(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(54)【発明の名称】ビニルエーテルとその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 41/14 20060101AFI20221128BHJP
C07C 43/178 20060101ALI20221128BHJP
C09J 129/10 20060101ALI20221128BHJP
C09D 129/10 20060101ALI20221128BHJP
C08F 216/12 20060101ALI20221128BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221128BHJP
【FI】
C07C41/14
C07C43/178 B
C09J129/10
C09D129/10
C08F216/12
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520284
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020077069
(87)【国際公開番号】W WO2021063870
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】シュピーゲルベルク,ブリアン
(72)【発明者】
【氏名】デ フリース,ヨハネス ヘラルドゥス
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
4J038
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB46
4H006AC43
4H006BA25
4H006BA32
4H006BA46
4H006BA69
4H006GN07
4H006GP01
4H039CA61
4H039CD90
4J038CE051
4J038PB04
4J038PC02
4J038PC06
4J040DD051
4J040JA12
4J040JA13
4J040JB08
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA29
4J040KA35
4J040KA42
4J040NA19
4J100AE10P
4J100AE70P
4J100JA03
(57)【要約】
本発明は、式(I)の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法、および本発明による方法によって好ましくは得られる式(I)のビニルエーテル化合物に関する。さらに、本発明は、本発明による式(I)のビニルエーテル化合物を重合することによって得られるポリマー、本発明による少なくとも1つのポリマーを含む接着剤、およびUV接着剤、カチオン性硬化剤、または1成分または2成分系の製造のための、本発明による式(I)の少なくとも1つのビニルエーテル化合物または本発明による少なくとも1つのポリマーの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つが-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ここで、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つが-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1および/またはR
4は-O-CH=CH
2である]
の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法であって、
該方法は、
式(II)
[式中、R
6は-C(=O)R
12、または非置換C
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基、好ましくは非置換C
1-C
6アルキル基、最も好ましくは非置換C
2アルキル基である;および
R
12は非置換C
1-C
10アルキル基、好ましくは-CH
3である]
の化合物を、式(III)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
7、R
9およびR
11は、-OH、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
8およびR
10は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
7、R
9およびR
11の少なくとも2つは-OHであり、好ましくはR
7およびR
11は-OHである]
の化合物と、触媒および任意に二座配位子および/または塩基の存在下で反応させるステップを含むか、または該ステップからなる、方法。
【請求項2】
式(I)において、
nは1である;および/または
R
1は-OHまたは-O-CH=CH
2である;および/または
R
2は-CH
3である;および/または
R
3は-Hである;および/または
R
4は-OHまたは-O-CH=CH
2である;および/または
R
5は-Hである;
ここで、R
1とR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1とR
4は-O-CH=CH
2である;および/または
式(II)の化合物中のR
6は、非置換C
2アルキル基である;および/または
式(III)において、
nは1である;および/または
R
7は-OHである;および/または
R
8は-CH
3である;および/または
R
9は-Hである;および/または
R
10は-Hである;および/または
R
11は-OHである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応温度は、20から90℃の間である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(i)触媒は、Pd触媒、好ましくはPd(acac)
2、Pd(dba)
2、Pd(OAc)
2、Pd(NO
3)
2*xH
2O、Pd(PPh
3)
4、PdCl
2(PPh
3)
2、Pd(ピバレート)またはPd(II)トリフルオロアセテート、より好ましくはPd(II)トリフルオロアセテートから選択される;および/または
(ii)二座配位子は、フェナントロリンおよびビピリジン、好ましくは2,2’-ビピリジンから選択される;および/または
(iii)塩基は第三級アミン、好ましくはトリエチルアミンである、
請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(i)少なくとも1つの溶媒、好ましくは極性溶媒、より好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、1,4-ジオキサンまたはアセトニトリルの存在下;または、
