IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-550021逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器
<>
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図1
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図2
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図3
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図4
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図5
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図6
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図7
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図8
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図9
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図10
  • 特表-逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】逐次的なビット順位の2進重み付け乗算器-累算器
(51)【国際特許分類】
   G06G 7/60 20060101AFI20221122BHJP
   G06G 7/16 20060101ALI20221122BHJP
   G06G 7/14 20060101ALI20221122BHJP
   G06F 3/05 20060101ALI20221122BHJP
   G06G 7/22 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G06G7/60
G06G7/16 510
G06G7/14
G06F3/05 D
G06G7/22
G06F3/05 321Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518260
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020052161
(87)【国際公開番号】W WO2021061733
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/907,419
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/688,782
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グオ, フランク ツェン-ウェン
(72)【発明者】
【氏名】イェン, シェ-ファ
(57)【要約】
逐次的なベクトル-マトリクス乗算を実行するための様々な機構が、入力ベクトルにおける値のそれぞれのビット順位に対して第1のベクトル-マトリクス乗算を連続して実行することを含み得る。それぞれのビット順位に対する第1のベクトル-マトリクス乗算演算がアナログ出力を生成し得る。ベクトル-マトリクス乗算によって生成されたそれぞれのアナログ出力が、1つまたは複数のデジタルビット値に変換され得、1つまたは複数のデジタルビット値は第2のベクトル-マトリクス乗算演算に送られ得る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次的な2進重み付けデジタル-アナログ変換を実行するための方法であって、
入力ベクトルの値のそれぞれのビット順位に対する第1のベクトル-マトリクス乗算演算を連続して実行することであって、それぞれのビット順位に対する前記第1のベクトル-マトリクス乗算演算がアナログ出力を生成する、第1のベクトル-マトリクス乗算演算を連続して実行することと、
前記ベクトル-マトリクス乗算演算によって生成されたそれぞれのアナログ出力について、
前記アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することと、
前記1つまたは複数のデジタルビット値を第2のベクトル-マトリクス乗算演算に送ることと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のベクトル-マトリクス乗算演算が、前記入力ベクトルにおける前記値の各々の最上位ビット(MSB)から始めて、前記入力ベクトルにおける前記値の各々の最下位ビット(LSB)で終結するように実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することが、
前記アナログ出力を基準信号と比較することであって、前記1つまたは複数のデジタルビット値の第1のデジタルビット値は、前記アナログ出力が前記基準信号よりも大きいときには論理1を表し、前記アナログ出力が前記基準信号未満であるときには論理0を表す、比較することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することが、
前記第1のデジタルビット値が論理1を表すときには前記基準信号を調節することをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アナログ出力が、前記入力ベクトルにおける前記値の各々のMSBに対応し、
前記1つまたは複数のデジタルビット値が、キャリオーバビットなしの前記第1のデジタルビット値を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することが、
前記基準信号を調節した後に、前記アナログ出力を前記基準信号と比較することであって、前記1つまたは複数のデジタルビット値の第2のデジタルビット値は、前記アナログ出力が前記基準信号よりも大きいときには論理1を表し、前記アナログ出力が前記基準信号未満であるときには論理0を表す、比較することをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のデジタルビット値が、現在のアナログ出力に対応する値を表し、
前記第2のデジタルビット値が、前のアナログ出力に対応する値に加算されるキャリオーバ値を表す、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することが、
前記第1のデジタルビット値が論理0を表すときには前記基準信号を維持することをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することが、
前記基準信号を調節した後に、前記アナログ出力を前記基準信号と比較することであって、前記1つまたは複数のデジタルビット値の第2のデジタルビット値は、前記アナログ出力が前記基準信号よりも大きいときには論理1を表し、前記アナログ出力が前記基準信号未満であるときには論理0を表す、比較することをさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アナログ出力を前記1つまたは複数のデジタルビット値に変換することと、前記1つまたは複数のデジタルビット値を前記第2のベクトル-マトリクス乗算演算に送ることとの間に、2サイクルの遅延がある、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
それぞれが入力ベクトルの2進符号化された入力値を受け取る複数のデジタル入力と、
前記2進符号化された入力値を使用して、一度に1つのビット順位に対して2進符号化されたベクトル乗算演算を実行するベクトル-マトリクス乗算器回路と、
前記ベクトル-マトリクス乗算器回路からアナログ出力を連続して受け取って、前記アナログ出力の各々を1つまたは複数のデジタルビット値へと連続して変換する逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータと
を備えるベクトル-マトリクス乗算器回路。
【請求項12】
前記逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータが、
前記アナログ出力の各々が電荷を貯蔵するキャパシタを備える電荷集積回路を備える、
請求項11に記載のベクトル-マトリクス乗算器回路。
【請求項13】
前記ベクトル-マトリクス乗算器回路が現在のビット順位の指示をも渡す、請求項11に記載のベクトル-マトリクス乗算器回路。
【請求項14】
複数のレジスタのうちの1つに前記1つまたは複数のデジタルビット値を送るマルチプレクサであって、現在のビット順位の前記指示が前記マルチプレクサを制御する、マルチプレクサをさらに備える、請求項13に記載のベクトル-マトリクス乗算器回路。
【請求項15】
前記逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータが、
前記アナログ出力のうちの別々のものをそれぞれ貯蔵する、複数の2進重み付けスイッチおよびキャパシタを備える、
請求項11に記載のベクトル-マトリクス乗算器回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月27日出願の米国仮出願第62/907,419号、および2019年11月19日出願の米国特許出願第16/688,782号の利益を主張するものであり、どちらも、すべての目的のために、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、乗算器-累算器動作用のベクトル-マトリクス乗算回路に関する。具体的には、本開示は、アナログ結果からベクトル-マトリクス乗算演算を連続して行って、デジタル出力を逐次的に生成する回路を対象とするものである。
【背景技術】
【0003】
ベクトル-マトリクス乗算演算は、ベクトルとマトリクスとの積の合計として定義され得る。具体的には、積が合計されるベクトル-マトリクス乗算演算を定義するために式1が使用され得る。
【0004】
式1において、Xは値(電子環境においてバイナリビットを使用して表すことができる)から成る入力ベクトルであり、Wijはマトリクスの重み値を表す。Yは積ベクトルを合計することによって得られる出力ベクトルである。この機能は、様々な信号処理、画像処理、およびニューラルネットワークの利用などにおける人工知能アプリケーションにおいて、用途がある。
【0005】
この式をデジタル的に実行すると、かなりの量の処理リソースおよび/または処理エネルギーを消費する。従来のアナログ構成部分またはデジタルとアナログのハイブリッド構成部分は、比較的多数のクロックサイクルおよび/または実装するスペースの比較的広い面積を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、逐次的な2進重み付けデジタル-アナログ変換を実行するための方法は、入力ベクトルにおける値の各ビット順位に対して、アナログ出力を生成し得る第1のベクトル-マトリクス乗算演算を連続して行うことを含み得る。この方法は、ベクトル-マトリクス乗算によって生成された各アナログ出力を、1つまたは複数のデジタルビット値に変換してから第2のベクトル-マトリクス乗算演算に送るステップをも含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、ベクトル-マトリクス乗算器回路は複数のデジタル入力を含み得、各デジタル入力が、2進符号化された入力ベクトルの入力値を受け取り得る。この回路は、2進符号化された入力値を使用して、一度に1つのビット順位に対して2進符号化されたベクトル乗算演算を実行するベクトル-マトリクス乗算器回路をも含み得る。この回路は、ベクトル-マトリクス乗算器回路からアナログ出力を連続して受け取って、アナログ出力の各々を1つまたは複数のデジタルビット値へと連続して変換する逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータをさらに含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、ベクトル-マトリクス乗算を実行するための装置は、複数のデジタル入力を受け取るための手段を含み得、各デジタル入力が、2進符号化された入力ベクトルの入力値を受け取り得る。この装置は、複数の入力ベクトル値の各ビット順位に対して、アナログ出力を生成し得るベクトル-マトリクス乗算演算を連続して実行するための手段をも含み得る。この装置は、アナログ出力の各々を1つまたは複数のデジタルビット値に変換するための手段をさらに含み得る。
【0009】
