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特表2022-549803有機ケイ素化合物、被覆エフェクト顔料およびシーリング試薬Iの使用を含む、ケラチン物質の染色方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物、被覆エフェクト顔料およびシーリング試薬Iの使用を含む、ケラチン物質の染色方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20221121BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20221121BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221121BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/26
A61K8/81
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517881
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020068978
(87)【国際公開番号】W WO2021052648
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019214286.9
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB221
4C083AB222
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD092
4C083AD162
4C083AD282
4C083BB25
4C083CC36
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE26
(57)【要約】
本発明の主題は、以下の工程:・ケラチン物質への薬剤(a)の適用工程、ここで前記薬剤(a)は以下を含む:(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物;および・前記ケラチン物質への薬剤(b)の適用工程、ここで前記薬剤(b)は以下を含む:(b1)少なくとも1種のシーリング試薬、を含むケラチン物質、特に人毛を染色する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
・ケラチン物質への薬剤(a)の適用工程、ここで前記薬剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物、ここで、前記コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む;および
・ケラチン物質への薬剤(b)の適用工程、ここで前記薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特に人毛を染色する方法。
【請求項2】
前記薬剤(a)が、式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化1】
[式中、
・R、Rは独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・Lは直鎖または分岐鎖の、二価のC~C20アルキレン基であり、
・R、Rは、互いに独立して、C~Cアルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは3-aの整数を表す]
【化2】
[式(II)の有機ケイ素化合物中、
・R、R'、R''、R、R'およびR''は独立して、C~Cアルキル基を表し、
・A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表し、
・RおよびRは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノC~Cアルキル基または式(III)の基:
【化3】
〔式中、
・cは1~3の整数を表し、
・dは3-cの整数を表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は3-c’の整数を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は3-c’’の整数を表し、
・eは0または1を表し、
・fは0または1を表し、
・gは0または1を表し、
・hは0または1を表す、
ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なるものとする〕
を表す]
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬剤(a)が式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化4】
[式中
・R、Rはともに水素原子を表し、
・Lは直鎖の二価のC~C-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
・R、Rは、独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数値3を表し、
・bは数値0を表す]
を含むことを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記薬剤(a)が、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群より選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
薬剤(a)が式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化5】
[式中
・eおよびfはともに数値1を表し、
・gおよびhはともに数値0を表し、
・AおよびA’は独立して、直鎖の二価のC~Cアルキレンを表し、
・Rは水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す]
を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
薬剤(a)が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群より選択される式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
薬剤(a)が式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化6】
[式中、
・RはC~C18アルキル基を表し、
・R10は水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R11はC~Cアルキル基を表し、
・kは1~3の整数であり、
・mは3-kの整数を表す]
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤(a)が、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシラン
・オクタデシルトリエトキシシラン、および
・これらの混合物
からなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
薬剤(a)が少なくとも2つの構造的に異なる有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
基材プレートレットがアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属アルコキシドが、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、およびそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される、シリコンアルコキシドを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
塩基性基を有する有機ケイ素化合物が1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランを含み、1分子あたり1つ以上の塩基性化学基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
塩基性基を有する有機ケイ素化合物は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール、および
・これらの混合物
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
薬剤(a)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、および/または少なくとも1種の金属酸化物および/または金属酸塩化物でコーティングされた有色の雲母もしくは雲母ベース顔料の群から好ましくは選択される、さらなる少なくとも1種の着色化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
別々に包装された
・薬剤(a’)を含む第1の容器、ここで薬剤(a’)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
・薬剤(a’’)を含む第2の容器、ここで前記薬剤(a’’)は以下を含む:
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングをを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物、ここで、コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む、
・薬剤(b)を含有する第3の容器、ここで薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
を含む、ケラチン物質を染色するためのパーツキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、2種の薬剤(a)および(b)の適用を含む、ケラチン物質、特に人毛を処理するための方法である。薬剤(a)は少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)、および少なくとも1種の選択されたエフェクト顔料を含む少なくとも1種の選択された着色化合物(a2)という内容物を特徴とする。薬剤(b)は少なくとも1種のシーリング試薬を含有する。
【0002】
本出願のさらなる主題は、別々に調製された少なくとも3種の薬剤(a')、(a'')および(b)を含む、ケラチン物質、特に人毛を染色するための多成分パッケージユニット(パーツキット)である。薬剤(a')および(a'')は、上記方法で使用される薬剤(a)を準備するために使用し得る。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色を変えることは現代の化粧料の重要な領域である。毛髪の色を変えるために、専門家は、着色要件に応じた種々の着色システムを知っている。酸化染料は通常、永続的で、しっかりとした染色のために使用され、良好な堅牢性を有し、良好に白髪がカバーされる。かかる染料は通常、酸化染料前駆体、いわゆる顕色剤成分とカプラー成分を含有しており、これらは過酸化水素などの酸化剤の影響下において互いに実際の染料を形成する。酸化染料は非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使用する場合、既製の染料は着色剤から毛髪繊維内へと拡散する。酸化的な毛染めと比べて、直接染料で得られる染色は色持ちが短く、すぐに洗い流される。直接染料での染色が毛髪上に残存する期間は、通常、洗髪5回~20回までである。
【0005】
着色顔料の使用は、毛髪および/または皮膚に対して短期間の色変化をもたらすことが知られている。着色顔料は不溶性の着色物質であると理解されている。これは、小粒子の形態で染料配合物中に未溶解の状態で存在し、毛髪繊維および/または皮膚表面の外面に堆積されているにすぎない。したがって、これは、通常、界面活性剤含有洗浄剤で数回洗い流すことによって、残存することなく、また除去できる。このタイプの種々の製品が、ヘアマスカラという名称で市場において入手可能である。
【0006】
ユーザーが特に長持ちする染色を望む場合、これまでは酸化的染料の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、数多くの最適化の試みにもかかわらず、酸化的毛染めにおける不快なアンモニア臭やアミン臭は完全には回避することができない。また、酸化的染料の使用に依然として伴う毛髪へのダメージもユーザーの毛髪に対してマイナス効果を有する。
【0007】
欧州特許第2168633B1号明細書では、顔料を用いた長持ちする髪の着色をもたらすための課題に取り組んでいる。この文書には、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム形成性ポリマーおよび溶剤の組合せを毛髪に対して使用した場合、洗髪に対して特に耐久性がある着色を生成することが可能であることが教示されている。
【0008】
金属光沢顔料またはメタリック調エフェクト顔料が多くの技術分野で広く使用されている。これらは、例えば、コーティング、印刷用インク、インク、プラスチック、ガラス、セラミック製品、およびマニキュア液などの装飾用化粧料のための調製物を彩色するために使用される。これらは、角度依存性の魅力的な色感(ゴニオクロミズム)および金属のようにみえる光沢を特徴とする。
【0009】
メタリック仕上げまたはメタリックなハイライトを有する毛髪が流行っている。メタリックな色調は髪をより多く、より輝いて見せる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第2168633B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方において高い洗い流し堅牢性および摩擦堅牢性を有し、他方において、まとまりやすさおよび感触などの毛髪特性にマイナスの影響を及ぼさない、エフェクト顔料を有する毛髪染料を提供する必要性が存在している。この目的のためには、使用されるエフェクト顔料が高い染着力を有し、毛髪に薄い層で塗布可能であることが望ましかろう。
【0012】
したがって、本発明の課題は、酸化的着色と同等の堅牢性を有するエフェクト顔料を有する着色システムを提供することであった。洗い流し堅牢性は卓越しているべきであるが、通常この目的に使用される酸化染料前駆体の使用は回避されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、ここに、この課題は、ケラチン物質、特に人毛を、少なくとも2種の薬剤(a)および(b)をケラチン物質(毛髪)に塗布する方法によって着色すると見事に解決できることがわかった。ここで、第1の薬剤(a)は1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物、およびさらに少なくとも1種の選択された着色化合物を含む。このようにして、薬剤(a)において、有機ケイ素化合物および着色化合物が一緒に調製される。第2の薬剤(b)は少なくとも1種のシーリング試薬を含む。
【0014】
この2種の薬剤(a)および(b)を染色方法において使用した場合、ケラチン物質を特に高い色彩強度および高い堅牢性で染色することができよう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の目的は、以下の工程を含む、ケラチン物質、特に人毛を着色する方法である:
・ケラチン物質への薬剤(a)の適用工程、ここで前記薬剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物、ここで、該コーティングは金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む;および
・前記ケラチン物質への薬剤(b)の適用工程、ここで前記薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬。
【0016】
本発明に至る研究において、薬剤(a)および(b)の優先的な連続適用は、ケラチン物質上に非常に安定した耐洗浄性の着色の生成を可能にすることが見出された。この理論に限定されないが、この文脈において、有機ケイ素化合物(a1)と着色化合物(a2)の同時適用は、ケラチン物質上に特に耐性のある第1のフィルムの形成をもたらすと思われる。第1の層は、第2の薬剤(b)の適用によりシールされる。例えば、フィルム形成性ポリマーは、シーリング試薬(b1)として、さらなるフィルムの形態でこの第1の層上に堆積される。
【0017】
この特別なタイプのパッケージング、すなわち、シラン(a1)と着色剤(a2)の同時適用、およびシーリング試薬(b1)の個別適用により、この方法で製造されたフィルムシステムは外部からの影響に対する耐性が向上した。このようにして、着色化合物(a2)がケラチン物質に恒久的に固定され、シャンプーに対する良好な耐性を備えた非常に耐洗浄性のある着色を得ることができた。
【0018】
エフェクト顔料の特別なコーティングは、有機ケイ素化合物(a1)によって形成された第1のフィルムおよびケラチン物質に対するエフェクト顔料の親和性を大幅に向上させる。
【0019】
[ケラチン物質]
ケラチン物質としては、毛髪、皮膚、爪(例えば、指の爪および/または足の指の爪)が挙げられる。また、ウール、毛皮および羽毛もケラチン物質の定義に含まれる。
【0020】
好ましくは、ケラチン物質は、人毛、人間の皮膚ならびに人間の爪、特に指の爪および足の指の爪であると理解されたい。好ましくはケラチン物質が人毛であると理解されたい。
【0021】
[薬剤(a)および薬剤(b)]
本発明による方法では、薬剤(a)および薬剤(b)は、ケラチン物質、特に人毛に適用される。この2つの薬剤(a)および(b)は互いに異なる。
【0022】
換言すれば、本発明の第1の目的は、以下の工程を含む、ケラチン物質、特に人毛を処理する方法である:
・ケラチン物質への薬剤(a)の適用工程、ここで前記薬剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物、ここで、該コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む;および
・前記ケラチン物質への薬剤(b)の適用工程、ここで前記薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬。
【0023】
[薬剤(a)]
好ましくは、薬剤(a)は、化粧料担体、特に好ましくは水性または水性アルコール性化粧料担体中に、本発明に必須の成分(a1)および(a2)を含む。この化粧料担体は、液体、ゲル、またはクリームであり得る。ペースト状、固体または粉末状の化粧料担体もまた、薬剤(a)の調製に使用し得る。ヘアトリートメント、特にヘアカラーリングの場合、かかる担体は、例えばクリーム、エマルション、ゲルあるいはまた、界面活性剤含有起泡性溶液、例えばシャンプー、エアロゾルフォーム、フォーム配合物または毛髪への適用に適した他の調製物である。
【0024】
好ましくは、化粧料用担体は、その重量に対して少なくとも2重量%の水を含む。さらに好ましくは、前記水分含有量は好ましくは10重量%超、なおさらに好ましくは20重量%超、特に好ましくは40重量%超である。また、化粧料用担体は水性-アルコール性の場合がある。発明との関連において、水性/アルコール性溶液は、2~70重量%のC~Cのアルコール、より具体的にはエタノールまたはイソプロパノールを含有している水溶液である。本発明による薬剤は、他の有機溶剤、例えばメトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチルジグリコールまたは1,2-プロピレングリコールをさらに含有してもよい。好ましいのはすべて水溶性の有機溶剤である。
【0025】
[シランの群からの有機ケイ素化合物(a1)]
本発明の必須成分として、薬剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む。
【0026】
特に好ましくは、薬剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0027】
これらの有機ケイ素化合物(a1)または薬剤(a)に含まれる有機シランは反応性化合物である。
【0028】
有機ケイ素化合物は、択一的にオルガノシリコン化合物とも称され、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有するか、または炭素がケイ素原子に酸素、窒素もしくはイオウ原子を介して結合しているかのいずれかである化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は好ましくは1個または2個のケイ素原子を含有しているものである。
【0029】
IUPAC規則によれば、シランという用語は、ケイ素骨格と水素を主体とする化学物質化合物である。有機シランでは、水素原子が完全に、または一部、有機基、例えば(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基で置き換えられている。また、有機シランでは、一部の水素原子がヒドロキシ基で置き換えられてもよい。
【0030】
特に好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とし、該薬剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、該有機ケイ素化合物は1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0031】
非常に特に好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することであって、前記薬剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むこと、該有機ケイ素化合物が1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能基と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含むことを特徴とする。
【0032】
この塩基性基または塩基性化学官能基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基またはトリアルキルアミノ基であってよく、これは好ましくはケイ素原子にリンカーを介して結合している。好ましくは、塩基性基はアミノ基、C~Cアルキルアミノ基またはジ(C~C)アルキルアミノ基である。
【0033】
加水分解性基(複数可)は好ましくはC~Cアルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合している場合が好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は好ましくは、構造単位R'R''R'''Si-O-CH-CHを含む。R'基、R''基およびR'''基は、ケイ素原子の残りの3つの自由原子価を表す。
【0034】
非常に特に好ましい方法の一例は、薬剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、好ましくは該有機ケイ素化合物が1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能基と1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0035】
特に満足な結果が、薬剤(a)が式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む場合に得られた。
【0036】
式(I)および(II)の化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、有機ケイ素化合物は、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0037】
別の非常に特に好ましい実施形態では、該方法は、薬剤(a)がケラチン物質(または人毛)に適用され、前記薬剤(a)が、式(I)および/または(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする:
【化1】
[式中、
・R、Rは独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・Lは直鎖または分岐鎖の、二価のC~C20アルキレン基であり、
・Rは水素原子またはC~Cアルキル基であり、
・RはC~Cアルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは3-aの整数である]
【化2】
[式中、
・R、R'、R''は独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R、R'およびR''は独立して、C~Cアルキル基を表し、
・A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表し、
・RおよびRは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノC~Cアルキル基または式(III)の基:
【化3】
〔式中、
・cは1~3の整数を表し、
・dは3-cの整数を表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は3-c’の整数を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は3-c’’の整数を表し、
・eは0または1を表し、
・fは0または1を表し、
・gは0または1を表し、
・hは0または1を表す、
ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なるものとする〕
を表す]。
【0038】
式(I)および(II)の化合物内の置換基R、R、R、R、R、R'、R''、R、R'、R''、R、R、L、A、A'、A''、A'''およびA''''を以下に一例として説明する:
~Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基ならびにn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。C~Cアルケニル基の例はビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC~Cアルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシC~Cアルキル基の好ましい例はヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC~Cアルキル基の例はアミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖の二価のC~C20アルキレン基の例として、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)およびブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)が挙げられる。プロピレン基(-CH-CH-CH-)が特に好ましい。また、3個のC原子の鎖長から、二価のアルキレン基は分枝鎖であってもよい。分枝鎖の二価の、二価のC~C20アルキレン基の例は(-CH-CH(CH)-)および(-CH-CH(CH)-CH-)である。
【0039】
式(I)の有機ケイ素化合物において、
【化4】
基およびR基は、互いに独立して水素原子またはC~Cアルキル基を表す。非常に好ましくは、基RおよびRはともに水素原子を表す。
【0040】
