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特表2022-550071変性エポキシ樹脂に基づく一成分(1K)組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(54)【発明の名称】変性エポキシ樹脂に基づく一成分(1K)組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/44 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
C08G59/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519179
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2020076477
(87)【国際公開番号】W WO2021058509
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】19200026.3
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チュンフー
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AB01
4J036AB07
4J036AB10
4J036AD08
4J036AE07
4J036AF06
4J036AJ03
4J036CA28
4J036CB20
4J036CD12
4J036DC25
4J036DC31
4J036FA05
4J036FB02
4J036FB19
4J036HA12
4J036JA07
4J036JA08
4J036JA11
4J036JA12
(57)【要約】
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂;b)ジエチレントリアミンで硬化させたときに、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が45以下であることを特徴とする、少なくとも1つの内部可撓化エポキシ樹脂;c)コアシェルゴム粒子;d)1分子当たり少なくとも2つのエポキシド反応性基を有する少なくとも1つの化合物からなる硬化剤であってジシアンジアミドを含むことを特徴とする硬化剤;および、e)少なくとも1つの促進剤を含む一成分(1K)組成物に関する。一成分組成物は、構造用接着剤として特に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
b)ジエチレントリアミンで硬化させたときに、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が45以下であることを特徴とする、少なくとも1つの内部可撓化エポキシ樹脂;
c)コアシェルゴム粒子;
d)1分子当たり少なくとも2つのエポキシド反応性基を有する少なくとも1つの化合物からなる硬化剤であって、ジシアンジアミドを含むことを特徴とする硬化剤;および、
e)少なくとも1つの促進剤
を含む、一成分(1K)組成物。
【請求項2】
前記組成物の重量に対して20~70重量%のa)前記少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が:多価アルコールおよび多価フェノールのグリシジルエーテル;ポリカルボン酸のグリシジルエステル;並びにエポキシ化ポリエチレン性不飽和炭化水素、エステル、エーテルおよびアミドから選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記内部可撓化エポキシ樹脂が、200~600g/eqのエポキシド当量重量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記内部可撓化エポキシ樹脂が、ジエチレントリアミンで硬化させたときに、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が40以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
一般式(III)を有する内部可撓化エポキシ樹脂を含み:
式中、nおよびoは同じまたは異なり、独立して1~10から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の重量に対して1~30重量%の前記内部可撓化エポキシ樹脂を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の重量に対して1~40重量%のc)コアシェルゴム粒子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ジシアンジアミドが、0.5~100μmの平均粒度を特徴とする粒子形態を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
e)前記少なくとも1つの促進剤が、式(V)または式(VI)の少なくとも1つの尿素誘導体を含むまたはそれからなり:
式中、少なくとも1つの残基R、R、Rが水素ではなく;
およびRが独立して、水素、C-C18アルキルおよびC-C18シクロアルキルから選択され;
が、水素、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C18アラルキル、C-C18アルキルアリール、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18シクロアルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アリール;-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキル;および-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキルであり;並びに、
、R、R、RおよびRが独立して、水素、ハロゲン、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C18アラルキル、C-C18-アルキルアリール、-CF、-NHC(O)NR、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18シクロアルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アリール;-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキル;および-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキルから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記式(V)および(VI)において、
少なくとも1つの残基R、R、Rが水素ではなく;
およびRが独立して、水素およびC-Cアルキルから選択され;並びに
、R、R、RおよびRが独立して、水素、ハロゲン、C-Cアルキルおよび-NHC(O)NRから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ジシアンジアミドと前記尿素誘導体の合計とのモル比が1:1~4:1の範囲内である、請求項10または請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つのキレート変性エポキシ樹脂;および/または
少なくとも1つのエラストマー変性エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
30~60重量%のa)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
5~30重量%のb)ジエチレントリアミンで硬化させたときに、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が45以下であることを特徴とする、少なくとも1つの内部可撓化エポキシ樹脂;
1~35重量%のc)コアシェルゴム粒子;
d)1分子当たり少なくとも2つのエポキシド反応性基を有する少なくとも1つの化合物からなる硬化剤であって、ジシアンジアミドからなることを特徴とする硬化剤;および、
e)式(V)または式(VI)の少なくとも1つの尿素誘導体を含み:
前記式(V)および(VI)において:
少なくとも1つの残基R、R、Rが水素ではなく;
およびRが独立して、水素およびC-Cアルキルから選択され;並びに
、R、R、RおよびRが独立して、水素、ハロゲン、C-Cアルキルおよび-NHC(O)NRから選択され;
前記組成物が、前記硬化剤d)中に提供されるエポキシド反応性基とエポキシド基とのモル比が0.95:1~1.5:1、好ましくは0.95:1~1.1:1であることを特徴とし;および、
ジシアンジアミドと前記尿素誘導体の合計とのモル比が1:1~4:1、好ましくは1:1~3:1の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の一成分(1K)組成物から得られた硬化生成物。
【請求項16】
構造用接着剤としての、請求項15に記載の硬化反応生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性エポキシ樹脂に基づく一成分(1K)組成物に関する。より詳細には、本発明は、エポキシ樹脂、少なくとも1つの変性エポキシ樹脂、およびジシアンジアミドを含む硬化剤を含む、一成分組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、主に樹脂、変性剤および架橋剤(または硬化剤)を特に選択することにより、硬化エポキシ樹脂の特性を調整して特定の性能特性を達成できることに基づいて、広範囲に利用されてきた。
【0003】
その汎用性が認められ、適正に硬化されたエポキシ樹脂は、とりわけ:特にアルカリ環境に対する優れた耐薬品性;高い引張強度および圧縮強度;高疲労強度;硬化時の低い収縮;並びにエージングまたは環境曝露時の電気絶縁特性およびその保持を含む、複数の他の属性も有する。
【0004】
これらの属性によって、エポキシ樹脂は、メカニカルファスナーに匹敵する機械的強度で材料を接合するための構造用接着剤として使用できるようになった:構造用接着剤は、異種の材料、ポリマーまたはポリマー複合材料では行えないことが多い、溶接などの従来の接合技術に代わるもしくはそれを増強するために、またはナットおよびボルト、ねじおよびリベットなどのメカニカルファスナーに代わるもしくはそれを増強するために使用され得る。
【0005】
そのような有用性において、エポキシ系接着剤は、傾斜した、垂直な、または他の形状の表面の接合に必要とされることが多く、その例としては、自動車車両における溶接シームおよび溶接フランジ、並びにヘムフランジが挙げられる。これによって、エポキシ系組成物の加工性およびエポキシ系組成物が適用される表面を濡らす能力に対して要件が課される。適用中及び硬化過程中の両方のとりわけ温度、圧力、水分及び剪断条件下での組成物のチキソトロピー特性は、特定の材料を接合する際の組成物の有用性を決定するものであることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、既知の組成物に有利に代わることができ、接着剤接合操作中に追加の支持固定具を使用する必要性をなくすことができる、構造接合用途での使用に好適な、制御硬化接着剤組成物に対する必要性が存在すると考えている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様により、一成分(1K)組成物であって:
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
b)ジエチレントリアミンで硬化させたときに、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が45以下であることを特徴とする、少なくとも1つの内部可撓化エポキシ樹脂;
c)コアシェルゴム粒子;
d)1分子当たり少なくとも2つのエポキシド反応性基を有する少なくとも1つの化合物からなる硬化剤であって、ジシアンジアミドを含むことを特徴とする、硬化剤;および、
e)少なくとも1つの促進剤、
を含む一成分(1K)組成物が提供される。
【0008】
ある重要な実施形態において、一成分組成物は、少なくとも1つのキレート変性エポキシ樹脂;および/または少なくとも1つのエラストマー変性エポキシ樹脂をさらに含んでもよい。
【0009】
組成物の内部可撓化エポキシ樹脂は、好ましくは200~600g/eqのエポキシド当量重量を有するべきである。その検討とは無関係に、またはそれに加えて、該内部可撓化エポキシ樹脂は、ジエチレントリアミンで硬化させた場合に、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が40以下であることを特徴とすべきである。