あらゆる実施形態において、以下の特徴のうちのいずれかまたはすべてが、任意の組合せにおいて制限なく含まれ得る。第1のベクトル-マトリクス乗算演算は、入力ベクトルにおける値の各々の最上位ビット(MSB)から始めて、入力ベクトルにおける値の各々の最下位ビット(LSB)で終結するように実行され得る。アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することは、アナログ出力を基準信号と比較することを含み得、1つまたは複数のデジタルビット値の第1のデジタルビット値は、アナログ出力が基準信号よりも大きいときには論理1を表し得、アナログ出力が基準信号未満であるときには論理0を表し得る。アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することは、第1のデジタルビット値が論理1を表すときには基準信号を調節することをさらに含み得る。アナログ出力は入力ベクトルにおける値の各々のMSBに対応し得、1つまたは複数のデジタルビット値は、キャリオーバビットなしの第1のデジタルビット値を含み得る。アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することは、基準信号を調節した後にアナログ出力を基準信号と比較することをさらに含み得、1つまたは複数のデジタルビット値の第2のデジタルビット値は、アナログ出力が基準信号よりも大きいときには論理1を表し得、アナログ出力が基準信号未満であるときには論理0を表し得る。第1のデジタルビット値は、現在のアナログ出力に対応する値を表し得、第2のデジタルビット値は、前のアナログ出力に対応する値に加算されるキャリオーバ値を表し得る。アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することは、第1のデジタルビット値が論理0を表すときには基準信号を維持することをさらに含み得る。アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することは、基準信号を調節した後にアナログ出力を基準信号と比較することをさらに含み得、1つまたは複数のデジタルビット値の第2のデジタルビット値は、アナログ出力が基準信号よりも大きいときには論理1を表し得、アナログ出力が基準信号未満であるときには論理0を表し得る。アナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換することと、1つまたは複数のデジタルビット値を第2のベクトル-マトリクス乗算演算に送ることとの間に、2サイクルの遅延があり得る。逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータは、アナログ出力の各々が電荷を貯蔵するキャパシタを有する電荷集積回路をも含み得る。ベクトル-マトリクス乗算器回路は、現在のビット順位の指示をも渡し得る。ベクトル-マトリクス乗算器回路は、複数のレジスタのうちの1つに1つまたは複数のデジタルビット値を送るマルチプレクサをも含み得、現在のビット順位の指示がマルチプレクサを制御し得る。逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータはまた、複数の2進重み付けスイッチと種々のアナログ出力をそれぞれ貯蔵するキャパシタとを含み得る。この回路/装置は、ベクトル-マトリクス乗算演算を連続して実行するための手段からアナログ出力を連続して受け取って、アナログ出力の各々を少なくとも1つのデジタルビット値へと連続して変換する逐次的な2進重み付けアナログ-デジタルコンバータをさらに含み得る。この装置は、複数のデジタル入力を、ベクトル-マトリクス乗算演算を連続して実行するための手段に入力される複数のアナログ信号へと変換するための手段をも含み得る。この装置は、アナログ出力と比較される電圧基準をも含み得る。この装置は、電圧基準をアナログ出力と比較するための手段をも含み得る。
【0010】
様々な実施形態の性質および利点が、以下の図を参照することによってさらに理解されよう。添付図において、類似の構成要素または特徴は同一の参照ラベルを有し得る。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルに続くダッシュと、類似の構成要素の間を識別する第2のラベルとによって識別され得る。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用されている場合には、その記述は、第2の参照ラベルに関係なく、同一の第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のあらゆるものに当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】アナログ構成要素を使用して、ビット順位の2進値に対してベクトル乗算が実行されるベクトル-マトリクス乗算器回路の一実施形態を示す図である。
図2】アナログのベクトル-マトリクス乗算器の一実施形態を示す図である。
図3】アナログ加算回路の一実施形態を示す図である。
図4】ベクトル-マトリクス乗算演算を実行するための方法の一実施形態を示す図である。
図5】アナログ構成要素を使用して、2進符号化された入力に対してベクトル乗算が実行される回路の一実施形態を示す図である。
図6】連続した出力ビットストリームを生成するために、いくつかの実施形態によって個々のビットの入力ストリームが処理され得る様子を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル出力を生成するための特定の処理を示す図である。
図8】いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル出力を生成するための特定の処理を示す図である。
図9】いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル出力を生成するための代替の処理を示す図である。
図10】いくつかの実施形態による、ビットが各層の間で個々に処理されるように逐次的に階層化されて実行され得る逐次的MAC動作のパイプラインを示す図である。
図11】いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル-アナログ変換を実行するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で詳述された実施形態により、従来のアナログ実施形態と比較して、より短時間(例えばより少ないクロックサイクル)で実行される乗算器-累算器(MAC)動作が可能になり、デジタル入力信号を復号化する必要がない。むしろ、2進符号化された(または「ビット順位の(bit-ordered)」)値の形式の入力ベクトルが受け取られ得る。そのような値は、一般的にはLSBからMSBまたはMSBからLSBへと配置され(たとえば「1110」は14の値を表す)、アナログ領域において掛け算され、次いでアナログ領域またはデジタル領域において合計され得る。本明細書で詳述された機構は、2進の符号化された値のアナログ変換において直接実行され、入力ベクトルを、一連のパルス(たとえば14の値を表す14パルス)に変換する必要はない。したがって、計算は、従来のアナログ機構よりもかなり速く実行され得る。より具体的には、ベクトル-マトリクス乗算を実行するためのオペレーションサイクルの数は
になり得る。この式において、分子に指示された追加の2サイクルは実装形態によって変化し得る。たとえば、本明細書で詳述された実施形態は、8ビットの入力ベクトルに対するベクトル-マトリクス乗算を、従来のアナログMAC設計と比較して25.6倍速く実行することができる。
【0013】
さらに、本明細書で詳述された機構は、従来のアナログMAC設計に対してかなりのスペースを節約し得る。1ビットD-A変換器(DAC)を使用することにより、並行して受け取られたバイナリ値を変換するマルチビットDACを使用する場合よりも、必要な面積がより小さくなり得る。具体的には、2進符号化された入力ベクトルを2進符号化されたアナログ電圧値へと並行して変換するために複数の1ビットDACが使用され得る。たとえば、4ビットの入力ベクトルについては、1ビットDACから2進符号化されたアナログ電圧値を出力するのに4つのクロックサイクル(LSBに1サイクル、第2のLSBに1サイクル、第2のMSBに1サイクル、MSBに1サイクル)が必要になり得る。1ビットDACの数は、入力ベクトルの数(式1のX)に依拠し得る。
【0014】
マトリクス乗算演算は、入力ベクトルの値の各ビット順位に対して、連続してその都度実行され得る。1ビットDACの各々の並行出力は、ベクトル-マトリクス乗算器回路の重み付け要素に入力され得る。ベクトル-マトリクス乗算器回路は、式1の、Xを掛けられているWijマトリクスに対応する様々な重み付け要素を有し得る。ベクトル-マトリクス乗算器回路は、入力ベクトルの各ビット順位に対して乗算演算を実行し得る。したがって、入力ベクトルが4ビット長の値を含有している場合には、ベクトル-マトリクス乗算器回路は、時間領域において、4つのビットの各々に対して乗算演算を連続して実行し得る。ベクトル-マトリクス乗算器回路からの出力は、加算回路に出力される連続した信号(たとえば、乗算結果を表す電流または電気的特性のうちのいくつかを有する信号)であり得る。
【0015】
加算回路は、マトリクス乗算演算が実行された後に、ビット順位で重み付けした加算を実行するように機能し得る。加算回路は、アナログ領域またはデジタル領域のいずれかにおいて機能し得る。加算回路は、ベクトルマトリクス乗算回路から信号を受け取り、各マトリクス乗算演算の指示を適切なビット順位の重み付けになるように記憶して、出力値Yを決定するための加算を実行し得る。
【0016】
図1は、2進符号化された入力に対して、アナログ構成要素を使用してベクトル乗算が実行される回路100の一実施形態を示す。回路100は1ビットDAC 114、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122、および加算構成部分132を含むことができる。回路100は3つの部分に分割して理解され得る。部分110は、2進符号化されたデジタル信号(入力ベクトルを表す)を受け取って2進符号化されたアナログ信号に変換する。部分120は、2進符号化されたアナログ信号を受け取って、2進符号化されたアナログ信号と既定のマトリクス(例えば重み付けマトリクス)との間の乗算を表す2進符号化された積を出力する。部分130は、2進符号化された信号のビット順位の重み付けを考慮に入れて、2進符号化された積を合計するために、ビット順位の重み付け加算を実行する。したがって、適切に加算され得るように、2進符号化された入力信号の各ビットの適切なビット順位が維持される。部分130は、部分120の積出力を効率的に合計するためにアナログ構成部分を使用し得る。部分130はデジタル領域でも機能し得る。
【0017】
具体的には、部分110において、複数のデジタル入力信号112が並行して受け取られ得る。デジタル入力信号112は2進符号化された値を表し、デジタル入力信号112の各デジタル入力信号は、式1のベクトルXの値を表すことができる。入力信号112の2進ビットは、電圧レベル(たとえば1についてはH、0についてはL)、パルス(たとえば1についてはパルスあり、0についてはパルスなし)または時間(たとえば1については第1の期間にパルスあり、0については第2の期間にパルスあり)によって表され得る。図示のように、4つのデジタル入力信号(112-1、112-2、112-3、および112-4)が並行して受け取られ得る。これらの入力信号の各々が、入力ベクトルの個別の値を受け取り得る。他の実施形態では、デジタル入力信号の数は、図1において具体的に示された数より少なくても多くてもよい。デジタル入力信号112の各々が2進符号化され得る。したがって、回路のデジタル部分の各クロックサイクルについて、特定のビット順位のビットがデジタル入力信号112として受け取られ得る。たとえば、各デジタル入力信号112によって4ビットの2進値が入力される場合には、2進値の各ビットを並行して受け取ってアナログ領域に変換するためにクロックサイクルが4つ使用され得る。デジタル入力信号112は、各値のビット順位が、最下位ビット(LSB)から最上位ビット(MSB)のパターン、MSBからLSBのパターン、または任意の既定のパターンで2進符号化されてよい。
【0018】
1ビットDAC 114に対してデジタル入力信号112が入力され得る。繰返しになるが、図示のように、1ビットDAC 114が4つある(114-1、114-2、114-3、および114-4)。他の実施形態では、1ビットDAC 114の数は、4つより少なくても多くてもよい。各2進符号化されたデジタル入力信号112について1ビットDACが1つ存在し得る。1ビットDAC 114の各々が、受け取ったデジタル量を表すアナログ信号を出力し得る。したがって、2進符号化されたアナログ信号116(116-1、116-2、116-3、116-4)は、デジタル入力信号112のアナログ変換を表し得る。
【0019】
部分120において、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122が、2進符号化されたアナログ信号116を受け取り得る。アナログのベクトル-マトリクス乗算器122は、(たとえば第1のクロックサイクルでLSBに対する乗算演算、第2のクロックサイクルで第2のLSBに対する乗算演算、第3のクロックサイクルで第2のMSBに対する乗算演算といった)入力値の各ビット順位に対する乗算演算を、連続して実行し得る。したがって、2進符号化されたアナログ信号116の、受け取られた各ビット順位に対して、個別の乗算演算が実行され得る。アナログのベクトル-マトリクス乗算器122の可能な実施形態に関するさらなる詳細が、図2に関連して以下で提供される。2進符号化された乗算結果信号124は、加算構成部分132に出力され得る。
【0020】
加算構成部分132は、ビット順位で重み付けした加算機能性を実行するものとして理解され得る。加算構成部分132は、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122によって現在評価されているビットのビット順位を適切に考慮に入れ、ビット順位が考慮に入れられるように出力を記憶して、加算機能を実行し得る。本明細書で詳述されたように、加算構成部分132によってビット順位の重み付けが実行されるので、入力値は、2進符号化されたままの状態でベクトルマトリクス乗算回路によって評価され得る。
【0021】
加算回路の可能なアナログ実施形態において、受動的な、ビット順位で重み付けした加算を実行するために電荷の累積および再分配が使用され得る。アナログのベクトル-マトリクス乗算器122から2進符号化された信号が受け取られたとき、加算構成部分132は、電荷累積を使用して部分的加算を累算し得る。すべてのビット順位(たとえば4つのビット値を有する入力ベクトルについては4つのビット順位)がアナログのベクトル-マトリクス乗算器122によって一旦掛け算され、加算構成部分132が電荷累積を使用するなどして部分的な加算を記憶すると、電荷が再分配されてよく、最終的な加算値を表す電圧が出力され得る。加算構成部分132のアナログ実装形態の可能な実施形態に関するさらなる詳細が、以下で図3において提示される。