有機ケイ素化合物の中央部分には、直鎖または分岐鎖の、二価のC~C20アルキレン基を表す構造単位またはリンカー-L-が存在する。
【0041】
あるいは、二価のC-C20アルキレン基は、二価または二価のC1-C20アルキレン基と呼ばれ得、これは、各L基が2つの結合を形成し得ることを意味する。第1の結合はアミノ基R1R2NからリンカーLへの結合であり、第2の結合はリンカーLとケイ素原子の間にある。
【0042】
好ましくは、-L-は直鎖の、二価の(すなわち、二価の)C~C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは-L-は直鎖の二価のC~Cアルキレン基を表す。特に好ましい-Lは、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン(-CH-CH-CH-CH-)を表す。Lはプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0043】
直鎖プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、プロパン-1,3-ジイル基と呼ばれることもある。
【0044】
式(I)の有機ケイ素化合物:
【化5】
は、それぞれの一端が、ケイ素含有基-Si(OR(Rを有している。
【0045】
末端の構造単位-Si(OR(Rでは、Rは水素またはC~Cアルキル基であり、RはC~Cアルキル基である。R、Rは互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す。
【0046】
ここで、aは1~3の整数を表し、bは3-aの整数を表す。aが数値3を表すならば、bは0となる。aが数値2を表すならば、bは1となる。aが数値1を表すならば、bは2となる。
【0047】
薬剤(a)が、R基、R基が互いに独立してメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む場合、特に耐性のあるフィルムを得ることができた。
【0048】
ケラチン物質を染色する方法を使用する場合、薬剤(a)が式(I)(式中、基R、Rが互いに独立してメチル基またはエチル基を表す)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合に、最高の洗浄堅牢性を備えた染色を同様に得ることができた。
【0049】
さらに、薬剤(a)が、式(I)(式中、基aが数値3を表す)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含有する場合、最良の洗い流し堅牢性を有する染色を得ることができた。この場合、残りのbは基0を表す。
【0050】
さらなる好ましい実施形態では、該方法で使用される薬剤(a)は、式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とし、
・R、Rは互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数値3を表し、
・bは数値0を表す。
【0051】
別の好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化6】
[式中
・R、Rはともに水素原子を表し、
・Lは直鎖の二価のC~C-アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
・Rは水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
・Rはメチル基またはエチル基を表し、
・aは数値3を表し、
・bは数値0を表す]
を含むことを特徴とする。
【0052】
本発明の課題を解決するのに特に適した式(I)の有機ケイ素化合物(a1)は、以下である:
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化7】
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化8】
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化9】
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化10】
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化11】
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化12】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化13】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化14】
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化15】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化16】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
【化17】
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化18】
【0053】
さらなる好ましい実施形態では、方法が、薬剤(a)が、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0054】
式(I)の有機ケイ素化合物(a1)は市販されている。
【0055】
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランはSigma-Aldrichから購入することができる。また、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販されている。
【0056】
さらなる実施形態では、薬剤は、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化19】
を含む。
【0057】
式(II)の有機ケイ素化合物は各々、その2つの末端でケイ素含有基(RO)(RSi-および-Si(R’)d’(OR’)c’を有している。
【0058】
式(II)の分子の中心部分には、-(A)-基および-[NR-(A’)]-基および-[O-(A’’)]-基および-[NR-(A’’’)]-基が存在している。ここで、e、f、gおよびh基の各々は互いに独立して、数値0または1を表すことができるが、e、f、gおよびh基のうちの少なくとも1つは0と異なるものとする。換言すると、式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR-(A’’’)]-からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む。
【0059】
2つの末端の構造単位(RO)(RSi-および-Si(R’)d’(OR’)c’において、R、R’、R’’の基は互いに独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表す。R、R’およびR’’の基は独立して、C~Cアルキル基を表す。
【0060】
ここで、cは1~3の整数を表し、dは3-cの整数を表す。cが数値3を表すならば、dは0となる。cが数値2を表すならば、dは1となる。cが数値1を表すならば、dは2となる。
【0061】
同様に、c’は整数1~3を表し、d’は3-c’の整数を表す。c’が数値3を表すならば、d’は0である。c’が数値2を表すならば、d’は1である。c’が数値1を表すならば、d’は2である。
【0062】
基cおよびc’がともに数値3を表す場合に、最高の安定性を備えたフィルムまたは最高の洗い流し堅牢性の堅牢度を備えた染色を得ることができた。この場合、dおよびd’はともに数値0を表す。
【0063】
別の好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1):
【化20】
[式中、
・RおよびR’が独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc’がともに数値3を表し、
・dおよびd’がともに数値0を表す]
を含むことを特徴とする。
【0064】
cおよびc’がともに数値3を表し、dおよびd’がともに数値0を表す場合、本発明の有機ケイ素化合物は式(IIa):
【化21】
に対応する。
【0065】
e、f、gおよびh基は独立して、数値0または1を表すことができ、このとき、e、f、gおよびh基のうち少なくとも1つはゼロと異なる。したがって、略号e、f、gおよびhにより、-(A)-および-[NR-(A’)]f-および-[O-(A’’)]-および-[NR-(A’’’)]-のうちのどの基が式(II)の有機ケイ素化合物の中央部分に存在するかが規定される。
【0066】
これとの関連において、一部の特定の基の存在が耐水洗性の増大の点において特に有益であることがわかった。特に満足な結果が、基e、f、gおよびhのうち少なくとも2つが数値1を表す場合に得られた。特に好ましいのはeおよびfはともに数値1を表す。さらに、gおよびhはともに数値0を表す。
【0067】
eおよびfがともに1であり、gおよびhがともに0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化22】
に対応する。
【0068】
A、A'、A''、A'''およびA''''の基は独立して、直鎖または分岐鎖の、二価のC~C20アルキレン基を表す。好ましくは、A、A'、A''、A'''およびA''''の基は互いに独立して、直鎖の二価のC~C20アルキレン基を表す。さらに好ましくはA、A'、A''、A'''およびA''''の基は独立して、直鎖の二価のC~Cアルキレン基を表す。特に、A、A'、A''、A'''およびA''''の基は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。非常に好ましくは、A、A'、A''、A'''およびA''''の基は、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0069】
あるいは、二価のC-C20アルキレン基は、二価または二価のC-C20アルキレン基と呼ばれることがあり、これは、各基A、A’、A''、A'''およびA''''が2つの結合を形成可能であることを意味する。
【0070】
直鎖プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、プロパン-1,3-ジイル基と呼ばれることもある。
【0071】
f基が数値1を表すならば、式(II)の有機ケイ素化合物は構造-[NR-(A’)]-の基を含む。
【0072】
h基が数値1を表すならば、式(II)の有機ケイ素化合物は構造-[NR-(A’’’)]-の基を含む。
【0073】
式中において、基Rおよび基Rは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシ-C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノ-C~Cアルキル基または式(III)の基:
【化23】
を表す。
【0074】
非常に好ましくは、基Rおよび基Rは互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0075】
f基が数値1を表し、h基が数値0を表すならば、有機ケイ素化合物は[NR-(A’)]基を含むが-[NR-(A’’’)]基は含まない。また、R基が式(III)の基を表す場合、薬剤(a)は、3つの反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0076】
別の好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、式(II):
【化24】
[式中
・eおよびfはともに数値1を表し、
・gおよびhはともに数値0を表し、
・AおよびA’は独立して、直鎖の二価のC~Cアルキレン基を表し、
・Rは水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0077】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、式(II)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、式中
・eおよびfはともに数値1を表し、
・gおよびhはともに数値0を表し、
・AおよびA’は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)またはプロピレン基(-CH-CH-CH)を表し、
・Rは水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表すことを特徴とする。
【0078】
本発明の課題を解決するのによく適した式(II)の有機ケイ素化合物は以下である:
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
【化29】
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化30】
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化32】
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化33】
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化34】
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化36】
【0079】
上記の式(II)の有機ケイ素化合物は市販されている。
【0080】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンはSigma-Aldrichから購入することができる。
【0081】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えばSigma-Aldrichから購入することができる。
【0082】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは択一的にビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンと称され、市販品としてSigma-AldrichまたはFluorochemから購入することができる。
【0083】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えばFluorochemまたはSigma-Aldrichから購入することができる。
【0084】
さらなる好ましい実施形態では、該方法は、薬剤(a)が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群より選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0085】
さらなる試験、特に染色試験において、方法においてケラチン物質に適用される薬剤(a)が、式(IV):
【化37】
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む場合、それはまた特に有利であることが見出された。
【0086】
式(IV)の化合物は、1個、2個、または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、有機ケイ素化合物は、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0087】
式(IV):
【化38】
[式中
・RはC~C18アルキル基を表し、
・R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R11がC~Cアルキル基を表し、
・kが1~3の整数であり、
・mは3-kの整数を表す]
の有機ケイ素化合物(複数可)は、アルキルアルコキシシランまたはアルキルヒドロキシシラン型のシランと呼ばれることもある。
【0088】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、式(IV):
【化39】
[式中
・RはC~C18アルキル基を表し、
・R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R11がC~Cアルキル基を表し、
・kが1~3の整数であり、
・mは3-kの整数を表す]
の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0089】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、式(I)の有機ケイ素化合物(a1)に加えて、少なくとも1種のさらなる式(IV):
【化40】
[式中
・RはC~C18アルキル基を表し、
・R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R11がC~Cアルキル基を表し、
・kが1~3の整数であり、
・mは3-kの整数を表す]
の有機ケイ素化合物(a1)を含有することを特徴とする。
【0090】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、式(II)の有機ケイ素化合物に加えて、少なくとも1種のさらなる式(IV):
【化41】
[式中
・RはC~C18アルキル基を表し、
・R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R11がC~Cアルキル基を表し、
・kが1~3の整数であり、
・mは3-kの整数を表す]
の有機ケイ素化合物を含有することを特徴とする。
【0091】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物(複数可)に加えて、式(IV):
【化42】
[式中
・RはC~C18アルキル基を表し、
・R10が水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R11がC~Cアルキル基を表し、
・kが1~3の整数であり、
・mは3-kの整数を表す]
の少なくとも1種のさらなる有機ケイ素化合物を含有することを特徴とする。
【0092】
式(IV)の有機ケイ素化合物(a1)において、R基はC-C18アルキル基を表す。このC~C18アルキル基は飽和型であり、直鎖または分枝鎖であり得る。好ましくは、Rは直鎖C~C18アルキル基を表す。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基またはn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ヘキシル基またはn-オクチル基を表す。
【0093】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R10基は水素原子またはC~Cアルキル基を表す。特に好ましくはR10はメチル基またはエチル基を表す。
【0094】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、R11基はC~Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0095】
さらに、kは整数1~3を表し、mは3-kの整数を表す。kが数値3を表すならば、mは0となる。kが数値2を表すならば、mは1となる。kが数値1を表すならば、mは2となる。
【0096】
式中においてk基が数値3である式(IV)に相当する少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含有している薬剤(a)を方法に使用した場合に特に安定したフィルム、すなわち、特に良好な洗浄堅牢性を備えた染色が得られた。この場合、基mは数値0を表す。
【0097】
本発明の課題を解決するのに特に適した式(IV)の有機ケイ素化合物は、以下である:
・メチルトリメトキシシラン
【化43】
・メチルトリエトキシシラン
【化44】
・エチルトリメトキシシラン
【化45】
・エチルトリエトキシシラン
【化46】
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化47】
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化48】
・n-オクチルトリメトキシシラン
【化49】
・n-オクチルトリエトキシシラン
【化50】
・n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
【化51】
・n-ドデシルトリエトキシシラン
【化52】
【0098】
別の好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクチルデシルトリメトキシシランおよび/または
・オクチルデシルトリエトキシシラン、
からなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0099】
上記の有機ケイ素化合物は反応性化合物である。これに関連して、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に基づいて、1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を総量で0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%含む場合に好ましいことが見出された。
【0100】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に基づいて、1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を総量で0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%含むことを特徴とする。
【0101】
特に良好な染色結果を達成するために、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を薬剤(a)上で特定の量範囲で使用することが特に有利である。特に好ましくは、薬剤(a)は、薬剤(a)の総重量に基づいて、式(I)および/または(II)の1つ以上の有機ケイ素化合物を総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%含む。
【0102】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に基づいて、式(I)および/または(II)の1つ以上の有機ケイ素化合物を、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%含むことを特徴とする。
【0103】
さらに、式(IV)の有機ケイ素化合物が薬剤(a)中に特定の量範囲で存在する場合も、特に好ましいことが証明されている。特に好ましくは、薬剤(a)は、薬剤(a)の総重量に基づいて、式(IV)の1つまたは複数の有機ケイ素化合物を総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%含む。
【0104】
さらに好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に基づいて、式(IV)の1つ以上の有機ケイ素化合物を総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%含有することを特徴とする。
【0105】
本発明に至る研究の過程において、薬剤(a)は互いに構造的に異なる2種の有機ケイ素化合物を含む場合であっても、ケラチン物質上に特に安定で一様なフィルムを得ることできることがわかった。
【0106】
別の好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が少なくとも2種の構造的に異なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0107】
好ましい一実施形態において、方法は、式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物および式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含む薬剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0108】
明らかに非常に特に好ましい実施形態では、方法は、ケラチン物質に、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群より選択される式(I)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物を含み、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群より選択される式(IV)の少なくとも1種の有機ケイ素化合物をさらに含む薬剤(a)が適用されることを特徴とする。
【0109】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して:
・0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の第1の有機ケイ素化合物(a1)、ならびに
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、およびドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種の第2の有機ケイ素化合物(a1)
を含むことを特徴とする。
【0110】
この実施形態において、薬剤(a)は第1の群の1種以上の有機ケイ素化合物を0.5~3重量%の総量で含む。この第1の群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群より選択される。
【0111】
この実施形態において、薬剤(a)は第2の群の1種以上の有機ケイ素化合物を3.2~10重量%の総量で含む。この第2の群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群より選択される。
【0112】
わずかな量の水の添加であっても、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の加水分解がもたらされる。加水分解生成物および/または少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は縮合反応において互いに反応することがある。この理由で、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が薬剤(a)中に存在することがある。少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物を使用する場合は、該少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物とその縮合生成物の両方が薬剤(a)中に存在し得る。
【0113】
縮合生成物は、各々が1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2種の有機ケイ素化合物の水の脱離および/またはアルカノールの脱離による反応によって形成される生成物であると理解されたい。縮合生成物は例えば二量体であってもよいが、三量体またはオリゴマーであってもよく、縮合生成物はモノマーと平衡状態である。加水分解において使用または消費される水の量に応じて、平衡はモノマー型の有機ケイ素化合物から縮合生成物にシフトする。
【0114】
