(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(54)【発明の名称】低ディッシングの、銅の化学機械平坦化
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20221117BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20221117BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20221117BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20221117BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
B24B37/00 H
B24B37/12 D
H01L21/304 622D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519754
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020053000
(87)【国際公開番号】W WO2021067151
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ケー-ユアン リー
(72)【発明者】
【氏名】ミン シー ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】ルン-チェ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユアン ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ローラ エム.マッツ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CA01
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5F057AA09
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5F057EA16
5F057EA17
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5F057EA25
(57)【要約】
銅の化学機械平坦化(CMP)研磨の配合物、方法及びシステムが開示される。CMP研磨配合物は、特定の形態及び平均粒子サイズ(100nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下又は20nm以下)を有する研磨粒子、少なくとも2つ又はそれより多くのアミノ酸、酸化剤、腐食抑制剤及び水を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、高純度コロイダルシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイダルアルミナ、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、表面修飾又は格子ドープされた無機酸化物粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、マイカ、ケイ酸アルミニウム水和物及びそれらの組み合わせからなる群から選択される研磨粒子、
少なくとも2つのアミノ酸、
酸化剤、
腐食抑制剤、及び
液体キャリア
を含み、2~12のpHを有し、かつ前記研磨粒子が3~50nm、3~40nm、4~30nm又は5~20nmの平均粒子サイズを有する、銅の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項2】
前記研磨粒子が、0.0001~2.5wt%、0.0005~1.0wt%、0.001~0.5wt%、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%の範囲である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項3】
前記研磨粒子が、40nm以下、30nm以下又は20nm以下の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項4】
前記研磨粒子が、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%の範囲である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項5】
前記少なくとも2つのアミノ酸が、アミノ酢酸(グリシン)、セリン、リシン、グルタミン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、イミノ酢酸、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、サルコシン、ビシン、トリシン、プロリン及びそれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立に選択され;前記スラリーにおいて使用される1つのアミノ酸:別のアミノ酸の重量濃度の比が、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、25:75~75:25、30:70~70:30、40:60~60:40又は50:50である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項6】
前記少なくとも2つのアミノ酸のそれぞれのアミノ酸が、0.01wt%~20.0wt%、0.1wt%~15.0wt%又は0.5wt%~10.0wt%の範囲である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項7】