【0010】
本発明のジシアンジアミドは、動的光散乱法により測定される平均粒度(d50)が0.5~100μmであることを特徴とする粒子形態を有することが望ましい。その検討とは無関係に、またはそれに加えて、e)該少なくとも1つの促進剤は、式(V)または式(VI)の少なくとも1つの尿素誘導体を含むか、またはそれからなることが好ましい:
式中、少なくとも1つの残基R、R、Rは水素ではなく;
およびRは独立して、水素、C-C18アルキルおよびC-C18シクロアルキルから選択され;
は、水素、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C18アラルキル、C-C18アルキルアリール、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18シクロアルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アリール;-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキル;および-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキルであり;並びに、
、R、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C18アラルキル、C-C18-アルキルアリール、-CF、-NHC(O)NR、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18シクロアルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アリール;-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキル;および-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキルから選択される。
【0011】
N,N-ジエチル尿素、N,N-ジプロピル尿素、N,N-エチル-メチル尿素、N,N-ジメチル尿素、1,1’-(4-メチル-m-フェニレン)-ビス-(3,3-ジメチル尿素)および1,1’-(2-メチル-m-フェニレン)-ビス-(3,3-ジメチル尿素)からなる群から選択される少なくとも1つの尿素誘導体の使用が特に好ましいことに留意され得る。
【0012】
組成物の促進剤が上記尿素誘導体を含むかまたはそれからなる場合、ジシアンジアミドと該尿素誘導体の合計とのモル比は1:1~4:1の範囲内であることが好ましい。
【0013】
本発明の第2の態様により、本明細書の上でおよび添付の特許請求の範囲で定義される一成分(1K)組成物から得られる硬化生成物が提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様は、本明細書の上でおよび添付の特許請求の範囲で定義される硬化反応生成物の構造用接着剤としての使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書で用いる場合、単数形「a」「an」(ある)、および「the」(該)は、文脈が明瞭にそうでないことを指示するのでなければ、複数の指示対象を含む。
【0016】
本明細書で用いられる用語「comprising」(含んでいる)、「comprises」(含む)および「comprised of」(含んでなる)は、「including」(包含している)、「includes」(包含する)、「containing」(含有している)または「contains」(含有する)と同義であって、包括的であるか、または非限定的であって、追加の記載されていない部材、エレメントまたは方法工程を排除しない。
【0017】
本明細書で用いる場合、用語「consisting of」(からなる)は、特定されていないエレメント、成分、部材または方法工程を除外する。
【0018】
本明細書で用いる場合、用語「consisting essentially of」(から本質的になる)は、特許請求の範囲を、特定のエレメント、成分、部材または方法工程、並びに請求する発明の基本的および新規の特性に実質的に影響しない、補助的なエレメント、成分、部材または方法工程に限定する。
【0019】
量、濃度、寸法および他のパラメータが範囲、好ましい範囲、上限値、下限値または好ましい上限値および限界値の形で表される場合、得られた範囲が文脈で明確に言及されているかどうかにかかわらず、任意の上限値または好ましい値を任意の下限値または好ましい値と組み合わせることによって得られる任意の範囲も、具体的に開示されることを理解されたい。
【0020】
さらに、標準的な理解によれば、「0から」として表される重量範囲は、具体的には0重量%を含む:該範囲によって定義される成分は、組成物中に存在しても存在しなくてもよい。
【0021】
用語「preferred」(好ましい)、「preferably」(好ましくは)、「desirably」(望ましくは)および「particularly」(特に)は、ある状況下で特定の利益を与え得る本開示の実施形態を指すために、本明細書で頻繁に使用される。しかし、1つ以上の「preferable」(好ましい)「preferred」(好ましい)、「desirable」(望ましい)または「particular」(特定の)実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、それらの他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図するものではない。
【0022】
本出願を通して使用されるように、「may」(してもよい)という用語は、強制的な意味ではなく、許容的な意味で使用され-すなわち可能性を有することを意味する。
【0023】
本明細書で用いる場合、室温は23℃±2℃である。本明細書で用いる場合、「周囲条件」は、組成物が配置されている、またはコーティング層もしくは該コーティング層の基材が配置されている周囲の温度および圧力を意味する。
【0024】
本明細書で用いる場合、用語「当量(eq)」という用語は、化学表記において通例であるように、反応に存在する反応性基の相対数に関する。
【0025】
用語「当量重量」は、本明細書で用いる場合、分子量を関連する官能基の数で割ったものを指す。したがって、「エポキシ当量重量」(EEW)は、1当量のエポキシを含有する樹脂のグラムでの重量を意味する。同様に、「アミン水素当量重量」(AHEW)は、1つのアミン水素を含有する、有機アミンのグラムでの重量である。
【0026】
本明細書で用いる場合、用語「エポキシド」は、少なくとも1つの環状エーテル基、すなわちエーテル酸素原子が2つの隣接する炭素原子に結合し、それによって環状構造を形成する基の存在を特徴とする化合物を示す。該用語は、モノエポキシド化合物、(2つ以上のエポキシド基を有する)ポリエポキシド化合物およびエポキシド末端プレポリマーを含むことを意図する。用語「モノエポキシド化合物」は、1つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。用語「ポリエポキシド化合物」は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。用語「ジエポキシド化合物」は、2つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。
【0027】
エポキシドは、置換されていなくてもよく、または不活性置換されていてもよい。例示的な不活性置換基としては、塩素、臭素、フッ素およびフェニルが挙げられる。
【0028】
本明細書で適用される用語「内部可撓化」は、エポキシ骨格の化学変性を指し:これは脂肪族成分、好ましくはアルキレン、オキシアルキレンもしくはポリエステル単位またはC=C結合をエポキシ骨格に包含することによって従来的に行われる。二重炭素-炭素結合は、例えば隣接する単一の炭素-炭素結合の回転を向上させることによって可撓性が上昇する。それとは別に、該可撓化エポキシ樹脂は、ジエチレントリアミン(DETA)で硬化させた場合、ASTM D2240に従ってデュロメータで測定した45以下、好ましくは40以下のショアD硬度を有する。この硬度条件を満たし、本発明に有用な内部可撓化樹脂の調製のための有益な文献としては、例えば米国特許第3,522,210号明細書(Sellersら);米国特許第4,883,830号明細書(Kitabatakeら);および米国特許第4,793,703号明細書(Fretz)が挙げられる。
【0029】
本明細書で用いる場合、「C-Cアルキル」基は、1~n個の炭素原子を含む1価の基を指し、すなわちアルカンのラジカルであり、直鎖および分枝有機基を含む。したがって、「C-C30アルキル」基は、1~30個の炭素原子を含む1価基を指し、すなわちアルカンのラジカルであり、直鎖および分枝有機基を含む。アルキル基の例としては、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;n-ブチル;イソブチル;sec-ブチル;tert-ブチル;n-ペンチル;n-ヘキシル;n-ヘプチル;および2-エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において、そのようなアルキル基は、非置換であってよく、またはハロ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミドおよびヒドロキシなどの1つ以上の置換基で置換されていてもよい。重要な置換基、例えば記載された促進剤のための尿素は、本明細書において独立して言及され得る。また、上に挙げた例示的な炭化水素基のハロゲン化誘導体は、特に、好適な置換アルキル基の例として言及され得る。しかし、一般に、1~18個の炭素原子を含有する非置換アルキル基(C-C18アルキル)、例えば1~12個の炭素原子(C-C12アルキル)または1~6個の炭素原子(C-Cアルキル)を含有する非置換アルキル基が好ましいことに留意すべきである。
【0030】
用語「C-C30シクロアルキル」は、3~30個の炭素原子を有する飽和単環式、二環式または三環式炭化水素基を意味すると理解される。一般に、3~18個の炭素原子を含有するシクロアルキル基(C-C18シクロアルキル基)が好ましいことに留意すべきである。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロヘプチル;シクロオクチル;アダマンタン;およびノルボルナンが挙げられる。
【0031】
本明細書で用いる場合、単独でまたは「アラルキル基」のような、より大きな部分の一部として使用される「C-C18アリール」基は、単環系が芳香族であるか、または二環系もしくは三環系の環の少なくとも1つが芳香族である、場合により置換された単環系、二環系および三環系を指す。二環系および三環系としては、ベンゾ縮合2~3員炭素環が挙げられる。例示的なアリール基としては、フェニル;インデニル;ナフタレニル;テトラヒドロナフチル;テトラヒドロインデニル;テトラヒドロアントラセニル;およびアントラセニルが挙げられる。また、フェニル基が好ましいことに留意され得る。
【0032】
本明細書で用いる場合、「C-C20アルケニル」は、2~20個の炭素原子および少なくとも1個のエチレン性不飽和単位を有するヒドロカルビル基を指す。アルケニル基は、直鎖状、分岐または環状であることができ、場合により置換され得る。用語「アルケニル」は、当業者によって理解されるように、「シス」および「トランス」配置、または代替的に「E」および「Z」配置を有する基も含む。しかし、一般に、2~10個の(C2-10)または2~8個の(C2-8)の炭素原子を含有する非置換アルケニル基が好ましいことに留意すべきである。上記C-C12アルケニル基の例としては:-CH=CH;-CH=CHCH;-CHCH=CH;-C(=CH)(CH);-CH=CHCHCH;-CHCH=CHCH;-CHCHCH=CH;-CH=C(CH;-CHC(=CH)(CH);-C(=CH)CHCH;-C(CH)=CHCH;-C(CH)CH=CH;-CH=CHCHCHCH;-CHCH=CHCHCH3;-CHCHCH=CHCH;-CHCHCHCH=CH;-C(=CH)CHCHCH;-C(CH)=CHCHCH;-CH(CH)CH=CHCH-CH(CH)CHCH=CH;-CHCH=C(CH;1-シクロペンタ-1-エニル;1-シクロペンタ-2-エニル;1-シクロペンタ-3-エニル;1-シクロヘキサ-1-エニル;1-シクロヘキサ-2-エニル;および1-シクロヘキシル-3-エニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で用いる場合、「アルキルアリール」は、アルキル置換アリール基を指し、「置換アルキルアリール」は、上記の1つ以上の置換基をさらに有するアルキルアリール基を指す。さらに、本明細書で用いる場合、「アラルキル」は、上で定義されるようなアリールラジカルで置換されたアルキル基を意味する。
