IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-550433ゲートオールアラウンドI/Oエンジニアリング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ゲートオールアラウンドI/Oエンジニアリング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
H01L29/78 301H
H01L29/78 301G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520218
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020053672
(87)【国際公開番号】W WO2021067525
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/909,329
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/037,941
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハング, スティーブン シー.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コロンボー, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ロー, アンディ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ビョン チャン
(72)【発明者】
【氏名】スウェンバーグ, ヨハネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】グアリーニ, テレサ クレーマー
(72)【発明者】
【氏名】ベバン, マルコム ジェー.
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140BA01
5F140BA05
5F140BB05
5F140BC12
5F140BD01
5F140BD04
5F140BD05
5F140BD09
5F140BD11
5F140BD13
5F140BE09
5F140BE10
5F140BE16
5F140BE17
(57)【要約】
ゲートオールアラウンド電子デバイスの製造方法について説明する。本方法は、低誘電率層の原子層堆積と組み合わせた強化型インシトゥ蒸気発生プロセスを通して、熱酸化物層を形成することを含む。薄い熱酸化物層によって、GAAのシリコン層と誘電体層との間の接合面が安定化処理される。低誘電率層の堆積後の安定化処理プロセスにより、バルクトラップが低減し、GAAトランジスタの故障性能が向上する。
【選択図】図2G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの製造方法であって、
基板にシリコン(Si)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)の交互層を形成することと、
シリコン層の少なくとも1つの側壁とシリコンゲルマニウム層の少なくとも1つの側壁とを露出させるために、前記シリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層をパターニング及びエッチングすることと、
開口部を形成するために、前記シリコンゲルマニウム層を選択的にエッチングすることと、
前記開口部を通して前記シリコン層に熱酸化物層を形成することと、
安定化熱酸化物層を形成するために、前記熱酸化物層を安定化処理することと、
前記開口部を通して前記安定化熱酸化物層に低誘電率層を堆積させることと、
高密度化低誘電率層を形成するために、前記低誘電率層を高密度化することと
を含む方法。
【請求項2】
前記シリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層は、選択的エピタキシャル成長(SEG)プロセスによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱酸化物層を形成することは、強化型インシトゥ蒸気発生(eISSG)プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記熱酸化物層は、約3から約10Åの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記低誘電率層は、約2nm未満の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記低誘電率層は、約1.5nm未満の厚さを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱酸化物層は、酸化ケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記低誘電率層は、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、SiCOH、SiCONH、又は酸化アルミニウムの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記低誘電率層は、約1から約6の範囲の誘電率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記安定化熱酸化物層に前記低誘電率層を堆積させることは、原子層堆積プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記原子層堆積プロセスは、プラズマ原子層堆積プロセスである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱酸化物層を安定化処理することは、アニールプロセス又はプラズマ処理プロセスのうちの1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記熱酸化物層を安定化処理することは、前記熱酸化物層をRTH又はRTNのうちの1又は複数を用いてアニールすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱酸化物層を安定化