(ii)追加の溶媒の不存在下;および/または
(ii)酸素下または空気下
で行われる、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式(II)の化合物を、式(III)の化合物よりもモル過剰に、好ましくは少なくとも1:1または>1:1のモル当量比(式(II):式(III))で添加する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
式(I)のビニルエーテル化合物は、ジビニルエーテルとモノビニルエーテル化合物の混合物であり、好ましくは、該混合物は、混合物の総重量に基づき、少なくとも50重量%のジビニルエーテル、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%のジビニルエーテルを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
式(I)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つが-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ここで、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つが-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1および/またはR
4は-O-CH=CH
2である]
の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法であって、
該方法は、
式(III)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
7、R
9およびR
11は、-OH、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
8およびR
10は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
7、R
9およびR
11の少なくとも2つは-OH、より好ましくはR
7とR
11は-OHである]
の化合物を
(i)触媒の存在下および圧力下でアセチレンと反応させるステップ、
ここで、好ましくは、触媒は、遷移金属アセチリド、例えば銅アセチリド、金属カルボニル、金属カルボニル水素化物、(アルカリ(土類))金属アルコキシドまたは(アルカリ(土類))金属水酸化物または酸化物、例えば活性炭上の水酸化カリウムまたは酸化マグネシウム/酸化カルシウムの群から選択される;および/または
好ましくは、ビニル化は液相または気相で実施できる;または、
(ii)炭化カルシウム、水および塩基、好ましくはKOHおよび/またはKFと反応させるステップ、
ここで、該反応は、溶媒(混合物)、より好ましくは水およびDMSO中で行われる
を含むか、または該ステップからなる、方法。
【請求項9】
式(I)において、
nは1である;および/または
R
1は-OHまたは-O-CH=CH
2である;および/または
R
2は-CH
3である;および/または
R
3は-Hである;および/または
R
4は-OHまたは-O-CH=CH
2である;および/または
R
5は-Hである;
ここで、R
1とR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1とR
4は-O-CH=CH
2である;および/または
式(II)において、
nは1である;および/または
R
7は-OHである;および/または
R
8は-CH
3である;および/または
R
9は-Hである;および/または
R
10は-Hである;および/または
R
11は-OHである、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(III)の化合物はバイオベースである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
式(I)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つが-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ここで、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つが-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1および/またはR
4は-O-CH=CH
2である]
のビニルエーテル化合物であって、好ましくは請求項1~10のいずれかに記載の方法によって得られる、ビニルエーテル化合物。
【請求項12】
ビニルエーテル化合物は式(IV)
[式中、
nは0、1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1とR
4は-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ただし、R
1とR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2であり、好ましくは、R
1とR
4は-O-CH=CH
2である]の化合物である、または、
ビニルエーテル化合物は、式(V)~(VII)
[式中、
nは0、1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1である]
の化合物のいずれか1つ、またはそれらの混合物である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
請求項11または12に記載の化合物を、任意に少なくとも1つのコモノマーと一緒に、重合することによって得られるポリマー。
【請求項14】
請求項13に記載の少なくとも1つのポリマーを含む接着剤。
【請求項15】
UV接着剤、カチオン性硬化剤、または1成分または2成分系、例えば、缶コーティング、エポキシおよびアクリレートベースのコーティング、構造用接着剤、シーラント、バッテリー用接着剤、木材コーティングまたは感圧接着剤(PSA)の製造のための、請求項11または12の少なくとも1つの化合物または請求項13の少なくとも1つのポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法、および本発明による方法によって好ましくは得られる式(I)のビニルエーテル化合物に関する。さらに、本発明は、本発明による式(I)のビニルエーテル化合物を重合することによって得られるポリマー、本発明による少なくとも1つのポリマーを含む接着剤、および本発明による少なくとも1つの式(I)のビニルエーテル化合物の又は本発明による少なくとも1つのポリマーの、UV接着剤、カチオン硬化剤または1成分または2成分系の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
