(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】平坦化におけるダイ内不均一性
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221115BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20221115BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20221115BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09G1/02
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518281
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020051901
(87)【国際公開番号】W WO2021061591
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ルー カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アレン シュルーター
(72)【発明者】
【氏名】ドニャネーシュ チャンドラカント タンボリ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158DA12
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5F057AA03
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5F057EA25
5F057EA26
5F057EA29
(57)【要約】
本発明は、バリヤー層用途のための、特にはダイ内不均一性(WID-NU)を向上させるための化学機械平坦化(CMP)研磨組成物を提供する。このCMP研磨組成物は、研磨剤を2.0質量%以上(≧)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、それらのポリマー、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された平坦化剤、ここでそれらのポリマーは、10ダルトン~5百万ダルトン、好ましくは50ダルトン~1百万ダルトンの分子量を有しており、腐食防止剤、水溶性溶媒、ならびに随意選択的に、速度増加剤、pH調整剤、酸化剤、およびキレート化剤を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリヤー化学機械平坦化(CMP)研磨組成物であって、
シリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、チタニア、ジルコニア、コロイド状シリカ、アルミナドープコロイド状シリカ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された研磨剤、
平坦化剤、
腐食防止剤、
水溶性溶媒、
随意選択的に、
湿潤剤、
速度増加剤、
pH調整剤、
酸化剤、および、
キレート化剤、
を含んでなり、
前記平坦化剤が、エチレンオキシド、そのポリマー、その誘導体;プロピレンオキシド、そのポリマー、その誘導体;ブチレンオキシド、そのポリマー、その誘導体;およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記研磨組成物が、2~12、3~12、7~12、または8~12のpHを有する、
バリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項2】
前記研磨剤が、コロイド状シリカであり、そして前記コロイド状シリカが、10nm~300nm、好ましくは20nm~200nm、そしてより好ましくは30nm~100nmの平均粒子径を有する、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項3】
前記平坦化剤が、エタノール,2-[1-ドデシルシクロヘキシル]オキシ]-;環状オリゴ糖;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(1-ノニルデシル)-ω-ヒドロキシ-;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(1-デシルシクロヘキシル)-ω-ヒドロキシ-;エタノール,2-(シクロトリデシルオキシ)-;10ダルトン~5百万ダルトン、または50ダルトン~1百万ダルトンの範囲の分子量を有するポリエチレンオキシド;10ダルトン~5百万ダルトン、または50ダルトン~1百万ダルトンの範囲の分子量を有するポリプロピレンオキシド;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項4】
前記平坦化剤が、10ダルトン~5百万ダルトン、または50ダルトン~1百万ダルトンの範囲の分子量を有するポリマーである、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項5】
前記腐食防止剤が、ベンゾトリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミン-1,2,4-トリアゾール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記腐食防止剤が、約0.0001質量%~約2.0質量%;約0.0005質量%~約1.0質量%、または約0.001質量%~約0.5質量%の量で存在する、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項6】
前記水溶性溶媒が、DI水、極性溶媒およびDI水と極性溶媒の混合物からなる群から選択され、前記極性溶媒が、アルコール、エーテル、およびケトンからなる群から選択される、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項7】
前記湿潤剤が、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項8】
