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特表2022-549593錯化剤を含む、スズ-銀合金電気めっきするための組成物
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  • 特表-錯化剤を含む、スズ-銀合金電気めっきするための組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(54)【発明の名称】錯化剤を含む、スズ-銀合金電気めっきするための組成物
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/60 20060101AFI20221118BHJP
   C25D 3/56 20060101ALI20221118BHJP
   C25D 3/64 20060101ALI20221118BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20221118BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C25D3/60
C25D3/56 E
C25D3/64
C25D7/00 J
C25D7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516317
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2020075080
(87)【国際公開番号】W WO2021052817
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】19197517.6
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フリューゲル,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クットナー,エリザベート
(72)【発明者】
【氏名】クレムツォヴ-グラヴ,ドリス
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルハルト,ナディネ
(72)【発明者】
【氏名】カシェル,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4K023
4K024
【Fターム(参考)】
4K023AB34
4K023AB40
4K023BA06
4K023BA07
4K023BA13
4K023BA15
4K023BA21
4K023BA29
4K023CA04
4K023CB03
4K023CB07
4K023CB08
4K023CB13
4K023CB21
4K023CB28
4K023CB32
4K023DA02
4K023DA06
4K023DA07
4K023DA08
4K024AA21
4K024AA24
4K024AB01
4K024BA01
4K024BA09
4K024BA12
4K024BA15
4K024BB09
4K024BB10
4K024BB11
4K024BB12
4K024BB13
4K024CA01
4K024CA02
4K024CA03
4K024CA04
4K024CA06
4K024CB12
4K024GA02
4K024GA16
(57)【要約】
(a)スズイオンおよび銀イオンを含むまたはこれらからなる金属イオンと、(b)式C11
C12-XC11-RC11 (C11)
[式中、
C11は、
(a)
(i)1個のN原子、または
(ii)第1のN原子、ならびにNおよびSから選択される第2のヘテロ原子(第1のN原子と第2のヘテロ原子は、少なくとも1個のC原子によって分離されている)、または
(iii)トリアゾールもしくはチアジアゾール
を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基、
(b)二価の6員芳香族炭素環式基、
(c)1個のN原子ならびに任意にNおよびOから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員脂肪族N-複素環式基
から選択され、これらはすべて、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14で置換されていてもよく、
C11は、
(a)-XC12-S[-XC13-DC11-RC13
【化1】
から選択され、
C12は、RC11、XC11-RC11、H、OH、NRC14 、C~C10アルキル、およびC~C10アルコキシから選択され、
C12は、化学結合、または非置換であってももしくはOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状もしくは環状C~Cアルカンジイルであり、但し(a)XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基であり、かつ(b)RC13が1個のOHで置換されており、かつ(c)RC12がRC11でない場合、XC12は化学結合であり、
C13は、非置換であってもまたはOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルカンジイルであり、
C14は、化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイルであり、
C11は、SおよびOから選択され、
C13は、(a)非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキル、(b)XC11が芳香族炭素環式基でない場合、Ph、XC14-Ph(Ph=フェニル)、および(c)C~Cポリオキシアルキレン基から選択され、但し、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であるかまたは1個のOHで置換されており、例外として、XC11が、第1のN原子およびNから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であり、
C14は、Hおよび直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキルから選択され、
nは、0または1~5の整数である]
の少なくとも1種の錯化剤およびその塩とを含む水性組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スズイオンおよび銀イオンを含むまたはこれらからなる金属イオンと、(b)式C11
C12-XC11-RC11 (C11)
[式中、
C11は、
(a)
(i)1個のN原子、または
(ii)第1のN原子、ならびにNおよびSから選択される第2のヘテロ原子(第1のN原子と第2のヘテロ原子は、少なくとも1個のC原子によって分離されている)、または
(iii)トリアゾールもしくはチアジアゾール
を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基、
(b)二価の6員芳香族炭素環式基、
(c)1個のN原子ならびに任意にNおよびOから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員の脂肪族N-複素環式基
から選択され、これらはすべて、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14で置換されていてもよく、
C11は、
(a)-XC12-S[-XC13-DC11-RC13
【化1】
から選択され、
C12は、RC11、XC11-RC11、H、OH、NRC14 、C~C10アルキル、およびC~C10アルコキシから選択され、
C12は、化学結合、または非置換であってももしくはOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状もしくは環状C~Cアルカンジイルであり、但し(a)XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基であり、かつ(b)RC13が1個のOHで置換されており、かつ(c)RC12がRC11でない場合、XC12は化学結合であり、
C13は、非置換であってもまたはOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルカンジイルであり、
C14は、化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイルであり、
C11は、SおよびOから選択され、
C13は、(a)非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキル、(b)XC11が芳香族炭素環式基でない場合、OHまたはRC14で置換されていてもよいPhまたはXC14-Ph(Ph=フェニル)、および(c)C~Cポリオキシアルキレン基から選択され、但し、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であるかまたは1個のOHで置換されており、例外として、XC11が、第1のN原子およびNから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であり、
C14は、Hおよび直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキルから選択され、
nは、0または1~5の整数である]
の少なくとも1種の錯化剤およびその塩とを含む、水性組成物。
【請求項2】
C11が、-XC12-S-[XC13-DC11-RC13である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
C12が、化学結合、または非置換であってももしくはOHで置換されていてもよい直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイルであり、但し、(a)XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基であり、かつ(b)RC13が1個のOHで置換されており、かつ(c)RC12がRC11でない場合、XC12は化学結合である、請求項2に記載の水性組成物。
【請求項4】
nが1または2、好ましくは1であり、DC11がSであり、XC13が、非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状または分岐状C~Cアルカンジイルである、請求項2または3に記載の水性組成物。
【請求項5】
C13が、(a)非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状または分岐状C~Cアルキル、(b)XC11が芳香族炭素環式基でない場合、OH、メチルまたはエチルで置換されていてもよいフェニルまたはベンジル、および(c)ポリオキシエチレンまたはポリ(オキシエチレン-co-オキシプロピレン)から選択され、但し、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であるかまたは1個のOHで置換されており、例外として、XC11が、第1のN原子およびNから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換である、請求項2から4のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項6】
nが0または1である、請求項2から5のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項7】
C11が、
【化2】
[式中、XC14は化学結合、メタンジイル、エタンジイル、またはプロパンジイルであり、RC14はH、メチル、エチルまたはプロピルである]
である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項8】
C11が、非置換であってもまたは1個もしくは複数のメチル、エチルもしくはプロピルで置換されていてもよい、ピロール、ピリジン、イミダゾール、チアゾール、ピリミジン、またはチアゾールから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項9】
C11が、非置換であってもまたは1個もしくは複数のメチル、エチルもしくはプロピルで置換されていてもよいフェニルから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項10】
C11が、非置換であってもまたは1個もしくは複数のメチル、エチルもしくはプロピルで置換されていてもよい、ピペリジン、ピロリジノンおよびモルホリンから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項11】
C12が、RC11、XC11-RC11、H、OH、NRC14 、C~C14アルキル、およびC~C14アルコキシから選択され、好ましくはRC11、XC11-RC11、H、OH、およびNHから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項12】
スズ銀合金を、開口サイズが500nm~500μmの形状部分を含む基板上に析出させるために、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性組成物を使用する方法。
【請求項13】
a)請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を基板と接触させ、
b)前記基板上にスズまたはスズ合金層を析出させるのに十分な時間、電流を前記基板に印加することによってスズ銀合金を前記基板上に電着させる、各工程を含み、
前記基板が、開口サイズが500nm~500μmの形状部分を含み、これらの形状部分を充填するように前記析出が行われる方法。
【請求項14】
