(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(54)【発明の名称】性能向上のために操作した固有キャパシタンスを有する無線周波数トランジスタ増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/32 20060101AFI20221124BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20221124BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H03F1/32
H01L29/80 H
H03F3/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520539
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020050875
(87)【国際公開番号】W WO2021067028
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムー、キアンリー
(72)【発明者】
【氏名】モクティー、ズラーズミ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、ジア
(72)【発明者】
【氏名】シェパード、スコット
【テーマコード(参考)】
5F102
5J500
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ06
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5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS09
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC18
5J500AC26
5J500AF16
5J500AH16
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5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AS14
5J500AT02
5J500NG01
5J500WU08
(57)【要約】
窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器は、窒化ガリウム系のチャネル層及びその上の窒化ガリウム系のバリア層を有する半導体構造体を含み、特定の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成される。これらの増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、及び直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、ここで第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ガリウム系のチャネル層及び前記窒化ガリウム系のチャネル層上の前記窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のソース・コンタクトと、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトと
を備える、無線周波数(「RF」)トランジスタ増幅器であって、
前記RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、及び前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、
前記第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが前記第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である、
RFトランジスタ増幅器。
【請求項2】
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間である前記ドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる、請求項1に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項3】
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間である前記ドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わる、請求項1に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項4】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項5】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項6】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも70%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項7】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項8】
前記RFトランジスタ増幅器は、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成される、請求項7に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項9】
前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトと55ボルトとの間であり、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15ファラッド未満である、請求項1から8までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項10】
窒化ガリウム系のチャネル層及び前記窒化ガリウム系のチャネル層上の前記窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、
前記窒化ガリウム系のチャネル層上のソース・コンタクトと、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトと
を備える、無線周波数(「RF」)トランジスタ増幅器であって、
前記RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンスを有するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる、
RFトランジスタ増幅器。
【請求項11】
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わる、請求項10に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項12】
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について2倍未満だけ変わる、請求項10に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項13】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、及び前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、
前記第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが前記第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である、
請求項10から12までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項14】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、請求項10から13までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項15】
前記RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成される、請求項10から13までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項16】
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、32ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり4×10
-15ファラッド未満である、請求項10から15までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項17】
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15ファラッド未満である、請求項10から15までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項18】
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり6×10
-15ファラッド未満である、請求項10から17までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項19】
前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトと55ボルトとの間であり、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15ファラッド未満である、請求項10から18までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体の内容が引用により本明細書に組み込まれる2019年10月2日出願の米国特許出願第16/590,465号の優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書において説明される発明の概念は、マイクロエレクトロニック・デバイスに関し、特に無線周波数(「RF:radio frequency」)トランジスタ増幅器に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、500MHz~10GHz周波数範囲内の無線周波数などの高周波数で動作しながら、大電力取り扱い能力を要求される電気回路が、近年ますます普及してきている。大電力、高周波数回路の増加のために、大電力負荷を取り扱うことが可能なままでこれらの周波数で信頼性良く動作することが可能であるRFトランジスタ増幅器に対する要求が対応して増大してきている。
【0004】
シリコン半導体材料が、比較的低電力、低周波数用途では広く使用されている。シリコンは、しかしながら、例えば、比較的小さなバンドギャップ(室温でSiについて1.12eV)及び比較的小さな破壊電圧のために、多くの大電力及び/又は高周波数用途にとって十分に適していないことがある。
【0005】
炭化ケイ素(「SiC」)並びに例えば、窒化ガリウム(「GaN」)及び窒化アルミニウム・ガリウム(「AlGaN」)などの窒化ガリウム系の材料などのワイド・バンドギャップ半導体材料は、これらの半導体材料が、はるかに大きなバンドギャップ(例えば、室温でアルファSiCについて2.996eV及びGaNについて3.36eV)を有するので、大電力、高周波数動作用のトランジスタ増幅器を製造するために典型的に使用される。大電力及び/又は高周波数用途にとって特に関心のあるデバイスは、窒化ガリウム系の高電子移動度トランジスタ(「HEMT:High Electron Mobility Transistor」)である。
【0006】
窒化ガリウム系のHEMTデバイスは、複数の窒化ガリウム系の半導体層を含む半導体構造体に形成される。半導体構造体は、例えばGaN又はSiC基板などの半導体基板を含むことができる。半導体構造体内の窒化ガリウム系の層は、チャネル層及びバリア層を含むことができる。バリア層(例えば、AlGaN層)は、チャネル層(例えば、GaN層又はAlGaNバリア層よりも低いアルミニウム濃度を有するAlGaN層)よりも大きなバンドギャップ・エネルギーを有することがある。ソース・コンタクト、ドレイン・コンタクト及びゲート・コンタクトは、バリア層がコンタクトとチャネル層との間にあるように半導体構造体上に形成される。ソース・コンタクト、ドレイン・コンタクト及びゲート・コンタクトは、例えば、半導体材料、金属及び/又は金属合金などの導電性材料から形成されることがある。
【0007】
二次元電子ガス(「2DEG:two-dimensional electron gas」)は、適切な電圧がソース・コンタクト、ドレイン・コンタクト及びゲート・コンタクトに印加されるときにチャネル層とバリア層とのヘテロ接合のところに形成されることがある。チャネル層は、より広いバンドギャップのバリア層よりも高い電子親和力を持つことがある。2DEGは、チャネル層の上側表面における蓄積層であり、比較的高いシート電子濃度を含むことができる。加えて、より広いバンドギャップのバリア層に由来する電子は、2DEGへ移動することができ、イオン化した不純物散乱の減少のために比較的大きな電子移動度を可能にする。比較的高いキャリア濃度とキャリア移動度とのこの組み合わせは、HEMTに比較的大きなトランスコンダクタンスを与えることができ、そして高周波数用途用の金属-半導体電界効果トランジスタ(「MESFETS:metal semiconductor field effect transistor」)よりも性能優位性を提供できる。
【0008】
種々のタイプの窒化ガリウム系のHEMTデバイスが実証されてきている。例えば、米国特許第5,192,987号、第5,296,395号及び第6,316,793号は、実例のAlGaN/GaN HEMTデバイスを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,192,987号
【特許文献2】米国特許第5,296,395号
【特許文献3】米国特許第6,316,793号
【特許文献4】米国特許第9,679,981号
【特許文献5】米国特許出願第16/356,234号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、窒化ガリウム系のバリア層上のソース・コンタクトと、窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトとを含む。これらのRFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成される。第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である。
【0011】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わることがある。
【0012】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わることがある。
【0013】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0014】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0015】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも70%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0016】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0017】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成されることがある。
【0018】
いくつかの実施例では、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が、48ボルトと55ボルトとの間であることがあり、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10-15ファラッド未満であることがある。
【0019】
本発明のさらなる実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、窒化ガリウム系のチャネル層上のソース・コンタクトと、窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトとを含む。これらのRFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンスを有するように構成される。RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる。
【0020】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わることがある。
【0021】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について2倍未満だけ変わることがある。
【0022】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、そして第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満であることがある。
【0023】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0024】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成されることがある。
【0025】
いくつかの実施例では、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、32ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり4×10-15ファラッド未満であることがある。
【0026】
いくつかの実施例では、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10-15ファラッド未満であることがある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来型の窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ソース間キャパシタンスが入力RF信号のドレイン-ソース間電圧の振れに基づいてどのように変わるかを図示するグラフである。
【
図2A】2つの異なるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を図示するグラフである。
【
図2B】
図2Aに示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する2つのRFトランジスタ増幅器設計のAM/PM歪性能を図示するグラフである。
【
図3A】4つの異なるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を図示するグラフである。
【
図3B】
図3Aに示したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有する4つのRFトランジスタ増幅器設計のAM/PM歪性能を図示するグラフである。
【
図4A】
図3A及び
図3Bの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についての出力パワーの関数としてのゲイン及びドレイン効率性能を図示するグラフである。
【
図4B】
図3A及び
図3Bの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についてのゲイン圧縮の関数としてのドレイン効率のグラフである。
【
図4C】
図3A~
図3Bに示したデータを生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についての負荷変調率の関数としての3dBゲイン圧縮におけるドレイン効率を図示するグラフである。
【
図5A】従来型のRFトランジスタ増幅器設計について及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計についてのシミュレーションしたドレイン-ソース間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図5B】
図5Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を生成するために使用したRFトランジスタ増幅器設計についてのシミュレーションしたドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図6A】