特に満足な結果が、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を方法において使用した場合に得られた。既に上述したように、加水分解/縮合は既に微量の水分で開始されるため、有機ケイ素化合物(I)および/または(II)の加水分解および/または縮合生成物もまた、この実施形態に含まれる。
【0115】
[着色化合物(a2)]
薬剤(a)がケラチン物質に適用される場合、1分子あたり1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む有機ケイ素化合物(a1)が、水の存在下で、最初に加水分解され、オリゴマー化または重合される。このようにして形成された加水分解生成物またはオリゴマーは、ケラチン物質の表面に対して特に高い親和性を有する。薬剤(a)に着色化合物(a2)が同時に存在すると、それらが得られたオリゴマーまたはポリマーに統合され、ケラチン物質上に着色フィルムが形成される。薬剤(a)の適用に続いて、薬剤(b)が適用される。したがって、薬剤(a)および(b)を連続して適用すると、外部の影響に対して特に耐性のある着色が生じる。これらの耐性フィルムに閉じ込められた着色剤化合物は、優れた耐洗浄性を示す。
【0116】
したがって、本発明の必須成分(a2)として、該染色方法で使用される薬剤(a)は、少なくとも1種の着色化合物を含む。前記少なくとも1種の着色化合物(a2)は、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有し、該コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む。
【0117】
本発明によるコーティングにより、エフェクト顔料は、着色されるケラチン物質、および有機ケイ素化合物(a1)の助けを借りてケラチン物質上に形成されたフィルムに対して特に高い親和性を示す。
【0118】
したがって、本発明に従ってコーティングされたエフェクト顔料の助けを借りて、ケラチン繊維を特に集中的かつ恒久的に着色できる。
【0119】
エフェクト顔料は基材プレートレットを有する。
【0120】
基材プレートレットは、好ましくは、最大で150nm、好ましくは50nm未満、より好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大で25nm、例えば最大で20nmの平均厚さを有する。基材プレートレットの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。基材プレートレットの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm;2.5~30nm、5~30nm、10~30nm;2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nm、および10~20nmである。好ましくは、各基材プレートレットは、可能な限り均一な厚さを有する。
【0121】
基材プレートレットはモノリシックであることが好ましい。モノリシックは、これとの関連において、割れ、層化または内包物のない単一の自己完結型単位(single self-contained unit)からなることを意味するが、基材プレートレット内で微細構造変化が起こる場合もある。基材プレートレットは、好ましくは構造が均一であり、すなわち、プレートレット内に濃度勾配が生じない。特に、基材プレートレットは層状ではなく、その中に粒子または微粒子が分布していない。
【0122】
基材プレートレットのサイズは、特定の用途、例えばケラチン物質に対する所望の効果に合わせて調整することができる。典型的には、基材プレートレットは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大径を有する。
【0123】
好ましい実施形態では、平均厚さに対する平均寸法(サイズ)の比で示される形状係数(アスペクト比)は少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、特に好ましくは750を超える。コーティングなしの基材プレートレットの平均サイズは該コーティングなしの基材プレートレットのd50値である。特に記載のない限り、d50値は、Sympatec Helos装置を用いてquixel湿式分散により測定した。試料を調製するため、分析対象の試料をイソプロパノール中に3分間、予備分散させた。
【0124】
基材プレートレットは、プレートレット形状に形成可能な任意の材料で構成できる。
【0125】
基材プレートレットは天然起源のものであり得るが、合成により製造されたものであってもよい。基材プレートレットが構築可能な材料として、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物、ならびに鉱物、例えば雲母および(半)貴石、ならびにプラスチックが挙げられる。好ましくは、基材プレートレットは金属または合金で構成される。
【0126】
エフェクト顔料に適した任意の金属を使用することができる。かかる金属として、鉄およびスチール、ならびに空気および水に耐久性のあるあらゆる(半)金属、例えば白金、スズ、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素ならびにその合金、例えばアルミニウムブロンズおよび真鍮が挙げられる。好ましい金属はアルミニウム、銅、銀および金である。好ましい基材プレートレットとしては、アルミニウムプレートレットおよび真鍮プレートレットが挙げられ、アルミニウム基材プレートレットが特に好ましい。
【0127】
アルミニウム製の基材プレートレットは、とりわけ、アルミニウム箔から打ち抜くことによって、または一般的なミリングおよび霧化技術に従って製造することができる。例えば、アルミニウムプレートレット(フレーク)は、湿式粉砕方法であるホール方法から入手可能である。
【0128】
他の金属プレートレット、例えばブロンズは、Hametag方法などの乾式粉砕方法で得ることができる。
【0129】
基材プレートレットは、異なる形状を有することができる。例えば、ラメラ構造(層状)、または両凸状(レンズ状)金属プレートレットまたはいわゆる真空金属蒸着顔料(VMP)を基材プレートレットとして使用することができる。ラメラ構造の基材プレートレットは、不規則に構造化した縁を特徴とし、外観のために「コーンフレーク(cornflakes)」とも呼ばれる。両凸状基材プレートレットは、規則的な丸い縁を有し、それらの外観のために「1ドル硬貨(silverdollars)」とも呼ばれる。
【0130】
金属または金属合金の基材プレートレットを、例えばアノード酸化(酸化物層)またはクロメート処理によって不動態化してもよい。
【0131】
コーティングは、エフェクト顔料の表面特性および/または光学特性を変化させ、エフェクト顔料の機械的および化学的耐荷重能力を増加させることができる。例えば、基材プレートレットの上側および/または下側のみがコーティングされてもよく、側面は凹んでいる。好ましくは、任意に不動態化した基材プレートレットの側面を含む全面を層によってカバーする。基材プレートレットは、好ましくは、コーティングによって完全に包まれる。
【0132】
コーティングは、1以上の層から構成され得る。好ましい実施形態では、コーティングは、層Aのみを有する。同様に好ましい実施形態では、コーティングは、合計で少なくとも2つ、好ましくは2つまたは3つの層を有する。コーティングが2つの層AおよびBを有し、層Bが層Aとは異なることが好ましい場合がある。好ましくは、層Aは、層Bと基材プレートレットの表面との間に位置する。さらに別の好ましい実施形態では、コーティングは、3つの層A、B、およびCを有する。この実施形態では、層Aは、層Bと基材プレートレットの表面との間に配置され、層Cは、層Bの上に配置され、これは下の層Bとは異なる。
【0133】
少なくとも1つの層、例えば層A、BおよびCに適した材料はすべて基材プレートレットに長期に適用できる物質である。材料は、好ましくはフィルム状で適用可能でなければならない。好ましくは、側面を含む、場合により不動態化された基材プレートレットの表面全体が、少なくとも1つの層によって、例えば層A、または層AおよびB、または層A、BおよびCによって包まれる。
【0134】
少なくとも1つの層は、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製される。
【0135】
本発明には、塩基性基を有する有機ケイ素化合物を少なくとも1つの層の調製に使用することが不可欠である。
【0136】
この塩基性基または塩基性化学官能基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基またはトリアルキルアミノ基であり得、これらは、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に接続されている。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C-Cアルキルアミノ基またはジ(C-C)アルキルアミノ基である。
【0137】
有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランである。
【0138】
非常に特に好ましい実施形態では、エフェクト顔料のコーティングの少なくとも1つの層の湿式化学調製には、1個、2個、または3個のケイ素原子を有するシランから選択される塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用し、前記有機ケイ素化合物は、1分子あたり1つ以上の塩基性化学基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0139】
塩基性基を有する適切な有機ケイ素化合物は、適切な有機ケイ素化合物(a1)として上記に記載された有機ケイ素化合物に対応する。
【0140】
塩基性基を有する有機ケイ素化合物は、式(I)および/または(II)を有することが好ましい:
【化53】
[式中、
・R、Rは独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・Lは直鎖または分岐鎖の、二価のC~C20アルキレン基であり、
・Rは水素原子またはC~Cアルキル基であり、
・RはC~Cアルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは3-aの整数である]
【化54】
[式中、
・R、R’、R’’は独立して、水素原子またはC~Cアルキル基を表し、
・R、R’およびR’’は独立して、C~Cアルキル基を表し、
・A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分枝鎖の二価のC~C20アルキレン基を表し、
・RおよびRは独立して、水素原子、C~Cアルキル基、ヒドロキシC~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、アミノC~Cアルキル基または式(III)の基:
【化55】
〔式中、
・cは1~3の整数を表し、
・dは3-cの整数を表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は3-c’の整数を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は3-c’’の整数を表し、
・eは0または1を表し、
・fは0または1を表し、
・gは0または1を表し、
・hは0または1を表す、
ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なるものとする〕
を表す]。
【0141】
塩基性基を有する有機ケイ素化合物は、好ましくは
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール、および
・それらの混合物
からなる群から選択される。
【0142】
非常に好ましくは、塩基性基を有する有機ケイ素化合物として(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシランおよび/または(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランが使用される。
【0143】
塩基性基および少なくとも1個の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、わずかな量の水の添加でも加水分解が起こる。加水分解物および/または塩基性基および少なくとも1個のヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物および/または金属アルコキシドの加水分解物は、縮合反応において互いに反応し得る。このため、塩基性基および少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物およびそれらの加水分解物および/または縮合物、ならびに金属アルコキシドの加水分解物との縮合物および金属アルコキシドの加水分解物の縮合物は、少なくとも1つの層に含まれ得る。
【0144】
縮合物は、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴った、塩基性基を有し、それぞれが1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2つの有機ケイ素化合物の反応によって形成される生成物のいずれかであると理解される。縮合物は、例えば、二量体だけでなく、三量体またはオリゴマーであり得、縮合物はモノマーと釣り合いが取れている。加水分解で使用または消費される水の量に応じて、平衡はモノマー有機ケイ素化合物から縮合物へとシフトする。
【0145】
縮合物はまた、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴った、1分子あたり塩基性基および少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を金属アルコキシドの加水分解物または縮合物と反応させることにより形成される生成物を意味すると理解される。
【0146】
金属アルコキシドの加水分解生成物の縮合物は、通常、金属酸化物および/または金属酸化物水和物である。
【0147】
酸および/または塩基を使用することにより、加水分解および/または縮合反応は影響を受け得る。例えば、少なくとも1つの層の形成は、厚さ、縮合物の縮合度、縮合物の架橋度、反応速度の点で影響を受け、制御され得る。
【0148】
したがって、少なくとも1つの層は、好ましくは、金属酸化物および/または金属酸化物水和物を含む。
【0149】
塩基性基を有する有機ケイ素化合物がヒドロキシル基または加水分解性基を有さない場合、少なくとも1つの層は、金属酸化物および/または金属酸化物水和物に加えて、塩基性基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0150】
金属酸化物および/または金属酸化物水和物は、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0151】
層Aは、好ましくは、少なくとも1つの低屈折率の金属酸化物および/または金属酸化物水和物を有する。好ましくは、層Aは、少なくとも95重量%の低屈折率の金属酸化物(水和物)を含む。低屈折率の材料は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率を有する。
【0152】
層Aに適した低屈折率の金属酸化物としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、およびそれらの混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。層Aは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、特に好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0153】
層Bは、存在する場合、層Aとは異なり、少なくとも1つの高屈折率の金属酸化物を含み得る。高屈折率材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。好ましくは、層Bは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の高屈折率の金属酸化物を含む。
【0154】
層Bが(高屈折率の)金属酸化物を含む場合、それは好ましくは少なくとも50nmの厚さを有する。好ましくは、層Bの厚さは、400nm以下、より好ましくは300nm以下である。
【0155】
層Bに適した高屈折率の金属酸化物は、例えば選択的に光を吸収する(即ち有色の)金属酸化物、例えば、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe、赤)、酸化コバルト(II)(青)、酸化クロム(III)(緑)、酸化チタン(III)(青、通常は酸化窒化チタンおよび窒化チタンとの混合物として存在する)、酸化バナジウム(V)(橙)、およびそれらの混合物である。また、二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムなどの無色の高屈折率の酸化物も適している。
【0156】
層Bは、層Bの総量に基づいてそれぞれの場合に、好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%の、選択的に吸収する染料を含有してもよい。適切な染料は、金属酸化物コーティングに安定して組み込まれ得る有機染料および無機染料である。本発明の意味での染料は、25℃で0.5g/Lを超える水(760mmHg)への溶解度を有するので、顔料とみなされない。
【0157】
別の態様では、金属酸化物に対し、層Bは、金属粒子担体層の表面に金属粒子が堆積した金属粒子担体層を含んでよい。好ましい実施態様では、金属粒子は、金属粒子担体層の一部を直接覆っている。この実施態様では、エフェクト顔料は、金属粒子が存在しない領域、即ち金属粒子で覆われていない領域を有する。
【0158】
金属粒子担体層は、金属層および/または金属酸化物層を含んでなる。
【0159】
金属粒子担体層が金属層および金属酸化物層を含んでなる場合、これらの層の配置は特に限定されない。
【0160】
金属粒子担体層が金属層を少なくとも含んでなることが好ましい。金属層が、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)および金(Au)から選択される元素を含んでなることが更に好ましい。
【0161】
金属層は、例えば、金属を含有する金属塩溶液にアルカリを添加することにより形成できる。
【0162】
金属粒子担体層が金属酸化物層を含む場合、これは好ましくは二酸化ケイ素を含まない。金属酸化物層は、好ましくは、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)およびCe(セリウム)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含有する。特に好ましくは、金属酸化物層の形態の金属粒子担体層iii)は、Sn、Zn、TiおよびCeの金属酸化物を含有する。
【0163】
金属酸化物層の形態の金属粒子担体層は、例えば、ゾル-ゲル法で、金属酸化物の金属を形成する金属のアルコキシドを加水分解することによって製造できる。
【0164】
金属層の厚さは、好ましくは30nm以下である。
【0165】
金属粒子は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、金(Au)、およびそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい。金属粒子は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)および銀(Ag)から選択される少なくとも1種の元素を含むことが特に好ましい。
【0166】
金属粒子の平均粒子径は、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。金属粒子間の距離は、10nm以下であることが好ましい。
【0167】
金属粒子の好適な形成方法として、真空蒸着、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、無電解めっき等が挙げられる。これらの方法の中でも、無電解めっきが特に好ましい。
【0168】
好ましい実施態様では、エフェクト顔料は、下部の層Bとは異なる、金属酸化物(水和物)を含む、層Cを更に有する。適切な金属酸化物としては、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)が挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0169】
層Cは好ましくは、10~500nm、より好ましくは50~300nmの厚さを有する。
【0170】
エフェクト顔料のコーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物から湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を有する。
【0171】
金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して調製された少なくとも1つの層は、層A、Bおよび/またはCであってよい。コーティングが層Aのみを有する場合、層Aは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して調製されている。
【0172】
エフェクト顔料のコーティングが2つの層AおよびBを有する場合、層Bは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して調製されている。
【0173】
コーティングが層A、BおよびCを有する場合、層Cは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して調製されている。
【0174】
エフェクト顔料は、アルミニウム製の基材プレートレットと、シリコンアルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して調製された層Aを含むことが好ましい。基材プレートレットに基づくエフェクト顔料が層Aおよび層Cを有する場合、エフェクト顔料は、アルミニウム製の基材プレートレット、シリカを含む層Aおよび層Cを有することが好ましく、ここでシリコンアルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して該層Cが調製された。
【0175】
湿式化学コーティング法で使用される金属アルコキシドは、好ましくは、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるシリコンアルコキシドであり、テトラエチルオルトシリケートが好ましい。
【0176】
あるいは、アルミニウムトリイソプロパノエートまたはアルミニウムトリ-sec-ブタノレートなどのアルミニウムアルコキシド、ジルコニウムプロピレートなどのジルコニウムアルコキシド、またはチタンテトラエチラート(テトラエチルオルトチタネート)またはチタンテトライソプロパノレート(テトライソプロピルオルトチタネート)などのチタンアルコキシドを使用できる。
【0177】
あるいは、またはテトラアルコキシシランに加えて、アルキルトリアルコキシシランを湿式化学コーティング法で使用して、少なくとも1つの層、例えば、層AまたはCを生成してよい。
【0178】
適当なアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、および/またはオクタデシルトリエトキシシランが挙げられる。
【0179】
したがって、少なくとも1つの層は、アルキルトリアルコキシシランの加水分解物および/または縮合物をさらに含む場合がある。縮合物は、2つ以上のアルキルトリアルコキシシランの縮合生成物、加水分解によるアルキルトリアルコキシシランの縮合物、および/または塩基性基を有し、1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の縮合物、および/または加水分解によるアルキルトリアルコキシシランの縮合物、および/または金属アルコキシドの縮合物を含み得る。
【0180】
塩基性基を有する有機ケイ素化合物がヒドロキシル基または加水分解性基を有さない場合、少なくとも1つの層は、金属酸化物および/または金属酸化物水和物および塩基性基を有する有機ケイ素化合物に加えて、アルキルトリアルコキシシランの加水分解物および/または縮合物をさらに含む。
【0181】
製造方法の好ましい実施形態では、工程(α)で使用される基材プレートレットが、金属酸化物および/または金属酸化物水和物の少なくとも1つの層ですでにコーティングされている。
【0182】
例示的な調製方法は、テトラエチルオルソシリケートまたはアルミニウムトリイソプロパノレートなどの金属アルコキシドの溶液(通常、有機溶媒の溶液、またはC-Cアルコールなどの有機溶媒を少なくとも50重量%含む有機溶媒と水との混合物の溶液)中に、コーティングされていない基材プレートレット、または層Aまたは層AおよびBで既にコーティングされた基材プレートレットおよび少なくとも1つの塩基性基を有する有機ケイ素化合物を分散させること、および、弱塩基または弱酸を加えて金属アルコキシドを加水分解することにより、(コーティングされた)基材プレートレットの表面に金属酸化物および顔料からなる群から選択される着色化合物のフィルムを形成することを含む。
【0183】
層Bは、例えば、1つ以上の有機金属化合物の加水分解により、および/または1つ以上の溶解金属塩の沈殿、並びに後続の後処理(例えば、形成された水酸化物含有層のアニールによる酸化物層への移行)により製造できる。
【0184】
湿式化学法は、好ましくは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物が使用されるゾルゲル法である。
【0185】
2つ以上の金属アルコキシドの混合物を使用して少なくとも1つの層、好ましくは層Aおよび/またはCを生成できるが、少なくとも1つの層を生成するために、それぞれの場合において、1つの金属の金属アルコキシドのみ、例えばシリコンアルコキシドのみまたはアルミニウムアルコキシドのみを使用することが好ましい。
【0186】
少なくとも1つの層を生成するためにゾルゲル法で使用される金属アルコキシドは、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましく、テトラエチルオルトシリケートが好ましい。
【0187】
エフェクト顔料の少なくとも1つの層が、顔料の群からの着色化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0188】
層Aおよび層Cは、腐食保護および化学的および物理的安定化として機能する。特に好ましくは、層Aおよび層Cは、ゾルゲル法によって適用された二酸化ケイ素または酸化アルミニウムを含む。
【0189】
コーティングされた基材プレートレットに基づくエフェクト顔料は、好ましくは70~500nm、特に好ましくは100~400nm、特に好ましくは150~320nm、例えば180~290nmの厚さを有する。コーティングされた基材プレートレットの小さい厚さは、コーティングされていない基材プレートレットの厚さを小さく保つことにより、また、コーティングAおよび存在する場合はコーティングCの厚さを可能な限り小さい値に調整することにより、達成される。
【0190】