前記酸化剤が、過酸化水素、二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、臭素酸塩、次亜塩素酸カルシウム、硫酸セリウム、塩素酸塩、三酸化クロム、三酸化鉄、塩化鉄、ヨウ素酸塩、ヨウ素、過塩素酸マグネシウム、二酸化マグネシウム、硝酸塩、過ヨウ素酸、過マンガン酸、二クロム酸カリウム、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸塩、過酢酸、尿素-過酸化水素、過塩素酸、過酸化ジ-t-ブチル、モノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;前記酸化剤が0.1wt%~20wt%又は0.25wt%~5wt%の範囲である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項8】
前記腐食抑制剤が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、ベンゾイミダゾール、5-アミノトリアゾール、ベンゾチアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール及びトリアジントリチオールからなる群から選択される窒素環状化合物;イソシアヌレート並びにそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項9】
前記酸化剤が、重量で0.1ppm~20000ppm、重量で20ppm~10000ppm又は重量で50ppm~1000ppmの範囲である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項10】
5~1000ppm、10~500ppm又は10~100ppmの、コリン塩、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される平坦化効率向上剤をさらに含む、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項11】
5~1000ppm、10~500ppm又は10~100ppmの、重炭酸2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化コリン、p-トルエン-スルホン酸コリン、重酒石酸コリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される平坦化効率向上剤をさらに含む、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項12】
0.0001~1.0wt%、0.0005~0.5wt%又は0.001~0.3wt%の、フェニルエトキシレート、アセチレンジオール、硫酸塩、スルホン酸塩、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート、ポリソルベート界面活性剤、非イオン性アルキルエトキシレート、グリセロールプロポキシレート-ブロック-エトキシレート、酸化アミン、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、エトキシレートアルコール、エトキシレート-プロポキシレート、ポリエーテル消泡分散体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つを含有する界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項13】
0.0001~1.0wt%、0.0005~0.5wt%又は0.001~0.3wt%の、フェニルエトキシレートと、アセチレンジオールと、エトキシレート-プロポキシレートと、ポリエーテルと、ドデシル硫酸アンモニウム、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム塩、硫酸直鎖アルキルベンゼンからなる群から選択される硫酸塩又はスルホン酸塩と、それらの組み合わせとからなる群から選択される1つを含有する界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項14】
pH調節剤、殺生物剤、分散剤及び湿潤剤からなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項15】
30nm以下又は20nm以下のMPSを有する0.001~0.5wt%、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%のコロイダルシリカ;少なくとも2つのアミノ酸であって、それぞれが、アミノ酢酸(グリシン)、アラニン、ビシン及びサルコシンからなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸;過酸化水素;1,2,4-トリアゾール又は5-アミノトリアゾール;水、を含み;pHが4~9又は6~8である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項16】
30nm以下又は20nm以下のMPSを有する0.001~0.5wt%、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%のコロイダルシリカ;少なくとも2つのアミノ酸であって、それぞれが、アミノ酢酸(グリシン)、アラニン、ビシン及びサルコシンからなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸;過酸化水素;1,2,4-トリアゾール又は5-アミノトリアゾール;10~500ppm又は10~100ppmのエチレンジアミン、重炭酸(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム又はそれらの組み合わせ;水、を含み;pHが4~9又は6~8である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項17】