【0022】
図2は、アナログ変換された入力ベクトルの1つのビット順位を評価するアナログのベクトル-マトリクス乗算器の一実施形態200を示す。アナログのベクトル-マトリクス乗算器201は、図1のアナログのベクトル-マトリクス乗算器122の一実施形態を表し得る。しかしながら、実施形態200は単なる一例であることを理解されたい。図2において、Wijに対して2進ベクトル入力Xが掛け算される。アナログのベクトル-マトリクス乗算器201は複数の重み付け要素(202、204、206、208、210、212、214、および216)を含み得る。各重み付け要素が、1ビットDACから、2進符号化されたアナログ信号116のうち1つの2進符号化されたアナログ信号を受け取り得る。この例では、重み付け要素は、2進符号化されたアナログ信号の受け取った電圧および特定の重み付け要素の重み値に基づいて電流を出力し得る。たとえば、各重み付け要素は様々なコンダクタンスを使用して実装され得る。重み付け要素のコンダクタンスを変化させることにより、出力される電流の量を入力電圧に応じて変化させることができる。たとえば、電圧が1Vで、重み付けブロックのコンダクタンスが8μSであれば、8μAの出力が得られる。この値は、値のビット順位に基づいてさらに重み付けされ得る。したがって、最下位ビットに対する乗数は1、第2のLSBに対する乗数は2、といった具合になる。いくつかの実施形態では、各重み付け要素によって使用される加重値は、事前に決定されて、製造において固定され得る。他の実施形態では、各重み付け要素の重み付けは製造後に構成可能であり、実施形態200の使用中に再構成可能であり得る。
【0023】
各重み付け要素(202、204、206、208、210、212、214、および216)の出力は、電流などの電気的特性であり得る。同一の電流出力に接続された重み付け要素から出力される電流は、一緒に合計され得る。したがって、電流出力220は、重み付け要素202、204、206、および208によって出力された電流の合計を含み得、電流出力222は、重み付け要素210、212、214、および216によって出力された電流の合計を含み得る。
【0024】
入力ベクトルの各値のビットは一度に1つ評価される(アナログのベクトル-マトリクス乗算器201はビット順位を考慮に入れない)。たとえば、4ビットの値を4つ有する入力ベクトルについては、各値のMSBが最初に評価され、各値の第2のMSBがそれに続き、第2のLSBがそれに続いて、最後に各値のLSBがそれに続き得る(したがって1ビットDACによって2進符号化されたデータ出力の4つのクロックサイクルに対応する)。他の実施形態では、評価はLSBからMSBへと進んでよく、または、任意の他のあらかじめ定義された任意の順序で進んでもよい。この文書において後に詳述されるように、アナログのベクトル-マトリクス乗算器201の出力は、ベクトル-マトリクス乗算器によって乗算演算を実行されるビットのビット順位を考慮に入れるように、加算回路によって重み付けされ得る。
【0025】
重み付け要素の列の数は任意であり、入力ベクトルに対して掛け算される重み付けマトリクスに基づき得る。したがって、実施形態200の列の数は2つあるが、他の要素の列は、より少なくてもより多くてもよい。重み付け要素の行の数は、入力ベクトルに存在する値の数に対応し得る。たとえば、式2は、アナログのベクトル-マトリクス乗算器201によって出力される電流を表し得る。
【0026】
この例を継続して、電流出力(たとえば電流出力220、222)が一緒に接続されて、2進符号化された乗算結果信号124を生成する。加算構成部分132は、各ビット順位を適切に重み付けし、貯蔵し、次いで合計して、正確な最終加算を得る。
【0027】
図3は、アナログ加算回路の一実施形態300を示す。電圧、電流、電荷またはいくつかの他の電気的特性の形式であり得る信号を累積して再分配するために、様々な異なるタイプの回路が使用され得ることを理解されたい。アナログ加算回路の重要な態様は、受け取ったアナログのベクトル-マトリクス乗算器201の出力に対して適切なビット重み付けを適用することである。たとえば、アナログのベクトル-マトリクス乗算器201によって入力ベクトルの第2のLSBに対応する出力が出力されるとき、アナログ加算回路によって適用されるビット重み付けは、LSBの重み付けの2倍であり、第3のLSBの半分である。実施形態300は、図1の加算構成部分132を表し得る。入力301は、アナログのベクトル-マトリクス乗算器からの2進符号化された乗算結果信号124を表す。入力301はセンス増幅器310に供給される。センス増幅器310は、入力301によって受け取った電流に基づいて電圧を出力する。具体的には、実施形態300は、受動的な電荷共有および再分配を使用することができる。そのような機構は、消費電力を減少させるとともに、出力値に対する熱雑音の影響を低下させる助けになり得る。
【0028】
実施形態300はキャパシタ-スイッチ配列302を備える。キャパシタはビット順位で重み付けされ得、各キャパシタのキャパシタンスが、特定のビット順位用に重み付けされた電荷の量を受動的に貯蔵するように選択され得ることを意味する。一例として、4ビットの値を出力するために4つのキャパシタが存在する。キャパシタ316-1は、LSBに対応する電荷を貯蔵するように使用され得る。したがって、キャパシタ316-1は、C(Cは単位値である)のキャパシタンスを有し得る。キャパシタ316-2は、第2のLSBに対応する電荷を貯蔵するように使用され得る。したがって、キャパシタ316-2は、2Cのキャパシタンス(2進のビット順位における第2のLSBに対応し、したがってCの2倍の重みを表す)を有し得る。キャパシタ316-3は、第2のMSBに対応する電荷を貯蔵するように使用され得る。したがって、キャパシタ316-3は4Cのキャパシタンスを有し得る。キャパシタ316-4は、MSBに対応する電荷を貯蔵するように使用され得る。したがって、キャパシタ316-4は8Cのキャパシタンスを有し得る。各キャパシタのキャパシタンスは、アナログのベクトル-マトリクス乗算器の出力を表す電荷を貯蔵するように使用されるビット順位に対応する。キャパシタンスは次の式3によって計算され得、Cは単位値であり、Nは入力ベクトルの値のビット数である。
キャパシタンス=2N-1C 式3
【0029】
スイッチ制御論理330は、デジタルであって、部分110と同一のクロックに接続され得、スイッチ312、314-1、314-2、314-3、314-4、および314-5の開閉を制御することができる。簡単さのために、図3において、スイッチ制御論理とスイッチ312、314との間の通信は示されていない。スイッチ制御論理330は専用の論理回路でよく、または処理システムの一部として組み込まれてもよい。スイッチ制御論理330は、最初にスイッチ314-1、314-2、314-3、314-4、および314-5を閉じてよく、一方、スイッチ312は開かれている。スイッチ314-5はリセットとして機能し得、キャパシタ316-1、316-2、316-3、および316-4に存在する電荷を接地320へ放電する。
【0030】
次いで、スイッチ制御論理330は、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122によって評価されている現在のビット順位に関連したキャパシタンスを有するキャパシタを、2進符号化された乗算結果信号124に接続するようにスイッチを制御し得る。スイッチ制御論理330は、スイッチ312を閉じて、スイッチ314-2、314-3、314-4、および314-5を開き得る。したがってスイッチ314-1のみが閉じたままであり得、それにより、キャパシタ316-1をセンス増幅器310の出力に接続する。このクロックサイクル中に、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122はLSBに対応する2進符号化された乗算結果信号を出力し得る。次のクロックサイクルについて、スイッチ制御論理330は、スイッチ312を閉じたまま、スイッチ314-1を開き、スイッチ314-2を閉じる。このクロックサイクル中に、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122は第2のLSBに対応する2進符号化された乗算結果信号を出力し得る。キャパシタ316-1の2倍のキャパシタンスを有するキャパシタ316-2により、貯蔵された電荷の量で、適切なビット重み付けが受動的に適用される。次のクロックサイクルについて、スイッチ制御論理330は、スイッチ312を閉じたまま、スイッチ314-2を開き、スイッチ314-3を閉じる。このクロックサイクル中に、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122は第2のMSBに対応する2進符号化された乗算結果信号を出力し得る。キャパシタ316-2の2倍のキャパシタンスを有するキャパシタ316-3により、貯蔵された電荷の量で、適切なビット重み付けが受動的に適用される。次のクロックサイクルについて、スイッチ制御論理330は、スイッチ312を閉じたまま、スイッチ314-3を開き、スイッチ314-4を閉じる。このクロックサイクル中に、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122はMSBに対応する2進符号化された乗算結果信号を出力し得る。キャパシタ316-3の2倍のキャパシタンスを有するキャパシタ316-4により、貯蔵された電荷の量だけ、適切なビット重み付けが受動的に適用される。このステージでは、スイッチドキャパシタ-スイッチ配列302は、2進符号化された乗算結果を、ビット順位で重み付けされたキャパシタにおける電荷として別個に貯蔵する。
【0031】
この時点において、キャパシタ316-1、216-2、316-3、および316-4の各々が、キャパシタの特定のビット順位に対応する量の電荷(Q)を貯蔵する。所与のビット順位Nに関して特定のキャパシタに貯蔵された電荷の量は、次の式4によって定義され得る。
Q=2N-1*C*V 式4
【0032】
したがって、電荷の量は、キャパシタのキャパシタンスにセンス増幅器310による電圧出力を掛けたものと等しい。式3に関連して詳述されるように、キャパシタンスは、それぞれのより大きいビット順位について、2N-1という係数だけ増加される。
【0033】
次のクロックサイクル中に、スイッチ制御論理330は、スイッチ312を開き、スイッチ314-5を開いたまま、スイッチ314-1、314-2、314-3、および314-4を閉じてよい。このステップは電荷の再分配ステップと理解され得る。各キャパシタが、再分配ステージの間に、そのビット順位に対応する電荷の量を貯蔵するので、個々のキャパシタにおける電荷が、キャパシタ316-1、316-2、316-2、および316-3の間で分配されて最終的な加算を表す。一旦、再分配が起こると、加算はキャパシタ316のトッププレートにおける電圧値として表され、これが加算出力134によって出力される。式5は、各キャパシタに貯蔵された電荷を基に加算出力134によって出力される電圧値を表す。
【0034】
式5において、各キャパシタの電荷が、キャパシタの関連するビット順位に基づいて、加算出力134としてのVOutに対して適切な重み付けされた量だけ寄与し、VOutは、アナログのベクトル-マトリクス乗算の最終的な加重和を表す。
【0035】
全体で、入力ベクトルが4ビットの値を含むとき、加算処理は、有効な加算出力134が出力されるまでに6クロックサイクルを要することになる。より一般的には、加算処理には、リセットクロックサイクル、再分配クロックサイクル、および値の各ビット用のクロックサイクルが必要になり得る。
【0036】
図3は4つのキャパシタを示しているが、この実施形態は例示のみを目的とするものであることを理解されたい。キャパシタの数は、入力ベクトルの値に関する種々のビット数に適合するように増減され得る。代替実施形態では、加算出力134からコモンモード干渉を相殺することができるように差動加算回路が実装され得る。さらに、他の実施形態は、加算出力134を決定するために電荷を貯蔵して合計するための代替の受動的アナログ構成要素を使用し得る。さらに別の実施形態では、加算回路はデジタル回路を使用して実装され得る。
【0037】
図1図3において詳述されたシステムおよび回路を使用して様々な方法が実行され得る。図4は、ベクトル-マトリクス乗算演算を実行するための方法400の一実施形態を示す。方法400は、図1図3の回路またはそのような回路の代替バージョンを使用して実行され得る。すなわち、図2図3の、回路の特定の例は、図1の回路および図4の方法が実装され得る様子の例であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、デジタル加算回路が使用され得る。
【0038】
ブロック410において、2進符号化された信号のビット順位が、2進符号化されたアナログ信号に変換され得る。この機能を実行するために、複数の1ビットDACが並行して使用され得る。したがって、各DACは、デジタル信号を、所与のビット順位に関するアナログ信号へと並行して変換し得る。各DACは、入力ベクトルに関する特定のビット順位を表す、2進符号化されたデジタル信号を受け取ってよい。各ベクトルがNビットを有し得る。したがって、1ビットDACが、2進符号化されたデジタル信号をアナログ信号に変換するのにNクロックサイクルを要することになる。たとえば、2進符号化されたデジタル信号が「10011」であれば、この2進符号化された値(右端の桁がLSBであると想定すると19の値を表す)が1ビットDACによって出力されるのに5クロックサイクルを要することになる。各1ビットDACによるアナログ電圧出力は、各1ビットDACに供給される電源電圧に依拠し得る。