前記開口サイズが1μm~200μmである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール、3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール、3-[[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール、2,6-ビス(2-エチル-スルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン、モルホリン-4-カルボジチオエートテトラメチルアンモニウム塩、ピペラジン-1,4-ジカルボジチオエートジテトラメチルアンモニウム塩、3-[[3-(2,3-ジヒドロキシ-プロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール、2-[2-(2-プロピルスルファニルエチル-スルファニル)エチル]ピリジン、2-[2-(2-メチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-(2-エチルスルファニル-エチルスルファニルメチル)-6-[6-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-2-ピリジル]ピリジン、2,6-ビス(2-メチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン、4-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]-モルホリン、2-[2-(2-イソプロピルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-(2-プロピルスルファニルエチル-スルファニルメチル)ピリジン、2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-1-メチル-エチル]チアゾール、2-[2-(2-ベンジルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-[2-(2-フェニルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、およびこれらの塩から選択される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錯化剤を含むスズ-銀合金電気めっき用組成物、それを使用する方法およびスズ-銀合金電気めっきの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属および金属合金は、特に電気接点、最終仕上げおよびはんだとして使用されることが多いエレクトロニクス産業において商用的に重要である。スズ、スズ-銀、スズ-銅、スズ-ビスマス、スズ-銀-銅、および他などの無鉛はんだは、はんだの中で使用される一般的な金属である。これらのはんだは、多くの場合、金属電気めっき浴の手段によって半導体基板上に析出(堆積)される。
【0003】
無鉛はんだめっきの特定の用途は、エレクトロニクス産業において課題を提示する。例えば、銅ピラー上のキャッピング層として使用される場合、比較的少量のスズまたはスズ-銀はんだなどの無鉛はんだが銅ピラーの上部に析出される。
【0004】
典型的なスズ-銀めっき溶液は、溶解したスズイオンおよび銀イオン、水、酸電解質(浴に導電性を付与するのに十分な量の硫酸またはメタンスルホン酸など)、酸化防止剤、ならびに表面粗さ、共平面性およびボイド形成の面でめっきの均一性および析出金属の品質を改善するための専売の添加剤を含む。このような添加剤は通常、銀を(a)スズと組み合わせて安定に溶解し、かつ(b)より卑なスズと並行して析出させるために、銀との複合体を形成できる錯化剤を含む。
【0005】
JP2007218952A、EP166347A、EP144990Aは、銀化合物と、1,8-ビス(2-ピリジル)-3,6-ジチアオクタンまたは1,11-ビス(2-ピリジル)-3,6,9-トリチアウンデカンのような窒素含有環系置換基を含む硫黄含有化合物と、を含む写真フィルムを開示している。
【0006】
JP2006206946Aは、とりわけ、式R-S-(CH-CH-S)-Rの化合物を含む銀めっき浴を開示している。浴は、プリント回路基板、半導体集積回路、抵抗器、可変抵抗器、蓄電器、フィルター、インダクター、サーミスター、水晶発振器、スイッチ、ワイヤーおよび他の電子部品上に銀を析出させるために使用することができる。
【0007】
US6607653B1は、特定の硫黄含有化合物を含むスズ-銅、スズ-銅-ビスマス、またはスズ-銅-銀合金を析出させるための組成物を開示している。数十種の化合物のうちの1個としては、1,10-ジ(2-ピリジル)-1,4,7,10-テトラチアデカンがありうる。
【0008】
US2012/138471A1およびEP2626449A2は、メルカプトピリジンのようなN-複素環チオール錯化剤を含むスズ-銀合金電気めっき組成物を開示している。
【0009】
WO2019/185468は、錯化剤を含むスズ-銀合金電気めっき組成物、それを使用する方法およびスズ-銀合金電気めっきの方法を開示している。錯化剤は、少なくともスペーサー基X21によって分離され、ここでもスペーサー基XおよびXによって分離される1個または2個のN原子を含む5または6員芳香族N-複素環式基によって終端される、少なくとも2個の硫黄原子を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】JP2007218952A
【特許文献2】EP166347A
【特許文献3】EP144990A
【特許文献4】JP2006206946A
【特許文献5】US6607653B1
【特許文献6】US2012/138471A1
【特許文献7】EP2626449A2
【特許文献8】WO2019/185468
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、例えば、強力な着色または沈着の発生によって、深刻な劣化またはエージングを示すことなく長期間安定であり、かつ半導体基板上にスズ-銀合金を電着させることができる、スズ-銀電気めっき用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(a)スズイオンおよび銀イオンを含む金属イオンと、(b)式C11
C12-XC11-RC11 (C11)
[式中、
C11は、
(a)
(i)1個のN原子、または
(ii)第1のN原子、ならびにNおよびSから選択される第2のヘテロ原子(第1のN原子と第2のヘテロ原子は、少なくとも1個のC原子によって分離されている)、または
(iii)トリアゾールもしくはチアジアゾール
を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基、
(b)二価の6員芳香族炭素環式基、
(c)1個のN原子ならびに任意にNおよびOから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員の脂肪族N-複素環式基
から選択され、これらはすべて、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14で置換されていてもよく、
C11は、(a)-XC12-S[-XC13-DC11-RC13
【0013】
【化1】
から選択され、
C12は、RC11、XC11-RC11、H、OH、NRC14 、C~C10アルキル、およびC~C10アルコキシから選択され、
C12は、化学結合、または非置換であってももしくはOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状もしくは環状C~Cアルカンジイルであり、但しXC11が(a)二価の5または6員芳香族N-複素環式基であり、かつ(b)RC13が1個のOHで置換されており、かつ(c)RC12がRC11でない場合、XC12は化学結合であり、
C13は、非置換であってもまたはOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルカンジイルであり、
C14は、化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイルであり、
C11は、SおよびOから選択され、
C13は、(a)非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキル、(b)XC11が芳香族炭素環式基でない場合、Ph、XC14-Ph(Ph=フェニル)、および(c)C~Cポリオキシアルキレン基から選択され、但し、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であるかまたは1個のOHで置換されており、例外として、XC11が、第1のN原子およびNから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であり、
C14は、Hおよび直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキルから選択され、
nは、0または1~5の整数である]
の少なくとも1種の錯化剤およびその塩とを含む、水性組成物を提供する。
【0014】
錯化剤を活用して、めっき浴は、着色または析出を示すことなく長時間安定であり、半導体基板、特にスズ-銀合金はんだバンプ上にスズ-銀合金を電着させることができる。
【0015】
本発明はさらに、開口サイズが500nm~500μmの形状部分(feature)を含むスズ-銀合金を基板上に析出させるための本明細書に規定の組成物を含むスズ-銀合金めっき浴を使用する方法に関する。
【0016】
本発明はさらに、
a)本明細書に規定の組成物を基板と接触させ、
b)基板上にスズまたはスズ合金層を析出させるのに十分な時間、電流を基板に印加することによってスズ-銀合金層を基板上に析出させる、各工程を含み、
基板が、開口サイズが500nm~500μmの形態を含み、上述の形状部分を充填するように上述の析出が行われる方法に関する。
【0017】
本発明はさらに、3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピル-スルファニル)フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール、3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)-4-メチル-フェニル]-スルファニルプロパン-1,2-ジオール、3-[[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]-プロパン-1,2-ジオール、2,6-ビス(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン、モルホリン-4-カルボ-ジチオエートテトラメチルアンモニウム塩、ピペラジン-1,4-ジカルボジチオエートジテトラメチルアンモニウム塩、3-[[3-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール、2-[2-(2-プロピルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-[2-(2-メチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-6-[6-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-2-ピリジル]ピリジン、2,6-ビス(2-メチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン、4-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]-モルホリン、2-[2-(2-イソプロピルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-(2-プロピルスルファニルエチル-スルファニルメチル)ピリジン、2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-1-メチル-エチル]チアゾール、2-[2-(2-ベンジルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジンおよび2-[2-(2-フェニルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、ならびにこれらの塩から選択される錯化剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】比較例3.1によって電気めっきされたスズバンプのSEM画像である。
図2】実施例3.2によって電気めっきされたスズバンプのSEM画像である。
図3】実施例3.3によって電気めっきされたスズバンプのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による錯化剤
下記の少なくとも1種の錯化剤を含む、本発明によるスズ-銀合金電気めっきするための組成物は、着色や沈着を生ずることなく長期間安定であり、スズ-銀合金を半導体基板、特にスズ-銀合金はんだバンプ上に電着させることができることが発見された。ここで長期間の安定性は、少なくとも6カ月の期間にわたって安定である浴を意味する。
【0020】
スズイオンおよび銀イオン以外にも、本発明による水性組成物(好ましくは水溶液)は、式C11
C12-XC11-RC11 (C11)
の少なくとも1種の錯化剤化合物およびその塩を含む。
【0021】
式C11中、
C11は、
(a)
(i)1個のN原子、または
(ii)第1の原子、ならびにNおよびSから選択される第2のヘテロ原子(第1のN原子と第2のヘテロ原子は、少なくとも1個のC原子によって分離される)、または
(iii)トリアゾールもしくはチアジアゾール
を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基、
(b)二価の6員芳香族炭素環式基、
(c)第1のN原子ならびに任意にNおよびOから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員脂肪族N-複素環式基
(これらすべては、非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14で置換されていてもよい)
から選択され、
C11は、(a)-XC12-S[-XC13-DC11-RC13
【0022】
【化2】
から選択され、
C12は、RC11、XC11-RC11、H、OH、NRC14 、C~C10アルキル、およびC~C10アルコキシから選択され、
C12は、化学結合、または非置換であってももしくはOHによって置換されていてもよい直鎖状、分岐状もしくは環状C~Cアルカンジイルであり、但し、XC11が(a)二価の5または6員芳香族N-複素環式基であり、(b)RC13が1個のOHで置換されており、かつ(c)RC12がRC11でない場合、XC12は化学結合であり、
C13は、直鎖状、分岐状または環状C~Cアルカンジイル、好ましくは直鎖状または分岐状C~Cアルカンジイルであり、非置換であってもまたはOHで置換されていてもよく、好ましくは非置換であり、
C14は、化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイル、好ましくは化学結合、メタンジイル、エタンジイル、1,2-または1,3-プロパンジイルであり、
C11は、SおよびOから選択され、好ましくはSであり、
