、酸化ガスが、Ar、He、またはNのうちの1つまたは複数との並行流であってもよく、Ar、He、またはNのうちの1つまたは複数で希釈されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態の金属酸化物25は、タングステン酸化物(WO)を含む。実施形態によっては、金属酸化物25は、酸素を含有していてもよく酸素を含有していなくてもよい金属20の派生物である。金属膜の適した派生物は、窒化物、ホウ化物、カーバイド、オキシ窒化物、オキシホウ化物、オキシカーバイド、炭窒化物、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭窒化ホウ素、オキシ炭窒化ホウ素、オキシ炭窒化物、ホウ素オキシカーバイド、およびオキシ窒化ホウ素を含むが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、堆積した金属膜には、金属膜とは非化学量論量の原子があり得る、ということが分かるであろう。例えば、WOとして示される膜では、タングステンの量と酸素の量とが異なる場合がある。WO膜は、例えば、90原子%タングステンである場合がある。タングステン酸化物膜を記述するのにWOを使用することは、その膜がタングステン原子と酸素原子とで構成されるが、この膜を特定の成分に限定されるとして捉えるべきではない、ということを意味する。実施形態によっては、この膜は、本質的に示した原子から成る。例えば、本質的にWOから成る膜とは、膜の成分が約95%、98%、または99%以上のタングステン原子および酸素原子である、ということを意味する。
【0026】
図3Aおよび図3Bに示すプロセスでは、酸化プロセスが高温で行われる。この絡みで使用する際、「高温」という用語は、約400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、または850℃以上の温度を意味する。実施形態によっては、酸化プロセスの温度は、約400℃~約950℃の範囲であるか、約450℃~約900℃の範囲であるか、約500℃~約850℃の範囲である。
【0027】
酸化プロセス時の圧力は、約0.1トール~約760トールの範囲であってもよい。プロセス時間(曝露時間)は、約0.1秒~12時間の範囲であってもよい。圧力およびプロセス時間は、酸化プロセス時の温度の影響を受ける可能性がある。
【0028】
実施形態によっては、スタック12の上面13および側面15上に金属酸化物25を形成するように、オーバーバーデン22の金属20を酸化させる一方、ワード線19を形成する隙間16に金属20を残す。実施形態によっては、酸化後に隙間16に金属20の実質的にすべてが残る。このように使用する際、「実質的にすべて」という言い回しは、金属20がスタック12の側面15の±1Å範囲に酸化する、ということを意味する。
【0029】
図3Bを参照すると、ワード線19として隙間14に金属20が残るように、オーバーバーデン22から形成された金属酸化物25が、スタック12の上面13および側面15からエッチングされる。いくつかの実施形態のエッチングプロセスは、金属20に実質的に影響を及ぼすことなく、金属酸化物25を除去する選択的エッチングプロセスである。
【0030】
実施形態によっては、エッチャントは、金属ハロゲン化物エッチャントを含む。いくつかの実施形態のエッチャントは、本質的に金属ハロゲン化物エッチャントから成る。この絡みで使用する際、「本質的に金属ハロゲン化物エッチャントから成る」という言い回しは、特定した金属ハロゲン化物エッチャント化学種が総金属ハロゲン化物エッチャント化学種の95%、98%、または99%を占める(不活性ガス、希釈ガス、またはキャリアガスを含まない)、ということを意味する。金属ハロゲン化物エッチャントの金属化学種は、金属酸化物25の金属化学種と同じであることも異なることもある。実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントの金属化学種は、金属酸化物25の金属化学種と同じある。
【0031】
実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的に塩素から成るハロゲン原子を含む。この絡みで使用する際、「本質的に塩素から成る」という言い回しは、塩素が、原子単位で金属ハロゲン化物エッチャントにおいてハロゲン原子の約95%、98%、または99%以上を占める、ということを意味する。実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的にフッ素から成るハロゲン原子を含む。この絡みで使用する際、「本質的にフッ素から成る」という言い回しは、フッ素が、原子単位で金属ハロゲン化物エッチャントにおいてハロゲン原子の約95%、98%、または99%以上を占める、ということを意味する。
【0032】