【0034】
用語「ヘテロ」は、本明細書で用いる場合、N、O、SiおよびSなどの1つ以上のヘテロ原子を含む基または部分を指す。したがって、例えば「複素環式」は、環構造の一部として例えばN、O、SiまたはSを有する環状基を指す。「ヘテロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」部分は、それぞれ、その構造の一部としてN、O、SiまたはSを含有する、上で定義されるようなアルキル基およびシクロアルキル基である。
【0035】
本明細書で用いる場合、用語「触媒量」は、別途明記しない限り、反応物に対して準化学量論量の触媒を意味する。
【0036】
用語「促進剤」は、本明細書で用いる場合、硬化剤と共反応性であり、同等の条件下で該硬化剤単独で達成可能な硬化剤と比較して組成物の硬化時間を短縮する化学剤を指す。
【0037】
本明細書で用いる場合、「第1級アミノ基」は、有機基に結合したNH基を指し、「第2級アミノ基」は、共に環の一部であってもよい、2つの有機基に結合したNH基を指す。用いられる場合、用語「アミン水素」は、第1級および第2級アミノ基の水素原子を指す。
【0038】
本明細書で「アミン価」という場合、これは希釈剤、典型的には1N HCl溶液によるアミンアセテートイオンの滴定によって求めることができる。純粋な材料では、アミン価は、純粋な化合物の分子量およびKOH(56.1g/mol)を使用して計算することができる。https://dowac.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/12987に、説明のための有益なガイドを見出すことができる。
【0039】
用語「光開始剤」は、本明細書で用いる場合、例えば電磁放射線などのエネルギー担持活性化ビームを照射の照射時に、それによって活性化することができる化合物を示す。該用語は、光酸発生剤および光塩基発生剤の両方を包含することを意図している。具体的には、用語「光酸発生剤」は、化学線への曝露時に酸硬化樹脂系の触媒作用のための酸を発生する化合物またはポリマーを指す。用語「光塩基発生剤」は、好適な放射線への曝露時に1つ以上の塩基を発生する任意の材料を意味する。
【0040】
用語「ルイス酸」は、本明細書で用いる場合、第2の分子またはイオンからの2つの電子と共有結合を形成することによって別の分子またはイオンと結合することができる、-求電子剤と呼ばれることが多い-任意の分子またはイオンを示す:したがってルイス酸は電子受容体である。
【0041】
用語「ポリオール」は、本明細書で用いる場合、ジオールおよびより高官能性のヒドロキシル化合物を含むものとする。
【0042】
本明細書で示すヒドロキシル(OH)価は、日本工業規格(JIS)K-1557、6.4に従って測定される。本明細書で示すイソシアネート含有量の値は、EN ISO 1 1909に従って測定される。
【0043】
本明細書でいう分子量は、ASTM 3536に従って行われるような、ポリスチレン較正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0044】
本明細書で用いる場合、「無水」は、関連する組成物が0.25重量%未満の水を含むことを意味する。例えば、組成物は、0.1%未満の重量の水を含有してもよく、または全く水を含まなくてもよい。用語「溶媒を本質的に含まない」は、関連する組成物が0.25重量%未満の溶媒を含むことを意味するのと同様に解釈されるべきである。
【0045】
本明細書に記載のコーティング組成物の粘度は、別途明記しない限り、20℃および50%相対湿度(RH)の標準条件にてBrookfield粘度計、モデルRVTを使用して測定される。粘度計は、5,000cps~50,000cpsの様々な既知の粘度のシリコーンオイルを使用して較正される。粘度計に取り付けられるRVスピンドルのセットが較正に使用される。コーティング組成物の測定は、粘度計が平衡に達するまで、No.6スピンドルを使用して20回転/分の速度で1分間行う。次いで、較正を使用して、平衡読み取り値に対応する粘度を計算する。
【0046】
本明細書で用いる場合、「チキソトロピー指数」は、スピンドル速度5rpmにて得た粘度測定値で割った、スピンドル速度0.5rpmにて得た粘度測定値として定義される。
【0047】
本明細書で用いる場合、用語「重ね剪断強度」は、単純重ね継手試験片で試験した場合の接合材料用接着剤の剪断強度として定義される。該試験は、接着強度、表面調製パラメータおよび接着環境耐久性を求めるために適用可能である。本明細書で用いる場合、重ね剪断試験は、ASTM D1002 10(2019)Standard Test Method for Apparent Shear Strength of Single-Lap-Joint Adhesively Bonded Metal Specimens by Tension Loading(Metal-to-Metal)に従って、重なりを介した2つのアルミニウムクーポン(2.5cm×10cm×0.16cm)を接合することによって実施された。組成物の適用前に、クーポンをアセトンで2回すすぎ、あらゆるオイルおよびすべてのインク跡を除去し、次いで、クロム酸をエッチングして過剰な表面酸化物を除去した。測定はそれぞれ、精度のために少なくとも6回行われ、その結果は平均された。
【0048】
a)エポキシド化合物
本発明の組成物は、典型的には、エポキシ樹脂a)を、組成物の重量に対して20~70重量%、好ましくは30~60重量%の量で含むべきである。例えば、本発明の組成物は、組成物の重量に対して35~60重量%または40~60重量%の該エポキシ樹脂(a)を含有し得る。
【0049】
エポキシ樹脂は、本明細書で用いる場合、単官能性エポキシ樹脂、多官能性(multi-)または多官能性(poly-)エポキシ樹脂、およびその組み合わせを含み得る。エポキシ樹脂は純粋な化合物であってもよいが、同様に、分子当たりのエポキシ基の数が異なる化合物の混合物を含む、混合物エポキシ官能性化合物であってもよい。エポキシ樹脂は、飽和または不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であってもよく、置換されていてもよい。さらに、エポキシ樹脂は、モノマーまたはポリマーであってもよい。
【0050】
本発明を限定する意図はないが、例示的なモノエポキシド化合物としては:アルキレンオキシド;エポキシ置換脂環式炭化水素、例えばシクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、(+)-シス-リモネンオキシド、(+)-シス,トランス-リモネンオキシド、(-)-シス,トランス-リモネンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシドおよびα-ピネンオキシド;エポキシ置換芳香族炭化水素;一価アルコールまたはフェノールのモノエポキシ置換アルキルエーテル、例えば脂肪族、脂環式および芳香族アルコールのグリシジルエーテル;モノカルボン酸のモノエポキシ置換アルキルエステル、例えば脂肪族、脂環式および芳香族モノカルボン酸のグリシジルエステル;他のカルボキシ基がアルカノールでエステル化されている、ポリカルボン酸のモノエポキシ置換アルキルエステル;エポキシ置換モノカルボン酸のアルキルおよびアルケニルエステル;他のOH基がカルボン酸またはアルコールでエステル化またはエーテル化されている、多価アルコールのエポキシアルキルエーテル;並びに他のOH基がカルボン酸またはアルコールでエステル化またはエーテル化されている、多価アルコールおよびエポキシモノカルボン酸のモノエステルが挙げられる。
【0051】
一例として、以下のグリシジルエーテル:メチルグリシジルエーテル;エチルグリシジルエーテル;プロピルグリシジルエーテル;ブチルグリシジルエーテル;ペンチルグリシジルエーテル;ヘキシルグリシジルエーテル;シクロヘキシルグリシジルエーテル;オクチルグリシジルエーテル;2-エチルヘキシルグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテル;ベンジルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;4-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル;1-ナフチルグリシジルエーテル;2-ナフチルグリシジルエーテル;2-クロロフェニルグリシジルエーテル;4-クロロフェニルグリシジルエーテル;4-ブロモフェニルグリシジルエーテル;2,4,6-トリクロロフェニルグリシジルエーテル;2,4,6-トリブロモフェニルグリシジルエーテル;ペンタフルオロフェニルグリシジルエーテル;o-クレジルグリシジルエーテル;m-クレジルグリシジルエーテル;およびp-クレシルグリシジルエーテルが、本明細書で使用に特に好適なモノエポキシド化合物であるとして言及され得る。
【0052】
重要な実施形態において、モノエポキシド化合物は、本明細書の以下の式(I)に従う:
式中、R、R、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、C-Cアルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C12アルケニル、C-C18アリール基またはC-C18アラルキル基から独立して選択され、ただしRおよびRの少なくとも1つは水素ではない。
【0053】
、RおよびRは水素であり、Rはフェニル基またはC-Cアルキル基のどちらか、より好ましくはC-Cアルキル基であることが好ましい。
【0054】
本実施形態を考慮して、例示的なモノエポキシドとしては:エチレンオキシド;1,2-プロピレンオキシド(プロピレンオキシド);1,2-ブチレンオキシド;シス-2,3-エポキシブタン;trans-2,3-エポキシブタン;1,2-エポキシペンタン;1,2-エポキシヘキサン;1,2-ヘプチレンオキシド;デセンオキシド;ブタジエンオキシド;イソプレンオキシド;およびスチレンオキシドが挙げられる。
【0055】
本発明では、エチレンオキシド;プロピレンオキシド;シクロヘキセンオキサイド;(+)-シス-リモネンオキシド;(+)-シス,トランス-リモネンオキシド;(-)-シス,トランス-リモネンオキシド;シクロオクテンオキシド;およびシクロドデセンオキシドからなる群から選択される少なくとも1つのモノエポキシド化合物を使用することについて言及する。
【0056】
再び、本発明を限定する意図はなく、好適なポリエポキシド化合物は、液体、固体または溶媒中の溶液であり得る。さらに、このようなポリエポキシド化合物は、100~700g/eq、例えば120~320g/eqのエポキシド当量重量を有するべきである。一般に、500g/eq未満またはさらに400g/eq未満のエポキシド当量重量を有するジエポキシド化合物が好ましい:これはその製造においてと同様に、主にコストの観点からであり、エポキシ樹脂の分子量が低いほど、精製において必要とされる処理がより制限される。
【0057】
本発明において重合され得るポリエポキシド化合物の種類または基の例として、多価アルコールおよび多価フェノールのグリシジルエーテル;ポリカルボン酸のグリシジルエステル;並びにエポキシ化ポリエチレン性不飽和炭化水素、エステル、エーテルおよびアミドが言及され得る。
【0058】
好適なジグリシジルエーテル化合物は、本質的に芳香族、脂肪族または脂環式であってもよく、したがって、2価フェノールおよび2価アルコールから誘導可能であり得る。このようなジグリシジルエーテルの有用なクラスは:脂肪族および脂環式ジオールのジグリシジルエーテル、例えば1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,12-ドデカンジオール、シクロペンタンジオールおよびシクロヘキサンジオール;ビスフェノールA系ジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;ジグリシジルo-フタレート、ジグリシジルイソフタレートおよびジグリシジルテレフタレート;ポリアルキレングリコール系ジグリシジルエーテル、特にポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;並びにポリカルボナートジオール系グリシジルエーテルである。同様に挙げられ得る他の適切なジエポキシドとしては:二重不飽和脂肪酸C1-C18アルキルエステルのジエポキシド;ブタジエンジエポキシド;ポリブタジエンジグリシジルエーテル;ビニルシクロヘキセンジエポキシド;およびリモネンジエポキシドが挙げられる。
【0059】
さらなる例示的なポリエポキシド化合物としては:グリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;ポリグリセロールポリグリシジルエーテル;およびソルビトールポリグリシジルエーテルが挙げられるが、これに限定されない。
【0060】