UV接着剤および反応性接着剤は、当技術分野で広く使用されており、自動車産業、家具、ベニヤ、電子機器などを含むがこれらに限定されない多くの異なる用途に使用される用途の広い接着剤である。このタイプの接着剤に適した化合物を製造するための既存のプロセスのほとんどは、持続可能で環境に優しい技術に基づいていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当技術分野では、既知の欠点を克服し、良好な性能を備えた持続可能な接着剤系のための再生可能資源に基づいて、経済的に十分な収率で化合物を提供できる代替の製造プロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、モノおよびジビニルエーテル化合物が、触媒および任意に二座配位子および/または塩基の存在下で、好ましくは少なくとも1つのバイオベースの基材から始まる、特定の方法によって得られるという本発明者らの発見に基づいている。生成されたモノおよびジビニルエーテル化合物の比率、ならびに一次および二次モノビニルエーテル化合物の比率は、反応温度によって影響を受ける可能性があることが見出された。
【0005】
第1の態様において、本発明は、式(I)
[式中、
nは0~5の整数である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つは-OHまたは-O-CH=CH
2であり、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2である]
の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法であって、
該方法は、以下:
式(II)
[式中、R
6は-C(=O)R
12、または非置換C
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10 アルケニル基である;および
R
12は非置換C
1-C
10アルキル基である]
の化合物を式(III)
[式中、
nは0~5の整数である;
R
7、R
9およびR
11は、-OH、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
8およびR
10は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
7、R
9およびR
11の少なくとも2つは-OHである]
の化合物と、触媒および任意に二座配位子および/または塩基の存在下で反応させるステップを含むか、または該ステップからなる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
様々な実施形態において、式(I)の化合物において、
nは1である;および/または
R1は-OHまたは-O-CH=CH2であり;および/または
R2は-CH3であり;および/または
R3は-Hであり;および/または
R4は-OHまたは-O-CH=CH2であり;および/または
R5は-Hである;
ここで、R1とR4の少なくとも1つは-O-CH=CH2であり、好ましくはR1とR4は-O-CH=CH2である;および/または
式(II)の化合物中のR6は、非置換C2アルキル基である;および/または
式(III)において、
nは1である;および/または
R7は-OHであり;および/または
R8は-CH3であり;および/または
R9は-Hであり;および/または
R10は-Hであり;および/または
R11は-OHである。
【0007】
一実施形態では、式(II)の化合物において、R6はC1-C6アルキル基、最も好ましくはC2アルキル基である。
【0008】
様々な実施形態において、本発明による方法の反応温度は、20から90℃の間であり、好ましくは50から80℃の間または30から60℃の間である。
【0009】
本発明による方法の様々な実施形態において、
(i)触媒は、Pd触媒、好ましくはPd(acac)2、Pd(dba)2、Pd(OAc)2、Pd(NO3)2
*xH2O、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、Pd(ピバレート)またはPd(II)トリフルオロアセテート、より好ましくはPd(II)トリフルオロアセテートから選択される;および/または
(ii)二座配位子は、フェナントロリンおよびビピリジン、好ましくは2,2’-ビピリジンから選択される;および/または
(iii)塩基は第三級アミン、好ましくはトリエチルアミンである。
【0010】
また、本発明による方法は、
(i)少なくとも1つの溶媒、好ましくは極性溶媒、より好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、1,4-ジオキサンまたはアセトニトリルの存在下;または、
(ii)追加の溶媒なしに;および/または
(ii)酸素下または空気下
で実施できる。
【0011】
本発明による方法の様々な実施形態において、式(II)の化合物は、式(III)の化合物よりもモル過剰に、好ましくは、少なくとも1:1、>1:1、2:1または3:1、例えば5:1のモル当量比で、より好ましくは少なくとも10:1のモル当量比で、より好ましくは少なくとも15:1のモル当量比で添加される(式(II):式(III))。
【0012】
本発明による方法のさらなる実施形態において、式(I)のビニルエーテル化合物は、ジビニルエーテルおよびモノビニルエーテル化合物の混合物であり、好ましくは、該混合物は、少なくとも50重量%のジビニルエーテル、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%を、混合物の総重量%に基づいて含む。
【0013】
第2の態様では、本発明は、式(I)
[式中、
nは0~5の整数である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つは-OHまたは-O-CH=CH
2であり、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2である]
の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法であって、
該方法は、以下のステップ:
式(III)
[式中、
nは0~5の整数である;
R
7、R
9およびR
11は、-OH、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
8およびR
10は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
7、R
9およびR
11の少なくとも2つは-OHである]
の化合物を
(i)触媒の存在下および圧力下でのアセチレンと;または
(ii)炭化カルシウム、水および塩基と
反応させるステップを含むか、または該ステップからなる方法である。