【0039】
ブロック420において、受け取られた2進符号化されたアナログ信号のビット順位に対して、ベクトル-マトリクス乗算が連続して実行される。ブロック420は、1ビットDACから受け取られた入力ベクトルの特定のビット順位に対して実行され得る。すなわち、ブロック420は、入力ベクトルの値の各LSBに対して最初に実行されてよい(次いで、ブロック420の、次回の繰返しの間に第2のLSBが評価され得る)。一般的には、評価される第1のビットは、入力ベクトルの値のMSBまたはLSBのいずれかになる。ベクトル-マトリクス乗算は図2の実施形態200に類似の回路によって実行されてよい。アナログ乗算回路の他の実施形態が可能であることを理解されたい。ベクトル-マトリクス乗算の乗算器は、アナログ入力値と重み付けとの積を表す重み付けされた量の電流をそれぞれもたらす重み付け要素を含み得る。そのような電流またはいくつかの他の電気的特性は加算回路に出力され得る。
【0040】
ブロック430において、ベクトル-マトリクス乗算器がブロック420において乗算機能を実行した所与のビット順位について、ベクトル-マトリクス乗算器の出力(電流または電圧の形式であり得る)が適切なビット順位の重み付けを伴って貯蔵され得る。受け取られた信号の指示は、アナログのベクトル-マトリクス乗算器によって評価されたビットのビット順位によって重み付けされてから貯蔵される。たとえば、アナログのベクトル-マトリクス乗算器による評価がLSBからMSBへと実行される場合には、加算回路によって貯蔵されるとき、それぞれの後続のビットは前のビットと比較して2倍の重みを与えられ得る。ほんの一例として、センス増幅器はアナログのベクトル-マトリクス乗算器から受け取った電流を電圧に変換し得る。加算回路のいくつかの例では、この電圧は、ブロック420が実行されたビット順位に対応するキャパシタンスを有する特定のキャパシタを充電するために使用され得る。したがって、たとえば、LSBが評価されるときには、アナログのマトリクス乗算器の出力はCのキャパシタンスを有するキャパシタを充電するために使用され得、第2のLSBが評価されるときには、アナログのマトリクス乗算器の出力は2Cのキャパシタンスを有するキャパシタを充電するために使用され得る、といった具合である。
【0041】
ブロック435において、追加のビット順位をさらに評価する場合には、方法400は、ブロック410へ戻って、入力ベクトルの次のビット順位に対して実行され得る。したがって、各ビット順位がアナログのベクトル-マトリクス乗算器によって連続して評価され、対応する出力が、加算回路によって、そのビット順位に対応する重み付けを伴って連続して貯蔵される。すべてのビット順位に対して、ブロック420において乗算演算が実行されてからブロック430において貯蔵されると、方法400はブロック440に進むことができる。したがって、入力ベクトルの各値が4ビットを有する場合、ブロック420および430は、値の各ビットに対して1回ずつ、4回実行される。
【0042】
ブロック440において、合計は累算することなどによって決定され得る。いくつかの実施形態では、合計はアナログ領域において決定される。ブロック430において貯蔵された、様々なビット順位で重み付けされた値が、一緒に合計され得る。ほんの一例として、スイッチ-キャパシタ配列が使用される場合には、各キャパシタの電荷がキャパシタの間で再分配されてよく、こうすると全体の電荷を累積するのに役立ち、特定のビット順位に対応する各キャパシタのキャパシタンスによってビットの重み付けが行われる。これを行うために、スイッチ-キャパシタ配列を切り離すためのスイッチが開かれ、各キャパシタに直接接続されたすべてのスイッチ(たとえば図3の314-1、314-2、314-3、および314-4)が閉じられてよい。各キャパシタの電荷が、キャパシタのフィールドの間で再分配され得る。しかしながら、電荷の総量は一定のままであり、キャパシタの間で、キャパシタンスの差によって、ビット順位で適切に重み付けされることになる。他の実施形態では、それぞれの乗算結果の適切なビット順位を使用して最終的な合計を決定するために、キャパシタ配列を使用するのではなく、アナログ回路またはデジタル回路の別の形態が使用され得る。
【0043】
ブロック450において合計の指示が出力される。いくつかの実施形態では、合計の指示は、電圧振幅などのアナログの電気的特性として出力される。たとえば、図3のキャパシタ配列のトッププレートにおける電圧は、ベクトル-マトリクス乗算の合計を表すことができる。この電圧が測定され得、場合により、数値を決定するために使用され得る。たとえば、この出力電圧は、電圧を変換してデジタル領域へ戻すADCなどの個別の回路によって使用され得る。
【0044】
逐次的MAC
いくつかの実施形態では、デジタル化されたMAC結果は、2進の重み付けされたMAC動作が完了すると直ちに使用可能になる。これらの実施形態により、8ビット幅のデータ入力に対する8つのMACサイクルおよび8つのSAR ADCサイクルの後にMACデジタル出力データが使用可能になる、図1図4において上記で説明されたビット順位の2進重み付け乗算器-累算器が改善され得る。これらの実施形態では、第2のサイクルの最後にMACデータのMSBが使用可能になり、残った7つのMAC出力ビットはそれぞれの逐次的なサイクルの最後に使用可能になる。これは、MAC動作のレイテンシを1/8に短縮する。
【0045】
いくつかの実施形態では、ADCはMACの内部に組み込まれ得る。逐次的なMACとADCとの動作は、最上位ビットから最下位ビットへと実行され得る。各MACサイクルの最後において、1つのデジタル化されたMACデータビットが使用可能になる。データが、乗算器-累算器の次の層に直ちに供給され得るので、このビット順位の2進重み付け乗算器-累算器のレイテンシが短縮される。次いで、これが、各層のレイテンシを短縮する。データを次の層に直接供給することにより、MAC配列とプロセッサユニットとの間のデータのやり取りが不要になり、電力を節約することができ、遅延を短縮することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、MACは、最上位ビットから最下位ビットへと実行され得る。結果的に、統合されたADCおよびMACも、最上位ビットから最下位ビットへと動作することができる。より上位のビットにデジタル化されないアナログデータが残って、最下位ビットにおけるキャリオーバビットになってしまうという問題があり得る。MACの最上位ビットは最初に出力され、このキャリオーバビットは最上位ビットに加算するべきではないので、このキャリオーバ問題が省かれてしまう可能性がある。いくつかの実施形態は、各MACサイクルの最後に2つのMAC出力ビットを生成することによって、この問題を解決する。1つのビットがキャリオーバビットを表してよく、1つのビットは現在のビットを表してよい。キャリオーバビットは、1つ上位のビットと同じ2進の重みを有し得る。このようにして、キャリオーバビットを上位のビットへシフトアップする必要性が解消される。次いで、各2進ビットのMACデータが、2つのMACデータ出力によって表され得る。1つが次のMACサイクルからのキャリオーバでよく、もう1つが現在のMACサイクルの現在のビットでよい。次のMAC層は、2つのデータビットを、適切な重みを割り当てた状態で受け取ることができる。2つのデータビットは、3つのレベルを有する入力データドライバに変換され得る。キャリオーバと現在のビットとの両方が1であれば、入力データレベルは2でよい。1つのMACデータが1であれば入力データレベルは1でよく、1のMACデータが1つもなければレベルは0でよい。
【0047】
図5は、2進符号化された入力に対して、アナログ構成要素を使用してベクトル乗算が実行される回路500の一実施形態を示す。回路500は図1の回路100に類似であるが、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122の出力が、逐次的な2進重み付けADC 504に向けられている点が異なる。上記で説明されたように、回路100は、1ビットDAC 114と、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122と、加算構成部分132とを含み得る。回路100は、引き続き3つの部分に分割して理解され得る。部分110が受け取り得る2進符号化されたデジタル信号の各々が、入力ベクトルにおける各値を表し得る。部分100はまた、2進符号化されたデジタル信号を2進符号化されたアナログ信号116に変換し得る。部分120は、2進符号化されたアナログ信号116を受け取り得て、2進符号化されたアナログ信号と既定のマトリクス(例えば重み付けマトリクス)との間の乗算を表す2進符号化された積124を出力する。部分502は、部分120からビット順位の出力を連続して受け取り、部分120から個々のビットを受け取ったとき、2進重み付けアナログ-デジタル変換を漸増的に実行してよい。いくつかの実施形態では、回路500が使用し得る既定のビット順位付けでは、デジタル入力信号112の各々のMSBが最初に受け取られ、続いて、MSB-1のビットからLSBまで連続して受け取られる。部分502が連続して供給し得る複数のデジタル出力信号506は、部分502によって処理されているので直ちに使用可能である。たとえば、複数のデジタル出力信号506のうちMSBを表すものが出力され、続いて、デジタル出力信号506のうちMSB-1のビットを表すものが出力される、といった具合でよい。
【0048】
例として、部分110によって、複数のデジタル入力信号112が並行して受け取られ得る。デジタル入力信号112は2進符号化された値を表し得、デジタル入力信号112の各デジタル入力信号は、式1のベクトルXの値X(i=0、1、2、...)を表し得る。入力信号112の2進ビットは、電圧レベル(たとえば1についてはH、0についてはL)、パルス(たとえば1についてはパルスあり、0についてはパルスなし)または時間(たとえば1については第1の期間にパルスあり、0については第2の期間にパルスあり)によって表され得る。図示のように、4つのデジタル入力信号(112-1、112-2、112-3、および112-4)が並行して受け取られる。これらの入力信号の各々が、入力ベクトルの個別の値を受け取る。他の実施形態では、受け取られるデジタル入力信号の数は、4つより少なくても多くてもよい。デジタル入力信号112の各々が2進符号化され得る。したがって、回路のデジタル部分の各クロックサイクルについて、特定のビット順位のビットがデジタル入力信号112として受け取られる。たとえば、各デジタル入力信号によって4ビットの2進値が入力される場合には、2進値を並行して受け取ってアナログ領域に変換するためにクロックサイクルが4つ使用され得る。デジタル入力信号112は、各値のビット順位がMSBからLSBへと受け取られ得るように2進符号化され得る。
【0049】
1ビットDAC 114に対してデジタル入力信号112が入力され得る。存在する4つの1ビットDAC 114(114-1、114-2、114-3、および114-4)は例としてのみ使用されるものである。他の実施形態では、1ビットDAC 114の数は、4つより少なくても多くてもよい。たとえば、他の実施形態は、8ビット、16ビット、32ビット、64ビット、128ビット、および/またはデータの類似の表現を使用し得る。本開示では、説明の容易さのために、4ビットのデータ値が代表的な例として使用され得る。しかしながら、以下で説明される動作は、任意の値幅のデータについて、MSBとLSBとの間のビットに対して掛け算して繰り返され得る。ビット数に関係なく、各2進符号化されたデジタル入力信号112について1ビットDACが1つ存在し得る。1ビットDAC 114の各々が、受け取ったデジタル量を表すアナログ信号を出力し得る。したがって、2進符号化されたアナログ信号116(116-1、116-2、116-3、116-4)は、デジタル入力信号112のアナログ変換を表し得る。
【0050】
部分120において、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122が、2進符号化されたアナログ信号116を受け取り得る。アナログのベクトル-マトリクス乗算器122は、(たとえば第1のクロックサイクルでMSBに対する乗算演算、第2のクロックサイクルでMSB-1に対する乗算演算、第3のクロックサイクルでMSB-2に対する乗算演算といった)入力値の各ビット順位に対する乗算演算を、連続して実行し得る。したがって、受け取られる2進符号化されたアナログ信号116の各ビット順位に対して個別の乗算演算が実行され得る。アナログのベクトル-マトリクス乗算器122の可能な実施形態に関するさらなる詳細は、図2に関連して上記で提供されている。
【0051】
部分502における逐次的な2進重み付けADC 504は、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122から出力された乗算結果信号124を受け取り得る。たとえば、2進符号化されたアナログ信号116の各ビットが、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122によって(MSBから始めて)処理されているので、結果は、逐次的な2進重み付けADC 504に対して直ちに渡され得る。次いで、逐次的な2進重み付けADC 504が、アナログのベクトル-マトリクス乗算器122から受け取った各アナログビットに対してアナログ-デジタル変換を実行してよい。これによって、アナログビットの各々がアナログのベクトル-マトリクス乗算器122によって処理されているので、デジタル出力信号506が漸増的に供給され得る。加えて、逐次的な2進重み付けADC 504は、デジタル出力信号506によって表されるビットの各々の間に、結果の最終的なデジタル表現を構成するために使用され得るキャリオーバビットを供給し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、回路500の部分502は、図1の回路100の部分130のすべてまたは一部をも含み得る。たとえば、いくつかの実施形態は、電荷集積回路、電荷累積および再分配の回路、および/またはこのステージにおけるマトリクス乗算処理の最終的なアナログ結果を生成するために使用される合計構成部分132の他の部分を含み得る。