本発明において有用性を有するポリカルボン酸のグリシジルエステルは、少なくとも2つのカルボン酸基を含有し、エポキシド基と反応性である他の基を含有しないポリカルボン酸から誘導される。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式であることができる。好ましいポリカルボン酸は、カルボン酸基あたり18個以下の炭素原子を含有するものであり、その好適な例としては、シュウ酸;セバシン酸;アジピン酸;コハク酸;ピメリン酸;スベリン酸;グルタル酸;不飽和脂肪酸のダイマー酸およびトリマー酸、例えばアマニ脂肪酸のダイマー酸およびトリマー酸;フタル酸;イソフタル酸;テレフタル酸;トリメリット酸;トリメシン酸;フェニレン-二酢酸;クロレンジン酸;ヘキサヒドロフタル酸、特にヘキサヒドロオルトフタル酸(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸);ジフェン酸;ナフタル酸;二塩基酸と脂肪族ポリオールのポリ酸末端エステル;(メタ)アクリル酸のポリマーおよびコポリマー;並びにクロトン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
非常に好ましいポリエポキシド化合物の例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂、例えばDER(商標)331、DER(商標)332、DER(商標)383、JER(商標)828およびEpotec YD 128;ビスフェノールFエポキシ樹脂、例えばDER(商標)354;ビスフェノールA/Fエポキシ樹脂ブレンド、例えばDER(商標)353;脂肪族グリシジルエーテル、例えばDER(商標)736;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、例えばDER(商標)732;固体ビスフェノールAエポキシ樹脂、例えばDER(商標)661およびDER(商標)664 UE;ビスフェノールA固体エポキシ樹脂の溶液、例えばDER(商標)671-X75;エポキシノボラック樹脂、例えばDEN(商標)438;臭素化エポキシ樹脂、例えばDER(商標)542;ヒマシ油トリグリシジルエーテル、例えばERISYS(商標)GE-35H;ポリグリセロール-3-ポリグリシジルエーテル、例えばERISYS(商標)GE-38;ソルビトールグリシジルエーテル、例えばERISYS(商標)GE-60;並びにLapox Arch-11として入手可能なビス(2,3-エポキシプロピル)シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレートが挙げられる。
【0062】
好ましい実施形態を表すものではないが、本発明は:オキセタン;環状カーボネート;環状無水物;およびラクトンからなる群から選択される1つ以上の環状モノマーをさらに含む硬化性組成物を排除するものではない。以下の引用文献の開示は、好適な環状カーボネート官能性化合物を開示する上で有益であり得る:米国特許第3,535,342号;米国特許第4,835,289号;米国特許第4,892,954号;英国特許第GB-A-1,485,925号;およびEP-A-0119840号。しかし、そのような環状コモノマーは、エポキシド化合物の総重量に対して20重量%未満、好ましくは10重量%未満または5重量%未満を構成すべきである。
【0063】
b)内部可撓化エポキシ樹脂
本組成物は、少なくとも1つの内部可撓化エポキシ樹脂を含み、該樹脂は、望ましくは200~2500g/eq、例えば200~600g/eqのエポキシド当量重量を有するべきである。本発明を限定する意図はないが、組成物は、組成物の重量に対して1~30重量%、好ましくは5~30重量%、より好ましくは10~25重量%の上記内部可撓化エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0064】
第1の好ましい実施形態において、組成物は、一般式(II)を有する内部可撓化エポキシ樹脂を含み:
式中、Rは、C-Cアルキル基または-CHOR’を表し、R’はC-C18ヒドロカルビル基を表し、並びに
mおよびnは独立して0以上の整数であるが、(m+n)は1~6、例えば1~3の整数である。
【0065】
該C-C18ヒドロカルビル基(R’)は、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族基であってもよく、その例としては、C-C10、特にC-Cアルキル基;C-Cアルケニル基;C-Cシクロアルキル基;C-C18アリール基;およびC-C10アラルキル基が挙げられる。Rが-CHOR’である場合、条件m=n=1が好ましいことに留意されたい。
【0066】
本発明に用いられる式(II)で表されるジエポキシド化合物は、
i)ビスフェノールAに下記式(III)
によって表される化合物(式中、Rは上で定義される通りである)を添加すること;および、
ii)該付加体をエピハロヒドリンなどのエピハロヒドリンでエポキシ化することによって得られる。
【0067】
式(II)の化合物の好ましい実施形態としては:1,2-アルキレンオキシド、例えば1,2-プロピレンオキシドおよび1,2-ブチレンオキシド;アルキルグリシジルエーテル、例えばイソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルおよび2-エチルヘキシルグリシジルエーテル;アルケニルグリシジルエーテル、例えばビニルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル;シクロアルキルグリシジルエーテル、例えばシクロペンチルグリシジルエーテルおよびシクロヘキシルグリシジルエーテル;並びにアリルグリシジルエーテル、例えばフェニルグリシジルエーテルおよびp-sec-ブチルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0068】
第2の実施形態において、組成物は、一般式(IV)を有する内部可撓化エポキシ樹脂を含み:
式中、nおよびoは同じまたは異なり、独立して1~10から選択される。一実施形態において、nおよびoは独立して2~8、例えば4~8から選択される。
【0069】
本発明での使用に好適な市販の樹脂の代表例は:Dow Chemicalから入手可能なDER 732;Epoxy Technologyから入手可能なEpo-Tek 310A;Ciba-Geigyから入手可能なXB-4122、PY-322およびPY-4122US;Wilmington Chemicalから入手可能なWC-68;Pacific Anchorから入手可能なAnthiol R-12;並びにCardioliteから入手可能なNC-514およびNC-514Sである。
【0070】
任意のさらなるエポキシ樹脂:キレート変性エポキシ樹脂
基材表面-とりわけビヒクルおよび他の機械的組み立て操作で一般に遭遇する油性物質で汚染された金属基材表面への硬化組成物の接着性の改善を補助するために、本組成物は少なくとも1つのキレート変性エポキシ樹脂を含み得る。望ましくは150~500g/eq、例えば150~300g/eqのエポキシド当量重量を有するべき該樹脂は、エポキシ樹脂とキレート官能基を含有する化合物との反応生成物である。
【0071】
キレート化官能基としては、それ自体によるか、または同じ分子上に位置する他の官能基と協働するかのどちらかによって、2価または多価金属原子とキレート結合を形成することができる官能基が挙げられる。本発明を限定する意図はないが、好適なキレート官能基としては:リン含有酸基、例えばPO(OH);カルボン酸基(-COH);硫黄含有酸基、例えばSOH;アミノ基;およびヒドロキシル基、特に芳香環上で互いに隣接して配置されたヒドロキシル基が挙げられる。
【0072】
このような反応生成物の調製は、当分野で既知の方法によって行われ得る。この点に関する有益な文献としては:米国特許第4,702,962号;米国特許第4,340,716号;欧州特許第342035号;特開昭58-063758号;および特開昭58-069265号が挙げられる。
【0073】
エポキシ樹脂およびキレート官能基を含有する化合物の反応生成物は、商業的供給源からも入手可能であり、例えば旭電化から入手可能なADEKA Resins EP-49-10N、EP-49-55C、EP-49-10、EP-49-20、EP-49-23およびEP-49-25である。
【0074】
本発明の組成物は、存在する場合、組成物の重量に対して最大10重量%、特に最大5重量%の該キレート変性エポキシ樹脂を含有すべきである。
【0075】
任意のさらなるエポキシ樹脂:エラストマー変性エポキシ樹脂
ある実施形態において、本発明の組成物は、エラストマー変性エポキシ樹脂をさらに含み得る。特に、組成物は、0から10重量%、例えば0~5重量%のエラストマー変性エポキシ樹脂を含むことを特徴とし得て、該エラストマー変性エポキシ樹脂は、200~2500g/eq、例えば200~600g/eqのエポキシド当量重量を有する。
【0076】
エポキシ樹脂(以下、E1と示す)のエラストマー変性は、当業者に既知の任意の好適な方法によって行われ得るが、一般に、変性剤(以下、M1と示す)の官能基とエポキシ樹脂(E1)のオキシラン基との間の触媒付加反応によって行うべきである。そのような付加反応は、好適な溶媒中で以下の条件:i)40℃~200℃の温度;ii)0.5~5時間の反応持続時間;およびiii)触媒作用の少なくとも1つの下で行われ得る。例示的な触媒としては:第3級アミン触媒、例えばトリブチルアミン;第4級アンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムクロリド;第3級ホスフェート、例えばトリフェニルホスフェート;第4級ホスホニウム塩、例えばエチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI);金属塩、例えばAMC-2(クロムオクトエート塩;および段階的付加反応が行われるこれらの触媒の組み合わせが挙げられる。
【0077】
変性されるエポキシ樹脂(E1)は、1を超える、好ましくは少なくとも2の1,2-エポキシ当量を有する。エポキシ樹脂(E1)は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であり得る。エポキシ樹脂(E1)の例として:多価化合物のポリグリシジルエーテル;臭素化エポキシ;エポキシノボラックまたは類似のポリヒドロキシフェノール樹脂;グリコールまたはポリグリコールのポリグリシジルエーテル;およびポリカルボン酸のポリグリシジルエステルが挙げられ得る。上記エポキシ樹脂(E1)として多価フェノールのポリグリシジルエーテルを使用することが好ましいと認められ得る。
【0078】
官能化変性剤(M1)は、エポキシ樹脂(E1)のオキシラン基と反応性である基によって、末端または非末端のいずれかで官能化されている。好適な官能基としては:カルボキシル;アミノ;ヒドロキシル;エポキシ;メルカプタン;無水物;およびイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、変性剤(M1)は、官能化ホモポリマーまたは官能化ランダム、ブロックもしくはスターコポリマーであり得る。
【0079】
重要な実施形態において、エポキシ樹脂(E1)を改質するために使用される官能性変性剤(M1)は、一般式を有する官能性末端ジエン含有ポリマーであり:
X-B-X
式中:Bは:C-C10ジエン;C-C10ジエンおよび少なくとも1つのビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、C-Cアルキル置換スチレンもしくはハロゲン置換スチレン;C-C10ジエンおよび少なくとも1つのビニルニトリルモノマー、例えばアクリロニトリルもしくはメタクリロニトリル;C-C10ジエン、少なくとも1つのビニルニトリルモノマーおよび少なくとも1つのビニル芳香族モノマー;またはC-C10ジエン、少なくとも1つのビニルニトリルモノマーおよび式CH=CR-COOR(式中、RおよびRは互いに独立して、水素もしくはC-C10アルキル基から選択される)のアクリレート;から選択されるモノマーから重合されたポリマー主鎖であり、並びに
Xは、オキシラン基と反応することができる任意の官能基であることができ、その好適な例としては、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、メルカプタン基、無水物およびイソシアネート基が挙げられる。
【0080】
反応物変性剤(M1)として、官能性末端ジエン含有ポリマーは、典型的には、1.1~2.5、例えば1.5~2.5または1.6~2.4の官能価を特徴とすべきである。それは別として、ポリマーの主鎖(X)が部分的に水素化されることは排除されない。
【0081】
非限定的な例として、官能性末端ジエン含有ポリマー(M1)は:カルボキシル末端ポリブタジエン;カルボキシル末端ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル);およびカルボキシル末端ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)から選択され得る。