前記湿潤剤が、アセチレン系ジオール界面活性剤、アルコールエトキシレート界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記界面活性剤が、0.0001質量%~10.0質量%;0.001質量%~5.0質量%;0.005質量%~2.0質量%、または0.001質量%~1.0質量%の量で存在する、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項9】
前記速度増加剤が、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウムケイ酸塩、テトラブチルアンモニウムケイ酸塩、テトラエチルアンモニウムケイ酸塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記速度増加剤が、約0.001質量%~約20.0質量%;0.01質量%~約15.0質量%、または0.1質量%~約10.0質量%の範囲の量で用いられる、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項10】
前記pH調整剤が、(a)研磨組成物のpHを低下させるために、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、種々のポリカルボン酸およびそれらの組み合わせ、および(b)研磨組成物のpHを上げるために、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択され、そして前記pH調整剤が、約0.0001質量%~約5.0質量%;0.001質量%~約3.0質量%;0.01質量%~約2.0質量%の量で用いられる、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項11】
前記酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、アミン化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記酸化剤が、約0.05質量%~約10.0質量%;好ましくは約0.2質量%~約2.0質量%の範囲の量で用いられる、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項12】
前記キレート化剤が、クエン酸カリウム、ベンゾスルホン酸、4-トリルスルホン酸、2,4-ジアミノ-ベンゾスルホン酸、マロン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデリン酸、アミノ酸、ポリカルボキシアミノ酸、ホスホン酸、それらの塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記キレート化剤が、約0.001質量%~約10.0質量%;約0.05質量%~約5.0質量%;または0.01質量%~1.0質量の範囲の量で用いられる、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項13】
前記バリヤー化学機械平坦化研磨組成物が、2質量%以上のコロイド状シリカ、ベンゾトリアゾールを含み、前記平坦化剤が、第二級アルコールエトキシレート、ポリエチレンオキシド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された化学薬品を含み、前記ポリエチレンオキシドが、10ダルトン~5百万ダルトン、または50ダルトン~1百万ダルトンの範囲の分子量を有し、そして前記バリヤー化学機械平坦化研磨組成物が8~12のpHを有する、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項14】
前記バリヤー化学機械平坦化研磨組成物が、2質量%以上のコロイド状シリカ、ベンゾトリアゾールを含み、前記平坦化剤が、第二級アルコールエトキシレート、ポリエチレンオキシド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された化学薬品、ケイ酸カリウム、および硝酸もしくは水酸化カリウムを含み、前記ポリエチレンオキシドが、10ダルトン~5百万ダルトン、または50ダルトン~1百万ダルトンの範囲の分子量を有し、そして前記バリヤー化学機械平坦化研磨組成物が8~12のpHを有する、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項15】
前記バリヤー化学機械平坦化研磨組成物が、2質量%以上のコロイド状シリカを含み、前記平坦化剤が、第二級アルコールエトキシレート、ポリエチレンオキシド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された化学薬品、アセチレン系ジオール界面活性剤、アルコールエトキシレート界面活性剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された湿潤剤、硝酸もしくはケイ酸カリウムを含み、前記ポリエチレンオキシドが、10ダルトン~5百万ダルトン、または50ダルトン~1百万ダルトンの範囲の分子量を有し、そして前記バリヤー化学機械平坦化研磨組成物が8~12のpHを有する、請求項1記載のバリヤー化学機械平坦化研磨組成物。
【請求項16】
少なくともバリヤー層および誘電体層を有する少なくとも1つの表面を含む半導体装置の化学機械平坦化のための研磨方法であって、以下の工程、
a.前記少なくとも1つの表面に、請求項1~15のいずれか1項記載の研磨組成物を分配する工程、
b.前記少なくとも1つの表面を、研磨パッドを用いることによって、前記研磨組成物で研磨する工程、
を含んでなり、
ここで、前記バリヤー層は、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルタングステンケイ素、チタン、窒化チタン、チタン-タングステン、窒化チタンタングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたタンタルもしくはチタン含有膜ならびに、酸化物膜、低K材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された誘電体層を含んでいる、方法。
【請求項17】
化学機械平坦化のためのシステムであって、
少なくともバリヤー層および誘電体層を有する少なくとも1つの表面を含む半導体装置、