C13は、(a)非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキル、(b)XC11が芳香族炭素環式基でない場合、Ph、XC14-Ph(Ph=フェニル)、および(c)C~Cポリオキシアルキレン基から選択され、但し、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であるかまたは1個のOHで置換されており、例外として、XC11が、第1のN原子およびNから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13は非置換であり、
C14は、Hおよび直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキルから、好ましくはHおよび直鎖状または分岐状C~Cアルキル、最も好ましくはH、メチル、エチル、1-プロピルまたは2-プロピルから選択され、
nは、0または1~5の整数、好ましくは0、1または2、最も好ましくは0または1である。
【0023】
本質的に、このような錯化剤は、1個または2個の硫黄含有基RC11が結合している炭素環式または複素環式部分XC11を含む。
【0024】
本明細書中で用いられる場合、「化学結合」は、各部分が存在しないが、隣接する部分は、これらの隣接部分の間に直接化学結合を形成するように架橋される。例として、X-Y-Z中、Y部分が化学結合である場合、隣接部分XおよびZは共にX-Z基を形成する。
【0025】
炭素環式または複素環式基XC11
第1の実施形態において、二価の環状部分XC11は、非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい5または6員芳香族N-複素環式基であってもよい。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、「5または6員」は、環それ自体が、5個または6個の炭素原子またはヘテロ原子を含むが、一方で置換基が含まれないことを意味する。
【0027】
第1の実施形態の第1の代替形態において、この複素環式芳香族部分XC11は、1個のN原子を有してもよい。5員N-複素環式基の例としては、非限定的にピロールが挙げられる。6員のN-複素環式基の例としては、非限定的にピリジンが挙げられる。これらすべては、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい。
【0028】
第1の実施形態の第2の代替形態において、この環状部分XC11は、第1のN原子ならびにNおよびSから選択される第2のヘテロ原子を有してもよく、第1のN原子と第2のヘテロ原子は、少なくとも1個のC原子によって分離されている。5員N-複素環式基の例としては、非限定的に、イミダゾール、チアゾール、またはイソチアゾールが挙げられる。6員N-複素環式基の例としては、非限定的に、ピリミジンまたはピラジンが挙げられる。これらはすべて、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい。
【0029】
第1の実施形態の第3の代替形態において、この複素環式芳香族部分XC11は、トリアゾールまたはチアジアゾールであってもよい。これらはすべて、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい。
【0030】
第2の実施形態において、環状部分XC11は、非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい二価の6員芳香族炭素環式基であってもよい。このような芳香族炭素環式基は、これらに限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびヒドロキシベンゼンであってもよい。
【0031】
第3の実施形態において、環状部分XC11は、第1のN原子ならびに任意にNおよびOから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員脂肪族N-複素環式基であってもよく、これは非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよいい。
【0032】
第1の代替形態において、このような二価の5または6員脂肪族N-複素環式基は、これらに限定されないがピロリジンまたはピペリジンなどの環系中に組み込まれる1個のN原子のみを有していてもよく、これは好ましくはN位でRC11により置換されている。
【0033】
第2の代替形態において、このような二価の5または6員脂肪族N-複素環式基は、これらに限定されないがイミダゾリジンおよびピペラジンなどの環系中に組み込まれる2個のN原子を有していてもよく、これは非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい。
【0034】
第3の代替形態において、このような二価の5または6員脂肪族N-複素環式基は、環系中に組み込まれる1個のN原子および環系中に組み込まれるまたは環系に結合される1個のO原子を有していてもよい。O原子が環系中に組み込まれる場合、エーテル基を形成し、それに結合される場合、C=O基でありうる。5員複素環式基の例としては、非限定的に、N-ピロリドン、N-オキサゾリジン、スクシンイミド、およびN-ヒドロキシスクシンイミドが挙げられる。N-ピロリドンが好ましい。6員複素環式基の例としては、非限定的に、N-モルホリンが挙げられる。これらはすべて、非置換であってもよく、または1個もしくは複数のOHまたは1個もしくは複数のRC14、特にメチル、エチルまたはプロピルで置換されていてもよい。
【0035】
硫黄含有基RC11
第1の実施形態において、一価の硫黄含有基RC11は、式-XC12-S-[XC13-DC11-RC13から選択される。
【0036】
本明細書では、第1の二価スペーサー基XC12は、化学結合または直鎖状、分岐状もしくは環状C~Cアルカンジイル、好ましくは化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイル、最も好ましくは化学結合、メタンジイル、エタンジイルまたはプロパンジイルであってもよい。このようなアルキルは非置換であってもまたはOHで置換されていてもよい。本発明者らは、錯化剤のみが、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基であり、RC13が1個のOHで置換され、RC12はRC11ではない場合、XC12は化学結合でなければならない条件下でよく行われることを発見した。
【0037】
n>0の場合、さらなる二価のスペーサー基XC13が存在しうる。直鎖状または分岐状C~Cアルカンジイル、好ましくはC~Cアルキル、最も好ましくはメタンジイル、エタンジイルまたはプロパンジイルであってもよい。このようなアルキルは非置換であってもまたはOHで置換されていてもよい。
【0038】
n>0の場合、さらなるヘテロ原子DC11が存在しうる。このようなヘテロ原子Dは、1個もしくは複数のさらなる硫黄原子または1個もしくは複数の酸素原子であってもよい。
【0039】
第1の代替形態において、RC13は、非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキルであってもよい。好ましくは、RC13は、非置換であってもまたは1個もしくは複数のOHで置換されていてもよい直鎖状または分岐状C~Cアルキルであってもよい。最も好ましくは、RC13は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、2-ヒドロキシエチル、および2,3-ジヒドロキシプロピルから選択することができる。
【0040】
しかしながら、XC11が二価の5または6員芳香族N-複素環式基である場合、RC13が非置換であるか1個のOHのみで置換されていれば、錯化剤は適切に作用するだけであるが、例外として、XC11が、第1のN原子およびNから選択される第2のヘテロ原子を含む二価の5または6員芳香族N-複素環式基(すなわち、N-複素環式基が2個のN原子を含む)であれば、RC13は非置換である。
【0041】
さらに別の代替形態において、XC11が芳香族炭素環式基でない条件下で、RC13はPhまたはXC14-Phであってもよい。本明細書で使用される場合、Phはフェニルである。この条件が満たされない場合、錯化剤は要求性能を満たさない。この実施形態において、好ましい基RC13は、Ph、ヒドロキシフェニル、ベンジル、2-フェニルエチル、2-または3-フェニルプロピル、およびメチル化またはエチル化によって受けられるそれらの誘導体である。
【0042】
さらに別の代替形態において、RC13はC~Cポリオキシアルキレン基であってもよい。好ましくは、RC11は、式-(O-CH-CHRC15-OHの一価の基であり、式中、mは2~20、好ましくは2~10、最も好ましくは2~6の整数であってもよい。RC13は、この代替形態における1個または複数のアルキレンオキシドのポリアルコキシル化によって製造できるため、本明細書では「ポリアルキレンオキシド」または「ポリオキシアルキレン」基とも呼ばれる。RC15は、H、メチルまたはエチル、好ましくはHまたはメチル、より好ましくはHまたはHおよびメチルであってもよい。最も好ましいポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレンまたはポリ(オキシエチレン-co-オキシプロピレン)基である。ポリオキシエチレン基が特に好ましい。
【0043】
nが0である場合、硫黄含有基RC11は1個の硫黄原子のみを含む。nが1以上である場合、n個の数のさらなるヘテロ原子Dが存在する。好ましくは、nは、0または1~4の整数、より好ましくは0または1~3の整数、さらにより好ましくは0、1または2、最も好ましくは0または1である。
【0044】
別の代替形態において、RC13はHから選択してもよい。
【0045】
第2の実施形態において、硫黄含有基RC11は、
【0046】
【化3】
から選択される。
【0047】
本明細書において、RC14は、Hおよび直鎖状または分岐状C~Cアルキルから、好ましくはHおよび直鎖状または分岐状C~Cアルキルから、より好ましくはH、メチル、エチルまたはプロピルから選択してもよく、最も好ましくはHであってもよい。
【0048】
C14は、化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイル、好ましくは化学結合、またはメタンジイル、エタンジイル、1,2-もしくは1,3-プロパンジイル、最も好ましくは化学結合であってもよい。
【0049】
第3の実施形態において、硫黄含有基RC11は、
【0050】
【化4】
から選択される。
【0051】
本明細書において、XC14は、化学結合または直鎖状もしくは分岐状C~Cアルカンジイル、好ましくは化学結合、またはメタンジイル、エタンジイルもしくはプロパンジイル、最も好ましくは化学結合であってもよい。
【0052】
第2の基RC12
硫黄含有基RC11の他に、さらなる一価の基RC12が錯化剤中に存在する。
【0053】
第1の代替形態において、RC12はRC11であり、すなわち、基RC11から個別に選択されうる第2の硫黄含有基が存在する。第1の硫黄含有基および第2の硫黄含有基は同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一である。この代替形態において、第1の硫黄含有基および第2の硫黄含有基は、同じ部分XC11に直接結合されている。
【0054】
第2の代替形態において、RC12はXC11-RC11から選択され、すなわち、代替形態1と同様に、基RC11から個別に選択されうる第2の硫黄含有基が存在するが、第2の二価の複素環式基が、第1の二価の複素環式基XC11と第2の硫黄含有基との間に存在する。第2の二価の複素環式基と第1の硫黄含有基は同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一である。第1の二価の複素環式基XC11および第2の硫黄含有基を含むこのような化合物の典型的な非限定例としては、ビピリジルまたはビフェニル化合物が挙げられる。
【0055】
第3の代替形態において、RC12は、硫黄を含まない原子/基H、OH、NRC14 、直鎖状、分岐状または環状C~C10アルキル、および直鎖状、分岐状または環状C~C10アルコキシ基から選択される。これらの基を使用して、水溶液中の溶解度および表面相互作用などの特定の特性を所望レベルに調整することができる。この実施形態において、好ましい基RC12は、H、OH、NH、NH(CH)、N(NH、NH(C)、N(C)、直鎖状、分岐状または環状C~Cアルキル、および直鎖状、分岐状または環状C~Cアルコキシである。より好ましい基RC12は、H、OH、NH、直鎖状または分岐状C~Cアルキル、および直鎖状または分岐状C~Cアルコキシである。最も好ましいのは、H、OH、NH、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、メトキシ、エトキシ、および1-または2-プロポキシである。
【0056】
特に好ましい基RC12は、RC11、XC11-RC11、H、OH、およびNHから選択される。
【0057】
C11が-XC12-S-[XC13-DC11-RC13から選択される錯化剤の特に好ましい実施形態を表1~3に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
*数は、XC11中の置換基RC11およびRC12の位置を示す(H置換を除く)
【0062】
表1、2および3中の略語:Me=メチル/メタンジイル、Et=エチル/1,2-エタンジイル、Pr=1-プロピル/1,3-プロパンジイル、Et-OH=2-ヒドロキシエチル、Pr(OH)2=2,3-ジヒドロキシプロピル、i-Pr=2-プロピル/1,2-プロパンジイル、Ph=フェニル/フェニレン、OEt=オキシエチレン。
【0063】
最も好ましい錯化剤は、3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)フェニル]-スルファニルプロパン-1,2-ジオール、3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール、3-[[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール、2,6-ビス(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン、モルホリン-4-カルボジチオエートジテトラメチルアンモニウム塩、ピペラジン-1,4-ジカルボジチオエートジテトラメチルアンモニウム塩、3-[[3-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール、2-[2-(2-プロピルスルファニル-エチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-[2-(2-メチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-(2-エチルスルファニル-エチルスルファニルメチル)-6-[6-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-2-ピリジル]ピリジン、2,6-ビス(2-メチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン、4-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]モルホリン、2-[2-(2-イソプロピルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、2-(2-プロピルスルファニルエチルスルファニルメチル)-ピリジン、2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-1-メチル-エチル]チアゾール、2-[2-(2-ベンジルスルファニルエチル-スルファニル)エチル]ピリジン、および2-[2-(2-フェニルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン、ならびにこれらの塩から選択される。