【0082】
好ましい変性剤(M1)としては、カルボキシル末端ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル)(CTBN)、特に5~30重量%のアクリルニトリル及び70~95重量%のブタジエンで構成される、カルボキシル末端ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル)(CTBN)が注目され得る。この構成とは無関係に、またはこれに加えて、カルボキシル末端ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル)(CTBN)は、1000~50000g/mol、例えば2000~10000g/molの数平均分子量(Mn)を有するべきである。さらに、カルボキシル末端ポリ(ブタジエン-アクリロニトリル)は、末端カルボキシル基に加えて、鎖に懸垂している、他の官能基-アミノ基、フェノール基、ヒドロキシル基、エポキシ基、メルカプタン基または無水物基-を含めることから排除されない。
【0083】
官能性末端ジエン含有ポリマーとは別に、鎖骨格に沿って非末端に官能化されたジエン含有ポリマーの使用は、いくつかの実施形態において有用であり得る。そのような官能化ポリマー(M1)は、一例として、カルボキシル化ポリブタジエン;カルボキシル化ポリ(ブタジエン-スチレン);中間ブロックカルボキシル化ポリ(スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレン);アミド化ポリ(ブタジエン-スチレン);メルカプト-ポリブタジエン;エポキシ化ポリブタジエン;およびエポキシ化ポリ(ブタジエン-スチレン)が挙げられ得る。
【0084】
本発明のさらなる実施形態において、組成物は、上記少なくとも1つのエラストマー官能化エポキシ樹脂が、少なくとも1つのウレタン変性エポキシ樹脂を含むか、またはそれからなることを特徴とする。本実施形態において、エポキシ樹脂(E1)を変性する官能化変性剤(M1)は、ポリイソシアネート化合物(I)とポリヒドロキシル(P)化合物とを反応させることにより得られる、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである。この実施形態を限定する意図はないが、ウレタンプレポリマー(M1)は、i)プレポリマーに対して5~30重量%、好ましくは10~25重量%のNCO含有量およびii)1.1~2.5の官能価を特徴とすべきである。これらの特徴的な特性は、既知の市販のプレポリマーに見出され得る。または、得られたプレポリマーのこれらの特性が達成されるような比および条件下で、成分(I)および(P)を反応させてもよい。
【0085】
プレポリマー(M1)の調製に使用されるポリイソシアネート(I)としては、少なくとも2.0の平均イソシアネート官能価および少なくとも80の当量重量を有する、任意の脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、複素環式もしくは芳香族ポリイソシアネート、またはその混合物が挙げられる。ポリイソシアネート(I)のイソシアネート官能価は、より一般的には2.2~4.0、例えば2.3~3.5となる。4.0を超える官能価を使用してもよいが、その使用は過剰な架橋を引き起こす可能性がある。ポリイソシアネートの当量重量は、典型的には100~300、好ましくは110~250、より好ましくは120~200である。
【0086】
ポリイソシアネートは、必要に応じて、英国特許第889,050号に記載されているような、一般に既知の方法によってビウレット化および/またはイソシアネート化されていてもよい。
【0087】
好適なポリイソシアネート(I)の例としては、エチレンジイソシアネート;1,4-テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);HDIのビウレットまたはトリマー;1,12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネートシクロヘキサン-1,3-および1,4-ジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物;1-イソシアナト-3,3,5トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン;2,4-および2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物;ヘキサヒドロル,(hexahydrol,)3-および/または1,4-フェニレンジイソシアネート;ペルヒドロ-2,5’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート;2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物;ジフェニルメタン-2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート(MDI);ナフチレン-1,5-ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4’,4’-トリイソシアネート;並びに例えば英国特許第874,430号および第848,671号に記載されている、アニリンをホルムアルデヒドと縮合し、続いてホスゲン化することによって得られるタイプのポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。エステル基、尿素基、アロファネート基、カルボジイミド基、ウレトジオン基および/またはウレタン基を含むジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートも、本発明による方法において使用され得ることに留意されたい。
【0088】
ウレタンプレポリマー(M1)を誘導するために使用されるポリヒドロキシル化合物(P)は、従来、400~10000g/molの数平均分子量(Mn)を有するべきである。ポリヒドロキシ化合物(P)のヒドロキシル価は、従来20~850mgKOH/g、好ましくは25~500mgKOH/gであるべきである。さらに、ポリヒドロキシ化合物(P)は、2価または多価:ポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオール;ポリ(エーテル-エステル)ポリオール;ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール;ヒドロキシル含有ポリチオエーテル;ポリマーポリオール;およびその混合物から選択されることが望ましい。
【0089】
低分子量、例えば60~400または300g/molのジオールおよびトリオールはイソシアネート(I)に対して反応性であり得るが、これらのポリオールは、典型的には、1つ以上の活性水素化合物(P)を含有する反応混合物中の出発分子、鎖延長剤および/または架橋剤としてのみ使用される。この点で、2~14個、好ましくは4~10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、o-、m-およびp-ジヒドロキシシクロヘキサン;ジエチレングリコール;ジプロピレングリコール;ビス(2-ヒドロキシエチル)ヒドロキノン;並びにトリオール、例えば1,2,4-および1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロールおよびトリメチロールプロパンが挙げられ得る。
【0090】
ポリエーテルポリオールは当分野で周知であり、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン並びにポリテトラメチレンエーテルジオールおよびトリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールは、一般に400~10000g/mol、例えば1000~7000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得て、例えば米国特許第4,269,9945号、第4,218,543号及び第4,374,210号に記載されているように、活性水素含有開始剤化合物の存在下でアルキレンオキシドを重合することによって調製され得る。アルキレンオキシドモノマーは、典型的には:エチレンオキシド;プロピレンオキシド;ブチレンオキシド;スチレンオキシド;エピクロロヒドリン;エピブロモヒドリン;およびその混合物からなる群から選択される。次いで、活性水素開始剤は、典型的には:水;エチレングリコール;プロピレングリコール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;グリセリン;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ヘキサントリオール;ソルビトール;スクロース;ヒドロキノン;レゾルシノール;カテコール;ビスフェノール;ノボラック樹脂;リン酸;アミン;およびその混合物からなる群から選択される。
【0091】
当分野で既知であるように、ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸またはその無水物を多価アルコールと反応させることによって調製され得る。好適なポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸無水物、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、フマル酸およびその混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールの調製に有用な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびその混合物が挙げられる。本発明に関して、有用なポリエステルポリオールは、典型的には、1000~10000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0092】
本発明の一実施形態において、反応物ポリヒドロキシル化合物(P)は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも1.8、より好ましくは少なくとも2.0であるが、4.0以下、好ましくは約3.5以下、より好ましくは3.0以下の平均官能価を有する。独立してまたは加えて、反応物ポリヒドロキシル化合物(P)の当量重量は、少なくとも200g/eq、好ましくは少なくとも500g/eq、より好ましくは少なくとも1,000g/eqであるが、3500g/eq以下、好ましくは3000g/eq以下、より好ましくは2500g/eq以下である。
【0093】
上で定義した成分(P)および(I)から出発して、ポリウレタンプレポリマー(M1)は、バルク重合および溶液重合などの任意の好適な方法によって、無水条件下で調製され得る。ポリヒドロキシル化合物(P)は、その中にイソシアネート基の大半と反応するのに十分な量で存在しているが、ウレタンプレポリマー(M1)の所望の遊離イソシアネート含有量に対応する十分なイソシアネート基を残す。ポリヒドロキシル化合物(P)がジオールとトリオールの混合物を含む実施形態において、ジオールのトリオールに対する割合は、ウレタンプレポリマー(M1)の所望のイソシアネート官能価を達成するように選択する必要がある。
【0094】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、組成物は、該少なくとも1つのエラストマー官能化エポキシ樹脂b)が、少なくとも1つのダイマー酸変性エポキシ樹脂を含むか、またはそれからなることを特徴とする。ダイマー酸変性剤(M1)は、環状又は非環状であり得るが、従来、C18-C22不飽和一酸の酸化的カップリングによって調製され得るC36-C44脂肪族二酸となる。オレイン酸、リノール酸またはトール油脂肪酸の酸化的カップリングから得られたダイマー酸は、例示的なダイマー酸変性剤(M1)として挙げられ得る。
【0095】
本明細書の上で論じた好ましい実施形態を考慮して、好適なエラストマー変性エポキシ樹脂の市販例としては:CVC Thermosetsから入手可能なHypox DA 323を含むHypox(登録商標)樹脂;Miller-Stephensonから入手可能なEPON 58005およびEPON 58034;三菱化学株式会社から入手可能なJER871およびJER872;Croda Coatings and Polymersから入手可能なB-Tough A1、A2およびA3;日鉄化学(株)から入手可能なYD-171およびYD-172;並びに株式会社ADEKAから入手可能なEPU-6、EPU-7N、EPU-11F、EPU-15F、EPU-1395、EPU-738、EPU-17、EPU-17T-6およびEPU-80が挙げられる。
【0096】
c)コアシェルゴム粒子