30nm以下又は20nm以下のMPSを有する0.001~0.5wt%、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%のコロイダルシリカ;少なくとも2つのアミノ酸であって、それぞれが、アミノ酢酸(グリシン)、アラニン、ビシン及びサルコシンからなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸;過酸化水素;1,2,4-トリアゾール又は5-アミノトリアゾール;10~500ppm又は10~100ppmのエチレンジアミン、重炭酸(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム又はそれらの組み合わせ;フェニルエトキシレートと、アセチレンジオールと、エトキシレート-プロポキシレートと、ポリエーテルと、ドデシル硫酸アンモニウム、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム塩、硫酸直鎖アルキルベンゼンからなる群から選択される硫酸塩又はスルホン酸塩と、それらの組み合わせとからなる群から選択される1つを含有する0.0005~0.5wt%、0.001~0.3wt%の界面活性剤;水、を含み;pHが4~9又は6~8である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物。
【請求項18】
銅を含有する半導体基材を化学機械平坦化研磨する方法であって、
銅を含有する表面を有する半導体基材を提供する工程;
研磨パッドを提供する工程;
請求項1~17のいずれか1項に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物を提供する工程;
前記半導体基材の前記表面を、前記研磨パッド及び前記化学機械平坦化(CMP)研磨配合物と接触させる工程;並びに
前記半導体の前記表面を研磨する工程
を含み、前記銅を含有する表面の少なくとも一部が、前記研磨パッド及び前記化学機械平坦化(CMP)研磨配合物の両方と接触する、方法。
【請求項19】
化学機械平坦化研磨のシステムであって、
銅を含有する表面を有する半導体基材;
研磨パッドを提供すること;
請求項1~17のいずれか1項に記載の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物を提供すること
を含み、前記銅を含有する表面の少なくとも一部が、前記研磨パッド及び前記化学機械平坦化(CMP)研磨配合物の両方と接触する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月30日に提出された米国仮出願62/907917号に対する優先権を主張するものであり、その全体の内容は、参照によって、全ての許容される目的のために、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、半導体ウエハの化学機械平坦化(CMP)に関する。より具体的には、本発明は、銅(Cu)含有基材のCMPのために使用される低ディッシング配合物に関する。CMP研磨配合物、CMP研磨組成物又はCMP研磨スラリーは、本発明において相互交換可能である。
【背景技術】
【0003】
銅は、その低い抵抗、高い信頼性及びスケーラビリティのために、集積電子装置の製造において使用される、金属の相互接続のために選択される現行の材料である。銅の化学機械研磨プロセスは、埋め込まれたトレンチ構造から銅の余剰(overburden)を除去し、一方で、少ない金属の損失で全体的な平坦化を達成することを必要とする。
【0004】
アドバンスドテクノロジー・ノードを進めるにつれて、金属のディッシング及び金属の損失を減少させる要求が、ますます重要なものになる。新規の研磨配合物は、高い除去速度、バリア材料に対する高い選択性及び少ない欠陥をも維持しなければならない。
【0005】
銅のCMPのためのCMP研磨配合物は、先行技術において、例えば米国特許出願公開第2004/0175942号明細書、米国特許第6773476号、8236695号及び9978609号明細書において開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アドバンスドテクノロジー・ノードのために、低ディッシング及び高い除去速度の困難な要求を満たすように開発された、バルクの銅のCMP研磨配合物を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、本発明は、銅の化学機械平坦化(CMP)研磨配合物であって、
研磨粒子、
少なくとも2つのアミノ酸、
酸化剤、
腐食抑制剤、及び
液体キャリア
を含む配合物を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、銅を含有する半導体基材を化学機械平坦化研磨する方法であって、
銅を含有する表面を有する半導体基材を提供する工程、
研磨パッドを提供する工程、
化学機械平坦化(CMP)研磨配合物であって、
研磨粒子、
少なくとも2つのアミノ酸、
酸化剤
腐食抑制剤、及び
液体キャリア
を含む配合物を提供する工程、
半導体基材の表面を、研磨パッド及び化学機械平坦化(CMP)研磨配合物と接触させる工程、並びに
半導体の表面を研磨する工程
を含み、銅を含有する表面の少なくとも一部が、研磨パッド及び化学機械平坦化(CMP)研磨配合物の両方と接触する、方法を提供する。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、化学機械平坦化研磨のシステムであって、
銅を含有する表面を有する半導体基材、
研磨パッドを提供すること、
化学機械平坦化(CMP)研磨配合物であって、
研磨粒子、
少なくとも2つのアミノ酸、
酸化剤、
腐食抑制剤、及び
液体キャリア
を含む配合物を提供すること
を含み、銅を含有する表面の少なくとも一部が、研磨パッド及び化学機械平坦化(CMP)研磨配合物の両方と接触する、システムを提供する。
【0010】
研磨粒子は、以下に限定するものではないが、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、高純度コロイダルシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイダルアルミナ、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、表面修飾又は格子ドープされた無機酸化物粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、マイカ、ケイ酸アルミニウム水和物及びそれらの混合物を含む。研磨粒子の濃度は、0.0001~2.5wt%、0.0005~1.0wt%、0.001~0.5wt%、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%であってよい。