処理することは、DPHe、DPH、DPN、又はDPNHのうちの1又は複数を用いたプラズマ処理プロセスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記低誘電率層を高密度化することは、RTH又はRTNの1又は複数を用いて前記低誘電率層をアニールすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記低誘電率層を高密度化することは、DPHe、DPH、DPN、又はDPNHのうちの1又は複数を用いたプラズマ処理プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記電子デバイスは、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ゲートオールアラウンドトランジスタは、ソースとソースコンタクトとを有し且つ前記基板の上面にあるソース領域と、ドレインとドレインコンタクトとを有し且つ前記基板の上面にあるドレイン領域と、前記ソースと前記ドレインとの間に位置し且つ前記基板の上面と実質的に直交する軸を有するチャネルと、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間で前記チャネルを囲むゲートと、前記ゲート、前記ソースコンタクト、又は前記ドレインコンタクトの1又は複数の上に重なり、接触している前記熱酸化物層と、前記熱酸化物層の上に重なる前記低誘電率層とを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
半導体デバイスを形成するための処理ツールであって、
中央移送ステーションの周囲に配置された複数の処理チャンバを有する中央移送ステーションと、
前記複数の処理チャンバ間で基板を移動させるように構成された、前記中央移送ステーション内のロボットと、
前記中央移送ステーションに接続され、熱酸化物層を堆積させるためにインシトゥ蒸気発生プロセスを実行するように構成された第1の処理チャンバと、
前記ロボットがアクセス可能な前記処理ツール内の計測ステーションであって、基板上の前記熱酸化物層の厚さを決定するように構成された計測ステーションと、
前記中央移送ステーションに接続され、原子層堆積プロセスを実行するように構成された第2の処理チャンバと、
前記中央移送ステーション、前記ロボット、前記第1の処理チャンバ、前記計測ステーション、又は前記第2の処理チャンバのうちの1又は複数に接続されたコントローラであって、前記複数の処理チャンバと前記計測ステーションとの間で前記ロボット上の基板を移動させる第1の構成、前記第1の処理チャンバ内で基板に熱酸化物層を堆積させるインシトゥ蒸気発生プロセスを実行する第2の構成、前記計測ステーション内で前記熱酸化物層の厚さを決定する解析を実行する第3の構成、又は前記第2の処理チャンバ内で前記熱酸化物層の厚さに対して調整される原子層堆積プロセスを実行する第4の構成から選択される1又は複数の構成を有する、コントローラと
を備える、処理ツール。
【請求項20】
命令を含む非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、処理チャンバのコントローラによって実行されると、前記処理チャンバに、
基板にシリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層を形成する工程と、
少なくとも1つの側壁を露出させるために、前記シリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層をパターニング及びエッチングする工程と、
シリコンゲルマニウム層を選択的にエッチングする工程と、
シリコン層に熱酸化物層を形成するために、強化型インシトゥ蒸気発生プロセスを実行する工程と、
前記熱酸化物層を安定化処理する工程と、
低誘電率層を堆積させる工程と、
前記低誘電率層を高密度化及び/又は安定化処理する工程と
を実行させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、集積回路の製造に関するものである。より具体的には、実施形態は、ゲートオールアラウンドのゲートエンジニアリングにおける材料及び集積化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]トランジスタは、ほとんどの集積回路の主要な構成要素である。トランジスタの駆動電流、つまり速度はトランジスタのゲート幅に比例するため、高速なトランジスタには大きなゲート幅が必要となる。そのため、トランジスタのサイズと速度はトレードオフの関係にあり、最大限の駆動電流と最小限のサイズを有するトランジスタという相反する目標に取り組むために、フィン型電界効果トランジスタ(finFET)が開発された。FinFETは、トランジスタの設置面積を大幅に増加させることなくトランジスタのサイズをより一層増大させるフィン型のチャネル領域で特徴づけられ、現在、多くの集積回路に適用されている。しかしながら、finFETには独特の欠点がある。
【0003】
[0003]フィン形状のチャネル領域は、ビームラインイオン注入等の従来のイオン注入技法によって容易にアモルファス化又はその他の損傷を受けるため、狭くて高いfinFETでは、水平ソース/ドレイン拡張部の形成がますます困難となる。具体的には、一部のfinFETアーキテクチャ(水平ゲートオールアラウンド、h-GAA等)では、イオン注入により、シリコンチャネルと隣接するシリコン-ゲルマニウム(SiGe)犠牲層との間で深刻な混合が起きる可能性がある。このような混合は、SiGe犠牲層を選択的に除去する能力が損なわれるため、非常に好ましくない。また、熱アニールを介して注入による上記損傷を修復することは、finFETデバイスのサーマルバジェットを増大させることになる。
【0004】