図5Aの対応するドレイン-ソース間キャパシタンス応答から導出された規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図6B】
図5Bの対応するドレイン-ゲート間キャパシタンス応答から導出された規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図7A】本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のいくつかの実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、各々が窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を有する半導体構造体を含む。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトが、窒化ガリウム系のバリア層上に設けられ、そしてゲート・コンタクトがソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上に設けられる。RFトランジスタ増幅器を、例えば、48ボルトなどの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作させることができる。RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において(例えば、48ボルトで)第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において(例えば、32ボルトで)第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成される。本明細書では、ゲートがオフであるときにある特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスは、RFトランジスタ増幅器の出力パワー・レベルに基づいて規格した特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器の(すなわち、ワット当たりのファラッドの単位での)オフ状態ドレイン-ゲート間キャパシタンスを指す。第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスは、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である。結果として、RFトランジスタ増幅器は、RFトランジスタ増幅器の多くの又はすべてのドレイン-電圧振れに対して比較的直線的な規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有し、これが増幅器性能の改善という結果になることがある。
【0029】
いくつかの実施例では、これらのRFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2(例えば、48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧について24ボルト)と直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍(例えば、48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧について96ボルト)との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わることがある。加えて、RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2(50%)に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間バイアス電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性、より好ましくは少なくとも85%の対称性、又は少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する(すなわち、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトであるときには36~60ボルトのドレイン-ソース間電圧値の範囲にわたって少なくとも80%の対称性を維持する)ように構成されることがある。下記にさらに説明されるように、本明細書では、特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスは、RFトランジスタ増幅器の出力パワー・レベルに基づいて規格化した特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンスを指す。
【0030】
本発明のさらなる実施例にしたがって、例えば、48ボルトなどの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧レベルで動作する窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器が提供される。RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるすべてのドレイン-ソース間電圧について4倍未満だけ変わる規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するように構成される。
【0031】
本発明の実施例が、添付の図を参照して下記により詳しく説明される。
【0032】
RFトランジスタ増幅器の出力パワー、ゲイン、効率並びにAM/AM歪及びAM/PM歪に関する直線性などのRFトランジスタ増幅器の様々な性能パラメータは、例えば、飽和ドレイン電流(Idsat)、トランスコンダクタンス(gm)、動作中のドレイン-ソース抵抗(Rds-on)、並びにドレイン-ソース間キャパシタンス(「Cds」)、ドレイン-ゲート間キャパシタンス(「Cdg」)及びゲート-ソース間キャパシタンス(「Cgs」)を含めデバイス内部の様々な寄生固有キャパシタンスを含むデバイスの様々な固有特性に直接関係することがある。本発明は、様々な動作条件下でAM/AM歪性能及びAM/PM歪性能並びに/又は効率の改善を実現するように、寄生固有ドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンスCds、Cdgが操作される窒化ガリウム系のRF HEMTトランジスタ増幅器に向けられる。
【0033】
RFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsは、ドレイン-ソース間電圧(「V
ds」)の関数として変わる。窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器の典型的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答が、
図1に図示され、そしてドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsがドレイン-ソース間電圧V
dsレベルの減少とともに一般に増加することを示す。当業者には理解されるように、動作では、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧(「V
ds-DC」)がRFトランジスタ増幅器に印加され、そして増幅されるべきRF信号がRFトランジスタ増幅器のゲートに与えられる。
図1のグラフによって示されるように、ドレイン-ソース間電圧V
dsの変動又は「振れ」の大きさは、RFトランジスタ増幅器のゲートに与えられるサイン波RF入力信号のパワーの関数である。
図1のグラフは、2つの異なる大きさのRF入力信号S
1及びS
2についてのドレイン-ソース間電圧振れを図示する。
図1に示したように、RF入力信号の大きさが大きいほど、ドレイン-ソース間電圧V
dsの振れが大きくなり、そしてこれゆえ、ドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの変動が大きくなる。動作中に生じるだろうドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの範囲は、
図1に示された「使用したC
ds範囲」であり、これは直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧の全振れについてのドレイン-ソース間キャパシタンス値に対応する。
【0034】
RFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非直線性は、RFトランジスタ増幅器の出力のAM/PM歪の一因となることがある。AM/PM歪は、増幅器の非直線性に起因して生じる出力RF信号の位相の振幅に依存する歪を指す。AM/PM歪は、通信システム内の(周波数の点で)隣接するチャネルと干渉することがあるスペクトラム・リグロース(相互変調積)を引き起こすことがある。このように、通信システム管理者は、通信システムにおいて使用する構成部品のAM/PM歪レベルに厳格な必要条件を設定することがある。
【0035】
図1に示したように、RFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、入力RF信号のサイン波状の振れとともに変わる。本発明は、一部では、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答がドレイン-ソース間電圧V
dsの全体の大きさ又は「振れ」に対して直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で実質的に対称である場合の認識から生じ、そのときには、ドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsは、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも下のドレイン-ソース間電圧値で示されるドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの大きい方の値が、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも上のドレイン-ソース間電圧値で示されるドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの小さい方の値によって打ち消されるので、直線であるように実効的に現れることがある。しかしながら、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答がドレイン-ソース間電圧振れの少なくとも一部分について直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で非対称である場合には、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも上のドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの小さい方の値が、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも下の大きい方のドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの値を最早完全には打ち消さない。この状況では、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、直線的でないように現れ、そして直線的でない応答がAM/PM歪を発生させる。
【0036】
図2A及び
図2Bは、ドレイン-ソース間電圧振れの範囲内であるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非対称性がAM/PM歪の増加をどのようにもたらすことがあるかを図示する。特に
図2Aは、第1及び第2のRFトランジスタ増幅器設計に対応する2つの異なるドレイン-ソース間キャパシタンス応答を図示するグラフであり、
図2Bは、
図2Aの曲線を生成するために使用した第1及び第2のRFトランジスタ増幅器設計について出力パワーの関数としてのシミュレーションしたAM/PM歪を図示するグラフである。第1及び第2のRFトランジスタ増幅器設計の両者とも、48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCでバイアスされる。
【0037】
図2Aを先ず参照して、第1のRFトランジスタ増幅器設計に対応するドレイン-ソース間キャパシタンス応答10は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で高いレベルの対称性を有する。対照的に、第2のRFトランジスタ増幅器設計に対応するドレイン-ソース間キャパシタンス応答12は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧値の比較的小さな範囲(すなわち、約10ボルトの範囲)について対称であるに過ぎない。
【0038】
図2Bは、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非対称性が、AM/PM歪に対して有することがある強い影響を図示する。特に
図2Bの曲線20及び22は、それぞれ、
図2Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答10、12を有する第1及び第2のRFトランジスタ増幅器についての出力パワーの関数としてのAM/PM歪レベルを示す。
図2Bの曲線20、22は、RFトランジスタ増幅器の様々な異なる非直線性からもたらされるAM/PM歪を含み、そのため、AM/PM歪性能に対する異なるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の強い影響を示す
図2Bの2つの曲線20、22の間の比較である。
図2Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答曲線10に対応する
図2Bの曲線20によって示されるように、AM/PM歪は、約10dBmに至るまでの出力パワー・レベルでほとんど存在せず、次いで約33dBmの出力パワーに至るまで緩やかに増加する勾配で徐々に増加し始め、そしてその後で、AM/PM歪性能は非常に早く悪化する。
図2Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答曲線12に対応する
図2Bの曲線22によって示されるように、AM/PM歪レベルは、約23dBmの出力パワー・レベルに至るまで非常に密接に曲線20の跡を追うが、次いで、AM/PM歪性能は、非常に早く悪化し始める。このように、
図2Bは、対称なドレイン-ソース間キャパシタンス応答10を有する第1のRFトランジスタ増幅器が、ほぼ同じ量のAM/PM歪を発生させながら非対称なドレイン-ソース間キャパシタンス応答12を有する第2のRFトランジスタ増幅器よりも6~7dBm高い出力パワー・レベルで動作できることを示す。
【0039】
固有ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非直線性と同様に、固有ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の非直線性もまた、RFトランジスタ増幅器の出力信号のAM/PM歪につながることがある。
図3A及び
図3Bは、RFトランジスタ増幅器のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答がAM/PM歪性能にどのように強い影響を及ぼすかを図示する。特に、
図3Aは、4つの異なるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を図示するグラフであり、
図3Bは、
図3Aの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についての出力パワーの関数としてのシミュレーションしたAM/PM歪を図示するグラフである。RFトランジスタ増幅器の4つすべてが、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCでバイアスされる。
【0040】
図3Aに示したように、4つすべてのRFトランジスタ増幅器について、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、高いドレイン-ソース間電圧値で一定であり、次いで、一旦ドレイン-ソース間電圧V
dsは、キャパシタンスがはるかに速い速度で増加し始めるある一定の「ニー(knee)」電圧よりも下に低下すると着実に増加する。従来型のRFトランジスタ増幅器では、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の「ニー」は、典型的には、
図3Aの曲線30によって示されるように、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCを超えるドレイン-ソース間電圧V
dsで生じる(すなわち、ニー電圧は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも著しく高いV
ds≒62ボルトで生じる)。
図3Aに示した残りの3つのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答32、34、36では、ニー電圧は、左へ(すなわち、より低いドレイン-ソース間電圧V
dsレベルへ)シフトする。曲線32では、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、V
ds≒40ボルトで急速に増加し始め、曲線34では、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、V
ds≒31ボルトで急速に増加し始め、そして曲線36では、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、V
ds≒23ボルトで急速に増加し始める。
【0041】
図3Bは、
図3Aの異なるドレイン-ゲート間キャパシタンス応答30、32、34、36が持つAM/PM歪性能に対する強い影響を図示する。
図3Bの曲線は、RFトランジスタ増幅器の様々な異なる非直線性からもたらされるAM/PM歪を含み、そのためAM/PM歪性能に対する異なるドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の強い影響を示す
図3Bの曲線同士の間の比較である。
図3Aのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答曲線30に対応する
図3Bの曲線40は、従来型のRFトランジスタ増幅器についてのAM/PM歪を図示する。
図3Bに示したように、AM/PM歪は、約10dBmに至るまでの出力パワー・レベルでほぼ存在せず、次いで約33dBmの出力パワーに至るまで適度なレベルで増加し始め、この点でAM/AM性能が非常に急速に悪化する。
【0042】
曲線42、44及び46は、それぞれ、
図3Aのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答32、34、36を有するRFトランジスタ増幅器についてのAM/PM歪性能を図示する。
図3Bに示したように、AM/PM歪曲線42、44、46は、ほぼ同一の形状を有し、AM/PM歪が急速に悪化し始める出力パワー・レベルで異なるに過ぎない。曲線42について、AM/PM歪性能は、約28dBmの出力パワー・レベルで急速に悪化し始め、曲線44について、AM/PM歪性能は、約32dBmの出力パワー・レベルで急速に悪化し始め、そして曲線46について、AM/PM歪性能は、約35dBmの出力パワー・レベルで急速に悪化し始める。
【0043】
2つの一般的な傾向を、
図3A及び
図3Bから知ることができる。第1に、
図3Aで応答のニーが左へ行くほど(すなわち、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgがベースライン・レベルからはるかにより急速に増加し始めるドレイン-ソース間電圧V
dsが低いほど)、RFトランジスタ増幅器のAM/PM歪性能が良くなる。第2に、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgの増加の勾配もまた問題となる。このことは、
図3Bでは曲線42が曲線40と交差するという事実により知ることができる。このことは、曲線30の勾配が
図3Aの曲線32の勾配より小さいという理由で生じ、約25ボルトのドレイン-ソース間電圧で曲線32が曲線30と交差するという結果になる。
【0044】
ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答はまた、RFトランジスタ増幅器のAM/AM歪性能にも強い影響を及ぼす。RFトランジスタ増幅器についてのAM/AM特性は、RFトランジスタ増幅器の増幅に依存するゲイン変動を指す。ドレイン-ゲート間キャパシタンス・レベルが増加するにつれて、RFトランジスタ増幅器は、ゲイン圧縮を経験し始め、そしてドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の増加の勾配が大きいほど、生じるゲイン圧縮が大きくなる。ゲイン圧縮は、増幅器の出力パワー・レベルが増加するにつれて生じ得る増幅器のゲイン(ここでゲインは、入力信号のレベルが増幅器により大きくされる程度の尺度である)の減少を指す。典型的には、RFトランジスタ増幅器のゲインは、低い出力パワー・レベルについて比較的一定で、そしてゲインは、出力パワー・レベルが増加するにつれて強度の増加とともに低下し始める。シリコン系のRFトランジスタ増幅器について、ゲイン応答は、比較的直線的な範囲からいく分か急峻に急速に減少する範囲へと移行する。窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器について、ゲイン応答は、比較的直線的な範囲からよりゆっくりと減少する範囲へと移行し(けれどもゲインは、高い出力パワー・レベルにおいて依然として急速に落ちる)、そして移行は、比較的低い出力パワー・レベルで生じる傾向がある。ゲインのこのより緩やかな減少は、典型的には「ソフト」ゲイン圧縮と呼ばれる。通信システムにとっての直線性必要条件は、増幅器が比較的低いゲイン圧縮レベルで(例えば、ピーク・ゲインの1~3dB以内で)動作することを典型的には必要とするので、ソフト・ゲイン圧縮は、一般に望ましくない。ソフト・ゲイン圧縮が窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器では比較的低い出力パワー・レベルで生じることがあるので、増幅器は、ゲイン圧縮の指定されたレベル内に留まるために比較的低い出力パワー・レベルで動作するように強いられることがある。多くのケースでは、直線性の必要な程度を実現するだろう最大出力パワー・レベルは、増幅器がそのピーク効率に達する出力パワー・レベルよりも十分に低いことがある。このように、所望の程度の直線性を維持するために、増幅器を低い出力パワー・レベルでそして低下した効率で動作させることが必要なことがあり、結果として高い運用コストになる。
【0045】
効率へのソフト・ゲイン圧縮の強い影響を、
図4A及び
図4Bに見ることができる。特に、
図4Aは、
図3A及び
図3Bの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器についての出力パワーの関数としてdBでのゲイン(左側の縦軸)及びドレイン効率(右側の縦軸)を図示するグラフである。
図4Bは、同じ4つのRFトランジスタ増幅器設計についてのゲイン圧縮の関数としてのドレイン効率のグラフである。
【0046】
図4Aを参照して、曲線50、52、54、56は、それぞれ、
図3Aの曲線30、32、34、36のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に対応する。見られるように、「ニー」がドレイン-ゲート間キャパシタンス応答で生じる
図3Aの左であるほど、対応するRFトランジスタ増幅器の最大ゲインが大きくなり、そして最大ゲインが生じる出力パワー・レベルが大きくなる。このように、
図4Aは、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のニーを左へ押すことが、ゲイン性能の改善という結果になることを示す。
図4Aの曲線60、62、64、66は、「ニー」がドレイン-ゲート間キャパシタンス応答で生じる
図3Aの左であるほど、RFトランジスタ増幅器のドレイン効率が高くなることを示す。
図4Bは、この効果をより明確に図示する。
図4Bでは、曲線70、72、74、76は、それぞれ、
図3Aの曲線30、32、34、36のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に対応する。
図4Bは、最も高い効率を有するRFトランジスタ増幅器設計もまた、ゲイン圧縮の最も低いレベルでその効率も達成すること、これらの増幅器がより効率的あるだけでなく、これらの増幅器がより直線的であることも意味することを示す。このように、RFトランジスタ増幅器に対するドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善することによって、RFトランジスタ増幅器のAM/PM歪性能、直線性性能、ゲイン及び/又は効率を改善することを可能にすることがある。
【0047】
ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の形状もまた、負荷変調中にRFトランジスタ増幅器の効率性能にも影響を及ぼす。このような負荷変調は、ドハティ増幅器で生じる。
図4Cは、
図3A~
図3B及び
図4A~
図4Bに示したデータを生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計について負荷変調率の関数として3dBゲイン圧縮でのドレイン効率を図示する。
図4Cでは、曲線80、82、84、86は、それぞれ、
図3Aの曲線30、32、34、36のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に対応する。もう一度、曲線のニーが左へ押されるドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器設計が一般に最善の負荷変調性能を与えることを知ることができる。
【0048】
図2Aを再び参照して、曲線10は、従来型の窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を図示する。示したように、このドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、比較的対称的である。
図2Bを参照して上に論じたように、このような対称的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、AM/PM歪に対する減少した強い影響を有するドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsという結果になることがある。あいにく、しかしながら、曲線10に示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する従来型の窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、典型的には不満足であり、そして著しいAM/AM歪及びAM/PM歪をもたらすことがある。例えば、デバイスにフィールド・プレートを追加することなどの様々なステップが、RFトランジスタ増幅器のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善しようと試みるために行われることがある。しかしながら、これらのステップは、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の形状を悪化させる傾向があり、
図2Aの曲線12により示されるようなドレイン-ソース間キャパシタンス応答という結果になる。
【0049】
従来は、寄生固有ドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンスC
ds、C
dgが、設計プロセスでは別々に処理されてきている。例えば、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の直線性を改善するために適用された技術もまた、典型的にはドレイン-ソース間キャパシタンス応答にも強い影響を与える。このように、RFトランジスタ増幅器設計が対称的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する場合でさえ、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善しようとする努力は、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答を変化させることがあり、例えば、
図2Aに曲線12として示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答という結果をもたらす。この変調されたドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、直流バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧振れの小さな部分だけについて対称的であることがあり、これゆえ、より大きな入力信号がRFトランジスタ増幅器に与えられるときに著しいAM/PM歪という結果をもたらすことがある。
【0050】
別々に寄生固有ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を最適化しようと試みることは、従来行われてきているように、最適に近い性能に導くことがある。出願人は、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の両者に対する設計変更の強い影響を考慮することによって、性能の改善が、RFトランジスタ増幅器の目標の用途について実現され得ることを発見している。特に、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は両者とも、鍵となるRFトランジスタ増幅器性能パラメータ(例えば、AM/PM歪、ゲイン、効率、ゲイン圧縮、等)を悪化させることがあり、そしてそれぞれ、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を変更するために使用される設計修正は、典型的には、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のうちの一方を改善することが他方に悪影響を及ぼすことがある少なくともある程度のトレードオフを含む。本発明の実施例にしたがって、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の両者が、総合的な性能の改善を示しているRFトランジスタ増幅器を提供するための設計プロセスにおいて同時に考慮に入れられることがある。
【0051】
様々な異なる技術が、RFトランジスタ増幅器設計のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を変更するために使用されることがある。1つの知られている手法は、ゲート領域とドレイン領域との間の電界分布を管理するためだけでなくドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンスCds、Cdgの両者に影響を及ぼすように、フィールド・プレートがRFトランジスタ増幅器に追加される。Cds応答、Cdg応答が最適な形状及び値を有するように操作するための手法として従来型のフィールド・プレート設計を使用することは、どれだけ多くのシェーピングを実現できるか及び実現可能であるCds、Cdgの最小の値の点での制限を有する傾向がある。もう1つの手法では、より先進的なフィールド・プレート概念が、HEMTトランジスタが二重ゲート構造又は「カスケード」構造を含むために導入され、この構造では、薄いスペーサ層によってバリア層とは隔てられ、そしてソースへの接続部を介して接地される第2のゲートが設けられる。このようなカスケード構造を有する窒化ガリウム系のHEMTデバイスの実例が、例えば、米国特許第9,679,981号に開示され、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。二重ゲート構造の追加は、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善する傾向があるが、また、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性及び/又はレベルを悪化させることもあり、このことは同時に、Cds応答及びCdg応答についての最適な形状及び値を実現する際のトレードオフと見られる。
【0052】
もう1つの知られている手法では、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の領域内の半導体構造体の上側表面の電荷密度を減少させることができる。この領域内の電荷の減少量並びに領域の深さ、領域の横方向のサイズ及び電荷を減少させた領域がゲート・コンタクトに向かってどれだけ近くまで延びるかを操作することによって、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を操作することが可能である。この手法を用いて、少なくともある程度まで、同時にドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の両者を改善することが可能であり得る。ゲートとドレインとの間の領域内にこのような操作した電荷密度を有する窒化ガリウム系のHEMTデバイスの実例が、例えば、その全体の内容が引用により本明細書に組み込まれている、2019年3月18日出願の米国特許出願第16/356,234号に開示されている。
【0053】
ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の曲線のニーを可能な限り左へ押しながら、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性を維持することによって、RFトランジスタ増幅器の性能を一般に改善できることが見出されている。このように、RFトランジスタ増幅器の設計を最適化する際に、両方の応答が同時に考慮に入れられるべきである。
【0054】
図5A及び
図5Bは、本発明の実施例によって実現することができる改善したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を図示する。特に
図5Aは、従来型のRFトランジスタ増幅器設計(曲線90)について及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計(曲線92)についてのシミュレーションしたドレイン-ソース間キャパシタンス応答のグラフである。
図5Bは、
図5Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を生成するために使用した従来型のRFトランジスタ増幅器設計(曲線94)について及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計(曲線96)についてのシミュレーションしたドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のグラフである。
【0055】
図5Aに示したように、従来型のRFトランジスタ増幅器設計及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計の両者とも、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で一般に対称的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有し、シミュレーションしたデータの全体の範囲にわたって85%よりも良い対称性を維持する(下記の対称性の考察を参照)。しかしながら、
図5Bに示したように、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計は、従来型のRFトランジスタ増幅器設計と比較してドレイン-ソース間キャパシタンス応答の顕著な改善を示す。
図5Bに見られるように、従来型のRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の「ニー」は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で生じる。対照的に本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答(曲線96)の「ニー」は、約25ボルトで生じる。結果として、従来型のRFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、約14ボルトと約48ボルトとの間のドレイン-ソース間電圧のすべての値で本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgよりも大きく、2つの曲線がドレイン-ソース間電圧値で約14ボルトより下及び約48ボルトよりも上で収束することをともなう。このように、
図5A及び
図5Bは、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器が総合的な性能の顕著な改善を提供できることを示す。
【0056】
本発明のいくつかの実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、各々が窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を有する半導体構造体を含む。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトが、窒化ガリウム系のバリア層上に設けられ、そしてゲート・コンタクトが、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上に設けられる。これらのRFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の40ボルトのドレイン-ソース間電圧値の範囲にわたり(すなわち、Vds-DCが48ボルトであるときに28~60ボルトのVds-DC値にわたり)少なくとも90%の対称性を維持するドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される。
【0057】
RFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性の程度は、一般に、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCからの距離が増加するにつれて悪化する傾向がある。したがって、この開示の目的にとって、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の2*Xボルトの範囲にわたるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の「対称性」を、Vds-DC+Xにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCds1の値とVds-DC-Xにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCds2の値とを平均することによって、及び平均値を直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCと比較することによって特定できる。特に、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の2*Xボルトの範囲にわたるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性の程度を、この開示の目的のために下記のように計算できる。
対称性(%)=MIN[2*Cds-DC/(Cds1+Cds2)及び(Cds1+Cds2)/(2*Cds-DC)]
ここでMIN[]は括弧内の値の最小値を選択する最小関数を表し、Cds-DCはVds-DCに等しいドレイン-ソース間電圧Vdsにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCdsの値であり、Cds1はVds-DC+Xボルトに等しいドレイン-ソース間電圧Vdsにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCdsの値であり、そしてCds2はVds-DC-Xボルトに等しいドレイン-ソース間電圧Vdsにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCdsの値である。
【0058】
下記の表1は、RFトランジスタ増幅器が48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCで動作するときに
図5A及び
図5Bに示したシミュレーションしたドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答に対応するデータ点を提供する。表1では、V
dsの値はボルトであり、C
dsの値はピコファラッド/ミリメートル(pF/mm)であり、そしてC
dgの値はフェムトファラッド/ミリメートル(fF/mm)である。
【表1】
【0059】
実例として、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の8ボルトの範囲(X=4)にわたり表1に列挙したドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性の程度は、次のように計算される。
対称性=MIN[(2*0.219)/(0.256+0.194)及び(0.256+0.194)/(2*0.219)]=97.3%