研磨パッド、ならびに、
請求項1~15のいずれか1項記載の研磨組成物、
を含んでなり、
ここで、前記バリヤー層は、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルタングステンケイ素、チタン、窒化チタン、チタン-タングステン、窒化チタンタングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたタンタルもしくはチタン含有膜ならびに、酸化物膜、低K材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された誘電体層を含んでおり、そして少なくとも1つの表面が、前記研磨パッドおよび前記研磨組成物と接触する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年9月24日出願の米国仮出願第62/904,861号への優先権の利益を主張し、これを参照することによって本願の内容とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、半導体装置の製造に用いられるバリヤー化学機械平坦化(「CMP」)研磨組成物(またはスラリー)、および化学機械平坦化を実施するための研磨方法に関する。特には、本発明は、複数種の膜、例えば金属層、バリヤー膜、および下にある層間誘電体(ILD)構造、あるいはパターン化された誘電体層で構成されたパターン化された半導体ウエハを研磨するために好適に用いられるバリヤー研磨組成物に関する。
【0003】
通常は、バリヤー層がパターン化された誘電体層を被覆し、そして金属層がバリヤー層を被覆している。金属層は、パターン化されたトレンチを金属で充填して回路相互接続を形成るのに少なくとも十分な厚さを有している。
【0004】
バリヤーは、典型的には金属、金属合金または金属間化合物、例えばTaもしくはTi含有膜、例えばTaN、Ti、TiNもしくはTiWなど、である。バリヤーは、ウエハ内の層の間の移動または拡散を防ぐ層を形成する。例えば、バリヤーは、相互接続金属、例えば銅、コバルトまたは銀の隣接する誘電体中への拡散を防止する。バリヤー材料は大抵の酸による腐食に抵抗力がなければならず、そしてそれによってCMPのための流体の研磨組成物中への溶解に耐えなければならない。更には、それらのバリヤー材料は、CMP組成物中の研磨剤粒子の研磨による、および固定された研磨パッドからの除去に耐える強靭さを示すことができる。
【0005】
CMPに関連して、この技術の現在の状態は、複数の工程、例えば局所的および全体的平坦化を達成するための2工程プロセスを含んでいる。
【0006】
典型的なCMPプロセスの工程1の間に、金属層、例えば過剰に積層された銅層が通常除去されて、一方で、金属が充填された線、ビア、およびトレンチを備えたウエハ上に滑らかな平坦な表面を残し、それが研磨された表面に対して平坦な回路相互接続を与える。従って、工程1は、過剰の相互接続金属、例えば銅またはコバルトの除去に資する。次いで、典型的なCMPの工程2は、しばしばバリヤーCMPプロセスと表され、パターン化されたウエハの表面上のバリヤー層および過剰の金属層および他の膜を除去するように継続されて、誘電体層上の表面の局所的および全体的の両方の平坦化を達成する。
【0007】
バリヤー層の化学機械平坦化(CMP)は、ウエハダマシンプロセスの重要な工程である。
【0008】
ダイ内(With-in die)不均一性(WID-NU)は、パターンウエハ上の全体の工程の高さの偏差であり、それは機能性ダイの性能を損なう可能性がある。WID-NUは、種々の構造の間のパターン密度における初期の差異がより顕著な場合に、より顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、より高い除去速度、ならびに平坦化の向上、例えばより良好なダイ内不均一性(WID-NU)を有する、そしてより信頼性、一貫性および均一性があるCMPスラリーを作る必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、より良好なダイ内平坦性を有する安定したCMPスラリーを提供する。本明細書には、研磨のためのバリヤーCMP組成物、システムおよび方法が記載および開示されている。本明細書に開示された組成物は、向上された、より良好なダイ内不均一性(WID-NU)を提供する。
【0011】
1つの態様では、
研磨剤、
平坦化剤、
腐食防止剤、
水溶性溶媒、
随意選択的に、
湿潤剤、
速度増加剤、
pH調整剤、
酸化剤、および、
キレート化剤、
を含むバリヤー化学機械平坦化研磨組成物であって、
約2~約12、好ましくは約3~約12、より好ましくは約7~12、最も好ましくは約8~12のpHを有する研磨組成物が記載されている。
【0012】
他の態様では、少なくともバリヤー層および誘電体層を有する少なくとも1つの表面を含む半導体装置の化学機械平坦化のための研磨方法を提供するものであって、本方法は、以下の工程を含んでいる。
a.前記少なくとも1つの表面を研磨パッドと接触させる工程、
b.前記少なくとも1つの表面に、本明細書に記載した研磨組成物を分配する工程、および、
c.前記少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨する工程、
ここで、バリヤー層は、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルタングステンケイ素、チタン、窒化チタン、チタン-タングステン、窒化チタンタングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたタンタルもしくはチタン含有膜ならびに、酸化物膜、低K材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された誘電体層を含んでいる。
【0013】
更に他の態様では、本発明は
少なくともバリヤー層および誘電体層を有する少なくとも1つの表面を含む半導体装置、
研磨パッド、ならびに、
本明細書に記載された研磨組成物、
を含む、化学機械平坦化のためのシステムを提供し、