【0014】
様々な実施形態において、式(I)の化合物において:
nは1である;および/または
R1は-OHまたは-O-CH=CH2であり;および/または
R2は-CH3であり;および/または
R3は-Hであり;および/または
R4は-OHまたは-O-CH=CH2であり;および/または
R5は-Hである;
ここで、R1とR4の少なくとも1つは-O-CH=CH2であり、好ましくはR1とR4は-O-CH=CH2である;および/または
式(III)において、
nは1である;および/または
R7は-OHである;および/または
R8は-CH3である;および/または
R9は-Hである;および/または
R10は-Hである;および/または
R11は-OHである。
【0015】
態様1および2のいくつかの実施形態では、式(III)の化合物はバイオベースである。
【0016】
第3の態様において、本発明は、好適には本発明の方法によって得られた、式(I)
[式中、
nは0~5の整数である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つは-OHまたは-O-CH=CH
2であり、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2である]
のビニルエーテル化合物に関する。
【0017】
好適な実施形態では、ビニルエーテル化合物は式(IV)
[式中、
nは0、1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1とR
4は-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ただし、R
1とR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2であり、好ましくは、R
1とR
4は-O-CH=CH
2である]
の化合物であるか、または、
ビニルエーテル化合物は、式(V)~(VII)
[式中、
nは0、1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1である]
の化合物のいずれか1つであるか、またはそれらの混合物である。
【0018】
第4の態様では、本発明は、任意選択で少なくとも1つのコモノマーと一緒に、本発明による式(I)のビニルエーテル化合物を重合することによって得られるポリマーに関する。
【0019】
第5の態様では、本発明は、本発明による少なくとも1つのポリマーを含む接着剤に関する。
【0020】
最後に、第6の態様では、本発明は、UV接着剤、カチオン硬化剤、または1成分または2成分系、たとえば、缶コーティング、エポキシおよびアクリレートベースのコーティング、構造用接着剤、シーラント、バッテリー接着剤、木材コーティング、または感圧接着剤(PSA))を製造するための、本発明による少なくとも1つの式(I)のビニルエーテル化合物または本発明による少なくとも1つのポリマーの使用に関する。
【0021】
1以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、および利点は、明細書の記述、図面および実施例、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0022】
以下の詳細な説明は、例示として、本発明を実施できる特定の詳細および実施形態に言及している。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分詳細に説明されている。他の実施形態を利用でき、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的変更を行うことができる。いくつかの実施形態を他の1以上の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を形成するができるので、様々な実施形態は必ずしも相互に排他的ではない。
【0023】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」、および「the」には、文脈で明確に示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「少なくとも1つ」は、1以上の、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上の参照種を意味する。同様に、本明細書で使用される「1以上の」は、少なくとも1つに関連し、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を含む。与えられた種に関連して、この用語は分子の合計数に関係するのではなく、種のタイプ、たとえばビニルエーテル化合物に関係する。量に関連して、この用語は参照される種の総量に関連している。
【0025】
小数点以下なしで指定された数値は、小数点以下1桁で指定された完全な値を指す。つまり、特に定義されていない限り、例えば99%は99.0%を意味する。
【0026】
「約」または「概算」または「凡そ」という用語は、数値に関連して、与えられた数値に対して±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%、より好ましくは±1%、および最も好ましくは±1%未満の分散を指す。
【0027】
量、濃度または他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値の形で表される場合、得られた範囲が文脈において明確に言及されているかどうかを考慮せずに、上限または好ましい値を任意の下限または好ましい値と組み合わせて得られる任意の範囲が具体的に開示されていると理解すべきものとする。
【0028】
第1の態様によれば、本発明は、式(I)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つが-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ここで、R
1、R
3、およびR
4の少なくとも1つが-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1および/またはR
4は-O-CH=CH
2である]
の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法であって、
該方法は、
式(II)
[式中、R
6は-C(=O)R
12、または非置換C
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基、好ましくは非置換C
1-C
6アルキル基、最も好ましくは非置換C
2アルキル基である;および
R
12は非置換C
1-C
10アルキル基、好ましくは-CH
3である]
の化合物を、式(III)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