本組成物は、組成物の重量に対して1~40重量%、好ましくは1~35重量%、より好ましくは5~30重量%のc)コアシェルゴム粒子を含むとして定義される。
【0097】
用語「コアシェルゴム」またはCSRは、当分野におけるその標準的な意味に従って、エラストマー性またはゴム状ポリマーを主成分として含むポリマーによって形成されたゴム粒子コア、およびコア上にグラフト重合されたポリマーによって形成されたシェル層を示すものとして用いられている。シェル層は、グラフト重合方法においてゴム粒子コアの表面の一部又は全体を被覆する。コアは、重量でコアシェルゴム粒子の少なくとも50重量%を構成すべきである。
【0098】
コアのポリマー材料は、0℃以下のガラス転移温度(T)、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下、さらにより好ましくは-60℃以下のガラス転移温度(T)を有するべきである。
【0099】
シェルのポリマーは、室温より高い、好ましくは30℃より高い、より好ましくは50℃より高いガラス転移温度(T)を有する非エラストマー性、熱可塑性または熱硬化性ポリマーである。
【0100】
本発明を限定する意図はないが、コアは:ジエンホモポリマー、例えばブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー;ジエンコポリマー、例えばブタジエンまたはイソプレンと、1つ以上のエチレン性不飽和モノマー、例えばビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリルまたは(メタ)アクリレートとのコポリマー;(メタ)アクリル酸エステルモノマーに基づくポリマー、例えばポリブチルアクリレート;並びにポリシロキサンエラストマー、例えばポリジメチルシロキサンおよび架橋ポリジメチルシロキサンから構成され得る。
【0101】
同様に、本発明を限定する意図はないが、シェルは:(メタ)アクリレート、例えばメチルメタクリレート;ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン;シアン化ビニル、例えばアクリロニトリル;不飽和酸および無水物、例えばアクリル酸;並びに(メタ)アクリルアミドから選択される1つ以上のモノマーのポリマーまたはコポリマーから構成され得る。シェルに使用されるポリマーまたはコポリマーは、金属カルボキシレート形成により、特に2価金属カチオンの塩を形成することにより、イオン的に架橋された酸基を有し得る。シェルポリマーまたはコポリマーはまた、1分子当たり2つ以上の二重結合を有するモノマーによって共有結合的に架橋されてもよい。
【0102】
コアシェルゴム粒子は、10nm~300nm、例えば50nm~200nmの平均粒度(d50)を有することが好ましく:該粒度は、粒子の分布における粒子の直径または最大寸法を指し、動的光散乱によって測定される。
【0103】
本出願は、剪断強度、剥離強度および樹脂破壊靭性を含む、得られた硬化生成物の重要な特性のバランスを提供するために、組成物中に異なる粒度を有する2種類のコアシェルゴム(CSR)粒子の存在を排除しない。この実施形態において、より小さい内包粒子(第1のCSRタイプ)は、10~100nmの平均粒度を有し得て、より大きい内包粒子(第2のCSRタイプ)は、120nm~300nm、例えば150~300nmの平均粒度を有し得る。より小さいコアシェルゴム粒子は、典型的には、より大きい粒子を重量基準で上回って使用されるべきである:例えば3:1~5:1の、より小さいCSR粒子とより大きいCSR粒子との重量比が用いられ得る。
【0104】
コアシェルゴムは、市販品から選択され得て、その例としては、アイカ工業株式会社から入手可能なゼフィアックシリーズ;Dow Chemical Companyから入手可能なParaloid EXL 2650A、EXL 2655およびEXL 2691A;株式会社カネカのカネエース(登録商標)MXシリーズ、特にMX 120、MX 125、MX 130、MX 136、MX 551、MX 553;並びに三菱レイヨンから入手可能なメタブレンSX-006が挙げられる。
【0105】
d)硬化剤
硬化剤d)は、1分子あたり少なくとも2つのエポキシド反応性基を有する少なくとも1つの化合物から必然的になる。本発明において、硬化剤d)は、ジシアンジアミドを含むことを特徴とする。上記ジシアンジアミドが微細化形態で用いられることが好ましい:0.5~100μm、例えば1~50μmまたは2~20μmの平均粒度(d50)が望ましいと認められ得る。該粒度は、粒子の分布における粒子の直径または最大寸法を指し、動的光散乱によって測定可能である。
【0106】
硬化剤d)はジシアンジアミドからなる、または本質的になることが好ましいが、他の硬化剤が上記ジシアンジアミドの総モル数に対して20mol%までの量で存在することは、本発明によって排除されない。ジシアンジアミドに対する任意の選択された補助硬化剤d)は、一成分(1K)組成物のポットライフに有害な影響を与えるべきではない。
【0107】
硬化性組成物を配合する場合、組成物は全体として、エポキシド反応性基とエポキシド基とのモル比が0.95:1~1.5:1、例えば0.95:1~1.1:1であることを特徴とすることが好ましい。特に、1:1のエポキシド反応性基とエポキシド基とのモル比は、これらの示された範囲内に含まれ、それ自体が非常に好ましいモル比を表す。
【0108】
e)促進剤としての尿素誘導体
本発明の促進剤e)の興味深い実施形態により、組成物は、式(V)または式(VI)の少なくとも1つの尿素誘導体を含み:

式中:少なくとも1つの残基R、R、Rは水素ではなく;
およびRは独立して、水素、C-C18アルキルおよびC-C18シクロアルキルから選択され;
は、水素、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C18アラルキル、C-C18アルキルアリール、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18シクロアルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アリール;-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキル;および-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキルであり;並びに、
、R、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C18アラルキル、C-C18-アルキルアリール、-CF、-NHC(O)NR、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18シクロアルキル、-NHC(O)NRで置換されたC-C18アリール;-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキル;および-NHC(O)NRで置換されたC-C18アラルキルから選択される。
【0109】
式(V)および(VI)の尿素誘導体の置換基(R~R)は、上記誘導体が確実に、室温および1気圧で液体であり、25℃で1Pa.s未満、好ましくは100mPa.s未満の粘度を有するように選択されるべきである。これらの考慮事項に加えて、式(V)および(VI)の尿素誘導体は、以下の条件を満たすことが好ましい:
少なくとも1つの残基R、R、Rは水素ではなく;
およびRは独立して、水素およびC-Cアルキルから選択され;並びに
、R、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、C-Cアルキルおよび-NHC(O)NRから選択される。
【0110】
N,N-ジエチル尿素、N,N-ジプロピル尿素、N,N-エチル-メチル尿素、N,N-ジメチル尿素、1,1’-(4-メチル-m-フェニレン)-ビス-(3,3-ジメチル尿素)および1,1’-(2-メチル-m-フェニレン)-ビス-(3,3-ジメチル尿素)の使用が特に好ましいことに留意され得る。
【0111】
該尿素が促進剤として用いられる場合、該尿素誘導体の合計に対するジシアンジアミドのモル比が1以上であり、ジシアンジアミドと該尿素誘導体の合計とのモル比は、好ましくは1:1~4:1、例えば1:1~3:1の範囲であることが必須である。
【0112】
f)添加剤および補助成分
本発明で得られる該組成物は、典型的には、これらの組成物に改善された特性を付与することができるアジュバントおよび添加剤をさらに含む。例えば、アジュバントおよび添加剤は:弾性特性の改善;弾性回復の改善;より長い有効処理時間;より速い硬化時間;およびより低い残留粘着性の1つ以上を付与し得る。そのような補助剤および添加剤としては、触媒、可塑剤、カップリング剤、接着促進剤、UV安定剤を含む安定剤、酸化防止剤、2次強化剤(secondary tougheners)、充填剤、反応性希釈剤、乾燥剤、殺真菌剤、難燃剤、レオロジー補助剤、着色顔料もしくはカラーペーストおよび/または場合により少量の非反応性希釈剤も挙げられる。
【0113】
好適な触媒は、エポキシド基とエポキシド反応性基との間の反応、例えばアミン基とエポキシド基との間の反応を促進する物質である。具体例は、存在する反応性チオール(-SH)基の、求核開環重合によってエポキシド基と反応するチオラート(-S’’)への脱プロトン化によって機能するアミン触媒の使用に関する。
【0114】
本発明で使用される触媒を限定することを意図するものではないが、以下の好適な触媒:i)酸または酸に対して加水分解可能な化合物、特にa)有機カルボン酸、例えば酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸および乳酸;b)有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸および4-ドデシルベンゼンスルホン酸;c)スルホン酸エステル;d)無機酸、例えばリン酸;e)ルイス酸化合物、例えばBFアミン錯体、SbFスルホニウム化合物、ビス-アレーン鉄錯体;f)ブレンステッド酸化合物、例えばペンタフルオロアンチモン酸錯体;並びにe)前述の酸および酸エステルの混合物;ii)第3級アミン、例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、イミダゾール-N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾールおよび1,2-ジメチルイミダゾールを含む-並びにそのような第3級アミンの塩;iii)第4級アンモニウム塩、例えばベンジルトリメチルアンモニウムクロリド;iv)アミジン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン;v)グアニジン、例えば1,1,3,3-テトラメチルグアニジン;vi)フェノール、特にビスフェノール;vii)フェノール樹脂;viii)マンニッヒ塩基;並びにix)ホスファイト、例えばジフェニルおよびトリフェニルホスファイトが言及され得る。
【0115】
一実施形態において、エポキシ樹脂に基づく組成物を硬化するためのアミン触媒は、光塩基発生剤であってもよく:-典型的には320~420nmの波長における―UV照射への曝露時に、上記光塩基発生剤は、エポキシドへのエポキシド反応性基の付加を触媒するアミンを放出する。光塩基発生剤は、光照射により直接または間接的にアミンを発生するものであれば、特に限定されない。しかし、言及され得る好適な光塩基発生剤としては:ベンジルカルバメート;ベンゾインカルバメート;o-カルバモイルヒドロキシアミン;O-カルバモイルオキシム;芳香族スルホンアミド;アルファ-ラクタム;N-(2-アリルエテニル)アミド;アリールアジド化合物、N-アリールホルムアミドおよび4-(オルト-ニトロフェニル)ジヒドロピリジンが挙げられる。
【0116】
完全を期すために、光塩基発生剤化合物の調製は当分野で既知であり、有益な文献としては:J.Cameron et al.,J.Am.Chem.Soc,Vol.113,No.11,4303-4313(1991);J.Cameron et al.,J.Polym.Mater.Sci.Eng.,64,55(1991);J.Cameron,et al.,J.Org.Chem.,55,5919-5922(1990);およびU.S.5,650,261(Winkel)が挙げられる。その上、光塩基発生剤は:M.Shirai et al.Photochemical Reactions of Quatenary Ammonium Dithiocarbamates as Photobase Generators and Their Use in The Photoinitiated Thermal Crosslinking of Poly(gycidylmethacrylate),Journal of Polymer Science,Part A:Polymer Chemistry,Vol.39,pp.1329-1341(2001);and,M.Shirai et al.,Photoacid and photobase generators:chemistry and applications to polymeric materials,Progress in Polymer Science,Vol.21,pp.1-45,XP-002299394,1996にさらに記載されている。