【0060】
X=12及びX=24の値について同じ計算を実行して、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答が48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の24ボルトの電圧振れについて92.6%の対称性であり、そして48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の48ボルトの電圧振れについて89.8%の対称性であることが分かる。このように、本発明のいくつかの実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、RFトランジスタ増幅器は直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの50%に等しいドレイン-ソース間電圧値の範囲について直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近で少なくとも90%の対称性を維持すること、及び直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの100%に等しいドレイン-ソース間電圧値の範囲について直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近で少なくとも85%の対称性を維持する。
【0061】
上に説明したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を示すことに加えて、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器はまた、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの2/3から直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCまで広がるドレイン-ソース間電圧値の範囲について2倍未満だけ変わる(例えば、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC=48ボルトと仮定して、Cdsは、Vds=32~48ボルトの値について2倍未満変わる)ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答も有する。このように、本発明の実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、RFトランジスタ増幅器はドレイン電圧振れの範囲内で比較的直線的なドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有し、これが性能の改善という結果になることがある。
【0062】
このように、例えば、表1に示したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答について、Vds=32ボルトにおけるドレイン-ゲート間キャパシタンスは、44.92×10-15F/mmであり、Vds=48ボルトにおけるドレイン-ゲート間キャパシタンスは、26.26×10-15F/mmであり、この値は、2倍未満だけ異なる。
【0063】
ドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を与えるためにRFトランジスタ増幅器の出力パワーに基づいて規格化されることがある。同じように、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を与えるためにRFトランジスタ増幅器の出力パワーに基づいて規格化されることがある。本明細書では、「規格化したドレイン-ソース間応答」及び「規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答」への言及は、(ミリメートル当たりのファラッドの単位で測定される)それぞれドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のパワーで規格化したバージョン(すなわち、ワット当たりのファラッドの単位の)を指す。規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答(これらは単位長さ当たりのキャパシタンス(例えば、F/mm)として特徴付けられ、ここで「長さ」がゲート幅に対応する、を単位長さ当たりの出力RFパワー(例えば、W/mm)、これはまた、出力パワー密度としても知られる)により割り算することにより決定されることがある。このように、規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、単位パワー当たりのキャパシタンスの点から特徴付けられる。単位長さ当たりのRFパワーを、下記のように決定できる。
RFパワー(W/mm)=1/2*RF電圧強度(V)*RF電流強度(A/mm)
【0064】
RF電流強度は、ピーク間RF電流強度の1/2であり、そしてRF電圧強度は、同様にピーク間RF電圧強度の1/2である。しかしながら、ピーク間RF電圧強度がドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの2倍を超えられず、これゆえ、大部分のケースではRF電圧強度がドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCに等しいことに留意すべきである。このように、RF電圧強度がドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCに等しいケースでは、単位長さ当たりのRFパワーを、下記のように決定できる。
RFパワー(W/mm)=1/4*Vds-DC(V)*ピーク間RF電流(A/mm)
【0065】
規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、迅速な比較を可能にするためにターン・オン抵抗などのデバイス損失を考慮せずに計算される。
図6A及び
図6Bは、それぞれ、
図5A及び
図5Bに示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答に対応する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を示しているグラフである。
図6Aでは、曲線91は、
図5Aの曲線90に対応する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答であり、そして曲線93は、
図5Aの曲線92に対応する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答である。同じように、
図6Bでは、曲線95は、
図5Bの曲線94に対応する規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答であり、そして曲線97は、
図5Bの曲線96に対応する規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答である。
【0066】
下の表2は、RFトランジスタ増幅器を48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCで動作させたときの
図6A及び
図6Bに示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答に対応するデータ点を与える。表2では、V
dsの値はボルトであり、C
ds及びC
dgの値は(ファラッド/ワット)×10
-14である。
【表2】
【0067】
本発明の実施例にしたがって、印加した直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCに対応する第1のドレイン-ソース間電圧V
ds1において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
ds1を有し、そして印加した直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの2/3に対応する第2のドレイン-ソース間電圧V
ds2において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg2を有するように構成された窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器が提供され、ここで第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg2は、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg1の2倍未満である。例えば、
図6A~
図6B及び表2に示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に関して、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC(すなわち、48ボルト)に対応する第1のドレイン-ソース間電圧における第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg1は2.27fF/Wであり、そして第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの2/3(すなわち、32ボルト)に対応する第2のドレイン-ソース間電圧における第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg2は3.89fF/Wである。ここで、C
dg1(2.27fF/W)はC
dg2(3.89fF/W)の2倍未満である。
【0068】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わることがある。例えば、
図6A~
図6B及び表2に示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に関して、24ボルトにおける(すなわち、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの1/2における)規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは4.89fF/Wである。100ボルトにおいて、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは1.53fF/Wであり、これゆえ規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、この電圧範囲にわたって4倍未満だけ変わる。
【0069】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器を、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲(すなわち、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近の24ボルトの範囲、これは36~60ボルトの範囲である)について少なくとも約80%の対称性又は、いくつかのケースでは、90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。例えば、上に論じたように、
図6A~
図6B及び表2に示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近の24ボルトの電圧範囲について92.6%の対称性であり、そして48ボルトの電圧範囲について89.8%の対称性である。他の実施例では、RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの100%に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも約70%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0070】
図7Aは、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器100の模式的平面図である。
図7Aに示したように、RFトランジスタ増幅器は、半導体構造体110上に形成された複数のゲート・フィンガ130、複数のソース・フィンガ140、及び複数のドレイン・フィンガ150を含む。ゲート・フィンガ130は、第1の方向(例えば、
図7Aのx-方向)に沿って互いに間隔を空けて離れ、そして第2の方向(例えば、
図7Aのy-方向)に延びる。ゲート・フィンガ130は、ゲート・マンドレル132を介して互いに電気的に接続される。ソース・フィンガ140は、第1の方向に沿って互いに間隔を空けて離れ、そして第2の方向に延びる。ソース・フィンガ140は、(
図7Aでは見えない)ビア又は他の構造体を介して互いに電気的に接続されることがあり、そして(
図7Aでは見えない)半導体構造体110の底面側上のソース・コンタクトに電気的に接続されることがある。ドレイン・フィンガ150は、同じように第1の方向に沿って互いに間隔を空けて離れ、そして第2の方向に延び、ドレイン・マンドレル152を介して互いに電気的に接続される。各々のゲート・フィンガ130は、隣接するソース・フィンガ140とドレイン・フィンガ150の対の間でy-方向に延びる。ゲート・フィンガ、ソース・フィンガ、及びドレイン・フィンガ130、140、150は、金属又は金属合金などの導電性材料を各々が含むことができる。
図7AがRFトランジスタ増幅器100用のコンタクト構造体の1つの単純な実例を図示すること、そして実際には、より複雑な多層コンタクト構造体を使用できることが認識されよう。
【0071】
各々のゲート・フィンガ130は、隣接するソース・フィンガ140及びドレイン・フィンガ150とともに、ユニット・セル・トランジスタ160を規定できる。
図7Aの破線の四角は、代表的なユニット・セル・トランジスタ160を特定する。動作中に、電流は、半導体構造体110内の導電経路を通って各々のソース・フィンガ140とその関連するドレイン・フィンガ150との間を流れる。電流の量は、ゲート・フィンガ130に印加される電圧信号によって変調されることがある。
【0072】
図7Bは、
図7Aの線7B-7Bに沿って取ったRFトランジスタ増幅器100の断面図である。
図7Bに示したように、半導体構造体110は、基板112及び基板112上に形成されたエピタキシャル構造体を含む。基板112は、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム・ガリウム、窒化ガリウム、シリコン、炭化ケイ素、GaAs、LGO、ZnO、LAO、又はInP基板などの半導体基板を含むことができる。或いは、基板112は、例えば、その上側表面上に形成された半導体エピタキシャル層を有するサファイア基板又はダイアモンド基板などの非半導体基板であってもよい。エピタキシャル構造体は、基板112上に形成されたチャネル層116及び基板112とは反対側のチャネル層116上に形成されたバリア層118を含むことができる。チャネル層116及びバリア層118は、III族窒化物系の材料を含むことができ、バリア層118の材料がチャネル層116の材料よりも大きなバンドギャップを有することをともなう。例えば、チャネル層116は、GaNを含むことができ、一方でバリア層118は、AlGaNを含むことができる。チャネル層116及びバリア層118が単一層構造体として図示されている一方で、チャネル層116及び/又はバリア層118の一方又は両方が多層構造体として実装されてもよいことが認識されよう。例えば、バッファ層、歪バランス層、遷移層、等などの追加層もまた、基板112上に設けられるエピタキシャル構造体の一部として含まれてもよいこともまた認識されるだろう。
【0073】
本発明の概念の実施例は、発明の実施例が示されている添付の図面を参照して上に説明されてきている。この発明の概念は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化されることがあり、本明細書において記載した実施例に限定されるように解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が万全であるように、そして当業者に発明の概念の範囲を十分に伝えるだろうように提供される。同じような数字は、全体を通して同じような要素を指す。
【0074】
第1の、第2の等の用語が、本明細書では様々な要素を記述するために使用されることがあるとはいえ、これらの要素は、これらの用語により限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素をもう1つとは区別するために使用されるに過ぎない。例えば、第1の要素が第2の要素と呼ばれることがあり、そして同様に、第2の要素が、本発明の範囲から逸脱せずに第1の要素と呼ばれることがある。本明細書において使用されるように、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0075】
本明細書において使用する術語は、特定の実施例を記述する目的のためだけであり、発明を限定するものではない。本明細書において使用するように、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、述べた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しない。
【0076】
層、領域又は基板などの要素がもう1つの要素の「上に(on)」ある又は「上へと(onto)」延びると呼ばれるときには、他の要素の直接上にある若しくは直接上へと延びる又は介在する要素もまた存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上に」ある又は「直接上へと」延びると呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。ある要素がもう1つの要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と呼ばれるときには、他の要素に直接接続される若しくは結合されることがある、又は介在する要素が存在してもよいこともまた理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。
【0077】
「下方に(below)」若しくは「上方に(above)」又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」又は「水平に(horizontal)」若しくは「横方向に(lateral)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語は、図に図示されたように1つの要素、層又は領域のもう1つの要素、層又は領域に対する関係を記述するために本明細書では使用されることがある。これらの用語が図に描かれた向きに加えてデバイスの違った向きを包含するものであることが理解されよう。
【0078】
図面及び明細書では、本発明の典型的な実施例が開示されてきおり、特定の用語が採用されているとはいえ、これらは一般的で説明的な感覚で使用されるに過ぎず、限定の目的ではなく、発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ガリウム系のチャネル層及び前記窒化ガリウム系のチャネル層上の前記窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、
前記窒化ガリウム系のチャネル層上のソース・コンタクトと、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトと
を備える、無線周波数(「RF」)トランジスタ増幅器であって、
前記RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンスを有するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる、
RFトランジスタ増幅器。
【請求項2】
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わる、請求項1に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項3】
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について2倍未満だけ変わる、請求項1に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項4】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、及び前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、
前記第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが前記第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である、