【0064】
他の錯化剤
スズ銀合金電気めっき浴は、スズおよび/または組成物中に存在する他の任意の金属を錯化するための追加の錯化剤をさらに含有してもよい。典型的な他の錯化剤は、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオールである。
【0065】
他の典型的な錯化剤は、ポリオキシモノカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノカルボン酸、ラクトン化合物、およびこれらの塩である。
【0066】
他の錯化剤は、US7628903、JP4296358B2、EP0854206AおよびUS8980077B2に開示されるようなチオ尿素、チオールまたはチオエーテルなどの有機チオ化合物である。
【0067】
スズ合金浴は、本発明によるもの以外の他の錯化剤は含まないことが好ましい。
【0068】
典型的には、さまざまな他の添加剤を浴中で使用して、めっきしたスズ合金バンプに所望の表面仕上げを提供することができる。通常、複数の添加剤を使用し、各添加剤が所望の機能を形成する。有利には、電気めっき浴は、抑制剤(界面活性剤と呼ばれることも多い)、結晶微細化剤、酸化防止剤、およびこれらの混合物のうちの1種または複数をさらに含有してもよい。他の添加剤も、本電気めっき浴中で好適に使用することができる。
【0069】
抑制剤または界面活性剤
1種または複数の抑制剤(界面活性剤とも呼ばれる)が、スズ-銀合金めっき浴中に存在してもよい。
【0070】
任意の非イオン性界面活性剤を本組成物中で使用してもよい。典型的には、非イオン性界面活性剤は、200~100000、好ましくは500~50000、より好ましくは500~25000、さらにより好ましくは750~15000の平均分子量を有する。このような非イオン性界面活性剤は、典型的には、組成物の質量に対して1~10000ppm、好ましくは5~10000ppmの濃度で電解質組成物中に存在する。好ましいアルキレンオキシド化合物としては、これらに限定されないが少なくとも1個のヒドロキシ基および20個以下の炭素原子を有する有機化合物のアルキレンオキシド付加生成物および異なるアルキレンオキシドを低分子量のポリアミン化合物への付加によって生じる四官能性ポリエーテルなどのポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0071】
好ましいポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。このようなポリアルキレングリコールは、一般的に、さまざまな供給源から市販されており、さらに精製することなく使用することができる。1個または複数の末端水素がヒドロカルビル基に置き換えられたものであるキャップされたポリアルキレングリコールも好適に使用されうる。好適なポリアルキレングリコールの例としては、式R-O-(CXYCX’Y’O)R’のものであり、式中、RおよびR’は独立して、H、C~C20アルキル基およびC~C20アリール基から選択され、X、Y、X’およびY’はそれぞれ独立して、水素、メチル、エチルもしくはプロピルなどのアルキル、フェニルなどのアリール、またはベンジルなどのアラルキルから選択され、nは5~100,000の整数である。典型的には、X、Y、X’およびY’のうちの1個または複数は水素である。
【0072】
好適なEO/POコポリマーは一般的に、10:90~90:10、好ましくは10:90~80:20のEO:POの質量比を有する。このようなEO/POコポリマーは、好ましくは、750~15,000の平均分子量を有する。このようなEO/POコポリマーは、さまざまな供給源から入手可能であり、例えば、BASFから商品名「PLURONIC(登録商標)」で市販されているものがある。
【0073】
少なくとも1個のヒドロキシ基および20個以下の炭素原子を有する有機化合物の好適なアルキレンオキシド縮合生成物は、1~7個の炭素原子の脂肪族炭化水素を有するもの、アルキル部分中に6個以下の炭素を有する非置換の芳香族化合物またはアルキル化芳香族化合物、例えばUS5,174,887に開示されているものがある。脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。好適な芳香族化合物は、最大2個の芳香環を有するものである。芳香族アルコールは、エチレンオキシドで誘導体化される前に、最大20個の炭素原子を有する。このような脂肪族および芳香族アルコールは、例えば硫酸基またはスルホン酸基でさらに置換されていてもよい。
【0074】
好ましい界面活性剤は、式S1:
【化5】
のものである。
【0075】
式S1の化合物は、ポリアミン出発材料を1種または複数のC~Cアルキレンオキシドと反応させて各アミン系抑制剤を形成することによって製造することができる。
【0076】
一般的に、sは1~6の整数であってもよい。好ましくは、sは1~4の整数であり、最も好ましくは、sは1または2である。
【0077】
S1およびXS2は、ポリアミン出発材料中の二価のスペーサー基である。これらは、独立して、直鎖状または分岐状C~C12アルカンジイルから選択されうる。このようなアルカンジイルスペーサーは、非置換であるが、任意にOまたはSによって中断されていてもよい。XS1およびXS2は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一である。第1の好ましい実施形態において、XS1およびXS2は、C~Cアルカンジイル、より好ましくはC~Cアルカンジイル、最も好ましくはメタンジイル、エタンジイルまたはプロパンジイルである。第2の好ましい実施形態において、ヘテロ原子が存在し、XS1およびXS2は-(CHR41-[Q-(CHR41-であってもよく、式中、QはOまたはSから選択され、ここで、q+r・vは、スペーサー中のC原子の数である。特に好ましいのは、Q=Oおよびq=r=1または2のスペーサーである。
【0078】
S11は、式-(O-CH-CHRS41-ORS42の一価の基[式中、mは2~250、好ましくは3~120、最も好ましくは10~65の整数である]である。RS11は、1個または複数のアルキレンオキシドのポリアルコキシル化によって製造することができ、これは本明細書において「ポリアルキレンオキシド」または「ポリオキシアルキレン」とも呼ばれる。RS41は、Hおよび直鎖状または分岐状C~Cアルキルから、好ましくはHおよび直鎖状または分岐状C~Cアルキルから、より好ましくはH、メチル、エチルおよびn-プロピルから、最も好ましくはHまたはメチルから選択される。RS42は、Hおよびヒドロキシ、アルコキシまたはアルコキシカルボニルによって任意に置換されていてもよい直鎖状または分岐状C~C20アルキルから、好ましくはHおよび直鎖状または分岐状C~C10アルキルから、より好ましくはHおよびメチル、エチル、プロピルまたはブチルから選択され、最も好ましくはHである。
【0079】
一般的に、RS12、RS13、RS14は独立して、H、RS11およびRS40から、好ましくはRS11およびRS40から、最も好ましくはRS11から選択される。
【0080】
S40は、直鎖状または分岐状C~C20アルキルである。好ましくは、RS40は、C~C10アルキル、さらにより好ましくはC~Cアルキル、最も好ましくはメチル、エチルまたはプロピルである。
【0081】
S42は、ヒドロキシ、アルコキシまたはアルコキシカルボニルで任意に置換されていてもよい直鎖状または分岐状C~C20アルキルである。好ましくは、RS42は、非置換の直鎖状または分岐状C~C20アルキルである。
【0082】
一般的に、RS15は、H、RS11、RS40、および-XS4-N(RS21から選択され、式中、RS21は、RS11およびRS40から、好ましくはRS11から選択される。
【0083】
好ましい実施形態において、RS15は、RS11および-XS4-N(RS11から選択される。別の好ましい実施形態において、RS15は、RS40および-XS4-N(RS40から選択される。
【0084】
一実施形態において、XS4は、直鎖状または分岐状C~C12アルカンジイルである。好ましくは、XS4は、C~Cアルカンジイル、より好ましくはメタンジイル、エタンジイル、プロパンジイルまたはブタンジイル、最も好ましくはメタンジイルまたはエタンジイルである。
【0085】
別の実施形態において、XS4は、式-(O-CH-CHRS41-のC~Cポリオキシアルキレン基(以下、ポリアルキレンオキシド基とも呼ばれる)から選択される二価の基である。本明細書中、oは1~250、好ましくは2~120、最も好ましくは5~65の整数であってもよい。C~Cポリオキシアルキレン基は、1個または複数の対応する各アルキレンオキシドから製造することができる。好ましくは、少なくとも1個のC~Cポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン(エチレンオキシドから製造される)、ポリオキシプロピレン(プロピレンオキシドから製造される)、およびポリオキシブチレン(ブチレンオキシドから製造される)から選択される。より好ましくは、ポリオキシアルキレン基XS4は、エチレンオキシドと少なくとも1個のC~Cアルキレンオキシドとのコポリマーである。さらなるアルキレンオキシドは、好ましくは、プロピレンオキシドおよび1,2-ブチレンオキシドまたはこれらの任意の異性体から選択される。別の好ましい実施形態において、C~Cアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド(PO)から選択される。この場合、EO/POコポリマー側鎖が、出発分子から生成する。このようなエチレンオキシドと少なくとも1種のさらなるアルキレンオキシドとのコポリマーは、ランダム、ブロック、交互または他の任意の配列を有していてもよい。
【0086】
本明細書で使用される場合、「ランダム」は、コモノマーが混合物から重合され、したがって、その共重合パラメータに応じて統計的に配列されることを意味する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「ブロック」は、コモノマーが互いに続いて重合して、所定の順序で対応するコモノマーのブロックを形成することを意味する。例としては、EOおよびプロピレンオキシド(PO)コモノマーについてのこのようなブロックは、これらに限定されないが、-EO-PO、-PO-EO、-EO-PO-EO、-PO-EO-POなどでありうる。好ましいブロック型のアルキレンオキシドは、-PO-EO、および-EO-PO-EO[式中、xは2~300の範囲であり、yは2~300の範囲であり、zは2~300の範囲である]である。
【0088】
好ましい実施形態において、末端エチレンオキシドブロックを含むブロック-PO-EOまたは-EO-PO-EOコポリマーが使用されるが、ここで、PO単位は別のC~Cアルキレンオキシドに交換することができる。
【0089】
エチレンオキシド(EO)とさらなるC~Cアルキレンオキシドとのコポリマーが使用される場合、EO含有率は、一般的に3~95質量%であってもよい。好ましくは、EO含有率は、5~80質量%、より好ましくは5~60質量%、さらにより好ましくは50質量%未満、さらにより好ましくは40質量%未満、さらにより好ましくは5~40質量%、さらにより好ましくは5~30質量%、さらにより好ましくは6~25質量%、最も好ましくは8~20質量%である。
【0090】
一般的に、抑制剤の分子量Mは、約500~約30000g/mol、好ましくは2000~15000g/molであってもよい。一実施形態において、抑制剤の分子量Mは、約500~約8000g/mol、最も好ましくは約1500~約3500g/molである。別の実施形態において、抑制剤の分子量Mは、約5000~約20000g/mol、特に約6000~約15000g/molである。
【0091】
第1の好ましい実施形態において、式中、sが1、2または3、最も好ましくは1または2であり、RS12、RS13、RS14およびRS15が独立して、C~Cポリオキシアルキレン基RS11から選択される、式Iの化合物が使用される。このような化合物は、対称性ジアルキレントリアミン、トリアルキレンテトラミン、テトラアルキレンペンタミン、例えば、これらに限定されないが、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、メチルジエチレントリアミン、ジメチルトリエチレンテトラミンなどから出発して製造してもよい。
【0092】
第2の好ましい実施形態において、sが1、2または3、最も好ましくは1または2であり、RS12、RS13、RS14が独立して、C~Cポリオキシアルキレン基RS11から選択され、RS15がXS4-N(RS11から選択される、式Iの化合物が使用される。このようにして、より多くの分岐状ポリオキシアルキレン抑制剤が得られる。このような化合物は、分岐状アミン出発物質、例えば、これらに限定されないがトリスアミノエチルアミンなどから出発して製造してもよい。
【0093】
第3の好ましい実施形態において、nは1、2または3、最も好ましくは1または2であり、RS12、RS13およびRS14はC~Cポリオキシアルキレン基RS11から選択され、RS15は、RS40および-XS4-N(RS40から選択される。このようにして、ポリオキシアルキレン側鎖以外に1個または複数のアルキル置換基も含む直鎖状または分岐状抑制剤が得られる。このような化合物は、第2級アミノ基がアルキル置換された上記の直鎖状アミンから出発して、あるいは1個または複数のアミン基がアルキル置換された分岐状アミン(例えば、これらに限定されないがトリスアルキルアミノエチルアミンなど)から出発して製造することができる。
【0094】
第4の好ましい実施形態において、sは1、2または3、好ましくは1または2、最も好ましくは1であり、RS12はRS11から選択され、RS13およびRS14は、RS40から選択され、RS15はRS21から選択される。このような化合物は、対称性アルキル置換ジアルキレントリアミンまたはトリアルキレンテトラミン、例えば、これらに限定されないがN,N-ジメチルジエチレントリアミン、N,N,N-トリメチルジエチレントリアミンなどから出発して製造してもよい。