[0004]ロジックゲートの性能は、構造層の厚さと面積だけでなく、使用される材料の特性にも関係する。しかしながら、デバイスのスケーリングに対応するために幾つかのゲート特性が調整されると、課題が生じる。更に、水平ゲートオールアラウンド(hGAA)デバイスのピラー間の空間閉じ込めにより、I/Oトランジスタのゲート誘電体材料の厚さが制限される。したがって、hGAAデバイスにおけるこの空間閉じ込めに対応する材料と集積化のオプションが求められている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の1又は複数の実施形態は、電子デバイスの製造方法を対象としたものであり、本方法は、基板にシリコン(Si)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)の交互層を形成することと、シリコン層の少なくとも1つの側壁とシリコンゲルマニウム層の少なくとも1つの側壁とを露出させるために、シリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層をパターニング及びエッチングすることと、開口部を形成するために、シリコンゲルマニウム層を選択的にエッチングすることと、開口部を通してシリコン層に熱酸化物層を形成することと、安定化熱酸化物層を形成するために、熱酸化物層を安定化処理することと、開口部を通して安定化熱酸化物層に低誘電率層を堆積させることと、高密度化低誘電率層を形成するために、低誘電率層を高密度化することとを含む。
【0006】
[0006]本開示の追加の実施形態は、半導体デバイスを形成するための処理ツールを対象としたものであり、処理ツールは、中央移送ステーションの周囲に配置された複数の処理チャンバを有する中央移送ステーションと、複数の処理チャンバ間で基板を移動させるように構成された、中央移送ステーション内のロボットと、中央移送ステーションに接続され、熱酸化物層を堆積させるためにインシトゥ蒸気発生プロセスを実行するように構成された第1の処理チャンバと、ロボットがアクセス可能な処理ツール内の計測ステーションであって、基板上の熱酸化物層の厚さを決定するように構成された計測ステーションと、中央移送ステーションに接続され、原子層堆積プロセスを実行するように構成された第2の処理チャンバと、中央移送ステーション、ロボット、第1の処理チャンバ、計測ステーション、又は第2の処理チャンバのうちの1又は複数に接続されたコントローラであって、複数の処理チャンバと計測ステーションとの間でロボット上の基板を移動させる第1の構成、第1の処理チャンバ内で基板に熱酸化物層を堆積させるインシトゥ蒸気発生プロセスを実行する第2の構成、計測ステーション内で熱酸化物層の厚さを決定する解析を実行する第3の構成、又は第2の処理チャンバ内で熱酸化物層の厚さに対して調整される原子層堆積プロセスを実行する第4の構成から選択される1又は複数の構成を有するコントローラとを備える。
【0007】
[0007]本開示の更なる実施形態は、命令を含む非一過性コンピュータ可読媒体を対象としたものであり、命令は、処理チャンバのコントローラによって実行されると、処理チャンバに、基板にシリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層を形成する工程と、少なくとも1つの側壁を露出させるために、シリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層をパターニング及びエッチングする工程と、シリコンゲルマニウム層を選択的にエッチングする工程と、シリコン層に熱酸化物層を形成するために、強化型インシトゥ蒸気発生プロセスを実行する工程と、熱酸化物層を安定化処理する工程と、低誘電率層を堆積させる工程と、低誘電率層を高密度化及び/又は安定化処理する工程とを実行させる。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタを形成するための製造プロセスのプロセスフロー図である。
図2A】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図2B】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図2C】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図2D】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図2E】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図2F】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図2G】本開示の1又は複数の実施形態に係る、ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの断面図である。
図3】本開示の実施形態のいずれかの方法を実行するための処理システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明で示す構造又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0011】
[0019]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」は、プロセスが作用する表面、又は表面の一部を指す。また、当業者には、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、基板への言及は基板の一部分のみを指すこともできることが理解されよう。更に、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板の両方を意味し得る。
【0012】
[0020]本明細書で使用する「基板」は、製造プロセス中に膜処理が実行される基板に形成された任意の基板又は材料表面を指す。例えば、処理が実行され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア等の材料、及び金属、金属窒化物、金属合金、及び他の導電性材料等の他の任意の材料が含まれる。基板には、限定しないが、半導体ウエハが含まれる。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール及び/又は焼成するための前処理プロセスに暴露され得る。基板自体の表面で直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのいずれもが、以下でより詳細に開示するように、基板に形成された下層で行われてもよく、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことが意図される。したがって、例えば、膜/層又は部分膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出した表面が基板表面となる。