【0053】
図6は、連続した出力ビットストリームを生成するために、いくつかの実施形態によって個々のビットの入力ストリームが処理され得る様子を示す。式1の入力ベクトルXは、複数のビットストリーム602(Ip_0、...、Ip_N)として与えられ得る。たとえば、8ビットのデータ表現については、入力ベクトルにおける値の各々は8ビットのシーケンスを使用して表され得る。ビットストリーム602の各々は、MSBが最初に与えられ、それぞれの下位のビットがLSBまで連続して与えられるように順序付けられる。いくつかの実施形態では、ビットストリーム602は、上記で説明されたように、1ビットDACによって逐次的にルーティングされ得る。
【0054】
ビットストリーム602における各ビットから生成されたアナログ値は、MACセル配列601に対して1つずつ供給され得る。配列601は、上記で説明された図2のアナログのベクトル-マトリクス乗算器201に類似であり得る。配列601における重み値は、式2におけるWijのマトリクス値を表し得る。上記で説明されたように、配列601は、ビットストリーム602の中の特定の位置から各ビットを受け取り、それらのビットを一緒に処理して、2進重み付けADC 504に渡され得るアナログ出力を生成することができる。いくつかの実施形態では、配列601は、処理されたビットのビット位置を指示する値をも供給し得る。たとえば、配列601によって受け取られる最初のビットは、ビットストリーム602の各々のMSBでよい。MSBの各々は、アナログ値に変換されて、配列601におけるマトリクス値と掛け算され得る。これによって、配列601から、2進重み付けADC 504に供給されるアナログ電流出力が生成され得る。この出力は、8ビットデータのインデックス7におけるビット、すなわちMSB(たとえばOp_b<7>)を含み得る。この値は、データ経路における後続の回路要素を後に制御するために使用される出力として説明され得る。
【0055】
2進重み付けADC 504は、各ビットを、配列601から供給されたとき受け取り得る。これらの実施形態では、図3の実施形態とは対照的に、2進重み付けADC 504からのデジタル出力604の供給は、配列601によって処理されると直ちに始まり得る。たとえば、これらの実施形態は、図3のキャパシタの各々におけるアナログ値の合計が配列601から供給されるのを待ってから最終的なアナログ値に対してアナログ-デジタル変換を実行するのではなく、配列601から各アナログ値が供給されたとき、これに対してインクリメンタルアナログ-デジタル変換を個々に実行し得る。MSBおよびビットストリーム602のMSB-1からの繰上げ値が配列601によって処理されたとき、2進重み付けADC 504はデジタル出力604のMSBを生成し得る。
【0056】
2進重み付けADC 504は、ビットストリーム602におけるビットの各々を処理した後に、式1の結果のデジタル表現を表すデジタル出力を供給し得る。しかしながら、図6に示されるように、デジタル出力604は、Nビットデータ向けにさらにN-1ビットを含み得る。具体的には、デジタル出力604は、ビット値の各々の間に、前のビットに加算される、ビットストリームにおける次のビットからの繰上げ値を表すキャリオーバビットを含む可能性がある。たとえば、デジタル出力608は、ビット7の結果、ビット6の結果、ビット7の結果に加算されるビット6のキャリオーバ結果などを含み得る。これは、Nビットデータに関する2N-1のビットを有するデジタル出力604をもたらし得る。
【0057】
図7は、いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル出力を生成するための特定の処理を示す。この特定の実施形態は、乗算マトリクスからの連続した出力を貯蔵するために電荷集積回路704を使用する。以下の例は、一例として8ビットのデータ値を再び使用する。しかしながら、各データ値を表すために使用されるビット数を増加する/減少するために、ビット6からビット0まで処理するための原理は、重複/除去が可能である。以下の記述は、8ビット値に包含される各ビットに対する処理を説明するものである。
【0058】
アナログ乗算マトリクスによって実行されるMAC動作は、図7の左側の操作フローによって表される。MAC動作は、動作701においてMSB(たとえばビット7)から始めて、乗算マトリクスにおける重みを伴う入力データ値の各々から、MSBの乗算に対応する電流を出力し得る。MAC動作からの電流は電荷集積回路704に渡され得る。電荷集積回路704は、MAC動作から電流を受け取り、アナログ値をキャパシタの電荷として貯蔵するキャパシタを含み得る。電荷集積回路704は、キャパシタに渡される電流を、現在の動作のビット重みに対応するようにスケーリングする回路をも含み得る。たとえば、MAC動作からMSBが受け取られるとき、電荷集積回路704は(スケーリングされていない)全電流がキャパシタに貯蔵されることを可能にしてよい。
【0059】
次に、比較器705が、キャパシタの電圧を入力として受け取り得る。電圧基準回路710からもう1つの入力が受け取られ得る。電圧基準回路710の出力は、当初はMAC動作の全出力の中間の電圧レベルに設定されてよい。キャパシタ電圧が電圧基準よりも高ければ、比較器704の出力は論理1になる。キャパシタ電圧が電圧基準よりも低ければ、比較器704の出力は論理0になる。
【0060】
上記で説明されたように、MAC動作は、電荷集積回路704に対して、現在のビット値をも出力として供給し得る。現在のビット値は、現在のビット値に基づいて電流を適切なレベルにスケーリングするように使用され得る。現在のビット値は、比較器705の出力を特定のレジスタにルーティングするマルチプレクサ708用の選択信号としても使用され得る。たとえば、マルチプレクサ708は複数の出力レジスタ712に結合されてよい。現在のビット値は、出力レジスタ712のうち、処理されている現在のビットに対応するものを選択するように使用され得る。MSB向けには、「msb<7>bit reg」レジスタが選択され得、このレジスタに比較器705の出力がラッチされ得る。
【0061】
現在の値が、対応するレジスタ712にラッチされたとき、処理パイプラインにおける後段がそれらのビット出力を後続の乗算演算の処理に使用開始し得るように、出力信号714が生成されてよい。このステージで、図1図2において上記で説明された乗算演算に類似の後続の逐次的MAC動作ために、「msb<7>bit o/p」(すなわち最上位ビット7の出力)が供給され得る。この出力は現在のビットに関する現在の2進の重みを表し得、デジタルビット値、またはMAC動作によって処理されている現在のビットに関する「第1のデジタルビット値」と称されることもある。
【0062】
各ステージにおいて、電圧基準回路によって供給された電圧基準710の値が調節され得る。MSB(ビット7)の例を継続して、MSBの処理に使用された元の電圧基準がVref_msbであって比較器705の出力が論理1あれば、電圧基準710に対して新規のインクリメントDVref7=(1/2)Vref_msbが供給され得る。他方では、比較器705の出力が論理0であれば、電圧基準に追加のインクリメントはなく、Vref_msbとして存続し得る。基準電圧は少なくとも2つの要素を内蔵し得る。1つの要素はベース基準電圧を表してよく、その値はビットレベルの重みによって決定され得る。このことは、電荷集積の実施形態については次の式5で表され得る。
同一のビット重みのビットは同一のベース基準電圧を有し得、たとえばビット<7>とco<6>とは同一のベース基準を有し得る。第2の要素は、比較器出力が論理1のとき印加される任意の累積された追加の調節を含み得る。この累積された調節は、電荷集積の実施形態に関するリストAに示されるように定式化され得る。
【0063】
乗算演算は、MSB(ビット7)を処理した後に、次の最上位ビットすなわちMSB-1(ビット6)の結果を出力し得る。上記で説明されたものと同一のプロシージャに続いて、乗算演算から供給されたアナログ値がMSB-1(ビット6)の下位のビット順位を反映して0.5倍されてよく、対応する電荷が電荷集積回路704のキャパシタに貯蔵され得る。キャパシタに生じる電圧は、電圧基準710と共に比較器705に供給されてよい。電圧基準710によって供給された信号は、現在のビットレベルよりも1つ上位のビットに使用された電圧基準に対応するものでよい。この例では、比較器は、上記で説明されたようにMSBによって使用されたVref_msbの信号レベルを受け取り得る。
【0064】
前サイクルにおける比較器705の出力が、MSBのデジタル量を生成した。しかしながら、次のMSB-1の第1のサイクルにおいて、比較器705の出力がキャリオーバビット(たとえばco<6>)値を生成する可能性がある。電荷集積回路704のキャパシタの電圧が電圧基準710よりも高ければ、「co<6>bit reg」レジスタに論理1が記憶され得る。キャリオーバビットが論理1であるとき、電圧基準710は、次の比較器動作のための(3/2)Vref_msbになるように、新規のインクリメントDVref6c=(1/2)Vref_msbを供給され得る。あるいは、電荷集積回路704のキャパシタの電圧が電圧基準710よりも低ければ、「co<6>bit reg」レジスタに論理0が記憶され得る。このビットは、以下で説明される標準的な算術演算の一部としてMSB<7>に加算され得る繰上げビットを表す。
【0065】
MSB-1のビットの乗算演算のアナログ出力は、2つの別々の比較動作用に使用され得、1つは、上記で説明されたMSB-1のキャリオーバビット、または「第2のデジタルビット値」を生成するためのものであり、もう1つは、MSB-1の2進の重みビット、またはMSB-1のMAC動作の「第1のデジタルビット値」を生成するための後続の比較器動作である。比較器は、MSB-1の2進の重みビットを生成するために、キャパシタの電圧をMSB-1レベル用の基準レベルと再び比較してよく、この基準レベルはDvref6s+(1/2)Vref_msbであり、DVref6sはすべての累算されたDVref値の合計である。MSB-1のビットについては、DVref6s=DVref7+DVref6cである。キャパシタ電圧の方が高ければビット出力は1であり、キャパシタ電圧の方が低ければビット出力は0である。最後に、ビット値が1であれば、基準レベルは、別のインクリメントDVref6=(1/4)Vref_msbを受け取り得る。
【0066】
一般的な意味で、MSBの後の各ビットは、前のビットからの電圧基準を使用することによってキャリオーバビットを生成し得る。MSBの後のあらゆるビットについて、上記で説明されたように、N番目のキャリオーバビットは、ビット重みレベルにおいて1つ上位のビットからの基準信号を使用する比較器を使用して生成され得る。上位の重みの出力ビットが論理1であれば、比較器の基準レベルはDVrefNcだけ高められ、NはN番目のキャリオーバビットであり、DVrefNc=1/(2)M-(N+1)Vref_msbであり、MはM番目=MSBビットであり、Vref_msbはMSBビットの基準レベルであって、Nは、M番目のビット(MSB)から0番目のビット(LSB)まで動作するN番目のビットである。それぞれのN番目のキャリオーバビットについて、基準レベルはVrefNc=VrefNcb+DvrefNcsであり、VrefNcb=1/(2)M-(N+1)Vref_msbは、N番目のキャリオーバビットのベース基準レベル(すなわち(N+1)番目のビットのベース基準レベル)であって、
はN番目のビットの前に高められたVrefインクリメントの累算された合計である。
【0067】
同様に、現在のビット重みに関する現在の2進のN番目のビット比較器の動作は、基準レベルを使用する。集積された電荷レベルが基準レベルよりも高ければ現在の2進出力ビットは1になり、比較器の基準レベルはDVrefN=1/(2)M-N+1Vref_msbだけ高められる。それぞれのN番目のビットについて、基準レベルはVrefN=VrefNb+DvrefNsであり、VrefNb=1/(2)M-N*Vref_msbはN番目のビットベース基準レベルであって、
は前のN番目のキャリオーバビットで高められたVrefインクリメントの累算された合計である。この一般的な処理は、シーケンスにおけるLSBまでの各ビットに対して繰り返され得る。以下で説明されるように、各2進出力は、現在のビットレベル重みに関するキャリオーバビットおよび通常のビットを有する。これら2つのビットは、MAC動作の後続の層に直接供給され得る。例として、リストAは、8ビットのデータを使用する電荷集積の実施形態に関して図7に示された動作を完了するものである。
【0068】
図8は、いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル出力を生成するための特定の処理を示す。この回路は、図7に示された上記の回路に類似である。しかしながら、この回路は、乗算機能からの種々の出力を受け取るために、電荷集積回路704の代わりにマルチプレクサを使用する。この回路は、乗算機能からのアナログ出力をスケーリングしてこれらの出力に関連した電荷を1つの集積キャパシタに加算する代わりに、乗算機能から種々の出力を選択して比較器に供給することができる。乗算機能は、電圧基準710が適宜スケーリングされ得ることを除けば、図7に関連して上記で説明されたように動作する。
【0069】