実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、WF、WCl、WCl、またはタングステンオキシハロゲン化物のうちの1つまたは複数を含む。実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的に、WF、WCl、またはWClのうちの1つまたは複数から成る。この絡みで使用する際、「本質的に~から成る」という言い回しは、述べた化学種が、分子単位で金属ハロゲン化物の約95%、98%、または99%以上を占める、ということを意味する。
【0033】
いくつかの実施形態のエッチング温度は、酸化時の温度よりも低い。実施形態によっては、エッチング温度は、約300℃~約600℃の範囲であるか、約400℃~約500℃の範囲である。実施形態によっては、エッチング温度は、約600℃、550℃、500℃、450℃、400℃、または350℃以下である。実施形態によっては、エッチング時の温度は、約50℃、75℃、100℃、125℃、または150℃以上で、酸化時の温度よりも低い。実施形態によっては、酸化もエッチングも約300℃以上の温度で行われる。
【0034】
金属酸化物25をエッチングした後、金属オーバーバーデン22が除去され、ワード線19として隙間14に残った金属20がスタック12の側面15と実質的に同一平面上になる。このように使用する際、「実質的に同一平面上」という言い回しは、隙間16内のワード線19がスタック12の側面15の±1Å範囲にある、ということを意味する。
【0035】
図3Aおよび図3Bに示す実施形態では、高温酸化-低温エッチングプロセスが見て取れる。図4A図4Dに示す実施形態では、低温酸化・エッチングプロセスが見て取れる。プロセス間のいくつかの違いは、より低温の酸化とよりゆっくりしたオーバーバーデンの除去を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
スタック12に金属20がオーバーバーデン22と成った(図2に見られるように)後、原子層エッチング式プロセスによって、オーバーバーデンの除去が行われ得る。原子層エッチングプロセスには、エッチング対象の表面を改変し、次に改変した表面を揮発させるか除去し、下の新しい表面を露出させるプロセスを複数回繰り返すことが含まれ得る。
【0037】
図4Aを参照すると、オーバーバーデン22の表面上に金属酸化物25を形成するように、オーバーバーデン22を酸化させる。酸化プロセスでは、図3Aに示す実施形態と同じ試薬およびパラメータを使用することができるが、原子層エッチング(ALE)プロセスが行えるようにいくつか変更が伴う。いくつかの実施形態の酸化プロセスは、約300℃~約500℃の範囲の温度で行われる。実施形態によっては、酸化は、約500℃、450℃、400℃、または350℃以下の温度で起こる。低温酸化プロセス時の圧力は、約0.1トール~約760トールの範囲であってもよい。プロセスまたは曝露の時間は、約0.001秒~約60秒の範囲であってもよい。原子層エッチングプロセスでは、それぞれの酸化・エッチングプロセスは、有効表面サイトが反応するとプロセスが止まると言う点で、自己制限式である。例えば、金属20の有効表面サイトのすべてが酸化剤に曝され、酸化剤と反応し、金属酸化物25膜に成ると、さらなる酸化はすぐには起こり得ない。同様に、エッチャントにより酸化物膜を除去し、下の新しい金属20を露出させると、エッチャントによって除去する対象の酸化物はもうない。
【0038】
図4Bを参照すると、金属20上の金属酸化物25の形成後、スタック12がエッチャントに曝される。エッチャントとエッチングの条件は、図3Bに示し、図3Bに関連して述べたものと同じであってもよい。金属20上の金属酸化物25層は、図3Aおよび図3Bに示す実施形態よりも薄いので、エッチングプロセスは、時間が短くなる。実施形態によっては、エッチャントプロセス時間は、約0.1秒~約60秒の範囲である。
【0039】
実施形態によっては、酸化プロセス時とエッチングプロセス時の温度は、約400℃以下の温度で行われる。スタック12が入っている基板を処理チャンバのあるプロセス領域から処理チャンバの別のプロセス領域に素早く移動させ、順次、基板を酸化条件下およびエッチング条件下に置くことができるように、図4Bに示すエッチングプロセスの温度を図4の酸化プロセスと同じにすることができる。
【0040】
この種のALEプロセスは、様々な反応ガス(例えば、酸化剤やエッチャント)が処理チャンバの別々の領域に流れ込み、基板が領域間、領域内で移動するという空間ALEと言われることがある。様々なプロセス領域が、気相における酸化剤とエッチャントとの混合を防ぐために、パージガスストリームおよび/または真空ストリームのうちの1つまたは複数から成るガスカーテンによって分けられる。ALEプロセスは、処理チャンバが酸化剤で充填され、余分な酸化剤や反応生成物または副生成物を除去するためにパージされ、エッチャントが充填されることによって、余分なエッチャントや反応生成物または副生成物を除去するためにパージされるという、時間ドメインプロセスによっても行われ得る。時間ドメインプロセスでは、基板を静止したままにすることができる。