請求項1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項5】
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項6】
前記RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項7】
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、32ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり4×10
-15ファラッド未満である、請求項1から6までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項8】
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15ファラッド未満である、請求項1から6までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項9】
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり6×10
-15ファラッド未満である、請求項1から8までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【請求項10】
前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトと55ボルトとの間であり、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15ファラッド未満である、請求項1から9までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体の内容が引用により本明細書に組み込まれる2019年10月2日出願の米国特許出願第16/590,465号の優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書において説明される発明の概念は、マイクロエレクトロニック・デバイスに関し、特に無線周波数(「RF:radio frequency」)トランジスタ増幅器に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、500MHz~10GHz周波数範囲内の無線周波数などの高周波数で動作しながら、大電力取り扱い能力を要求される電気回路が、近年ますます普及してきている。大電力、高周波数回路の増加のために、大電力負荷を取り扱うことが可能なままでこれらの周波数で信頼性良く動作することが可能であるRFトランジスタ増幅器に対する要求が対応して増大してきている。
【0004】
シリコン半導体材料が、比較的低電力、低周波数用途では広く使用されている。シリコンは、しかしながら、例えば、比較的小さなバンドギャップ(室温でSiについて1.12eV)及び比較的小さな破壊電圧のために、多くの大電力及び/又は高周波数用途にとって十分に適していないことがある。
【0005】
炭化ケイ素(「SiC」)並びに例えば、窒化ガリウム(「GaN」)及び窒化アルミニウム・ガリウム(「AlGaN」)などの窒化ガリウム系の材料などのワイド・バンドギャップ半導体材料は、これらの半導体材料が、はるかに大きなバンドギャップ(例えば、室温でアルファSiCについて2.996eV及びGaNについて3.36eV)を有するので、大電力、高周波数動作用のトランジスタ増幅器を製造するために典型的に使用される。大電力及び/又は高周波数用途にとって特に関心のあるデバイスは、窒化ガリウム系の高電子移動度トランジスタ(「HEMT:High Electron Mobility Transistor」)である。
【0006】
窒化ガリウム系のHEMTデバイスは、複数の窒化ガリウム系の半導体層を含む半導体構造体に形成される。半導体構造体は、例えばGaN又はSiC基板などの半導体基板を含むことができる。半導体構造体内の窒化ガリウム系の層は、チャネル層及びバリア層を含むことができる。バリア層(例えば、AlGaN層)は、チャネル層(例えば、GaN層又はAlGaNバリア層よりも低いアルミニウム濃度を有するAlGaN層)よりも大きなバンドギャップ・エネルギーを有することがある。ソース・コンタクト、ドレイン・コンタクト及びゲート・コンタクトは、バリア層がコンタクトとチャネル層との間にあるように半導体構造体上に形成される。ソース・コンタクト、ドレイン・コンタクト及びゲート・コンタクトは、例えば、半導体材料、金属及び/又は金属合金などの導電性材料から形成されることがある。
【0007】
二次元電子ガス(「2DEG:two-dimensional electron gas」)は、適切な電圧がソース・コンタクト、ドレイン・コンタクト及びゲート・コンタクトに印加されるときにチャネル層とバリア層とのヘテロ接合のところに形成されることがある。チャネル層は、より広いバンドギャップのバリア層よりも高い電子親和力を持つことがある。2DEGは、チャネル層の上側表面における蓄積層であり、比較的高いシート電子濃度を含むことができる。加えて、より広いバンドギャップのバリア層に由来する電子は、2DEGへ移動することができ、イオン化した不純物散乱の減少のために比較的大きな電子移動度を可能にする。比較的高いキャリア濃度とキャリア移動度とのこの組み合わせは、HEMTに比較的大きなトランスコンダクタンスを与えることができ、そして高周波数用途用の金属-半導体電界効果トランジスタ(「MESFETS:metal semiconductor field effect transistor」)よりも性能優位性を提供できる。
【0008】
種々のタイプの窒化ガリウム系のHEMTデバイスが実証されてきている。例えば、米国特許第5,192,987号、第5,296,395号及び第6,316,793号は、実例のAlGaN/GaN HEMTデバイスを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,192,987号
【特許文献2】米国特許第5,296,395号
【特許文献3】米国特許第6,316,793号
【特許文献4】米国特許第9,679,981号
【特許文献5】米国特許出願第16/356,234号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、窒化ガリウム系のバリア層上のソース・コンタクトと、窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトとを含む。これらのRFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成される。第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である。
【0011】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わることがある。
【0012】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わることがある。
【0013】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0014】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0015】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも70%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0016】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0017】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成されることがある。
【0018】
いくつかの実施例では、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が、48ボルトと55ボルトとの間であることがあり、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10-15ファラッド未満であることがある。
【0019】
本発明のさらなる実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、窒化ガリウム系のチャネル層上のソース・コンタクトと、窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトとを含む。これらのRFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンスを有するように構成される。RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる。
【0020】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わることがある。
【0021】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について2倍未満だけ変わることがある。
【0022】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、そして第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満であることがある。
【0023】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0024】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成されることがある。
【0025】
いくつかの実施例では、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、32ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり4×10-15ファラッド未満であることがある。
【0026】
いくつかの実施例では、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10-15ファラッド未満であることがある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来型の窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ソース間キャパシタンスが入力RF信号のドレイン-ソース間電圧の振れに基づいてどのように変わるかを図示するグラフである。
【
図2A】2つの異なるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を図示するグラフである。
【
図2B】
図2Aに示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する2つのRFトランジスタ増幅器設計のAM/PM歪性能を図示するグラフである。
【
図3A】4つの異なるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を図示するグラフである。
【
図3B】
図3Aに示したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有する4つのRFトランジスタ増幅器設計のAM/PM歪性能を図示するグラフである。
【
図4A】
図3A及び
図3Bの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についての出力パワーの関数としてのゲイン及びドレイン効率性能を図示するグラフである。
【
図4B】
図3A及び
図3Bの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についてのゲイン圧縮の関数としてのドレイン効率のグラフである。
【
図4C】
図3A~
図3Bに示したデータを生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についての負荷変調率の関数としての3dBゲイン圧縮におけるドレイン効率を図示するグラフである。
【
図5A】従来型のRFトランジスタ増幅器設計について及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計についてのシミュレーションしたドレイン-ソース間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図5B】
図5Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を生成するために使用したRFトランジスタ増幅器設計についてのシミュレーションしたドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図6A】
図5Aの対応するドレイン-ソース間キャパシタンス応答から導出された規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図6B】
図5Bの対応するドレイン-ゲート間キャパシタンス応答から導出された規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のグラフである。
【
図7A】本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のいくつかの実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、各々が窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を有する半導体構造体を含む。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトが、窒化ガリウム系のバリア層上に設けられ、そしてゲート・コンタクトがソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上に設けられる。RFトランジスタ増幅器を、例えば、48ボルトなどの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作させることができる。RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において(例えば、48ボルトで)第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において(例えば、32ボルトで)第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成される。本明細書では、ゲートがオフであるときにある特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスは、RFトランジスタ増幅器の出力パワー・レベルに基づいて規格した特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器の(すなわち、ワット当たりのファラッドの単位での)オフ状態ドレイン-ゲート間キャパシタンスを指す。第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスは、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である。結果として、RFトランジスタ増幅器は、RFトランジスタ増幅器の多くの又はすべてのドレイン-電圧振れに対して比較的直線的な規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有し、これが増幅器性能の改善という結果になることがある。
【0029】
いくつかの実施例では、これらのRFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2(例えば、48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧について24ボルト)と直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍(例えば、48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧について96ボルト)との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わることがある。加えて、RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2(50%)に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間バイアス電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性、より好ましくは少なくとも85%の対称性、又は少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する(すなわち、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトであるときには36~60ボルトのドレイン-ソース間電圧値の範囲にわたって少なくとも80%の対称性を維持する)ように構成されることがある。下記にさらに説明されるように、本明細書では、特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスは、RFトランジスタ増幅器の出力パワー・レベルに基づいて規格化した特定のドレイン-ソース間バイアス電圧におけるRFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンスを指す。
【0030】
本発明のさらなる実施例にしたがって、例えば、48ボルトなどの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧レベルで動作する窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器が提供される。RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、そして直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるすべてのドレイン-ソース間電圧について4倍未満だけ変わる規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するように構成される。
【0031】
本発明の実施例が、添付の図を参照して下記により詳しく説明される。
【0032】
RFトランジスタ増幅器の出力パワー、ゲイン、効率並びにAM/AM歪及びAM/PM歪に関する直線性などのRFトランジスタ増幅器の様々な性能パラメータは、例えば、飽和ドレイン電流(Idsat)、トランスコンダクタンス(gm)、動作中のドレイン-ソース抵抗(Rds-on)、並びにドレイン-ソース間キャパシタンス(「Cds」)、ドレイン-ゲート間キャパシタンス(「Cdg」)及びゲート-ソース間キャパシタンス(「Cgs」)を含めデバイス内部の様々な寄生固有キャパシタンスを含むデバイスの様々な固有特性に直接関係することがある。本発明は、様々な動作条件下でAM/AM歪性能及びAM/PM歪性能並びに/又は効率の改善を実現するように、寄生固有ドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンスCds、Cdgが操作される窒化ガリウム系のRF HEMTトランジスタ増幅器に向けられる。
【0033】
RFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsは、ドレイン-ソース間電圧(「V
ds」)の関数として変わる。窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器の典型的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答が、
図1に図示され、そしてドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsがドレイン-ソース間電圧V
dsレベルの減少とともに一般に増加することを示す。当業者には理解されるように、動作では、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧(「V
ds-DC」)がRFトランジスタ増幅器に印加され、そして増幅されるべきRF信号がRFトランジスタ増幅器のゲートに与えられる。
図1のグラフによって示されるように、ドレイン-ソース間電圧V
dsの変動又は「振れ」の大きさは、RFトランジスタ増幅器のゲートに与えられるサイン波RF入力信号のパワーの関数である。
図1のグラフは、2つの異なる大きさのRF入力信号S
1及びS
2についてのドレイン-ソース間電圧振れを図示する。
図1に示したように、RF入力信号の大きさが大きいほど、ドレイン-ソース間電圧V
dsの振れが大きくなり、そしてこれゆえ、ドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの変動が大きくなる。動作中に生じるだろうドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの範囲は、