【0013】
[0021]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」等は、基板表面と反応し得る任意の気体種を指すために交換可能に使用される。
【0014】
[0022]トランジスタは、半導体デバイス上に形成されることが多い回路部品又は素子である。回路設計に応じて、キャパシタ、インダクタ、抵抗器、ダイオード、導電性ライン、又は他の要素に加えて、半導体デバイスにトランジスタが形成される。一般に、トランジスタは、ソース領域とドレイン領域との間に形成されたゲートを含む。1又は複数の実施形態では、ソース領域及びドレイン領域は、基板のドープされた領域を含み、特定の用途に適したドーピングプロファイルを示す。ゲートは、チャネル領域上に位置決めされ、基板のゲート電極とチャネル領域との間に介在されたゲート誘電体を含む。
【0015】
[0023]本明細書で使用する「電界効果トランジスタ」又は「FET」という用語は、電界を使用してデバイスの電気的挙動を制御するトランジスタを指す。電界効果トランジスタは、一般に、低温で非常に高い入力インピーダンスを示す。ドレイン及びソース端子間の導電性は、デバイスの本体とゲート間の電圧差によって発生するデバイス内の電界によって制御される。FETの3つの端子は、キャリアがチャネルに入るソース(S)、キャリアがチャネルから出るドレイン(D)、及びチャネルの導電性を調節する端子であるゲート(G)である。従来は、ソース(S)でチャネルに入る電流はI、ドレイン(D)でチャネルに入る電流はIと表記されていた。ドレイン-ソース間電圧はVDSと表記されている。ゲート(G)に電圧をかけることで、ドレインでチャネルに入る電流(すなわち、I)が制御され得る。
【0016】
[0024]金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、電界効果トランジスタ(FET)の一種である。MOSFETは、絶縁されたゲートを有し、その電圧によってデバイスの導電性が決定される。印加電圧の量によって導電性が変化し得るため、電子信号の増幅やスイッチングに利用される。MOSFETは、本体電極と、本体の上方に位置し且つゲート誘電体層によって他のすべてのデバイス領域から絶縁されたゲート電極との間の金属-酸化膜-半導体(MOS)容量による電荷濃度の調節をベースにしている。MOSキャパシタと比較して、MOSFETは、本体領域によって分離された個々の高濃度にドープされた領域にそれぞれ接続されている追加の2つの端子(ソース及びドレイン)を含む。これらの領域はp型又はn型のいずれでもよいが、いずれも同じ型であり、本体領域とは反対の型でなければならない。ソース及びドレインは(本体と異なり)、ドーピングの型の後に「+」の記号で示すように、高濃度にドープされている。
【0017】
[0025]MOSFETがnチャネル又はnMOSFETである場合、ソース及びドレインはn+領域であり、本体はp領域である。MOSFETがpチャネル又はpMOSFETである場合、ソース及びドレインはp+領域であり、本体はn領域である。ソースはチャネルを流れる電荷キャリア(nチャネルは電子、pチャネルは正孔)の供給源であり、同様にドレインは電荷キャリアがチャネルから離れる場所であるため、このような名前が付けられた。
【0018】
[0026]本明細書で使用する「フィン電界効果トランジスタ(FinFET)」という用語は、ゲートがチャネルの2、3、又は4面に配置される、又はチャネルの周りに巻き付けられてダブルゲート構造を形成している基板上に構築されたMOSFETトランジスタを指す。FinFETデバイスは、ソース/ドレイン領域が基板上で「フィン」を形成していることから、FinFETと総称されるようになった。FinFETデバイスは、高速スイッチング時間と高電流密度を有する。
【0019】
[0027]本明細書で使用する用語「ゲートオールアラウンド(GAA)」は、ゲート材料がチャネル領域を全ての面で囲む電子デバイス、例えばトランジスタを指すために使用される。GAAトランジスタのチャネル領域は、ナノワイヤチャネル、バー状チャネル、又は当業者に周知の他の適切なチャネル構成を含み得る。1又は複数の実施形態では、GAAデバイスのチャネル領域は、複数の水平ナノワイヤ又は水平バーを垂直方向に間隔を置いて有し、これにより、GAAトランジスタは積層水平ゲートオールアラウンド(hGAA)トランジスタとなる。
【0020】
[0028]1又は複数の実施形態では、水平ゲートオールアラウンド(hGAA)トランジスタは、上面を有する基板と、ソースとソースコンタクトとを有し且つ基板の上面にあるソース領域と、ドレインとドレインコンタクトとを有し且つ基板の上面にあるドレイン領域と、ソースとドレインとの間に位置し且つ基板の上面と実質的に直交する軸を有するチャネルと、ソース領域とドレイン領域との間でチャネルを囲むゲートと、ゲート、ソースコンタクト、又はドレインコンタクトの1又は複数の上に重なり、接触している熱酸化物層と、熱酸化物層の上に重なる低誘電率誘電体層とを備える。1又は複数の実施形態では、低誘電率誘電体層は、約2nm未満の厚さを有する。
【0021】
[0029]本開示の実施形態は、高い等価酸化物厚さ(EOT)を達成するために、低誘電率材料の層と組み合わせた薄い熱酸化物インターフェースを有するゲートオールアラウンドトランジスタに関するものである。1又は複数の実施形態では、低誘電率誘電体材料と組み合わせた熱酸化物の薄い層の使用は、ゲートオールアラウンド入力/出力(I/O)トランジスタに必要な有効電気的厚さを増加させる。1又は複数の実施形態では、低誘電率材料の原子層堆積の後、PMEプロセスを使用して、低誘電率材料に形成されるバルク欠陥を抑制する。
【0022】
[0030]1又は複数の実施形態は、ゲートオールアラウンド(GAA)入力/出力(I/O)トランジスタの製造方法を提供する。この方法は、低誘電率層の原子層堆積と組み合わせた強化型インシトゥ蒸気発生(eISSG)プロセスを通して熱酸化物層を形成することを含む。この薄い熱酸化物層は、シリコン層とGAAの低誘電率誘電体層との間の接合面を安定化処理する。低誘電率層の堆積後に安定化処理プロセスを行うことで、バルクトラップが低減し、GAAトランジスタの故障性能が向上する。
【0023】