【0011】
研磨粒子は、約2nm~160nm、2nm~100nm、2nm~80nm、2~60nm、3~50nm、3~40nm、4nm~30nm又は5~20nmの平均粒子サイズを有する。
【0012】
あるいは、研磨粒子は、100nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下又は20nm以下の平均粒子サイズを有する。
【0013】
誘導体を含む種々のアミノ酸は、アミン及びカルボン酸官能基を含有する有機化合物である。さらなる官能基が、アミノ酸の構造中に存在してもよい。以下に限定するものではないが、アミノ酢酸(グリシンとしても知られている)、セリン、リシン、グルタミン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、イミノ酢酸、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、サルコシン、ビシン、トリシン、プロリン及びそれらの混合物、を含むアミノ酸を、組成物において使用することができる。アミノ酸の好ましい組み合わせは、グリシン(アミノ酢酸)、アラニン、ビシン及びサルコシンを含む。
【0014】
それぞれのアミノ酸の濃度は、約0.01wt%~約20.0wt%、0.1wt%~約15.0wt%又は0.5wt%~10.0wt%である。
【0015】
スラリーにおいて使用される1つのアミノ酸:別のアミノ酸の重量パーセントの比は、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、25:75~75:25、30:70~70:30、40:60~60:40又は50:50の範囲である。
【0016】
腐食抑制剤は、以下に限定するものではないが、窒素環状化合物、例えば1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール及びベンゾイミダゾールを含む。ベンゾチアゾール、例えば2,1,3-ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール及びトリアジントリチオールも、使用することができる。好ましい抑制剤は、1,2,4-トリアゾール、5アミノトリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール及びイソシアヌレート化合物、例えば1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである。
【0017】
腐食抑制剤は、重量で約0.1ppm~約20000ppm、好ましくは重量で約20ppm~約10000ppm、より好ましくは重量で約50ppm~約1000ppmの範囲の濃度レベルで組み込まれる。
【0018】
酸化剤は、以下に限定するものではないが、過酸化水素、二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、臭素酸塩、次亜塩素酸カルシウム、硫酸セリウム、塩素酸塩、三酸化クロム、三酸化鉄、塩化鉄、ヨウ素酸塩、ヨウ素、過塩素酸マグネシウム、二酸化マグネシウム、硝酸塩、過ヨウ素酸、過マンガン酸、二クロム酸カリウム、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸塩、過酢酸、尿素-過酸化水素、過塩素酸、過酸化ジ-t-ブチル、モノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩及びそれらの組み合わせを含む。
【0019】
酸化剤は、約0.1wt%~約20wt%、好ましくは約0.25wt%~約5wt%の濃度を有する。
【0020】
CMP研磨配合物は、平坦化効率向上剤をさらに含む。平坦化効率向上剤は、平坦化を向上するために、例えば種々の銅配線及び/又は特徴の間のディッシングを改善するために使用される。それは、以下に限定するものではないが、コリン塩;例えば重炭酸2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化コリン、p-トルエン-スルホン酸コリン、重酒石酸コリン、及びコリンと他のアニオン性の対イオンとの間で形成される全ての他の塩;有機アミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、同じ分子骨格中に複数のアミノ基を含有する有機アミン化合物;並びにそれらの組み合わせ、を含む。
【0021】
平坦化効率向上剤は、5~1000ppm、10~500ppm又は10~100ppmの濃度を有する。
【0022】
CMP研磨配合物は、以下に限定するものではないが、フェニルエトキシレート界面活性剤、アセチレンジオール界面活性剤、硫酸塩又はスルホン酸塩界面活性剤、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート、ポリソルベート界面活性剤、非イオン性アルキルエトキシレート界面活性剤、グリセロールプロポキシレート-ブロック-エトキシレート、酸化アミン界面活性剤、グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、エトキシレートアルコール、エトキシレート-プロポキシレート界面活性剤、ポリエーテル消泡分散体、及び他の界面活性剤、を含む界面活性剤を、さらに含む。
【0023】
界面活性剤の濃度は、0.0001~1.0wt%、0.0005~0.5wt%又は0.001~0.3wt%であってよい。
【0024】
液体キャリアは、以下に限定するものではないが、脱イオン(DI)水、極性溶媒、及びDI水と極性溶媒との混合物を含む。極性溶媒は、任意のアルコール、エーテル、ケトン又は他の極性試剤であってよい。極性溶媒の例は、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、エーテル、例えばテトラヒドロフラン及びジエチルエーテル、並びにケトン、例えばアセトン、を含む。有利には、水は、脱イオン(DI)水である。