【0041】
図4Cには、酸化剤への曝露の繰り返しにより、金属酸化物25を形成することを示し、図4Dには、エッチャントへの曝露の繰り返しにより、金属酸化物を除去することを示す。2回のサイクルを使用するとしてプロセスを示しているが、当業者であれば、これが単なる表示に過ぎず、オーバーバーデン22を除去し、ワード線19として隙間16に金属20を残すのに2回よりも多いサイクルが使用されてもよい、ということが分かるであろう。
【0042】
実施形態によっては、金属20の堆積に先立ち、酸化物層14にバリア層が形成される。バリア層は、適していれば如何なるバリア材料であってもよい。実施形態によっては、バリア層は、窒化チタンを含む。実施形態によっては、バリア層は、本質的に窒化チタンから成る。このように使用する際、「本質的に窒化チタンから成る」という言い回しは、バリア層の成分が、原子単位で、約95%、98%、または99%以上のチタン原子および窒素原子である、ということを意味する。各壁装の厚さは適していれば如何なる厚さであってもよい。実施形態によっては、バリア層の厚みは、約20Å~約50Åの範囲である。
【0043】
図5A図5Dには、本開示の1つまたは複数の実施形態による、フィーチャ110がある基板100の部分断面図を示し、また原子層エッチングプロセスを詳しく示す。これらの図には、理解を助ける目的でフィーチャが1つしかない基板を示すが、当業者であれば、フィーチャが1つよりも多くあってもよい、ということが分かるであろう。フィーチャ110の形状は、トレンチおよび円筒形ビアを含むがこれらに限定されるわけではない、適していれば如何なる形状であってもよい。この絡みで使用する際、「フィーチャ」という用語は、如何なる意図的な表面不規則性も意味する。フィーチャの適した例は、上面、2つの側壁、および底面があるトレンチ、上面および2つの側壁があるピークを含むが、これらに限定されるわけではない。フィーチャのアスペクト比(フィーチャの幅に対するフィーチャの深さの比)は適していれば如何なる比でもよい。実施形態によっては、アスペクト比は、約5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、または40:1以上である。
【0044】
基板100には基板表面120がある。少なくとも1つのフィーチャ110が基板表面120に開口を成す。少なくとも1つのフィーチャ110は、基板表面120から底面112までのフィーチャ深さDを延びる。少なくとも1つのフィーチャ110には、少なくとも1つのフィーチャ110の幅Wを画定している第1の側壁114および第2の側壁116がある。側壁114、116および底112によって形成された開域は、隙間とも言われる。1つまたは複数の実施形態において、幅Wが少なくとも1つのフィーチャ110の深さD1にわたって均一である。他の実施形態において、少なくとも1つのフィーチャ110の上面の幅Wが、少なくとも1つのフィーチャ110の底面112の幅Wよりも広い。
【0045】
1つまたは複数の実施形態において、基板100が、半導体基板102に堆積した、窒素材料104と酸化物材料106との複数の交互層で構成されたフィルムスタックである。
【0046】
半導体基板102の材料は、適していれば如何なる基板材料であってもよい。1つまたは複数の実施形態において、半導体基板102は、半導体材料、例えば、シリコン(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウム砒素(GaAs)、リン酸インジウム(InP)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、砒化インジウムアルミニウム(lnAlAs)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、他の半導体材料、またはその任意の組合せを含む。1つまたは複数の実施形態において、半導体基板102は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、砒素(As)、インジウム(In)、リン(P)、銅(Cu)、またはセレン(Se)のうちの1つまたは複数を含む。本明細書では、基板102が形成され得る材料の2、3の例を述べているが、受動電子素子および能動電子素子(例えば、トランジスタ、メモリ、キャパシタ、インダクタ、抵抗体、スイッチ、集積回路、アンプ、光電子素子、または任意の他の電子素子)が組み立てられ得る基礎としての役割を果たすことのできる如何なる材料も、本開示の趣旨および範囲に入る。
【0047】
1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つのフィーチャ110は、メモリホールまたはワード線スリットを含む。これに応じて、1つまたは複数の実施形態において、基板100は、メモリデバイスまたはロジックデバイス、例えば、NAND、V-NAND、DRAMなどを含む。
【0048】