α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料の、ケラチン物質における、接着性および耐摩耗性は、最外層、構造に応じて、層A、B、またはCを、シラン、リン酸エステル、チタン酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸などの有機化合物でさらに修飾することにより、大幅に増加させることができる。この場合、有機化合物は、最外層の、好ましくは金属酸化物含有の、層A、層Bまたは層Cの表面に結合している。最外層とは、基材プレートレットから空間的に最も離れた層を示す。有機化合物は、好ましくは、金属酸化物含有層A、BまたはCに結合し得る官能性シラン化合物である。これらは単官能性または二官能性化合物のいずれであってもよい。二官能性有機化合物の例は、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(プロポキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシエトキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、またはフェニルアリルジクロロシランである。さらに、単官能性シラン、アルキルシランまたはアリールシランによる修飾を行うことができる。これは、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含むエフェクト顔料の表面に(すなわち、最も外側の金属酸化物(水和物)含有層に)、または完全に覆われていない場合は、金属表面に、共有結合された1つの官能基のみを有する。シランの炭化水素基は、顔料から離れた方向を向いている。シランの炭化水素基の種類と性質に応じて、顔料のさまざまな程度の疎水性が達成される。そのようなシランの例は、ヘキサデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランなどである。特に好ましいのは、単官能シランで表面変性されたシリカでコーティングされたアルミニウム基材プレートレットに基づくエフェクト顔料である。オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘカデシルトリメトキシシランおよびヘカデシルトリエトキシシランが特に好ましい。変更された表面特性/疎水化に起因して、適用における接着性、耐摩耗性およびアライメント(alignment)の向上を達成できる。
【0191】
そのような表面改質を伴うエフェクト顔料は、使用される有機ケイ素化合物および/またはそれらの縮合物または重合生成物とのより良好な適合性を示すことが示されている。
【0192】
薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して1種以上のエフェクト顔料を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含む場合に特に満足な結果を得ることができた。
【0193】
エフェクト顔料に加えて、薬剤(a)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択されるさらなる着色化合物(a2)を含んでもよい。
【0194】
この文脈では、顔料の使用が特に好ましいことが証明されている。
【0195】
別の非常に特に好ましい実施形態では、方法は、薬剤(a)が顔料の群からの少なくとも1種のさらなる着色剤化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0196】
本発明の意味の範囲に含まれる顔料は、25℃において0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、なおより好ましくは0.05g/L未満の水への溶解度を有する着色化合物である。水への溶解度は、例えば下記の方法によって測定できる:0.5gの顔料をビーカー内に量り入れる。攪拌子を添加する。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物を、磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで1時間加熱する。この期間後、顔料の未溶解成分が混合物中にまだみられる場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細分散された顔料の高強度のため顔料-水の混合物を視認的に評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解顔料が濾紙上に残存している場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0197】
好適な着色顔料は無機および/または有機起源のものであり得る。
【0198】
好ましい一実施形態において、方法は、薬剤(a)が、無機顔料および/または有機顔料からなる群からの少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0199】
好ましい顔料は合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機顔料は、例えば、胡粉、黄土、琥珀、緑土、赤土(fired Terra di Siena)またはグラファイトから製造できる。さらに、黒色顔料、例えば黒色酸化鉄、着色顔料、例えばウルトラマリンまたは赤色酸化鉄および蛍光またはリン光顔料が無機顔料として使用できる。
【0200】
特に好適であるのは、有色の金属酸化物、水酸化物および酸化物の水和物、混相顔料、含硫シリケート、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、クロメートおよび/またはモリブデートである。特に好ましい顔料は黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、アイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)および/またはカーマイン(コチニール)である。
【0201】
また、特に好ましい顔料は、有色の真珠光沢顔料である。このようなものは通常、雲母(Mica)および/または雲母ベース(Glimmerbasis)であり、1種以上の金属酸化物でコーティングされ得る。雲母は層状シリケートに属する。このようなシリケートのうち最も重要な代表例はマスコバイト、フロゴパイト、パラゴナイト、黒雲母、鱗雲母および真珠雲母である。金属酸化物との組合せでの真珠光沢顔料を製造するためには、雲母、マスコバイトまたはフロゴパイトを金属酸化物でコーティングする。
【0202】
天然雲母の代替として1種以上の金属酸化物でコーティングした合成雲母もまた真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成雲母ベースのものであり、上記の金属酸化物のうちの1種以上でコーティングされる。それぞれの顔料の色彩は、金属酸化物(複数可)の層の厚さを変えることにより変更することができる。
【0203】
また、好ましい雲母ベース顔料は、金属酸化物でコーティングされた、合成フルオロフロゴパイト(INCI:合成フルオロフロゴパイト)ベースの合成により製造された雲母プレートレットである。合成フルオロフロゴパイトプレートレットは、例えば酸化スズ、酸化鉄(複数可)および/または二酸化チタンでコーティングされる。金属酸化物層に顔料、例えばヘキサシアニド鉄酸鉄(II/III)またはカーマインレッドをさらに含んでよい。かかる雲母顔料は、例えばSYNCRYSTALの名称でEckartから入手可能である。
【0204】
したがって、好ましい方法は、薬剤(a)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、ブロンズ顔料の群および/または少なくとも1種の金属酸化物および/または金属酸塩化物でコーティングされた有色の雲母または雲母ベース顔料の群から選択される顔料の群からの少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0205】
さらなる好ましい一実施形態において、方法は、薬剤(a)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/またはアイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)からなる群からの1種以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される顔料の群からの少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0206】
他の好適な顔料は、金属酸化物コートプレートレット形状ボロシリケートベースのものである。このようなものは、例えば酸化スズ、酸化鉄(複数可)、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンでコーティングされる。かかるボロシリケートベース顔料は、例えばMIRAGEという名称でEckartから、またはReflecksという名称でBASF SEから入手可能である。
【0207】
特に好適な顔料の例は、商品名Rona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)でMerckから、Ariabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)でSensientから、Prestige(登録商標)でEckart Cosmetic Colorsから、Flamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、ChioneでBASF SEから、およびSunshine(登録商標)でSunstarから市販されているものである。
【0208】
商品名Colorona(登録商標)を有する非常に特に好ましい顔料は、例えば:
Colorona Copper,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)、アルミナ
Colorona Patina Silver,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY,Merck,CI 77891(二酸化チタン)、雲母,CI 75470(CARMINE)
Colorona Oriental Beige,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue,Merck,雲母、二酸化チタン、フェロシアン化第二鉄
Colorona Chameleon,Merck,CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Aborigine Amber,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue,Merck,CI 77499(酸化鉄)、雲母
Colorona Patagonian Purple,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77510(フェロシアン化第二鉄)
Colorona Red Brown,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet,Merck,CI 77491(二酸化チタン)、雲母,CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red,Merck,雲母、二酸化チタン(CI 77891)、D&C RED NO.30(CI 73360)
Colorona Majestic Green,Merck,CI 77891(二酸化チタン)、雲母,CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue,Merck,雲母、二酸化チタン(CI 77891)、フェロシアン化第二鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25,Merck,雲母、二酸化チタン(CI 77891)、酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red,Merck,雲母、二酸化チタン、カーマイン
Colorona Blackstar Green,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine,Merck,CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Sienna,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、CI 77491(酸化鉄)、酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29,Merck,雲母、二酸化チタン、酸化鉄、雲母,CI 77891、CI 77491(EU)
Colorona Mica Black,Merck,CI 77499(酸化鉄)、雲母,CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)
Colorona SynCopper,Merck,合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
Colorona SynBronze,Merck,合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
である。
【0209】
商品名Xirona(登録商標)を有するさらに特に好ましい顔料は、例えば:
Xirona Golden Sky,Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Caribbean Blue,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、酸化スズ
Xirona Kiwi Rose,Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Magic Mauve,Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Le Rouge,Merck,酸化鉄(および)シリカ
である。
【0210】
また、商品名Unipure(登録商標)を有する特に好ましい顔料は、例えば:
Unipure Red LC 381 EM,Sensient CI 77491(酸化鉄)、シリカ
Unipure Black LC 989 EM,Sensient,CI 77499(酸化鉄)、シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM,Sensient,CI 77492(酸化鉄)、シリカ
である。
【0211】
また、商品名Flamenco(登録商標)を有する特に好ましい顔料は、例えば:
Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D,BASF,二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z,BASF,雲母(および)二酸化チタン
である。
【0212】
さらなる実施形態では、該方法で使用される薬剤(a)はまた、有機顔料の群からの1種以上の着色化合物(a2)を含有し得る。
【0213】
有機顔料は、相応して不溶性の有機系の染料または着色剤であり、例えば、ニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピオロール(diketopyrrolopyorrole)、インジゴ、チオインジド(thioindido)、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物の群から選択され得る。
【0214】
特に好適な有機顔料の例はカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料である。
【0215】
別の特に好ましい実施形態において、該方法は、薬剤(a)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびその混合物からなる群より選択される有機顔料の群からの少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0216】
また、有機顔料は着色塗料であってもよい。本発明の意味において、着色ラッカーという用語は吸着された染料の層を含む粒子を意味し、この粒子と染料のユニットは上記の条件下で不溶性である。粒子は例えば無機基材であってよく、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸アルミニウムカルシウムであってよく、またはアルミニウムであってもよい。
【0217】
例えば、アリザリン着色ワニスを使用できる。
【0218】
顔料の群からの他の適切な着色剤(a2)は、ポリマーで修飾された無機および/または有機顔料である。ポリマー修飾は、例えば、少なくとも1つの層のそれぞれの物質に対する顔料の親和性を高めることができる。
【0219】
さらなる着色化合物(a2)として、金属光沢顔料などの他のエフェクト顔料も使用することができる。
【0220】
エフェクト顔料として、例えば、ラメラ構造の基材プレートレットベースの顔料、レンズ状基材プレートレットベースの顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む基材プレートレットベースの顔料が挙げられ得る。
【0221】
適切なエフェクト顔料として、例えば、Schlenk Metallic Pigments製のAlegrace(登録商標)Marvelous、Alegrace(著作権)GorgeousまたはAlegrace(登録商標)Aurous顔料が挙げられる。
【0222】
また、適切なエフェクト顔料は、アルミニウムまたは銅/亜鉛含有金属合金をベースとする、SILVERDREAMシリーズのアルミニウムベースの顔料およびEckart製のVISIONAIREシリーズの顔料である。
【0223】
他の好適なエフェクト顔料は、金属酸化物コートプレートレット形状ボロシリケートベースのものである。このようなものは、例えば酸化スズ、酸化鉄(複数可)、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンでコーティングされる。かかるボロシリケートベース顔料は、例えばMIRAGEという名称でEckartから、またはReflecksという名称でBASF SEから入手可能である。
【0224】
方法のさらなる実施形態において、薬剤(a)はまた、有機顔料からなる群から選択される1つ以上の着色剤化合物を含んでよい。
【0225】
その優れた光安定性および温度安定性のため、上記の顔料を薬剤(a)に使用することが特に好ましい。また、使用される顔料が、ある特定の粒子サイズを有する場合が好ましい。この粒子サイズは、一方において、形成されたポリマーフィルム中における顔料の一様な分布をもたらし、他方において、化粧料製品の適用後の髪または肌のざらざら感を回避する。したがって、本発明によれば、該少なくとも1種の顔料が、1~50μm、好ましくは5~45μm、好ましくは10~40μm、14~30μmの平均粒子サイズD50を有する場合が好都合である。平均粒子サイズD50は、例えば動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0226】
さらに好ましい実施形態では、該方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して、顔料の形態の1種以上のさらなる着色化合物(複数可)(a2)を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含有することを特徴とする。
【0227】
さらなる着色化合物(複数可)(a2)として、該方法に使用される薬剤(a)はまた、1種以上の直接染料を含有してもよい。直接作用染料は、毛髪に直接塗り、色形成のための酸化的方法を必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン類、トリアリールメタン染料またはインドフェノールである。
【0228】
本発明の意味の範囲に含まれる直接染料は、25℃(760mmHg)において0.5g/Lより高い水への溶解度を有するものであり、したがって顔料とみなされるものではない。
【0229】
好ましくは、本発明の意味の範囲に含まれる直接染料は、25℃(760mmHg)において1g/Lより高い水への溶解度を有する。
【0230】
直接染料は、アニオン直接染料、カチオン直接染料および非イオン性直接染料に分けることができる。
【0231】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)がさらなる着色化合物(a2)として少なくとも1種のアニオン直接染料、カチオン直接染料および/または非イオン性直接染料を含むことを特徴とする。
【0232】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)が、アニオン直接染料、非イオン性直接染料および/またはカチオン直接染料からなる群からの少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0233】
好適なカチオン直接染料として、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックバイオレット2およびベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー57、ベーシックレッド76、ベーシックブルー16、ベーシックブルー347(カチオンブルー347/ダイスター)、HCブルーNo.16、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド51、ベーシックレッド76が挙げられる。
【0234】
非イオン性直接染料として、非イオン性のニトロ染料およびキノン染料ならびに中性アゾ染料が使用できる。好適な非イオン性直接染料は、国際指定呼称または商品名HCイエロー2、HCイエロー4、HCイエロー5、HCイエロー6、HCイエロー12、HCオレンジ1、ディスパースオレンジ3、HCレッド1、HCレッド3、HCレッド10、HCレッド11、HCレッド13、HCレッドBN、HCブルー2、HCブルー11、HCブルー12、ディスパースブルー3、HCバイオレット1、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースブラック9で列挙される既知化合物のもの、ならびに1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2’-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸ならびに2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノールである。
【0235】
本発明に至る研究の過程において、少なくとも1種のアニオン直接染料を含有している薬剤(a)により、特に高い色彩強度の染色が製造され得ることがわかった。
【0236】
したがって、明白に相当に特に好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)がさらなる着色化合物(a2)として少なくとも1種のアニオン直接染料をさらに含むことを特徴とする。
【0237】
アニオン直接染料は酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)および/または1つのスルホン酸基(-SOH)を有する直接染料である。pH値に応じて、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SOH)は、その脱プロトン化形態(-COO、-SO-で存在)と平衡状態になる。プロトン化形態の割合はpHの低下にともなって増大する。直接染料がその塩の形態で使用される場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、対応する化学量論当量のカチオンで中和され、電気的中性が維持される。また、酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはカリウム塩の形態で使用できる。
【0238】
本発明の意味の範囲に含まれる酸性染料は、25℃で(760mmHg)の水中で、0.5g/Lを超える溶解度を有するものであり、したがって顔料とみなされるものではない。好ましくは、本発明の意味の範囲に含まれる酸性染料は、25℃で(760mmHg)の水中で1g/Lを超える溶解度を有する。
【0239】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、多くの場合、対応するアルカリ塩より低い溶解度を有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L(25℃、760mmHg)未満である場合は直接染料の定義に含まれない。
【0240】
酸性染料の必須の特徴はアニオン電荷形成能であり、このとき、これを担うカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、異なる発色団系に連結される。好適な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見出すことができる。
【0241】
一実施形態の文脈において、ケラチン物質を染色するための方法は、したがって、薬剤(a)が、さらなる着色化合物(a2)として、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン直接染料をさらに含み、上記の群に由来する染料は各々、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SOH)、スルホン酸ナトリウム基(-SONa)および/またはスルホン酸カリウム基(-SOK)を含有することを特徴とするものが好ましい。
【0242】
例えば、以下の群からの1種以上の化合物を、特によく適した酸性染料として選択することができる:アシッドイエロー1(D&Cイエロー7、Citronin A、Ext.D&CイエローNo.7、ジャパンイエロー403、CI 10316、COLIPA n B001)、アシッドイエロー3(COLIPA n°:C 54、D&CイエローN 10、Quinoline Yellow、E104、食用黄色13号)、アシッドイエロー9(CI 13015)、アシッドイエロー17(CI 18965)、アシッドイエロー23(COLIPA n C 29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、食用黄色4号、ジャパンイエロー4、FD&CイエローNo.5)、アシッドイエロー36(CI 13065)、アシッドイエロー121(CI 18690)、アシッドオレンジ6(CI 14270)、アシッドオレンジ7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&Cオレンジ4、COLIPA n° C015)、アシッドオレンジ10(C.I.16230;Orange G sodium salt)、アシッドオレンジ11(CI 45370)、アシッドオレンジ15(CI 50120)、アシッドオレンジ20(CI 14600)、アシッドオレンジ24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;D&CブラウンNo.1;Brown No.201;RESORCIN BROWN;アシッドオレンジ24;ジャパンブラウン201;D&C ブラウン No.1)、アシッドレッド14(C.I.14720)、アシッドレッド18(E124、Red 18;CI 16255)、アシッドレッド27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Real red D、FD&CレッドNr.2、食用赤色9号、Naphthol red S)、アシッドレッド33(Red 33、Fuchsia Red、D&Cレッド33、CI 17200)、アシッドレッド35(CI C.I.18065)、アシッドレッド51(CI 45430、Pyrosin B、テトラヨードフロオレセイン、Eosin J、Iodeosin)、アシッドレッド52(CI 45100、食用赤色106号、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n° 106 Pontacyl Brilliant Pink)、アシッドレッド73(CI 27290)、アシッドレッド87(Eosin、CI 45380)、アシッドレッド92(COLIPA n° C53、CI 45410)、アシッドレッド95(CI 45425、Erythtosine、Simacid Erythrosine Y)、アシッドレッド184(CI 15685)、アシッドレッド195、アシッドバイオレット43(Jarocol Violet 43、Ext.D&Cバイオレットn° 2、C.I.60730、COLIPA n° C063)、アシッドバイオレット49(CI 42640)、アシッドバイオレット50(CI 50325)、アシッドブルー1(Patent Blue、CI 42045)、アシッドブルー3(Patent Blue V、CI 42051)、アシッドブルー7(CI 42080)、アシッドブルー104(CI 42735)、アシッドブルー9(E 133、Patent Blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I.食用青色2号、アシッドブルー62(CI 62045)、アシッドブルー74(E 132、CI 73015)、アシッドブルー80(CI 61585)、アシッドグリーン3(CI 42085、食用緑色1号)、アシッドグリーン5(CI 42095)、アシッドグリーン9(C.I.42100)、アシッドグリーン22(C.I.42170)、アシッドグリーン25(CI 61570、ジャパングリーン201、D&CグリーンNo.5)、アシッドグリーン50(Brilliant Acid Green BS、C.I.44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、アシッドブラック1(Black n 401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n B15)、アシッドブラック52(CI 15711)、食用黄色8号(CI 14270)、食用青色5号、D&Cイエロー8、D&Cグリーン5、D&Cオレンジ10、D&Cオレンジ11、D&Cレッド21、D&Cレッド27、D&Cレッド33、D&Cバイオレット2および/またはD&Cブラウン1。