[0031]図1は、本開示の様々な実施形態に係る、GAAトランジスタを形成するための製造プロセス100のプロセスフロー図である。図2A図2Eは、本開示の実施形態に係る、プロセス100の様々な段階に対応するGAA構造200の概略断面図である。プロセス100を、ナノワイヤGAA構造を形成するように図示したが、プロセス100は、基板上に他の構造を形成するためにも採用され得る。
【0024】
[0032]プロセス100は工程102で開始し、工程102において、図2Aに示すように、バルク半導体基板202にシリコン層204及びシリコン-ゲルマニウム(SiGe)層206が交互に形成される。バルク半導体基板202は、シリコン、シリコンゲルマニウム、又は他の任意の適切なバルク結晶半導体材料で形成され得る。シリコン層204及びシリコン-ゲルマニウム層206はそれぞれ、選択的エピタキシャル成長(SEG)プロセスを介して形成され得、典型的には、結晶半導体材料を含む。
【0025】
[0033]工程104において、図2Bに示すように、シリコン層204上の垂直側壁208及びシリコン-ゲルマニウム層206上の垂直側壁210を露出させるために、シリコン層204及びシリコン-ゲルマニウム層206がパターニング及びエッチングされる。幾つかの実施形態では、工程104は、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスを含む。
【0026】
[0034]工程106において、図2Cに示すように、シリコン-ゲルマニウム層206が垂直側壁210から内側に選択的にエッチングされ、チャネル又は開口部212が形成される。幾つかの実施形態では、化学気相エッチング(CVE)プロセスを使用して、シリコン層204の上のシリコン-ゲルマニウム層206が選択的に除去される。例えば、減圧-化学気相堆積リアクタにおけるSiGe対Siの気体状塩酸による選択的エッチングが実証されている。あるいは、エクスシトゥHFディップ、それに続くエピリアクタにおいてインシトゥ(その場)で行われるGeH強化型Siエッチングが、工程106において採用され得る。
【0027】
[0035]工程108において、シリコン層204に熱酸化物層214が形成される。1又は複数の実施形態では、熱酸化物層は、酸化ケイ素のうちの1又は複数を含む。1又は複数の実施形態では、熱酸化物層は、強化型インシトゥ蒸気発生(eISSG)プロセスによって形成される。
【0028】
[0036]通常、酸化物層は、湿式炉酸化プロセス又は乾式酸化プロセスを用いて形成され得る。湿式炉酸化プロセスは、水蒸気の存在下でシリコン層を高温環境に暴露する。水蒸気中の水分が酸化物層を通して酸化物/シリコン接合面に拡散し、水分がシリコンと相互作用して二酸化ケイ素を形成する。しかし、湿式炉酸化プロセスでは、酸化物層がシリコン層の外側に膨らみ、表面に凸状の曲面が形成され、不均一になることがある。この不均一性により、性能や信頼性に問題が生じる。更に、湿式炉酸化プロセスでは、非反応性シリコンのダングリングボンドにより、質の悪い酸化物が形成される。質の悪い酸化物により、酸化物層とシリコン層との接合面の粗さが増す。
【0029】
[0037]従って、1又は複数の実施形態では、強化型インシトゥ蒸気発生(eISSG)プロセスを使用して、シリコン層204に熱酸化物層214が形成される。本明細書で使用する「インシトゥ蒸気発生(ISSG)プロセス」という用語は、単一ウエハの急速熱処理(RTP)のための酸化技術を指す。ISSGは、予め混合された水素(H)及び酸素(O)が予燃焼せずに直接プロセスチャンバに導入される低圧プロセス(典型的には約20Torr未満)である。プロセスガス(純粋な水素(H)及び酸素(O))はプレナムで混合された後、チャンバに注入され、薄い石英窓で仕切られた、タングステン-ハロゲン等のランプで加熱された回転基板を横切って流れる。高温の基板が点火源として作用するため、水素(H)と酸素(O)間の反応は基板表面近くで起こる。1又は複数の実施形態では、熱酸化物層214は、約3Å、約4Å、約5Å、約6Å、約7Å、約8Å、約9Å、又は約10Åを含む約3から約10Åの範囲の厚さを有する。
【0030】
[0038]工程110において、図2Eに示すように、アニールプロセス、例えばRTX(RTH又はRTNを用いる)、又はプラズマ処理プロセス、例えばDPX(DPHe、DPH、DPN又はDPNHを用いる)等の1又は複数によって、熱酸化物層214が安定化処理及び機能化され、安定化及び機能化熱酸化物層215が形成される。
【0031】
[0039]工程112において、次に、図2Fに示すように、低誘電率層216が、安定化及び機能化熱酸化物層215に共形堆積される。1又は複数の実施形態では、低誘電率層216は、チャネル212の少なくとも一部を充填する。1又は複数の実施形態では、低誘電率層は、原子層堆積(ALD)により堆積される。1又は複数の実施形態では、低誘電率層は、プラズマ原子層堆積(PEALD)により堆積される。1又は複数の実施形態では、低誘電率層216は、約2nm未満、又は約1.5nm未満の厚さを有する。
【0032】
[0040]1又は複数の実施形態では、低誘電率層216は、約2.25、約2.5、約2.75、約3.0、約3.25、約3.5、約3.75、約4.0、約4.25、約4.5、約4.75、約5.0、約5.25、約5.5、約5.75、又は約6.0を含む、約2.0から約6.0の範囲の誘電率又は消衰係数又は誘電率値を有する。1又は複数の具体的な実施形態では、低誘電率層216は、約2の誘電率又は消衰係数又は誘電率値を有する。
【0033】
[0041]1又は複数の実施形態では、低誘電率層216は、当業者に周知の任意の低誘電率誘電体材料を含む。1又は複数の実施形態では、低誘電率層216は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)、又は窒素(N)のうちの1又は複数の原子を有する低誘電率誘電体材料を含む。例えば、低誘電率層216は、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、SiCOH、SiCONH、酸化アルミニウム等のうちの1又は複数を含む。低誘電率層216を説明するのに「酸化ケイ素」という用語を使用する場合があるが、当業者は、本開示が特定の化学量論に制限されないことを認識するであろう。例えば、「酸化ケイ素」及び「二酸化ケイ素」という用語は、いずれも、任意の好適な化学量論比でケイ素原子及び酸素原子を有する材料を説明するのに使用され得る。同じことが、本開示で挙げた他の材料、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等についても当てはまる。