図9は、いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル出力を生成するための代替の処理を示す。具体的には、この回路は、複数の2進重み付けスイッチおよび/またはキャパシタ905と共にトランスインピーダンス増幅器(TIA)またはセンス増幅器906を含み得る。これは図3において上記に示された機構に類似であり得る。乗算機能からのアナログ出力は、複数のスイッチによって分離される専用のキャパシタにそれぞれ貯蔵され得る。2進重み付けスイッチおよび/またはキャパシタ905には、乗算機能のアナログ出力が適切なキャパシタに貯蔵されるようにスイッチを制御するために、2進シーケンス制御902が与えられ得る。
【0070】
上記で説明されたように、比較器705によって、MSBは1回処理され得、MSBに続くビットの各々は2回処理され得る。MSBは第1のデジタルビット値(たとえば「msb<7>bit reg」)を生成してよく、続くビットの各々が第1のデジタルビット値と第2のデジタルビット値(たとえばキャリオーバビット)との両方を生成し得る。各ステージにおいて、電圧基準710は、対応するビットの2進の重みに基づいてスケーリングされ得る。したがって、電圧基準710の出力には2進重み付けの基準スケーリング回路910が含まれ得る。電圧基準710は、分圧器、容量分圧器、および/または電圧を選択的にスケーリングするための任意の他の方法を使用してスケーリングされ得る。
【0071】
以下の説明は、8ビットのデータについて、MSBと、MSBに続くビットの各々とを処理するための動作を詳述するものである。最初に、TIA 906を用いて、MSBビット<7> のMAC電流が電圧に変換され得、関連するMSBキャパシタ905がこの電圧まで充電され得る。比較器705は、この電圧を、Vref_msb7=Vref_msbであり得るMSB基準レベルと比較してよい。電圧がVref_msb7よりも高ければMSB出力ビットは1でよく、基準レベルはDVref7=(1/2)Vref_msb7だけ高められ得る。
【0072】
MSB-1のビット(たとえばビット6)に関する動作に進むと、乗算演算の出力電流はTIA 906によって電圧に変換され、関連するキャパシタ905に貯蔵され得る。このキャパシタは、上記で説明されたMSBキャパシタの半分のサイズでよい。次に、MSB-1のキャパシタは、電荷を再分配するために、スイッチによってMSBキャパシタに接続され得る。電圧基準710は、RVC6=1/(1+1/2)=2/3の比を用いて追加キャパシタンスの影響を補償するように調節され得る。co<6>の基準レベルは、Vref6c=(Vref_msb+DVref6cs)*RVC6=2/3*Vref_msbであり得、この式でDVref6cs=DVref7である。次いで、比較器は、キャパシタに再分配された電圧を(2/3)Vref_msbと比較してよい。比較の後に、co<6>は、再分配された電圧レベルが基準値よりも高ければ論理1に設定され、そうでなければ論理0に設定され得る。co<6>=1であれば、基準電圧レベルがDVref6c=(1/2)Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
【0073】
次に、MSB-1のビットに対する動作の後半が実行され得る。上記で説明された動作の前半はキャリオーバビットを生成し得、後半は、MSB-1の乗算演算用のビットレベルの重みビットを生成し得る。比較器705は、Vref6=RVC6((1/2)Vref_msb+DVref6s)であるビット<6>基準レベルを受け取り得、DVref6s=DVref7+DVref6cである。ビット<6>出力は、ビットレベルが基準よりも高ければ論理1であり得、そうでなければ論理0であり得る。例として、リストBは、8ビットのデータを使用するTIAの実施形態に関して図9に示された動作を完了するものである。
【0074】
図10は、いくつかの実施形態による、ビットが各層の間で個々に処理されるように逐次的に階層化されて実行され得る逐次的MAC動作のパイプラインを示す。パイプラインは、上記で図6に示されたMACセル配列601および2進重み付けADC 504を含む第1のステージを含み得る。上記で説明されたように、パイプラインの第1のステージの出力は、逐次的に生成されたビット604のストリームを含み得る。逐次的に生成されたビット604のストリームは、「第1のデジタルビット値」と称されるビットレベルの重みビットを含み得、図10には、8ビットデータの例で<7>、<6>、...、<0>と示されている。逐次的に生成されたビット604のストリームは、図10にco<6>、...、co<0>として示された「第2のデジタルビット値」と称されるキャリオーバビットをも含み得る。逐次的に生成されたビット604のストリームにおける各ビットは、2進重み付けADC 504から出力されたとき、逐次的ステージに対する入力として使用可能になり得る。
【0075】
パイプラインは、第2のMACセル配列1001および第2の2進重み付けADC 1004を含む第2のステージをも含み得る。第2のMACセル配列1001は、パイプラインの第1のステージの第1の2進重み付けADC 504の出力から、逐次的に生成されたビット604のストリームを受け取り得る。いくつかの実施形態では、MACセル配列1001に対して、ビットストリームにおける第1のデジタルビット値と第2のデジタルビット値(たとえばビットレベルの重みビットとキャリオーバビット)との両方を含むビットストリームの全体が直接供給され得る。他の実施形態では、第2のMACセル配列1001に対する入力ビットストリームが、データ経路の残りと同一の幅(たとえば8ビット)になるように、キャリオーバビットがビットレベルの重みビットと組み合わされ得る。これらのビットは、前のビットレベルの重みビットにキャリオーバビットを加算することによって組み合わされ得る。これは、入力における論理1の信号としての電圧/電流を2倍にすることによって表される「2」の値を有するいくつかのビット値をもたらす可能性がある。
【0076】
図10は、MAC動作の出力における逐次的な2進重み付けADCによってもたらされる利点のうちの1つを示すものである。具体的には、パイプラインにおける第2のMACステージは、パイプラインにおける第1のMACステージによってすべてのビットが処理されるのを待つことなく、各ビットを、出力されたときに処理を開始することができる。MACセル配列201と1001との両方が複数の1ビットDACを使用して入力における各ビットを逐次的に受け取るという上記の議論を想起されたい。したがって、第2のステージは、第1のステージによって1つのビットが供給されたとき1ビットDACの動作を開始することができる。2サイクルの遅延の後に、第1の2進重み付けADC 504の出力においてビット<7>およびビットco<6>が供給され得る。そこで、第2のMACセル配列1001は、パイプラインの第1のステージからビット<6>や後続のビットが供給されるのを待つことなく、これらのビットを直ちに受け取り得る。
【0077】
図10にはMACパイプラインの2つのステージしか示されていないが、他の実施形態は、図10には明示的に表されていない多くの追加ステージを含み得る。本開示の以前には、データ経路のビット数をNとすると、それぞれの追加ステージには少なくともNの追加のクロックサイクルが必要とされていたはずである。しかしながら、本明細書で説明した図10の実施形態を使用すれば、それぞれのステージから出力される最初の2ビットを用意するのに、それぞれの追加ステージには2クロックサイクルの追加遅延しか必要とされない。
【0078】
図11は、いくつかの実施形態による、逐次的な2進重み付けデジタル-アナログ変換を実行するための方法1100の流れ図を示す。方法1100におけるステップの各々は、図1図10において上記で説明されたように実行され得る。具体的には、これらの動作を実行するために、上記で説明された動作、機能、および/または回路のうちの任意のものが使用され得る。
【0079】
この方法は、入力ベクトルの値のそれぞれのビット順位に対する第1のベクトル-マトリクス乗算演算を連続して実行するステップ(1102)を含み得る。それぞれのビット順位に対する第1のベクトル-マトリクス乗算演算がアナログ出力を生成し得る。たとえば、MACセル配列は、上記で説明されたように、入力ベクトルにおける各値からそれぞれの逐次的なデジタルビットを受け取るように使用され得る。これらの値は、1ビットDACによってアナログ信号へと逐次的に変換されてから、アナログ乗算マトリクスによって処理され得る。アナログ出力は、マトリクスによって表される乗算/累算の動作の結果を表すアナログ電流を含み得る。
【0080】
この方法は、MAC動作からのアナログ出力を1つまたは複数のデジタルビット値に変換するステップ(1104)をも含み得る。この変換は、比較器に対する一方の入力として電圧基準を供給することによって実行され得る。いくつかの実施形態は、比較器に対する他方の入力として、ベクトル-マトリクス乗算演算からのアナログ出力に基づく電圧を供給し得る。たとえば、トランスインピーダンス増幅器がアナログ電流を電圧に変換してよく、これが集積キャパシタまたはそれぞれのビットレベルの重みを表す個々のキャパシタに貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、1つの乗算演算出力を表すそれぞれのアナログ出力が、1つまたは複数のデジタルビット値に変換され得る。たとえば、MSBは、1つのビットレベルの重みビットへと変換され得、第1のデジタルビット値と称され得る。MSBに続くLSBまでのビットについては、各ビットが、ビットレベルの重みビットと、第2のデジタルビット値と称されるキャリオーバビットとに変換され得る。「第1の」や「第2の」という用語は、順序または重要性を意味するのではなく、単に、動作においてこれら2つのビットを互いに区別するものである。特定の実施形態に依拠して、第1のデジタルビット値が論理1を表すとき、比較器に供給する基準信号を調節するために種々の方法が使用され得る。反対に、比較器の出力が論理0であるときには、基準信号は、現在のビットレベルの重みにおけるベース基準電圧と同一のままでよい(すなわち、それぞれの逐次的なビットレベルのベース基準電圧が異なるものであったとしても、現在のビットレベルにおけるベース基準電圧の追加調節は不要である)。基準信号を調節するこれら種々の方法は、上記ならびにリストAおよびリストBにおいて詳細に説明されている。
【0081】
この方法は、第2のベクトル-マトリクス乗算演算に1つまたは複数のデジタルビット値を送るステップ(1106)をさらに含み得る。この動作は、いくつかの実施形態では任意選択でよく、複数のMACステージを含むパイプラインにおいて1つのMACステージの出力が後続のMACステージの入力を供給するアーキテクチャに含まれ得る。各MACステージの間に、MSBビットおよび前のステージからの第1のキャリオーバビットを生成するのに2サイクルの遅延が存在し得る。
【0082】
上記で論じられた方法、システム、およびデバイスは例示である。様々な構成が、必要に応じて、様々なプロシージャまたは構成要素を省略するか、置換するか、または付加する可能性がある。たとえば、代替構成では、これらの方法は説明されたものと異なる順序で実行されてよく、ならびに/あるいは様々なステージが省略されてよく、付加されてよく、かつ/または組み合わされてよい。また、ある特定の構成に関して説明された各機能が、様々な他の構成において組み合わされ得る。構成の種々の態様および要素が、同様のやり方で組み合わされ得る。また、技術は進化するので、要素の多くは例示であり、本開示の範囲または特許請求の範囲を制限するものではない。
【0083】
例示の構成(実装形態を含む)の十分な理解を提供するために、説明において特定の詳細が示されている。しかしながら、構成は、これら特定の詳細なしで実施され得る。たとえば周知の回路、処理、アルゴリズム、構造、および技術は、構成を不明瞭にすることのないように、不必要な詳細なしで示されている。この説明が提供するのは例示の構成のみであり、各請求項の範囲、適用可能性、または構成を制限することはない。むしろ、構成の前出の説明は、当業者に、説明された技術の実装を可能にする記述を提供するはずである。本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、要素の機能および機構における様々な変更形態が作製され得る。
【0084】
また、構成は、流れ図またはブロック図で表される処理として説明されることがある。各動作は、連続した処理として説明され得るが、動作の多くは、並行して、または同時に実行され得る。加えて、動作の順序は並べ換えられてよい。処理は、図には含まれていない追加のステップを有し得る。
【0085】
いくつかの例示の構成を説明してきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な修正形態、代替構成、および等価物が使用され得る。たとえば、上記の要素は、より大規模なシステムの構成要素でよく、その場合、他のルールが優先する可能性、または本発明の適用を変更する可能性がある。また、上記の要素の前、間、または後に、複数のステップに着手することが考えられる。

リストA
電荷集積を用いる作動機構
1.電荷は、2進の重み付けされた方法を用いて、入力ビットのMSBからLSBへと集積される。
2.キャパシタを充電するためのMAC電流をスケーリングすることによって2進重み付けされる。
3.各2進ビットの電荷集積/充電の後に、2つの比較器チェックが連続して実行される。
1.N番目のキャリオーバビット比較器は、1ビット上位の基準レベルを調べる。集積された電荷レベルの方が高ければ、上位の出力ビットは1であり、比較器の基準レベルはDVrefNcだけ高められ、このNはN番目のキャリオーバビットである。この上位の出力ビットは借りビットである。DVrefNc=1/(2)M-N*Vref_msbであり、MはM番目=MSBビットであって、Vref_msbはMSBビットの基準レベルである。Nは、M番目(MSB)から0番目(LSB)まで動作するN番目のビットである。