本明細書で使用する際、「3D NAND」という用語は、メモリセルが複数の層状態で積み重ねられている、ある種の電子(ソリッドステート)不揮発性コンピュータ記憶メモリを指す。3D NANDメモリは、一般に、浮遊動ゲートトランジスタを含む複数のメモリセルを含む。通常、3D NANDメモリセルは、ビット線周りに3次元で配列された複数のNANDメモリ構造体を含む。
【0049】
本明細書で使用する際、「ダイナミックランダムアクセスメモリ」すなわち「DRAM」という用語は、キャパシタに電荷パケットを格納することによって基準ビットを格納する(すなわち、バイナリ1)か、またはキャパシタに電荷を何も格納しない(すなわち、バイナリ0)、メモリセルを指す。電荷は、アクセストランジスタを介してキャパシタにゲートで制御され、その同じトランジスタの電源を入れ、トランジスタ出力にある相互接続ラインに電荷パケットをダンプすることによってもたらされる電圧摂動を調べることによって検知される。このように、単DRAMセルは、1つのトランジスタと1つのキャパシタとで作られている。
【0050】
図5Bを参照すると、金属層124が少なくとも1つのフィーチャ110に堆積している。1つまたは複数の実施形態において、金属層124は、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、またはモリブデン(Mo)のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態において、金属層124は、タングステン(W)のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態において、金属層124がオーバーバーデン126として堆積している。実施形態によっては、金属層124の堆積に先立ち、共形ライナ122を少なくとも1つのフィーチャ110に堆積させる。共形ライナ122は、当業者には知られている、適した如何なる材料をも含み得る。1つまたは複数の実施形態において、共形ライナ122は、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)のうちの1つまたは複数を含む。
【0051】
図5Cを参照すると、オーバーバーデン126、また任意選択的に、共形ライナ122を備える金属層124が堆積した後、原子層エッチング式プロセスによって、オーバーバーデン126の除去が行われ得る。原子層エッチングプロセスには、エッチング対象の表面を改変して、次に改変した表面を揮発させるか除去して、下の新しい表面を露出させるというプロセスを複数回繰り返すことが含まれ得る。
【0052】
図5Cを参照すると、オーバーバーデン126の表面上に金属酸化物層128を形成するように、オーバーバーデン126を酸化させる。1つまたは複数の実施形態において、金属層122を酸化させて、オーバーバーデン126の厚み程度の深さの金属酸化物層128にする。一段階酸化プロセスで、オーバーバーデン126の実質的にすべてを酸化させることができる。高度共形酸化の金属オーバーバーデン126を形成する際のオーバーバーデン126の酸化は、例えば、酸化ガス流、酸化ガス部分圧、ウエハ温度、およびプロセス時間の影響を受ける可能性がある。
【0053】
1つまたは複数の実施形態において、酸化ガスとは、堆積した金属層122と反応し得るのに適した如何なる酸化ガスでもある。適した酸化ガスは、O、O、HO、H、NO、NO、またはその組合せを含むが、これらに限定されるわけではない。実施形態によっては、酸化ガスは、OまたはOのうちの1つまたは複数を含む。実施形態によっては、酸化ガスは、本質的に、OまたはOのうちの1つまたは複数から成る。このように使用する際、「本質的に~から成る」という言い回しは、酸化ガスの酸化成分が約95%、98%、または99%以上の述べた化学種である、ということを意味する。酸化ガスは、不活性ガス、希釈ガス、またはキャリアガスを含むことができる。例えば、酸化ガスは、Ar、He、またはNのうちの1つまたは複数とのの並行流であってもよく、Ar、He、またはNのうちの1つまたは複数で希釈されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態の金属酸化物層128は、タングステン酸化物(WO)を含む。実施形態によっては、金属酸化物層128は、酸素を含んでも含まなくてもよい金属層122の派生物である。金属層122の適した派生物は、窒化物、ホウ化物、カーバイド、オキシ窒化物、オキシホウ化物、オキシカーバイド、炭窒化物、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭窒化ホウ素、オキシ炭窒化ホウ素、オキシ炭窒化物、ホウ素オキシカーバイド、およびオキシ窒化ホウ素を含むが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば、堆積した金属層122には、金属膜とは非化学量論量の原子があり得る、ということが分かるであろう。例えば、WOとして示される金属層122は、タングステンの量と酸素の量とが違う場合がある。WO膜が、例えば、90原子%タングステンである場合がある。タングステン酸化物膜を記述するのにWOを使用することは、この膜がタングステン原子と酸素原子とを含むが、この膜を特定の成分に限定されるとして捉えるべきでない、ということを意味する。実施形態によっては、この膜は、本質的に、示した原子から成る。例えば、本質的にWOから成る膜とは、この膜の成分が、約95%、98%、または99%以上のタングステン原子および酸素原子である、ということを意味する。