【0034】
[0042]本明細書で使用する「原子層堆積」又は「周期的堆積」は、2つ以上の反応性化合物を順次暴露して、基板表面に材料の層を堆積させることを指す。基板又は基板の一部は、処理チャンバの反応ゾーンに導入された2つ以上の反応性化合物に順次又は別々に暴露される。時間領域ALDプロセスでは、各反応性化合物への曝露は、各化合物が基板表面に付着及び/又は反応し、その後処理チャンバからパージされるように、時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は、基板に順次暴露されると言われる。
【0035】
[0043]空間ALDプロセスでは、基板上の任意の所与の点が実質的に1を超える反応性化合物に同時に暴露されないように、基板表面の異なる部分、又は基板表面上の材料が、2つ以上の反応性化合物に同時に暴露される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、この点で使用する「実質的に」という用語は、当業者に理解されるように、拡散により基板の小さい部分が複数の反応性ガスに同時に曝露され得る可能性があり、その同時曝露が意図されないものであることを意味する。
【0036】
[0044]時間領域ALDプロセスの一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の前駆体又は化合物A、例えばマンガン前駆体、ルテニウム前駆体、又はマンガン-ルテニウム前駆体)が反応ゾーンにパルス注入され、第1の時間遅延がそれに続く。次に、第2の前駆体又は化合物B(例えば、還元剤)が反応ゾーンにパルス注入され、第2の時間遅延がそれに続く。各時間遅延の間に、アルゴン等のパージガスを処理チャンバに導入して反応ゾーンをパージすることができる、又は他の方法で反応ゾーンから全ての残留反応性化合物又は反応副生成物を除去することができる。あるいは、パージガスは、反応性化合物のパルス間の時間遅延の間にパージガスのみが流れるように、堆積プロセスを通じて連続的に流され得る。あるいは、反応性化合物は、基板表面に所望の膜又は膜厚が形成されるまでパルス注入される。いずれのシナリオでも、化合物A、パージガス、化合物B、パージガスをパルス注入するALDプロセスはサイクルである。サイクルは、化合物A又は化合物Bのいずれかから開始し、所定の厚さの膜が得られるまで、サイクルをそれぞれの順序で継続させることができる。
【0037】
[0045]本明細書で使用する「パルス」又は「投与量」は、プロセスチャンバに断続的又は非連続的に導入されるソースガスの量を指すことを意図している。各パルス内の特定の化合物の量は、パルスの持続時間に依存して経時的に変化し得る。特定のプロセスガスは、単一の化合物、又は2つ以上の化合物の混合物/組合せ、例えば、以下に説明するプロセスガスを含み得る。
【0038】
[0046]各パルス/投与量の持続時間は可変であり、例えば、処理チャンバの容積容量だけでなく、それに結合された真空システムの能力にも対応するように調整することができる。更に、プロセスガスの投与時間は、プロセスガスの流量、プロセスガスの温度、制御バルブの種類、採用されるプロセスチャンバの種類、及びプロセスガスの成分が基板表面上に吸着する能力に応じて変更され得る。投与時間は、形成される層の種類や形成されるデバイスの形状に基づいて変更され得る。投与時間は、実質的に基板の全表面上に吸着/化学吸着して、その上にプロセスガス成分の層を形成するのに十分な量の化合物を供給するのに十分な長さであるべきである。
【0039】
[0047]金属前駆体含有プロセスガスは、1又は複数のパルスで供給され得る、又は連続的に供給され得る。金属前駆体含有プロセスガスの流量は、流量が約1から約5000sccmの範囲、又は約2から約4000sccmの範囲、又は約3から約3000sccmの範囲、又は約5から約2000sccmの範囲を含むがこれらに限定されない任意の適切な流量であり得る。金属前駆体は、約5mTorrから約500Torrの範囲、又は約100mTorrから約500Torrの範囲、又は約5Torrから約500Torrの範囲、又は約50mTorrから約500Torrの範囲、又は約100mTorrから約500Torrの範囲、又は約200mTorrから約500Torrの範囲の圧力を含むがこれらに限定されない任意の適切な圧力で供給され得る。
【0040】
[0048]基板が1又は複数の金属前駆体含有プロセスガスに曝露される期間は、金属前駆体が開口部の底部の導電性表面の上に適切な核形成層を形成するのに必要な任意の適切な時間であってよい。例えば、プロセスガスは、約0.1秒から約90秒の期間、プロセスチャンバに流され得る。幾つかの時間領域ALDプロセスでは、金属前駆体含有プロセスガスは、約0.1秒から約90秒の範囲、又は約0.5秒から約60秒の範囲、又は約1秒から約30秒の範囲、又は約2秒から約25秒の範囲、又は約3秒から約20秒の範囲、又は約4秒から約15秒の範囲、又は約5秒から約10秒の範囲の時間、基板表面に曝露される。
【0041】
[0049]幾つかの実施形態では、不活性キャリアガスが、金属前駆体含有プロセスガスと同時にプロセスチャンバに追加的に供給され得る。キャリアガスは、金属前駆体含有プロセスガス(例えば、希釈ガスとして)と混合されてよく、又は別々であってよく、パルス状又は一定流量であってよい。幾つかの実施形態では、キャリアガスは、約1から約10000sccmの範囲の一定流量で処理チャンバに流される。キャリアガスは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、それらの組み合わせ等の任意の不活性ガスであってよい。1又は複数の実施形態では、金属前駆体含有プロセスガスは、プロセスチャンバに流入する前に、アルゴンと混合される。
【0042】
[0050]空間ALDプロセスの実施形態では、第1の反応性ガス及び第2の反応性ガス(例えば、窒素ガス)は、反応ゾーンに同時に供給されるが、不活性ガスカーテン及び/又は真空カーテンによって分離される。基板は、基板上の任意の所与の点が第1の反応性ガス及び第2の反応性ガスに暴露されるように、ガス供給装置に対して相対的に移動される。
【0043】