2.N番目の(現在の)ビット比較器は現在の2進基準レベルを調べる。集積された電荷レベルが基準レベルよりも高ければ現在の2進出力ビットは1になり、比較器の基準レベルはDVrefN=1/(2)M-N+1*Vref_msbだけ高められる。
4.それぞれのN番目のキャリオーバビットについて、基準レベルはVrefNc=VrefNcb+DvrefNcsであり、VrefNcbはN番目のキャリオーバビットのベース基準レベルであり、(N+1)番目のビットのベース基準レベルでもある。VrefNcb=1/(2)M-(N+1)*Vref_msbである。DvrefNcsは、前のN番目のビットの高められたVrefの累算された合計であり、
である。
5.それぞれのN番目のビットについて、基準レベルはVrefN=VrefNb+DvrefNsであり、VrefNbはN番目のビットのベース基準レベルである。VrefNb=1/(2)M-N*Vref_msbである。DVrefNsは、前のN番目のキャリオーバビットの高められたVrefの累算された合計であり、
である。
6.LSBビットまで継続する。
7.基準レベル調節はDAC回路から得られる。
8.各2進出力は借りビットおよび独自のビットを有する。2つのビットは、MAC動作の次の層に直接供給される。
9.たとえばDLドライバといった入力ドライバにおいて、2進ビットが、それぞれの現在のビットおよび次の重みのビットからのキャリオーバビットについて調べられる。
1.現在のビットまたはキャリオーバビットのうちの1つが1であれば、たとえば電圧レベルといった入力強度は1である。
2.現在のビットとキャリオーバビットとの両方が1であれば、たとえば電圧レベルといった入力強度は2倍になる。
3.こうすることによって、電荷集積時間が半分に短縮され得る。
4.この動作には3レベルのDLドライバ/DACが必要とされる。

8ビットのMACを使用する電荷集積を用いる例示の作動機構
1.MSBビットのMAC電流が集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、MSB基準レベル(Vref_msb)に対してキャパシタ電圧を調べる。
1.キャパシタ電圧の方が高ければMSB <7>ビット出力は1であり、そうでなければ0である。
2.<7>=1であれば、基準レベルはDvref7=1/2*Vref_msbだけ高められる。
2.ビット<6>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)0.5の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、MSB基準レベルVref_msbに対してキャパシタ電圧を調べる。
1.キャパシタ電圧の方が高ければco<6>ビット出力は1であり、そうでなければco<6>=0である。ここで、co<6>はキャリオーバビット<7>である。
2.co<6>=1であれば、基準レベルは、DVref6c=1/2*Vref_msbだけ高められて3/2*Vref_msbになる。
2.比較器は、Dvref6s+1/2*Vref_msbである<6>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。DVref6sは、DVrefのすべての累算された合計であり、DVref6s=DVref7+DVref7cである。
1.キャパシタ電圧の方が高ければ<6>ビット出力は1であり、そうでなければ<6>=0である。
2.<6>=1であれば、基準レベルはDVref6=1/4*Vref_msbだけ高められる。
3.ビット<5>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)0.25の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、Dvref5cs+1/2*Vref_msbである<6>ビットの基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。Dvref5cs=DVref7+DVref6c+DVref6である。
1.キャパシタ電圧の方が高ければco<5>ビット出力は1であり、そうでなければco<5>=0である。
2.co<5>=1であれば、基準レベルはDVref5c=1/4*Vref_msbだけ高められる。
2.比較器は、Dvref5s+1/4*Vref_msbである<5>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。Dvref5s=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5cである。
1.キャパシタ電圧の方が高ければ<5>ビット出力は1であり、そうでなければ<5>=0である。
2.<5>=1であれば、基準レベルは1/8*Vref_msbに高められる。
4.ビット<4>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)1/8の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、Dvref4cs+1/4*Vref_msbである<5>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref4cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5である。
1.キャパシタ電圧の方が高ければMSB co<4>ビット出力は1であり、そうでなければco<4>=0である。
2.co<4>=1であれば、基準レベルはDVref4c=1/8*Vref_msbだけ高められる。
2.比較器は、Dvref4s+1/8*Vref_msbである<4>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref4s=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4cである。
1.キャパシタ電圧の方が高ければ<4>ビット出力は1であり、そうでなければ<4>=0である。
2.<4>=1であれば、基準レベルはDVref4=1/16*Vref_msbだけ高められる。
5.ビット<3>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)1/16の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、Dvref3cs+1/8*Vref_msbである<4>ビットの基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref3cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4である。
1.キャパシタ電圧の方が高ければco<3>ビット出力は1であり、そうでなければco<3>=0である。
2.co<3>=1であれば、基準レベルはDVref3c=1/16*Vref_msbだけ高められる。
2.比較器は、Dvref3s+1/16*Vref_msbである<3>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref3s=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3cである。
1.キャパシタ電圧の方が高ければ<3>ビット出力は1であり、そうでなければ<3>=0である。
2.<3>=1であれば、基準レベルはDVref3=1/32*Vref_msbだけ高められる。
6.ビット<2>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)1/32の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、Dvref2cs+1/16*Vref_msbである<3>ビットの基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref2cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3c+DVref3である。
1.キャパシタ電圧の方が高ければco<2>ビット出力は1であり、そうでなければco<2>=0である。
2.co<2>=1であれば、基準レベルはDVref2c=1/32*Vref_msbだけ高められる。
2.比較器は、Dvrefs+1/32*Vref_msbである<2>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref2s=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3c+DVref3+DVref2cである。
1.キャパシタ電圧の方が高ければ<2>ビット出力は1であり、そうでなければ<2>=0である。
2.<2>=1であれば、基準レベルはDVref2=1/64*Vref_msbだけ高められる。
7.ビット<1>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)1/64の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、Dvref1cs+1/32*Vref_msbである<2>ビットの基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref1cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2である。
1.キャパシタ電圧の方が高ければco<1>ビット出力は1であり、そうでなければco<1>=0である。
2.co<1>=1であれば、基準レベルはDVref1c=1/64*Vref_msbだけ高められる。
2.比較器は、Dvrefs+1/64*Vref_msbである<1>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref1s=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2+DVref1cである。
1.キャパシタ電圧の方が高ければ<1>ビット出力は1であり、そうでなければ<1>=0である。
2.<1>=1であれば、基準レベルはDvref1=1/128*Vref_msbだけ高められる。
8.ビット<0>のビットMAC電流は、(MSBのMACと比較して)1/128の電流比で集積キャパシタを充電する。
1.比較器は、Dvrefs+1/64*Vref_msbである<1>ビットの基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref0cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2+DVref1c+DVref1である。
1.キャパシタ電圧の方が高ければco<0>ビット出力は1であり、そうでなければco<0>=0である。
2.co<0>=1であれば、基準レベルはDvref0c=1/128*Vref_msbだけ高められる。
2.比較器は、Dvrefs+1/64*Vref_msbである<0>の基準レベルに対してキャパシタ電圧を調べる。
Dvref1s=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+Dvref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2+DVref1c+DVref1+DVref0cである。
キャパシタ電圧の方が高ければ<0>ビット出力は1であり、そうでなければ<0>=0である。

リストB
トランスインピーダンス増幅器、キャパシタ、およびスイッチを用いる作動機構
1.2進の重み付けされた方法を用いる、MSBからLSBまでの入力ビットのMAC。
2.TIAは、それぞれの2進ビット用のMAC電流を電圧に変換し、電圧は2進の重み付けされたキャパシタに維持される。
1.各2進ビットは、MSBからLSBまで、TIA出力電圧を貯蔵するための2進の重み付けされたキャパシタを有する。
2.TIA出力電圧が貯蔵されるとき、貯蔵するキャパシタは上位ビットに関連した他のキャパシタに接続される。
こうすることによって、新規の2進の電荷(電圧およびキャパシタンスで表される)を加え、合計の電荷を再分配する。
3.基準レベルは、追加キャパシタンス用の調節を必要とする。調節された基準レベルの比は
となる。この比は、電荷が再分配された後にそれぞれの2進のステップに適用される。
3.各2進ビットの電荷再分配の後に、2つの比較器チェックが連続して実行される。
1.キャリオーバビット比較器は、1ビット上位の基準レベルを調べる。
再分配されたキャパシタレベルの方が高ければ、キャリオーバビットは1になり、比較器基準レベルは、DVrefNc=1/(2)M-N*Vref_msbだけ高められ、MはM番目=MSBビットであり、Vref_msbはMSBビットの基準レベルである。
Nは、M番目(MSB)から0番目(LSB)まで動作するN番目のビットである。
2.N番目の(現在の)ビット比較器は現在の2進基準レベルを調べる。
集積された電荷レベルが基準レベルよりも高ければ現在の2進出力ビットは1になり、比較器の基準レベルはDVrefN=1/(2)M-N+1*Vref_msbだけ高められる。
4.それぞれのN番目のキャリオーバビットについて、基準レベルはVrefNc=(VrefNcb+DvrefNcs)*RVCNであり、VrefNcbはN番目のキャリオーバビットのベース基準レベルであり、(N+1)番目のビットのベース基準レベルでもある。VrefNcb=1/(2)M-(N+1)*Vref_msbである。DvrefNcsは、前のN番目のビットの高められたVrefの累算された合計であり、
である。