【0243】
例えば、アニオン直接染料の水への溶解度は以下のようにして測定できる。0.1gのアニオン直接染料をビーカー内に入れる。攪拌子を添加する。次いで100mlの水を添加する。この混合物を磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。まだ未溶解残渣がある場合、水の量を、例えば10mlずつ増やす。使用した量の染料が完全に溶解するまで水を添加する。染料-水混合物が染料の高強度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解染料が濾紙上に残存している場合、水の量をより多くして溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン直接染料が25℃において100mlの水に溶解する場合、染料の溶解度は1g/Lである。
【0244】
アシッドイエロー1は8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、水への溶解度は少なくとも40g/L(25℃)である。
【0245】
アシッドイエロー3は2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸のナトリウム塩とジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、水への溶解度は20g/L(25℃)である。
【0246】
アシッドイエロー9は8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より高い。
【0247】
アシッドイエロー23は4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃で水に非常に溶けやすい。
【0248】
アシッドオレンジ7は4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩である。その水への溶解度は7g/L(25℃)より高い。
【0249】
アシッドレッド18は7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホン酸三ナトリウム塩であり、水への溶解度は顕著に高く20重量%より高い。
【0250】
アシッドレッド33は5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホン酸二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2,5g/L(25℃)である。
【0251】
アシッドレッド92は3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より高いと示されている。
【0252】
アシッドブルー9は2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩であり、水への溶解度は20重量%(25℃)より高い。
【0253】
したがって、非常に好ましい方法は、薬剤(a)が、アシッドイエロー1、アシッドイエロー3、アシッドイエロー9、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、アシッドイエロー36、アシッドイエロー121、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ10、アシッドオレンジ11、アシッドオレンジ15、アシッドオレンジ20、アシッドオレンジ24、アシッドレッド14、アシッドレッド27、アシッドレッド33、アシッドレッド35、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド95、アシッドレッド184、アシッドレッド195、アシッドバイオレット43、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー7、アシッドブルー104、アシッドブルー9、アシッドブルー62、アシッドブルー74、アシッドブルー80、アシッドグリーン3、アシッドグリーン5、アシッドグリーン9、アシッドグリーン22、アシッドグリーン25、アシッドグリーン50、アシッドブラック1、アシッドブラック52、食用黄色8号、食用青色5号、D&Cイエロー8、D&Cグリーン5、D&Cオレンジ10、D&Cオレンジ11、D&Cレッド21、D&Cレッド27、D&Cレッド33、D&Cバイオレット2および/またはD&Cブラウン1からなる群より選択されるアニオン直接染料の群からの少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0254】
直接染料(複数可)、特にアニオン直接染料は、所望の色彩強度に応じて薬剤(a)中にいろいろな量で使用できる。薬剤(a)が、その総重量に対して1種以上の直接染料をさらなる着色化合物(a2)として0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含む場合、特に満足な結果を得ることができた。
【0255】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して1種以上の直接染料をさらなる着色化合物(a2)として0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に好ましくは0.5~4.5重量%の総量でさらに含むことを特徴とする。
【0256】
[シリコーンポリマー(a3)]
別の非常に特に好ましい実施形態において、該方法に使用される薬剤(a)は少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)をさらに含む。
【0257】
シリコーンポリマーは、あるいは略してシリコーンと称される場合もあり、ポリ(オルガノ)シロキサンであると理解されたい。シリコーンポリマーは、ケイ素原子が酸素原子を介して連結された一群の合成ポリマーである。
【0258】
シリコーンポリマーは少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、反復有機単位を含む巨大分子である。
【0259】
シリコーンポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、一部において重合方法によって決定される。本発明の目的のためには、シリコーンポリマーの最大分子量が10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下である場合が好ましい。
【0260】
シリコーンポリマーは多くのSi-O繰り返し単位を含み、Si原子は、有機基、例えばアルキル基または置換アルキル基を有していてもよい。
【0261】
シリコーンポリマーは、高い分子量に対応して、10個より多くのSi-O繰り返し単位、好ましくは50個より多くのSi-O繰り返し単位、より好ましくは100個より多くのSi-O繰り返し単位、最も好ましくは500個より多くのSi-O繰り返し単位に基づくものである。
【0262】
したがって、薬剤(a)に含まれるシリコーンポリマー(a3)は、同じく薬剤(a)に含まれるシラン(a1)とは異なる。
【0263】
一実施形態との関連において、ケラチン物質を染色するための方法は、したがって、薬剤(a)が:
(a3)少なくとも1種のシリコーンポリマー
を含むことを特徴とするものが好ましい。
【0264】
本発明に至る研究において、シリコーンポリマー(a3)を薬剤(a)に組み込むことによって髪の手触りの改善がもたらされることがわかった。
【0265】
有機ケイ素化合物(シラン)(a1)のオリゴマー化またはポリマー化によって生成されるフィルムは、特に、一方においてケラチン物質の感触および他方において該フィルムの持続性に対して有害な効果を有することがあり得る多量のシラン(a1)を使用した場合、ある程度の固着性または柔軟性すら示し得る。この理論に拘束されないが、薬剤(a)中のシラン(a1)とシリコーンポリマー(a3)の併用適用によってこの2つの成分の互いとの反応または相互作用がもたらされると考えられる。シランおよびシリコーンポリマーを一緒に使用した場合、先に記載のようにシランがフィルムを形成し、このフィルム中にシリコーンポリマーが組み込まれるか、またはこのフィルムにシリコーンポリマーが凝集するかのいずれかであることがわかった。このようにして形成されるフィルムは、よりずっとしなやかで、柔軟性で、持続性があり、脆性が低いものになる。
【0266】
したがって、薬剤(a)によってもたらされるフィルムのレオロジー特性は、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)の添加によって改善され得ることが観察された。シリコーンポリマー(a3)の存在下では、フィルムはより強固またはより硬質となり、べたつきが少なく、よりなめらかで、より感じのよい外観を有するカラーリングされたケラチン物質が得られた。さらに、また、フィルムの強度が高いほどケラチン物質の堅牢特性に対して、特に摩擦堅牢特性に対してプラスの効果を有した。染色されたフィルムは、櫛、ブラシおよび繊維製品と接触したとき、より耐久性となるため、このようなアイテムと接触したとき低磨耗を示した。
【0267】
ある特定のシリコーンポリマー(a3)を使用した場合、上記の利点が特に顕著であった。したがって、該方法に使用される薬剤(a)に少なくとも1種のアルコキシ修飾シリコーンポリマーおよび/または少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含む場合が特に好ましいことがわかった。
【0268】
一実施形態との関連において、ケラチン物質を染色するための方法は、したがって、薬剤(a)が:
(a3)少なくとも1種のアルコキシ修飾および/またはアミノ修飾シリコーンポリマー
を含むことを特徴とするものが好ましい。
【0269】
別の好ましい一実施形態において、方法は、薬剤(a)が、少なくとも1種のアルコキシ修飾シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0270】
アルコキシ修飾シリコーンは、その構造が少なくとも1つのアルコキシ構造単位を含むシリコーンである。このアルコキシ構造単位は例えばアルコキシ基であり得る。アルコキシ基はC~C10アルコキシ基であると理解されたい。アルコキシ基はシリコーンに対して末端であってもよい(すなわち、例えば、基-O-CHまたは基-O-CH-CHとして存在する)。しかしながら、アルコキシ基自体がさらに置換基を有している場合も等しく本発明に従うものである;この場合、アルコキシ修飾部は、シリコーン上に存在する少なくとも1つの基、例えば(-CH2-CH2-O-)、(-CH2-CH2-CH2-O-)、(-CH(CH3)-CH2-O-)、(-CH2-CH(CH3)-CH2-O-)または(-CH2-CH2-CH2-CH2-O-)などであると理解されたい。好ましくは、アルコキシ修飾シリコーン(A)は少なくとも1つの基(-CH2-CH2-O-)および/または(-CH2-CH2-CH2-O-)を有している。
【0271】
アルコキシ基はシリコーンに炭素原子または酸素原子のいずれかによって連結されてもよく、例えば、シリコーンは、式(S-a)、(S-b)、(S-c)および/または(S-d)の構造単位を有するものであってもよい:
【化56】
【0272】
アルコキシ修飾シリコーンポリマー(a3)が1つより多くのアルコキシ基を有している場合、すなわち、シリコーンポリマー(a3)がポリアルコキシル化型である場合が特に好ましい。ポリアルコキシル化シリコーンは、構造単位として、ポリオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基(すなわち、[-CH2-CH2-O-]の型の基)および/またはポリオキシプロピレン基(すなわち、[-CH(CH3)-CH2-O-]および/または[-CH2-CH2-CH2-O-]の型の基)を有している。好ましくは、シリコーンポリマー内のポリオキシアルキレン単位の数は少なくとも2である。したがって、mは2以上の整数である。
【0273】
特に好ましくは、アルコキシ修飾シリコーン(a3)は非イオン性シリコーンである。非イオン性シリコーンは正電荷も負電荷も有していない。
【0274】
非常に特に好適なポリアルコキシル化シリコーン(a3)は、少なくとも1つの式(S-I):
【化57】
[式中
nは2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、さらにより好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数値12である]
の構造単位を含む。
【0275】
上記の式においてアスタリスクで示した位置は、対応する結合の結合に使用されていない原子価を表し、このとき、該結合はさらなるSi原子、さらなるO原子および/またはさらなるC原子に対するものであり得る。
【0276】
一実施形態との関連において、ケラチン物質を染色するための方法は、したがって、薬剤(a)が、(a3)少なくとも1つの式(S-I)の構造単位を含む少なくとも1種のシリコーンポリマーを含むことを特徴とするものが好ましい:
【化58】
[式中
nは2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、さらにより好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数値12である]
【0277】
好ましいアルコキシ修飾シリコーンポリマー(a3)の一例は、1つ以上の一般式(S-I)の構造単位に加えて、式(S-I)の単位と構造的に異なるさらなる構造単位を含んでよい。特に好ましくは、アルコキシ修飾シリコーンポリマーは1つ以上のジメチルシロキサン単位をさらに含む。シリコーンは、直鎖であるか分枝鎖であるかに応じて、2つ(直鎖シリコーンの場合)またはそれより多く(分枝鎖シリコーンの場合)末端基を有する。シリコーンポリマー(a3)が、各場合においてトリメチルシリルオキシ基(すなわち、基-O-Si(CH)を末端基として有する場合が特に好都合であることがわかった。
【0278】
さらなる特に好ましい一実施形態において、該方法は、したがって、薬剤(a)が、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV):
【化59】

の構造単位で構成される少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含み、
式中、nは、各構造単位(S-I)において独立して、各場合において、2~20の整数、好ましくは4~18の整数、より好ましくは6~16の整数、さらにより好ましくは8~14の整数、最も好ましくは数値12を表す
ことを特徴とする。
【0279】
式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV)の構造単位で構成されるシリコーンポリマー(a3)は、これとの関連において、(各場合において1つ以上の)式(S-I)、(S-II)、(S-III)および(S-IV)の構造単位を排他的に有するシリコーンを意味すると理解されたい。ここで、該シリコーンはまた、その各々はその数値nで区別される異なる構造単位の式(S-I)も含み得る。
【0280】
構造単位内のアスタリスクで示した位置は各々、その他の構造単位との連結点を表す。例えば、式(S-I)、式(S-II)、式(S-III)および式(S-IV)の構造単位で構成される非常に特に好ましいシリコーンポリマー(a3)の一例は以下の構造を有してよい:
【化60】
ここで、xおよびyはシリコーンの所望の分子量に応じて選択され、nは、本発明に従う上記の好ましい整数または特に好ましい整数のうちの1つを表す。
【0281】
低分子量アルコキシ修飾シリコーンおよび高分子量アルコキシ修飾シリコーンのどちらもシリコーンポリマー(a3)として使用できる。特に有益な効果は、800~10,000g/mol、好ましくは1,000~9,000g/mol、さらに好ましくは2,000~8,000g/mol、特に好ましくは2,500~5,000g/molのモル質量を有するシリコーンポリマー(a3)で観察された。
【0282】
特に適切なシリコーンポリマーとして:
Evonik製のAbil B 8843、PEG-14ジメチコン
Dow Corning社によるXiameter OFX 0193 Fluid、PEG-12ジメチコン
が挙げられる。
【0283】
さらに、特に満足な結果は、アミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含む薬剤(a)を方法において使用した場合でも得られた。アミノ修飾シリコーンポリマーはあるいはアミノ官能性付与シリコーンポリマー、また、アミノシリコーンと称される場合もある。
【0284】
別の好ましい実施形態において、該方法は、薬剤(a)が少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0285】
薬剤(a)は、1種以上の異なるアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含有してもよい。かかるシリコーンは、例えば式(S-V):
【化61】
によって特徴付けられ得る。上記式中、Rは、炭化水素または1~約6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式-RHZの極性基(ここで、Rは、水素に結合した二価結合基であり、基Zは、炭素原子および水素原子、炭素原子、水素原子および酸素原子、または炭素原子、水素原子および窒素原子から構成され、Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機アミノ官能基である)である。「a」は約0~約2の範囲の値を取り、「b」は約1~約3の範囲の値を取る。「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数である。xは、1~約2.000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の範囲の数であり、yは、約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数であり、Mは、先行技術で知られている適切なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである。Rによって表される基の非限定的な例には、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシルなど;アルケニル基、例えばビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリル、アルキルアリルなど;シクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど;フェニル基、ベンジル基、ハロ炭化水素基、例えば、3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニルなど、および、硫黄含有基、例えばメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニルなどが含まれる。好ましくは、Rは、1~約6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、最も好ましくは、Rはメチルである。Rの例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CHCH(CH)CH-、フェニレン、ナフチレン、CHCHSCHCH-、-CHCHOCH-、-OCHCH-、-OCHCHCH-、CHCH(CH)C(O)OCH-、-(CHCC(O)OCHCH-、-C-、-CCH-;および(CHC(O)SCHCH-が含まれる。
【0286】
Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含有する有機アミノ官能基である。Zの1つの式は、NH(CHNHであり、ここで、zは1以上である。Zの別の式は-NH(CH(CHzzNHであり、zおよびzzはいずれも独立して1以上であり、この構造はピペラジニルなどのジアミノ環構造を含む。Zは最も好ましくは-NHCHCHNH基である。Zの別の式は、-N(CH(CHzzNXまたは-NXであり、ここでXの各Xは、水素、および1~12個の炭素原子を有するアルキル基からなる基から独立して選択され、zzは0である。
【0287】
Qは、最も好ましくは、式-CHCHCHNHCHCHNHの、極性のアミン官能性基である。式において、「a」は約0~約2の範囲の値を取り、「b」は約2~約3の範囲の値を取り、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数である。モル比 RSiO(4-ab)/2ユニット:RSiO(4-c)/2ユニットは、約1:2~1:65の範囲であり、好ましくは約1:5~約1:65であり、最も好ましくは、約1:15~約1:20である。上記の式の1つ以上のシリコーンが使用される場合、上記の式の様々な可変置換基は、シリコーン混合物中に存在する様々なシリコーン成分に対して異なってよい。
【0288】
特に好ましい一実施形態において、方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とし、該薬剤(a)が式(S-VI)のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)である:
【化62】
式中、
・Gは、-H、フェニル基、-OH、-O-CH、-CH、-O-CHCH、-CHCH、-O-CHCHCH、-CHCHCH、-O-CH(CH、-CH(CH、-O-CHCHCHCH、-CHCHCHCH、-O-CHCH(CH、-CHCH(CH、-O-CH(CH)CHCH、-CH(CH)CHCH、-O-C(CH、-C(CHである。
・aは、0~3の数、特に0を表す。
・bは、0~1の数、特に1を表す。
・mおよびnは、合計(m+n)が1~2000、好ましくは50~150である数であり、ここで、nは好ましくは0~1999および49~149の値を想定し、mは好ましくは1~2000、1~10の値を想定する。
・R’は、
〇 -Q-N(R”)-CH-CH-N(R”)
〇 -Q-N(R”)
〇 -Q-N(R”)
〇 -Q-NH(R”)
〇 -Q-N(R”)A
〇 -Q-N(R”)-CH-CH-NR”H
から選択される一価基である。
ここで、各Qは、化学結合、-CH-、-CH-CH-、-CHCHCH-、C(CH-、-CHCHCHCH-、-CHC(CH-、-CH(CH)CHCH-であり、
R”は、-H、-フェニル、-ベンジル、-CH-CH(CH)Ph、C1-20アルキル基、好ましくは、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、CHCHCH、-CHCH(CH、-CH(CH)CHCH、-C(CHからなる群から選択される同一または異なる基を表し、および
Aは、好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物またはメトサルフェートから選択される、アニオンを表す。
【0289】
別の好ましい実施形態において、該方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することであって、該薬剤(a)が、式(S-VII)の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする:
【化63】
式中、mおよびnは、合計(m+n)が1~2000、好ましくは50~150の間であり、nは好ましくは0~1999および49~149の値を想定し、mは好ましくは1~2000、1~10の値を想定する数である。
【0290】
INCI宣言によれば、このようなシリコーンはトリメチルシリルアモジメチコンと称される。
【0291】
別の好ましい実施形態において、該方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することであって、該薬剤(a)が、式(S-VIII)の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3):
【化64】
式中、Rは、-OH、-O-CHまたは-CH基を表し、m、n1およびn2は、その和(m+n1+n2)が1~2000、好ましくは50~150となる数値であり、和(n1+n2)は好ましくは0~1999および49~149の値が想定され、mは好ましくは1~2000、1~10の値が想定される
を含むことを特徴とする。
【0292】
INCI宣言によれば、このようなアミノ修飾シリコーンポリマーまたはアミノ官能性付与シリコーンポリマーはアモジメチコンとして知られる。
【0293】
どのアミノ修飾シリコーンが使用されるかに関係なく、アミン価が0.25meq/gより上、好ましくは0.3meq/gより上および0.4meq/gより上であるアミノ修飾シリコーンポリマーを含む薬剤(a)が好ましい。アミン価はアミノ官能性シリコーン1グラムあたりのアミンのミリグラム当量を表す。それは滴定により測定でき、単位はmg KOH/gで表される。
【0294】
別の好ましい実施形態において、該方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することであって、該薬剤(a)が、式(S-IX)の式の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3):
【化65】
式中
・mおよびnは、和(n+m)が1~1000の範囲となるように選択される数値を意味し、
・nは0~999の範囲の数値であり、mは1~1000の範囲の数値であり、
・R1、R2およびR3は、同じかまたは異なっており、ヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、