7、R
9およびR
11は、-OH、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
8およびR
10は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
7、R
9およびR
11の少なくとも2つは-OHであり、好ましくはR
7およびR
11は-OHである]
の化合物と、触媒および任意に二座配位子および/または塩基の存在下で反応させるステップを含むか、または該ステップからなる方法に関する。
【0029】
本発明による方法の様々な実施形態において、式(III)の化合物はバイオベースである。
【0030】
一般に、特に明記しない限り、バイオベースの材料またはバイオ材料は、再生可能な生物資源に由来する材料、化学物質およびエネルギー、例えば植物、細菌、動物などの生物に由来するものが含まれるか、好ましくはそれらから製造されるが、これらに限定されない。したがって、この文脈で使用される「バイオベース」は、生物学的、すなわち再生可能な供給源から得ることができる化合物/材料を指す。式(III)の化合物の一例は、バイオベースの1,4-ペンタンジオールであり、これは、典型的には、セルロースの分解に由来するレブリン酸から得られる。別のルートは、フルフラール、フルフリルアルコール、レブリン酸を経由して1,4-ペンタンジオールになる。
【0031】
本発明による方法の一実施形態では、本発明によるビニルエーテルは、バイオベースの材料から、好ましくはバイオベースのジオールから、最も好ましくはバイオベースの1,4-ペンタンジオールから調製される。様々な実施形態において、式(III)の化合物は、バイオベースのジオールであり、最も好ましくはバイオベースの1,4-ペンタンジオールである。
【0032】
通常、「C1-C10アルキル」という用語は、直鎖および分岐アルキル基を含み、ここで、直鎖アルキル基は1~10個、好ましくは1~6個のC原子を含み、分岐アルキル基は3~10個、好ましくは3~6個のC-原子を含む。また、「C2-C10アルケニル」という用語は、直鎖および分岐アルケニル基を含み、ここで、直鎖アルケニル基は2~10個、好ましくは2~6個のC原子を含み、分岐アルケニル基は4~10個、好ましくは4~6個のCを含む。
【0033】
一般に、置換アルキルまたはアルケニル基では、各Hは、ハロゲン基(例えば、-F、-Cl、-Brまたは-I)、-O-CH3、-O-CH2-CH3、または-NO2で独立して置換できる。しかしながら、様々な実施形態において、これらの基は非置換であることが好ましい。
【0034】
様々な実施形態において、式(I)のビニルエーテル化合物では、
nは1である;および/または
R1は-OHまたは-O-CH=CH2である;および/または
R2は-CH3である;および/または
R3は-Hである;および/または
R4は-OHまたは-O-CH=CH2である;および/または
R5は-Hである;
ここで、R1とR4の少なくとも1つは-O-CH=CH2であり、好ましくはR1とR4は-O-CH=CH2である;および/または
式(II)の化合物中のR6は、非置換のC1-C6アルキル基であり、好ましくは非置換のC2アルキル基である;および/または
式(III)において、
nは1である;および/または
R7は-OHである;および/または
R8は-CH3である;および/または
R9は-Hである;および/または
R10は-Hである;および/または
R11は-OHである。
【0035】
本発明による方法の様々な実施形態において、式(II)の化合物は、式(III)の化合物よりもモル過剰に、好ましくは少なくとも5:1の、より好ましくは少なくとも10:1の、より好ましくは少なくとも15:1のモル当量比で添加される(式(II):式(III))。
【0036】
本発明による方法の様々な実施形態において:
(i)触媒は、これらに限定されることはないが、Pd触媒から選択され、好ましくはPd(acac)2、Pd(dba)2、Pd(OAc)2、Pd(NO3)2
*xH2O、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、Pd(ピバレート)またはPd(II)トリフルオロアセテート、より好ましくはPd(II)トリフルオロアセテート;および/または
(ii)二座配位子は、これらに限定されるものではないが、フェナントロリンおよびビピリジンから選択され、好ましくは2,2’-ビピリジンであり;および/または
(iii)塩基は第三級アミン、好ましくはトリエチルアミンである。
【0037】
様々な実施形態において、触媒は、式(III)のアルコールの量に基づいて、0.01~2モル%、好ましくは0.1~1モル%の量で添加される。
【0038】
様々な実施形態において、二座配位子は、式(III)のアルコールの量に基づいて、0.01~2モル%、好ましくは0.1~1モル%の量で添加される。
【0039】
様々な実施形態において、塩基は、式(III)のアルコールの量に基づいて、0.1~10モル%、好ましくは1~5モル%、より好ましくは1.5~3.5モル%の量で添加される。
【0040】
様々な実施形態において、本発明による方法は、
(i)少なくとも1つの溶媒または溶媒混合物、好ましくは極性溶媒または溶媒混合物、より好ましくはテトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、1,4-ジオキサンまたはアセトニトリル、またはそれらの混合物の存在下
で実行される。極性溶媒は、溶解度が向上するため、反応速度を上げることができる。
【0041】
別の実施形態では、本発明による方法は、追加の溶媒がない状態で実施される。一般に、これは、追加の化合物はないが、式(II)の化合物、式(III)の化合物、触媒および任意に二座配位子および/または塩基および任意に少量の不純物が反応混合物に含まれて、本発明による方法を実施して式(I)のビニルエーテル化合物を製造することを意味する。ここで、式(I)、式(II)、式(III)の化合物、触媒、二座配位子および塩基は、上記で定義された通りである。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明による方法は、Pd(II)トリフルオロアセテート(Pd(OOCCCF3))触媒、2,2’-ビピリジンおよびトリエチルアミンの存在下、追加の溶媒の非存在下で実施される。
【0043】
本発明による方法の様々な実施形態において、反応温度は20~90℃、好ましくは40~80℃または30~60℃である。具体的には、本発明による非限定的な実施形態では、反応温度は室温または80℃である。
【0044】
様々な実施形態において、反応時間は10~72時間、好ましくは15~50時間である。通常、反応時間は、反応の過程で温度を上げることによって短縮できる。
【0045】