図1に示された「使用したC
ds範囲」であり、これは直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧の全振れについてのドレイン-ソース間キャパシタンス値に対応する。
【0034】
RFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非直線性は、RFトランジスタ増幅器の出力のAM/PM歪の一因となることがある。AM/PM歪は、増幅器の非直線性に起因して生じる出力RF信号の位相の振幅に依存する歪を指す。AM/PM歪は、通信システム内の(周波数の点で)隣接するチャネルと干渉することがあるスペクトラム・リグロース(相互変調積)を引き起こすことがある。このように、通信システム管理者は、通信システムにおいて使用する構成部品のAM/PM歪レベルに厳格な必要条件を設定することがある。
【0035】
図1に示したように、RFトランジスタ増幅器のドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、入力RF信号のサイン波状の振れとともに変わる。本発明は、一部では、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答がドレイン-ソース間電圧V
dsの全体の大きさ又は「振れ」に対して直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で実質的に対称である場合の認識から生じ、そのときには、ドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsは、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも下のドレイン-ソース間電圧値で示されるドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの大きい方の値が、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも上のドレイン-ソース間電圧値で示されるドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの小さい方の値によって打ち消されるので、直線であるように実効的に現れることがある。しかしながら、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答がドレイン-ソース間電圧振れの少なくとも一部分について直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で非対称である場合には、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも上のドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの小さい方の値が、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも下の大きい方のドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsの値を最早完全には打ち消さない。この状況では、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、直線的でないように現れ、そして直線的でない応答がAM/PM歪を発生させる。
【0036】
図2A及び
図2Bは、ドレイン-ソース間電圧振れの範囲内であるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非対称性がAM/PM歪の増加をどのようにもたらすことがあるかを図示する。特に
図2Aは、第1及び第2のRFトランジスタ増幅器設計に対応する2つの異なるドレイン-ソース間キャパシタンス応答を図示するグラフであり、
図2Bは、
図2Aの曲線を生成するために使用した第1及び第2のRFトランジスタ増幅器設計について出力パワーの関数としてのシミュレーションしたAM/PM歪を図示するグラフである。第1及び第2のRFトランジスタ増幅器設計の両者とも、48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCでバイアスされる。
【0037】
図2Aを先ず参照して、第1のRFトランジスタ増幅器設計に対応するドレイン-ソース間キャパシタンス応答10は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で高いレベルの対称性を有する。対照的に、第2のRFトランジスタ増幅器設計に対応するドレイン-ソース間キャパシタンス応答12は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧値の比較的小さな範囲(すなわち、約10ボルトの範囲)について対称であるに過ぎない。
【0038】
図2Bは、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非対称性が、AM/PM歪に対して有することがある強い影響を図示する。特に
図2Bの曲線20及び22は、それぞれ、
図2Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答10、12を有する第1及び第2のRFトランジスタ増幅器についての出力パワーの関数としてのAM/PM歪レベルを示す。
図2Bの曲線20、22は、RFトランジスタ増幅器の様々な異なる非直線性からもたらされるAM/PM歪を含み、そのため、AM/PM歪性能に対する異なるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の強い影響を示す
図2Bの2つの曲線20、22の間の比較である。
図2Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答曲線10に対応する
図2Bの曲線20によって示されるように、AM/PM歪は、約10dBmに至るまでの出力パワー・レベルでほとんど存在せず、次いで約33dBmの出力パワーに至るまで緩やかに増加する勾配で徐々に増加し始め、そしてその後で、AM/PM歪性能は非常に早く悪化する。
図2Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答曲線12に対応する
図2Bの曲線22によって示されるように、AM/PM歪レベルは、約23dBmの出力パワー・レベルに至るまで非常に密接に曲線20の跡を追うが、次いで、AM/PM歪性能は、非常に早く悪化し始める。このように、
図2Bは、対称なドレイン-ソース間キャパシタンス応答10を有する第1のRFトランジスタ増幅器が、ほぼ同じ量のAM/PM歪を発生させながら非対称なドレイン-ソース間キャパシタンス応答12を有する第2のRFトランジスタ増幅器よりも6~7dBm高い出力パワー・レベルで動作できることを示す。
【0039】
固有ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の非直線性と同様に、固有ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の非直線性もまた、RFトランジスタ増幅器の出力信号のAM/PM歪につながることがある。
図3A及び
図3Bは、RFトランジスタ増幅器のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答がAM/PM歪性能にどのように強い影響を及ぼすかを図示する。特に、
図3Aは、4つの異なるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を図示するグラフであり、
図3Bは、
図3Aの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計についての出力パワーの関数としてのシミュレーションしたAM/PM歪を図示するグラフである。RFトランジスタ増幅器の4つすべてが、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCでバイアスされる。
【0040】
図3Aに示したように、4つすべてのRFトランジスタ増幅器について、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、高いドレイン-ソース間電圧値で一定であり、次いで、一旦ドレイン-ソース間電圧V
dsは、キャパシタンスがはるかに速い速度で増加し始めるある一定の「ニー(knee)」電圧よりも下に低下すると着実に増加する。従来型のRFトランジスタ増幅器では、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の「ニー」は、典型的には、
図3Aの曲線30によって示されるように、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCを超えるドレイン-ソース間電圧V
dsで生じる(すなわち、ニー電圧は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCよりも著しく高いV
ds≒62ボルトで生じる)。
図3Aに示した残りの3つのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答32、34、36では、ニー電圧は、左へ(すなわち、より低いドレイン-ソース間電圧V
dsレベルへ)シフトする。曲線32では、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、V
ds≒40ボルトで急速に増加し始め、曲線34では、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、V
ds≒31ボルトで急速に増加し始め、そして曲線36では、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、V
ds≒23ボルトで急速に増加し始める。
【0041】
図3Bは、
図3Aの異なるドレイン-ゲート間キャパシタンス応答30、32、34、36が持つAM/PM歪性能に対する強い影響を図示する。
図3Bの曲線は、RFトランジスタ増幅器の様々な異なる非直線性からもたらされるAM/PM歪を含み、そのためAM/PM歪性能に対する異なるドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の強い影響を示す
図3Bの曲線同士の間の比較である。
図3Aのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答曲線30に対応する
図3Bの曲線40は、従来型のRFトランジスタ増幅器についてのAM/PM歪を図示する。
図3Bに示したように、AM/PM歪は、約10dBmに至るまでの出力パワー・レベルでほぼ存在せず、次いで約33dBmの出力パワーに至るまで適度なレベルで増加し始め、この点でAM/AM性能が非常に急速に悪化する。
【0042】
曲線42、44及び46は、それぞれ、
図3Aのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答32、34、36を有するRFトランジスタ増幅器についてのAM/PM歪性能を図示する。
図3Bに示したように、AM/PM歪曲線42、44、46は、ほぼ同一の形状を有し、AM/PM歪が急速に悪化し始める出力パワー・レベルで異なるに過ぎない。曲線42について、AM/PM歪性能は、約28dBmの出力パワー・レベルで急速に悪化し始め、曲線44について、AM/PM歪性能は、約32dBmの出力パワー・レベルで急速に悪化し始め、そして曲線46について、AM/PM歪性能は、約35dBmの出力パワー・レベルで急速に悪化し始める。
【0043】
2つの一般的な傾向を、
図3A及び
図3Bから知ることができる。第1に、
図3Aで応答のニーが左へ行くほど(すなわち、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgがベースライン・レベルからはるかにより急速に増加し始めるドレイン-ソース間電圧V
dsが低いほど)、RFトランジスタ増幅器のAM/PM歪性能が良くなる。第2に、ドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgの増加の勾配もまた問題となる。このことは、
図3Bでは曲線42が曲線40と交差するという事実により知ることができる。このことは、曲線30の勾配が
図3Aの曲線32の勾配より小さいという理由で生じ、約25ボルトのドレイン-ソース間電圧で曲線32が曲線30と交差するという結果になる。
【0044】
ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答はまた、RFトランジスタ増幅器のAM/AM歪性能にも強い影響を及ぼす。RFトランジスタ増幅器についてのAM/AM特性は、RFトランジスタ増幅器の増幅に依存するゲイン変動を指す。ドレイン-ゲート間キャパシタンス・レベルが増加するにつれて、RFトランジスタ増幅器は、ゲイン圧縮を経験し始め、そしてドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の増加の勾配が大きいほど、生じるゲイン圧縮が大きくなる。ゲイン圧縮は、増幅器の出力パワー・レベルが増加するにつれて生じ得る増幅器のゲイン(ここでゲインは、入力信号のレベルが増幅器により大きくされる程度の尺度である)の減少を指す。典型的には、RFトランジスタ増幅器のゲインは、低い出力パワー・レベルについて比較的一定で、そしてゲインは、出力パワー・レベルが増加するにつれて強度の増加とともに低下し始める。シリコン系のRFトランジスタ増幅器について、ゲイン応答は、比較的直線的な範囲からいく分か急峻に急速に減少する範囲へと移行する。窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器について、ゲイン応答は、比較的直線的な範囲からよりゆっくりと減少する範囲へと移行し(けれどもゲインは、高い出力パワー・レベルにおいて依然として急速に落ちる)、そして移行は、比較的低い出力パワー・レベルで生じる傾向がある。ゲインのこのより緩やかな減少は、典型的には「ソフト」ゲイン圧縮と呼ばれる。通信システムにとっての直線性必要条件は、増幅器が比較的低いゲイン圧縮レベルで(例えば、ピーク・ゲインの1~3dB以内で)動作することを典型的には必要とするので、ソフト・ゲイン圧縮は、一般に望ましくない。ソフト・ゲイン圧縮が窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器では比較的低い出力パワー・レベルで生じることがあるので、増幅器は、ゲイン圧縮の指定されたレベル内に留まるために比較的低い出力パワー・レベルで動作するように強いられることがある。多くのケースでは、直線性の必要な程度を実現するだろう最大出力パワー・レベルは、増幅器がそのピーク効率に達する出力パワー・レベルよりも十分に低いことがある。このように、所望の程度の直線性を維持するために、増幅器を低い出力パワー・レベルでそして低下した効率で動作させることが必要なことがあり、結果として高い運用コストになる。
【0045】
効率へのソフト・ゲイン圧縮の強い影響を、
図4A及び
図4Bに見ることができる。特に、
図4Aは、
図3A及び
図3Bの曲線を生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器についての出力パワーの関数としてdBでのゲイン(左側の縦軸)及びドレイン効率(右側の縦軸)を図示するグラフである。
図4Bは、同じ4つのRFトランジスタ増幅器設計についてのゲイン圧縮の関数としてのドレイン効率のグラフである。
【0046】
図4Aを参照して、曲線50、52、54、56は、それぞれ、
図3Aの曲線30、32、34、36のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に対応する。見られるように、「ニー」がドレイン-ゲート間キャパシタンス応答で生じる
図3Aの左であるほど、対応するRFトランジスタ増幅器の最大ゲインが大きくなり、そして最大ゲインが生じる出力パワー・レベルが大きくなる。このように、
図4Aは、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のニーを左へ押すことが、ゲイン性能の改善という結果になることを示す。
図4Aの曲線60、62、64、66は、「ニー」がドレイン-ゲート間キャパシタンス応答で生じる
図3Aの左であるほど、RFトランジスタ増幅器のドレイン効率が高くなることを示す。
図4Bは、この効果をより明確に図示する。
図4Bでは、曲線70、72、74、76は、それぞれ、
図3Aの曲線30、32、34、36のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に対応する。
図4Bは、最も高い効率を有するRFトランジスタ増幅器設計もまた、ゲイン圧縮の最も低いレベルでその効率も達成すること、これらの増幅器がより効率的あるだけでなく、これらの増幅器がより直線的であることも意味することを示す。このように、RFトランジスタ増幅器に対するドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善することによって、RFトランジスタ増幅器のAM/PM歪性能、直線性性能、ゲイン及び/又は効率を改善することを可能にすることがある。
【0047】
ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の形状もまた、負荷変調中にRFトランジスタ増幅器の効率性能にも影響を及ぼす。このような負荷変調は、ドハティ増幅器で生じる。
図4Cは、
図3A~
図3B及び
図4A~
図4Bに示したデータを生成するために使用した4つのRFトランジスタ増幅器設計について負荷変調率の関数として3dBゲイン圧縮でのドレイン効率を図示する。
図4Cでは、曲線80、82、84、86は、それぞれ、
図3Aの曲線30、32、34、36のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に対応する。もう一度、曲線のニーが左へ押されるドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器設計が一般に最善の負荷変調性能を与えることを知ることができる。
【0048】
図2Aを再び参照して、曲線10は、従来型の窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を図示する。示したように、このドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、比較的対称的である。
図2Bを参照して上に論じたように、このような対称的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、AM/PM歪に対する減少した強い影響を有するドレイン-ソース間キャパシタンスC
dsという結果になることがある。あいにく、しかしながら、曲線10に示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する従来型の窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、典型的には不満足であり、そして著しいAM/AM歪及びAM/PM歪をもたらすことがある。例えば、デバイスにフィールド・プレートを追加することなどの様々なステップが、RFトランジスタ増幅器のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善しようと試みるために行われることがある。しかしながら、これらのステップは、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の形状を悪化させる傾向があり、
図2Aの曲線12により示されるようなドレイン-ソース間キャパシタンス応答という結果になる。
【0049】
従来は、寄生固有ドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンスC
ds、C
dgが、設計プロセスでは別々に処理されてきている。例えば、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の直線性を改善するために適用された技術もまた、典型的にはドレイン-ソース間キャパシタンス応答にも強い影響を与える。このように、RFトランジスタ増幅器設計が対称的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有する場合でさえ、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善しようとする努力は、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答を変化させることがあり、例えば、