【0095】
第5の好ましい実施形態において、nは1、2または3、好ましくは1または2、最も好ましくは1であり、RS13はRS11から選択され、RS12およびRS14の少なくとも1個は、RS40から選択され、RS15はRS21から選択される。このような化合物は、非対称性ジアルキレントリアミンまたはトリアルキレンテトラミン、例えば、これらに限定されないが1-N-メチルジエチレントリアミン、1,3-N-ジメチルジエチレントリアミンなどから出発して製造してもよい。
【0096】
特に好ましい実施形態において、式Iの抑制剤は、以下のとおりのものである。
(a)XS1およびXS2は、エタンジイルまたはプロパンジイルであり、RS11、RS12、RS13、RS14およびRS15は、ポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-co-オキシプロピレンポリマーであり、
(b)XS1およびXS2は、エタンジイルまたはプロパンジイルであり、RS11、RS12、RS13およびRS14は、ポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-co-オキシプロピレンポリマーであり、RS15は、C~Cアルキルまたはポリオキシアルキレン置換C~Cアルキルであり、
(c)XS1およびXS2は、エタンジイルまたはプロパンジイルであり、RS11、RS12、RS13およびRS14は、ポリオキシアルキレン、特にオキシエチレン-co-オキシプロピレンポリマーであり、RS15は、ポリオキシアルキレンによってさらに置換されたC~Cアミン、特にオキシエチレン-co-オキシプロピレンポリマーである。
【0097】
レベラー
1種または複数のレベラーが、スズまたはスズ合金めっき浴中に存在していてもよい。
【0098】
レベラーのクラスとしては、式L1の構造単位を含む直鎖状または分岐状ポリイミダゾリウムがある。
【0099】
【化6】
【0100】
一般的に、RL1およびRL2は、H原子または1~20個の炭素原子を有する有機ラジカルであってもよい。ラジカルは、分岐状であっても非分岐状であってもよく、または、例えば、高分子イミダゾリウム化合物のさらなる架橋に寄与できる官能基を含む。好ましくは、RL1およびRL2はそれぞれ、互いに独立して、水素原子または1~6個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルである。最も好ましくは、RL1およびRL2は、H原子である。
【0101】
一般的に、RL3は、H原子または1~20個の炭素原子を有する有機ラジカルであってもよい。好ましくは、RL3は、H原子またはメチル、エチルもしくはプロピルである。最も好ましくは、RL3はH原子である。
【0102】
一般的に、XL1は、分岐によるイミダゾリウム化合物の連続を1個または複数含みうる、C~C20アルカンジイルから選択される直鎖状、分岐状または環状脂肪族ジラジカルであってもよい。
【0103】
本明細書で使用される場合、「分岐によるポリイミダゾリウム化合物の連続」は、対応するスペーサー基XL1が、ポリイミダゾール分岐が出発する基を1個または複数、好ましくは1個または2個含むことを意味する。好ましくは、XL1は、分岐によるポリイミダゾリウム化合物の連続を一切含まず、すなわち、ポリイミダゾリウム化合物は直鎖状ポリマーである。
【0104】
第1の実施形態において、XL1は、C~C14アルカンジイル、最も好ましくはC~C12アルカンジイルであり、これは非置換であってもORL4、NRL4 およびSで置換されていてもよく、ここで、RL4はC~Cアルキル基である。特定の実施形態において、XL1は、官能基を一切含まない純粋な炭化水素ラジカルである。
【0105】
特に好ましい基XL1は、直鎖状または分岐状ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、オクタンジイル、ノナンジイル、デカンジイル、ウンデカンジイルおよびドデカンジイルから選択され、これらは、非置換であってもORL4、NRL4で置換されていてもよい。特に好ましい基XL1は、直鎖状ブタンジイル、ヘキサンジイルおよびオクタンジイルから選択される。
【0106】
第2の実施形態において、基XL1は、次式の環状アルカンジイルであってもよい。
【0107】
【化7】
[式中、
L2は、独立して、OおよびNRL4から選択される1個または2個によって中断されうるC~Cアルカンジイルから選択され、
L3は、独立して、(a)化学結合または(b)OまたはNRL4によって中断されうるC~Cアルカンジイルから選択され、ここで、RL4はC~Cアルキル基である]
【0108】
L2またはXL3のいずれか、またはXL2およびXL3の両方は、分岐によるイミダゾリウム化合物の連続を1個または複数含んでもよく、好ましくは、Xのみが、このような分岐によるイミダゾリウム化合物の連続を含みうる。
【0109】
この第2の実施形態において、最も好ましくは、一方のXL2はメタンジイルから選択され、他方のXL2はプロパンジイルから選択される、または両方のXL2はエタンジイルから選択される。特に好ましいのは、イソホロンジアミン、ビスシクロヘキシルジアミノメタン、およびメチル-シクロヘキシル-ジアミン(MDACH)から選択される基XL1である。
【0110】
第3の実施形態において、XL1は、YL2-YL1-YL2から選択される(ヘテロ)アリールアルキルジラジカルであってもよい。本明細書中、YL1はC~C20アリール基であってもよく、YL2は独立して、直鎖状または分岐状C~Cアルカンジイルから選択してもよい。また、ここで、YL1およびYL2の両方は、分岐によるイミダゾリウム化合物の連続を1個または複数含んでもよい。
【0111】
好ましい基YL1は、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、およびフラニルから選択され、最も好ましくはフェニルである。好ましい基YL2は、直鎖状または分岐状C~Cアルカンジイルから、好ましくはメタンジイル、エタンジイル、1,3-プロパンジイルおよび1,4-ブタンジイルから選択される。
【0112】
有機ラジカルXL1は、炭素および水素だけでなく、酸素、窒素、硫黄またはハロゲンなどのヘテロ原子も含んでよく、例えば、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、芳香族複素環、第1級、第2級もしくは第3級アミノ基またはイミノ基などの官能基の形態であってもよい。
【0113】
特に、有機ラジカルXL1は、ヘテロ原子を含む官能基、特にエーテル基で置換または中断されていてもよい炭化水素ジラジカルであってもよい。置換されている場合、XL1はヒドロキシル基を一切含まないことが好ましい。
【0114】
Iは一般的に、2~約5000、好ましくは約5~約3000、さらにより好ましくは約8~約1000、さらにより好ましくは約10~約300、さらにより好ましくは約15~約250、最も好ましくは約25~約150の整数であってもよい。
【0115】
添加剤の質量平均分子量Mは一般的に、500g/mol~1,000,000g/mol、好ましくは1000g/mol~500,000g/mol、より好ましくは1500g/mol~100,000g/mol、さらにより好ましくは2,000g/mol~50,000g/mol、さらにより好ましくは3,000g/mol~40,000g/mol、最も好ましくは5,000g/mol~25,000g/molであってもよい。
【0116】
好ましくは、少なくとも1種の添加剤は、対イオンYo-を含み、式中、oは、添加剤全体が電気的に中性になるように選択される正の整数である。好ましくは、oは1、2または3である。最も好ましくは、対イオンYo-は、塩化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩または酢酸塩から選択される。
【0117】
好ましくは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される、高分子イミダゾリウム化合物の数平均分子量Mは、500g/mol超である。
【0118】
好ましくは、高分子イミダゾリウム化合物は、80質量%超の式L1の構造単位を含んでもよい。
【0119】
さらなる詳細および代替形態は、公開されていない欧州特許出願第17173987.3号、特許公開WO2016/020216および国際公開特許出願第PCT/EP2017/050054にそれぞれ記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
他の好適なレベリング剤としては、これらに限定されないが、ポリアミノアミドおよびその誘導体、ポリアルカノールアミンおよびその誘導体、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、ポリ尿素、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロルヒドリンとの反応生成物、アミンとエピクロルヒドリンとポリアルキレンオキシドとの反応生成物、アミンとポリエポキシド、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドンまたはこれらのコポリマーとの反応生成物、ニグロシン、ペンタメチル-パラ-ローザニリン水素ハロゲン化物、ヘキサメチル-パラローザニリン水素ハロゲン化物、または式N-R-Sの官能基を含有する化合物(式中、Rは、置換アルキル、非置換アルキル、置換アリールまたは非置換アリールである)が挙げられる。典型的には、アルキル基は、C~Cアルキル、好ましくはC~Cアルキルである。一般的に、アリール基は、C~C20アリール、好ましくはC~C12アリールを含む。このようなアリール基は、硫黄、窒素および酸素などのヘテロ原子をさらに含んでもよい。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましい。式N-R-Sの官能基を含有する化合物は、一般的に公知であり、一般的に市販されており、さらに精製することなく使用することができる。
【0121】
このようなN-R-S官能基を含有する化合物において、硫黄(「S」)および/または窒素(「N」)は、単結合または二重結合によってこのような化合物に結合されていてもよい。硫黄が単結合によってこのような化合物に結合されているとき、硫黄は、これらに限定されないが、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C20アリール、C~C12アルキルチオ、C~C12アルケニルチオ、C~C20アリールチオなどの別の置換基を有するであろう。同様に、窒素は、これらに限定されないが、水素、C~C12アルキル、C~C12アルケニル、C~C10アリールなどの1個または複数の置換基を有するであろう。N-R-S官能基は、非環式であっても環式であってもよい。環状N-R-S官能基を含有する化合物は、窒素もしくは硫黄のいずれか、または窒素と硫黄の両方を環系内に有するものを含む。
【0122】
さらなるレベリング剤は、未公開の国際特許出願第PCT/EP2009/066581に記載のトリエタノールアミン縮合物である。
【0123】
一般的に、電気めっき浴中のレベリング剤の総量は、めっき浴の総質量に対して0.5ppm~10000ppmである。本発明によるレベリング剤は典型的には、より多量またはより少量が使用されることもあるが、めっき浴の総質量に対して約100ppm~約10000ppmの総量で使用される。
【0124】
結晶微細化剤
スズまたはスズ合金電気めっき浴は、結晶微細化剤をさらに含有してもよい。結晶微細化剤は、式G1またはG2の化合物から選択することができる。
【0125】
【化8】
[式中、各Rは、独立してC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、ヒドロキシ、またはハロゲンであり、RおよびRは、独立して、HおよびC~Cアルキルから選択され、Rは、H、OH、C~CアルキルまたはC~Cアルコキシであり、mは0~2の整数であり、各Rは独立して、C~Cアルキルであり、各Rは独立して、H、OH、C~CアルキルまたはC~Cアルコキシから選択され、nは1または2であり、pは0、1または2である]
【0126】
好ましくは、各Rは独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、またはヒドロキシ、より好ましくはC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、またはヒドロキシである。RおよびRは独立して、HおよびC~Cアルキル、より好ましくはHおよびメチルから選択される。好ましくは、Rは、H、OH、C~CアルキルまたはC~Cアルコキシ、より好ましくはH、OHまたはC~Cアルキルである。Rは、C~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキルであることが好ましい。各Rは、好ましくは、H、OH、またはC~Cアルキル、より好ましくはH、OHまたはC~Cアルキル、さらにより好ましくはHまたはOHから選択される。mは0または1であることが好ましく、より好ましくは、mは0である。好ましくは、nは1である。pは0または1であることが好ましく、より好ましくは、pは0である。式1の2種の異なる結晶微細化剤、式2の2種の異なる結晶微細化剤、または式1の血漿成長抑制剤と式2の結晶微細化剤との混合物など、第1の結晶微細化剤の混合物を使用してもよい。
【0127】
このような結晶微細化剤として有用な例示的化合物としては、これらに限定されないが、ケイ皮酸、シンナムアルデヒド、ベンザルアセトン、ピコリン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジンカルボキシアルデヒド、ピリジンジカルボキシアルデヒド、またはこれらの混合物が挙げられる。好ましい結晶微細化剤としては、ベンザルアセトン、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンジルピリジン-3-カルボキシレート、および1,10-フェナントロリンが挙げられる。
【0128】