ここで、前記バリヤー層は、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルタングステンケイ素、チタン、窒化チタン、チタン-タングステン、窒化チタンタングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたタンタルもしくはチタン含有膜ならびに、酸化物膜、低K材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された誘電体層を含んでおり、
そして前記少なくとも1つの表面は、前記研磨パッドと前記研磨組成物と接触している。
【0014】
研磨剤の例としては、限定されるものではないが、コロイド状シリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナドープコロイド状シリカ、有機ポリマー粒子、無機および有機粒子の複合粒子、表面改質無機/有機粒子、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
研磨剤は、0.1質量%~約25.0質量%、0.1質量%~20.0質量%、1質量%~20.0質量%、2.0質量%~15.0質量%、または3.0質量%~15.0質量%、好ましくは≧2.0質量%、より好ましくは≧3.5質量%の量で用いられる。
【0016】
平坦化剤の例としては、限定するものではないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、それらのポリマー、およびそれらの誘導体、成分としてそれらを含む化学品混合物が挙げられる。それらのポリマーは、10~5百万ダルトン(Da)、このましくは50~1百万Daの範囲の分子量を有している。
【0017】
平坦化剤は、約0.0001質量%~約10.0質量%、0.0005質量%~5.0質量%、0.0001~3.0質量%、または0.005質量%~2.0質量%の範囲の量で用いられる。
【0018】
平坦化剤の例としては、限定するものではないがエタノール,2-[(1-ドデシルシクロヘキシル)オキシ]-;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(1-ノニルデシル)-ω-ヒドロキシ-;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(1-デシルシクロヘキシル)-ω-ヒドロキシ-;エタノール,2-(シクロトリデシルオキシ)-;ポリ(エチレンオキシド)(10~5百万DA、好ましくは50~1百万DAの範囲のMw);ポリ(プロピレンオキシド)(10~5百万DA、好ましくは50~1百万DAの範囲のMw);Tergitol(商標)15s9;Tergitol(商標)15s7;Surfyol(商標)485、Surfyol(商標)465;Zetasperse(商標)179;およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
腐食防止剤の例としては、限定するものではないが、ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミン-1,2,4-トリアゾール、およびそれらの組み合わせが、約0.0001質量%~約2.0質量%;約0.0005質量%~約1.0質量%,または約0.001質量%~約0.5質量%の範囲で、挙げられる。
【0020】
水溶性溶媒の例としては、限定するものではないが、DI水、極性溶媒、およびDI水と極性溶媒の混合物が挙げられる。極性溶媒は、いずれかのアルコール、エーテル、ケトン、または他の極性試薬であることができる。極性溶媒の例としては、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびジエチルエーテル、ならびにケトン、例えばアセトン、が挙げられる。
【0021】
湿潤剤の例としては、限定するものではないが、a)ノニオン性表面湿潤剤、b)アニオン性表面湿潤剤、c)カチオン性表面湿潤剤、d)両性表面湿潤剤、およびそれらの組み合わせが、約0.0001質量%~約10.0質量%;0.001質量%~約5.0質量%;0.005質量%~2.0質量%、または0.001質量%~1.0質量%の量で、挙げられる。
【0022】
速度増加剤としては、限定するものではないが、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、ケイ酸テトラメチルアンモニウム、ケイ酸テトラブチルアンモニウム、ケイ酸テトラエチルラムモニウム、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0023】
速度増加剤は、約0.001質量%~約20.0質量%;0.01質量%~約15.0質量%,または0.1質量%~約10.0質量%の範囲の量で用いられる。
【0024】
pH調整剤の例としては、限定するものではないが、(a)硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、種々のポリカルボン酸およびそれらの組み合わせが、研磨組成物のpHを低下させるために、および(b)水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン、およびそれらの組み合わせが研磨組成物のpHを上げるために、約0.0001質量%~約5.0質量%;0.001質量%~約3.0質量%;0.01質量%~約2.0質量%の量で挙げられ、そして研磨組成物は、約2~約12、好ましくは約3~12、より好ましくは約7~12、最も好ましくは約8~12のpHを有している。
【0025】
酸化剤の例としては、限定するものではないが、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、アミン化合物、およびそれらの組み合わせが、約0.05質量%~約10.0質量%;好ましくは約0.2質量%~約2.0質量%の範囲の量で、挙げられる。
【0026】
好適なキレート化剤としては、限定するものではないが、有機酸およびそれらの塩;ポリマー酸およびそれらの塩;水溶性共重合体およびそれらの塩;共重合体の同じ分子中にカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸、およびピリジン酸(pyridine acids)から選択された少なくとも2種の異なる種類の酸基を含む共重合体およびそれらの塩; ポリビニル酸(polyvinyl acids)およびそれらの塩;ポリエチレンオキシド;ポリプロピレンオキシド;ピリジン、ピリジン誘導体、ビピリジン、ビピリジン誘導体およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