5.それぞれのN番目のビットについて、基準レベルはVrefN=(VrefNb+DvrefNs)*RVCNであり、VrefNbはN番目のビットのベース基準レベルである。VrefNb=1/(2)M-N*Vref_msbである。DVrefNsは、前のN番目のキャリオーバビットの高められたVrefの累算された合計であり、
である。
6.LSBビットまで継続する。
7.各2進出力は借りビットおよび独自のビットを有する。2つのビットは、MAC動作の次の層に直接供給される。

8ビットのデータを使用するTIAを用いる例示の作動機構
1.MSBビット<7>のMAC電流がTIAを用いてV<7>に変換され、関連するMSBキャパシタがV<7>まで充電される。
1.比較器は、このV<7>を、Vref_msb7=Vref_msbであるMSB基準レベルに対して調べる。
1.V<7>がVref_msb7よりも高ければ、MSB出力ビットは1である。
2.<7>=1であれば、基準レベルはDvref7=1/2*Vref_msbだけ高められる。
2.ビット<6>のMAC電流がTIAを用いてV<6>に変換され、関連するビット<6>キャパシタ(MSBキャパシタの半分のサイズ)がV<6>まで充電される。
1.<6>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>キャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスの影響に対して、基準レベルが、比RVC6=1/(1+1/2)=2/3を用いて調節される。
3.co<6>の基準レベルは、Vref6c=(Vref_msb+DVref6cs)*RVC6=2/3*Vref_msbである。この式で、DVref6cs=DVref7である。
1.比較器は、2/3*Vref_msbに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<6>=1であり、そうでなければco<6>=0である。
3.co<6>=1であれば、基準レベルがDVref6c=1/2*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<6>の基準レベルVref6=RVC6*(1/2*Vref_msb+DVref6s)を調べる。この式で、DVref6s=DVref7+DVref6cである。
1.レベルがより高ければビット<6>出力は1であり、そうでなければビット<6>出力は0である。
2.<6>=1であれば、基準レベルがDVref6=1/4*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
3.ビット<5>のMAC電流がTIAを用いてV<5>に変換され、関連するビット<5>キャパシタ(MSBキャパシタの1/4のサイズ)がV<5>まで充電される。
1.<5>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>および<6>のキャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスに対して、基準レベルが、比RVC5=1/(1+1/2+1/4)=4/7を用いて調節される。
3.co<5>の基準レベルは、Vref5c=(1/2*Vref_msb+DVref5cs)*RVC5=4/7*(1/2*Vref_msb+Dvref5s)である。この式で、Dvref5cs=DVref7+DVref6c+DVref6である。
1.比較器は、Vref5cに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<5>=1であり、そうでなければco<5>=0である。
3.co<5>=1であれば、基準レベルがDVref5c=1/4*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<5>の基準レベルVref5=RVC5*(1/4*Vref_msb+DVref5)を調べる。Dvref5=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5cである。
1.レベルがより高ければビット<5>出力は1であり、そうでなければビット<5>出力は0である。
2.<5>=1であれば、基準レベルがDVref5=1/8*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.ビット<4>のMAC電流がTIAを用いてV<4>に変換され、関連するビット<4>キャパシタ(MSBキャパシタの1/8のサイズ)がV<4>まで充電される。
1.<4>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>、<6>、<5>のキャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスに対して、基準レベルが、比RVC4=1/(1+1/2+1/4+1/8)=8/15を用いて調節される。
3.co<4>の基準レベルは、Vref4c=(1/4*Vref_msb+DVref4cs)*RVC4=8/15*(1/4*Vref_msb+Dvref4cs)である。この式で、
Dvref4cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5である。
1.比較器は、Vref4cに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<4>=1であり、そうでなければco<4>=0である。
3.co<4>=1であれば、基準レベルがDVref4c=1/8*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<4>の基準レベルVref4=RVC4*(1/8*Vref_msb+DVref4)を調べる。Dvref4=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4cである。
1.レベルがより高ければビット<4>出力は1であり、そうでなければビット<4>出力は0である。
2.<4>=1であれば、基準レベルがDVref4=1/16*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
5.ビット<3>のMAC電流がTIAを用いてV<3>に変換され、関連するビット<3>キャパシタ(MSBキャパシタの1/16のサイズ)がV<3>まで充電される。
1.<3>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>、<6>、<5>、<4>のキャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスに対して、基準レベルが、比RVC4=1/(1+1/2+1/4+1/8+1/16)=16/31を用いて調節される。
3.co<3>の基準レベルは、Vref3c=(1/8*Vref_msb+DVref3cs)*RVC3=16/31*(1/8*Vref_msb+Dvref3cs)である。この式で、
DVref3cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4である。
1.比較器は、Vref3cに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<3>=1であり、そうでなければco<3>=0である。
3.co<3>=1であれば、基準レベルがDVref3c=1/16*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<3>の基準レベルVref3=RVC3*(1/16*Vref_msb+DVref3)を調べる。
DVref3=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3cである。
1.レベルがより高ければビット<3>出力は1であり、そうでなければビット<3>出力は0である。
2.<3>=1であれば、基準レベルがDVref3=1/32*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
6.ビット<2>のMAC電流がTIAを用いてV<2>に変換され、関連するビット<2>キャパシタ(MSBキャパシタの1/32のサイズ)がV<2>まで充電される。
1.<2>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>、<6>、<5>、<4>、<3>のキャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスに対して、基準レベルが、比RVC2=1/(1+1/2+1/4+1/8+1/16+1/32)=32/63を用いて調節される。
3.co<2>の基準レベルは、Vref2c=(1/16*Vref_msb+DVref2cs)*RVC2=32/63*(1/16*Vref_msb+Dvref2cs)である。この式で、
DVref2cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3c+DVref3である。
1.比較器は、Vref2cに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<2>=1であり、そうでなければco<2>=0である。
3.co<2>=1であれば、基準レベルがDVref2c=1/32*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<2>の基準レベルVref2=RVC2*(1/32*Vref_msb+DVref2)を調べる。
Dvref2=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3c+DVref3+DVref2cである。
1.レベルがより高ければビット<2>出力は1であり、そうでなければビット<2>出力は0である。
2.<2>=1であれば、基準レベルがDVref2=1/64*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
7.ビット<1>のMAC電流がTIAを用いてV<1>に変換され、関連するビット<1>キャパシタ(MSBキャパシタの1/64のサイズ)がV<1>まで充電される。
1.<1>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>、<6>、<5>、<4>、<3>、<2>のキャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスに対して、基準レベルが、比RVC2=1/(1+1/2+1/4+1/8+1/16+1/32+1/64)=64/127を用いて調節される。
3.co<1>の基準レベルは、Vref1c=(1/32*Vref_msb+DVref1cs)*RVC1=64/127*(1/32*Vref_msb+Dvref1cs)である。この式で、
DVref1cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2である。
1.比較器は、Vref1cに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<1>=1であり、そうでなければco<1>=0である。
3.co<1>=1であれば、基準レベルがDVref1c=1/64*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<1>の基準レベルVref1=RVC1*(1/64*Vref_msb+DVref1)を調べる。
DVref1=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2+DVref1cである。
1.レベルがより高ければビット<1>出力は1であり、そうでなければビット<1>出力は0である。
2.<1>=1であれば、基準レベルがDVref1=1/128*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
8.ビット<0>のMAC電流がTIAを用いてV<0>に変換され、関連するビット<0>キャパシタ(MSBキャパシタの1/128のサイズ)がV<0>まで充電される。
1.<0>キャパシタは、電荷を再分配するために<7>、<6>、<5>、<4>、<3>、<2>、<1>のキャパシタに接続される。
2.追加キャパシタンスに対して、基準レベルが、比RVC0=1/(1+1/2+1/4+1/8+1/16+1/32+1/64+1/128)=128/255を用いて調節される。
3.co<0>の基準レベルは、Vref0c=(1/64*Vref_msb+DVref0cs)*RVC0=128/255*(1/64*Vref_msb+Dvref0cs)である。
この式で、DVref0cs=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2+DVref1c+DVref1である。
1.比較器は、Vref0cに対して、再分配されたレベルを調べる。
2.再分配されたレベルの方が高ければco<0>=1であり、そうでなければco<0>=0である。
3.co<0>=1であれば、基準レベルがDVref0c=1/128*Vref_msbだけ高められ、キャパシタンス比が適切に適用されるようになる。
4.比較器は、ビット<0>の基準レベルVref0=RVC0*(1/128*Vref_msb+DVref0)を調べる。
DVref0=DVref7+DVref6c+DVref6+DVref5c+DVref5+DVref4c+DVref4+DVref3c+DVref3+DVref2c+DVref2+DVref1c+DVref1+DVref0cである。
1.レベルがより高ければビット<0>出力は1であり、そうでなければビット<0>出力は0である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】