さらなる結晶微細化剤は、α,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物から選択することができる。好適なα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物としては、これらに限定されないが、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和アミド、およびα,β-不飽和アルデヒドが挙げられる。好ましくは、このような結晶微細化剤は、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、およびα,β-不飽和アルデヒド、より好ましくはα,β-不飽和カルボン酸およびα,β-不飽和アルデヒドから選択される。例示的なα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、C~Cアルキルメタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C~Cアルキルクロトネート、クロトンアミド、クロトンアルデヒド、(メタ)アクロレイン、またはこれらの混合物が挙げられる。好ましいα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、クロトンアルデヒド、(メタ)アクリルアルデヒド、またはこれらの混合物である。
【0129】
一実施形態において、結晶微細化剤は、0.0001~0.045g/lの量でめっき浴中に存在してもよい。好ましくは、結晶微細化剤は、0.0001~0.04g/l、より好ましくは0.0001~0.035g/l、さらにより好ましくは0.0001~0.03g/lの量で存在する。第1の結晶微細化剤として有用な化合物は一般的に、さまざまな供給源から市販されており、そのままで使用してもよく、またはさらに精製してもよい。
【0130】
別のより好ましい実施形態において、スズまたはスズ合金を電気めっきするための組成物は、1種の結晶微細化剤、より好ましくはα,β-不飽和脂肪族カルボニル化合物ではない1種の結晶微細化剤を含み、最も好ましくは本質的に結晶微細化剤を含まない、または全く結晶微細化剤を含まない。驚くべきことに、特に50μm未満の開口サイズを有する凹状と特性を満たすために、いずれの結晶微細化剤も使用する必要がないが、抑制剤が、結晶微細化剤を一切使用せずに良好な共平面性をもたらすことが発見された。
【0131】
本組成物は、酸化防止剤、有機溶媒、錯化剤、およびこれらの混合物などのさらなる添加剤を任意に含んでもよい。
【0132】
酸化防止剤
酸化防止剤を本組成物に任意で添加して、スズを溶解性の二価の状態に維持するのを助けることができる。1種または複数の酸化防止剤を本組成物中に使用することが好ましい。例示的な酸化防止剤としては、これらに限定されないが、ヒドロキノン、水酸化および/またはアルコキシル化芳香族化合物(このような芳香族化合物のスルホン酸誘導体を含む)が挙げられ、好ましくは、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸、1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸、1,4-ジヒドロキシベンゼン-2-スルホン酸、1,4-ジヒドロキシベンゼン-2,5-ジスルホン酸、2,4-ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、およびp-メトキシフェノールである。このような酸化防止剤は、US4,871,429に開示されている。他の好適な酸化防止剤または還元剤としては、これらに限定されないが、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムトリアセチルアセトネート、ハロゲン化バナジウム、オキシハロゲン化バナジウム、バナジウムアルコキシドおよびバナジルアルコキシドなどのバナジウム化合物が挙げられる。このような還元剤の濃度は当業者に周知であるが、典型的には0.1~10g/l、好ましくは1~5g/lの範囲である。このような酸化防止剤は一般的に、さまざまな供給源から市販されている。
【0133】
電解質
一般的に、本明細書で使用される場合、「水性」は、本発明の電気めっき組成物が、少なくとも50%の水を含む溶媒を含むことを意味する。好ましくは、「水性」は、大部分の組成物が水であり、より好ましくは90%の溶媒が水であり、最も好ましく溶媒が本質的に水からなることを意味する。蒸留水、脱イオン水または水道水など、いずれのタイプの水を使用してもよい。
【0134】
浴は、スズおよび銀イオンを含む。好ましくは、浴は、スズイオンおよび銀イオンから本質的になる金属イオンを含み、すなわち、スズイオンおよび銀イオンの他に、本質的に金属イオンが存在しない。他のいずれの金属イオンも本質的に含まないことは、浴中の金属イオンの濃度が、1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、最も好ましくは0.01質量%未満であることを意味する。
【0135】
スズ
スズイオン源は、金属イオンを放出し、十分な量で電気めっき浴中に堆積させることができる任意の化合物であってもよく、すなわち、電気めっき浴中で少なくとも部分的に可溶性である。金属イオン源は、めっき浴中で可溶性であることが好ましい。好適な金属イオン源は金属塩であり、これらに限定されないが、金属硫酸塩、金属ハロゲン化物、金属酢酸塩、金属硝酸塩、金属フルオロホウ酸塩、金属アルキルスルホン酸塩、金属アリールスルホン酸塩、金属スルファミン酸塩、金属グルコン酸塩などが挙げられる。
【0136】
金属イオン源は、基板上に電気めっきするために十分な金属イオンを供給する任意の量で、本発明において使用されうる。金属がスズ単独である場合、スズ塩は、典型的には、めっき溶液の約1~約300g/lの範囲の量で存在する。好ましい実施形態において、めっき溶液は、鉛を含まず、すなわち、1wt%の鉛、より好ましくは0.5wt%未満、さらにより好ましくは0.2wt%未満しか含まず、さらにより好ましくは鉛を含まない。別の好ましい実施形態において、めっき溶液は、本質的に銅を含まず、すなわち、1wt%の銅、より好ましくは0.1wt%未満、さらにより好ましくは0.01wt%未満の銅しか含まず、さらにより好ましくは銅を含まない。
【0137】

スズの他に、本発明によるめっき浴は、銀イオンおよび任意の1種または複数の他の合金金属イオンを含有する。好適な合金金属としては、非限定的に、金、銅、ビスマス、インジウム、亜鉛、アンチモン、マンガンおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましい合金金属は、銅、ビスマス、インジウム、およびこれらの混合物である。銀および他の合金金属(共に合金金属と呼ばれる)の浴に可溶性の任意の塩は、合金銀および他の合金金属イオンの源として好適に使用されうる。このような合金金属塩の例としては、これらに限定されないが、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属フルオロホウ酸塩、金属硫酸塩、金属メタンスルホン酸塩、金属エタンスルホン酸塩および金属プロパンスルホン酸塩などの金属アルカンスルホン酸塩、金属フェニルスルホン酸塩、金属トルエンスルホン酸塩、および金属フェノールスルホン酸塩などの金属アリールスルホン酸塩、金属グルコン酸塩および金属酢酸塩などの金属炭酸塩などが挙げられる。好ましい合金金属塩は、金属硫酸塩、金属アルカンスルホン酸塩、および金属アリールスルホン酸塩である。銀を本組成物に添加する場合、二元合金の堆積が実現される。2または3種以上の異なる合金金属を本組成物に添加する場合、三次、四次またはさらに高次の合金の堆積が実現される。本組成物中に使用されるこのような合金金属の量は、所望される特定のスズ合金によって決まる。合金金属のこのような量の選択は、当業者の能力の範囲内にある。当業者であれば、銀以外の特定の合金金属が使用される場合、本発明による錯化剤以外の追加の錯化剤が必要とされうることを理解するであろう。
【0138】
本発明の電気めっき用組成物は、スズ-銀含有層を析出(堆積)させるのに好適である。例示的なスズ合金層としては、非限定的に、スズ-銀-銅、スズ-銀-インジウム、スズ-銀-ビスマス、スズ-銀-銅-アンチモン、スズ-銀-銅-マンガン、スズ-銀-亜鉛-銅、およびスズ-銀-インジウム-ビスマスが挙げられる。好ましくは、本発明の電気めっき用組成物は、純粋なスズ-銀、スズ-銀-銅、スズ-インジウム、スズ-銀-ビスマス、スズ-銀-インジウム、およびスズ-銀-インジウム-ビスマス、より好ましくは純粋なスズ-銀を析出させる。
【0139】
本発明の電気めっき浴から析出される銀合金は、原子吸着分光法(AAS)、蛍光X線(XRF)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)のいずれかによって測定した場合、合金の質量に対して、0.01~99.99wt%の範囲の量のスズ、ならびに99.99~0.01wt%の範囲の量の銀および任意の他の合金金属を含有する。好ましくは、本発明を用いて析出させたスズ-銀合金は、90~99.99wt%のスズおよび0.01~10wt%の銀および他の任意の合金金属を含有する。
【0140】
より好ましくは、スズ-銀合金析出物(堆積物)は、95~99.9wt%のスズならびに0.1~5wt%の銀および他の任意の合金化金属を含有する。スズ-銀合金は、好ましいスズ合金析出物であり、好ましくは、90~99.9wt%のスズおよび10~0.1wt%の銀を含有する。より好ましくは、スズ-銀合金析出物は、95~99.9wt%のスズおよび5~0.1wt%の銀を含有する。多くの用途では、合金の共晶組成物を使用することができる。本発明によって析出された合金は、実質的に鉛を含まず、すなわち、1wt%の鉛、より好ましくは0.5wt%未満、さらにより好ましくは0.2wt%未満の鉛しか含まず、さらにより好ましくは鉛を含まない。
【0141】

一般的に、金属イオン源および少なくとも1種の錯化剤の他に、本発明の金属電気めっき用組成物(「電気めっき浴」とも呼ばれる)は、好ましくは、電解質、すなわち、酸性またはアルカリ性電解質、1個または複数の金属イオン源、任意のハロゲン化物イオン、および任意の他の添加剤(界面活性剤および血漿成長抑制剤など)を含む。このような浴は、典型的には水性であり、すなわち、水の他にさらなる溶媒を一切含まない。水は、広範囲の量で存在しうる。蒸留水、脱イオン水または水道水など、いずれのタイプの水を使用してもよい。好ましくは、スズ銀電気めっき浴は、均一な溶液であり、すなわち、本質的に一切の粒子を含まない。本明細書では、本質的に粒子を含まないことは、このような粒子が、金属の電気めっきプロセスに干渉しないことを意味する。
【0142】
好ましくは、本発明のめっき浴は酸性であり、すなわち、7未満のpHを有する。典型的には、スズまたはスズ合金の電気めっき用組成物のpHは、4未満、好ましくは3未満、最も好ましくは2未満である。
【0143】
本発明の電気めっき浴は、任意の順序で成分を合わせることによって製造できる。まず、金属塩などの無機成分、水、電解質を浴槽に添加し、その後、界面活性剤、結晶微細化剤、レベラーなどの有機成分を添加することが好ましい。
【0144】
典型的には、本発明のめっき浴は、10~65℃以上の任意の温度で使用することができる。めっき浴の温度は10~35℃であることが好ましく、より好ましくは15~30℃である。
【0145】
好適な電解質としては、例えば、これらに限定されないが、硫酸、酢酸、フルオロホウ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、フェニルスルホン酸およびトルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、リン酸、水酸化テトラアルキルアンモニウム、好ましくは水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。酸は、典型的には、約1~約300g/lの範囲の量で存在する。
【0146】
一実施形態において、少なくとも1種の添加剤は、メタンスルホン酸塩、硫酸塩または酢酸塩から選択される対イオンYo-を含み、式中、oは正の整数である。
【0147】
用途
本発明のめっき用組成物は、スズ含有層が所望され、特にスズ含有はんだ層を、複数の導電性接合部分を含む半導体ウエハー上に析出させるためのさまざまなめっき法で有用である。めっき法としては、これらに限定されないが、水平または垂直ウエハーめっき、バレルめっき、ラックめっき、オープンリールおよびジェットめっきなどの高速めっき、ならびにラックレスめっき、好ましくは水平または垂直ウエハーめっきが挙げられる。幅広い種類の基板が、本発明によるスズ含有析出物でめっき可能である。めっきする基板は導電性であり、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル-鉄含有材料を含んでもよい。このような基板は、電子部品、例えば(a)リードフレーム、コネクタ、チップキャパシタ、チップ抵抗器、および半導体パッケージ、(b)回路基板などのプラスチック、ならびに(c)半導体ウエハーの形態であってもよい。好ましくは、基板は半導体ウエハーである。したがって、本発明は、スズ含有層を半導体ウエハー上に析出させる方法であって、複数の導電性接合部分を含む半導体ウエハーを製造することと、半導体ウエハーを上記の組成物と接触させることと、十分な電流密度を適用してスズ含有層を導電性接合部分に析出させることと、を含む、方法も提供する。好ましくは、接合部分は、純銅層の形態であってもよい銅、銅合金層、または銅を含む任意の相互接続構造を含む。銅ピラーは、1個の好ましい導電性接合部分である。任意に、銅ピラーは、ニッケル層などの上部金属層を含んでもよい。導電性接合部分が上部金属層を有する場合、純粋なスズはんだ層が、接合部分の上部金属層上に析出される。接合パッドおよび銅ピラーなどの導電性接合部分は当該技術分野において周知であり、例えば、US7,781,325、US2008/0054459A、US2008/0296761A、およびUS2006/0094226Aに記載されている。
【0148】
方法
一般的に、本発明を用いて、スズ-銀合金を基板上に析出させるとき、使用中、めっき浴を撹拌する。本発明とともに任意の好適な撹拌法を使用してもよく、このような方法は当該技術分野において周知である。好適な撹拌法としては、これらに限定されないが、不活性ガスまたは空気散布、ワークピース撹拌、衝突などが挙げられる。このような方法は当業者に公知である。本発明を用いて、ウエハーなどの集積回路基板をめっきする場合、ウエハーを例えば1~150RPMで回転させてもよく、例えばポンプまたはスプレーによって、めっき溶液が、回転するウエハーに接触する。代替形態において、めっき浴の流れが、所望の金属析出物を設けるのに十分な場合は、ウエハーを回転させる必要はない。
【0149】
スズ合金は、本発明によって、金属析出物中に実質的に空隙を形成することなく、凹部内に析出される。用語「実質的に空隙を形成することなく」とは、金属析出物中に、1000nm、好ましくは500nm、最も好ましくは100nmより大きな空隙がないことを意味する。
【0150】
半導体基板をめっきするためのめっき設備は周知である。めっき設備は、スズまたはスズ合金電解質を保持し、プラスチックまたは電解めっき溶液に不活性の他の材料などの好適な材料で作られた電気めっき槽を含む。槽は、特にウエハーめっき用に円筒状であってもよい。陰極は槽の上部に水平に配置され、開口部を有するシリコンウエハーなどの任意のタイプの基板であってもよい。
【0151】