【0025】
CMP研磨配合物は、pH調節剤、殺生物剤又は生物保存剤、分散剤及び湿潤剤からなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む。
【0026】
研磨配合物は、2~12、3~10、4~9又は6~8のpHを有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
アドバンスドテクノロジー・ノードのために開発された、バルクの銅のCMP研磨配合物が本発明において開示される。配合物は、改善されたディッシング性能を示した。
【0028】
配合物は、研磨粒子、2つ又はそれより多くのアミノ酸、酸化剤、銅腐食抑制剤及び液体キャリアを含む。
【0029】
重量%又はwt%は、配合物又は組成物の合計の重量に対するものである。重量で百万分率、重量でppm、又は単にppmが使用される。重量で1000ppm又は1000ppm=0.1wt%である。
【0030】
一般に、広範の研磨粒子を使用することができる。以下に限定するものではないが、溶液成長プロセス、粗鉱の採掘、あるサイズへの研削、及び急速熱分解、を含む種々の製造及び処理技術を通じて、粒子を得ることができる。材料は、一般に製造者によって供給されるように、組成物中に組み込むことができる。特定の種類の研磨粒子は、組成物中で、研磨材料よりも高い濃度で使用される。しかし、CMPスラリーにおいて従来は研磨剤として使用されていなかった他の研磨粒子も、有利な結果を得るために使用することができる。
【0031】
例示的な研磨粒子は、本発明のスラリーの使用条件の下で不活性である、種々の無機及び有機材料を含む。
【0032】
研磨粒子は、以下に限定するものではないが、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、高純度コロイダルシリカ、ヒュームドアルミナ、コロイダルアルミナ、酸化セリウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、表面修飾又は格子ドープされた無機酸化物粒子、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、マイカ、ケイ酸アルミニウム水和物及びそれらの混合物を含む。
【0033】
研磨粒子は、約2nm~160nm、2nm~100nm、2nm~80nm、2~60nm、3~50nm、3~40nm、4nm~30nm又は5~20nmの平均粒子サイズを有する。
【0034】
あるいは、研磨粒子は、100nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下又は20nm以下の平均粒子サイズを有する。
【0035】
平均粒子サイズは、ディスク遠心(DC)によって測定される。
【0036】
粒子は、種々の物理的な形態で、例えば、以下に限定するものではないが、プレートレット、フラクタルアグリゲート、繭及び球型で存在してよい。
【0037】
好ましい研磨粒子は、コロイダルシリカである。非常に低いレベルの微量金属不純物を有するコロイダルシリカが、さらに好ましい。
【0038】
高純度コロイダルシリカの例として、日本のFuso Chemical Companyから購入することができるものがある。高純度コロイダルシリカ粒子は、約6nm~約180nmの平均粒子サイズを有し、球、繭又はアグリゲートの形状を有する。高純度コロイダルシリカ粒子は、官能基によって修飾された表面を有してもよい。
【0039】
異なる粒子サイズ及び種類のコロイダルシリカ粒子の混合物を使用して、改善された性能をもたらすこともできる。
【0040】
研磨粒子の濃度は、0.0001~2.5wt%、0.0005~1.0wt%、0.001~0.5wt%、0.005~0.5wt%又は0.01~0.25wt%であってよい。
【0041】
配合物は、キレート剤として、少なくとも2つのアミノ酸を含む。
【0042】
種々のアミノ酸及び誘導体(本発明においてアミノ酸ともいわれる)を、CMP研磨配合物の調製において使用することができる。
【0043】
アミノは、アミン及びカルボン酸官能基を含有する有機化合物として定義される。さらなる官能基が、アミノ酸構造中に存在してもよい。
【0044】
以下に限定するものではないが、アミノ酢酸(グリシンとしても知られている)、セリン、リシン、グルタミン、L-アラニン、DL-アラニン、ベータ-アラニン、イミノ酢酸、アスパラギン、アスパラギン酸、バリン、サルコシン、ビシン、トリシン、プロリン及びそれらの混合物、を含むアミノ酸を、配合物において使用することができる。
【0045】
アミノ酸の好ましい組み合わせは、グリシン(アミノ酢酸)、アラニン、ビシン及びサルコシンを含む。
【0046】
配合物中のアミノ酸の存在は、CMPプロセスの間の銅の除去の速度に影響を与えることが分かっている。しかし、増加したアミノ酸のレベルは、銅のエッチング速度を上昇させ、これは望ましいことではない。従って、銅の除去の速度とエッチング速度との間の許容可能なバランスを達成するように、濃度レベルが調節される。
【0047】
典型的には、それぞれのアミノ酸の濃度は、約0.01wt%~約20.0wt%、0.1wt%~約15.0wt%又は0.5wt%~約10.0wt%である。
【0048】
スラリーにおいて使用される1つのアミノ酸:別のアミノ酸の重量パーセントの比は、1:99~99:1、10:90~90:10、20:80~80:20、25:75~75:25、30:70~70:30、40:60~60:40又は50:50の範囲である。
【0049】
配合物は、CMPプロセスの間の金属腐食及びエッチングを限定するための腐食抑制剤を含んでよい。腐食抑制剤は、物理吸着又は化学吸着のいずれかによって、金属表面に保護膜を形成する。従って、腐食抑制剤は、CMPプロセスの間のエッチング及び腐食の効果から銅表面を保護するように機能する。
【0050】