キレート化剤の例としては、限定するものではないが、クエン酸カリウム、ベンゾスルホン酸、4-トリルスルホン酸、2,4-ジアミノ-ベンゾスルホン酸、マロン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデリン酸、アミノ酸、ポリカルボキシアミノ酸、ホスホン酸、それらの塩、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
キレート化剤は、約0.001質量%~約10.0質量%;好ましくは約0.05質量%~約10.0質量%;好ましくは約0.05質量%~約5.0質量%;そしてより好ましくは0.01質量%~1.0質量の範囲の量で用いられる。
【0029】
全てのパーセントは、特に断りのない限り、CMP組成物の全質量に対する質量パーセントである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、化学薬品A、化学薬品B、および化学薬品Cの水晶マイクロバランス(QCM)データである。
【0031】
【
図2】
図2は、化学薬品G、化学薬品H、化学薬品K、および化学薬品Nの水晶マイクロバランス(QCM)データである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願発明は、より高いバリヤーおよびILD除去速度を有する安定なCMPスラリーを提供する。本明細書には、研磨のためのバリヤーCMP組成物、システムおよび方法が記載され、そして開示されている。本明細書に開示された組成物は、バリヤー膜およびILD除去速度を増加させる。
【0033】
本明細書には、導電性金属層、下にあるバリヤー膜、および埋め込まれた金属相互接続構造を有する誘電体層を有する半導体基材または装置を研磨する安定なCMPスラリーが記載されている。
【0034】
導電性金属層は、例えばCu、CuMn、Co、CoMo、Al、AlCo、Ru、RuTa、RuTiN、Mn、およびそれらの組み合わせを含んでいる。バリヤー層およびライナー層は、Ta、TaN、Ti、TiN、TiWまたはTiWNからなる群から選択されるタンタルもしくはチタン含有膜を含んでいる。下にある中間層誘電体(ILD)層は、酸化物膜、例えばSiO2、TEOS、低K誘電体材料、およびそれらの組み合わせを含んでいる。
【0035】
全てのパーセントは、特に断りのない限り、CMP組成物の全質量に対する質量パーセントである。
【0036】
バリヤー化学機械平坦化研磨組成物は、
研磨剤、
平坦化剤、
腐食防止剤、
水溶性溶媒、
随意選択的に、
湿潤剤、
速度増加剤、
pH調整剤、
酸化剤、および、
キレート化剤、
を含んでおり、
この研磨組成物は、約2~約12、好ましくは約3~12、より好ましくは約7~12、最も好ましくは約8~12のpHを有している。
【0037】
本発明の研磨組成物は、研磨剤を含んでいる。研磨組成物に好適な研磨剤としては、ナノサイズの粒子、例えば、限定するものではないが、ナノサイズのコロイド状シリカもしくは高純度コロイド状シリカ粒子;ナノサイズの無機金属酸化物粒子、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、およびそれらの組み合わせ;ナノサイズのダイヤモンド粒子;ナノサイズの窒化ケイ素粒子;単峰性、二峰性、もしくは多峰性コロイド状研磨剤粒子;有機ポリマー系軟質研磨剤;表面コートもしくは表面改質研磨剤;およびそれらの組み合わせがある。
【0038】
表面コートもしくは表面改質研磨剤としては、限定するものではないが、コロイド状シリカの格子内に他の金属酸化物によってドープされたコロイド状シリカ粒子、例えばアルミナドープシリカ粒子、コロイド状酸化アルミニウム、それにはアルファ-、ベータ-、およびガンマ-タイプの酸化アルミニウムが挙げられる、コロイド状および光活性二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド状酸化セリウム、ナノサイズダイヤモンド粒子、ナノサイズ窒化ケイ素粒子、単峰性、二峰性、多峰性コロイド状研磨剤粒子、酸化ジルコニウム、有機ポリマー系軟質研磨剤、表面コートもしくは表面改質研磨剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
ナノサイズ粒子は、狭いもしくは広い粒子径分布、種々のサイズおよび種々の形状を有している。研磨剤の種々の形状としては、球形、繭形状、凝集体形状、および他の形状が挙げられる。
【0040】
研磨剤粒子は、金属不純物を除去する好適な方法、例えばイオン交換を用いて精製することができ、それはコロイド安定性を向上させることを援ける可能性がある。あるいは、金属ケイ酸塩以外の前駆体から製造された高純度シリカ研磨剤粒子を用いることができる。
【0041】
好ましい研磨剤としては、限定するものではないが、高純度コロイド状シリカ(コロイド状シリカ)、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナドープコロイド状シリカ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。コロイド状シリカは、最も好ましい研磨剤粒子である。
【0042】
シリカは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ヒュームドシリカ、熱分解法シリカ、1種もしくは2種以上の補助剤をドープされたシリカのいずれか、またはいずれかの他のシリカ系化合物であることができる。他の態様では、シリカは、例えば、ゾル-ゲル法、熱水法、プラズマ法、ヒューミンング法、沈降法、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されたプロセスによって生成することができる。
【0043】
ディスク遠心分離(DC)粒子分級法によって測定された、10nm~300nm、またはより好ましくは20nm~200nm、そして更により好ましくは30nm~100nmの平均粒子径であることが好ましい。
【0044】
一般に、上記の研磨剤粒子は単独で、または互いに組み合わせて用いることができる。異なるサイズを有する2種もしくは3種以上の研磨剤粒子を、優れた性能を得るように組み合わせることもまた可能である。