図2Aに曲線12として示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答という結果をもたらす。この変調されたドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、直流バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧振れの小さな部分だけについて対称的であることがあり、これゆえ、より大きな入力信号がRFトランジスタ増幅器に与えられるときに著しいAM/PM歪という結果をもたらすことがある。
【0050】
別々に寄生固有ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を最適化しようと試みることは、従来行われてきているように、最適に近い性能に導くことがある。出願人は、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の両者に対する設計変更の強い影響を考慮することによって、性能の改善が、RFトランジスタ増幅器の目標の用途について実現され得ることを発見している。特に、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は両者とも、鍵となるRFトランジスタ増幅器性能パラメータ(例えば、AM/PM歪、ゲイン、効率、ゲイン圧縮、等)を悪化させることがあり、そしてそれぞれ、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を変更するために使用される設計修正は、典型的には、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のうちの一方を改善することが他方に悪影響を及ぼすことがある少なくともある程度のトレードオフを含む。本発明の実施例にしたがって、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の両者が、総合的な性能の改善を示しているRFトランジスタ増幅器を提供するための設計プロセスにおいて同時に考慮に入れられることがある。
【0051】
様々な異なる技術が、RFトランジスタ増幅器設計のドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を変更するために使用されることがある。1つの知られている手法は、ゲート領域とドレイン領域との間の電界分布を管理するためだけでなくドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンスCds、Cdgの両者に影響を及ぼすように、フィールド・プレートがRFトランジスタ増幅器に追加される。Cds応答、Cdg応答が最適な形状及び値を有するように操作するための手法として従来型のフィールド・プレート設計を使用することは、どれだけ多くのシェーピングを実現できるか及び実現可能であるCds、Cdgの最小の値の点での制限を有する傾向がある。もう1つの手法では、より先進的なフィールド・プレート概念が、HEMTトランジスタが二重ゲート構造又は「カスケード」構造を含むために導入され、この構造では、薄いスペーサ層によってバリア層とは隔てられ、そしてソースへの接続部を介して接地される第2のゲートが設けられる。このようなカスケード構造を有する窒化ガリウム系のHEMTデバイスの実例が、例えば、米国特許第9,679,981号に開示され、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。二重ゲート構造の追加は、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を改善する傾向があるが、また、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性及び/又はレベルを悪化させることもあり、このことは同時に、Cds応答及びCdg応答についての最適な形状及び値を実現する際のトレードオフと見られる。
【0052】
もう1つの知られている手法では、ゲート・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の領域内の半導体構造体の上側表面の電荷密度を減少させることができる。この領域内の電荷の減少量並びに領域の深さ、領域の横方向のサイズ及び電荷を減少させた領域がゲート・コンタクトに向かってどれだけ近くまで延びるかを操作することによって、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を操作することが可能である。この手法を用いて、少なくともある程度まで、同時にドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の両者を改善することが可能であり得る。ゲートとドレインとの間の領域内にこのような操作した電荷密度を有する窒化ガリウム系のHEMTデバイスの実例が、例えば、その全体の内容が引用により本明細書に組み込まれている、2019年3月18日出願の米国特許出願第16/356,234号に開示されている。
【0053】
ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の曲線のニーを可能な限り左へ押しながら、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性を維持することによって、RFトランジスタ増幅器の性能を一般に改善できることが見出されている。このように、RFトランジスタ増幅器の設計を最適化する際に、両方の応答が同時に考慮に入れられるべきである。
【0054】
図5A及び
図5Bは、本発明の実施例によって実現することができる改善したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を図示する。特に
図5Aは、従来型のRFトランジスタ増幅器設計(曲線90)について及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計(曲線92)についてのシミュレーションしたドレイン-ソース間キャパシタンス応答のグラフである。
図5Bは、
図5Aのドレイン-ソース間キャパシタンス応答を生成するために使用した従来型のRFトランジスタ増幅器設計(曲線94)について及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計(曲線96)についてのシミュレーションしたドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のグラフである。
【0055】
図5Aに示したように、従来型のRFトランジスタ増幅器設計及び本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計の両者とも、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で一般に対称的なドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有し、シミュレーションしたデータの全体の範囲にわたって85%よりも良い対称性を維持する(下記の対称性の考察を参照)。しかしながら、
図5Bに示したように、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計は、従来型のRFトランジスタ増幅器設計と比較してドレイン-ソース間キャパシタンス応答の顕著な改善を示す。
図5Bに見られるように、従来型のRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答の「ニー」は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近で生じる。対照的に本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器設計についてのドレイン-ゲート間キャパシタンス応答(曲線96)の「ニー」は、約25ボルトで生じる。結果として、従来型のRFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、約14ボルトと約48ボルトとの間のドレイン-ソース間電圧のすべての値で本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgよりも大きく、2つの曲線がドレイン-ソース間電圧値で約14ボルトより下及び約48ボルトよりも上で収束することをともなう。このように、
図5A及び
図5Bは、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器が総合的な性能の顕著な改善を提供できることを示す。
【0056】
本発明のいくつかの実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、各々が窒化ガリウム系のチャネル層及び窒化ガリウム系のチャネル層上の窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を有する半導体構造体を含む。ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトが、窒化ガリウム系のバリア層上に設けられ、そしてゲート・コンタクトが、ソース・コンタクトとドレイン・コンタクトとの間の窒化ガリウム系のバリア層上に設けられる。これらのRFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の40ボルトのドレイン-ソース間電圧値の範囲にわたり(すなわち、Vds-DCが48ボルトであるときに28~60ボルトのVds-DC値にわたり)少なくとも90%の対称性を維持するドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される。
【0057】
RFトランジスタ増幅器についてのドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性の程度は、一般に、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCからの距離が増加するにつれて悪化する傾向がある。したがって、この開示の目的にとって、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の2*Xボルトの範囲にわたるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の「対称性」を、Vds-DC+Xにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCds1の値とVds-DC-Xにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCds2の値とを平均することによって、及び平均値を直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCと比較することによって特定できる。特に、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の2*Xボルトの範囲にわたるドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性の程度を、この開示の目的のために下記のように計算できる。
対称性(%)=MIN[2*Cds-DC/(Cds1+Cds2)及び(Cds1+Cds2)/(2*Cds-DC)]
ここでMIN[]は括弧内の値の最小値を選択する最小関数を表し、Cds-DCはVds-DCに等しいドレイン-ソース間電圧Vdsにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCdsの値であり、Cds1はVds-DC+Xボルトに等しいドレイン-ソース間電圧Vdsにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCdsの値であり、そしてCds2はVds-DC-Xボルトに等しいドレイン-ソース間電圧Vdsにおけるドレイン-ソース間キャパシタンスCdsの値である。
【0058】
下記の表1は、RFトランジスタ増幅器が48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCで動作するときに
図5A及び
図5Bに示したシミュレーションしたドレイン-ソース間キャパシタンス及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答に対応するデータ点を提供する。表1では、V
dsの値はボルトであり、C
dsの値はピコファラッド/ミリメートル(pF/mm)であり、そしてC
dgの値はフェムトファラッド/ミリメートル(fF/mm)である。
【表1】
【0059】
実例として、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の8ボルトの範囲(X=4)にわたり表1に列挙したドレイン-ソース間キャパシタンス応答の対称性の程度は、次のように計算される。
対称性=MIN[(2*0.219)/(0.256+0.194)及び(0.256+0.194)/(2*0.219)]=97.3%
【0060】
X=12及びX=24の値について同じ計算を実行して、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答が48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の24ボルトの電圧振れについて92.6%の対称性であり、そして48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近の48ボルトの電圧振れについて89.8%の対称性であることが分かる。このように、本発明のいくつかの実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、RFトランジスタ増幅器は直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの50%に等しいドレイン-ソース間電圧値の範囲について直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近で少なくとも90%の対称性を維持すること、及び直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの100%に等しいドレイン-ソース間電圧値の範囲について直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC付近で少なくとも85%の対称性を維持する。
【0061】
上に説明したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を示すことに加えて、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器はまた、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの2/3から直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCまで広がるドレイン-ソース間電圧値の範囲について2倍未満だけ変わる(例えば、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DC=48ボルトと仮定して、Cdsは、Vds=32~48ボルトの値について2倍未満変わる)ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答も有する。このように、本発明の実施例にしたがって、RFトランジスタ増幅器が提供され、RFトランジスタ増幅器はドレイン電圧振れの範囲内で比較的直線的なドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有し、これが性能の改善という結果になることがある。
【0062】
このように、例えば、表1に示したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答について、Vds=32ボルトにおけるドレイン-ゲート間キャパシタンスは、44.92×10-15F/mmであり、Vds=48ボルトにおけるドレイン-ゲート間キャパシタンスは、26.26×10-15F/mmであり、この値は、2倍未満だけ異なる。
【0063】
ドレイン-ソース間キャパシタンス応答は、規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を与えるためにRFトランジスタ増幅器の出力パワーに基づいて規格化されることがある。同じように、ドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を与えるためにRFトランジスタ増幅器の出力パワーに基づいて規格化されることがある。本明細書では、「規格化したドレイン-ソース間応答」及び「規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答」への言及は、(ミリメートル当たりのファラッドの単位で測定される)それぞれドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答のパワーで規格化したバージョン(すなわち、ワット当たりのファラッドの単位の)を指す。規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、ドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答(これらは単位長さ当たりのキャパシタンス(例えば、F/mm)として特徴付けられ、ここで「長さ」がゲート幅に対応する、を単位長さ当たりの出力RFパワー(例えば、W/mm)、これはまた、出力パワー密度としても知られる)により割り算することにより決定されることがある。このように、規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、単位パワー当たりのキャパシタンスの点から特徴付けられる。単位長さ当たりのRFパワーを、下記のように決定できる。
RFパワー(W/mm)=1/2*RF電圧強度(V)*RF電流強度(A/mm)
【0064】
RF電流強度は、ピーク間RF電流強度の1/2であり、そしてRF電圧強度は、同様にピーク間RF電圧強度の1/2である。しかしながら、ピーク間RF電圧強度がドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCの2倍を超えられず、これゆえ、大部分のケースではRF電圧強度がドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCに等しいことに留意すべきである。このように、RF電圧強度がドレイン-ソース間バイアス電圧Vds-DCに等しいケースでは、単位長さ当たりのRFパワーを、下記のように決定できる。
RFパワー(W/mm)=1/4*Vds-DC(V)*ピーク間RF電流(A/mm)
【0065】
規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、迅速な比較を可能にするためにターン・オン抵抗などのデバイス損失を考慮せずに計算される。
図6A及び
図6Bは、それぞれ、
図5A及び
図5Bに示したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及びドレイン-ゲート間キャパシタンス応答に対応する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を示しているグラフである。
図6Aでは、曲線91は、
図5Aの曲線90に対応する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答であり、そして曲線93は、
図5Aの曲線92に対応する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答である。同じように、
図6Bでは、曲線95は、
図5Bの曲線94に対応する規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答であり、そして曲線97は、
図5Bの曲線96に対応する規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答である。
【0066】
下の表2は、RFトランジスタ増幅器を48ボルトの直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCで動作させたときの
図6A及び
図6Bに示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答に対応するデータ点を与える。表2では、V
dsの値はボルトであり、C
ds及びC
dgの値は(ファラッド/ワット)×10
-14である。
【表2】
【0067】
本発明の実施例にしたがって、印加した直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCに対応する第1のドレイン-ソース間電圧V
ds1において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
ds1を有し、そして印加した直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの2/3に対応する第2のドレイン-ソース間電圧V