腐食抑制剤は、以下に限定するものではないが、窒素環状化合物、例えば1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、5-アミノトリアゾール及びベンゾイミダゾールを含む。ベンゾチアゾール、例えば2,1,3-ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール及びトリアジントリチオールも、使用することができる。好ましい抑制剤は、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール及び5-アミノトリアゾールである。
【0051】
腐食抑制剤は、重量で約0.1ppm~約20000ppm、好ましくは重量で約20ppm~約10000ppm、より好ましくは重量で約50ppm~約1000ppmの範囲の濃度レベルで組み込まれる。
【0052】
酸化剤は、酸化の機能を担うものであり、ウエハ表面上の銅の、CuOH、Cu(OH)2、Cuo又はCu2Oのいずれかの銅水和物化合物への変換をもたらす。
【0053】
酸化剤は、以下に限定するものではないが、過酸化水素、二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、臭素酸塩、次亜塩素酸カルシウム、硫酸セリウム、塩素酸塩、三酸化クロム、三酸化鉄、塩化鉄、ヨウ素酸塩、ヨウ素、過塩素酸マグネシウム、二酸化マグネシウム、硝酸塩、過ヨウ素酸、過マンガン酸、二クロム酸カリウム、フェリシアン化カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸カリウム、ビスマス酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二クロム酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸塩、過酢酸、尿素-過酸化水素、過塩素酸、過酸化ジ-t-ブチル、モノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩及びそれらの組み合わせを含む。
【0054】
好ましくは、酸化剤は、使用のときに、又はその少し前に、現場で、配合物に組み込まれる。他の構成成分を組み合わせるときに酸化剤を組み込むこともできるが、より長期間の貯蔵条件に対して、形成された配合物の安定性を考慮しなければならない。
【0055】
酸化剤は、約0.1wt%~約20wt%、好ましくは約0.25wt%~約5wt%の濃度を有する。
【0056】
CMP研磨配合物は、平坦化効率向上剤をさらに含む。平坦化効率向上剤は、平坦化を向上するために、例えば種々の銅配線及び/又は特徴の間のディッシングを改善するために使用される。それは、以下に限定するものではないが、コリン塩;例えば重炭酸2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化コリン、p-トルエン-スルホン酸コリン、重酒石酸コリン、及びコリンと他のアニオン性の対イオンとの間で形成される全ての他の塩;有機アミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、同じ分子骨格中に複数のアミノ基を含有する有機アミン化合物;並びにそれらの組み合わせ、を含む。
【0057】
平坦化効率向上剤は、5~1000ppm、10~500ppm又は10~100ppmの濃度を有する。
【0058】
界面活性剤は、これらの配合物に添加されるとき、ディッシング及び欠陥を減少させるのに有用な影響を有することも分かっている。界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性又は双性イオン性であってよい。
【0059】
界面活性剤の例は、以下に限定するものではないが、フェニルエトキシレート型の界面活性剤、例えばDow ChemicalsのNonidetTMP40(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)、及びアセチレンジオール界面活性剤、例えばEvonik IndustriesのDynolTM607、DynolTM800、DynolTM810、DynolTM960、DynolTM980、SurfynolTM104E、Surfynol(登録商標)465、Surfynol(登録商標)485、Surfynol(登録商標)PSA 336、Surfynol(登録商標)FS85、Surfynol(登録商標)SE、Surfynol(登録商標)SE-F;アニオン性有機界面活性剤、例えば硫酸塩又はスルホン酸塩界面活性剤;例えばドデシル硫酸アンモニウム(ADS)、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム塩又は硫酸直鎖アルキルベンゼン;グリセロールプロポキシレート;グリセロールエトキシレート;ポリソルベート界面活性剤、例えばBASFのTween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60、Tween(登録商標)80;非イオン性アルキルエトキシレート型界面活性剤、例えばCrodaのBrijTMLA-4;グリセロールプロポキシレート-ブロック-エトキシレート;酸化アミン界面活性剤、例えばEvonik InsustriesのTomamine(登録商標)AO-455及びTomamamine AO(登録商標)-405;グリコール酸エトキシレートオレイルエーテル界面活性剤;ポリエチレングリコール;酸化ポリエチレン;エトキシレートアルコール、例えばEvonik IndustriesのTomadol(登録商標)23-6.5、Tomadol(登録商標)91-8、Carbowet(登録商標)13-40;エトキシレート-プロポキシレート界面活性剤、例えばDow ChemicalのTergitolTMMinfoam 1X、TergitolTMMinfoam 2X;ポリエーテル消泡分散剤、例えばPPG IndustriesのDF204;並びに他の界面活性剤、を含む。
【0060】
効果的にCu配線のディッシングを減少させるための好ましい界面活性剤は、フェニルエトキシレート(例えばNonidetTMP40)、アセチレンジオール界面活性剤(例えばSurfynol(登録商標)104E、Dynol(登録商標)607、Dyno(登録商標)800、Dynol(登録商標)810)、エトキシレート-プロポキシレート界面活性剤、例えばTergitol Minfoam 1X、ポリエーテル分散体(例えばDF204);アニオン性有機硫酸塩/スルホン酸塩界面活性剤、例えばドデシル硫酸アンモニウム(ADS)、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム塩又は硫酸直鎖アルキルベンゼン、を含む。