・ここで、R1~R3のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す
を含むことを特徴とする。
【0295】
他の好ましい方法は、薬剤(a)をケラチン物質に適用することであって、前記薬剤(a)が、式(S-X)の式の少なくともアミノ官能化シリコーンポリマー:
【化66】
式中
・pおよびqは、和(p+q)が1~1000の範囲となるように選択される数値を意味し、
・pは0~999の範囲の数値であり、qは1~1000の範囲の数値であり、
・R1およびR2は、異なるものであり、ヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、R1~R2のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す
を含むことを特徴とする。
【0296】
式(S-IX)のシリコーンと(S-X)のシリコーンは、窒素含有基を有しているSi原子における基が異なる:式(S-IX)では、R2はヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、一方、式(S-X)における残基はメチル基である。添え字mおよびnまたはpおよびqが示された個々のSi基はブロックとして存在していなくてもよく;むしろ、個々の単位は統計的に分布した様式で存在していてもよい、すなわち、式(S-IX)および(S-X)において、必ずしもどのR1-Si(CH基もが-[O-Si(CH]基に結合しているわけではない。
【0297】
また、式(S-XI)の式の少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)
【化67】
[ここで、
Aは、基-OH、-O-Si(CH、-O-Si(CHOH、-O-Si(CHOCHを表し、
Dは、基-H、-Si(CH、-Si(CHOH、-Si(CHOCHを表し、
b、nおよびcは0~1000の整数を表す。
より詳しくは
・n>0およびb+c>0
・条件A=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる]
を含む薬剤(a)をケラチン繊維に適用する方法は、所望の効果に関して特に有効であることがわかった。
【0298】
上記の式(S-XI)において、添え字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位は統計的に分布している、すなわち、必ずしもブロックコポリマーでなくてもよい。
【0299】
摩擦堅牢性の改善に関する特に有益な効果は、手順において、特別な4-モルホリノメチル置換型シリコーンポリマー(a3)を含む薬剤(a)をケラチン物質に適用した場合に観察された。この非常に特に好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、少なくとも1つの式(S-XIII):
【化68】
の構造単位を含む。
【0300】
一実施形態との関連において、ケラチン物質を染色するための方法は、したがって、薬剤(a)が:
(a3)少なくとも1つの式(S-XIII)
【化69】
の構造単位を含む少なくとも1種のシリコーンポリマーを含むことを特徴とするものが好ましい。
【0301】
また、摩擦堅牢性の改善の点において特に有益な効果は、手順において、特別な4-モルホリノメチル置換型シリコーンポリマー(a3)を含む薬剤(a)をケラチン物質に適用した場合にも観察された。この非常に特に好ましいアミノ官能性シリコーンポリマーは、式(S-XII)および式(S-XIII)の構造単位:
【化70】
を含む。
【0302】
明白に相当に特に好ましい一実施形態において、方法は、薬剤(a)が、式(S-XII)および式(S-XIII)の構造単位:
【化71】
を含む少なくとも1種のアミノ修飾シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0303】
対応する4-モルホリノメチル置換型シリコーンポリマーを以下に記載する。
【0304】
非常に特に好ましいアミノ官能性シリコーンポリマーの一例はアモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーとして知られており、原料Belsil ADM 8301 Eの形態でWackerから市販されている。
【0305】
4-モルホリノメチル置換型シリコーンとして、例えば、式(S-XII)、(S-XIII’)および(S-XIV’)の構造単位:
【化72】
式中
R1は-CH、-OH、-OCH、-O-CHCH、-O-CHCHCHまたは-O-CH(CHであり;
R2は-CH、-OHまたは-OCHである。
を有するシリコーンが使用できる。
【0306】
特に好ましい薬剤(a)は、少なくとも1つの式(S-XV):
【化73】
[式中、
R1は-CH、-OH、-OCH、-O-CHCH、-O-CHCHCHまたは-O-CH(CHであり;
R2は-CH、-OHまたは-OCHであり、
Bは、基-OH、-O-Si(CH、-O-Si(CHOH、-O-Si(CHOCHを表し、
Dは、基-H、-Si(CH、-Si(CHOH、-Si(CHOCHを表し、
a、bおよびcは、a+b+c>0の条件で、独立して0~1000の整数を表し、
mおよびnは互いに独立して、整数1~1000を表す、
ただし、
・条件B=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる、
・単位a、b、c、mおよびnは分子において統計的に分布しているか、またはブロック状である]
の4-モルホリノメチル置換型シリコーンを含む。
【0307】
構造式(Si-VI)は、シロキサン基nおよびmが、必ずしもそれぞれ末端基BまたはDに直接結合していなくてもよいことを示すことを意図する。むしろ、好ましい式では(Si-VI)a>0またはb>0、特に好ましい式では(Si-VI)a>0およびc>0、すなわち、末端基BまたはDは好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。また、式(Si-VI)において、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは好ましくは統計的に分布している。
【0308】
本発明に従って使用される式(Si-VI)で表されるシリコーンはトリメチルシリル末端型(DまたはB=-Si(CH)であってよいが、両端がジメチルシリルヒドロキシ末端型または一端がジメチルシリルヒドロキシ末端型およびジメチルシリルメトキシ末端型であってもよい。本発明との関連において特に好ましいシリコーンは、各関連に対して
B=-O-Si(CHOHおよびD=-Si(CH
B=-O-Si(CHOHおよびD=-Si(CHOH
B=-O-Si(CHOHおよびD=-Si(CHOCH
B=-O-Si(CHおよびD=-Si(CHOH
B=-O-Si(CHOCHおよびD=-Si(CHOH
であるシリコーンから選択される。
【0309】
特に耐久性のあるフィルムを作製するため、薬剤(a)はシリコーンポリマー、特にアルコキシ修飾シリコーンポリマーおよび/またはアミノ修飾シリコーンポリマーを、好ましくは特定範囲の量で含む。
【0310】
特に、低粘着性の柔軟性フィルムが、薬剤(a)の総重量に対して1種以上のシリコーンポリマー(a3)を0.1~8重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%、非常に特に好ましくは0.1~0.5重量%の総量で含む薬剤(a)を該方法において使用した場合に得られた。
【0311】
さらなる好ましい一実施形態との関連において、該方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して1種以上のシリコーンポリマー(a3)を0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~8重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0312】
明白に相当に特に好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して1種以上のアルコキシ修飾シリコーンポリマー(a3)を0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0313】
明白に相当に特に好ましい実施形態との関連において、該方法は、薬剤(a)が、薬剤(a)の総重量に対して1種以上のアミノ修飾シリコーンポリマーを0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、非常に特に好ましくは2~8重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0314】
〔薬剤(a)のpH値〕
薬剤(a)が、アルカリ性pHに調整された水分含有薬剤の形態に構成されている場合が好ましいことがわかった。
【0315】
このpH値に調整するため、薬剤(a)に少なくとも1種のアルカリ化剤が含有されてもよい。
【0316】
したがって、所望のpHに調整するため、薬剤(a)にはまた、少なくとも1種のアルカリ化剤が含有されてもよい。本発明の解釈上のpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0317】
アルカリ化剤として、薬剤(a)には、例えばアンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸が含有されてもよい。
【0318】
組成物中の該薬剤に含有され得るアルカノールアミンは好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有しているC~Cアルキルペアレント(C~C alkyl parent)を有する第1級アミンから選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0319】
特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。特に好ましい一実施形態は、したがって、薬剤が、アルカリ化剤として、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンを含むことを特徴とする。
【0320】
本発明の解釈上、アミノ酸は、その構造内に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0321】
塩基性アミノ酸は、7より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0322】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明との関連において、両方のエナンチオマーを具体的な化合物として、またはその混合物、特にラセミ体として等しく使用できる。しかしながら、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に好都合である。
【0323】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。さらに特に好ましい一実施形態において、薬剤は、したがって、アルカリ化剤がアルギニン、リシン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群より選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0324】
また、該生成物には他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤が含有されることもある。本発明に従って使用可能な無機アルカリ化剤は好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムによって形成される群から選択される。
【0325】
特に好ましいアルカリ化剤はアンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0326】
薬剤(a)は好ましくはアルカリ性範囲のpH値に調整されるが、とはいえ、原則的には所望のpH値の微調整のために酸性化剤もまた少量で使用することが必要な場合もある。本発明に従う好適な酸性化剤は、例えばクエン酸、乳酸、酢酸または同様に希薄鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸)である。
【0327】
しかしながら、本発明に至る研究の過程において、アルカリ化剤の存在またはアルカリ性pHへの調整がケラチン物質上への耐久性のあるフィルムの形成に必須であることがわかった。過剰量の酸の存在はフィルムの強度に対してマイナスの効果を有する場合がある。この理由で、薬剤(a)中に使用される酸の量を可能な限り少なく維持することが好ましいことがわかった。この理由で、薬剤(a)中に含まれる有機酸および/または無機酸の総量が、ある特定の値を超えない場合が好都合である。
【0328】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)に含まれるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸からなる群からの有機酸の総量が1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、なおより好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0329】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)に含まれる塩酸、硫酸およびリン酸からなる群からの無機酸の総量が1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満、非常に特に好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0330】
薬剤(a)に含まれる酸の上記に示した最大総量は常に薬剤(a)の総重量に対する量である。
【0331】
[薬剤(b)]
ケラチン物質の処理方法は、薬剤(a)の適用に加えて、薬剤(b)の適用を含む。該方法で使用される薬剤(b)は、少なくとも1種のシーリング試薬(b1)を含むことを特徴とする。
【0332】
薬剤(b)は後処理剤であり、薬剤(a)で処理されたケラチン物質への薬剤(b)の適用は、該方法で得られた着色をより耐久性のあるものにする効果を有する。特に、薬剤(b)の使用は、方法で得られた染色の洗浄に対する堅牢性および摩擦に対する堅牢性を改善し得る。
【0333】
シーリング試薬(b1)は、フィルム形成性ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことが好ましい。
【0334】
シーリング試薬(b1)がフィルム形成性ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0335】
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、同一の反復有機単位からなる巨大分子である。本発明のポリマーは、1つの型のモノマーの重合によって、または互いに構造的に異なる種々の型のモノマーの重合によって製造される、合成により製造されたポリマーであってよい。ポリマーが、ある1つの型のモノマーを重合させることによって製造される場合、これはホモポリマーと称される。構造的に異なるモノマー型が重合において使用される場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0336】
ポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によって決定される。本発明に関して、フィルム形成性疎水性ポリマーの最大分子量は10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下である場合が好ましい。
【0337】
本発明の意味において、フィルム形成性ポリマーは、基材上、例えばケラチン物質またはケラチン繊維上にフィルムを形成することができるポリマーである。フィルムの形成は、例えば、ポリマーで処理されたケラチン物質を顕微鏡下で見ることによって実証できる。
【0338】
薬剤(b)におけるフィルム形成性ポリマーは親水性または疎水性であり得る。
【0339】
第1の実施形態では、薬剤(b)中のシーリング試薬(b1)として少なくとも1種の疎水性フィルム形成性ポリマーを使用することが好ましい場合がある。
【0340】
疎水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%未満の水への溶解度を有するポリマーである。
【0341】
フィルム形成性の疎水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカー内に入れる。水で100gにする。攪拌子を添加し、混合物を磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。ある割合の未溶解ポリマーが濾紙上に残存している場合、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0342】
このようなものとして、アクリル酸型ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミド型ポリマーおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0343】
特に適切なフィルム形成性疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドの群からのポリマーである。
【0344】
さらなる好ましい一実施形態において、薬剤(b)が、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のフィルム形成性疎水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0345】
合成ポリマー、ラジカル重合によって得られるポリマーまたは天然のポリマーの群から選択されるフィルム形成性疎水性ポリマーは本発明による課題を解決するのに特に好適であることがわかった。
【0346】
他の特に適切なフィルム形成性疎水性ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC~C20アルキル基、アリール基もしくはC~C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0347】
他のフィルム形成性疎水性ポリマーは、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸)n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピルおよび/またはその混合物のホモポリマーまたはコポリマーから選択されてもよい。
【0348】
さらなるフィルム形成性疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、C2~C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、le N-オクチルアクリルアミド、N-ジ(C1~C4)アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0349】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはそのC~Cアルキルエステルのコポリマーであり、これらはINCI宣言(Declaration)アクリレートコポリマーで販売されている。好適な市販品は例えば、Rohm&Haas製のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC~Cアルキルエステルならびにエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪族アルコールのエステルのコポリマーもまた好ましい。好適なエチレン性不飽和酸は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり;好適なアルコキシル化脂肪族アルコールは特に、ステアレス-20またはセテス-20である。
【0350】
非常に特に好ましい市販のポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas製の流通品Soltex OPT(アクリレート/C12-22メタクリル酸アルキルコポリマー)である。
【0351】
ビニルモノマーベースの好適なポリマーとして、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C1~C6)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0352】
また、特に好適であるのは、コポリマーのオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリレートブチルアミノエチルコポリマー、例えばNATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)もしくはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているものまたはNATIONAL STARCHによって商品名DERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0353】
好適なオレフィンベースポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0354】
別の実施形態において、フィルム形成性疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレンの誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。このようなブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて1つ以上のブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであってよい。かかるポリマーはBASFによって商品名「Luvitol HSB」で市販されている。
【0355】
驚くべきことに、薬剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含む場合、特に強くて洗い流し堅牢性の着色を得ることができることがわかった。
【0356】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選択される少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0357】
さらなる実施形態において、薬剤(b)中のシーリング試薬(b1)として少なくとも1種の親水性フィルム形成性ポリマーを使用することが好ましい場合がある。
【0358】
親水性ポリマーは、25℃(760mmHg)において1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きい水への溶解度を有するポリマーである。
【0359】
フィルム形成性の親水性ポリマーの水への溶解度は、例えば以下のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカー内に入れる。水で100gにする。攪拌子を添加し、混合物を磁気攪拌機で撹拌しながら25℃まで加熱する。これを60分間撹拌する。次いで、この水性混合物を目視評価する。完全に溶解したポリマーは巨視的に均質に見える。ポリマー-水混合物が混合物の高濁度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解ポリマーが濾紙上に残存していない場合、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0360】
非イオン性、アニオン性およびカチオン性のポリマーは、フィルム形成性親水性ポリマーとして使用できる。
【0361】
好適なフィルム形成性親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、酢酸ビニル(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然のガム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択され得る。
【0362】
さらに、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドン含有コポリマーをフィルム形成性親水性ポリマーとして使用することが特に好ましい。
【0363】
別の非常に特に好ましい実施形態において、薬剤(b)が、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のフィルム形成性親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0364】
該薬剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)をフィルム形成性親水性ポリマーとして含む場合がさらに好ましい。驚くべきことに、PVP含有薬剤(b)を用いて得られた染色の洗い流し堅牢性もまた特に良好であった。
【0365】
特に適切な ポリビニルピロリドンは、例えばLuviskol(登録商標)Kの名称でBASF SEから、特にLuviskol(登録商標)K 90またはLuviskol(登録商標)K 85でBASF SEから入手可能である。
【0366】
ポリマーPVP K 30は、Ashland(ISP,POI Chemical)によって販売されており、これもまた、別の明白に非常に適切なポリビニルピロリドン(PVP)として使用できる。PVP K 30は冷水中への溶解性が高いポリビニルピロリドンであり、CAS番号9003-39-8を有する。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0367】
他の特に好適なポリビニルピロリドンは、商品名LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115で知られる物質であり、BASFから入手可能である。
【0368】
ポリビニルピロリドンコポリマーの群からのフィルム形成性親水性ポリマーのシーリング試薬(b1)としての使用もまた、特に良好で洗い流し堅牢性のカラーリング結果をもたらした。
【0369】
ビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマー、例えば商標Luviskol(登録商標)(BASF)で販売されているものは特に好適なフィルム形成性親水性ポリマーである。Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73は、ともにビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであり、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0370】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマーおよび/またはビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーおよび/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマーおよび/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーが化粧料組成物において特に好ましい。
【0371】
ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAの名称でBASF SEによって販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、商品名Aquaflex(登録商標)SF-40でAshland Incによって販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、AshlandによってStyleze CC-10の名称で販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0372】
また、ポリビニルピロリドンの他の好適なコポリマーは、N-ビニルピロリドンを、V-ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールからなる群からの少なくとも1種のさらなるモノマーと反応させることにより得られるものであってもよい。
【0373】
別の非常に特に好ましい実施形態において、方法は、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種のフィルム形成性親水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0374】
ビニルピロリドンの別の好適なコポリマーは、INCI呼称マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0375】
さらに、非イオン性フィルム形成性親水性ポリマーをフィルム形成性親水性ポリマーとして使用した場合、特に良好な洗い流し堅牢性を有する強く着色されたケラチン物質、特に毛髪を得ることができた。
【0376】
別の実施形態において、薬剤(b)は少なくとも1種の非イオン性フィルム形成性親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含んでもよい。
【0377】
本発明によれば、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶剤中、例えば水中において標準的な条件下で、対イオンによって補われるはずである永続的なカチオン基またはアニオン基を有する構造単位を担持しておらず、電子中性を維持したままであるポリマーであると理解されたい。カチオン基としては第四級化アンモニウム基が挙げられるが、プロトン化アミンは含まれない。アニオン基としてはカルボン酸基およびスルホン酸基が挙げられる。
【0378】
非イオン性のフィルム形成性親水性ポリマーとして、
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルピロリドンの2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルおよび酢酸ビニルのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾールおよびメタクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾールおよびアクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンおよびN,N-ジ(C1~C4)アルキルアミノ-(C2~C4)アルキルアクリルアミドのコポリマー
からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む製品が好ましい。
【0379】
N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが使用される場合、この場合も、モノマーのN-ビニルピロリドンに含まれる構造単位とモノマーの酢酸ビニルに含まれるポリマーの構造単位とのモル比は20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲である場合が好ましい。好適なビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーは、例えば商標Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73でBASF SEから入手可能である。
【0380】
別の特に好ましいポリマーはINCI呼称VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これは商品名Luviset ClearでBASF SEから入手可能である。
【0381】
別の特に好ましい非イオン性のフィルム形成の親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミニオプロピルメタクリルアミドのコポリマーであり、これは、例えば、ISPによりINCI呼称VP/DMAPA アクリレートコポリマーで、例えば商品名Styleze(登録商標)CC 10で販売されている。
【0382】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI呼称:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば商品名AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中28~32重量%の活性物質、分子量350000)でISPにより販売されている。
【0383】
他の適切な被覆形成の親水性ポリマーとして、
・呼称Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550およびINCI呼称Polyquaternium-16ならびにFC 905およびHM 552の名称で提供されるビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
・第3のモノマー成分としてアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドと共に、例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称で市販されている、ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー
が挙げられる。
【0384】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルとビニルピロリドンおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーとの反応生成物である。好適な市販品は、Dehyquart(登録商標)CC 11およびLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称でBASF SEから、またはGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755もしくはGafquat 755Nの名称でAshland Inc.から入手可能である。
【0385】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えばLuviquat(登録商標)Holdの名称でBASF SEから入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは化粧料組成物の総重量に対して1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46をカチオングア化合物との組合せで使用することが特に好ましい。ポリクオタニウム-46をカチオングア化合物およびポリクオタニウム-11との組合せで使用することがいっそう非常に好ましい。
【0386】
好適なアニオン性のフィルム形成性親水性ポリマーは例えばアクリル酸ポリマーであってよく、これは非架橋形態であっても架橋形態であってもよい。かかる生成物は、商品名Carbopol 980、981、954、2984および5984でLubrizolにより、またはSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で3V Sigma(The Sun Chemicals,Inter Harz)により市販されている。
【0387】
天然のガムの群からの好適なフィルム形成性親水性ポリマーの例はキサンタンガム、ゲランガム、カロブガムである。
【0388】
多糖類の群からの好適なフィルム形成性親水性ポリマーの例はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0389】
アクリルアミドの群からの好適なフィルム形成の親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C1~C4-アルキルスルホン酸またはその塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/またはポリ-2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択され得る。
【0390】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1~C4-アルキル-スルホン酸の好ましいポリマーは架橋型であり、少なくとも90%が中和されている。このようなポリマーは架橋型であっても非架橋型であってもよい。
【0391】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸型の架橋された完全中和または部分中和ポリマーは、INCI名「アンモニウムポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート」または「アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド(tauramide)」で入手可能である。
【0392】
この型の別の好ましいポリマーは、Clariantにより商品名Hostacerin AMPSで販売されている架橋型ポリ-2-アクリルアミド-2メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、アンモニアで部分的に中和されている。
【0393】
別の明白に非常に特に好ましい実施形態において、方法は、薬剤(b)が少なくとも1種のアニオン性のフィルム形成性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0394】
これに関連して、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの式(P-I)の構造単位および少なくとも1つの式(P-II)の構造単位:
【化74】
[式中、Mは水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムまたは1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーを含む場合、最良の結果が得られた。
【0395】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの式(P-I)の構造単位および少なくとも1つの式(P-II)の構造単位:
【化75】
(式中、Mは水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムまたは1/2カルシウムである)
を含む少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0396】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸単位を主体とする。
【0397】
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のアンモニウム塩を主体とする。
【0398】
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のナトリウム塩を主体とする。
【0399】
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカリウム塩を主体とする。
【0400】
Mが半当量のマグネシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のマグネシウム塩を主体とする。
【0401】
Mが半当量のカルシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカルシウム塩を主体とする。
【0402】
フィルム形成性ポリマー(複数可)は好ましくは、薬剤(b)においてある特定の範囲の量で使用される。これとの関連において、本発明による課題を解決するためには、薬剤(b)が、薬剤(b)の総重量に対して、1種以上のフィルム形成性ポリマーを、シーリング試薬(b1)として、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で含む場合が特に好ましいことがわかった。
【0403】
さらなる好ましい一実施形態において、方法は、薬剤(b)が、薬剤(b)の総重量に対して、1種以上のフィルム形成性ポリマーをシーリング試薬(b1)として0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0404】
シーリング試薬(b1)としてフィルム形成性ポリマーを含む薬剤(b)の適用は、薬剤(a)の適用によって最初に生成された着色フィルムをシールおよび/または固定することを意図している。シーリング試薬(b1)としてフィルム形成性ポリマーを有する第2の薬剤(b)を適用すると、フィルム形成性ポリマー(b1)は、さらなるフィルムの形態で第1の層で生成された着色フィルム上に堆積される。このようにして作成された多層フィルムシステムは、改善された外部の影響に対する耐性を示す。
【0405】
ここで、シーリング試薬(b1)としてフィルム形成性ポリマーを含む薬剤(b)によって生成されたフィルムは、それ自体が着色されていないことが好ましい。このようにして、薬剤(b)によって形成された第2のフィルムのある程度の摩耗が、フィルムシステム全体の色の変化を引き起こさないことも保証され得る。したがって、薬剤(b)が着色化合物を全く含まないか、またはより少ない量しか含まない場合が特に好ましい。
【0406】
別の実施形態では、シーリング試薬(b1)はアルカリ化剤を含む。
【0407】
特に好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される。
【0408】
別の特に好ましい実施形態では、方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とし、これは、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属メタケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選択される。
【0409】
アンモニアを含む薬剤(b)による後処理は、方法で得られた染色の洗浄堅牢度および摩擦堅牢度の改善に特に良好な影響を与えることが見出された。
【0410】
さらに非常に特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)としてアンモニアを含むことを特徴とする。
【0411】
薬剤(b)にシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのC-Cアルカノールアミンが含まれている場合にも、満足のいく結果が得られた。
【0412】
薬剤(b)において使用され得るアルカノールアミンは、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を有しているC~Cアルキルペアレント(C~C alkyl parent)を有する第1級アミンの群から選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0413】
さらに好ましい実施形態において、本発明による方法は、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオールおよび2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群から好ましくは選択されるアルカノールアミンの群からの少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0414】
同様に、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む場合、満足のいく結果が得られた。
【0415】
本発明の解釈上、アミノ酸は、その構造内に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0416】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、7より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0417】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明との関連において、両方のエナンチオマーが具体的な化合物として、またはその混合物、特にラセミ体として等しく使用できる。しかしながら、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に好都合である。
【0418】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。さらなる特に好ましい一実施形態において、方法は、したがって、シーリング試薬(b1)がアルギニン、リシン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群より選択される塩基性アミノ酸を含むアルカリ化剤であることを特徴とする。
【0419】
さらに好ましい実施形態では、この方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジンの群から好ましくは選択される塩基性アミノ酸の群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤、少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0420】
薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物を含んでいた場合にも、満足のいく結果が得られた。適切なアルカリ金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0421】
薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として、少なくとも1種のアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ化剤を含む場合にも、満足のいく結果が得られた。適切なアルカリ土類金属水酸化物には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、および水酸化バリウムが含まれる。
【0422】
薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1種のアルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ金属メタケイ酸塩を含む場合にも、満足のいく結果が得られた。適切なアルカリ金属ケイ酸塩には、ケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウムが含まれる。適切なアルカリ金属メタケイ酸塩には、メタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウムが含まれる。
【0423】
薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1種のアルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ土類金属炭酸塩を含んでいた場合にも、満足のいく結果が得られた。適切なアルカリ金属炭酸塩には、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが含まれる。適切なアルカリ土類金属炭酸塩には、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが含まれる。
【0424】
アルカリ化剤の形態のシーリング試薬(b1)の群において、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、およびアルカリ金属水酸化物が特に適していることが証明されている。
【0425】
さらに特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0426】
別の特に好ましい実施形態では、この方法は、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0427】
薬剤(b)は、化粧料担体、好ましくは水性化粧料担体中にシーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含む。
【0428】
これに関連して、薬剤(b)が、薬剤(b)の総重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、さらにより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含む場合、好ましいことが見出された。
【0429】
さらなる実施形態の文脈において、方法は、薬剤(b)が、薬剤(b)の総重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、さらにより好ましくは35.0~97.0重量%、特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0430】
薬剤(b)に含まれるアルカリ化剤は、薬剤(b)のpH値に影響を及ぼす。特定のアルカリ性pH値は、方法で達成可能な染色性能と染色の堅牢性に有益な効果があることがわかった。
【0431】
このため、シーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含む薬剤(b)は、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することが好ましい。
【0432】
pH値は、組み合わせ電極を介したガラス電極を使用するか、またはpH試験紙を使用するなど、当技術分野から知られている通常の方法を使用して測定できる。
【0433】
別の非常に特に好ましい実施形態では、方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含み、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することを特徴とする。
【0434】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0435】
さらに別の実施形態では、シーリング試薬(b1)は酸性化剤を含む。
【0436】
特に好ましくは、酸性化剤は、無機酸、有機酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0437】
薬剤(b)にシーリング試薬(b1)として少なくとも1種の無機酸が含まれている場合、満足のいく結果を得ることができた。適切な無機酸は、例えば、リン酸、硫酸および/または塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0438】
さらに好ましい実施形態では、 方法は、薬剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、無機酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含み、これが、好ましくは、リン酸、硫酸、塩酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0439】
さらに、さらにより好ましい実施形態では、方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として硫酸を含むことを特徴とする。
【0440】
薬剤(b)にシーリング試薬(b1)として少なくとも1種の有機酸が含まれている場合にも、満足のいく結果が得られた。有機酸は、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸(corkic acid)、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0441】
さらに好ましい実施形態では、この方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として、有機酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化剤を含み、有機酸が、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸(corkic acid)、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0442】
さらに、さらにより好ましい実施形態では、この方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として酢酸を含むことを特徴とする。
【0443】
また、適切な酸性化剤には、メタンスルホン酸および/または1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が含まれる。
【0444】
酸性化剤の形態の上記のシーリング試薬(b1)の群の中で、硫酸および/または酢酸が特に適切であることが証明されている。
【0445】
さらに特に好ましい実施形態の文脈において、この方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として、硫酸、酢酸およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0446】
薬剤(b)は、化粧料担体、好ましくは水性化粧料担体中に、シーリング試薬(b1)として酸性化剤を含む。
【0447】
薬剤(b)に含まれる酸性化剤は、薬剤(b)のpHに影響を与える。酸性のpH値はまた、この方法で達成可能な染色性能および染色の堅牢性に有益な効果を有することが見出された。
【0448】
このため、シーリング試薬(b1)として酸性化剤を含む薬剤(b)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することが好ましい。
【0449】
pH値は、組み合わせ電極を介したガラス電極を使用するか、またはpH指示紙を使用するなど、当技術分野から知られている通常の方法を使用して測定できる。
【0450】
別の非常に特に好ましい実施形態において、方法は、薬剤(b)がシーリング試薬(b1)として酸性化剤を含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする。
【0451】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0452】
薬剤(b)の適用は、薬剤(a)の適用によって最初に生成されたフィルムをシールおよび固定することを目的としている。
【0453】
[薬剤(a)および(b)中の他の成分]
上記の薬剤(a)および(b)はまた、1種以上の任意の成分を含有してもよい。
【0454】