ds2において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg2を有するように構成された窒化ガリウム系のRFトランジスタ増幅器が提供され、ここで第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg2は、第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg1の2倍未満である。例えば、
図6A~
図6B及び表2に示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に関して、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC(すなわち、48ボルト)に対応する第1のドレイン-ソース間電圧における第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg1は2.27fF/Wであり、そして第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの2/3(すなわち、32ボルト)に対応する第2のドレイン-ソース間電圧における第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dg2は3.89fF/Wである。ここで、C
dg1(2.27fF/W)はC
dg2(3.89fF/W)の2倍未満である。
【0068】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの1/2と第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わることがある。例えば、
図6A~
図6B及び表2に示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器に関して、24ボルトにおける(すなわち、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの1/2における)規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは4.89fF/Wである。100ボルトにおいて、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは1.53fF/Wであり、これゆえ規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスC
dgは、この電圧範囲にわたって4倍未満だけ変わる。
【0069】
いくつかの実施例では、RFトランジスタ増幅器を、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲(すなわち、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近の24ボルトの範囲、これは36~60ボルトの範囲である)について少なくとも約80%の対称性又は、いくつかのケースでは、90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。例えば、上に論じたように、
図6A~
図6B及び表2に示した規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答及び規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答を有するRFトランジスタ増幅器は、48ボルト直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近の24ボルトの電圧範囲について92.6%の対称性であり、そして48ボルトの電圧範囲について89.8%の対称性である。他の実施例では、RFトランジスタ増幅器は、直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DCの100%に等しい直流ドレイン-ソース間バイアス電圧V
ds-DC付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも約70%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成されることがある。
【0070】
図7Aは、本発明の実施例によるRFトランジスタ増幅器100の模式的平面図である。
図7Aに示したように、RFトランジスタ増幅器は、半導体構造体110上に形成された複数のゲート・フィンガ130、複数のソース・フィンガ140、及び複数のドレイン・フィンガ150を含む。ゲート・フィンガ130は、第1の方向(例えば、
図7Aのx-方向)に沿って互いに間隔を空けて離れ、そして第2の方向(例えば、
図7Aのy-方向)に延びる。ゲート・フィンガ130は、ゲート・マンドレル132を介して互いに電気的に接続される。ソース・フィンガ140は、第1の方向に沿って互いに間隔を空けて離れ、そして第2の方向に延びる。ソース・フィンガ140は、(
図7Aでは見えない)ビア又は他の構造体を介して互いに電気的に接続されることがあり、そして(
図7Aでは見えない)半導体構造体110の底面側上のソース・コンタクトに電気的に接続されることがある。ドレイン・フィンガ150は、同じように第1の方向に沿って互いに間隔を空けて離れ、そして第2の方向に延び、ドレイン・マンドレル152を介して互いに電気的に接続される。各々のゲート・フィンガ130は、隣接するソース・フィンガ140とドレイン・フィンガ150の対の間でy-方向に延びる。ゲート・フィンガ、ソース・フィンガ、及びドレイン・フィンガ130、140、150は、金属又は金属合金などの導電性材料を各々が含むことができる。
図7AがRFトランジスタ増幅器100用のコンタクト構造体の1つの単純な実例を図示すること、そして実際には、より複雑な多層コンタクト構造体を使用できることが認識されよう。
【0071】
各々のゲート・フィンガ130は、隣接するソース・フィンガ140及びドレイン・フィンガ150とともに、ユニット・セル・トランジスタ160を規定できる。
図7Aの破線の四角は、代表的なユニット・セル・トランジスタ160を特定する。動作中に、電流は、半導体構造体110内の導電経路を通って各々のソース・フィンガ140とその関連するドレイン・フィンガ150との間を流れる。電流の量は、ゲート・フィンガ130に印加される電圧信号によって変調されることがある。
【0072】
図7Bは、
図7Aの線7B-7Bに沿って取ったRFトランジスタ増幅器100の断面図である。
図7Bに示したように、半導体構造体110は、基板112及び基板112上に形成されたエピタキシャル構造体を含む。基板112は、窒化アルミニウム、窒化アルミニウム・ガリウム、窒化ガリウム、シリコン、炭化ケイ素、GaAs、LGO、ZnO、LAO、又はInP基板などの半導体基板を含むことができる。或いは、基板112は、例えば、その上側表面上に形成された半導体エピタキシャル層を有するサファイア基板又はダイアモンド基板などの非半導体基板であってもよい。エピタキシャル構造体は、基板112上に形成されたチャネル層116及び基板112とは反対側のチャネル層116上に形成されたバリア層118を含むことができる。チャネル層116及びバリア層118は、III族窒化物系の材料を含むことができ、バリア層118の材料がチャネル層116の材料よりも大きなバンドギャップを有することをともなう。例えば、チャネル層116は、GaNを含むことができ、一方でバリア層118は、AlGaNを含むことができる。チャネル層116及びバリア層118が単一層構造体として図示されている一方で、チャネル層116及び/又はバリア層118の一方又は両方が多層構造体として実装されてもよいことが認識されよう。例えば、バッファ層、歪バランス層、遷移層、等などの追加層もまた、基板112上に設けられるエピタキシャル構造体の一部として含まれてもよいこともまた認識されるだろう。
【0073】
本発明の概念の実施例は、発明の実施例が示されている添付の図面を参照して上に説明されてきている。この発明の概念は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化されることがあり、本明細書において記載した実施例に限定されるように解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が万全であるように、そして当業者に発明の概念の範囲を十分に伝えるだろうように提供される。同じような数字は、全体を通して同じような要素を指す。
【0074】
第1の、第2の等の用語が、本明細書では様々な要素を記述するために使用されることがあるとはいえ、これらの要素は、これらの用語により限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素をもう1つとは区別するために使用されるに過ぎない。例えば、第1の要素が第2の要素と呼ばれることがあり、そして同様に、第2の要素が、本発明の範囲から逸脱せずに第1の要素と呼ばれることがある。本明細書において使用されるように、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0075】
本明細書において使用する術語は、特定の実施例を記述する目的のためだけであり、発明を限定するものではない。本明細書において使用するように、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、述べた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しない。
【0076】
層、領域又は基板などの要素がもう1つの要素の「上に(on)」ある又は「上へと(onto)」延びると呼ばれるときには、他の要素の直接上にある若しくは直接上へと延びる又は介在する要素もまた存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上に」ある又は「直接上へと」延びると呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。ある要素がもう1つの要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と呼ばれるときには、他の要素に直接接続される若しくは結合されることがある、又は介在する要素が存在してもよいこともまた理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と呼ばれるときには、介在する要素は存在しない。
【0077】
「下方に(below)」若しくは「上方に(above)」又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」又は「水平に(horizontal)」若しくは「横方向に(lateral)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語は、図に図示されたように1つの要素、層又は領域のもう1つの要素、層又は領域に対する関係を記述するために本明細書では使用されることがある。これらの用語が図に描かれた向きに加えてデバイスの違った向きを包含するものであることが理解されよう。
【0078】
図面及び明細書では、本発明の典型的な実施例が開示されており、特定の用語が採用されているとはいえ、これらは一般的で説明的な感覚で使用されるに過ぎず、限定の目的ではなく、例として、発明の範囲は、以下の開示の項目にも記載される。
【0079】
(開示の項目)
[項目1]
窒化ガリウム系のチャネル層及び前記窒化ガリウム系のチャネル層上の前記窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のソース・コンタクトと、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトと
を備える、無線周波数(「RF」)トランジスタ増幅器であって、
前記RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、及び前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、
前記第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが前記第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である、
RFトランジスタ増幅器。
[項目2]
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間である前記ドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる、項目1に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目3]
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間である前記ドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わる、項目1に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目4]
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、項目1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目5]
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、項目1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目6]
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも70%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、項目1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目7]
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の100%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも80%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、項目1から3までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目8]
前記RFトランジスタ増幅器は、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成される、項目7に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目9]
前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトと55ボルトとの間であり、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15
ファラッド未満である、項目1から8までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目10]
窒化ガリウム系のチャネル層及び前記窒化ガリウム系のチャネル層上の前記窒化ガリウム系のチャネル層よりも大きなバンドギャップを有する窒化ガリウム系のバリア層を含む半導体構造体と、
前記窒化ガリウム系のチャネル層上のソース・コンタクトと、
前記窒化ガリウム系のバリア層上のドレイン・コンタクトと、
前記ソース・コンタクトと前記ドレイン・コンタクトとの間の前記窒化ガリウム系のバリア層上のゲート・コンタクトと
を備える、無線周波数(「RF」)トランジスタ増幅器であって、
前記RFトランジスタ増幅器が、第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧で動作するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧の範囲について少なくとも85%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンスを有するように構成され、
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について4倍未満だけ変わる、
RFトランジスタ増幅器。
[項目11]
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の1/2と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について3倍未満だけ変わる、項目10に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目12]
前記RFトランジスタ増幅器の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3と前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2倍との間であるドレイン-ソース間電圧のすべての値について2倍未満だけ変わる、項目10に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目13]
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧において第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように、及び前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の2/3において第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスを有するように構成され、
前記第2の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスが前記第1の規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの2倍未満である、
項目10から12までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目14]
前記RFトランジスタ増幅器が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の50%に等しい前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧付近のドレイン-ソース間電圧値の範囲について少なくとも90%の対称性を維持する規格化したドレイン-ソース間キャパシタンス応答を有するように構成される、項目10から13までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目15]
前記RFトランジスタ増幅器は、規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンス応答が、前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧から前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧の20ボルト下までの範囲内のドレイン-ソース間電圧について100%未満だけ変わるように構成される、項目10から13までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目16]
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、32ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり4×10
-15
ファラッド未満である、項目10から15までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目17]
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15
ファラッド未満である、項目10から15までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目18]
前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、24ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり6×10
-15
ファラッド未満である、項目10から17までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
[項目19]
前記第1の直流ドレイン-ソース間バイアス電圧が48ボルトと55ボルトとの間であり、前記規格化したドレイン-ゲート間キャパシタンスの値が、30ボルトよりも大きなすべてのドレイン-ソース間電圧値についてワット当たり5×10
-15
ファラッド未満である、項目10から18までのいずれか一項に記載のRFトランジスタ増幅器。
【国際調査報告】