本発明による方法の様々な実施形態において、式(I)のビニルエーテル化合物は、ジビニルエーテルとモノビニルエーテル化合物の混合物であり、好ましくは、混合物は、少なくとも50重量%のジビニルエーテル、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%を、混合物の総重量に基づいて含む。
【0046】
本発明による方法の様々な実施形態において、式(I)のビニルエーテル化合物は、ジビニルエーテルとモノビニルエーテル化合物の混合物であり、ここで、一次モノビニルエーテル化合物の二次モノビニルエーテル化合物に対する比は、混合物中の一次ビニルエーテル化合物および二級ビニルエーテル化合物の量に基づいて、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%である。
【0047】
一般に、反応温度が高いほど、モノビニルエーテルと比較してジビニルエーテルの収率が高くなる。より低い温度は、一般に、モノビニルエーテル、すなわち一次および二次モノビニルエーテルの混合物のより高い選択性をもたらす。
【0048】
本発明による方法の様々な実施形態において、この方法は、生成物精製のさらなるステップを含む。例には、濾過、カラムクロマトグラフィー、真空蒸発/蒸留が含まれ、これらに限定されないが、蒸発/蒸留が好ましい。これらのステップは、当技術分野の当業者に一般的に知られている。
【0049】
第2の態様によれば、本発明は、式(I)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つが-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ここで、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つが-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1および/またはR
4は-O-CH=CH
2である]
の少なくとも1つのビニルエーテル化合物を製造するための方法であって、
該方法は、
式(III)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
7、R
9およびR
11は、-OH、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
8およびR
10は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
7、R
9、R
11の少なくとも2つは-OH、より好ましくはR
7とR
11は-OHである]
の化合物を
(i)触媒の存在下および圧力下、好ましくは2~300bar、より好ましくは2.5~60または2.5~10barの圧力下でアセチレンと;
ここで、好ましくは、触媒は、遷移金属アセチリドの群、例えば銅アセチリド、金属カルボニル、金属カルボニル水素化物、(アルカリ(土類))金属アルコキシドまたは(アルカリ(土類))金属水酸化物または酸化物、例えば活性化炭素上の水酸化カリウムまたは酸化マグネシウム/酸化カルシウムから選択されるが、これらに限定されない;および/または
好ましくは、ビニル化は液相または気相で実施でき;または
(ii)炭化カルシウム、水および塩基、好ましくはKOHおよび/またはKFと、
と反応させるステップを含むか、または該ステップからなる方法に関し、
ここで、反応は、好ましくは極性溶媒(混合物)中で、より好ましくはアセトニトリル、1,4-ジオキサン、DMFおよびDMSO中で行われる。
【0050】
本発明による態様2の方法のいくつかの実施形態では、式(I)の化合物において、
nは1である;および/または
R1は-OHまたは-O-CH=CH2であり;および/または
R2は-CH3であり;および/または
R3は-Hであり;および/または
R4は-OHまたは-O-CH=CH2であり;および/または
R5は-Hであり;
ここで、R1とR4の少なくとも1つは-O-CH=CH2であり、好ましくはR1とR4は-O-CH=CH2である:および/または
式(III)において、
nは1である;および/または
R7は-OHである;および/または
R8は-CH3である;および/または
R9は-Hである;および/または
R10は-Hである;および/または
R11は-OHである。
【0051】
様々な実施形態において、式(III)の化合物はバイオベースである。
【0052】
第3の態様によれば、本発明は、好適には本発明の方法によって得られた、式(I)
[式中、
nは0~5の整数、好ましくはから1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1、R
3およびR
4は、-OH、-O-CH=CH
2、-H、または置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;および
R
2およびR
5は、-Hまたは置換または非置換のC
1-C
10アルキルまたはC
2-C
10アルケニル基から独立して選択される;
ただし、R
1、R
3およびR
4の少なくとも2つが-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ここで、R
1、R
3およびR
4の少なくとも1つが-O-CH=CH
2であり、好ましくはR
1および/またはR
4は-O-CH=CH
2である]
のビニルエーテル化合物に関する。
【0053】
本発明による方法の一実施形態では、式(I)の化合物は、式(IV)
[式中、
nは0、1、2、3、4または5、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1である;
R
1とR
4は-OHまたは-O-CH=CH
2であり、ただし、R
1とR
4の少なくとも1つは-O-CH=CH
2であり、好ましくは、R
1とR
4は-O-CH=CH
2である]
のビニルエーテル化合物である;または、
ビニルエーテル化合物は、式(V)~(VII)
[式中、nは0,1,2,3,4または5、好ましくは1、2または3、最も好ましくは1である]
の化合物のいずれか1つまたはそれらの混合物である。
【0054】
様々な実施形態において、本発明による式(I)または(IV)のビニルエーテル化合物は、ジビニルエーテルおよびモノビニルエーテル化合物の混合物であり、好ましくは、混合物は、少なくとも50重量%のジビニルエーテル、より好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%を、混合物の総重量%に基づいて含む。
【0055】
様々な実施形態において、式(I)または(IV)のビニルエーテル化合物は、ジビニルエーテルおよびモノビニルエーテル化合物の混合物であり、ここで、一次モノビニルエーテル化合物の二次モノビニルエーテルに対する比は、混合物中のモノビニルエーテル化合物および二級モノビニルエーテル化合物の量に基づいて、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも重量%、より好ましくは少なくとも95重量%である。