該薬剤はまた、1種以上の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤という用語は表面活性物質を示す。疎水性残基と負荷電の親水性頭部基からなるアニオン界面活性剤、負電荷と相殺性の正電荷の両方を担持している両性界面活性剤、疎水性残基に加えて正荷電の親水性基を有するカチオン界面活性剤、および電荷をもたないが強い双極子モーメントを有し、水溶液中で強く水和される非イオン界面活性剤に区別される。
【0455】
双性イオン界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの第四級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)-または-SO (-)基を有する表面活性化合物である。特に好適な双性イオン界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキル-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、各々、アルキル基またはアシル基内に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0456】
両性界面活性剤は、分子内のC~C24アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは-SOH基を含み、分子内塩を形成することができる表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、各々、アルキル基内に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両性または双性イオン界面活性剤の典型的な例はアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
【0457】
特に好ましい両性界面活性剤はN-ココス(cocos)アルキルアミノプロピオネート、ココスアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12~C18-アシルサルコシンである。
【0458】
また、該薬剤は少なくとも1種の非イオン界面活性剤をさらに含有してもよい。好適な非イオン界面活性剤は、脂肪族アルコールまたは脂肪酸1molに対して2~30molのエチレンオキシドの脂肪族アルコールおよび脂肪酸に対するアルキルポリグリコシド付加生成物ならびにアルキレンオキシド付加生成物である。好適な特性を有する調製物は、非イオン界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含有させた場合にも得られる。
【0459】
また、該薬剤は少なくとも1種のカチオン界面活性剤を含有してもよい。カチオン界面活性剤は、各々、1個以上の正電荷を有する界面活性剤、すなわち表面活性化合物である。カチオン界面活性剤は正電荷のみを含むものである。通常、このような界面活性剤は疎水性部と親水性頭部基で構成されており、疎水性部は通常、炭化水素主鎖からなり(例えば、1つまたは2つの直鎖または分枝鎖のアルキル鎖からなる)、正電荷(複数可)は親水性頭部基に存在する。カチオン性界面活性剤の例は、
・疎水性基として8~28個の炭素原子の鎖長を有する1つまたは2つのアルキル鎖を有し得る第四級アンモニウム化合物、
・8~28個の炭素原子の鎖長を有する1つ以上のアルキル鎖で置換された第四級ホスホニウム塩または
・第三級スルホニウム塩である。
【0460】
さらに、カチオン電荷もまた、オニウム構造の形態の複素環(例えば、イミダゾリウム環またはピリジニウム環)の一部であり得る。カチオン電荷を担持している官能部単位に加えて、カチオン界面活性剤は、例えばエステルクアットの場合のように他の無電荷官能基もまた含んでいてもよい。カチオン界面活性剤は、それぞれの薬剤の総重量に対して0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0461】
さらに、該薬剤はまた、少なくとも1種のアニオン界面活性剤を含有してもよい。アニオン界面活性剤は、排他的にアニオン電荷(対応する対カチオンによって中和される)を有する表面活性薬剤である。アニオン界面活性剤の例は脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸であり、アルキル基内のC原子は12~20個であり、分子内のグリコールエーテル基最大16個までである。
【0462】
アニオン界面活性剤は、それぞれの薬剤の総重量に対して0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0463】
薬剤(a)および/または薬剤(b)にマット剤をさらに含んでもよい。好適なマット剤として、例えば、(加工)デンプン、ワックス、タルクおよび/または(修飾)シリカが挙げられる。マット剤の量は、薬剤(a)または薬剤(b)の総量に対して好ましくは0.1~10重量%である。好ましくは、薬剤(a)はマット剤を含む。
【0464】
薬剤はまた、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば溶剤;脂肪族成分、例えばC~C30脂肪酸トリグリセリド、C~C30脂肪酸モノグリセリド、C~C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素;ストラクチュラント(structurant)、例えばグルコース、マレイン酸、乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチンおよびセファリン(cephalins);香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;製品を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトン・オラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系ならびに脂肪酸縮合生成物または任意にアニオン修飾型もしくはカチオン修飾型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩またはビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは疑似セラミド;ビタミン類、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物エキス;脂肪およびワックス、例えば脂肪族アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびケロシン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素および第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢薬剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレートならびにPEG-3-ジステアレート;ならびに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気を含有してもよい。
【0465】
このような他の物質の選択は、専門家により薬剤の所望の特性に従うように行われる。他の任意の成分およびこのような成分の使用量に関して、その専門家に知られた関連マニュアルが明示的に参照される。さらなる活性成分および補助物質は好ましくは、本発明による製剤中に、それぞれの薬剤の総重量に対して各場合において0.0001~25重量%、0.0005~15重量%の量で使用される。
【0466】
[ケラチン物質を染色する方法]
本発明による方法では、薬剤(a)および(b)をケラチン物質に、人毛に適用する。したがって、薬剤(a)および(b)は使用準備済の薬剤である。薬剤(a)と(b)は異なる。
【0467】
原則的に、薬剤(a)および(b)は同時または連続的に適用することができ、このとき、連続的に適用することが好ましい。
【0468】
最良の結果は、まず、第1の工程で薬剤(a)をケラチン物質に前処理剤として適用し、第2の工程で薬剤(b)を適用した場合に得られた。
【0469】
非常に特に好ましくは、したがって、ケラチン物質、特に人毛を処理ための、ケラチン物質、特に人毛を着色するための方法であって、示された順序で、以下の工程を含む方法である:
〇第1の工程において、ケラチン物質への薬剤(a)の適用工程、ここで薬剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物、ここで該コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む;
〇第2の工程において、ケラチン物質への薬剤(b)の適用工程、ここで薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬。
【0470】
さらに、染色されたケラチン物質に対して長期間にわたって高い溶出耐久性を付与するため、薬剤(a)および(b)は、特に好ましくは、薬剤(a)の適用と薬剤(b)の適用の間の期間が最大数時間であることを意味する同じ染色方法において適用する。
【0471】
さらなる好ましい一実施形態において、該方法は、薬剤(a)を最初に適用し、その後に薬剤(b)を適用し、薬剤(a)の適用と薬剤(b)の適用の間の期間が最大でも24時間、好ましくは最大でも12時間、特に好ましくは最大でも6時間であることを特徴とする。
【0472】
薬剤(a)の際立った特徴は、少なくとも1種の反応性有機ケイ素化合物(a1)という内容物である。反応性有機ケイ素化合物(a1)は、オリゴマー化または重合反応を起こし、毛髪の表面に遭遇するとすぐにそれを機能化する。このようにして、最初にフィルムが形成される。着色化合物(a2)は、フィルムが着色されるようにフィルムに組み込まれている。方法の第2の工程では、第2の薬剤(b)が毛髪に適用される。シーリング試薬(b1)として少なくとも1種のフィルム形成性ポリマーを含む薬剤(b)の適用中に、後者はシランフィルムと相互作用し、したがってケラチン物質に結合する。シーリング試薬(b1)として少なくとも1種のアルカリ化剤または酸性化剤を含む薬剤(b)の適用中、シランフィルムの形成はプラスの影響を受ける。
【0473】
さらなる実行形態の文脈では、示された順序で
(1)薬剤(a)をケラチン物質に対して適用する工程、
(2)薬剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間作用させる工程、
(3)必要であれば、ケラチン物質を水ですすぎ洗いする工程、
(4)薬剤(b)をケラチン物質に対して適用する工程、
(5)薬剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させる工程、および
(6)ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む手順が特に好ましい。
【0474】
該方法の工程(3)および(6)でのケラチン物質の水でのすすぎ洗いは、本発明によれば、すすぎ洗い方法に、薬剤(a)および(b)以外になんら他の薬剤を伴わずに水だけを使用することを意味すると理解されたい。
【0475】
工程(1)では、薬剤(a)が最初にケラチン物質、特に人毛に適用される。
【0476】
適用後、薬剤(a)をそのままにしてケラチン物質に作用させる。これとの関連において、毛髪への10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特別に好ましくは30秒~2分の適用時間が特に有益であることがわかった。
【0477】
該方法の好ましい一実施形態において、薬剤(a)を次に、後続の工程で薬剤(b)を毛髪に適用する前にケラチン物質からすすぎ洗いすることができる。
【0478】
等しく良好な洗い流し堅牢性を有する染色が、まだ薬剤(a)に曝露されているケラチン物質に薬剤(b)を適用した場合に得られた。
【0479】
工程(4)では、薬剤(b)が次にケラチン物質に適用される。適用後、薬剤(b)を毛髪に対して作用させる。
【0480】
薬剤(b)との接触時間が短くても、該方法により、特に良好な強度および洗い流し堅牢性を有する染色をもたらすことが可能となる。毛髪上での10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~3分の適用時間が特に有益であることがわかった。
【0481】
工程(6)では、薬剤(b)(およびまだ存在していれば薬剤(a))が次にケラチン物質から水ですすぎ洗い流される。
【0482】
この実施形態では、一連の工程(1)から(6)は、好ましくは、24時間以内に行われる。
【0483】
薬剤(a)は、有機ケイ素化合物(複数可)とともに、使用された際に加水分解またはオリゴマー化および/または重合が進行し得る類型の高反応性化合物を含有する。その高い反応性の結果、このような有機ケイ素化合物はケラチン物質上にフィルムを形成する。
【0484】
未成熟なオリゴマー化または重合を回避するため、使用準備済の薬剤(a)を適用の直前に調製することがユーザーにとって非常に有利である。
【0485】
また別の実施形態において、好ましいのは、示した順に以下の工程を含む方法である。
(1)第1の薬剤(a’)と第2の薬剤(a’’)を混合することによって薬剤(a)を調製すること、ここで
〇第1の薬剤(a’)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含み、
第2の薬剤(a’’)は、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する、少なくとも1種の着色化合物(a2)を含む、
(2)薬剤(a)をケラチン物質に対して適用すること、
(3)薬剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させること、
(4)必要であれば、ケラチン物質を水ですすぎ洗いすること、
(5)薬剤(b)をケラチン物質に対して適用すること、
(6)薬剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させること、
(7)ケラチン物質を水ですすぎ洗いすること。
【0486】
貯蔵において可能な限り安定な配合物を得ることができるように、薬剤(a’)自体は好ましくは低水分量または水無含有となるように配合される。
【0487】
好ましい一実施形態において、多成分パッケージユニット(パーツキット)は、薬剤(a’)が、薬剤(a’)の総重量に対して、0.001~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、非常に特に好ましくは1.5~7重量%の水分含有量を含むことを特徴とする。
【0488】
薬剤(a’’)は水を含む。好ましい一実施形態において、多成分パッケージユニット(パーツキット)は、薬剤(a’’)が薬剤(a2)の総重量に対して15~100重量%、好ましくは35~100重量%、より好ましくは55~100重量%、さらにより好ましくは65~100重量%、非常に特に好ましくは75~100重量%の水分含有量を有することを特徴とする。
【0489】
この実施形態の範囲において、使用準備済の薬剤(a)は次に、薬剤(a’)と(a’’)を混合することによって調製される。
【0490】
例えば、ユーザーにより最初に、有機ケイ素化合物(複数可)を含有している薬剤(a’)が水性エフェクト顔料含有薬剤(a’’)とともに混合またはシェイクされ得る。ユーザーにより次に、(a’)と(a’’)のこの混合物がケラチン物質に、調製直後または10秒間~20分間の短い反応時間後のいずれかで適用され得る。その後、ユーザーにより薬剤(b)が上記のようにして適用され得る。
【0491】
場合により含まれるシリコーンポリマー(a3)は、薬剤(a’)または薬剤(a’’)に含まれてよい。好ましくは、シリコーンポリマー(a3)は、薬剤(a’’)に含まれる。
【0492】
また別の実施形態において、好ましいのは、示した順に以下の工程を含む方法である。
(1)第1の薬剤(a’)と第2の薬剤(a’’)を混合することによって薬剤(a)を調製すること、ここで
〇第1の薬剤(a’)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)と、さらに少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、および
〇第2の薬剤(a’’)は、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物(a2)を含む、
(2)薬剤(a)をケラチン物質に対して適用すること、
(3)薬剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させること、
(4)必要であれば、ケラチン物質を水ですすぎ洗いすること、
(5)薬剤(b)をケラチン物質に対して適用すること、
(6)薬剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させること、
(7)ケラチン物質を水ですすぎ洗いすること。
【0493】
さらなる一実施形態との関連において、特に好ましいのは、示した順に以下の工程を含む方法である。
(1)第1の薬剤(a’)と第2の薬剤(a’’)を混合することによって薬剤(a)を調製すること、ここで
〇第1の薬剤(a’)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む、および
〇第2の薬剤(a’’)は、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物(a2)を含み、かつ、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)をさらに含む、
(2)薬剤(a)をケラチン物質に対して適用すること、
(3)薬剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の期間、作用させること、
(4)必要であれば、ケラチン物質を水ですすぎ洗いすること、
(5)薬剤(b)をケラチン物質に対して適用すること、
(6)薬剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間、作用させること、
(7)ケラチン物質を水ですすぎ洗いすること。
【0494】
さらに好ましい実施形態において、方法はまた、シリコーンポリマー(a3)が、第3の別個に調製された薬剤(a’’’)で提供されることを特徴とし得る。
【0495】
このさらなる実施形態の文脈において好ましいのは、示された順序で以下の工程を含む方法である:
(1)第1の薬剤(a')、第2の薬剤(a'')および第3の薬剤(a''')を混合することによる薬剤(a)の調製、ここで、
第1の薬剤(a’)は、1個、2個、または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)を含む、
第2の薬剤(a’’)は、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する少なくとも1種の着色化合物(a2)を含む、および
第3の薬剤(a''')は、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)を含む、
(2)ケラチン物質への薬剤(a)の適用、
(3)薬剤(a)を10秒~10分、好ましくは10秒~5分の間作用させること、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐこと、
(5)ケラチン物質への薬剤(b)の適用、
(6)薬剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の間作用させること、
(7)ケラチン物質を水ですすぐこと。
【0496】
〔多成分包装ユニット(パーツキット)〕
ユーザーの快適性を高めるため、好ましくはユーザーに必要とされるすべての資材が多成分包装ユニット(パーツキット)の形態で提供される。
【0497】
したがって、本発明の第2の主題は、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(パーツキット)であり、以下が互いに別個に包括的に包装されている:
・薬剤(a’)を含む第1の容器であり、薬剤(a’)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、
・薬剤(a’’)を含む第2の容器であり、薬剤(a’’)は以下を含む:
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物であり、前記コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む
・薬剤(b)を含む第3の容器であり、薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
ここで、該成分(a1)、(a2)および(b1)は上記に詳細に開示されている。
【0498】
キットの薬剤(a’)に含まれる1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの有機ケイ素化合物(a1)は、先に記載した方法の薬剤(a)においても使用された有機ケイ素化合物に対応する。
【0499】
キットの薬剤(a’’)に含まれる、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含有する着色剤(a2)は、上記方法の薬剤(a)でも使用された、α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含み、該コーティングが、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含むエフェクト顔料を含む着色化合物(a2)に対応する。
【0500】
キットの薬剤(b)に含まれるシーリング試薬(b1)は、前述の方法の薬剤(b)でも使用されたシーリング試薬に対応する。
【0501】
これに関連して、場合により含まれるシリコーンポリマー(a3)を、薬剤(a’)、薬剤(a'')、またはさらなる薬剤(a''')に使用することもまた可能である。
【0502】
さらなる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(パーツキット)には、好ましくは、以下が互いに別々に包装されている:
・薬剤(a’)を含む第1の容器であり、薬剤(a’)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、および、さらに少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)、
・薬剤(a’’)を含む第2の容器であり、薬剤(a’’)は以下を含む:
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物であり、前記コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む
・薬剤(b)を含む第3の容器であり、薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
ここで、該成分(a1)、(a2)、(a3)および(b1)は上記に詳細に開示されている。
【0503】
さらなる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(パーツキット)には、好ましくは、以下が互いに別々に包装されている:
・薬剤(a’)を含む第1の容器であり、薬剤(a’)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、
・薬剤(a’’)を含む第2の容器であり、薬剤(a’’)は以下を含む:
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物であり、前記コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む、および、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)をさらに含む、
・薬剤(a''')を含む第3の容器であり、薬剤(a''')は、水含有化粧料担体である、
・薬剤(b)を含む第4の容器であり、薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
ここで、該成分(a1)、(a2)、(a3)および(b1)は上記に詳細に開示されている。
【0504】
この実施形態では、薬剤(a')および(a'')は低い水分含有量を有する。使用準備済の薬剤(a)を調製するために、薬剤(a')、(a'')、および(a''')を混合する。この場合、薬剤(a''')は含水化粧料担体を表す。
【0505】
さらなる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(パーツキット)には、以下が好ましくは、互いに別々に包装されている:
・薬剤(a’)を含む第1の容器であり、薬剤(a’)は以下を含む:
1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物(a1)、
・薬剤(a’’)を含む第2の容器であり、薬剤(a’’)は以下を含む:
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物であり、前記コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む、ならびに、少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)をさらに含む、
・薬剤(b)を含む第3の容器であり、薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
ここで、該成分(a1)、(a2)、(a3)および(b1)は上記に詳細に開示されている。
【0506】
さらなる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(パーツキット)には、好ましくは、以下が互いに別々に包装されている:
・薬剤(a’)を含む第1の容器であり、薬剤(a’)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素化合物、
・薬剤(a’’)を含む第2の容器であり、薬剤(a’’)は以下を含む:
(a2)α)基材プレートレットおよびβ)コーティングを含む少なくとも1種のエフェクト顔料を含む少なくとも1種の着色化合物であり、前記コーティングは、金属アルコキシドおよび塩基性基を有する有機ケイ素化合物を使用して湿式化学的に調製された少なくとも1つの層を含む、
・薬剤(a''')を含む第3の容器であり、薬剤(a''')は以下を含む:
少なくとも1種のシリコーンポリマー(a3)、
・薬剤(b)を含む第4の容器であり、薬剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1種のシーリング試薬
ここで、該成分(a1)、(a2)、(a3)および(b1)は上記に詳細に開示されている。
【0507】
多成分包装ユニットのこの実施形態では、薬剤(a''')が少なくとも1種のさらなる着色化合物(a2)をさらに含むことが好ましい。
【0508】
多成分包装ユニットのさらに好ましい実施形態に関して、必要な変更を加えて、方法について述べられていることが適用される。
【実施例
【0509】
[実施例1]
以下の製剤を製造した(特に明記されていない限り、すべての数値は重量%である)。
【0510】
【表1】
【0511】
【表2】
【0512】
使用準備済の薬剤(a)は、5gの薬剤(a’)と20gの薬剤(a’’)とを混合することによって調製された。薬剤(a)のpH値は、アンモニアまたは乳酸を加えることによって10.5の値に調整された。次に、薬剤(a)を約5分間放置した。
【0513】
【表3】
【0514】
薬剤(a)を一度に1つの毛髪ストランド(カーリング、ユーロナチュラルヘアホワイト)にマッサージし、1分間作用させた。次に、薬剤(a)を水ですすいだ。
【0515】
続いて、薬剤(b)を前記毛髪ストランドに適用し、1分間作用させた後、水ですすいだ。
【国際調査報告】