これらの添加剤を、陰極液を陽極液から分離するメンブレン(複数可)の存在下または不在下、可溶性および不溶性の陽極とともに使用することができる。
【0152】
陰極基板と陽極とは、それぞれ、電源供給部に配線によって電気的に接続される。直流またはパルス電流のための陰極基板は正味の負電荷を有し、したがって、溶液中の金属イオンが陰極基板で還元され、めっき金属が陰極表面上で形成される。酸化反応が陽極で生じる。陰極および陽極は、槽内で水平に配置されても垂直に配置されてもよい。
【0153】
一般的に、スズ合金バンプを製造するとき、フォトレジスト層が半導体ウエハーに適用され、次いで標準フォトリソグラフィー露光および現像技法が施され、中に開口部またはビアを有するパターン化フォトレジスト層(またはめっきマスク)が形成される。めっきマスクの寸法(めっきマスクの厚さおよびパターン中の開口部のサイズ)は、I/OパッドおよびUBM上に析出したスズまたはスズ合金層のサイズおよび位置を画定する。このような堆積物の直径は、典型的には、1~300μmの範囲、好ましくは2~100μmの範囲である。
【0154】
すべてのパーセント、ppmまたは同等の値は、別段の指定がある場合を例外として、各組成物の総質量に対する質量を指す。すべての引用文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0155】
以下の例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明をさらに例示するものである。
【実施例
【0156】
[実施例1]錯化剤の製造
チオールの製造
【0157】
2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオール
【化9】
【0158】
不活性雰囲気下、36.4gのチオ尿素を、142.2gの32%塩酸中の51.8gの2-エチルチオエタノールの溶液に添加した。混合物を100℃で7.5時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。634mlの2M水酸化カリウム水溶液を添加した後、混合物を3.5時間還流し、室温に冷却し、塩酸でpH1に酸性化した。各100mlのジクロロメタンで混合物を5回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、52.5gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを無色の液体として得た。
【0159】
2-イソプロピルスルファニルエタンチオール
【化10】
【0160】
不活性雰囲気下、15.6gのチオ尿素を、60.9gの32%塩酸中の24.6gの2-イソプロピルチオエタノールの溶液に添加した。混合物を7.5時間還流した後、室温で終夜撹拌した。272mlの2M水酸化カリウム水溶液を添加した後、混合物を3.5時間還流し、室温に冷却し、塩酸でpH1に酸性化した。各100mlのジクロロメタンで混合物を3回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、24.7gの2-イソプロピルスルファニルエタンチオールを無色の液体として得た。
【0161】
2-ベンジルスルファニルエタンチオール
【化11】
【0162】
11.4gの2-ヒドロキシエチルベンジルスルフィドを20mlのクロロホルム中に溶解した。温度を21~29℃の間で維持しながら、30mlのクロロホルム中の10.0gの塩化チオニルの溶液を35分間、滴下添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、12.7gの2-クロロエチルスルファニルメチルベンゼンを黄色の液体として得た。
【0163】
12.7gの2-クロロエチルスルファニルメチルベンゼンを30mlのエタノール中に溶解した。50mlのエタノール中の5.16gのチオ尿素の溶液を添加した。混合物を5時間還流した後、室温で終夜撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残留物を200mlのジクロロメタンと混合した。沈殿物をろ過によりろ別し、ジクロロメタンで洗浄した。空気中で乾燥した後、15.7gの(2-ベンジルスルファニルエチルスルファニルカルボンイミドイル)アンモニウムクロリドを白色の粉末として得た。
【0164】
6.0gの(2-ベンジルスルファニルエチルスルファニルカルボンイミドイル)アンモニウムクロリドを、150mlの水中に懸濁させた。1.5gの水酸化ナトリウムを添加した後、混合物を100℃で45分間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、塩酸を使用してpH1~2に酸性化した。各30mlのジクロロメタンを使用して混合物を3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、3.8gの2-ベンジルスルファニルエタンチオールを黄色の液体として得た。
【0165】
[実施例1.1]3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール
【化12】
【0166】
40mlのジクロロメタン中の1.81gの1,2-ベンゼンジチオールの溶液に、0.17gの炭酸カリウムを添加した後、1.88gのグリシドールを室温で滴下添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてジクロロメタン/メタノールを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、2.4gの3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)フェニル]-スルファニルプロパン-1,2-ジオールを無色の油状物として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0167】
[実施例1.2]3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール
【化13】
【0168】
40mlのジクロロメタン中の1.98gのトルエン-3,4-ジチオールの溶液に、0.17gの炭酸カリウムを添加した後、1.88gのグリシドールを室温で滴下添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてジクロロメタン/メタノールを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、2.6gの3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオールを無色の油状物として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0169】
[実施例1.3]3-[[4-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール
【化14】
【0170】
不活性雰囲気下、5.9gのメタノール中のナトリウムメチレートの30%溶液を30mlのメタノールと混合した。3.25gの3-メルカプト-1,2-プロパンジオールを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。2.6gのα,α’-ジクロロ-p-キシレンを添加し、混合物を50℃で5.5時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてジクロロメタン/メタノールを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、2.0gの3-[[4-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオールを無色の油状物として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0171】
[実施例1.4]3-[[3-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオール
【化15】
【0172】
40mlのジクロロメタン中の2.20gの1,3-ベンゼンジメタンジチオールの溶液に、0.17gの炭酸カリウムを添加した後、1.96gのグリシドールを室温で滴下添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてジクロロメタン/メタノールを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.8gの3-[[3-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)フェニル]メチルスルファニル]プロパン-1,2-ジオールを白色の油状物として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0173】
[実施例1.5]2-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)フェニル]スルファニルエタノール
【化16】
【0174】
40mlのメタノール中の2.10gの1,2-ジチオベンゼンの溶液に、5.60gのナトリウムメチレートの30%溶液を室温で添加した。2.30のクロロエタノールを添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。100mlの水を添加し、各100mlのメチルtert-ブチルエーテルで混合物を3回抽出した。合わせた有機層を100mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、0.7gの2-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)フェニル]スルファニルエタノールを得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0175】
[実施例1.6]2-フェニルスルファニルエタノール
【化17】
【0176】
市販:Aldrich、TCI
【0177】
[実施例1.7]1-(3-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-チオ尿素
【化18】
【0178】
市販:FCH-Group、ZereneX Company
【0179】
[実施例1.8]2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン
【化19】
【0180】
不活性雰囲気下、3.22gの2-ビニルピリジンを30mlのイソプロパノール中に溶解した。3.67gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを添加し、混合物を7.5時間還流し、次いで室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、5.6gの2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジンを無色の液体として得た(C-NMRによる分析>95%)。
【0181】
[実施例1.9]2,6-ビス(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン
【化20】
【0182】
不活性雰囲気下、3.67gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを、5.94gのメタノール中のナトリウムメチレートの30%溶液と30mlのメタノールとの混合物に添加した。3.97gの2,6-ビス(ブロモメチル)ピリジンを添加した後、混合物を50℃で5.5時間撹拌し、次いで室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、4.1gの2,6-ビス(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジンを淡黄色の油状物として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0183】
[実施例1.10]2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジン
【化21】
【0184】
不活性雰囲気下、1.22gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを、7.13gのエタノール中のナトリウムエチレートの21%溶液と15mlのエタノールとの混合物に添加した。15mlのエタノール中の1.64gの塩酸2-クロロ-メチルピリジンの溶液を0℃でゆっくり添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.5gの2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)ピリジンを淡黄色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0185】
[実施例1.11]2-(2-ピリジルスルファニル)エタノール
【化22】
【0186】
例えば、Aldrichから市販されている
【0187】
[実施例1.12]2-ピリミジン-2-イルスルファニルエタノール
【化23】
【0188】
例えば、Enamineから市販されている
【0189】
[実施例1.13]2-[2-(2-イソプロピルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン
【化24】
【0190】
不活性雰囲気下、1.05gの2-ビニルピリジンを、20mlのイソプロパノール中の1.36gの2-イソプロピルスルファニルエタンチオールの溶液に添加した。混合物を7.5時間還流した後、室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.8gの2-[2-(2-イソプロピルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジンを淡黄色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0191】
[実施例1.14]2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-6-[6-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-2-ピリジル]ピリジン
【化25】
【0192】