【0117】
代替の実施形態において、酸触媒は、光酸発生剤(PAG)から選択され得る:光エネルギーの照射時に、イオン性光酸発生剤はフラグメンテーション反応を受けて、開環およびペンダントエポキシド基の付加を触媒して架橋を形成するルイス酸またはブレンステッド酸の1つ以上の分子を放出する。有用な光酸発生剤は、熱的に安定であり、形成コポリマーとの熱誘起反応を受けず、硬化性組成物中にただちに溶解または分散される。光酸発生剤は当分野で既知であり:K.Dietliker,Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings,Inks and Paints,Vol.Ill,SITA Technology Ltd.,London(1991);およびKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4.Sup.Th Edition,Supplement Volume,John Wiley and Sons,New York,pp 253-255が有益に参照され得る。
【0118】
本発明のイオン性PAGのカチオン性部分として使用され得る例示的なカチオンとしては、米国特許第4,250,311号、米国特許第3,113,708号、米国特許第4,069,055号、米国特許第4,216,288号、米国特許第5,084,586号、米国特許第5,124,417号および米国特許第5,554,664号に記載されているものなどの、有機オニウムカチオンが挙げられる。これらの文献は、具体的には、脂肪族または芳香族のIVA族およびVIIA族(CAS型)中心オニウム塩を包含し、I-、S-、P-、Se-N-およびC-中心オニウム塩、例えばスルホキソニウム、ヨードニウム、スルホニウム、セレノニウム、ピリジニウム、カルボニウムおよびホスホニウムから選択されるものが好ましくは留意される。
【0119】
当分野で既知であるように、イオン光酸発生剤(PAG)中の対アニオンの性質は、エポキシド基のカチオン付加重合の速度および程度に影響を及ぼすことができる。説明のために、Crivello et al.Chem.Mater.,4,692,(1992)は、一般に使用される求核性アニオン間の反応性の順序がSbF>AsF>PF>BFであることを報告している。反応性に対するアニオンの影響は、当業者が本発明において補償すべき3つの原理的要因に起因している。(1)発生したプロトン酸またはルイス酸の酸性度;(2)成長カチオン鎖におけるイオン対分離度;および(3)フルオリド引き抜きおよびその結果生じる連鎖停止に対するアニオンの感受性。
【0120】
本発明の組成物が、上で言及した光塩基発生剤および光酸発生剤化合物に対する代替の光開始剤化合物を含むことを排除するものではなく、この光開始剤化合物は、化学線の照射時に組成物の重合または硬化を開始する。本発明の光重合性組成物は、カチオン重合性またはフリーラジカル重合性であり得ることに留意されたい:エポキシ基はカチオン活性であるが、フリーラジカル重合機構を選択すると、アクリレート化合物、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ官能性アクリレート、エポキシ官能性(メタ)アクリレートまたはその組み合わせなどのフリーラジカル活性不飽和基を有する化合物を組成物が含有しなければならないという要件が課される。その選択を適用すると、好ましい光開始剤は、ノリッシュI開裂を受けて、アクリル二重結合への付加によって開始することができるフリーラジカルを生成する光活性化合物である。
【0121】
光開始剤は全体として、光重合性組成物中に、反応化合物100部に対して0.1~1.0重量部の量で存在すべきである。
【0122】
光開始剤並びに上述した光塩基発生剤および光酸発生剤の使用は、光化学反応から残留化合物を生成し得る。残基は、従来の分析技術、例えば:赤外、紫外およびNMR分光法;ガスまたは液体クロマトグラフィー;並びに質量分析によって検出することができる。したがって、本発明は、硬化(エポキシ)マトリックスコポリマーおよび光塩基/酸発生剤からの検出可能な量の残基を含み得る。そのような残基は少量で存在し、通常、生成物の所望の物理化学的特性を妨げない。
【0123】
本発明を限定する意図はないが、1つ以上の光開始剤を含む混合物に活性化放射線を照射して、モノマー成分を重合させてもよい。照射の目的は、硬化反応を開始する光開始剤から活性種を生成することである。その種が生成されると、硬化化学作用は、任意の化学反応と同じ熱力学の規則に従う:反応速度は熱によって加速され得る。モノマーのカチオン性UV硬化を向上させるために熱処理を使用する実施は、当分野で一般に既知であり、例示的な有益な文献は、Crivello et al.,“Dual Photo-and thermally initiated cationic polymerization of epoxy monomers,”Journal of Polymer Science A,Polymer Chemistry.,Vol.44,Issue:23,pp.6750-6764,(Dec.1,2006)である。
【0124】
当業者によって認識されるように、光増感剤は、任意の光開始剤が送達されるエネルギーを使用する効率を改善するために組成物に包含させることができる。光増感剤は、典型的には、光開始剤の重量に対して5~25%の量で使用される。
【0125】
本発明の目的のための「可塑剤」は、組成物の粘度を低下させ、したがってその加工性を促進する物質である。ここで可塑剤は、組成物の総重量に対して最大10重量%または最大5重量%を構成し得て、好ましくは:ポリジメチルシロキサン(PDMS);ジウレタン;単官能性、直鎖または分岐C4-C16アルコールのエーテル、例えばセチオールOE(デュッセルドルフのCognis Deutschland GmbHから入手可能);アビエチン酸、酪酸、チオ酪酸、酢酸、プロピオン酸エステルおよびクエン酸のエステル;ニトロセルロースおよびポリビニルアセテートに基づくエステル;脂肪酸エステル;ジカルボン酸エステル;OH基担持またはエポキシ化脂肪酸のエステル;グリコール酸エステル;安息香酸エステル;リン酸エステル;スルホン酸エステル;トリメリット酸エステル;エポキシ化可塑剤;ポリエーテル可塑剤、例えばエンドキャップポリエチレンまたはポリプロピレングリコール;ポリスチレン;炭化水素可塑剤;塩素化パラフィン;およびその混合物からなる群から選択される。原則として、フタル酸エステルを可塑剤として使用することができるが、これらは毒性学上の潜在性のために好ましくないことに留意されたい。可塑剤は、1つ以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むか、またはそれからなることが好ましい。
【0126】
ある実施形態において、組成物は、所与の表面への硬化組成物の接着性を向上させるように作用することができる、少なくとも1つのエポキシシランカップリング剤を、組成物の重量に対して最大5重量%含む。カップリング剤の加水分解性基は、表面と反応して、望ましくないヒドロキシル基を除去することができる;そのエポキシ基は、膜形成ポリマーと反応して該ポリマーを表面に化学的に結合させる。好ましくは、カップリング剤は、1~3個の加水分解性官能基および少なくとも1つのエポキシ基を有する。
【0127】
好適なエポキシシランカップリング剤の例としては:グリシドキシポリメチレントリアルコキシシラン、例えば3-グリシドキシ-1-プロピル-トリメトキシシラン;(メタ)アクリロキシポリメチレントリアルコキシシラン、例えば3-メタクリリルオキシ-1-プロピルトリメトキシシラン;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(GE Siliconesから入手可能なA-174);γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materials,Inc.から入手可能なA-187);α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(Momentive Performance Materials,Inc.から入手可能なA-2287);ビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン(Momentive Performance Materials,Inc.から入手可能なA-172);およびα-クロロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社から入手可能なKBM-703)が挙げられるが、これに限定されない。
【0128】
本発明の目的のための「安定剤」は、酸化防止剤、UV安定剤または加水分解安定剤として理解されるべきである。本明細書では、安定剤は、組成物の総重量に対して、全体で最大10重量%または最大5重量%を構成し得る。本明細書での使用に好適な安定剤の標準的な市販例としては、立体障害フェノール;チオエーテル;ベンゾトリアゾール;ベンゾフェノン;ベンゾエート;シアノアクリレート;アクリレート;ヒンダードアミン光安定剤(HALS)タイプのアミン;リン;硫黄;およびその混合物が挙げられる。
【0129】
記載したように、本発明による組成物は、充填剤をさらに含有することができる。ここで好適なのは、例えばチョーク、石灰粉末、沈降および/または焼成ケイ酸、ゼオライト、ベントナイト、マグネシウムカーボネート、珪藻土、アルミナ、粘土、タルク、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、雲母、ガラス粉末および他の粉砕鉱物物質である。有機充填剤、特にカーボンブラック、黒鉛、木質繊維、木粉、おがくず、セルロース、綿、パルプ、綿、木材チップ、細断わら、もみ殻、粉砕クルミ殻および他の細断繊維も使用することができる。ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維などの短繊維を添加することもできる。アルミニウム粉末も同様に充填剤として好適である。
【0130】
焼成および/または沈降ケイ酸は、有利には10~90m/gのBET表面積を有する。焼成および/または沈降ケイ酸を使用する場合、それらは本発明による組成物の粘度のさらなる上昇を引き起こさないが、硬化組成物の強化に寄与する。
【0131】
同様に、充填剤として、有利には100~250m/g、特に110~170m/gのより高いBET表面積を有する焼成および/または沈降ケイ酸を使用することが考えられる:BET表面積がより大きいため、硬化組成物を強化する効果が、ケイ酸のより小さい重量割合で達成される。
【0132】
また充填剤として好適なのは、鉱物シェルまたはプラスチックシェルを有する中空球である。これらは、例えばGlass Bubbles(登録商標)の商品名で市販されている中空ガラス球であることができる。Expancel(登録商標)またはDualite(登録商標)などのプラスチック系中空球が使用され得て、欧州特許第0 520 426B1号に記載されている:それらは無機または有機物質で構成され、それぞれ1mm以下、好ましくは500μm以下の直径を有する。
【0133】
組成物にチキソトロピーを付与する充填剤は、多くの用途に好ましい場合がある:そのような充填剤は、レオロジー補助剤、例えば硬化ヒマシ油、脂肪酸アミドまたはPVCなどの膨潤性プラスチックとしても記載されている。
【0134】
本発明の組成物中に存在する充填剤の総量は、組成物の総重量に対して好ましくは0~60重量%、より好ましくは0~30重量%となる。硬化性組成物の所望の粘度は、典型的には、添加される充填剤の総量を決定するものであり、好適な分配装置、例えばチューブからただちに押出可能であるために、硬化性組成物は、3000~150,000mPas、好ましくは40,000~80,000mPas、またはさらには50,000~60,000mPasの粘度を有するべきことが提起される。
【0135】
上記の成分c)に関して、硬化した接着剤の基材表面への接着性の向上を助けるために、金属キレート特性を有する他の化合物も本発明の組成物に使用され得ることに留意されたい。さらに、接着促進剤としての使用にも好適であるのは、King Industriesによって商品名K-FLEX XM-B 301で販売されているアセトアセテート官能化変性樹脂である。
【0136】
好適な顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄またはカーボンブラックである。
【0137】