【0056】
第4の態様によれば、本発明は、任意に少なくとも1つのコモノマーと一緒に、本発明による式(I)のビニルエーテル化合物を重合することによって得られるポリマーに関する。一般に、ビニル基との反応を受けることができるすべての一般的に知られているコモノマーが適切である。カチオン重合が好ましいが、チオール-エン反応および重合も同様に可能である。ラジカル重合は、ビニルエーテルベースの分散液、または(メタ)アクリレートとのラジカル重合でコモノマーとしてビニルエーテルモノマーを使用する場合に関連する。
【0057】
前記少なくとも1つのコモノマーは、式(I)とは異なるさらなるビニルエーテル、例えば、アルキルビニルエーテルまたはヒドロキシ(アルキル)ビニルエーテル、および/またはビニルラクタムおよび/またはビニルアミドおよび/またはイソシアナート末端ポリオールおよび/またはヒドロキシアルキルビニルエーテルでエンドキャップされたイソシアナート末端ポリオールであってよく、より好ましくは前記少なくとも1つのコモノマーは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル(EHVE)、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテルまたは20-125 EO単位のエトキシル化ヒドロキシブチルビニルエーテル、アミノプロピルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDVE)、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHMVE)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル(TMPTVE)、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタメ(NVC)または液体N-ビニルカプロラクタム(LNVC)、N、N’-ジビニル-2-イミダゾリドン、N-ビニルイミダゾール、ビニルカルバゾール、またはイソシアネート末端ポリオール、またはトルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(H12MDI)、メタテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)または高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)から誘導されたヒドロキシアルキルビニルエーテルでさらにエンドキャップされたイソシアネート末端ポリオールの群から選択される。
【0058】
様々な実施形態において、2つ以上のコモノマーが存在し、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上であって、好ましくは上記リストから選択されるが、それに限定されない。
【0059】
一般に、ビニル基が重合反応を起こすことができるすべての重合技術が適切である。例えば、モノマーの混合物は、ラジカル重合によって重合されて、ビニルエーテルポリマーまたはコポリマーを形成できるが、これらの方法に限定されない。例示的な重合開始剤には、有機アゾまたはペルオキソ化合物が含まれる。適切な重合開始剤は当技術分野で広く知られており、容易に入手可能である。様々な実施形態において、重合開始剤は、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含むか、またはそれからなる。他の適切な開始剤には、当技術分野で広く使用され、よく知られているレドックス開始剤が含まれる。様々な好ましい実施形態において、重合は、カチオン重合またはチオール-エン付加反応および重合によって起こる。適切なカチオン性開始剤は当業者に知られており、ブレンステッド酸、ルイス酸、または任意にUV照射によって活性化できるヨードニウムまたはスルホニウム塩などの超酸発生剤を含むが、これらに限定されない。
【0060】
重合反応は、上記で定義した式(I)のビニルエーテル化合物を使用し、上記で詳述したようにカチオン性および/またはラジカル開始剤を添加することによって実施できる。さらなるコモノマーなど、任意に添加できる追加のモノマーを、重合プロセス中に添加できる。
【0061】
重合は、高温、好ましくは約70℃で、数時間、好ましくは1~12時間実施することができる。
【0062】
重合が完了した後、混合物に熱および/または真空を加えることによって溶媒を除去できる。例えば使用する溶媒に応じて、異なる加熱温度および/または真空設定が適している。様々な実施形態において、溶媒は、コポリマー中の残留溶媒含有量が、反応混合物に対して、約1重量%~35重量%、好ましくは約20重量%~25重量%となるように蒸発させる。
【0063】
重合が完了した後、混合物に熱および/または真空を加えることにより、残っている遊離モノマーを除去できる。このために、使用されるモノマーのタイプに応じて適切な加熱温度および/または真空設定を適用でき、そのような条件は当業者にとって容易に決定可能である。
【0064】
対応して得られたポリマーは、接着剤、好ましくはUV接着剤に使用できる。そのような接着剤調製物は、当業者に一般に知られている、1以上の成分をさらに含むことができる。特定の実施形態では、これらの追加の成分は、充填剤、増粘剤、シラン添加剤、着色剤、香料、防腐剤、樹脂、およびそれらの混合物から選択される。
【0065】
したがって、第5の態様によれば、本発明は、本発明による少なくとも1つのポリマーを含む接着剤に関する。
【0066】
様々な実施形態において、接着剤はUV接着剤である。
【0067】
最後に、第6の態様において、本発明は、UV接着剤、カチオン硬化剤、または1成分系あるいは2成分系の製造のための、たとえば、缶コーティング、エポキシおよびアクリレートベースのコーティング、構造用接着剤、シーラント、バッテリー接着剤、木材コーティング、または感圧接着剤(PSA))の製造のための、本発明による式(I)の少なくとも1つのビニルエーテル化合物または本発明による少なくとも1つのポリマーの使用に関する。
【0068】
本発明による方法について上記した全ての実施形態および例示は、本発明による他の態様にも適用され得、逆もまた同様である。
【0069】
以下では、実施例を参照することにより、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、例示のみを目的とするものであり、本発明がそれに限定されることを意図するものではないことが理解される。
【実施例】
【0070】
【0071】
室温でのビニル化