【0045】
典型的には、研磨剤粒子は、本発明の組成物中に、約0.1質量%~約25.0質量%;0.1質量%~20.0質量%;1.0質量%~20.0質量%;2.0質量%~15.0質量%;または3.0質量%~15.0質量%;好ましくは≧2.0質量%、より好ましくは≧3.5質量%の範囲の量で存在する。
【0046】
水溶性溶媒の例としては、限定するものではないが、DI水、極性溶媒、およびDI水と極性溶媒との混合物が挙げられる。極性溶媒は、いずれかのアルコール、エーテル、ケトン、または他の極性試薬であることができる。極性溶媒の例としては、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびジエチルエーテル、ならびにケトン、例えばアセトンが挙げられる。
【0047】
平坦化剤の例としては、限定するものではないが、エチレンオキシド、その誘導体、そのポリマー;プロピレンオキシド、その誘導体、そのポリマー;ブチレンオキシド、その誘導体、そのポリマー;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
それらのポリマーは、10~5百万ダルトン(Da)、好ましくは50~1百万Daの範囲の分子量を有している。平坦化剤は、約0.0001質量%~約10.0質量%、0.0005質量%~5.0質量%、0.0001~3質量%、または0.005質量%~2.0質量%の範囲の量で用いられる。
【0049】
平坦化剤としては、限定するものではないが、エタノール,2-[1-ドデシルシクロヘキシル]オキシ]-;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(1-ノニルデシル)-ω-ヒドロキシ-;ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-(1-デシルシクロヘキシル)-ω-ヒドロキシ-;環状オリゴ糖;エタノール,2-(シクロトリデシルオキシ)-;ポリ(エチレンオキシド)(10~5百万Da、好ましくは50~1百万Daの範囲のMw);ポリ(プロピレンオキシド)(10~5百万Da、好ましくは50~1百万Daの範囲のMw)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
界面活性剤、例えば、Dow ChemicalのTergitol(商標)15s9およびTergitol(商標)15s7;BASFのPolysorbate 20、例えばTween(登録商標)20;BASFのCyclodextrin、Pluronic(登録商標)F-108;は、界面活性剤中に、主要な活性化学薬品、第2級アルコールエトキシレートを有している。
【0051】
Surfyol(登録商標)界面活性剤、Surfyol(登録商標)485、Surfyol(登録商標)465、Dynol(商標)801、Dynol(商標)980、およびZetasperse(登録商標)179は、Evonik Industriesの界面活性剤である。これらの界面活性剤中の活性の主要な化学薬品は、ポリエチレンオキシドである。
【0052】
界面活性剤は、バリヤーCMPスラリー中に、表面湿潤剤として用いることができ、バリヤーCMPスラリーに表面湿潤剤として加えることができる好適な湿潤剤としては、当業者に知られている多くのノニオン性、アニオン性、カチオン性、または両性界面活性剤のいずれかが挙げられる。ノニオン性界面活性剤の1つの例としては、トリコサエチレングリコールドデシルエーテルがある。
【0053】
また、湿潤剤の例としては、限定するものではないが、ドデシル硫酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム塩、スルホン酸第2級アルカン、アルコールエトキシレート、アセチレン系界面活性剤、およびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0054】
エトキシル化アセチレン系ジェミニ界面活性剤、EvonikのDynol(商標)607およびDynol(商標)604が、湿潤剤として用いられる。
【0055】
用いられる場合には、湿潤剤の量は、典型的には、0.0001質量%~約10.0質量%、0.001質量%~約5.0質量%、0.005質量%~2.0質量%、または0.001質量%~1.0質量%の範囲である。
【0056】
腐食防止剤の例としては、限定するものではないが、ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミン-1,2,4-トリアゾール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
腐食防止剤は、約0.0001質量%~約2.0質量%;約0.0005質量%~約1質量%、または約0.001質量%~約0.5質量%の範囲の量で用いられる。
【0058】
速度増加剤としては、限定するものではないが、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウムケイ酸塩、テトラブチルアンモニウムケイ酸塩、テトラエチルアンモニウムケイ酸塩、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0059】
速度増加剤は、約0.001質量%~約20.0質量%;0.01質量%~約15.0質量%、または0.1質量%~約10.0質量%の範囲の量で用いられる。
【0060】
pH調整剤の例としては、限定するものではないが、(a)硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、種々のポリカルボン酸およびそれらの組み合わせが、研磨組成物のpHを低下させるために、および(b)水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン、およびそれらの組み合わせが、研磨組成物のpHを上げるために、挙げられ、約0.0001質量%~約5.0質量%;0.001質量%~約3.0質量%;0.01質量%~約2.0質量%の量で用いられ、そして研磨組成物は、約2~約12、好ましくは約3~12、より好ましくは約7~12、最も好ましくは約8~12のpHを有している。
【0061】