貯蔵寿命をなおさらに延長するために、乾燥剤の使用による水分浸透に関して、本発明の組成物をさらに安定化することがしばしば賢明である。反応性希釈剤を使用することによって、特定の用途のための本発明による接着剤またはシーラント組成物の粘度を低下させる必要性も時に存在する。存在する反応性希釈剤の総量は、組成物の総重量に対して、典型的には最大15重量%、好ましくは1~5重量%である。
【0138】
本発明の組成物中の非反応性希釈剤の存在も、これがその粘度を有用に調整することができる場合に排除されない。例えば、例示のみを目的として、組成物は:キシレン;2-メトキシエタノール;ジメトキシエタノール;2-エトキシエタノール;2-プロポキシエタノール;2-イソプロポキシエタノール;2-ブトキシエタノール;2-フェノキシエタノール;2-ベンジルオキシエタノール;ベンジルアルコール;エチレングリコール;エチレングリコールジメチルエーテル;エチレングリコールジエチルエーテル;エチレングリコールジブチルエーテル;エチレングリコールジフェニルエーテル;ジエチレングリコール;ジエチレングリコール-モノメチルエーテル;ジエチレングリコール-モノエチルエーテル;ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル;ジエチレングリコールジエチルエーテル;ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル;プロピレングリコールブチルエーテル;プロピレングリコールフェニルエーテル;ジプロピレングリコール;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル;ジプロピレングリコールジメチルエーテル;ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル;N-メチルピロリドン;ジフェニルメタン;ジイソプロピルナフタレン;石油留分、例えばSolvesso(登録商標)製品(Exxonから入手可能);アルキルフェノール、例えばtert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールおよび8,11,14-ペンタデカトリエニルフェノール;スチレン化フェノール;ビスフェノール;芳香族炭化水素樹脂、とりわけフェノール基を含有するもの、例えばエトキシル化またはプロポキシル化フェノール;アジペート;セバケート;フタレート;ベンゾエート;有機リン酸またはスルホン酸エステル;並びにスルホンアミドの1つ以上を含有し得る。
【0139】
上記は別として、該非反応性希釈剤は、組成物の総重量に対して10重量%未満、特に5重量%未満又は2重量%未満を構成することが好ましい。
【0140】
完全を期すために、本発明の組成物は、1つ以上のモノアミン、例えばヘキシルアミンおよびベンジルアミンを含み得る。
【0141】
一成分(1K)組成物の例示的な実施形態
本発明の例示的な実施形態において、一成分(1K)組成物は、組成物の重量に対して:
40~60重量%のa)少なくとも1つのエポキシ樹脂;
10~25重量%の、b)ジエチレントリアミンで硬化させたときにASTM D2240に従ってデュロメータで測定したショアD硬度が45以下であることを特徴とする、少なくとも1つの内部可撓化エポキシ樹脂;
少なくとも1つのキレート変性エポキシ樹脂であって、最大5重量%の合計量で存在する、少なくとも1つのキレート変性エポキシ樹脂;
少なくとも1つのエラストマー変性エポキシ樹脂であって、最大5重量%の合計量で存在する、少なくとも1つのエラストマー変性エポキシ樹脂;
5~30重量%のc)コアシェルゴム粒子;
d)1分子あたり少なくとも2つのエポキシド反応性基を有する少なくとも1つの化合物からなる硬化剤であって、ジシアンジアミドからなり、該ジシアンジアミドが1~50μm、好ましくは2~20μmの平均粒度(d50)を特徴とする粒子形態を有する、硬化剤;並びに
e)N,N-ジエチル尿素、N,N-ジプロピル尿素、N,N-エチル-メチル尿素、N,N-ジメチル尿素、1,1’-(4-メチル-m-フェニレン)-ビス-(3,3-ジメチル尿素)および1,1’-(2-メチル-m-フェニレン)-ビス-(3,3-ジメチル尿素)からなる群から選択される、少なくとも1つの尿素誘導体;を含み、
該組成物が、該硬化剤d)中に提供されるエポキシド反応性基とエポキシド基とのモル比が0.95:1~1.5:1、好ましくは0.95:1~1.1:1であることを特徴とし、
ジシアンジアミドと該尿素誘導体の合計とのモル比が1:1~4:1、好ましくは1:1~3:1の範囲である。
【0142】
組成物のこの例示的な実施形態では、硬化時に成形され接合された金属成分を含み、接合された金属材料が互いに異なる場合を含む、金属材料のための効果的な接合剤を形成することが示されている。
【0143】
方法および用途
組成物を形成するために、上記の部分をまとめて、混合する。当分野で既知であるように、一成分(1K)硬化性組成物を形成するために、組成物の要素をまとめて、反応性成分の反応を阻害または防止する条件下で均質に混合する:当業者によってただちに理解されるように、これは水分もしくは照射への曝露を制限または防止する、または構成潜在触媒の活性化を制限もしくは防止する混合条件を含み得る。このように、硬化剤要素は、手作業で混合されず、代わりに機械、例えば静的または動的ミキサーによって、意図的に光照射せずに無水条件下にて所定量で混合されることがしばしば好ましい。
【0144】
本発明の最も広範な方法態様により、上記の組成物を基材に塗布し、次いでインサイチューで硬化させる。組成物を適用する前に、関連する表面を前処理してそこから異物を除去することがしばしば賢明である:この工程は、適用可能であれば、表面への組成物のその後の接着を促進することができる。そのような処理は当分野で既知であり、例えば:基板に好適な酸および任意の酸化剤によるエッチング処理;超音波処理;化学プラズマ処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理および火炎プラズマ処理を含むプラズマ処理;水系アルカリ脱脂浴への浸漬;水系洗浄エマルションによる処理;洗浄溶媒、例えば四塩化炭素またはトリクロロエチレンによる処理;並びに好ましくは脱イオン水または脱塩水による水すすぎの1つ以上の使用によって構成される、単段階または多段階方式で実施することができる。水系アルカリ脱脂浴が使用される場合、表面に残存する脱脂剤はいずれも、脱イオン水または脱塩水で基材表面をすすぐことによって望ましくは除去されるべきである。
【0145】
いくつかの実施形態では、好ましくは前処理された基材への本発明のコーティング組成物の接着は、基材へのプライマーの適用によって促進され得る。当業者は適切なプライマーを選択することができるが、プライマーの選択のための有益な文献としては、米国特許第3,671,483号;米国特許第4,681,636号;米国特許第4,749,741;米国特許第4,147,685号;および米国特許第6,231,990号が挙げられるが、これに限定されない。
【0146】
次いで、組成物は、従来の適用方法、例えば:ブラッシング;例えば組成物が無溶媒である4アプリケーションロール装置又は溶媒含有組成物用の2アプリケーションロール装置を使用する、ロールコーティング;ドクターブレード適用;印刷法;並びにこれに限定されるわけではないが、空気噴霧スプレー、空気補助スプレー、エアレススプレーおよび大容量低圧スプレーが含まれる、スプレー法によって、基材の好ましくは前処理され、場合によりプライミングされた表面に適用される。コーティングおよび接着剤用途では、組成物を10~500μmの湿潤フィルム厚に適用することが推奨される。この範囲内のより薄い層の適用はより経済的であり、コーティング用途のためにサンディングを必要とし得る、厚い硬化領域の可能性が低減される。しかし、不連続な硬化膜の形成を回避するために、より薄いコーティングまたは層を適用する際には、大規模な制御を行わなければならない。
【0147】
本発明の組成物の硬化は、100℃~200℃、好ましくは100℃~170℃、特に120℃~160℃の範囲の温度で行うことができる。好適な温度は、存在する特定の化合物および所望の硬化速度に依存し、必要に応じて簡単な予備試験を使用して当業者が個別の場合に決定することができる。しかし、適用可能な場合、組成物のそれぞれの成分から形成された混合物の温度は、マイクロ波誘導を含む従来の手段を使用して、混合温度および/または適用温度より高くされ得る。
【0148】
完全を期すために、本発明は、「フィルム接着剤」の形態のエポキシ接着剤の調製を排除しないことに留意されたい。エポキシ樹脂、硬化剤および他の所望の成分のプレポリマー混合物は、ポリマーフィルム基材上にコーティングとして適用され、巻き上げられ、成分間の化学反応を抑制するために十分に低い温度で保管される。必要な場合には、フィルム接着剤を低温環境から取り出し、金属または複合部品に適用して、バッキングを剥がし、組立体を完成させ、オーブンまたはオートクレーブで硬化させる。
【0149】
本発明による硬化性組成物は、とりわけ:ワニス;インク;繊維および/または粒子の接合剤;ガラスのコーティング;無機建材、例えば石灰および/またはセメント結合石膏、石膏含有表面、ファイバーセメント建材およびコンクリートのコーティングおよび接合;木材および木質材料、例えばチップボード、ファイバーボードおよび紙などのコーティング、シーリングまたは接合;金属表面のコーティングまたは接合;アスファルトおよびビチューメン含有舗道のコーティング;各種プラスチック表面のコーティング、シーリングまたは接合;並びに皮革および織物のコーティングにおいて有用性を見出し得る。
【0150】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物を構造基材に適用して、接着性の高耐摩耗性コーティングまたは接合を生成する。接合操作は、しばしば200℃未満で行うことができ、硬化後に有効な耐摩耗性を達成することができる。さらに、機械的構造の表面または床もしくは舗道に接合する場合、コーティング組成物は、強力で信頼性の高い接合を提供することができ、表面に熱安定性および腐食保護を与えることができ、特定の構造の操作または効率に有害な化合物と表面の接触を防止することができる。
【0151】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0152】
以下の化合物および材料を実施例で使用する。
JER(商標)828:ビスフェノールA、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮重合によって形成された液体エポキシ樹脂、三菱化学から入手可能。
DER(商標)332:ビスフェノールAエポキシ樹脂、Olin Corporationより供給。
カネエース(KanAce)MX 154:強化剤と予備混合されたビスフェノールAエポキシ樹脂、株式会社カネカから入手可能。
アクリセットBPA 328:強化剤と予備混合されたビスフェノールAエポキシ樹脂、株式会社日本触媒から入手可能。
EP-49-10 N:エポキシド当量重量220を有するキレート変性エポキシ樹脂、株式会社ADEKAから入手可能。
NC-514 S:350~500のエポキシド当量重量を有する疎水性の可撓性2官能性グリシジルエーテルエポキシ樹脂、Cardoliteから入手可能。
Silquest A-187:シランカップリング剤、Momentive Performance Chemicalsから入手可能。
90-EPX-04:カーボンブラック、Harwick Chemicalから入手可能。
ゼフィアック351:コアシェルゴム粒子、アイカ工業株式会社から入手可能。
DAW 7:アルミナ、デンカ株式会社から入手可能。
アエロジル R202:ヒュームドシリカ、Evonik Corporationから入手可能。
CG 1200 G:ジシアンジアミド(シアノグアニジン)、Evonik Corporationから入手可能。
Amicure UR2T:置換尿素系促進剤[1,1’-(4メチル-m-フェニレン)ビス(3,3ジメチル尿素)]、Evonik Corporationから入手可能。
【0153】
成分を、本明細書の以下の表1に示すパーセンテージで組み合わせた。
【表1】
【0154】
粘度および重ね剪断強度の測定値を前述のプロトコルに従って得て、その結果を本明細書の以下の表2に記録する。さらなる試験を以下のように行った。
【0155】
<示差走査熱量測定(DSC)硬化試験>
実施例1のサンプルを選択し、DSC等温法によって試験した。より具体的には、組成物のサンプル10.0mgをミリグラム秤で個別に秤量し、密閉アルミニウムDSCパンに封入し、同一の空のパンと共にPerkin Elmer Diamond DSC分析装置に装填して、参照として使用した。発熱を設定温度140℃にて60分間測定した。得られたサーモグラフから硬化挙動を分析し、140℃硬化における95%の転化率での硬化時間を求めて、本明細書の以下の表2に記録した。
【表2】
【0156】
前述の説明および実施例を考慮すると、特許請求の範囲から逸脱することなく、その同等の変更を行えることは当業者には明らかとなる。
【国際調査報告】