【0055】
図5A図5Dに示すプロセスでは、酸化が熱酸化、高速熱酸化、またはスパイク焼き鈍しプロセスであるような酸化プロセスが高温で行われる。この絡みで使用する際、「高温」という用語は、温度が約400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、または850℃以上である、ということを意味する。実施形態によっては、酸化プロセスの温度は、約400℃~約950℃の範囲であるか、約450℃~約900℃の範囲であるか、約500℃~約850℃の範囲である。
【0056】
1つまたは複数の実施形態において、酸化プロセス時の圧力が、約0.1トール~約760トールの範囲である。プロセス時間(曝露時間)は、約0.1秒~12時間の範囲であってもよい。圧力およびプロセス時間は、酸化プロセス時の温度の影響を受ける可能性がある。
【0057】
実施形態によっては、少なくとも1つのフィーチャ110の上面130および側面132上に金属酸化物層128を形成するように、オーバーバーデン126の金属層124を酸化させる一方、少なくとも1つのフィーチャ110に金属層124を残す。実施形態によっては、酸化後、少なくとも1つのフィーチャ110に金属層124の実質的にすべてが残る。このように使用する際、「実質的にすべて」という言い回しは、金属層124が少なくとも1つのフィーチャ110の側面132の±1Å範囲に酸化する、ということを意味する。
【0058】
図5Dを参照すると、オーバーバーデン126から形成された金属酸化物層128が上面130および側面132からエッチングされ、金属層124が残る。いくつかの実施形態のエッチングプロセスは、金属層124に実質的に影響を及ぼすことなく、金属酸化物層128を除去するという選択的エッチングプロセスである。
【0059】
実施形態によっては、エッチャントは、金属ハロゲン化物エッチャントを含む。いくつかの実施形態のエッチャントは、本質的に金属ハロゲン化物エッチャントから成る。この絡みで使用する際、「本質的に金属ハロゲン化物エッチャントから成る」という言い回しは、特定した金属ハロゲン化物エッチャント化学種が総金属ハロゲン化物エッチャント化学種の95%、98%、または99%を占める(不活性ガス、希釈ガス、またはキャリアガスを含まない)、ということを意味する。金属ハロゲン化物エッチャントの金属化学種は、金属酸化物層128の金属化学種と同じことも、違うこともある。実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントの金属化学種は、金属酸化物層128の金属化学種と同じである。
【0060】
実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的に塩素から成るハロゲン原子を含む。他の実施形態において、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的にフッ素から成るハロゲン原子を含む。この絡みで使用する際、「本質的にフッ素から成る」という言い回しは、フッ素が、原子単位で、金属ハロゲン化物エッチャントにおいて、ハロゲン原子の約95%、98%、または99%以上を占める、ということを意味する。
【0061】
実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、WF、WCl、WCl、またはタングステンオキシハロゲン化物のうちの1つまたは複数を含む。実施形態によっては、金属ハロゲン化物エッチャントは、本質的にWF、WCl、WCl、またはタングステンオキシハロゲン化物のうちの1つまたは複数から成る。この絡みで使用する際、「本質的に~から成る」という言い回しは、述べた化学種が、分子単位で、金属ハロゲン化物の約95%、98%、または99%以上を占める、ということを意味する。
【0062】
いくつかの実施形態のエッチング温度は、酸化時の温度よりも低い。実施形態によっては、エッチング温度は、約100℃~約600℃の範囲であるか、約100℃~約500℃の範囲である。実施形態によっては、エッチング温度は、約600℃、550℃、500℃、450℃、400℃、または350℃以下である。実施形態によっては、エッチング時の温度は、約50℃、75℃、100℃、125℃、または150℃以上であり、酸化時の温度よりも低い。実施形態によっては、エッチングが、約300℃で行われる。実施形態によっては、酸化もエッチングも約400℃以上で起こる。
【0063】