酸化剤の例としては、限定するものではないが、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、アミン化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
酸化剤は、約0.05質量%~約10.0質量%;好ましくは約0.2質量%~約2.0質量%の範囲の量で用いられる。
【0063】
好適なキレート化剤としては、限定するものではないが、有機酸およびそれらの塩;高分子酸およびそれらの塩;水溶性共重合体およびそれらの塩;共重合体の同じ分子中にカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸、およびピリジン酸(pyridine acids)から選択された少なくとも2種の異なる種類の酸基を含む共重合体およびそれらの塩; ポリビニル酸(polyvinyl acids)およびそれらの塩;ポリエチレンオキシド;ポリプロピレンオキシド;ピリジン、ピリジン誘導体、ビピリジン、ビピリジン誘導体およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
キレート化剤の例としては、限定するものではないが、クエン酸カリウム、ベンゾスルホン酸、4-トリルスルホン酸、2,4-ジアミノベンゾスルホン酸、マロン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデリン酸、アミノ酸、ポリカルボキシアミノ酸、ホスホン酸、それらの塩、およびそれらの組み合わせおよびそれらの塩が挙げられる。
【0065】
キレート化剤は、約0.001質量%~約10.0質量%;好ましくは約0.05質量%~約5.0質量%;そしてより好ましくは0.01質量%~1.0質量%の範囲の量で用いられる。
【0066】
また、本発明は、少なくともバリヤー層および誘電体層を有する少なくとも1つの表面を含む半導体装置の化学機械平坦化のための研磨方法を提供するものであって、本方法は、以下の工程を含んでいる。
a.前記少なくとも1つの表面を研磨パッドと接触させる工程、
b.前記少なくとも1つの表面に、本明細書に記載した研磨組成物を分配する工程、および、
c.前記少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨する工程、
ここで、バリヤー層は、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルタングステンケイ素、チタン、窒化チタン、チタン-タングステン、窒化チタンタングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたタンタルもしくはチタン含有膜ならびに、酸化物膜、低K材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された誘電体層を含んでいる。
【0067】
本発明は更に、
少なくともバリヤー層および誘電体層を有する少なくとも1つの表面を含む半導体装置、
研磨パッド、ならびに、
本明細書に記載された研磨組成物、
を含む化学機械平坦化のためのシステムを提供し、
ここで、前記バリヤー層は、タンタル、窒化タンタル、炭化タンタルタングステンケイ素、チタン、窒化チタン、チタン-タングステン、窒化チタンタングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたタンタルもしくはチタン含有膜ならびに、酸化物膜、低K材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された誘電体層を含んでおり、そして前記少なくとも1つの表面は、前記研磨パッドと前記研磨組成物と接触している。
【実施例】
【0068】
全般的な実験手順
全てのパーセントは、特に断りのない限り、質量パーセントである。水が、組成物が100質量%になるように加えられる。
【0069】
以下に示す例において、CMP実験が、以下に示す手順および実験条件を用いて実施された。
【0070】
研磨が、300mmのReflection LK, Atec上で、1.1psi、93RPMのテーブル速度、300mL/分の流量、Fujibo H800パッド、MITレイアウトのCu/TEOSパターンで実施された。
【0071】
Fuso Chemical Co. LTD(日本)から購入された、約60nmのシリカ粒子(光散乱によって測定された)。
【0072】
例1
スラリーに用いられた化学薬品の組成が、表1に示されている。スラリーB、D、EおよびFは、それらの中に平坦化剤を有しており、一方でスラリーAおよびCはそれらの中に湿潤剤のみを有していた。
【0073】
DI水が、組成物が100質量%になるように加えられた。スラリーのpHは、約10であった。
【表1】
【0074】
これらのスラリーは、室温で、それぞれの成分について、短い中断(数分間)を挟んで調製された。
【0075】
これらのスラリーは、それらのスラリーに、酸化剤として、1.0質量%の過酸化水素が加えられた後に、研磨に用いられた(使用の地点で)。
【0076】
MITレイアウトのCu/TEOSパターンウエハ上のディッシグおよび腐食についての研磨結果が、表2に示されている。
【表2】
【0077】
10×10μmは、MITレイアウトのCu/TEOSパターン上のフィーチャであり、10μmCuで10μmTEOSである。
【0078】
表2に示されているように、全ての種々のフィーチャサイズに亘って、平坦化剤を有するスラリー(スラリーB、D、EおよびF)は、平坦化剤を有さないスラリー(スラリーAおよびスラリーC)と比較して、より良好なディッシングをもたらす。
【0079】
同様に、表2に示されているように、全ての種々のフィーチャサイズに亘って、平坦化剤を有するスラリー(スラリーB、D、EおよびF)は、平坦化剤を有さないスラリー(スラリーAおよびスラリーC)と比較して、より少ない腐食をもたらす。
【0080】
従って、これらのスラリーのデータから、平坦化剤の添加は、ダイ内均一性を向上させることができることが示されている。
【0081】
更には、これらのスラリーのデータから、湿潤剤の添加は、ダイ内均一性を向上させることができないことが示されている。
【0082】
例2
スラリーに用いられた化学薬品組成が、表3に示されている。スラリーH、I、JおよびKは、それらの中に平坦化剤を有しており、一方で、スラリーGは、その中に湿潤剤のみを有している。
【0083】
DI水が、組成物が100質量%となるように加えられた。これらのスラリーのpHは、約10であった。