【0061】
界面活性剤の濃度は、0.0001~1.0wt%、0.0005~0.5wt%又は0.001~0.3wt%であってよい。
【0062】
配合物は、他の任意選択の添加剤、例えば殺生物剤又は生物保存剤、分散剤、湿潤剤、pH調節剤なども含んでよい。
【0063】
CMP研磨配合物は、貯蔵の間にバクテリア及び菌の成長を妨げるための殺生物剤、すなわち生物成長抑制剤又は保存剤、を含んでよい。生物成長抑制剤は、以下に限定するものではないが、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム及び水酸化アルキルベンジルジメチルアンモニウム(アルキル鎖は1~約20炭素原子)、亜塩素酸ナトリウム並びに次亜塩素酸ナトリウムを含む。商業的に入手可能な保存剤の幾つかは、Dow ChemicalsのKATHONTM(例えばKathon II)及びNEOLENETM製品ファミリー、LanxessのPreventolTMを含む。米国特許第5230833号明細書(Rombergerら)及び米国特許出願公開第2002/0025762号明細書に、さらなるものが開示されている。それらの内容は、参照によって、それらの全体が規定されたのと同じように、本明細書に組み込まれる。
【0064】
pH調節剤の例は、以下に限定するものではないが、(a)研磨配合物のpHを低下させるための硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、種々のポリカルボン酸、及びそれらの組み合わせ;並びに(b)研磨配合物のpHを上昇させるための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニア、水酸化セシウム、水酸化第四級有機アンモニウム(例えば水酸化テトラメチルアンモニウム)、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、修飾されたポリエチレンイミン、及びそれらの組み合わせを含み;約0wt%~3wt%、好ましくは0.001wt%~1wt%、より好ましくは0.01wt%~0.5wt%の量でpH調節剤を含む。
【0065】
研磨配合物は、2~12、3~10、4~9又は6~8のpHを有する。
【0066】
分散剤を使用して、粒子のコロイダル安定性を改善することができる。分散剤は、界面活性剤及びポリマーを含んでよい。分散剤の例は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸を含む。
【0067】
配合物の残りは、液体構成成分の主要部分を占める液体キャリアである。
【0068】
液体キャリアは、以下に限定するものではないが、脱イオン(DI)水、極性溶媒、及びDI水と極性溶媒との混合物を含む。極性溶媒は、任意のアルコール、エーテル、ケトン又は他の極性試剤であってよい。極性溶媒の例は、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、エーテル、例えばテトラヒドロフラン及びジエチルエーテル、並びにケトン、例えばアセトン、を含む。有利には、水は、脱イオン(DI)水である。
【0069】
配合物は、船舶輸送及び取り扱いに関連するコストを減少させるために、濃縮された形態で製造されて、研磨のときにDI水で希釈されてもよい。希釈物は、1部のスラリー濃縮物:0部の水~1部のスラリー濃縮物:1000部の水、1部のスラリー濃縮物:3部の水~1部のスラリー濃縮物:100部の水、又は1部のスラリー濃縮物:5部の水~1部のスラリー濃縮物:50部の水であってよい。
【0070】
本発明の配合物は、銅相互接続配線でパターニングされたウエハを研磨して、高い銅の除去速度及びさらに低いディッシングをもたらすために使用される。
【0071】
一般に、銅CMPは、3つの工程で行われる。第一の工程において、バルクの銅が、高い除去速度を有する研磨条件で、パターニングされたウエハから除去され、平坦化された表面が形成される。第二の工程において、より制御された研磨が行われて、残りの銅を除去して、ディッシングを減少させ、次いでバリア層で停止する。第三の工程は、バリア層の除去を含む。本発明の配合物は、上記の工程1及び2において使用することができる。工程1において、より大きいダウンフォース又はテーブル速度を使用して、高い除去速度で銅を研磨し、銅CMPの工程2については、より小さいダウンフォース又はより低いテーブル速度を使用することができる。典型的には、第一の工程の研磨は、2.5psi以上のダウンフォースで行われる。第二の工程の研磨は、1.5psi以下のダウンフォースで行われる。ウエハ製造のために許容可能な処理量を得るように、銅の除去速度は高いことが望ましい。好ましくは、第二の工程のCMPのために望まれるCMP除去速度は、少なくとも3000Å/min、より好ましくは4000Å/min以上である。第一の工程について、所望の除去速度は、6000Å/minである。
【0072】
本発明の配合物は、バリア又は研磨停止層に対して、高い選択性で銅を研磨することができる。銅とバリア層との間の、好ましい除去速度選択性は、50超である。これらの配合物は、以下に限定するものではないがTa、TaN、Ti、TiN、Co、Ruを含むあり得るバリア/研磨停止層の範囲とともに、相互接続材料として銅又は銅ベースの合金を使用する種々の統合スキームにおいて、使用することができる。
【0073】
本発明は、下の例によってさらに例示される。
【実施例】
【0074】
一般的な実験手順
銅から構成される基材の化学機械平坦化のための先述のスラリーの使用に伴って、関連する方法が本明細書において説明される。
【0075】
方法において、基材(例えば銅表面を有するウエハ)が、CMP研磨機の回転可能なプラテンに固定して取り付けられた研磨パッド上に下向きに配置される。このようにして、研磨及び平坦化される基材は、研磨パッドと直接接触して配置される。ウエハ運搬システム又は研磨ヘッドを使用して、ある位置に基材を保持し、プラテン及び基材が回転されている間で、CMP処理の間に、基材の後ろ側に対して下向きの圧力を適用する。研磨配合物は、(たいていは連続的に)CMP処理の間にパッド上に適用されて、材料の除去に影響を与えて、基材を平坦化する。