不活性雰囲気下、0.97gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを、メタノール中のナトリウムメチレートの30%溶液1.57gと20mlのメタノールとの混合物に添加した。1.0gの6,6’-ビス(クロロメチル)-2,2’-ビピリジンを添加した後、混合物を50℃で5.5時間撹拌し、次いで、室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.3gの2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-6-[6-(2-エチルスルファニルエチルスルファニルメチル)-2-ピリジル]ピリジンを黄色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0193】
[実施例1.15]2-[2-(2-ベンジルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン
【化26】
【0194】
不活性雰囲気下、1.05gの2-ビニルピリジンを、20mlのイソプロパノール中の1.84gの2-ベンジルスルファニルエタンチオールの溶液に添加した。混合物を4.5時間還流した後、室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、2.0gの2-[2-(2-ベンジルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジンを無色の液体として得た(C-NMRによる分析90%)。
【0195】
[実施例1.16]2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-エチル]ピラジン
【化27】
【0196】
不活性雰囲気下、1.31gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを、20mlのイソプロパノール中の1.14gの2-ビニルピラジンの溶液に添加した。混合物を6時間還流した後、25mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。混合物を7時間還流した後、さらに25mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。混合物を6時間還流した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、0.11gの2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-エチル]ピラジンを橙色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0197】
[実施例1.17]3-[[6-[6-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)-2-ピリジル]-2-ピリジル]メチルスルファニル]-プロパン-1,2-ジオール
【化28】
【0198】
不活性雰囲気下、1.20gの炭酸カリウムおよび0.85gの3-メルカプト-1,2-プロパンジオールを、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド中の1.0gの6,6’-ビス(クロロメチル)-2,2’-ビピリジンの溶液に添加した。混合物を80℃で7時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。さらに0.86gの3-メルカプト-1,2-プロパンジオールを添加し、混合物を80℃で6時間撹拌し、次いで室温で2日間にわたって撹拌した。溶媒を真空下で除去し、10mlの水を添加し、塩酸を使用してpHを6~7に調整した。50mlの酢酸エチルを添加し、各50mlの酢酸エチルで混合物を3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてジクロロメタン/メタノールを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.0gの3-[[6-[6-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニルメチル)-2-ピリジル]-2-ピリジル]メチルスルファニル]-プロパン-1,2-ジオールを淡黄色の粉末として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0199】
[実施例1.18]2-[2-(2-フェニルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジン
【化29】
【0200】
不活性雰囲気下、1.05gの2-ビニルピリジンを、20mlのイソプロパノール中の1.70gの2-(フェニルスルファニル)エタン-1-チオールの溶液に添加した。混合物を4.5時間還流した後、室温で終夜撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、2.5gの2-[2-(2-フェニルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピリジンを無色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0201】
[実施例1.19]1-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]イミダゾール
【化30】
【0202】
不活性雰囲気下、0.94gの1-ビニルイミダゾールを20mlのイソプロパノール中に溶解した。1.22gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールおよび25mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加し、混合物を6.5時間還流した後、室温で2日間にわたって撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.4gの1-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]イミダゾールを淡黄色の液体で得た(C-NMRによる分析90%)。
【0203】
[実施例1.20]2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-1-メチル-エチル]チアゾール
【化31】
【0204】
不活性雰囲気下、1.25gの2-イソプロペニルチアゾールを20mlのイソプロパノール中に溶解した。1.22gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを添加し、混合物を6.0時間還流した後、25mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。混合物を7.0時間還流した後、さらに25mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。混合物を6.0時間還流した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、0.58gの2-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)-1-メチル-エチル]チアゾールを淡黄色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0205】
[実施例1.21]モルホリン-4-カルボジチオエート、テトラメチルアンモニウム塩
【化32】
【0206】
16.4gのモルホリンおよび38gの水酸化テトラメチルアンモニウムを、25℃で、不活性雰囲気下、50gのTHF中に溶解した。次いで、反応混合物を5℃まで冷却し、100mlのTHF中に溶解した15.2gのCSを、2時間の期間にわたって添加した。粗生成物をろ過し、アセトンで3回洗浄し、真空下で乾燥した。最終生成物22.5gを橙色の結晶として得た(48%)。
【0207】
[実施例1.22]ピペラジン-1,4-ジカルボジチオエート、ジテトラメチルアンモニウム塩
【化33】
【0208】
8.6gのピペラジンおよび38.1gの水酸化テトラメチルアンモニウムを、25℃で、不活性雰囲気下、60gのメタノール中に溶解した。次いで、反応混合物を5℃まで冷却し、100mlのTHF中に溶解した15.2gのCSを、2時間の期間にわたって添加した。反応混合物は、最大25℃までの昇温下で2時間、後反応させる。粗生成物をろ過し、アセトンで3回洗浄し、真空下で乾燥した。最終生成物22.6gを黄色の結晶として得た(59%)。
【0209】
[実施例1.23]4-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]モルホリン
【化34】
【0210】
不活性雰囲気下、1.22gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを、エタノール中のナトリウムエチレートの21%溶液7.13gと10mlのエタノールとの混合物に添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。15mlのエタノール中の1.86gの塩酸4-(2-クロロエチル)モルホリンの溶液をゆっくり添加した。混合物を室温で96時間撹拌した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.3gの4-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]モルホリンを淡黄色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0211】
[実施例1.24]1-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピロリジン-2-オン
【化35】
【0212】
1.11gの1-ビニル-2-ピロリドンを30mlのイソプロパノール中に溶解した。1.22gの2-(エチルスルファニル)エタン-1-チオールを添加し、混合物を7.5時間還流した後、室温で終夜撹拌した。25mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加し、混合物を7.0時間還流した。真空下で濃縮した後、シリカゲル上に溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチルを用いた(勾配溶離)クロマトグラフィーによって残留物を精製して、1.6gの41-[2-(2-エチルスルファニルエチルスルファニル)エチル]ピロリジン-2-オンを無色の液体として得た(C-NMRによる分析95%)。
【0213】
[実施例2]安定性試験
メタンスルホン酸銀溶液を錯化剤に添加した(錯化剤:Ag比=10:1)。錯化剤が不溶性の場合、2~3滴のメタンスルホン酸を添加した。次に、酸化防止剤としての4-メトキシフェノール(MeHQ)を含有するメタンスルホン酸スズ溶液を添加した。次いで混合物を50℃で7日間保存した。沈殿物が形成されたら、錯化剤は試験に不合格である。混合物が、3日の期間にわたって透明のままであれば、これは良好な錯体形成(「o」)を指し示し、混合物が7日間の期間にわたって透明のままであれば、非常に良好な錯体形成(「+」)を指し示す。
【0214】
100℃未満の温度での反応速度は、温度が10℃上昇すると3倍になり、50℃で7日は、20℃で6カ月の安定性を表すものとする。
【0215】
実施例1の錯化剤を上記の試験手順に供した。結果を表1に列挙する。
【0216】
【表4】
【0217】
[実施例3]電気めっき実験
パターン化フォトレジストは、直径8μmおよび深さ15μmのビアならびに高さ5μmの予め形成された銅μバンプを含有していた。単離された(イソ)領域は、中心間の距離(ピッチ)が32μmの3×6のピラー配列からなる。高密度領域は、中心間の距離(ピッチ)が16μmの8×16のピラー配列からなる。ダイ共平面性を算出するために、イソ領域の3つのバンプおよび高密度領域の中心からの3つのバンプを利用する。
【0218】
形態(粗さ)を、走査電子顕微鏡法(SEM)によって定性的に決定した。
【0219】
[実施例3.1]
以下の組成を有するスズ銀めっき浴を製造した。75g/lのメタンスルホン酸スズとしてのスズ、165g/lのメタンスルホン酸、0.5g/lのメタンスルホン酸銀としての銀、5.1g/lのAg錯化剤としてのメルカプトピリジン、2g/lの市販の酸化防止剤および2g/lの界面活性剤、7.37μmのスズ銀合金(SnAg)(銀含有率1.5質量%)を、銅バンプ上に電気めっきした。銅バンプは、直径50μmおよび高さ5μmを有していた。厚さ70μmのパターン化フォトレジスト層を有する2cm×2cmの大型ウエハークーポンを、上記のめっき浴に浸漬し、6ASD(=60mA/cm)の直流を25℃で814秒間印加した。
【0220】
めっきスズ銀バンプを走査電子顕微鏡法(SEM)によって調べた。SEM画像を図1に示す。定性的形態評価を表2にまとめる。
【0221】
[実施例3.2]
以下の組成を有するスズ銀めっき浴を製造した。75g/lのメタンスルホン酸スズとしてのスズ、165g/lのメタンスルホン酸、0.5g/lのメタンスルホン酸銀としての銀、5.1g/lのAg錯化剤としての実施例1.1の3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール、2g/lの市販の酸化防止剤および2g/lの界面活性剤、7.37μmのスズ銀合金(SnAg)(銀含有率1.5質量%)を、銅バンプ上に電気めっきした。銅バンプは、直径50μmおよび高さ5μmを有していた。厚さ70μmのパターン化フォトレジスト層を有する2cm×2cmの大型ウエハークーポンを、上記のめっき浴に浸漬し、6ASDの直流を25℃で814秒間印加した。
【0222】
めっきスズ銀バンプを走査電子顕微鏡法(SEM)によって調べた。定性的形態評価を表2にまとめる。
【0223】
[実施例3.3]
以下の組成を有するスズ銀めっき浴を製造した。75g/lのメタンスルホン酸スズとしてのスズ、165g/lのメタンスルホン酸、0.5g/lのメタンスルホン酸銀としての銀、5.1g/lのAg錯化剤としての実施例1.6の3-[2-(2,3-ジヒドロキシプロピルスルファニル)フェニル]スルファニルプロパン-1,2-ジオール、2g/lの市販の酸化防止剤および2g/lの界面活性剤、7.37μmのスズ銀合金(SnAg)(銀含有率1.5質量%)を、銅バンプ上に電気めっきした。銅バンプは、直径50μmおよび高さ5μmを有していた。厚さ70μmのパターン化フォトレジスト層を有する2cm×2cmの大型ウエハークーポンを、上記のめっき浴に浸漬し、6ASDの直流を25℃で814秒間印加した。
【0224】
めっきスズ銀バンプを走査電子顕微鏡法(SEM)によって調べた。定性的形態評価を表2にまとめる。
【0225】
【表5】
【0226】
表2は、本発明による実施例3.2のチオエーテル化合物(化合物1.1)および実施例3.3(化合物1.6)が、比較例C3.1のチオール化合物と比較して、はるかに良好な形態を示すことを示す。
図1
図2
図3
【国際調査報告】