いくつかの実施形態の酸化プロセスは、約300℃~約500℃の範囲の温度で行われる。実施形態によっては、酸化が、約500℃、450℃、400℃、または350℃以下の温度で起こる。低温酸化プロセス時の圧力は、約0.1トール~約760トールの範囲であってもよい。プロセス時間または曝露時間は、約0.001秒~約60秒の範囲であってもよい。原子層エッチングプロセスでは、それぞれの酸化・エッチングプロセスは、有効表面サイトが反応するとプロセスが止まるという点で、自己制限式である。例えば、金属層124の有効表面サイトのすべてが酸化剤に曝され、酸化剤と反応して、金属酸化物層128に成ると、さらなる酸化はすぐには起こり得ない。同様に、エッチャントにより金属酸化物層128が除去され、下の新しい金属層124が露出すると、エッチャントによって除去される酸化物は何もない。
【0064】
図5Dを参照すると、金属層124上の金属酸化物層128の形成後、基板102がエッチャントに曝される。エッチングおよびエッチャントの条件は、これまで図示し、述べたものと同じであってもよい。実施形態によっては、エッチングプロセス時間は、約0.1秒~約60秒の範囲である。
【0065】
1つまたは複数の実施形態において、この種のALEプロセスは、様々な反応ガス(例えば、酸化剤やエッチャント)が処理チャンバの別々の領域に流れ込み、基板が領域間、領域内で移動するという空間ALEと言われることがある。様々なプロセス領域が、気相における酸化剤とエッチャントとの混合を防ぐために、パージガスストリームおよび/または真空ストリームのうちの1つまたは複数で構成されているガスカーテンによって分けられる。ALEプロセスは、処理チャンバに酸化剤が充填され、余分な酸化剤や反応生成物または副生成物を除去するためにパージされ、エッチャントが充填されることにより、余分なエッチャントや反応生成物または副生成物を除去するためにパージされるという、時間ドメインプロセスによっても行われ得る。時間ドメインプロセスでは、基板を静止したままにすることができる。
【0066】
金属酸化物128をエッチングした後、プロセスが繰り返され、金属層124を酸化させて、金属酸化物層128とし、次にこの金属酸化物層128をエッチングして、酸化物層を除去する。このプロセスは、サイクルを1回しか使用しないとして示しているが、当業者であれば、これが単なる表示に過ぎず、金属層124を除去するのに、2回よりも多いサイクルを使用してもよい、ということが分かるであろう。1つまたは複数の実施形態において、プロセスでは、プロセスサイクルがn回繰り返される。1つまたは複数の実施形態において、nは、約2から約2000の範囲の数である。他の実施形態において、nは、約10より大きい数、約25より大きい数、約50より大きい数、約75より大きい数、または約100より大きい数である。
【0067】
プロセスは、図5Dに示す通り、金属層124が少なくとも1つのフィーチャ110から選択的に除去されるまで、層単位式方法で完了される。実施形態によっては、図示の通り、共形ライナ122が残る。他の実施形態において、図示していないが、少なくとも1つのフィーチャから部分的にまたは完全に除去されるような共形ライナ122がエッチングされる。1つまたは複数の実施形態において、誘電材料(例えば、シリコン酸化物層104、窒化シリコン層106)に影響を及ぼさないように金属層124が選択的に除去される。
【0068】
本明細書全体にわたって、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「ある実施形態」と言うとき、その実施形態との絡みで述べる特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれる、という意味である。それ故、本明細書全体にわたる様々な個所で「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、または「ある実施形態において」などの言い回しが出てくるときには、必ずしも本開示の同じ実施形態のことを言っているわけではない。また、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、適していればどのようにも組み合わせられ得る。
【0069】
本明細書における開示を特定の実施形態との関連で述べてきたが、これらの実施形態が、単に、本開示の原理および用途の例示に過ぎない、ということを理解すべきである。当業者であれば、本開示の趣旨および範囲を外れることなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変更がなされ得る、ということは明らかであろう。したがって、本開示には、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲にある修正形態および変形形態が含まれる、ということが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
【国際調査報告】