[0051]工程114において、バルクトラップを低減させるために、低誘電率層216が高密度化及び安定化処理される。1又は複数の実施形態では、低誘電率層216は、アニールプロセス、例えばRTX(RTH又はRTNを用いる)、又はプラズマ処理プロセス、例えばDPX(DPHe、DPH、DPN、又はDPNHを用いる)の1又は複数で処理されて、高密度化及び安定化低誘電率層217が形成される。
【0044】
[0052]1又は複数の実施形態では、ALD後の高密度化及び安定化低誘電率層217の密度は、約2.15g/ccより大きい、約2.2g/ccより大きい、約2.25g/ccより大きい、約2.3g/ccより大きい、約2.35g/ccより大きい、約2.4g/ccより大きい、又は約2.5g/ccより大きい範囲を含む、約2.1g/ccより大きい範囲である。
【0045】
[0053]図1を参照すると、1又は複数の実施形態では、工程108、工程110、工程112、及び工程114は、高度プロセス制御(APC)を用いることによって統合される。本明細書で使用する「統合された」という用語は、熱酸化物の形成、安定化処理及び機能化、低誘電率層216のALD堆積、並びに低誘電率層216の高密度化及び安定化処理が同じプラットフォーム(真空処理下)で行われることを意味する。工程120において、熱酸化物層214及び低誘電率層216の厚さを決定するために、統合計測が使用され得る。幾つかの実施形態では、統合計測は、インシトゥで実施される。層214、216の厚さが統合計測によって決定されると、補正が実行できる(例えば、第1の層の厚さ/組成が必要に応じて調整され得る)ように、測定値がツールに供給される。幾つかの実施形態では、高度プロセス制御は、スキャトロメトリ(すなわち、光学臨界寸法(OCD)計測)、屈折率測定、偏光解析法又は電子ビームの1又は複数を含む。
【0046】
[0054]工程114の後、当業者に周知の従来の製造技法を用いて、GAAトランジスタ200の残りの構成要素が完成し得る。
【0047】
[0055]図3を参照すると、本開示の追加の実施形態は、本明細書に記載の方法を実行するための処理システム900を対象としたものである。図3は、本開示の1又は複数の実施形態に係る、基板を処理するのに使用可能なシステム900を示す図である。システム900は、クラスタツールと称され得る。システム900は、その中にロボット912を有する中央移送ステーション910を含む。ロボット912を単一ブレードロボットとして図示したが、当業者は、他のロボット912の構成が本開示の範囲内であることを認識するであろう。ロボット912は、中央移送ステーション910に接続されたチャンバ間で1又は複数の基板を移動させるように構成される。
【0048】
[0056]少なくとも1つの予洗浄/バッファチャンバ920が、中央移送ステーション910に接続される。予洗浄/バッファチャンバ920は、ヒータ、ラジカル源、又はプラズマ源のうちの1又は複数を含み得る。予洗浄/バッファチャンバ920は、個々の半導体基板のための保持領域として、又は処理用のウエハのカセットのための保持領域として使用され得る。予洗浄/バッファチャンバ920は、予洗浄プロセスを実行することができる、又は処理のために基板を予熱することができる、又は単にプロセスシーケンスのためのステージング領域であり得る。幾つかの実施形態では、中央移送ステーション910に接続された2つの予洗浄/バッファチャンバ920が存在する。
【0049】
[0057]図3に示す実施形態では、予洗浄チャンバ920は、ファクトリインターフェース905と中央移送ステーション910との間のパススルーチャンバとして機能し得る。ファクトリインターフェース905は、基板をカセットから予洗浄/バッファチャンバ920に移動させるための1又は複数のロボット906を含み得る。その後、ロボット912は、基板を予洗浄/バッファチャンバ920からシステム900内の他のチャンバに移動させ得る。
【0050】
[0058]第1の処理チャンバ930は、中央移送ステーション910に接続され得る。第1の処理チャンバ930は、ISSGチャンバとして構成することができ、第1の処理チャンバ930に反応性ガスの1又は複数の流れを提供するために、1又は複数の反応性ガス源と流体連結することが可能である。基板は、絶縁バルブ914を通過するロボット912によって、処理チャンバ930へ及び処理チャンバ930から移動され得る。
【0051】
[0059]処理チャンバ940はまた、中央移送ステーション910に接続され得る。幾つかの実施形態では、処理チャンバ940は、ALD堆積チャンバを含み、処理チャンバ940に反応性ガスの流れを提供して、等方性エッチングプロセスを実行するために、1又は複数の反応性ガス源と流体連結している。基板は、絶縁バルブ914を通過するロボット912によって、処理チャンバ940へ及び処理チャンバ940から移動され得る。
【0052】
[0060]処理チャンバ945はまた、中央移送ステーション910に接続され得る。幾つかの実施形態では、処理チャンバ945は、処理チャンバ940と同じプロセスを実行するように構成された処理チャンバ940と同じタイプのものである。この配置は、処理チャンバ940で行われる処理が、処理チャンバ930でのプロセスよりもはるかに長い時間を要する場合に有用であり得る。
【0053】
[0061]幾つかの実施形態では、処理チャンバ960は、中央移送ステーション910に接続され、高密度化及び/又は安定化処理チャンバとして機能するように構成される。処理チャンバ960は、1又は複数の異なるエピタキシャル成長プロセスを実行するように構成され得る。
【0054】
[0062]幾つかの実施形態では、処理チャンバ930、940、945、及び960の各々は、処理方法の異なる部分を実行するように構成される。例えば、処理チャンバ930はeISSGプロセスを実行するように構成されていてよく、処理チャンバ940はALD堆積を実行するように構成されていてよく、処理チャンバ945は計測ステーションとして、又は高密度化若しくは安定化処理プロセスを実行するように構成されていてよく、処理チャンバ960は第2の安定化処理プロセスを実行するように構成されていてよい。当業者は、ツール上の個々の処理チャンバの数及び配置が変更可能であり、図3に示す実施形態は、単に1つの可能な構成を表すものであることを認識するであろう。
【0055】