【0076】
本明細書において説明される研磨スラリー及び関連する方法は、ほとんどの基材を含む広範の基材のCMPのために有効であり、銅基材を研磨するために特に有用である。
【0077】
下に提供される例において、CMP実験を、以下に与える手順及び実験条件を使用して行った。
【0078】
例において使用したCMPツールは、Applied Materials、3050 Boweres Avenue、Santa Clara、California、95054、が製造したReflexion(登録商標)LKである。
【0079】
93RPMのテーブル速度、300mL/minのスラリー流量で、Dow ChemicalsのVP9280(登録商標)に対して研磨を行った。除去速度のデータのために、電界めっきした銅ウエハを研磨のために使用した。Ta/TaNバリア層を有するTEOS誘電体中で、Cu配線でパターニングしたウエハMI754に対して、ディッシングデータを得た。パターニングしたウエハの研磨は、研磨の第一の工程として、75秒間の2.5psiのダウンフォース、次いで所定の研磨の終点までの1.5psiでの研磨を含んでいた。所定の終点は、Reflexion(登録商標)LKにおける光学終点技術によって検出した場合に、全ての銅の余剰がパターニングしたウエハ表面から取り除かれたときである。形状測定技術を使用して、ディッシングの測定を行った。
【0080】
研磨粒子は、約15nm~160nmの平均粒子サイズ(MPS)を有するコロイダルシリカであり、以下の会社:Nalco Water、An Ecolab Company、1601 W Diehl Rd、Naperville、IL 60563、USA;Fuso Chemical CO.,Ltd.、Ogura Bldg.6-6、Nihonbashi-kobuna-cho、Chuo-ku、Tokyo、103-00、Japan;及びJSG Catalysts and Chemicals Ltd.、16th Floor、Solid Square East Tower、580 Horikawa-cho、Saiwai-ku、Kawasaki City、Kanagawa 212-0013 Japan、から供給された。
【0081】
実施例
例1
表1に示されるCMP研磨配合物は、全て、腐食抑制剤として416ppmの1,2,4-トリアゾール、833ppmのコロイダルシリカ(平均粒子サイズ(MPS)は約15nm~160nm);約40ppmのエチレンジアミン、重炭酸(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、又はエチレンジアミンと重炭酸(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムの組み合わせ、1wt%の過酸化水素、5.5wt%のグリシン、9.5wt%のアラニン、及び水を含んでいた。
【0082】
全ての例における全ての配合物についてのpHは、7.20~7.30である。
表1
【表1】
【0083】
配合物についてのディッシング性能を、大きい及び高いパターン密度の銅配線特徴100/100μm及び9/1μmについて観察した。結果を表2に記載した。
【0084】
表2に示されるように、高い除去速度を提供する一方で、比較的小さいMPSを有する研磨粒子についてのディッシング性能は、比較的大きいサイズを有する研磨粒子についてのディッシング性能よりも、かなり良好であることは明らかである。
表2
【表2】
【0085】
ドデシル硫酸アンモニウム(ADS)(80~250nm)を、比較的小さい研磨剤MPSを有するCMP研磨配合物に添加すると、研磨性能はさらに改善した。
【0086】
例2
表3に示されるCMP研磨配合物は、全て、腐食抑制剤として416ppmの1,2,4-トリアゾール、約15nmのMPSを有する833ppmのコロイダルシリカ(Fuso Chemical CO);約40ppmのエチレンジアミン、重炭酸(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、又はエチレンジアミンと重炭酸(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムの組み合わせ、1wt%の過酸化水素、5.5wt%のグリシン、9.5wt%のアラニン、及び水を含んでいた。
【0087】
全ての例における全ての配合物についてのpHは、7.20~7.30である。
【0088】
配合物11は、表面修飾のない、球状の形状を有するコロイダルシリカ粒子(Fuso BS-1L)を使用した。
【0089】
配合物12(Fuso BS-1L-C)は、カチオンアミン基による表面修飾を伴った、球状の形状を有するコロイダルシリカ粒子を使用した。
【0090】
配合物13(Fuso BS-1L-D)及び14(Fuso PL-1L-D)は、アニオンスルホン酸基による表面修飾を伴った、球状の形状を有するコロイダルシリカ粒子を使用した。
【0091】
2.5及び1.5psiのダウンフォースにおけるCuの除去速度、及び配合物のディッシング性能を、大きい及び高いパターン密度の銅配線特徴100/100μm及び9/1μmについて観察した。結果を表3に記載した。
表3
【表3】
【0092】
表3に示されるように、表面修飾のない、カチオン表面修飾した、及びアニオン表面修飾した、小さいMPSを有する研磨剤は、大きい及び/又は高いパターン密度の銅特徴/配線におけるディッシング減少を、非常に類似したレベルにした。
【0093】
約4nm~約30nmのMPSの研磨粒子を含む配合物は、30nm~200nmのMPSの研磨粒子を含む配合物と同程度の除去速度を提供し、さらに、Cu配線のディッシングの有意な減少をもたらした。
【0094】
実施例を含む、上記の本発明の実施形態は、本発明を構成し得る多くの実施態様のうち例示的なものである。多くの他の構成のプロセスを使用することができ、プロセスにおいて使用される材料は、具体的に開示された材料以外の多くの材料から選択することができることが理解される。
【国際調査報告】