丸底フラスコ(1000mL)に(0.5mol%;638.4mg)Pd(OOCCF3)と(0.5mol%;300mg)2,2’-ビピリジンを投入した。続いて、エチルビニルエーテル(15当量;415mL)および(1.6mL;3mol%)NEt3を加えた。混合物を10分間撹拌した。その後(40g;0.384モル)、1,4-ペンタンジオールを加えた。反応の過程(48時間)の間、フラスコを密封し、室温で撹拌した。プリーツフィルターを使用して触媒を濾別し、その後、ロータリーエバポレーター(40℃、700mbar→300mbar)で得られた濾液から過剰のエチルビニルエーテルを蒸留除去した。次に、粗混合物を真空下で蒸留して、45℃および0.5ミリバールで第1の画分(P-2-divin.のみ)および60℃および0.1ミリバールで第2の画分(P-1-prim.とP-1-sek.の混合物)を得た。
【0072】
変換率1,4-ペンタンジオール:96%
収率P-2-divin:57%
収率P-1-prim.+P-1-sek.:35%+1.4%
【0073】
80℃でのビニル化
コンデンサーを備えた丸底フラスコ(1000mL)に(0.5mol%;638.4mg)Pd(OOCCF3)および(0.5mol%;300mg)2,2’-ビピリジンを投入した。続いて、エチルビニルエーテル(15当量;415mL)および(1.6mL;3mol%)NEt3を加えた。混合物を室温で10分間撹拌した。その後、(40g;0.384モル)1,4-ペンタンジオールを加えた。反応の過程(16時間)の間、混合物を80℃で撹拌した。プリーツフィルターを使用して触媒を濾別し、その後、ロータリーエバポレーター(40℃、700mbar→300mbar)で得られた濾液から過剰のエチルビニルエーテルを蒸留除去した。次に、粗混合物を真空下で蒸留して、45℃および0.5ミリバールで第1の画分(P-2-divin.のみ)および60℃および0.1ミリバールで第2の画分(P-1-prim.およびP-1-sek.の混合物)を得た。
【0074】
変換率1,4-ペンタンジオール:98%
収率P-2-divin:72%
収率P-1-prim.+P-1-sek.:15%+3%
【0075】
純粋なモノビニルエーテルP-1-prim.の単離
溶離液としてジエチルエーテル/n-ペンタン(1:4)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーを使用することにより、単一化合物P-1-prim.を混合物(P-1-prim./P-1-sek.)から単離し、黄色がかった液体として収集した。前述のように真空蒸留を適用した後、純粋なモノビニルエーテルP-1-prim.を無色無臭の液体として得た。P-1-sek.は、カラムクロマトグラフィーの分離プロセス中に自己環化を受けた。
【0076】
NMR-データ(D-クロロホルム中)
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3): 6.44 (dd, 1H,
3J = 6.74 Hz,
3J = 14.33 Hz); 6.29 (dd, 1H,
3J = 6.60 Hz,
3J = 14.12 Hz); 4.24 (dd, 1H,
3J = 14.12 Hz,
2J = 1.53 Hz); 4.14 (dd, 1H,
3J = 14.33 Hz,
2J = 1.95 Hz); 3.96 (dt, 2H,
3J = 6.64 Hz); 3.93-3.86 (m, 1H); 3.70-3.63 (m, 2H); 1.80-1.57 (m, 4H); 1.20 (d, 3H,
3J = 6.20 Hz).
13C-NMR (75 MHz, CDCl
3): 151.9; 150.9; 88.1; 86.4; 75.4; 67.8; 32.9; 25.1; 19.9 (
図1を参照)
【0077】
GC-MS
(m/z): 127; 112; 99; 84; 69; 57; 43; 41; 31.
【0078】
IRデータ(ATR法)
ATR-IR (cm
-1): ν(C-H, sp
2) 3117; ν(C-H, sp
3) 2973; ν(C-H, sp
3) 2932; ν(C-H, sp
3) 2874; (C=C) 1633; (C=C) 1612; (=C-O-C) 1193.
【0079】
NMR-データ(D-トルエン中)
1H-NMR (300 MHz, d-トルエン): 6.37 (dd, 1H, 3J = 6.84 Hz, 3J = 14.42 Hz); 4.13 (dd, 1H, 3J = 14.42 Hz, 2J = 1.71 Hz); 3.92 (dd, 1H, 3J = 6.84 Hz, 2J = 1.71 Hz); 3.53 (セクステット、1H, 3J = 6.21 Hz); 3.43 (td, 2H, 4J = 1.44 Hz, 3J = 6.32 Hz); 2.18 (br, 1H); 1.68-1.45 (m, 2H); 1.35-1.26 (m, 2H); 1.00 (d, 3H, 3J = 6.20 Hz).
13C-NMR (75 MHz, d-トルエン): 152.3; 86.2; 68.0; 67.4; 36.0; 25.8; 23.7.
【0080】
GC-MS
(m/z): 130, 115, 102, 87, 69, 58, 45, 43, 31.
【0081】
IRデータ(ATR法)
ATR-IR (cm
-1): ν(O-H) 3362; ν(C-H, sp
2) 3118; ν(C-H, sp
3) 2964; ν(C-H, sp
3) 2928; ν(C-H, sp
3) 2873; (C=C) 1636; (C=C) 1613; (=C-O-C) 1197.
【0082】
NMR-データ(D-トルエン中)
1H-NMR (300 MHz, d-トルエン): 6.37 (dd, 1H, 3J = 6.84 Hz, 3J = 14.34 Hz); 6.15 (dd, 0.04H, 3J = 6.60 Hz, 3J = 14.14 Hz); 4.29 (dd, 0.04H, 3J = 14.14 Hz, 2J = 1.33 Hz); 4.13 (dd, 1H, 3J = 14.34 Hz, 2J = 1.78 Hz); 3.94 (dd, 0.04H, 3J = 6.60 Hz, 2J = 1.33 Hz); 3.92 (dd, 1H, 3J = 6.83 Hz, 2J = 1.78 Hz); 3.60-3.48 (m, 1H, 0.04H ); 3.43 (td, 2H, 0.08H 4J = 1.40 Hz, 3J = 6.34 Hz); 2.20 (d, 1H, 3J = 4.64 Hz); 2.17 (br, 0.04H); 1.67-1.45 (m, 2H, 0.08H); 1.35-1.23 (m, 2H, 0.08H); 1.02 (d, 0.12H, 3J = 6.19 Hz); 1.00 (d, 3H, 3J = 6.20 Hz).
13C-NMR (75 MHz, d-トルエン): 152.3; 151.3; 88.0; 86.2; 75.6; 68.0; 67.4; 62.3; 36.0; 33.1; 29.0; 25.8; 23.7; 19.9.
【国際調査報告】