【表3】
【0084】
これらのスラリーは、室温において、それぞれの成分について短い中断(数分間)を挟んで調製された。
【0085】
これらのスラリーは、これらのスラリーに酸化剤として1.0質量%過酸化水素が加えられた後に、研磨のために用いられた。
【0086】
MITレイアウトのCu/TEOSパターンウエハ上のディッシグおよび腐食についての研磨結果が、表4に示されている。
【表4】
【0087】
10×10μmは、MITレイアウトのCu/TEOSパターン上のフィーチャであり、10μmCuで10μmTEOSである。
【0088】
表4に示されているように、全ての種々のフィーチャサイズに亘って、平坦化剤を有するスラリー(スラリーH、I、JおよびK)は、平坦化剤を有さないスラリー(スラリーG)と比較して、より良好なディッシングをもたらす。
【0089】
同様に、表4に示されているように、全ての種々のフィーチャサイズに亘って、平坦化剤を有するスラリー(スラリーH、I、JおよびK)は、平坦化剤を有さないスラリー(スラリーG)と比較して、より少ない腐食をもたらす。
【0090】
従って、例2から、平坦化剤の添加は、ダイ内均一性を向上させることができることが示されている。
【0091】
例3
スラリーに用いられた化学薬品組成が、表5に示されている。スラリーM、N、OおよびPは、それらの中に平坦化剤を有しており、一方で、スラリーLは、その中に湿潤剤のみを有している。
【0092】
DI水が、組成物が100質量%となるように加えられた。これらのスラリーのpHは、約10であった。
【表5】
【0093】
これらのスラリーは、室温において、それぞれの成分について短い中断(数分間)を挟んで調製された。
【0094】
これらのスラリーは、これらのスラリーに酸化剤として1.0質量%過酸化水素が加えられた後に、研磨のために用いられた。
【0095】
MITレイアウトのCu/TEOSパターンウエハ上のディッシグおよび腐食についての研磨結果が、表6に示されている。
【表6】
【0096】
10×10μmは、MITレイアウトのCu/TEOSパターン上のフィーチャであり、10μmCuで10μmTEOSである。
【0097】
表4に示されているように、全ての種々のフィーチャサイズに亘って、平坦化剤を有するスラリー(スラリーM、N、OおよびP)は、平坦化剤を有さないスラリー(スラリーL)と比較して、より良好なディッシングをもたらす。
【0098】
同様に、表4に示されているように、全ての種々のフィーチャサイズに亘って、平坦化剤を有するスラリー(スラリーM、N、OおよびP)は、平坦化剤を有さないスラリー(スラリーL)と比較して、より少ない腐食をもたらす。
【0099】
従って、例3から、平坦化剤の添加は、ダイ内均一性を向上させることができることが示されている。
【0100】
例4
平坦化剤および湿潤剤のキャラクタリゼーション
湿潤剤と平坦化剤の間の差異を特徴付けるために、水晶マイクロバランス(QCM)が分子吸着を測定するのに用いられた。
【0101】
DI水で希釈された化学薬品が、表7に示すように調製された。
【0102】
この実験に用いられたセンサーは、両側に金電極を備えた直径14mmの酸化物を有するQSX303 SiO2であった。
【0103】
この実験は、合計時間が30分間(mins)で実施するように設定された。ポンプは、1mL/分の流量で運転するように設定された。DI水は、まさに最初の2分間、化学薬品がセンサーを同じ速度で5分間に亘って通過する前に、センサーを通過するように設定され、次いでDI水が、実験の残りの間センサーを通過するように設定された。
【表7】
【0104】
【0105】
図1に示されているように、化学薬品Bがより大きなΔFを伴って迅速な吸着を示し、一方で化学薬品AおよびCは比較的により小さなΔFを伴って遅い吸着を示した。
【0106】
いずれかの理論または解釈に拘束されることは望まないが、迅速な吸着は、暴露された誘電体表面への保護を提供し、それらの領域、特には高密度銅領域(すなわち、9×1μm)の腐食を低減させる、ことが信じられる。腐食を低減させることは、次いでWID-NUを向上させる。
【0107】
全ての3つの溶液は、DI水だけで完全にすすぎ落とされることが示された。
【0108】
化学薬品Bが、平坦化剤として用いられた。
【0109】
化学薬品AおよびCが、湿潤剤としてだけ用いられた。
【0110】
例5
平坦化剤および湿潤剤のキャラクタリゼーション
湿潤剤と平坦化剤の間の差異を特徴付けるために、水晶マイクロバランス(QCM)が用いられた。
【0111】
DI水で希釈された化学薬品が、表8に示されているように調製された。
【0112】
この実験に用いられたセンサーは、両側に金電極を備えた直径14mmの酸化物を有するQSX303 SiO2であった。
【0113】
この実験は、合計時間が20分間で実施するように設定された。ポンプは、1mL/分の流量で運転するように設定された。DI水は、まさに最初の2分間、化学薬品がセンサーを同じ速度で5分間に亘って通過する前に、センサーを通過するように設定され、次いでDI水は、実験の残りの間センサーを通過するように設定された。
【表8】
【0114】
【0115】
図2に示されているように、化学薬品H、KおよびNがより大きなΔFを伴って迅速な吸着を示し、一方で化学薬品Gは比較的により小さなΔFを伴って遅い吸着を示した。
【0116】
迅速な吸着は、暴露された誘電体表面への保護を提供し、それらの領域、特には高密度銅領域(すなわち、9×1μm)の腐食を低減させる。腐食を低減させることは、次いでWID-NUを向上させる。
【0117】
全ての3つの溶液は、DI水だけで完全にすすぎ落とされることが示された。
【0118】
化学薬品H、KおよびNが、平坦化剤として用いられた。
【0119】
化学薬品Gが、湿潤剤としてだけに用いられた。
【0120】
前述の例および態様の説明は、特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではなく、説明するものとして受け取られなければならない。容易に理解されるように、上記の特徴の多くの変更および組み合わせが、特許請求の範囲に規定した本発明から解離することなく用いられることができる。そのような変更は、添付の特許請求の範囲の範囲に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】