[0063]幾つかの実施形態では、処理システム900は、1又は複数の計測ステーションを含む。例えば、計測ステーションは、予洗浄/バッファチャンバ920内、中央移送ステーション910内、又は個々の処理チャンバのいずれか内部に位置し得る。計測ステーションは、基板を酸化環境に暴露することなく熱酸化物層及び/又は低誘電率層の厚さを測定することができるシステム900内の任意の位置にあり得る。
【0056】
[0064]中央移送ステーション910、予洗浄/バッファチャンバ920、及び処理チャンバ930、940、945、又は960の1又は複数に、少なくとも1つのコントローラ950が結合される。幾つかの実施形態では、個々のチャンバ又はステーションに接続された複数のコントローラ950があり、一次制御プロセッサが、システム900を制御するために別々のプロセッサの各々に結合される。コントローラ950は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用することができる汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等の任意の形態の1つであってよい。
【0057】
[0065]少なくとも1つのコントローラ950は、プロセッサ952、プロセッサ952に結合されたメモリ954、プロセッサ952に結合された入力/出力デバイス956、及び異なる電子構成要素間で通信するための支援回路958を有し得る。メモリ954は、一過性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)及び非一過性メモリ(例えば、ストレージ)のうちの1又は複数を含み得る。
【0058】
[0066]プロセッサのメモリ954、又はコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は任意の他の形態のデジタルストレージ(ローカル又はリモート)等の容易に利用できるメモリのうちの1又は複数であり得る。メモリ954は、システム900のパラメータ及び構成要素を制御するためにプロセッサ952によって操作可能な命令セットを保持することができる。支援回路958は、従来の方法でプロセッサを支援するために、プロセッサ952に結合される。回路は、例えば、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステム等を含み得る。
【0059】
[0067]プロセスは、一般に、プロセッサによって実行されると、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させるソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶及び/又は実行され得る。本開示の方法の一部又は全部も、ハードウェアで実行され得る。このように、プロセスは、ソフトウェアで実装され、コンピュータシステムを使用して実行されてよく、ハードウェアで、例えば、特定用途向け集積回路又は他のタイプのハードウェア実装態様として、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせとして実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバ工程を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0060】
[0068]幾つかの実施形態では、コントローラ950は、方法を実行するための個々のプロセス又はサブプロセスを実行するための1又は複数の構成を有する。コントローラ950は、方法の機能を実行するために中間構成要素に接続され、それを操作するように構成され得る。例えば、コントローラ950は、ガスバルブ、アクチュエータ、モータ、スリットバルブ、真空制御等のうちの1又は複数に接続され、それらを制御するように構成され得る。
【0061】
[0069]幾つかの実施形態のコントローラ950は、複数の処理チャンバと計測ステーションとの間でロボット上の基板を移動させる構成、システムから基板をロード及び/又はアンロードする構成、強化型インシトゥ蒸気発生(eISSG)プロセスによって熱酸化物層を形成する構成、熱酸化物層を機能化及び/又は安定化処理する構成、原子層堆積(ALD)を実行する構成、又は低誘電率層を高密度化及び/又は安定化処理する構成から選択される1又は複数の構成を有する。
【0062】
[0070]1又は複数の実施形態は、命令を含む非一過性コンピュータ可読媒体であって、命令は、処理チャンバのコントローラによって実行されると、処理チャンバに、基板にシリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層を形成する工程と、少なくとも1つの側壁を露出させるために、シリコン及びシリコンゲルマニウムの交互層をパターニング及びエッチングする工程と、シリコンゲルマニウム層を選択的にエッチングする工程と、シリコン層に熱酸化物層を形成するために、強化型インシトゥ蒸気発生プロセスを実行する工程と、熱酸化物層を安定化処理する工程と、低誘電率層を堆積させる工程と、低誘電率層を高密度化及び安定化処理する工程とを実行させる、非一過性コンピュータ可読媒体を対象としたものである。
【0063】
[0071]本明細書全体における「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」等の句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。更に、1又は複数の実施形態において特定の特徴、構造、材料、又は特性を任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0064】
[0072]本明細書の開示を、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者は、説明した実施形態が本開示の原理及び適用の単なる例示であると理解するであろう。当業者には、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正及び変更を加えることができることが明らかとなる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある修正及び変更を含むことができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
【国際調査報告】